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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025425
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】レゾルバ及びレゾルバシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20240216BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G01D5/20 110H
H02K24/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128855
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 信吾
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA43
2F077FF34
2F077PP26
2F077WW02
2F077WW03
2F077WW06
(57)【要約】
【課題】2相励磁・2相出力のレゾルバに接続される接続線に含まれる線数を従来より減らす。
【解決手段】2相の励磁巻線11と2相の出力巻線12とを有し、2相の励磁巻線に外部から2相の励磁信号の供給を受け、2相の出力巻線から2相のレゾルバ出力信号を外部に出力する、2相励磁・2相出力のレゾルバ10であって、2相の励磁巻線と2相の出力巻線とのそれぞれの巻線の端部は極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されており、2相の励磁巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて励磁共通端部21として構成され、2相の出力巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて出力共通端部22として構成される、レゾルバ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2相の励磁巻線(11)と2相の出力巻線(12)とを有し、前記2相の励磁巻線に外部から2相の励磁信号の供給を受け、前記2相の出力巻線から2相のレゾルバ出力信号を外部に出力する、2相励磁・2相出力のレゾルバ(10)であって、
前記2相の励磁巻線と前記2相の出力巻線とのそれぞれの巻線の端部は極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されており、
前記2相の励磁巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて励磁共通端部(21)として構成され、
前記2相の出力巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて出力共通端部(22)として構成される、
レゾルバ。
【請求項2】
前記励磁共通端部(21)と前記出力共通端部(22)とは、更に共通接続されて励磁出力共通端部(23)として構成される、
請求項1に記載のレゾルバ。
【請求項3】
2相励磁・2相出力のレゾルバ(10)と、
前記レゾルバ(10)を2相励磁する励磁部(110)と、
前記レゾルバ(10)から出力される2相出力を処理するレゾルバデジタル変換部(120)と、
を有するレゾルバシステム(1)において、
2相の励磁巻線と2相の出力巻線とのそれぞれの巻線の端部は極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されており、
前記2相の励磁巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて励磁共通端部(21)として構成され、
前記2相の出力巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて出力共通端部(22)として構成され、
前記2相の励磁巻線においてHIに設定されたそれぞれの端部は接続線(30)を介して前記励磁部(110)の2相の励磁信号出力(OUT1,OUT2)に接続され、
前記励磁共通端部は接続線(30)を介して前記励磁部(110)のコモン端子(COM1,COM2)に接続され、
前記2相の出力巻線においてHIに設定されたそれぞれの端部は接続線(30)を介して前記レゾルバデジタル変換部(120)の2相の信号入力(IN1,IN2)に接続され、
前記出力共通端部は接続線(30)を介して前記レゾルバデジタル変換部(120)のコモン端子(COM1,COM2)に接続される、
