(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025548
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/60 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B65D75/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129065
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 真帆
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067BA12
3E067BA32
3E067BB14
3E067EA09
3E067EB02
3E067EB22
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】開封性に優れた包装体を提供する。
【解決手段】包装体は、フィルムの一方における収容部上に設けられた第1の弱化線と、フィルムの他方における収容部上に設けられた第2の弱化線と、ノッチとを有し、ノッチから第2の方向に延びる直線を基準線としたとき、第1の弱化線は、第1の端縁側から順に、基準線から第3の端縁側に向かって凸の第1の曲線部と、基準線上で第1の曲線部に接続され、基準線から第4の端縁側に向かって凸の第2の曲線部と、第2の曲線部に接続され、第2の方向に延びる直線部と有し、第2の弱化線は、ノッチ側から順に、平面視において第1の曲線部と略同一形状、かつ、第1の曲線部と重なる第3の曲線部と、平面視において第2の曲線部と略同一形状、かつ、第1の曲線部と重なる第4の曲線部と、第4の曲線部に接続され、基準線から第4の端縁に向かって凸の第5の曲線部とを有する、包装体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状のフィルムを重ね合せ、少なくとも第1の方向に延びる第1の端縁、前記第1の端縁に対向する第2の端縁、前記第1の端縁及び前記第2の端縁に隣接し、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる第3の端縁、及び前記第3の端縁に対向する第4の端縁のうち、少なくとも前記第1の端縁、前記第2の端縁及び前記第4の端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装体であって、
前記包装体は、
前記フィルムの一方における前記収容部上に設けられ、強度を線状に弱化させた第1の弱化線と、
前記フィルムの他方における前記収容部上に設けられ、強度を線状に弱化させた第2の弱化線と、
前記第1の端縁の前記第3の端縁側に形成されたノッチとを有し、
前記ノッチから前記第2の方向に延びる直線を基準線としたとき、
前記第1の弱化線は、前記第1の端縁側から順に、
前記基準線から前記第3の端縁側に向かって凸の第1の曲線部と、
前記基準線上で前記第1の曲線部に接続され、前記基準線から前記第4の端縁側に向かって凸の第2の曲線部と、
前記第2の曲線部に接続され、前記第2の方向に延びる直線部と有し、
前記第2の弱化線は、前記ノッチ側から順に、
平面視において前記第1の曲線部と略同一形状、かつ、前記第1の曲線部と重なる第3の曲線部と、
平面視において前記第2の曲線部と略同一形状、かつ、前記第1の曲線部と重なる第4の曲線部と、
前記第4の曲線部に接続され、前記基準線から前記第4の端縁に向かって凸の第5の曲線部とを有する、包装体。
【請求項2】
前記第1の曲線部の端部を開始点とし、前記第2の曲線部の最も前記第4の端縁側の点を最下点とし、
前記第2の方向における前記第1の端縁のシール部の内縁と、前記開始点との距離をa、
前記第2の方向における前記開始点と、前記最下点との距離をb、
前記第1の方向における前記開始点と、前記最下点との距離をc、
前記開始点から前記第1の方向と平行に前記第4の端縁側に距離c/2だけ離れた点を通過し前記第2の方向に延びる仮想直線と、前記仮想直線と前記第1の弱化線との交点における前記第1の弱化線の接線とがなす鋭角をRとしたとき、
1mm<a<15mm
1mm<b<45mm
1mm<c<15mm
0°<R<90°
