(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002553
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】部品実装装置及び部品実装ライン
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101806
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】冠者 徹也
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC17
5E353DD05
5E353DD19
5E353EE89
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】部品供給ユニットに配置された代替フィーダーを的確なタイミングで有効に使用することが可能な部品実装装置及び部品実装ラインを提供する。
【解決手段】部品実装装置2の制御ユニット30は、部品供給ユニット24の制御の際に第1算出処理S21、第2算出処理S22及び選択処理S23を行う。第1算出処理S21において制御ユニット30は、基準フィーダー241を使用した場合の基準サイクルタイムCT1を算出する。第2算出処理S22において制御ユニット30は、上流側搬出状況情報J1及び下流側搬入状況情報J2に基づいて搬入出許容時間TT2を算出する。選択処理S23において制御ユニット30は、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長い場合、制約条件LCを満たす範囲で、複数の代替フィーダー242の中から部品の供給に使用する使用代替フィーダーを選択する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送方向に基板を搬送可能に複数の処理装置が連結された部品実装ラインにおいて、前記処理装置として配設される部品実装装置であって、
前記搬送方向上流側の前記処理装置である上流装置から搬出された基板を所定の作業位置に搬入し、且つ、前記作業位置にある基板が前記搬送方向下流側の前記処理装置である下流装置に搬入されるように前記作業位置から基板を搬出する搬送ユニットと、
前記作業位置に搬入された基板に部品を搭載するヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットにより基板に搭載される部品を供給するフィーダーとして、前記ヘッドユニットによる基板に対する部品の搭載効率に基づき設定された基準領域に配置された複数の基準フィーダーと、前記基準領域の外側に配置され前記基準フィーダーと同種の部品を供給可能な複数の代替フィーダーと、を有する部品供給ユニットと、
前記部品供給ユニットにおける部品の供給を制御する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記作業位置に対する基板の搬入から搬出までに要する時間を示すサイクルタイムを算出する処理であって、部品を供給するフィーダーとして前記複数の基準フィーダーを使用した場合の基準サイクルタイムを算出する第1算出処理と、
前記上流装置における基板の搬出状況を示す上流側搬出状況情報と前記下流装置における基板の搬入状況を示す下流側搬入状況情報とに基づいて、前記作業位置に対する基板の搬入から搬出までに許容される時間を示す搬入出許容時間を算出する第2算出処理と、
部品の供給に使用するフィーダーを選択する処理であって、前記搬入出許容時間が前記基準サイクルタイムよりも長い場合、前記作業位置に対する基板の搬入及び搬出が前記搬入出許容時間内で完了するという制約条件を満たす範囲で、前記複数の代替フィーダーの中から部品の供給に使用する使用代替フィーダーを選択する選択処理と、を行う、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記第2算出処理において、前記上流装置における基板の搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻を前記上流側搬出状況情報として取得するとともに、前記下流装置における基板の搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻を前記下流側搬入状況情報として取得し、前記上流側搬出予定時刻及び前記下流側搬入予定時刻に基づいて、前記搬入出許容時間を算出する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、
前記第1算出処理において、前記複数の代替フィーダーごとに、前記複数の基準フィーダーのうちの1つのフィーダーに代替して前記代替フィーダーを使用した場合の代替サイクルタイムを算出するとともに、前記基準サイクルタイムと前記代替サイクルタイムとの差分を示す差分時間を算出し、
前記選択処理において、前記搬入出許容時間よりも短くなる範囲で、前記複数の代替フィーダーごとの前記差分時間を前記基準サイクルタイムに加算していき、当該加算した各前記差分時間に対応した代替フィーダーを前記制約条件を満たす前記使用代替フィーダーとして選択する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、
前記第1算出処理において、前記複数の代替フィーダーの組み合わせパターンを複数生成し、複数の前記組み合わせパターンごとに、前記複数の基準フィーダーに代替して前記組み合わせパターンに属する代替フィーダーを使用した場合の代替サイクルタイムを算出するとともに、前記基準サイクルタイムと前記代替サイクルタイムとの差分を示す差分時間を算出し、
前記選択処理において、前記基準サイクルタイムに前記差分時間を加算した時間が前記搬入出許容時間よりも短くなる前記組み合わせパターンを特定し、その特定した前記組み合わせパターンに属する代替フィーダーを前記制約条件を満たす前記使用代替フィーダーとして選択する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項5】
部品には、予め定められた使用期限が設定されており、
前記制御ユニットは、前記選択処理において、前記複数の代替フィーダーにそれぞれ保持される各部品の前記使用期限が近い順に、前記使用代替フィーダーの選択の優先順を設定する、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
所定の搬送方向に基板を搬送可能に複数の部品実装装置が連結された部品実装ラインであって、
前記複数の部品実装装置は、請求項1~5のいずれか1項に記載の部品実装装置であり、
