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  • 特開-ゴム組成物および建設車両用タイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025417
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ゴム組成物および建設車両用タイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20240216BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240216BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240216BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20240216BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/04
C08K3/36
C08L1/02
C08L93/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128839
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(72)【発明者】
【氏名】川添 真幸
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AB013
4J002AC011
4J002AF022
4J002DA036
4J002DJ017
4J002FA043
4J002FD013
4J002FD016
4J002FD017
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】耐カット性および低発熱性がいずれも優れたゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカ、ロジン系樹脂、およびナノセルロースを含有し、ジエン系ゴムが100質量部のうち天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を90質量部以上含み、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が70~145m2/gであり、さらに、ジエン系ゴム100質量部に対して、カーボンブラックを30~60質量部、シリカを15~35質量部、ロジン系樹脂を0.2~10質量部、およびナノセルロースを0.3~15質量部含むゴム組成物とすることにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカ、ロジン系樹脂、およびナノセルロースを含有するゴム組成物であって、
前記ジエン系ゴムが天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を90質量部以上含み、
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が70~145m2/gであり、
さらに、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記カーボンブラックを30~60質量部、前記シリカを15~35質量部、前記ロジン系樹脂を0.2~10質量部、および前記ナノセルロースを0.3~15質量部含有する、ゴム組成物。
【請求項2】
前記ジエン系ゴムが、さらにスチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VP)を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記ナノセルロースが、レゾール型および/またはノボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物ならびにホルムアルデヒドにより表面処理されたナノセルロースである、請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載のゴム組成物をキャップトレッド部および/またはサイドウォール部に用いた建設車両用タイヤ。
【請求項5】
請求項3に記載のゴム組成物をキャップトレッド部および/またはサイドウォール部に用いた建設車両用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、およびそのゴム組成物を用いた建設車両用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
大型ダンプなどの建設車両は、重荷重積載の状態で長時間稼働するため、装着されるタイヤは、耐カット性に優れるとともに発熱性を抑えタイヤが過熱状態になるのを抑制すること(低発熱性であること)が要求されている。ここで、耐カット性とは、タイヤが障害物や外部の物体に接触または衝突したときタイヤの損傷を起き難くする特性(耐外傷性)であり、タイヤの寿命に大きな影響を与えるが、タイヤの耐カット性を優れたものにするためには、通常、ゴムの発熱性が大きいことが求められる。つまり耐カット性と低発熱性とは通常はトレードオフの関係にある。したがって、当業界においては、建設車両用などのタイヤ製造に適した、耐カット性および低発熱性がいずれも優れたゴム組成物の開発が求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)を80質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、酸化セリウムを1~50質量部、窒素吸着比表面積(N2SA)が70~120m2/gであるカーボンブラックを50~75質量部含み、tanδ(60℃)が0.25~0.35となる、耐カット性と低発熱性とが共に優れ、加えて破断物性(破断強度および破断伸び)に優れる重荷重用タイヤを得ることができる重荷重用タイヤ用ゴム組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-82123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に開示されたタイヤ用ゴム組成物は、耐カット性と低発熱性とが共に優れたものであるが、当業界においては、建設車両用などのタイヤ製造に適した、耐カット性と低発熱性とが両立された新たなゴム組成物の開発が引き続き求められている。
