(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025382
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】スイッチ装置及びドアノブ
(51)【国際特許分類】
E05B 81/76 20140101AFI20240216BHJP
E05B 85/14 20140101ALI20240216BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240216BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
E05B81/76
E05B85/14
B60J5/04 H
B60Q1/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128765
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 玲貴
(72)【発明者】
【氏名】名越 朗
【テーマコード(参考)】
2E250
3K339
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ49
2E250LL01
2E250PP12
2E250SS02
3K339AA19
3K339BA01
3K339BA08
3K339BA13
3K339BA24
3K339BA26
3K339CA30
3K339DA01
3K339GB17
3K339HA02
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】スイッチノブを良好に照明する。
【解決手段】スイッチ装置20では、スイッチ部44及びLED46が、ハウジング30に収容され、ハウジング30は、ドアノブ10に回動可能に連結されたベースプレート32と、ベースプレート32と共にスイッチ部44及びLED46を覆うスイッチノブ34と、ベースプレート32に設けられたスイッチカバー36と、を含んでいる。スイッチノブ34は、ドアノブ10の露出孔10Cから操作可能に露出され、LED46の光を透過する透光部34Bを有している。これにより、水や埃等の異物が露出孔10Cからドアノブ10内に侵入しても、当該異物のハウジング30内への侵入を抑制できる。その結果、透光部34Bの照度や輝度の低下を抑制できる。したがって、スイッチノブ34(透光部34B)を良好に照明することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアに設けられるスイッチ装置であって、
光源と、
押圧されることで作動するスイッチ部と、
前記光源及び前記スイッチ部を収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
前記車両ドアに移動可能に連結され、操作力が入力されることで移動方向の一方側へ移動するハウジングベースと、
前記ハウジングベースに一体移動可能に連結されて前記ハウジングベースと共に前記スイッチ部及び光源を覆うと共に、前記車両ドアから操作可能に露出され、前記光源によって発光された光を透過させる透光部を有するスイッチノブと、
前記ハウジングベースに設けられ、前記ハウジングベースの移動方向の一方側への移動時に前記車両ドアによって押圧されることで弾性変形して前記スイッチ部を押圧するスイッチカバーと、
を含んで構成されているスイッチ装置。
【請求項2】
前記ハウジングの内部には、前記移動方向を板厚方向とする基板が設けられ、前記スイッチ部が前記基板の一側面に設けられ、前記光源が前記基板の他側面に設けられており、
前記ハウジングベースは、前記基板の前記移動方向の一方側に配置されると共に、前記スイッチ部を配置するスイッチ孔が形成されており、
前記スイッチカバーは、前記スイッチ部を前記移動方向の一方側から覆うと共に、前記スイッチ孔を閉塞している請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ハウジングの内部には、複数の前記スイッチ部が設けられ、前記スイッチ部は、前記スイッチ部への操作を検知する検知部に接続されており、
前記検知部は、複数の前記スイッチ部の何れか1つの出力信号に基づいて、前記スイッチ部の操作を検知する請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記ハウジングベースが、前記車両ドアに回動可能に支持されている請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記ハウジングの内部には、複数の前記スイッチ部が設けられ、前記スイッチ部は、前記スイッチ部への操作を検知する検知部に接続されており、
