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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025419
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】アキューム装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/14 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B65H19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128844
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】嵜田 慎也
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064BA05
3F064BB15
(57)【要約】
【課題】アキューム量の多さに起因する不具合を軽減させる。
【解決手段】アキューム装置(1)は、アキューム部(10)が、帯状フィルムが交互に掛け渡される、複数の固定ローラ(11)およびその固定ローラ(11)に対して相対的に接近または離隔する複数の可動ローラ(12)と、可動ローラ(12)を固定ローラ(11)に対して相対的に接近または離隔させる電動アクチュエータ(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状フィルムを搬入する搬入部と、
前記帯状フィルムを搬出する搬出部と、
前記搬入部と前記搬出部との間に設置され、前記帯状フィルムの搬入速度と搬出速度との差により生じる帯状フィルムの余裕分を蓄積可能なアキューム部と、
を備え、
前記アキューム部は、
前記帯状フィルムが交互に掛け渡される、複数の第一ローラおよびその第一ローラに対して相対的に接近または離隔する複数の第二ローラと、
前記第二ローラを前記第一ローラに対して相対的に接近または離隔させる電動アクチュエータと、を備えているアキューム装置。
【請求項2】
前記搬入部における前記帯状フィルムの残量が予め設定した閾値以下になったか否かを検知する残量検知センサを備えている、請求項1に記載のアキューム装置。
【請求項3】
前記電動アクチュエータは、
前記残量検知センサの検知結果に基づいて、前記第一ローラを前記第二ローラに対して相対的に接近または離隔させる、請求項2に記載のアキューム装置。
【請求項4】
前記搬入部は、
前記帯状フィルムの残量が予め設定した閾値以下になったことを前記残量検知センサが検知し、かつ、前記帯状フィルムの搬出速度が、前記帯状フィルムの搬入速度よりも速い場合、前記帯状フィルムの搬入速度を上げるとともに搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで通常のアキューム量よりも少なくする、請求項2に記載のアキューム装置。
【請求項5】
前記搬入部は、
前記帯状フィルムの残量が予め設定した閾値以下になったことを前記残量検知センサが検知しない状態で、かつ、前記搬出部における前記帯状フィルムの搬出速度が、前記搬入部における前記帯状フィルムの搬入速度よりも遅い場合、前記帯状フィルムの搬入速度を下げるとともに搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで通常のアキューム量よりも多くする、請求項2に記載のアキューム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキューム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベリング装置は、基材送出装置から送出される長尺帯状のラベル形成基材を順次切断することで所望するラベルを形成する。通常、基材送出装置にラベル形成基材を補充する作業の間、ラベリング装置にはラベル形成基材が搬入されなくなるため、ラベリング装置の運転を一時的に停止させることになる。そこで、例えば特許文献1には、ラベリング装置と基材送出装置との間に、ラベル形成基材を一時的に蓄積するアキューム装置を設けることが開示されている。アキューム装置を設けることで、基材送出装置にラベル形成基材を補充する作業の間、ラベリング装置の運転を停止させることなく、アキューム装置に蓄積されたラベル形成基材によってラベルを形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-116513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、アキューム装置は、固定設置された複数の固定ローラと、これら固定ローラに対して接近または離隔する複数の可動ローラとを備え、帯状のラベル形成基材がこれらの固定ローラと可動ローラとに交互に掛け渡されることで、ラベル形成基材を蓄積するようになっている。従来のアキューム装置では、常にラベル形成基材の蓄積量(アキューム量)を満量に保ちながら、ラベル形成基材をラベリング装置に送出するようになっている。このように、アキューム量が多い状態が続くと、蓄積されているラベル形成基材に静電気が帯電しやすくなること、さらに、エア溜まりが発生すること、蓄積されているラベル形成基材同士の擦れが発生すること等の不具合の発生リスクが高くなる。
