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特開2024-25391ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025391
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/98 20060101AFI20240216BHJP
   A61K 36/47 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 35/644 20150101ALI20240216BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 36/89 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240216BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240216BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240216BHJP
   A23L 21/20 20160101ALI20240216BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61K8/98
A61K36/47
A61K36/185
A61P43/00 111
A61P17/14
A61P17/10
A61K35/644
A61P13/08
A61K36/89
A61K8/9789
A61P43/00 121
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L21/20
A61Q7/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128779
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】598162665
【氏名又は名称】株式会社山田養蜂場本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 志穂
(72)【発明者】
【氏名】八巻 礼訓
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4B117
4C083
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE03
4B018MD48
4B018MD78
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B041LC10
4B041LD06
4B041LK35
4B041LP05
4B117LC04
4B117LG18
4B117LK20
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC02
4C083CC37
4C083EE14
4C083EE22
4C083FF04
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB22
4C087CA03
4C087CA06
4C087MA02
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA92
4C087ZC20
4C087ZC75
4C088AB12
4C088AB25
4C088AB46
4C088AB79
4C088AC01
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA02
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA81
4C088ZA89
4C088ZA92
4C088ZC20
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤、育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤を提供する。
【解決手段】レピドスペルマ属の植物由来のプロポリス、オオバギ属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ属の植物由来のプロポリスからなる群から選択される少なくとも1種を含むステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤、該ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を含む育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レピドスペルマ属の植物由来のプロポリス、オオバギ属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ属の植物由来のプロポリスからなる群から選択される少なくとも1種を含むステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤。
【請求項2】
請求項1に記載のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を含む育毛剤。
【請求項3】
請求項1に記載のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を含む前立腺肥大抑制剤。
【請求項4】
請求項1に記載のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を含むニキビ予防及び/又は改善剤。
【請求項5】
飲食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品である、請求項1~4のいずれか一項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロイド-5α-リダクターゼ(Steroid-5α-Reductase)阻害剤、育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
男性型脱毛の原因の一つとして、男性ホルモンが代謝系に大量に蓄積して男性ホルモン作用が増大することが知られている。テストステロンが5α-リダクターゼにより、ジヒドロテストステロン(DHT:dihydrotestosterone)に還元され、還元されたDHTの作用により毛の成長期を短縮すると考えられている。そのため、テストステロンからDHTへの還元を阻害、すなわちステロイド-5α-リダクターゼ(テストステロン-5α-リダクターゼ)を阻害することによって男性ホルモン作用の増大を起因とする男性型脱毛症を予防又は低減できると考えられている(非特許文献1)。
【0003】
また、前立腺肥大についてもDHTが主要な原因であることが確立され、5α-リダクターゼ阻害剤が前立腺肥大の治療に有効であることが知られている(非特許文献2)。
【0004】
DHTの生成の増加により、皮脂分泌能が高まり、脂漏性脱毛及びニキビ(尋常性ざ瘡)が発症することも知られているので、DHTの生成を阻害することにより、脂漏性脱毛及びニキビを予防又は低減することができると考えられる。
【0005】
プロポリスはミツバチにより集められた樹木の樹液、植物の新芽や浸出物などがミツロ
ウ等と混ざり合ってできた膠状の物質であり、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫
瘍作用、抗アレルギー作用などが知られている。
【0006】
