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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025443
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20240216BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F25B45/00 A
F25B45/00 Z
F25B1/00 396E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128899
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小島 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 正喜
(72)【発明者】
【氏名】近藤 重徳
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易に冷媒の回収が可能な接続状態にすることが可能な冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】圧縮機21と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、室内熱交換器31と、四路切換弁22と、吐出管9と、吸入管8、レシーバ41、第2冷媒配管12と、第3冷媒配管13と、第1冷媒配管11と、ガス側冷媒連絡流路5と、液側冷媒連絡流路6と、ガス閉鎖弁28と、液閉鎖弁29と、を有し、冷媒が循環する冷媒回路10を備える冷凍サイクル装置1であって、四路切換弁22は、吐出管9と第3冷媒配管13を接続しつつ第2冷媒配管12と第1冷媒配管11を接続する冷房接続状態と、吐出管9と第1冷媒配管11を接続しつつ第2冷媒配管12と第3冷媒配管13を接続する暖房接続状態と、吐出管9と第2冷媒配管12と第3冷媒配管13と第1冷媒配管11が連通した中間停止状態と、のいずれかに切り換え可能である。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21)と、第1熱交換器(23)と、第1減圧部(24)と、第2熱交換器(31)と、流路切換弁(22)と、第1流路(9)と、第2流路(8、41、12)と、第3流路(13)と、第4流路(11)と、第1連絡流路(5、17)と、第2連絡流路(6、16)と、第1閉鎖弁(28)と、第2閉鎖弁(29)と、を有し、冷媒が循環する冷媒回路(10)を備え、
前記第1流路(9)は、前記圧縮機の吐出側と前記流路切換弁を接続する流路であり、
前記第2流路(8、41、12)は、前記圧縮機の吸入側と前記流路切換弁を接続する流路であり、
前記第3流路(13)は、前記第1熱交換器(23)と前記流路切換弁を接続する流路であり、
前記第4流路(11)は、前記第1閉鎖弁(28)と前記流路切換弁を接続する流路であり、
前記第1連絡流路(5、17)は、前記第1閉鎖弁(28)と前記第2熱交換器(31)を接続し、
前記第2連絡流路(6、16)は、前記第2閉鎖弁(29)と前記第2熱交換器(31)を接続し、
前記流路切換弁(22)は、前記第1流路(9)と前記第3流路(13)を接続しつつ前記第2流路(8、41、12)と前記第4流路(11)を接続する第1接続状態と、前記第1流路(9)と前記第4流路(11)を接続しつつ前記第2流路(8、41、12)と前記第3流路(13)を接続する第2接続状態と、前記第1流路(9)と前記第2流路(8、41、12)と前記第3流路(13)と前記第4流路(11)が連通した第3接続状態と、のいずれかに切り換え可能である、
冷凍サイクル装置(1)。
【請求項2】
前記圧縮機の運転停止時には、前記流路切換弁(22)は、前記第3接続状態に切り換えられる、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記流路切換弁(22)は、前記第1流路と前記第2流路と前記第3流路と前記第4流路が接続された接続空間を有する接続部(22a)と、前記接続空間内に配置されており、前記第1接続状態と前記第2接続状態と前記第3接続状態に応じた位置に移動可能な弁体(22b)と、を有する、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記弁体の位置を移動させることで、前記流路切換弁(22)を前記第1接続状態と前記第2接続状態と前記第3接続状態のいずれかに制御する制御部(7)をさらに備えた、
請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記冷媒回路は、前記第1熱交換器(23)と前記第2閉鎖弁(29)とを接続する第5流路(14、15)をさらに有し、
前記第1減圧部(24)は、前記第5流路(14、15)に設けられており、
前記圧縮機の運転停止時には、前記第1減圧部(24)は閉状態となる、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記冷媒回路は、前記第2連絡流路(6、16)に設けられた第2減圧部(35)をさらに有しており、
前記圧縮機の運転停止時には、前記第2減圧部(35)は閉状態となる、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記冷媒回路は、前記第1熱交換器(23)と前記第2閉鎖弁(29)とを接続する第5流路(14、15)と、前記第5流路(14、15)と前記第2流路(8、41、12)を接続する第6流路(90)と、過冷却熱交換器(92)と、を有し、
前記第6流路(90)は、前記第5流路(14、15)との接続部分と前記過冷却熱交換器(92)との間に第3減圧部(91)を有しており、
