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▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025564
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】整流機構
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20240216BHJP
   B62D 33/027 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B62D37/02 A
B62D33/027
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129091
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信寛
(72)【発明者】
【氏名】濱田 健宏
(72)【発明者】
【氏名】横山 一幸
(57)【要約】
【課題】車両の状況に応じて整流体の位置を適切に調整する。
【解決手段】整流機構では、車両12への走行風の圧力に基づき、左側のアクチュエータと右側のアクチュエータとが独立して制御されて、左側のディフレクタ14の回転量と右側のディフレクタ14の回転量とが独立して調整される。このため、車両12の状況に応じてディフレクタ14の位置を適切に調整できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ展開方向に移動されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、それぞれ収納方向に移動されることで車体に収納される一対の整流体と、
車両への空気流の圧力を検出する圧力検出機構と、
前記圧力検出機構が検出する車両への空気流の圧力に基づき一対の前記整流体の移動位置をそれぞれ調整する一対の調整機構と、
を備える整流機構。
【請求項2】
前記圧力検出機構が各前記前輪の前側への空気流の圧力を検出する請求項1記載の整流機構。
【請求項3】
前記圧力検出機構が前記整流体に設けられる請求項1又は請求項2記載の整流機構。
【請求項4】
それぞれ展開方向に移動されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、それぞれ収納方向に移動されることで車体に収納される一対の整流体と、
車両の操舵角を検出する操舵角検出機構と、
前記操舵角検出機構が検出する車両の操舵角に基づき一対の前記整流体の移動位置をそれぞれ調整する一対の調整機構と、
を備える整流機構。
【請求項5】
それぞれ展開方向に移動されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、それぞれ収納方向に移動されることで車体に収納される一対の整流体と、
車両の角速度を検出する角速度検出機構と、
前記角速度検出機構が検出する車両の角速度に基づき一対の前記整流体の移動位置をそれぞれ調整する一対の調整機構と、
を備える整流機構。
【請求項6】
前記調整機構が前記整流体の展開位置を調整する請求項1、請求項2、請求項4及び請求項5の何れか1項記載の整流機構。
【請求項7】
車両前側を中心として回転可能にされ、展開方向に回転されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、収納方向に回転されることで車体に収納される整流体と、
前記前輪を制動する制動機構の温度を検出する温度検出機構と、
前記温度検出機構が検出する前記制動機構の温度に基づき前記整流体の展開位置を調整する調整機構と、
を備える整流機構。
【請求項8】
前記整流体に設けられ、前記整流体が展開されて前記前輪への空気流を抑制する整流面と、
前記整流面の面積を調整する面積調整機構と、
を備える請求項1、請求項2、請求項4、請求項5及び請求項7の何れか1項記載の整流機構。
【請求項9】
前記整流面を構成し、前記面積調整機構が回転させて前記整流面の面積を調整する回転部を備える請求項8記載の整流機構。
【請求項10】
前記前輪を制動する制動機構の温度を検出する温度検出機構を備え、前記温度検出機構が検出する前記制動機構の温度に基づき前記面積調整機構が前記整流面の面積を調整する請求項8記載の整流機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前輪への空気流を抑制する整流機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の可動スポイラ装置では、スポイラが上下方向に移動可能にされており、スポイラが、格納位置から展開位置に移動されて、車両の前輪の前側に展開される。
【0003】
