(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002541
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/42 20060101AFI20231228BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F04D29/42 H
F04D29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101785
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】ニデックアドバンスドモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】香川 義久
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝則
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀哲
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB13
3H130AB26
3H130AB47
3H130AC19
3H130BA61A
3H130BA61H
3H130BA97A
3H130BA97H
3H130BA98A
3H130BA98H
3H130CA05
3H130CA21
3H130DD02Z
3H130DF01X
3H130EA07A
3H130EA07H
(57)【要約】 (修正有)
【課題】送風機が外部に流す風量を高めることができるとともに、製造コストが増大することを抑制できる、送風機を提供する
【解決手段】中心軸Jを中心として回転可能なロータ20と、ロータと径方向に隙間を介して対向して配置されるステータ30と、ロータと接続され、中心軸を中心として回転可能なインペラ部60と、ステータと接続される回路基板70と、ロータ、ステータ、インペラ部、および回路基板を収容するケース40と、を備える。ケースの底面42sは、送風路40aのうち軸方向一方側を向く面の一部を構成する風路面42tを有する。回路基板は、軸方向一方側を向く面であって、送風路内に露出する露出面70fを有する。露出面は、送風路のうち軸方向一方側を向く面の一部を構成する。軸方向において、露出面は、風路面と同じ位置に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータと接続され、前記中心軸を中心として回転可能なインペラ部と、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向して配置されるステータと、
前記ステータと接続される回路基板と、
前記ロータ、前記ステータ、前記インペラ部、および前記回路基板を収容するケースと、
を備え、
前記回路基板の板面は、軸方向を向き、
前記ケースは、
前記ケースの内面の一部であって、前記インペラ部よりも径方向外側に位置する送風路と、
軸方向一方側を向く底面を有し、前記回路基板が固定される底壁部と、
を有し、
前記底面は、前記送風路のうち軸方向一方側を向く面の一部を構成する風路面を有し、
前記回路基板は、軸方向一方側を向く面であって、前記送風路内に露出する露出面を有し、
前記露出面は、前記送風路のうち軸方向一方側を向く面の一部を構成し、
軸方向において、前記露出面は、前記風路面と同じ位置に配置される、送風機。
【請求項2】
前記底面は、前記インペラ部と軸方向に対向する第1対向面を有し、
前記回路基板は、軸方向一方側を向く面であって、前記インペラ部と軸方向に対向する第2対向面を有し、
軸方向において、前記第2対向面は、前記第1対向面と同じ位置に配置される、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記底壁部は、軸方向他方側に窪む基板収容部を有し、
前記回路基板は、前記基板収容部の内部に収容される、請求項1または2に記載の送風機。
【請求項4】
前記基板収容部は、軸方向一方側を向く基板支持面を有し、
前記基板支持面の少なくとも一部は、前記回路基板の軸方向他方側を向く面と接触する、請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記回路基板の外縁部のうち前記インペラ部よりも径方向外側の部分は、前記基板収容部の内側面に隙間嵌めされる、請求項3に記載の送風機。
【請求項6】
前記回路基板の外縁部のうち軸方向に見て前記インペラ部と重なる部分は、前記基板収容部の内側面と間隔をあけて配置され、
前記間隔は、前記回路基板の外縁部のうち前記インペラ部よりも径方向外側の部分と前記基板収容部の内側面との隙間よりも大きい、請求項5に記載の送風機。
【請求項7】
前記底壁部は、軸方向一方側に突出する基板固定部を有し、
前記回路基板は、前記回路基板を軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記基板固定部は、前記貫通孔に圧入されている、請求項1または2に記載の送風機。