各前記部品実装装置の前記制御ユニットは、各前記部品実装装置間を順次搬送される基板について、前記搬送方向における自装置と他の装置との位置関係に応じて、前記選択処理において部品の供給に使用するフィーダーとして前記代替フィーダーを選択する対象の基板を特定する、部品実装ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を搭載する部品実装装置及び部品実装ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板等の基板に部品を搭載し、部品搭載基板を生産する部品実装ラインが知られている(例えば、特許文献1参照)。部品実装ラインでは、印刷装置、部品実装装置、リフロー装置などの複数の処理装置が基板を搬送可能に連結されている。部品実装ライン上の部品実装装置は、基板の搬送方向において上流側の上流装置と下流側の下流装置との間で基板の搬入出を行う搬送ユニットと、搬入された基板に部品を搭載するヘッドユニットと、基板に搭載される部品を供給する部品供給ユニットと、を備える。
【0003】
特許文献1には、部品実装ラインにおける部品搭載基板の生産性を低下させることなく生産精度を維持する技術が開示されている。特許文献1に開示される技術では、上流装置から次の基板が搬送されるまでの隙間時間を算出し、当該隙間時間にキャリブレーションなどの自動準備動作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、部品実装装置の部品供給ユニットには、部品を供給する複数のフィーダーが配列される。部品実装ラインでは、部品実装装置においてフィーダーの部品切れに起因して部品の供給が停止すると、部品搭載基板の生産性が低下する虞がある。このため、部品供給ユニットに代替フィーダーを配置する場合がある。この場合、部品切れとなったフィーダーに代わって代替フィーダーから部品を供給することができるため、フィーダーの部品切れに起因した部品供給の停止を抑制することができる。
【0006】
しかしながら、代替フィーダーは、部品切れとなったフィーダーに代替して使用されるため、使用頻度が高くはない。このため、代替フィーダーに保持された部品が使用されないままで部品の使用期限を過ぎてしまう場合がある。そこで、代替フィーダーを的確なタイミングで有効に使用する点で改善の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、部品供給ユニットに配置された代替フィーダーを的確なタイミングで有効に使用することが可能な部品実装装置及び部品実装ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る部品実装装置は、所定の搬送方向に基板を搬送可能に複数の処理装置が連結された部品実装ラインにおいて、前記処理装置として配設される部品実装装置である。この部品実装装置は、前記搬送方向上流側の前記処理装置である上流装置から搬出された基板を所定の作業位置に搬入し、且つ、前記作業位置にある基板が前記搬送方向下流側の前記処理装置である下流装置に搬入されるように前記作業位置から基板を搬出する搬送ユニットと、前記作業位置に搬入された基板に部品を搭載するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットにより基板に搭載される部品を供給するフィーダーとして、前記ヘッドユニットによる基板に対する部品の搭載効率に基づき設定された基準領域に配置された複数の基準フィーダーと、前記基準領域の外側に配置され前記基準フィーダーと同種の部品を供給可能な複数の代替フィーダーと、を有する部品供給ユニットと、前記部品供給ユニットにおける部品の供給を制御する制御ユニットと、を備える。前記制御ユニットは、前記作業位置に対する基板の搬入から搬出までに要する時間を示すサイクルタイムを算出する処理であって、部品を供給するフィーダーとして前記複数の基準フィーダーを使用した場合の基準サイクルタイムを算出する第1算出処理と、前記上流装置における基板の搬出状況を示す上流側搬出状況情報と前記下流装置における基板の搬入状況を示す下流側搬入状況情報とに基づいて、前記作業位置に対する基板の搬入から搬出までに許容される時間を示す搬入出許容時間を算出する第2算出処理と、部品の供給に使用するフィーダーを選択する処理であって、前記搬入出許容時間が前記基準サイクルタイムよりも長い場合、前記作業位置に対する基板の搬入及び搬出が前記搬入出許容時間内で完了するという制約条件を満たす範囲で、前記複数の代替フィーダーの中から部品の供給に使用する使用代替フィーダーを選択する選択処理と、を行う。
【0009】
この部品実装装置によれば、制御ユニットは、部品供給ユニットの基準領域に配置された各基準フィーダーを使用した場合の基準サイクルタイムを第1算出処理において算出し、上流装置及び下流装置における基板の搬入出の状況に応じた搬入出許容時間を第2算出処理において算出する。そして、選択処理において制御ユニットは、搬入出許容時間が基準サイクルタイムよりも長い場合、作業位置に対する基板の搬入及び搬出が搬入出許容時間内で完了するという制約条件を満たす範囲で、複数の代替フィーダーの中から部品の供給に使用する使用代替フィーダーを選択する。搬入出許容時間が基準サイクルタイムよりも長い場合、部品を供給するフィーダーとして部品供給ユニットの基準領域に配置された基準フィーダーのみを使用すると、基板の搬入から搬出が可能となるまでの間に、搬入出許容時間と基準サイクルタイムとの差分に相当する時間的な余裕が生じる。このため、搬入出許容時間が基準サイクルタイムよりも長い場合に、制約条件を満たす範囲で基準フィーダーに代替して使用する代替フィーダーを選択することにより、部品供給ユニットに配置された代替フィーダーを的確なタイミングで有効に使用することができる。
【0010】
上記の部品実装装置において、前記制御ユニットは、前記第2算出処理において、前記上流装置における基板の搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻を前記上流側搬出状況情報として取得するとともに、前記下流装置における基板の搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻を前記下流側搬入状況情報として取得し、前記上流側搬出予定時刻及び前記下流側搬入予定時刻に基づいて、前記搬入出許容時間を算出してもよい。
【0011】
この態様では、制御ユニットは、上流装置における基板の搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻と下流装置における基板の搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻とに基づいて、基準フィーダーに代替して代替フィーダーを使用するタイミングの指標となる搬入出許容時間を算出することができる。
【0012】
