IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人神戸大学の特許一覧

<>
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図1
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図2
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図3
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図4
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図5
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図6
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図7
  • 特開-機能的免疫賦活乳酸菌 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025452
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】機能的免疫賦活乳酸菌
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240216BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20240216BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20240216BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240216BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240216BHJP
【FI】
C12N1/20 E
A61P43/00 107
A61P37/04
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K35/744
A61K35/745
A61K35/747
A23L33/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128914
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(72)【発明者】
【氏名】白川 利朗
(72)【発明者】
【氏名】北川 孝一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】岩田 清和
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB03
4B018LB05
4B018LB07
4B018LB10
4B018MD86
4B018ME02
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065CA41
4B065CA44
4C084AA19
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZB072
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB221
4C084ZB222
4C084ZC751
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC55
4C087BC56
4C087BC59
4C087MA52
4C087NA05
4C087ZB09
4C087ZB22
4C087ZC75
(57)【要約】
【課題】 免疫賦活化能を有する乳酸菌を提供すること。
【解決手段】 パイエル板内の樹状細胞の活性化能を有する乳酸菌が提供される。本開示の乳酸菌および/または組成物を経口投与することにより、腸管パイエル板の樹状細胞の活性化マーカー陽性率およびサイトカイン産生率を上昇させることができ、これにより腸管免疫系の賦活効果を得ることができる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイエル板内の樹状細胞の活性化能を有する乳酸菌。
【請求項2】
前記乳酸菌について、パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:1.43より大きい、
MHC class II/CD45:1.82より大きい、
CD80/CD45:1.41より大きい、および
CD86/CD45:1.22より大きい、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、請求項1に記載の乳酸菌。
【請求項3】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2以上、
MHC class II/CD45:2以上、
CD80/CD45:2以上、および
CD86/CD45:2以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、請求項2に記載の乳酸菌。
【請求項4】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2.5以上、
MHC class II/CD45:2.5以上、
CD80/CD45:2.5以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、請求項2に記載の乳酸菌。
【請求項5】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2.5以上、
MHC class II/CD45:4以上、
CD80/CD45:2.5以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、請求項2に記載の乳酸菌。
【請求項6】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:3以上、
MHC class II/CD45:4以上、
CD80/CD45:3以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、請求項2に記載の乳酸菌。
【請求項7】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、前記性質の少なくとも2つを有する、請求項2~6のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項8】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、少なくともIL-6およびCD80陽性の性質を有する、請求項2~7のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項9】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、前記性質の少なくとも3つを有する、請求項2~8のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項10】
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、前記性質の4つを有する、請求項2~9のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項11】
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるIL-6陽性率、IL-12陽性率、MHC class I陽性率、MHC class II陽性率、CD80陽性率、CD86陽性率、CD8陽性率、IFN-γ陽性率、IFN-α陽性率、TNF-α陽性率、CD40陽性率、IL-1β陽性率、IL-23陽性率、IL-27陽性率、およびCCR7陽性率からなる群から選択される少なくとも1つの陽性率によって評価される、請求項1~10のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項12】
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも増加させる、請求項1~11のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項13】
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも少なくとも約3倍に増加させる、請求項1~12のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項14】
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも少なくとも約4倍に増加させる、請求項1~13のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項15】
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータの少なくとも3つを、基準値よりも少なくとも約3倍に増加させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項16】
前記活性化能は、乳酸菌基準株よりも大きい、請求項1~15のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項17】
前記乳酸菌基準株が、E. faecalis ATCC 700802を含む、請求項16に記載の乳酸菌。
【請求項18】
前記樹状細胞は、濾胞関連上皮(Follicle-associated epithelium,FAE)と濾胞との間に存在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項19】
さらに、マクロファージ、B細胞、およびT細胞からなる群より選択される少なくとも1つの他の細胞を活性化する能力を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項20】
エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、バクテロイデス属、ラクトバシラス属、およびアッケルマンシア属からなる群より選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項21】
エンテロコッカス属、およびビフィドバクテリウム属からなる群より選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項22】
エンテロコッカス属である、請求項1~21のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項23】
E.faecalis、E.faecium、E.avium、E.casseliflavus、E.gallinarum、およびE.hiraeからなる群より選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項24】
Enterococcus faecalisである、請求項1~23のいずれか一項に記載の乳酸菌。
【請求項25】
前記Enterococcus faecalisは、KU-EF-001株(NITE BP-03655)、KU-EF-002株(NITE BP-03656)、KU-EF-003株(NITE BP-03657)、およびKU-EF-004株(NITE BP-03658)を含む、請求項24に記載の乳酸菌。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の乳酸菌を含む組成物。
【請求項27】
対象の免疫を賦活化するための、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
パイエル板内の樹状細胞を活性化するための、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
Enterococcus faecalisを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
免疫調節剤または放射線剤と併用するための、請求項26~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
免疫調節剤または放射線剤の作用を増強するための、請求項26~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記免疫調節剤が、免疫チェックポイント阻害薬、CAR-T細胞療法薬、二重特異性抗体薬、がんワクチン、共刺激分子アゴニスト剤、免疫活性化剤、および低分子阻害剤から選択される少なくとも一種である、請求項30または31に記載の組成物。
【請求項33】