【請求項8】
軸方向に見て、前記基板固定部は、前記インペラ部と重なる、請求項7に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器、OA機器などの冷却、換気を行う送風機では、低コスト化の要望が高まっている。送風機は、周方向に配列された複数の羽根を備えるインペラと、インペラを回転させるモータと、を備える。例えば、特許文献1には、下ケーシング部材が回路基板によって構成される送風機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような送風機では、下ケーシング部材が板状の回路基板によって構成されるため、送風路の内部における空気の流れを滑らかにでき、送風機が外部に流す風量を高めることができるものの、下ケーシング部材が安価な樹脂によって構成される場合と比較して、送風機の製造コストが増大する。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、送風機が外部に流す風量を高めることができるとともに、製造コストが増大することを抑制できる、送風機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の送風機の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向して配置されるステータと、前記ロータと接続され、前記中心軸を中心として回転可能なインペラ部と、前記ステータと接続される回路基板と、前記ロータ、前記ステータ、前記インペラ部、および前記回路基板を収容するケースと、を備える。前記回路基板の板面は、軸方向を向く。前記ケースは、前記ケースの内面の一部であって、前記インペラ部よりも径方向外側に位置する送風路と、軸方向一方側を向く底面を有し、前記回路基板が固定される底壁部と、を有する。前記底面は、前記送風路のうち軸方向一方側を向く面の一部を構成する風路面を有する。前記回路基板は、軸方向一方側を向く面であって、前記送風路内に露出する露出面を有する。前記露出面は、前記送風路のうち軸方向一方側を向く面の一部を構成する。軸方向において、前記露出面は、前記風路面と同じ位置に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、送風機において、送風機が外部に流す風量を高めることができるとともに、製造コストが増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の送風機を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の送風機を示す他の斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の送風機を示す断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の送風機の一部を示す上面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の第2ケース部材を示す上面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の送風機の一部を示す断面図であって、
図4のVI-VI断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の送風機の一部を示す断面図であって、
図4のVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る送風機について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
以下の説明において図には、適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態の送風機10の中心軸Jが延びる方向を示す。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明において、中心軸Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」または「軸方向一方側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」または「軸方向他方側」と呼ぶ。なお、上側および下側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
周方向は、各図において矢印θで示される。周方向のうち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と逆側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、上側から見て中心軸J回りに反時計回りに進む側である。周方向他方側は、上側から見て中心軸J回りに時計回りに進む側である。