前記検知部は、複数の前記スイッチ部の何れか1つの出力信号に基づいて、前記スイッチ部の操作を検知すると共に、
前記ハウジングベースが、前記車両ドアに回動可能に支持されている請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
車両ドアのドアノブであって、
車両ドアに固定されるノブ本体と、
前記ノブ本体から前記車両ドアの厚み方向に交差する方向へ突出するノブ部と、
前記ノブ本体に収容され、前記ノブ本体から前記厚み方向の外側へ露出される請求項1~請求項5の何れか1項に記載のスイッチ装置と、
前記ノブ本体の内部に設けられ、前記スイッチ装置の移動方向の一方側への移動時に前記スイッチ装置を押圧して前記スイッチ装置を作動させるスイッチ作動部と、
を備えたドアノブ。
【請求項7】
前記ノブ本体は、前記車両ドアから前記厚み方向の外側へ突出し、
前記ノブ部は、前記ノブ本体の前記厚み方向の外側端部から車両上側へ突出し、
前記スイッチ装置が、前記ノブ部の車両下側に配置され、前記ノブ本体から前記厚み方向の外側且つ車両下側へ露出している請求項6に記載のドアノブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置及びドアノブに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のドアハンドル装置では、スイッチ装置が、ハンドルグリップの内部に設けられている。スイッチ装置は、スイッチノブ、ライトバー、及びスイッチ機構を有しており、スイッチノブがハンドルグリップから操作可能に露出している。スイッチ機構は、スイッチノブの操作によって押圧されるスイッチ部と、光源と、光源によって発光された光を透光する透光部と、を有している。光源によって発光された光は、透光部を透過し、ライトバーの導光部からスイッチノブへ照射されて、スイッチノブが照明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のドアハンドル装置のスイッチ装置では、以下に示す点において、改善の余地がある。すなわち、上記スイッチ装置では、スイッチノブとハンドルグリップとの間から侵入する水や埃等の異物が、スイッチノブと導光部との間やスイッチ機構の透光部と導光部との間に侵入すると、スイッチノブを照射する光の照度や輝度が低下する可能性がある。換言すると、当該異物が、光源とスイッチノブとの間の光の透光経路に侵入する可能性があり、この場合には、スイッチノブに対する照明性能が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、スイッチノブを良好に照明することができるスイッチ装置及びドアノブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両ドアに設けられるスイッチ装置であって、光源と、押圧されることで作動するスイッチ部と、前記光源及び前記スイッチ部を収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記車両ドアに移動可能に連結され、操作力が入力されることで移動方向の一方側へ移動するハウジングベースと、前記ハウジングベースに一体移動可能に連結されて前記ハウジングベースと共に前記スイッチ及び光源を覆うと共に、前記車両ドアから操作可能に露出され、前記光源によって発光された光を透過させる透光部を有するスイッチノブと、前記ハウジングベースに設けられ、前記ハウジングベースの移動方向の一方側への移動時に前記車両ドアによって押圧されることで弾性変形して前記スイッチ部を押圧するスイッチカバーと、を含んで構成されているスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、スイッチノブを良好に照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るスイッチ装置が適用されたドアノブを搭載した車両Vを示す車幅方向外側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示されるドアノブの車幅方向外側及び後側から見た2面図である。
【
図3】
図2に示されるドアノブの分解斜視図である。
