(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025411
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】洗濯方法
(51)【国際特許分類】
C11D 1/72 20060101AFI20240216BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240216BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240216BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20240216BHJP
D06L 1/16 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
C11D1/72
C11D3/386
C11D3/37
D06F35/00 Z
D06L1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128828
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】武井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】寺林 剛
【テーマコード(参考)】
3B168
4H003
【Fターム(参考)】
3B168AA01
3B168AA11
3B168AA32
3B168AE11
3B168BA08
3B168BA62
3B168FA01
3B168FA04
4H003AB03
4H003AB17
4H003AB19
4H003AB31
4H003AB34
4H003AC08
4H003AC09
4H003AC12
4H003AC23
4H003BA12
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB36
4H003EB37
4H003EC03
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA12
4H003FA16
4H003FA21
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】洗濯方法において、良好な洗浄効果を発揮し、かつ被洗物の風合いをより高める。
【解決手段】下記(A)成分と下記(B)成分とを含有する洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、前記洗浄工程の後にすすぎを経ることなく、前記被洗物を脱水する脱水工程と、を有することよりなる。
(A)成分:下記式(ax1)で表されるノニオン界面活性剤(Ax)を含む非石鹸系界面活性剤。R11-O-(R12O)n-H ・・・(ax1)
(B)成分:セルラーゼ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分と下記(B)成分とを含有する洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、
前記洗浄工程の後にすすぎを経ることなく、前記被洗物を脱水する脱水工程と、
を有する、洗濯方法。
(A)成分:下記式(ax1)で表されるノニオン界面活性剤(Ax)を含む非石鹸系界面活性剤。
R11-O-(R12O)n-H ・・・(ax1)
[式(ax1)中、R11は、炭素数12~16の分岐アルキル基、又は炭素数12~16の直鎖アルキル基を示し、R11が直鎖アルキル基の場合、酸素原子は、直鎖アルキル基中の2級炭素原子に結合する。R12は炭素数2~4のアルキレン基を表す。また、nはR12Oの平均繰り返し数を示し3~10である。]
(B)成分:セルラーゼ。
【請求項2】
前記洗浄工程において、前記洗浄液の総質量に対する前記(A)成分の含有量は、50~300質量ppmである、請求項1に記載の洗濯方法。
【請求項3】
前記洗浄工程において、前記洗浄液の総質量に対する前記(Ax)成分の含有量は、10~200質量ppmである、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
【請求項4】
前記洗浄工程において、前記洗浄液の総質量に対する前記(B)成分の含有量は、0.1~50質量ppmである、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
【請求項5】
前記洗浄液は、下記(C)成分及び下記(D)成分から選ばれる1種以上をさらに含有する、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
(C)成分:変性シリコーン。
(D)成分:ソイルリリース剤。
【請求項6】
前記洗浄液は、下記(E)成分をさらに含有する、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
(E)成分:消泡シリコーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類の品質を維持して長持ちさせるために、洗濯には、衣類の汚れを落としつつ、かつ衣類の風合い劣化を抑えることが求められる。
衣類等の繊維製品の風合いの良さを実感する項目として、洗濯後の衣類に毛玉がないこと、洗濯後に衣類が柔らかく仕上がることが挙げられる。
【0003】
衣類の風合いを高める方法として、シリコーン化合物とアルコールアルコキシレートとエンド型セルラーゼとを特定の質量比で含有する繊維製品用洗浄剤組成物を用い、被洗物である衣類を洗浄し、次いで衣類を水ですすぐ洗濯方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1の発明によれば、被洗物に滑らかな風合を付与することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗濯後の被洗物の風合いのさらなる向上が求められている。
そこで、本発明は、良好な洗浄効果を発揮し、被洗物の風合いをより高められる洗濯方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の界面活性剤とセルラーゼとを含む洗浄液で繊維製品を洗浄し、次いで、すすぎを行わずに脱水することで、被洗物である繊維製品の風合いをより高められるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を有する。
【0007】
<1>
下記(A)成分と下記(B)成分とを含有する洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、
前記洗浄工程の後にすすぎを経ることなく、前記被洗物を脱水する脱水工程と、
を有する、洗濯方法。
(A)成分:下記式(ax1)で表されるノニオン界面活性剤(Ax)を含む非石鹸系界面活性剤。
R11-O-(R12O)n-H ・・・(ax1)
[式(ax1)中、R11は、炭素数12~16の分岐アルキル基、又は炭素数12~16の直鎖アルキル基を示し、R11が直鎖アルキル基の場合、酸素原子は、直鎖アルキル基中の2級炭素原子に結合する。R12は炭素数2~4のアルキレン基を表す。また、nはR12Oの平均繰り返し数を示し3~10である。]
(B)成分:セルラーゼ。
<2>
前記洗浄工程において、前記洗浄液の総質量に対する前記(A)成分の含有量は、50~300質量ppmである、<1>に記載の洗濯方法。
<3>
前記洗浄工程において、前記洗浄液の総質量に対する前記(Ax)成分の含有量は、10~200質量ppmである、<1>又は<2>に記載の洗濯方法。
<4>
前記洗浄工程において、前記洗浄液の総質量に対する前記(B)成分の含有量は、0.1~50質量ppmである、<1>~<3>のいずれかに記載の洗濯方法。
<5>
前記洗浄液は、下記(C)成分及び下記(D)成分から選ばれる1種以上をさらに含有する、<1>~<4>のいずれかに記載の洗濯方法。
(C)成分:変性シリコーン。
(D)成分:ソイルリリース剤。
<6>
前記洗浄液は、下記(E)成分をさらに含有する、<1>~<5>に記載の洗濯方法。
(E)成分:消泡シリコーン。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗濯方法によれば、良好な洗浄効果を発揮し、被洗物の風合いをより高められる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(洗濯方法)
本発明の洗濯方法は、洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、洗浄工程を後にすすぎを経ることなく被洗物を脱水する脱水工程とを有する。即ち、本発明の洗濯方法は、洗浄工程と脱水工程とを有し、かつ洗浄工程と脱水工程の間にすすぎ工程を有しない。
【0010】
<洗浄工程>
洗浄工程は、洗浄液を被洗物に接触させる工程である。
被洗物としては、例えば、衣類(衣料)、布巾、タオル類、シーツ、カーテン等の繊維製品等が挙げられる。また、繊維製品の素材については、特に限定されず、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、又はこれらの各種繊維の混紡品、混織品もしくは混編品等が挙げられる。