【0012】
図1および
図2に示す本実施形態の送風機10は、モータ15と、インペラ部60と、を備える。本実施形態において、送風機10は、インペラ部60が中心軸Jを中心に回転することによって、空気を径方向外側に向かって送り出す遠心ファンである。
【0013】
図3に示すように、インペラ部60は、カップ部60aと、羽根64と、環状部65と、を有する。カップ部60aは、ロータ20およびステータ30を内部に収容する。カップ部60aは、インペラ天壁部61と、インペラ円筒部62と、曲面部63と、を有する。インペラ天壁部61は、モータ15の上側に配置される。インペラ天壁部61には、インペラ天壁部61を軸方向に貫通するインペラ貫通孔61aが設けられる。軸方向に見て、インペラ貫通孔61aは、中心軸Jを中心とする略円形状である。インペラ円筒部62は、中心軸Jを中心とする略円筒状である。インペラ円筒部62の上側の端部は、インペラ天壁部61の下側の端部と繋がる。曲面部63は、径方向内側に向けて凸となる曲面状である。曲面部63の上側の端部は、インペラ円筒部62の下側の端部と繋がる。
【0014】
図1に示すように、羽根64は、周方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。
図3に示すように、各羽根64それぞれの径方向内側の端部のうち下側の端部は、曲面部63の径方向外側の端部と繋がる。図示は省略するが、各羽根64は、それぞれ、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向一方側に位置する曲面状である。環状部65は、中心軸Jを中心とする円環状である。環状部65は、複数の羽根64の上側の端部のうち径方向外側の部分と繋がる。なお、本実施形態において、インペラ部60は、中心軸J回りに周方向他方側に向けて回転する。
【0015】
モータ15は、ケース40と、スリーブ50と、ロータ20と、シャフト23と、ステータ30と、回路基板70と、を備える。
【0016】
ケース40は、スリーブ50、ロータ20、シャフト23、ステータ30、および回路基板70を内部に収容する。本実施形態において、ケース40は、樹脂製である。ケース40は、第1ケース部材41と、第2ケース部材42と、を有する。
【0017】
第1ケース部材41は、第1側壁部41aと、天壁部41bと、第1開口部41cと、第1固定部41eと、を有する。第1側壁部41aは、軸方向に延びる略円筒状である。第1側壁部41aは、下側に開口する。第1側壁部41aは、インペラ部60の上側の部分を径方向外側から囲む。天壁部41bは、略円環板状である。天壁部41bの板面は、軸方向を向いている。天壁部41bの径方向外側の端部は、第1側壁部41aの上側の端部と繋がる。天壁部41bには、吸気口41dが設けられる。吸気口41dは、天壁部41bを軸方向に貫通する孔である。
図1に示すように、第1開口部41cは、周方向他方側に開口する。第1固定部41eは、第1側壁部41aから径方向外側に突出する。第1ケース部材41の内面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分は、後述する送風路40aの上側の部分を構成する。
【0018】
図3に示すように、第2ケース部材42は、第2側壁部42aと、底壁部42cと、第2開口部42bと、第2固定部42vと、を有する。第2側壁部42aは、軸方向に延びる略円筒状である。第2側壁部42aは、上側に開口する。第2側壁部42aは、インペラ部60の下側の部分を径方向外側から囲む。第2側壁部42aの上側の端部は、第1側壁部41aの下側の端部と固定される。
【0019】
底壁部42cは、径方向に広がる略円環板状である。底壁部42cの板面は、軸方向を向いている。底壁部42cの径方向外側の端部は、第2側壁部42aの下側の端部と繋がる。底壁部42cは、底面42sと、基板収容部42dと、底壁凹部42eと、底壁中央孔42hと、基板固定部42nと、底壁孔部42rと、を有する。第2ケース部材42の内面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分は、送風路40aの下側の部分を構成する。上述のように、第1ケース部材41の内面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分は、送風路40aの上側の部分を構成する。すなわち、ケース40は、ケース40の内面の一部であって、インペラ部60よりも径方向外側に位置する送風路40aを有する。
【0020】
底面42sは、底壁部42cの内面のうち、上側、すなわち軸方向一方側を向く面である。底面42sは、インペラ部60よりも下側に位置する。本実施形態において、底面42sは、中心軸Jと直交する方向に広がる平面である。
図4に示すように、底面42sは、風路面42tと、第1対向面42uと、を有する。風路面42tは、底面42sの一部であって、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分である。風路面42tは、送風路40aのうち上側、すなわち軸方向一方側を向く面の一部を構成する。第1対向面42uは、底面42sの一部であって、インペラ部60と軸方向に対向する部分である。軸方向に見て、第1対向面42uは、中心軸Jを中心とする略円環状である。
