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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025525
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
H01L29/78 652S
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L29/78 653C
H01L29/78 652M
H01L29/78 652J
H01L29/78 652K
H01L29/78 652D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129034
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 昭洋
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 建太
(57)【要約】
【課題】半導体装置の耐圧を確保しつつ、オン抵抗を低減する。
【解決手段】半導体装置10は、半導体層12と、半導体層12に形成された複数のセルトレンチ14と、半導体層12に形成された1つまたは複数の外周トレンチ18とを備える。複数のセルトレンチ14は、第1方向に延び、平面視で第1方向と直交する第2方向に第1ピッチP1で配列された第1組のセルトレンチS1と、第2方向に延び、第1方向に第2ピッチP2で配列された第2組のセルトレンチS2とを含む。半導体層12は、第1組のセルトレンチS1が配置される第1セル領域36と、第2組のセルトレンチS2が配置される第2セル領域38とを含む。1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域36および第2セル領域38を囲むように配置されている。第1セル領域36と第2セル領域38との間のセル間距離Dは、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層に形成された複数のセルトレンチと、
前記半導体層上に形成された絶縁層と、
複数の電極であって、各々が前記複数のセルトレンチのうちの対応する1つに前記絶縁層を介して埋め込まれている、複数の電極と、
前記半導体層に形成された1つまたは複数の外周トレンチと
を備え、前記複数のセルトレンチは、
第1方向に延びるとともに、平面視で前記第1方向と直交する第2方向に第1ピッチで配列された第1組のセルトレンチと、
前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向に第2ピッチで配列された第2組のセルトレンチと
を含み、前記半導体層は、前記第1組のセルトレンチが配置される第1セル領域と、前記第2組のセルトレンチが配置される第2セル領域とを含み、前記1つまたは複数の外周トレンチは、平面視で前記第1セル領域および前記第2セル領域を囲むように配置されており、
前記第1セル領域と前記第2セル領域との間のセル間距離は、前記第1ピッチおよび前記第2ピッチのいずれよりも小さい、半導体装置。
【請求項2】
前記第1組のセルトレンチは、第1間隔で配列され、前記第2組のセルトレンチは、第2間隔で配列され、前記セル間距離は、前記第1間隔および前記第2間隔のいずれよりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記セル間距離は、前記第1組のセルトレンチと、前記第2組のセルトレンチとの間の最小距離である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1セル領域と前記第2セル領域とは、前記第2方向に並んでおり、
前記セル間距離は、前記第1組のセルトレンチのうち、最も前記第2セル領域の近くに位置する1つと、前記第2組のセルトレンチのうちの2つ以上との間の最小距離である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のセルトレンチは、複数のゲートトレンチを含み、
前記複数の電極は、複数のゲート電極を含み、
前記複数のゲート電極の各々は、前記複数のゲートトレンチのうちの対応する1つに前記絶縁層を介して埋め込まれている、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の電極は、複数の第1フィールドプレート電極を含み、
前記複数の第1フィールドプレート電極の各々は、前記複数のゲートトレンチのうちの対応する1つに、前記ゲート電極から離隔されつつ前記絶縁層を介して埋め込まれている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記絶縁層上に形成されたゲート配線と、前記絶縁層上に形成されるとともに前記ゲート配線から離隔されたソース配線とをさらに備え、
前記複数のゲート電極は、前記ゲート配線に電気的に接続され、
前記複数の第1フィールドプレート電極は、前記ソース配線に電気的に接続されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のセルトレンチは、フィールドプレートトレンチを含み、
前記複数の電極は、前記フィールドプレートトレンチに前記絶縁層を介して埋め込まれた第2フィールドプレート電極を含み、前記フィールドプレートトレンチには、ゲート電極が埋め込まれていない、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記絶縁層上に形成されたゲート配線と、前記絶縁層上に形成されるとともに前記ゲート配線から離隔されたソース配線とをさらに備え、
前記複数のゲート電極は、前記ゲート配線に電気的に接続され、
前記第2フィールドプレート電極は、前記ソース配線に電気的に接続されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1セル領域と前記第2セル領域とは、前記第2方向に並んでおり、
前記第1組のセルトレンチのうち、最も前記第2セル領域の近くに位置するセルトレンチは、前記フィールドプレートトレンチである、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
1つまたは複数の外周電極をさらに備え、前記1つまたは複数の外周電極の各々は、前記1つまたは複数の外周トレンチのうちの対応する1つに前記絶縁層を介して埋め込まれている、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記絶縁層上に形成されたゲート配線と、前記絶縁層上に形成されるとともに前記ゲート配線から離隔されたソース配線とをさらに備え、
前記複数の外周電極のうちの少なくとも1つは、前記ソース配線に電気的に接続されている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記1つまたは複数の外周トレンチは、複数の外周トレンチを含み、
前記複数の外周トレンチは、
前記複数の外周トレンチのうち、最も内側に配置された第1外周トレンチと、
平面視で前記第1外周トレンチを囲む1つまたは複数の第2外周トレンチと
を含み、前記第2外周トレンチは、前記第1外周トレンチよりも大きい幅を有している、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体層は、第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域上に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域上に形成された前記第1導電型のソース領域とを含み、
各セルトレンチは、前記ソース領域および前記ボディ領域を貫通して前記ドリフト領域に達している、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1ピッチは、前記第2ピッチと同じである、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1ピッチは、前記第2ピッチと異なっている、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1セル領域および前記第2セル領域の各々は、平面視で矩形状である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記1つまたは複数の外周トレンチは、平面視で前記第1セル領域および前記第2セル領域を囲むループを形成している、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記複数のセルトレンチは、前記第1方向に延びるとともに、前記第2方向に第3ピッチで配列された第3組のセルトレンチをさらに含み、
前記半導体層は、前記第3組のセルトレンチが配置される第3セル領域をさらに含み、
前記複数の外周トレンチは、平面視で前記第1セル領域、前記第2セル領域、および前記第3セル領域を囲むように配置されており、
前記第1セル領域、前記第2セル領域、および前記第3セル領域は、前記第1方向に並び、かつ前記第2セル領域は、前記第1セル領域と前記第3セル領域との間に配置されており、
前記第2セル領域と前記第3セル領域との間のセル間距離は、前記第2ピッチおよび前記第3ピッチのいずれよりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記複数のセルトレンチは、
前記第1方向に延びるとともに、前記第2方向に第3ピッチで配列された第3組のセルトレンチと、
前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向に第4ピッチで配列された第4組のセルトレンチと
