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特開2024-25593デジタル技術を活用する能力を診断するシステム、方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025593
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】デジタル技術を活用する能力を診断するシステム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/00 20060101AFI20240216BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240216BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240216BHJP
【FI】
G09B7/00
G09B19/00 H
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022136351
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】522342097
【氏名又は名称】株式会社オンギガンツ
(72)【発明者】
【氏名】松田 雄馬
(72)【発明者】
【氏名】大河内 一州
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA10
2C028BB04
2C028BC01
2C028BD01
5L049AA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組織が有するデジタル技術を活用する能力を、組織に属する個人の能力に基づいて算出し、評価するための適切な診断を行う。
【解決手段】デジタル技術活用に関する設問を、一台または複数台の受検者端末にネットワークを介して出題する設問出題手段と、設問に応じて前記一台または複数台の受検者端末からネットワークを介して返信された解答結果を、一台または複数台の受検者端末毎に、設問の各々に付記されたカテゴリー情報を用い、カテゴリー毎に得点の集計を行うカテゴリー毎の得点集計手段と、一台または複数台の受検者端末毎、そして、カテゴリー毎に集計された得点の組み合わせのパターンを用い、予め定められたパターンの中から適切なものを選択することによって、診断結果を出力する、診断結果算出手段とを設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一人または複数の受検者が、一台または複数台の受検者端末とネットワークとを用い、デジタル技術活用に関する設問を解答することで、デジタル技術を活用する能力を評価するための、デジタル技術を活用する能力を診断するシステムであって、
デジタル技術活用に関する設問を、前記一台または複数台の受検者端末に前記ネットワークを介して出題する設問出題手段と、
前記設問に応じて前記一台または複数台の受検者端末から前記ネットワークを介して返信された解答結果を、前記一台または複数台の受検者端末毎に、前記設問の各々に付記されたカテゴリー情報を用い、カテゴリー毎に得点の集計を行うカテゴリー毎の得点集計手段と、
前記一台または複数台の受検者端末毎、そして、前記カテゴリー毎に集計された得点の組み合わせのパターンを用い、予め定められたパターンの中から適切なものを選択することによって、診断結果を出力する、診断結果算出手段と、
を備えることを特徴とするデジタル技術を活用する能力を診断するシステム。
【請求項2】
前記カテゴリー毎の得点集計手段は、前記カテゴリー情報として、アナログデータをデジタルデータに変換しデジタル機器を用いて操作することを意味するデジタイゼーションに関わるものと、デジタイゼーションによって業務を効率化することを意味するデジタライゼーションに関わるものと、デジタライゼーションによって組織や事業を変革することを意味するデジタル・トランスフォーメーションに関わるものと、のうち少なくとも一つ以上を有するカテゴリー情報である
ことを特徴とする請求項1に記載のデジタル技術を活用する能力を診断するシステム。
【請求項3】
前記カテゴリー毎の得点集計手段は、前記カテゴリー情報として、パソコン操作に関わるものと、ネットワークを介した情報操作に関わるものと、表計算ソフトウェアをはじめとするソフトウェア用いたデータ分析に関わるものと、個人の思考をデジタル機器によって表現する可視化に関わるものと、個人の思考や現実の状況を個別要素に分解したうえでその関係性を整理して表現する技能に関わるものと、のうち少なくとも一つ以上を有するカテゴリー情報である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル技術を活用する能力を診断するシステム。
【請求項4】
