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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025456
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】改装サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128919
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】北村 真吾
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC07
2E011KD26
2E011KD28
2E011KD35
2E011KE02
2E011KE06
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】様々な形状の既設枠を有する窓に適合させやすい改装サッシを提供すること。
【解決手段】改装サッシ1は、建物の開口部9に設けられる既設枠2及び既設枠2の内周側に配置される新設枠3を有し、開口部9の下方で見付方向に延びる既設下枠22及び新設下枠32の間に配置され、既設下枠22に固定される第1アタッチメント421と、第1アタッチメント421の上で新設枠3に固定される第2アタッチメント422と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる既設枠及び前記既設枠の内周側に配置される新設枠を有する改装サッシであって、
前記開口部の下方で見付方向に延びる既設下枠及び新設下枠の間に配置され、前記既設下枠に固定される第1アタッチメントと、
前記第1アタッチメントの上で前記新設枠に固定される第2アタッチメントと、を備える、改装サッシ。
【請求項2】
前記第1アタッチメントは、前記既設下枠の室外側及び室内側の間に亘って配置される、請求項1に記載の改装サッシ。
【請求項3】
前記第1アタッチメントは、前記既設下枠の室内側及び室外側の2箇所で固定され、見込方向における前記2箇所の固定した部分の間では、前記既設下枠から離れて配置されている、請求項1又は2に記載の改装サッシ。
【請求項4】
前記第1アタッチメントの室外側の端部は、前記既設枠の室内側に固定される、請求項1又は2に記載の改装サッシ。
【請求項5】
前記第1アタッチメントは、その表面に前記第2アタッチメントが係合可能なレール部を有する、請求項1又は2に記載の改装サッシ。
【請求項6】
前記第2アタッチメントは、高さ方向の位置を調整可能な高さ調整部を有する、請求項1又は2に記載の改装サッシ。
【請求項7】
前記第1アタッチメントの室内側には、前記既設下枠から離れるように傾斜する傾斜部が設けられる、請求項1又は2に記載の改装サッシ。
【請求項8】
前記第1アタッチメントは、室外側と室内側の間で階段状に形成される複数の段差部を有する、請求項1又は2に記載の改装サッシ。
【請求項9】
ビルの前記開口部に設けられる、請求項1又は2に記載の改装サッシ。
【請求項10】
建物の開口部に設けられる既設枠及び前記既設枠の内周側に配置される新設枠を備える改装サッシの施工方法であって、
前記改装サッシの下方で見付方向に延びる既設下枠及び新設下枠の間に第1アタッチメントを配置し、前記既設下枠に固定する第1アタッチメント取付工程と、
第2アタッチメントを、前記第1アタッチメントの上側で前記新設枠に取り付ける第2アタッチメント取付工程と、を備える、改装サッシの施工方法。
【請求項11】
前記第2アタッチメントは、高さ方向の位置を調整可能な高さ調整部を有し、
前記高さ調整部により前記第2アタッチメントの高さを調整する高さ調整工程と、
前記高さ調整工程を経た前記第2アタッチメントの表面に新設下枠を固定する新設下枠固定工程と、を備える、請求項10に記載の改装サッシの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に設置された窓等において、既設枠の上に新設枠を取り付けて改装する改装サッシが知られている。