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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025586
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】車内監視装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20240216BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240216BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240216BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B21/24
G08B25/04 K
B60N3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129133
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三上 優樹
(72)【発明者】
【氏名】田岡 巧
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】橋本 龍司
(72)【発明者】
【氏名】折田 浩二
【テーマコード(参考)】
3B088
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3B088CA15
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA05
5C086CA12
5C086CA19
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA01
5C086FA01
5C086FA02
5C086FA11
5C086FA17
5C086FA18
5C086FA20
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA25
5C087AA32
5C087AA44
5C087AA51
5C087DD03
5C087DD14
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
(57)【要約】      (修正有)
【課題】適切なタイミングで乗客の危険度を判定する車内監視装置を提供する。
【解決手段】二人掛け以上の座席90を有する車両98に搭載され、乗客95の状態を把握する状態把握要素2(検知部21及び制御部22)と、乗客95の安全に関する報知を行う報知要素3(警告灯30)と、を備える車内監視装置1であって、、状態把握要素2は、車両98の運行時、かつ、座席90に乗客95が二人以上着座している場合に、座席90のうち通路側席90pに着座している通路側乗客95pが、座席90のうち奥側席90rに着座している奥側乗客95rを通路に通過させる為の譲り動作と、奥側乗客95r自身が通路93に出る為の移動動作と、を互いに関連する一続きの連続動作として検出し、状態把握要素2が一続きの連続動作を検出すると、報知要素3が安全に関する報知を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二人掛け以上の座席を有する車両に搭載され、乗客の状態を把握する状態把握要素と、前記乗客の安全に関する報知を行う報知要素と、を備え、
前記状態把握要素は、前記車両の運行時かつ前記座席に前記乗客が二人以上着座している場合に、
前記座席のうち通路側に着座している通路側乗客が前記座席のうち奥側に着座している奥側乗客を通路に通過させる為の譲り動作と、前記奥側乗客自身が前記通路に出る為の移動動作と、を互いに関連する一続きの連続動作として検出し、
前記状態把握要素が前記一続きの連続動作を検出すると、前記報知要素が安全に関する報知を行う、車内監視装置。
【請求項2】
前記座席は二人掛けの座席であり、
前記状態把握要素は、前記乗客の頭部位置を上下方向、奥-通路方向、及び、前記通路の延び方向の座標で把握し、
前記通路側乗客が前記座席に着座しているときの前記頭部位置を通路側乗客の基準頭部位置とし、以下の(a)~(c)を満たす譲りエリアを設定し、
前記通路側乗客の前記頭部位置が前記譲りエリア内に入ったときに、前記譲り動作として検出する、請求項1に記載の車内監視装置。
(a)前記基準頭部位置から上方向15cmの位置を含む上側の領域、
(b)前記基準頭部位置から通路方向30cmの位置と、前記基準頭部位置から通路方向150cmの位置と、の間の領域、
(c)前記基準頭部位置から前記延び方向の一方側に150cmの位置と、前記基準頭部位置から延び方向の他方側に150cmの位置と、の間の領域。
【請求項3】
前記状態把握要素は、前記乗客の頭部位置を上下方向、奥-通路方向、及び、前記通路の延び方向の座標で把握し、
前記通路側乗客が前記座席に着座しているときの前記頭部位置を前記通路側乗客の基準頭部位置とし、以下の(d)~(f)を満たす譲りエリアを設定し、
前記通路側乗客の前記頭部位置が前記譲りエリア内に入ったときに、前記譲り動作として検出する、請求項1に記載の車内監視装置。
(d)前記座席の座面における通路側端部から通路方向120cmの位置を含む奥側の領域、
(e)前記基準頭部位置から上方向に15cmの位置を含む上側の領域、
(f)前記基準頭部位置から前記延び方向の一方側に150cmの位置と、前記基準頭部位置から前記延び方向の他方側に150cmの位置と、の間の領域。
【請求項4】
前記状態把握要素は、前記奥側乗客の前記頭部位置が、前記通路側乗客と前記奥側乗客との間、または、前記座席のうち前記通路側乗客が着座している通路側席と前記奥側乗客が着座している奥側席との間に予め設定され前記座席の前後方向に延びる境界線を前記通路側に越えると、前記移動動作として検出する、請求項1~3の何れか一項に記載の車内監視装置。
【請求項5】
前記移動動作は前記譲り動作の後に発生する動作である、請求項4に記載の車内監視装置。
【請求項6】
前記移動動作は前記譲り動作の前に発生する動作である、請求項4に記載の車内監視装置。
【請求項7】
二人掛け以上の座席を有する車両に搭載され、乗客の状態を把握する状態把握要素と、前記乗客の安全に関する報知を行う報知要素と、を備え、
前記状態把握要素は、前記乗客の頭部位置を上下方向、奥-通路方向、及び、通路の延び方向の座標で把握し、
前記通路側乗客が前記座席に着座しているときの前記頭部位置を前記通路側乗客の基準頭部位置とし、以下の(a)~(c)を満たす第1譲りエリア、または、(d)~(f)を満たす第2譲りエリアを設定し、
前記車両の運行時かつ前記通路側乗客の前記頭部位置が前記通路側乗客の基準頭部位置から上方向に15cm以上位置変化すると、前記報知要素が前記通路側乗客が立ち上がったとして安全に関する報知を行い、
前記通路側乗客の前記頭部位置が前記第1譲りエリアまたは前記第2譲りエリアに5秒以上存在した場合には、前記安全に関する報知をキャンセルする、車内監視装置。
(a)前記基準頭部位置から上方向15cmの位置を含む上側の領域、
(b)前記基準頭部位置から通路方向30cmの位置と、前記基準頭部位置から通路方向150cmの位置と、の間の領域、
(c)前記基準頭部位置から前記延び方向の一方側に150cmの位置と、前記延び方向の他方側に150cmの位置と、の間の領域。
