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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025538
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】保護装置及び保護方法
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/06 20060101AFI20240216BHJP
   A42B 3/12 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A42B3/06
A42B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129052
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 征幸
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA05
3B107CA02
3B107DA01
3B107DA03
3B107EA19
(57)【要約】
【課題】保護対象物を保護する動作を繰り返し行えるようにする技術を提供する。
【解決手段】保護装置が、外殻容器と、保護体と、駆動部とを備え、保護体は、保護対象物の少なくとも一部を囲う形状で保護対象物に対して近位と遠位とに位置するように、互いに距離を空けて配置され、外力が加わった時に互いの距離が変化するように形成われた少なくとも2つのフレームを含むフレーム集合体と、積層方向に配置される複数のフレーム集合体の各々を接続する接続部とを備え、保護体は、作動前において、複数のフレーム集合体の積層方向における間隔が所定の初期距離とされた状態で外殻容器に収容され、作動時に、積層方向に配置される複数のフレーム集合体のうちの一端にある第一のフレーム集合体を維持したままで、駆動部によって複数のフレーム集合体の間隔が初期距離よりも長くなるように駆動され、他端にある第二のフレーム集合体が保護位置まで突出される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻容器と、
前記外殻容器に収納され、作動時に前記外殻容器から保護位置まで突出し、保護対象物の周囲を取り囲む保護体と、
前記保護体を前記外殻容器から前記保護位置まで突出させる駆動部と、
を備え、
前記保護体は、
保護対象物の少なくとも一部を囲う形状で、前記保護対象物に対して近位と遠位とに位置するように、互いに距離を空けて配置されており、外力が加わった時に互いの距離が変化するように形成された少なくとも2つのフレームを含むフレーム集合体と、
積層方向に配置される複数の前記フレーム集合体の各々を接続する接続部と、
を備え、
前記保護体は、作動前において、前記複数のフレーム集合体の前記積層方向における間隔が所定の初期距離とされた状態で前記外殻容器に収容され、作動時に、前記積層方向に配置される前記複数のフレーム集合体のうちの一端にある第一のフレーム集合体が前記外殻容器の内部に固定された状態を維持したままで、前記駆動部によって前記複数のフレーム集合体の間隔が前記初期距離よりも長くなるように駆動され、前記複数のフレーム集合体のうちの他端にある第二のフレーム集合体が前記保護位置まで突出される
保護装置。
【請求項2】
前記フレーム集合体に含まれる前記少なくとも2つのフレームは、外力が加わった場合に、夫々の間隔を変えて衝撃を吸収するように、少なくとも何れかが弾性を有している請求項1に記載の保護装置。
【請求項3】
前記保護対象物の周囲の状態及び前記保護対象物の状態のうち、少なくとも一つを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記駆動部を作動させる制御部と、
を更に備える請求項1又は2に記載の保護装置。
【請求項4】
前記フレーム集合体は、前記少なくとも2つのフレームの間隔を所定の距離に保つように前記少なくとも2つのフレームを接続するサブフレームを備え、
前記サブフレームは、前記少なくとも2つのフレームに外力が加わった場合、前記少なくとも2つのフレームの間隔を変えて衝撃を吸収するように弾性を有している請求項1又は2に記載の保護装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのフレームが、前記保護対象物を囲むように長手に形成され、前記サブフレームが前記少なくとも2つのフレームの長手端部同士を接続する請求項4に記載の保護装置。
【請求項6】
前記駆動部が、発条と、作動前において前記発条を圧縮した状態で係止する係止部とを備え、作動時に前記係止部が前記発条の係止を解除することで、前記発条が前記保護体を前記外殻容器から突出した状態に駆動する請求項3に記載の保護装置。
【請求項7】
請求項3に記載の保護装置を用いた保護方法であって、
前記検出部が、前記保護対象物の周囲の状態及び前記保護対象物の状態のうち、少なくとも一つを検出するステップと、
前記検出部の検出結果に基づいて前記制御部が、前記保護装置を作動させるか否かを判定するステップと、
前記保護装置を作動させると判定した場合に、前記制御部が前記駆動部を作動させて前
記保護体を前記外殻容器から突出した状態に駆動させるステップを含む、保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護装置及び保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帽子本体に取り付けられる複数の分割衝撃吸収要素を備え、頭部に対して、法線方向に加わる衝撃力と、接線方向に加わる衝撃力との双方を緩和する頭部保護具が開示されている。