この改装サッシでは、既設枠の上に新設枠を取り付けるためのアタッチメントを取付け、アタッチメントの上に新設枠を取り付けている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-105070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設枠は、建物によって様々な形状を有しているため、アタッチメントの形状も、既設枠と合うように様々な種類を用意しなければならないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、建物の開口部に設けられる既設枠及び前記既設枠の内周側に配置される新設枠を有する改装サッシであって、前記開口部の下方で見付方向に延びる既設下枠及び新設下枠の間に配置され、前記既設下枠に固定される第1アタッチメントと、前記第1アタッチメントの上で前記新設枠に固定される第2アタッチメントと、を備える、改装サッシに関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態の改装サッシの正面図である。
図2】本実施形態の改装サッシの縦断面図である。
図3】本実施形態の改装サッシの横断面図である。
図4】本実施形態の第2アタッチメントの側面図である。
図5】本実施形態の第2アタッチメントの平面図である。
図6】本実施形態の高さ調整部の載置部を示し(a)図は見込方向から視た側面図、(b)図は平面図、(c)図は見付方向から視た側面図である。
図7】本実施形態の改装サッシの施工手順を示し、上枠アタッチメントを取り付けた状態を示す。
図8】本実施形態の改装サッシの施工手順を示し、第1アタッチメントを取り付けた状態を示す。
図9】本実施形態の改装サッシの施工手順を示し、第2アタッチメントを取り付けた状態を示す。
図10】本実施形態の改装サッシの施工手順を示し、縦枠アタッチメントを取り付けた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように本実施形態の改装サッシ1は、マンション等のビルの開口部9に設けられる。ビルとは、例えば鉄筋コンクリート等のような強度の高い非木造の建物で、二階以上~高層階の建物である。改装サッシ1は、窓枠10と、窓枠10に開閉可能に納められる障子6と、を備える。図1は、改装サッシ1を屋内側から見た様子を示している。改装サッシ1は、すでに設置されている既設枠2に、新設枠3を取り付ける改修を行って形成される。
【0008】
本明細書において、見込方向とは、室外と室内を結ぶ奥行方向を言い、見付方向とは、改装サッシ1を正面から視た場合の部材の幅方向であって、正面視の左右方向について言う。上下方向とは、天地方向を言う。
【0009】
窓枠10は、開口部9に設置された既設枠2の内周側に、新設枠3を取り付けることで構成される。窓枠10は、既設枠2と、新設枠3と、アタッチメント4と、を有する。
【0010】
既設枠2は、開口部9に設けられ、窓枠10の最も室外側に配置される枠体である。既設枠2は、アルミ製の型材で構成される。既設枠2は、既設上枠21と、既設下枠22と、左右一対の既設縦枠23と、を有する。既設上枠21は、開口部9の上方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。図2に示すように、既設上枠21は、下方に突出するレール部21aを有する。
【0011】
既設下枠22は、開口部9の下方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。既設下枠22は、見込方向の室内側の端部が室外側の端部よりも高い位置に配置され、室外側起立端面221と、室内側起立端面222と、既設下枠見込部223と、を有する。
【0012】
室外側起立端面221は、既設下枠22の見込方向の室外側の端部が、上方に向かって起立して形成される。室外側起立端面221は、後述する第1アタッチメント421の室外側表面部4211に当接して固定される。
【0013】
室内側起立端面222は、既設下枠22の室内側で、上下方向に延びる面である。図2に示すように、室内側起立端面222の室内側の面には、L字状の固定金具2221が固定されている。固定金具2221は、室内側起立端面222に沿う面2221aと、室内側起立端面222の上端から室内側へ屈曲して延びる略水平方向の面2221bを有し、この略水平方向の面2221bに、後述する第1アタッチメント421の取付面4218が重ねられて、ネジで固定される。
【0014】
既設下枠見込部223は、室外側起立端面221と室内側起立端面222との間に配置される既設下枠22の本体の部分であり、側面視で階段状に形成されている。
【0015】