(d)前記座席の座面における通路側端部から通路方向120cmの位置を含む奥側の領域、
(e)前記基準頭部位置から上方向に15cmの位置を含む上側の領域、
(f)前記基準頭部位置から前記延び方向の一方側に150cmの位置と、前記延び方向の他方側に150cmの位置と、の間の領域。
【請求項8】
前記車両は乗合型の交通機関である、請求項1~3及び7の何れか一項に記載の車内監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に搭載される車内監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭乗している乗客を保護するための車内監視装置として、従来から種々のものが知られている。
【0003】
当該車内監視装置の一種として、例えば特許文献1には、乗客の状態と車両の走行状態を基に、乗客が転倒する危険度を判定し記憶するとともに、その危険度に基づいて運転者や乗客に警告を発する技術が紹介されている。当該特許文献1の〔0023〕-〔0025〕段落、図5A-Cには、車内カメラにより乗客を認識し、当該乗客を追跡することのできるシステムが開示されている。そして当該特許文献1には、当該システムを用いて、乗客の状態を把握するとともに、乗客の危険度が高いと判定した場合に、警告を発する旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-62414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に紹介されている技術は、個々の乗客の状態を判定して警告を発するものである。
【0006】
例えば、バス等の公共交通機関において、複数人掛けの座席のうち奥側部分に着座している奥側乗客が降車する際には、奥側乗客は当該座席のうち通路側部分に移動して、当該座席から立ち上がる。
【0007】
しかし上記した特許文献1の技術では、奥側乗客が実際に立ち上がるまで、当該奥側乗客の危険度が高いという判定を行うことができず、当該奥側乗客に関して警告を発するタイミングが遅延する虞がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、適切なタイミングで乗客の危険度を判定することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の車内監視装置は、
二人掛け以上の座席を有する車両に搭載され、乗客の状態を把握する状態把握要素と、前記乗客の安全に関する報知を行う報知要素と、を備え、
前記状態把握要素は、前記座席に前記乗客が二人以上着座している場合に、
前記座席のうち通路側に着座している通路側乗客が前記座席のうち奥側に着座している奥側乗客を通路に通過させる為の譲り動作と、前記奥側乗客自身が前記通路に出る為の移動動作と、を互いに関連する一続きの連続動作として検出し、
前記状態把握要素が前記一続きの連続動作を検出すると、前記報知要素が安全に関する報知を行う、車内監視装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車内監視装置によると、適切なタイミングで乗客の危険度を判定することのできる技術を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の車内監視装置を模式的に説明する説明図である。
図2】実施例1の車内監視装置が搭載された車両室内における乗客の状態を模式的に説明する説明図である。
図3】実施例1の車内監視装置が搭載された車両室内における乗客の状態を模式的に説明する説明図である。
図4】実施例1の車内監視装置において設定される境界線を模式的に説明する説明図である。
図5】実施例1の車内監視装置において設定される着座判定エリアを模式的に説明する説明図である。
図6】実施例1の車内監視装置において設定される譲りエリアを模式的に説明する説明図である。
図7】譲りエリアの他の例を模式的に説明する説明図である。
図8】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
図9】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
図10】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
図11】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
図12】実施例2の車内監視装置が搭載された車両室内における乗客の状態を模式的に説明する説明図である。
図13】実施例2の車内監視装置が搭載された車両室内における乗客の状態を模式的に説明する説明図である。
図14】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
図15】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
図16】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
図17】実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の車内監視装置では、車両の運行中かつ座席に乗客が二人以上着座している場合に、座席のうち通路側に着座している通路側乗客と、座席のうち奥側に着座している奥側乗客と、の状態を関連づけて、乗客の危険度を判定し、乗客の危険度が高いと判定した場合に、安全に関する報知を行う。
【0013】
詳しくは、通路側乗客が奥側乗客を通路に通過させる為の譲り動作と、奥側乗客自身が通路に出る為の移動動作と、を互いに関連する一続きの連続動作として検出する。当該一続きの連続動作が検出された場合には、車両の運行中であるにも拘わらず、乗客が降車等を目的として車両室内を歩行する可能性が高い。したがってこの場合には、乗客の危険度が高いと判断し、安全に関する報知を行う。
これにより、本発明の車内監視装置によると、奥側乗客が実際に立ち上がる前に、適切なタイミングで乗客の危険度を判定し、かつ、安全に関する報知を乗客に行うことが可能である。
【0014】
以下、本発明の車内監視装置をその構成要素ごとに説明する。
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。更に、上記の何れかの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
【0015】
本発明の車内監視装置は、二人掛け以上の座席を有する車両、つまり複数の乗客を乗せるための車両に搭載されるものであり、当該車両の乗客を保護するものである。本発明でいう車両は、例えば、バスや電車に代表される乗合型車両であるのが好適である。
【0016】
また、本発明の車内監視装置は、上記したように、車両の運行時における乗客の状態を把握し、一続きの連続動作が検出された場合に、乗客の危険度が高いと判断する。
本発明でいう車両の運行時とは、車両の走行時だけでなく車両の停車時の一部を含む概念である。より具体的には、車両の運行時とは、「車両が走行可能な状態にあり乗客を乗せている時」であって、「速度ゼロすなわち停止しかつドアが全開である時」を除く。例えば当該車両が路線バスであれば、停留所で停車しドアを全開にしている状態にある時や、回送状態にある時等は、車両の運行時に該当しない。
