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  • 特開-段差昇降装置 図1
  • 特開-段差昇降装置 図2
  • 特開-段差昇降装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025589
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】段差昇降装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/06 20060101AFI20240216BHJP
   A61G 5/10 20060101ALI20240216BHJP
   B62D 57/032 20060101ALI20240216BHJP
   B62B 5/02 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61G5/06
A61G5/10
B62D57/032 P
B62B5/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129136
(22)【出願日】2022-08-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】520105164
【氏名又は名称】山崎 明美
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴志
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050DD07
3D050KK04
(57)【要約】
【課題】車椅子や荷物運搬台車などで段差や階段を昇降するのに好適な、段差昇降装置を提供する。
【解決手段】車椅子や荷物運搬台車などに設置する装置であって、互いに並行でそれぞれ独立に水平方向へ張出格納可能な少なくとも4本のアーム1と、前記少なくとも4本のアーム1のそれぞれの張出方向先端付近に配置するそれぞれ独立に鉛直方向へ移動または伸縮可能な脚2と、を備え、前記少なくとも4本のアーム1は少なくとも2本ずつ反対方向へ張り出すように配置することを特徴とする、段差昇降装置とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子や荷物運搬台車などに設置する装置であって、互いに並行でそれぞれ独立に水平方向へ張出格納可能な少なくとも4本のアーム(1)と、前記少なくとも4本のアーム(1)のそれぞれの張出方向先端付近に配置するそれぞれ独立に鉛直方向へ移動または伸縮可能な脚(2)と、を備え、前記少なくとも4本のアーム(1)は少なくとも2本ずつ反対方向へ張り出すように配置することを特徴とする、段差昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子や荷物運搬台車などで段差や階段を昇降するのに好適な、段差昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子での単独移動時や荷物運搬台車での重量物運搬移動時などにおいて、段差や階段を昇降することは困難である。車椅子や荷物運搬台車などで段差や階段を昇降するための装置として、引用文献1~2に階段昇降装置などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-189847号公報
【特許文献2】特開2003-146218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車椅子や荷物運搬台車などで段差や階段を昇降するための装置として、引用文献1~2に階段昇降装置などが開示されているが、引用文献1の階段昇降装置では、地面と接触する鉛直部材が8本必要であり、また、引用文献2の脚車輪移動装置では、地面と接触する鉛直部材が最低6本必要なものとなっている。
【0005】
本発明は、車椅子や荷物運搬台車などで段差や階段を昇降するための装置であり、地面と接触する鉛直部材が最低4本のシンプルな構造とすることができる、段差昇降装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車椅子や荷物運搬台車などに設置する装置であって、互いに並行でそれぞれ独立に水平方向へ張出格納可能な少なくとも4本のアーム1と、前記少なくとも4本のアーム1のそれぞれの張出方向先端付近に配置するそれぞれ独立に鉛直方向へ移動または伸縮可能な脚2と、を備え、前記少なくとも4本のアーム1は少なくとも2本ずつ反対方向へ張り出すように配置することを特徴とする、段差昇降装置とする。
【発明の効果】
【0007】
各アーム1と各脚2を順番に動作することにより段差や階段を昇降することができる。一例として、車椅子での階段昇り時における具体的動作順の例を図1(a)~(d)を用いて説明する。
1.階段下側のアーム1C、1Dを格納状態で脚2C、2Dを接地し、階段上側のアーム1A、1Bを張出状態で2A、2Bを接地する(a)。
