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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002543
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】筐体
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20231228BHJP
   H02B 1/30 20060101ALI20231228BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20231228BHJP
   F16B 2/20 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H05K7/18 A
H02B1/30 B
F16B5/06 V
F16B2/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101787
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽子
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰仁
【テーマコード(参考)】
3J001
3J022
5G016
【Fターム(参考)】
3J001FA05
3J001GA02
3J001GB01
3J001HA04
3J001HA10
3J001JC00
3J001JC02
3J001JC06
3J001JC12
3J001JC13
3J001KA06
3J001KA19
3J001KB06
3J022DA12
3J022DA16
3J022EA04
3J022EB04
3J022EC02
3J022ED03
3J022FA02
3J022FA05
3J022FB03
3J022FB08
3J022FB12
3J022HB02
5G016AA03
5G016CA11
(57)【要約】
【課題】2体の壁体を連結する作業の負担増大を抑制でき、構造上の制約を緩和すること。
【解決手段】筐体(10)は、連結具(30)を介して隣接する第1壁体(20A)及び第2壁体(20B)を連結する。各壁体は、主面部(21)の外縁側を基端として連なり、筐体の内方に先端を有する接合面部(22)と、接合面部の先端側から突出する突出面部(23)とを備えている。複数の突出面部にて、上下方向に隣り合う突出面部の間にスペース(26)が形成される。連結具は、本体部(31)の左右両側にて上下方向に所定間隔を隔てて複数形成された折り曲げ部(32)と、上下方向に隣り合う折り曲げ部の間に形成された切欠き部(33)とを備えている。折り曲げ部は、上下方向から突出面部を挿入可能な挟み込み空間(38)を形成する。突出面部に本体部を接触させた状態で、スペースに折り曲げ部が配置され、且つ、切欠き部に突出面部が配置可能とされる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁体によって構成され、少なくとも2体の隣接する前記壁体が連結具を介して連結される筐体であって、
前記壁体は、前記筐体の外周面を形成する主面部と、
前記主面部の外縁側に基端、前記筐体の内方または外方に先端を備えて前記主面部の外縁に沿って延出する接合面部と、
前記接合面部の先端側から前記主面部に対向する方向に突出する突出面部とを備え、
前記突出面部は、前記接合面部の延出方向に所定間隔を隔てて複数形成され、該延出方向に隣り合う前記突出面部の間にスペースが形成され、
前記連結具は、長手方向及び短手方向を有する本体部と、
前記本体部の短手方向両側にて長手方向に所定間隔を隔てて複数形成された折り曲げ部と、
前記本体部の長手方向に隣り合う前記折り曲げ部の間に形成された切欠き部とを備え、
前記折り曲げ部は、前記本体部の長手方向から前記突出面部を挿入可能な挟み込み空間を形成し、
前記突出面部に前記本体部を接触させた状態で、前記スペースに前記折り曲げ部が配置され、且つ、前記切欠き部に前記突出面部が配置可能とされることを特徴とする筐体。
【請求項2】
