(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025498
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】バイアス回路及び電力増幅回路
(51)【国際特許分類】
H03F 1/26 20060101AFI20240216BHJP
H03F 3/21 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H03F1/26
H03F3/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128993
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】本多 悠里
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC21
5J500AC42
5J500AC81
5J500AF10
5J500AH02
5J500AH25
5J500AH29
5J500AK12
5J500AK29
5J500AM08
5J500AM11
5J500RU01
(57)【要約】
【課題】トランジスタのベース及びコレクタ間の寄生ダイオードがオンすることを抑制することが可能なバイアス回路及び電力増幅回路を提供する。
【解決手段】バイアス回路は、電源電圧によって動作する増幅器に第1抵抗素子を通じてバイアスを供給するエミッタ又はソースと、ベース又はゲートと、を有する第1トランジスタと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する第1キャパシタと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたコレクタ又はドレインと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたベース又はゲートと、前記増幅器によって増幅されたことがある信号及び前記電源電圧が供給されるノードに接続されたエミッタ又はソースと、を有する第2トランジスタと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧によって動作する増幅器に第1抵抗素子を通じてバイアスを供給するエミッタ又はソースと、ベース又はゲートと、を有する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する第1キャパシタと、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたコレクタ又はドレインと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたベース又はゲートと、前記増幅器によって増幅されたことがある信号及び前記電源電圧が供給されるノードに接続されたエミッタ又はソースと、を有する第2トランジスタと、を備える、
バイアス回路。
【請求項2】
請求項1に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された電流源と、
前記電流源に接続されたアノードと、カソードと、を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードの前記カソード及び前記第2トランジスタの前記コレクタ又は前記ドレインに接続されたアノードと、接地に接続されたカソードと、を有する第2ダイオードと、をさらに備える、
バイアス回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第2トランジスタの前記エミッタ又は前記ソースと前記ノードとの間に接続された第2電圧シフト回路をさらに備える、
バイアス回路。
【請求項4】
請求項1に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された電流源と、
前記電流源に接続されたアノードと、カソードと、を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードの前記カソード及び前記第2トランジスタの前記コレクタ又は前記ドレインに接続されたコレクタ又はドレインと、第2抵抗素子を通じて前記第1トランジスタの前記エミッタ又は前記ソースに接続されたベース又はゲートと、接地に接続されたエミッタ又はソースと、を有する第3トランジスタと、をさらに備える、
バイアス回路。
【請求項5】
請求項4に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第3トランジスタの前記コレクタ又は前記ドレインに接続された第1端と、前記第3トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された第2端と、を有する第2キャパシタをさらに備える、
バイアス回路。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された第1端と、前記第2トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された第2端と、を有する第1電圧シフト回路をさらに備える、
バイアス回路。
【請求項7】
請求項6に記載のバイアス回路であって、
前記第1電圧シフト回路は、
第3抵抗素子を含む、
バイアス回路。
【請求項8】
請求項6に記載のバイアス回路であって、
前記第1電圧シフト回路は、
第3ダイオードを含む、
バイアス回路。
【請求項9】
請求項6に記載のバイアス回路であって、
前記第1電圧シフト回路は、
インダクタを含む、
バイアス回路。
【請求項10】