前記免疫チェックポイント阻害薬が、CTLA-4、PD-1、LAG-3、BTLA、KIR、TIM-3、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、GAL9、CD160、VISTA、BTNL2、TIGIT、PVR、BTN1A1、BTN2A2、BTN3A2、およびCSF-1Rからなる群から選択される分子に対する薬剤、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
飲食品、食品添加物、飼料、サプリメント、または医薬である、請求項26~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
請求項26~34のいずれか一項に記載の組成物と、免疫調節剤とを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乳酸菌、または乳酸菌を含む組成物に関する。とりわけ本開示は、樹状細胞の活性化能を有する乳酸菌、または当該乳酸菌を含む組成物、それを含有する飲食品、食品添加物、飼料、サプリメント、または医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
腸内細菌叢の存在や多様性により、免疫状態が変化する知見が幾つか報告されている。一方で、近年、免疫チェックポイント阻害剤を始めとする、癌免疫療法(IO:Immino-Oncology)剤の普及が急速に進んでいる。また、IO剤と腸内細菌叢の相互作用に関する研究も活発に行われている。すなわち、腸内細菌叢の種類や組成によって宿主であるヒトや哺乳動物における癌免疫療法の効果にも影響が及ぼされていると考えられている。そのため、免疫チェックポイント阻害剤と併用し得る腸内細菌株が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者らは、ある種の乳酸菌が、基準株(ATCC)やコントロール群に比較して、宿主の樹状細胞の活性化能を向上させることを見出した。この知見に基づき、本開示は、樹状細胞の活性化能を有する乳酸菌、または当該乳酸菌を含む組成物、それを含有する飲食品、食品添加物、飼料、サプリメント、または医薬を提供する。
【0004】
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
パイエル板内の樹状細胞の活性化能を有する乳酸菌。
(項目2a)
前記乳酸菌について、パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:1.43より大きい、
MHC class II/CD45:1.82より大きい、
CD80/CD45:1.41より大きい、および
CD86/CD45:1.22より大きい、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、上記項目に記載の乳酸菌。
(項目2b)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2以上、
MHC class II/CD45:2以上、
CD80/CD45:2以上、および
CD86/CD45:2以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2c)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2.5以上、
MHC class II/CD45:2.5以上、
CD80/CD45:2.5以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2d)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2.5以上、
MHC class II/CD45:4以上、
CD80/CD45:2.5以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2e)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:3以上、
MHC class II/CD45:4以上、
CD80/CD45:3以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2f)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、前記性質の少なくとも2つを有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2g)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、少なくともIL-6およびCD80陽性の性質を有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2h)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、前記性質の少なくとも3つを有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2i)
前記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、前記性質の4つを有する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目2)
前記活性化能は、前記樹状細胞における、活性化の指標となる細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインの発現の有無によって評価される、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目3)
前記活性化能は、前記樹状細胞における、活性化の指標となる細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインの陽性率によって評価される、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目4)
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるIL-6、IL-12、MHC class I、MHC class II、CD80、CD86、CD8、IFN-γ、IFN-α、TNF-α、CD40、IL-1β、IL-23、IL-27、およびCCR7からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインの発現の有無によって評価される、上記項目のいずれか一項のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目5)
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるIL-6陽性率、IL-12陽性率、MHC class I陽性率、MHC class II陽性率、CD80陽性率、CD86陽性率、CD8陽性率、IFN-γ陽性率、IFN-α陽性率、TNF-α陽性率、CD40陽性率、IL-1β陽性率、IL-23陽性率、IL-27陽性率、およびCCR7陽性率からなる群から選択される少なくとも1つの陽性率によって評価される、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目6)
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも増加させる、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目6a)
前記活性化能は、評価系Aで評価した場合に、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも増加させる、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目7)
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも少なくとも約3倍に増加させる、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目7a)
前記活性化能は、評価系Aで評価した場合に、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも少なくとも約3倍に増加させる、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目8)
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも少なくとも約4倍に増加させる、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目8a)
前記活性化能は、評価系Aで評価した場合に、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも少なくとも約4倍に増加させる、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目9)
前記活性化能は、前記樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータの少なくとも3つを、基準値よりも少なくとも約3倍に増加させる、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目9a)
前記評価系Aが、以下の工程を含む、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
1)(投与菌体の作製)対象株を培養し、carboxyfluorescein succinimidyl ester(CFSE)で染色した後にPBSで洗浄して投与菌液を作製する
2)(小腸パイエル板の採取)1.0×10 colony forming unit(CFU)/100μLの各菌液をC57BL/6マウスに胃内強制経口投与し、約1時間後にマウスを解剖し、小腸パイエル板を採取する
3)(小腸パイエル板中の細胞の抗体染色)小腸パイエル板中の細胞を分離して細胞培養用培地に懸濁し、タンパク質輸送阻害薬を添加し約15時間培養後、PBSで遠心洗浄し、死細胞を染色したのち、Staining buffer(1% Fetal bovine serum、0.09% NaN3 in PBS)で遠心洗浄後、ブロッキングする。続いて、各種標識抗体で細胞表面マーカーを染色する。続いて、細胞固定・透過処理液にて細胞の固定と透過処理を行い、さらに細胞膜透過性バッファーにて洗浄し、抗サイトカイン抗体で細胞内マーカーの染色を行う。細胞膜透過性バッファーにて洗浄し、フローサイトメーターにて測定・解析する
(項目10)
前記活性化能は、乳酸菌基準株よりも大きい、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目11)
前記乳酸菌基準株が、E. faecalis ATCC 700802を含む、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目12)
前記樹状細胞は、濾胞関連上皮(Follicle-associated epithelium,FAE)と濾胞との間に存在する、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目13)
さらに、マクロファージ、B細胞、およびT細胞からなる群より選択される少なくとも1つの他の細胞を活性化する能力を含む、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目14)
エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、バクテロイデス属、ラクトバシラス属、およびアッケルマンシア属からなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目15)
エンテロコッカス属、およびビフィドバクテリウム属からなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目16)
エンテロコッカス属である、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目17)
E.faecalis、E.faecium、E.avium、E.casseliflavus、E.gallinarum、およびE.hiraeからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目18)
Enterococcus faecalisである、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目19)
前記Enterococcus faecalisは、KU-EF-001株(NITE BP-03655)、KU-EF-002株(NITE BP-03656)、KU-EF-003株(NITE BP-03657)、およびKU-EF-004株(NITE BP-03658)を含む、上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌。
(項目20)
上記項目のいずれか一項に記載の乳酸菌を含む組成物。