前記本体部の短手方向一側の前記折り曲げ部と、前記本体部の短手方向他側の前記折り曲げ部とは、前記本体部の長手方向にて互い違いに形成されることを特徴とする請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記連結具にて、複数の前記折り曲げ部全ての上下幅と、複数の前記切欠き部全ての上下幅とが同一に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
複数の前記突出面部全ての上下幅と、複数の前記スペース全ての上下幅とが、前記折り曲げ部及び前記切欠き部の上下幅と同一に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁体を連結して構成される筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の電気機器を備えた配電盤等にあっては、箱状をなす筐体を備えて構成される。かかる筐体においては、同一面上や直交する方向に2体以上の壁体を並べて連結する構成が知られている。このように壁体を連結する構成が特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1は、2体の壁体となるケース部材にフランジ部が形成され、かかるフランジ部にクリップを装着して連結する構造を開示している。クリップは、細長い板状部と、板状部の短手方向の両側に形成されてフランジ部と係合する係合爪部とを備えている。
【0004】
特許文献1において、2体のケース部材を連結する場合、組み合わせた状態の2つのフランジ部の外側からクリップを覆うようにあてがい、板状部を強く押し込む。これにより、クリップ全体が弾性変形し、係合爪部が外方に拡がってから元の形状に復元するよう変形することでフランジ部に係合し、2つのフランジ部がクリップにより挟持される。
【0005】
特許文献2は、2体の壁体を鞘部材を介して連結している。壁体の一辺には曲折部が設けられ、曲折部の先端縁を壁体側に鋭角に折り曲げて係止縁部が形成されている。鞘部材は、所定長さを有し、断面略矢印状に形成されている。鞘部材は、略三角形の挿通孔を有する鞘部から隙間を保持して突き出た2つの平行端縁部を備えている。
【0006】
特許文献2において、2体の壁体を連結する場合、係止縁部が背中合わせになるように2つの曲折部を当接させて配置する。この状態で、係止縁部を鞘部材の鞘部の挿通孔内に挿通させ、鞘部材を2つの曲折部に跨って装着する。これにより、平行端縁部によって曲折部を挟持して2体の壁体を連結し、2つの曲折部を当接させた状態を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6-51514号公報
【特許文献2】特開2001-65068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1にあっては、クリップ全体を弾性変形させるために板状部を押し込む操作力が大きくなり、クリップの装着、ひいては2体のケース部材を連結する作業負担が大きくなる、という問題がある。
【0009】
また、特許文献2にあっては、壁体における曲折部の延出方向両端の何れかから係止縁部を鞘部の挿通孔内に差し込みスライドして鞘部材を装着している。このため、曲折部の延出方向両端にて、鞘部材を差し込み可能にするスペースの確保が必要となり、曲折部を短くしたり、筐体自体を大きくしたりする等、構造上の制約が大きくなる、という問題がある。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、2体の壁体を連結する作業の負担増大を抑制でき、構造上の制約を緩和することができる筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における一態様の筐体は、複数の壁体によって構成され、少なくとも2体の隣接する前記壁体が連結具を介して連結される筐体であって、前記壁体は、前記筐体の外周面を形成する主面部と、前記主面部の外縁側に基端、前記筐体の内方または外方に先端を備えて前記主面部の外縁に沿って延出する接合面部と、前記接合面部の先端側から前記主面部に対向する方向に突出する突出面部とを備え、前記突出面部は、前記接合面部の延出方向に所定間隔を隔てて複数形成され、該延出方向に隣り合う前記突出面部の間にスペースが形成され、前記連結具は、長手方向及び短手方向を有する本体部と、前記本体部の短手方向両側にて長手方向に所定間隔を隔てて複数形成された折