【0005】
本発明の一態様は、アキューム量を適切に制御することで、アキューム量が常に多いことに起因する不具合を軽減できるアキューム装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るアキューム装置は、帯状フィルムを搬入する搬入部と、前記帯状フィルムを搬出する搬出部と、前記搬入部と前記搬出部との間に設置され、前記帯状フィルムの搬入速度と搬出速度との差により生じる帯状フィルムの余裕分を蓄積可能なアキューム部と、を備え、前記アキューム部は、前記帯状フィルムが交互に掛け渡される、複数の第一ローラおよびその第一ローラに対して相対的に接近または離隔する複数の第二ローラと、前記第二ローラを前記第一ローラに対して相対的に接近または離隔させる電動アクチュエータと、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、アキューム量を適切に制御することで、アキューム量が常に多いことに起因する不具合を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係るアキューム装置の概略斜視図である。
図2図1に示すアキューム装置の正面図である。
図3図1に示すアキューム装置が備えるフィルム送り機構の概略斜視図である。
図4図1に示すアキューム装置が備えるアキューム部の要部を示す概略斜視図である。
図5図4に示すアキューム部における通常運転時の状態を示す図である。
図6図4に示すアキューム部におけるスプライス時の状態を示す図である。
図7図1に示すアキューム装置が備えるリール部の概略斜視図である。
図8図1に示すアキューム装置が備える制御部の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
(アキューム装置の概要)
図1は、本発明の実施形態1に係るアキューム装置1の概略斜視図である。図2は、図1に示すアキューム装置1の正面図である。図1および図2に示すように、アキューム装置1は、搬入部20、搬出部30、アキューム部10、および電動アクチュエータ14を備える。また、アキューム装置1は、搬入部20の駆動制御、搬出部30の駆動制御、電動アクチュエータ14の駆動制御を行う制御部40(図8)を備える。
【0011】
搬入部20は、帯状フィルムFを搬入する。帯状フィルムFは、ボトルに装着されるシュリンクラベル、ストレッチラベルのような収縮性のあるラベル、またはロールラベル、タックラベルのように収縮性のないラベルのような合成樹脂フィルムによって形成された筒状のラベルが連続的に繋がった、長尺帯状のラベル形成基材である。搬入部20は、リール部21およびフィルム送り機構22を有する。
【0012】
リール部21は、帯状フィルムFを紙管にロール状に巻回した原反ロールが収容される部位である。搬入部20は、リール部21を複数備えていてよい。この場合、リール部21のそれぞれに原反ロールが収容され、いずれか1つの原反ロールから帯状フィルムFが繰り出される。原反ロールに巻回された帯状フィルムFが少なくなると、他の原反ロールに巻回された帯状フィルムFがスプライス(繋ぎ替え)される。
【0013】
フィルム送り機構22は、リール部21に収容された原反ロールから繰り出された帯状フィルムFをアキューム部10へ送る。フィルム送り機構22の具体的な構成については後述する。
【0014】
搬出部30は、帯状フィルムFをアキューム部10から搬出する。搬出部30によりアキューム部10から搬出された帯状フィルムFは、例えばラベリング装置に供給される。ラベリング装置は、帯状フィルムFを順次切断することで筒状のラベルを形成する。
【0015】
アキューム部10は、搬入部20による帯状フィルムFの搬入速度と、搬出部30による帯状フィルムFの搬出速度との差により生じる帯状フィルムFの余裕分を蓄積可能な部位である。アキューム部10は、搬入部20と搬出部30との間に設置される。ここで、搬入部20による帯状フィルムFの搬入速度は、リール部21からアキューム部10への帯状フィルムFの送り出しの速度である。この速度は、リール部21の回転速度および原反ロールにおける帯状フィルムFの残量によって算出される。また、搬出部30による帯状フィルムFの搬出速度は、帯状フィルムFの搬出先のラベリング装置(図示せず)における帯状フィルムFの引っ張り速度である。この速度は、ラベリング装置のラベル形成速度に等しい。