【0021】
図3に示すように、基板収容部42dは、底面42sから下側、すなわち軸方向他方側に窪む穴である。基板収容部42dは、基板支持面42fを有する。基板支持面42fは、基板収容部42dの内面のうち、上側、すなわち軸方向一方側を向く面である。
図5に示すように、基板収容部42dは、第1収容部42jと、第2収容部42kと、を有する。軸方向に見て、第1収容部42jは、基板収容部42dのうち、中心軸Jの周囲を囲む部分である。第2収容部42kは、第1収容部42jから径方向外側に向けて延びている。第1収容部42jの内部と第2収容部42kの内部とは、互いに径方向に繋がる。
図3に示すように、底壁凹部42eは、基板支持面42fから下側に窪む穴である。底壁中央孔42hは、底壁部42cを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、底壁中央孔42hは、中心軸Jを中心とする略円形状である。底壁中央孔42hの内周面には、径方向外側に窪む2個の溝42iが設けられる。各溝42iは、それぞれ、周方向に延びる。各溝42iは、互いに軸方向に並んで設けられる。
【0022】
基板固定部42nは、軸方向に突出する柱状である。
図5に示すように、本実施形態において、基板固定部42nは、2個設けられる。一方の基板固定部42nは、底壁凹部42eの上側を向く面から上側、すなわち軸方向一方側に突出する。他方の基板固定部42nは、基板支持面42fから上側に突出する。
図4に示すように、各基板固定部42nは、第1貫通孔70cを挟んで互いに径方向に対向する位置に配置される。軸方向に見て、各基板固定部42nは、それぞれ、インペラ部60と重なる。
図3に示すように、底壁孔部42rは、底壁部42cを軸方向に貫通する孔である。
図5に示すように、底壁孔部42rは、第1収容部42jの径方向外側の部分に設けられる。
【0023】
図1に示すように、第2開口部42bは、周方向一方側に開口する。軸方向に見て、第2開口部42bは、第1開口部41cと重なる。第1開口部41cと第2開口部42bとは、排気口40bを構成する。送風路40aを周方向一方側に向けて流れる空気は、排気口40bを介して、送風機10の外部に流れ出る。
図2に示すように、第2固定部42vは、第2側壁部42aから径方向外側に突出する。送風機10は、図示しないネジ等によって家電機器等に固定される。
【0024】
図3に示すように、スリーブ50は、軸方向に延びる略円筒状である。スリーブ50の下側の端部は、底壁中央孔42hの内部に配置され、ケース40に固定される。スリーブ50の内周面には、軸受91,92が保持され、軸受91とインペラ部60との間には、軸受91を下側に押圧するコイルばね94が設けられる。
【0025】
ロータ20は、ロータケース21と、磁石22と、を備える。ロータ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。ロータケース21は、中心軸Jを中心として軸方向に延びるケース円筒部21aと、ケース円筒部21aの上側の端部から径方向内側に延びるケース円環部21bと、を有する。ロータケース21は、インペラ部60の内部に配置される。ケース円筒部21aの上側の部分は、インペラ円筒部62の内周面に固定される。これにより、インペラ部60は、ロータ20と接続される。磁石22は、ケース円筒部21aの内周面に固定される。磁石22は、周方向に沿って複数の磁極が設けられる。
【0026】
シャフト23は、中心軸Jに沿って軸方向に延びる略円柱状である。シャフト23の上側の部分は、インペラ貫通孔61aに接続される。これにより、シャフト23は、インペラ部60と固定される。シャフト23は、軸受91,92によって、中心軸Jを中心として回転自在に支持される。これにより、シャフト23、インペラ部60、およびロータ20が、中心軸Jを中心として回転可能になる。
【0027】
ステータ30は、ロータ20の径方向内側に位置する。ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間をあけて対向して配置される。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ32と、コイル33と、を備える。ステータコア31は、中心軸Jを中心とする略円環状である。ステータコア31は、スリーブ50の外周面に固定される。
【0028】
回路基板70は、コイル33に供給される電流を制御する。回路基板70は、コイル33に電気的に接続される。つまり、回路基板70は、ステータ30と接続される。回路基板70は、中心軸Jと直交する方向に沿って延びる板状である。回路基板70の板面は、軸方向を向いている。回路基板70は、インペラ部60の下側に配置される。回路基板70は、基板収容部42dの内部に収容される。回路基板70は、露出面70fと、第2対向面70gと、を有する。