【0003】
特許文献2には、防護服のカラーとして取り付けられ、防護服を装着した人が転倒した際に膨張して首や頭の一部を保護する保護具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-168888号公報
【特許文献2】米国特許第7150048号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置は、衝撃吸収要素をコンパクトに収容することができず、気軽に利用しにくいという問題があった。特許文献2の装置は、非活性時にチャンバが収縮した状態で装着され、転倒時(活性化時)に圧縮ガスによりチャンバが膨張する構成であり、一度チャンバが膨張すると、元の状態に戻すことが難しく、繰り返しの使用には適さないという問題があった。
【0006】
本開示の技術は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、作動前において保護体を外殻容器に収容した状態とし、作動時に保護体を外殻容器から突出させて保護対象物を保護する動作を繰り返し行えるようにする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の保護装置は、
外殻容器と、
前記外殻容器に収納され、作動時に前記外殻容器から保護位置まで突出し、保護対象物の周囲を取り囲む保護体と、
前記保護体を前記外殻容器から前記保護位置まで突出させる駆動部と、
を備え、
前記保護体は、
保護対象物の少なくとも一部を囲う形状で、前記保護対象物に対して近位と遠位とに位置するように、互いに距離を空けて配置されており、外力が加わった時に互いに距離が変化するように形成された少なくとも2つのフレームを含むフレーム集合体と、
積層方向に配置される複数の前記フレーム集合体の各々を接続する接続部と、
を備え、
前記保護体は、作動前において、前記複数のフレーム集合体の前記積層方向における間隔が所定の初期距離とされた状態で前記外殻容器に収容され、作動時に、前記積層方向に配置される前記複数のフレーム集合体のうちの一端にある第一のフレーム集合体が前記外殻容器の内部に固定された状態を維持したままで、前記駆動部によって前記複数のフレーム集合体の間隔が前記初期距離よりも長くなるように駆動され、前記複数のフレーム集合体のうちの他端にある第二のフレーム集合体が前記保護位置まで突出される。
【0008】
前記保護装置において、
前記フレーム集合体に含まれる前記少なくとも2つのフレームは、外力が加わった場合に、夫々の間隔を変えて衝撃を吸収するように、少なくとも何れかが弾性を有してもよい。
【0009】
前記保護装置は、
前記保護対象物の周囲の状態及び前記保護対象物の状態のうち、少なくとも一つを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて前記駆動部を作動させる制御部と、
を更に備えてもよい。
【0010】
前記保護装置において、
前記フレーム集合体は、前記少なくとも2つのフレームの間隔を所定の距離に保つように前記少なくとも2つのフレームを接続するサブフレームを備え、
前記サブフレームは、前記少なくとも2つのフレームに外力が加わった場合、前記少なくとも2つのフレームの間隔を変えて衝撃を吸収するように弾性を有してもよい。
【0011】
前記保護装置は、
前記少なくとも2つのフレームが、前記保護対象物を囲むように長手に形成され、前記サブフレームが前記少なくとも2つのフレームの長手端部同士を接続してもよい。
【0012】
前記保護装置は、
前記駆動部が、発条と、作動前において前記発条を圧縮した状態で係止する係止部とを備え、作動時に前記係止部が前記発条の係止を解除することで、前記発条が前記保護体を前記外殻容器から突出した状態に駆動してもよい。
上記課題を解決するために、本開示の保護方法は、
前記保護装置を用いた保護方法であって、
前記検出部が、前記保護対象物の周囲の状態及び前記保護対象物の状態のうち、少なくとも一つを検出するステップと、
前記検出部の検出結果に基づいて前記制御部が、前記保護装置を作動させるか否かを判定するステップと、
前記保護装置を作動させると判定した場合に、前記制御部が前記駆動部を作動させて前記保護体を前記外殻容器から突出した状態に駆動させるステップを含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、作動前において保護体を外殻容器に収容した状態とし、作動時に保護体を外殻容器から突出させて保護対象物を保護する動作を繰り返し行えるようにする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、保護装置の側面図である。
図2図2は、保護装置の模式断面図である。
図3図3は、保護装置の正面図である。
図4図4は、保護装置の平面図である。
図5図5は、保護体を展開した後(作動後)の状態となった保護装置の側面図である。
図6図6は、フレーム集合体の平面図である。
図7図7は、フレーム集合体の正面図である。
図8図8は、作動前における保護体の一部の状態を模式的に示す図である。
図9図9は、作動後における保護体の一部の状態を模式的に示す図である。
図10図10は、駆動部により保護体を展開させる構成を示す模式図である。
図11図11は、制御部の構成を示す図である。
図12図12は、保護装置の制御部が実行する保護方法の処理フローを示す図である。
図13図13は、変形例1に係る保護装置の保護体が折り畳み姿勢である状態を示す正面図である。
図14図14は、変形例1に係る保護装置の保護体が折り畳み姿勢である状態を示す底面図である。