電源電圧によって動作する増幅器に第1抵抗素子を通じてバイアスを供給するエミッタ又はソースと、バイアス電流が供給されるベース又はゲートと、を有する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートと、前記増幅器によって増幅されたことがある信号及び前記電源電圧が供給されるノードとの間に設けられ、前記ノードの電圧が所定のしきい値より小さいときに、前記バイアス電流の一部を前記ノードに流すバイパス回路と、を備える、
バイアス回路。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のバイアス回路と、
前記増幅器と、を備える、
電力増幅回路。
【請求項12】
請求項11に記載の電力増幅回路であって、
前記増幅器はドライバ段増幅器であり、
前記電力増幅回路は、
前記ドライバ段増幅器によって増幅された前記信号を増幅し、出力信号を出力するパワー段増幅器をさらに備える、
電力増幅回路。
【請求項13】
請求項12に記載の電力増幅回路であって、
前記ノードは、前記ドライバ段増幅器によって増幅された前記信号が出力されるドライバ段出力端子と、前記電源電圧を前記ドライバ段増幅器に供給するドライバ段電源電圧供給端子とに接続される、
電力増幅回路。
【請求項14】
請求項12に記載の電力増幅回路であって、
前記電力増幅回路は、
前記ドライバ段増幅器と前記パワー段増幅器との間に設けられた段間整合回路をさらに備え、
前記ノードは、前記段間整合回路と前記パワー段増幅器との間のノードである、
電力増幅回路。
【請求項15】
請求項12に記載の電力増幅回路であって、
前記ノードは、前記パワー段増幅器によって増幅された前記信号が出力されるパワー段出力端子と、前記電源電圧を前記パワー段増幅器に供給するパワー段電源電圧供給端子とに接続される、
電力増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアス回路及び電力増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバ段増幅器とパワー段増幅器とを備える電力増幅モジュールがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電力増幅モジュールでは、ドライバ段増幅器及びパワー段増幅器にそれぞれ含まれるトランジスタに電源電圧が供給される。例えば、電源電圧が低く、かつ、無線周波数(RF:Radio Frequency)信号の電力が大きいとき、パワー段増幅器に含まれるトランジスタのベース電位が瞬間的にコレクタ電位より大きくなることがある。このとき、トランジスタのベース及びコレクタ間の寄生ダイオードがオンするため、パワー段増幅器の出力信号には、RF信号の周波数の略半分の周波数の信号が重畳してしまう。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、トランジスタのベース及びコレクタ間の寄生ダイオードがオンすることを抑制することが可能なバイアス回路及び電力増幅回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るバイアス回路は、電源電圧によって動作する増幅器に第1抵抗素子を通じてバイアスを供給するエミッタ又はソースと、ベース又はゲートと、を有する第1トランジスタと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する第1キャパシタと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたコレクタ又はドレインと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたベース又はゲートと、前記増幅器によって増幅されたことがある信号及び前記電源電圧が供給されるノードに接続されたエミッタ又はソースと、を有する第2トランジスタと、を備える。
【0007】
また、本発明の他の一側面に係るバイアス回路は、電源電圧によって動作する増幅器に第1抵抗素子を通じてバイアスを供給するエミッタ又はソースと、バイアス電流が供給されるベース又はゲートと、を有する第1トランジスタと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートと、前記増幅器によって増幅されたことがある信号及び前記電源電圧が供給されるノードとの間に設けられ、前記ノードの電圧が所定のしきい値より小さいときに、前記バイアス電流の一部を前記ノードに流すバイパス回路と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トランジスタのベース及びコレクタ間の寄生ダイオードがオンすることを抑制することが可能なバイアス回路及び電力増幅回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、電力増幅回路101の回路図である。
【
図2】
図2は、トランジスタ251のベース電圧Vb1及びエミッタ電圧Ve1の時間変化の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、トランジスタ251のエミッタ電流Ie1の時間変化の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、電源電圧VCC1が低い場合におけるドライバ段増幅器50の増幅特性の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、電源電圧VCC1が高い場合におけるドライバ段増幅器50の増幅特性の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、電力増幅回路102の回路図である。