(項目21)
対象の免疫を賦活化するための、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目22)
パイエル板内の樹状細胞を活性化するための、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目23)
Enterococcus faecalisを含む、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目24)
免疫調節剤または放射線剤と併用するための、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目25)
免疫調節剤または放射線剤の作用を増強するための、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目26)
前記免疫調節剤が、免疫チェックポイント阻害薬、CAR-T細胞療法薬、二重特異性抗体薬、がんワクチン、共刺激分子アゴニスト剤、免疫活性化剤、および低分子阻害剤から選択される少なくとも一種である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目27)
前記免疫チェックポイント阻害薬が、CTLA-4、PD-1、LAG-3、BTLA、KIR、TIM-3、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、GAL9、CD160、VISTA、BTNL2、TIGIT、PVR、BTN1A1、BTN2A2、BTN3A2、およびCSF-1Rからなる群から選択される分子に対する薬剤、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目28)
飲食品、食品添加物、飼料、サプリメント、または医薬である、上記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目29)
上記項目のいずれか一項に記載の組成物と、免疫調節剤とを含む、医薬組成物。
【0005】
本開示において、上記の1つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。なお、本開示のさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【0006】
なお、上記した以外の本開示の特徴及び顕著な作用・効果は、以下の発明の実施形態の項及び図面を参照することで、当業者にとって明確となる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の乳酸菌および/または組成物を用いることで、対象の免疫を賦活化することができる。本開示の乳酸菌および/または組成物を経口投与することにより、腸管パイエル板の樹状細胞の活性化マーカー陽性率およびサイトカイン産生率を上昇させることができ、これにより腸管免疫系の賦活効果を得ることができる。
【0008】
また免疫チェックポイント阻害薬の投与と本開示の乳酸菌および/または組成物の経口投与とを併用することによって、抗腫瘍効果を増強することができるため、医薬品への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1におけるマウスへの各細菌株の投与スケジュールを示す模式図である。
図2図2は、MC38を皮下移植したマウスに各細菌株ならびにPBSをそれぞれ経口投与し、それらに免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体)を腹腔内投与した際の腫瘍体積の推移を示すグラフである。
図3図3は、実施例2におけるマウスへの各細菌株の投与スケジュールを示す模式図である。
図4図4は、MC38を皮下移植したマウスに5種類のE. faecalis株ならびにPBSをそれぞれ経口投与し、それらに免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体)を腹腔内投与した際の腫瘍体積の推移を示すグラフである。
図5図5は、実施例3におけるマウスへの各細菌株の投与スケジュールを示す模式図である。
図6図6は、MC38を皮下移植したマウスにKU-EF-004株、E. coli ATCC10798 (K-12) 株およびB.longum ATCC15697株、ならびにPBSをそれぞれ経口投与し、それらに抗CTLA-4抗体を腹腔内投与した際の腫瘍体積の推移および生存期間を示すグラフである。
図7図7は、実施例4におけるマウスへの各細菌株の投与スケジュールを示す模式図である。
図8図8は、MC38を皮下移植したマウスにKU-EF-004株、E. faecalis ATCC700802株またはPBSをそれぞれ経口投与し、それらに抗CTLA-4抗体を腹腔内投与した際の生存期間を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0011】
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。
【0012】
本明細書において、「約」とは、後に続く数値の±10%を意味する。
【0013】
本明細書において、「パイエル板」とは、空腸や回腸に存在する、腸管管腔側の絨毛が未発達な領域に存在する集合リンパ小節のことをいう。パイエル板内にはT細胞領域やB細胞領域を有し、腸管上皮付近で抗原を捕捉した樹状細胞などによりT細胞への抗原提示が行われ、T細胞による抗原特異的な細胞性免疫応答やB細胞による抗原特異的な抗体産生を促進する。
【0014】
本明細書において、「樹状細胞」とは、抗原提示細胞として機能する免疫細胞の一種であり、主としてT細胞への抗原提示によりT細胞による細胞性免疫応答やB細胞による抗体産生を促進し、抗原特異的な免疫応答を形成する。パイエル板内の成熟樹状細胞はCD45、CD11c、MHCクラスII、CD103などの表面マーカーを発現し、種々のサイトカイン(IFN-γ、IL-6、IL-12)を分泌し、各種免疫応答を活性化する。
【0015】
樹状細胞は、樹枝状の細胞突起を持つことから名付けられた免疫担当細胞の一種であり、樹状細胞は、リンパ組織のみならず全身に分布しており、免疫応答にとって重要な細胞であると考えられている。病原微生物やがんなどの非自己(抗原)を認識した樹状細胞は、MHC分子を介して抗原情報をT細胞に提示することにより、適応(獲得)免疫反応を惹起し、抗原提示細胞として機能する。一方、定常状態の樹状細胞は、過剰な免疫反応が起こらないように免疫寛容を誘導・維持する機能も保持している。
【0016】
本明細書において、「活性化能」とは、細胞の任意の活性または性質を活性化することができる能力をいい、活性化するメカニズムは何であってもよい。「樹状細胞の活性化能」とは、樹状細胞が抗原を捕捉、貪食するあるいは、細胞表面の受容体に特定の分子が結合することで樹状細胞が刺激され、樹状細胞の表面マーカー分子ならびにサイトカイン産生が促進されることで樹状細胞の成熟化および抗原提示能が向上し、免疫応答を誘導させる性質をいう。
【0017】
本明細書において、「陽性率」とは、ある細胞集団における任意のマーカーが発現している細胞の割合をいう。陽性率は、具体的には、白血球マーカーであるCD45陽性細胞中における、目的のマーカーおよび/またはサイトカインを発現するCD11c陽性樹状細胞の割合で示すことができる。
【0018】
本明細書において「パイエル板内樹状細胞活性化指標」とは、基準動物において、測定対象となる菌を接種した際に、当該動物のパイエル板内における樹状細胞が活性化する率をいい、本明細書では、C57BL/6マウスに1.0×10 colony forming unit(CFU)/100μLの菌液を経口投与した約1時間後の小腸パイエル板を採取し、約15時間培養した後に抗体染色を行う場合に、パイエル板中のCD45陽性かつCD11c陽性の樹状細胞において、CD45陽性白血球中の以下の各マーカーの陽性率を算出し、それらをPBS投与群の陽性率を1として算出した各細菌株投与群での陽性率の倍数をいう。
【0019】
本明細書では、IL-6/CD45:、MHC class II/CD45、CD80/CD45、およびCD86/CD45などの指数を参考として用いることができ、例えば、
IL-6/CD45:1.43より大きい、
MHC class II/CD45:1.82より大きい、
CD80/CD45:1.41より大きい、および
CD86/CD45:1.22より大きい、
等をパイエル板内樹状細胞活性化指標として採用することができる。
【0020】
本明細書において、「乳酸菌基準株」とは、E.faecalis ATCC 700802株である。
【0021】
本明細書において、「免疫調節剤」とは、抗原提示細胞によるT細胞活性化において抗原提示細胞上および/またはT細胞上の補助刺激シグナルの伝達に関与する分子に相互作用することにより、補助刺激シグナルの伝達を制御し、または免疫機構において直接的または間接的に免疫寛容(免疫抑制)の成立に関与する分子の機能を制御するものをいう。「免疫調節剤」は、抗体、核酸、タンパク質、ペプチドおよび低分子化合物から選択される薬剤であり得るが、これらに限定されない。「免疫調節剤」には、免疫チェックポイント阻害薬、CAR-T細胞薬、二重特異性分子薬、がんワクチン、共刺激分子アゴニスト剤、免疫活性化剤、低分子阻害剤などが挙げられる。
【0022】
本明細書において、「免疫チェックポイント阻害薬」とは、癌細胞や抗原提示細胞による免疫抑制作用を阻害する薬剤をいう。免疫チェックポイント阻害剤としては、特に限定されないが、以下からなる群から選択される分子に対する薬剤が挙げられる:(1)CTLA-4(イピリムマブ、トレメリムマブなど);(2)PD-1(ニボルマブ、ペンブロリズマブ、AMP-224、AMP-514(MEDI0680)、ピディリズマブ(CT-011)など);(3)LAG-3(IMP-321、BMS-986016など);(4)BTLA;(5)KIR(IPH2101など);(6)TIM-3;(7)PD-L1(Durvalumab(MEDI4736)、MPDL3280A、BMS-936559、アベルマブ(MSB0010718C)など);(8)PD-L2;(9)B7-H3(MGA-271など);(10)B7-H4;(11)HVEM;(12)GAL9;(13)CD160;(14)VISTA;(15)BTNL2;(16)TIGIT;(17)PVR;(18)BTN1A1;(19)BTN2A2;(20)BTN3A2(Nat Rev Drug D iscov. 2013; 12: 130-146;日経メディカルCancer Review 2014; 9; Nat Rev Immunol. 2014; 14: 559-69);および(21)CSF1-R。また、免疫チェックポイント阻害剤として好ましくは、CTLA-4、PD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3、VISTA、HVEM、BTLA、CD160、TIGIT、またはPVRの機能を阻害する薬剤が挙げられ、更に好ましくは、CTLA-4、PD-1またはPD-L1の機能を阻害する薬剤が挙げられる。
【0023】
また免疫チェックポイント阻害剤としては、好ましくは上記分子に対する抗体であることが挙げられ、例えば、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗LAG-3抗体、抗TIM-3抗体、抗VISTA抗体、抗HVEM抗体、抗BTLA抗体、抗CD160抗体、抗TIGIT抗体、または抗PVR抗体が挙げられる。免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイント分子もしくはそのリガンドに結合して免疫抑制シグナルの伝達を阻害することで、がん細胞によるT細胞の活性化抑制を解除し、T細胞が癌細胞を攻撃できるようにすることができる。
【0024】
「CAR-T細胞療法薬」とはCAR-T療法のための医薬であって、CAR-T療法では、キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞(CAR-T細胞)を単回投与する。CAR-T細胞は、患者のT細胞に標的抗原に対するCARをコードする遺伝子を導入し、製造される。CARの発現は、T細胞の抗原特異性と攻撃力を高めることができる。キメラ抗原受容体(CAR)導入T細胞療法は、遺伝子改変技術により、T細胞に腫瘍特異性と機能増強を付与する免疫細胞療法の1つである。
【0025】
キメラ抗原受容体(CAR)は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖の可変部を一本鎖抗体(scFv)の形で利用し、そこに、抗原刺激を細胞内に伝えるCD3ζのシグナル伝達ドメインをつなげた受容体分子である。CARを導入する細胞として、患者の末梢血から採取された自己T細胞が用いることができる。採取したT細胞をサイトカインや抗体によって刺激した後、ウイルスベクターやトランスポゾンを用いてCAR遺伝子を導入し、この遺伝子導入T細胞を、培養によって輸注目標細胞数まで増幅させたうえで輸注する。輸注されたCAR-Tは患者体内で腫瘍細胞に結合すると、シグナル伝達ドメインにより機能が活性化されたCARはscFvを介して腫瘍の細胞表面の蛋白や糖鎖を認識する。そのため、CAR-T療法は対象が特定のHLA患者に限定されず、またHLAの発現を減弱あるいは欠失させることで免疫監視機構から逃れている腫瘍細胞に対しても有効である。
