(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025445
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】瞬目の測定結果に基づきアプリケーションの使用を制限させるプログラム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240216BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240216BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240216BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240216BHJP
G09G 5/34 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G09G5/00 550C
G09G5/00 550B
G09G5/00 530D
G09G5/10 B
G09G5/36 520B
G09G5/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128901
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】池田 直樹
【テーマコード(参考)】
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5C182AB01
5C182AB02
5C182AB08
5C182AB14
5C182AB33
5C182AB37
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC43
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA55
5C182BA56
5C182BA57
5C182CA01
5C182CB47
5C182CC13
5C182DA65
5C182FA61
5E555AA76
5E555BA06
5E555BB06
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA42
5E555CB58
5E555CB67
5E555CB81
5E555CC02
5E555DA13
5E555DA31
5E555DB41
5E555DB53
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5E555DC02
5E555DC36
5E555DD08
5E555EA11
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アプリケーションの使用制限により、目の疲れを低減させることができる使用制限プログラム、装置及び方法を提供する。
【解決手段】ユーザによるアプリケーションの使用を制限させるプログラムは、コンピュータを、ユーザについて取得した瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たすと判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用制限を決定する使用制限決定部と、使用制限が決定されたアプリケーションの使用制限に係る制限指示を生成し、アプリケーションの動作に係る制御を行う入出力制御部へ制限指示を出力する使用制限指示部として機能させる。ここで使用制限決定部は、使用制限が開始された状況で、ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の解除条件を満たすと判定した場合、使用制限の解除を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる装置でのアプリケーションの使用を制限させる使用制限プログラムであって、
当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たすと判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
使用の制限が決定されたアプリケーションの使用の制限に係る制限指示を生成し、前記装置におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段へ当該制限指示を出力する使用制限指示手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする使用制限プログラム。
【請求項2】
前記使用制限決定手段は、設定された判定時間における瞬目の回数が所定の条件を満たすまでに少ないと判定した場合において、瞬目の有無又は頻度が所定の条件を満たすか否かを判定し、又は当該ユーザの目から前記装置への向きと顔の向きとの関係が所定の条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合に、当該使用の制限を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の使用制限プログラム。
【請求項3】
前記使用制限決定手段は、少なくとも1つのディスプレイ装置について取得された、当該ユーザの使用時間及び/又は画面注視時間に係る情報に基づいて、又は、当該ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報と、取得された当該ユーザの睡眠時間に係る情報、当該ユーザの眉間のしわの有無に係る情報、及び当該ユーザの周辺の湿度に係る情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、当該判定時間を決定することを特徴とする請求項2に記載の使用制限プログラム。
【請求項4】
前記使用制限決定手段は、当該使用の制限が開始された状況において、当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の解除条件を満たすと判定された場合、又は、当該ユーザの目から前記装置への向きと顔の向きとの関係が所定の解除条件を満たすと判定された場合、当該使用の制限の解除を決定し、
前記使用制限指示手段は、解除が決定された使用の制限の解除に係る解除指示を生成し、前記制御手段へ当該解除指示を出力する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の使用制限プログラム。
【請求項5】
少なくとも1つのディスプレイ装置について取得された、当該ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報に基づいて、又は、当該ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報と、取得された当該ユーザの睡眠時間に係る情報、当該ユーザの眉間のしわの有無に係る情報、及び当該ユーザの周辺の湿度に係る情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、当該使用の制限に係る処理の継続時間を決定する制限処理時間決定手段としてコンピュータを更に機能させ、
前記使用制限決定手段は、当該使用の制限に係る処理が開始されてから当該継続時間が経過するまでの間でのみ、当該使用の制限、又は当該使用の制限及び当該使用の制限の解除を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の使用制限プログラム。
【請求項6】
アプリケーション毎に又はアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、使用の制限が決定されたアプリケーションに対する使用の制限の内容を決定する制限内容決定手段としてコンピュータを更に機能させ、
前記使用制限決定手段は、決定された使用の制限の内容に応じた当該使用の制限を決定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の使用制限プログラム。
【請求項7】
当該予め設定された使用制限の内容は、