図15図15は、変形例1に係る保護装置の保護体が展開姿勢である状態を示す正面図である。
図16図16は、円形に形成されたフレーム集合体の例を示すである。
図17図17は、図6のフレーム集合体と比べてサブフレームを増加させた例を示す平面図である。
図18図18は、図17のフレーム集合体と比べて更にサブフレームを増加させた例を示す平面図である。
図19図19は、フレーム集合体をテレスコピック構造とし、展開した状態にある保護体の一部を示す模式断面図である。
図20図20は、図19に示した保護体の一部を折り畳み姿勢にした状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本開示の実施形態に係る保護装置について説明する。なお、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0016】
<実施形態>
図1は、保護装置1の側面図、図2は、保護装置1の模式断面図、図3は、保護装置1の正面図、図4は、保護装置1の平面図である。なお、図1図4は、保護体20を展開する前(作動前)の状態を示す。図5は、保護体20を展開した後(作動後)の状態となった保護装置1の側面図である。本明細書では、上下方向をY軸方向、左右方向をX軸方向、奥行き方向をZ方向とも称す。但し、本明細書において保護装置1の上下方向及びXYZ軸方向は、実施形態の説明の便宜上、保護装置1における各要素の相対的な位置関係等を示すものに過ぎない。例えば、保護装置1を使用する際の姿勢が図に示した方向に限定されるものではない。また人体に対する保護装置1の大きさも図に限られるものではない。
【0017】
保護装置1は、ベース部(外殻容器)10、保護体20、駆動部30、検出部60、制御部70、及び電源80を備えている。保護装置1は、例えば、検出部60により、ユーザが転倒したことや衝突が回避できない状態となったことなど、衝撃を受ける事態となったことや、ユーザの身体に対して衝撃の発生が予測できることを検出したとき(以下、非常時とも称す)に、保護体20を頭部の周囲に展開することによってユーザの首や頭部を保護する。なお、保護装置1は、人を保護対象物とするものに限らず、ロボットやドローン、携帯端末など、人以外の物体を保護対象物とするものであってもよい。
【0018】
ベース部10は、ユーザの身体に装着され、保護体20、駆動部30、検出部60、制御部70、及び電源80を収容する本体部15と、本体部15に対して着脱可能な天板部16とを備えている。本実施形態のベース部10は、ユーザの頭部を囲むように平面視に
おいて概ねU字状に形成され、U字の中心付近の空間(保護対象側空間)11がユーザの首よりも大きく、且つユーザの肩幅よりも小さく形成されている。このため、ベース部10は、内側空間11にユーザの首を通すと、ベース部10の下面12がユーザの肩に突き当たって止まり、ベース部10がユーザの首に掛けられた状態で装着される。換言すると、保護装置1は、ユーザの肩の上であって、頭部の概ね下側に配置される。このように、本実施形態の保護装置1は、ユーザの首にかけて用いられる首掛け型である。なお、保護装置1は、首掛け型に限らず、ジャケットのようにユーザの上半身に装着されるものや、ベルト等でユーザに固定されるものであってもよい。また、保護装置1は、首に装着されるものに限定されず、ユーザの下半身や、腕、足、頭部など、他の部位に装着されるものであってもよい。
【0019】
ベース部10は、保護装置1の外殻を成し、内部に保護体20、駆動部30、制御部70、及び電源80を収容する容器である。即ち、ベース部10は、本実施形態における外殻容器の一例である。
【0020】
保護体20は、複数のフレーム集合体200と、これら複数のフレーム集合体200を接続する接続部210とを備えている。各フレーム集合体200は積層方向(Y方向)に複数配置されている。接続部210は積層方向に配置された複数のフレーム集合体200の各々を積層方向に接続している。
【0021】
フレーム集合体200は、保護対象物の少なくとも一部を囲う形状で、保護対象物に対して近位と遠位とに位置するように、互いに距離を空けて配置された少なくとも2つのフレーム201・202を含む。本実施形態では、各フレーム集合体200が、保護対象物であるユーザの頭部に対して近位に配置される内側フレーム202と、ユーザの頭部に対して内側フレーム202より遠位に配置される外側フレーム201の2つを備えている。
【0022】
また、フレーム集合体200は、これら少なくとも2つのフレーム201・202の間隔を所定の距離に保つように当該フレーム201・202を接続するサブフレーム203を備えている。
【0023】
少なくとも2つのフレーム201・202、及びサブフレーム203は、外力が加わった場合に、少なくとも2つのフレーム201・202の間隔を変えて衝撃を吸収できるように弾性を有している。このため、フレーム201・202、及びサブフレーム203は、ゴム、合成樹脂、発条などの弾性部材から構成されてもよい。なお、フレーム集合体200を構成するフレーム201・202の全てが弾性を有する構成に限らず、少なくとも2つのフレーム201・202のうち、何れか一つのフレームが弾性を有する構成であってもよい。例えば、外側フレーム201が弾性を有さず高い剛性を有し、内側フレーム202が弾性を有するように構成されてもよい。
【0024】