【0029】
図4に示すように、露出面70fは、回路基板70の上側、すなわち軸方向一方側を向く面のうち、インペラ部60よりも径方向外側に位置する部分である。露出面70fは、送風路40a内に露出する。本実施形態において、送風路40aのうち上側を向く面は、風路面42tおよび露出面70fによって構成される。つまり、露出面70fは、送風路40aのうち上側を向く面の一部を構成する。
【0030】
図4に示す矢印AFは、空気が流れる向きを示す。インペラ部60が中心軸Jを中心として周方向一方側に向けて回転すると、複数の羽根64によって、インペラ部60から径方向外側に空気が送り出され、
図3に示す吸気口41dを介して、空気が送風機10の内部に取り込まれる。同時に、
図4に示すように、インペラ部60の径方向外側から送り出された空気は、送風路40aの内部を周方向一方側に向けて流れる。送風路40aの内部を周方向一方側に向けて流れる空気は、排気口40bを介して、送風機10の外部に送り出される。本実施形態における送風路40aは、ケース40の内面のうちインペラ部60よりも径方向外側に位置する部分、および、露出面70fによって構成される。
【0031】
図6に示すように、軸方向において、露出面70fは、風路面42tと同じ位置に配置される。そのため、露出面70fが風路面42tに対して軸方向に突出することを抑制できる。これにより、送風路40aのうち上側を向く面に段差が生じることを抑制でき、送風路40aのうち上側を向く面の全体を滑らかな面にしやすい。よって、本実施形態では、送風路40aの内部における空気の流れが、風路面42tと露出面70fとの境界の上側を通過する際に乱れることを抑制できる。したがって、送風路40aの内部における空気の流れを滑らかにでき、送風機10が外部に流す風量を高めることができる。
また、送風路40aの上側を向く面が、安価な樹脂で構成される第2ケース部材42の風路面42tおよび回路基板70の露出面70fによって構成されるため、送風路40aの上側を向く面が回路基板70の上側を向く面のみで構成される場合と比較して、送風機10の製造コストが増大することを抑制できる。
更に、回路基板70の露出面70fを、送風路40aの上側を向く面の一部として利用するため、回路基板70よりも径方向外側に送風路40aを設ける構成と比較すると、径方向において、送風機10の小型化を図ることができる。
【0032】
回路基板70の下側、すなわち軸方向他方側を向く面の一部は、基板支持面42fと接触する。よって、本実施形態によれば、軸方向において、露出面70fの位置を、風路面42tの位置と同じ位置に精度良く配置できる。そのため、送風路40aの上側を向く面をより好適に滑らかな面にしやすい。したがって、送風路40aの内部における空気の流れをより好適に滑らかにでき、送風機10が外部に流す風量をより高めることができる。
【0033】
なお、本明細書において「軸方向において、或る面は、他の面と同じ位置に配置される」とは、軸方向において或る面が厳密に他の面と同じ位置に配置される場合に限られず、軸方向において或る面が他の面と略同じ位置に配置される場合も含む。「軸方向において或る面が他の面と略同じ位置に配置される場合」とは、例えば、各面同士の軸方向の位置が各部材の寸法公差および組立公差等によって僅かに異なる場合を含む。
【0034】
具体的に、本実施形態において「軸方向において、露出面70fは、風路面42tと同じ位置に配置される」とは、軸方向において露出面70fが厳密に風路面42tと同じ位置に配置される場合に限られず、軸方向において露出面70fが風路面42tと略同じ位置に配置される場合も含む。つまり、各図においては、露出面70fと風路面42tが厳密に軸方向において同じ位置にある場合を示しているが、「軸方向において、露出面70fは、風路面42tと同じ位置に配置される」とは、露出面70fの軸方向の位置と風路面42tの軸方向の位置とが、略同じ範囲内において僅かに互いに異なっていてもよい。この場合、例えば、露出面70fの軸方向の位置と風路面42tの軸方向の位置の差が、軸方向と直交する方向において回路基板70と基板収容部42dとの間に生じる隙間以下である。略同じ範囲内において露出面70fと風路面42tとの軸方向の位置が異なっていても、風路面42tと露出面70fとの境界の上側を通過する空気の流れの乱れは十分に抑制できる。
【0035】
なお、露出面70fの軸方向の位置と風路面42tの軸方向の位置とが互いに略同じ範囲内で僅かに異なる場合には、露出面70fが風路面42tの上側に位置する場合と比較して、露出面70fが風路面42tの下側に位置する場合の方が、風路面42tと露出面70fとの境界の上側を通過する空気の流れの乱れをより小さくできる。そのため、露出面70fと風路面42tとの軸方向の位置が互いに略同じで僅かに異なる場合には、露出面70fが風路面42tの下側に位置した方が好ましい。
【0036】
図4に示すように、第2対向面70gは、回路基板70の上側、すなわち軸方向一方側を向く面のうち、インペラ部60と軸方向に対向する部分である。