天然繊維としては、例えば、綿、ウール、麻等が挙げられる。
合成繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル等が挙げられる。
半合成繊維としては、例えば、アセテート等が挙げられる。
再生繊維としては、例えば、レーヨン、テンセル、ポリノジック等が挙げられる。
【0011】
≪洗浄液≫
洗浄液は、下記(A)成分と下記(B)成分とを含有する。洗浄液は、水溶液でもよいし、水分散液でもよい。
【0012】
洗浄液は、洗浄剤組成物の各成分を各々水に分散した水溶液でもよいし、一体型の洗浄剤組成物を水に分散した水溶液でもよい。洗浄剤組成物としては、液体洗浄剤組成物が好ましい。
【0013】
[(A)成分]
(A)成分は、非石鹸系界面活性剤である。(A)成分は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
「非石鹸系界面活性剤」とは、高級脂肪酸又はその塩(いわゆる石鹸)を除く界面活性剤である。「高級脂肪酸」とは、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸である。すなわち、(A)成分は、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸及びその塩を除く界面活性剤である。
(A)成分としては、ノニオン界面活性剤、非石鹸系アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤等が挙げられる。
【0014】
(A)成分は、下記式(ax1)で表されるノニオン界面活性剤((Ax)成分)を含む。さらに、(A)成分は、後述の(A1)成分及び(A2)成分から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
洗浄液は(A)成分を含有することで、被洗物に対する洗浄効果を高められる。加えて、(A)成分が(Ax)成分を含むことで、(Ax)成分が被洗物に浸透して洗浄効果を高め、被洗物に対する(B)成分の浸透力を高め、被洗物の風合い(毛玉抑制、柔軟性)をより高められる。
【0015】
(Ax)成分は、下記式(ax1)で表されるノニオン界面活性剤である。
【0016】
R11-O-(R12O)n-H ・・・(ax1)
[式(ax1)中、R11は、炭素数12~16の分岐アルキル基、又は炭素数12~16の直鎖アルキル基を示し、R11が直鎖アルキル基の場合、酸素原子は、直鎖アルキル基中の2級炭素原子に結合する。R12は炭素数2~4のアルキレン基を表す。また、nはR12Oの平均繰り返し数を示し3~10である。]
【0017】
式(ax1)中、R11は、アルキル基である。
R11の炭素数は、12~16であり、12~14がより好ましい。R11の炭素数が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。R11の炭素数が上記上限値以下であると、被洗物の風合いをより高められる。
【0018】
R11は、直鎖アルキル基でもよく、分岐アルキル基でもよい。
R11が、直鎖アルキル基である場合、(R12O)と連結する酸素原子は、R11中の2級炭素原子に結合している。
【0019】
R12Oとしては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられ、このうち、R12Oとしては、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基が好ましく、オキシエチレン基のみ又はオキシエチレン基とオキシプロピレン基の両方であることがより好ましい。オキシエチレン基とオキシプロピレン基の両方であるである場合、オキシエチレン基とオキシプロピレン基はランダムであっても、ブロックであってもよい。
nはR12Oの平均繰り返し数である。nは、3~10であり、3~7が好ましく、3~5がより好ましい。
【0020】
(Ax)成分としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、三菱化学株式会社製のダイヤドール(登録商標)(C13、Cの次の数字は、アルコールの炭素数を示す。以下同様。)、Shell社製のNeodol(登録商標)(C12とC13との混合物)、Sasol社製のSafol(登録商標)23(C12とC13との混合物)、EXXAL(登録商標)13(C13)等のアルコールに対して、3~10モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;
ブテンを3量化して得られる炭素数12のアルケンをオキソ法に供して得られるC13のアルコールに対して、3又は5モル相当、もしくは7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol(登録商標) TO3、Lutensol TO5、Lutensol TO7、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XP90、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XL70、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、6モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XA60、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、5モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XP50、BASF社製);
C12~14の第2級アルコールに対して、3又は5又は7又は9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(ソフタノール(登録商標)30、ソフタノール50、ソフタノール70、ソフタノール90、株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
(Ax)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0021】
(A1)成分は、(Ax)成分以外のノニオン界面活性剤である。
(Ax)成分と(Ax)成分以外のノニオン界面活性剤を併用することで、良好な洗浄力とすすぎ性が得られる。
(A1)成分としては、例えば、(Ax)成分以外のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が挙げられる。
(A1)成分として、例えば下記式(a1)で表される化合物((a1)成分)が挙げられる。但し、(a1)成分は、(Ax)成分を含まない。
(a1)成分は、泡立ちが少ないため、すすぎを行わない洗濯方法に好適である。
【0022】
R2-X-[(EO)s/(PO)t]-(EO)u-R3・・・(a1)
【0023】
式(a1)中、R2は炭素数8~22の炭化水素基であり、Xは、O、COO、又はCONであり、R3は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、sはEOの平均繰り返し数を表し、3~25の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を表し、0~25の数であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。
[(EO)s/(PO)t]は、EOとPOのランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0024】
式(a1)において、R2の炭化水素基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。不飽和結合を有してもよい。炭素数は、8~22が好ましく、10~20がより好ましく、10~18がさらに好ましい。R2としては、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するものが挙げられる。
R3のアルキル基としては、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。R3のアルケニル基としては、炭素数2~3のアルケニル基が好ましい。R3は水素原子が好ましい。
式(a1)において、Xは、洗浄力の向上効果に優れる点から、O又はCOOが好ましい。
【0025】
sは3~25の数であり、3~20の数が好ましく、3~18の数がより好ましく、3~15の数がより好ましい。sが前記範囲内であると洗浄力が向上しやすい。
tは0~6が好ましく、0~3がより好ましい。
uは0~25が好ましく、0~15がより好ましく、0~10がさらに好ましい。
s+uは3~30が好ましく、10~30がより好ましく、12~25がさらに好ましく、12~22が特に好ましく、12~18が最も好ましい。
【0026】
(a1)成分は、市販品であってもよいし、市販の原料(1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等)に公知の方法によりエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのうち少なくともエチレンオキシドを付加したものであってもよい。