をさらに含み、
前記半導体層は、前記第3組のセルトレンチが配置される第3セル領域と、前記第4組のセルトレンチが配置される第4セル領域とをさらに含み、
前記複数の外周トレンチは、平面視で前記第1セル領域、前記第2セル領域、前記第3セル領域、および前記第4セル領域を囲むように配置されており、
前記第1セル領域と前記第2セル領域とは、前記第1方向に並び、
前記第2セル領域と前記第3セル領域とは、前記第2方向に並び、
前記第3セル領域と前記第4セル領域とは、前記第1方向に並び、
前記第4セル領域と前記第1セル領域とは、前記第2方向に並び、
前記第2セル領域と前記第3セル領域との間のセル間距離は、前記第2ピッチおよび前記第3ピッチのいずれよりも小さく、
前記第3セル領域と前記第4セル領域との間のセル間距離は、前記第3ピッチおよび前記第4ピッチのいずれよりも小さく、
前記第4セル領域と前記第1セル領域との間のセル間距離は、前記第4ピッチおよび前記第1ピッチのいずれよりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の耐圧を向上させるために、素子部の周りに複数のガードリングトレンチを設けることが知られている。
例えば、特許文献1の半導体装置は、素子部および素子部の周囲の外周部を有する半導体層と、素子部に形成された半導体素子構造と、外周部に形成された複数のガードリングトレンチとを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-136472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の耐圧を向上させるためにガードリングトレンチなどの外周構造をチップ上に設けると、半導体装置のアクティブ領域のチップ上における占有率が低下する。これは、半導体装置の性能(例えば、オン抵抗)に影響を及ぼし得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による半導体装置は、半導体層と、前記半導体層に形成された複数のセルトレンチと、前記半導体層上に形成された絶縁層と、複数の電極であって、各々が前記複数のセルトレンチのうちの対応する1つに前記絶縁層を介して埋め込まれている、複数の電極と、前記半導体層に形成された1つまたは複数の外周トレンチとを備えている。前記複数のセルトレンチは、第1方向に延びるとともに、平面視で前記第1方向と直交する第2方向に第1ピッチで配列された第1組のセルトレンチと、前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向に第2ピッチで配列された第2組のセルトレンチとを含む。前記半導体層は、前記第1組のセルトレンチが配置される第1セル領域と、前記第2組のセルトレンチが配置される第2セル領域とを含む。前記1つまたは複数の外周トレンチは、平面視で前記第1セル領域および前記第2セル領域を囲むように配置されている。前記第1セル領域と前記第2セル領域との間のセル間距離は、前記第1ピッチおよび前記第2ピッチのいずれよりも小さい。
【発明の効果】
【0006】
本開示の半導体装置によれば、半導体装置の耐圧を確保しつつ、オン抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る例示的な半導体装置の概略平面図である。
図2図2は、図1に示す半導体装置の半導体層に形成されたトレンチの配置を示す概略平面図である。
図3図3は、図2のF3-F3線に沿った半導体装置の概略断面図である。
図4図4は、図2のF4で示す領域の半導体装置の拡大図である。
図5図5は、図4のF5-F5線に沿った半導体装置の概略断面図である。
図6図6は、実験例の半導体装置の降伏電圧を示すグラフである。
図7図7は、第1変更例に係る例示的な半導体装置の概略平面図である。
図8図8は、図7に示す半導体装置の半導体層に形成されたトレンチの配置を示す概略平面図である。
図9図9は、第2変更例に係る例示的な半導体装置の概略平面図である。
図10図10は、図9に示す半導体装置の半導体層に形成されたトレンチの配置を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本開示の半導体装置のいくつかの実施形態を説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0009】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。
【0010】
(半導体装置の平面レイアウト)
図1は、一実施形態に係る例示的な半導体装置10の概略平面図である。半導体装置10は、例えばトレンチゲート構造を有する金属絶縁膜半導体電界効果トランジスタ(MISFET)であってよい。半導体装置10は、半導体層12と、半導体層12に形成された複数のセルトレンチ14と、半導体層12上に形成された絶縁層16とを含む。図1に示される互いに直交するXYZ軸のZ軸方向は、半導体層12の面と直交する方向である。なお、本明細書において使用される「平面視」という用語は、明示的に別段の記載がない限り、Z軸方向に沿って上方から半導体装置10を視ることをいう。
【0011】
図1において、半導体層12は絶縁層16に覆われているため、符号12は、半導体層12の外縁を指し示している。図1に示される半導体層12の外縁により画定される領域は、1つのチップ(ダイ)に相当し得る。半導体層12の詳細については、図3を参照して後述する。絶縁層16は、酸化シリコン(SiO)層および窒化シリコン(SiN)層のうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0012】
複数のセルトレンチ14は、Y軸方向に延びるとともに、X軸方向に配列された第1組のセルトレンチS1と、X軸方向に延びるとともに、Y軸方向に配列された第2組のセルトレンチS2とを含む。本明細書において、Y軸方向を第1方向と呼び、X軸方向を第2方向と呼ぶことがある。すなわち、第2方向は、平面視で第1方向と直交している。図1の例では、第1組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。また、第2組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。半導体装置10は、半導体層12に形成された1つまたは複数の外周トレンチ18をさらに含む。1つまたは複数の外周トレンチ18は、複数のセルトレンチ14を囲むように配置されていてよい。
【0013】
半導体装置10は、絶縁層16上に形成されたゲート配線20と、絶縁層16上に形成されるとともにゲート配線20から離隔されたソース配線22とをさらに含んでいてよい。ゲート配線20およびソース配線22は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅合金、およびアルミニウム合金のうちの少なくとも1つから形成することができる。
【0014】
ゲート配線20は、平面視で半導体層12の一角に配置されたゲートパッド24と、ゲートフィンガー26,28,30とを含んでいてよい。ゲートフィンガー26は、ゲートパッド24からX軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー28は、ゲートパッド24からY軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー30は、ゲートフィンガー28からX軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートパッド24およびゲートフィンガー26,28,30は、一体的に形成されていてよい。ソース配線22は、平面視でゲート配線20によって少なくとも部分的に囲まれた内側セグメント32と、ゲート配線20を少なくとも部分的に取り囲む外周セグメント34とを含んでいてよい。内側セグメント32は、ゲートフィンガー26とゲートフィンガー30との間の間隙を介して外周セグメント34に接続されている。内側セグメント32および外周セグメント34は、一体的に形成されていてよい。
【0015】
図2は、図1に示す半導体装置10の半導体層12に形成されたセルトレンチ14および外周トレンチ18の配置を示す概略平面図である。セルトレンチ14および外周トレンチ18の配置を説明するために、図2に示す半導体装置10では、絶縁層16、ゲート配線20、およびソース配線22(図1参照)が省略されている。
【0016】
第1組のセルトレンチS1は、平面視でX軸方向に第1ピッチP1で配列されている。また、第2組のセルトレンチS2は、平面視でY軸方向に第2ピッチP2で配列されている。半導体層12は、第1組のセルトレンチS1が配置される第1セル領域36と、第2組のセルトレンチS2が配置される第2セル領域38とを含んでいる。第1セル領域36および第2セル領域38の各々は、平面視で矩形状であってよい。図2の例では、第1セル領域36と第2セル領域38とは、X軸方向に並んでいてよい。1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域36および第2セル領域38を囲むように配置されている。より詳細には、1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域36および第2セル領域38を囲むループを形成していてよい。第1セル領域36と第2セル領域38との間のセル間距離Dは、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。セル間距離Dのさらなる詳細は、図4および図5を参照して後述する。
【0017】
(セルトレンチおよび外周トレンチの断面構造)