ところで、このような可動スポイラ装置では、車両の状況に応じてスポイラの位置を適切に調整できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-70105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、車両の状況に応じて整流体の位置を適切に調整できる整流機構を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の整流機構は、それぞれ展開方向に移動されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、それぞれ収納方向に移動されることで車体に収納される一対の整流体と、車両への空気流の圧力を検出する圧力検出機構と、前記圧力検出機構が検出する車両への空気流の圧力に基づき一対の前記整流体の移動位置をそれぞれ調整する一対の調整機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の整流機構は、本発明の第1態様の整流機構において、前記圧力検出機構が各前記前輪の前側への空気流の圧力を検出する。
【0008】
本発明の第3態様の整流機構は、本発明の第1態様又は第2態様の整流機構において、前記圧力検出機構が前記整流体に設けられる。
【0009】
本発明の第4態様の整流機構は、それぞれ展開方向に移動されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、それぞれ収納方向に移動されることで車体に収納される一対の整流体と、車両の操舵角を検出する操舵角検出機構と、前記操舵角検出機構が検出する車両の操舵角に基づき一対の前記整流体の移動位置をそれぞれ調整する一対の調整機構と、を備える。
【0010】
本発明の第5態様の整流機構は、それぞれ展開方向に移動されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、それぞれ収納方向に移動されることで車体に収納される一対の整流体と、車両の角速度を検出する角速度検出機構と、前記角速度検出機構が検出する車両の角速度に基づき一対の前記整流体の移動位置をそれぞれ調整する一対の調整機構と、を備える。
【0011】
本発明の第6態様の整流機構は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つの整流機構において、前記調整機構が前記整流体の展開位置を調整する。
【0012】
本発明の第7態様の整流機構は、車両前側を中心として回転可能にされ、展開方向に回転されることで車両の前輪の前側に展開されて前記前輪への空気流を抑制すると共に、収納方向に回転されることで車体に収納される整流体と、前記前輪を制動する制動機構の温度を検出する温度検出機構と、前記温度検出機構が検出する前記制動機構の温度に基づき前記整流体の展開位置を調整する調整機構と、を備える。
【0013】
本発明の第8態様の整流機構は、本発明の第1態様~第7態様の何れか1つの整流機構において、前記整流体に設けられ、前記整流体が展開されて前記前輪への空気流を抑制する整流面と、前記整流面の面積を調整する面積調整機構と、を備える。
【0014】
本発明の第9態様の整流機構は、本発明の第8態様の整流機構において、前記整流面を構成し、前記面積調整機構が回転させて前記整流面の面積を調整する回転部を備える。
【0015】
本発明の第10態様の整流機構は、本発明の第8態様又は第9態様の整流機構において、前記前輪を制動する制動機構の温度を検出する温度検出機構を備え、前記温度検出機構が検出する前記制動機構の温度に基づき前記面積調整機構が前記整流面の面積を調整する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1態様の整流機構では、一対の整流体が、それぞれ、展開方向に移動されることで、車両の前輪の前側に展開されて、前輪への空気流を抑制する。さらに、一対の整流体が、それぞれ、収納方向に移動されることで、車体に収納される。また、車両への空気流の圧力を圧力検出機構が検出する。
【0017】
ここで、圧力検出機構が検出する車両への空気流の圧力に基づき、一対の調整機構が一対の整流体の移動位置をそれぞれ調整する。このため、車両の状況である車両への空気流の圧力に応じて、整流体の位置を適切に調整できる。
【0018】
本発明の第2態様の整流機構では、圧力検出機構が各前輪の前側への空気流の圧力を検出する。このため、各前輪の前側への空気流の圧力に応じて、整流体の位置を適切に調整できる。
【0019】
本発明の第3態様の整流機構では、圧力検出機構が整流体に設けられる。このため、圧力検出機構を容易に設置できる。
【0020】
