(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025469
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】包丁立て
(51)【国際特許分類】
A47J 47/16 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
A47J47/16 P
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128940
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】500165670
【氏名又は名称】後藤 利夫
(74)【代理人】
【識別番号】100063842
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118119
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 大典
(72)【発明者】
【氏名】後藤 利夫
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066AB10
4B066EE42
(57)【要約】
【課題】包丁立てにおいて、包丁立ての内部の洗浄を容易とすること、又、自然に包丁の水切りと乾燥を速やかに行えることを目的とする
【解決手段】上下開口の筒体2と、包丁9の刃部91を挿入する挿入口6を有する上面部材3を備えて構成され、筒体2の内側面24の上部に、上面部材3を支持する支持部4が対向して設けられ、上面部材3は、挿入口6が形成された上面部31と上面部31の側端部から下方に延設された縦片32を備えて構成され、上面部材3は、上面31部が支持部4に支持されると共に、縦片32が支持部4、4間に挿入されて設置されている包丁立て。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下開口の筒体と、包丁の刃部を挿入する挿入口を有する上面部材を備えて構成され、前記筒体の内側面の上部に、前記上面部材を支持する支持部が対向して設けられ、前記上面部材は、前記挿入口が形成された上面部と前記上面部の側端部から下方に延設された縦片を備えて構成され、前記上面部材は、前記上面部が前記支持部に支持されると共に、前記縦片が前記支持部間に挿入されて設置されていることを特徴とする包丁立て。
【請求項2】
前記筒体は横断面方形であり、前記支持部は、対向する内側面に、隣接する内側面との間に前記上面部材の縦片を挿入可能な間隔を備えて設けられ、前記上面部材の縦片が、前記支持部と前記筒体の内側面間に挿入されて設置されていることを特徴とする請求項1に記載の包丁立て。
【請求項3】
前記上面部材は、前記上面部の1側端部又は対向する2側端部に縦片が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包丁立て。
【請求項4】
前記上面部材は、前記上面部の1側端部又は対向する2側端部に縦片が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の包丁立て。
【請求項5】
前記筒体を載置する受け皿を備えることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の包丁立て。
【請求項6】
前記受け皿は、前記筒体と前記受け皿を一体化させるための一体化機構を備えていることを特徴とする請求項5に記載の包丁立て。
【請求項7】
前記上面部材には前記挿入口が複数設けられると共に、異なる幅の挿入口が設けられていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の包丁立て。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包丁立てに関し、特に包丁を立てた状態で差し込んで、包丁を保持、収納する包丁立てに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本の包丁を保持、収納して保管することが出来る包丁立ては、上面に包丁の刃部のみ挿入可能な挿入口を備え、上面の挿入口のみが開口した箱型であり、調理台上に設置され又はキッチンの流し台の扉の裏側に固定される等して使用されている。
【0003】
しかし、このような従来の包丁立ては、上面の挿入口のみが開口した構成であるので、通気性が悪く、湿った包丁を乾燥させ難くかった。又、内部を拭いたり、洗浄することが困難であり、特に、調理台やキッチンの流し台の扉の裏側に木ねじ等で固定された包丁立ては、拭取り、洗浄がより困難であった。そのため、包丁の洗浄及び乾燥が確実でない場合には、包丁立ての内部に汚れや水垢が付着し、カビが発生しやすいため、非衛生的であった。又、包丁を包丁立てに仕舞う前に、洗浄し、完全に乾燥させてから仕舞う必要があったが、洗浄後の乾燥時に籠やプラスチックケースに入れ或いは調理台上に広げた布巾の上で乾燥をさせていたために、刃がむき出しで、手指に怪我をし易く、又、落下による足の怪我の危険性もあり、更に、刃を損傷しやすいという問題点もあった。
【0004】