まず、図3を参照して、セルトレンチ14および外周トレンチ18の断面構造について説明する。図3は、図2のF3-F3線に沿った半導体装置の概略断面図である。図3には、第1セル領域36に配置されたセルトレンチ14の一部と、6つの外周トレンチ18とが示されている。
【0018】
半導体層12は、上面12A、および上面12Aと反対の底面12Bを有している。Z軸方向は、半導体層12の上面12Aおよび底面12Bと直交する方向であってよい。半導体層12は、半導体基板40と、半導体基板40上に形成されたエピタキシャル層42とを含んでいてよい。半導体基板40は、半導体層12の底面12Bを含んでいてよい。エピタキシャル層42は、半導体層12の上面12Aを含んでいてよい。本実施形態において、半導体基板40は、Si基板であってよい。また、エピタキシャル層42は、Siエピタキシャル層であってよい。半導体基板40は、MISFETのドレイン領域に相当し得る。
【0019】
セルトレンチ14が配置される第1セル領域36および第2セル領域38(図2参照)において、エピタキシャル層42は、半導体基板40(ドレイン領域)上に形成されたドリフト領域44と、ドリフト領域44上に形成されたボディ領域46と、ボディ領域46上に形成されたソース領域48とを含んでいる。
【0020】
半導体基板40により形成されるドレイン領域は、n型不純物を含むn型領域であってよい。半導体基板40のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であってよい。半導体基板40は、50μm以上450μm以下の厚さを有していてよい。
【0021】
ドリフト領域44は、半導体基板40(ドレイン領域)よりも低い濃度のn型不純物を含むn型領域であってよい。ドリフト領域44のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってよい。ドリフト領域44は、1μm以上25μm以下の厚さを有していてよい。
【0022】
ボディ領域46は、p型不純物を含むp型領域であってよい。ボディ領域46のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってよい。ボディ領域46は、0.2μm以上1.0μm以下の厚さを有していてよい。
【0023】
ソース領域48は、ドリフト領域44よりも高い濃度のn型不純物を含むn型領域であってよい。ソース領域48のn型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってよい。ソース領域48は、0.1μm以上1μm以下の厚さを有していてよい。
【0024】
なお、本明細書において、n型を第1導電型、およびp型を第2導電型ともいう。n型不純物は、例えば、リン(P)、ヒ素(As)などであってよい。また、p型不純物は、例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)などであってよい。
【0025】
半導体装置10は、半導体層12の底面12Bに形成されたドレイン電極50をさらに含むことができる。ドレイン電極50は、半導体基板40(ドレイン領域)と電気的に接続されている。ドレイン電極50は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、Al、Cu合金、およびAl合金のうちの少なくとも1つから形成されてもよい。
【0026】
セルトレンチ14は、半導体層12の上面12Aに開口を有するとともに、Z軸方向に深さを有している。セルトレンチ14は、側壁14Aおよび底壁14Bを有している。セルトレンチ14は、エピタキシャル層42のソース領域48およびボディ領域46を貫通してドリフト領域44に達している。したがって、セルトレンチ14の底壁14Bは、ドリフト領域44に隣接している。セルトレンチ14は、1μm以上10μm以下の深さを有していてよい。なお、セルトレンチ14の深さは、半導体層12の上面12Aからセルトレンチ14の底壁14BまでのZ軸方向における距離に相当し得る。
【0027】
セルトレンチ14の側壁14Aは、Z軸方向(半導体層12の上面12Aに対して垂直な方向)に延びていてもよいし、Z軸方向に対して傾斜していてもよい。一例では、側壁14Aは、セルトレンチ14の幅が底壁14Bに向かって小さくなるようにZ軸方向に対して傾斜していてもよい。また、セルトレンチ14の底壁14Bは、必ずしも平坦でなくてもよく、例えば、その一部または全体が湾曲していてもよい。
【0028】
複数のセルトレンチ14は、複数のゲートトレンチ52と、フィールドプレートトレンチ54(図4および図5参照)とを含んでいてよい。図3に示されているセルトレンチ14は、ゲートトレンチ52に対応している。フィールドプレートトレンチ54については、図4および図5を参照して後述する。
【0029】
半導体装置10は、複数の電極56をさらに含んでいる。一例では、複数の電極56は、導電性のポリシリコンから形成されていてよい。別の例では、複数の電極56は、他の任意の金属材料から形成されていてもよい。複数の電極56の各々は、複数のセルトレンチ14のうちの対応する1つに絶縁層16を介して埋め込まれている。複数の電極56は、複数のゲート電極58を含んでいてよい。複数のゲート電極58の各々は、複数のゲートトレンチ52のうちの対応する1つに絶縁層16を介して埋め込まれていてよい。本明細書において、ゲートトレンチ52とは、ゲート電極58が埋め込まれたセルトレンチ14を指す。複数のゲート電極58は、ゲート配線20に電気的に接続されている。
【0030】
また、複数の電極56は、複数の第1フィールドプレート電極60をさらに含んでいてよい。複数の第1フィールドプレート電極60の各々は、複数のゲートトレンチ52のうちの対応する1つに、ゲート電極58と離隔されつつ絶縁層16を介して埋め込まれていてよい。複数の第1フィールドプレート電極60は、ソース配線22に電気的に接続されている。
【0031】
ゲート電極58は、ゲート電圧が印加されるように構成されていてよく、第1フィールドプレート電極60は、基準電圧(またはソース電圧)が印加されるように構成されていてよい。
【0032】
ゲート電極58は、絶縁層16に覆われた上面58A、および上面58Aと反対の底面58Bを含んでいてよい。第1フィールドプレート電極60は、ゲートトレンチ52内において、ゲート電極58の下方に配置されている。より詳細には、第1フィールドプレート電極60は、ゲート電極58の底面58Bとゲートトレンチ52の底壁14Bとの間に配置されていてよい。ゲート電極58の底面58Bの少なくとも一部は、絶縁層16を挟んで第1フィールドプレート電極60と対向している。ゲート電極58は、ゲートトレンチ52の側壁14Aと対向する側面58Cをさらに含む。
【0033】
ゲート電極58の上面58Aは、半導体層12の上面12Aよりも下方に位置していてよい。また、ゲート電極58の底面58Bは、Z軸方向において、ドリフト領域44とボディ領域46との界面との近くに位置しており、好ましくは、当該界面よりも下方にあってよい。ゲート電極58の上面58Aおよび底面58Bは、平坦であってもよいし、湾曲していてもよい。
【0034】
ゲート電極58および第1フィールドプレート電極60は、周囲を絶縁層16によって囲まれている。第1フィールドプレート電極60は、ゲート電極58よりも小さい幅を有していてよい。第1フィールドプレート電極60が比較的小さい幅を有することにより、第1フィールドプレート電極60を囲む絶縁層16の厚さは比較的大きい。
【0035】
このように、図3の例では、ゲートトレンチ52には、2つの電極56、すなわち、ゲート電極58および第1フィールドプレート電極60が埋め込まれていてよい。なお、別の例では、ゲートトレンチ52には、ゲート電極58のみが埋め込まれていてもよい。
【0036】
半導体装置10は、ソース配線22に接続された複数のソースコンタクトプラグ62をさらに含んでいてよい。各ソースコンタクトプラグ62は、平面視でゲートトレンチ52と平行に延びていてよい。一例では、1つのゲートトレンチ52が、2つのソースコンタクトプラグ62の間に配置されていてよい。
【0037】
エピタキシャル層42は、コンタクト領域64をさらに含んでいてよい。コンタクト領域64は、p型不純物を含むp型領域であってよい。コンタクト領域64のp型不純物濃度は、ボディ領域46よりも高く、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってよい。ソースコンタクトプラグ62は、絶縁層16およびソース領域48を貫通して、コンタクト領域64に接するように延びている。コンタクト領域64は、ソースコンタクトプラグ62を介してソース配線22に電気的に接続されている。
【0038】
絶縁層16は、ゲート電極58と半導体層12との間に介在してゲートトレンチ52の側壁14Aを覆うゲート絶縁部66を含む。ゲート絶縁部66は、ゲート電極58の側面58Cとゲートトレンチ52の側壁14Aとの間にある絶縁層16の一部である。ゲート電極58は、ゲート絶縁部66を介して半導体層12と対向している。ゲート電極58に所定の電圧が印加されると、ゲート絶縁部66と隣接するp型のボディ領域46内にチャネルが形成される。半導体装置10は、このチャネルを介したn型のソース領域48とn型のドリフト領域44との間のZ軸方向の電子の流れの制御を可能とすることができる。また、第1フィールドプレート電極60は、ソース配線22に電気的に接続されているので、ゲートトレンチ52内の電界集中を緩和して半導体装置10の耐圧を向上させることができる。
【0039】