【
図7】
図7は、電力増幅回路103の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を極力省略する。
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る電力増幅回路101について説明する。
図1は、電力増幅回路101の回路図である。
図1に示すように、電力増幅回路101は、入力端子31に供給される入力信号RFinを増幅して、出力信号RFoutを出力端子32から出力する2段の増幅回路である。入力信号RFinは、例えばRF信号である。
【0012】
電力増幅回路101は、入力整合回路20と、段間整合回路21と、インダクタ26及び27と、ドライバ段増幅器50と、パワー段増幅器52と、ドライバ段バイアス供給回路351(バイアス回路)と、抵抗素子156と、パワー段バイアス供給回路161と、を備える。
【0013】
ドライバ段増幅器50は、入力端子50aと、出力端子50b(ドライバ段出力端子)と、増幅トランジスタ50c(増幅器)と、キャパシタ50dと、抵抗素子50e(第1抵抗素子)と、を含む。パワー段増幅器52は、入力端子52aと、出力端子52b(パワー段出力端子)と、増幅トランジスタ52cと、キャパシタ52dと、抵抗素子52e及び52fと、を含む。
【0014】
ドライバ段バイアス供給回路351は、バイアス用トランジスタ152(第1トランジスタ)と、トランジスタ153(第1ダイオード)及び154(第2ダイオード)と、バイパス回路201と、を含む。バイパス回路201は、トランジスタ251(第2トランジスタ)と、キャパシタ252(第1キャパシタ)と、電圧シフト回路253(第1電圧シフト回路)と、を含む。電圧シフト回路253は、抵抗素子253aを含む。
【0015】
なお、ドライバ段バイアス供給回路351では、ベース、エミッタ及びコレクタの3端子を有する、ダイオード接続されたトランジスタ153及び154を、第1ダイオード及び第2ダイオードとしてそれぞれ用いているが、これに限定するものではない。トランジスタ153の代わりに、アノード及びカソードの2端子を有するダイオードを用いてもよい。また、トランジスタ154の代わりに、上記ダイオードを用いてもよい。
【0016】
本実施形態においては、増幅トランジスタ50c及び52c、バイアス用トランジスタ152並びにトランジスタ153、154及び251などのトランジスタは、例えばヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタによって構成される。なお、当該トランジスタは、電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-oxide-semiconductor Field-Effect Transistor)等の他のトランジスタによって構成されていてもよい。その場合、ベース、コレクタ、及びエミッタを、それぞれ、ゲート、ドレイン、及びソースに読み替えればよい。
【0017】
ドライバ段増幅器50は、電源電圧VCC1によって動作する増幅器である。ドライバ段増幅器50は、入力整合回路20を通じて入力端子31から入力端子50aに供給される入力信号RFinを増幅し、増幅信号RF1を出力端子50bから出力する。
【0018】
詳細には、電源電圧供給端子175(ドライバ段電源電圧供給端子)は、ドライバ段増幅器50における増幅トランジスタ50cを動作させるための電源電圧VCC1を供給し、インダクタ26を通じてノードN3に接続される。出力端子50bは、ノードN3に接続される。例えば、電力増幅回路101においてエンベロープトラッキング(Envelope tracking)の制御が行われる場合、電源電圧VCC1は変化する。
【0019】
増幅トランジスタ50cは、出力端子50bに接続されたコレクタと、キャパシタ50dを通じて入力端子50aに接続されたベースと、接地に接続されたエミッタと、を有する。
【0020】
段間整合回路21は、ノードN3に接続された第1端と、パワー段増幅器52における入力端子52aに接続された第2端と、を有する。段間整合回路21は、ドライバ段増幅器50とパワー段増幅器52との間のインピーダンスを整合する。
【0021】
パワー段増幅器52は、例えば電源電圧VCC1によって動作する増幅器である。パワー段増幅器52は、段間整合回路21の第2端から入力端子52aに供給される増幅信号RF1を増幅し、出力信号RFoutを出力端子52bから出力する。
【0022】
詳細には、電源電圧供給端子176(パワー段電源電圧供給端子)は、パワー段増幅器52における増幅トランジスタ52cを動作させるための電源電圧VCC1を供給し、インダクタ27を通じてノードN4に接続される。出力端子50bは、ノードN4を通じて出力端子32に接続される。
【0023】
パワー段増幅器52におけるキャパシタ52dは、入力端子52aに接続された第1端と、第2端と、を有する。増幅トランジスタ52cは、出力端子52bに接続されたコレクタと、抵抗素子52fを通じてキャパシタ52dの第2端に接続されたベースと、接地に接続されたエミッタと、を有する。
【0024】
抵抗素子52eは、パワー段バイアス供給回路161の出力端子161aに接続された第1端と、キャパシタ52dの第2端に接続された第2端と、を有する。
【0025】
パワー段バイアス供給回路161は、制御信号供給端子173から入力される制御電流によって制御される。パワー段バイアス供給回路161は、パワー段増幅器52に供給するバイアス電圧を生成し、生成したバイアス電圧を出力端子161aから出力する。
【0026】