レゾルバシステム。
【請求項4】
前記励磁共通端部(21)と前記出力共通端部(22)とは、更に共通接続されて励磁出力共通端部(23)として構成され、
前記励磁出力共通端部(23)は、接続線(30)を介して、前記励磁部(110) のコモン端子(COM1,COM2)と前記レゾルバデジタル変換部(120)のコモン端子(COM1,COM2)とに接続される、
請求項3に記載のレゾルバシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバ及びレゾルバシステムに関し、特に、2相励磁・2相出力のレゾルバに接続される接続線の省線化に関する。
【背景技術】
【0002】
2相の励磁を行うと共に2相の出力を得ることにより、従来の1相励磁のレゾルバと比較して、高精度な角度検出を行うことが可能な2相励磁・2相出力のレゾルバが知られている。この2相励磁・2相出力のレゾルバは、以下の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-205166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2相励磁・2相出力のレゾルバの場合、2相の励磁信号の供給のために4線が用いられ、2相の出力信号を取り出すために4線が用いられる。すなわち、2相励磁・2相出力のレゾルバでは、8線の接続線が必要とされる。
【0005】
近年の各種の装置、例えば車両において、各部の回転検出のために複数のレゾルバが使用されている。この結果、接続線の集合体であるハーネスの重量が増大する傾向にある。よって、2相励磁・2相出力のレゾルバにおいて、接続線に含まれる線数を減らすことが求められている。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、2相励磁・2相出力のレゾルバに接続される接続線に含まれる線数を従来より減らすことが可能なレゾルバ及びレゾルバシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るレゾルバは、2相の励磁巻線と2相の出力巻線とを有し、2相の励磁巻線に外部から2相の励磁信号の供給を受け、2相の出力巻線から2相のレゾルバ出力信号を外部に出力する、2相励磁・2相出力のレゾルバであって、2相の励磁巻線と2相の出力巻線とのそれぞれの巻線の端部は極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されており、2相の励磁巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて励磁共通端部として構成され、2相の出力巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて出力共通端部として構成される、ことを特徴とする。
【0008】
この発明に係るレゾルバにおいて、励磁共通端部と出力共通端部とは、更に共通接続されて励磁出力共通端部として構成されてもよい。
【0009】
この発明に係るレゾルバシステムは、2相励磁・2相出力のレゾルバと、レゾルバを2相励磁する励磁部と、レゾルバから出力される2相出力を処理するレゾルバデジタル変換部と、を有するレゾルバシステムにおいて、2相の励磁巻線と2相の出力巻線とのそれぞれの巻線の端部は極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されており、2相の励磁巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて励磁共通端部として構成され、2相の出力巻線の互いのLO側の端部は共通接続されて出力共通端部として構成され、2相の励磁巻線においてHIに設定されたそれぞれの端部は接続線を介して励磁部の2相の励磁信号出力に接続され、励磁共通端部は接続線を介して励磁部のコモン端子に接続され、2相の出力巻線においてHIに設定されたそれぞれの端部は接続線を介してレゾルバデジタル変換部の2相の信号入力に接続され、出力共通端部は接続線を介してレゾルバデジタル変換部のコモン端子に接続される、ことを特徴とする。
【0010】
この発明に係るレゾルバシステムにおいて、励磁共通端部と出力共通端部とは、更に共通接続されて励磁出力共通端部として構成され、励磁出力共通端部は、接続線を介して、励磁部のコモン端子とレゾルバデジタル変換部のコモン端子とに接続されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、2相励磁・2相出力のレゾルバに接続される接続線に含まれる線数を従来より減らすことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1のレゾルバシステムの構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態2のレゾルバシステムの構成を示す構成図である。