本発明の第4態様の整流機構では、一対の整流体が、それぞれ、展開方向に移動されることで、車両の前輪の前側に展開されて、前輪への空気流を抑制する。さらに、一対の整流体が、それぞれ、収納方向に移動されることで、車体に収納される。また、車両の操舵角を操舵角検出機構が検出する。
【0021】
ここで、操舵角検出機構が検出する車両の操舵角に基づき、一対の調整機構が一対の整流体の移動位置をそれぞれ調整する。このため、車両の状況である車両の操舵角に応じて、整流体の位置を適切に調整できる。
【0022】
本発明の第5態様の整流機構では、一対の整流体が、それぞれ、展開方向に移動されることで、車両の前輪の前側に展開されて、前輪への空気流を抑制する。さらに、一対の整流体が、それぞれ、収納方向に移動されることで、車体に収納される。また、車両の角速度を角速度検出機構が検出する。
【0023】
ここで、角速度検出機構が検出する車両の角速度に基づき、一対の調整機構が一対の整流体の移動位置をそれぞれ調整する。このため、車両の状況である車両の角速度に応じて、整流体の位置を適切に調整できる。
【0024】
本発明の第6態様の整流機構では、調整機構が整流体の展開位置を調整する。このため、整流体の位置を一層適切に調整できる。
【0025】
本発明の第7態様の整流機構では、整流体が車両前側を中心として回転可能にされており、整流体が、展開方向に回転されることで、車両の前輪の前側に展開されて、前輪への空気流を抑制する。さらに、整流体が、収納方向に回転されることで、車体に収納される。また、前輪を制動する制動機構の温度を温度検出機構が検出する。
【0026】
ここで、温度検出機構が検出する制動機構の温度に基づき、調整機構が整流体の展開位置を調整する。このため、車両の状況である制動機構の温度に応じて、整流体の位置を適切に調整できる。
【0027】
本発明の第8態様の整流機構では、整流体が展開されて、整流体の整流面が前輪への空気流を抑制する。ここで、面積調整機構が整流面の面積を調整する。このため、前輪への空気流を調整できる。
【0028】
本発明の第9態様の整流機構では、回転部が整流面を構成しており、面積調整機構が、回転部を回転させて、整流面の面積を調整する。このため、前輪への空気流を調整できる。
【0029】
本発明の第10態様の整流機構では、前輪を制動する制動機構の温度を温度検出機構が検出する。さらに、温度検出機構が検出する制動機構の温度に基づき、面積調整機構が整流面の面積を調整する。このため、制動機構の温度に基づき、前輪への空気流を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係る整流機構が適用される車両の前部を示す車幅方向外方から見た側面図である。
図2】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係る整流装置が適用される車両を示す前方から見た前面図であり、(A)は、整流装置のディフレクタが最大展開位置に配置される際を示し、(B)は、整流装置のディフレクタが中間展開位置に配置される際を示している。
図3】(A)~(C)は、本発明の第1実施形態に係る整流装置を示す車両前方かつ車幅方向外方から見た斜視図であり、(A)は、整流装置のディフレクタが格納位置に配置される際を示し、(B)は、整流装置のディフレクタが最大展開位置に配置される際を示し、(C)は、整流装置のディフレクタが中間展開位置に配置される際を示している。
図4】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係る整流装置のディフレクタ及び車両の前輪を示す上方から見た上面図であり、(A)は、整流装置のディフレクタが最大展開位置に配置される際を示し、(B)は、整流装置のディフレクタが中間展開位置に配置される際を示している。
図5】(A)及び(B)は、本発明の第2実施形態に係る整流装置を示す車両前方かつ車幅方向外方から見た斜視図であり、(A)は、整流装置のディフレクタの展開位置での回転板の閉鎖状態を示し、(B)は、整流装置のディフレクタが展開位置での回転板の最大開放状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態における車両12の前部が車幅方向外方(車両右方)から見た側面図にて示されており、図3(A)には、本実施形態に係る整流装置10が車両前方かつ車幅方向外方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0032】
図1に示す如く、本実施形態に係る整流装置10は、車両12の左側(車両左側)の前輪12Bの前側と右側(車両右側)の前輪12Bの前側とに設置されて、車体12Aの前端部内に配置されており、左側の整流装置10と右側の整流装置10とは、整流機構を構成すると共に、車両12の車幅方向中央における車幅方向に垂直な面に対し面対称な構成にされている。
【0033】