【0017】
本発明の車内監視装置は、乗客の状態を把握する状態把握要素と、前記乗客の安全に関する報知を行う報知要素とを備える。
【0018】
本発明の車内監視装置は、乗客の状態に応じて、安全度が低下したと推測される乗客の安全に関する報知を行うためのものである。以下、本明細書では必要に応じて、当該安全度が低下したと推測される乗客を、要監視乗客と称する。
【0019】
本発明の車内監視装置において、上記した安全に関する報知は、要監視乗客に向けてのみ行っても良いし、要監視乗客に加えてその他の乗客、運転者、および、管制者から選択される少なくとも一種の者に向けて、当該安全に関する報知を行っても良い。なお、ここでいう管制者とは、車両が自動運転車両である場合等に、車外にて当該車両の運行を管理及び制御する者を意味する。
【0020】
何れの場合にも、安全に関する報知は、要監視乗客の安全を確保し、ひいては車両に登場している乗客全体の安全を確保するためのものであれば良い。
【0021】
例えば、当該報知が要監視乗客に向けたものであれば、要監視乗客に注意喚起することで、車両の運行時に当該要監視乗客が離席すること、および、車両室内を歩行すること等を中止するよう、当該報知により当該要監視乗客の翻意を促すことが期待される。
【0022】
また、当該報知が運転者や管制者に向けたものであれば、要監視乗客に注意しつつ車両の走行を行うこと、たとえば減速することや急制動を自重すること等を、当該運転者や管制者に促すことが可能である。
【0023】
さらに、当該報知が要監視乗客の近傍に着座しているまたは立ち乗りしている乗客に向けたものであれば、当該報知を受けた乗客は、要監視乗客の存在を知覚し、当該要監視乗客を避けることで、乗客間での事故、たとえばぶつかったりすることを未然に防ぐことが可能である。また、当該報知を受けた乗客による要監視乗客のケアを期待することも可能である。
【0024】
このような安全に関する報知は、例えば、文字や記号、図形、映像、光等を表示することによる視覚的な報知であっても良いし、音を発することによる聴覚的な報知であっても良い。更には、振動を用いた触覚的な報知であっても良い。何れの場合にも、当該安全に関する報知は、対象となる乗客に対して選択的に行うことが好ましい。これにより、特に要監視乗客が、自身が要監視乗客であることを容易にかつ自然に自覚できる利点がある。
【0025】
報知要素は、上記したような各種の報知を行い得るものであれば良く、光を表示するランプ、静止画や動画を表示するモニタ、音を発するスピーカー等の既知の装置を1種または2種以上組み合わせて用いるのが好適である。その他、報知要素は、乗客の携帯端末に文字、音、画像等を送信し表示させる通信装置を含んでも良い。
【0026】
状態把握要素は、本発明の車内監視装置において乗客の状態を把握するための要素である。状態把握要素は、少なくとも、二人掛け以上の座席につき、通路側に着座している乗客(すなわち通路側乗客)と、奥側に着座している乗客(すなわち通路側乗客)とが存在し、このうち奥側乗客が立ち上がり離席しようとしている状態にあることを把握する。
【0027】
具体的には、状態把握要素は、通路側乗客が奥側乗客を通路に通過させる為の譲り動作と、奥側乗客自身が通路に出る為の移動動作と、を互いに関連する一続きの連続動作として検出する。そして、当該状態把握要素が上記した一続きの連続動作を検出すると、報知要素が上記した安全に関する報知を行うことで、乗客の安全を確保する。
【0028】
上記の機能を有する状態把握要素は、少なくとも、通路側乗客や奥側乗客が存在することや、通路側乗客が譲り動作を行ったこと、奥側乗客が移動動作を行ったことを検出するための検知部と、検知部で得た乗客の情報(以下、必要に応じて検知情報と称する)を基に乗客の状態を判断し、その結果を基に報知要素の運転制御を行う制御部と、を有するのが良い。
【0029】
このうち検知部としては、例えば、画像または動画を取得するビデオカメラ等の撮像装置や、荷重センサ、赤外線センサ、画像センサ、静電センサ等に代表される各種のセンサを例示することができるが、これに限定されない。検知部の配置位置もまた特に限定されず、検知部が検知すべきデータの種類に応じた適切な位置に配置すれば良い。また、検知部としては上記した撮像装置やセンサ等の一種のみを用いても良いし、複数種を用いて良い。検知部は、後述する制御部と一体化され車両における同じ位置に配置されても良いし、制御部とは別体であり、車両における異なる位置に配置されても良い。検知部と制御部とが別体である場合、両者はデータや信号等の授受が可能であるように、有線または無線によって接続されれば良い。
【0030】
本発明の車内監視装置では、制御部として、CPUやメモリ等を具備する演算装置を用いるのが好適である。
制御部は、その他、検知部で得た検知情報や当該検知情報と比較参照するための基礎情報等を記憶するための記憶部や、外部データベースや管制者側に配置された報知要素等に接続するための通信部等を有するのも好ましい。
【0031】
制御部は、本発明の車内監視装置専用のものであっても良いし、車両のECU(Electronic Control Unit)と兼用しても良い。さらに、制御部は必ずしも車両に搭載される必要はなく、例えば、制御部の少なくとも一部を車両外部のコントロールセンターに配置し、当該制御部と単数または複数の車両とを無線通信で接続してもよい。そして、当該制御部によって、車両毎に、検知情報を収集し必要に応じて該当する報知要素を運転制御しても良い。
【0032】
状態把握要素は、検知要素の検知結果を基に、先ず、二人掛け以上の座席において、当該座席に乗客が二人以上着座しているか否かを判断する。乗客が二人以上着座している場合、つまり、当該座席に通路側乗客と奥側乗客とが存在する場合、通路側乗客の譲り動作と、奥側乗客の移動動作と、を独立して検知する。
【0033】
通路側乗客が居る場合に奥側乗客が離席するためには、通路側乗客が一旦離席し、奥側乗客を通路に通過させる必要がある。
譲り動作は、通路側乗客の動作であり、奥側乗客を通路に通過させるために、自身の場所を譲る動作である。
【0034】
通路側乗客は、譲り動作を行う際に、座席から立ち上がり、当該座席から通路に移動する。本明細書では、車両室内において、当該譲り動作を行う際に通路側乗客の移動経路になると推測される領域を、譲りエリアと称する。
本発明の車内監視装置では、状態把握要素により通路側乗客を連続的に観察し、通路側乗客の身体の特定部位または全体が当該譲りエリアに入った時に、通路側乗客の譲り動作として検出するのが好適である。
【0035】
譲りエリアは、座席の形状や座席と通路との位置関係等に応じて適宜適切に設定すれば良い。譲りエリアは、如何なる手法や判断基準に依るものであっても良いが、個々の通路側乗客に対応し個別に設定するのが好ましい。具体的には、譲りエリアは、状態把握要素が検知した通路乗客の頭部位置を基準として設定するのが好ましく、当該頭部位置を、上下方向、奥-通路方向、及び、通路の延び方向の三軸的な座標で把握するのが特に好適である。
【0036】
より具体的な譲りエリアとして、例えば、下記〔第1譲りエリア〕または〔第2譲りエリア〕を例示できる。
【0037】
〔第1譲りエリア〕
第1譲りエリアは以下の(a)~(c)を満たす。
(a)前記基準頭部位置から上方向15cmの位置を含む上側の領域、
(b)前記基準頭部位置から通路方向30cmの位置と、前記基準頭部位置から通路方向150cmの位置と、の間の領域、