(a1)成分の具体例としては、P&G社製のCO-1214(商品名)又はCO-1270(商品名)等の天然アルコールに対して、12モル相当、又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;ヤシ脂肪酸メチル(ラウリン酸/ミリスチン酸=8/2)に対して、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸メチルエステル(EO15モル))等が挙げられる。
【0027】
(a1)成分としては、特に、Xが酸素原子、tが0、R3が水素原子であり、R2が直鎖アルキル基であって、Xである酸素原子が、前記直鎖アルキル基中の1級炭素原子に結合している、直鎖型のポリオキシエチレンアルキルエーテル(直鎖AE)が好ましい。
直鎖AEにおいて、R2の炭素数は8~22が好ましく、10~18がより好ましい。
EOの平均繰り返し数(s+u)は10~30が好ましく、12~18がより好ましい。
(Ax)成分と直鎖AEを併用すると、良好な洗浄力と、良好な風合いとをバランス良く達成しやすく、すすぎ性も良好となる。
【0028】
(A2)成分は、非石鹸系アニオン界面活性剤である。
(Ax)成分と(A2)成分を併用することで、良好な洗浄力と柔軟性が得らえる。
(A2)成分としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩(AES)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩(MES)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩、アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等が挙げられる。
(A2)成分における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩が挙げられる。
(A2)成分は、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0029】
(A2)成分としては、洗浄液の泡立ちをより抑制できる点で、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α-オレフィンスルホン酸又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
【0030】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16のものが好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10~14のものが特に好ましい。
α-オレフィンスルホン酸塩や内部オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数が10~20のものが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩としては、下記一般式(a2)で表される化合物((a2)成分)が挙げられる。
【0031】
R1-O-[(EO)j/(PO)k]-SO3-M+ ・・・(a2)
【0032】
式(a2)中、R1は炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、jはEOの平均繰り返し数を示す0.5以上の数であり、kはPOの平均繰り返し数を示す0~6の数であり、M+は対カチオンである。[(EO)j/(PO)k]は、EOとPOの配列順に限定がないことを示す。
【0033】
R1は、炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基がより好ましい。
特に、炭素数10~20の直鎖のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖のアルキル基がより好ましい。
jは0.5~5が好ましく、0.5~4がより好ましく、0.5~3.5がさらに好ましく、1.5~2.5が特に好ましい。
kは0~3が好ましく、0がより好ましい。
j+kは0.5以上が好ましく、0.5~5がより好ましい。
式(a2)中の[(EO)j/(PO)k]において、EOとPOとは混在して配列していてもよい。EOとPOが混在して配列している場合、ランダム状であってもよく、ブロック状であってもよい。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
M+としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等とのアルカノールアミン等が挙げられる。
(a2)成分は、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0034】
上記以外の(A)成分としては、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。これらの塩の対イオンとしては、ハロゲンイオン、アルキル硫酸イオン等が挙げられる。ハロゲンイオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。アルキル硫酸イオンとしては、炭素数1~3のアルキル基を有するものが好ましく、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
半極性界面活性剤としては、アミンオキシド型界面活性剤であるラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
これらは、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0035】
洗浄液における(A)成分の含有量は、洗浄液の総質量に対して、50~300質量ppmが好ましく、70~270質量ppmがより好ましく、100~200質量ppmがさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物に対する洗浄効果をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄液の泡立ちをより抑制でき、被洗物への(A)成分の残存量が少なくなって、被洗物の風合いをより高められる。
【0036】
洗浄液における(Ax)成分の含有量は洗浄液の総質量に対して、10~200質量ppmが好ましく、20~150質量ppmがより好ましく、30~60質量ppmがさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物に対する洗浄効果をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄液の泡立ちをより抑制できる。
(Ax)成分の含有量に対する(Ax)成分以外の界面活性剤の含有量の質量比、(Ax)以外の界面活性剤/Ax比は、0.1~10が好ましく、0.5~7がより好ましく、1~5がさらに好ましい。下限値以上であると、良好な洗浄力が得られ、上限値以下であると、被洗物の風合いをより高められる。
【0037】
[(B)成分]
(B)成分は、セルラーゼである。(B)成分は、繊維の毛羽を切断して毛玉の形成を抑制できる。加えて、(B)成分は(Ax)成分と併用されることで、繊維内部に浸透して繊維内部の毛羽を切断し、繊維内部に空気を取り込みやすくして、柔軟性を高める。即ち、洗浄液が(B)成分を含有することで、被洗物の風合を高められる。
(B)成分としては、特に限定されず、公知のもののなかから適宜選択できる。
(B)成分としては、特に、繊維からの汚れ除去性能に優れることから、分子量30~50kDa、等電点4.5~6.0であるエンドグルカナーゼが好ましい。このエンドグルカナーゼは、繊維内部のアモルファス部分に吸着している汚れを取り除く効果があると考えられる。エンドグルカナーゼは、フミコーラ・インソレンス株由来であることが特に好ましい。
エンドグルカナーゼの分子量(単位:kDa)はゲル濃度12.5Totalアクリルアミド%(質量/体積)のプレキャストゲル(アトー社)とBenchiMark Proteim Ladder(インビトロジェン社)を用いSDS-PAGE法により得られる値である。
エンドグルカナーゼは市販品から入手可能であり、例えばエンドラーゼ5000L(商品名、ノボザイム社製品)やケアザイムプレミアム4500L(商品名、ノボザイム社製品)が挙げられる。
【0038】
洗浄液における(B)成分の含有量は洗浄液の総質量に対して、0.1~50質量ppmが好ましく、0.5~30質量ppmがより好ましく、2~20質量ppmがさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物における毛玉の発生をより抑制して、洗濯後の被洗物の風合いをより良好にできる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、被洗物の強度劣化をより抑制できる。なお、(B)成分の含有量は、酵素製剤としての含有量である。
【0039】