上記の部品実装装置において、前記制御ユニットは、前記第1算出処理において、前記複数の代替フィーダーごとに、前記複数の基準フィーダーのうちの1つのフィーダーに代替して前記代替フィーダーを使用した場合の代替サイクルタイムを算出するとともに、前記基準サイクルタイムと前記代替サイクルタイムとの差分を示す差分時間を算出してもよい。この場合、前記制御ユニットは、前記選択処理において、前記搬入出許容時間よりも短くなる範囲で、前記複数の代替フィーダーごとの前記差分時間を前記基準サイクルタイムに加算していき、当該加算した各前記差分時間に対応した代替フィーダーを前記制約条件を満たす前記使用代替フィーダーとして選択する。
【0013】
この態様では、制御ユニットは、複数の代替フィーダーごとに、複数の基準フィーダーのうちの1つのフィーダーに代替して代替フィーダーを使用した場合の代替サイクルタイムを算出するとともに、基準サイクルタイムと代替サイクルタイムとの差分を示す差分時間を算出する。この場合、制御ユニットは、搬入出許容時間よりも短くなる範囲で、複数の代替フィーダーごとの差分時間を基準サイクルタイムに加算していくことにより、加算した各差分時間に対応した代替フィーダーを制約条件を満たす使用代替フィーダーとして選択することができる。
【0014】
上記の部品実装装置において、前記制御ユニットは、前記第1算出処理において、前記複数の代替フィーダーの組み合わせパターンを複数生成し、複数の前記組み合わせパターンごとに、前記複数の基準フィーダーに代替して前記組み合わせパターンに属する代替フィーダーを使用した場合の代替サイクルタイムを算出するとともに、前記基準サイクルタイムと前記代替サイクルタイムとの差分を示す差分時間を算出してもよい。この場合、前記制御ユニットは、前記選択処理において、前記基準サイクルタイムに前記差分時間を加算した時間が前記搬入出許容時間よりも短くなる前記組み合わせパターンを特定し、その特定した前記組み合わせパターンに属する代替フィーダーを前記制約条件を満たす前記使用代替フィーダーとして選択する。
【0015】
この態様では、制御ユニットは、複数の代替フィーダーの組み合わせパターンを複数生成し、複数の組み合わせパターンごとに、複数の基準フィーダーに代替して組み合わせパターンに属する代替フィーダーを使用した場合の代替サイクルタイムを算出するとともに、基準サイクルタイムと代替サイクルタイムとの差分を示す差分時間を算出する。この場合、制御ユニットは、基準サイクルタイムに差分時間を加算した時間が搬入出許容時間よりも短くなる組み合わせパターンを特定することにより、その特定した組み合わせパターンに属する代替フィーダーを制約条件を満たす使用代替フィーダーとして選択することができる。
【0016】
上記の部品実装装置において、部品には、予め定められた使用期限が設定されており、前記制御ユニットは、前記選択処理において、前記複数の代替フィーダーにそれぞれ保持される各部品の前記使用期限が近い順に、前記使用代替フィーダーの選択の優先順を設定してもよい。
【0017】
この態様では、制御ユニットは、複数の代替フィーダーにそれぞれ保持される各部品の使用期限が近い順に、基準フィーダーに代替して使用する代替フィーダーの選択の優先順を設定する。これにより、代替フィーダーに保持された部品の使用期限が期限切れになる前に代替フィーダーを使用することができる。
【0018】
本発明の他の局面に係る部品実装ラインは、所定の搬送方向に基板を搬送可能に複数の部品実装装置が連結された部品実装ラインであって、前記複数の部品実装装置は、上記の部品実装装置である。そして、各前記部品実装装置の前記制御ユニットは、各前記部品実装装置間を順次搬送される基板について、前記搬送方向における自装置と他の装置との位置関係に応じて、前記選択処理において部品の供給に使用するフィーダーとして前記代替フィーダーを選択する対象の基板を特定する。
【0019】
この部品実装ラインによれば、複数の部品実装装置間を基板が順次搬送される。この場合、搬入出許容時間が基準サイクルタイムよりも長くなって基準フィーダーに代替して代替フィーダーを使用するタイミングでは、搬入出される基板が各部品実装装置で異なる。そこで、各部品実装装置の制御ユニットは、部品実装ラインにおいて順次搬送される基板について、搬送方向における自装置と他の装置との位置関係に応じて、部品の供給に使用するフィーダーとして代替フィーダーを選択する対象の基板を特定する。これにより、各部品実装装置において特定した基板を対象に、代替フィーダーを的確なタイミングで有効に使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、部品供給ユニットに配置された代替フィーダーを的確なタイミングで有効に使用することが可能な部品実装装置及び部品実装ラインを提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る部品実装装置が適用された部品実装ラインを概略的に示す図である。
【
図4】部品実装装置のヘッドユニットの部分を拡大して示す図である。
【
図5】部品実装装置の部品供給ユニットの部分を拡大して示す図である。
【
図6】部品実装ライン上の複数の部品実装装置における基板の搬入出の状況を示す図であって、各部品実装装置における基板の搬入出が順調に進行している場合の図である。
【
図7】部品実装ライン上の複数の部品実装装置における基板の搬入出の状況を示す図であって、各部品実装装置における基板の搬入出に遅延が生じた場合の図である。
【
図8】部品実装装置に備えられる制御ユニットの処理のフローを示す図である。
【
図9】制御ユニットが実行する部品供給制御の処理フローの第1例を示す図である。
【
図10】制御ユニットが実行する部品供給制御の処理フローの第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る部品実装装置及び部品実装ラインについて、図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に示される部品実装ライン1は、プリント基板等の基板PP上に電子部品等の部品が搭載された部品搭載基板を生産するための生産ラインである。部品実装ライン1では、所定の搬送方向Xに基板PPを搬送可能に複数の処理装置が連結されている。部品実装ライン1では、処理装置として、基板PPに半田ペーストを印刷する印刷装置1A、基板PPに部品を搭載する複数の部品実装装置2、リフロー処理を行うリフロー装置1Bなどが配設される。部品実装ライン1では、印刷装置1A、複数の部品実装装置2、リフロー装置1Bが、基板PPの搬送方向Xの上流側から下流側に向かって順番に並んでいる。また、
図1では、第1部品実装装置2A、第2部品実装装置2B、第3部品実装装置2C、第4部品実装装置2D、第5部品実装装置2Eの5台の部品実装装置2が、基板PPの搬送方向Xの上流側から下流側に向かって順番に並んで配設される例が示されている。なお、基板PPの搬送方向Xにおいて、例えば、印刷装置1Aと部品実装装置2との間の位置、部品実装装置2とリフロー装置1Bとの間の位置、リフロー装置1Bの下流側の位置などに、検査装置が配設されてもよい。