ドライバ段バイアス供給回路351は、抵抗素子50eを通じて増幅トランジスタ50cのベースにバイアスを供給する。詳細には、ドライバ段バイアス供給回路351におけるバイアス用トランジスタ152のコレクタは、バッテリー電圧供給端子172に接続される。バイアス用トランジスタ152のベースは、ノードN1に接続され、バイアス制御電流Ib(バイアス電流)が供給される。バイアス用トランジスタ152のエミッタは、抵抗素子50eを通じて増幅トランジスタ50cのベースに接続され、当該ベースにバイアスを供給する。
【0027】
抵抗素子156は、制御信号供給端子171(電流源)から電流が供給される第1端と、ノードN1に接続された第2端と、を有する。トランジスタ153は、ダイオード接続されており、ノードN1に接続されたコレクタ(アノード)及びベース(アノード)と、エミッタ(カソード)と、を有する。トランジスタ154は、ダイオード接続されており、トランジスタ153のエミッタに接続されたコレクタ(アノード)及びベース(アノード)と、接地に接続されたエミッタ(カソード)と、を有する。
【0028】
制御信号供給端子171から供給される電流が、ダイオード接続されたトランジスタ153及び154に流れることによって、接地に対して略一定の参照電圧がノードN1に生成される。この参照電圧によってバイアス用トランジスタ152がオン状態となり、ノードN1からバイアス用トランジスタ152のベースとバイパス回路201とに向けてバイアス制御電流Ibが流れる。
【0029】
バイパス回路201は、バイアス用トランジスタ152のベースと、ドライバ段増幅器50によって増幅されたことがある信号例えば増幅信号RF1、及び電源電圧VCC1が供給されるノードN3との間に設けられる。バイパス回路201は、ノードN3の電圧が所定のしきい値より小さいときに、バイアス制御電流Ibの一部をノードN3に流す。ここで、所定のしきい値は、例えば、トランジスタ251のベース電圧Vb1からトランジスタ251のオン電圧を差し引いた値である。
【0030】
具体的には、電圧シフト回路253に含まれる抵抗素子253aは、バイアス用トランジスタ152のベースに接続された第1端と、第2端と、を有する。キャパシタ252は、抵抗素子253aの第2端に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する。
【0031】
トランジスタ251は、トランジスタ153のエミッタに接続されたコレクタと、抵抗素子253aの第2端に接続されたベースと、ノードN3に接続されたエミッタと、を有する。
【0032】
以下、バイパス回路201の動作について説明する。
図2は、トランジスタ251のベース電圧Vb1及びエミッタ電圧Ve1の時間変化の一例を示す図である。
図3は、トランジスタ251のエミッタ電流Ie1の時間変化の一例を示す図である。
【0033】
図1~
図3に示すように、トランジスタ251のベースは、キャパシタ252を通じて接地に接続されているので、RF周波数では、接地にショートしている。したがって、トランジスタ251のベース電圧Vb1は、時間変化せずに一定である。
【0034】
トランジスタ251のエミッタ電圧Ve1は、ドライバ段増幅器50の電源電圧VCC1及び増幅信号RF1の電力に応じた電圧となる。具体的には、電源電圧VCC1が高い(例えば3.4V)場合、トランジスタ251のエミッタ電圧Ve1(H)は、ベース電圧Vb1より高くなる(
図2参照)。このとき、トランジスタ251では、エミッタ電流Ie1(H)が流れない(
図3参照)。
【0035】
一方、電源電圧VCC1が低い(例えば2.0V)場合、トランジスタ251のエミッタ電圧Ve1(L)は、ベース電圧Vb1より低くなる(
図2参照)。この場合、トランジスタ251では、ベース電圧Vb1とエミッタ電圧Ve1(L)との差がトランジスタ251のオン電圧より大きくなる瞬間にエミッタ電流Ie1(L)が流れる(
図3参照)。つまり、ノードN1からトランジスタ153及び154を通じて接地に流れる電流の一部が、トランジスタ251のコレクタ電流Ic1としてノードN3に流れる。
【0036】
コレクタ電流Ic1が流れることによってバイアス制御電流Ibが減少するため、バイアス用トランジスタ152が増幅トランジスタ50cに供給するバイアスが減少し、ドライバ段増幅器50の出力電力が小さくなる。
【0037】
図4は、電源電圧VCC1が低い場合におけるドライバ段増幅器50の増幅特性の一例を示す図である。なお、横軸は、入力信号RFinの電力(以下、入力電力と称することがある。)を示し、縦軸は、ドライバ段増幅器50からの増幅信号RF1の電力(以下、出力電力と称することがある。)を示す。
【0038】
図4に示すように、曲線Cr(L)は、バイパス回路201が含まれない従来のバイアス供給回路(以下、従来回路を称することがある。)を用いた場合におけるドライバ段増幅器50の増幅特性を示す。曲線C1(L)は、
図1に示すドライバ段バイアス供給回路351を用いた場合の増幅特性を示す。
【0039】
ドライバ段バイアス供給回路351を用いる場合、従来回路を用いる場合と比べて、入力電力が小さい領域から出力電力が制限される。
【0040】
図5は、電源電圧VCC1が高い場合におけるドライバ段増幅器50の増幅特性の一例を示す図である。なお、
図5の見方は
図4と同様である。
【0041】
図5に示すように、曲線Cr(H)は、従来回路を用いた場合の増幅特性を示す。曲線C1(H)は、
図1に示すドライバ段バイアス供給回路351を用いた場合の増幅特性を示す。
【0042】
電源電圧VCC1が高い場合では、ドライバ段バイアス供給回路351を用いるときと、従来回路を用いるときとで、ドライバ段増幅器50の増幅特性が略同じとなる。
【0043】