映像又は画像の提示を主とする第1アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、前記装置の画面の発光度を低下させる若しくは該画面を消灯することを含み、
スクロール操作の可能なテキスト、画像又は映像の表示を主とする第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、当該スクロール操作を制限する若しくは不能にすることを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の使用制限プログラム。
【請求項8】
当該予め設定された使用制限の内容は、
映像又は画像の提示を主とする第1アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、瞬目が所定条件を満たすまでに少ない若しくは無い場合に、当該ユーザの目から前記装置への向きが顔の向きより上向きとなっている場合に、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの少なくとも一方の場合に、又は、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの両方の場合に、前記装置の画面の発光度を低下させる若しくは該画面を消灯することを含み、
スクロール操作の可能なテキスト、画像又は映像の表示を主とする第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、瞬目が所定条件を満たすまでに少ない若しくは無い場合に、当該ユーザの目から前記装置への向きが顔の向きより上向きとなっている場合に、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの少なくとも一方の場合に、又は、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの両方の場合に、当該スクロール操作を制限する若しくは不能にすること、及び前記装置の画面の発光度を低下させる若しくは該画面を消灯すること、における一方又は両方を含む
ことを特徴とする請求項6に記載の使用制限プログラム。
【請求項9】
ユーザによるアプリケーションの使用を制限する装置であって、
アプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段と、
当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たすと判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
使用の制限が決定されたアプリケーションの使用の制限に係る制限指示を生成し、前記制御手段へ当該制限指示を出力する使用制限指示手段と
を有することを特徴とする使用制限装置。
【請求項10】
ユーザによる装置でのアプリケーションの使用を制限させる、コンピュータによって実施される使用制限方法であって、
当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たすと判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用の制限を決定するステップと、
使用の制限が決定されたアプリケーションの使用の制限に係る制限指示を生成し、前記装置におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段へ当該制限指示を出力するステップと
を有することを特徴とする使用制限方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによるアプリケーション・プログラムの使用を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
種々様々なアプリケーション・プログラム(以下、アプリケーションと略称)を利用可能な装置、特にスマートフォンでは、長時間にわたる集中してのアプリケーションの使用によって、ユーザの目の疲れが慢性化することが大きな問題になっている。このような目の疲れは、ドライアイといったような様々な疾患を引き起こす原因ともなり、適切な対策が急務となっている。
【0003】
このような対策を講じる技術として、例えば特許文献1には、ディスプレイ装置を注視しているユーザに、瞬目(まばたき)を自発的に行わせるための疲労予防装置が開示されている。具体的に、この装置は最初に、デジタルカメラから受け取った顔画像データに対して画像処理を行うことにより、ユーザの瞬目を検出する。次いで、ユーザの瞬目が指定した所定の基準回数よりも少なくなったと判定した場合、ユーザが疎ましく感じるようにディスプレイに光を照射する。ここでこの光は、ユーザが次に瞬目を行うまで続けて照射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上説明したような従来技術は、例えば光照射によりディスプレイを見づらくして、ユーザに視覚上のストレスをかけ、これにより瞬目を促すものとなっている。すなわち、目の疲れにおける直接の原因となっているアプリケーションの使用そのものに対し、何らかの対策を講じるものとはなっていない。
【0006】
このように従来、アプリケーションの使用態様そのものが目の疲れに及ぼす影響を考慮し、そこに焦点を当てて目の疲れ対策に取り組むことは、ほとんどなされてこなかったのである。
【0007】
そこで、本発明は、アプリケーションの使用制限により、目の疲れを低減させることができる使用制限プログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ユーザによる装置でのアプリケーションの使用を制限させる使用制限プログラムであって、
当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たすと判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
使用の制限が決定されたアプリケーションの使用の制限に係る制限指示を生成し、装置におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段へ当該制限指示を出力する使用制限指示手段と
してコンピュータを機能させる使用制限プログラムが提供される。
【0009】
この本発明による使用制限プログラムの一実施形態として、使用制限決定手段は、設定された判定時間における瞬目の回数が所定の条件を満たすまでに少ないと判定した場合において、瞬目の有無又は頻度が所定の条件を満たすか否かを判定し、又は当該ユーザの目から装置への向きと顔の向きとの関係が所定の条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合に、当該使用の制限を決定することも好ましい。また、上記の判定時間について、使用制限決定手段は、少なくとも1つのディスプレイ装置について取得された、当該ユーザの使用時間及び/又は画面注視時間に係る情報に基づいて、又は、当該ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報と、取得された当該ユーザの睡眠時間に係る情報、当該ユーザの眉間のしわの有無に係る情報、及び当該ユーザの周辺の湿度に係る情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、当該判定時間を決定することも好ましい。
【0010】
また本発明による使用制限プログラムにおける他の実施形態として、使用制限決定手段は、当該使用の制限が開始された状況において、当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の解除条件を満たすと判定された場合、又は、当該ユーザの目から装置への向きと顔の向きとの関係が所定の解除条件を満たすと判定された場合、当該使用の制限の解除を決定し、
使用制限指示手段は、解除が決定された使用の制限の解除に係る解除指示を生成し、記制御手段へ当該解除指示を出力することも好ましい。
【0011】