【
図4】
図2に示されるドアノブの内部を示す後側から見た断面図(
図2の4-4線断面図)である。
【
図5】
図4に示されるドアノブの内部を示す傾斜方向から見た断面図(
図4の5-5線断面図)である。
【
図6】
図5に示されるスイッチ装置におけるスイッチ部周辺の拡大断面図(
図5の6-6線拡大断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るスイッチ装置20が適用されたドアノブ10について説明する。
図1に示されるように、ドアノブ10は、車両(自動車)Vの車両ドアとしてのサイドドア60に設けられており、サイドドア60は、車両Vの車幅方向両側部に配置されている。サイドドア60の前端部が、図示しないヒンジ機構によって上下方向を軸方向として車両Vの車体に回動可能に連結されている。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、それぞれ車両Vの車両上側、車両前側、車幅方向外側を示しており、車幅方向は、サイドドア60の厚み方向と一致している。以下の説明において、上下、前後の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、車両上下方向、車両前後方向を示すものとする。以下、先に、ドアノブ10について説明し、次いで、スイッチ装置20について説明する。
【0010】
(ドアノブ10について)
図2~
図6に示されるように、ドアノブ10は、ノブ本体10Aを有している。ノブ本体10Aは、全体として、上下方向を厚み方向とし、前後方向を長手方向とする中空の略長尺偏平状に形成されている。ノブ本体10Aの車幅方向内側端部は、車幅方向内側へ開放されると共に、サイドドア60に固定されており、ノブ本体10Aがサイドドア60から車幅方向外側へ突出している。ドアノブ10は、ドアノブ10(ノブ本体10A)の下部を構成するノブベース12と、ドアノブ10(ノブ本体10A)の上部を構成するアッパノブ14と、によって上下に2分割されており、ノブベース12及びアッパノブ14が互いに組付けられて、ドアノブ10(ノブ本体10A)が形成されている。
【0011】
ノブベース12の車幅方向外側の側壁12Aは、上側へ向かうに従い車幅方向外側へ傾斜している。側壁12Aの後部には、車幅方向外側へ開放された切欠部が形成されており、切欠部は、ノブベース12の下壁に亘って形成されている。すなわち、ノブ本体10Aの後部の車幅方向外側端部には、下部において、車幅方向外側且つ下側へ開放された露出孔10Cが形成されており、露出孔10Cによって、後述するスイッチ装置20のスイッチノブ34をドアノブ10の外部に露出させるようになっている。
【0012】
ノブ本体10Aの車幅方向外側端部には、前端部を除く部分において、上側へ突出したノブ部10Bが形成されており、ノブ部10Bは、乗員が把持する把持部として構成されている。具体的には、サイドドア60を開放させるときには、乗員の指を車幅方向内側からノブ部10Bに引っ掛けて、ノブ部10Bを車幅方向外側へ引き操作するようになっている。
【0013】
アッパノブ14の内部には、後述するスイッチ装置20を支持するための前後一対の支持部10D(
図4参照)が設けられている(
図4では、後側の支持部10Dのみが図示されている)。支持部10Dは、前後方向を板厚方向とし且つ上下方向に延在されたリブ状に形成されて、ノブ部10Bにおける前後方向両端部の車幅方向外側壁から車幅方向内側へ突出している。支持部10Dの下端部には、支持孔10Eが貫通形成されている。そして、前後方向から見て、支持孔10Eの中心線回りの一方側(
図4の矢印A方向側)を、後述するスイッチ装置20の移動方向一方側としており、支持孔10Eの中心線回りの他方側(
図4の矢印B方向側)を、後述するスイッチ装置20を移動方向他方側としている。
【0014】
アッパノブ14の内部には、後述するスイッチ装置20のスイッチ部44を作動させるための複数(本実施形態では、3箇所)のスイッチ作動部10F(
図5及び
図6参照)が設けられている。スイッチ作動部10Fは、前後方向を板厚方向とし且つ上下方向に延在されたリブ状に形成されて、ノブ部10Bにおける車幅方向内側壁から車幅方向外側へ突出している。3箇所のスイッチ作動部10Fは、前後一対の支持部10Dの間において、前後方向に所定の間隔を空けて配置されている。スイッチ作動部10Fの下端部は、アッパノブ14の上壁よりも下側へ突出している。スイッチ作動部10Fの下端面は、押圧面10Gとして構成されており、押圧面10Gは、前後方向から見て、車幅方向外側へ向かうに従い上側へ傾斜している。そして、以下の説明では、前後方向から見て、押圧面10Gに沿った方向を傾斜方向としており、傾斜方向に対して直交する方向を直交方向としている。また、