したがって、電源電圧VCC1が低い場合、出力電力が制限されるので、パワー段増幅器52への入力電力を小さくすることができる。つまり、増幅信号RF1の振幅を小さくすることができるので、パワー段増幅器52に含まれる増幅トランジスタ52cのベース電位が瞬間的にコレクタ電位より大きくなることを抑制することができる。これにより、増幅トランジスタ52cのベース及びコレクタ間の寄生ダイオードがオンすることを抑制することができ、ひいては増幅信号RF1の周波数の略半分の周波数の信号が出力信号RFoutに重畳すること及び重畳して発振することを抑制することができる。
【0044】
なお、ドライバ段バイアス供給回路351では、トランジスタ251のエミッタがノードN3に接続される構成について説明したが、これに限定するものではない。トランジスタ251のエミッタは、増幅トランジスタ50cによって増幅されたことがある信号及び電源電圧VCC1が供給されるノードに接続される構成であればよい。具体的には、トランジスタ251のエミッタは、パワー段増幅器52の入力端子52a又はノードN4に接続される構成であってもよい。特に、トランジスタ251のエミッタがノードN4に接続される場合には、前述した増幅信号RF1の周波数の略半分の周波数の信号による発振を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、ドライバ段バイアス供給回路351では、電圧シフト回路253が抵抗素子253aを含む構成について説明したが、これに限定するものではない。電圧シフト回路253は、インダクタ、或いは、ダイオード(第3ダイオード)を含む構成であってもよい。
【0046】
また、ドライバ段バイアス供給回路351では、トランジスタ251のコレクタが、トランジスタ153のエミッタに接続される構成について説明したが、これに限定するものではない。トランジスタ251のコレクタは、バイアス用トランジスタ152のベースに直接接続される構成であってもよい。
【0047】
また、ドライバ段バイアス供給回路351が電圧シフト回路253を含む構成について説明したが、これに限定するものではない。ドライバ段バイアス供給回路351が電圧シフト回路253を含まず、トランジスタ251のベース及びキャパシタ252の第1端がバイアス用トランジスタ152のベースに直接接続される構成であってもよい。この場合、トランジスタ251ではコレクタ電流が流れない場合もあり得るが、ノードN2からトランジスタ251のベース及びエミッタを通じてノードN3にベース電流が流れることによって、バイアス用トランジスタ152のベースに供給されるバイアス制御電流Ibを抑制することができる。つまり、トランジスタ251がダイオードとして機能することにより本発明の目的を達成することができる。また、ドライバ段バイアス供給回路351は、バイアス用トランジスタ152のベースに電気的に接続されたアノードと、ノードN3に接続されたカソードと、を有するダイオードを、トランジスタ251の代わりに含む構成であってもよい。
【0048】
また、
図1には図示されていないが、ドライバ段バイアス供給回路351において、バイアス用トランジスタ152のベースと接地との間にキャパシタが挿入されてもよい。
【0049】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る電力増幅回路102について説明する。第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0050】
図6は、電力増幅回路102の回路図である。
図6に示すように、第2実施形態に係る電力増幅回路102は、トランジスタ251のエミッタとパワー段増幅器52の入力端子52aとの間に電圧レベルシフト回路254が設けられる点で第1実施形態に係る電力増幅回路101と異なる。
【0051】
電力増幅回路102は、
図1に示す電力増幅回路101と比べて、ドライバ段バイアス供給回路351の代わりにドライバ段バイアス供給回路352(バイアス回路)を備える。ドライバ段バイアス供給回路352は、
図1に示すドライバ段バイアス供給回路351と比べて、バイパス回路201の代わりにバイパス回路202を備える。バイパス回路202は、
図1に示すバイパス回路201と比べて、電圧レベルシフト回路254(第2電圧シフト回路)をさらに含む。
【0052】
電圧レベルシフト回路254は、トランジスタ251のエミッタに接続された第1端と、ノードN5に接続された第2端と、を有する。ノードN5は、段間整合回路21の第2端とパワー段増幅器52の入力端子52aとの間に設けられる。
【0053】
電圧レベルシフト回路254は、例えば、1つのダイオード又は直列接続された複数のダイオードを含み、第1端と第2端との間で電圧シフト量VAを発生させることが可能である。
【0054】
図1に示す電力増幅回路101では、電源電圧VCC1がトランジスタ251のベース-エミッタ間電圧より小さいときにトランジスタ251が動作する。一方、
図6に示す電力増幅回路102は、電源電圧VCC1が、トランジスタ251のベース-エミッタ間電圧からVAを差し引いた値より小さいときにトランジスタ251が動作する。
【0055】
なお、ドライバ段バイアス供給回路352では、電圧レベルシフト回路254の第2端がノードN5に接続される構成について説明したが、これに限定するものではない。電圧レベルシフト回路254の第2端は、ドライバ段増幅器50の出力端子50b又はノードN4に接続される構成であってもよい。
【0056】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る電力増幅回路103について説明する。
図7は、電力増幅回路103の回路図である。
図7に示すように、第3実施形態に係る電力増幅回路103は、バイアス用トランジスタ152のベース及びエミッタ間に負帰還回路が形成される点で第1実施形態に係る電力増幅回路101と異なる。
【0057】
電力増幅回路103は、