図7に示すように、軸方向において、第2対向面70gは、第1対向面42uと同じ位置に配置される。よって、本実施形態によれば、軸方向において、ケース40の第1対向面42uおよび回路基板70の第2対向面70gと、インペラ部60との間の隙間の寸法を小さくできるため、軸方向において、送風機10の小型化を図ることができる。
【0037】
図4に示すように、回路基板70は、第1基板部70aと、第2基板部70bと、を有する。第1基板部70aは、回路基板70のうち、中心軸Jを囲む部分である。第1基板部70aは、第1収容部42jの内部に収容される。軸方向に見て、第1基板部70aは、インペラ部60と重なる。第1基板部70aの外縁部は、基板収容部42dの内側面と間隔G1をあけて配置される。つまり、回路基板70の外縁部のうち軸方向に見てインペラ部60と重なる部分は、基板収容部42dの内側面と間隔G1をあけて配置される。第1基板部70aには、第1貫通孔70cおよび貫通部70dが設けられる。
【0038】
第1貫通孔70cは、第1基板部70aを軸方向に貫通する孔である。軸方向に見て、第1貫通孔70cは、中心軸Jを中心とする円形状である。
図3に示すように、第1貫通孔70cには、スリーブ50およびシャフト23が軸方向に通される。
図4に示すように、貫通部70dは、第1基板部70aの径方向外側の部分に設けられる。貫通部70dは、第1基板部70aを軸方向に貫通する。貫通部70dは、径方向に延びており、径方向外側に開口している。貫通部70dには、基板固定部42nが圧入される。
【0039】
第2基板部70bは、回路基板70のうち、第1基板部70aから径方向外側に突出する部分である。第2基板部70bは、第2収容部42kの内部に収容される。軸方向に見て、第2基板部70bの径方向外側の部分は、インペラ部60の径方向外側に配置される。第2基板部70bは、複数の接続部72と、第2貫通孔70eと、を有する。複数の接続部72は、それぞれ、第2基板部70bを軸方向に貫通する孔と、孔の周囲を囲むランド部と、を有する。第2貫通孔70eは、第2基板部70bを軸方向に貫通する孔である。第2貫通孔70eには、基板固定部42nが圧入される。また、上述のように貫通部70dには、基板固定部42nが圧入される。これらにより、回路基板70は、底壁部42cに固定される。また、本実施形態の送風機10の製造工程では、回路基板70を保持し、回路基板70を少なくとも軸方向に移動可能な図示しない自動組立機によって、第2ケース部材42の上側から回路基板70を下側に移動させ、貫通部70dおよび第2貫通孔70eそれぞれに、基板固定部42nを圧入して、回路基板70を底壁部42cに固定する。よって、本実施形態によれば、回路基板70が底壁部42cと圧入によって固定されるため、例えば、ネジなどの部材によって、回路基板70を底壁部42cに固定する場合と比較して、回路基板70を底壁部42cに固定する工数を低減できるとともに、送風機10の部品点数を低減できる。したがって、送風機10の製造工数および製造コストを低減できる。また、本実施形態によれば、ネジによって回路基板70を底壁部42cに固定する場合と比較すると、自動組立機にネジを締め付けるための機構を設ける必要が無く、自動組立機の構成を簡略化できる。したがって、自動組立機のコストを低減でき、送風機10の製造コストを低減できる。
【0040】
また、上述のように、基板固定部42nは、インペラ部60と重なる。よって、本実施形態によれば、例えば、ネジによって、回路基板70を底壁部42cに固定する場合と比較して、基板固定部42nにはネジ頭に相当する部分が無いため、軸方向において、回路基板70とインペラ部60との間の隙間の寸法を小さくできる。したがって、軸方向において、送風機10の小型化を図ることができる。
【0041】
本実施形態において、第2基板部70bの外縁部のうちインペラ部60よりも径方向外側の部分は、第2収容部42kの内側面に隙間嵌めされる。つまり、回路基板70の外縁部のうちインペラ部60よりも径方向外側の部分は、基板収容部42dの内側面に隙間嵌めされる。よって、本実施形態によれば、送風路40aにおいて、回路基板70の外縁部と、基板収容部42dの内側面との間の隙間の寸法を小さくでき、送風路40aの内部を流れる空気が、回路基板70と基板収容部42dとの間に入りこむことを抑制できる。そのため、風路面42tと露出面70fとの境界の上側を通過する際に、空気の流れが乱れることを抑制できる。よって、送風路40aの内部における空気の流れを滑らかにでき、送風機10が外部に流す風量を高めることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、上述のように、回路基板70の外縁部のうち軸方向に見てインペラ部60と重なる部分は、基板収容部42dの内側面と間隔G1をあけて配置される。また、間隔G1は、回路基板70の外縁部のうちインペラ部60よりも径方向外側の部分と基板収容部42dの内側面との間隔G2よりも大きい。よって、基板収容部42dおよび回路基板70に周方向および径方向の寸法ばらつきがあっても、間隔G1によって、係る寸法ばらつきを吸収できるため、回路基板70を基板収容部42dの内部に容易に挿入でき、回路基板70を底壁部42cに容易に固定できる。したがって、回路基板70を底壁部42cに固定する工程の工数が増大することを抑制でき、送風機10の製造工数が増大することを抑制できる。