洗浄液において、(B)成分/(Ax)成分で表される質量比((ax)成分に対する(B)成分の質量比、B/ax比)は、0.01~5質量%が好ましく、0.05~2がより好ましく、0.1~1がさらに好ましい。洗浄液におけるB/Ax比が上記下限値以上であると被洗物の風合いをより高められる。洗浄液におけるB/Ax比が上記上限値以下であると洗浄効果をより高められる。
【0040】
[(C)成分]
洗浄液は、(C)成分を含有してもよい。(C)成分は、変性シリコーンである。(C)成分は、被洗物の柔軟性向上に寄与する。
(C)成分としては、例えば、アミノ変性シリコーン、アミノポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミドポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキルポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。中でも、繊維製品の柔軟性をより高め、洗浄液の外観安定性をより高める観点から、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
ポリエーテル変性シリコーンは、下記式(c1)で表される化合物((C1)成分)である。
【0042】
【0043】
式(c1)中、R24は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1~4のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2~4のアルケニル基、水素原子のいずれかである。R23は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1~4のアルキレン基、又は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2~4のアルケニレン基である。
Y3は、ポリオキシアルキレン基を示す。
pは10~10000の数、qは1~1000の数である。p、qが付された各構成単位の順序は異なっていてもよい。
【0044】
(C1)成分の比重は、25℃において、1.00~1.09が好ましく、1.04~1.09がより好ましい。なお、前記比重は、日本薬局方一般試験法の比重測定法に従い、25℃で比重瓶を用いて測定した値である。
【0045】
(C1)の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のCF1188N(商品名)、信越化学株式会社製のKF-6011(比重:1.06)、KF-6012(比重:1.03)、KF-6015(比重1.00)、KF-6017(比重1.01)等が挙げられる。
これらの(C1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
アミノ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の両末端あるいは側鎖にアミノ変性基を導入してなる化合物である。
アミノ変性シリコーンは、商業的に入手できるものを使用することができる。例えば、東レ・ダウコーニング株式会社のDOWSIL SF8417 Fluid、DOWSIL BY16-849DOWSIL 、DOWSIL BY16-892、DOWSIL FZ-3785(以上、商品名)、信越化学工業株式会社のKF-864、KF-860、KF-880、KF-8004、KF-8002、KF-867又はKF-869、KF-861(以上、商品名)等が挙げられる。
これらのアミノ変性シリコーンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
アミノポリエーテル変性シリコーンとは、少なくとも1つのアミノ変性基と、ポリエーテル変性基とを構造内に有するシリコーンである。より具体的には、アミノ基により変性された側鎖、及びアミノ基により変性された末端から選択される少なくとも1つのアミノ変性基と、ポリエーテル基により変性された側鎖又はポリエーテル基により変性された末端とを、構造内に併せ持つシリコーン化合物である。中でも、変性された側鎖を有するシリコーンが好ましい。
アミノポリエーテル変性シリコーンの市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のDOWSIL BY16-891、DOWSIL Silstyle104等、信越化学工業株式会社製のKF-877、KF-889、X-22-3939A、X-52-8369A等、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製の「WETSOFT CTA」、「WETSOFT AE200」、「WETSOFT NE810」、「WETSOFT NE820」、「WETSOFT WP201」等が挙げられる。
これらのアミノポリエーテル変性シリコーンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記以外の(C)成分の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング株式会社製のDOWSIL 2501 Cosmetic Wax、DOWSIL 2503 Cosmetic Wax、DOWSIL 580 Wax、DOWSIL AMS-C30 Cosmetic Wax、BY16-891、DOWSIL FZ-2203、DOWSIL FZ-3789、DOWSIL FZ-2222(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0049】
洗浄液が(C)成分を含有する場合、(C)成分の含有量は洗浄液の総質量に対して、0.1~50質量ppmが好ましく、0.5~30質量ppmがより好ましく、1~10質量ppmがさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗濯後の被洗物の柔軟性をより高められる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、(C)成分の効果を十分に発揮しつつ、(C)成分の含有量を低減できる。
【0050】
[(D)成分]
洗浄液は、(D)成分を含有してもよい。(D)成分は、ソイルリリース剤である。(D)成分は、被洗物の柔軟性向上に寄与する。
洗浄液は、前記(C)成分及び(D)成分から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(D)成分としては、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも1つの単位((d1)単位)と、(ポリ)オキシアルキレン単位((d2)単位)とを有する水溶性ポリマー((D1)成分)が挙げられる。
また、ソイルリリース剤としては、特開2019-90057号公報に記載されているカチオン化セルロースが挙げられる。
【0051】
(d1)単位は、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群より選択される少なくとも1つの単位である。
アルキレンテレフタレート単位は、下記式(d1-1)で表される単位である。
【0052】
【0053】
式(d1-1)中、R31は炭素数1~4のアルキレン基である。R31の炭素数は2~4が好ましい。
アルキレンテレフタレート単位としては、例えば、エチレンテレフタレート単位、n-プロピレンテレフタレート単位、イソプロピレンテレフタレート単位、n-ブチレンテレフタレート単位、イソブチレンテレフタレート単位、sec-ブチレンテレフタレート単位、tert-ブチレンテレフタレート単位等が挙げられる。これらの中でも、イソプロピレンテレフタレート単位が好ましい。
(D1)成分には、これらアルキレンテレフタレート単位が1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0054】
アルキレンイソフタレート単位は、下記式(d1-2)で表される単位である。
【0055】
【0056】
式(d1-2)中、R41は炭素数1~4のアルキレン基である。R41の炭素数は2~4が好ましい。
アルキレンイソフタレート単位としては、例えば、エチレンイソフタレート単位、n-プロピレンイソフタレート単位、イソプロピレンイソフタレート単位、n-ブチレンイソフタレート単位、sec-ブチレンイソフタレート単位、tert-ブチレンイソフタレート単位等が挙げられる。これらの中でも、イソプロピレンイソフタレート単位が好ましい。
(D1)成分には、これらアルキレンイソフタレート単位が1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0057】
(D1)成分は、(d1)単位として、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位の両方を有していてもよく、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位のいずれか一方のみを有していてもよい。(D1)成分としては、アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位の双方を有していることがより好ましい。
【0058】
(ポリ)オキシアルキレン単位((d2)単位)は、モノオキシアルキレン単位とポリオキシアルキレン単位との総称である。