【0026】
本明細書において、「二重特異性抗体薬」とは、2種類の異なる抗原に対して特異性を有する医薬をいい、抗体であれば二重特異性抗体が代表例である。二重特異性抗体とは、抗体1分子が2個の抗原結合部位を有する抗体であり、それぞれの抗原結合部位が異なる抗原に結合する抗体である。例えば、癌細胞抗原とエフェクター細胞抗原を認識する二重特異性抗体は、これら細胞を効果的に接触させることで抗腫瘍作用が増強されることが期待される。
【0027】
本明細書において、「がんワクチン」とは、癌細胞に多く発現し、かつ強い免疫原性(抗原が抗体の産生や細胞性免疫を誘導する性質)をもつ、癌の予防や治療を行なうために用いるワクチン製剤をいう。がんワクチンは、癌に特異的に発現する、および/または正常細胞に比べて過剰に発現する遺伝子やタンパク質(癌抗原)、またはその断片であるペプチドを投与することで、生体内に癌細胞を特異的に攻撃するTリンパ球を誘導して癌の予防や治療を行うために用いることができる。通常はワクチン製剤が樹状細胞によりヒト白血球型抗原(HLA)を介しリンパ球(細胞傷害性T細胞、細胞傷害性リンパ球)に抗原を提示して活性化させ、そのリンパ球が癌細胞を攻撃することにより、治療を行なうことができる。ワクチンの効果を高めるため、アジュバンド(免疫賦活剤)と呼ばれる補助薬剤を併用することもできる。またがんワクチン療法は、がん細胞に特異的に(もしくは正常細胞に比べて過剰に)発現する遺伝子や蛋白質(がん抗原)、その断片であるペプチドを投与することで、生体内にがん細胞を特異的に攻撃するTリンパ球を誘導して治療する手法をいう。
【0028】
本明細書において、「共刺激分子アゴニスト剤」とは、共刺激作用を有する分子アゴニスト剤をいい、T細胞上や抗原提示細胞上の共刺激分子を介した補助シグナルを伝達することにより、T細胞を活性化し、癌細胞や抗原提示細胞による免疫抑制作用を減弱させる。共刺激分子アゴニスト剤としては、特に限定されないが、以下の群から選択される分子に対する薬剤が挙げられる:(1)4-1BB(2)4-1BB-L;(3)OX40(4)OX40-L;(5)GITR;(6)CD28;(7)CD40;(8)CD40-L(9)ICOS;(10)ICOS-L;(11)LIGHT;および(12)CD27。
【0029】
本明細書において、「免疫活性化剤」とは、免疫活性化作用を有する薬剤をいい、T細胞や樹状細胞など免疫細胞を直接的あるいは間接的に活性化させることにより、リンパ節においてキラーT細胞を効率良く刺激する。免疫活性化剤としては、特に限定されないが、Toll様受容体(TLR)作動薬、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)作動薬、サイトカイン、またはヒートショックプロテイン(HSP)に対する薬剤が挙げられる。
【0030】
本明細書において、「低分子阻害剤」とは、低分子量を有する何らかの阻害作用を有する薬剤をいう。低分子阻害剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒストン脱アセチル化阻害剤、ヒストン脱メチル化阻害薬、ヒストンアセチル化酵素阻害剤、ヒストンメチル化酵素阻害剤、DNAメチル基転移酵素阻害剤、アントラサイクリン系抗生物質、白金製剤、MAPK阻害剤、β-カテニン阻害剤、STAT3阻害剤、NF-kB阻害剤、JAK阻害剤、mTOR阻害剤、IDO阻害剤、COX-2阻害剤CXCR4阻害剤およびアルギナーゼ阻害剤などが挙げられる。
【0031】
本明細書において、「放射線剤」とは、広義に解釈され、放射線療法に用いる任意の剤をいう。放射線療法は、当該分野の最広義で使用され、エックス線、電子線、ガンマ線などの放射線を照射することにより、がん細胞にダメージを与え、がん細胞を死滅させる治療である。放射線剤としては、特に限定されないが、例えば、放射性物質および放射増感剤などがあげられる。
【0032】
本明細書において「医薬」とは、当該分野でもっとも広義に解釈され、任意の薬を含み、薬事法上の医薬品、医薬部外品等のほか、人に適用するものだけでなく、動物に適用するもの(獣医薬)をも包含する概念として使用され、それを必要とする疾患、障害または状態の治療または予防を意図する任意の用途の薬剤、組成物等を包含することが理解される。そのような例として、医療分野、獣医科学等における応用が挙げられる。通常、医薬は固体または液体の賦形剤を含むとともに、必要に応じて崩壊剤、香味剤、遅延放出剤、滑沢剤、結合剤、着色剤などの添加剤を含むことができる。医薬品の形態は、錠剤、注射剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、徐放製剤などを含むが、これらに限定されない。本発明の医薬、微生物、化合物等は、医薬的に許容されうる一般的な担体または賦形剤などの成分と一緒にして医薬組成物とすることができる。
【0033】
本明細書において「飲食品」とは、当該分野で日常的に使用される意味を有し、人間が食することができるすべての食料(飲料を含む)を指し、一実施形態としては加工品を挙げることができる。たとえば菓子類、乳製品、穀類加工品などの加工食品に、本発明の医薬、微生物、化合物等を混入させることができる。また、「健康食品」および「機能性食品」とは、業界で一般的に使用される意味を有し、医薬品または一般の食品とは区別される食品の一種を指す。このような食品の例としては、例えば、食事前または食事とともに被験者に一定期間摂取させる食品を想定することができるがこれに限定されない。
【0034】
本明細書において、「サプリメント」とは、栄養素等を補うための栄養補助食品等を意味するだけではなく、健康の保持、回復、増進等のために役立つ機能(例えば、体重増加抑制、体脂肪蓄積抑制等の抗肥満作用、又は痩身作用)等を有する健康機能食品等をも意味する。
【0035】
本明細書において「疾患」、「障害」および「状態」は、交換可能に用いられ、最広義に解釈され、人間や動物の心や体に不調または不都合が生じた状態をいい、病気、障害、種々の症状等、具体的に定義されていない健康な状態とは言えない任意の状態を指す。
【0036】
本明細書における、「処置」とは、医師またはその同等の実務者により疾患を発症していると診断をされた個体(被験者、患者)に対して、例えば、本開示の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患や症状を軽減、緩和、または改善すること、被験者内の疾患の原因因子を取り除くこと、または疾患発症前の状態に戻すことを目的とするものである。
【0037】
本明細書における、「予防」とは、対象となる疾患を発症していない個体に対して本開示の有効成分を投与する行為であり、例えば、疾患の発症を防止することを目的とするものである。ワクチンは予防を目的とした医薬の代表例といえる。本開示では、予防は、疾患の原因因子が対象内に存在する場合であっても、発症していなければ通常疾患状態とは判断されないことから、このような状態であっても、処置の対象とすることができ、予防を行うということができる。
【0038】
本明細書において、「増殖(活性)」(growth (activity))とは、微生物について言及する場合、その微生物の個体・細胞などが数を増すこと、あるいはその活性をいう。
【0039】
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。したがって、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができる。
【0040】
本開示の一局面において、パイエル板内の樹状細胞の活性化能を有する乳酸菌が提供される。
【0041】
腸管の主要な働きは消化吸収である一方で、免疫器官としても極めて重要である。多くの病原細菌は口から入り、腸などを通して体内に侵入するため、これらの侵入物から身を守るために自己防衛体制として、腸管には多くの免疫器官が配置されている。具体的に、腸には免疫器官として腸管壁にある腸の上皮細胞(吸収細胞)に囲まれて、腸管上皮間リンパ球が存在し、腸管壁にはパイエル板が存在し、また腸管壁の下方部分にある粘膜固有層などが免疫系器官として局在している。
【0042】
このうち、パイエル板は腸管壁に局在する重要な免疫器官であり、病原細菌などの抗原が侵入してくるパイエル板の腸管腔側は一層の上皮層で覆われ、その入口にはM細胞が存在し、ここから病原菌などが取り込まれる。このパイエル板領域には樹状細胞、T細胞、B細胞などの主要な免疫細胞が集中して存在している。これらの腸管免疫細胞群は協働して、病原細菌抗原に対して免疫グロブリンAを産生し、これを用いて腸管に侵入してくる病原細菌の腸管壁を超えて体内への侵入を防いでいる。
【0043】
一実施形態において、本開示の乳酸菌および/または組成物は、腸管パイエル板の樹状細胞における特定の細胞表面マーカーの陽性率を上昇させ、及び/またはサイトカインの産生率を上昇させることで、腸管免疫系の賦活効果を得ることができる。したがって、一実施形態において、本開示の乳酸菌によるパイエル板内の樹状細胞の活性化能は、樹状細胞における、活性化の指標となる細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインの発現の有無によって評価されることができる。他の実施形態において、本開示の乳酸菌によるパイエル板内の樹状細胞の活性化能は、樹状細胞における、活性化の指標となる細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインの陽性率によって評価されることができる。
【0044】
一実施形態において、上記活性化の指標となる細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインとしては、パイエル板内の樹状細胞の活性化能の指標となる細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインであれば特に限られないが、例えば、IL-6、IL-12、MHC class I、MHC class II、CD80、CD86、CD8、IFN-γ、IFN-α、TNF-α、CD40、IL-1β、IL-23、IL-27、およびCCR7からなる群から選択される少なくとも1つの細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインを挙げることができる。したがって、一実施形態において、本開示の乳酸菌の活性化能は、樹状細胞におけるIL-6陽性率、IL-12陽性率、MHC class I陽性率、MHC class II陽性率、CD80陽性率、CD86陽性率、CD8陽性率、IFN-γ陽性率、IFN-α陽性率、TNF-α陽性率、CD40陽性率、IL-1β陽性率、IL-23陽性率、IL-27陽性率、およびCCR7陽性率からなる群から選択される少なくとも1つの陽性率によって評価されることができる。理論に縛られるものではないが、これらの細胞表面マーカーおよび/またはサイトカインは、活性化樹状細胞作用に重要な補助シグナル(例えばT細胞に対する重要な共刺激分子(CD80,CD86など)、T細胞の活性化/分化を誘導する抗原ペプチドを提示したMHC、免疫応答を増強/調節するサイトカイン(IL-6など))であるため、本開示の乳酸菌によるパイエル板内の樹状細胞の活性化能の指標となり得る。
【0045】
一実施形態において、本開示の乳酸菌によるパイエル板内の樹状細胞の活性化能は、樹状細胞におけるCD45CD11cIL-6/CD45、CD45CD11cIFN-γ/CD45、CD45CD11cMHC class II/CD45、CD45CD11cCD80/CD45、CD45CD11cCD86/CD45、およびCD45CD11cCD8a/CD45からなる群から選択されるパラメータのいずれか1つを、基準値よりも増加させることができ、この場合、前記活性化能は、評価系Aで評価することができる。また基準値としては、PBS投与群の陽性率を用いることができ、この場合、上記パラメータは、細菌株投与群について各パラメータ陽性およびCD45陽性/CD11c陽性樹状細胞についてCD45陽性白血球中における陽性率を算出し、それらをPBS投与群の陽性率を1として算出した各細菌株投与群での陽性率の倍数として表すことができる。
【0046】
一実施形態において、本開示の乳酸菌によるパイエル板内の樹状細胞の活性化能は、樹状細胞における上記パラメータのいずれか1つを、基準値よりも少なくとも約2.0倍、約2.3倍、約2.5倍、約2.7倍、約3.0倍、約3.3倍、約3.5倍、約3.7倍、約4.0倍、約4.3倍、約4.5倍、約4.7倍、約5.0倍に増加させることができる。
【0047】
一実施形態において、本開示の乳酸菌によるパイエル板内の樹状細胞の活性化能は、樹状細胞における上記パラメータのいずれか1つ、好ましくは少なくとも2つ、さらに好ましくは少なくとも3つ、またはより好ましくはすべてを、基準値よりも少なくとも約2.0倍、約2.3倍、約2.5倍、約2.7倍、約3.0倍、約3.3倍、約3.5倍、約3.7倍、約4.0倍、約4.3倍、約4.5倍、約4.7倍、約5.0倍に増加させることができる。
【0048】
一実施形態において、評価系Aが、以下の工程を含むことができる。