さらに上記の実施形態において、本使用制限プログラムは、少なくとも1つのディスプレイ装置について取得された、当該ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報に基づいて、又は、当該ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報と、取得された当該ユーザの睡眠時間に係る情報、当該ユーザの眉間のしわの有無に係る情報、及び当該ユーザの周辺の湿度に係る情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、当該使用の制限に係る処理の継続時間を決定する制限処理時間決定手段としてコンピュータを更に機能させ、
使用制限決定手段は、当該使用の制限に係る処理が開始されてから当該継続時間が経過するまでの間でのみ、当該使用の制限、又は当該使用の制限及び当該使用の制限の解除を決定することも好ましい。
【0012】
また、本発明による使用制限プログラムにおける更なる他の実施形態として、本使用制限プログラムは、アプリケーション毎に又はアプリケーションの種別毎に予め設定された使用制限の内容に基づき、使用の制限が決定されたアプリケーションに対する使用の制限の内容を決定する制限内容決定手段としてコンピュータを更に機能させ、
使用制限決定手段は、決定された使用の制限の内容に応じた当該使用の制限を決定することも好ましい。
【0013】
さらに、制限内容決定手段を備えた上記の実施形態において、当該予め設定された使用制限の内容は、
(a)映像又は画像の提示を主とする第1アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、装置の画面の発光度を低下させる若しくは該画面を消灯することを含み、
(b)スクロール操作の可能なテキスト、画像又は映像の表示を主とする第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、当該スクロール操作を制限する若しくは不能にすることを含む
ことも好ましい。
【0014】
またさらに、制限内容決定手段を備えた上記の実施形態において、当該予め設定された使用制限の内容は、
(a)映像又は画像の提示を主とする第1アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、瞬目が所定条件を満たすまでに少ない若しくは無い場合に、当該ユーザの目から装置への向きが顔の向きより上向きとなっている場合に、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの少なくとも一方の場合に、又は、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの両方の場合に、装置の画面の発光度を低下させる若しくは該画面を消灯することを含み、
(b)スクロール操作の可能なテキスト、画像又は映像の表示を主とする第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、瞬目が所定条件を満たすまでに少ない若しくは無い場合に、当該ユーザの目から装置への向きが顔の向きより上向きとなっている場合に、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの少なくとも一方の場合に、又は、当該少ない若しくはない場合及び当該上向きとなっている場合のうちの両方の場合に、当該スクロール操作を制限する若しくは不能にすること、及び装置の画面の発光度を低下させる若しくは該画面を消灯すること、における一方又は両方を含む
ことも好ましい。
【0015】
本発明によれば、また、ユーザによるアプリケーションの使用を制限する装置であって、
アプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段と、
当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たすと判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用の制限を決定する使用制限決定手段と、
使用の制限が決定されたアプリケーションの使用の制限に係る制限指示を生成し、制御手段へ当該制限指示を出力する使用制限指示手段と
を有する使用制限装置が提供される。
【0016】
本発明によれば、さらに、ユーザによる装置でのアプリケーションの使用を制限させる、コンピュータによって実施される使用制限方法であって、
当該ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たすと判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用の制限を決定するステップと、
使用の制限が決定されたアプリケーションの使用の制限に係る制限指示を生成し、装置におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段へ当該制限指示を出力するステップと
を有する使用制限方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の使用制限プログラム、装置及び方法によれば、アプリケーションの使用制限により、目の疲れを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による使用制限装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】視線向きと顔の向きとの関係を概略的に説明するための模式図である。
【
図3】本発明による使用制限方法における一具体例の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
[使用制限装置]
図1は、本発明による使用制限装置の一実施形態における機能構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
図1に示したスマートフォン1は、本発明による使用制限装置の一実施形態であって、ユーザの「瞬目(まばたき)の測定結果」に基づき、ユーザによる自らにおけるアプリケーション・プログラム(以下、アプリケーションと略称)の使用、例えば視聴、閲覧や操作等を制限することの可能な装置となっている。
【0022】
ここでユーザの瞬目は、後に説明するが、例えばユーザの顔を撮影した(スマートフォン1に内蔵された)前面カメラ11や室内カメラ2等から出力された画像データを用いて測定することができる。また、ユーザによって使用されるアプリケーションには、その起動・使用中に、アプリケーション(AP)サーバ3との間で各種データをやり取りするもの、例えばオンラインゲームアプリやブラウザ等、が含まれていてもよい。
【0023】
いずれにしても、ユーザによるアプリケーションの使用は、ユーザの目の疲れを引き起こす又は増大させる可能性があり、その使用を制限することによって、この目の疲れを低減させることができるのである。ちなみに、アプリケーションの使用制限としては、後に詳細に説明するが、アプリケーションを表示している画面の発光度を低下させたり、この画面を消灯したり、又は表示されたアプリケーションに対する所定の操作、例えばスクロール操作を制限したり(行い難くしたり)、不能にしたりすることが挙げられる。
【0024】
このような機能を果たすべく、本実施形態のスマートフォン1(使用制限装置)は、
(A)ユーザについて取得された「瞬目の測定結果」から、「瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たす」と判定されることを必要条件として、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用の制限を決定する使用制限決定部113と、
(B)使用の制限が決定されたアプリケーションの使用の制限に係る制限指示を生成し、スマートフォン1におけるアプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段(
図1では、入出力制御部122)へこの制限指示を出力する使用制限指示部116と
を有している。
【0025】
ここで上記(A)における「瞬目の有無、回数又は頻度が所定の制限条件を満たす」場合として、例えば、瞬目が所定時間(例えば5秒間)行われない場合を採用してもよい。このような瞬目の無い状態又は瞬目頻度の低下は、通常、画面を長時間凝視(注視)することによって発生するが、これにより角膜が乾燥したり眼筋が疲労したりして、目の疲れの症状が生じてしまうのである。