り曲げ部と、前記本体部の長手方向に隣り合う前記折り曲げ部の間に形成された切欠き部とを備え、前記折り曲げ部は、前記本体部の長手方向から前記突出面部を挿入可能な挟み込み空間を形成し、前記突出面部に前記本体部を接触させた状態で、前記スペースに前記折り曲げ部が配置され、且つ、前記切欠き部に前記突出面部が配置可能とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連結具によって複数の壁体を連結するにあたり、壁体における突出面部の間のスペースに連結具の折り曲げ部が位置し、且つ、折り曲げ部の間の切欠き部に突出面部が位置する状態とすることができる。そして、この状態から、連結具を本体部の長手方向にスライド移動し、隣り合って位置する折り曲げ部の挟み込み空間に突出面部を挿入することで連結具により壁体を連結することができる。これにより、連結具自体を弾性変形させるような操作力を不要として壁体を連結する作業の負担増大を抑制でき、更には、接合面部の延出方向両側に連結具のスライド用のスペースを確保する等の構造上の制約を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る筐体の概略斜視図である。
図2】実施の形態にて隣接する2体の側方壁体を説明するための斜視図である。
図3】実施の形態における壁体の連結構造を説明するための分解斜視図である。
図4図4Aは、図3の連結具を前後反対側から見た斜視図であり、図4Bは、変形例に係る連結具の図4Aと同様の斜視図である。
図5図5Aは、図3の部分横断面図であり、図5Bは、図7の部分横断面図である。
図6】実施の形態における壁体の連結作業の中途状態を示す図3と同様の斜視図である。
図7】実施の形態における壁体の連結が完了した状態の図3と同様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る筐体について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各図において矢印で示した方向を基準として用いる。但し、各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
【0015】
図1は、実施の形態に係る筐体の概略斜視図である。図1に示す筐体10は、内部に所定の収容空間を備え、例えば、図示省略した配電盤や制御盤、遮断器等の所定の電気機器を収容空間内に収容する。筐体10は、パネル状をなす複数の壁体を連結することで構成される。更に述べると、筐体10は、上部壁体11と、下部壁体12と、上部壁体11及び下部壁体12の間に設けられる複数の側方壁体20とを備えている。本実施の形態において、側方壁体20は、上部壁体11及び下部壁体12の前後両側において、左右に並んで複数(図1では4体)設けられる。各壁体11、12、20は、特に限定されるものでないが、鋼板等の金属板によって形成することが例示できる。
【0016】
続いて、左右方向に隣接する2体の側方壁体20の連結構造について説明する。ここでは、代表例として、図1にて符号20A、20Bで示される2体の側方壁体20の連結構造について説明する。以下、符号20Aで示されて相対的に左側に位置する側方壁体20を第1壁体20A、符号20Bで示されて相対的に右側に位置する側方壁体20を第2壁体20Bと称する。
【0017】
図2は、実施の形態にて左右方向に隣接する2体の側方壁体を説明するための斜視図である。図3は、実施の形態における壁体の連結構造を説明するための分解斜視図である。図2及び図3に示すように、第1壁体20Aの右端部と第2壁体20Bの左端部とは、折り曲げて形成されるとともに、相互に隣り合って連結される。第1壁体20A及び第2壁体20Bは、主面部21と、接合面部22と、突出面部23と、補強面部25とをそれぞれ備えている。
【0018】
ここで、主面部21、接合面部22及び突出面部23は、筐体10における側方壁体20の設置箇所に応じて側方壁体20の左右両側または左右の何れか一端側に形成される。図2及び図3と、後述する図5から図7とでは、主面部21、接合面部22及び突出面部23が、第1壁体20Aの右端部と第2壁体20Bの左端部とに形成される場合について説明する。
【0019】