一対の既設縦枠23は、既設上枠21及び既設下枠22の端部を接続し、上下方向に延びる長尺の部材である。図3に示すように、既設縦枠23は、改装サッシ1の見付方向における一方及び他方に配置される。既設縦枠23は、既設枠2の内周側に向かって開口した略コの字型の形状を有し、室外側面231と、室内側面232と、既設縦枠見込部233と、を有する。室外側面231は、既設縦枠23の室外側の端部に配置され、横断面視で見付方向に延びる。室内側面232は、既設縦枠23の室内側の端部に配置され、室外側面231に対向し、横断面視で見付方向に延びる。既設縦枠見込部233は、室外側面231と室内側面232とを見込方向に接続するように見込方向に延びる。
【0016】
新設枠3は、既設枠2の内周側に配置され、アルミ製の型材で構成される。新設枠3は、新設上枠31と、新設下枠32と、左右一対の新設縦枠33と、を有する。新設上枠31は、開口部9の上方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。新設下枠32は、開口部9の下方で見付方向に沿って延びる長尺の部材である。図2に示すように、新設上枠31及び新設下枠32の内周面側には、後述する障子6が係合可能なレール部31a、32aが内周方向に向かって突出して形成されている。
【0017】
一対の新設縦枠33は、新設上枠31及び新設下枠32の端部を接続し、上下方向に延びる長尺の部材である。図3に示すように、新設縦枠33は、改装サッシ1の見付方向における一方及び他方に配置される。新設縦枠33は、新設縦枠見込部331と、室外側カバー部332と、を有する。新設縦枠見込部331は、窓枠10の内周側の見込面に延びる。室外側カバー部332は、新設縦枠見込部331の室外側の端部から、窓枠10の外周側に向かって見付方向に延びる幅の狭い平坦な面である。室外側カバー部332は、後述する縦枠アタッチメント43の室外側の端部に配置される第1見付片431を覆い、第1見付片431の見付方向外周側の端部が見えない程度のほぼ同じ位置まで延びる。
【0018】
アタッチメント4は、既設枠2と新設枠3の間に配置され、アタッチメント4を介して新設枠3を既設枠2に固定するための部材である。アタッチメント4は、上枠アタッチメント41と、下枠アタッチメント42と、縦枠アタッチメント43と、を有する。上枠アタッチメント41と、下枠アタッチメント42と、縦枠アタッチメント43は、それぞれ、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向の長さよりも短い長手方向の寸法を有する。そして、上枠アタッチメント41、下枠アタッチメント42、縦枠アタッチメント43は、それぞれが既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に間を空けて複数配置される。
【0019】
上枠アタッチメント41は、見付方向に延びる概ね平坦な縦長の部材である。上枠アタッチメント41は、上面から既設上枠21のレール部21aに当接する固定片411を有し、固定片411とレール部21aとを貫通するネジにより固定される。上枠アタッチメント41は、下面にスペーサー412が固定され、上枠アタッチメント41と、スペーサー412と、新設上枠31とがネジにより固定される。
【0020】
下枠アタッチメント42は、既設下枠22及び新設下枠32の間に配置され、第1アタッチメント421と、第2アタッチメント422と、を有する。第1アタッチメント421は、既設下枠22にネジにより固定される。第1アタッチメント421は、既設下枠22の室外側及び室内側の間に亘って配置される。第1アタッチメント421は、室外側の端部が低く、室内側の端部が高い位置にあって、室外側と室内側の間で側面視階段状に形成されて、複数の段差部を有している。具体的には、第1アタッチメント421は、室外側表面部4211と、第1平面4212と、第1段差部4213と、第2平面4214と、第2段差部4215と、第3平面4216と、傾斜部4217と、取付面4218とを有する。
【0021】
室外側表面部4211は、第1アタッチメント421の最も室外側で、上下方向に延びる面である。室外側表面部4211は、下端側が第1アタッチメント421の室外側の端部となり、既設下枠22の室外側起立端面221の室内側にネジにより固定される。
【0022】
第1平面4212は、室外側表面部4211の上端から室内側へ屈曲し、略水平方向に延びる表面である。第1平面4212は、上方に起立するレール部4212aを有する。レール部4212aは、第1アタッチメント421の表面で長手方向、すなわち見付方向に沿って延び、後述する第2アタッチメント422が係合する。
【0023】
第1段差部4213は、第1平面4212の室内側の端部から上方に向かって起立する面を有する。