図4における矢印V1方向側を直交方向一方側とし、
図4における矢印V2方向側を直交方向他方側としている。
【0015】
アッパノブ14の内部には、前後一対のストッパ部10H(
図4参照)が形成されており、ストッパ部10Hは、スイッチ作動部10Fと同様に構成されている。すなわち、ストッパ部10Hは、前後方向を板厚方向とし且つ上下方向に延在されたリブ状に形成されて、ノブ部10Bの車幅方向内側壁から車幅方向外側へ突出している。また、ストッパ部10Hの下端部が、アッパノブ14の上壁よりも下側に突出している。ストッパ部10Hの下端面は、ストッパ面10Jとして構成されており、ストッパ面10Jは、前後方向から見て、傾斜方向に沿って配置されると共に、スイッチ作動部10Fの押圧面10Gよりも直交方向他方側(移動方向の他方側)に若干オフセットした位置に配置されている。ストッパ部10Hは、3箇所のスイッチ作動部10Fの前後方向外側に位置している(
図5参照)。
【0016】
(スイッチ装置20について)
スイッチ装置20は、ドアノブ10内に収容されると共に、ノブ部10Bの下側に配置されており、スイッチ装置20の一部が露出孔10Cから操作可能に露出されている。スイッチ装置20は、スイッチ装置20の外郭を構成するハウジング30と、ハウジング30内に収容された基板ユニット40及びライトガイド50(広義には、導光部として把握される要素である)と、を含んで構成されている。
【0017】
(ハウジング30について)
ハウジング30は、全体として前後方向に延在された中空の略矩形柱状に形成されている。ハウジング30は、ハウジングベースとしてベースプレート32と、スイッチノブ34と、スイッチカバー36と、を含んで構成されている。ベースプレート32は、ハウジング30の直交方向一方側端部を構成している。ベースプレート32は、直交方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略長尺板状に形成されており、ドアノブ10のスイッチ作動部10F及びストッパ部10Hの直交方向他方側に配置されている。ベースプレート32の上端部には、前後方向に延在された支持軸32Aが設けられている。支持軸32Aの前後方向両端部が、ドアノブ10における支持部10Dの支持孔10E内に前後方向内側から挿入されて、支持部10Dに回動可能に支持されている。これにより、スイッチ装置20が、ドアノブ10に前後方向を軸方向として回動可能に連結されている。具体的には、スイッチ装置20の非作動状態では、スイッチ装置20が、初期位置(
図4及び
図6に示される位置)に位置しており、車幅方向内側へ押圧されることで、初期位置から移動方向一方側へ回動(移動)した操作位置(図示省略)に位置するように構成されている。
【0018】
図5に示されるように、ベースプレート32には、後述するスイッチ部44を配置するための3箇所のスイッチ孔32Bが貫通形成されている。スイッチ孔32Bは、略矩形状に形成されて、ドアノブ10のスイッチ作動部10Fに対応する位置に配置されている。ベースプレート32には、前側のスイッチ孔32Bと前後方向中間部のスイッチ孔32Bとの間において、後述するコネクタを配置するためのコネクタ孔32Cが貫通形成されており、コネクタ孔32Cは、前後方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。ベースプレート32には、後側のスイッチ孔32Bと前後方向中間部のスイッチ孔32Bとの間において、円形状の空気孔32Dが貫通形成されている。空気孔32Dは、ベースプレート32の一側面(直交方向一方側面)に貼着されたシート38によって閉塞されており、シート38は、防水性及び通気性を有するシートとして構成されている。
【0019】
図3~