主面部21は、上下方向及び左右方向に平行に設けられて筐体10の外周面を形成している(図1参照)。主面部21は、第1壁体20A及び第2壁体20Bの平面形状と概略同一の平面形状となる方形状をなしている。主面部21は、左右両側に上下方向に延びる2本の長辺21aと、上下両側に左右方向に延びる2本の短辺21bを備え、各長辺21a及び各短辺21bが主面部21の外縁を形成している。
【0020】
接合面部22は、主面部21の長辺21aから後方(筐体10の内方)に突出して形成されている。よって、接合面部22は、主面部21の長辺21a側を基端として連なり、筐体10の内方に先端を有している。接合面部22は、主面部21に対して略直角となる方向に向けられている。また、接合面部22は、主面部21の長辺21aに沿って延出する形状を備えている。言い換えると、接合面部22は、上下方向を延出方向として形成される。
【0021】
突出面部23は、接合面部22の延出方向(上下方向)に所定間隔を隔てて複数(本実施の形態では5つ)形成されている。上下方向に隣り合う突出面部23の間には、スペース26が形成される。言い換えると、接合面部22の先端側において、突出面部23とスペース26とが上下方向にて交互に形成される。ここで、突出面部23及びスペース26の上下幅は同一に形成され、上下方向における突出面部23の形成間隔(ピッチ)と、スペース26の形成間隔は同一とされる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「同一」は、寸法等が完全に一致する状態の他、同一を意図して製造しつつ加工精度や公差等によって若干相違する状態も含む意味である。
【0022】
接合面部22において、突出面部23の形成位置に比べ、スペース26の形成位置の方が接合面部22の前後幅が小さく形成される。
【0023】
突出面部23は、接合面部22の先端側から主面部21の後面(内面)に対向する方向に突出する。言い換えると、突出面部23は、接合面部22の先端に連なりつつ、主面部21の後方に所定間隔を隔てて配置される。突出面部23は、接合面部22の先端側が基端とされ、該基端と左右方向反対側に先端を有している。突出面部23は、接合面部22に対して略直角となる方向に向けられている。
【0024】
補強面部25は、主面部21の上下両側の短辺21bから後方(筐体10の内方)に突出して形成されている。補強面部25は、主面部21に対して略直角となる方向に向けられている。
【0025】
筐体10を形成する際には、第1壁体20A及び第2壁体20Bは、それぞれの主面部21が同一面上に配置され、それぞれの接合面部22同士が接触した図3に示す状態となる。この状態で、第1壁体20A及び第2壁体20Bの突出面部23は、前後方向にて同じ位置となるよう同一面上に配置される。
【0026】
ここで、第1壁体20A及び第2壁体20Bの上下方向の位置を揃えた状態で、第1壁体20Aの突出面部23は、第2壁体20Bの突出面部23とは異なる上下位置に配置される。よって、前後方向から見た場合、第1壁体20Aの突出面部23と第2壁体20Bの突出面部23とが、上下方向にて互い違いに配置されている。
【0027】
また、突出面部23及びスペース26全ての上下幅が同一に形成されることによって、図3に示す状態で、第1壁体20Aの突出面部23は、第2壁体20Bのスペース26と同一の上下位置に配置される。第2壁体20Bの突出面部23は、第1壁体20Aのスペース26と同一の上下位置に配置される。この状態で、第1壁体20A及び第2壁体20Bに跨って連結具30が装着される(図5B図7参照)。
【0028】
図4Aは、図3の連結具を前後反対側から見た斜視図である。図3及び図4Aに示すように、連結具30は、上下方向を長手方向、左右方向を短手方向とし、前後方向を厚さ方向とする片状または板状の単一となる本体部31を備えている。また、連結具30は、本体部31の左右両側それぞれに複数形成された折り曲げ部32及び切欠き部33を備えている。連結具30は、アルミニウムやステンレス等の金属材や、適宜な樹脂材によって構成される。
【0029】
折り曲げ部32は、本体部31の長手方向(上下方向)に所定間隔を隔てて形成されている。本実施の形態では、折り曲げ部32は、本体部31の左右両側に5つずつ形成され、接合面部22に対する突出面部23の形成数と同一とされる。
【0030】