(c)前記基準頭部位置から通路の延び方向の一方側に150cmの位置と、前記基準頭部位置から通路の延び方向の他方側に150cmの位置と、の間の領域。
〔第2譲りエリア〕
第2譲りエリアは以下の(d)~(f)を満たす。
(d)前記座席の座面における通路側端部から通路方向120cmの位置を含む奥側の領域、
(e)前記基準頭部位置から上方向に15cmの位置を含む上側の領域、
(f)前記基準頭部位置から通路の延び方向の一方側に150cmの位置と、前記基準頭部位置から通路の延び方向の他方側に150cmの位置と、の間の領域。
【0038】
上記の第1譲りエリアは、二人掛けの座席のうち通路側の座席に着座していた通路側乗客が立ち上がり、着座していた位置から通路側に向けて移動したことを想定した領域である。
【0039】
上記の第2譲りエリアは、二人掛け以上の座席のうち通路側の座席に着座していた通路側乗客が立ち上がり、上記の通路側端部を経て通路にまで移動したことを想定した領域である。
【0040】
なお、上記の第1譲りエリアは座席が二人掛けである場合に限定され、第2譲りエリアは座席が三人掛け以上である場合も含む汎用的なものである。
【0041】
上記の通路側乗客の基準頭部位置とは、座席に着座しているときの通路側乗客の頭部位置を意味し、具体的には当該通路側乗客の頭部の中心点の位置であるのが好適である。基準頭部位置は、通路側乗客毎に設定すれば良く、例えば通路側乗客が離席した場合にはキャンセルし、新たな通路側乗客が検出された場合に再度設定するのが良い。当該基準頭部位置を用いた譲りエリアについても同様である。
なお、奥側乗客についても同様に、基準頭部位置を設定することが可能であり、以下の各種の設定方法は奥側乗客についても同様である。
【0042】
通路側乗客の基準頭部位置は、如何なるタイミングで設定しても良いが、例えば、通路側乗客が安定的に着座したと判断されたタイミングで設定するのが好適である。
【0043】
通路側乗客が安定的に着座したか否かの判定は、如何なる方法を用いて行っても良いが、例えば、通路側乗客の頭部位置の位置変化量が、所定の範囲内に収まっている状態が所定期間継続された場合に、当該通路側乗客が安定的に着座したと判定することができる。
【0044】
より具体的には、判定開始時の通路側乗客の頭部の中心点が、所定の着座判定エリア内に収まり、かつ、判定開始時の通路側乗客の頭部の中心点を基準として上下方向、前後方向、および、奥-通路方向の全てにおいて所定期間の移動量が所定範囲内に収まる場合に、当該通路側乗客が安定的に着座したと判定することができる。
【0045】
なお、上記の着座判定エリアとして、通路側席および奥側席を含む座席を囲む領域、より具体的には、以下の(g)~(i)を満足する領域を採用するのが好適である。
(g)座席の前端部から前方向30cmの位置を含む後側の領域、
(h)座席の後端部から後方向10cmの位置を含む前側の領域、
(i)車室床面から上方向120cmの位置を含む下側の領域。
または、当該着座判定エリアとして、通路側席を囲む領域、依り具体的には以下の(j)~(l)を満足する領域を採用しても良い。
(j)通路側席の前端部から前方向30cmの位置を含む後側の領域、
(k)通路側席の後端部から後方向10cmの位置を含む前側の領域、
(l)車室床面から上方向120cmの位置を含む下側の領域。
上記の座席の前後方向とは、座席に正しく着座した乗客の前後方向と一致する。いうまでもなく、乗客は顔を前に向け、背を後に向ける。
【0046】
上記した頭部の中心点の移動量における所定範囲として、例えば、3cm以下、5cm以下、7cm以下、10cm以下、15cm以下を例示することが可能である。
【0047】
また、上記の所定期間として、例えば、0.5秒間、1秒間、3秒間、5秒間、10秒間を例示することが可能である。
なお、検知部が静止画を経時的に所定の取得頻度(フレームレート)で取得する一般的な撮像装置である場合、1フレームを0.1~0.5秒程度と換算し得る。このため一般的なフレームレートでは、通路側乗客における頭部の中心点の移動量が、フレーム、5フレーム、10フレームまたは15フレームの平均で、上記の所定範囲内に収まる場合に通路側乗客が安定的に着座したと判定することができる。
【0048】
通路側乗客が安定的に着座したか否かの判断基準は、上記した頭部の中心点の変化量に限定されない。例えば、乗客の重心の変化量が所定の範囲内に収まっている状態が所定期間継続された場合に、通路側乗客が安定的に着座したと判定しても良い。乗客の重心の変化量は、例えば、画像解析や、座席に設けた荷重センサ等によって検出することが可能である。
【0049】
奥側乗客が離席するためには、当該奥側乗客自身が通路に出る必要がある。
移動動作は、奥側乗客の動作であり、奥側乗客自身が座席を離れて通路に出る為の動作である。
【0050】
奥側乗客は、離席する際に、先ず、少なくとも座席上を奥側から通路側に移動する。したがって、状態把握要素によって所定の境界線を定め、奥側乗客が当該境界線を越えた場合に奥側乗客の移動動作として検出すれば、奥側乗客が離席することを事前に察知でき、安全に関する報知をタイミングの遅延なく発することが可能である。
【0051】
上記した境界線は、座席の形状や座席と通路との位置関係等に応じて適宜適切に設定すれば良い。具体的な境界線として、以下の〔第1境界線〕または〔第2境界線〕を例示できる。
【0052】
〔第1境界線〕通路側乗客と奥側乗客との間に設けられ、座席の前後方向に延びる境界線、
〔第2境界線〕通路側席と奥側席との間に設けられ、座席の前後方向に延びる境界線。
【0053】
上記の奥側席とは座席のうち奥側乗客が着座する領域を意味し、通路側席とは座席のうち通路側乗客が着座する領域を意味する。例えば座席が三人掛けであれば、奥側席と通路側席との間に、第三の乗客が着座する領域(中央席と称する)が存在する。
座席が二人掛けである場合にも、三人掛け以上である場合にも、離席する際に奥側乗客は上記の第1境界線および第2境界線を通過する。
【0054】
第1境界線は、通路側乗客と奥側乗客との間であれば如何なる位置に設けても良いが、例えば、通路側乗客の基準頭部位置と、奥側乗客の基準頭部位置とを検出し、その中央部に設けるのが好適である。ここで設定した第1境界線は、通路側乗客が譲り動作を行うために通路側に移動した際にも維持される。したがって、一旦第1境界線を設定した後には、新たに第1境界線を設定し直す必要はない。さらに、通路側乗客が上記の譲りエリア外に移動し、通路側席にも戻らないことも想定される。この場合の通路側乗客の動作は譲り動作ではなく、かつ、通路側乗客が不在となるために、第1境界線をキャンセルし、新たな通路側乗客が検出された場合に再度設定すれば良い。奥側乗客が不在となった場合にも同様に、第1境界線を一旦キャンセルし、新たな奥側乗客が検出された場合に再度設定すれば良い。
【0055】
第2境界線は、通路側席と奥側席との間であれば如何なる位置に設けても良いが、例えば、通路側席における座面の奥側端部と奥側席の座面における通路側端部との境界に設けるのが好適である。または、通路側席の座面における通路側端部と奥側席の座面における奥側端部との中央部に設けるのも好適である。第2境界線は、通路側乗客と奥側乗客とが検出された場合毎に設定しても良いが、規定値として状態把握要素に記憶しておいても良い。
【0056】
本発明の車内監視装置において、上記のような境界線を設定する場合には、状態把握要素により奥側乗客を連続的に観察し、奥側乗客が上記した境界線を通路側に越えた時に奥側乗客が移動動作を行ったと検出すれば良い。