前記圧縮機の運転停止時には、前記第3減圧部(91)は閉状態となる、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記冷媒は、燃焼性を有する冷媒である、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内部を冷媒が循環する冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置は、必要に応じて、冷媒が回収される。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2000-249433号公報)に記載の空気調和装置では、室外熱交換器を冷媒の凝縮器として機能させるように冷媒回路の接続状態を切り換えた後に、ポンプダウン運転を行うことで室外熱交換器に液冷媒を溜めて、室外熱交換器と膨張弁の間に設けた冷媒回収用のサービスポートから液状態の冷媒を回収することにより、冷媒回収を迅速に行うことを提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の空気調和装置では、冷媒回路には、四路切換弁が設けられている。この四路切換弁は、冷房運転の接続状態と暖房運転の接続状態のいずれかの接続状態に切り換えられる。そして、冷媒回収を行う際には、四路切換弁の接続状態を冷房運転の接続状態に切り換えて、ポンプダウン運転のために圧縮機を運転させることが必要になっている。
【0005】
したがって、冷媒回路の冷媒を容易に回収することが可能な冷凍サイクル装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る冷凍サイクル装置は、冷媒回路を有する。冷媒回路は、圧縮機と、第1熱交換器と、第1減圧部と、第2熱交換器と、流路切換弁と、第1流路と、第2流路と、第3流路と、第4流路と、第1連絡流路と、第2連絡流路と、第1閉鎖弁と、第2閉鎖弁と、を有する。冷媒回路は、冷媒が循環する。第1流路は、圧縮機の吐出側と流路切換弁を接続する流路である。第2流路は、圧縮機の吸入側と流路切換弁を接続する流路である。第3流路は、第1熱交換器と流路切換弁を接続する流路である。第4流路は、第1閉鎖弁と流路切換弁を接続する流路である。第1連絡流路は、第1閉鎖弁と第2熱交換器を接続する。第2連絡流路は、第2閉鎖弁と第2熱交換器を接続する。流路切換弁は、第1接続状態と、第2接続状態と、第3接続状態と、のいずれかに切り換え可能である。第1接続状態は、第1流路と第3流路を接続しつつ第2流路と第4流路を接続する。第2接続状態は、第1流路と第4流路を接続しつつ第2流路と第3流路を接続する。第3接続状態は、第1流路と第2流路と第3流路と第4流路が連通する。
【0007】
この冷凍サイクル装置では、流路切換弁は、第1流路と第2流路と第3流路と第4流路が連通する第3接続状態に切り換え可能である。このため、冷媒回路のうち流路切換弁に接続されている第1流路と第2流路と第3流路と第4流路を全て連通させることが可能となる。これにより、第1流路と第2流路と第3流路と第4流路に存在する冷媒の回収を容易に行うことが可能となる。
【0008】
第2観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置であって、圧縮機の運転停止時には、流路切換弁は、第3接続状態に切り換えられる。
【0009】
この冷凍サイクル装置では、圧縮機が停止した状態であっても、第1流路と第2流路と第3流路と第4流路に存在する冷媒の回収を容易に行うことが可能となる。なお、ここでは、圧縮機が停止した状態のまま冷媒回収を行う場合には、冷媒回収のために流路切換弁の接続状態を第3接続状態に切り換える作業が不要となる。
【0010】
第3観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点または第2観点の冷凍サイクル装置であって、流路切換弁は、接続部と、弁体と、を有する。接続部は、第1流路と第2流路と第3流路と第4流路が接続された接続空間を有する。弁体は、接続空間内に配置されており、第1接続状態と第2接続状態と第3接続状態に応じた位置に移動可能である。
【0011】
この冷凍サイクル装置では、弁体の接続空間内の位置を移動させるだけで、第1接続状態と第2接続状態と第3接続状態とを切り換えることが可能になる。
【0012】
第4観点に係る冷凍サイクル装置は、第3観点の冷凍サイクル装置であって、制御部をさらに備える。制御部は、弁体の位置を移動させることで、流路切換弁を第1接続状態と第2接続状態と第3接続状態のいずれかに制御する。
【0013】
この冷凍サイクル装置では、流路切換弁の接続状態を制御することが可能になる。
【0014】
第5観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第4観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、第5流路をさらに有する。第5流路は、第1熱交換器と第2閉鎖弁とを接続する。第1減圧部は、第5流路に設けられている。圧縮機の運転停止時には、第1減圧部は閉状態となる。
【0015】
この冷凍サイクル装置では、圧縮機の運転停止時に、第1減圧部よりも液冷媒側に位置する液冷媒が冷媒回路におけるガス冷媒側に向けて流れていくことが抑制される。
【0016】
第6観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第5観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、第2減圧部をさらに有している。第2減圧部は、第2連絡流路に設けられている。圧縮機の運転停止時には、第2減圧部は閉状態となる。