車両12の各前輪12Bの車幅方向内側には、制動機構としてのブレーキ装置20が設けられている。ブレーキ装置20には、円板状のブレーキディスク20Aが設けられており、ブレーキディスク20Aは、前輪12Bと同軸上に配置されると共に、前輪12Bと一体回転される。ブレーキ装置20には、ブレーキパッド20Bが設けられており、ブレーキ装置20が作動された際には、ブレーキパッド20Bがブレーキディスク20Aの回転を制動して、前輪12Bが制動される。
【0034】
図1及び図3(A)に示す如く、整流装置10には、整流体としての樹脂製で略直方体形箱状のディフレクタ14が設けられており、ディフレクタ14は、前輪12B及びブレーキ装置20の車両前側に配置されている。ディフレクタ14内は、上側及び車両後側に開放されており、ディフレクタ14の下面は、整流面14Aにされている。ディフレクタ14は、車両前側端部を中心として、展開方向A及び収納方向B(図1等参照)に回転(移動)可能にされている。ディフレクタ14は、収納位置(図1の破線位置、図3(A)の位置)に配置されており、ディフレクタ14は、車体12Aに収納されて、車体12Aの下側に突出されていない。ディフレクタ14は、展開方向Aに回転されて、展開可能にされており、これにより、ディフレクタ14(整流面14A)が車体12Aの下側に突出される。ディフレクタ14は、最大展開位置(図1の2点鎖線位置、図2(A)及び図3(B)の位置)及び中間展開位置(図1の1点鎖線位置、図2(B)及び図3(C)の位置)等の展開位置に配置可能にされており、ディフレクタ14は、展開位置から収納方向Bに回転されて、収納位置に配置(復帰)可能にされている。
【0035】
ディフレクタ14の車両前側端部の車幅方向内側には、調整機構としてのアクチュエータ16が機械的に連結されており、アクチュエータ16は、車体12A内に固定されて、ディフレクタ14を支持している。アクチュエータ16(ECU)は、車両12の制御装置18(ECU)に電気的に接続されており、アクチュエータ16は、制御装置18の制御により、作動されて、ディフレクタ14を回転させる。アクチュエータ16には、回転検出装置22が設けられており、回転検出装置22は、ディフレクタ14の回転(回転位置等)を検出する。回転検出装置22は、制御装置18に電気的に接続されており、制御装置18は、回転検出装置22が検出するディフレクタ14の回転位置に基づき、アクチュエータ16を作動させる。
【0036】
制御装置18には、温度検出機構としての温度検出装置24が電気的に接続されており、温度検出装置24は、各ブレーキ装置20に設けられて、各ブレーキ装置20の温度(ブレーキディスク20A又はブレーキパッド20Bの温度)を検出する。制御装置18には、圧力検出機構としての一対の圧力検出装置26が電気的に接続されており、圧力検出装置26は、車両12の各前輪12Bの前側近傍(例えば各ディフレクタ14の整流面14Aの車両後側端)に設けられて、各前輪12Bへの走行風(空気流)の圧力(風量)を検出する。制御装置18には、操舵角検出機構としての操舵角検出装置28が電気的に接続されており、操舵角検出装置28は、車両12のステアリング(図示省略)に設けられて、車両12の操舵角(ステアリングの操作角であり、車両12の操舵角速度(ステアリングの操作角速度)又は車両12の操舵角加速度(ステアリングの操作角加速度)でもよい)を検出する。制御装置18には、角速度検出機構としての角速度検出装置30が電気的に接続されており、角速度検出装置30は、車両12に設けられて、車両12の角速度(車両12の上下方向周り、前後方向周り及び左右方向周りへの角速度であり、車両12の上下方向周り、前後方向周り及び左右方向周りへの角加速度でもよい)を検出する。
【0037】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0038】
以上の構成の整流装置10では、ディフレクタ14が、収納位置に配置されて、車体12A内に収納されている。
【0039】
車両12が高速で走行する際には、制御装置18の制御により、アクチュエータ16が、作動されて、ディフレクタ14を展開方向Aに回転させることで、ディフレクタ14が、最大展開位置に配置されて、車体12Aから下側に突出される(図2(A)及び図3(B)参照)。このため、ディフレクタ14(整流面14A)が、車体12Aの下側において前輪12Bの車両前側に配置されて、前輪12Bへの車両12の走行風を抑制する(走行風を前輪12B及びブレーキ装置20の車幅方向両外側に流す)ことで、前輪12Bの車両前側における空気圧の増加が抑制されて、車両12の空気抵抗及び揚力が抑制される(図4(A)参照)。
【0040】
その後、車両12が低速で走行する際には、制御装置18の制御により、アクチュエータ16が、作動されて、ディフレクタ14を収納方向Bに回転させることで、ディフレクタ14が、収納位置に配置されて、車体12A内に収納される(図3(A)参照)。
【0041】