又、包丁差しとしては、包丁差しの上面を構成する、包丁の挿入口を設けた挿入口枠を、箱状の包丁差し本体にビスで止めして固定して構成し、ビス止めを外すことにより挿入口枠を外して、内部の洗浄ができる包丁差しも提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の包丁差しも、内部の洗浄のためには、ビスを外すことが必要であり、又、洗浄後は又ビス止めをする必要があるので、洗浄のたびにこの作業を行うことは煩雑であった。特に、通常、台所、キッチン又は調理場には、ドライバー等の工具を置いていることがないこと、更には、包丁差しの特性上、衛生的な工具を使用する必要があることから、専用の工具を用意する必要があることが、この作業をより煩雑にさせていた。
【0007】
そして、このような包丁差しの内部の洗浄は現実的ではなく、包丁立ての内部は、非衛生的であった。又、包丁を包丁立てに仕舞う前に、洗浄し、完全に乾燥させてから仕舞う必要があり、洗浄後の乾燥時に籠やプラスチックケースに入れ或いは調理台上に広げた布巾の上で乾燥をさせる必要性は変わらず、怪我の危険性や、刃が損傷しやすいという問題点は改善されなかった。
【0008】
そこで、本発明は、包丁立ての内部の洗浄を容易とすることを目的の1つとする。又、包丁立てにおいて、ドライバー等の工具を用いずに、包丁の挿入口が設けられた上面部分や底面部分を容易に組立、分解着脱することが出来ると共に、安定的に設置することを目的の1つとする。又、包丁立てにおいて、自然に包丁の水切りと乾燥を速やかに行えることを目的の1つとする。又、包丁立てにおいて、包丁の洗浄後、乾燥前に包丁を仕舞うことを可能とすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような課題を解決するための手段としても本発明は、上下開口の筒体と、包丁の刃部を挿入する挿入口を有する上面部材を備えて構成され、前記筒体の内側面の上部に、前記上面部材を支持する支持部が対向して設けられ、前記上面部材は、前記挿入口が形成された上面部と前記上面部の側端部から下方に延設された縦片を備えて構成され、前記上面部材は、前記上面部が前記支持部に支持されると共に、前記縦片が前記支持部間に挿入されて設置されている包丁立てである。
【0010】
又、上記の包丁立てにおいて、前記筒体は横断面方形であり、前記支持部は、対向する内側面に、隣接する内側面との間に前記上面部材の縦片を挿入可能な間隔を備えて設けられ、前記上面部材の縦片が、前記支持部と筒体の内側面間に挿入されて設置されている包丁立てである。
【0011】
又、上記の包丁立てにおいて、前記上面部材は、前記上面部の1側端部又は対向する2側端部に縦片が設けられている包丁立てである。
【0012】
又、上記の包丁立てにおいて、前記筒体を載置する受け皿を備える包丁立てである。
【0013】
又、上記の包丁立てにおいて、前記受け皿は、前記筒体と前記受け皿を一体化させるための一体化機構を備えている包丁立てである。
【0014】
又、上記の包丁立てにおいて、前記上面部材には前記挿入口が複数設けられると共に、異なる幅の挿入口が設けられている包丁立てである。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明によれば、容易に上面部分や底面部分を組立、分解することが出来るので、内部の洗浄を容易とすることが可能となった。又、上面のビス止めを行わずに、しかも確実に移動を防止するので、ドライバー等の工具を用いずに、包丁の挿入口が設けられた上面部分や底面部分を容易に組立、分解することが出来ると共に、上面を安定的に設置することが可能となった。又、通気性がよいので、自然に包丁の水切りと乾燥を速やかに行うことが可能となった。又、自然に包丁の水切りと乾燥を速やかに行うことが可能なので、包丁の洗浄後、乾燥前に包丁を仕舞うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。
図1~3に示すように、包丁立て1は、上下開口の筒体2と、包丁の刃部を挿入する挿入口6を有し、筒体2の上部開口21を塞ぐ上面部材3と、受け皿5を備えて構成されている。
【0018】
筒体2は横断面方形であり、筒体2の内側面24の上部には、4内側面のうち対向する2内側面に、上面部材3を支持するための支持部4が対向して設けられている。
【0019】
上面部材3は、方形の上面部31と、上面部31の1側端部から下方に向けて延設された方形の縦片32を備えて構成され、縦断面が略L字型に構成され、上面部31と縦片32は直角に構成されている。
【0020】
上面部材3の上面部31には、上面部31を貫通する挿入口6が形成されている。
図4に示すように、挿入口6は包丁9の刃部91を挿入するための孔である。挿入口6の幅は、包丁9の刃部91を挿入出来る一方、柄92は挿入出来ない幅で構成され、柄92の先端面で包丁9が上面部材3に係止される構成である。
【0021】
挿入口6として、異なる幅の挿入口61、62が2個設けられている。このような構成とすることで、刃の厚さが異なる包丁を安定的に収納することが出来る。尚、2個の挿入口6が同一幅で構成されていてもよい。又、挿入口6は1個でもよく、3個以上でもよい。3個以上の場合、夫々異なる幅とすること、少なくとも2個は異なる幅とすることが好ましい。
【0022】
支持部4は四角棒状の長尺部材で構成され、筒体2の内側面24の上部に、一内側面24の両端部に亘って内側面24から突出し、水平に固定されている。又、支持部4は、設置された内側面24に隣接する少なくとも一方の内側面24との間に上面部材3の縦片32を挿入するための間隔Tを備えて設けられている。間隔Tは縦片32を挿入可能な幅に構成されると共に、上面部材3の水平方向への移動や傾きが生じない程度の幅とすることが好ましい。
【0023】