の条件を満たす、請求項1に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1枚の矩形状の積層フィルムを2つ折りにして、合わせた端縁をシールして収容部を形成した三方シール袋や、1組の矩形状の積層フィルムを互いに重ね合せた後、端縁をシールして収容部を形成した四方シール袋等の包装体が知られている。
【0003】
これらの包装体には、開封性を向上させるために弱化線が形成されているものがある。例えば、特許文献1に記載の包装体には、表側フィルムには第1引裂き誘導弱め線が形成され、裏側フィルムにはと第2引裂き誘導弱め線が形成されており、包装体を開封する際の破断が第1引裂き誘導弱め線及び第2引裂き誘導弱め線上を進行するため、破断を意図する位置で行うことができる。さらに、第1引裂き誘導弱め線と第2引裂き誘導弱め線は、包装体の平面視において中央部分が互いに上下方向に分かれるように形成されており、表側フィルムと裏側フィルムとの間で引裂き位置に差ができる構成となっている。そのため、破断後に両フィルムを離間させやすくなり、開閉性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、包装体の開封時に、弱化線から破断線が外れてしまう場合や、弱化線に破断が到達しない場合があり、確実に破断を弱化線に到達させるための検討の余地があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、開封性に優れた包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、矩形状のフィルムを重ね合せ、少なくとも第1の方向に延びる第1の端縁、第1の端縁に対向する第2の端縁、第1の端縁及び第2の端縁に隣接し、第1の方向と直交する第2の方向に延びる第3の端縁、及び第3の端縁に対向する第4の端縁のうち、少なくとも第1の端縁、第2の端縁及び第4の端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装体であって、包装体は、フィルムの一方における収容部上に設けられ、強度を線状に弱化させた第1の弱化線と、フィルムの他方における収容部上に設けられ、強度を線状に弱化させた第2の弱化線と、第1の端縁の第3の端縁側に形成されたノッチとを有し、ノッチから第2の方向に延びる直線を基準線としたとき、第1の弱化線は、第1の端縁側から順に、基準線から第3の端縁側に向かって凸の第1の曲線部と、基準線上で第1の曲線部に接続され、基準線から第4の端縁側に向かって凸の第2の曲線部と、第2の曲線部に接続され、第2の方向に延びる直線部と有し、第2の弱化線は、ノッチ側から順に、平面視において第1の曲線部と略同一形状、かつ、第1の曲線部と重なる第3の曲線部と、平面視において第2の曲線部と略同一形状、かつ、第1の曲線部と重なる第4の曲線部と、第4の曲線部に接続され、基準線から第4の端縁に向かって凸の第5の曲線部とを有する、包装体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開封性に優れた包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装体の平面図および側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る包装体について、図を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装体100の平面図及び側面図であり、
図2は、
図1において点線で囲んだA部の拡大図である。
【0012】
包装体100は、2枚の矩形状のフィルム10を重ね合せ、4つの端縁71~74のそれぞれを所定幅にわたってシールして形成したシール部20により囲まれた収容部30を備える四方シール包装体である。包装体100は、収容部30上において、重ね合わされた2枚のフィルム10の強度を線状に弱化させた第1の弱化線41および第2の弱化線42と、第1の端縁71に形成された、収容部30を開封する際にフィルム10を破断させるきっかけとなるノッチ51とを備える。ノッチ51をきっかけにしてフィルム10を少なくとも部分的に破断して包装体100に開口を形成することで、収容部30に収容された内容物を取り出すことができる。
【0013】