【0026】
いずれにしてもスマートフォン1は、「瞬目の測定結果」から、ユーザの目に(角膜の乾燥や眼筋の疲労等の)負荷が所定以上にかかっているか否かを判定し、その判定結果に基づき、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用制限を決定し実施する。その結果、スマートフォン1によれば、アプリケーションの使用制限によって、目の疲れを低減させることができるのである。特に、使用制限をすべき判定結果が得られたら直ちに使用制限を行うように設定すれば、目に所定以上の負荷がかかったタイミングで、速やかに目の疲れの低減を図ることも可能となる。
【0027】
さらに本実施形態において、スマートフォン1の使用制限決定部113は、
(A1)使用制限が行われている状況において、ユーザについて取得された「瞬目の測定結果」から、「瞬目の有無、回数又は頻度が所定の解除条件を満たす」と判定された場合、使用制限の解除を決定する
ことも好ましい。この場合、使用制限指示部116は、
(B1)解除が決定された使用制限の解除に係る解除指示を生成し、上記の制御手段(
図1では、入出力制御部122)へこの解除指示を出力する
のである。
【0028】
ここで上記(A1)における「瞬目の有無、回数又は頻度が所定の解除条件を満たす」場合として、例えば、(使用制限の開始後、)瞬目が最初に発生した場合を採用することができる。この場合、ユーザ側から見た1つの装置動作の態様として、例えば、あるアプリケーションを使用しているユーザは、自らの瞬目が所定以上に少なくなってしまったのを契機に、使用中のアプリケーションの使用制限が開始されたことを受け、意識して瞬目を行って、この使用制限を解除させることができるのである。このように、上記(A1)及び(B1)を包含した本実施形態によれば、設定を適切に調整することによって、ユーザの瞬目を促進させ、これによりユーザの目の疲れを低減させることも可能となる。
【0029】
また、スマートフォン1の使用制限決定部113は、「(後に説明するように決定された、又は予め所定値に設定された)判定時間Txにおける瞬目の回数が所定の制限条件を満たすまでに少ない」ことを条件として、例えば10分間(判定時間Tx)における瞬目の頻度が10回/分以下(瞬目の回数が100回以下)であることを条件として、上述したような「使用制限処理」を実施することも好ましい。すなわち、「ある判定時間における瞬目の回数が所定の制限条件を満たすまでに少ない」と判定した場合に、「瞬目の有無又は頻度が所定の制限条件を満たす」か否かを判定し、満たすと判定した場合に使用制限を決定することも好ましいのである。
【0030】
さらに本発明による使用制限装置は、ユーザがまさにアプリケーションを使用している装置(例えばスマートフォン)とは別の装置とすることも可能である。すなわち本使用制限装置は、上記(A)及び(B)の機能構成部を備えていて、ユーザがアプリケーションを使用する装置(スマートフォン等)に対し適宜、アプリケーションの使用制限に係る制限指示を送信する装置、例えば使用制限指示サーバであってもよい。なおこの場合、本装置(サーバ)は、ユーザがアプリケーションを使用する装置に内蔵された前面カメラや、室内カメラ2から出力された、瞬目を測定するための画像データを、通信によって取得することになる。
【0031】
[装置機能構成,使用制限プログラム]
以下、本発明による使用制限装置の一実施形態としてのスマートフォン1の機能構成について、より具体的に説明を行う。同じく
図1の機能ブロック図において、スマートフォン1は、通信インタフェース部101と、画像保存部102と、生理的状態情報保存部103と、環境情報保存部104と、タッチパネル・ディスプレイ105と、プロセッサ・メモリ(メモリ機能を備えた演算処理系)とを有する。
【0032】
ここで、このプロセッサ・メモリは、本発明による使用制限プログラムの一実施形態を保存しており、また、コンピュータ機能を有していて、この使用制限プログラムを実行することによって、アプリケーションの使用制限に係る処理を実施する。このことから、本発明による使用制限装置は、本実施形態のようにスマートフォン(携帯端末)であってもよいが、本発明による使用制限プログラムを搭載した、例えばタブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータや、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよく、さらにはHMD(Head Mounted Display)、スマートグラスや、スマートウォッチといったようなウェアラブル装置とすることもできる。また、上述したように、非クラウドサーバや、クラウドサーバとすることも可能である。
【0033】
また、上記のプロセッサ・メモリは本実施形態において、瞬目・眉間・顔向き情報決定部111と、画面注視時間・睡眠時間決定部112と、使用制限決定部113と、制限処理時間決定部114と、制限内容決定部115と、使用制限指示部116と、通信制御部121と、画面発光制御部122a、画面操作制御部122b及びテキスト表示制御部122cを備えた入出力制御部122と、アプリケーション(AP)部123とを有する。なお、これらの機能構成部は、プロセッサ・メモリに保存された本発明による使用制限プログラムの実行によって具現する機能と捉えることができる。また、
図1の機能ブロック図におけるスマートフォン1の機能構成部間を矢印で接続して示した処理の流れは、本発明による使用制限方法の一実施形態としても理解される。
【0034】
同じく
図1の機能ブロック図において、AP部123は、スマートフォン1に搭載された多数のアプリケーションを格納しており、例えばタッチパネル・ディスプレイ105及び入出力制御部122を介しユーザによる起動/停止指示入力や各種操作入力を受け入れて、所定のアプリケーションを起動/停止させたり動作させたりする。また、起動したアプリケーションの出力としての映像、画像やテキスト等を、入出力制御部122を介してタッチパネル・ディスプレイ105に表示させる。さらにAP部123は、起動したアプリケーションとAPサーバ3との間の各種データのやり取りを、通信制御部121及び通信インタフェース部101を介しての通信によって実施する。
【0035】
同じく
図1の機能ブロック図において、瞬目・眉間・顔向き情報決定部111は本実施形態において、前面カメラ11又は室内カメラ2から出力された映像データ(刻々の画像データ)から、ユーザの顔画像を抽出して瞬目を検出・認識し、瞬目の有無、回数や、頻度に係る情報を生成する。
【0036】
ここで瞬目の検出・認識は、例えば非特許文献:阿部恒介他, 「瞬き波形を検出するための画像処理によるVDT作業時における瞬き回数の計測」, MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY, Vol.30, No.2, pp.67-71, 2012年 に開示された手法を用いて実施することができる。この手法においては、顔検出・認識にOpen CVライブラリを利用し、眉間パターンでテンプレートマッチングを行って顔を追跡し、トラッキングした顔画像から2値化差分画像を生成して目の位置を特定し、さらにフレーム間差分処理、目の開閉度の検出や、虹彩の検出を行うことによって瞬目を検出している。
【0037】
また、例えば特許文献1(特開2010-026103号公報)に開示された手法によって瞬目の検出・認識を行ってもよい。この手法では、顔画像を明度についての所定の閾値に基づいて2値化し、顔画像に映っている眼球の黒目を検出することにより瞬目の検出を行っている。具体的には、黒目が顔画像から検出された場合にユーザは目を開けており、一方、黒目が顔画像から検出されない場合には目を閉じていると判定し、これによりユーザの瞬目を検出する。ここで、顔画像中の黒目に相当する部分の画素数が所定数よりも大きい場合に、黒目が顔画像から検出されたとしている。
【0038】
さらに、瞬目・眉間・顔向き情報決定部111は本実施形態において、前面カメラ11又は室内カメラ2から出力された映像データ(刻々の画像データ)から、ユーザの顔画像を抽出して眉間のしわを検出・認識し、眉間のしわの有無に係る情報、例えばしわの発生・消滅の時系列情報を生成する。