各フレーム201・202は、ユーザの頭部を囲むように長手に形成され、サブフレーム203が、少なくとも2つのフレーム201・202の長手端部201X・202X同士を接続する。なお、各フレーム201・202とサブフレーム203とは、一体的に形成されてもよい。この場合、各フレーム201・202とサブフレーム203との明確な境界がなくなるが、例えば、概ね保護対象物に面した部分を内側フレーム202、保護体20の外側に面した部分を外側フレーム201、フレーム201・202以外の部分をサブフレーム203としてもよい。また、保護体20の長手端部20Xから所定距離までをサブフレーム203とし、それ以外をフレーム201・202としてもよい。
【0025】
図6は、フレーム集合体200の平面図、図7は、フレーム集合体200の正面図である。図6において、符号Q1は、ユーザの頭部が配置されると想定される領域を示してい
る。本実施形態のフレーム集合体200は、各フレーム201・202及びサブフレーム203が、基準とする平面(基準面、X-Z面)に沿って配置される。各フレーム201・202は、領域Q1の一部、即ち頭部の一部を囲うように基準面に沿って長手に形成されている。この各フレーム201・202の長手に沿う方向を長手方向又は周方向とも称す。基準面上の且つ各フレーム201・202は、ベース部10の内部空間に収まるようにU字状或は半円弧状に形成されている。
【0026】
本実施形態において各フレーム201・202は、ユーザの後頭部を覆い、頭部の前方を覆わないように配置される。そして、各フレーム201・202の前側端部、即ち長手端部201X,202Xにサブフレーム203が接続されている。これにより各フレーム201・202は、互いに所定距離の間隔LAを隔てて保持される。なお、本実施形態では、各フレーム201・202の長手端部201X,202Xにサブフレーム203を設けたが、これに限らず、後述するように長手端部201X,202X以外の箇所に、各フレーム201・202を接続するサブフレーム203が設けられてもよい。
【0027】
また、図7に示すように、フレーム集合体200は、基準面(X-Z面)と直交する方向の幅(高さ)が狭く、薄型に形成され、この方向に積層可能となっている。即ち、複数のフレーム集合体200が、ベース部10内に収容される際、下側のフレーム集合体200の上面に上側のフレーム集合体200が積載され、複数の層を成す構成となっている。なお、この積層される方向(Y方向)を積層方向とも称す。
【0028】
接続部210は、積層方向に配置される複数のフレーム集合体200の各々を接続する。接続部210は、シート状の部材であり、保護装置1の作動前は、折り畳まれた状態でベース部10内に収容され、保護装置1の作動時に、駆動部30の駆動によりフレーム集合体200と共にベース部10から突出し、展開される。
【0029】
図8は、作動前における保護体20の一部の状態を模式的に示す図であり、図9は、作動後における保護体20の一部の状態を模式的に示す図である。保護体20は、作動前において、複数のフレーム集合体200の積層方向における間隔LBが所定の初期距離とされた状態でベース部10内に収容される。ここで初期距離は、所定値以下の値であり、本実施形態ではゼロ、即ちフレーム集合体200同士が接した状態となっている。なお、このフレーム集合体200の間隔LBを初期距離としたときの保護体20の姿勢を折り畳み姿勢と称する。
【0030】
そして、保護体20は、作動の際、接続部210のうち積層方向に配置される複数のフレーム集合体200のうちの一端(固定端)にある第一のフレーム集合体2001の側がベース部内部の底板151に固定された状態を維持したままで、駆動部30によって複数のフレーム集合体200の間隔LBが初期距離よりも長くなるように駆動される。この結果、複数のフレーム集合体のうちの他端(自由端)に位置する第二のフレーム集合体2002が、保護位置まで突出させられる。なお、このフレーム集合体200の間隔LBが初期距離よりも長くなった状態、本例では第二のフレーム集合体2002が保護位置に達した状態の保護体20の姿勢を展開姿勢と称する。なお、保護位置は、例えばベース部の外部であって、保護を行う所定の領域のうち、最もベース部から離れた位置である。
【0031】
接続部210は、各フレーム集合体200の側面と接続され、各フレーム集合体200と共に駆動される。このため、接続部210は、保護装置1の作動前において各フレーム集合体200との接続部分の間隔を狭めた状態で折り畳まれてベース部10に収容される。そして、作動時に第二のフレーム集合体2002が駆動部30によって積層方向へ駆動され、各フレーム集合体200の間隔LBが広げられると、これに伴って接続部210も広げられ、図9のように展開される。このとき接続部210は、第一のフレーム集合体2
001と接続された側の固定端が本体部15の底板151に対して固定された状態が維持され、第二のフレーム集合体2002と接続された自由端(上端)が駆動部30によって突出方向に引っ張られた状態となることで張設される。これにより接続部210は、各フレーム集合体200の間隔LBを所定距離に保つように各フレーム集合体200を保持するとともに、保護体20の張設(展開)距離の最大値を規定してもよい。なお、図9の例では、接続部210の固定端が本体部15の底板151に対して固定された構成を示したが、これに限らず、保護体20の固定端(下端)がベース部10に対して固定される構成であればよい。例えば、第一のフレーム集合体2001が本体部15の底板151に固定され、第一のフレーム集合体2001を介して接続部210の固定端が底板151に対して固定される構成であってもよい。
【0032】