なお、以下では、ノッチ51が形成された端縁を第1の端縁71、第1の端縁71に対向する端縁を第2の端縁72、第1の端縁71に隣接する端縁のうちノッチ51に近い側の端縁を第3の端縁73、第3の端縁73に対向する端縁を第4の端縁74と呼ぶ。また、便宜上、
図1に矢印で示すように、第1の端縁71の延伸方向に延び、第3の端縁73から第4の端縁74へ向かう方向を第1の方向と定義し、第1の方向に直交して第1の端縁71から第2の端縁72へ向かう方向を第2の方向と定義する。
【0014】
(フィルム)
フィルム10は、矩形状に形成され、端縁をシールすることにより収容部30を有する包装体100とするためのフィルム材である。フィルム10には、端縁71~74をヒートシール等によりシールするために、最内層にシーラント層を備える2層以上の多層フィルムを好適に用いることができる。フィルム10を構成する層の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム(AL)、セロファン、ポリエチレン(PE)、透明蒸着PET、低吸着シーラント(ヒートシール性を有するPET(HS-PET)、環状ポリオレフィン、EVOHシーラント等)等を用いることができ、多層フィルムの場合は、これらを適宜組み合せて用いることができる。フィルム10の、第2の方向における幅は、例えば150mmとすることができる。
【0015】
フィルム10の層構成は、一例として下記のようなものが挙げられる。下記の構成において、包装体100を形成した際の最外層から最内層の順に記載している。
PET(12~15μm)/AL(7~20μm)/PE(20~50μm)、
PET(12μm)/AL(7~20μm)/HS-PET(20~50μm)、
PET(12μm)/AL(7~20μm)/PE(10~30μm)/PCO(10~30μm)、
セロファン/AL(7~20μm)/HS-PET(20~50μm)、
セロファン/AL(7~20μm)/PE(10~30μm)/PCO(10~30μm)、
PET(12μm)/PE(10~30μm)/AL(7μm)/PE(10~40μm)、
セロファン/PE(10~30μm)/AL(7μm)/PE(10~40μm)、
以上の例の場合、第1の弱化線41および第2の弱化線42は、最外層に形成することができる。
【0016】
(ノッチ)
ノッチ51は、包装体100の第1の端縁71に形成される切り込みである。包装体100の使用者は、収容部30の開封に際して、ノッチ51をきっかけにしてフィルム10の破断を開始することができる。ノッチ51は、対向する第2の端縁72に向かって、第1の端縁71を所定長さにわたって三角形状に切り込んで形成される。ノッチ51の形状は、フィルム10の破断のきっかけとなるものであれば直線状であってもよく、五角形等の切り欠き形状を採用することもできる。
【0017】
(弱化線)
第1の弱化線41および第2の弱化線42は、重ね合わされた2枚のフィルム10のそれぞれに所定の位置関係で、強度を線状に弱化させて形成される。第1の弱化線41および第2の弱化線42は、一例としてフィルム10に断続的な線状の切れ目(ハーフカット)を形成することにより得られる。破断を容易にするために、フィルム10が積層フィルムである場合には、切れ目がアルミニウム層を除くカット性を有しない延伸基材層に設けられていることが好ましい。第1の弱化線41および第2の弱化線42は、トムソン刃やレーザー刃等の刃型、炭酸ガスレーザーなどの周知の方法で形成することができる。
【0018】
図1及び
図2において、第1の弱化線41を実線、第2の弱化線42を点線で示す。第1の弱化線41は、
図1の平面図の紙面手前側のフィルム10に形成されており、第2の弱化線42は、
図1の平面図の紙面奥側のフィルム10に形成されている。第1の弱化線41及び第2の弱化線42は便宜上ずらして記載しているが、平面視において重なるように形成されることが好ましい。詳細は後述するが、ノッチ51をきっかけにして発生させた破断を、第1の弱化線41および第2の弱化線42上を進行させることによって、包装体100を開封することができる。
図1及び
図2のように、第1の弱化線41及び第2の弱化線42をシール部20から離間させておくことで、輸送時の衝撃等によってフィルム10のアルミ層にクラックが発生してしまうことを抑制できる。
【0019】