【0024】
第2平面4214は、第1段差部4213の上端から室内側へ屈曲し、略水平方向に延びる面である。第2平面4214の見込方向の寸法は、第1平面4212の見込方向の寸法よりも小さい。第2平面4214は、第1平面4212よりも上方に位置している。
【0025】
第2段差部4215は、第2平面4214の室内側の端部から上方に向かって起立する面を有する。
【0026】
第3平面4216は、第2段差部4215の上端から室内側へ屈曲し、略水平方向に延びる面である。第3平面4216及び第2段差部4215の上端は、第1アタッチメント421の最も上方に位置する。第3平面4216には、後述する第2アタッチメント422の室内側の第2アタッチメント固定面4224が固定される。
【0027】
傾斜部4217は、第1アタッチメント421を既設下枠22に取り付ける取付面4218から上方に向かって傾斜する。傾斜部4217は、第3平面4216と以下に説明する取付面4218とを側面視で傾斜して接続している。傾斜部4217により、第1アタッチメント421の第3平面4216が、既設下枠22から上方に離れた位置に配置される。
【0028】
取付面4218は、傾斜部4217の下端から見込方向の室内側へ延びる面である。取付面4218は、略水平方向に延びる。図2に示すように、取付面4218は、第1アタッチメント421の最も室内側に配置され、既設下枠22の室内側起立端面222に固定された固定金具2221を介して固定される。
【0029】
以上のように、第1アタッチメント421は、既設下枠22の室内側及び室外側の2箇所のみで固定される。第1アタッチメント421は、見込方向における2箇所の固定した部分の間、すなわち室外側表面部4211と取付面4218との間で見込方向に延びる部分では、既設下枠22から離れて配置されている。
【0030】
第2アタッチメント422は、第1アタッチメント421の上側、すなわち新設下枠32側に固定される。第2アタッチメント422は、図5に示すように、平面視では略長方形の形状を有し、図4に示すように、側面視では、段差を有して屈曲し、下方に突起が設けられている。第2アタッチメント422は、室外側壁面部4221と、第2アタッチメント平面部4222と、第2アタッチメント段差部4223と、第2アタッチメント固定面4224と、内側壁面部4225と、高さ調整部配置凹部51と、高さ調整部5と、を有する。
【0031】
室外側壁面部4221は、第2アタッチメント422の最も室外側で、上下方向に延びる面である、図2に示すように、室外側壁面部4221は、第1アタッチメント421のレール部4212aの室外側の面に当接し、レール部4212aに係合する。
【0032】
第2アタッチメント平面部4222は、室外側壁面部4221の上端から室内側へ延びる平坦な面である。図2に示すように、第2アタッチメント平面部4222は、第1アタッチメント421の第1平面4212におけるレール部4212a近傍から第2平面4214の見込方向の半ば程度までを覆っている。第2アタッチメント平面部4222の室外側には、貫通孔4222aが形成されている。貫通孔4222aは、第2アタッチメント平面部4222の見付方向に所定のピッチで形成されている。貫通孔4222aは、後述する高さ調整部配置凹部51の上面にあたる位置に形成されている。
【0033】
第2アタッチメント段差部4223は、第2アタッチメント平面部4222の室内側の端部から上下方向に起立する面である。図1に示すように、第2アタッチメント段差部4223は、第1アタッチメント421の第2段差部4215の室外側で、第2段差部4215と略平行に延びる。
【0034】
第2アタッチメント固定面4224は、第2アタッチメント段差部4223の上端から、室内側に延びる平坦な面である。第2アタッチメント固定面4224は、第1アタッチメント421の第3平面4216の上に重ねられてネジで固定される。図1に示すように、第2アタッチメント固定面4224は、第3平面4216の室外側の端部から室内側の端部まで重なっている。第1アタッチメント421の傾斜部4217が第2アタッチメント固定面4224から下方に離れるように傾斜して形成されており、第2アタッチメント固定面4224の室内側の端部は、第1アタッチメント421の取付面4218と上下方向に離れている。第2アタッチメント固定面4224には、長孔のネジ孔4224a(図5参照)が形成され、第1アタッチメント421に対する第2アタッチメント422の取付け位置を、見込方向に調整可能になっている。
【0035】