【0039】
ここで眉間のしわの検出・認識は、例えば非特許文献:KDDI総合研究所, プレスリリース「マスク着用時の表情認識AI技術を開発 ~コロナ禍の新しい日常でも表情を認識することが可能に~」, [online], [令和4年7月22日検索], インターネット<https://www.kddi-research.jp/newsrelease/2021/022401.html> に開示された手法を用いて実施することができる。この手法によれば、顔画像から目の周辺領域の特徴量を抽出し、学習済みの「眉間のしわ」識別モデルを用いて、刻々の顔画像に対し眉間のしわの有無を判定することができる。
【0040】
また、眉間のしわの検出・認識のための目の周辺領域の特徴量として例えば、特許文献:特開2007-041988号公報に開示された顔画像における画像特徴量や、非特許文献:小林宏他, 「ニューラルネットによる人の基本表情認識」, 計測自動制御学会論文集, Vol. 29, No. 1, pp.112-118, 1993年 に開示された顔画像における顔の特徴点を採用してもよい。
【0041】
またさらに、瞬目・眉間・顔向き情報決定部111は本実施形態において、前面カメラ11又は室内カメラ2から出力された映像データ(刻々の画像データ)から、ユーザの顔画像を抽出して顔の向き及び視線向きを決定し、ユーザの顔の向き及び視線向きに係る情報、例えば顔の向き及び視線向きの時系列情報を生成する。
【0042】
ここで、
図2を用いて、視線向きと顔の向きとの関係を具体的に説明する。
図2に示したように、視線向きは、ユーザの目からスマートフォン1への向きのことである。
図2においては、この視線向きは、顔の向きよりも上向きとなっている。このような状態では、ユーザはいわば上目遣いでスマートフォン1の画面を見ていることになるので、まぶたがより大きく開いてしまい、角膜が乾燥し易くなっていると言えるのである。
【0043】
このような顔の向き及び視線向きの決定は、例えば特許文献:特開2021-077265号公報に開示された手法を用いて実施することができる。この手法では、顔画像データから右目領域又は左目領域の一方のみを検出した場合、顔画像データから人の耳を含む耳領域及び人の髪を含む髪領域の少なくとも一方を検出し、一方の目領域に含まれる一方の目の位置を示す情報と耳領域に含まれる耳の位置及び髪領域に含まれる髪の位置の少なくとも一方を示す情報とに基づいて、顔の向きを示す情報を検出し、一方の目の位置を示す情報と顔の向きを示す情報とに基づいて、人の視線を示す情報を検出している。
【0044】
なお基本的には、ユーザがスマートフォン1を使用している場合(例えば、スマートフォンに対し何らかの操作入力を行っているときや、何らかのアプリケーションを起動させ使用しているとき)は前面カメラ11からの画像データを用い、それ以外の場合、室内カメラ2からの画像データを用いることとしてもよい。また本実施形態では、画像データは画像保存部102に一先ず保存され、適宜読み出されて利用される。さらに、室内カメラ2は、少なくともいずれかがユーザの顔(及び後述するディスプレイ装置)を撮影可能なように複数設置されていることも好ましい。
【0045】
同じく
図1の機能ブロック図において、画面注視時間・睡眠時間決定部112は本実施形態において、
(a)室内カメラ2から出力された映像データ(刻々の画像データ)から、ユーザの顔画像又は上半身画像を抽出し、また、
(b)(同じ室内にある)少なくとも1つのディスプレイ装置、例えばゲーム機、(例えばデスクワーク用の)パーソナルコンピュータ(PC)や、テレビ(テレビジョン受信機)等を抽出し、
(c)抽出画像から決定されたユーザの位置及び顔の向きと、抽出画像から決定された各ディスプレイ装置の位置とから、ユーザが当該ディスプレイ装置を使用しているか否かを判定して、各ディスプレイ装置におけるユーザの使用時間に係る情報を生成し、さらに、
(d)当該ディスプレイ装置を使用しているユーザにおける瞬目の頻度を、上記の手法により決定し、瞬目の頻度が所定閾値(例えば10回/分)以下の時間区間ではユーザは画面を注視していると判断して、各ディスプレイ装置におけるユーザの注視時間に係る情報を生成する。
【0046】
ここで、当該ディスプレイ装置にスマートフォン1を含め、スマートフォン1のそれまでの使用時間や注視時間も勘案して、後述するようなスマートフォン1での使用制限に係る処理を実施することも可能である。しかしながら本実施形態では、当該ディスプレイ装置にスマートフォン1は含めないこととする。
【0047】
また、画面注視時間・睡眠時間決定部112は本実施形態において、ユーザが装着している生理的状態測定デバイスとしてのスマートウォッチ4から取得された生理的状態情報、例えば脈拍又は心拍に係る情報を用い、睡眠時間に係る情報を生成する。このユーザの睡眠時間の計測・算定は、例えば特許文献:特開2012-090913号公報に開示された手法を用いて実施することができる。なお、この生理的状態情報は、一先ず生理的状態情報保存部103に保存され、適宜読み出されて利用されてもよい。
【0048】
この手法では、まずユーザの脈拍又は心拍の間隔の時系列データを生成し、当該時系列データに含まれる各間隔の検出された時点でのユーザの状態を、当該間隔の相対的な長短関係に基づいて睡眠状態と覚醒状態とに分類する。次いで、この時系列データの中で当該間隔が第1の所定時間内に短縮した後、第2の所定時間内に増長している部分を覚醒反応として検出し、この時系列データの中で覚醒反応として検出された部分に含まれる時点の分類結果が睡眠状態となっている場合に、その分類結果を睡眠状態から覚醒状態に補正する。最後に、睡眠状態に分類された期間の長さを、ユーザの睡眠時間に決定するのである。
【0049】
さらにユーザの睡眠時間は、睡眠時の体動量測定に係る情報、及び起床前の漸増光照射に対する体動反応に係る情報が取得される場合に限定されるが、例えば特許文献:特開2007-054596号公報に開示された手法を用いて導出することも可能となっている。
【0050】
以上説明した瞬目・眉間・顔向き情報生成部111及び画面注視時間・睡眠時間決定部112における各種情報生成処理は、バックグラウンドで例えば常時、実施されることも好ましい。また、これらの情報生成処理の少なくとも一部、例えば画像データにおける顔認識処理や瞬目判定処理は、外部の装置、例えば室内カメラ2に取り付けられた情報処理装置で実施されてもよい。
【0051】
また本実施形態においては、スマートフォン1は湿度計12を備えており、この湿度計12から取得されたユーザ周辺の湿度に係る情報が、バックグラウンドで例えば常時、環境情報保存部104に保存され、適宜読み出されて利用されてもよい。また変更態様として、スマートフォン1に内蔵されたGPS(Global Positioning System)測位計によって取得されたユーザの所在位置に基づき、この所在位置を含む地域における湿度値を、天気情報を提供するウェブ(Web)サイトから取得し、ユーザ周辺の湿度に係る情報とすることも可能である。
【0052】
<使用制限決定手段>
同じく
図1の機能ブロック図において、本実施形態の使用制限決定部113は、
(ア)ユーザの使用した各ディスプレイ装置について取得された、ユーザの使用時間及び/又は画面注視時間に係る情報に基づいて、又は、ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報と、取得されたユーザの睡眠時間に係る情報、ユーザの眉間のしわの有無に係る情報、及びユーザの周辺の湿度に係る情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、「判定時間Tx」を決定し、
(イ)決定した「判定時間Tx」における瞬目の回数が所定の制限条件を満たすまでに少ない(例えば、瞬目の頻度が10回/分以下)か否かを判定し、
(ウ)少ないとの判定を行った場合、凝視(注視)によって目の疲れが発生している可能性が高いとして、その時点で使用されている(又はその後使用される)アプリケーションについての「使用制限処理」の開始を決定する。