【0006】
そこで本発明は、耐カット性および低発熱性がいずれも優れたゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、ジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカ、ロジン系樹脂、およびナノセルロースを含有し、ジエン系ゴムが天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を90質量部以上含み、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が70~145m2/gであり、さらに、ジエン系ゴム100質量部に対して、カーボンブラックを30~60質量部、シリカを15~35質量部、ロジン系樹脂を0.2~10質量部、およびナノセルロースを0.3~15質量部含有するゴム組成物が、耐カット性および低発熱性がいずれも優れたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は次の<1>~<4>である。
<1>ジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカ、ロジン系樹脂、およびナノセルロースを含有するゴム組成物であって、前記ジエン系ゴムが天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を90質量部以上含み、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が70~145m2/gであり、さらに、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、前記カーボンブラックを30~60質量部、前記シリカを15~35質量部、前記ロジン系樹脂を0.2~10質量部、および前記ナノセルロースを0.3~15質量部含有する、ゴム組成物。
<2>前記ジエン系ゴムが、さらにスチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VP)を含む、<1>に記載のゴム組成物。
<3>前記ナノセルロースが、レゾール型および/またはノボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物ならびにホルムアルデヒドにより表面処理されたナノセルロースである、<1>または<2>に記載のゴム組成物。
<4><1>~<3>のいずれか1つに記載のゴム組成物をキャップトレッド部および/またはサイドウォール部に用いた建設車両用タイヤ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐カット性および低発熱性がいずれも優れたゴム組成物を得ることができる。そして、このゴム組成物をキャップトレッド部および/またはサイドウォール部に用いることにより、耐カット性および低発熱性がいずれも優れた建設車両用タイヤを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の建設車両用タイヤの実施形態の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明について説明する。
本発明は、ジエン系ゴム、カーボンブラック、シリカ、ロジン系樹脂、およびナノセルロースを含有し、ジエン系ゴムが天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を90質量部以上含み、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が70~145m2/gであり、さらに、ジエン系ゴム100質量部に対して、カーボンブラックを30~60質量部、シリカを15~35質量部、ロジン系樹脂を0.2~10質量部、およびナノセルロースを0.3~15質量部含有するゴム組成物、およびこのゴム組成物をキャップトレッド部および/またはサイドウォール部に用いた建設車両用タイヤである。以下においては、これらを「本発明のゴム組成物」、および「本発明の建設車両用タイヤ」ともいう。
【0012】
なお、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、特段の断りがない限り、「~」の前に記載される数値を下限値、および「~」の後に記載される数値を上限値とする数値範囲を意味する。
【0013】
以下、本発明のゴム組成物に含まれる成分、その含有量などについて、詳細に説明する。
【0014】
[ジエン系ゴム]
ジエン系ゴムは、ポリマー主鎖に二重結合を有するゴム成分であるが、本発明のゴム組成物に含まれるジエン系ゴムは、天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)が必須成分として含まれ、且つ、ジエン系ゴム100質量部のうち(含まれるジエン系ゴムの全量を100質量部としたときに)NRおよび/またはIRが90質量部以上含まれる。つまり、本発明のゴム組成物に含まれるジエン系ゴムは、NRおよび/またはIRを90質量%以上含むものである。これにより、後述する所定量の各成分との相互作用によって、耐カット性および低発熱性がいずれも優れたゴム組成物を得ることができる。さらに、このNRおよび/またはIRが、ジエン系ゴム100質量部のうち93質量部以上含まれるのがより好ましく、95質量部以上含まれるのがさらに好ましい。
【0015】