【0057】
本発明の車内監視装置は、上記の譲り動作と移動動作とを互いに関連する一続きの連続動作として検出すれば良く、譲り動作と移動動作との何れが先に行われても良い。
例えば、奥側乗客が移動動作前に通路側乗客に離席したい旨を伝えた場合等には、通路側乗客の譲り動作が奥側乗客の移動動作よりも前に行われる場合がある。また、奥側乗客が先ず移動動作を開始し、それに気付いた通路側乗客が譲り動作を行う場合等には、奥側乗客の移動動作が通路側乗客の譲り動作よりも前に行われる場合がある。何れの場合にも、譲り動作と移動動作とは連続して行われるために、譲り動作および移動動作を一続きの連続動作として検出することにより、奥側乗客の離席を早期に検知することが可能になる。
【0058】
なお、譲り動作と移動動作とは連続するものであるため、両者の間隔には好適な範囲がある。換言すれば、譲り動作の開始後、所定期間移動動作が行われなければ、一続きの連続動作として検出しないのが好適である。同様に、移動動作の開始後、所定期間譲り動作が行われなければ、一続きの連続動作として検出しないのが好適である。
例えば、譲り動作と移動動作との間隔は、15秒以内、10秒以内、または5秒以内であるのが好適である。
【0059】
本発明の車内監視装置は、奥側乗客についての安全に関する報知を行うだけでなく、通路側乗客についての安全に関する報知を行うことができる。
具体的には、車両の運行時に、該当する通路側乗客に向けて、離席すること、および、車両室内を歩行すること等を中止するよう安全に関する報知を行えば、当該報知により通路側乗客の翻意を促すことができる。
【0060】
ここで、通路側乗客は座席のうち通路側席に着座している乗客であるから、当該通路側乗客が離席する場合には、通路側乗客と奥側乗客との連続動作は生じない。したがってこの場合には、通路側乗客について独立に、離席する前の予備動作を検出するのが良い。
具体的には、本発明の状態把握要素は、通路側乗客が立ち上がったことを検知した場合に、当該通路側乗客が離席する前の予備動作として検出するのが好適である。
【0061】
より具体的には、通路側乗客につき上記した基準頭部位置を検出し、かつ、上記した譲りエリアを設定して、車両の運行時かつ通路側乗客の前記頭部位置が基準頭部位置から上方向に15cm以上位置変化した場合に、通路側乗客が立ち上がったとし、当該通路側乗客が離席する前の予備動作として検出し、安全に関する報知を行うのが良い。このときの安全に関する報知は、少なくとも該当する通路側乗客に向けて行えば良く、当該通路側乗客に加えて、奥側乗客等の他の乗客や運転手や管制者に向けて行っても良い。
【0062】
ところで、通路側乗客は、離席する時以外にも立ち上がる場合がある。例えば、網棚等から荷物とる場合や、既述した譲り動作を行う場合等である。これらの場合、上記のように安全に関する報知を行うと、離席するつもりのない通路側乗客に向けて報知を行うことになり、当該通路側乗客が不快に思う可能性がある。特に、譲り動作を行った通路側乗客に安全に関する報知を行うと、奥側乗客が離席し通路側乗客が再度着座するまで当該通知が止まないと考えられ、そのことを通路側乗客が不満に思う可能性がある。
【0063】
したがって、立ち上がった通路側乗客に向けて安全に関する報知を行う場合、立ち上がった通路側乗客に向けて一旦安全に関する報知を行い、これと並行して、当該通路側乗客が離席するか否かの判定を行って、離席しないことが検出された場合には、安全に関する報知をキャンセルするのが好ましい。
【0064】
立ち上がった通路側乗客が離席するか否の判定は、如何なる方法で行っても良いが、例えば、当該通路側乗客の基準頭部位置が予め設定された譲りエリアに所定期間在る場合には、立ち上がった通路側乗客が譲り動作を行っていると判定して、当該通路側乗客に向けた安全に関する報知をキャンセルするのが良い。
【0065】
また、立ち上がった通路側乗客が離席するか否を判定する方法として、既述した着座判定エリアを用いても良い。例えば、判定開始時の通路側乗客の頭部の中心点が、着座判定エリア内に収まっていれば、当該通路側乗客が単に立ち上がっただけであり離席するのではないと判定することができる。当該判定を行う期間は、如何なる期間であっても良いが、例えば、当該通路側乗客が着座するまでの間行うのが好適である。
【0066】
以下、具体例を挙げて本発明の車内監視装置を説明する。
【0067】
(実施例1)
実施例1の車内監視装置は、乗合型の交通機関の一種であるバスの車両に搭載され、当該車両に乗車している乗客の安全を図るものである。
実施例1の車内監視装置を模式的に説明する説明図を図1に示し、実施例1の車内監視装置が搭載された車両室内における乗客の状態を模式的に説明する説明図を図2図3に示す。実施例1の車内監視装置において設定される境界線を模式的に説明する説明図を図4に示し、実施例1の車内監視装置において設定される着座判定エリアを模式的に説明する説明図を図5に示す。実施例1の車内監視装置において設定される譲りエリアを模式的に説明する説明図を図6に示し、譲りエリアの他の例を模式的に説明する説明図を図7に示す。実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図を図8図11に示す。
以下、上、下、奥側、通路側、前、後とは、各図に示す上、下、奥側、通路側、前、後を指す。なお、前後方向は座席の前後方向および車両の前後方向と一致し、通路の延び方向は当該前後方向と一致する。上下方向は鉛直方向と一致する。
【0068】
実施例1の車内監視装置1が搭載されるバスは、図1に示すように、二人掛け以上の座席90を有する。当該車内監視装置1は、状態把握要素2および報知要素3を備える。
状態把握要素2は、検知部21および制御部22を有する。
【0069】
このうち検知部21は、撮像装置であり、車両98の天井に取り付けられ、車両室内92を撮像する。より具体的には、検知部21は所定の取得頻度(所謂フレームレート)で車両室内92の静止画を取得する。当該検知部21のフレームレートは0.1秒/1フレームである。
【0070】
制御部22は、車両98に搭載されているコンピュータであり、図略のCPU、RAMおよび記憶部を有する。制御部22は、上記した検知部21および後述する報知要素3に無線的に接続されている。
【0071】
制御部22は、検知部21が取得した静止画を画像処理することにより、乗客95の状態を判断する。また、当該乗客95の状態を基に、後述する報知要素3の運転制御を行う。
【0072】
報知要素3は、各座席90の背面に取り付けられている警告灯30と、運転席近傍に配置されているモニタ(図略)と、を有する。このうち警告灯30は制御部22により点灯/消灯制御される。図略のモニタは、検知部21が所得した静止画を表示するとともに、制御部22から伝送された信号に基づいた文字情報を表示する。
【0073】
図1に示すように、車両98に設けられた二人掛け用の座席90には、奥側乗客95rが着座する領域すなわち奥側席90rと、通路側乗客95pが着座する領域すなわち通路側席90pとがある。図1に示すように通路側乗客95pが通路側席90pに着座している場合に、奥側乗客95rが離席するためには、図2図3に示すように、通路側乗客95pが一旦離席し、奥側乗客95rを通路93に通過させる必要がある。
このときの通路側乗客95pの動作すなわち譲り動作と、通路側乗員の動作すなわち移動動作とを検出するために、実施例1の車内監視装置1では、境界線b(図4参照)を事前に設定している。