内側壁面部4225は、室外側壁面部4221の室内側で、室外側壁面部4221と略平行に延びる面である。内側壁面部4225は、第2アタッチメント平面部4222の下面から、室外側壁面部4221と見込方向に間を空けて下方に延びている。内側壁面部4225及び室外側壁面部4221は、第2アタッチメント422の裏面で、後述する高さ調整部5を配置する高さ調整部配置凹部51を形成する。
【0036】
高さ調整部配置凹部51は、図4に示すように、第1突出部511と、第2突出部512と、第1空部513と、第2空部514と、を有する。第1突出部511は、第2アタッチメント平面部4222の下面からやや下側で、室外側壁面部4221の室内側の面から室内側に向かって突出する。第2突出部512は、第2アタッチメント平面部4222の下面からやや下側で、内側壁面部4225の室外側の面から室外側に向かって突出する。第1突出部511と第2突出部512とは、室内外方向に対向するように配置されている。高さ調整部配置凹部51のうちの第1突出部511及び第2突出部512よりも上側の部分を第1空部513とし、第1突出部511及び第2突出部512よりも下側の部分を第2空部514とする。
【0037】
高さ調整部5は、ネジ部52(図4参照)と、ネジ部52が挿通される載置部53(図6参照)と、を有している。高さ調整部5は、第2アタッチメント422の高さ調整部配置凹部51に配置されている。
【0038】
ネジ部52は、頭部52aの端面が平坦面となる皿ネジで、頭部52aが脚部52bの上側となる向きで配置される。ネジ部52は、頭部52aが高さ調整部配置凹部51の第1空部513に配置され、脚部52bが高さ調整部配置凹部51の第2空部514に配置される。ネジ部52は、頭部52aの下側に高さ調整部配置凹部51の内部の第1突出部511及び第2突出部512が配置されているため、高さ調整部配置凹部51から落下しないように構成されている。
【0039】
ネジ部52は、第2アタッチメント422の第2アタッチメント平面部4222に形成された貫通孔4222aの下側に配置されている。ネジ部52は、頭部52aが貫通孔4222aよりも大きい径に形成されていて、貫通孔4222aから上側に抜け出ることができないように構成されている。
【0040】
ネジ部52は、第2アタッチメント平面部4222に係止された状態で軸線回りに回転可能に構成されている。このため、作業者は、第2アタッチメント平面部4222の上側から貫通孔4222aを介してドライバー等でネジ部52を回転させることができる。
【0041】
図6に示すように、載置部53は、ステンレス等の金属板を加工した部材で、板面が長方形状に形成され室内外方向よりも見付方向に長く板面が水平面となる向きで配置される上板部531と、上板部531の見付方向の両縁部からそれぞれ下側に延びる一対の側板部532、532と、一対の側板部532、532の下縁部からそれぞれ離間する方向に延びる一対の下板部533、533と、を有している。載置部53は、側面視で下側に開口するハット状に形成されている。
【0042】
上板部531には、上下方向に貫通し、ネジ部52の脚部52bが螺合するネジ孔531aが形成されている。ネジ孔531aは、上板部531から下側に突出するバーリングに形成されている。ネジ部52は、載置部53への挿入深さ(高さ)を調整可能に構成されている。
【0043】
載置部53の室内外方向の寸法は、高さ調整部配置凹部51の第2空部514の室内外方向の寸法よりもやや小さく形成されている。載置部53は、ネジ孔531aにネジ部52が挿通された状態で高さ調整部配置凹部51の第2空部514に配置される。載置部53は、第2空部514に配置されると、第2アタッチメント422の室外側壁面部4221及び内側壁面部4225に挟まれ、第2空部514内においてネジ部52の軸線回りに回転できない。このため、載置部53は、第2アタッチメント422に対して相対的に高さ方向のみ移動可能となる。
【0044】
高さ調整部5が高さ調整部配置凹部51に配置された状態でネジ部52を回転させても、載置部53はネジ部52とともに回転しない。そして、ネジ部52の頭部52aは第2アタッチメント422の貫通孔4222aから上に抜けないように構成されている。ネジ部52と載置部53とが高さ方向に相対移動すると、第2アタッチメント422がネジ部52とともに載置部53に対して高さ方向に相対移動することになる。したがって、作業者がドライバー等で貫通孔4222aからネジ部52を回転させることで、第2アタッチメント422の高さが調整される。高さ調整部5は第2アタッチメント422を水平に配置するために第2アタッチメント422の高さ方向の位置を調整する。