【0024】
また、部品実装ライン1では、印刷装置1A、複数の部品実装装置2、リフロー装置1Bが、各種の情報を互いに通信可能に接続されている。なお、印刷装置1A、複数の部品実装装置2、リフロー装置1Bが、各種の情報を通信可能に管理装置1Cと接続されていてもよい。
【0025】
図1に加えて
図2~
図5を参照しながら、部品実装装置2について説明する。なお、以下では、方向関係については水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて説明する。
図3に示されるように、部品実装装置2は、本体フレーム21、搬送ユニット23、部品供給ユニット24、及びヘッドユニット25を備える。
【0026】
本体フレーム21は、部品実装装置2を構成する各ユニット等が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向(鉛直方向)から見た平面視で略矩形状に形成されている。
【0027】
搬送ユニット23は、例えば、基板PPの搬送方向Xに平行なX軸方向に延びるコンベアであり、本体フレーム21に配置される。搬送ユニット23は、基板PPを搬送方向Xに搬送する。具体的には、搬送ユニット23は、部品実装ライン1において搬送方向Xの上流側に位置する上流装置から搬出された基板PPを所定の作業位置WPに搬入し、且つ、作業位置WPにある基板PPが搬送方向Xの下流側に位置する下流装置に搬入されるように作業位置WPから基板PPを搬出する。
図1に示される部品実装ライン1において、第1部品実装装置2Aを例に挙げると、搬送ユニット23は、上流装置である印刷装置1Aから搬出された基板PPを作業位置WPに搬入し、且つ、作業位置WPにある基板PPが下流装置である第2部品実装装置2Bに搬入されるように作業位置WPから基板PPを搬出する。
【0028】
搬送ユニット23の搬送により作業位置WPに搬入された基板PPは、基板支持装置28によって位置決めされる。基板支持装置28は、プッシュアップピンにより基板PPを支持することにより、当該基板PPを作業位置WPに位置決めする。
【0029】
部品供給ユニット24は、本体フレーム21におけるY軸方向の一方側及び他方側のそれぞれの端部に配置される。部品供給ユニット24には、部品を供給する複数のフィーダー240がX軸方向に並ぶように配列される。フィーダー240は、部品供給ユニット24に着脱自在に装着される。フィーダー240は、複数の部品を保持し、その保持した部品をフィーダー内に設定された所定の部品供給位置に供給する。フィーダー240は、部品を供給可能に構成されていれば、その部品供給方式は特に限定されない。フィーダー240としては、例えば、テープを担体として部品を供給する方式のテープフィーダー、部品が載置されたトレイを移動させることにより部品を供給する方式のトレイフィーダー、筒状のスティックに収納された部品を当該スティックから押し出しながら供給する方式のスティックフィーダーなどを採用することができる。
【0030】
ヘッドユニット25は、
図3に示されるように、移動フレーム27に保持されている。本体フレーム21上には、Y軸方向に延びる固定レール261と、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸262とが配設されている。移動フレーム27は固定レール261上に配置され、この移動フレーム27に設けられたナット部分271がボールねじ軸262に螺合している。また、移動フレーム27には、X軸方向に延びるガイド部材272と、X軸サーボモータ274により駆動されるボールねじ軸273とが配設されている。このガイド部材272にヘッドユニット25が移動可能に保持され、このヘッドユニット25に設けられたナット部分がボールねじ軸273に螺合している。そして、Y軸サーボモータ263の作動により移動フレーム27がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ274の作動によりヘッドユニット25が移動フレーム27に対してX軸方向に移動する。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム27の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム27に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24と搬送ユニット23により作業位置WPに搬入された基板PPとにわたって移動可能である。
【0031】
ヘッドユニット25は、
図4に示されるように、複数の搭載ヘッド251を備える。
図4では、X軸方向に等間隔で一列に並ぶ8本の搭載ヘッド251を備えたヘッドユニット25が示されている。各搭載ヘッド251は、部品供給ユニット24から部品を取り出すとともに、その取り出した部品を基板PP上に搭載(実装)する搭載動作を行う。各搭載ヘッド251は、それぞれヘッドユニット25のフレームに対して鉛直方向(Z軸方向)の移動及びノズル中心軸(R軸)回りの回転が可能とされ、サーボモータを駆動源とする昇降駆動部及び回転駆動部により駆動される。また、搭載ヘッド251には、その先端(下端)に吸着ノズル2511が装着されている。吸着ノズル2511は、部品供給ユニット24に配列されたフィーダー240により供給された部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル2511は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル2511に負圧が供給されることで当該吸着ノズル2511による部品の吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0032】
なお、
図3に示されるように、本体フレーム21上において部品供給ユニット24と搬送ユニット23との間には、部品認識カメラC1が設置されている。部品認識カメラC1は、搭載ヘッド251の吸着ノズル2511によって吸着保持された部品の画像を撮像することにより、吸着ノズル2511に対する部品の吸着姿勢を検出する。
【0033】
基板PPには、1枚の基板当たりに複数種の部品が搭載される。更に、基板PPの種類ごとに搭載される部品の種類が異なる。このため、部品実装装置2において、複数種の基板PPに対応して部品搭載基板を生産するためには、その生産に使用される部品種に対応した数のフィーダー240が必要となる。複数のフィーダー240の各々は、部品供給ユニット24に対して個々の着脱が可能であり、部品供給ユニット24内での配置を自由に設定し得るようになっている。
【0034】