図3】2相励磁・2相出力のレゾルバを用いたレゾルバシステムの基本的な構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のレゾルバとレゾルバシステムの実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0014】
実施の形態1.
はじめに、2相励磁・2相出力のレゾルバ10を用いた比較例としてのレゾルバシステム1Aの基本的な構成を図3に基づいて説明する。図3は、2相励磁・2相出力のレゾルバ10を用いたレゾルバシステム1Aの基本的な構成を示す構成図である。
【0015】
[比較例としてのレゾルバシステムの基本的な構成]
比較例としてのレゾルバシステム1Aには、レゾルバ10と、端子部20Aと、接続線30Aと、角度位置検出装置100Aとが設けられている。
【0016】
レゾルバ10には、2相の励磁巻線11と、2相の出力巻線12とが設けられている。2相の励磁巻線11には、第1相の励磁巻線の端部R1とR3、及び、第2相の励磁巻線の端部R2とR4が存在している。2相の出力巻線12には、第1相の出力巻線の端部S1とS3、及び、第2相の出力巻線の端部S2とS4が存在している。
【0017】
端子部20Aには、8本の端子ピンp1~p8が設けられている。端子ピンp1~p8には、励磁巻線11の端部R1~R4と、出力巻線12の端部S1~S4とが接続されている。
【0018】
接続線30Aは、端子部20Aと、角度位置検出装置100Aとを接続するもので、角度位置検出装置100Aからの2相の励磁信号をレゾルバ10へ供給すると共に、レゾルバ10から出力される2相のレゾルバ出力信号を角度位置検出装置100Aに供給する。
【0019】
角度位置検出装置100Aには、励磁部110と、レゾルバデジタル変換部120とが設けられている。
励磁部110は、励磁信号出力OUT1+及びOUT1-から第1相の励磁信号を出力し、励磁信号出力OUT2+及びOUT2-から第2相の励磁信号を出力し、接続線30Aを介してレゾルバ10の励磁巻線11に供給する。
励磁信号出力OUT1+は、接続線30A及び端子ピンp1を介して、励磁巻線11の端部R1に接続される。励磁信号出力OUT1-は、接続線30A及び端子ピンp3を介して、励磁巻線11の端部R3に接続される。
励磁信号出力OUT2+は、接続線30A及び端子ピンp2を介して、励磁巻線11の端部R2に接続される。励磁信号出力OUT2-は、接続線30A及び端子ピンp4を介して、励磁巻線11の端部R4に接続される。
【0020】
レゾルバデジタル変換部120は、レゾルバ10の出力巻線12から出力される2相のレゾルバ出力信号をデジタル演算処理し、角度と角速度とを角度位置信号として出力する。
レゾルバデジタル変換部120は、信号入力IN1+及びIN1-から第1相のレゾルバ出力信号を受け入れ、信号入力IN2+及びIN2-から第2相のレゾルバ出力信号を受け入れる。
第1相の信号入力IN1+は、接続線30Aを介して端子ピンp8に接続され、出力巻線12の端部S1に接続される。第1相の信号入力IN1-は、接続線30Aを介して端子ピンp6に接続され、出力巻線12の端部S3に接続される。
第2相の信号入力IN2+は、接続線30Aを介して端子ピンp5に接続され、出力巻線12の端部S2に接続される。第2相の信号入力IN2-は、接続線30Aを介して端子ピンp7に接続され、出力巻線12の端部S4に接続される。
【0021】
以上の2相励磁・2相出力のレゾルバ10を用いたレゾルバシステム1Aの場合、2相の励磁信号の供給のために4線が使用され、2相のレゾルバ出力信号を取り出すために4線が使用される。すなわち、2相励磁・2相出力のレゾルバは、接続線30Aとして8線を必要とする。
近年の各種の装置、例えば車両において、各部の回転検出のために複数のレゾルバが使用されている。この結果、接続線の集合体であるハーネスの重量が増大する傾向にある。よって、2相励磁・2相出力のレゾルバ10において、接続線に含まれる線数を減らすことが求められている。
【0022】
[実施形態1のレゾルバシステム1の構成と動作]
以下、図1を用いて、本発明の実施の形態1における2相励磁・2相出力のレゾルバ10を用いたレゾルバシステム1の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のレゾルバシステム1の構成を示す構成図である。図1において、既に説明した図3と同一物には同一番号を付すことで重複した説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0023】