ここで、上記(ウ)の「使用制限処理」は、後に詳細に説明するが、例えば「瞬目の有無又は頻度が所定の制限条件を満たす(例えば、瞬目が所定時間(例えば5秒間)行われない)か否かを判定し、満たすと判定した場合に、該当するアプリケーションの使用制限を決定する」処理とすることができる。また本実施形態において、使用制限の内容は、後述する制限内容決定部115で決定されるが、例えば「画面の消灯」とすることが可能である。
【0053】
最初に、上記(ア)における判定時間Tx決定処理の一例を説明する。なおこの例では、ユーザが使用したディスプレイ装置が、ゲーム機、デスクワーク用PC及びテレビとなっている。また、判定時間Txの決定には、上述したように取得されたユーザの画面注視時間のみならず、同じく上述したように取得されたユーザの睡眠時間、ユーザの眉間のしわの有無に係る情報、及びユーザの周辺の湿度も用いている。勿論、判定時間Txは、予め所定値に設定されていてもよいが、これらの情報に基づき、状況に応じたより適切な時間区間に設定されることも好ましいのである。
【0054】
本具体例において、使用制限決定部113は、判定時間Tx(分)を次式
(1) Tx=10+A×p+B×q+C×r+D×(d-dth)+E×e+F×f×100
を用いて算出する。ここで、A、B、C及びEは所定の負の係数であり、D及びFは所定の正の係数となっている。なおこれらの係数の値は、判定時間Txがゼロ又は負値とならないように設定される。また、dthは所定の基準睡眠時間(例えば8時間(hour))である。
【0055】
さらに上式(1)において、p(分)は、ユーザにおける判定時間決定当日の(判定時間決定処理開始までの)ゲーム機の注視時間であり、q(分)は、判定時間決定当日の(判定時間決定処理開始までの)デスクワーク用PCの画面注視時間であり、r(分)は、判定時間決定当日の(判定時間決定処理開始までの)テレビの画面注視時間である。また、d(時間(hour))は、判定時間決定当日の睡眠時間(前日(の夜)に始まり当日(の朝)まで継続した睡眠の総合時間)であり、eは、判定時間決定処理の際の眉間のしわの有無を表す変数(しわが有る場合e=1,ない場合e=0)であり、f(%)は、判定時間決定処理の際の湿度となっている。
【0056】
以上、上式(1)によって決定される判定時間Txは、上記(イ)に示したように、上記(ウ)の「使用制限処理」を実施するか否かの判定において使用されるが、当日におけるユーザの目の疲れ(乾燥等)に関係し得るディスプレイ装置を注視した程度や、さらには睡眠時間や湿度(環境)も勘案し、判定するのに適当な時間区間に設定可能となっている。すなわち、判定時間Txは、目により大きい負担がかかっていて目の疲れが発生し易い状況であるほど、判定時間が短く済むように(速やかに判定されるように)小さい値に設定されるのである。ここで以上述べたことから、判定時間Txはいわば、目の疲れリスク度とは逆向きの度合いになっているとも言えるのである。ちなみに、判定時間Txの算定式は、上式(1)に限定されるものではない。判定時間Txが、p、q及びrの単調減少関数となるものであれば、また、eの単調減少関数であって(d-dth)及びfの単調増加関数となるものであれば、種々様々な判定時間Txの算定式を採用することができる。
【0057】
また、本実施形態の使用制限決定部113は、
(エ)使用制限(例えば画面の消灯)が開始された状況において、ユーザについて取得された瞬目の測定結果から、瞬目の有無、回数又は頻度が所定の解除条件を満たす(例えば、使用制限の開始後、瞬目の無い状態からみて瞬目が最初に発生した、又は瞬目が最初に発生した後、所定時間(例えば3秒間)内に再度、瞬目が発生した)と判定された場合、使用制限(例えば画面の消灯)の解除を決定する。
【0058】
この場合1つの例として、あるアプリケーションを視聴しているユーザは、画面が消灯されたことを受け、自らの瞬目が所定以上に少なくなってしまったことに気づき、意識的に瞬目を行って画面を点灯させ、このアプリケーションの視聴を継続することができる。このように本実施形態によれば、目の疲れが発生したと判断された際、直ちにそのことをユーザに意識させて瞬目を促し、アプリケーションを継続して使用させつつ目の疲れを低減させることも可能となるのである。
【0059】
なお使用制限決定部113は、このようなユーザのリアクションを確実なものとするため、「使用制限処理」の開始を決定した際、「使用制限処理」に入る旨の通知、例えば「まばたきが少ないと画面が消灯されます」との通知を、タッチパネル・ディスプレイ105に表示させることも好ましい。
【0060】
また使用制限の解除の変更態様として、使用制限決定部113は、
(エ’)ユーザの目からスマートフォン1への向きである視線向きと、顔の向きとの関係が所定の解除条件を満たす(視線向きが、顔の向きと同じ向き又は顔の向きよりも下向きとなっている)と判定された場合、使用制限(例えば画面の消灯)の解除を決定してもよい。
この変更態様は特に、後に詳細に説明するが、制限内容決定部115において「視線向きが顔の向きよりも上向きとなっている場合」に何らかの使用制限を行う内容が決定され、この内容の使用制限が行われている場合に、それを解除するものとして実施されることも好ましい。
【0061】
<制限処理時間決定手段>
同じく
図1の機能ブロック図において、本実施形態の制限処理時間決定部114は、ユーザの使用した各ディスプレイ装置について取得された、ユーザの使用時間及び/又は画面注視時間に係る情報に基づいて、又は、ユーザの使用時間及び/若しくは画面注視時間に係る情報と、取得されたユーザの睡眠時間に係る情報、ユーザの眉間のしわの有無に係る情報、及びユーザの周辺の湿度に係る情報のうちの少なくとも1つとに基づいて、「使用制限処理」の「継続時間Tr」を決定する。ここで、上述した使用制限決定部113は本実施形態において、「使用制限処理」が開始されてから「継続時間Tr」が経過するまでの間でのみ、使用制限、又は、使用制限及び使用制限の解除を決定することになる。
【0062】
具体的に、本実施形態において制限処理時間決定部114は、継続時間Tr(分)を次式
(2) Tr=G×a+H×b+I×c
を用いて算出する。ここで、G、H及びIは所定の正の係数となっている(G>Iと設定されることも好ましい)。また、a(分)は、ユーザにおける判定時間決定当日の(判定時間決定処理開始までの)ゲーム機の使用時間であり、b(分)は、判定時間決定当日の(判定時間決定処理開始までの)デスクワーク用PCの使用時間であり、c(分)は、判定時間決定当日の(判定時間決定処理開始までの)テレビの使用時間である。
【0063】
さらに変更態様として、制限処理時間決定部114は、継続時間Tr(分)を次式
(3) Tr=G×p+H×q+I×r
を用いて算出してもよい。ここで、p(分)はゲーム機の注視時間であり、q(分)はデスクワーク用PCの画面注視時間であり、r(分)はテレビの画面注視時間である。
【0064】
また更なる変更態様として、制限処理時間決定部114は、上述した判定時間Tx(分)を用い、次式
(4) Tr=G×a×(J-K×Tx)+H×b×(L-M×Tx)+I×c×(N-O×Tx)、又は
(5) Tr=G×p×(J-K×Tx)+H×q×(L-M×Tx)+I×r×(N-O×Tx)
によって継続時間Tr(分)を算出することも好ましい。ここで、J、L及びNは自らを含む括弧内が正値となるだけの十分に大きな正値の定数であり、またK、M及びOも正の係数となっている。
【0065】
ちなみに、継続時間Trの算定式は、上式(2)~(5)に限定されるものではない。継続時間Trがa、b及びcやp、q及びrの単調増加関数となるものであれば、また、Txの単調減少関数となるものであれば、種々様々な継続時間Trの算定式を採用することができる。いずれにしても、目の疲れの度合いがより高いと推定される状況に対しては、より長い継続時間Trを設定し、これにより「使用制限処理」の効果を十分に発揮させることも可能となるのである。また制限処理時間決定部114は、継続時間Trを算出するにあたり、当日中その時点までに使用制限の決定(及び使用制限の解除の決定)が行われた回数が多いほど、算定式の係数G、H及びIをより大きな値に設定し、より長い継続時間Trを決定することも好ましい。
【0066】