【0016】
アキューム部10は、複数の固定ローラ(第一ローラ)11および複数の可動ローラ(第二ローラ)12を有する。固定ローラ11は、固定設置されたローラである。可動ローラ12は、固定ローラ11に対して接近または離隔するローラである。複数の固定ローラ11は、任意の第1平面に沿って、互いに間隔をおいて平行に配置されている。複数の可動ローラ12は、第1平面に平行な任意の第2平面に沿って、互いに間隔をおいて平行に配置されている。図2においては、第1平面および第2平面は、鉛直面である。複数の固定ローラ11および複数の可動ローラ12は、回転軸が水平であるように、互い違いの高さに配置されている。ただし、複数の固定ローラ11および複数の可動ローラ12の配置はこれに限られない。
【0017】
アキューム部10においては、帯状フィルムFは、複数の固定ローラ11および複数の可動ローラ12の間に交互に掛け渡される。固定ローラ11と可動ローラ12とが互いに離隔する方向に相対移動することにより、帯状フィルムFがアキューム部10にアキュームされる。可動ローラ12は、可動プレート13に取付けられ、さらに、可動プレート13には電動アクチュエータ14が取付けられている。
【0018】
電動アクチュエータ14は、可動ローラ12を固定ローラ11に対して接近または離隔する方向に移動させる。すなわち、電動アクチュエータ14は、可動プレート13を介して、可動ローラ12を、上述した第1平面および第2平面に垂直な方向に移動させる。電動アクチュエータ14は、可動ローラ12の位置を、可動範囲における任意の位置に調整可能である。したがって、電動アクチュエータ14によれば、アキューム部10における帯状フィルムFのアキューム量を任意に調整可能である。アキューム量を任意に調整可能であれば、アキューム量が常に多い状態が続くことを避けることが可能となるため、アキューム量が常に多い状態が続くことに起因する不具合である、蓄積されている帯状フィルムFに静電気が帯電しやすくなること、エア溜まりが発生すること、蓄積されている帯状フィルムF同士の擦れが発生することを軽減することができる。
【0019】
(フィルム搬送)
図3は、図1に示すアキューム装置1が備えるフィルム送り機構22の概略斜視図である。図3に示すように、フィルム送り機構22は、第1転換部22a、第2転換部22bおよび第3転換部22cを備える。
【0020】
フィルム送り機構22において、リール部21に収容された原反ロールから繰り出された帯状フィルムFは、鉛直上方に向かう方向に搬送される。第1転換部22aは、帯状フィルムFの搬送方向を、水平方向に転換する。第2転換部22bは、第1転換部22aから搬送された帯状フィルムFを斜めに折り返すことで、帯状フィルムFの搬送方向を、水平面内において90°変更する。第3転換部22cは、第2転換部22bから搬送された帯状フィルムFの搬送方向を、鉛直上方に向かう方向に変更する。以上の動作により、帯状フィルムFは、原反ロールから繰り出された状態から、鉛直方向に平行な軸周りで90°回転した状態で、アキューム部10へ送られる。
【0021】
(アキューム部の概要)
図4は、図1に示すアキューム装置1が備えるアキューム部10の要部を示す概略斜視図である。アキューム部10は、上述した固定ローラ11および可動ローラ12に加えて、可動プレート13をさらに有する。可動プレート13は、可動ローラ12が取り付けられるプレートである。
【0022】
電動アクチュエータ14は、円筒部材14aと、円筒部材14a内に収容されるロッド14b、円筒部材14a内に収容されたロッド14bを伸縮自在に駆動させる駆動部14cとを備えている。すなわち、電動アクチュエータ14は、駆動部(例えばサーボモータ)14cの駆動力が円筒部材14a内の駆動力伝達部(例えばギヤ)に伝わり、駆動力伝達部(ギヤ)に接続(歯合)されたロッド14bが伸縮する。従って、ロッド14bは、駆動部14cによって伸縮自在となっている。なお、電動アクチュエータ14については、上述した構成に限定されない。
【0023】
ロッド14bの先端部(円筒部材14aと反対側の端部)には、可動プレート13が取付けられている。これにより、ロッド14bが伸縮することで、可動プレート13を固定ローラ11に対して接近または離隔させることができる。つまり、電動アクチュエータ14のロッド14bを伸縮させて、可動プレート13を移動させることで、可動プレート13に取り付けられた可動ローラ12を、固定ローラ11に対して接近または離隔する方向に一体に移動させることができる。
【0024】