図1において、レゾルバシステム1には、主に、レゾルバ10と、端子部20と、接続線30と、角度位置検出装置100とが設けられている。
【0024】
レゾルバ10には、2相の励磁巻線11と、2相の出力巻線12とが設けられている。
2相の励磁巻線11には、第1相の励磁巻線の端部R1とR3、及び、第2相の励磁巻線の端部R2とR4が存在している。2相の出力巻線12には、第1相の出力巻線の端部S1とS3、及び、第2相の出力巻線の端部S2とS4が存在している。
【0025】
2相の励磁巻線11の巻線の端部R1~R4と、2相の出力巻線12の巻線の端部S1~S4とは、極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されている。
この実施の形態1において、2相の励磁巻線11の巻線の端部R1とR2とはHIに設定され、2相の励磁巻線11の巻線の端部R3とR4とはLOに設定されているものとする。同様に、2相の出力巻線12の巻線の端部S1とS2とはHIに設定され、2相の出力巻線12の巻線の端部S3とS4とはLOに設定されているものとする。
そして、2相の励磁巻線11の互いのLO側の端部R3及びR4は、結線により共通接続されて励磁共通端部21として構成されている。同様に、2相の出力巻線12の互いのLO側の端部S3及びS4は、結線により共通接続されて出力共通端部22として構成されている。
【0026】
端子部20には、6本の端子ピンp1~p6が設けられている。端子ピンp1には、励磁巻線11の端部R1が接続されている。端子ピンp2には、励磁巻線11の端部R2が接続されている。端子ピンp3には、励磁共通端部21が接続されている。端子ピンp4には、出力巻線12の端部S2が接続されている。端子ピンp5には、出力共通端部22が接続されている。端子ピンp6には、出力巻線12の端部S1が接続されている。
【0027】
接続線30は、端子部20と、角度位置検出装置100とを接続するもので、角度位置検出装置100からの2相の励磁信号をレゾルバ10へ供給すると共に、レゾルバ10から出力される2相のレゾルバ出力信号を角度位置検出装置100に供給する。接続線30は、端子部20の端子ピンp1~p6の本数に合わせて、6線で構成されている。
【0028】
角度位置検出装置100には、励磁部110と、レゾルバデジタル変換部120とが設けられている。
【0029】
励磁部110は、励磁信号出力OUT1とコモン端子COM1とから第1相の励磁信号を出力し、励磁信号出力OUT2とコモン端子COM2とから第2相の励磁信号を出力し、接続線30を介してレゾルバ10の励磁巻線11に供給する。励磁部110において、コモン端子COM1,COM2は共に、励磁信号の処理において共通接続されて、共通の電位であることを意味する。そして、コモン端子COM(COM1,COM2)には、シグナルグランドSGを含む各種のグランド、差動の出力のいずれか一方の側等が含まれる。また、極性に関し、励磁部110のグランド電位に応じてマイナスコモンだけでなくプラスコモンの場合も存在する。
励磁信号出力OUT1は、接続線30及び端子ピンp1を介して、励磁巻線11のHI側の端部R1に接続される。励磁信号出力OUT2は、接続線30及び端子ピンp2を介して、励磁巻線11のHI側の端部R2に接続される。
励磁部110の第1相のコモン端子COM1と第2相のコモン端子COM2とは、共通接続され、接続線30のうちの1線であるコモン線を通り、端子ピンp3と励磁共通端部21とを介して、2相の励磁巻線11の互いのLO側の端部R3及びR4に接続される。
この結果、励磁部110からの2相の励磁信号は、接続線30のうちの3線を介して、2相の励磁巻線11の端部R1~R4に供給される。
【0030】
レゾルバデジタル変換部120は、レゾルバ10の出力巻線12から出力される2相のレゾルバ出力信号の供給を受け、2相のレゾルバ出力信号をデジタル演算処理し、角度と角速度とを角度位置信号として出力する。
レゾルバデジタル変換部120は、第1相のレゾルバ出力信号を信号入力IN1とコモン端子COM1とから受け入れ、第2相のレゾルバ出力信号を信号入力IN2とコモン端子COM2とから受け入れる。レゾルバデジタル変換部120において、コモン端子COM1,COM2は、共にレゾルバ出力信号の処理において共通接続されて、共通の電位であることを意味する。そして、コモン端子COM(COM1,COM2)には、シグナルグランドSGを含む各種のグランド、差動の入力の一方の側等が含まれる。また、極性に関し、レゾルバデジタル変換部120のグランド電位に応じてマイナスコモンだけでなくプラスコモンの場合も存在する。