図5に示されるように、部品供給ユニット24は、部品を供給するフィーダー240として、部品供給ユニット24内の基準領域AR1に配置された複数の基準フィーダー241と、部品供給ユニット24内において基準領域AR1の外側の外側領域AR2に配置された複数の代替フィーダー242と、を有する。基準領域AR1は、部品供給ユニット24内において、ヘッドユニット25による基板PPに対する部品の搭載効率に基づいて設定された領域である。基準領域AR1は、基板PPに対する部品の搭載時にヘッドユニット25の移動がなるべく少なくなるように、基板PPの生産に必要な基準フィーダー241が密集した状態で配置される領域となる。部品を供給するフィーダー240として部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された基準フィーダー241を使用することにより、ヘッドユニット25による基板PPに対する部品の搭載効率を可及的に高めることができる。代替フィーダー242は、基準フィーダー241と同種の部品を供給可能なフィーダーであって、基準フィーダー241に代替して使用される。
【0035】
なお、基準フィーダー241及び代替フィーダー242に保持されている部品には、予め定められた使用期限が設定されている。
【0036】
図2に示されるように、部品実装装置2は、制御ユニット30、通信ユニット31、及び記憶ユニット32を更に備える。
【0037】
通信ユニット31は、部品実装ライン1上の各処理装置との通信を実現するインターフェイス回路である。記憶ユニット32は、制御ユニット30により算出された各種のデータを記憶するユニットである。
【0038】
制御ユニット30は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶領域、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御ユニット30は、CPUがHDDやフラッシュメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、搬送ユニット23、部品供給ユニット24及びヘッドユニット25を制御するための各種の処理を行う。
【0039】
図6及び
図7は、部品実装ライン1上の第1~第5部品実装装置2A~2Eにおける制御ユニット30が搬送ユニット23、部品供給ユニット24及びヘッドユニット25を制御した状態での基板PPの搬入出の状況を示している。
図6及び
図7では、基板PP1、基板PP2、基板PP3、基板PP4、基板PP5及び基板PP6が、第1~第5部品実装装置2A~2E間を順次搬送される例が示されている。
【0040】
部品実装ライン1では、第1~第5部品実装装置2A~2Eの各部品供給ユニット24において基準領域AR1に配置された基準フィーダー241を部品供給に使用した場合に、順次搬送される基板PP1~PP6に対する部品の搭載効率が略同一となるように、部品実装ライン1のラインバランスが設定されている。すなわち、基準フィーダー241から供給される部品を用いてヘッドユニット25が1枚の基板PPに全部品を搭載する時間を含む、作業位置WPに対する基板PPの搬入から搬出までに要する時間を示す基準サイクルタイムCT1が、第1~第5部品実装装置2A~2Eで略同一である。この場合、部品を供給するフィーダー240として基準フィーダー241のみを使用した状態で、部品実装ライン1上の第1~第5部品実装装置2A~2Eにおける基板PP1~PP6の搬入出が順調に進行している場合には、第1~第5部品実装装置2A~2Eにおいて、作業位置WPに対する基板PPの搬入から搬出までに許容される時間を示す搬入出許容時間TT2は、基準サイクルタイムCT1と一致しており、
図6に示されるように第1~第5部品実装装置2A~2Eで各基板PP1~PP6に対応して略同一である。
【0041】
一方、
図7に示されるように、部品実装ライン1において基板PP1~PP6が順次搬送されるときに、第1~第5部品実装装置2A~2Eのうち例えば第3部品実装装置2Cにおいて基板PP3の搬出に遅延が生じる、或いは、第3部品実装装置2Cの基板PP3に対する部品の搭載効率が低く部品実装ライン1のラインバランスが適正ではない場合には、第1~第5部品実装装置2A~2Eにおける搬入出許容時間TT2は、基準サイクルタイムCT1と一致しない場面が想定され、第1~第5部品実装装置2A~2Eで各基板PP1~PP6に対応して略同一ではなくなる。
【0042】
具体的には、第3部品実装装置2Cにおいて基板PP3の搬出に遅延が生じた場合、搬送方向Xの上流側では、第2部品実装装置2Bにおいては基板PP3に対して搬送順が後ろの基板PP4以降の搬入出に遅延が生じ、第1部品実装装置2Aにおいては基板PP4に対して搬送順が後ろの基板PP5以降の搬入出に遅延が生じる。この場合、第2部品実装装置2Bにおいては基板PP4以降の搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長くなることが想定され、第1部品実装装置2Aにおいては基板PP5以降の搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長くなることが想定される。また、搬送方向Xの下流側では、第4部品実装装置2Dにおいては基板PP3に対して搬送順が前の基板PP2以降の搬入出に遅延が生じ、第5部品実装装置2Eにおいては基板PP2に対して搬送順が前の基板PP1以降の搬入出に遅延が生じる。この場合、第4部品実装装置2Dにおいては基板PP2以降の搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長くなることが想定され、第5部品実装装置2Eにおいては基板PP1以降の搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長くなることが想定される。
【0043】
上記のように搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長くなる場合、部品を供給するフィーダー240として部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された基準フィーダー241のみを使用すると、基板PPの搬入から搬出が可能となるまでの間に、搬入出許容時間TT2と基準サイクルタイムCT1との差分に相当する時間的な余裕が生じる。そこで、部品実装ライン1上の第1~第5部品実装装置2A~2Eにおける制御ユニット30は、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長くなるタイミングを利用して、基準フィーダー241に代替して代替フィーダー242を使用するように部品供給ユニット24における部品の供給を制御する。
【0044】
図8に示されるように、制御ユニット30は、搬送ユニット23を制御する搬送制御S1と、部品供給ユニット24を制御する部品供給制御S2と、ヘッドユニット25を制御するヘッド制御S3と、を実行する。
【0045】