図10は、駆動部30により保護体20を展開させる構成を示す模式図である。駆動部30は、折り畳み姿勢にある保護体20の自由端を固定端から離反させるように駆動することで保護体20を展開させる駆動機構である。本実施形態の駆動部30は、弾性部材310と、作動前において弾性部材310を圧縮した状態で係止する係止部320とを備える。弾性部材310としては、例えば発条が挙げられる。本実施形態の弾性部材310は、所謂トーションバネであり、以下、単にバネ310とも称す。バネ310は、螺旋状に巻回されたコイル部31と、コイル部31の一端から延設されたアーム部32と、コイル部31の他端から延設されたアーム部33と、各アーム部32,33の先端からコイル部31の中心軸に沿う方向へ延設された連結部34,35を有している。バネ310の連結部34は、ベース部10の底板側連結部と連結され、バネ310の連結部35は、天板部16に設けられた天板側連結部112と連結される。なお、バネ310は、トーションバネに限らず、他の形状のバネなど、保護体20を展開可能な弾性力を有する弾性部材であればよい。
【0033】
係止部320は、作動前において弾性部材310が圧縮された状態で係止し、作動時には当該弾性部材310の係止を解除する機構である。係止部320は、本体部15内において天板部16の前側に隣接して設けられ、天板部16が本体部15に取り付けられた状態(閉じた状態)で天板部16と係合し、天板部16が開かないように係止する係止爪321と、当該係止爪321を移動させる電動のアクチュエータ322とを備える。アクチュエータ322は制御部70と接続され、制御部70の制御により電源80から電力の供給を受けて係止爪321を進退動させ、天板部16を係止させる、又は天板部16の係止を解除させる。
【0034】
図10の(A)は、保護装置1の作動前の状態(初期状態)、即ち保護体20が折り畳み姿勢でベース部10内に収容され、天板部16が閉じた状態を示しており、図10の(B)は、作動時の状態、即ち天板部16が開き、保護体20が展開を開始する状態を示している。
【0035】
初期状態では、係止爪321が天板部16の前側係合部(凹部)161と係合し、且つ天板部16を後方(Z方向)へ押圧することで、天板部16の後部に設けられた後側係合部(凸部)162を本体部15に設けられた本体側係合部152と係合させている。このとき、バネ310は、ベース部10の底板151と天板部16との間で圧縮された状態で収容されている。即ち、係止部320は、バネ310を圧縮した状態で係止している。
【0036】
そして、後述するように制御部70の制御によってアクチュエータ322が図10の(B)に示すように係止爪321を退動させると、天板部16の係止が解除され、天板部16が移動可能になる。このためバネ310の弾性力によって天板部16が上側に押し上げられ、天板部16と接続された第二のフレーム集合体2002が上方へ移動し、保護体20が展開される。
【0037】
検出部60は、ユーザの状態又はユーザの周囲の状態を検出する手段であり、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ(角速度センサ)、測位装置、カメラ、レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、三次元スキャナ、温度センサ、湿度センサ、接触センサ、赤外線センサなどの感知手段を含むものである。検出部60は、ユーザが転倒した場合や、ユーザが他の物体と衝突した場合など、ユーザの状態変化を検出するものや、ユーザが衝撃を受けることを予測するものであってもよい。また、検出部60は、ユーザに接近し、ユーザに衝突しそうな物体や、衝突した物体など、ユーザの周囲に存在する物体の状態変化を検出するものであってもよい。測位装置としては、例えばGPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムが
挙げられる。レーダ及びLIDARは、保護装置1(ユーザ)の周囲に存在する物体との距離や、当該物体の移動速度を求める。
【0038】
本実施形態では、保護装置1の加速度、即ち保護装置1を装着したユーザの加速度を検出する加速度センサ61を第一の検出部60として備えている。加速度センサ61は、所定の軸(例えばXYZ方向の三軸)における速度の変化率と、その方向を各軸の加速度として検出する。加速度センサ61は、これらの軸における角速度を検出するセンサを兼ねた所謂六軸センサであってもよい。ベース部10の前側部分には、カメラ62が第二の検出部60として備えられ、ユーザの前方を撮影して、その撮影画像をユーザの周囲の状態を示す情報として制御部70へ入力する。なお、カメラ62は、所定の距離(基線長)を隔てて配置した一対の撮像ユニットで同一の被写体(物体)を撮影し、その視差から被写体までの距離等を検出できるステレオカメラであってもよい。更に、ベース部10の後側部分にはカメラ63が第三の検出部60として備えられ、ユーザの後方を撮影して、その撮影画像をユーザの周囲の状態を示す情報として制御部70へ出力する。カメラ63は、カメラ62と同様に、ステレオカメラであってもよい。このように前後に配置されたカメラ62,63は、例えば夫々が190度以上の画角で撮影を行うことで、ユーザを中心とした全周囲を撮影する。なお、図では省略したが、加速度センサ61、カメラ62,63以外の検出部60を備えてもよい。
【0039】
制御部70は、電源80から電力の供給を受けて動作し、検出部60や駆動部30を制御する。制御部70は、例えば、検出部60による検出結果を取得し、検出結果が所定条件を満たした場合に駆動部30を制御して、保護装置1を作動させる。図11は、制御部70の構成を示す図である。制御部70は、プロセッサ71、記憶部72、及び入出力部73を備える。プロセッサ71は、制御部70における各種の演算処理を統括的に実行する。プロセッサ71は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの演算処理手段である。
【0040】