切欠き部33は、上下方向に隣り合う折り曲げ部32の間に形成される。言い換えると、本体部31の左右両側にて、折り曲げ部32が形成されていない領域が切欠き部33とされ、上下方向にて折り曲げ部32と切欠き部33とが交互に形成される。ここで、折り曲げ部32及び切欠き部33の上下幅は同一に形成され、上下方向における折り曲げ部32の形成間隔(ピッチ)と、切欠き部33の形成間隔は同一とされる。また、折り曲げ部32及び切欠き部33の上下幅は、突出面部23及びスペース26の上下幅に対しても同一に形成される。
【0031】
ここで、本体部31の左側に形成される折り曲げ部32と、本体部31の右側に形成される折り曲げ部32とは異なる上下位置に形成される。よって、前後方向から見た場合、本体部31の左側の折り曲げ部32と、本体部31の右側の折り曲げ部32とが、上下方向にて互い違いに形成されている。
【0032】
また、折り曲げ部32及び切欠き部33全ての上下幅が同一に形成されることによって、本体部31の左側に形成される折り曲げ部32は、本体部31の右側に形成される切欠き部33と同一の上下位置に形成される。本体部31の右側に形成される折り曲げ部32は、本体部31の左側に形成される切欠き部33と同一の上下位置に形成される。
【0033】
図5Aは、図3の部分横断面図であり、図5Bは、図7の部分横断面図である。図5Bは、連結具30で第1壁体20A及び第2壁体20Bが連結された状態となり、図5Aは、図5Bの分解図となる。連結具30において、折り曲げ部32は、第1形成体35、第2形成体36及び第3形成体37を備えている。
【0034】
第1形成体35は、本体部31の左右両端側を基端として連なり、該両端から左右方向に突出するように設けられる。第1形成体35は、本体部31と同一面に沿って形成される。
【0035】
第2形成体36は、第1形成体35の先端側(本体部31と反対側)に連なって形成されている。第2形成体36は、第1形成体35の先端から前方となる主面部21に向かう方向に突出形成されている。よって、第2形成体36は、第1形成体35の先端側が基端とされ、前方(主面部21側)に先端を有している。第2形成体36と第1形成体35との間の角度は略直角に設定されている。
【0036】
第3形成体37は、第2形成体36の先端側から第1形成体35及び本体部31の前面(内面)に対向する方向に突出する。言い換えると、突出面部23は、第2形成体36の先端に連なりつつ、第1形成体35及び本体部31の前方に所定間隔を隔てて配置される。第3形成体37は、第2形成体36の先端側が基端とされ、該基端と左右方向反対側に先端を有している。第3形成体37と第2形成体36との間の角度は略直角に設定されている。
【0037】
ここで、折り曲げ部32における各形成体35~37の内側に挟み込み空間38が形成される。更に述べると、挟み込み空間38は、各形成体35~37の内面と、本体部31の前面とで囲まれて突出面部23を挿入可能な空間とされる。
【0038】
第1形成体35の前面及び第3形成体37の後面は前後方向にて向き合う相対面とされ、かかる相対面の間の距離Dは、突出面部23の厚さtと同一または若干大きく設定されている(図5A参照)。これにより、第1形成体35と一対の第3形成体37とで突出面部23を前後方向から挟み込むことができ、第1壁体20A及び第2壁体20Bが前後方向に相対変位することを規制することができる。
【0039】
また、左右方向に2つ並んだ状態の突出面部23の左右方向(並び方向)の長さL1と、左右の折り曲げ部32における第2形成体36の内面間距離L2は、同一に設定されている。これにより、左右の折り曲げ部32の第2形成体36で突出面部23を左右方向から挟み込むことができ、第1壁体20A及び第2壁体20Bが左右方向に相対変位することを規制することができる。
【0040】
ここで、左右の折り曲げ部32における第3形成体37の先端の間には、面接触した2つの接合面部22が配置され、第3形成体37の先端と接合面部22とは離れて非接触となっている。左右の第3形成体37の先端間の距離は、接合面部22の厚みを2倍した寸法より大きく形成される。
【0041】
続いて、第1壁体20A及び第2壁体20Bを連結具30によって連結する連結方法について、図3に加えて図6図7を参照して以下に説明する。図6は、実施の形態における壁体の連結作業の中途状態を示す図3と同様の斜視図である。図7は、実施の形態における壁体の連結が完了した状態の図3と同様の斜視図である。
【0042】