【0045】
縦枠アタッチメント43は、既設縦枠23及び新設縦枠33の間に配置され、既設縦枠23に固定される。縦枠アタッチメント43は、上下方向に延びる長尺の部材である。縦枠アタッチメント43は、第1見付片431と、第2見付片432と、縦枠アタッチメント見込部433と、を有する。
【0046】
縦枠アタッチメント見込部433は、既設縦枠見込部233の内周側に配置され、既設縦枠23の見込方向に沿って延びる。縦枠アタッチメント見込部433は、既設縦枠見込部233の見込寸法よりも小さな見込寸法を有する。縦枠アタッチメント見込部433は、図3に示すように、室内側で既設縦枠23の既設縦枠見込部233にネジにより固定される。
【0047】
第1見付片431は、縦枠アタッチメント見込部433の見込方向の室外側の端部から、見付方向外側に延びる。第1見付片431は、図3に示すように、既設縦枠23の内周側で、室外側面231の端部に係合する。詳細には、第1見付片431の室内側の面が、室外側面231の室外側の面に当接して係合する。第1見付片431は、室外側の面を、新設縦枠33の室外側カバー部332により覆われている。第1見付片431の見付方向外側の端部と、室外側カバー部332の見付方向外側の端部とは、見込方向の位置が揃うように配置されている。より具体的には、室外側カバー部332の見付方向の端部は、室外側から視たときに第1見付片431が見えないように、第1見付片431の端部よりわずかに見付方向外側に位置しているが、第1見付片431の見付方向外側の端部と、室外側カバー部332の見付方向外側の端部とは、位置がほぼ同じとなるように合わされている。
【0048】
第2見付片432は、第1見付片431の室内側で、縦枠アタッチメント見込部433から見付方向外側に延びる。第2見付片432は、第1見付片431との間に既設縦枠23の室外側面231の端部を挟むように配置される。第2見付片432は、第1見付片431よりも、見付方向の長さが長い。第2見付片432及び第1見付片431は、既設縦枠23に対してネジにより固定されていない。
【0049】
障子6は、引き違い窓であり、窓枠10の内周側で見付方向に移動可能に配置される。障子6は、室外側に配置される外障子601と、室内側に配置される内障子602と、を有する。外障子601及び内障子602のそれぞれが框60及びガラス材64を有する。框60は、上框61と、下框62と、一対の縦框63とを有し、これらが四周に枠組みされて構成される。上框61は、框60の上方で見付方向に延びる。下框62は、框60の下方で見付方向に延びる。縦框63は、上框61及び下框62の端部を接続し、上下方向に延びる。ガラス材64は、框60の内周側に嵌め込まれる。ガラス材64は、室内側と室外側に二枚配置されるペアガラスである。
【0050】
図7図10を参照して、本実施形態の改装サッシ1の施工方法について説明する。図7図10では、説明の便宜のため、一つの図面の中に既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23、新設上枠31、新設下枠32、新設縦枠33等を収めている。上、下、縦の部材の位置関係は、実際とは異なる。
【0051】
図7に示すように、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23それぞれの室内側に気密テープ7を貼り付けたのち、上枠アタッチメント41の固定片411を、既設上枠21のレール部21aにネジで固定する。
【0052】
図8に示すように、既設下枠22に下枠アタッチメント42のうちの第1アタッチメント421を固定する。具体的には、第1アタッチメント421の室内側に配置される取付面4218を、既設下枠22の室内側に取り付けられているL字状の固定金具2221の略水平方向の面2221bに固定する。また、第1アタッチメント421の室外側に配置される室外側表面部4211を、既設下枠22の室外側起立端面221に固定する(第1アタッチメント取付工程S1)。このとき、第1アタッチメント421の室外側表面部4211を、既設下枠22の室外側起立端面221の室内側に当接させて固定する。
【0053】