図6に示されるように、スイッチノブ34は、前後方向に延在され且つ直交方向一方側へ開放された略長尺凹状に形成されている。スイッチノブ34の開口部の外周部には、ノブフランジ34Aが形成されており、ノブフランジ34Aは、スイッチノブ34の周方向の全周に亘って形成さている。そして、スイッチノブ34がベースプレート32の直交方向他方側に隣接配置され、ノブフランジ34Aがベースプレート32の外周部に密着するように、スイッチノブ34がベースプレート32に固定されている。すなわち、スイッチノブ34が、ハウジング30内の気密性を確保するように、ベースプレート32に一体移動可能に固定されている。スイッチノブ34は、ドアノブ10の露出孔10Cから操作可能に露出されて、スイッチ装置20における、乗員の操作力が入力される入力部として構成されている。具体的には、スイッチノブ34の露出面における車幅方向外側面が、ノブベース12の側壁12Aの外周面と面一に配置され、スイッチノブ34の露出面における下面が、ノブベース12の下面と面一に配置されている。スイッチノブ34は、光を透過可能な材料で構成されており、スイッチノブ34における露出孔10Cからドアノブ10の外部に露出された部分が、透光部34Bとして構成されている。
【0020】
図5及び
図6に示されるように、スイッチカバー36は、スイッチ孔32Bに対応して、ベースプレート32に設けられている。すなわち、本実施の形態では、3箇所のスイッチカバー36がベースプレート32に設けられている。スイッチカバー36は、弾性を有する材料(本実施の形態では、エラストマ)によって構成されており、直交方向他方側へ開放された比較的底の浅い矩形凹状に形成されている。そして、2色成形等の手法によって、スイッチカバー36の開口部が、ベースプレート32のスイッチ孔32Bの周縁部に一体形成されている。これにより、スイッチカバー36によってスイッチ孔32Bが閉塞されている。スイッチカバー36の略中央部には、ボス36Aが設けられており、ボス36Aは、直交方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、スイッチカバー36から直交方向他方側へ突出している。
【0021】
スイッチカバー36は、ベースプレート32の一側面に対して直交方向一方側にオフセットした位置に配置されると共に、スイッチ作動部10Fの押圧面10Gの直交方向他方側に隣接している。そして、スイッチ装置20が操作位置に回動されたときには、スイッチカバー36が、スイッチ作動部10Fによって直交方向他方側へ押圧されて弾性変形すると共に、後述するスイッチ部44をボス36Aによって押圧するようになっている。なお、スイッチ装置20の操作位置では、ストッパ部10Hのストッパ面10Jが、ベースプレート32に当接して、スイッチ装置20の移動方向一方側への回動がストッパ部10Hによって制限される設定になっている。
【0022】
(基板ユニット40について)
基板ユニット40は、基板42と、3箇所のスイッチ部44と、光源として一対のLED46と、を含んで構成されている。基板42は、直交方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略長尺板状に形成されている。基板42は、ハウジング30内に収容されると共に、ベースプレート32の直交方向他方側に隣接配置されて、ベースプレート32に固定されている。
【0023】
スイッチ部44は、基板42の一側面(直交方向一方側面)に設けられると共に、ベースプレート32のスイッチ孔32B内に配置されている。スイッチ部44は、タクタイルスイッチ等のプッシュスイッチとして構成されて、スイッチカバー36のボス36Aの直交方向他方側に隣接配置されている。これにより、スイッチ部44が、スイッチカバー36によって直交方向一方側から覆われており、スイッチ装置20が操作位置に回動されると、スイッチ作動部10Fによって押圧されたスイッチカバー36がスイッチ部44を押圧してスイッチ部44がオンされるようになっている。
【0024】
LED46は、基板42の他側面(直交方向他方側面)に設けられると共に、基板42の前後方向両端部に配置されている。LED46は、発光された光を直交方向他方側へ照射して、スイッチノブ34の透光部34Bを照明するようになっている。
【0025】
基板42には、車両Vの検知部としての制御部62が接続されて、スイッチ部44及びLED46が制御部62に電気的に接続されている。詳しくは、制御部62から延出されたハーネスの一端部に設けられたコネクタ(図示省略)が、コネクタ孔32C内に配置され、基板42に接続されている。そして、スイッチ部44からの出力信号に基づいて、スイッチノブ34が操作位置に操作されたか否なかを検知すると共に、制御部62の制御によって、LED46が発光される。具体的には、制御部62は、少なくとも1個のスイッチ部44の出力信号がオフからオンに切り替わることを検出したときに、スイッチ装置20が操作されたことを検知するようになっている。
【0026】
(ライトガイド50について)