【0017】
この冷凍サイクル装置では、圧縮機の運転停止時に、第2減圧部よりも液冷媒側に位置する液冷媒が冷媒回路におけるガス冷媒側に流れていくことが抑制される。
【0018】
第7観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第6観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路は、第5流路と、第6流路と、過冷却熱交換器と、を有する。第5流路は、第1熱交換器と第2閉鎖弁とを接続する。第6流路は、第5流路と第2流路を接続する。第6流路は、第5流路との接続部分と過冷却熱交換器との間に第3減圧部を有している。圧縮機の運転停止時には、第3減圧部は閉状態となる。
【0019】
この冷凍サイクル装置では、圧縮機の運転停止時に、第6流路を介して液冷媒が冷媒回路におけるガス冷媒側に流れていくことが抑制される。
【0020】
第8観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第7観点のいずれかの冷凍サイクル装置であって、冷媒は、燃焼性を有する冷媒である。
【0021】
この冷凍サイクル装置では、燃焼性を有する冷媒を容易に回収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】冷凍サイクル装置の概略構成図である。
図2】冷凍サイクル装置のブロック構成図である。
図3】四路切換弁の冷房接続状態の平面概略構成図である。
図4】四路切換弁の冷房接続状態の側断面概略構成図である。
図5】四路切換弁の暖房接続状態の平面概略構成図である。
図6】四路切換弁の暖房接続状態の側断面概略構成図である。
図7】四路切換弁の中間停止状態の平面概略構成図である。
図8】四路切換弁の中間停止状態の側断面概略構成図である。
図9】冷凍サイクル装置の運転から停止までの制御フローチャートである。
図10】冷媒回収機が接続されて冷媒が回収される様子を示す説明図である。
図11】他の実施形態Bに係る冷凍サイクル装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示に係る冷凍サイクル装置について、例を挙げつつ具体的に説明するが、これらの記載は本開示内容を限定するものではない。
【0024】
(1)冷凍サイクル装置1
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、対象空間の熱負荷を処理する装置であって、例えば、対象空間の空気を調和させる空気調和装置等である。
【0025】
図1に、冷凍サイクル装置の概略構成図を示す。図2に、冷凍サイクル装置のブロック構成図を示す。
【0026】
冷凍サイクル装置1は、主として、室外ユニット20と、室内ユニット30と、室外ユニット20と室内ユニット30を接続する液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5と、リモコン37と、冷凍サイクル装置1の動作を制御するコントローラ7と、を有している。
【0027】
冷凍サイクル装置1では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填されている。
【0028】
(2)冷媒
冷媒回路10に充填されている冷媒としては、特に限定されない。
【0029】
なお、本実施形態では、例えば、冷媒として、燃焼性を有する冷媒が用いることができる。なお、燃焼性を有する冷媒としては、ASHRAE Safety Groupにおける、クラスA3、B3の強燃性冷媒、クラスA2、B2の可燃性冷媒、クラスA2L、B2Lの微燃性冷媒等が挙げられる。燃焼性を有する冷媒としては、なかでも、R290、R600、および、R600aからなる群より選択される1種または2種以上であってよい。なお、冷媒回路10には、上述の冷媒と共に冷凍機油が充填される。
【0030】
(3)室外ユニット20
室外ユニット20は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室内ユニット30と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット20は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、室外ファン25と、レシーバ41と、ガス閉鎖弁28と、液閉鎖弁29と、吐出管9、吸入管8、第1冷媒配管11、第2冷媒配管12、第3冷媒配管13、第4冷媒配管14、第5冷媒配管15と、油分離器81と、油戻し流路80と、キャピラリーチューブ82と、過冷却熱交換器92と、過冷却回路90と、過冷却膨張弁91と、を有している。
【0031】
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。ここでは、圧縮機21としては、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素が圧縮機モータによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機を用いることができ、本実施形態ではロータリ圧縮機を用いている。圧縮機モータは、容量を変化させるためのものであり、インバータにより運転周波数の制御が可能である。圧縮機21には、吸入側において吸入管8が接続されている。吸入管8は、圧縮機21の内部に冷媒を導くための配管であり、本実施形態では、レシーバ41と圧縮機21の内部を接続している。圧縮機21は、吐出側において吐出管9が接続されている。吐出管9は、圧縮機21の内部から外部に冷媒を吐出させるための配管であり、本実施形態では、圧縮機21の内部と四路切換弁22を接続している。