そして、本発明のゴム組成物に含まれるジエン系ゴムは、NRおよび/またはIRからなるもの(NRおよび/またはIR以外のジエン系ゴム成分を含まないもの)であってもよいが、NRおよびIR以外のジエン系ゴム成分を10質量%以下含んでいてもよい。具体的には、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VP)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリルニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、イソプレン-ブタジエン共重合体ゴムなどをさらに含んでいてもよい。このようなジエン系ゴム成分を、前述したNRおよび/またはIRとともに、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
特に、本発明のゴム組成物に含まれるジエン系ゴムは、後述するナノセルロースのゴム成分中への分散性がより高まり、耐カット性および低発熱性がいずれもより向上することから、NRおよび/またはIRとともに、さらにスチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VP)を含むとより好適である。また、本発明のゴム組成物に含まれるジエン系ゴムは、NRおよび/またはIRと、VPと、からなるもの(NR、IR、およびVP以外のジエン系ゴム成分を含まないもの)であってもよい。そして、このVPは、ジエン系ゴム100質量部のうち10質量部以下含まれてよいが、3質量部以上含まれるのがより好ましく、4質量部以上含まれるのがさらに好ましい。
【0017】
また、このジエン系ゴムの重量平均分子量は、50000~3000000であることが好ましく、100000~2000000であることがより好ましい。さらに、上記したジエン系ゴムはいずれも、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基等で末端変性されているものや、エポキシ化されているものであってもよい。
ここで、本発明において「重量平均分子量」とは、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で測定したものを意味する。また、このGPC測定は、測定器としてカラム(Polymer Laboratories社製、MIXED-B)を使用し、40℃において行う。
【0018】
なお、本発明のゴム組成物にはジエン系ゴム以外のゴム成分が含まれていてもよいが、含有するゴム成分の90質量%以上がジエン系ゴムであるのが好ましく、95質量%以上がジエン系ゴムであるのがより好ましく、含有するゴム成分がジエン系ゴムからなる(100質量%ジエン系ゴムである)のがさらに好ましい。
【0019】
[カーボンブラック]
本発明のゴム組成物に含まれるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が70~145m2/gであり、これは85~130m2/gであるのがより好ましい。このカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が70m2/g未満であると、ゴム組成物の耐カット性が悪化するため好ましくない。また、このカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が145m2/gを超えると、ゴム組成物の発熱性が大きくなるため好ましくない。
なお、この「カーボンブラック」とは、工業的に品質制御して製造された直径3~500nm程度の炭素微粒子を意味する。また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」に従って測定された値である。
【0020】
そして、本発明のゴム組成物では、上記したカーボンブラックをジエン系ゴム100質量部に対して30~60質量部含む。さらに、この含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して35~50質量部であるのがより好ましい。なお、このカーボンブラックの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して30質量部未満であると、ゴム組成物の耐カット性が悪化するため好ましくない。また、このカーボンブラックの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して60質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性が大きくなるため好ましくない。
【0021】
[シリカ]
本発明のゴム組成物に含まれるシリカは、特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている公知の任意のシリカを用いることができる。具体例としては、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられ、このようなシリカを単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、本発明の効果がより向上し易くなることから、本発明のゴム組成物に含まれるシリカのCTAB比表面積が110~200m2/gであるのがより好ましく、150~180m2/gであるのがさらに好ましい。
なお、この「シリカ」とは、二酸化ケイ素(SiO2)からなる、あるいは二酸化ケイ素を主成分とする(例えば80質量%以上、さらには90質量%以上含む)粒子物質を意味する。また、シリカのCTAB比表面積は、「ISO5794/1」に従って測定された値である。
【0022】
そして、本発明のゴム組成物では、上記したシリカをジエン系ゴム100質量部に対して15~35質量部含む。さらに、この含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して20~30質量部であるのがより好ましい。なお、このシリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して15質量部未満であると、ゴム組成物の発熱性が大きくなるため好ましくない。また、このシリカの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して35質量部を超えると、ゴム組成物の耐カット性が悪化するため好ましくない。