アキューム部10は、必ずしも可動プレート13を備えなくてもよく、可動ローラ12の数に等しい電動アクチュエータ14を備えていてもよい。その場合、複数の可動ローラ12を互いに独立して移動させることができる。ただし、アキューム部10のコスト面からは、可動プレート13により複数の可動ローラ12を一体に移動させることが好ましい。
【0025】
本実施形態では、電動アクチュエータ14の駆動部14cにサーボモータを使用していることで、サーボモータの負荷率からアキューム部10における帯状フィルムFの張力を検知することができる。そして、サーボモータの負荷率を張力の検知信号として、この検知信号をサーボモータにフィードバックすることで、当該サーボモータの動作をコントロールする。この構成により、電動アクチュエータ14は、帯状フィルムFの張力を検知するセンサを別途設けることなく、常に、帯状フィルムFの張力を適正に保つことが可能となっている。但し、後述するアキューム量の制御を行う場合のように、アキューム量を大きく変化させる場合には、サーボモータの負荷率に関係無く、例えば、制御部40(図8)からの制御信号に基づき電動アクチュエータ14のサーボモータの動作がコントロールされる。
【0026】
(動作説明)
図5は、図4に示すアキューム部10における通常運転時の状態を示す図である。通常運転時には、電動アクチュエータ14により、可動ローラ12を固定ローラ11に接近した状態とする。その結果、アキューム部10における帯状フィルムFのアキューム量が減少する。例えば、アキューム部10において不具合が生じた場合には、アキューム部10にアキュームされていた帯状フィルムFがロスとなる。通常運転時にはアキューム量を減少させることで、不具合発生時の帯状フィルムFのロスが低減される。
【0027】
図6は、図4に示すアキューム部10におけるスプライス時の状態を示す図である。スプライス時には、搬入部20による帯状フィルムFの搬入が一時的に停止される。このため、スプライス時には、電動アクチュエータ14により、可動ローラ12を固定ローラ11から離隔した状態とする。その結果、アキューム部10における帯状フィルムFのアキューム量が増加する。したがって、アキューム部10にアキュームされた帯状フィルムFをラベリング装置に供給することで、スプライス時であってもラベリング装置を停止させることなくスプライスできる。ここで、スプライス時にアキュームする際に、帯状フィルムFは、アキューム部10において十分にアキュームできる量がリール部21に残っている必要がある。従って、スプライス時にアキュームするタイミングとしては、リール部21に収容されている原反ロールに保持されている帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になったときとするのが好ましい。
【0028】
(帯状フィルムFの残量検知)
図7は、図1に示すアキューム装置1が備えるリール部21の概略斜視図である。図7に示すように、リール部21は、残量検知センサ24を備える。残量検知センサ24は、リール部21に収容されている原反ロールに保持されている帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になったか否かを検知する。残量検知センサ24は、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になった場合に、そのことを示す信号を出力する。つまり、残量検知センサ24は、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下でなければ信号を出力しない。ここで、残量検知センサ24が検知する上記の予め設定した閾値は、上述した通り、スプライス時にアキュームする際に、帯状フィルムFがアキューム部10において十分にアキュームできる量であることが好ましい。つまり、残量検知センサ24によって検知される予め設定した閾値は、設定されるアキューム量によって設定すればよい。ただし、残量検知センサ24は、帯状フィルムFの残量を監視し、残量に応じた信号を出力してもよい。このように、リール部21に残量検知センサ24を設けることで、帯電フィルムFの残量をオペレータ自ら監視する必要がなくなる。なお、残量検知センサ24を設ける位置については特に限定されものではなく、リール部21に収容されている原反ロールに保持されている帯状フィルムFの残量を検知できる位置であればよい。
【0029】
電動アクチュエータ14は、残量検知センサ24の検知結果に基づいて、可動ローラ12を固定ローラ11に対して接近または離隔させる。つまり、リール部21が残量検知センサ24を備えることで、スプライス時には電動アクチュエータ14によって自動的にアキュームを実行することが可能となるので、従来のように、帯状フィルムFの残量を監視し、アキュームを実行する場合に比べて作業者の手間を大幅に軽減することができる。