記憶部72は、例えば、主記憶部721と、補助記憶部722を備える。主記憶部721は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などの主記憶部を備え、例えプロセッサ71で演算処理に用いられるプログラムやデータ等の情報をキャッシュする。なお、主記憶部721は、プロセッサ71と一体に形成されてもよい。
【0041】
補助記憶部722は、RAM等の揮発性メモリ、ROM等の不揮発性メモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、又はリムーバブルメディアなどの記憶媒体から構成される。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、または、メモリカード等、外部から装着可能で、かつコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0042】
補助記憶部722には、保護装置1の動作を実行するための、オペレーティングシステ
ム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース、ユーザデータなどが記憶可能である。
【0043】
入出力部73は、例えば、検出部60からの情報(検出結果等)の入力、及び検出部60や他の装置への情報(制御信号等)の出力を行うインターフェイスである。また、入出力部73は、他の装置からの情報の入力(受信)、及び他の装置への情報の出力(送信)を行う通信モジュールであってもよい。更に、入出力部73は、操作ボタンやタッチパネルなどユーザによる操作情報の入力、及びディスプレイやスピーカなどによるユーザへの出力(表示や音出力等)を行うユーザインターフェイスであってもよい。
【0044】
≪保護方法≫
図12は、保護装置1の制御部70が実行する保護方法の処理フローを示す図である。保護装置1は、電源がONとなっている期間、或いは起動の指示を受けた場合に、図12の処理(作動ステップ)を繰り返し実行する。
【0045】
ステップS10にて、制御部70は、検出部60からユーザの状態及び周囲の状態を取得する。例えば、制御部70は、加速度センサ61から、ユーザの加速度を取得すると共に、カメラ62,63から周囲の撮影画像を検出する。
【0046】
ステップS20にて、制御部70は、ステップS10で取得した検出部60の検出結果に基づいて、ユーザの状態及びユーザの周囲の状態を解析する。例えば、制御部70は、加速度センサ61で検出した各軸の加速度に基づいて、ユーザの移動方向、移動速度、単位時間当たりの加速度の変化率(躍度)、及び重力方向に対する傾き等、ユーザの状態を示す情報を求める。また、制御部70は、カメラ62,63で撮影した撮影画像を画像処理することにより、ユーザの周囲に存在する物体を抽出し、その物体の位置や移動方向、移動速度等を周囲の情報として求める。更に、制御部70は、カメラ62,63で撮影した撮影画像に基づき、ユーザが歩いている、座っている、走っている、自転車に乗っている、停止している等、ユーザの動作を検出してもよい。なお、撮影画像から、物体の位置や速度、移動方向等を求める手法は、公知の技術を用いることができるので、詳細な説明を省略する。また、物体の位置や速度、移動方向は、カメラ62,63に限らず、レーダ、LIDAR、三次元スキャナ、又はこれらの組み合わせによって取得されるものであってもよい。
【0047】
ステップS30にて、制御部70は、ステップS20で求めたユーザの状態及び周囲の状態を示す情報が、所定条件を満たすか否かによって、保護装置1を作動させるか否かを判定する。例えば、ユーザが何かに衝突したり、車両等に衝突されたりして衝撃を受けた場合、この衝撃が加速度の急激な変化として検出されるので、制御部70は、ステップS20で求めた躍度が所定の閾値を超えた場合、ユーザが衝撃を受けたものとして、保護装置1を作動させると判定(肯定判定)する。また、ユーザが転倒すると、ユーザの頭部(保護装置1)が自由落下に近い加速度で落ちるので、制御部70は、所定の閾値を超えた加速度で下方向へ移動したことがステップS20で求められた場合、転倒した、即ち頭部に衝撃を受ける可能性があるものとして肯定判定する。更に、制御部70は、ステップS20で求めた物体の位置や移動方向、移動速度等に基づいて、所定時間後のユーザの位置と周囲の物体位置が一致する、即ち当該物体がユーザに衝突する場合に、肯定判定する。なお、これらの条件や閾値は、ユーザの操作によって設定可能であってもよい。または、車両等がユーザに向かって移動している場合に、車輌の速度や加速度、および走行方向等を加味して、衝突が不可避であると予想できる場合に、肯定判定してもよい。ここで、制御部70は、接触センサや赤外線センサといった検出部60の検出結果に基づき、保護装置1がユーザに装着されているか否かを判定し、装着されていない場合には、衝撃の有無に関わらず保護装置1を作動させないようにしてもよい。また、測位装置や加速度センサ
といった検出部60の検出結果に基づき、保護装置1(ユーザ)が移動中か否かを判定し、移動中でない場合には、保護装置1を作動させないようにしてもよい。
【0048】
ステップS30で肯定判定した場合、制御部70は、ステップS40へ移行し、駆動部30のアクチュエータ322を制御して係止爪321を退動させ、ロックを解除する。これにより、駆動部30が保護体20の自由端を固定端から離反させ、保護体20をベース部10から突出させ、ユーザの後頭部を囲むように展開させる、即ち保護装置1を作動させる。
【0049】