1)(投与菌体の作製)対象株を培養し、carboxyfluorescein succinimidyl ester(CFSE)で染色した後にPBSで洗浄して投与菌液を作製する。
2)(小腸パイエル板の採取)1.0×10 colony forming unit(CFU)/100μLの各菌液をC57BL/6マウスに胃内強制経口投与し、約1時間後にマウスを解剖し、小腸パイエル板を採取する。
3)(小腸パイエル板中の細胞の抗体染色)小腸パイエル板中の細胞を分離して細胞培養用培地に懸濁し、タンパク質輸送阻害薬を添加し約15時間培養後、PBSで遠心洗浄し、死細胞を染色したのち、Staining buffer(1% Fetal bovine serum、0.09% NaN3 in PBS)で遠心洗浄後、ブロッキングする。続いて、各種標識抗体で細胞表面マーカーを染色する。続いて、細胞固定・透過処理液にて細胞の固定と透過処理を行い、さらに細胞膜透過性バッファーにて洗浄し、抗サイトカイン抗体で細胞内マーカーの染色を行う。細胞膜透過性バッファーにて洗浄し、フローサイトメーターにて測定・解析する。
【0049】
一実施形態において、本開示の乳酸菌について、パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:1.43より大きい、
MHC class II/CD45:1.82より大きい、
CD80/CD45:1.41より大きい、および
CD86/CD45:1.22より大きい、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有することができ、この場合、パイエル板内樹状細胞活性化指標としては、CFSE染色後に、C57BL/6マウスに1.0×10 colony forming unit(CFU)/100μLの菌液を経口投与した約1時間後の小腸パイエル板を採取し、約15時間培養した後に抗体染色を行う場合に、パイエル板中のCD45陽性かつCD11c陽性の樹状細胞において、CD45陽性白血球中の以下の各マーカーの陽性率を算出し、それらをPBS投与群の陽性率を1として算出した各細菌株投与群での陽性率の倍数を用いることができる。
【0050】
また他の実施形態において、本開示の乳酸菌は、上記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2以上、
MHC class II/CD45:2以上、
CD80/CD45:2以上、および
CD86/CD45:2以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有することができる。
【0051】
また他の実施形態において、本開示の乳酸菌は、上記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2.5以上、
MHC class II/CD45:2.5以上、
CD80/CD45:2.5以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有することができる。
【0052】
また他の実施形態において、本開示の乳酸菌は、上記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:2.5以上、
MHC class II/CD45:4以上、
CD80/CD45:2.5以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有することができる。
【0053】
また他の実施形態において、本開示の乳酸菌は、上記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、
IL-6/CD45:3以上、
MHC class II/CD45:4以上、
CD80/CD45:3以上、および
CD86/CD45:2.5以上、
からなる群より選択される少なくとも1つの性質を有することができる。
【0054】
また他の実施形態において、本開示の乳酸菌は、上記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、前記性質の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、さらに好ましくはすべてを有することができ、例えば本開示の乳酸菌は、上記パイエル板内樹状細胞活性化指標が、少なくともIL-6およびCD80陽性の性質を有することができる。
【0055】
一実施形態において、本開示の乳酸菌によるパイエル板内の樹状細胞の活性化能は、乳酸菌基準株よりも大きいものとすることができ、乳酸菌基準株としては、E. faecalis ATCC 700802を挙げることができる。
【0056】
パイエル板は複数のリンパ濾胞が集まった集合リンパ小節であり、個々のリンパ濾胞のなかには活性化した胚中心を持つものが多い。パイエル板にはB細胞が多く集まり、非自己物質に対する抗体産生の場として機能し、B細胞が集積したリンパ濾胞はドーム状の濾胞関連上皮(Follicle-associated epithelium:FAE)で覆われる。したがって、一実施形態において、本開示の乳酸菌が活性化する樹状細胞は、濾胞関連上皮(FAE)と濾胞との間に存在することができる。理論に縛られるものではないが、濾胞関連上皮(FAE)と濾胞との間に存在する樹状細胞は腸管粘膜上の非自己抗原に対する免疫応答を担うことが知られており、本開示の乳酸菌によって活性化できると考えられる。
【0057】
また本開示の一実施形態において、本開示の乳酸菌は、マクロファージ、B細胞、およびT細胞からなる群より選択される少なくとも1つの他の細胞を活性化する能力を含むことができる。理論に縛られるものではないが、乳酸菌の細胞壁のペプチドグリカンによりマクロファージのTLRが活性化され、またB細胞、およびT細胞は活性化樹状細胞により刺激を受けることが知られているため、本開示の乳酸菌によってそれぞれ活性化できると考えられる。
【0058】
本開示の一実施形態において、本開示の組成物に含まれる乳酸菌としては、エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、バクテロイデス属、ラクトバシラス属、およびアッケルマンシア属の酸菌を挙げることができ、好ましくはエンテロコッカス属、およびビフィドバクテリウム属の酸菌を挙げることができ、さらに好ましくはエンテロコッカス属の酸菌を挙げることができる。
【0059】
エンテロコッカス属の細菌としては、これに限られるものではないが、Enterococcus alcedinis、Enterococcus aquimarinus、Enterococcus asini、Enterococcus avium、Enterococcus bulliens、Enterococcus caccae、Enterococcus camelliae、Enterococcus canintestini、Enterococcus canis、Enterococcus casseliflavus、Enterococcus cecorum、Enterococcus columbae、Enterococcus devriesei、Enterococcus diestrammenae、Enterococcus dispar、Enterococcus durans、Enterococcus eurekensis、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus gallinarum、Enterococcus gilvus、Enterococcus haemoperoxidus、Enterococcus hermanniensis、Enterococcus hirae、Enterococcus italicus、Enterococcus lactis、Enterococcus lemanii、Enterococcus malodoratus、Enterococcus moraviensis、Enterococcus mundtii、Enterococcus olivae、Enterococcus pallens、Enterococcus phoeniculicola、Enterococcus plantarum、Enterococcus pseudoavium、Enterococcus quebecensis、Enterococcus raffinosus、Enterococcus ratti、Enterococcus rivorum、Enterococcus rotai、Enterococcus saccharolyticus、Enterococcus silesiacus、Enterococcus solitarius、Enterococcus sulfureus、Enterococcus termitis、Enterococcus thailandicus、Enterococcus ureasiticus、Enterococcus ureilyticus、Enterococcus viikkiensis、Enterococcus villorum、またはEnterococcus xiangfangensisなどを含むことができる。一実施形態において、エンテロコッカス属の細菌としては、好ましくはE.faecalis、E.faecium、E.avium、E.casseliflavus、E.gallinarum、およびE.hiraeを挙げることができ、さらに好ましくはEnterococcus faecalisを挙げることができる。
【0060】
ビフィドバクテリウム属の細菌としては、これに限られるものではないが、B. actinocoloniiforme、B. adolescentis、B. aerophilum、B. aesculapii、 B. angulatum、B. animalis、 subsp. animalis、subsp. lactis、B. aquikefiri、B. asteroides、B. avesanii、B. biavatii、B. bifidum、B. bohemicum、B. bombi、B. boum、B. breve、B. callitrichos、B. catenulatum、B. choerinum、B. commune、B. coryneforme、B. crudilactis、B. cuniculi、B. denticolens、B. dentium、B. eulemuris、B. faecale、B. gallicum、B. gallinarum、B. hapali、B. indicum、B. inopinatum、B. kashiwanohense、B. lemurum、B. longum、subsp. longum、subsp. infantis、subsp. suis、B. magnum、B. merycicum、B. minimum、B. mongoliense、B. moukalabense、B. myosotis、B. parvulorum、B. pseudocatenulatum、B. pseudolongum、subsp. pseudolongum、subsp. globosum、B. psychraerophilum、B. pullorum、B. ramosum、B. reuteri、B. ruminale、B. ruminantium、B. saeculare、B. saguini、B. scardovii、B. simiae、B. stellenboschense、B. subtile、B. thermacidophilum、subsp. thermacidophilum、subsp. porcinum、B. thermophilum、B. tissieri、またはB. tsurumienseなどを含むことができる。
【0061】
バクテロイデス属の細菌としては、これに限られるものではないが、Bacteroides acidifaciens、Bacteroides caccae、Bacteroides caecicola、Bacteroides caecigallinarum、Bacteroides caecimuris、Bacteroides ellulosilyticus、Bacteroides clarus、Bacteroides coprosuis、Bacteroides eggerthii、Bacteroides faecalis、Bacteroides faecichinchillae、Bacteroides faecis、Bacteroides finegoldii、Bacteroides fluxus、Bacteroides fragilis、Bacteroides galacturonicus、Bacteroides gallinaceum、Bacteroides gallinarum、Bacteroides graminisolvens、Bacteroides helcogenes、Bacteroides intestinalis、Bacteroides koreensis、Bacteroides kribbi、Bacteroides luti、Bacteroides nordii、Bacteroides oleiciplenus、Bacteroides ovatus、Bacteroides pectinophilus、Bacteroides polypragmatus、Bacteroides propionicifaciens、Bacteroides pyogenes、Bacteroides reticulotermitis、Bacteroides rodentium、Bacteroides salyersiae、Bacteroides stercorirosoris、Bacteroides stercoris、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、またはBacteroides xylanisolvens、などを含むことができる。