【0030】
(制御部)
図8は、図1に示すアキューム装置1が備える制御部40の概略ブロック図である。アキューム装置1は、搬入部20、搬出部30、および電動アクチュエータ14の動作を制御する制御部40をさらに備える。図8に示すように、制御部40は、搬入部20、搬出部30、電動アクチュエータ14、および残量検知センサ24に接続されている。制御部40は、残量検知センサ24の検知結果と、帯状フィルムFの搬入速度と搬出速度との差と、の少なくとも一方に基づき、アキューム装置1の動作を制御する。制御部40による制御として、搬入部20における帯状フィルムFの搬入制御と、搬出部30における帯状フィルムFの搬出制御と、電動アクチュエータ14の駆動制御と、が挙げられる。
【0031】
制御部40は、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になったと残量検知センサ24が検知したとき、可動ローラ12を固定ローラ11から離隔する方向に移動するように電動アクチュエータ14を制御してもよい。その結果、図6を参照して上述したとおり、アキューム部10におけるアキューム量が増加する。したがって、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になった原反ロールに新たな原反ロールをスプライスするときに、アキュームした帯状フィルムFを搬出部30により搬出できる。これにより、スプライス時に搬出部30から搬出される帯状フィルムFを用いてラベルを作成するラベリング装置の運転を停止させる必要はない。
【0032】
また、制御部40は、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になったことを残量検知センサ24が検知するまで、可動ローラ12を固定ローラ11に対して予め設定した距離まで接近した状態を維持するように電動アクチュエータ14を制御してもよい。その結果、図5を参照して上述したとおり、アキューム部10におけるアキューム量が減少する。したがって、アキューム装置1を停止させる場合における帯状フィルムFのロスを低減できる。ここで、予め設定した距離は、可動ローラ12と固定ローラ11とができるだけ近接した距離であることが好ましい。
【0033】
また、制御部40は、帯状フィルムFの搬入速度と搬出速度との差に基づいて、可動ローラ12を固定ローラ11に対して接近または離隔させるように電動アクチュエータ14を制御してもよい。搬出部30の搬出速度に合わせてフィルム送り機構22が動作し、帯状フィルムFが繰り出される。特に、搬出速度の変更があったり、アキューム量の変更があった場合には、搬出部30の搬出速度とフィルム送り機構22によるフィルム繰り出し速度(搬入部20の搬入速度)にばらつきが発生する。そのばらつきによって、アキューム部10内の帯状フィルムFの張力の誤差が発生し、蛇行やねじれが発生するリスクが高くなる。電動アクチュエータ14を制御することにより、帯状フィルムFに一定の張力がかかるようにアキューム部10の可動ローラ12を移動させる。例えば、搬出部30が帯状フィルムFの停止の状態から搬送が開始された場合、搬送速度をアップした直後等において、搬出部30における帯状フィルムFの搬出速度が、搬入部20における帯状フィルムFの搬入速度よりも速くなってしまった場合、制御部40は、可動ローラ12を固定ローラ11に対して接近する方向に移動させるように電動アクチュエータ14を制御してもよい。その結果、搬出部30から搬出される帯状フィルムFの搬出速度と、搬入部20から搬入される帯状フィルムFの搬入速度が安定するまで、アキューム量は、可動ローラ12を固定ローラ11に対して接近する方向に移動させることにより、通常よりも張力が高かった帯状フィルムFが適正な張力となる量になる。
【0034】
また、制御部40は、搬出部30における帯状フィルムFの搬出速度が、搬入部20における帯状フィルムFの搬入速度よりも遅くなってしまった場合、可動ローラ12を固定ローラ11に対して離隔する方向に移動させるように電動アクチュエータ14を制御してもよい。その結果、搬出部30から搬出される帯状フィルムFの搬出速度と、搬入部20から搬入されるフィルムFの搬入速度が安定するまで、アキューム量は、可動ローラ12を固定ローラ11に対して離隔する方向に移動させることにより通常よりも張力が低かった帯状フィルムFが適正な張力となる量になる。
【0035】