そして、上面部材3は、上面部31が支持部4上に載置されて支持されると共に、縦片32が、筒体2の内側面24に沿って、支持部4、4間に挿入され、縦片32の両端部が支持部4と内側面24間に挟まれて挿入されると共に、縦片32と内側面24が面接触、或いは近接して平行に位置して、筒体2に設置されている。このような構成とすることで、上面部材3の水平方向への移動や傾きを抑止することが出来る。
【0024】
上面部材3の平面形状と筒体2の上部開口21の形状は相似に構成され、筒体2の上部開口21に上面部材3が少しの遊びをもって嵌り込む構成とすることが好ましい。このような構成とすることで、上面部材3の水平方向への移動や傾きが生じ難くなるからである。
【0025】
又、上面部31と筒体2の上端面27が面一になるように、支持部4の上端から上端面27の距離Hと上面部31の厚さMとが同一であることが好ましい。
【0026】
受け皿5は、筒体2を載置すると共に、筒体2の下部開口22を塞ぐための部材である。受け皿5を備える構成とすることで、洗浄直後の乾燥していない包丁を収納しても、水気を受け皿5で受けることが出来、包丁立て1の設置場所を選ばず、洗浄直後の乾燥していない包丁を収納することが出来る。
【0027】
又、受け皿5は、筒体2と受け皿5を一体化させるための一体化機構を備えている。一体化機構として、受け皿5の外周に亘って突起51が設けられ、筒体2を突起51の内側に嵌め込む構成としている。このような構成とすることで、受け皿5に対する筒体2の移動を防止することが出来ると共に、受け皿5と筒体2を一体化することが出来る。
【0028】
又、受け皿5により、包丁9を収納した状態で、包丁立て1を移動させても、刃が手指と接触することがなく、安全に移動させることが出来る。尚、図示はしないが、一体化機構として、受け皿5には、突起51に替えて、筒体2の下端部を挿入する溝等を設けることとしてもよく、又、一体化機構を設けない構成としてもよい。
【0029】
筒体2、上面部材3、受け皿5の材質は特に限定されないが、腐食し難く、錆び難く、更に、刃が刺さらない、ステンレスや合成樹脂等が好ましい。
【0030】
包丁立て1を洗浄する際には、筒体2を持ち上げて受け皿5から外し、更に、筒体2を逆さまにして、或いは筒体2の下部開口22から筒体2の内部に手を入れて上面部材3を裏面38から押して、筒体2から上面部材3を取り外す。このようにして、工具を用いずに、容易に包丁立て1を分解することが出来、筒体2の内側面22を含む、全ての部分を容易に洗浄することが可能となっている。
【0031】
洗浄後は、上面部材3の縦片32を支持部4と内側面24間に挿入し、上面部31を支持部4に載置すると共に、筒体2を突起51の内側に嵌め込み、筒体2、上面部材3及び受け皿5を一体的に組み立て包丁立て1を構成する。尚、洗浄後乾燥前の包丁を収納する場合には、受け皿5を組み込まずに、筒体2を網、籠、布巾等に載置することにより、通気性の良い状態で使用し、包丁の水切り、乾燥後に受け皿5を組み立てることとしてもよい。
【0032】
尚、支持部4は、四角棒状の長尺部材を内側面24の両端部に亘って設置する構成の他、
図5に示すように、丸棒状の長尺部材を内側面24の両端部に亘って設置する構成(
図5(a))としてもよい。又、支持部4は、断面形状は限定されず、複数の短尺の突起を所定の間隔で内側面24の両端部に亘って水平に設置してた構成(
図5(b))としてもよい。この場合、少なくとも一方の最端に位置する支持部4突起と筒体2の内側面24とは、上面部材3の縦片32を挿入するための間隔Tを備えて設ける。
【0033】
又、支持部4は、縦断面が略L字型の上面部材3を用いる場合には、筒体2の4内側面のうち3内側面に設ける構成としてもよい。このような構成とすることで、上面部材3の縦片32を設けていない上面部31の3辺を支持して、より上面部材3を安定的に設置することが出来る。
【0034】
又、
図6に示すように、上面部材3は、上面部31の対向する2側端部から下方に向けて方形の縦片32が延設され、縦断面が略コ字型の構成としてもよい。この構成の場合、支持部4は、設置された内側面24に隣接する両方の内側面24との間に縦片32を挿入するための間隔Tを備えて設ける。このような構成とすることで、上面部材3の水平方向への移動や傾きをより確実に抑制することが出来る。
【0035】
又、
図7及び
図8に示すように、包丁立て10は、筒体20は横断面楕円形を含む円形とすることとしてもよい。このような構成の場合、2個の支持部4は筒体20の内側面240の上部に、少なくとも対向する位置に設置し、上面部材30は筒体20の上部開口21の形状と相似の円形に構成され、上面部310の1側端部又は図示するように対向する2側端部から下方に向けて方形の縦片320が円弧状に延設され、縦片320が、内側面240に沿って、支持部4、4間に挿入されて設置されている。
【0036】
又、図示はしないが、筒体は横断面が、方形や楕円形を含む円形以外の三角形や多角形としてもよい。又、図示はしないが、包丁立ては、受け皿5を設けずに筒体及び上面部材を備えて構成することとしてもよい。受け皿5を設けない場合に、筒体2を網、籠、布巾等に載置することにより、通気性をよくすることが出来る。
【0037】
又、図示はしないが、筐体にはねじ穴を設け、壁や扉裏に打ち込んだネジを、ネジ穴に係止して、包丁立てを壁や扉裏に設置することも出来る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の包丁立ては、食品を調理する飲食産業等において有用に用いることが出来る。
【符号の説明】
【0039】
1 包丁立て
2 筒体
24 内側面
3 上面部材
31 上面部
32 縦片
4 支持部
5 受け皿
51 突起
6 挿入口
9 包丁