信号入力IN1は、接続線30を介して端子ピンp6に接続され、出力巻線12の端部S1に接続される。信号入力IN2は、接続線30を介して端子ピンp4に接続され、出力巻線12の端部S2に接続される。
レゾルバデジタル変換部120の第1相のコモン端子COM1と第2相のコモン端子COM2とは、共通接続され、接続線30のうちの1線であるコモン線を通り、端子ピンp5と出力共通端部22とを介して、2相の出力巻線12の互いのLO側の端部S3及びS4に接続される。
この結果、レゾルバ10の2相の出力巻線12からの2相のレゾルバ出力信号は、接続線30のうちの3線を介して、レゾルバデジタル変換部120の2相の信号入力IN1とコモン端子COM1、及び、信号入力IN2とコモン端子COM2に供給される。
【0031】
以上のように、実施の形態1のレゾルバシステム1では、2相の励磁信号の供給のために接続線30の3線を使用し、2相の出力信号を取り出すために接続線30の3線を使用するため、接続線30を6線で構成することができる。
すなわち、実施の形態1のレゾルバシステム1では、図3に示した基本的な構成のレゾルバシステム1Aと比較して、同じ2相励磁・2相出力のレゾルバ10を使用しつつ、接続線30に含まれる線数を8線から6線に減らすことが可能になる。この結果、接続線30の集合体であるハーネスの重量を最大で約25%軽量化することが可能になる。
【0032】
以上の構成において、2相の励磁巻線11の互いのLO側の端部R3及びR4は、端子ピンp3の位置において共通接続されて励磁共通端部21として構成されてもよい。同様に、2相の出力巻線12の互いのLO側の端部S3及びS4は、端子ピンp5の位置において共通接続されて出力共通端部22として構成されてもよい。
【0033】
[実施形態2のレゾルバシステム1Bの構成と動作]
以下、図2を用いて、本発明の実施の形態2における2相励磁・2相出力のレゾルバ10を用いたレゾルバシステム1Bの構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態2のレゾルバシステム1Bの構成を示す構成図である。図2において、既に説明した図1と同一物には同一番号を付すことで重複した説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0034】
図2において、レゾルバシステム1Bには、レゾルバ10と、端子部20Bと、接続線30Bと、角度位置検出装置100とが設けられている。
【0035】
レゾルバ10には、2相の励磁巻線11と、2相の出力巻線12とが設けられている。
レゾルバ10において、2相の励磁巻線11の互いのLO側の端部R3及びR4は、共通接続されて励磁共通端部21として構成されている。2相の出力巻線12の互いのLO側の端部S3及びS4は、共通接続されて出力共通端部22として構成されている。励磁共通端部21と出力共通端部22とは、更に共通接続されて励磁出力共通端部23として構成される。
【0036】
端子部20Bには、5本の端子ピンp1~p5が設けられている。端子ピンp1には、励磁巻線11の端部R1が接続されている。端子ピンp2には、励磁巻線11の端部R2が接続されている。端子ピンp3には、励磁出力共通端部23が接続されている。端子ピンp4には、出力巻線12の端部S2が接続されている。端子ピンp5には、出力巻線12の端部S1が接続されている。
【0037】
接続線30Bは、端子部20Bと、角度位置検出装置100とを接続するもので、角度位置検出装置100からの2相の励磁信号をレゾルバ10へ供給すると共に、レゾルバ10から出力される2相のレゾルバ出力信号を角度位置検出装置100に供給する。接続線30Bは、端子部20Bの端子ピンp1~p5の本数に合わせて、5線で構成されている。
【0038】
角度位置検出装置100には、励磁部110と、レゾルバデジタル変換部120とが設けられている。
以下、励磁部110とレゾルバデジタル変換部120とについて、実施形態1と異なる部分について説明する。
【0039】
励磁部110の第1相のコモン端子COM1及び第2相のコモン端子COM2、並びに、レゾルバデジタル変換部120の第1相のコモン端子COM1及び第2相のコモン端子COM2は、共通接続され、接続線30のうちの1線であるコモン線を通り、端子ピンp3と励磁出力共通端部23とを介して、励磁共通端部21経由で2相の励磁巻線11の互いのLO側の端部R3及びR4に接続されると共に、出力共通端部22経由で2相の出力巻線12の互いのLO側の端部S3及びS4に接続される。
【0040】