図9に示すように、第1アタッチメント421の上に、第2アタッチメント422を重ねて取り付ける(第2アタッチメント取付工程S2)。このとき、第2アタッチメント422の室外側壁面部4221を、第1アタッチメント421の第1平面4212から起立するレール部4212aに係合させる。そして、第2アタッチメント422の第2アタッチメント平面部4222に形成された貫通孔4222aからドライバーを差し込んで、高さ調整部5により第2アタッチメント422の高さを調整する(高さ調整工程S3)。より具体的には、高さ調整部配置凹部51に配置されているネジ部52を回転させることで、ネジ部52の頭部52aに当接している第2アタッチメント422の高さが変わる。第2アタッチメント422は、既設下枠22の長手方向に複数配置されているため、それぞれの第2アタッチメント422の高さを調節することで、複数の第2アタッチメント422が互いに略水平に延びるように高さを調節する。
【0054】
図10に示すように、縦枠アタッチメント43の室外側の端部に配置される第1見付片431を、既設縦枠23の内周側で、既設縦枠23の室外側面231の室外側に係合させる(係合工程S4)。第1見付片431を室外側面231に掛け、第2見付片432との間に室外側面231を配置する。第1見付片431と第2見付片432との間では、室外側面231を係合させるのみである。そして、縦枠アタッチメント43の縦枠アタッチメント見込部433の室内側の部分を、既設縦枠23の既設縦枠見込部233の室内側にネジで固定する(縦枠アタッチメント固定工程S5)。
【0055】
図2及び図3に示すように、上枠アタッチメント41、下枠アタッチメント42、縦枠アタッチメント43を取り付けた既設枠2の内周側に、新設枠3を嵌め込む。そして、上枠アタッチメント41の内周側に新設上枠31を配置する。下枠アタッチメント42については、高さ調整工程S3を経た第2アタッチメント422の表面に、新設下枠32を固定する(新設下枠固定工程S6)。新設下枠32は、新設下枠32、第2アタッチメント422、第1アタッチメント421を貫通するネジで固定される。新設縦枠33は、スペーサー434を介して縦枠アタッチメント43にネジにより固定する。このとき、新設縦枠33の室外側カバー部332は、縦枠アタッチメント43の第1見付片431の室外側の面を覆うように配置される。
【0056】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。建物の開口部9に設けられる既設枠2及び既設枠2の内周側に配置される新設枠3を有する改装サッシ1を、開口部9の下方で見付方向に延びる既設下枠22及び新設下枠32の間に配置され、既設下枠22に固定される第1アタッチメント421と、第1アタッチメント421の上で新設枠3に固定される第2アタッチメント422と、を含んで構成した。改装サッシ1が第1アタッチメント421及び第2アタッチメント422を有し、第1アタッチメント421が既設下枠22に固定され、第2アタッチメント422が第1アタッチメント421の上に固定されているため、既設下枠22の形状に合わせて第2アタッチメント422の形状を変える必要がなくなる。よって、ビルのサッシ等、既設下枠22の形状が様々に異なる場合に、形状の変更が必要になるアタッチメント4の部材を減らすことができる。
【0057】
本実施形態によれば第1アタッチメント421を、既設下枠22の室外側及び室内側の間に亘って配置させた。これにより、第1アタッチメント421を既設下枠22に安定して配置させることができる。
【0058】
本実施形態によれば、第1アタッチメント421を、既設下枠22の室内側及び室外側の2箇所で固定した。既設下枠22の室内側及び室外側の間の見込部分では、第1アタッチメント421を既設下枠22から離れて配置させた。これにより、第1アタッチメント421が、既設下枠22の室内側及び室外側の2箇所以外に接することなく、既設下枠22から離れる。よって、既設下枠22の形状が様々なサッシを改装する際に、既設下枠22の凹凸等の形状に左右されずに、第1アタッチメント421を既設下枠22に取り付けることができる。第1アタッチメント421を様々な形状の既設下枠22に取付けが可能である。また、既設下枠22の形状に合わせて第2アタッチメント422の形状を変える必要がなくなる。既設下枠22の様々な形状に対応することができ、例えばビルのサッシ等に好適に用いることができる。
【0059】
本実施形態によれば、第1アタッチメント421の室外側の端部を、既設枠2の室内側に固定させた。既設下枠22の室外側に第1アタッチメント421を配置しないので、既設下枠22の室外側を覆う部材が新設下枠32のみとなる。よって、改装サッシ1の新設下枠32が室外側に突出する寸法を小さく抑えることが可能になる。
【0060】