1つまたは複数の外周トレンチ18は、前述のように平面視で第1セル領域36および第2セル領域38を囲むように配置されている。図3では、第1セル領域36の周囲に位置する6つの外周トレンチ18が示されている。外周トレンチ18は、半導体層12の上面12Aに開口を有するとともに、Z軸方向に深さを有している。外周トレンチ18は、側壁18Aおよび底壁18Bを有している。外周トレンチ18の側壁18Aは、Z軸方向(半導体層12の上面12Aに対して垂直な方向)に延びていてもよいし、Z軸方向に対して傾斜していてもよい。一例では、側壁18Aは、外周トレンチ18の幅が底壁18Bに向かって小さくなるようにZ軸方向に対して傾斜していてもよい。また、外周トレンチ18の底壁18Bは、必ずしも平坦でなくてもよく、例えば、その一部または全体が湾曲していてもよい。
【0040】
半導体装置10は、1つまたは複数の外周電極68をさらに含んでいてよい。1つまたは複数の外周電極68の各々は、1つまたは複数の外周トレンチ18のうちの対応する1つに絶縁層16を介して埋め込まれていてよい。
【0041】
1つまたは複数の外周トレンチ18が複数の外周トレンチ18を含む場合、複数の外周トレンチ18は、複数の外周トレンチ18のうち、最も内側に配置された第1外周トレンチ70と、平面視で第1外周トレンチ70を囲む1つまたは複数の第2外周トレンチ72とを含んでいてよい。第1外周トレンチ70は、セルトレンチ14と、1つまたは複数の第2外周トレンチ72との間に位置することができる。図3において、第1外周トレンチ70は、ゲートトレンチ52と第2外周トレンチ72との間に位置している。
【0042】
一例では、1つまたは複数の第2外周トレンチ72の各々は、第1外周トレンチ70よりも大きい幅を有していてよい。この場合、各第2外周トレンチ72の深さは、第1外周トレンチ70の深さよりも大きくてもよい。また、この場合、第1外周トレンチ70は、セルトレンチ14と同じ幅を有していてもよい。別の例では、1つまたは複数の第2外周トレンチ72の各々は、第1外周トレンチ70と同じ幅を有していてもよい。
【0043】
1つまたは複数の第2外周トレンチ72は、ゲートトレンチ52が配列されるピッチよりも大きいピッチで配列されていてよい。また、第1外周トレンチ70と第2外周トレンチ72とが配列されるピッチは、ゲートトレンチ52が配列されるピッチよりも小さくてもよい。
【0044】
1つまたは複数の外周電極68のうちの少なくとも1つは、ソース配線22に電気的に接続されていてよい。半導体装置10は、複数の外周電極68のうちの少なくとも1つをソース配線22に接続する複数の外周コンタクト74をさらに含んでいてよい。図3の例の場合、2つの外周コンタクト74が、それぞれ第1外周トレンチ70に埋め込まれた外周電極68および第1外周トレンチ70の隣に位置する第2外周トレンチ72に埋め込まれた外周電極68をソース配線22に接続している。この例では、他の4つの第2外周トレンチ72の各々に埋め込まれた外周電極68は、外周コンタクト74に接続されていなくてもよい。別の例では、複数の外周トレンチ18に埋め込まれた複数の外周電極68のすべてが外周コンタクト74を介してソース配線22に接続されていてもよい。
【0045】
エピタキシャル層42は、各第2外周トレンチ72の底壁14Bの近傍に、高濃度領域76をさらに含んでいてよい。高濃度領域76は、ドリフト領域44よりも高い濃度のn型不純物を含むn型領域であってよい。高濃度領域76により、底壁14Bの近傍における電界集中を抑制することができる。
【0046】
(セル間距離)
図4は、図2のF4で示す領域の半導体装置10の拡大図である。図5は、図4のF5-F5線に沿った半導体装置の概略断面図である。なお、図4は、半導体層12の上面12Aよりも下方の位置(図5のF4-F4線参照)における半導体装置10の断面図に対応し得る。
【0047】
第1組のセルトレンチS1は、平面視でX軸方向に第1ピッチP1で配列されている。また、第1組のセルトレンチS1は、第1間隔Sp1で配列されていてよい。第1間隔Sp1は、第1ピッチP1からセルトレンチ14の幅(セルトレンチ14の短手方向の寸法)を減算したものに相当し得る。
【0048】
第2組のセルトレンチS2は、平面視でY軸方向に第2ピッチP2で配列されている。また、第2組のセルトレンチS2は、第2間隔Sp2で配列されていてよい。第2間隔Sp2は、第2ピッチP2からセルトレンチ14の幅(セルトレンチ14の短手方向の寸法)を減算したものに相当し得る。
【0049】
第1ピッチP1は、第2ピッチP2と同じであってよい。また、第1間隔Sp1は、第2間隔Sp2と同じであってよい。別の例では、第1ピッチP1は、第2ピッチP2と異なっていてもよい。例えば、第1ピッチP1は、第2ピッチP2よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。また、第1間隔Sp1は、第2間隔Sp2と異なっていてもよい。
【0050】
前述のように、第1セル領域36と第2セル領域38との間のセル間距離Dは、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。なお、セル間距離Dは、第1組のセルトレンチS1と、第2組のセルトレンチS2との間の最小距離であってよい。より詳細には、第1セル領域36と第2セル領域38とがX軸方向に並んでいる場合、セル間距離Dは、第1組のセルトレンチS1のうち、最も第2セル領域38の近くに位置する1つと、第2組のセルトレンチS2のうちの2つ以上との間の最小距離であってよい。
【0051】
一例では、セル間距離Dは、第1間隔Sp1および第2間隔Sp2のいずれよりも小さくてもよい。別の例では、セル間距離Dは、第1間隔Sp1または第2間隔Sp2以上であってもよい。
【0052】
なお、図5に示す例では、セル間距離D、第1ピッチP1、第2ピッチP2、第1間隔Sp1、および第2間隔Sp2として、半導体層12の上面12Aよりも下方、かつ、ゲート電極58よりも上方の位置で測定された寸法が採用されている。別の例では、セル間距離D、第1ピッチP1、第2ピッチP2、第1間隔Sp1、および第2間隔Sp2として、半導体層12の上面12Aの位置で測定された寸法を採用してもよい。さらに別の例では、セル間距離D、第1ピッチP1、第2ピッチP2、第1間隔Sp1、および第2間隔Sp2として、セルトレンチ14の所定の深さ位置で測定された寸法を採用してもよい。ここで、セルトレンチ14の所定の深さ位置とは、例えば、セルトレンチ14の深さの10%だけ半導体層12の上面12Aから下方の位置、またはセルトレンチ14の深さの50%だけ半導体層12の上面12Aから下方の位置などであってよい。なお、セルトレンチ14の深さは、半導体層12の上面12Aからセルトレンチ14の底壁14BまでのZ軸方向における距離に相当し得る。
【0053】
図4に示すように、第1セル領域36に配置される第1組のセルトレンチS1のうち、最も第2セル領域38の近くに配置されるセルトレンチ14は、フィールドプレートトレンチ54であってもよい。半導体装置10は、複数のフィールドプレートコンタクトプラグ78を含んでいてよい。複数のフィールドプレートコンタクトプラグ78は、第2組のセルトレンチS2の端部(ゲートトレンチ52の端部)およびフィールドプレートトレンチ54と重なるように配置されていてよい。
【0054】
図5に示すように、第1フィールドプレート電極60は、フィールドプレートコンタクトプラグ78を介してソース配線22に接続されていてよい。また、複数の電極56は、第2フィールドプレート電極80を含み、第2フィールドプレート電極80は、フィールドプレートトレンチ54に絶縁層16を介して埋め込まれていてよい。第2フィールドプレート電極80は、ソース配線22に電気的に接続されている。第2フィールドプレート電極80は、基準電圧(またはソース電圧)が印加されるように構成されていてよい。第2フィールドプレート電極80は、フィールドプレートコンタクトプラグ78を介してソース配線22に接続されていてよい。フィールドプレートトレンチ54には、第2フィールドプレート電極80が埋め込まれているが、ゲート電極58は埋め込まれていない。
【0055】
別の例では、第1セル領域36に配置される第1組のセルトレンチS1のうち、最も第2セル領域38の近くに配置されるセルトレンチ14も、ゲートトレンチ52であってもよい。その場合、セルトレンチ14は、フィールドプレートトレンチ54を含んでいなくてもよい。
【0056】
さらに別の例では、セルトレンチ14は、複数のフィールドプレートトレンチ54を含んでいてもよい。複数のフィールドプレートトレンチ54の各々は、第1セル領域36および/または第2セル領域38の端部近傍に配置されていてよい。
【0057】
(半導体装置の作用)
以下、本実施形態の半導体装置10の作用について説明する。
半導体層12は、第1組のセルトレンチS1が配置される第1セル領域36と、第2組のセルトレンチS2が配置される第2セル領域38とを含んでいる。第1組のセルトレンチS1は、Y軸方向(第1方向)に延びるとともに、平面視でX軸方向(第2方向)に第1ピッチP1で配列されている。第2組のセルトレンチS2は、X軸方向(第2方向)に延びるとともに、Y軸方向(第1方向)に第2ピッチP2で配列されている。
【0058】
半導体装置10の耐圧を確保するために、従来の方法では、第1セル領域36および第2セル領域38をそれぞれ別々の外周構造によって囲むことができる。しかしながら、第1セル領域36および第2セル領域38をそれぞれ別々の外周構造によって囲むと、半導体層12上における外周構造の割合が大きくなるため、半導体装置10のアクティブ領域(セル領域)が小さくなる。これは、半導体装置10の性能(例えば、オン抵抗)に影響を及ぼし得る。
【0059】
この点、本実施形態の半導体装置10によれば、1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域36および第2セル領域38を囲むように配置されている。この結果、第1セル領域36および第2セル領域38を比較的広くすることができるので、半導体装置10のオン抵抗を低減することができる。