【0062】
ラクトバシラス属の細菌としては、これに限られるものではないが、L. acetotolerans、L. acidifarinaeL. acidipiscis、L. acidophilus、L. agilis、L. algidus、L. alimentarius、L. amylolyticus、L. amylophilus、L. amylotrophicus、L. amylovorus、L. animalis、L. antri、L. apodemi、L. aviarius、L. bifermentans、L. brevis、L. buchneri、L. camelliae、L. casei、L. catenaformis、L. ceti、L. coleohominis、L. collinoides、L. composti、L. concavus、L. coryniformis、L. crispatus、L. crustorum、L. curvatus、L. delbrueckii subsp. bulgaricus、L. delbrueckii subsp. delbrueckii、L. delbrueckii subsp. lactis、L. dextrinicus、L. diolivorans、L. equi、L. equigenerosi、L. farraginis、L. farciminis、L. fermentum、L. fornicalis、L. fructivorans、L. frumenti、L. fuchuensis、L. gallinarum、L. gasseri、L. gastricus、L. ghanensis、L. graminis、L. hammesii、L. hamsteri、L. harbinensis、L. hayakitensis、L. helveticus、L. hilgardii、L. homohiochii、L. iners、L. ingluviei、L. intestinalis、L. jensenii、L. johnsonii、L. kalixensis、L. kefiranofaciens、L. kefiri、L. kimchii、L. kitasatonis、L. kunkeei、L. leichmannii、L. lindneri、L. malefermentans、L. mali、L. manihotivorans、L. mindensis、L. mucosae、L. murinus、L. nagelii、L. namurensis、L. nantensis、L. oligofermentans、L. oris、L. panis、L. pantheris、L. parabrevis、L. parabuchneri、L. paracasei、L. paracollinoides、L. parafarraginis、L. parakefiri、L. paralimentarius、L. paraplantarum、L. pentosus、L. perolens、L. plantarum、L. pontis、L. protectus、L. psittaci、L. rennini、L. reuteri、L. rhamnosus、L. rimae、L. rogosae、L. rossiae、L. ruminis、L. saerimneri、L. sakei、L. salivarius、L. sanfranciscensis、L. satsumensis、L. secaliphilus、L. sharpeae、L. siliginis、L. spicheri、L. suebicus、L. thailandensis、L. ultunensis、L. vaccinostercus、L. vaginalis、L. versmoldensis、L. vini、L. vitulinus、L. zeae、L. zymaeなどを含むことができる。
【0063】
アッケルマンシア属の細菌としては、これに限られるものではないが、Akkermansia muciniphila、またはAkkermansia glycaniphilaなどを含むことができる。
【0064】
一実施形態において、本開示の組成物に含まれる乳酸菌は、エンテロコッカス・フェーカリス(Enterococcus faecalis)であり、好ましくはKU-EF-001株(NITE BP-03655)、KU-EF-002株(NITE BP-03656)、KU-EF-003株(NITE BP-03657)、およびKU-EF-004株(NITE BP-03658)を含むことができる。
【0065】
本開示の一つの局面において、本開示の乳酸菌を含む組成物が提供される。本開示の乳酸菌は、実施例に示すとおり、対象の免疫を賦活化することができるため、本開示の乳酸菌を含む組成物は、対象の免疫を賦活化するためのものとすることができる。
【0066】
また一実施形態において、本開示の乳酸菌は、パイエル板内の樹状細胞を活性化することができるため、本開示の乳酸菌を含む組成物は、パイエル板内の樹状細胞を活性化するためのものとすることができる。
【0067】
乳酸菌の細胞壁のリポタイコ酸やペプチドグリカンが樹状細胞上のTLRを刺激することが知られており、樹状細胞の活性化が腸の上皮細胞間のTリンパ球や粘膜固有層のBリンパ球などの免疫細胞を刺激することがわかっている。また乳酸菌が産生する短鎖脂肪酸(乳酸・酢酸など)が腸内細菌叢および腸内環境を改善することが知られている。したがって、本開示の乳酸菌を含む組成物を摂取させることにより、対象の腸管免疫系を活性化させることができる。そのため、本開示の一実施形態において、本開示の乳酸菌を含む組成物は、免疫調節剤または放射線剤と併用するためのものとすることができ、及び/またはその作用を増強するためのものとすることができる。
【0068】
一実施形態において、免疫調節剤としては、免疫チェックポイント阻害薬、CAR-T細胞療法薬、二重特異性抗体薬、がんワクチン、共刺激分子アゴニスト剤、免疫活性化剤、および低分子阻害剤を挙げることができるが、特にこれらに限られるものではない。免疫チェックポイント阻害薬としては、一般に入手可能な任意の免疫チェックポイント阻害薬を使用することができるが、例えば、免疫チェックポイント阻害薬としては、CTLA-4、PD-1、LAG-3、BTLA、KIR、TIM-3、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、GAL9、CD160、VISTA、BTNL2、TIGIT、PVR、BTN1A1、BTN2A2、BTN3A2、およびCSF-1Rからなる群から選択される分子に対する薬剤、並びにそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0069】
一実施形態において、本開示の組成物に含まれる乳酸菌としては、生菌を用いることができ、この場合、液剤・錠剤・粉末などとして食事や飼料に直接添加することができる。また液剤・錠剤として直接摂取することができる。一実施形態において、本開示の組成物に含まれる生菌数は特に限定されるものではなく、少なくとも1CFU/gの極微量であってもよく、少なくとも約10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×10CFU/g、少なくとも約1×1010CFU/g、少なくとも約1×1012CFU/g、少なくとも約1×1014CFU/g、少なくとも約1×1016CFU/g、または少なくとも約1×1018CFU/gとすることができる。また本開示の組成物に含まれる生菌数は、組成物の態様や添加する食事や飼料の形態によって適宜変更することができる。
【0070】
一実施形態において、本開示の組成物は、飲食品(特定保健用食品や機能性表示食品を含む)、食品添加物、飼料、サプリメント、または医薬として用いることができる。本開示の組成物を飲食品として用いる場合には、その表示として、「○○の方にお薦めします」、「○○に役立ちます」などの説明を付すことも可能である。
【0071】
<投与法>
疾患の治療または予防目的で投与することが好ましい場合、任意の製剤の形態で投与される。投与経路は特に限定されず、経口投与または非経口投与が挙げられる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、溶液剤、カプセル剤または懸濁剤などが挙げられる。非経口投与に適する製剤の例としては、例えば、注射剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤などが挙げられる。
【0072】
経口投与用の液体製剤の製造には、例えば、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類;ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;ゴマ油、オリーブ油、大豆油などの油類;p-ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤などの製剤用添加物を用いることができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、または顆粒剤などの固形製剤の製造には、例えば、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニットなどの賦形剤;澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤;脂肪酸エステルなどの界面活性剤;グリセリンなどの可塑剤を用いることができる。
【0073】
非経口投与用の製剤のうち注射剤や点滴剤などの血管内投与用製剤は、好ましくはヒト血液と等張の水性媒体を用いて調製することができる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、または塩溶液とブドウ糖溶液の混合物から選ばれる水性媒体を用い、常法に従って適当な助剤とともに溶液、懸濁液または分散液として調製することができる。腸内投与のための坐剤は、例えば、カカオ脂、水添油脂または水添脂肪酸などの担体を用いて調製することができる。非経口投与用の製剤のうち噴霧剤は、ヒトの口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分である菌を微細な粒子として分散させて吸収を促進することのできる担体を用いて調製することができる。このような担体として、例えば、乳糖またはグリセリンなどを用いることができる。形質転換ビフィズス菌および用いる担体の性質により、エアロゾルやドライパウダーなどの形態の製剤として調製することができる。非経口投与用の製剤の製造には、例えば、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1または2以上の製剤用添加物を用いることができる。
【0074】
<剤・添加成分>
本開示の一実施形態において、本開示の組成物は、その剤形に応じて、調剤用添加剤、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、及び調味料等の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤や賦形剤としては、例えば、アスコルビン酸、ビオチン、パントテン酸カルシウム、カロテン、ナイアシン、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、パントテン酸ナトリウム、チアミン塩酸塩、トコフェロール、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD等のビタミン類;メタリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸ナトリウム類;ソルビン酸カルシウム、安息香酸、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等の保存料;アラビアガム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、マンニット、ソルビトール、ラクトース、可溶性澱粉、アミノ酸類、グルコース、フラクトース、スクロース、ハチミツ、脂肪酸エステル、二酸化ケイ素を挙げることができる。
【0075】
本開示の一実施形態において、本開示の組成物の剤形は、例えば、粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル剤、油状、及び液状とすることができる。
【0076】
本開示の一実施形態において、本開示の組成物は、飲食品、医薬部外品、医薬品に含まれてもよい。このうち、飲食品としては、例えば野菜加工食品、海藻加工食品、肉類加工品等の各種加工食品;スープ、スナック菓子、パン類、麺類、氷菓子類、お茶、ジュース、コーヒー、健康食品、ヨーグルト、チーズなどの乳製品などを挙げることができる。