【0023】
[ロジン系樹脂]
本発明のゴム組成物に含まれるロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジンおよびフマル化ロジン等の変性ロジン、これらのロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステルおよびトリエチレングリコールエステルなどのエステル誘導体、ならびにロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性樹脂等が挙げられ、このようなロジン系樹脂を単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、重合ロジン、ロジンのエステル誘導体、またはロジン変性樹脂がより好ましいものとして挙げられる。さらに、本発明の効果がより向上し易くなることから、本発明のゴム組成物に含まれるロジン系樹脂の軟化点は90~120℃であるのがより好ましく、95~115℃であるのがさらに好ましい。同様の理由から、本発明のゴム組成物に含まれるロジン系樹脂の酸価は80~130KOHmg/gであるのがより好ましく、90~120KOHmg/gであるのがさらに好ましい。
なお、ロジン系樹脂の軟化点は、JIS K6220-1:2015に準拠した方法で測定された値である。また、ロジン系樹脂の酸価は、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定された値である。
【0024】
そして、本発明のゴム組成物では、上記したロジン系樹脂をジエン系ゴム100質量部に対して0.2~10質量部含む。さらに、この含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して2~8質量部であるのがより好ましい。なお、このロジン系樹脂の含有量がジエン系ゴム100質量部に対して0.2質量部未満であると、ゴム組成物の耐カット性が悪化するため好ましくない。また、このロジン系樹脂の含有量がジエン系ゴム100質量部に対して10質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性が大きくなるため好ましくない。
【0025】
[ナノセルロース]
本発明のゴム組成物に含まれるナノセルロースは、セルロースミクロフィブリルからなる平均繊維径が1~1000nmの極細繊維であり、平均繊維長さが0.5~5μmであるアモルファスを含むセルロースナノファイバー(CNF)や、平均繊維長さが0.1~0.5μmである結晶性の(例えば針状結晶、あるいは球状結晶の)セルロースナノクリスタル(CNC)などを包含するものである。
【0026】
そして、このナノセルロースの平均繊維径は前述したように1~1000nmであるが、1~200nmであるのが好ましい。また、このナノセルロースの平均アスペクト比(平均繊維長さ/平均繊維径)は好ましくは10~1000、より好ましくは50~500である。平均繊維径が上記範囲未満および/または平均アスペクト比が上記範囲を超えると、ナノセルロースのゴム成分中への分散性が低下し易い傾向がある。また平均繊維径が上記範囲を超過および/または平均アスペクト比が上記範囲未満であるとナノセルロースの補強性能が低下し易い傾向がある。
【0027】
ここで、本発明においてナノセルロースの「平均繊維径」および「平均繊維長さ」とは、TEM観察またはSEM観察により、構成する繊維の大きさに応じて適宜倍率を設定して電子顕微鏡画像を得て、この画像中の少なくとも50本以上において測定したときの繊維径および繊維長さの平均値を意味する。そして、このようにして得られた平均繊維長さおよび平均繊維径から、平均アスペクト比を算出する。
【0028】
なお、このナノセルロースの原料となるセルロースは、木材由来または非木材(バクテリア、藻類、綿など)由来のいずれでもよく、特段限定されない。ナノセルロースの作製方法としては、例えば、原料となるセルロースに水を加え、ミキサー等により処理して、水中にセルロースを分散させたスラリーを調製し、これを高圧式や超音波式などの装置によって直接機械的なせん断力をかけて解繊する方法や、このスラリーに酸化処理やアルカリ処理、酸加水分解などの化学処理を施し、セルロースを変性して解繊しやすくしてから分散機などによって機械的なせん断力をかけて解繊する方法が例示される。このように化学処理を施してから解繊することにより、セルロースを低いエネルギーでより細かく均質に解繊することができ、化学変性ナノセルロース(化学修飾ナノセルロース)を容易に得ることができる。なお、化学処理としては、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(以下、「TEMPO」という)、4-アセトアミド-TEMPO、4-カルボキシ-TEMPO、4-アミノ-TEMPO、4-ヒドロキシ-TEMPO、4-フォスフォノオキシ-TEMPO、リン酸エステル、過ヨウ素酸、水酸化アルカリ金属および二硫化炭素などの化学処理剤による処理を挙げることができる。また、セルロースの機械的解繊を行ってから化学処理を行ってもよい。さらに、前述した化学処理に加えて、ゴム成分などとの親和性をより高めるために、解繊工程のあとにセルラーゼ処理、カルボキシメチル化、エステル化、カチオン性高分子による処理などを施すこともできる。
【0029】
そして、本発明のゴム組成物では、ジエン系100質量部に対してこのナノセルロースを、ナノセルロースの固形分量として0.3~15質量部含む。さらに、この含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して0.5~12質量部であるのが好ましく、1~10質量部であるのがより好ましく、2~8質量部であるのがさらに好ましい。なお、このナノセルロースの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して0.3質量部未満あるいは15質量部超であると、ゴム組成物の発熱性が大きくなるため好ましくない。また、このナノセルロースの含有量がジエン系ゴム100質量部に対して15質量部を超えた場合、ゴム組成物のコストが高くなり、さらに、ナノセルロースをゴム成分中に均質に分散できない可能性が高い。