【0060】
また、第1セル領域36と第2セル領域38との間のセル間距離Dは、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。これにより、第1セル領域36および第2セル領域38をそれぞれ別々の外周構造によって囲まなくても、以下に説明するように、半導体装置10の耐圧を確保することができる。
【0061】
図6は、実験例の半導体装置の降伏電圧BVDSSを示すグラフであり、グラフの横軸はセル間距離Dに対応し、縦軸は降伏電圧BVDSSに対応している。降伏電圧BVDSSは、ゲート・ソース間を短絡しつつ、所定のドレイン電流を与えて測定したドレイン・ソース間の電圧である。図6に示すように、セル間距離Dが比較的小さい半導体装置では、降伏電圧BVDSSは比較的大きい値を有しているが、セル間距離Dがある程度以上大きくなると、降伏電圧BVDSSが低下する。本発明者らは、セル間距離Dを第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さくすることにより、第1セル領域36および第2セル領域38をそれぞれ別々の外周構造によって囲む場合と同等の降伏電圧BVDSSを得ることができることを見出した。これは、セル間距離Dを第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さくすることにより、第1セル領域36と第2セル領域38との間の領域に形成される空乏層を、各セル領域36,38内と同様に広げることができるためであると考えられる。
【0062】
セル間距離Dを第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さくすることにより、第1セル領域36および第2セル領域38をそれぞれ別々の外周構造によって囲む場合と比較して、セル間距離Dを大幅に(例えば1桁程度)低減することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置10では、1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域36および第2セル領域38を囲むように配置されるとともに、第1セル領域36と第2セル領域38との間のセル間距離Dは、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。この結果、第1セル領域36と第2セル領域38との間の領域に形成される空乏層を、各セル領域36,38内と同様に広げるとともに、各セル領域36,38を比較的広く設けることができる。したがって、半導体装置10の耐圧を確保しつつ、オン抵抗を低減することができる。
【0064】
本実施形態の半導体装置10は、以下の利点を有する。
(1)1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域36および第2セル領域38を囲むように配置されるとともに、第1セル領域36と第2セル領域38との間のセル間距離Dは、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。この結果、第1セル領域36と第2セル領域38との間の領域に形成される空乏層を、各セル領域36,38内と同様に広げるとともに、各セル領域36,38を比較的広く設けることができる。したがって、半導体装置10の耐圧を確保しつつ、オン抵抗を低減することができる。
【0065】
(2)セル間距離Dは、第1間隔Sp1および第2間隔Sp2のいずれよりも小さくてもよい。これにより、半導体装置10の耐圧をさらに安定的に確保することができる。
(3)複数の電極56は、複数の第1フィールドプレート電極60を含み、複数の第1フィールドプレート電極60の各々は、複数のゲートトレンチ52のうちの対応する1つに、ゲート電極58から離隔されつつ絶縁層16を介して埋め込まれている。これにより、ゲートトレンチ52における電界集中を緩和するとともに、ゲート・ドレイン間容量を低減することができる。
【0066】
(4)複数のセルトレンチ14は、フィールドプレートトレンチ54を含み、複数の電極56は、フィールドプレートトレンチ54に絶縁層16を介して埋め込まれた第2フィールドプレート電極80を含み、フィールドプレートトレンチ54には、ゲート電極58が埋め込まれていない。このようなフィールドプレートトレンチ54を設けることにより、半導体装置10の耐圧を向上させることができる。
【0067】
(5)第1セル領域36と第2セル領域38とは、X軸方向(第2方向)に並んでおり、第1組のセルトレンチS1のうち、最も第2セル領域38の近くに位置するセルトレンチ14は、フィールドプレートトレンチ54であってよい。これにより、第1セル領域36と第2セル領域38との間の領域における耐圧をさらに向上させることができる。
【0068】
[第1変更例]
図7は、第1変更例に係る例示的な半導体装置100の概略平面図である。図7において、図1に示す半導体装置10と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、半導体装置10と同様な構成要素については詳細な説明を省略する。
【0069】
半導体装置100は、半導体装置10と同様、例えばトレンチゲート構造を有する金属絶縁膜半導体電界効果トランジスタ(MISFET)であってよい。半導体装置100は、半導体層12と、半導体層12に形成された複数のセルトレンチ14と、半導体層12上に形成された絶縁層16とを含む。
【0070】
複数のセルトレンチ14は、Y軸方向に延びるとともに、X軸方向に配列された第1組のセルトレンチS1と、X軸方向に延びるとともに、Y軸方向に配列された第2組のセルトレンチS2と、Y軸方向に延びるとともに、X軸方向に配列された第3組のセルトレンチS3とを含む。図7の例では、第1組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。第2組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。第3組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。半導体装置100は、半導体層12に形成された1つまたは複数の外周トレンチ18をさらに含む。1つまたは複数の外周トレンチ18は、複数のセルトレンチ14を囲むように配置されていてよい。
【0071】
半導体装置100のセルトレンチ14および外周トレンチ18の断面構造は、図3に示す半導体装置10と同様であってよい。半導体装置100は、3つの組のセルトレンチS1,S2,S3を含んでいるという点で、半導体装置10と相違している。
【0072】
半導体装置100は、絶縁層16上に形成されたゲート配線102と、絶縁層16上に形成されるとともにゲート配線102から離隔されたソース配線104とをさらに含んでいてよい。ゲート配線102およびソース配線104は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅合金、およびアルミニウム合金のうちの少なくとも1つから形成することができる。
【0073】
ゲート配線102は、平面視で半導体層12の一角に配置されたゲートパッド106と、ゲートフィンガー108,110,112,114とを含んでいてよい。ゲートフィンガー108は、ゲートパッド106からX軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー110は、ゲートフィンガー108からY軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー112は、ゲートパッド106からY軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー114は、ゲートフィンガー112からX軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートパッド106およびゲートフィンガー108,110,112,114は、一体的に形成されていてよい。ソース配線104は、平面視でゲート配線102によって少なくとも部分的に囲まれた内側セグメント116と、ゲート配線102を少なくとも部分的に取り囲む外周セグメント118とを含んでいてよい。内側セグメント116は、ゲートフィンガー110とゲートフィンガー114との間の間隙を介して外周セグメント118に接続されている。内側セグメント116および外周セグメント118は、一体的に形成されていてよい。
【0074】
図8は、図7に示す半導体装置100の半導体層12に形成されたセルトレンチ14および外周トレンチ18の配置を示す概略平面図である。セルトレンチ14および外周トレンチ18の配置を説明するために、図8に示す半導体装置100では、絶縁層16、ゲート配線102、およびソース配線104(図7参照)が省略されている。
【0075】