【0032】
四路切換弁22は、上方向から見た概略配置構成図である図3図5図7と、側面視概略断面図である図4図6図8と、に示すように、流路接続部22aと弁体22bを有している。四路切換弁22は、弁体22bの流路接続部22aに対する移動が制御されることにより流路が切り換えられる弁である。
【0033】
流路接続部22aは、吐出管9と、第1冷媒配管11と、第2冷媒配管12と、第3冷媒配管13と、接続される空間を内部に有する。本実施形態では、吐出管9は流路接続部22aの上方に接続されており、第1冷媒配管11と第2冷媒配管12と第3冷媒配管13とは流路接続部22aの下方に接続されている。弁体22bは、流路接続部22aに対して相対的することが可能となるように設けられている。特に限定されないが、例えば、四路切換弁22には、外部から電気エネルギを受けて弁体22bを移動させる図示しない弁体駆動部が設けられていてもよい。弁体22bは、下方が上に向けて陥没した形状を有している。
【0034】
四路切換弁22は、流路接続部22aに対する弁体22bの位置を変えることで、冷媒回路10の接続状態を、冷房接続状態と、暖房接続状態と、中間停止状態と、に切り換える。
【0035】
冷房接続状態では、図3図4に示すように、第2冷媒配管12の上端開放部分と第1冷媒配管11の上端開放部分とを上から覆う位置に弁体22bが移動することで、第2冷媒配管12と第1冷媒配管11とが接続される。なお、冷房接続状態では、吐出管9と第3冷媒配管13とは、第1冷媒配管11および第2冷媒配管12とは接続されることなく、互いに接続される。これにより、冷房接続状態では、図3図4において矢印で示すように、圧縮機21の吐出側に設けられた吐出管9と、室外熱交換器23に接続された第3冷媒配管13とが接続され、圧縮機21の吸入側に設けられた吸入管8とレシーバ41と第2冷媒配管12と、ガス閉鎖弁28に接続された第1冷媒配管11とが接続される。
【0036】
暖房接続状態では、図5図6に示すように、第2冷媒配管12の上端開放部分と第3冷媒配管13の上端開放部分とを上から覆う位置に弁体22bが移動することで、第2冷媒配管12と第3冷媒配管13とが接続される。なお、暖房接続状態では、吐出管9と第1冷媒配管11とは、第2冷媒配管12および第3冷媒配管13とは接続されることなく、互いに接続される。これにより、暖房接続状態では、図5図6において矢印で示すように、圧縮機21の吐出側に設けられた吐出管9と、ガス閉鎖弁28に接続された第1冷媒配管11とが接続され、圧縮機21の吸入側に設けられた吸入管8とレシーバ41と第2冷媒配管12と、室外熱交換器23に接続された第3冷媒配管13とが接続される。
【0037】
中間停止状態では、図7図8に示すように、第1冷媒配管11の上端開放部分の一部のみと第3冷媒配管13の上端開放部分とを上から覆う位置に弁体22bが移動することで、吐出管9と第1冷媒配管11と第2冷媒配管12と第3冷媒配管13とが互いに接続される。これにより、中間停止状態では、図7図8において矢印で示すように、例えば、吐出管9と第3冷媒配管13から流路接続部22a内に流れてきた冷媒と第2冷媒配管12を流れてきた冷媒とを合流させて、第1冷媒配管11に流すこと等が可能になる。
【0038】
なお、本実施形態の四路切換弁22としては、例えば、ロータリ式の四路切換弁を用いることができる。このロータリ式の四路切換弁は、上面視において、弁体22bが円弧の一部を構成するような形状を有しており、当該円弧の円心を軸として周方向にスライド移動するように構成されている。
【0039】
室外熱交換器23は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器または凝縮器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23のガス側端部は、第3冷媒配管13を介して四路切換弁22と接続されている。室外熱交換器23の液側端部は、第4冷媒配管14を介して室外膨張弁24と接続されている。
【0040】
室外膨張弁24は、冷媒回路10における室外熱交換器23の液側出口から液閉鎖弁29までの間に設けられている。室外膨張弁24は、図示しない弁座に対して図示しない弁体が移動制御されることで弁開度を調節可能な電動膨張弁である。室外膨張弁24と液閉鎖弁29とは、第5冷媒配管15を介して接続されている。
【0041】
室外ファン25は、室外ユニット20内に室外の空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる。室外ファン25は、室外ファンモータによって回転駆動される。
【0042】
レシーバ41は、圧縮機21の吸入側に設けられた吸入管8の端部と、四路切換弁22の接続ポートの1つから延びる第2冷媒配管12の端部と、を内部に収容するようにして設けられており、冷媒回路10における余剰冷媒を液冷媒として貯留することが可能な冷媒容器である。レシーバ41の入口側は、第2冷媒配管12を介して四路切換弁22と接続されている。レシーバ41の出口側は、吸入管8を介して圧縮機21の吸入側に接続されている。
【0043】
油分離器81は、吐出管9の途中に設けられており、圧縮機21から吐出された冷媒および冷凍機油から、冷凍機油のみを分離する容器である。
【0044】
油戻し流路80は、油分離器81から延び出しており、吸入管8の途中に合流する流路である。油戻し流路80の途中にはキャピラリーチューブ82が設けられている。
【0045】
過冷却回路90は、第5冷媒配管15から分岐し、第2冷媒配管12の途中に合流する流路である。過冷却回路90の途中には、過冷却膨張弁91が設けられている。過冷却膨張弁91も弁開度を調節可能な電動膨張弁である。
【0046】