【0030】
さらに、本発明のゴム組成物がジエン系ゴムにスチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VP)が含まれる構成の場合には、このナノセルロースとVPとの親和性が高く維持され易くなり、ナノセルロースのゴム成分中への分散性がより高まることから、本発明のゴム組成物に含まれるVPに対するナノセルロース(NC)の質量比(NC/VP)が0.1~2.5である構成とするのがより好ましく、この質量比は0.2~2.0であるのがさらに好ましく、0.3~1.5であるのがさらに好ましい。
【0031】
さらに、本発明のゴム組成物に含まれるナノセルロースは、ゴム成分中への分散性がさらに向上して本発明のゴム組成物の耐カット性および低発熱性がいずれもより向上することから、フェノール樹脂により表面処理されたナノセルロースであるのが好ましく、フェノール樹脂の1つであるレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF樹脂)により表面処理されたナノセルロースであるのがより好ましい。つまり、表面処理ナノセルロースであるのが好適である。なお、このRF樹脂処理では、RF樹脂とともにホルムアルデヒドを用いる。この場合において、ナノセルロースとRF樹脂およびホルムアルデヒドとを含む混合液などをそのまま原料として使用でき、つまりこのRF樹脂により表面処理されたナノセルロースを含有する本発明のゴム組成物は、上記した必須成分に加えて、さらに、RF樹脂と、ホルムアルデヒドとを含有するものであるとも言える。
ここで、上記したRF樹脂等による「表面処理」とは、解繊されたナノセルロースの界面(表面)と上記したRF樹脂等との水素結合などによる相互作用によって、このナノセルロースの界面の少なくとも一部に上記したRF樹脂等が近接して配置される処理であり、これによりナノセルロースの界面が補強されてナノレベルまで解繊された状態を保ち易くなり、且つナノセルロースのゴム成分中における分散性もより高まる。以下においては、この上記したRF樹脂等によって表面処理されたナノセルロース(表面処理ナノセルロース)も単に「ナノセルロース」と称する場合もある。
【0032】
また、本発明において「レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF樹脂)」とは、フェノール樹脂であるレゾルシンとホルムアルデヒドとを触媒下で縮合反応させることにより得られる縮合物(オリゴマー)であり、その重合度は5~15程度であるのが好ましい。また、このレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物には、未反応のレゾルシンおよび/またはホルムアルデヒドが含まれていても良い。
【0033】
なお、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどのアルカリ触媒下においてレゾルシン/ホルムアルデヒドのモル比を1/1~3として縮合反応させることによって得られる、メチロール基を有する縮合物がレゾール型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(下記式(1)で表される縮合物(式中のnは重合度))であり、一方、シュウ酸などの酸触媒下においてレゾルシン/ホルムアルデヒドのモル比を1/0.8~0.9として縮合反応させることによって得られる、メチロール基を有さない縮合物がノボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(下記式(2)で表される縮合物(式中のmは重合度))である。本発明においては、このレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物はレゾール型およびノボラック型のいずれであってもよいが、好ましい態様としてはノボラック型が挙げられる。
【0034】
【化1】
【0035】
【化2】
【0036】
そして、本発明のゴム組成物におけるこのRF樹脂およびホルムアルデヒドの含有量は、ナノセルロースの表面処理に寄与しているもの(ナノセルロースの界面に配置されているもの)も含めて、ナノセルロース1質量部に対して、RF樹脂が好ましくは0.03~1.2質量部、より好ましくは0.05~0.8質量部、さらに好ましくは0.06~0.6質量部、さらに好ましくは0.08~0.4質量部、ならびに、ホルムアルデヒドが好ましくは0.02~0.8質量部、より好ましくは0.03~0.5質量部、さらに好ましくは0.04~0.4質量部、さらに好ましくは0.05~0.3質量部となるように調整するのが好適である。RF樹脂中に未反応のホルムアルデヒドが含まれる場合には、この未反応のホルムアルデヒド含有量もこの量に含める。
【0037】
なお、本発明においては、上記したRF樹脂などとの親和性がより高まることから、ナノセルロースとして、カルボキシ基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基、ザンテート基、スルホン基、硫酸基、およびチオラート基からなる群から選ばれる1種以上を有する化学変性ナノセルロース(例えば、水酸基の一部がカルボキシ基、アルデヒド基、リン酸基、亜リン酸基およびザンテート基などの極性基に酸化された酸化セルロースナノファイバーなど)を使用するのが好ましく、特に、カルボキシ基を有する化学変性ナノセルロースを使用するのがより好ましい。
【0038】
また、本発明のゴム組成物がジエン系ゴムにスチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VP)が含まれる構成の場合には、この表面処理ナノセルロースとVPとの親和性がより高く維持され易くなり、ナノセルロースのゴム成分中への分散性がさらに高まることから、この場合も、本発明のゴム組成物に含まれるVPに対するナノセルロース(NC)の質量比(NC/VP)が0.1~2.5である構成とするのがより好ましく、この質量比は0.2~2.0であるのがさらに好ましく、0.3~1.5であるのがさらに好ましい。