第1組のセルトレンチS1は、平面視でX軸方向に第1ピッチP1で配列されている。また、第2組のセルトレンチS2は、平面視でY軸方向に第2ピッチP2で配列されている。第3組のセルトレンチS3は、平面視でX軸方向に第3ピッチP3で配列されている。半導体層12は、第1組のセルトレンチS1が配置される第1セル領域120と、第2組のセルトレンチS2が配置される第2セル領域122と、第3組のセルトレンチS3が配置される第3セル領域124とを含んでいる。第1セル領域120、第2セル領域122、および第3セル領域124の各々は、平面視で矩形状であってよい。図8の例では、第1セル領域120、第2セル領域122、および第3セル領域124は、Y軸方向に並んでいてよい。また、第2セル領域122は、第1セル領域120と第3セル領域124との間に配置されていてよい。Y軸方向に延びるセルトレンチ14が配置される第1セル領域120は、異なる向き、すなわちX軸方向に延びるセルトレンチ14が配置される第2セル領域122と隣り合っている。X軸方向に延びるセルトレンチ14が配置される第2セル領域122は、異なる向き、すなわちY軸方向に延びるセルトレンチ14が配置される第3セル領域124と隣り合っている。1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域120、第2セル領域122、および第3セル領域124を囲むように配置されている。より詳細には、1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域120、第2セル領域122、および第3セル領域124を囲むループを形成していてよい。第1セル領域120と第2セル領域122との間のセル間距離D1は、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。また、第2セル領域122と第3セル領域124との間のセル間距離D2は、第2ピッチP2および第3ピッチP3のいずれよりも小さい。
【0076】
セル間距離D1は、第1組のセルトレンチS1と、第2組のセルトレンチS2との間の最小距離であってよい。より詳細には、第1セル領域120と第2セル領域122とがY軸方向に並んでいる場合、セル間距離D1は、第1組のセルトレンチS1のうちの2つ以上と、第2組のセルトレンチS2のうち、最も第1セル領域120の近くに位置する1つとの間の最小距離であってよい。
【0077】
セル間距離D2は、第2組のセルトレンチS2と、第3組のセルトレンチS3との間の最小距離であってよい。より詳細には、第2セル領域122と第3セル領域124とがY軸方向に並んでいる場合、セル間距離D2は、第2組のセルトレンチS2のうち、最も第3セル領域124の近くに位置する1つと、第3組のセルトレンチS3のうちの2つ以上との間の最小距離であってよい。
【0078】
第1ピッチP1は、第2ピッチP2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2ピッチP2は、第3ピッチP3と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第3ピッチP3は、第1ピッチP1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0079】
以上説明したように、第1変更例による半導体装置100では、1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域120、第2セル領域122、および第3セル領域124を囲むように配置されている。また、第1セル領域120と第2セル領域122との間のセル間距離D1は、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さく、かつ第2セル領域122と第3セル領域124との間のセル間距離D2は、第2ピッチP2および第3ピッチP3のいずれよりも小さい。この結果、第1セル領域120と第2セル領域122との間の領域、および第2セル領域122と第3セル領域124との間の領域に形成される空乏層を、各セル領域120,122,124内と同様に広げるとともに、各セル領域120,122,124を比較的広く設けることができる。したがって、半導体装置100の耐圧を確保しつつ、オン抵抗を低減することができる。
【0080】
[第2変更例]
図9は、第2変更例に係る例示的な半導体装置200の概略平面図である。図9において、図1に示す半導体装置10と同様の構成要素には同じ符号が付されている。また、半導体装置10と同様な構成要素については詳細な説明を省略する。
【0081】
半導体装置200は、半導体装置10と同様、例えばトレンチゲート構造を有する金属絶縁膜半導体電界効果トランジスタ(MISFET)であってよい。半導体装置200は、半導体層12と、半導体層12に形成された複数のセルトレンチ14と、半導体層12上に形成された絶縁層16とを含む。
【0082】
複数のセルトレンチ14は、Y軸方向に延びるとともに、X軸方向に配列された第1組のセルトレンチS1と、X軸方向に延びるとともに、Y軸方向に配列された第2組のセルトレンチS2と、Y軸方向に延びるとともに、X軸方向に配列された第3組のセルトレンチS3と、X軸方向に延びるとともに、Y軸方向に配列された第4組のセルトレンチS4とを含む。図9の例では、第1組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。第2組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。第3組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。第4組に含まれるセルトレンチ14は、互いに同じ長さを有していてよい。半導体装置200は、半導体層12に形成された1つまたは複数の外周トレンチ18をさらに含む。1つまたは複数の外周トレンチ18は、複数のセルトレンチ14を囲むように配置されていてよい。
【0083】
半導体装置200のセルトレンチ14および外周トレンチ18の断面構造は、図3に示す半導体装置10と同様であってよい。半導体装置100は、4つの組のセルトレンチS1,S2,S3,S4を含んでいるという点で、半導体装置10と相違している。
【0084】
半導体装置200は、絶縁層16上に形成されたゲート配線202と、絶縁層16上に形成されるとともにゲート配線202から離隔されたソース配線204とをさらに含んでいてよい。ゲート配線202およびソース配線204は、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銅合金、およびアルミニウム合金のうちの少なくとも1つから形成することができる。
【0085】
ゲート配線202は、平面視で半導体層12の一角に配置されたゲートパッド206と、ゲートフィンガー208,210,212,214とを含んでいてよい。ゲートフィンガー208は、ゲートパッド206からX軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー210は、ゲートフィンガー208からY軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー212は、ゲートフィンガー210からX軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートフィンガー214は、ゲートパッド206からY軸方向に延びるとともに、平面視で複数のセルトレンチ14のうちのいくつかと重なっていてよい。ゲートパッド206およびゲートフィンガー208,210,212,214は、一体的に形成されていてよい。ソース配線204は、平面視でゲート配線202によって少なくとも部分的に囲まれた内側セグメント216と、ゲート配線202を少なくとも部分的に取り囲む外周セグメント218とを含んでいてよい。内側セグメント216は、ゲートフィンガー212とゲートフィンガー214との間の間隙を介して外周セグメント218に接続されている。内側セグメント216および外周セグメント218は、一体的に形成されていてよい。
【0086】
図10は、図9に示す半導体装置200の半導体層12に形成されたセルトレンチ14および外周トレンチ18の配置を示す概略平面図である。セルトレンチ14および外周トレンチ18の配置を説明するために、図10に示す半導体装置200では、絶縁層16、ゲート配線202、およびソース配線204(図9参照)が省略されている。
【0087】
第1組のセルトレンチS1は、平面視でX軸方向に第1ピッチP1で配列されている。また、第2組のセルトレンチS2は、平面視でY軸方向に第2ピッチP2で配列されている。第3組のセルトレンチS3は、平面視でX軸方向に第3ピッチP3で配列されている。また、第4組のセルトレンチS4は、平面視でY軸方向に第4ピッチP4で配列されている。半導体層12は、第1組のセルトレンチS1が配置される第1セル領域220と、第2組のセルトレンチS2が配置される第2セル領域222と、第3組のセルトレンチS3が配置される第3セル領域224と、第4組のセルトレンチS4が配置される第4セル領域226とを含んでいる。第1セル領域220、第2セル領域222、第3セル領域224、および第4セル領域226の各々は、平面視で矩形状であってよい。図10の例では、第1セル領域220と、第2セル領域222とは、Y軸方向に並んでいてよい。第2セル領域222と、第3セル領域224とは、X軸方向に並んでいてよい。また、第3セル領域224と、第4セル領域226とは、Y軸方向に並んでいてよい。第4セル領域226と、第1セル領域220とは、X軸方向に並んでいてよい。Y軸方向に延びるセルトレンチ14が配置される第1セル領域220および第3セル領域224は、異なる向き、すなわちX軸方向に延びるセルトレンチ14が配置される第2セル領域222および第4セル領域226と隣り合っている。1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域220、第2セル領域222、第3セル領域224、および第4セル領域226を囲むように配置されている。より詳細には、1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域220、第2セル領域222、第3セル領域224、および第4セル領域226を囲むループを形成していてよい。第1セル領域220と第2セル領域222との間のセル間距離D1は、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さい。また、第2セル領域222と第3セル領域224との間のセル間距離D2は、第2ピッチP2および第3ピッチP3のいずれよりも小さい。第3セル領域224と第4セル領域226との間のセル間距離D3は、第3ピッチP3および第4ピッチP4のいずれよりも小さい。また、第4セル領域226と第1セル領域220との間のセル間距離D4は、第4ピッチP4および第1ピッチP1のいずれよりも小さい。