【0077】
本開示の一つの局面において、本開示の乳酸菌を含む組成物と免疫調節剤とを含む医薬組成物が提供される。このような医薬組成物においては、本明細書の他の箇所で説明した本開示の乳酸菌や組成物を用いることができる。
【0078】
(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J. et al.(1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001); Ausubel, F.M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Ausubel, F.M.(1989). Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Innis, M.A.(1990).PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press; Ausubel, F.M.(1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Ausubel, F.M. (1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Innis, M.A. et al.(1995).PCR Strategies, Academic Press; Ausubel, F.M.(1999).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, and annual updates; Sninsky, J.J. et al.(1999). PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press、別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されており、これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。
【0079】
人工的に合成した遺伝子を作製するためのDNA合成技術および核酸化学については、例えばGeneArt、GenScript、Integrated DNA Technologies(IDT)などの遺伝子合成やフラグメント合成サービスを用いることもでき、その他、例えば、Gait, M.J.(1985). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Gait, M.J.(1990). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Eckstein, F.(1991). Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press; Adams, R.L. et al.(1992). The Biochemistry of the Nucleic Acids, Chapman & Hall; Shabarova, Z. et al.(1994).Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids, Weinheim; Blackburn, G.M. et al.(1996). Nucleic Acids in Chemistry and Biology, Oxford University Press; Hermanson, G.T.(I996). Bioconjugate Techniques, Academic Pressなどに記載されており、これらは本明細書において関連する部分が参考として援用される。
【0080】
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0081】
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0082】
方法
細菌株と培地
ヒト腸内細菌叢を構成する主な細菌種として、以下の5種類の細菌株をAmerican Type Culture Collection (ATCC)より購入し使用した。
・Escherichia coli ATCC 10798 (K-12)
・Enterococcus faecalis ATCC 700802
・Enterococcus hirae ATCC 9790
・Bifidobacterium longum ATCC 15697
・Lactobacillus acidophilus ATCC 4536
【0083】
E.coli ATCC 10798(K-12)株はLuria-Bertani (LB)培地(ナカライテスク株式会社、京都、日本)を用いて37℃で好気培養した。E.faecalis ATCC700802株ならびにE.hirae ATCC9790株はBrain Heart Infusion (BHI)培地(メルク、ダルムシュタット、ドイツ) を用いて37℃で好気培養した。B.longum ATCC 15697株はGifu Anaerobic Medium(GAM)培地(日水製薬株式会社、東京、日本)を用いて37℃で嫌気培養した。L. acidophilus ATCC 4536株はDE MAN, ROGOSA and SHARPE (MRS) 培地 (メルク)を用いて37℃で嫌気培養した。
【0084】
さらに、神戸大学医学部附属病院にて臨床検体より分離したE.faecalis菌株として以下の細菌株を使用した。これらの細菌株も上記同様にBrain Heart Infusion (BHI)培地(メルク、ダルムシュタット、ドイツ)を用いて37℃で好気培養した。これら菌株はいずれもバンコマイシン感性である。
・KU-EF-001株(NITE BP-03655):E. faecalis 22811(尿検体由来)
・KU-EF-002株(NITE BP-03656):E. faecalis 22837(バルーン尿由来)
・KU-EF-003株(NITE BP-03657):E. faecalis 22850(静脈血由来)
・KU-EF-004株(NITE BP-03658):E. faecalis 22869(尿由来)
【0085】
投与菌液の作製
各細菌株を上記に記す方法で培養し、リン酸緩衝食塩水(PBS)にて3回遠心洗浄した後、PBSにて適切な濃度の細菌懸濁液を調整した。各細菌液は使用時まで-80℃で凍結保管した。
【0086】
(実施例1:菌種の選定)
7週齢のメスC57BL/6マウスを使用した。1.0×10個のマウス大腸癌細胞株MC38を麻酔下にマウスの右側腹部に皮下接種し、腫瘍接種日を0日目とした。7日目にマウスを以下の各経口投与群にランダムに割り当てた(n=3)。PBS、E.coli ATCC 10798 (K-12)株、E.faecalis ATCC 700802株、E.hirae ATCC 9790株、B.longum ATCC 15697株およびL.acidophilus ATCC 4536株はゾンデを用いて麻酔下に1.0×109 colony forming units (CFU) /100 μl PBSを胃内強制経口投与した。抗Programmed death 1 (PD-1) 抗体、抗Programmed death ligand 1 (PD-L1) 抗体、抗Cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4 (CTLA-4) 抗体 (いずれもBio X Cell, Lebanon, NH)および抗PD-1抗体×抗CTLA-4抗体(1:1)は各200μg/100 μLを腹腔内投与した。経口投与は腫瘍移植後7日目より開始し、1回/日で週5回、4週間連続行った。腹腔内投与は11日目より週2回の頻度で合計5回投与した(図1)。腫瘍径を経日的に測定し、体積を次の計算式で算出した:腫瘍体積(mm)=直径(mm)×短径(mm)×1/2。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとした。
【0087】
結果1
MC38を皮下移植したマウスに5種類の細菌株ならびにPBSをそれぞれ経口投与し、それらに免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体)を腹腔内投与した際の腫瘍体積の推移を図2に示した。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとしたため、腫瘍径20mm以上の個体が含まれる投与群では平均腫瘍体積の算出を中断した。各細菌種の経口投与と免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体)の抗腫瘍効果との関連を解析した結果、E.faecalis株およびB.longum株の経口投与と抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体の投与を併用した場合に顕著な腫瘍体積の減少が見られた。投与期間中に明らかな副作用は見られなかった。
【0088】
以上の結果から、E.faecalis株およびB.longum株が抗PD-1抗体ならびに抗CTLA-4抗体の癌治療効果を向上させることが示唆された。
【0089】
(実施例2:E faecalis菌株 3株+1株(ATCC株)の比較)
7週齢のメスC57BL/6マウスを使用した。1.0×10個のMC38を麻酔下にマウスの右側腹部に皮下接種し、腫瘍接種日を0日目とした。8日目にマウスを下記の経口投与群にランダムに割り当てた(n=4)。PBS、E.faecalis ATCC 700802株、KU-EF-001株、KU-EF-002株、KU-EF-003株、KU-EF-004株はそれぞれゾンデを用いて麻酔下に1.0×10 CFU/100μl PBSを胃内強制経口投与した。上記の各経口投与群に対し、各200μg/100μLの抗PD-1抗体(Bio X Cell)および抗CTLA-4抗体(Bio X Cell)を腹腔内投与した。経口投与は8日目より開始し、1回/日で週5回、4週間連続で実施した。腹腔内投与は12日目より週2回の頻度で合計5回投与した(図3)。腫瘍径を経日的に測定し、体積を次の計算式で算出した:腫瘍体積(mm)=直径(mm)×短径(mm)×1/2。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとし、また腫瘍体体積500mmとした。
【0090】
結果2
MC38を皮下移植したマウスに5種類のE.faecalis株ならびにPBSをそれぞれ経口投与し、それらに免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体)を腹腔内投与した際の腫瘍体積の推移およびを図4に示した。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとしたため、腫瘍径20mm以上の個体が含まれる投与群では平均腫瘍体積の算出を中断した。各細菌株の経口投与と各種免疫チェックポイント阻害薬の抗腫瘍効果との関連を解析した結果、KU-EF-004株の経口投与と抗PD-1抗体ならびに抗CTLA-4抗体の併用投与を併用した場合に最も顕著な腫瘍体積の減少が見られた。生存期間については、KU-EF-002株の経口投与と抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体の腹腔内投与を併用した場合に最も延長された。KU-EF-004株の経口投与と抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体の腹腔内投与を併用した併用投与群はKU-EF-002株の場合に次いで生存期間の延長が見られた。これらの結果より、KU-EF-004株およびKU-EF-002株は宿主の免疫チェックポイント阻害薬の感受性を高めることが示唆された。
【0091】
(実施例3:KU-EF-004株と他の腸内細菌株の比較)
7週齢のメスC57BL/6Jマウスを使用した。1.0×10個のMC38を麻酔下でマウスの右側腹部に皮下接種し、腫瘍接種日を0日目とした。6日目にマウスを下記の経口投与群にランダムに割り当てた(n=5)。PBS、KU-EF-004株、E.coli ATCC10798 (K-12)株およびB.longum ATCC15697株はゾンデを用いて麻酔下に1.0×10 CFU/100μl PBSを胃内強制経口投与した。上記の各経口投与群に対し、各10μg/100μLの抗CTLA-4抗体(InvivoGen,San Diego,CA)を腹腔内投与した。経口投与は腫瘍移植7日目より開始し、1回/日で週5回、5週間連続で実施した。腹腔内投与は10日目より週1回の頻度で合計4回投与した(図5)。腫瘍径を経日的に測定し、体積を次の計算式で算出した:腫瘍体積(mm)=直径(mm)×短径(mm)×1/2。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとし、または腫瘍体積500mmとした。
【0092】
結果3