まず、図3に示すように、第1壁体20A及び第2壁体20Bそれぞれの接合面部22同士が面接触するよう第1壁体20A及び第2壁体20Bを配置する。このとき、第1壁体20A及び第2壁体20Bにおける突出面部23の前後方向の位置を揃え、第1壁体20A及び第2壁体20Bにおける補強面部25の上下方向の位置を揃える。これにより、第1壁体20Aの突出面部23と第2壁体20Bのスペース26とが左右に並び、第2壁体20Bの突出面部23と第1壁体20Aのスペース26とが左右に並んだ状態となる。
【0043】
この状態で、後から前に向かって連結具30を突出面部23に近付け、突出面部23の後面に対して連結具30における本体部31の前面を面接触させる(図6参照)。この面接触を行う操作にて、各スペース26の後方から折り曲げ部32が受容(配置)され、各切欠き部33の前方から突出面部23が受容(配置)されるようにする。言い換えると、突出面部23、スペース26、折り曲げ部32及び切欠き部33の上下方向の位置及び大きさを上述したように形成したことで、前記受容がガイドされ、ひいては、各壁体20A、20Bに対する連結具30の装着位置がガイドされる。
【0044】
突出面部23と本体部31とを面接触することで、それぞれの突出面部23の上方に折り曲げ部32の挟み込み空間38が隣接して配置された状態となる。この状態から、連結具30を下方(上下方向の一方向)にスライド移動させる。これにより、図5B及び図7に示すように、連結具30における各折り曲げ部32の下側(上下方向の一方側)から挟み込み空間38の内部に突出面部23が挿入される。
【0045】
連結具30のスライド移動は、補強面部25に連結具30の下端が当接することで規制されて連結具30の上下方向の位置が保持される(図7参照)。このとき、複数の折り曲げ部32全てに突出面部23が挿入され、且つ、各折り曲げ部32に対し突出面部23の上下位置が揃って配置される。これにより、連結具30の装着が完了し、連結具30を介して第1壁体20A及び第2壁体20Bが連結される。
【0046】
連結具30の装着によって、連結具30の第3形成体37と、第1形成体35及び本体部31とにより突出面部23を前後方向(厚み方向)から挟んで各壁体20A、20Bが前後方向に相対変位することを規制できる。更に、左右の折り曲げ部32の第2形成体36で突出面部23を左右方向から挟み込むことができ、各壁体20A、20Bが左右方向に相対変位することを規制できる。このように、水平方向と平行な二次元方向での相対変位を規制することで、2つの接合面部22が接触した状態を安定して強固に維持できるようになり、各壁体20A、20Bの連結強度を良好に発揮することができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態によれば、図3から図6の状態とする作業は、突出面部23に本体部31を面接触するよう配置するだけとなる。また、図6から図7の連結完了状態とする作業は、連結具30を下方にスライド移動するだけとなる。よって、本実施の形態では、各壁体20A、20Bの連結作業にて、連結具30や各壁体20A、20Bを変形するような操作力が不要になり、作業負担が増大することを抑えることができる。
【0048】
しかも、本実施の形態にあっては、図6に示す状態が、複数の折り曲げ部32の挟み込み空間38に上下方向から突出面部23を挿入する直前状態となる。これにより、接合面部22の上端や下端から上下方向にはみ出す位置に、連結具30を上下にスライド移動するためのスペースを設ける必要をなくすことができる。よって、接合面部22の上下長さを短くしたり、筐体10自体の大きさを変更する等の構造上の制約を緩和することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、連結具30にて、本体部31の左側の折り曲げ部32と、本体部31の右側の折り曲げ部32とが上下方向にて互い違いに形成される。これにより、本体部31の上下方向にて、本体部31の左右の少なくとも一方に折り曲げ部32が形成される領域を広く確保することができる。折り曲げ部32は突出面部23を挟み込んで筐体10に対する連結部分となるので、かかる連結部分を広く確保することで、各壁体20A、20Bの連結強度を高めることができる。
【0050】