(d2)単位は、下記式(d2-1)で表される。
【0059】
-(R51O)w- ・・・(d2-1)
【0060】
式(d2-1)中、R51は炭素数1~4のアルキレン基を表す。R51の炭素数は2~4が好ましい。
wは、(R51O)の平均繰り返し数を表す。wは、1~100であり、1~80が好ましく、1~50がより好ましい。
【0061】
(d2)単位としては、オキシエチレン単位、ポリオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、ポリオキシプロピレン単位、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン単位等が挙げられ、オキシエチレン単位又はポリオキシエチレン単位が好ましい。
(D1)成分には、これら(d2)単位が1種単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
【0062】
(D1)成分は、(d1)単位と(d2)単位とを有するものであればよく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。このうち、(D)成分としては、ブロック共重合体が好ましい。
(D1)成分は、(d1)単位及び(d2)単位以外の単位(例えば、重合開始剤、重合停止剤等に由来する単位、その他、(d1)単位又は(d2)単位と重合可能な単位)を含んでいてもよい。ただし、(d1)単位と(d2)単位との合計は、(C)成分における繰り返し単位の総量に対して、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましい。
【0063】
(D1)成分としては、例えば、下記式(D1-1)又は下記一般式(D1-2)で表される化合物が挙げられる。
【0064】
【0065】
式(D1-1)式中、Z1はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、好ましくは共にメチル基である。
R61及びR62はそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレン基、好ましくは炭素数2~3のアルキレン基である。
x1は、構成単位の平均繰り返し数を表す0~10の数であり、0.5~5が好ましく、0.5~2.5がより好ましい。x1が上記下限値以上であると、柔軟性の向上効果に優れる。x1が上記上限値以下であると、外観安定性に優れた液体洗浄剤が得られやすい。
y1は、(R61O)の平均繰り返し数を表す数であり、それぞれ独立して1~100が好ましく、1~80がより好ましく、1~50がさらに好ましく、10~50が特に好ましく、20~30が最も好ましい。y1が上記下限値以上であると、浸透性の向上効果に優れる。y1が上記上限値以下であると、柔軟性の向上効果に優れる。
式(D1-1)中、x1とy1との比率(x1:y1)は、1:5~1:20が好ましく、1:8~1:18がより好ましい。(x1:y1)が上記範囲内であると、柔軟性の向上効果に優れ、かつ浸透性の向上効果に優れる。
【0066】
【0067】
式(D1-2)中、Z2はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であり、好ましくは共にメチル基である。
R63及びR64はそれぞれ独立して、炭素数2~4のアルキレン基、好ましくは炭素数2~3のアルキレン基である。
x2は、構成単位の平均繰り返し数を表す0~10の数であり、0.5~5が好ましく、0.5~2.5がより好ましい。x2が上記下限値以上であると、柔軟性の向上効果に優れる。x2が上記上限値以下であると、外観安定性に優れた液体洗浄剤がられやすい。
y2は、(R63O)の平均繰り返し数を表す数であり、それぞれ独立して1~100が好ましく、1~80がより好ましく、1~50がさらに好ましく、10~50が特に好ましく、20~30が最も好ましい。y2が上記下限値以上であると、浸透性の向上効果に優れる。y2が上記上限値以下であると、柔軟性の向上効果に優れる。
式(D1-2)式中、x2とy2との比率(x2:y2)は、1:5~1:20が好ましく、1:8~1:18がより好ましい。(x2:y2)が上記範囲内であると柔軟性の向上効果に優れ、かつ浸透性の向上効果に優れる。
【0068】
(D1)成分の質量平均分子量は500~10000が好ましい。質量平均分子量が上記範囲内であると、水への溶解分散性に優れる。また、動物性繊維製品などの疎水性繊維の吸水性を向上しやすい。
(D1)成分の質量平均分子量の下限値は、800以上がより好ましく、1000以上がさらに好ましい。
(D1)成分の質量平均分子量の上限値は、9000以下がより好ましく、8000以下がさらに好ましい。
従って、(D1)成分の質量平均分子量は、800~9000がより好ましく、1000~8000がさらに好ましい。
【0069】
(D1)成分の質量平均分子量は、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いてGPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)により測定した値を、PEG(ポリエチレングリコール)を較正曲線に用いて換算した値である。
【0070】
(D1)成分は、市場において容易に入手される。また、(C)成分は、各種の刊行物等に記載された方法により合成されてもよい。(C)成分の製造方法が記載された刊行物としては、例えば、Journal of Polymer Science,第3巻,609~630ページ(1948年)、Journal of Polymer Science,第8巻,1~22ページ(1951年)、特開昭61-218699号公報等が挙げられる。
(D1)成分の市販品としては、例えば、TexCare(登録商標) SRN-100(商品名、クラリアントジャパン株式会社製、質量平均分子量:2000~3000)や、TexCare SRN-300(商品名、クラリアントジャパン株式会社製、質量平均分子量:7000)、Repel-O-Tex(登録商標) Crystal(商品名、ローディア社製、質量平均分子量:未定)、Repel-O-Tex QCL(商品名、ローディア社製、質量平均分子量:未定)等が挙げられる。これらの中では、水への溶解性が高く、保存後の洗浄性能の低下が少ないTexCare SRN-100が好ましい。特に好ましくは、TexCare SRN-100の70質量%水溶液であり、この市販品としては、TexCare SRN-170C(商品名、クラリアントジャパン株式会社製)が挙げられる。
【0071】
洗浄液が(D)成分を含有する場合、(D)成分の含有量は洗浄液の総質量に対して、1~100質量ppmが好ましく、3~70質量ppmがより好ましく、5~50質量ppmがさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗濯後の被洗物の柔軟性をより高められる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であると、(D)成分の効果を十分に発揮しつつ、(D)成分の含有量を低減できる。
【0072】
[(E)成分]
洗浄液は、(E)成分を含有してもよい。(E)成分は、消泡シリコーンである。(E)成分は、洗浄工程における洗浄液の泡立ちの抑制に寄与する。
【0073】
(E)成分としては、オイル型、オイルコンパウンド型、エマルション型、自己乳化型のいずれも使用できる。
オイル型の消泡シリコーンは、未変性のシリコーンオイル100%で構成され、シリカを含まない消泡剤である。市販品としては、SH200(東レ・ダウコーニング株式会社)が挙げられる。
オイルコンパウンド型の消泡シリコーンは、シリコーンオイルに、微粉末シリカなどの水不溶性粒子を配合した消泡剤である。市販品としては、8590 Additive(東レ・ダウコーニング株式会社)、AF-8014 アンチフォーム(東レ・ダウコーニング株式会社)、AC-8066 アンチフォーム(東レ・ダウコーニング株式会社)、ACP-3073 アンチフォーム(東レ・ダウコーニング株式会社)、KS-66(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
溶液型の消泡シリコーンは、シリコーンオイルをイソパラフィンなどの溶剤に溶かした消泡剤である。市販品としては、KS-602A(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
エマルジョン型の消泡シリコーンは、シリコーンオイルコンパウンドをノニオン系の活性剤で乳化した消泡剤である。市販品としては、FSアンチフォーム93(東レ・ダウコーニング株式会社)、KM-90(信越化学工業株式会社)、KM-73(信越化学工業株式会社)、KM-7750(信越化学工業株式会社)、KM-7752(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
自己乳化型の消泡シリコーンは、親水性の変性シリコーンオイルとオイルコンパウンドから構成される消泡剤である。市販品としては、KS-537(信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
【0074】