プロポリスの成分はその材料となる基原植物の種類や配合率に影響されるため、採取された国又は地域によって、プロポリスに含まれる有効成分の種類や含有量とその生理活性が全く異なることが知られている。
【0007】
近年産地別プロポリスの含有成分に関する研究が進められている。例えば、バッカリスドラクンクリフォリアを主要な基原植物とするブラジル産プロポリスの主成分としては、p-クマル酸、アルテピリンC、ドルパニン、バッカリン等の桂皮酸誘導体が検出される。一方、ポプラを基原植物とする中国産、ヨーロッパ産及びオーストラリア産のプロポリスの主成分としては、クリシン、ガランギンなどのフラボノイド類が検出される。
【0008】
特許文献1では、中国産とブラジル産のプロポリスの親水性溶媒又は水との混液による抽出物がテストステロン-5α-レダクターゼ阻害に優れた効果を有することが報告されている。
【0009】
特許文献2では、キューバ産プロポリスに含まれるネモロソンが、テストステロン-5α-リダクターゼ阻害活性を有することから、ネモロソン及びキューバ産プロポリスが育毛剤、前立腺肥大抑制剤、及び抗ニキビ剤の有効成分として有用であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000-53539号公報
【特許文献2】特許第6300436号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】AL. Dallob et al.,The Effect of Finasteride,a 5α-Reductase Inhibitor,on Scalp Skin Testosterone and Dihydrotestosterone Concentrations in Patients with Male Pattern Baldness.J Clin Endocrinol Metab,79,703-706(1994)
【非特許文献2】S. Tu-Yue et al.,A Novel In Vitro Model to Screen Steroid 5α-Reductase Inhibitors Against Benign Prostatic Hyperplasia.Meth Find Exp Clin Pharmacol,20(4),283-287(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤、育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
プロポリスはミツバチが採取する植物を原料とするため、産地によって成分の違いが見られることから、産地により効果は異なることが予想される。そこで、本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、レピドスペルマ属の植物由来のプロポリス、オオバギ属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ属の植物由来のプロポリスが高いステロイド-5α-リダクターゼ阻害活性を有することを見出した。
【0014】
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤、育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤を提供するものである。
【0015】
項1.レピドスペルマ属の植物由来のプロポリス、オオバギ属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ属の植物由来のプロポリスからなる群から選択される少なくとも1種を含むステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤。
項2.項1に記載のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を含む育毛剤。
項3.項1に記載のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を含む前立腺肥大抑制剤。
項4.項1に記載のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を含むニキビ予防及び/又は改善剤。
項5.飲食品、化粧品、医薬品又は医薬部外品である、項1~4のいずれか一項に記載の剤。
【発明の効果】
【0016】
レピドスペルマ属の植物由来のプロポリス、オオバギ属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ属の植物由来のプロポリスは、優れたステロイド-5α-リダクターゼ阻害活性を有しているので、ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤、育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤の有効成分として有用である。
【0017】
また、プロポリスは、従来から食品素材として用いられてきたものであるから、安全性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
なお、本明細書において「含む(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
【0020】
Reductaseのカタカナ読みは、一般に「レダクターゼ」や「リダクターゼ」と書くことがあるが、これらは同じ意味である。本発明においては、Reductaseのカタカナ読みは「リダクターゼ」とする。
【0021】
また、本発明においては、ステロイド-5α-リダクターゼとテストステロン-5α-リダクターゼとは同じ意味であるとする。
【0022】
本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤は、レピドスペルマ属の植物由来のプロポリス、オオバギ属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ属の植物由来のプロポリスからなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0023】
プロポリスとは、ミツバチの巣の巣壁を構成する樹脂状又は蝋状の物質であり、ミツバチが採取してきた植物の新芽や樹脂と蜂の唾液を混ぜ合わせてできた物質である。本発明のプロポリスの由来植物は、レピドスペルマ(Lepidosperma)属の植物、オオバギ(Macaranga)属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ(Betula)属の植物である。
【0024】
本発明で用いられるプロポリスとしては、上記植物由来のものであれば特に限定されず、例えば、ブラジル、中国、台湾、ヨーロッパ諸国、ロシア、オセアニア、アメリカなどの、いずれの産地由来のものであってもよく、中でもオーストラリア産プロポリス、アメリカ産プロポリス、台湾産プロポリス、及びロシア産プロポリスが好ましい。レピドスペルマ属の植物由来のプロポリスとしてはオーストラリア産プロポリスが挙げられ、オオバギ属の植物由来のプロポリスとしてはアメリカ産プロポリス及び台湾産プロポリスが挙げられ、カバノキ属の植物由来のプロポリスとしてはロシア産プロポリスが挙げられる。
【0025】
本発明におけるプロポリスには、例えば、プロポリス原塊、その粉砕物、超臨界抽出物、水及び/又は親水性有機溶媒による抽出物などが含まれる。中でも水及び/又は親水性有機溶媒による抽出物、超臨界抽出物などの抽出物が好ましく、水及び/又は親水性有機溶媒による抽出物がより好ましい。水及び/又は親水性有機溶媒抽出物は、プロポリスの成分が短時間で効率的に、バランスよく抽出されたものであり、またスケールアップをする場合に大規模な設備が不要であるので好ましい。