また、制御部40は、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になったこと残量検知センサ24が検知し、かつ、搬出部30における帯状フィルムFの搬出速度が、搬入部20における帯状フィルムFの搬入速度よりも速い場合、帯状フィルムFの搬入速度を上げるとともに搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで通常のアキューム量よりも少なくするように、電動アクチュエータ14を制御してもよい。その結果、搬出部30における帯状フィルムFの搬出速度と、搬入部20から搬入される帯状フィルムFの搬入速度が安定するまで、アキューム量は、可動ローラ12を固定ローラ11に対して離隔する方向に移動させることにより、通常よりも張力が低かった帯状フィルムFが適正な張力となる量になる。
【0036】
ここで、「搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで」とは、搬出速度と搬入速度とが同じになるまで(一致するまで)、あるいは搬出速度と搬入速度との差が予め設定した速度範囲内になるまでを意味する。
【0037】
さらに、制御部40は、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になったことを残量検知センサ24が検知しない状態で、かつ、搬出部30における帯状フィルムFの搬出速度が、搬入部20における帯状フィルムFの搬入速度よりも遅い場合、帯状フィルムFの搬入速度を下げるとともに搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで通常のアキューム量よりも多くするように、電動アクチュエータ14を制御してもよい。その結果、搬出部30における帯状フィルムFの搬出速度と、搬入部20から搬入される帯状フィルムFの搬入速度が安定するまで、アキュームの量は、可動ローラ12を固定ローラ11に対して接近する方向に移動させることにより、通常よりも張力が高かった帯状フィルムFが適正な張力となる量になる。
【0038】
ここで、「搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで」とは、搬出速度と搬入速度とが同じになるまで(一致するまで)、あるいは搬出速度と搬入速度との差が予め設定した速度範囲(許容範囲)内になるまでを意味する。
【0039】
(アキューム装置の効果)
通常のアキューム装置では、アキュームされている帯状フィルムが一定量を保つように、帯状フィルムを常に一定の引張り力で引っぱり続けている。このアキュームされている帯状ローラにテンションをかけるために、例えば可動ローラをエアシリンダによって引っ張るようにしている。つまり、可動ローラを、エアシリンダによって変位させている。このように、エアシリンダによる変位では、例えば可動範囲の両端のいずれかに可動ローラを変位させることは可能であるものの、可動範囲の両端以外の、任意の位置に可動ローラを変位させることは困難である。
【0040】
また、通常のアキューム装置では、アキュームを実行する際に、可動ローラを、固定ローラよりもエアシリンダから離隔した位置まで移動させる。その状態で、オペレータが、帯状フィルムを、固定ローラと可動ローラとの間に通す。その後で、エアシリンダが、可動ローラを、可動ローラの移動方向において、固定ローラよりもエアシリンダ側まで移動させる。これにより、帯状フィルムが、複数の固定ローラと複数の可動ローラとの間に交互に架け渡された状態となる。
【0041】
このような動作を行うため、従来のアキューム装置では、可動ローラが固定ローラよりもエアシリンダから離隔した位置になるように、エアシリンダの可動範囲の一端を設定する必要があった。この状態では帯状フィルムはアキュームされない。また、エアシリンダの可動範囲の他端は、帯状フィルムFのアキューム量が最大となるように設定される。したがって、従来のアキューム装置では、アキューム量が最大よりも少ない一定の量となるように可動ローラを移動させることは困難であった。
【0042】
これに対して、上記構成のアキューム装置1においては、可動ローラ12の位置を電動アクチュエータ14により調整することで、必要に応じてアキューム量を調整可能である。したがって、制御部40は、例えば上述したとおり、通常運転時にはアキューム量を少量とし、帯状フィルムFの残量が予め設定した閾値以下になった場合にのみアキューム量を通常運転時よりも増加させるように可動ローラ12の位置を調整できる。これにより、アキュームされた帯状フィルムFにおける静電気の帯電、およびエア溜まりの発生を低減できる。
【0043】