洗浄液が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は洗浄液の総質量に対して、0.01~10質量ppmが好ましく、0.05~5質量ppmがより好ましく、0.1~1質量ppmがさらに好ましい。(E)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄液の泡立ちをより抑制できる。(E)成分の含有量が上記上限値以下であると、(E)成分の効果を十分に発揮しつつ、(E)成分の含有量を低減できる。
【0075】
[水]
洗浄液は、水を含有する。
水は、特に限定されず、水道水、井水、イオン交換水等が挙げられる。
【0076】
[他の成分]
洗浄液は、上述の成分以外の成分(他の成分)を含有してもよい。
他の成分としては、洗浄剤組成物に通常用いられる成分が挙げられ、例えば、炭素数12~18の脂肪酸又はその塩、水混和性有機溶剤、キレート剤、酵素(但し、セルラーゼを除く)、ハイドロトロープ剤、洗浄性ビルダー、安定化剤、アルカリ剤、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、抗菌剤、着色剤として汎用の色素又は顔料、乳濁化剤、香料、不溶粒子、pH調整剤、天然物などのエキスが挙げられる。これらの成分は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0077】
[洗浄液の物性]
洗浄液のpHは、4~10が好ましく、5~9がより好ましく、6~8がさらに好ましい。pHが上記下限値以上であると、被洗物に付着した汚れに対する界面活性剤の作用が高まり、洗浄効果をより高められる。pHが上記上限値以下であると、被洗物に対する損傷をより低減できる。洗浄液のpHは、洗浄剤組成物の組成により調節される。
pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(ポータブルpH/ORP/IONメーター D-73、堀場製作所社製)を用いて測定される値である。
【0078】
洗浄工程における洗浄液の温度は、特に限定されず、例えば、0~60℃とされる。
【0079】
≪洗浄条件≫
洗浄工程における洗浄方法は、任意の時間、洗浄液を被洗物に接触できればよい。洗浄方法としては、例えば、洗浄液に被洗物を浸漬する方法、洗浄液に被洗物を浸漬しかつ被洗物に機械力を与える(例えば撹拌する)方法が挙げられる。洗浄液に被洗物を浸漬しかつ被洗物に機械力を与える方法としては、いわゆる洗濯機を用いた洗浄方法、洗面台での人手で揉み洗いする方法、袋等に被洗物を入れて揉み洗いする方法が挙げられる。
【0080】
洗濯機としては、例えば、二層式洗濯機、全自動洗濯機、洗剤自動投入機能を備えた洗濯機、業務用洗濯機等が挙げられる。
全自動洗濯機としては、縦型の洗濯槽を有する洗濯機、ドラム式洗濯機、乾燥機付きドラム式洗濯機等が挙げられる。
洗濯機としては、被洗物を洗浄液に浸漬しやすことから、二層式洗濯機、縦型の洗濯槽を有する洗濯機が好ましい。
【0081】
洗浄工程における浴比は、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。浴比が上記下限値以上であると、被洗物と洗浄液との接触効率をより高めて、洗浄効果をより高められる。浴比の上限値は、特に限定されないが、例えば、50とされる。
浴比は、[洗浄液の質量]/[繊維製品の質量]で表される質量比である。
【0082】
洗浄工程における洗浄時間は、3分間以上が好ましく、5分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましい。洗浄時間が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。洗浄時間の上限は特に限定されないが、洗濯効率の観点から、6時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、30分間以下がさらに好ましく、15分間以下が特に好ましい。
なお、洗浄時間は、洗浄液を被洗物に接触させてから、脱水工程を開始するまでの時間である。洗浄時間は、例えば、浴比1以上で、洗浄液が被洗物に接触している時間とする。
【0083】
<脱水工程>
脱水工程は、被洗物と洗浄液とを分離する工程である。脱水工程を有することで、被洗物を速やかに乾燥できる。
【0084】
本発明の脱水工程は、洗浄工程の後、すすぎを経ずに脱水する。すすぎを経ずに脱水することで、(B)成分が繊維内に滞留して作用し続けて、被洗物の風合いをより高める。
【0085】
脱水工程における脱水方法としては、洗濯機を用いた遠心分離、人手で絞る方法等が挙げられる。
【0086】
脱水後の浴比は、1未満であり、0.7以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。脱水後の浴比が上記上限値以下であれば、被洗物に対する(B)成分の作用が過度にならず、被洗物の強度の劣化を抑制しつつ、被洗物の風合いをより高められる。
【0087】
<乾燥工程>
本発明の洗濯方法は、乾燥工程を有してもよい。乾燥工程を有することで、被洗物に含まれる水分を低減できる。
【0088】
乾燥工程における乾燥方法しては、室内又は室外に被洗物を干す方法、乾燥機で乾燥する方法等が挙げられる。
乾燥工程に要する時間は、例えば、10分間~12時間とされる。
【0089】
なお、「すすぎを経ずに」とは、本発明の洗浄液よりも(A)成分の含有量が少ないすすぎ液を洗浄工程後の被洗物に接触させる行為(すすぎ工程)を行わないことである。すすぎ液としては、水道水、井水、イオン交換水等の水、及び水に少量の洗浄剤組成物を分散したもの等が挙げられる。すすぎ液中の(A)成分の含有量は、例えば、50質量ppm未満とされる。また、すすぎ液中の(B)成分の含有量は、例えば、0.1質量ppm未満とされる。
【0090】
洗濯方法は、洗浄工程と脱水工程とを2つ以上有してもよい。
洗濯方法は、洗浄工程の前に、水又は洗浄液で被洗物を洗浄する予洗工程を有してもよい。予洗工程における洗浄液は、洗浄工程における洗浄液と同じでもよいし、異なってもよい。
洗濯方法は、予洗工程の後、かつ洗浄工程の前に、すすぎ工程を有してもよい。
但し、洗濯方法は、脱水工程の後にすすぎ工程を有しないことが好ましい。脱水工程の後にすすぎ工程を有すると、被洗物に残存する(B)成分の量が低減し、本発明の効果を損なうおそれがある。
【0091】
本発明の洗濯方法によれば、(A)成分と(B)成分とを含有する洗浄液を被洗物に接触する洗浄工程を有するため、被洗物に対する洗浄効果を有しつつ、被洗物の風合いを高められる。
加えて、本発明の洗濯方法によれば、すすぎを経ずに脱水工程を行うため、被洗物の風合いをより高められる。
また、本発明の洗濯方法によれば、すすぎを経ないため、省資源、省エネルギー、環境負荷軽減に貢献できる。
【0092】
(洗浄剤組成物)
本発明の洗浄剤組成物は、(A)成分と(B)成分とを含有する。本発明の洗浄剤組成物は、(C)成分、(D)成分及び(E)成分の1種以上をさらに含有してもよい。本発明の洗浄剤組成物は、上述の他の成分をさらに含有してもよい。
【0093】
洗浄剤組成物は、液体でもよいし、粉末等の固体でもよい。水へ速やかに分散して、容易に洗浄液を調製できる点で、洗浄剤組成物は液体洗浄剤組成物が好ましい。
【0094】
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、4~10が好ましく、5~9がより好ましく、6~8がさらに好ましい。pHが上記範囲であると、液体洗浄剤組成物の保存安定性をより高められる。
【0095】
液体洗浄剤組成物の粘度は、0.5~50mPa・sが好ましく、1~30mPa・sがより好ましい。
【0096】
液体洗浄剤組成物における各成分の含有量は、液体洗浄剤組成物を水に投入して洗浄液とした際に、洗浄液中の各成分の含有量となる量とされる。
洗浄剤を調製する場合、例えば、1体積部の液体洗浄剤組成物を10~2000体積部の水に投入する。
【0097】
液体洗浄剤組成物における(A)成分の含有量は、例えば、5~25質量%が好ましく、7~20質量%がより好ましく、8~15質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。液体洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗浄効果を確保でき、被洗物の風合いとすすぎ性が良好となる。
【0098】
液体洗浄剤組成物における(Ax)成分の含有量は、例えば、1~15質量%が好ましく、2~12質量%がより好ましく、3~7質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(Ax)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物に良好な風合いを付与でき、洗浄効果をより高められる。液体洗浄剤組成物中の(Ax)成分の含有量が上記上限値以下であると、十分な洗浄効果を確保でき、すすぎ性が良好となる。
【0099】
(A)成分の総質量に対する(Ax)成分の含有量は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、100質量%でもよい。
【0100】