【0026】
親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノールなどの低級アルコール、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、グリセリン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸、プロピオン酸、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、低級アルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。
【0027】
これらの抽出溶媒は1種で使用することができるし、また2種以上を任意に組み合わせて混合液として用いることもできる。好ましくは、水、低級アルコール(好ましくはエタノール)又はこれらの混合液(含水アルコール、好ましくは含水エタノール)である。抽出溶媒として含水アルコール(好ましくは含水エタノール)を使用する場合、アルコール濃度としては、制限されないものの、50~100容量%、特に70~100容量%を好適に挙げることができる。
【0028】
抽出には、プロポリス原塊、アルコール洗浄したプロポリス原塊などを使用することができ、適当な大きさに切断又は粉砕したプロポリス原塊を使用することで抽出効率を向上させることができる。抽出溶媒の使用容量は、プロポリス原塊の質量に対して、例えば、1~20倍量、好ましくは2~10倍量である。
【0029】
抽出は、溶媒にプロポリスを加え、例えば、0℃~溶媒が沸騰する温度(通常100℃以下の温度)、好ましくは2~40℃で行うことができる。抽出は、上記温度で、所定の時間(例えば、1時間以上)、撹拌しながら又は静置して行うことができる。抽出後には、不溶物を除去するためのろ過などの処理を行い、抽出物を得ることができる。
【0030】
斯くして得られた溶媒抽出物は、そのままでも使用でき、必要に応じて、限外濾過、分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、透析法、これらの組合せなどにより、有効成分の含有率を高めるために精製を更に行い得る。
【0031】
また、溶媒抽出物は、濃縮、及び凍結乾燥、スプレードライ等による乾燥処理を行うこともできる。ここで、濃縮、凍結乾燥及びスプレードライは、常法に従って行うことができる。本発明におけるプロポリスの抽出物には、このような抽出物を粉末化した粉末、該粉末を造粒した顆粒形態なども含まれる。
【0032】
本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤中には、本発明の効果を妨げない範囲で、上記以外の公知の成分を適宜配合することができる。
【0033】
本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤中のプロポリスの含量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、最終形態等に応じて適宜調整することができ、ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤中の、固形分全量に対して、例えば、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよい。
【0034】
また、プロポリスは、ステロイド-5α-リダクターゼを阻害するために定期的に適用されることが好ましく、一日一回又は数回に分けて適用されることが特に好ましい。特に限定されるものではないが、固形分で、例えば、体重60kgの成人一日当たり1μg~1,000mgの用量で用いることができ、2μg~500mgの用量で用いることが好ましく、3μg~250mgの用量で用いることがより好ましく、4μg~100mgの用量で用いることがさらに好ましい。用量は、投与される人の健康状態、投与方法及び他の剤との組み合わせ等の因子に応じて、上記範囲内で適宜設定することができる。
【0035】
本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤は、化粧品、飲食品(特に、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品(例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物(nutritional composition)、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品))、医薬部外品、医薬品などとして使用することができる。また、本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤は、ステロイド-5α-リダクターゼ阻害作用を付与する添加剤についての意味も包含するものである。
【0036】
上記の化粧品には、上記プロポリス以外に、通常化粧品に用いられる成分、例えば、殺菌剤、保存剤、界面活性剤、アルコール類、水性成分、水、着色剤、pH調整剤、溶解補助剤、研磨剤、発泡剤、酵素、香味剤、キレート剤、賦形剤、増粘剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤、油剤、清掃剤(乳酸菌)等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0037】
化粧品には、動物(ヒトを含む)の皮膚、粘膜、体毛、頭髪、頭皮、爪、歯、顔皮、口唇等に適用されるあらゆる化粧品が含まれる。
【0038】
化粧品の剤型は、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水-油2層系、水-油-粉末3層系等、幅広い剤型を採り得る。
【0039】
化粧品の用途も任意であり、例えば、基礎化粧品であれば、洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、エッセンス、美容液、パック、マスク等が挙げられ、メークアップ化粧品であれば、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等が挙げられ、ネイル化粧料であれば、マニキュア、ベースコート、トップコート、除光液等が挙げられ、その他、洗顔料、(練又は液体)歯磨剤、マウスウォッシュ、マッサージ用剤、クレンジング用剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、シェービングクリーム、ボディソープ、石けん、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、整髪料、ヘアートニック剤、育毛剤、制汗剤、入浴剤等が挙げられる。
【0040】
上記の飲食品には、上記プロポリスをそのまま使用することもでき、必要に応じて、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定剤、ゲル化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等を配合することもできる。
【0041】
飲食品には、動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる飲食品が含まれる。飲食品の種類は、特に限定されず、例えば、乳製品;発酵食品(ヨーグルト等);飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳酸菌入り飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実酒のような酒等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、グミ、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)などが挙げられる。