なお、作動が完了すると、制御部70は、保護装置1をリセットし、係止爪321を初期状態に戻す。これによりユーザが天板部16を押し下げ、バネ310を弾性力に抗して圧縮し、保護体20を押し縮めて本体部15内に収容させ、天板部16を閉じた状態とすると、係止爪321が天板部16の前側係合部161と係合し、保護体20が折り畳み姿勢で係止される。即ち、保護装置1が初期状態(作動前の状態)となる。このように保護装置1は、制御部70による駆動制御及びユーザ操作により、保護体20が作動前の折り畳み姿勢と作動後の展開姿勢とを可逆的に変更される。
【0050】
なお、ステップS30で、ユーザの状態及び周囲の状態を示す情報が、所定条件を満たさず、否定判定した場合には、図12の処理を終了する。
【0051】
≪作用効果≫
上述のように、保護装置1は、ユーザが転倒した場合や、車両に衝突されそうな場合、或はユーザに衝撃が発生すると予測される場合に、保護体20を展開し、ユーザの頭部を覆うことにより、保護体20で頭部への衝撃を吸収し、保護対象物であるユーザの頭部を保護することができる。
【0052】
また、本実施形態の保護装置1は、保護体20の各フレーム集合体200が積層可能な構造であり、作動によって折り畳み姿勢から展開姿勢となった場合であっても、バネ310及び保護体20を積層方向に押し縮めることで、折り畳み姿勢へ可逆的に転換でき、繰り返し利用できる。
【0053】
<変形例1>
図13は、変形例1に係る保護装置1Aの保護体20Aが折り畳み姿勢である状態を示す正面図、図14は、変形例1に係る保護装置1Aの保護体20Aが折り畳み姿勢である状態を示す底面図、図15は、変形例1に係る保護装置1Aの保護体20Aが展開姿勢である状態を示す正面図である。
【0054】
本変形例の保護装置1Aは、ドローン(飛行体)40に取り付けられ、ドローン40が運ぶ荷物を保護対象物をとしている。本変形例の保護装置1Aは、前述の実施形態と比べ、ドローン40に取り付けられた構成が異なり、その他の構成は同じである。このため、前述の実施形態と同一の要素には同符号を付すなどして、再度の説明を省略する。
【0055】
ドローン40は、制御部411や検出部412が設けられた本体41、本体41の周囲に設けられたプロペラ駆動部42、本体41の下部に設けられた懸下部43を備えている。プロペラ駆動部42は、モータ又は内燃機関によってプロペラを回転させることによって浮力を得ると共に、プロペラの回転軸を垂直軸に対して傾けることによって推力を得る。なお、プロペラ駆動部42の構成はこれに限らず、他の構成であってもよい。例えば、浮力を得るための気球と推力を得るためのプロペラとを有する構成であってもよい。
検出部412は、制御部411が制御に用いる情報を検出するものであり、例えば、カメラ、測位部、レーダ、加速度センサ、ジャイロセンサ等が挙げられる。
【0056】
制御部411は、ユーザによる飛行プランの設定操作を受け付け、当該飛行プランと検出部412の検出結果に基づいてプロペラ駆動部42を制御し、ドローン40の飛行状態を制御する。例えば、制御部411は、飛行プランに基づいて出発地から目的地まで飛行し、目的地に荷物を降ろして出発地へ戻るように制御する。
【0057】
懸下部43は、荷物45を吊り下げて運搬する荷台である。懸下部43は、制御部411の制御により荷物45の取り付けと取り外しとを行うことができる。
【0058】
本変形例の保護装置1Aは、図13図15に示すように、本体41の下面に沿って、懸下部43を囲むように設けられている。保護装置1Aの制御部70は、検出部412の検出結果に基づき、ドローン40の墜落や他の飛行体との衝突といったドローン40が衝撃を受ける事態が生じた又は当該事態が避けられないと予測した場合に、非常事態と判定し、保護装置1Aを作動させる。なお、本変形例では、図12のステップS10でユーザの情報及びユーザの周囲の情報を取得することに代えて、ドローン40の情報及びドローンの周囲の情報を取得し、これらの情報に基づいて非常事態か否か、即ち保護装置1Aを作動させるか否かを判定する。例えば、下向きの加速度が所定値を超えた場合、周囲の物体が所定距離以内に近づいた場合、プロペラ駆動部42や推進装置に異常を感知した場合、或は所定時間後の自装置の位置と周囲の物体の位置とを算出し、これらが一致する場合に、非常事態と判定する。
【0059】
これにより、保護装置1Aは、保護体20をベース部10から下向きに突出させ、懸下部43に吊り下げられた荷物45を保護する。なお保護体20が作動したときの展開高さは、荷物45の高さ以上となるのが好ましい。また保護体20がU字状であれば、展開を鉛直方向(Y方向)ではなく、鉛直方向に直角な方向(X方向またはZ方向)としてもよい。即ち、本変形例では、懸下部43及び荷物45を保護対象物としている。なお、これに限らず、本体41やプロペラ駆動部42を保護対象物とし、これらを囲むように保護装置1Aが設けられてもよい。本変形例において、保護装置1Aは、懸下部43の回りをU字状に囲むように構成されたが、懸下部43の全周を囲むように構成されてもよい。この場合、ベース部10や保護体20は、平面視において懸下部43を囲むように円形に構成される。図16は、円形に形成されたフレーム集合体200Aの例を示す。図16の例では、フレーム集合体200が、保護対象物である懸下部43および荷物45に対して近位に配置される内側フレーム202Aと、懸下部43に対して内側フレーム202Aより遠位に配置される外側フレーム201Aの2つを備えている。また、フレーム集合体200Aは、これら少なくとも2つのフレーム201A・202Aの間隔を所定の距離に保つように当該フレーム201A・202Aを接続するサブフレーム203を複数備えている。
【0060】
本変形例によれば、保護装置1Aは、ドローン40が落下した場合や、障害物に衝突しそうな場合、或はドローン40に衝撃が発生すると予測されるといった非常時に、保護体20を展開し、懸下部43及び荷物45を覆うことにより、保護体20で衝撃を吸収し、保護対象物を保護することができる。