【0074】
図4に示すように、境界線bは、通路側席90pの座面91における通路側端部91pと奥側席90rの座面91における奥側端部91rとの中央部に設けられ、前後方向に延びる。当該境界線bは既述した第2境界線に相当する。
実施例1の車内監視装置1では、予め定めた境界線bを状態把握要素2の記憶部に格納している。
【0075】
通路側乗客95pは境界線bの通路側にある通路側席90pに着座し、奥側乗客95rは、境界線bの奥側にある奥側席90rに着座する。
奥側乗客95rが離席するためには、当該境界線bを通路側に越え、さらに、通路側乗客95pが奥側乗客95rを通路93に通過させる為の譲り動作を行う必要がある。
【0076】
実施例1の車内監視装置1では、通路側乗客95pが予め設定された譲りエリアに入った時に、通路側乗客95pが譲り動作を行ったと判断する。
【0077】
実施例1の車内監視装置1では、当該譲りエリアを設定するために、先ず、通路側乗客95pの頭部位置hpを検出する(図5)。実施例1において、当該通路側乗客95pの頭部位置hpは、通路側乗客95pの頭部の中心点の位置であり、画像処理により算出した、上下方向、奥-通路方向、及び、通路93の延び方向(すなわち前後方向)の三軸的な座標で把握される。
【0078】
実施例1において、譲りエリアは、通路側席90pに着座した通路側乗客95pの頭部位置hpを基準として設定される。従って、譲りエリアを設定するためには、先ず、通路側乗客95pの着座判定、すなわち、通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座した状態にあるか否かを判定する必要がある。
【0079】
通路側乗客95pの着座判定は、図5に示す着座判定エリア40と頭部位置hpとの関係に基づいて行うことができる。
【0080】
実施例1の車内監視装置1における着座判定エリア40は、通路側席90pおよび奥側席90rを含む座席90を囲む領域であり、具体的には、以下の(g)~(i)を満足する領域である。
(g)座席の前端部から前方向30cmの位置を含む後側の領域、
(h)座席の後端部から後方向10cmの位置を含む前側の領域、
(i)車室床面から上方向120cmの位置を含む下側の領域。
【0081】
通路側乗客95pの頭部位置hpすなわち頭部の中心点が上記の着座判定エリア40に入り、かつ、1秒間すなわち10フレームでの当該頭部位置hpの移動量が、上下方向、奥-通路方向、及び、通路93の延び方向の各々において3cm以下であった場合に、通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座したと判定する。そして、通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座したと判定したときの通路側乗客95pの頭部位置hpを、基準頭部位置bhpとして設定する。
【0082】
通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座したと判断した後、譲りエリアを設定する。
実施例1の車内監視装置1において、譲りエリア50は、上記した通路側乗客95pの基準頭部位置bhpを基準とし、以下の(a)~(c)を満たす領域である(図6)。当該譲りエリア50は既述した第1譲りエリアに相当する。
(a)基準頭部位置bhpから上方向15cmの位置を含む上側の領域、
(b)基準頭部位置bhpから通路方向30cmの位置と、基準頭部位置bhpから通路方向150cmの位置と、の間の領域、
(c)基準頭部位置bhpから前側に150cmの位置と、基準頭部位置bhpから後側に150cmの位置と、の間の領域。
【0083】
なお、参考までに、実施例1で用いた譲りエリア50以外の譲りエリア51を採用することもできる。具体的には、図7に示すように、東部基準位置ghpを基準とし、以下の(d)~(f)をみたす領域を譲りエリア51とすれば良い。当該譲りエリア51は既述した第2譲りエリアに相当する。
(d)座席90の座面91における通路側端部91pから通路方向120cmの位置を含む奥側の領域、
(e)基準頭部位置bhpから上方向に15cmの位置を含む上側の領域、
(f)基準頭部位置bhpから前側に150cmの位置と、基準頭部位置bhpから後側に150cmの位置と、の間の領域。
【0084】
以下、図8図11を基に、実施例1の車内監視装置1の動作を説明する。
【0085】
先ず、図8に示すように、車両98の運行開始時に、実施例1の車内監視装置1をスタートし(S-A1)、座席90に通路側乗客95pおよび奥側乗客95rが着座しているか否かの判定を行う(S-A2)。具体的には、通路側乗客95pおよび奥側乗客95rの各々についてその頭部位置hpを検出し、通路側乗客95pの頭部位置hpおよび奥側乗客95rの頭部位置hpが各々上記した着座判定エリア40にある場合に、座席90に通路側乗客95pおよび奥側乗客95rが着座していると判定する。
座席90に通路側乗客95pおよび奥側乗客95rが着座している場合(S-A2のYES)には、S-A3に進む。座席90に通路側乗客95pおよび奥側乗客95rが着座していない場合(S-A2のNO)には、S-A2に戻る。
【0086】
S-A3では引き続き乗客95の頭部位置hpを検出し、続いて通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座しているか否かを判定する(S-A4)。通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座している場合(S-A4のYES)、すなわち、通路側乗客95pの頭部位置hpが着座判定エリア40に入り、かつ、1秒間すなわち10フレームでの当該頭部位置hpの移動量が、上下方向、奥-通路方向、及び、通路93の延び方向の各々において3cm以下であった場合には、S-A5に進む。また、このときの通路側乗客95pの頭部位置hpを基準頭部位置bhpと設定する。
通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座していない場合(S-A4のNO)には、S-A4を繰り返す。
【0087】
S-A5では、通路側乗客95pの基準頭部位置bhpを基に譲りエリア50を設定する。そして、通路側乗客95pの状態判定(S-A6)に進む。実施例1では、通路側乗客95pの状態を、当該通路側乗客95pの頭部位置hpが譲りエリア50に入っている状態(すなわち、通路側乗客95pが譲り動作を行っている状態)、通路側乗客95pが立ち上がっている状態、通路側乗客95pが着座している状態の3つに分別する。
通路側乗客95pの頭部が譲りエリア50に入っている状態(S-A7)であれば、通路側乗客95pが立ち上がっているために、先ず、通路側乗客95pについての安全に関する報知を行う(S-A10)。具体的には、このとき通路側乗客95pの前部座席に設けられている警告灯30を点灯させ、かつ、運転手側に配置されているモニタに表示されている通路側乗客95pに重ねて「立ち上がり注意」の文字を表示する。当該報知を行ったのち、S-A12に進む。
【0088】
通路側乗客95pが立ち上がっている状態(S-A8)であれば、通路側乗客95pについての安全に関する報知を行い(S-A11)、S-A25に進む。
【0089】
通路側乗客95pが着座している状態(S-A9)であれば、通路側乗客95pに危険はなく、譲り動作も行っていないために、S-A6に戻る。