【0042】
飲食品の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。
【0043】
サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択でき、例えば、チュアブル、トローチなどの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤、シロップ、ペースト、ドリンク、グミ等が挙げられる。
【0044】
上記の医薬品には、上記プロポリスのみを使用することもでき、ビタミン、生薬など日本薬局方に記載の他の医薬成分と混合して使用することもできる。
【0045】
本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤を、医薬品として調製する場合、上記プロポリスを、医薬品において許容される成分とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液や電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)などの形態に調製して、医薬用の製剤にすることが可能である。
【0046】
医薬品の投与は、局所的であってもよく、全身的であってもよい。投与方法には特に制限はなく、経口的又は非経口的に投与される。非経口的投与経路としては、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内若しくは動脈内への投与、経皮的投与等が挙げられる。
【0047】
本発明の医薬品には、プロポリス以外にも、必要に応じて、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、懸濁化剤、増粘剤、抗酸化剤、吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、香料等の薬学的に許容される成分を適宜配合することができる。
【0048】
なお、本発明の化粧品及び医薬品には、医薬部外品も包含される。
【0049】
以上説明した本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤は、ヒトを含む哺乳動物(好ましくはヒト)に対して適用されるものである。
【0050】
本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤が有効成分として含有するレピドスペルマ属の植物由来のプロポリス、オオバギ属の植物由来のプロポリス、及びカバノキ属の植物由来のプロポリスからなる群から選択される少なくとも1種は、後述する実施例で示されているように、ステロイド-5α-リダクターゼ阻害活性を有しているので、ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤の有効成分として有用である。このことから、本発明のステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤は、育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤としても使用することができる。育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤には、ステロイド-5α-リダクターゼ阻害剤に関する上の記載を適用することができる。すなわち、本発明の育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤におけるプロポリスの含量、用量などは上記と同様である。
【0051】
本発明の育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤は、化粧品、飲食品(特に、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品(例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品))、医薬部外品、医薬品などとして使用することができる。また、本発明の育毛剤、前立腺肥大抑制剤、並びにニキビ予防及び/又は改善剤は、育毛効果、前立腺肥大抑制効果、並びにニキビ予防及び/又は改善効果を付与する添加剤についての意味も包含するものである。化粧品、飲食品、医薬部外品、医薬品については、前述するものと同様である。
【0052】
本発明において、育毛には、発毛、養毛及び脱毛予防の概念が含まれているものとする。本発明の育毛剤には、育毛効果を高めるための他の成分(フィナステリド、ミノキシジル、t-フラバノン、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンエキス、センブリエキス、6-ベンジルアミノプリン、アデノシン、エチニルエストラジオール、フォルスコリンなど)を配合してもよい。
【0053】
また、プロポリスは従来から食品素材として用いられてきたものであるから、安全性が高い。
【実施例0054】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。しかし、本発明はこれら実施例等になんら限定されるものではない。
【0055】
実施例1(プロポリス抽出物の調整)
プロポリス原塊の粉砕物に、80容量%エタノールを加えて室温で24時間撹拌して抽出した。該抽出液を濾紙(アドバンテック東洋株式会社製のNo.2)で濾過後、エバポレーターにて減圧濃縮した。濃縮液を凍結乾燥に供し、プロポリス抽出物を得た。
【0056】
試験例1(ステロイド-5α-リダクターゼ阻害活性の測定方法)
常法の遠心分離によりウィスターラットの肝臓から単離されたステロイド-5α-リダクターゼを使用した。
【0057】
オーストラリア産プロポリス抽出物(レピドスペルマ属の植物由来)を、終濃度がそれぞれ10、3、1、0.3μg/mlとなるようにDMSOで希釈し、アメリカ産及び台湾産プロポリス抽出物(オオバギ属の植物由来)を、終濃度がそれぞれ10、2、0.4、0.08μg/mlとなるようにDMSOで希釈し、ロシア産プロポリス抽出物(カバノキ属の植物由来)を、終濃度がそれぞれ100、20、4、0.8、0.16μg/mlとなるようにDMSOで希釈した。
【0058】
それぞれ希釈したプロポリスを0.9μM テストステロン及び50μM NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を含んだ20μg/ml ステロイド-5α-リダクターゼを含むDTT緩衝液(ジチオスレイトール緩衝液)(pH 6.5)と混合し、37℃で30分間インキュベートした。1NのHClの添加によって反応を停止し、1NのNaOHで中和した。テストステロンをTestosterone EIA Kitを使用して定量した。対照には試料希釈液であるDMSOを用い、阻害率は下記計算方法により算出した。得られた阻害率と作用濃度から50%阻害活性濃度(IC50:μg/ml)を算出した。
阻害率(%)=[(サンプルの吸光強度-対照の吸光強度)/対照の吸光強度]×100
【0059】
【表1】
【0060】
表1の結果から、オーストラリア産、アメリカ産、台湾産、ロシア産は、特開2000-53539号公報に開示されたブラジル産プロポリス及び中国産プロポリス並びに特許第6300436号公報に開示されたキューバ産プロポリスよりも優れたステロイド-5α-リダクターゼ阻害作用を有していることが分かる。