第1の弱化線41および第2の弱化線42は、一例としてフィルム10に断続的な線状の切れ目(ハーフカット)を形成することにより得られる。破断を容易にするために、フィルム10が積層フィルムである場合には、切れ目がアルミニウム層を除くカット性を有しない延伸基材層に設けられていることが好ましい。第1の弱化線41および第2の弱化線42は、トムソン刃やレーザー刃等の刃型、炭酸ガスレーザーなどの周知の方法で形成することができる。第1の弱化線41および第2の弱化線42を構成するハーフカット線は、一本以上であればよく、二重線であってもよい。
【0020】
以下の説明において、ノッチ51から第2の方向に延びる仮想的な直線を基準線80という。
【0021】
第1の弱化線41は、
図1及び
図2において紙面手前側のフィルム10に形成されており、第1の端縁71側から順に、第1の曲線部41aと、第2の曲線部41bと、直線部41cとを含む。
図2において、第1の曲線部41a、第2の曲線部41b、直線部41cのそれぞれの境界を黒丸で示す。
【0022】
第1の曲線部41aは、基準線80から第3の端縁73側に向かって凸となる形状を有しており、第2の端縁72に近付くにつれて基準線80との距離が近づく。第1の曲線部41aの第1の端縁71側の端部(開始点)はシール部20から所定距離離間しており、輸送時の衝撃等によってフィルム10のアルミ層にクラックが発生してしまうことを抑制できる。また、第1の曲線部41aの第2の端縁72側の端部は基準線80上に位置する。
【0023】
第2の曲線部41bは、基準線80上で第1の曲線部41aに接続される。第2の曲線部41bは、基準線80から第4の端縁74側に向かって凸となる形状を有しており、第2の端縁72に近付くにつれて基準線80との距離が離れる。第2の曲線部41bの第2の端縁72側の端部(最下点)は、第1の方向において、第1の弱化線41の第3の端縁73から最も離れる点と一致する。
【0024】
直線部41cは、第2の曲線部41bの第2の端縁72側の端部(最下点)と接続され、第2の方向に延びる直線形状を有する。また、直線部41cの第2の端縁72側の端部がシール部20から離間していれば、直線部41cの長さは問わない。
【0025】
また、第2の弱化線42は、
図1及び
図2において紙面奥側のフィルム10に形成されており、第1の端縁71側から順に、第3の曲線部42aと、第4の曲線部42bと、第5の曲線部42cと、直線部42dとを含む。
図2において、第3の曲線部42a、第4の曲線部42b、第5の曲線部42c、及び直線部42dのそれぞれの境界を黒丸で示す。
【0026】
第3の曲線部42aは、第1の曲線部41aと略同一形状を有し、かつ、包装体100の平面視において第1の曲線部41aと重なるように設けられる。具体的には、第3の曲線部42aは、基準線80から第3の端縁73側に向かって凸となる形状を有しており、第2の端縁72に近付くにつれて基準線80との距離が近づく。第3の曲線部42aの第1の端縁71側の端部(開始点)はシール部20から所定距離離間しており、輸送時の衝撃等によってフィルム10のアルミ層にクラックが発生してしまうことを抑制できる。また、第3の曲線部42aの第2の端縁72側の端部は基準線80に位置する。
【0027】
第4の曲線部42bは、第2の曲線部41bと略同一形状を有し、かつ、包装体100の平面視において第2の曲線部41bと重なるように設けられる。具体的には、第4の曲線部42bは、基準線80上で第3の曲線部42aに接続される。第4の曲線部42bは、基準線80から第4の端縁74側に向かって凸となる形状を有しており、第2の端縁72に近付くにつれて基準線80との距離が離れる。第4の曲線部42bの第2の端縁72側の端部(最下点)は、第1の方向において、第2の弱化線42の第3の端縁73から最も離れる点と一致する。
【0028】
第5の曲線部42cは、第4の曲線部42bに接続される。第5の曲線部42cは、基準線80から第4の端縁74に向かって凸となる形状を有しており、第2の端縁72に近付くにつれて基準線80との距離が近づく。第5の曲線部42cの第2の端縁72側の端部は、基準線80と一致する。なお、第5の曲線部42cは、第4の曲線部42bの第2の端縁72側の端部(最下点)を通過し、第1の端縁71と平行な直線に対して、第4の曲線部42bと線対称に設けられてもよい。
【0029】