ところで、ディフレクタ14が最大展開位置に配置された際に、ブレーキ装置20の温度(温度検出装置24が検出する温度)が所定温度以上である場合には、制御装置18の制御により、アクチュエータ16が、作動されて、ディフレクタ14を収納方向Bに回転させることで、ディフレクタ14が、中間展開位置に配置されて、車体12Aから下側への突出量が小さくされる(図2(B)及び図3(C)参照)。このため、ディフレクタ14(整流面14A)が前輪12B及びブレーキ装置20に流す走行風の量を多くして、ブレーキ装置20が冷却される(図4(B)参照)。
【0042】
その後、ブレーキ装置20の温度(温度検出装置24が検出する温度)が所定温度未満になった場合には、制御装置18の制御により、アクチュエータ16が、作動されて、ディフレクタ14を展開方向Aに回転させることで、ディフレクタ14が最大展開位置に配置される。このため、車両12の空気抵抗を適切に抑制でき、車両12の燃費性能を向上できる。
【0043】
ここで、上述の如く、ディフレクタ14が最大展開位置に配置された際でも、ブレーキ装置20の温度が所定温度以上である場合には、ディフレクタ14が、中間展開位置に配置されて、ブレーキ装置20に流す走行風の量を多くすることで、ブレーキ装置20が冷却される。このため、ブレーキ装置20の耐フェード性を向上できる。
【0044】
また、車両12が旋回される際には、車両12の操舵角(操舵角検出装置28が検出する操舵角)及び車両12の角速度(角速度検出装置30が検出する角速度)の少なくとも1つに基づき、制御装置18が左側のアクチュエータ16と右側のアクチュエータ16とを独立して制御して、左側のディフレクタ14の展開量(収納位置を含む)と右側のディフレクタ14の展開量(収納位置を含む)とが独立して調整される。このため、左側の前輪12Bへの走行風の流量と右側の前輪12Bへの走行風の流量とを独立して調整でき、車両12の姿勢安定性を向上できると共に、ステアリングの操作に対する車両12の操舵応答性を向上できる。
【0045】
さらに、車両12が直進される際に、例えば車両12が横風を受けて、左側の前輪12Bへの走行風の圧力(左側の圧力検出装置26が検出する圧力)と右側の前輪12Bへの走行風の圧力(右側の圧力検出装置26が検出する圧力)とに圧力差が発生した場合には、当該圧力差に基づき、制御装置18が左側のアクチュエータ16と右側のアクチュエータ16とを独立して制御して、左側のディフレクタ14の展開量(収納位置を含む)と右側のディフレクタ14の展開量(収納位置を含む)とが独立して調整される。このため、左側の前輪12Bへの走行風の流量と右側の前輪12Bへの走行風の流量とを独立して調整でき、車両12の直進安定性を向上できる。
【0046】
しかも、上述の如く、ディフレクタ14の展開位置が調整可能にされている。このため、ディフレクタ14の回転位置を適切に調整でき、前輪12Bへの走行風の流量を適切に調整できる。
【0047】
[第2実施形態]
図5(A)には、本発明の第2実施形態に係る整流装置50が車両前方かつ車幅方向外方から見た斜視図にて示されている。
【0048】
本実施形態に係る整流装置50は、上記第1実施形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0049】
図5(A)に示す如く、本実施形態に係る整流装置50では、ディフレクタ14が略矩形板状にされている。ディフレクタ14の車両前側には、円柱状の第1回転軸14Bが一体に設けられており、ディフレクタ14は、第1回転軸14Bを中心として、展開方向A及び収納方向Bに回転可能にされている。
【0050】
ディフレクタ14の車幅方向内側端部には、回転部としての矩形板状の回転板14Cが設けられており、回転板14Cは、ブレーキ装置20の車両前側に配置されると共に、ディフレクタ14の他の部分と分離されている。回転板14Cの車幅方向内側には、円柱状の第2回転軸14Dが一体に設けられており、第2回転軸14Dは、第1回転軸14Bと一体に展開方向A及び収納方向Bに回転可能にされる。第2回転軸14Dは、第1回転軸14Bに対し開放方向C及び閉鎖方向Dに回転可能にされており、回転板14Cは、第2回転軸14Dを中心として、開放方向C及び閉鎖方向Dに回転可能にされている。回転板14Cは、閉鎖位置(図5(A)の位置)に配置されており(ディフレクタ14の整流面14A(下面)を閉鎖しており)、回転板14Cは、開放方向Cに回転されて、整流面14Aの面積を減少させる(整流面14Aを開放する)。回転板14Cは、最大開放位置(図5(B)の位置、ディフレクタ14の回転板14C以外の部分に対し上側かつ垂直な位置)等の開放位置に配置可能にされており、回転板14Cは、開放位置から閉鎖方向Dに回転されて、閉鎖位置に配置(復帰)される。
【0051】