この結果、5線の接続線30Bを使用し、励磁部110からレゾルバ10への2相の励磁信号の供給と、レゾルバ10からレゾルバデジタル変換部120への2相のレゾルバ出力信号の供給とを行うことができる。
【0041】
すなわち、実施の形態2のレゾルバシステム1Bでは、図3に示した基本的な構成のレゾルバシステム1Aと比較して、同じ2相励磁・2相出力のレゾルバ10を使用しつつ、接続線30Bに含まれる線数を8線から5線に減らすことが可能になる。この結果、接続線30Bの集合体であるハーネスの重量を最大で約37.5%軽量化することが可能になる。
【0042】
以上の構成において、励磁出力共通端部23は、端子ピンp3の位置に設けられてもよい。
【0043】
[実施の形態により得られる効果]
実施の形態1に説明したレゾルバシステム1及びレゾルバ10によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0044】
2相励磁・2相出力のレゾルバ10は、2相の励磁巻線11と2相の出力巻線12とを有し、2相の励磁巻線11に外部から2相の励磁信号の供給を受け、2相の出力巻線12から2相のレゾルバ出力信号を外部に出力するものであり、2相の励磁巻線11と2相の出力巻線12とのそれぞれの巻線の端部は極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されており、2相の励磁巻線11の互いのLO側の端部は共通接続されて励磁共通端部21として構成され、2相の出力巻線12の互いのLO側の端部は共通接続されて出力共通端部22として構成される。
このように、励磁共通端部21と出力共通端部22とを設けることにより、2相励磁・2相出力のレゾルバ10と角度位置検出装置100とを接続線30経由で接続する際に、接続線30に含まれる線数を従来より減らすことが可能になる。
【0045】
2相励磁・2相出力のレゾルバ10において、励磁共通端部21と出力共通端部22とを、更に共通接続して励磁出力共通端部23として構成することにより、2相励磁・2相出力のレゾルバ10と角度位置検出装置100とを接続線30B経由で接続する際に、接続線30Bに含まれる線数を更に減らすことが可能になる。
【0046】
レゾルバシステム1は、2相励磁・2相出力のレゾルバ10と、レゾルバ10を2相励磁する励磁部110と、レゾルバ10から出力される2相出力を処理するレゾルバデジタル変換部120と、を有し、2相の励磁巻線11と2相の出力巻線12とのそれぞれの巻線の端部は極性に応じてHIまたはLOのいずれかに設定されており、2相の励磁巻線11の互いのLO側の端部は共通接続されて励磁共通端部21として構成され、2相の出力巻線12の互いのLO側の端部は共通接続されて出力共通端部22として構成され、2相の励磁巻線11においてHIに設定されたそれぞれの端部は接続線30を介して励磁部110の2相の励磁信号出力OUT1,OUT2に接続され、励磁共通端部21は接続線30を介して励磁部110のコモン端子COM1及びCOM2に接続され、2相の出力巻線12においてHIに設定されたそれぞれの端部は接続線30を介してレゾルバデジタル変換部120の2相の信号入力IN1,IN2に接続され、出力共通端部22は接続線30を介してレゾルバデジタル変換部120のコモン端子COM1及びCOM2に接続される。
このように、励磁共通端部21を接続線30経由で励磁部110のコモン端子COM1及びCOM2に接続し、出力共通端部22を接続線30経由でレゾルバデジタル変換部120のコモン端子COM1及びCOM2に接続することにより、2相励磁・2相出力のレゾルバ10と角度位置検出装置100とを接続線30経由で接続する際に、接続線30に含まれる線数を従来より減らすことが可能になる。
【0047】
レゾルバシステム1において、励磁共通端部21と出力共通端部22とを更に共通接続して励磁出力共通端部23として構成し、励磁出力共通端部23を接続線30経由で励磁部110のコモン端子COM1及びCOM2、並びに、レゾルバデジタル変換部120のコモン端子COM1及びCOM2に接続することで、2相励磁・2相出力のレゾルバ10と角度位置検出装置100とを接続線30B経由で接続する際に、接続線30Bに含まれる線数を更に減らすことが可能になる。
【符号の説明】
【0048】
1 レゾルバシステム、10 レゾルバ、11 励磁巻線、12 出力巻線、20,20B 端子部、21 励磁共通端部、22 出力共通端部、23 励磁出力共通端部、30,30B 接続線、100 角度位置検出装置、110 励磁部、120 レゾルバデジタル変換部、IN1,IN2 信号入力、OUT1,OUT2 励磁信号出力、COM1 第1相のコモン端子、COM2 第2相のコモン端子、p1,p2,p3,p4,p5,p6 端子ピン。
図1
図2
図3