液体洗浄剤組成物における(B)成分の含有量は、例えば、0.01~3質量%が好ましく、0.05~2質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物の風合いをより高められる。液体洗浄剤組成物中の(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、被洗物の強度劣化をより抑制できる。
【0101】
液体洗浄剤組成物が(C)成分を含有する場合、液体洗浄剤組成物における(C)成分の含有量は、例えば、0.01~2質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましく、0.1~0.5質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物の柔軟性をより高められる。液体洗浄剤組成物中の(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性をより高められる。
【0102】
液体洗浄剤組成物が(D)成分を含有する場合、液体洗浄剤組成物における(D)成分の含有量は、例えば、0.1~10質量%が好ましく、0.3~5質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物の風合いをより高められる。液体洗浄剤組成物中の(D)成分の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性をより高められる。
【0103】
液体洗浄剤組成物が(E)成分を含有する場合、液体洗浄剤組成物における(E)成分の含有量は、例えば、0.001~1質量%が好ましく、0.005~0.5質量%がより好ましく、0.01~0.2質量%がさらに好ましく、0.01~0.1質量%が特に好ましい。液体洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄液の泡立ちをより抑制できる。液体洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量が上記上限値以下であると、液体洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性をより高められる。
【0104】
液体洗浄剤組成物における水の含有量は、例えば、30~95質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、70~85質量%がさらに好ましい。
液体洗浄剤組成物における他の成分の含有量は、例えば、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより好ましい。
なお、液体洗浄剤組成物における各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
【0105】
液体洗浄剤組成物において、(B)成分/(Ax)成分で表される質量比((ax)成分に対する(B)成分の質量比、B/ax比)は、0.01~5質量%が好ましく、0.05~2がより好ましく、0.1~1がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物におけるB/Ax比が上記下限値以上であると被洗物の風合いをより高められる。液体洗浄剤組成物におけるB/Ax比が上記上限値以下であると洗浄効果をより高められる。
【0106】
<液体洗浄剤組成物の製造方法>
液体洗浄剤組成物は、常法に従って製造される。製造方法としては、例えば、水の一部に(A)成分、(B)成分、並びに、必要に応じて(C)成分、(D)成分、(E)成分又は他の成分を投入し、pHを調整した後、水の残部を加える方法が挙げられる。
【実施例0107】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0108】
(使用原料)
<(A)成分>
≪(Ax)成分≫
・Ax-1:エクサール(商品名「RHA-234 TAG-90」、ライオンケミカル社製。式(ax1)中のR11が炭素数13の分岐アルキル基、R12が炭素数2のアルキレン基、nが7の化合物。)。
・Ax-2:ルテンゾール(商品名「Lutensol TO-7」、BASF社製。式(ax1)中のR11が炭素数13の分岐アルキル基、R12が炭素数2のアルキレン基、nが7の化合物。)。
・Ax-3:ソフタノール(商品名「ソフタノール30」日本触媒株式会社製。式(ax1)中のR11が炭素数12~14の直鎖アルキル基(2級炭素にOが結合)、R12が炭素数2のアルキレン基、nが3の化合物。
・Ax-4:ルテンゾール(商品名「Lutensol XP-50」、BASF社製。式(ax1)中のR11が炭素数10の分岐アルキル基、R12が炭素数2のアルキレン基、nが5の化合物。
【0109】
≪(A1)成分≫
・A1-1:直鎖AE、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(15EO)、天然アルコールに15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。式(a1)中のR2が炭素数12~14の直鎖アルキル基、XがO、R3が水素原子、sが15、tが0、uが0の化合物。
・A1-2:直鎖AE、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(12EO)、天然アルコールに12モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。R2が炭素数12~14の直鎖アルキル基、R3が水素原子、sが12、tが0、uが0の化合物。
・A1-3:直鎖AE、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(6EO)、天然アルコールに6モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。R2が炭素数12~14の直鎖アルキル基、R3が水素原子、sが6、tが0、uが0の化合物。
・A1-4:MEE(商品名「MEE」、ライオン株式会社製。ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(脂肪酸の炭素数12~14、エチレンオキシドの平均付加モル数15)、式(a1)において、R2が炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基から選ばれる1種以上のアルキル基、XがCOO、R3がメチル基、s=15、t=0、u=0である化合物。)。
・A1-5:EOPO(天然アルコール(質量比で炭素数12の第1級アルコール/炭素数14の第1級アルコール=7/3)に、8モルのエチレンオキシド、2モルのプロピレンオキシド、8モルのエチレンオキシドの順にブロック付加したもの。前記式(a1)において、R2が炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基=7/3、XがO、R3が水素原子、s=8、t=2、u=8である化合物。
【0110】
≪(A2)成分≫
・A2-1:LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、商品名「ライポンLS-250」、ライオン社製。)。
・A2-2:AES(1EO)(PT.Kao Indonesia Chemicals社製。炭素数12~14のアルキル基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数1であるオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム。)。
・A2-3:AEPS(ポリオキシエチレンポリオキシプロパン-1,2-ジイルアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩。)。
・A2-4:IOS(特開2001-247534号公報の実施例7に記載された方法により合成されたインナーオレフィンスルホネート。)。
【0111】
<(B)成分>
・B-1:ケアザイムプレミアム4500L(商品名、ノボザイムズ社製。)。
・B-2:セルクリーン4500T(商品名、ノボザイムズ社製。)。
【0112】
<(C)成分>
・C-1:POE変性シリコーン(商品名「CF1188N」、東レ・ダウコーニング株式会社製。)。
・C-2:アミノ変性シリコーン(商品名「KF-864」、信越化学工業株式会社製。)。
【0113】
<(D)成分>
・D-1:SR(商品名「TexCare SRN-170C」、クラリアントジャパン社製、質量平均分子量=2000~3000、pH(20℃の5質量%水溶液)=4、粘度(20℃)=300mPa・s)。TexCare SRN-170Cは、TexCare SRN-100(商品名、クラリアントジャパン社製、質量平均分子量=2000~3000)の70質量%水溶液である。TexCare SRN-100は、式(D1-1)で表される化合物に相当する。)。
【0114】
<(E)成分>
・E-1:KM-90(商品名、信越化学工業株式会社製。)。
・E-2:SH200(商品名、東レ・ダウコーニング社製。)。
・E-3:AF-8014 Antiform(商品名、東レ・ダウコーニング社製。)。
・E-4:FSアンチフォーム93(商品名、東レ・ダウコーニング社製。)。
【0115】
<水>