過冷却熱交換器92は、第5冷媒配管15を流れる冷媒と、過冷却回路90のうち過冷却膨張弁91を通過する際に減圧された冷媒と、の間で熱交換を行わせる熱交換器である。本実施形態では、過冷却熱交換器92は、冷房運転時に、第5冷媒配管15のうち過冷却熱交換器92よりも上流側で過冷却回路90に向けて分岐し、過冷却膨張弁91で減圧された冷媒によって、第5冷媒配管15を流れる冷媒を過冷却させる。
【0047】
液閉鎖弁29は、室外ユニット20における液側冷媒連絡配管6との接続部分に配置された手動弁である。液閉鎖弁29は、液側冷媒連絡配管6と第5冷媒配管15とを接続しつつ、冷媒回路10に冷媒を充填するかまたは冷媒回路10から冷媒を回収するための液側サービスポートを備えている。
【0048】
ガス閉鎖弁28は、室外ユニット20におけるとガス側冷媒連絡配管5との接続部分に配置された手動弁である。ガス閉鎖弁28は、ガス側冷媒連絡配管5と第1冷媒配管11とを接続しつつ、冷媒回路10に冷媒を充填するかまたは冷媒回路10から冷媒を回収するためのガス側サービスポートを備えている。
【0049】
室外ユニット20は、室外ユニット20を構成する各部の動作を制御する室外ユニット制御部27を有している。室外ユニット制御部27は、CPU等のプロセッサや、ROMやRAM等のメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室外ユニット制御部27は、各室内ユニット30の室内ユニット制御部34と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0050】
室外ユニット20には、吐出圧力センサ61、吐出温度センサ62、吸入圧力センサ63、吸入温度センサ64、室外熱交温度センサ65、外気温度センサ66等が設けられている。これらの各センサは、室外ユニット制御部27と電気的に接続されており、室外ユニット制御部27に対して検出信号を送信する。吐出圧力センサ61は、圧縮機21の吐出側と四路切換弁22の接続ポートの1つとを接続する吐出管9を流れる冷媒の圧力を検出する。吐出温度センサ62は、吐出管9を流れる冷媒の温度を検出する。吸入圧力センサ63は、圧縮機21の吸入側とレシーバ41とを接続する吸入管8を流れる冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ64は、吸入管8を流れる冷媒の温度を検出する。室外熱交温度センサ65は、室外熱交換器23のうち四路切換弁22が接続されている側とは反対側である液側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。外気温度センサ66は、室外熱交換器23を通過する前の屋外の空気温度を検出する。
【0051】
なお、本実施形態では、室外ユニット20は、室外ユニット20用の電力供給部から電力が供給される。
【0052】
(4)室内ユニット30
室内ユニット30は、例えば、対象空間である室内の壁面や天井等に設置される。室内ユニット30は、液側冷媒連絡配管6およびガス側冷媒連絡配管5を介して室外ユニット20と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0053】
室内ユニット30は、室内熱交換器31と、室内膨張弁35と、第6冷媒配管16と、第7冷媒配管17と、室内ファン32を有している。
【0054】
室内熱交換器31は、液側が、第6冷媒配管16を介して液側冷媒連絡配管6と接続され、ガス側端が、第7冷媒配管17を介してガス側冷媒連絡配管5と接続されている。室内熱交換器31は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器として機能する熱交換器である。
【0055】
室内膨張弁35は、冷媒回路10における室内熱交換器31の液側出口から延びる第6冷媒配管16に設けられている。室内膨張弁35は、図示しない弁座に対して図示しない弁体が移動制御されることで弁開度を調節可能な電動膨張弁である。
【0056】
室内ファン32は、室内ユニット30内に室内の空気を吸入して、室内熱交換器31において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための空気流れを生じさせる。室内ファン32は、室内ファンモータによって回転駆動される。
【0057】
また、室内ユニット30は、室内ユニット30を構成する各部の動作を制御する室内ユニット制御部34を有している。室内ユニット制御部34は、CPU等のプロセッサや、ROMやRAM等のメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室内ユニット制御部34は、室外ユニット制御部27と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
【0058】
室内ユニット30には、室内液側熱交温度センサ71、室内空気温度センサ72等が設けられている。これらの各センサは、室内ユニット制御部34と電気的に接続されており、室内ユニット制御部34に対して検出信号を送信する。室内液側熱交温度センサ71は、室内熱交換器31の液冷媒側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。室内空気温度センサ72は、室内熱交換器31を通過する前の室内の空気温度を検出する。
【0059】
なお、本実施形態では、室内ユニット30は、室外ユニット20用の電力供給部とは別の室内ユニット30用の電力供給部から電力が供給される。
【0060】
(5)コントローラ7
冷凍サイクル装置1では、室外ユニット制御部27と室内ユニット制御部34とリモコン37とが通信線を介して接続されることで、冷凍サイクル装置1の動作を制御するコントローラ7が構成されている。