図1に示す電力増幅回路101と比べて、ドライバ段バイアス供給回路351の代わりにドライバ段バイアス供給回路353(バイアス回路)を備える。ドライバ段バイアス供給回路353は、
図1に示すドライバ段バイアス供給回路351と比べて、抵抗素子155(第2抵抗素子)及びキャパシタ157(第2キャパシタ)をさらに含む。
【0058】
ドライバ段バイアス供給回路353におけるトランジスタ154(第3トランジスタ)は、トランジスタ153のエミッタ及びトランジスタ251のコレクタに接続されたコレクタと、抵抗素子155を通じてバイアス用トランジスタ152のエミッタに接続されたベースと、接地に接続されたエミッタと、を有する。
【0059】
キャパシタ157は、トランジスタ154のコレクタに接続された第1端と、トランジスタ154のベースに接続された第2端と、を有する。
【0060】
例えば、バイアス用トランジスタ152のエミッタの電位が高くなると、トランジスタ154のベース電位が高くなり、トランジスタ154のコレクタ電流が増加する。これにより、バイアス制御電流Ibが減少してバイアス用トランジスタ152のベース電位が低くなるので、バイアス用トランジスタ152のエミッタ電位が下がる。
【0061】
つまり、ドライバ段バイアス供給回路353では、バイアス用トランジスタ152のエミッタにおける信号の位相に対して、180度ずれた位相を有する信号がバイアス用トランジスタ152のベースに戻される負帰還回路が形成される。
【0062】
これにより、増幅トランジスタ50cのベースからドライバ段バイアス供給回路353を見たときのインピーダンス(以下、出力インピーダンスと称することがある。)を小さくすることができる。
【0063】
例えば、入力信号RFinが振幅変調されているとき、入力信号RFinには、RFで振動する搬送波の成分と、包絡線を形成する変調波の成分とが含まれる。電力増幅回路103では、ドライバ段バイアス供給回路353の出力インピーダンスを小さくすることができるので、変調波に対する線形性を向上させることができる。
【0064】
また、トランジスタ154のベース及びコレクタ間にキャパシタ157を設ける構成により、上記負帰還回路の負帰還ループの位相余裕をとることができるので、当該負帰還ループにおけるDC発振を抑制することができる。
【0065】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。ドライバ段バイアス供給回路351~353では、バイアス用トランジスタ152は、電源電圧VCC1によって動作する増幅トランジスタ50cに抵抗素子50eを通じてバイアスを供給するエミッタと、ベースと、を有する。キャパシタ252は、バイアス用トランジスタ152のベースに電気的に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する。そして、トランジスタ251は、バイアス用トランジスタ152のベースに電気的に接続されたコレクタと、バイアス用トランジスタ152のベースに電気的に接続されたベースと、ドライバ段増幅器50によって増幅されたことがある信号及び電源電圧VCC1が供給されるノードN3、N4又はN5に接続されたエミッタと、を有する。
【0066】
このような構成により、電源電圧VCC1が低く、かつ、ドライバ段増幅器50によって増幅されたことがある信号の振幅が大きい場合において、トランジスタ251のベース電位とノードN3、N4又はN5の電位との差がトランジスタ251のオン電圧以上となる瞬間にトランジスタ251をオン状態にすることができる。トランジスタ251がオン状態になることで、バイアス用トランジスタ152のベースに供給されるバイアス制御電流Ibの一部をノードN3、N4又はN5に流すことができるので、バイアス用トランジスタ152がドライバ段増幅器50に供給するバイアスを低減することができる。これにより、ドライバ段増幅器50の出力電力が制限されるので、パワー段増幅器52への入力電力を小さくする、すなわち増幅信号RF1の振幅を小さくすることができるので、パワー段増幅器52に含まれる増幅トランジスタ52cのベース電位が瞬間的にコレクタ電位より大きくなることを抑制することができる。したがって、電源電圧が低く、かつ、RF信号の電力が大きい場合に、増幅トランジスタ52cのベース及びコレクタ間の寄生ダイオードがオンすることを抑制することができ、ひいては増幅信号RF1の周波数の略半分の周波数の信号が出力信号RFoutに重畳すること及び重畳して発振することを抑制することができる。
【0067】
また、ドライバ段バイアス供給回路351では、制御信号供給端子171は、バイアス用トランジスタ152のベースに接続される。トランジスタ153は、ダイオード接続され、制御信号供給端子171に接続されたコレクタ及びベースと、エミッタと、を有する。トランジスタ154は、ダイオード接続され、トランジスタ153のエミッタ及びトランジスタ251のコレクタに接続されたコレクタ及びベースと、接地に接続されたエミッタと、を有する。
【0068】
このように、トランジスタ251がノードN3、N4又はN5に電流を流す構成により、トランジスタ153から流れる電流を増加させることができるので、バイアス用トランジスタ152のベースに供給されるバイアス制御電流Ibを抑制することができる。これにより、ドライバ段増幅器50のベースに供給される電流を減らすことができるので、ドライバ段増幅器50の出力電力を適切に制限させることができる。
【0069】
また、ドライバ段バイアス供給回路352では、電圧レベルシフト回路254は、トランジスタ251のエミッタとノードN5との間に接続される。
【0070】
このような構成により、トランジスタ251がオン状態に遷移するノードN5の電位を電圧レベルシフト回路254の電圧シフト量VAによって調整することができる。
【0071】