さらに、ラベル形成基材である帯状フィルムFの廃棄ロスを軽減させるために、ラベル生産終了時はオペレータに終了モードに切り替えてもらう事でアキューム量を減らすことが行われているが、帯状フィルムFの残量確認と、終了モードへの切換えのタイミングを図る為、オペレータはアキューム装置1を常に監視する必要があり、手間がかかるという問題が生じる。しかしながら、上記構成のアキューム装置1では、電動アクチュエータ14によって自由にアキューム量を調整することができるため、ラベルの生産終了時において生産終了を受付けた後、自動的にアキューム量を少なくなるようにできる。従って、従来のように、帯状フィルムFの残量を監視し、アキューム量が調整するといったオペレータの手間を低減できる。このように、上記構成のアキューム装置1によれば、オペレータの手間を低減し、かつ、帯状フィルムFの廃棄ロスを軽減させることができる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する(天然材料、リサイクル、廃棄物処理等)」、目標14「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する(脱プラスチック、農林水産関係)」等の達成にも貢献するものである。
【0044】
なお、本実施形態では、第一ローラとして、装置に固定された固定ローラ11、第二ローラとして、固定ローラ11に対して離接可能に可動する可動ローラ12を用いた例、つまり、一方が固定、他方が可動するローラについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、両方が可動するローラであってもよい。この場合、固定ローラ11に対応する可動ローラを第一ローラ、可動ローラ12を第二ローラとすれば、電動アクチュエータ14によって、第二ローラを第一ローラに対して相対的に接近または離隔させるようにすればよい。
【0045】
(まとめ)
本発明の態様1に係るアキューム装置は、帯状フィルム(F)を搬入する搬入部(20)と、前記帯状フィルム(F)を搬出する搬出部(30)と、前記搬入部(20)と前記搬出部(30)との間に設置され、前記帯状フィルム(F)の搬入速度と搬出速度との差により生じる帯状フィルム(F)の余裕分を蓄積可能なアキューム部(10)と、を備え、前記アキューム部(10)は、前記帯状フィルム(F)が交互に掛け渡される、複数の第一ローラ(固定ローラ11)およびその第一ローラ(固定ローラ11)に対して相対的に接近または離隔する複数の第二ローラ(可動ローラ12)と、前記第二ローラ(可動ローラ12)を前記第一ローラ(固定ローラ11)に対して相対的に接近または離隔させる電動アクチュエータ(14)と、を備えている。
【0046】
上記の構成によれば、電動アクチュエータ(14)によってアキューム部(10)における帯状フィルム(F)のアキューム量を任意に調整可能である。このように、アキューム量を任意に調整可能であれば、アキューム量が常に多い状態が続くことを避けることが可能となるため、アキューム量が常に多い状態が続くことに起因する不具合である、蓄積されている帯状フィルム(F)に静電気が帯電しやすくなること、エア溜まりが発生すること、蓄積されている帯状フィルム(F)同士の擦れが発生することを軽減することができる。
【0047】
本発明の態様2に係るアキューム装置は、上記態様1において、前記搬入部(20)における前記帯状フィルム(F)の残量が予め設定した閾値以下になったか否かを検知する残量検知センサ(24)を含んでいてもよい。上記の構成によれば、残量検知センサ(24)を備えることで、帯電フィルム(F)の残量をオペレータ自ら監視する必要がなくなる。
【0048】
本発明の態様3に係るアキューム装置は、上記態様2において、前記電動アクチュエータ(14)は、前記残量検知センサ(24)の検知結果に基づいて、前記第二ローラ(可動ローラ12)を前記第一ローラ(固定ローラ11)に対して接近または離隔させるようにしてもよい。上記構成によれば、残量検知センサ(24)の検知結果を用いることで、スプライス時には電動アクチュエータ(14)によって自動的にアキュームを実行することが可能となる。従って、従来のように、帯状フィルム(F)の残量を監視し、アキュームを実行する場合に比べて作業者の手間を大幅に軽減することができる。
【0049】
本発明の態様4に係るアキューム装置は、上記態様2または3において、前記電動アクチュエータ(14)は、前記残量検知センサ(24)によって前記帯状フィルム(F)の残量が予め設定した閾値以下になったことが検知されたとき、前記第二ローラ(可動ローラ12)を前記第一ローラ(固定ローラ11)から離隔する方向に移動させるようにしてもよい。上記構成によれば、帯状フィルム(F)の残量が予め設定した閾値以下になったときに、アキュームを実行することになる。これにより、新たな原反ロールをスプライスするときに、アキュームした帯状フィルム(F)を搬出部(30)により搬出できる。従って、スプライス時に搬出部(30)から搬出される帯状フィルム(F)を用いてラベルを作成するラベリング装置の運転を停止させる必要はなくなる。
【0050】