前記カテゴリー毎の得点集計手段は、前記カテゴリー情報として、デジタル技術に関する知識を問うものと、デジタル技術を活用する技能に関するものと、デジタル技術を活用する際に意思決定を行うべき方針に関するものと、のうち少なくとも一つ以上を有するカテゴリー情報である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のデジタル技術を活用する能力を診断するシステム。
【請求項5】
前記診断結果算出手段は、前記受検者の年齢、性別、組織に所属する年数、組織内の部署、職種、役職、のうちいずれか一つを含む属性ごとに集計した結果を算出する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のデジタル技術を活用する能力を診断するシステム。
【請求項6】
前記設問出題手段は、二つ以上の選択肢の中から一つまたは複数の正解を選択する選択問題と、ソフトウェアを用いた文字入力の速度と正確さを計測する問題と、表計算ソフトウェアをはじめとするソフトウェアを使って正しくデータの入力や加工を行う問題と、のうちいずれか一つ以上の問題からなる設問を出題する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のデジタル技術を活用する能力を診断するシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかのシステムを実現するためのデジタル技術を活用する能力を診断する方法、およびプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学生や社会人などのデジタル技術を活用する能力を診断するシステム、およびこれを用いた診断方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の急速な普及に伴い、パーソナル・コンピュータやスマートフォンをはじめとするデジタル機器を用い、表計算ソフトウェアなどを用いてデータの分析を行うデジタル技術を活用する能力の必要性に注目が集まっている。それに加え、昨今は、そうしたデジタル技術を活用する能力を、個人として評価するだけでなく、企業や学校などの組織全体で、どれほどデジタル技術を活用する潜在能力があるかを評価することに注目が集まっている。デジタル技術を活用することによる組織の事業や経営のあり方を変革することはデジタル・トランスフォーメーション(DX)とよばれ、組織のデジタル・トランスフォーメーションがどれほど進んでいるか、どのような課題があるかを評価することは、それによって、事業や経営を健全化するための第一歩になるとして、期待が集まっている。
【0003】
組織のデジタル技術を活用する能力を評価する指標として、非特許文献1に記載のDX推進指標がある。これは、組織のデジタル技術を活用する能力を、DX推進のための経営のあり方、仕組みと、DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築の、二つのカテゴリーに分類したうえで、それらを、定性指標と定量指標にそれぞれ分類し、さらに細かい評価項目に分類する。そして、組織の代表者あるいは担当者が、それぞれの項目を、前記組織がどの程度達成できているかを五評価することで、組織のデジタル技術を活用する能力のうち、どの項目に課題があるかを明確にする、というものである。
【0004】
以上の手法は、前記組織の代表者あるいは担当者が把握している評価項目であれば、五段階評価を高い精度で実施することができる一方、前記代表者あるいは担当者が把握していない評価項目に関しては、評価精度が下がるという問題点がある。特に、本手法は、組織を構成する個人それぞれが、デジタル技術を活用する能力をどの程度有しているかについては、評価することは困難である。
【0005】
本課題を解決し得る方法として、非特許文献2に記載のデジタル技術を活用する能力を試験する、個人向けの検定試験を活用するという方法が考えられる。これによって、組織に所属する各個人が、デジタル技術を活用する能力をどの程度有するかを評価できる。しかしながら、個人向けの検定試験をどのように活用すれば組織のデジタル技術を活用する能力が評価できるかについては、非特許文献2をはじめとする先行技術には記載されていない。
【0006】
以上のように、組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価するためには、先行技術としての、組織の代表者あるいは担当者が評価するという方法、個人向けの検定試験を活用するという方法、のいずれの方法を用いた場合であっても課題があり、組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価するために適した方法が考案されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】独立行政法人情報処理推進機構 DX推進指標自己診断結果分析レポート(2020年版)
【0008】
【非特許文献2】独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱 Ver.4.9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価するためには、組織に属する個人の能力を把握し、それらを適切に組み合わせることで、組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価する必要がある。