ライトガイド50は、直交方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略長尺板状に形成されている。ライトガイド50は、ハウジング30内に収容されると共に、基板42の直交方向他方側に隣接配置され、基板42に固定されている。ライトガイド50の前後方向両端部には、直交方向他方側へ突出し且つ直交方向一方側へ開放された凹部50Aが形成されており、凹部50A内にLED46が配置されている。ライトガイド50は、光を透過可能な樹脂材等で構成されており、所謂レンズとして構成されている。これにより、LED46によって発光された光が、ライトガイド50の前後方向中央側へ導かれて、スイッチノブ34の透光部34Bが前後方向の全体に亘って照明されるように構成されている。
【0027】
(作用及び効果)
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0028】
上記のように構成されたドアノブ10におけるスイッチ装置20の非作動状態では、スイッチ装置20が初期位置に配置されている。乗員が、スイッチ装置20を操作して、サイドドア60を開くときには、乗員の親指以外の指をドアノブ10におけるノブ部10Bの車幅方向内側に配置して当該指をノブ部10Bに引掛けるようにし、乗員の親指をスイッチノブ34の車幅方向外側に配置して、ドアノブ10を把持する。
【0029】
この状態で、乗員がスイッチノブ34を車幅方向内側へ押圧すると、スイッチ装置20の全体が、初期位置から移動方向一方側へ回動して、操作位置に配置される。スイッチ装置20の操作位置では、ドアノブ10のスイッチ作動部10Fが、スイッチ装置20のスイッチカバー36を直交方向他方側へ押圧して、スイッチカバー36が弾性変形する。これにより、スイッチカバー36のボス36Aがスイッチ部44を押圧する。よって、スイッチ部44から制御部62へオン信号が出力されて、スイッチ装置20への操作を制御部62が検知する。制御部62がスイッチ装置20への操作を検知すると、制御部62によって、サイドドア60の施錠装置のロックが解除され、サイドドア60の開閉が許可された状態になる。この状態で、乗員が、ノブ部10Bを車幅方向外側へ引くことにより、サイドドア60が開放される。
【0030】
ここで、スイッチ装置20では、スイッチ部44及びLED46が、スイッチ装置20の外郭を構成するハウジング30に収容されている。ハウジング30は、ドアノブ10に回動可能に連結されたベースプレート32と、ベースプレート32に相対移動不能に連結され且つベースプレート32と共にスイッチ部44及びLED46を覆うスイッチノブ34と、ベースプレート32に設けられたスイッチカバー36と、を含んで構成されている。また、スイッチノブ34は、ドアノブ10の露出孔10Cから操作可能に露出されると共に、LED46の光を透過する透光部34Bを有している。これにより、上述したように、スイッチ装置20の作動時には、スイッチ部44及びLED46を収容するハウジング30の全体(スイッチ装置20の全体)が初期位置から操作位置へ回動するため、水や埃等の異物が露出孔10Cからドアノブ10内に侵入しても、当該異物のハウジング30内(スイッチ装置20内)への侵入を抑制できる。すなわち、スイッチ部44及びLED46を収容するハウジング30の全体を移動させる構成にすることで、異物がLED46から透光部34Bへの光の透過経路内に侵入することを抑制できる。その結果、透光部34Bの照度や輝度の低下を抑制できる。したがって、スイッチノブ34(透光部34B)を良好に照明することができる。
【0031】
また、スイッチカバー36は、弾性材によって構成され、スイッチ装置20の操作位置では、スイッチカバー36が、ドアノブ10のスイッチ作動部10Fによって押圧されて直交方向他方側へ弾性変形し、スイッチ部44を押圧する。このため、スイッチ装置20の全体を移動させる構成にしても、操作位置においてスイッチ部44を押圧して作動させることができる。
【0032】
また、ハウジング30内に収容された基板ユニット40では、スイッチ部44が基板42の一側面に設けられ、LED46が基板42の他側面に設けられている。これにより、基板42の両面を活用して、スイッチ部44及びLED46を基板42に設けることができる。さらに、ベースプレート32には、スイッチ部44を配置するためのスイッチ孔32Bが形成されており、スイッチカバー36が、スイッチ孔32Bを閉塞しつつ、スイッチ部44を移動方向の一方側から覆っている。これにより、基板42をベースプレート32の直交方向他方側に隣接配置しつつ、ベースプレート32に設けられたスイッチカバー36によってスイッチ部44を押圧させることができる。したがって、スイッチ装置20の小型化に寄与しつつ、ハウジング30内の気密性を確保することができる。