制御ユニット30は、搬送制御S1において搬送処理S11を行う。制御ユニット30による搬送処理S11が行われると、搬送ユニット23は、部品実装ライン1において搬送方向Xの上流側に位置する上流装置から搬出された基板PPを所定の作業位置WPに搬入し、且つ、作業位置WPにある基板PPが搬送方向Xの下流側に位置する下流装置に搬入されるように作業位置WPから基板PPを搬出する。
【0046】
制御ユニット30は、ヘッド制御S3において部品搭載処理S31を行う。制御ユニット30による部品搭載処理S31が行われると、ヘッドユニット25は、搬送ユニット23により作業位置WPに搬入された基板PPに、部品供給ユニット24から供給された部品を搭載する。なお、制御ユニット30は、搬送処理S11により搬送ユニット23が基板PPを作業位置WPに搬入した後であって作業位置WPから基板PPを搬出する前に、部品搭載処理S31を行う。
【0047】
制御ユニット30は、部品供給制御S2において、第1算出処理S21、第2算出処理S22、選択処理S23、及び部品供給処理S24を行う。
【0048】
第1算出処理S21において、制御ユニット30は、作業位置WPに対する基板PPの搬入から搬出までに要する時間を示すサイクルタイムとして、基準フィーダー241のみを部品供給用のフィーダーとして使用した場合の基準サイクルタイムCT1を少なくとも算出する。制御ユニット30により算出された基準サイクルタイムCT1は、記憶ユニット32に記憶される。
【0049】
第2算出処理S22において、制御ユニット30は、上流装置における基板PPの搬出状況を示す上流側搬出状況情報J1と下流装置における基板PPの搬入状況を示す下流側搬入状況情報J2とを、通信ユニット31を介して取得する。そして、制御ユニット30は、上流側搬出状況情報J1及び下流側搬入状況情報J2に基づいて、作業位置WPに対する基板PPの搬入から搬出までに許容される時間を示す搬入出許容時間TT2を算出する。制御ユニット30により算出された搬入出許容時間TT2は、記憶ユニット32に記憶される。
【0050】
なお、
図8に示されるように、制御ユニット30は、搬送処理S11を行う前に、第1算出処理S21及び第2算出処理S22を行う。
【0051】
選択処理S23において、制御ユニット30は、基準サイクルタイムCT1と搬入出許容時間TT2との比較に基づいて、部品供給ユニット24に配置される複数のフィーダー240の中から、ヘッドユニット25が基板PPに搭載する部品を供給するために使用されるフィーダー240を選択する。制御ユニット30は、搬送処理S11により搬送ユニット23が基板PPを作業位置WPに搬入するタイミングで、選択処理S23を行う。なお、制御ユニット30は、部品搭載処理S31によりヘッドユニット25が基板PPに部品を搭載するタイミングごとに、選択処理S23を行ってもよい。
【0052】
部品供給処理S24において、制御ユニット30は、選択処理S23において選択したフィーダー240から部品を供給させる。制御ユニット30は、部品搭載処理S31と同期して部品供給処理S24を行う。
【0053】
制御ユニット30が実行する部品供給制御S2における第1算出処理S21、第2算出処理S22、選択処理S23及び部品供給処理S24の処理フローについて、
図9を参照しながら第1例を説明し、その後、
図10を参照しながら第2例を説明する。
【0054】
(部品供給制御の処理フローの第1例)
まず、
図9を参照しながら部品供給制御S2の処理フローの第1例について説明する。
【0055】
第1算出処理S21において、制御ユニット30は、部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された基準フィーダー241のみを部品供給用のフィーダーとして使用した場合の基準サイクルタイムCT1を算出する(ステップS211)。更に、制御ユニット30は、部品供給ユニット24の外側領域AR2に配置された複数の代替フィーダー242ごとに、複数の基準フィーダー241のうちの1つのフィーダーに代替して代替フィーダー242を使用した場合の代替サイクルタイムCT2を算出する(ステップS212)。そして、制御ユニット30は、複数の代替フィーダー242ごとに、基準サイクルタイムCT1と代替サイクルタイムCT2との差分を示す差分時間TT1を算出する(ステップS213)。制御ユニット30により算出された基準サイクルタイムCT1及び代替フィーダー242ごとの差分時間TT1は、記憶ユニット32に記憶される。
【0056】
第2算出処理S22において、制御ユニット30は、上流側搬出状況情報J1と下流側搬入状況情報J2とを、通信ユニット31を介して取得する(ステップS221)。具体的には、制御ユニット30は、上流装置における基板PPの搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻を上流側搬出状況情報J1として取得するとともに、下流装置における基板PPの搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻を下流側搬入状況情報J2として取得する。
【0057】
図7に示される例において、例えば第3部品実装装置2Cにおける基板PP3の搬入出が行われる時刻T5から時刻T6までの間の期間に着目すると、第1部品実装装置2Aの制御ユニット30は、上流装置である印刷装置1Aにおける基板PP5の搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻T5を上流側搬出状況情報J1として取得するとともに、下流装置である第2部品実装装置2Bにおける基板PP5の搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻T6を下流側搬入状況情報J2として取得する。第2部品実装装置2Bの制御ユニット30は、上流装置である第1部品実装装置2Aにおける基板PP4の搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻T5を上流側搬出状況情報J1として取得するとともに、下流装置である第3部品実装装置2Cにおける基板PP4の搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻T6を下流側搬入状況情報J2として取得する。第4部品実装装置2Dの制御ユニット30は、上流装置である第3部品実装装置2Cにおける基板PP2の搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻T5を上流側搬出状況情報J1として取得するとともに、下流装置である第5部品実装装置2Eにおける基板PP2の搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻T6を下流側搬入状況情報J2として取得する。第5部品実装装置2Eの制御ユニット30は、上流装置である第4部品実装装置2Dにおける基板PP1の搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻T5を上流側搬出状況情報J1として取得するとともに、下流装置であるリフロー装置1Bにおける基板PP1の搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻T6を下流側搬入状況情報J2として取得する。