2.脚2A~Dを同時に伸ばして車椅子を持ち上げ、アーム1C、1Dを張り出しながらアーム1A,1Bを格納して、車椅子を平行移動する(b)。
3.脚2A~Dを同時に縮めて車椅子の片方の車輪を接地させ、アーム1Dを格納して脚2Dを接地する(c)。
4.アーム1Cを格納して脚2Cを接地する。アーム1C、1Dを格納する時において、脚2C、2Dは、アーム1C、1Dを動かすことができる最低限の縮め量とすることが安全上重要である。また、アーム1Dの格納とアーム1Cの格納の順序は逆でもよい。
5.脚1A、1Bを縮めて、アーム1A、1Bを張出状態にして、脚2A、2Bを接地する(d)。
上記1~5の繰り返しにより段差や階段を昇ることができる。また、上記の動作の概ね逆の動作を行うことで、段差や階段を降りることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】動作順の例を示す模式図である。(a)~(d)の各上段は平面図、各下段は背面図。
図2】実施例1の三面図である。(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は側面図。
図3】実施例2の三面図である。(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
車椅子や荷物運搬台車などに設置する装置であって、互いに並行でそれぞれ独立に水平方向へ張出格納可能な少なくとも4本のアーム1と、前記少なくとも4本のアーム1のそれぞれの張出方向先端付近に配置するそれぞれ独立に鉛直方向へ移動または伸縮可能な脚2と、を備え、前記少なくとも4本のアーム1は少なくとも2本ずつ反対方向へ張り出すように配置することを特徴とする、段差昇降装置とする。
【0010】
図2に、本段差昇降装置を車椅子に取り付けた実施例1を示す。実施例1では、車椅子の背面と膝裏部分にそれぞれ2本ずつのアーム1を配置している。アーム1は人手によるスライド動作構造とし、脚2はギヤードモータとラック・ピニオンによる電動駆動としている。それぞれの脚2は容易に取り外すことができ、本段差昇降装置を使用しないときの車椅子使用への影響を小さくしている。
【0011】
図3に、本段差昇降装置を荷物運搬台車に取り付けた実施例2を示す。実施例2では、荷物運搬台車の前後端付近にそれぞれ2本ずつのアーム1を配置している。アーム1は人手によるスライド動作構造とし、脚2はギヤードモータとラック・ピニオンによる電動駆動としている。それぞれの脚2は容易に取り外すことができ、本段差昇降装置を使用しないときの荷物運搬台車使用への影響を小さくしている。
【0012】
実施例1や実施例2では、構造の単純化のため、アーム1の動作を人手で行うものとしているが、アーム1の動作を、例えばギヤードモータとラック・ピニオンによる電動駆動などとすることもできる。アーム1と脚2を電動駆動など人手が不要な駆動方法とした場合、近接センサや水平センサなどの各種センサや演算装置を用いることにより、アーム1と脚2の自動制御動作が可能となる。
【0013】
アーム1や脚2の駆動方法としては、前記のようなギヤードモータとラック・ピニオンによる電動駆動のほか、電動シリンダや油圧シリンダなどによる駆動方法も考えられる。
【0014】
本段差昇降装置におけるアーム1の最小構成は4本であるが、構造の複雑化を許容して5本以上とすることで、安全性の向上や適応荷重の増加を期待できる。
【0015】
図2~3に示した実施例1~2は、本発明の実施例に過ぎず、アーム1や脚2の構造・形状・配置位置・本数、本段差昇降装置の取り付け対象・取付位置、等を限定するものではない。また、図1に示した動作順の例は、本発明の動作実施例に過ぎず、アーム1や脚2の動作順を限定するものではない。
【0016】
本段差昇降装置は、平地では車輪移動ができる車椅子や荷物運搬台車などに取り付けることが好適であるが、家庭内での階段昇降など、平地での車輪移動を必要としないで段差や階段を昇降できるだけでよい場合には、普通の椅子に取り付けることも考えられる。
【符号の説明】
【0017】
1、1A、1B、1C、1D アーム
2、2A、2B、2C、2D 脚
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子や荷物運搬台車などに設置する装置であって、互いに並行でそれぞれ独立に手動または動力により水平方向へ張出格納可能な4本のアーム(1)と、前記4本のアーム(1)のそれぞれの張出方向先端付近に配置するそれぞれ独立に動力により鉛直方向へ移動または伸縮可能な脚(2)と、を備え、前記4本のアーム(1)は2本ずつ反対方向へ張り出すように配置し、脚(2)は本装置の分解が不要で取り外すことができる構造で、脚(2)の移動または伸縮により本装置設置対象物の鉛直移動を行い、前記鉛直移動により本装置設置対象物が接地していない状態での、アーム(1)の張出格納により本装置設置対象物の水平移動を行い、前記鉛直移動と前記水平移動を組み合わせることで本装置設置対象物が段差や階段を昇降できるようにすることを特徴とする、段差昇降装置。