MC38を皮下移植したマウスに3種類の細菌株ならびにPBSをそれぞれ経口投与し、それらに抗CTLA-4抗体を腹腔内投与した際の腫瘍体積の推移および生存期間を図6に示した。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとしたため、腫瘍径20mm以上の個体が含まれる投与群では平均腫瘍体積の算出を中断した。各細菌種の経口投与と抗CTLA-4抗体の抗腫瘍効果との関連を解析した結果、KU-EF-004株の経口投与と抗CTLA-4抗体の併用投与を併用した場合に最も顕著な腫瘍体積の減少が見られた。生存期間については、KU-EF-004株の経口投与と抗CTLA-4抗体の腹腔内投与を併用した場合に有意に延長された(p=0.0088)。これらの結果より、KU-EF-004株はE. coli ATCC10798 (K-12)株ならびにB.longum ATCC15697株と比較して宿主の抗CTLA-4抗体への感受性を高めることが示唆された。
【0093】
(実施例4:KU-EF-004株とE. faecalis ATCC 700802株の比較)
7週齢のメスC57BL/6Jマウスを使用した。1.0×10個のMC38を麻酔下でマウスの右側腹部に皮下接種し、腫瘍接種日を0日目とした。6日目にマウスを下記の経口投与群にランダムに割り当てた(n=5)。PBS、KU-EF-004株、E.faecalis ATCC 700802株はゾンデを用いて麻酔下に1.0×10 CFU/100μl PBSを胃内強制経口投与した。上記の各経口投与群に対し、各10μg/100μLの抗CTLA-4抗体(InvivoGen)を腹腔内投与した。経口投与は腫瘍移植6日目より開始し、1回/日で週5回、5週間連続で実施した。腹腔内投与は10日目より週1回の頻度で合計4回投与した(図7)。腫瘍径を経日的に測定し、体積を次の計算式で算出した:腫瘍体積(mm)=直径(mm)×短径(mm)×1/2。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとし、または腫瘍体積500mmとした。
【0094】
結果4
MC38を皮下移植したマウスにKU-EF-004株、E.faecalis ATCC700802株またはPBSをそれぞれ経口投与し、それらに抗CTLA-4抗体を腹腔内投与した際の生存期間を図8に示した。腫瘍径20mm以上をエンドポイントとしたため、腫瘍径20mm以上の個体が含まれる投与群では平均腫瘍体積の算出を中断した。各細菌株の経口投与と抗CTLA-4抗体の生存期間との関連を解析した結果、KU-EF-004株の経口投与と抗CTLA-4抗体の腹腔内投与を併用した場合に有意に延長された(p=0.0031)。これらの結果より、KU-EF-004株はE.faecalis ATCC700802株と比較して宿主の抗CTLA-4抗体への感受性を高めることが示唆された。
【0095】
(実施例5:KU-EF-004株のマウス経口投与によるパイエル板中の樹状細胞への取り込み)
E. coli ATCC 10798(K-12)株、KU-EF-004株、B.longum ATCC 15697株をそれぞれ培養し、遠心回収した。各菌体をそれぞれ10 μg/mL carboxyfluorescein succinimidyl ester (CFSE)で37℃、30分間染色した後にPBSで洗浄して投与菌液とした。1×10 CFU/100μLの各菌液を7週齢のメスC57BL/6Nマウスに胃内強制経口投与した(n=3)。投与1時間後にマウスを解剖し、小腸パイエル板を採取した。パイエル板をホモジナイズして単細胞浮遊液を調節した後、10μg/mLの抗CD16/32抗体 (BioLegend、San Diego、CA)をStaining buffer(1% Fetal bovine serum、0.09% NaNin PBS)で希釈した抗体液で氷上20分間インキュベートしブロッキングした。Staining bufferで細胞を遠心洗浄し、2μg/mLのPE標識抗CD11c抗体 (BioLegend) で氷上遮光下で30分間インキュベートし樹状細胞を染色した。Staining bufferで洗浄した後、Guavaフローサイトメーター (Luminex、Austin、Tx)を用いて測定を行った。解析には付属のInCyte software (Luminex)を使用した。
【0096】
結果5
菌株の経口投与1時間後の小腸パイエル板において、樹状細胞マーカーであるCD11c陽性の細胞(樹状細胞)にCFSE標識KU-EF-004が取り込まれていることが確認された。
【0097】
(実施例6:マウスへのE. faecalis株の経口投与による小腸パイエル板中の樹状細胞の活性化)
KU-EF-001株、KU-EF-002株、KU-EF-003株、およびKU-EF-004株、Enterococcus faecalis ATCC 700802株をそれぞれ培養し、遠心回収した。各菌体をそれぞれ10 μg/mL carboxyfluorescein succinimidyl ester (CFSE) で37℃、30分間染色した後にPBSで洗浄して投与菌液とした。1×10CFU/100μLの各菌液をメスC57BL/6Nマウスに胃内強制経口投与した(n=3)。投与1時間後にマウスを解剖し、小腸パイエル板を採取した。
【0098】
パイエル板をホモジナイズして単細胞浮遊液を調節した後、細胞をRPMI-1640(10% ウシ胎児血清,10mM HEPES,1mM 非必須アミノ酸,1mM ピルビン酸ナトリウム,50μM 2-メルカプトメタノール,100IU/ml ペニシリン 100μg/ml ストレプトマイシン)で懸濁し、37℃、5% CO条件下で15時間培養した。その際、培養開始3時間後にGolgistop(BD Bioscience)を添加した。培養終了後、細胞を回収しPBSで遠心洗浄した。PBSで1000倍希釈したZombie NIR (BioLegend、San Diego、CA)で室温15分間染色した。Staining buffer (1% Fetal bovine serum、0.09% NaN3 in PBS)で遠心洗浄した後、10 μg/mLの抗CD16/32抗体 (BioLegend、San Diego、CA) をStaining bufferで希釈した抗体液で氷上20分間インキュベートしブロッキングした。Staining bufferで細胞を遠心洗浄し、Brilliant Violet (BV) 510標識抗CD45抗体およびPE標識抗CD11c抗体にて樹状細胞を染色した。加えて、細胞に対しBV421標識抗MHC class II抗体、BV650標識抗CD80抗体、PE-Dazzle594標識抗CD86抗体 、BV570標識CD8a抗体、およびBV605標識IFN-γ抗体 (全てBioLegend)にて氷上遮光下で30分間細胞表面マーカーの染色を行った。さらに、BD Fixation/Permeabilization Solution (BD Bioscience, Franklin Lakes, NJ) にて氷上遮光下で20分間インキュベートし細胞の固定と透過処理を行ったのち1×BD Perm/Wash buffer (BD Bioscience) にて2回遠心洗浄し、APC標識抗インターロイキン6 (IL-6) 抗体 (BioLegend) で氷上遮光下30分間細胞内マーカー(IL-6)の染色を行った。続けて1×BD Perm/Wash bufferにて2回洗浄し、Staining bufferで再懸濁した後に30 μmメッシュで濾過したサンプルをMACSQuant(登録商標) Analyzer 16 (Miltenyi Biotec GmbH, Bergisch Gladbach, Germany)測定し、付属のMACSQuantify商標 Softwareで解析し、CD45陽性かつCD11c陽性を指標として樹状細胞を定義し、その表面マーカー(MHC class II、CD80、CD86およびCD8a)の発現および細胞内マーカー(IL-6、IFN-γ)の産生について解析した。
【0099】
結果6
CFSE染色したKU-EF-001株、KU-EF-002株、KU-EF-003株、およびKU-EF-004株をマウスに経口投与した1時間後の小腸パイエル板を採取し、15時間培養した後に染色を行った。パイエル板中のCD45陽性かつCD11c陽性の樹状細胞において、細胞性免疫を活性化させるサイトカインであるIL-6およびIFN-γ、また樹状細胞成熟化マーカーであるMHC class II、CD80、CD86およびTh1誘導能に関与する表面マーカーであるCD8aをそれぞれ発現する樹状細胞の全CD45陽性白血球に対する割合(陽性率)を算出し、比較群であるPBS経口投与群の場合と比較したところ、KU-EF-001株、KU-EF-002株、KU-EF-003株、およびKU-EF-004株いずれの場合も陽性率が比較群(PBS経口投与群)よりも上昇していた。さらにKU-EF-001株、KU-EF-002株、およびKU-EF-004株の投与群の陽性率はいずれもE. faecalis ATCC 700802株投与群の陽性率よりも高かった(表1)。
【0100】
これらの結果から、KU-EF-004株を含む乳酸菌株を経口投与することで、小腸パイエル板の樹状細胞の活性を上昇させることが示唆された。
【0101】
【表1】
【0102】
(実施例7:癌免疫療法との併用)
本開示の乳酸菌を含む組成物を癌免疫療法と併用する。癌免疫療法として、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体など)、細胞療法(CAR-T細胞療法、TCR-T細胞療法、NK細胞療法、NKT細胞療法、γδT細胞療法など)、その他の癌免疫療法(BCG膀胱注入療法、サイトカイン療法(IL-2、IL-12、IFN-γなど)など)を適用している患者に対して、本開示の乳酸菌を含む組成物を併用する。
【0103】
(実施例8:単剤としての使用例)
本開示の乳酸菌を含む組成物を単剤として用いて、癌予防効果などを確認する。本開示の乳酸菌を含む組成物は、例えば、食品やサプリに含有させて対象に適用する。
【0104】
(実施例9:乳酸菌の各種感染モデルへの投与)
本開示の乳酸菌を含む組成物を単剤または他の免疫賦活剤をと混合して用いて、感染症予防効果などを確認する。感染症モデルとしては、下記のものなどが挙げられる。
【0105】
・サルモネラ感染症モデル
本開示の乳酸菌を培養・遠心回収して、調整した菌体1×10CFUを含む組成物をマウスに胃内強制経口投与する。投与は複数週間にわたり行う。最終経口投与後に、致死量のネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)をマウスに経口接種し、感染させる。ネズミチフス菌接種後の体重変化や生存率、ならびに感染臓器における細菌数の定量結果などから、乳酸菌のサルモネラ感染症予防効果を確認する。
【0106】
・A型インフルエンザ感染症モデル
本開示の乳酸菌を培養・遠心回収して、調整した菌体1×10CFUを含む組成物をマウスに胃内強制経口投与する。投与は複数週間にわたり行う。最終経口投与後に、致死量のA型インフルエンザウイルス(A/PR8/34(H1N1))をマウスに経鼻接種し、感染させる。A型インフルエンザウイルス接種後の体重変化や生存率、ならびに感染臓器におけるウイルス数の定量結果などから、乳酸菌のA型インフルエンザ感染症予防効果を確認する。
【0107】
・Clostridium difficile感染症モデル
本開示の乳酸菌を培養・遠心回収して、調整した菌体1×10CFUを含む組成物をマウスに胃内強制経口投与する。投与は複数週間にわたり行う。最終経口投与後に、致死量のClostridium difficileをマウスに経口接種し、感染させる。Clostridium difficile接種後の体重変化や生存率、ならびに感染臓器における細菌数の定量結果などから、乳酸菌のClostridium difficile感染症予防効果を確認する。
【0108】
・黄色ブドウ球菌感染症モデル
本開示の乳酸菌を培養・遠心回収して、調整した菌体1×10CFUを含む組成物をマウスに胃内強制経口投与する。投与は複数週間にわたり行う。最終経口投与後に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)をマウスに皮下接種し、感染させる。黄色ブドウ球菌接種後の体重変化や生存率、ならびに感染臓器における細菌数の定量結果などから、乳酸菌の黄色ブドウ球菌感染症予防効果を確認する。
【0109】
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示の乳酸菌は、本開示の乳酸菌が発揮する機能・効果を備えた機能性食品・機能性飼料(ペット・家畜等)サプリメント、医薬品分野への利用が考えられ、多くの産業での利用可能性が高い。
【受託番号】
【0111】
Enterococcus faecalisKU-EF-001株(NITE BP-03655)
【0112】
Enterococcus faecalisKU-EF-002株(NITE BP-03656)
【0113】
Enterococcus faecalisKU-EF-003株(NITE BP-03657)
【0114】
Enterococcus faecalisKU-EF-004株(NITE BP-03658)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8