ディフレクタ14の第1回転軸14Bには、調整機構及び面積調整機構としてのアクチュエータ16が機械的に連結されており、アクチュエータ16は、回転板14Cの第2回転軸14Dに機械的に連結されている。アクチュエータ16は、制御装置18の制御により、作動されて、ディフレクタ14(回転板14Cを含む)を展開方向A及び収納方向Bに回転させると共に、制御装置18の制御により、作動されて、回転板14Cを開放方向C及び閉鎖方向Dに回転させる。アクチュエータ16には、開閉検出装置52(面積検出装置)が設けられており、開閉検出装置52は、回転板14Cの回転(回転位置等)を検出する。開閉検出装置52は、制御装置18に電気的に接続されており、制御装置18は、開閉検出装置52が検出する回転板14Cの回転位置に基づき、アクチュエータ16を作動させる。
【0052】
ここで、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0053】
さらに、ディフレクタ14が展開位置に配置された際に、ブレーキ装置20の温度(温度検出装置24が検出する温度)が所定温度以上である場合には、制御装置18の制御により、アクチュエータ16が、作動されて、ディフレクタ14の回転板14Cを開放方向Cに回転させることで、ディフレクタ14が、最大開放位置に配置されて、ディフレクタ14の整流面14Aの面積が小さくされる(図5(B)参照)。このため、ディフレクタ14(整流面14A)がブレーキ装置20に流す走行風の量を多くして、ブレーキ装置20が冷却される。これにより、ブレーキ装置20の耐フェード性を一層向上できる。
【0054】
その後、ブレーキ装置20の温度(温度検出装置24が検出する温度)が所定温度未満になった場合には、制御装置18の制御により、アクチュエータ16が、作動されて、ディフレクタ14の回転板14Cを閉鎖方向Dに回転させることで、回転板14Cが閉鎖位置に配置されて、ディフレクタ14の整流面14Aの面積が大きくされる。このため、車両12の空気抵抗を適切に抑制でき、車両12の燃費性能を向上できる。
【0055】
また、ディフレクタ14が展開位置に配置される状態で、車両12が旋回される際には、車両12の操舵角(操舵角検出装置28が検出する操舵角)及び車両12の角速度(角速度検出装置30が検出する角速度)の少なくとも1つに基づき、制御装置18が左側のアクチュエータ16と右側のアクチュエータ16とを独立して制御して、左側の回転板14Cの開放量(閉鎖位置を含む)と右側の回転板14Cの開放量(閉鎖位置を含む)とが独立して調整される。このため、左側の前輪12Bへの走行風の流量と右側の前輪12Bへの走行風の流量とを独立して調整でき、車両12の姿勢安定性を一層向上できると共に、ステアリングの操作に対する車両12の操舵応答性を一層向上できる。
【0056】
さらに、ディフレクタ14が展開位置に配置される状態で、車両12が直進される際に、例えば車両12が横風を受けて、左側の前輪12Bへの走行風の圧力(左側の圧力検出装置26が検出する圧力)と右側の前輪12Bへの走行風の圧力(右側の圧力検出装置26が検出する圧力)とに圧力差が発生した場合には、当該圧力差に基づき、制御装置18が左側のアクチュエータ16と右側のアクチュエータ16とを独立して制御して、左側の回転板14Cの開放量(閉鎖位置を含む)と右側の回転板14Cの開放量(閉鎖位置を含む)とが独立して調整される。このため、左側の前輪12Bへの走行風の流量と右側の前輪12Bへの走行風の流量とを独立して調整でき、車両12の直進安定性を一層向上できる。
【0057】
しかも、上述の如く、回転板14Cの開放位置が調整可能にされている。このため、回転板14Cの開放位置を適切に調整でき、前輪12Bへの走行風の流量を適切に調整できる。
【0058】
なお、上記第1実施形態及び第2実施形態では、左側又は右側のブレーキ装置20の温度に基づき、当該左側又は右側のディフレクタ14の回転位置(回転板14Cの回転位置を含む)が調整される。しかしながら、左側又は右側のブレーキ装置20の温度に基づき、左側及び右側のディフレクタ14の回転位置(回転板14Cの回転位置を含む)が調整されてもよい。
【0059】
また、上記第2実施形態では、ディフレクタ14が展開位置として最大展開位置以外の位置にも配置される。しかしながら、ディフレクタ14が展開位置として最大展開位置のみに配置されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10・・・整流装置(整流機構)、12・・・車両、12A・・・車体、12B・・・前輪、14・・・ディフレクタ(整流体)、14A・・・整流面、14C・・・回転板(回転部)、16・・・アクチュエータ(調整機構、面積調整機構)、20・・・ブレーキ装置(制動機構)、24・・・温度検出装置(温度検出機構)、26・・・圧力検出装置(圧力検出機構)、28・・・操舵角検出装置(操舵角検出機構)、30・・・角速度検出装置(角速度検出機構)、50・・・整流装置(整流機構)
図1
図2
図3
図4
図5