【0090】
図9に示すように、S-A12では、奥側乗客95rが境界線bを越えたか否かの判定、すなわち、奥側乗客95rが移動動作を行っているか否かの判定を行う。
S-A12において、奥側乗客95rが境界線bを越えた場合(S-A12のYES)には、S-A7から経過したフレーム数を計測する(S-A13)。フレーム数が50フレーム以内であれば(S-A13のYES)、通路側乗客95pの譲り動作と奥側乗客95rの移動動作とが一続きの連続動作として検出され、奥側乗客95rが離席すると判定できる。したがってこの場合には、奥側乗客95rについての安全に関する報知を行い(S-A14)、単に譲り動作を行っただけの通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルする(S-A15)。なお、奥側乗客95rについての安全に関する報知としては、奥側乗客95rの前部座席に設けられている警告灯30を点灯させ、かつ、運転手側に配置されているモニタに表示されている奥側乗客95rに重ねて「立ち上がり注意」の文字を表示する。S-A14およびS-A15の終了後、S-A1に戻る。
【0091】
S-A13で計測したフレーム数が50フレームを超えている場合(S-A13のNO)、通路側乗客95pの譲り動作と奥側乗客95rの移動動作とが既述した一続きの連続動作として検出されず、また、通路側乗客95pが譲りエリア50に立ち乗りしていると判定できるために、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルし(S-A16)、S-A1に戻る。
【0092】
一方、S-A12において、奥側乗客95rが境界線bを越えていない場合(S-A12のNO)には、S-A12に戻って奥側乗客95rが境界線bを越えたか否かの判定を繰り返すとともに、S-A17に進む。
【0093】
図10に示すように、S-A17では、S-A7から経過したフレーム数を計測する。フレーム数が50フレームを超えていれば(S-A17のNO)、既述した一続きの連続動作が検出されず、単に通路側乗客95pが立ち乗りしているものと判定して、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルして(S-A19)、S-A1に戻る。
【0094】
フレーム数が50フレーム以内である場合(S-A17のYES)には、先ず、通路側乗客95pの頭部位置hpを確認し、当該頭部位置hpが譲りエリア50から出たか否かを判定する(S-A18)。通路側乗客95pの頭部位置hpが譲りエリア50から出ていない場合(S-A18のNO)には、S-A7に戻る。
【0095】
一方、通路側乗客95pの頭部位置hpが譲りエリア50から出た場合(S-A18のYES)には、通路側乗客95pが通路側席90pに着座したか否かを判定する(S-A20)。
【0096】
通路側乗客95pが通路側席90pに着座している場合(S-A20のYES)には、通路側乗客95pが安全な状態にあるために、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルして(S-A22)、S-A1に戻る。
【0097】
通路側乗客95pが通路側席90pに着座していない場合(S-A20のNO)には、通路側乗客95pが降車したか否かを判定する(S-A23)。通路側乗客95pが降車した場合(S-A23のYES)には、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルして(S-A24)、S-A1に戻る。
【0098】
通路側乗客95pが降車していない場合(S-A23のNO)には、通路側乗客95pが安定して立っているか否かを判定する(S-A28)。
具体的には、S-A28では、S-A18から2秒間すなわち20フレームでの通路側乗員95pの頭部位置hpの移動量が、上下方向、奥-通路方向、及び、通路93の延び方向の各々において3cm以下であった場合に、通路側乗客95pが安定して立っていると判断する。通路側乗客95pが安定して立っている場合(S-A28のYES)には、S-A24に進む。通路側乗客95pが安定して立っていない場合(S-A28のNO)には、S-A17に戻る。
【0099】
既述したように、図8に示す通路側乗客95pの状態判定(S-A6)において通路側乗客95pが立ち上がっている状態(S-A8)であった場合には、図11におけるS-A25に進む。S-A25では、通路側乗客95pの頭部が譲りエリア50に入ったか否かを判定する。通路側乗客95pの頭部が譲りエリア50に入った場合(S-A25のYES)には、S-A7に進み、その後、奥側乗客95rの状態判定に進む。
【0100】
通路側乗客95pの頭部が譲りエリア50に入っていない場合(S-A25のNO)には、通路側乗客95pが着座したか否かの判定を行い(S-A26)、通路側乗客95pが着座していない場合(S-A26のNO)には、S-A25に戻る。通路側乗客95pが着座した場合には(S-A26のYES)、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルして(S-A27)、S-A1に戻る。
【0101】
実施例1の車内監視装置1によると、通路側乗客95pと奥側乗客95rとの状態を関連づけて、乗客95の危険度を判定し、乗客95の危険度が高いと判定される場合、すなわち、通路側乗客95pの譲り動作と奥側乗客95rの移動動作とが一続きの連続動作として検出された場合に、奥側乗客95rが離席すると推測し、事前に、当該奥側乗客95rおよび運転手に向けて、奥側乗客95rの安全に関する報知を行う。
【0102】
これにより、実施例1の車内監視装置1によると、タイミングの遅延なく、奥側乗客95rが立ち上がる前に、安全に関する報知を奥側乗客95rおよび運転手に行うことが可能である。
【0103】
また、譲り動作を含め通路側乗客95pが立ち上がった場合には、通路側乗客95pの安全に関する報知を行うが、当該譲り動作が一続きの連続動作の一部すなわち奥側乗客95rを離席させるための動作であったと判定された場合には、通路側乗客95pの安全に関する報知をキャンセルする。これにより、通路側乗客95pに向けて過度の報知を続けることを回避し、報知により通路側乗客95pに生じる不満を軽減できる。
【0104】
(実施例2)
実施例2の車内監視装置は、先ず奥側乗客の移動動作を検出し、次いで通路側乗客の譲り動作を検出する点において実施例1の車内監視装置と相違し、その余においては実施例1の車内監視装置と概略同じものである。
【0105】
実施例2の車内監視装置が搭載された車両室内における乗客の状態を模式的に説明する説明図を図12図13に示す。実施例1の車内監視装置の動作を説明する説明図を図14図17に示す。
【0106】
以下、実施例1との相違点を中心に、実施例2の車内監視装置1を説明する。
【0107】
実施例2の車内監視装置1では、先ず奥側乗客95rが移動動作を開始し(図12)、次いで通路側乗客95pが譲り動作を行う場合(図13)に、一続きの連続動作が生じたと判定する。このような場合にも、奥側乗客95rの離席が可能である。
なお、当該判定に用いる境界線b及び譲りエリア50については実施例1と同様である。
【0108】
以下、図14図17を基に、実施例2の車内監視装置1の動作を説明する。
【0109】