【0010】
しかしながら、これを実現するにあたり、組織の代表者あるいは担当者が評価するという方法は個人の能力を評価に反映できないという課題があり、個人向けの検定試験を活用するという方法は各個人の能力をどのように組み合わせれば組織が有するデジタル技術を活用する能力を算出できるかが考案されていないという課題がある。
【0011】
本発明の目的は、組織が有するデジタル技術を活用する能力を、組織に属する個人の能力に基づいて算出し、評価するための適切な診断システム、方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るデジタル技術を活用する能力を診断するシステムは、一人または複数の受検者が、一台または複数台の受検者端末とネットワークとを用い、デジタル技術活用に関する設問を解答することで、デジタル技術を活用する能力を評価するための、デジタル技術を活用する能力を診断するシステムであって、デジタル技術活用に関する設問を、前記一台または複数台の受検者端末に前記ネットワークを介して出題する設問出題手段と、前記設問に応じて前記一台または複数台の受検者端末から前記ネットワークを介して返信された解答結果を、前記一台または複数台の受検者端末毎に、前記設問の各々に付記されたカテゴリー情報を用い、カテゴリー毎に得点の集計を行うカテゴリー毎の得点集計手段と、前記一台または複数台の受検者端末毎、そして、前記カテゴリー毎に集計された得点の組み合わせのパターンを用い、予め定められたパターンの中から適切なものを選択することによって、診断結果を出力する、診断結果算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
デジタル技術を活用する能力を診断する方法は、一人または複数の受検者が、一台または複数台の受検者端末とネットワークとを用い、デジタル技術活用に関する設問を解答することで、デジタル技術を活用する能力を評価するための、デジタル技術を活用する能力を診断する方法であって、デジタル技術活用に関する設問を、前記一台または複数台の受検者端末に前記ネットワークを介して出題する設問出題処理と、前記設問に応じて前記一台または複数台の受検者端末から前記ネットワークを介して返信された解答結果を、前記一台または複数台の受検者端末毎に、前記設問の各々に付記されたカテゴリー情報を用い、カテゴリー毎に得点の集計を行うカテゴリー毎の得点集計処理と、前記一台または複数台の受検者端末毎、そして、前記カテゴリー毎に集計された得点の組み合わせのパターンを用い、予め定められたパターンの中から適切なものを選択することによって、診断結果を出力する、診断結果算出処理と、を備えることを特徴とする。
【0014】
デジタル技術を活用する能力を診断するプログラムは、一人または複数の受検者が、一台または複数台の受検者端末とネットワークとを用い、デジタル技術活用に関する設問を解答することで、デジタル技術を活用する能力を評価するための、デジタル技術を活用する能力を診断する方法であって、デジタル技術活用に関する設問を、前記一台または複数台の受検者端末に前記ネットワークを介して出題する設問出題手段と、前記設問に応じて前記一台または複数台の受検者端末から前記ネットワークを介して返信された解答結果を、前記一台または複数台の受検者端末毎に、前記設問の各々に付記されたカテゴリー情報を用い、カテゴリー毎に得点の集計を行うカテゴリー毎の得点集計手段と、前記一台または複数台の受検者端末毎、そして、前記カテゴリー毎に集計された得点の組み合わせのパターンを用い、予め定められたパターンの中から適切なものを選択することによって、診断結果を出力する、診断結果算出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、組織が有するデジタル技術を活用する能力を、組織に属する個人の能力に基づいて算出し、評価するための適切な診断システム、方法、およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】デジタル技術を活用する能力を診断するシステムの構成図である。
図2】設問情報の一例を示す説明図である。
図3】カテゴリー情報の一例を示す説明図である。
図4】設問の表示の一例を示す説明図である。
図5】カテゴリー毎の得点を格納した情報の一例を示す説明図である。
図6】診断結果情報の一例を示す説明図である。
図7】診断結果情報の表示の一例を示す説明図である。
図8】受検者が複数の場合の診断結果情報の表示の一例を示す説明図である。
図9】実施の形態におけるデジタル技術を活用する能力を診断するシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について説明する。
【0018】