また、ドライバ段バイアス供給回路353では、制御信号供給端子171は、バイアス用トランジスタ152のベースに接続される。トランジスタ153は、ダイオード接続され、制御信号供給端子171に接続されたコレクタ及びベースと、エミッタと、を有する。そして、トランジスタ154は、トランジスタ153のエミッタ及びトランジスタ251のコレクタに接続されたコレクタと、抵抗素子155を通じてバイアス用トランジスタ152のエミッタに接続されたベースと、接地に接続されたエミッタと、を有する。
【0072】
このような構成により、バイアス用トランジスタ152のエミッタから抵抗素子155、トランジスタ154のベース、トランジスタ154のコレクタ及びトランジスタ153を通じてバイアス用トランジスタ152のベースに至る負帰還回路を形成することができる。これにより、バイアス用トランジスタ152のエミッタの電位が変化しても、負帰還回路によってその変化が打ち消される方向にドライバ段バイアス供給回路353を動作させることができる。これにより、増幅トランジスタ50cのベースからドライバ段バイアス供給回路353を見たときの出力インピーダンスを小さくすることができる。
【0073】
また、ドライバ段バイアス供給回路353では、キャパシタ157は、トランジスタ154のコレクタに接続された第1端と、トランジスタ154のベースに接続された第2端と、を有する。
【0074】
トランジスタ154のベース及びコレクタ間にキャパシタ157を設ける構成により、上記負帰還回路の負帰還ループの位相余裕をとることができるので、当該負帰還ループにおけるDC発振を抑制することができる。
【0075】
また、ドライバ段バイアス供給回路351~353では、電圧シフト回路253は、バイアス用トランジスタ152のベースに接続された第1端と、トランジスタ251のベースに接続された第2端と、を有する。
【0076】
このような構成により、トランジスタ251のベース電流が過剰に流れることを抑制することができるので、バイアス用トランジスタ152のベースに供給されるバイアス制御電流Ibを適度に抑制することができる。また、トランジスタ251のベース電位を適度に下げることができるので、トランジスタ251においてコレクタ電流を適切に流すことができる。
【0077】
また、ドライバ段バイアス供給回路351~353では、電圧シフト回路253は、抵抗素子253aを含む。
【0078】
このような構成により、バイアス用トランジスタ152のベース電位に対するトランジスタ251のベース電位の下げ具合を、抵抗素子253aのような簡易な素子によって調整することができる。
【0079】
また、ドライバ段バイアス供給回路351~353では、電圧シフト回路253は、第3ダイオードを含む。
【0080】
このような構成により、バイアス用トランジスタ152のベース電位に対するトランジスタ251のベース電位の下げ具合を、第3ダイオードのような簡易な素子によって調整することができる。
【0081】
また、ドライバ段バイアス供給回路351~353では、電圧シフト回路253は、インダクタを含む。
【0082】
このような構成により、バイアス用トランジスタ152のベース電位に対するトランジスタ251のベース電位の下げ具合を、インダクタのような簡易な素子によって調整することができる。
【0083】
また、ドライバ段バイアス供給回路351~353では、バイアス用トランジスタ152は、電源電圧VCC1によって動作する増幅トランジスタ50cに抵抗素子50eを通じてバイアスを供給するエミッタと、バイアス制御電流Ibが供給されるベースと、を有する。そして、バイパス回路201又は202は、バイアス用トランジスタ152のベースと、ドライバ段増幅器50によって増幅されたことがある信号及び電源電圧VCC1が供給されるノードN3、N4又はN5との間に設けられ、ノードN3、N4又はN5の電圧が所定のしきい値より小さいときに、バイアス制御電流Ibの一部をノードN3、N4又はN5に流す。
【0084】
このように、ノードN3、N4又はN5の電位が所定のしきい値より小さくなる瞬間にバイアス制御電流Ibの一部をノードN3、N4又はN5に流す構成により、電源電圧VCC1が低く、かつ、ドライバ段増幅器50によって増幅されたことがある信号の振幅が大きい場合において、バイアス用トランジスタ152がドライバ段増幅器50に供給するバイアスを低減することができる。これにより、ドライバ段増幅器50の出力電力が制限されるので、パワー段増幅器52への入力電力を小さくする、すなわち増幅信号RF1の振幅を小さくすることができるので、パワー段増幅器52に含まれる増幅トランジスタ52cのベース電位が瞬間的にコレクタ電位より大きくなることを抑制することができる。したがって、電源電圧が低く、かつ、RF信号の電力が大きい場合に、増幅トランジスタ52cのベース及びコレクタ間の寄生ダイオードがオンすることを抑制することができ、ひいては増幅信号RF1の周波数の略半分の周波数の信号が出力信号RFoutに重畳すること及び重畳して発振することを抑制することができる。
【0085】
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0086】
<1>
電源電圧によって動作する増幅器に第1抵抗素子を通じてバイアスを供給するエミッタ又はソースと、ベース又はゲートと、を有する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続された第1端と、接地に接続された第2端と、を有する第1キャパシタと、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたコレクタ又はドレインと、前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに電気的に接続されたベース又はゲートと、前記増幅器によって増幅されたことがある信号及び前記電源電圧が供給されるノードに接続されたエミッタ又はソースと、を有する第2トランジスタと、を備える、