【0061】
コントローラ7は、主として、CPU(中央演算処理装置)等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリを有している。なお、コントローラ7による各種処理や制御は、室外ユニット制御部27および/又は室内ユニット制御部34に含まれる各部が一体的に機能することによって実現されている。
【0062】
なお、本実施形態では、室外ユニット制御部27は室外ユニット20用の電力供給部から供給される電力により作動し、室内ユニット制御部34とリモコン37は室内ユニット30用の電力供給部から供給される電力により作動する。
【0063】
(6)運転モード
冷凍サイクル装置1は、少なくとも冷房運転モードと暖房運転モードとを実行可能である。
【0064】
コントローラ7は、リモコン37から受け付けた指示に基づいて、冷房運転モードか暖房運転モードかを判断し、実行する。
【0065】
冷房運転モードでは、圧縮機21は、例えば、冷媒回路10における冷媒の蒸発温度が目標蒸発温度になるように、運転周波数が容量制御される。なお、冷房運転時には、過冷却回路90に冷媒が流れる。
【0066】
冷房運転時に圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、四路切換弁22を介して、室外熱交換器23において凝縮する。室外熱交換器23を流れた冷媒は、室外膨張弁24を通過する際に減圧される。
【0067】
室外膨張弁24で減圧された冷媒は、全開状態に制御された液閉鎖弁29を介して、第5冷媒配管15に流れる。第5冷媒配管15を流れた冷媒は、一部が過冷却回路90に分離して流れる。過冷却膨張弁91は、過冷却熱交換器92を通過して液閉鎖弁29に向けて流れる冷媒の過冷却度が所定条件を満たすように、弁開度が制御される。液閉鎖弁29を介して液側冷媒連絡配管6を流れた冷媒は、室内ユニット30に送られる。室内ユニット30に送られた冷媒は、室内膨張弁35において減圧された後に、室内熱交換器31において蒸発する。室内熱交換器31で蒸発した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管5を流れた後に、ガス閉鎖弁28、四路切換弁22、レシーバ41を経て、再び、圧縮機21に吸入される。なお、室内膨張弁35は、例えば、圧縮機21に吸入される冷媒の過熱度が所定条件を満たすように制御される。
【0068】
暖房運転モードでは、圧縮機21は、例えば、冷媒回路10における冷媒の凝縮温度が、目標凝縮温度になるように、運転周波数が容量制御される。なお、暖房運転時には、過冷却膨張弁91が全閉状態に制御されることで、過冷却回路90には冷媒が流れない。
【0069】
暖房運転時に圧縮機21から吐出されたガス冷媒は、四路切換弁22、ガス側冷媒連絡配管5を流れた後、室内ユニット30の室内熱交換器31のガス側端に流入し、室内熱交換器31において凝縮または放熱する。室内熱交換器31において凝縮または放熱した冷媒は、全開状態に制御された室内膨張弁35を通過した後、液側冷媒連絡配管6を流れて、室外ユニット20に流入する。
【0070】
室外ユニット20の液閉鎖弁29を通過した冷媒は、過冷却回路90に流れることなく室外膨張弁24において減圧される。室外膨張弁24で減圧された冷媒は、室外熱交換器23において蒸発し、四路切換弁22およびレシーバ41を経て、再び、圧縮機21に吸入される。なお、室外膨張弁24は、例えば、圧縮機21に吸入される冷媒の過熱度が所定条件を満たすように制御される。
【0071】
(7)運転停止時の制御
図9に、冷凍サイクル装置1の運転から停止までの制御フローチャートを示す。
【0072】
ここでは、リモコン37が冷房運転または暖房運転の指示を受け付けた場合から、各運転を停止させるまでの処理を説明する。
【0073】
ステップS10では、コントローラ7は、リモコン37が受け付けた指示が冷房運転の指示であるか否かを判断する。ここで、冷房運転の指示である場合には、ステップS11に移行し、冷房運転の指示ではなかった場合には、ステップS17に移行する。
【0074】
ステップS11では、コントローラ7は、四路切換弁22の弁体22bを冷房接続状態の位置に移動させる。
【0075】
ステップS12では、コントローラ7は、冷媒回路10の接続状態を冷房接続状態に維持したままで、冷房運転を行う。
【0076】
ステップS13では、コントローラ7は、リモコン37が運転停止の指示を受け付けたか否かを判断する。ここで、運転停止の指示を受け付けた場合には、ステップS14に移行し、運転停止の指示を受け付けていない場合には、ステップS12に戻って冷房運転を続ける。
【0077】
ステップS14では、コントローラ7は、室外膨張弁24と室内膨張弁35と過冷却膨張弁91をいずれも全閉状態に制御する。
【0078】
ステップS15では、コントローラ7は、四路切換弁22の弁体22bを中間停止状態の位置に移動させる。
【0079】
ステップS16では、コントローラ7は、冷凍サイクル装置1の運転を停止させる。
【0080】
ステップS17では、コントローラ7は、四路切換弁22の弁体22bを暖房接続状態の位置に移動させる。
【0081】
ステップS18では、コントローラ7は、冷媒回路10の接続状態を暖房接続状態に維持したままで、暖房運転を行う。
【0082】
ステップS19では、コントローラ7は、リモコン37が運転停止の指示を受け付けたか否かを判断する。ここで、運転停止の指示を受け付けた場合には、ステップS20に移行し、運転停止の指示を受け付けていない場合には、ステップS18に戻って暖房運転を続ける。
【0083】
ステップS20では、コントローラ7は、室外膨張弁24と室内膨張弁35をいずれも全閉状態に制御する。
【0084】