更に、本実施の形態では、上述のように互い違いに形成しつつ、折り曲げ部32及び切欠き部33全ての上下幅が同一に形成されている。これにより、本体部31の上下方向にて、左右の少なくとも一方に折り曲げ部32が形成される領域を途切れずに連続して形成でき、各壁体20A、20Bの連結強度をより一層高めることができる。
【0051】
また、連結具30は上下方向に所定長さを有するので、連結具30による各壁体20A、20Bの相対変位を規制する作用を発揮できる範囲を上下方向に広く確保することが可能となる。これにより、2つの接合面部22の接触をより強固にでき、各壁体20A、20Bの連結強度をより良く維持することができる。
【0052】
また、接合面部22に対して突出面部23が略直角となる方向に向けられるので、2つの突出面部23を同一面上に揃えて配置でき、連結具30に突出面部23を挿通させる作業の円滑化を図ることができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、向きなどについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0054】
上記実施の形態では、接合面部22の略全長に亘って連結具30を設ける構成としたが、これに限られるものでない。例えば、突出面部23及びスペース26の形成数を増加しつつ、連結具30の上下長さを短縮し、接合面部22の上下方向(接合面部22の延出方向)の両端側に連結具30を別体としてそれぞれ設けてもよい。連結具30の上下方向の長さや装着位置、装着数は、各壁体20A、20Bのサイズや大きさ、重量、厚み等の他、筐体10の用途等の各種条件に応じ、任意に変更することができる。
【0055】
また、各壁体20A、20Bの突出面部23及びスペース26や、連結具30の折り曲げ部32及び切欠き部33にて、上下幅や形成間隔は同一に限定されるものでなく、各壁体20A、20Bを連結できる限りにおいて適宜変更してもよい。よって、例えば、連結具30にて複数の折り曲げ部32及び切欠き部33のうちの一部において上下幅や形成間隔を変更してもよい。
【0056】
更に、各壁体20A、20Bの突出面部23及びスペース26や、連結具30の折り曲げ部32及び切欠き部33にあっては、上下位置を変更してもよく、例えば、図4Bに示す変形例の構成を採用してもよい。図4Bは、変形例に係る連結具の図4Aと同様の斜視図である。図4Bの連結具30は、本体部31の左側の折り曲げ部32と、本体部31の右側の折り曲げ部32とが上下方向にて同一となる位置に形成される。図4Bの連結具30を採用した場合、図示省略したが、第1壁体20Aの突出面部23と第2壁体20Bの突出面部23とにおいても上下方向にて同一となる位置に形成される。
【0057】
また、挟み込み空間38へ突出面部23を挿入する際、連結具30のスライド移動方向は上下方向何れでもよく、挟み込み空間38へ突出面部23を挿入する方向も上下方向何れでもよい。
【0058】
更に、接合面部22と突出面部23と間の角度は鋭角にしてもよく、2つの接合面部22が面接触した状態で屈曲した断面形状になるようしてもよい。この場合、連結具30の本体部31も2つの接合面部22に応じて屈曲した形状に形成される。
【0059】
また、主面部21の形状は、筐体10の外周面を形成していればよく、フラットに形成する以外に、円弧に沿って湾曲した形状や、折れ曲がった形状としてもよい。
【0060】
また、連結具30で連結される壁体は、隣接する壁体であればよく、側方壁体20と上部壁体11や下部壁体12としてもよい。この場合、主面部21と接合面部22との間の角度が鋭角となったり、主面部21が折れ曲がった形状となったりする。
【0061】
また、上記実施の形態では、連結具30が筐体10の内部に設けられる構成を説明したが、筐体10の外部に設けられる構成としてもよい。この構成では、接合面部22が筐体10の外方(前方)に先端を有し、突出面部23が接合面部22の先端側から主面部21の前面(外面)に対向する方向に突出する。
【符号の説明】
【0062】
10 :筐体
11 :上部壁体(壁体)
12 :下部壁体(壁体)
20 :側方壁体(壁体)
20A :第1壁体(壁体)
20B :第2壁体(壁体)
21 :主面部
22 :接合面部
23 :突出面部
26 :スペース
30 :連結具
31 :本体部
32 :折り曲げ部
33 :切欠き部
38 :挟み込み空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7