本実施形態によれば、第1アタッチメント421を、その表面に第2アタッチメント422が係合可能なレール部4212aを含んで構成した。第1アタッチメント421に第2アタッチメント422が係合可能なレール部4212aを形成したので、第2アタッチメント422を第1アタッチメント421に固定する位置を、位置決めしやすくなる。また、第2アタッチメント422をレール部4212aに係合させることで、第2アタッチメント422と第1アタッチメント421をネジで留める箇所が少なくなり、施工性が向上する。
【0061】
本実施形態によれば、第2アタッチメント422を、高さ方向の位置を調整可能な高さ調整部5含んで構成した。第2アタッチメント422の高さを高さ調整部5によって調整することにより、第2アタッチメント422を水平に配置しやすくなる。これにより、アタッチメント4を介して新設下枠32を既設下枠22に取り付けやすくなる。また、新設下枠32が取付けられる第2アタッチメント422が水平に配置させることで、新設下枠32の施工性が向上するとともに美観も向上する。
【0062】
本実施形態によれば、第1アタッチメント421の室内側に、既設下枠22から離れるように傾斜する傾斜部4217を設けた。傾斜部4217により、第1アタッチメント421の室内側が既設下枠22から上方に離れるため、既設下枠22の形状に左右されずに第1アタッチメント421を取り付けやすくなる。よって第1アタッチメント421の施工性が向上する。
【0063】
本実施形態によれば、第1アタッチメント421を、室外側と室内側の間で階段状に形成される複数の段差部を含んで構成した。第1アタッチメント421を既設下枠22から離して取り付ける場合に、第1アタッチメント421が階段状に形成されているので、平坦な面の上にネジや第2アタッチメント422を固定しやすくなる。
【0064】
本実施形態によれば、改装サッシ1を、ビルの開口部9に設けた。ビルの下枠には様々な形状のバリエーションがあるため、アタッチメント4の形状を変えることなく、改装サッシ1は様々なビルの開口部9に適用することができる。
【0065】
本実施形態によれば、建物の開口部9に設けられる既設枠2及び既設枠2を覆うように配置される新設枠3を備える改装サッシ1の施工方法を、改装サッシ1の下方で見付方向に延びる既設下枠22及び新設下枠32の間に第1アタッチメント421を配置し、既設下枠22に固定する第1アタッチメント取付工程S1と、第2アタッチメント422を、第1アタッチメント421の上側で新設枠3に取り付ける第2アタッチメント取付工程S2と、を含んで構成した。改装サッシ1に第1アタッチメント421及び第2アタッチメント422を取付ける際、第1アタッチメント421を既設下枠22に固定し、第2アタッチメント422を第1アタッチメント421の上に固定するため、既設下枠22の形状に合わせて第2アタッチメント422の形状を変える必要がなくなる。よって、ビルのサッシ等、既設下枠22の形状が様々に異なる場合に、形状の変更が必要になるアタッチメント4の部材を減らすことができる。
【0066】
本実施形態によれば、改装サッシ1の施工方法において、第2アタッチメント422を、高さ方向の位置を調整可能な高さ調整部5を含んで構成し、高さ調整部5により第2アタッチメント422の高さを調整する高さ調整工程S3と、高さ調整工程S3を経た第2アタッチメント422の表面に新設下枠32を固定する新設下枠固定工程S6と、を含んで構成した。第2アタッチメント422の高さを調整して第2アタッチメント422を略水平に配置することで新設下枠32を取り付けやすくなる。また、新設下枠32を略水平に施工することができるので、改装サッシ1の外観が向上する。
【0067】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、本開示において、第1アタッチメント421が「既設下枠22の室内側に固定される」構成について、第1アタッチメント421が固定金具2221を介して間接的に既設下枠22の室内側に固定されることを例として説明した。しかし既設下枠と固定金具を一体化させた形状に構成し、第1アタッチメント421を直接既設下枠に固定してもよい。「室内側に固定」とは、間接的に接続して固定する場合と、直接的に接続して固定する場合の両方を含む。
【符号の説明】
【0068】
1 改装サッシ、 2 既設枠、 3 新設枠、 5 高さ調整部、 9 開口部、 22 既設下枠、 32 新設下枠、 421 第1アタッチメント、 4212a レール部、 4213 第1段差部(段差部)、 4217 傾斜部、 4215 第2段差部(段差部)、 422 第2アタッチメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10