・イオン交換水:バランス(液体洗浄剤組成物の総量を100質量%とするのに必要な量)。
【0116】
<他の成分>
他の成分は、各例において共通である。
原料名の後ろに記載した質量%は、液体洗浄剤組成物の総質量に対する割合である。
・ヤシ脂肪酸:椰子脂肪酸(商品名、日油株式会社製)、0.5質量%。
・クエン酸:液体クエン酸(商品名、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、0.2質量%。
・BHT:SUMILZER BHT-R(商品名、住友化学株式会社製)、0.03質量%。
・安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(東亞合成株式会社製)、0.5質量%。
・NaOH:水酸化ナトリウム(東亞合成株式会社製)、0.25質量%。
・エタノール:特定95度合成アルコール(商品名、日本アルコール販売株式会社製)、2質量%。
・色素:カヤノールミーリング(商品名、日本化薬株式会社製)0.0002質量%。
・PEG:PEG#1000-L60(商品名、三井化学株式会社製)、3質量%。
・ダイクロサン:Tinosan HP100(商品名、BASF社製)、0.3質量%。
・香料:特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A、0.3質量%。
【0117】
(評価方法)
<洗浄効果>
汚垢布(被洗物)として、湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会製、オレイン酸28.3%、トリオレイン15.6%、コレステロールオレート12.2%、流動パラフィン2.5%、スクアレン2.5%、コレステロール1.6%、ゼラチン7.0%、泥29.8%、カーボンブラック0.5%)を5cm×5cm四方に裁断したものを用いた。
洗浄試験器として、Terg-O-tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いた。
洗浄液として、水900mLに対して、各例の液体洗浄剤組成物を添加し、30秒間撹拌して調製したものを用いた。液体洗浄剤組成物の添加量は、表中の「洗浄液中の(A)成分含有量」となる量とした。
洗浄試験器に、洗浄液900mLと、汚垢布10枚と、洗浄メリヤス布を投入し、浴比30倍となるように調整した後、60rpm、15℃で10分間、被洗物を洗浄した(洗浄工程)。その後、二槽式洗濯機(東芝製、製品名「VH-30S」)に被洗物を移し、1分間脱水処理を行い、被洗物の浴比を0.5とした(脱水工程)。その後、被洗物を風乾させた。
但し、比較例1については、洗浄工程の後にすすぎ工程(水道水、3分間)を設けた。
洗濯前の汚垢布、洗濯後の汚垢布、及び未汚垢布(ここで未汚垢布とは、汚れを付けていない元の白布(原布)をいう)について、それぞれ反射率を色差計(日本電色(株)製、製品名「SE200型」)で測定し、下記式(i)により洗浄率(%)を求めた。
洗浄率(%)=(洗濯前の汚垢布のK/S-洗濯後の汚垢布のK/S)/(洗濯前の汚垢布のK/S-未汚垢布のK/S)×100 ・・・(i)
[式(i)中、K/Sは、(1-R/100)2/(2R/100)であり、Rは、洗濯前の汚垢布、洗濯後の汚垢布又は未汚垢布の反射率(%)を表す。Kは吸光係数、Sは散乱係数、Rは絶対反射率をそれぞれ表す。]
汚垢布10枚の洗浄率の平均値を求めた。得られた平均値を下記の評価基準に従って評価した。下記評価基準において、◎及び〇を合格とした。
【0118】
≪判定基準≫
◎:洗浄力が50%以上。
〇:洗浄力が45%以上50%未満。
△:洗浄力が40%以上45%未満。
×:洗浄力が40%未満。
【0119】
<毛玉防止効果>
全自動電気洗濯機(AW-80VC、株式会社東芝製)に、被洗物として市販のウールカーディガン(UNIQLO製「エクストラファインメリノVネックカーディガン(長袖)」(ウール100%))1枚、35×20cmにカットしたウール生地(アザトいのうえ製「ニット ウール 鹿の子編み イタリー」(ウール100%))1枚、35×20cmにカットしたポリエステル生地(アザトいのうえ製「ポリエステル フリース ニット 起毛」(ポリエステル100%))1枚を投入した。そこに、各例の液体洗浄剤組成物を投入し、弱水流コース設定ですすぎの回数を任意に変更し、洗浄工程、脱水工程を順次行った。比較例1においては、洗浄工程の後、脱水工程の前にすすぎ工程(10分間)を行った。
洗浄時間、脱水時間、水量(36Lに設定)に関しては、調整せず、洗濯機の標準設定を使用した。用いた水道水の温度は、25℃であった。この洗濯を10回繰り返した。10回の洗濯を終えた後、被洗物を平干しにて一晩乾燥させた。その後、25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に、被洗物を2日間静置した(洗濯操作)。
洗濯処理を施したウール生地及びポリエステル生地をそれぞれ直径140mmの円状に2枚ずつカットし、マーチンデール摩耗試験機(James H.Heal&Co.Ltd.Halifax,England製、「Max-Martindale909」)の上部(試験片ホルダ)と下部(ピリングテーブル)にセットした。
摩耗方法はJIS L1076のJ法(修正マーチンデール法)に準拠し、300ピリング摩擦を行い、毛玉を発生させた。
毛玉防止効果について、10名の専門パネラーが、下記評価基準に従って、ウール生地及びポリエステル生地と、基準布とを目視で比較した。評価基準の基準布は、比較例1の液体洗浄剤組成物を用い、ウール生地及びポリエステル生地に対して上記洗濯操作を施し、下記評価基準に記載のピリング摩耗を施したものである。
専門パネラー10名の平均点を判定基準に分類し、毛玉防止効果を評価した。
【0120】
≪評価基準≫
1点:マーチンデール摩耗試験機で500ピリング摩耗した基準布と同等。
2点:マーチンデール摩耗試験機で300ピリング摩耗した基準布と同等。
3点:マーチンデール摩耗試験機で100ピリング摩耗した基準布と同等。
4点:マーチンデール摩耗試験機で50ピリング摩耗した基準布と同等。
5点:マーチンデール摩耗試験機で0ピリング摩耗した基準布と同等。
【0121】
≪判定基準≫
◎:毛玉防止効果が4点以上。
〇:毛玉防止効果が3点以上4点未満。
△:毛玉防止効果が2点以上3点未満。
×:毛玉防止効果が2点未満。
【0122】
<柔軟性>
全自動電気洗濯乾燥機(東芝社製AW-8V2)に、市販の綿タオル(綿100%)3枚、及び浴比(洗濯水/被洗布総質量)を30倍に調整する為に、綿肌シャツ2枚(B.V.D.社製、全被洗布質量合計約400g)を投入した。
各例の液体洗浄剤組成物を上記洗濯機に投入した。液体洗浄剤組成物の投入量は、表中の「洗浄液中の(A)成分含有量」となる量とした。
弱水流コースで洗浄工程、脱水工程を順次行った。洗浄工程を10分間、脱水工程を5分間、水量を低水位に設定して水量12Lとした。洗濯終了後、取り出したタオルを25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に放置して、乾燥させた。これを試験布として柔軟性評価に用いた。
但し、比較例1については、洗浄工程の後にすすぎ工程(10分間)を設けた。
評価対照布として、20%非イオン性界面活性剤(P&G社製の天然アルコールCO-1270に対して15モル相当の酸化エチレンを付加したもの)16mLを用いたこと以外は試験布と同様にして処理した綿タオルを用いた。
専門パネラー6名が、官能によって、各例の洗濯後の被洗物と対照布とを下記評価基準に従って1対比較を行った。
専門パネラー6名の平均点を判定基準に分類し、柔軟性を評価した。
【0123】
≪採点基準≫
5点:対照布より非常に柔らかい。
4点:対照布よりかなり柔らかい。
3点:対照布より柔らかい。
2点:対照布よりやや柔らかい。
1点:対照布と同等。
【0124】
≪判定基準≫
◎:柔軟性が4点以上。
〇:柔軟性が3点以上4点未満。
△:柔軟性が2点以上3点未満。
×:柔軟性が2点未満。
【0125】
(実施例1~29、比較例1~5)
<液体洗浄剤組成物の調製>
表1~3に示す組成に従い、(A)~(E)成分及び他の成分を水に加え、混合して各例の液体洗浄剤組成物を調製した。
なお、表中の配合量は純分換算値である(但し、(B)成分は酵素製剤としての量である)。また、表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。
【0126】
<洗濯方法>
得られた液体洗浄剤組成物を用い、洗浄効果、毛玉防止効果、柔軟性を評価し、その結果を表中に示す。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
表1~3に示すように、実施例1~29は、洗浄効果が45%以上であり、毛玉防止効果が3.7点以上あった。加えて、実施例1~29は、柔軟性が3.2点以上であった。
すすぎ工程を設けた比較例1は、毛玉防止効果が2.7点であった。
(Ax)成分を含まない洗浄液を用いた比較例2は、毛玉防止効果が2.9点であり、柔軟性が2.9点であった。
(B)成分を含まない洗浄液を用いた比較例3は、毛玉防止効果が1.9点であり、柔軟性が1.8点であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、被洗物に対する洗浄効果が良好で、かつ被洗物の風合いを高められる。