【0058】
そして、制御ユニット30は、上流側搬出状況情報J1及び下流側搬入状況情報J2に基づいて、搬入出許容時間TT2を算出する(ステップS222)。制御ユニット30は、上流側搬出予定時刻で示される上流側搬出状況情報J1と下流側搬入予定時刻で示される下流側搬入状況情報J2とに基づいて、基準フィーダー241に代替して代替フィーダー242を使用するタイミングの指標となる搬入出許容時間TT2を算出することができる。制御ユニット30により算出された搬入出許容時間TT2は、記憶ユニット32に記憶される。
【0059】
選択処理S23において、制御ユニット30は、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長いか否かを判定する(ステップS231)。搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1以下の場合(ステップS231でNO)、制御ユニット30は、部品の供給に使用するフィーダー240として、部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された基準フィーダー241を選択する(ステップS232)。
【0060】
一方、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長い場合(ステップS231でYES)、制御ユニット30は、作業位置WPに対する基板PPの搬入及び搬出が搬入出許容時間TT2内で完了するという制約条件LCを満たす範囲で、部品供給ユニット24の外側領域AR2に配置された複数の代替フィーダー242の中から基準フィーダー241に代替して使用する代替フィーダー242(使用代替フィーダー)を選択する(ステップS233)。具体的には、制御ユニット30は、搬入出許容時間TT2よりも短くなる範囲で、複数の代替フィーダー242ごとの差分時間TT1を基準サイクルタイムCT1に加算していき、当該加算した各差分時間TT1に対応した代替フィーダー242を制約条件LCを満たす使用代替フィーダー242として選択する。
【0061】
選択処理S23において部品供給用のフィーダー240の選択を完了すると、制御ユニット30は、部品供給処理S24において、選択処理S23において選択したフィーダー240から部品を供給させる。
【0062】
以上説明したように、部品実装ライン1上の第1~第5部品実装装置2A~2Eにおいて、制御ユニット30は、部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された各基準フィーダー241を使用した場合の基準サイクルタイムCT1を第1算出処理S21において少なくとも算出し、上流装置及び下流装置における基板PPの搬入出の状況に応じた搬入出許容時間TT2を第2算出処理S22において算出する。そして、選択処理S23において制御ユニット30は、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長い場合、作業位置WPに対する基板PPの搬入及び搬出が搬入出許容時間TT2内で完了するという制約条件LCを満たす範囲で、複数の代替フィーダー242の中から部品の供給に使用する使用代替フィーダー242を選択する。
【0063】
搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長い場合、部品を供給するフィーダー240として部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された基準フィーダー241のみを使用すると、基板PPの搬入から搬出が可能となるまでの間に、搬入出許容時間TT2と基準サイクルタイムCT1との差分時間TT1に相当する時間的な余裕が生じる。このため、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長い場合に、制約条件LCを満たす範囲で基準フィーダー241に代替して使用する代替フィーダー242を選択することにより、部品供給ユニット24に配置された代替フィーダー242を的確なタイミングで有効に使用することができる。
【0064】
また、既述の通り、基準フィーダー241及び代替フィーダー242に保持される部品には、予め定められた使用期限が設定されている。この場合、第1~第5部品実装装置2A~2Eの制御ユニット30は、選択処理S23において、複数の代替フィーダー242にそれぞれ保持される各部品の使用期限が近い順に、基準フィーダー241に代替して使用する代替フィーダー242の選択の優先順を設定する。これにより、代替フィーダー242に保持された部品の使用期限が期限切れになる前に代替フィーダー242を使用することができる。
【0065】
また、
図7に示されるように、部品実装ライン1において第1~第5部品実装装置2A~2E間を基板PP1~PP6が順次搬送される。
図7に示される例において例えば時刻T5から時刻T6までの間の期間に着目すると、第1部品実装装置2Aでは基板PP5の搬入出が行われ、第2部品実装装置2Bでは基板PP4の搬入出が行われ、第3部品実装装置2Cでは基板PP3の搬入出が行われ、第4部品実装装置2Dでは基板PP2の搬入出が行われ、第5部品実装装置2Eでは基板PP1の搬入出が行われる。この場合、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長くなって基準フィーダー241に代替して代替フィーダー242を使用するタイミングでは、搬入出される基板PPが第1~第5部品実装装置2A~2Eの間で異なる。
【0066】
そこで、第1~第5部品実装装置2A~2Eの制御ユニット30は、部品実装ライン1において順次搬送される基板PP1~PP6について、搬送方向Xにおける自装置と他の装置との位置関係に応じて、選択処理S23において部品の供給に使用するフィーダー240として代替フィーダー242を選択する対象の基板PPを特定する。