【0033】
また、基板ユニット40では、複数(本実施の形態では、3個)のスイッチ部44が基板42に設けられており、制御部62は、何れかのスイッチ部44のオン信号に基づいて、スイッチ装置20への操作を検知する。このため、仮に、何れかのスイッチ部44が破損しても、残りのスイッチ部44の出力信号に基づいて、スイッチ装置20への操作を検知することができる。これにより、スイッチ装置20の信頼性を向上することができる。
【0034】
また、ベースプレート32がドアノブ10に回動可能に支持され、ハウジング30がドアノブ10に前後方向を軸方向として回動可能に連結されている。これにより、スイッチ装置20を良好に操作させて、スイッチ部44を作動させることができる。すなわち、例えば、ベースプレート32(ハウジング30)がドアノブ10に前後方向にスライド可能に連結されている場合には、ベースプレート32の傾き等によって、スイッチ部44を良好に作動させることができなくなる可能性がある。特に、前後方向に延在されたスイッチ装置20では、ドアノブ10に対するスイッチ装置20の傾きによってスイッチ部44を良好に作動させることが困難となる場合がある。これに対して、本実施の形態では、ベースプレート32がドアノブ10に回動可能に支持されて、ハウジング30がドアノブ10に回動可能に連結されている。このため、ベースプレート32(ハウジング30)をドアノブ10に前後方向にスライド可能に連結する場合と比べて、スイッチ装置20を良好に操作させて、スイッチ部44を作動させることができる。また、本実施の形態のスイッチ装置20は、ベースプレート32をドアノブ10に前後方向にスライド可能に連結する場合と比べて、操作時のベースプレート32の傾きが少なく、複数のスイッチ部44が基板42に設けられている場合でも、すべてのスイッチ部44を確実に同時に作動させることができ、より信頼性を向上できる。
【0035】
また、ドアノブ10は、サイドドア60に固定されるノブ本体10Aと、ノブ本体10Aから上側へ突出するノブ部10Bと、を含んで構成されている。さらに、スイッチ装置20が、ノブ本体10A内に収容されて、スイッチ装置20のスイッチノブ34がノブ本体10Aの露出孔10Cから車幅方向外側へ露出している。このため、上述したように、乗員の親指以外の指をノブ部10Bに引っ掛けた状態で、乗員の親指によってスイッチノブ34を車幅方向内側へ押圧して、スイッチ装置20に操作力を入力することができる。これにより、比較的高い操作力をスイッチ装置20に入力させることができる。また、スイッチ装置20への操作後には、乗員の親指以外の指でノブ部10Bを引くことで、サイドドア60を開放させることができる。以上により、ドアノブ10において、乗員に対する操作性を向上することができる。
【0036】
また、ノブ部10Bは、ノブ本体10Aの車幅方向外側端部から上側へ突出しており、スイッチ装置20が、ノブ部10Bの下側に配置され、ノブ本体10Aから車幅方向外側且つ下側へ露出している。このため、スイッチ装置20への操作性を確保しつつ、異物が露出孔10Cからドアノブ10内へ侵入することを抑制できる。また、仮に、異物がドアノブ10内に侵入しても、露出孔10Cが下側へ開放されているため、当該異物を露出孔10Cから下側へ良好に排出することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、スイッチ装置20がサイドドア60のドアノブ10に適用された例を示したが、例えば、スイッチ装置20を車両Vの後端部のバックドアのドアノブに適用してもよい。また、スイッチ装置20を、サイドドア60及びバックドア等に直接設けるように構成してもよい。この場合には、スイッチ装置20をサイドドア60及びバックドアに移動可能に連結し、サイドドア60及びバックドアに形成された露出孔からスイッチ装置20が露出される。
【符号の説明】
【0038】
10 ドアノブ
10A ノブ本体
10B ノブ部
10F スイッチ作動部
30 ハウジング
32 ベースプレート(ハウジングベース)
32B スイッチ孔
34 スイッチノブ
34B 透光部
36 スイッチカバー
42 基板
44 スイッチ部
46 LED(光源)
60 サイドドア(車両ドア)
62 制御部(検知部)