本発明の態様5に係るアキューム装置は、上記態様2または3において、前記電動アクチュエータ(14)は、前記残量検知センサ(24)によって前記帯状フィルム(F)の残量が予め設定した閾値以下になったことが検知されるまで、前記第二ローラ(可動ローラ12)を前記第一ローラ(固定ローラ11)に対して予め設定された距離まで接近した状態を維持するようにしてもよい。上記構成によれば、アキューム部(10)におけるアキューム量が減少するので、アキューム装置(1)を停止させる場合における帯状フィルム(F)のロスを低減できる。
【0051】
本発明の態様6に係るアキューム装置は、上記態様1~5の何れか1態様において、前記電動アクチュエータ(14)は、前記帯状フィルム(F)の搬入速度と搬出速度との差に基づいて、前記第二ローラ(可動ローラ12)を前記第一ローラ(固定ローラ11)に対して相対的に接近または離隔させるようにしてもよい。帯状フィルム(F)の搬入速度と搬出速度とに差が生じた場合では、帯状フィルム(F)の張力が不安定になる。このため、上記構成のように、電動アクチュエータ(14)によってアキューム量を調整することで、帯状フィルム(F)の張力が安定する。
【0052】
本発明の態様7に係るアキューム装置は、上記態様6において、前記電動アクチュエータ(14)は、前記帯状フィルム(F)の搬出速度が、前記帯状フィルム(F)の搬入速度よりも速い場合、前記第二ローラ(可動ローラ12)を前記第一ローラ(固定ローラ11)に対して接近する方向に移動させるようにしてもよい。上記構成によれば、帯状フィルム(F)の搬出速度と、帯状フィルム(F)の搬入速度が安定するまで、第二ローラ(可動ローラ12)を第一ローラ(固定ローラ11)に対して接近する方向に移動させることにより、通常よりも張力が高かった帯状フィルム(F)は適正な張力となる。
【0053】
本発明の態様8に係るアキューム装置は、上記態様6または7において、前記電動アクチュエータ(14)は、前記帯状フィルム(F)の搬出速度が、前記帯状フィルム(F)の搬入速度よりも遅い場合、前記第二ローラ(可動ローラ12)を前記第一ローラ(固定ローラ11)に対して離隔する方向に移動させるようにしてもよい。上記構成によれば、帯状フィルム(F)の搬送速度と、帯状フィルム(F)の搬入速度が安定するまで、第二ローラ(可動ローラ12)を第一ローラ(固定ローラ11)に対して離隔する方向に移動させることにより、通常よりも張力が低かった帯状フィルム(F)は適正な張力となる。
【0054】
本発明の態様9に係るアキューム装置は、上記態様2~8の何れか1態様において、前記搬入部(20)は、前記帯状フィルム(F)の残量が予め設定した閾値以下になったことを前記残量検知センサ(24)が検知し、かつ、前記帯状フィルム(F)の搬出速度が、前記帯状フィルム(F)の搬入速度よりも速い場合、前記帯状フィルム(F)の搬入速度を上げるとともに搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで通常のアキューム量よりも少なくするようにしてもよい。上記構成によれば、帯状フィルム(F)の搬出速度と、帯状フィルム(F)の搬入速度が安定するまで、アキューム量は、第二ローラ(可動ローラ12)を第一ローラ(固定ローラ11)に対して離隔する方向に移動させることにより、通常よりも張力が低かった帯状フィルム(F)が適正な張力となる量になる。
【0055】
本発明の態様10に係るアキューム装置は、上記態様2~9の何れか1態様において、 前記搬入部(20)は、前記帯状フィルム(F)の残量が予め設定した閾値以下になったことを前記残量検知センサ(24)が検知しない状態で、かつ、前記搬出部(20)における前記帯状フィルム(F)の搬出速度が、前記搬入部(20)における前記帯状フィルム(F)の搬入速度よりも遅い場合、前記帯状フィルム(F)の搬入速度を下げるとともに搬出速度が搬入速度と同じくらいになるまで通常のアキューム量よりも多くするようにしてもよい。上記構成によれば、帯状フィルム(F)の搬出速度と、帯状フィルム(F)の搬入速度が安定するまで、アキューム量は、第二ローラ(可動ローラ12)を第一ローラ(固定ローラ11)に対して接近する方向に移動させることにより、通常よりも張力が高かった帯状フィルム(F)が適正な張力となる量になる。
【0056】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 アキューム装置、10 アキューム部、11 固定ローラ(第一ローラ)、12 可動ローラ(第二ローラ)、13 可動プレート、14 電動アクチュエータ、14a 円筒部材、14b ロッド、14c 駆動部、20 搬入部、21 リール部、22 フィルム送り機構、22a 第1転換部、22b 第2転換部、22c 第3転換部、24 残量検知センサ、30 搬出部、40 制御部、F 帯状フィルム
図1
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図8