【0039】
[その他の成分]
本発明のゴム組成物は、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲において、さらに、上記以外の無機充填剤(例えばクレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、上記以外の樹脂成分、プロセスオイル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、レシチン、老化防止剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤(例えば、硫黄など)、加硫促進剤、加硫促進助剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を適量含有させることができ、これらの添加剤を公知の方法で混練してゴム組成物とすることができる。
【0040】
例えば、本発明のゴム組成物におけるプロセスオイルの含有量は、前述したジエン系ゴム100質量部に対して1~10質量部であるのが好ましく、2~8質量部であるのがより好ましい。これにより、本発明のゴム組成物の硬度を調整することができ、その加工性もより向上させることができる。本発明のゴム組成物におけるステアリン酸、亜鉛華、および老化防止剤の含有量は、いずれも、前述したジエン系ゴム100質量部に対して1~5質量部であるのが好ましい。
また、本発明のゴム組成物における加硫剤の含有量は、前述したジエン系ゴム100質量部に対して0.3~3.0質量部であるのが好ましく、0.5~2.5質量部であるのがより好ましい。さらに、本発明のゴム組成物における加硫促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで、前述したジエン系ゴム100質量部に対して0.3~3.0質量部であるのが好ましく、0.5~2.0質量部であるのがより好ましい。
【0041】
本発明のゴム組成物は、シリカの分散性をより高めるなどのために、さらにシランカップリング剤を含んでいてもよい。このシランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に限定されない。そして、この加水分解性基も限定されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシ基、アルケニルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基がケイ素原子と結合したアルコキシシリル基であることがより好ましい。加水分解性基がアルコキシシリル基である場合、そのアルコキシ基の炭素数は1~16であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
【0042】
また、有機官能基も限定されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であればよく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリル基、アミノ基、スルフィド基(特に、ポリスルフィド基(-Sn-:nは2以上の整数))、メルカプト基、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられ、なかでも、スルフィド基(特に、ジスルフィド基、テトラスルフィド基)、メルカプト基、ブロックメルカプト基が好ましい。
そして、このようなシランカップリング剤を、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、このシランカップリング剤は、硫黄含有シランカップリング剤であるのが好ましい。
【0043】
そして、本発明のゴム組成物においては、前述したシリカ100質量部に対して、このシランカップリング剤を1~20質量部含むのが好ましく、1.5~10質量部含むことがより好ましい。
【0044】
[製造方法等]
本発明のゴム組成物の製造方法は、常法にしたがえばよく、特段限定はされない。製造方法の一例としては、天然ゴム(NR)および/または合成イソプレンゴム(IR)を90質量%以上含むジエン系ゴムと、所定のカーボンブラックと、シリカと、ロジン系樹脂と、ナノセルロースと、必要に応じて他の成分とを、バンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混錬機を用いて常温あるいは高温下において所定の配合で混練、混合することにより本発明のゴム組成物を製造することができる。なお、加硫系成分(硫黄、加硫促進剤、加硫促進助剤など)を使用する場合には、これ以外の成分を先に高温下で混合し、冷却してから加硫系成分を混合するのが好ましい。
【0045】
以上のようにして得られた本発明のゴム組成物は、ナノセルロースを含む各成分の相互作用によって耐カット性が優れたものとなる。同時に、発熱性も抑制されており、つまり低発熱性も優れたものとなる。
【0046】
そして、この本発明のゴム組成物を少なくともタイヤの路面と接するキャップトレッド部(例えば図1の符号3の部分)および/またはタイヤの側面を構成するサイドウォール部(例えば図1の符号2の部分)に用いることにより、耐カット性および低発熱性がいずれも優れた本発明の建設車両用タイヤを得ることができる。さらに、耐チッピング性やクラック耐性も優れたものとすることもできる。特に、本発明のゴム組成物を少なくともキャップトレッド部に用いた建設車両用タイヤとするとより好適である。また、キャップトレッド部および/またはサイドウォール部の一部(例えばこの表層など)に本発明のゴム組成物を部分的に用いてもよい。さらに、これら以外の部材(例えば図1の符号1のビード部など)にも本発明のゴム組成物を用いて本発明の建設車両用タイヤを構成してもよく、あるいは、本発明の建設車両用タイヤの全体が本発明のゴム組成物により構成されたものであっても構わない。つまり、本発明のゴム組成物は、建設車両のタイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができるものである。また、建設車両以外のタイヤ用ゴム組成物としても好適に使用できる。なお、本発明の建設車両用タイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、この空気入りタイヤに充填する気体としては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、およびその他の気体を使用することができる。