【0061】
また、本実施形態の保護装置1Aは、平常時(作動前)は保護体20をベース部10内に収容した状態とし、非常時にのみ保護体20を展開する。例えば、保護体20を常時展開させた状態とした場合、懸下部43に荷物45を取り付ける際に保護体20が邪魔になる。これに対し、本変形例の保護装置1Aは、平常時に保護体20をベース部10内へ収容しており、荷物45を懸下部43へ容易に取り付けることができる。このため、例えば、ドローン40を目的地へ飛行させ、目的地に置かれた荷物45を自動で懸下部43に取り付け、荷物45をピックアップして出発地へ戻るといった制御が容易となる。また、保護体20を常時展開させた状態とした場合、保護体20に対する空気抵抗が大きく、ドロ
ーン40の飛行が困難になることがある。これに対し、本変形例の保護装置1Aは、平常時に保護体20をベース部10内へ収容することで、保護体20に対する空気抵抗を抑制してドローン40の飛行を安定させることができる。
【0062】
<変形例2>
図17は、図6のフレーム集合体200と比べてサブフレーム203を増加させた例を示す平面図、図18は、図17のフレーム集合体200Bと比べて更にサブフレーム203を増加させた例を示す平面図である。
【0063】
図6のフレーム集合体200では、外側フレーム201と内側フレーム202の周方向における長手端部201X・202Xにサブフレーム203が設けられている。以下、この長手端部201X・202Xに設けられたサブフレーム203を架橋部2031とも称す。
【0064】
図17のフレーム集合体200Bでは、外側フレーム201と内側フレーム202の周方向において、長手端部以外の部分に、弾性変形が可能な中間部2032を備えて、外側フレーム201と内側フレーム202とを接続している。即ち、フレーム集合体200Bは、サブフレーム203として、架橋部2031と中間部2032とを備えている。図17の例では、フレーム集合体200Bが、周方向において、四つの中間部2032を概ね等間隔に備えている。なお、中間部2032の数は、これに限定されるものではなく、例えば図18のフレーム集合体200Cでは、フレーム集合体200Bより多くの中間部2032が密に配置されている。
【0065】
このように本変形例によれば、各フレーム集合体200の周方向に複数の中間部2032を備えて各フレーム201・202を接続することにより、周方向における何れの箇所でも安定して衝撃を吸収でき、保護装置1,1Aの信頼性を向上させることができる。なお、図17,18の例では外側フレーム201と内側フレーム202の間の距離を弾性的に変化させるために中間部2032を使用したが、外側フレーム201と内側フレーム202の間を中空とせず、ゴム等の弾性を有する部材で埋めて、外側フレーム201と内側フレーム202の間を中実としてもよい。
【0066】
<変形例3>
図19は、フレーム集合体200Dをテレスコピック構造とし、展開した状態にある保護体20Dの一部を示す模式断面図、図20は、図19に示した保護体20Dの一部を折り畳み姿勢にした状態を示す模式断面図である。保護体20Dのフレーム集合体200Dは、外側フレーム201と内側フレーム202の間隔LAを複数段階に異ならせて形成され、保護体20Dが本体部15に格納されているときに、大きい間隔LAのフレーム集合体200Dの内側に、小さい間隔LAのフレーム集合体200Dが収容される構成となっている。
【0067】
図19図20の例では、間隔LAを三段階に異ならせたフレーム集合体200Dを一組とし、複数組のフレーム集合体200Dが積層方向に配置された構成となっている。なお、一組を構成するフレーム集合体200Dの数や、積層方向に配置される組の数は、特に限定されるものではなく、要求仕様に合わせて任意に設定し得る。なお、間隔LAを小さくしたフレーム集合体200Dは、衝撃を受けた際にフレーム201・202が変位可能な距離が小さくなる。このため、間隔LAの小さいフレーム集合体200Dは、間隔LAの大きいフレーム集合体200Dと比べて、衝撃を受けた際の変位量が小さくなるように弾性力が設定されてもよい。
【0068】
このように本変形例によれば、保護体20Dを折り畳み状態にした際、間隔LAの大き
いフレーム集合体200Dの内側に間隔LAの小さいフレーム集合体200Dを収容でき、保護装置1,1Aをコンパクトにすることができる。
【0069】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0070】
1,1A :保護装置
10 :ベース部
11 :内側空間
12 :下面
15 :本体部
16 :天板部
20,20A,20D:保護体
20X :長手端部
30 :駆動部
31 :コイル部
32,33:アーム部
34,35:連結部
40 :ドローン
41 :本体
42 :プロペラ駆動部
43 :懸下部
45 :荷物
60 :検出部
61 :加速度センサ
62,63:カメラ
70 :制御部
71 :プロセッサ
72 :記憶部
73 :入出力部
80 :電源
112 :天板側連結部
151 :底板
152 :本体側係合部
161 :前側係合部
200,200A,200B,200C,200D:フレーム集合体
201,201A:外側フレーム
202,202A:内側フレーム
202X :長手端部
203 :サブフレーム
210 :接続部
310 :弾性部材(バネ)
320 :係止部
321 :係止爪
322 :アクチュエータ
411 :制御部
412 :検出部
721 :主記憶部
722 :補助記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20