ステップS21では、コントローラ7は、四路切換弁22の弁体22bを中間停止状態の位置に移動させる。
【0085】
ステップS22では、コントローラ7は、冷凍サイクル装置1の運転を停止させる。
【0086】
なお、冷凍サイクル装置1では、再度、冷房運転を再開させる場合には、四路切換弁22の弁体22bを冷房接続状態の位置に移動させ、暖房運転を再開させる場合には、四路切換弁22の弁体22bを暖房接続状態の位置に移動させることになる。
【0087】
以上のようにして、冷凍サイクル装置1は、運転停止した状態では、四路切換弁22の弁体22bを中間停止状態の位置に位置する。このため、例えば、冷凍サイクル装置1が運転停止している状態で冷凍サイクル装置1に対する電源供給が途絶えたとしても、四路切換弁22の弁体22bは中間停止状態の位置に維持される。
【0088】
(8)冷媒回収
冷凍サイクル装置1の冷媒回路10に充填されている冷媒は、冷凍サイクル装置1が使用されなくなった場合や新しい冷媒に入れ換える場合等に、冷媒回収が行われる。
【0089】
冷媒回収は、図10に示すように、冷媒回収機100から延びる配管が、ガス閉鎖弁28のガス側サービスポートと液閉鎖弁29の液側サービスポートにそれぞれ接続された状態で、冷媒回収機100に冷媒回路10の冷媒を回収させることで行う。
【0090】
冷媒回収機100は、特に限定されず、図示しない膨張機構、蒸発器、不純物分離器、ドライヤ、回収用圧縮機、凝縮器、貯留部などを有する公知のものを用いることができる。冷媒回収機100は、回収用圧縮機を駆動させることで、冷媒を膨張機構で減圧させ、蒸発器で蒸発させる。蒸発器で蒸発した冷媒は、不純物分離器に送られることで、冷凍機油や塵等の不純物が分離される。その後、冷媒は、ドライヤに送られることで、水分が除去される。水分が除去された冷媒は凝縮器に送られることで凝縮し、貯留部に溜められる。
【0091】
(9)実施形態の特徴
本実施形態の冷凍サイクル装置1は、四路切換弁22について、弁体22bの位置が、冷房接続状態でもなく暖房接続状態でもない、中間停止状態となるように制御することができる。このため、四路切換弁22を中間停止状態に制御することで、四路切換弁22に接続されている吐出管9と第1冷媒配管11と第2冷媒配管12と第3冷媒配管13を互いに連通した状態にすることができる。
【0092】
このため、四路切換弁22を中間停止状態に制御して、冷媒回収を行うことで、冷媒回路10のうち、四路切換弁22と吐出管9と第1冷媒配管11と第2冷媒配管12と第3冷媒配管13に存在する冷媒を同時に回収することが可能となる。更には、さらには、冷媒回路10のうち、吐出管9に接続されている部分と、第1冷媒配管11に接続されている部分と、第2冷媒配管12に接続されている部分と、第3冷媒配管13に接続されている部分に存在する冷媒についても、同時に回収することが可能になる。
【0093】
例えば、冷媒回路10のうち、四路切換弁22と、吐出管9と、第1冷媒配管11と、第2冷媒配管12と、第3冷媒配管13と、吐出管9に接続されている部分と、第1冷媒配管11に接続されている部分と、第2冷媒配管12に接続されている部分と、第3冷媒配管13に接続されている部分と、のいずれかの箇所に冷媒回収機100を接続することにより、これらの箇所に存在している冷媒を回収することができる。特に、上記実施形態では、ガス閉鎖弁28のガス側サービスポートに冷媒回収機100を接続することにより、これらの箇所の冷媒を回収することができる。これにより、冷媒の回収を容易に行うことが可能になる。
【0094】
また、本実施形態では、冷房運転または暖房運転を終了して冷凍サイクル装置1の運転を停止させる際には、室内膨張弁35と室外膨張弁24と過冷却膨張弁91が全閉状態に制御されている。このため、運転停止時に、室内膨張弁35よりも液冷媒側に位置する液冷媒が、室内熱交換器31側に流れることが抑制され、室外膨張弁24よりも液冷媒側に位置する液冷媒が、室外熱交換器23側に流れることが抑制され、過冷却膨張弁91よりも液冷媒側に位置する液冷媒が、過冷却回路90の下流側に向けて流れることが抑制される。これにより、停止時に液冷媒が圧縮機21の吸入側に流れていくことが抑制されるため、圧縮機21の起動時における液圧縮が抑制される。
【0095】
以上のように、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、運転停止時に、室内膨張弁35と室外膨張弁24と過冷却膨張弁91が全閉状態となるため、ガス閉鎖弁28のガス側サービスポートに冷媒回収機100を接続して冷媒回収することにより、第6冷媒配管16のうち室内膨張弁35よりもガス冷媒側の部分、室内熱交換器31、第7冷媒配管17、ガス側冷媒連絡配管5、第1冷媒配管11、四路切換弁22、吐出管9、油分離器81、油戻し流路80、吸入管8、レシーバ41、第2冷媒配管12、過冷却回路90の過冷却膨張弁91よりもガス冷媒側の部分、第3冷媒配管13、室外熱交換器23、第4冷媒配管14に存在する冷媒が回収される。そして、液閉鎖弁29の液側サービスポートに冷媒回収機100を接続して冷媒回収することにより、第6冷媒配管16のうち室内膨張弁35よりも液冷媒側の部分、液側冷媒連絡配管6、第5冷媒配管15、過冷却回路90のうち過冷却膨張弁91よりも液冷媒側の部分に存在する冷媒が回収される。これにより、冷媒回路10の全域を対象とした冷媒回収が可能となる。
【0096】