図7に示される例では、第1部品実装装置2Aの制御ユニット30は、選択処理S23において、基板PP3の搬出に遅延が生じている第3部品実装装置2Cと自装置である第1部品実装装置2Aとの位置関係に応じて、代替フィーダー242を選択する対象の基板として基板PP5を特定する。第2部品実装装置2Bの制御ユニット30は、選択処理S23において、基板PP3の搬出に遅延が生じている第3部品実装装置2Cと自装置である第2部品実装装置2Bとの位置関係に応じて、代替フィーダー242を選択する対象の基板として基板PP4,PP5を特定する。第4部品実装装置2Dの制御ユニット30は、選択処理S23において、基板PP3の搬出に遅延が生じている第3部品実装装置2Cと自装置である第4部品実装装置2Dとの位置関係に応じて、代替フィーダー242を選択する対象の基板として基板PP2を特定する。第5部品実装装置2Eの制御ユニット30は、選択処理S23において、基板PP3の搬出に遅延が生じている第3部品実装装置2Cと自装置である第5部品実装装置2Eとの位置関係に応じて、代替フィーダー242を選択する対象の基板として基板PP1,PP2を特定する。これにより、第1~第5部品実装装置2A~2Eにおいて特定した基板PPを対象に、代替フィーダー242を的確なタイミングで有効に使用することができる。
【0067】
(部品供給制御の処理フローの第2例)
図10を参照しながら部品供給制御S2の処理フローの第2例について説明する。
【0068】
第1算出処理S21において、制御ユニット30は、部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された基準フィーダー241のみを部品供給用のフィーダーとして使用した場合の基準サイクルタイムCT1を算出する(ステップS211)。更に、制御ユニット30は、部品供給ユニット24の外側領域AR2に配置された複数の代替フィーダー242の組み合わせパターンPTを複数生成する(ステップS212)。そして、制御ユニット30は、生成した複数の組み合わせパターンPTごとに、複数の基準フィーダー241に代替して組み合わせパターンPTに属する代替フィーダー242を使用した場合の代替サイクルタイムCT2を算出する(ステップS213)。そして、制御ユニット30は、複数の組み合わせパターンPTごとに、基準サイクルタイムCT1と代替サイクルタイムCT2との差分を示す差分時間TT1を算出する(ステップS214)。制御ユニット30により算出された基準サイクルタイムCT1及び組み合わせパターンPTごとの差分時間TT1は、記憶ユニット32に記憶される。
【0069】
第2算出処理S22において、制御ユニット30は、上流側搬出状況情報J1と下流側搬入状況情報J2とを、通信ユニット31を介して取得する(ステップS221)。具体的には、制御ユニット30は、上流装置における基板PPの搬出の予定時刻を示す上流側搬出予定時刻を上流側搬出状況情報J1として取得するとともに、下流装置における基板PPの搬入の予定時刻を示す下流側搬入予定時刻を下流側搬入状況情報J2として取得する。そして、制御ユニット30は、上流側搬出状況情報J1及び下流側搬入状況情報J2に基づいて、搬入出許容時間TT2を算出する(ステップS222)。制御ユニット30により算出された搬入出許容時間TT2は、記憶ユニット32に記憶される。
【0070】
選択処理S23において、制御ユニット30は、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長いか否かを判定する(ステップS231)。搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1以下の場合(ステップS231でNO)、制御ユニット30は、部品の供給に使用するフィーダー240として、部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された基準フィーダー241を選択する(ステップS232)。
【0071】
一方、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長い場合(ステップS231でYES)、制御ユニット30は、作業位置WPに対する基板PPの搬入及び搬出が搬入出許容時間TT2内で完了するという制約条件LCを満たす範囲で、部品供給ユニット24の外側領域AR2に配置された複数の代替フィーダー242の中から基準フィーダー241に代替して使用する代替フィーダー242(使用代替フィーダー)を選択する。具体的には、制御ユニット30は、基準サイクルタイムCT1に組み合わせパターンPTごとの差分時間TT1を加算した時間が搬入出許容時間TT2よりも短くなる組み合わせパターンPTを特定し(ステップS233)、その特定した組み合わせパターンPTに属する代替フィーダー242を制約条件LCを満たす使用代替フィーダー242として選択する(ステップS234)。
【0072】
選択処理S23において部品供給用のフィーダー240の選択を完了すると、制御ユニット30は、部品供給処理S24において、選択処理S23において選択したフィーダー240から部品を供給させる。
【0073】
以上説明したように、部品実装ライン1上の第1~第5部品実装装置2A~2Eにおいて、制御ユニット30は、部品供給ユニット24の基準領域AR1に配置された各基準フィーダー241を使用した場合の基準サイクルタイムCT1を第1算出処理S21において少なくとも算出し、上流装置及び下流装置における基板PPの搬入出の状況に応じた搬入出許容時間TT2を第2算出処理S22において算出する。そして、選択処理S23において制御ユニット30は、搬入出許容時間TT2が基準サイクルタイムCT1よりも長い場合、作業位置WPに対する基板PPの搬入及び搬出が搬入出許容時間TT2内で完了するという制約条件LCを満たす範囲で、複数の代替フィーダー242の中から部品の供給に使用する使用代替フィーダー242を選択する。これにより、部品供給ユニット24に配置された代替フィーダー242を的確なタイミングで有効に使用することができる。
【0074】
また、既述の通り、基準フィーダー241及び代替フィーダー242に保持される部品には、予め定められた使用期限が設定されている。この場合、第1~第5部品実装装置2A~2Eの制御ユニット30は、選択処理S23において、複数の代替フィーダー242にそれぞれ保持される各部品の使用期限が近い順に、基準フィーダー241に代替して使用する代替フィーダー242の選択の優先順を設定する。具体的には、制御ユニット30は、選択処理S23において使用代替フィーダー242を選択するための組み合わせパターンPTを特定する際に、例えば、使用期限が最も近い部品を保持した代替フィーダー242が属する組み合わせパターンPTを特定する。これにより、代替フィーダー242に保持された部品の使用期限が期限切れになる前に代替フィーダー242を使用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 部品実装ライン
2 部品実装装置
23 搬送ユニット
24 部品供給ユニット
240 フィーダー
241 基準フィーダー
242 代替フィーダー
25 ヘッドユニット
30 制御ユニット
CT1 基準サイクルタイム
CT2 代替サイクルタイム
J1 上流側搬出状況情報
J2 下流側搬入状況情報
TT1 差分時間
TT2 搬入出許容時間