また制限処理時間決定部114は、ユーザが「使用制限処理」中に画面を消灯し(消灯操作を行い)、その画面の消灯が所定時間(例えば10分)以上継続した際、(ユーザの目の疲れは大幅に低減又は解消したものとして)「使用制限処理」の終了を決定してもよい。さらに変更態様として、「使用制限処理」中であって(使用制限解除後の)画面が点灯されている状況において、ユーザが画面を消灯しない(消灯操作を行わない)限り、又はユーザがアプリケーションの使用を継続する限り、「使用制限処理」を実施し続ける設定とすることもできる。
【0067】
<制限内容決定手段>
同じく
図1の機能ブロック図において、本実施形態の制限内容決定部115は、アプリケーション毎に又はアプリケーションの種別毎に予め設定された(例えば、制限内容設定テーブルに登録された)使用制限の内容に基づき、使用制限が決定されたアプリケーションに対する使用制限の内容を決定する。
【0068】
ここで本実施形態において、予め設定された(制限内容設定テーブルに登録された)使用制限の内容は、
(ア)映像又は画像の提示を主とする「第1アプリケーション種別」に属するアプリケーション、例えばゲームアプリや動画・画像共有サイト用アプリ・ブラウザ等、について、タッチパネル・ディスプレイ105の画面の発光度を低下させる又はこの画面を消灯することを含み、
(イ)スクロール操作の可能なテキスト、画像又は映像の表示を主とする「第2アプリケーション種別」に属するアプリケーション、例えばSNS(Social Networking Service)用アプリ・ブラウザやメーラ等、について、スクロール操作を制限する(例えば同一操作に対するスクロール量をより小さくする)又は不能にすることを含む
ものとすることができる。
【0069】
ここで制限内容決定部115は、その時点で使用されているアプリケーションの情報を、AP部123や入出力制御部122から取得して、当該アプリケーションが上記(ア)の「第1アプリケーション種別」及び上記(イ)の「第2アプリケーション種別」のうちのいずれに属するかを決定することができる。なお本実施形態では、ユーザが視覚を用いて使用可能な全てのアプリケーションについて、便宜的に「第1アプリケーション種別」及び「第2アプリケーション種別」のうちのいずれかに属するものとしている。しかしながら勿論、アプリケーションの分類はこれに限定されるものではなく、適切な定義の下、第3アプリケーション種別等を分類先に設定してもよい。
【0070】
またより具体的に、予め設定された使用制限の内容は、上記(ア)の第1アプリケーション種別に属するアプリケーションについては、
(a)瞬目が所定条件を満たすまでに少ない又は無い場合、例えば瞬目が5秒間発生しない場合に、
タッチパネル・ディスプレイ105の画面の発光度を低下させる又はこの画面を消灯するものとすることができる。また、上記条件(a)に代わりに、
(b)ユーザの視線向き(
図2に示したように、ユーザの目からスマートフォン1への向き)が顔の向きより上向きとなっている場合に、
を採用してもよい。または、上記(a)及び上記(b)のうちの少なくとも一方が該当する場合に、画面の発光度を低下させる又は画面を消灯するものとしてもよい。また、上記(a)及び上記(b)の両方が該当する場合に、画面の発光度を低下させる又は画面を消灯するものとしてもよい。
【0071】
一方、上記(イ)の第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについては、
(c)瞬目が所定条件を満たすまでに少ない又は無い場合、例えば瞬目が5秒間発生しない場合に、
スクロール操作を制限する又は不能にするものとすることができる。または、上記(c)の場合に、タッチパネル・ディスプレイ105の画面の発光度を低下させる又はこの画面を消灯するものとしてもよい。さらに変更態様として、上記条件(c)を採用せず、(使用制限処理の開始後)直ちに、スクロール操作を制限する又は不能にするものとすることも可能である。
【0072】
さらに、第2アプリケーション種別に属するアプリケーションについて、上記条件(c)の代わりに、
(d)ユーザの視線向き(
図2)が顔の向きより上向きとなっている場合に、
を採用してもよい。または、上記(c)及び上記(d)のうちの少なくとも一方が該当する場合に、「スクロール操作を制限する又は不能にする」ものとすることもできる。また、上記(a)及び上記(b)の両方が該当する場合に、「スクロール操作を制限する又は不能にする」ものとしてもよい。さらに、上記の「スクロール操作を制限する又は不能にする」に代えて、又はそれとともに、「画面の発光度を低下させる又は画面を消灯する」を採用することも可能である。
【0073】
ここで、上記(b)や上記(d)の「ユーザの視線向きが顔の向きより上向きとなっている」場合(例えば、
図2に示した状態の場合)においては、ユーザはいわば上目遣いでスマートフォン1の画面を見ているので、まぶたがより大きく開いて角膜が乾燥し、より大きな目の疲れが発生している可能性が高い。したがって、上記(b)や上記(d)の場合に、何らかの使用制限を開始する設定となっているのである。
【0074】
また、上述したように「スクロール操作を制限する又は不能にする」場合においても、アプリケーションの使用を継続させるため、また眼球運動を促すため、ページ送り操作は受け付け、ページ送りは実施可能とすることも好ましい。また、あくまでオプションではあるが、使用制限処理の開始後、ユーザの眉間にしわが有るとの情報を取得した場合、制限内容決定部115は、ユーザの目への負担を減らすべく、画面に表示するテキスト文字のフォントサイズを、より大きくする旨の使用制限の内容を決定してもよい。
【0075】
いずれにしても、使用制限決定部113は、以上説明したように決定された「使用制限の内容」を受け、この「使用制限の内容」に応じた使用制限を決定する。例えば、使用制限決定部113は、決定した判定時間Txにおける瞬目の頻度が例えば10回/分以下であるとの判定結果を受け、使用中のアプリケーションについての「使用制限処理」の開始を決定し、その後、この使用中のアプリケーションに対し決定された「使用制限の内容」に応じ、瞬目が例えば5秒間行われていないとの判定結果を受けた際に、タッチパネル・ディスプレイ105の画面を消灯する旨の使用制限を決定するのである。
【0076】
<使用制限指示手段>
同じく
図1の機能ブロック図において、本実施形態の使用制限指示部116は、
(a)使用制限決定部113において使用制限が決定された(使用中の又はこの後使用される)アプリケーションの使用制限に係る制限指示であって、決定された「使用制限の内容」に応じて決定された使用制限に係る制限指示を生成し、
(b)この生成した制限指示を、アプリケーションの動作に係る制御を行う制御手段である入出力制御部122へ出力する。
【0077】
ここで使用制限指示部116は、「使用制限の内容(に応じて決定された使用制限)」が「画面の発光度を低下させる又は画面を消灯する」旨を含む場合、生成したその旨の制限指示を、画面発光制御部122aへ出力して、タッチパネル・ディスプレイ105の画面の発光度を低下させる又はこの画面を消灯させる(例えばバックライトをOFFにさせる)ことになる。また、「使用制限の内容(に応じて決定された使用制限)」が「スクロール操作を制限する又は不能にする」旨を含む場合、生成したその旨の制限指示を、画面操作制御部122bへ出力して、スクロール操作を制限させる又は不能にさせる(例えば画面感度を低減させる又はゼロにさせる)ことになる。
【0078】
さらに、「使用制限の内容」が「画面に表示するテキスト文字のフォントサイズをより大きくする」旨を含む場合、生成したその旨の制限指示を、テキスト表示制御部122cへ出力して、画面に表示されたテキスト中の文字のフォントサイズを、設定のサイズよりも大きくさせるのである。
【0079】
また、本実施形態の使用制限指示部116は、(使用制限決定部113において)解除が決定された使用制限の解除に係る解除指示を生成し、この解除指示を入出力制御部122へ出力し、先に実施させた使用制限(例えば画面の消灯やスクロール操作の不能化等)を解除させる。
【0080】
以上、スマートフォン1(に搭載された使用制限プログラム)における各機能構成部の説明を行ったが、以下、これらの機能構成部が連携して実施する本発明による使用制限方法を、一具体例としてのフローチャートを用いて説明する。
【0081】
[使用制限方法]
図3は、本発明による使用制限方法における一具体例の概要を示すフローチャートである。ここで、本具体例では、当日における瞬目、眉間のしわの有無、ゲーム画面注視時間、PC画面注視時間、テレビ画面注視時間、睡眠時間、及び湿度の測定結果を、バックグラウンドとして常時、定期的に取得している。