第5の曲線部42cは更に基準線80から第3の端縁73に向かって凸となる形状を有してもよい。このとき、基準線80と第5の曲線部42cとの交点より第2の端縁72側においては、第2の端縁72に近付くにつれて基準線80との距離が離れる。なお、この場合、第1の方向における、第5の曲線部42cの第2の端縁72側の端部の位置と第3の曲線部42aの第1の端縁71側の端部の位置とは一致する。また、第5の曲線部42cは、第4の曲線部42bの第2の端縁72側の端部(最下点)を通過し、第1の端縁71と平行な直線に対して、第3の曲線部42a及び第4の曲線部42bと線対称に設けられてもよい。また、第5の曲線部42cの第2の端縁72側の端部には、さらに、第2の方向に延びる直線形状を有する直線部42dが設けられてもよい。
【0030】
開封性を考慮すると平面視において重なる部分(第1の曲線部41a及び第2の曲線部41bと、第3の曲線部42a及び第4の曲線部42b)とは平面視において一致することが好ましいが、第1の方向及び第2の方向において±2mm以内のずれであれば許容される。
【0031】
本実施形態において、直線部41cと直線部42dは第1の方向に対して所定の距離だけ離れて形成されている。そのため、開封後には、平面視において、直線部41c及び直線部42dの切断位置に差が生じる。この差により、容易に2枚のフィルム10を互いに引き離すことができ、第1の弱化線41および第2の弱化線42を破断することによって形成された開口を大きく開くことができる。
【0032】
また、ノッチ51をきっかけにしてフィルム10の破断を開始した場合、破断は最初、ノッチ51から第2の方向に延びる基準線80に略沿って進行し、その後、破断は第1の弱化線41及び第2の弱化線42に到達する。ここで、本実施形態においては、第1の弱化線41及び第2の弱化線42が、ノッチ51を挟んで第1の方向に幅を有している。そのため、より確実に破断を第1の弱化線41及び第2の弱化線42に到達させることができる。
【0033】
また、第1の弱化線41及び第2の弱化線42は、ノッチ51をきっかけとした破断の到達が想定される箇所(第1の曲線部41a、第2の曲線部41b、第3の曲線部42a、第4の曲線部42b)が曲線で構成されている。そのため、第1の弱化線41及び第2の弱化線42に破断が到達した際に、破断が第1の弱化線41及び第2の弱化線42と交差して進行するのを抑制し、より確実に第1の弱化線41及び第2の弱化線42に沿って破断を進行させることができる。
【0034】
また、第1の曲線部41a、第2の曲線部41b、第3の曲線部42a、第4の曲線部42b、第5の曲線部42cがいずれも曲線で構成されているため、破断が曲線から他の曲線へ進行する際に弱化線から逸れてしまうことを抑制できる。また、破断が第2の曲線部41bから直線部41cへ進行する際もスムーズに進行することができる。
【0035】
次に、第1の弱化線41および第2の弱化線42のより好ましい設計条件について説明する。以下の説明において、第1の曲線部41aの第1の端縁71側の端部を開始点とし、第2の曲線部41bの最も第4の端縁74側の点を最下点とする。
【0036】
図2に示すように、第2の方向における第1の端縁71のシール部20の内縁と、開始点との距離をa、第2の方向における開始点と、最下点との距離をb、第1の方向における開始点と、最下点との距離をc、開始点から第1の方向と平行に第4の端縁74側に距離c/2だけ離れた点を通過し第2の方向に延びる仮想直線81と、仮想直線81と第1の弱化線41との交点における第1の弱化線41の接線Lとがなす鋭角をRとしたとき、下記の条件を満たすことが好ましい。なお、仮想直線81と基準線80とは一致していてもよい。
1mm<a<15mm
1mm<b<45mm
1mm<c<15mm
0°<R<90°
【0037】
上記のように、本実施形態においては距離aが1mmより大きいため、第1の弱化線41および第2の弱化線42により、第1の端縁71の強度が低下することを防止できるとともに、ヒートシールを用いてシール部20を形成する際に、収容部30のシール部20側端部に発生する引張応力により弱化線が部分的に破断して微小なクラックが発生することを防止できる。また、所定の距離aが15mmより小さいため、ノッチ51をきっかけにして発生した破断を確実に第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達させることができる。
【0038】