なお、本実施形態の冷凍サイクル装置1の冷媒回路10は、キャピラリーチューブ82を有する油戻し流路80が設けられている。このため、例えば、四路切換弁22の接続状態を暖房接続状態として、ガス閉鎖弁28のガス側サービスポートに冷媒回収機100を接続して冷媒回収した場合においても、吸入管8、レシーバ41、第2冷媒配管12、過冷却回路90の過冷却膨張弁91よりもガス冷媒側の部分、第3冷媒配管13、室外熱交換器23、第4冷媒配管14に存在する冷媒は、油戻し流路80のキャピラリーチューブ82を少しずつ流すことにより、吐出管9と四路切換弁22と第1冷媒配管11を経て回収させることは可能である。しかし、油戻し流路80のキャピラリーチューブ82の流路は、冷媒回路10の配管部分よりも細いため、冷媒が通過するのに長い時間を要する。これに対して、本実施形態のように、四路切換弁22の接続状態を中間停止状態として冷媒回収を行う方が、より迅速に回収することができる。
【0097】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、運転停止時に四路切換弁22の接続状態が中間停止状態となる。このため、使用されなくなって長時間が経過した冷凍サイクル装置1等のように電源供給がなされないものであっても、冷媒回収機100を接続するガス閉鎖弁28のガス側サービスポートに接続するだけで、四路切換弁22の弁体22bの位置変更制御等を行わなくても、冷媒回収が可能となる。また、室外ユニット20のみに対する電源供給が途絶えている状況であっても同様に、四路切換弁22の弁体22bの位置変更制御等を行わなくても、冷媒回収が可能となる。特に、本実施形態によれば、冷媒回路10における圧縮機21を駆動させて液冷媒を室外熱交換器23に集めるようなポンプダウン運転を行う必要が無いため、室外ユニット20への電源供給が途絶えている状況でも冷媒回収を容易に行うことができる。また、本実施形態の冷凍サイクル装置1は、運転停止時に四路切換弁22の接続状態が中間停止状態となっているため、冷媒回収のために四路切換弁22の接続状態を切り換える操作が不要となる。特に、冷媒回路において生じた冷媒の圧力差を利用して接続状態が切り換えられるような従来の差圧式の四路切換弁が用いられた冷凍サイクル装置では、圧縮機を駆動させて冷媒回路に冷媒の圧力差が生じる状態を生じさせる必要があるが、本実施形態のように電気的に接続状態が切り換えられる四路切換弁22が用いられた冷凍サイクル装置1では、このような圧力差を生じさせた上での切り換え操作が不要となる。
【0098】
また、冷凍サイクル装置1への電力が供給されないために、室外膨張弁24と室内膨張弁35と過冷却膨張弁91が全閉状態のままとなっている場合であっても、冷媒回収機100をガス閉鎖弁28のガス側サービスポートと液閉鎖弁29の液側サービスポートの両方に接続することにより、冷媒回路10の全領域について冷媒回収することが可能になる。
【0099】
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置1では、冷媒として燃焼性を有するものが用いられているが、このような燃焼性を有する冷媒をより確実に回収することが可能になり、発火が抑制される。
【0100】
(10)他の実施形態
(10-1)他の実施形態A
上記実施形態の冷凍サイクル装置1では、冷媒回路10が油戻し流路80を備える場合を例に挙げて説明した。
【0101】
これに対して、冷媒回路10としては、上記実施形態の油戻し流路80が設けられていないものであってもよいし、キャピラリーチューブ82の代わりに開度制御が可能な制御弁が設けられた油戻し流路80が設けられていてもよい。
【0102】
このような、油戻し流路80が設けられていない場合や油戻し流路80の制御弁が閉じられた状態となっている場合には、室外熱交換器23内や第3冷媒配管13の冷媒等については、ガス閉鎖弁28から回収することが困難になる。
【0103】
この場合であっても、上記実施形態のように、四路切換弁22の接続状態を中間停止状態にすることができれば、これらの箇所からの冷媒回収が可能となる。
【0104】
(10-2)他の実施形態B
上記実施形態の冷凍サイクル装置1の冷媒回路10の代わりに、図11に示すように、吐出管9において圧縮機21から四路切換弁22側に向かう冷媒流れのみが許容されるような逆止弁18が設けられた冷媒回路10を用いてもよい。
【0105】
(10-3)他の実施形態C
上記実施形態の冷凍サイクル装置1では、冷媒回路10において燃焼性を有する冷媒が用いられる場合を例に挙げて説明した。
【0106】
これに対して、冷媒回路10においては、例えば、高圧で用いられる冷媒が用いられてもよい。高圧で用いられる冷媒としては、例えば、二酸化炭素が挙げられる。
【0107】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0108】
1 冷凍サイクル装置
5 ガス側冷媒連絡配管(第1連絡流路)
6 液側冷媒連絡配管(第2連絡流路)
7 コントローラ(制御部)
8 吸入管(第2流路)
9 吐出管(第1流路)
10 冷媒回路
11 第1冷媒配管(第4流路)
12 第2冷媒配管(第2流路)
13 第3冷媒配管(第3流路)
14 第4冷媒配管(第5流路)
15 第5冷媒配管(第5流路)
16 第6冷媒配管(第2連絡流路)
17 第7冷媒配管(第1連絡流路)
20 室外ユニット
21 圧縮機
22 四路切換弁(流路切換弁)
22a 流路接続部(接続部)
22b 弁体
23 室外熱交換器(第1熱交換器)
24 室外膨張弁(第1減圧部)
28 ガス閉鎖弁(第1閉鎖弁)
29 液閉鎖弁(第2閉鎖弁)
30 室内ユニット
31 室内熱交換器(第2熱交換器)
35 室内膨張弁(第2減圧部)
37 リモコン
41 レシーバ(第2流路)
80 油戻し流路
81 油分離器
82 キャピラリーチューブ
90 過冷却回路(第6流路)
91 過冷却膨張弁(第3減圧部)
92 過冷却熱交換器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2000-249433号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11