【0088】
セル間距離D1は、第1組のセルトレンチS1と、第2組のセルトレンチS2との間の最小距離であってよい。より詳細には、第1セル領域220と第2セル領域222とがY軸方向に並んでいる場合、セル間距離D1は、第1組のセルトレンチS1のうちの2つ以上と、第2組のセルトレンチS2のうち、最も第1セル領域220の近くに位置する1つとの間の最小距離であってよい。
【0089】
セル間距離D2は、第2組のセルトレンチS2と、第3組のセルトレンチS3との間の最小距離であってよい。より詳細には、第2セル領域222と第3セル領域224とがX軸方向に並んでいる場合、セル間距離D2は、第2組のセルトレンチS2のうちの2つ以上と、第3組のセルトレンチS3のうち、最も第2セル領域222の近くに位置する1つとの間の最小距離であってよい。
【0090】
セル間距離D3は、第3組のセルトレンチS3と、第4組のセルトレンチS4との間の最小距離であってよい。より詳細には、第3セル領域224と第4セル領域226とがY軸方向に並んでいる場合、セル間距離D3は、第3組のセルトレンチS3のうちの2つ以上と、第4組のセルトレンチS4のうち、最も第3セル領域224の近くに位置する1つとの間の最小距離であってよい。
【0091】
セル間距離D4は、第4組のセルトレンチS4と、第1組のセルトレンチS1との間の最小距離であってよい。より詳細には、第4セル領域226と第1セル領域220とがX軸方向に並んでいる場合、セル間距離D4は、第4組のセルトレンチS4のうちの2つ以上と、第1組のセルトレンチS1のうち、最も第4セル領域226の近くに位置する1つとの間の最小距離であってよい。
【0092】
第1ピッチP1は、第2ピッチP2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2ピッチP2は、第3ピッチP3と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第3ピッチP3は、第4ピッチP4と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第4ピッチP4は、第1ピッチP1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1ピッチP1は、第3ピッチP3と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0093】
以上説明したように、第2変更例による半導体装置200では、1つまたは複数の外周トレンチ18は、平面視で第1セル領域220、第2セル領域222、第3セル領域224、および第4セル領域226を囲むように配置されている。また、第1セル領域220と第2セル領域222との間のセル間距離D1は、第1ピッチP1および第2ピッチP2のいずれよりも小さく、かつ第2セル領域222と第3セル領域224との間のセル間距離D2は、第2ピッチP2および第3ピッチP3のいずれよりも小さく、かつ第3セル領域224と第4セル領域226との間のセル間距離D3は、第3ピッチP3および第4ピッチP4のいずれよりも小さく、かつ第4セル領域226と第1セル領域220との間のセル間距離D4は、第4ピッチP4および第1ピッチP1のいずれよりも小さい。この結果、第1セル領域220と第2セル領域222との間の領域、第2セル領域222と第3セル領域224との間の領域、第3セル領域224と第4セル領域226との間の領域、および第4セル領域226と第1セル領域220との間の領域に形成される空乏層を、各セル領域220,222,224,226内と同様に広げるとともに、各セル領域220,222,224,226を比較的広く設けることができる。したがって、半導体装置200の耐圧を確保しつつ、オン抵抗を低減することができる。
【0094】
[他の変更例]
上記実施形態および変更例の各々は、以下のように変更して実施することができる。
・半導体層12に含まれるセル領域の数、形状、および配置は任意であり、上記の例に限定されるものではない。例えば、隣り合う2つのセル領域が、同じ向きに延びる異なる長さのセルトレンチを含んでいてもよい。
【0095】
・ゲート配線20およびソース配線22のレイアウトは上記の例に限定されるものではない。例えば、ソース配線22は、内側セグメント32だけを含み、外周セグメント34を含んでいなくてもよい。
【0096】
・半導体層12内の各領域の導電型が反転された構造が採用されてもよい。すなわち、p型の領域がn型の領域とされ、n型の領域がp型の領域とされてもよい。
・ゲート配線20およびソース配線22を含む層の上に、さらなる配線構造が形成されていてもよい。
【0097】
本明細書に記載の様々な例のうちの1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本明細書において、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」との記載は、「Aのみ、または、Bのみ、または、AおよびBの両方」を意味するものとして理解されるべきである。
【0098】
本明細書で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、「第1層が第2層上に形成される」という表現は、或る実施形態では第1層が第2層に接触して第2層上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1層が第2層に接触することなく第2層の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1層と第2層との間に他の層が形成される構造を排除しない。
【0099】
本明細書で使用される「垂直」、「水平」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「前方」、「後方」、「縦」、「横」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向を示す用語は、説明および図示された装置の特定の向きに依存する。本開示においては、様々な代替的な向きを想定することができ、したがって、これらの方向を示す用語は、狭義に解釈されるべきではない。
【0100】
例えば、本明細書で使用されるZ軸方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。例えば、X軸方向が鉛直方向であってもよく、またはY軸方向が鉛直方向であってもよい。
【0101】
[付記]
上記実施形態および変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のために、付記に記載した構成について実施形態中の対応する符号を括弧書きで示す。符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0102】
(付記1)
半導体層(12)と、
前記半導体層(12)に形成された複数のセルトレンチ(14)と、
前記半導体層(12)上に形成された絶縁層(16)と、
複数の電極(56)であって、各々が前記複数のセルトレンチ(14)のうちの対応する1つに前記絶縁層(16)を介して埋め込まれている、複数の電極(56)と、
前記半導体層(12)に形成された1つまたは複数の外周トレンチ(18)と
を備え、前記複数のセルトレンチ(14)は、
第1方向に延びるとともに、平面視で前記第1方向と直交する第2方向に第1ピッチ(P1)で配列された第1組のセルトレンチ(S1)と、
前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向に第2ピッチ(P2)で配列された第2組のセルトレンチ(S2)と
を含み、前記半導体層(12)は、前記第1組のセルトレンチ(S1)が配置される第1セル領域(36;120;220)と、前記第2組のセルトレンチ(S2)が配置される第2セル領域(38;122;222)とを含み、前記1つまたは複数の外周トレンチ(18)は、平面視で前記第1セル領域(36;120;220)および前記第2セル領域(38;122;222)を囲むように配置されており、
前記第1セル領域(36;120;220)と前記第2セル領域(38;122;222)との間のセル間距離(D,D1)は、前記第1ピッチ(P1)および前記第2ピッチ(P2)のいずれよりも小さい、半導体装置。
【0103】
(付記2)
前記第1組のセルトレンチ(S1)は、第1間隔(Sp1)で配列され、前記第2組のセルトレンチ(S2)は、第2間隔(Sp2)で配列され、前記セル間距離(D,D1)は、前記第1間隔(Sp1)および前記第2間隔(Sp2)のいずれよりも小さい、付記1に記載の半導体装置。
【0104】
(付記3)
前記セル間距離(D,D1)は、前記第1組のセルトレンチ(S1)と、前記第2組のセルトレンチ(S2)との間の最小距離である、付記1または2に記載の半導体装置。
【0105】
(付記4)
前記第1セル領域(36)と前記第2セル領域(38)とは、前記第2方向に並んでおり、
前記セル間距離(D)は、前記第1組のセルトレンチ(S1)のうち、最も前記第2セル領域(38)の近くに位置する1つと、前記第2組のセルトレンチ(S2)のうちの2つ以上との間の最小距離である、付記1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0106】