【0082】
(S101)現在、何らかのアプリケーションが使用中であるか(ユーザによって使用されているか)否かを判定する。
ここで使用中でないと判定した場合、後述するステップS110へ移行する。一方、使用中であると判定した場合、この使用中のアプリケーションが、第1アプリケーション種別及び第2アプリケーション種別のいずれに属するものなのかを決定した上で、次のステップS102へ移行する。
(S102)取得されたゲーム画面注視時間、PC画面注視時間、テレビ画面注視時間、睡眠時間、眉間のしわの有無、及び湿度の測定結果を用いて、判定時間Txを算定する。
【0083】
(S103)算定した判定時間Txにおける瞬目の平均頻度が10回/分以下であるか否かを判定する。
ここで10回/分以下ではない(10回/分よりも高い)と判定した場合、目を疲れさせる1つの原因である凝視(注視)の悪影響は生じていないと判断して、ステップS101に戻る。一方、10回/分以下であると判定した場合、凝視(注視)の悪影響が生じている(目が疲れている)可能性があると判断して、次のステップS104へ移行する。
【0084】
(S104)取得されたゲーム画面注視時間、PC画面注視時間、及びテレビ画面注視時間と、算定された判定時間Txとを用いて、「使用制限処理」の継続時間Trを算定する。
(S105)瞬目が少ないと使用制限される旨をタッチパネル・ディスプレイ105に表示させる。
以下、「使用制限処理」であるステップS106~S109を、算定した継続時間Trが経過するまでの間、実施する。
【0085】
(S106)瞬目が5秒間発生しないか否かを判定する。
ここで発生しないと判定した場合、継続時間Trが経過するまで「使用制限処理」を繰り返す。一方、発生したと判定した場合、所定以上の目の疲れが発生していると判断し、次のステップS107へ移行する。
(S107)現在使用中である(使用制限処理対象の)アプリケーションが第1アプリケーション種別に属する(と決定されている)場合、これに対する使用制限としてタッチパネル・ディスプレイ105の画面を消灯する。また、第2アプリケーション種別に属する(と決定されている)場合、これに対する使用制限としてタッチパネル・ディスプレイ105を用いたスクロール操作を不能にする。
【0086】
ちなみに変更態様として、上記のステップS106の代わりに、
(S106’)視線向きが顔の向きよりも上向きであるか否かを判定する。
を採用してもよい。この場合、上向きではないと判定したならば、引き続き継続時間Trが経過するまで「使用制限処理」を繰り返す。一方、上向きであると判定したならば、所定以上の目の疲れが発生していると判断し、次のステップS107へ移行することになる。
【0087】
また更なる変更態様として、アプリケーションが第2アプリケーション種別に属する(と決定されている)場合であるが、上記のステップS107の代わりに、
(S107’)ステップS106の判定結果にかかわらず、タッチパネル・ディスプレイ105を用いたスクロール操作を不能にする。また、ステップS106で発生したと判定した場合、タッチパネル・ディスプレイ105の画面を消灯する。
を採用することもできる。
【0088】
(S108)瞬目が発生した(ユーザが瞬目を行った)か否かを判定する。
ここで、発生しないと判定した場合、継続時間Trが経過するまでの間、使用制限を継続しつつこの判定処理を繰り返す。一方、発生したと判定した場合、目の疲れが所定以上に低減した又は低減する方向にあると判断し、次のステップS109へ移行する。
【0089】
なお変更態様として、ステップS106の代わりに上記のステップS106’を採用した場合において、上記のステップS108の代わりに、
(S108’)視線向きが、顔の向きと同じ向き又は顔の向きよりも下向きであるか否かを判定する。
を採用することも好ましい。この場合、同じ向きでも下向きでもない(上向きである)と判定した場合、継続時間Trが経過するまでの間、使用制限を継続しつつこの判定処理を繰り返す。一方、同じ向き又は下向きであると判定した場合、目の疲れが所定以上に低減した又は低減する方向にあると判断し、次のステップS109へ移行することになる。
【0090】
(S109)現在、使用制限の対象となっているアプリケーションが第1アプリケーション種別に属する(と決定された)場合、使用制限の解除としてタッチパネル・ディスプレイ105の画面を点灯する。また、第2アプリケーション種別に属する(と決定されている)場合、使用制限の解除としてタッチパネル・ディスプレイ105を用いたスクロール操作を可能にする。
【0091】
以上説明した「使用制限処理」(ステップS106~S109)が、継続時間Trの経過によって終了した場合、
(S110)当日の使用制限対応終了時刻、例えば午後11時、の前であるか否かを判定する。
ここで、前である(まだ使用制限対応終了時刻になっていない)と判定した場合、ステップS101へ移行し、本フローを当初から繰り返す。一方、前ではない(使用制限対応終了時刻になった又は当該時刻が過ぎた)と判定した場合、当日における本使用制限方法を終了する。
【0092】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、瞬目の測定結果から、ユーザの目に(角膜の乾燥や眼筋の疲労等の)負荷が所定以上にかかっているか否かを判定して、この判定結果に基づき、使用中の又はこの後使用されるアプリケーションの使用制限を実施し、これにより、ユーザの目の疲れを低減させることが可能となる。また特に、使用制限をすべき判定結果が得られたら直ちに使用制限を行うように設定すれば、目に所定以上の負荷がかかったタイミングで、速やかに目の疲れの低減を図ることも可能となる。
【0093】
また、例えば世界中の子供達に対し質の高い、且つ個々の性格・能力に合った教育を提供するに当たり、教育用アプリケーションを搭載したPC等の端末を使ったオンライン教育は、非常に有効な手法といえる。しかしながら、このようなオンライン教育を行う場合、子供たちの目に過剰なストレスを与えないように配慮する必要がある。この点、オンライン教育に使用するPC等の端末に本発明による使用制限プログラムを搭載すれば、子供達が、過剰な目の疲れを生じさせることなくオンライン教育を享受することも可能となる。すなわち本発明によれば、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標4「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」に貢献することも可能となるのである。
【0094】
さらに、所定の業務用のアプリケーションを搭載したPC等の端末を使用して行うような仕事は、世界各国において今後ますます増大することが考えられる。しかしながらこのようなPC等の端末を用いた仕事を遂行させるに当たり、従事者の目に過剰なストレスを与えないように配慮する必要がある。この点、このような仕事に使用するPC等の端末に本発明による使用制限プログラムを搭載すれば、従事者が、過剰な目の疲れを生じさせることなく仕事を効率的に遂行することも可能となる。すなわち本発明によれば本発明によれば、国連が主導するSDGsの目標8「すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」に貢献することも可能となるのである。
【0095】
以上に述べた本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0096】
1 スマートフォン(使用制限装置)
101 通信インタフェース部
102 画像保存部
103 生理的状態情報保存部
104 環境情報保存部
105 タッチパネル・ディスプレイ
11 前面カメラ
111 瞬目・眉間・顔向き情報決定部
112 画面注視時間・睡眠時間決定部
113 使用制限決定部
114 制限処理時間決定部
115 制限内容決定部
116 使用制限指示部
121 通信制御部
122 入出力制御部
122a 画面発光制御部
122b 画面操作制御部
122c テキスト表示制御部
12 湿度計
123 アプリケーション(AP)部
2 室内カメラ
3 アプリケーション(AP)サーバ
4 スマートウォッチ(生理的状態測定デバイス)