【0047】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
【実施例0048】
(ゴム組成物の作製および評価)
下記表1に示す組成のゴム組成物を作製した。
【0049】
具体的には、まず下記表1の上段に示す質量部の各成分(加硫促進剤および硫黄を除く)を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて150℃付近まで温度を上げてから5分間混合した後、ミキサーから放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られた各マスターバッチに加硫促進剤および硫黄を所定量混合して混錬し、これを所定の金型中において170℃10分間プレス加硫して、標準例、比較例1~7、および実施例1~3のゴム組成物(加硫ゴム試験片)を作製した。
【0050】
そして、得られた標準例、比較例1~7、および実施例1~3のゴム組成物(加硫ゴム試験片)について、以下のようにして発熱性および耐カット性の評価を行った。
【0051】
<発熱性>
得られた各加硫ゴム試験片について、東洋精機製作所社製、粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件でtanδ(60℃)を測定した。
この結果を下記表1の下段に示した。なお、結果は標準例の値を100とする指数で表し、低発熱性であるほどこの指数が大きくなるように換算した。つまり、この指数が大きいほど低発熱性であることを意味する。
【0052】
<耐カット性>
得られた各加硫ゴム試験片について、JIS K6251に準拠して破断伸び(Eb)を測定した。
この結果も下記表1の下段に示した。なお、結果は標準例の値を100とする指数で表した。この指数が大きいほど耐カット性が優れることを意味する。
【0053】
【表1】
【0054】
上記表1中における各成分の詳細な内容は以下の通りである。
・NR:天然ゴム(TSR20、ガラス転移温度(Tg):-62℃)
・SBR:スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Nipol 1502、日本ゼオン社製)
・VP:スチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(Nipol LX2518FS、日本ゼオン社製)
・セルロースナノファイバー:酸化セルロースナノファイバー(CNF;日本製紙社製,Cellenpia)
・表面処理セルロースナノファイバー:酸化セルロースナノファイバー(CNF;日本製紙社製,Cellenpia)を固形分量の質量比でCNFの1/10量となるノボラック型レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物(RF樹脂(スミカノール(登録商標)700S)、住友化学工業社製)および固形分量の質量比でCNFの1/10量となるホルムアルデヒド水溶液(関東化学社製、37%溶液)により表面処理したもの
・カーボンブラック:ショウブラックN339(窒素吸着比表面積(N2SA):88m2/g、ギャボットジャパン社製)
・シリカ:Zeosil 1165MP(CTAB吸着比表面積:159m2/g、ローディア社製)
・シランカップリング剤:Si69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製)
・プロセスオイル:エキストラクト4号S(シェルルブリカンツジャパン社製)
・ロジン系樹脂:ロジン変性樹脂(ハリタックAQ-90A、ハリマ化成社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛(ZnO、正同化学工業社製)
・老化防止剤:オゾノン6C(精工化学社製)
・加硫促進剤:ノクセラーNS-P(大内新興化学工業社製)
・硫黄:ミュークロン OT-20(四国化成工業社製)
【0055】
この結果から、ジエン系ゴム、所定の窒素吸着比表面積であるカーボンブラック、シリカ、ロジン系樹脂、およびセルロースナノファイバーを含有するゴム組成物において、ジエン系ゴムとして天然ゴムを95質量部以上含むジエン系ゴムを用い、さらに、このジエン系ゴム100質量部に対して、所定の窒素吸着比表面積のカーボンブラックを40質量部、シリカを25質量部、ロジン系樹脂を6.0質量部、およびセルロースナノファイバーを3質量部含む構成とすることにより(実施例1~3)、ナノセルロースを含まない構成である標準例や比較例1、4~7との比較などから、低発熱性および耐カット性がいずれも優れたゴム組成物となることが示され、特に建設車両用タイヤのキャップトレッド部やサイドウォール部への使用に適したゴム組成物となっていることが示された。
【0056】
また、上記構成において、ジエン系ゴムとしてスチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体を5質量部含むジエン系ゴムを用いることにより、低発熱性および耐カット性がいずれもより優れたものとなり(実施例2~3)、さらに含まれるセルロースナノファイバーがRF樹脂により表面処理されたセルロースナノファイバーである構成とすることにより、低発熱性および耐カット性がいずれもさらに優れたものとなる(実施例3)ことも示された。
一方で、セルロースナノファイバーの含有量が多すぎたり少なすぎたりすると、発熱性が大きくなり好ましくないことも明らかとなった(比較例2~3)。
【符号の説明】
【0057】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 キャップトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
図1