また、距離bが1mmより大きいため、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部41bが第1の方向に対して急激に変化して破断が第1の弱化線41および第2の弱化線42から逸れることを防止できる。さらに、距離bが45mmより小さいため、ノッチ51をきっかけにして発生した破断を速やかに第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達させることができる。
【0039】
また、距離cが1mmより大きいと、第1の弱化線41及び第2の弱化線42は、ノッチ51を挟んで第1の方向に十分な幅を有するため、より確実に破断を第1の弱化線41及び第2の弱化線42に到達させることができる。さらに、直線部41cと直線部42dが第1の方向に対して十分に離間するため、直線部41c及び直線部42dの切断位置に差を生じさせることができる。また、距離cが15mmより小さいため、第1の弱化線41及び第2の弱化線42の最小曲率を大きくすることができ、破断が第1の弱化線41及び第2の弱化線42から逸れるのを抑制できる。
【0040】
また、角度Rが0°より大きいため、第1の曲線部41aおよび第2の曲線部41bは緩やかな曲線となり、破断の進行が第1の曲線部41aおよび第2の曲線部41bから逸れるのを抑制できる。さらに、角度Rが90°未満であるため、ノッチ51をきっかけとした破断が到達する第1の曲線部41a及び第2の曲線部41bが、破断線に対して直交しない。そのため、第1の曲線部41a及び第2の曲線部41bに破断が到達した際に、破断が弱化線と交差して進行するのを抑制することができる。
【0041】
また、上記条件を満たすことによって、第1の弱化線41および第2の弱化線42は直線部41cを除いて緩やかな曲線となる。そのため、フィルム10の原反を長尺巻きにするときに第1の弱化線41および第2の弱化線42が骨になりにくく、外観不良を抑制できる。
【0042】
(弱化線の機能)
第1の弱化線41および第2の弱化線42を備えた包装体100では、ノッチ51に力を加えることで、ノッチ51をきっかけにして第1の端縁71の破断を開始させることができる。フィルム10の基準線80に沿ってせん断力を包装体100に加えることで、第1の端縁71から第2の方向に向かって破断が進む。そして、破断は第1の端縁71から所定距離進行すると、第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達する。
【0043】
さらに包装体100に力を加え続けることにより、第1の曲線部41aに到達した破断は、第1の曲線部41aに沿って進み、その後、第2の曲線部41bに到達する。その後、破断は第2の曲線部41bに沿って進み、その後、最下点に到達する。同様に、第3の曲線部42aに到達した破断は、第3の曲線部42aに沿って進み、その後、第4の曲線部42bに到達する。その後、破断は第4の曲線部42bに沿って進み、その後、最下点に到達する。
【0044】
最下点に到達した破断は、直線部41c及び第5の曲線部42cに沿って進行し、第1の方向に離間する。第5の曲線部42cに沿って進行していた破断がさらに進行すると、直線部42dに到達し、直線部41c上の切断面と直線部42d上の切断面との間で距離cに相当する段差を形成する。
【0045】
この結果、第1の弱化線41および第2の弱化線42の切断面により囲まれた開口が、包装体100に形成される。上述のように、直線部41c上の切断面と直線部42dとは所定の距離c離れて形成されているため、平面視において、2枚のフィルム10の切断位置には第1の方向に所定の差(切断線の間隔)が形成される。この差により、2枚のフィルム10を互いに引き離して形成された開口を大きく開くことができ、内容物を容易に取り出すことができる。
【0046】
なお、上記においてはノッチ51をきっかけとした破断は最初に第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達すると説明したが、ノッチ51をきっかけとした破断は第2の曲線部41bおよび第4の曲線部42bに到達してもよい。
【実施例0047】
実施例及び比較例に係る包装体として
図1に示した第1の実施形態に係る包装体を製造し、開封性についての評価を行った。フィルムの構成は最外層側から、PET(12μm)/PE(15μm)/AL(7μm)/PE(30μm)であった。製造した包装体の第2の方向における幅は150mmであり、第1の弱化線および第2の弱化線はレーザー加工により形成した。