先ず、図14に示すように、車両98の運行開始時に、実施例2の車内監視装置1をスタートし(S-B1)、座席90に通路側乗客95pおよび奥側乗客95rが着座しているか否かの判定を行う(S-B2)。座席90に通路側乗客95pおよび奥側乗客95rが着座している場合(S-B2のYES)には、S-B3に進む。座席90に通路側乗客95pおよび奥側乗客95rが着座していない場合(S-B2のNO)には、S-B2に戻る。
【0110】
S-B3では引き続き乗員25の頭部位置hpを検出し、続いて通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座しているか否かを判定する(S-B4)。通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座している場合(S-B4のYES)には、S-B5に進む。
通路側乗客95pが通路側席90pに安定的に着座していない場合(S-B4のNO)には、S-B4を繰り返す。
【0111】
S-B5では、通路側乗客95pの基準頭部位置bhpを基に譲りエリア50を設定する。そして、奥側乗客95rの状態判定を行う(S-B6)。実施例2では、奥側乗客95rの状態を、当該奥側乗客95rの頭部位置hpが予め設定された境界線bを通路側に越えたか否かの2つに分別する。
【0112】
奥側乗客95rの頭部が境界線bを越えていない場合(S-B8)であれば、奥側乗客95rは単に奥側席90rに着座しているだけであるためにS-B6に戻る。
【0113】
奥側乗客95rの頭部が境界線bを越えた場合(S-B7)であれば、奥側乗客95rの移動動作が開始している。このときには図15に示すS-B9に進み、S-B7から経過したフレーム数を計測する。
【0114】
S-B7から50フレームが経過している場合(S-B9のNO)には、所定の期間が経過しているために、既述した一続きの連続動作が検出されないと判定し、S-B6に戻る。
S-B7から50フレーム以内である場合(S-B9のYES)には、既述した一続きの連続動作が検出される可能性があるために、通路側乗客95pの状態判定(S-B10)を行う。
実施例2では、このとき通路側乗客95pの状態を、譲りエリア50に入っている状態(S-B11)、立ち上がった状態(S-B12)、着座した状態(S-B13)の3つに分類する。
【0115】
通路側乗客95pが譲りエリア50に入っている場合(S-B11)には、通路側乗客95pが立ち上がっていると判定し、先ず、通路側乗客95pについての安全に関する報知を行い(S-B14)、次いで図16に示すS-B16に進む。
【0116】
図15に示すように、通路側乗客95pの状態判定(S-B10)において通路側乗客95pが立ち上がっていると判定した場合(S-B12)には、通路側乗客95pについての安全に関する報知を行い(S-B15)、図17に示すS-B21に進む。
【0117】
通路側乗客95pが着座している状態(S-B13)であれば、通路側乗客95pに危険はなく、譲り動作も行っていないために、S-B9に戻る。
【0118】
図16に示すように、S-B16では、奥側乗客95rが境界線bを越えて奥側席90rに戻ったか否かの判定を行う。
S-B16において、奥側乗客95rが境界線bを越えて奥側席90rに戻った場合(S-B20)には、奥側乗客95rの離席はないと判定し、S-B1に戻る。
なお、このとき通路側乗客95pは依然として譲りエリア50にいるため、同時に、図17に示すS-B21に進み、通路側乗客95pの動作について判定を続ける。
【0119】
S-B16において、奥側乗客95rが依然として境界線bを越えた通路側にいる場合(S-B17)には、奥側乗客95rの移動動作と通路側乗客95pの譲り動作とが一続きの連続動作であると判定して、奥側乗客95rについての安全に関する報知を行い(S-B18)、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルして(S-B19)、S-B1に戻る。
【0120】
図17に示すS-B21では、S-B7から経過したフレーム数を計測する。当該フレーム数が50フレームを超えていれば(S-B21のNO)、通路側乗客95pが譲りエリア50に立ち乗りしていると判定して、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルし(S-B22)、S-B1に戻る。
【0121】
フレーム数が50フレーム以内であれば(S-B21のYES)、通路側乗客95pが譲りエリア50外にいるか否かの判定を再度行い(S-B23)、通路側乗客95pが譲りエリア50内にいる場合(S-B23のNO)には、S-B11に戻る。
【0122】
通路側乗客95pが譲りエリア50外にいる場合(S-B23のYES)には、通路側乗客95pが着座したか否かを判定する(S-B24)。
通路側乗客95pが着座した場合(S-B24のYES)には、通路側乗客95pの危険がなくなったために、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルし(S-B25)、S-B1に戻る。
【0123】
通路側乗客95pが着座していない場合(S-B24のNO)には、通路側乗客95pが降車したか否かの判定を行う(S-B26)。
通路側乗客95pが降車した場合(S-B26のYES)には、通路側乗客95pについての安全に関する報知をキャンセルし(S-B27)、S-B1に戻る。
通路側乗客95pが降車していない場合(S-B26のNO)には、通路側乗客95pが安定して立っているか否かを判定する(S-B28)。
S-B28では、S-B23から2秒間すなわち20フレームでの通路側乗員95pの頭部位置hpの移動量が、上下方向、奥-通路方向、及び、通路93の延び方向の各々において3cm以下であった場合に、通路側乗客95pが安定して立っていると判断する。通路側乗客95pが安定して立っている場合(S-B28のYES)には、S-B27に進む。通路側乗客95pが安定して立っていない場合(S-B28のNO)には、S-B21に戻る。
【0124】
実施例2の車内監視装置1によっても、実施例1の車内監視装置1と同様に、通路側乗客95pと奥側乗客95rとの状態を関連づけて、乗客95の危険度を判定することで、タイミングの遅延なく、奥側乗客95rが立ち上がる前に、安全に関する報知を奥側乗客95rに行うことが可能であり、また、通路側乗客95pに向けて過度の報知を続けることを回避できる。
【0125】
以上本発明を説明してきたが、本発明は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、当該実施形態等に記載した要素を適宜抽出し組み合わせて実施することや、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
また、本発明の明細書は、出願当初における各請求項の引用関係に止まらず各請求項に記載された事項を適宜組み合わせた技術思想を開示するものである。
【符号の説明】
【0126】
1:車内監視装置
2:状態把握要素
3:報知要素
50:譲りエリア(第1譲りエリア)
51:譲りエリア(第2譲りエリア)
hp:乗客の頭部位置
bhp:基準頭部位置
b:境界線
90:座席
90p:通路側席
90:奥側席
91:座席の座面
91p:座席の座面における通路側端部
93:通路
95:乗客
95p:通路側乗客
95r:奥側乗客
98:車両
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