バイアス回路。
【0087】
<2>
<1>に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された電流源と、
前記電流源に接続されたアノードと、カソードと、を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードの前記カソード及び前記第2トランジスタの前記コレクタ又は前記ドレインに接続されたアノードと、接地に接続されたカソードと、を有する第2ダイオードと、をさらに備える、
バイアス回路。
【0088】
<3>
<1>又は<2>に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第2トランジスタの前記エミッタ又は前記ソースと前記ノードとの間に接続された第2電圧シフト回路をさらに備える、
バイアス回路。
【0089】
<4>
<1>に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された電流源と、
前記電流源に接続されたアノードと、カソードと、を有する第1ダイオードと、
前記第1ダイオードの前記カソード及び前記第2トランジスタの前記コレクタ又は前記ドレインに接続されたコレクタ又はドレインと、第2抵抗素子を通じて前記第1トランジスタの前記エミッタ又は前記ソースに接続されたベース又はゲートと、接地に接続されたエミッタ又はソースと、を有する第3トランジスタと、をさらに備える、
バイアス回路。
【0090】
<5>
<4>に記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第3トランジスタの前記コレクタ又は前記ドレインに接続された第1端と、前記第3トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された第2端と、を有する第2キャパシタをさらに備える、
バイアス回路。
【0091】
<6>
<1>から<5>のいずれか1つに記載のバイアス回路であって、
前記バイアス回路は、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された第1端と、前記第2トランジスタの前記ベース又は前記ゲートに接続された第2端と、を有する第1電圧シフト回路をさらに備える、
バイアス回路。
【0092】
<7>
<6>に記載のバイアス回路であって、
前記第1電圧シフト回路は、
第3抵抗素子を含む、
バイアス回路。
【0093】
<8>
<6>に記載のバイアス回路であって、
前記第1電圧シフト回路は、
第3ダイオードを含む、
バイアス回路。
【0094】
<9>
<6>に記載のバイアス回路であって、
前記第1電圧シフト回路は、
インダクタを含む、
バイアス回路。
【0095】
<10>
電源電圧によって動作する増幅器に第1抵抗素子を通じてバイアスを供給するエミッタ又はソースと、バイアス電流が供給されるベース又はゲートと、を有する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの前記ベース又は前記ゲートと、前記増幅器によって増幅されたことがある信号及び前記電源電圧が供給されるノードとの間に設けられ、前記ノードの電圧が所定のしきい値より小さいときに、前記バイアス電流の一部を前記ノードに流すバイパス回路と、を備える、
バイアス回路。
【0096】
<11>
<1>から<10>のいずれか1つに記載のバイアス回路と、
前記増幅器と、を備える、
電力増幅回路。
【0097】
<12>
<11>に記載の電力増幅回路であって、
前記増幅器はドライバ段増幅器であり、
前記電力増幅回路は、
前記ドライバ段増幅器によって増幅された前記信号を増幅し、出力信号を出力するパワー段増幅器をさらに備える、
電力増幅回路。
【0098】
<13>
<12>に記載の電力増幅回路であって、
前記ノードは、前記ドライバ段増幅器によって増幅された前記信号が出力されるドライバ段出力端子と、前記電源電圧を前記ドライバ段増幅器に供給するドライバ段電源電圧供給端子とに接続される、
電力増幅回路。
【0099】
<14>
<12>に記載の電力増幅回路であって、
前記電力増幅回路は、
前記ドライバ段増幅器と前記パワー段増幅器との間に設けられた段間整合回路をさらに備え、
前記ノードは、前記段間整合回路と前記パワー段増幅器との間のノードである、
電力増幅回路。
【0100】
<15>
<12>に記載の電力増幅回路であって、
前記ノードは、前記パワー段増幅器によって増幅された前記信号が出力されるパワー段出力端子と、前記電源電圧を前記パワー段増幅器に供給するパワー段電源電圧供給端子とに接続される、
電力増幅回路。
【符号の説明】
【0101】
20…入力整合回路
21…段間整合回路
26、27…インダクタ
31…入力端子
32…出力端子
50…ドライバ段増幅器
50a…入力端子
50b…出力端子
50c…増幅トランジスタ
50d…キャパシタ
50e…抵抗素子
52…パワー段増幅器
52a…入力端子
52b…出力端子
52c…増幅トランジスタ
52d…キャパシタ
52e、52f…抵抗素子
101、102、103…電力増幅回路
152…バイアス用トランジスタ
153、154…トランジスタ
155、156…抵抗素子
157…キャパシタ
161…パワー段バイアス供給回路
171、173…制御信号供給端子
172…バッテリー電圧供給端子
175、176…電源電圧供給端子
201、202…バイパス回路
251…トランジスタ
252…キャパシタ
253…電圧シフト回路
253a…抵抗素子
254…電圧レベルシフト回路
351、352、353…ドライバ段バイアス供給回路