【0048】
製造した包装体を、第1のノッチをきっかけとして引き切り開封し、アルミクラック耐性、開封性、段差の有無、長尺巻き可否、総評について評価した。表1に、実施例1~20および比較例1~15に係る各包装体の距離a、距離b、距離c、角度R、及び評価結果を示した。
【0049】
「アルミクラック耐性」の項目は、アルミクラックが発生する恐れがある場合を「×」、それ以外の場合を「〇」で示した。
【0050】
「開封性」の項目は、3つのの包装体において、いずれも第1の弱化線および第2の弱化線に沿って包装体を開封できた場合を「○」、第1の弱化線および第2の弱化線から逸れる場合があった場合を「△」、いずれも第1の弱化線および第2の弱化線から逸れてしまった場合を「×」で示した。
【0051】
「段差の有無」の項目は、開封時に段差が形成された場合を「〇」、段差は形成されたが小さい場合を「△」、段差が形成されない、または形成された段差が設定よりも小さかった場合を「×」で示した。
【0052】
「長尺巻き可否」の項目は、3つのの包装体において、フィルムの長尺を500m以上巻いたときに、いずれも第1の弱化線および第2の弱化線に由来する骨が生じず、外観不良が発生しなかった場合を「〇」、外観不良が発生する場合があった場合を「△」、いずれも外観不良が発生した場合を「×」で示した。
【0053】
「総合評価」の項目は、「アルミクラック耐性」、「開封性」、「長尺巻き可否」の項目のいずれかの評価に「×」がある場合を「×」、それ以外を「〇」とし、「〇」の評価の中でも特に開封しやすかったものを「◎」で示した。
【0054】
【0055】
実施例1~20に係る包装体は、いずれも距離aが1mmを超えていたため、アルミクラックが発生する可能性が少ない。また、距離aが15mm未満であったため、ノッチ51をきっかけにして発生した破断を確実に第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達させることができた。特に、実施例17~20の結果から、距離aが14mm未満であれば、より確実に破断を第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達させられることが確認できた。
【0056】
また、実施例1~20に係る包装体は、いずれも距離bが1mmを超えていたため、破断が第1の弱化線41および第2の弱化線42から逸れることを防止できた。また、距離bが45mmより小さかったため、ノッチ51をきっかけにして発生した破断を速やかに第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達させることができた。
【0057】
また、実施例1~20に係る包装体は、いずれも距離cが1mmを超えていたため、第1の弱化線41及び第2の弱化線42は、ノッチ51を挟んで第1の方向に十分な幅を有しており、より確実に破断を第1の弱化線41及び第2の弱化線42に到達させることができた。ただし、実施例7及び実施例13は、距離cが2mmと比較的小さかったため段差が小さくなり、他の実施例と比較すると2枚のフィルムをやや離間させにくかった。
【0058】
また、実施例1~20に係る包装体は、いずれも0°<R<90°の条件を満たしていたため、ノッチ51をきっかけとした破断の進行方向に対して第1の曲線部41aおよび第2の曲線部41b(第3の曲線部42aおよび第4の曲線部42b)の角度が緩やかであった。そのため、破断の進行が第1の弱化線41及び第2の弱化線42から逸れるのを抑制できた。ただし、実施例16においては、角度Rが85°と破断の進行方向に対して第1の曲線部41aおよび第2の曲線部41b(第3の曲線部42aおよび第4の曲線部42b)の角度が急であったため、破断が第1の弱化線41及び第2の弱化線42を交差して進行する場合もあった。
【0059】
また、実施例1~20に係る包装体は、距離cが1mm以上であり、弱化線にカーブが形成されていたため長尺巻きにおいてもホネとなりにくく外観不良は生じ難かった。ただし、実施例7及び実施例13においては、距離cが2mm以下と比較的小さく、弱化線が直線に近くなってしまったため、長尺巻きにおいて外観不良が生じる場合があった。
【0060】
比較例1においては、距離aが1mm以下であったため、アルミクラックが発生する恐れがあり、また、ノッチ51をきっかけとする破断が弱化線を乗り越えてしまう場合もあった。