(付記5)
前記複数のセルトレンチ(14)は、複数のゲートトレンチ(52)を含み、
前記複数の電極(56)は、複数のゲート電極(58)を含み、
前記複数のゲート電極(58)の各々は、前記複数のゲートトレンチ(52)のうちの対応する1つに前記絶縁層(16)を介して埋め込まれている、付記1~4のうちのいずれか1つに記載の半導体装置。
【0107】
(付記6)
前記複数の電極(56)は、複数の第1フィールドプレート電極(60)を含み、
前記複数の第1フィールドプレート電極(60)の各々は、前記複数のゲートトレンチ(52)のうちの対応する1つに、前記ゲート電極(58)から離隔されつつ前記絶縁層(16)を介して埋め込まれている、付記5に記載の半導体装置。
【0108】
(付記7)
前記絶縁層(16)上に形成されたゲート配線(20)と、前記絶縁層(16)上に形成されるとともに前記ゲート配線(20)から離隔されたソース配線(22)とをさらに備え、
前記複数のゲート電極(58)は、前記ゲート配線(20)に電気的に接続され、
前記複数の第1フィールドプレート電極(60)は、前記ソース配線(22)に電気的に接続されている、付記6に記載の半導体装置。
【0109】
(付記8)
前記複数のセルトレンチ(14)は、フィールドプレートトレンチ(54)を含み、
前記複数の電極(56)は、前記フィールドプレートトレンチ(54)に前記絶縁層(16)を介して埋め込まれた第2フィールドプレート電極(80)を含み、前記フィールドプレートトレンチ(54)には、ゲート電極(58)が埋め込まれていない、付記5または6に記載の半導体装置。
【0110】
(付記9)
前記絶縁層(16)上に形成されたゲート配線(20)と、前記絶縁層(16)上に形成されるとともに前記ゲート配線(20)から離隔されたソース配線(22)とをさらに備え、
前記複数のゲート電極(58)は、前記ゲート配線(20)に電気的に接続され、
前記第2フィールドプレート電極(80)は、前記ソース配線(22)に電気的に接続されている、付記8に記載の半導体装置。
【0111】
(付記10)
前記第1セル領域(36)と前記第2セル領域(38)とは、前記第2方向に並んでおり、
前記第1組のセルトレンチ(S1)のうち、最も前記第2セル領域(38)の近くに位置するセルトレンチ(14)は、前記フィールドプレートトレンチ(54)である、付記8または9に記載の半導体装置。
【0112】
(付記11)
1つまたは複数の外周電極(68)をさらに備え、前記1つまたは複数の外周電極(68)の各々は、前記1つまたは複数の外周トレンチ(18)のうちの対応する1つに前記絶縁層(16)を介して埋め込まれている、付記1~10のうちのいずれか1つに記載の半導体装置。
【0113】
(付記12)
前記絶縁層(16)上に形成されたゲート配線(20)と、前記絶縁層(16)上に形成されるとともに前記ゲート配線(20)から離隔されたソース配線(22)とをさらに備え、
前記複数の外周電極(68)のうちの少なくとも1つは、前記ソース配線(22)に電気的に接続されている、付記11に記載の半導体装置。
【0114】
(付記13)
前記1つまたは複数の外周トレンチ(18)は、複数の外周トレンチ(18)を含み、
前記複数の外周トレンチ(18)は、
前記複数の外周トレンチ(18)のうち、最も内側に配置された第1外周トレンチ(70)と、
平面視で前記第1外周トレンチを囲む1つまたは複数の第2外周トレンチ(72)と
を含み、前記第2外周トレンチ(72)は、前記第1外周トレンチ(70)よりも大きい幅を有している、付記1~12のうちのいずれか1つに記載の半導体装置。
【0115】
(付記14)
前記半導体層(12)は、第1導電型のドリフト領域(44)と、前記ドリフト領域(44)上に形成された第2導電型のボディ領域(46)と、前記ボディ領域(46)上に形成された前記第1導電型のソース領域(48)とを含み、
各セルトレンチ(14)は、前記ソース領域(48)および前記ボディ領域(46)を貫通して前記ドリフト領域(44)に達している、付記1~13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0116】
(付記15)
前記第1ピッチ(P1)は、前記第2ピッチ(P2)と同じである、付記1~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0117】
(付記16)
前記第1ピッチ(P1)は、前記第2ピッチ(P2)と異なっている、付記1~14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0118】
(付記17)
前記第1セル領域(36;120;220)および前記第2セル領域(38;122;222)の各々は、平面視で矩形状である、付記1~16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0119】
(付記18)
前記1つまたは複数の外周トレンチ(18)は、平面視で前記第1セル領域(36;120;220)および前記第2セル領域(38;122;222)を囲むループを形成している、付記1~17のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0120】
(付記19)
前記複数のセルトレンチ(14)は、前記第1方向に延びるとともに、前記第2方向に第3ピッチ(P3)で配列された第3組のセルトレンチ(S3)をさらに含み、
前記半導体層(12)は、前記第3組のセルトレンチ(S3)が配置される第3セル領域(124)をさらに含み、
前記複数の外周トレンチ(18)は、平面視で前記第1セル領域(120)、前記第2セル領域(122)、および前記第3セル領域(124)を囲むように配置されており、
前記第1セル領域(120)、前記第2セル領域(122)、および前記第3セル領域(124)は、前記第1方向に並び、かつ前記第2セル領域(122)は、前記第1セル領域(120)と前記第3セル領域(124)との間に配置されており、
前記第2セル領域(122)と前記第3セル領域(124)との間のセル間距離(D2)は、前記第2ピッチ(P2)および前記第3ピッチ(P3)のいずれよりも小さい、付記1に記載の半導体装置。
【0121】
(付記20)
前記複数のセルトレンチ(14)は、
前記第1方向に延びるとともに、前記第2方向に第3ピッチ(P3)で配列された第3組のセルトレンチ(S3)と、
前記第2方向に延びるとともに、前記第1方向に第4ピッチ(P4)で配列された第4組のセルトレンチ(S4)と
をさらに含み、
前記半導体層(12)は、前記第3組のセルトレンチ(S3)が配置される第3セル領域(224)と、前記第4組のセルトレンチ(S4)が配置される第4セル領域(226)とをさらに含み、
前記複数の外周トレンチ(18)は、平面視で前記第1セル領域(220)、前記第2セル領域(222)、前記第3セル領域(224)、および前記第4セル領域(226)を囲むように配置されており、
前記第1セル領域(220)と前記第2セル領域(222)とは、前記第1方向に並び、
前記第2セル領域(222)と前記第3セル領域(224)とは、前記第2方向に並び、
前記第3セル領域(224)と前記第4セル領域(226)とは、前記第1方向に並び、
前記第4セル領域(226)と前記第1セル領域(220)とは、前記第2方向に並び、
前記第2セル領域(222)と前記第3セル領域(224)との間のセル間距離(D2)は、前記第2ピッチ(P2)および前記第3ピッチ(P3)のいずれよりも小さく、
前記第3セル領域(224)と前記第4セル領域(226)との間のセル間距離(D3)は、前記第3ピッチ(P3)および前記第4ピッチ(P4)のいずれよりも小さく、
前記第4セル領域(226)と前記第1セル領域(220)との間のセル間距離(D4)は、前記第4ピッチ(P4)および前記第1ピッチ(P1)のいずれよりも小さい、付記1に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0122】
10,100,200…半導体装置
12…半導体層
12A…上面
12B…底面
14…セルトレンチ
14A…側壁
14B…底壁
16…絶縁層
18…外周トレンチ
20,102,202…ゲート配線
22,104,204…ソース配線
24,106,206…ゲートパッド
26,28,30,108,110,112,114,208,210,212,214…ゲートフィンガー
32,116,216…内側セグメント
34,118,218…外周セグメント
36,120,220…第1セル領域
38,122,222…第2セル領域
40…半導体基板
42…エピタキシャル層
44…ドリフト領域
46…ボディ領域
48…ソース領域
50…ドレイン電極
52…ゲートトレンチ
54…フィールドプレートトレンチ
56…電極
58…ゲート電極
58A…上面
58B…底面
58C…側面
60…第1フィールドプレート電極
62…ソースコンタクトプラグ
64…コンタクト領域
66…ゲート絶縁部
68…外周電極
70…第1外周トレンチ
72…第2外周トレンチ
74…外周コンタクト
76…高濃度領域
78…フィールドプレートコンタクトプラグ
80…第2フィールドプレート電極
124,224…第3セル領域
226…第4セル領域
D,D1,D2,D3,D4…セル間距離
P1…第1ピッチ
P2…第2ピッチ
P3…第3ピッチ
P4…第4ピッチ
Sp1…第1間隔
Sp2…第2間隔
S1…第1組のセルトレンチ
S2…第2組のセルトレンチ
S3…第3組のセルトレンチ
S4…第4組のセルトレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10