【0043】
図3に示すように、回路基板70には、第1電子部品80および第2電子部品81が固定される。
図2に示すように、第1電子部品80は、底壁部42cから下側に突出する。本実施形態において、第1電子部品80は、コネクタである。なお第1電子部品80は、コネクタ以外の電子部品であってもよい。第2電子部品81は、回路基板70の下側を向く面に固定される。第2電子部品81は、底壁凹部42eの内部に収容される。本実施形態において、第2電子部品81は、複数の電子部品を含む。第2電子部品81は、コンデンサおよびトランジスタなどの電子部品である。
【0044】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。例えば、上述した実施形態に示した送風機の用途は、特に限定されない。
【0045】
軸方向において、底壁部の風路面と、回路基板の露出面とが同じ位置に配置されるならば、回路基板の軸方向他方側を向く面を基板支持面に接触させる必要は無く、回路基板の軸方向他方側を向く面は、基板支持面と軸方向に隙間をあけて配置されてもよい。
【0046】
また、送風路40aの内部における空気の流れを滑らかにできるならば、回路基板の外縁部のうちインペラ部よりも径方向外側の部分は、基板収容部の内側面に隙間嵌めされる必要はなく、隙間をあけて配置されていてもよい。これにより、回路基板を底壁部に固定する工程において、回路基板を基板収容部の内部により容易に挿入でき、送風機の製造工数を抑制できる。また、回路基板の外縁部のうち軸方向に見てインペラ部と重なる部分は、基板収容部の内側面と隙間嵌めされていてもよい。これにより、周方向および径方向において、底壁部に対する回路基板の位置をより精度良く決めることができる。
【0047】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1)中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向して配置されるステータと、前記ロータと接続され、前記中心軸を中心として回転可能なインペラ部と、前記ステータと接続される回路基板と、前記ロータ、前記ステータ、前記インペラ部、および前記回路基板を収容するケースと、を備え、前記回路基板の板面は、軸方向を向き、前記ケースは、前記ケースの内面の一部であって、前記インペラ部よりも径方向外側に位置する送風路と、軸方向一方側を向く底面を有し、前記回路基板が固定される底壁部と、を有し、前記底面は、前記送風路のうち軸方向一方側を向く面の一部を構成する風路面を有し、前記回路基板は、軸方向一方側を向く面であって、前記送風路内に露出する露出面を有し、前記露出面は、前記送風路のうち軸方向一方側を向く面の一部を構成し、軸方向において、前記露出面は、前記風路面と同じ位置に配置される、送風機。
(2) 前記底面は、前記インペラ部と軸方向に対向する第1対向面を有し、前記回路基板は、軸方向一方側を向く面であって、前記インペラ部と軸方向に対向する第2対向面を有し、軸方向において、前記第2対向面は、前記第1対向面と同じ位置に配置される、(1)に記載の送風機。
(3) 前記底壁部は、軸方向他方側に窪む基板収容部を有し、前記回路基板は、前記基板収容部の内部に収容される、(1)または(2)に記載の送風機。
(4) 前記基板収容部は、軸方向一方側を向く基板支持面を有し、前記基板支持面の少なくとも一部は、前記回路基板の軸方向他方側を向く面と接触する、(3)に記載の送風機。
(5) 前記回路基板の外縁部のうち前記インペラ部よりも径方向外側の部分は、前記基板収容部の内側面に隙間嵌めされる、(3)または(4)に記載の回路基板。
(6) 前記回路基板の外縁部のうち軸方向に見て前記インペラ部と重なる部分は、前記基板収容部の内側面と間隔をあけて配置され、前記間隔は、前記回路基板の外縁部のうち前記インペラ部よりも径方向外側の部分と前記基板収容部の内側面との隙間よりも大きい、(3)から(5)のいずれか一項に記載の送風機。
(7) 前記底壁部は、軸方向一方側に突出する基板固定部を有し、前記回路基板は、前記回路基板を軸方向に貫通する貫通孔を有し、前記基板固定部は、前記貫通孔に圧入されている、(1)から(6)のいずれか一項に記載の送風機。
(8) 軸方向に見て、前記基板固定部は、前記インペラ部と重なる、(7)に記載の送風機。
【符号の説明】
【0048】
10…送風機、20…ロータ、30…ステータ、40…ケース、40a…送風路、42c…底壁部、42d…基板収容部、42f…基板支持面、42n…基板固定部、42s…底面、42t…風路面、42u…第1対向面、60…インペラ部、70…回路基板、70d…貫通孔(貫通部)、70e…貫通孔(第2貫通孔)、70f…露出面、70g…第2対向面、G1…間隔、G2…間隔、J…中心軸