【0061】
比較例2においては、距離cが1mm以下であったため、第1の弱化線41及び第2の弱化線42は、ノッチ51を挟んで第1の方向に十分な幅が確保されておらず、破断を第1の弱化線41及び第2の弱化線42に到達させることができない場合があった。また、弱化線が直線に近くなってしまったため長尺巻きにおいて外観不良が生じ、段差も形成されなかった。
【0062】
比較例3においては、距離aが1mm以下であったため、アルミクラックが発生する恐れがあり、また、ノッチ51をきっかけとする破断が弱化線を乗り越えてしまう場合もあった。また、距離bが1mm以下であったため、破断が第1の弱化線41および第2の弱化線42から逸れる場合があった。また、距離cが1mm以下であったため、第1の弱化線41及び第2の弱化線42は、ノッチ51を挟んで第1の方向に十分な幅が確保されておらず、破断を第1の弱化線41及び第2の弱化線42に到達させることができない場合があった。また、弱化線が直線に近くなってしまったため長尺巻きにおいて外観不良が生じ、段差も形成されなかった。
【0063】
また、比較例4においては、距離cが1mm以下であったため、第1の弱化線41及び第2の弱化線42は、ノッチ51を挟んで第1に方向に十分な幅が確保されておらず、破断を第1の弱化線41及び第2の弱化線42に到達させることができない場合があった。また、弱化線が直線に近くなってしまったため長尺巻きにおいて外観不良が生じ、段差も形成されなかった。
【0064】
また、比較例5においては、距離cが15mmを超えていため、破断が第1の弱化線41及び第2の弱化線42から逸れる場合があった。
【0065】
比較例6においては、距離bが1mm以下であったため、破断が第1の弱化線41および第2の弱化線42から逸れる場合があった。
【0066】
比較例7においては、距離bが45mm以上であったため、1のノッチ51をきっかけにして発生した破断を速やかに第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達させることができない場合があり、それに起因して段差の形成ができない場合があった。
【0067】
比較例8においては、距離aは15以上であったため、ノッチ51をきっかけにして発生した破断が第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達しない場合があり、また、これに起因して段差の形成ができない場合があった。
【0068】
比較例9においては、距離aは15以上であったため、ノッチ51をきっかけにして発生した破断が第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達しない場合があり、また、これに起因して段差の形成ができない場合があった。また、距離cが15mmを超えていため、破断が第1の弱化線41及び第2の弱化線42から逸れる場合があった。
【0069】
比較例10においては、距離aは15以上であったため、ノッチ51をきっかけにして発生した破断が第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達しない場合があり、また、これに起因して段差の形成ができない場合があった。また、距離bが45mm以上であったため、1のノッチ51をきっかけにして発生した破断を速やかに第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aに到達させることができない場合があり、それに起因して段差の形成ができない場合があった。また、距離cが15mmを超えていため、破断が第1の弱化線41及び第2の弱化線42から逸れる場合があった。
【0070】
比較例11、12、14においては、角度Rが90°以上であったため、第1の曲線部41a及び第3の曲線部42aに破断が到達した際に、破断が弱化線を乗り越える場合があった。また、第1の弱化線41および第2の弱化線42が緩やかな曲線とならず、長尺巻きにおいて外観不良が生じた。
【0071】
比較例13、15においては、角度Rが0°であったため、破断の進行が第1の曲線部41aおよび第3の曲線部42aから逸れる場合があった。また、第1の弱化線41および第2の弱化線42が緩やかな曲線とならず、長尺巻きにおいて外観不良が生じた。