組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価するためには、組織に属する個人の能力を把握し、それらを適切に組み合わせることで、組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価する必要がある。これを実現するにあたっては、組織に属する各個人の能力を評価したうえで、それらを適切に組み合わせることによって、組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価することが必要となる。しかしながら、その方法については考案がなされていない。
【0019】
こうした現状を踏まえ、発明は、以下のようにデジタル技術を活用する能力を診断するシステムを提案する。
【0020】
本システムの処理動作は、三つのステップで示すことができる。
【0021】
第一のステップでは、一人または複数の受検者が、一台または複数台の受検者端末とネットワークとを用い、デジタル技術活用に関する設問を、受検者端末に出題する。
【0022】
第二のステップでは、各受検者の端末からネットワークを介して返信された解答結果を、受検者毎に、そして、各設問に付記されたカテゴリー情報に基づいて、カテゴリー毎の得点を集計することによって実施する。
【0023】
第三のステップでは、カテゴリー毎に集計された得点の組み合わせのパターンを用い、予め定められたパターンの中から適切なものを選択することによって、診断結果を出力する。
【0024】
以上の三つのステップを実施することにより、組織が有するデジタル技術を活用する能力を評価することが可能となる。
【0025】
以下、上記それぞれのステップを行なうデジタル技術を活用する能力を診断するシステムについて、実施の形態を用いて説明する。
【0026】
本発明の実施の形態を図1から図9を参照して説明する。
[実施の形態]
【0027】
本実施の形態を採用することにより、デジタル技術を活用する能力を診断するシステムを提供できる。
[構成の説明]
【0028】
図1は、本実施の一形態のデジタル技術を活用する能力を診断するシステムの構成を示すブロック図である。なお、本発明に関連が薄い構成については、説明を簡略化又は省略する。
【0029】
デジタル技術を活用する能力を診断するシステムは、情報処理の全体を管理する制御部10、メモリ20、受検者に対して設問を出題する設問出題部101、各設問に付記されたカテゴリー情報に基づいて、カテゴリー毎の得点を集計するカテゴリー毎の得点集計部102、カテゴリー毎に集計された得点の組み合わせのパターンを用い、予め定められたパターンの中から適切なものを選択することによって、診断結果を出力する診断結果算出部103、設問情報を記憶する設問情報記憶部201、設問毎のカテゴリー情報を記憶するカテゴリー情報記憶部202、診断結果を出力する際の基準を記憶する診断結果情報記憶部203を含み構成されている。
【0030】
制御部10は、デジタル技術を活用する能力を診断する処理に関連する情報処理の全体動作を管理する。
【0031】
設問出題部101は、デジタル技術を活用する能力を診断する対象となる組織に属する個人を受検者とし、受検者が操作可能な端末上に、ネットワークを介して出題する問題を表示したうえで、受検者が入力した回答を取得する。受検者は二人以上の複数であることが望ましいが、一人であってもよい。設問出題部101が設問を出題する手法は三つのステップからなる。
【0032】
第一のステップでは、設問情報記憶部201に格納される情報から設問を抽出する。設問の抽出は、設問情報記憶部201に格納される情報から、予め定められた規則に従って設問を抽出する。
【0033】
設問情報記憶部201の一例を図2に示す。設問情報記憶部201は、受検者が閲覧する設問と、設問が属するカテゴリー情報と、受検者が設問を閲覧したうえで回答を入力するために必要な情報と、受検者の回答が正解であるかどうかを判断するための正解情報と、を有することが望ましいが、カテゴリー毎の得点集計部102と、診断結果算出部103が、集計および算出手段を実行可能な形式であれば、どのような形式であってもかまわない。設問は、受検者が閲覧可能な言語で記述される。カテゴリー情報は、一種類または複数種類のカテゴリーを用いる。ここでは、段階、分類、項目、という三種類の分類を記している。回答を入力するために必要な情報は、選択肢を用意することが望ましいが、回答を記述する形式などでも構わない。その場合は、回答を正解とするかどうかの基準を別途設定し、その基準に合致するかどうか、或いはどの程度合致しているかによって、正解かどうかの判定を行う。受検者の回答が正解であるかどうかを判断するための正解情報は、受検者が入力した値が正解であるかどうかを判定するための基準として用いる。これは、回答を入力するために必要な情報が選択肢であれば、正解の選択肢を判別するための番号や記号を用意することが望ましいが、正解かどうかを判定することができるものであれば、どのような手段を講じてもかまわない。
【0034】
カテゴリー情報記憶部202は、設問毎に付記されたカテゴリー情報を一覧で格納する。カテゴリー情報記憶部202の一例を図3に示す。カテゴリー情報記憶部202は、設問毎に付記されたカテゴリー情報がわかる形式であればどのようなものを利用してもかまわないが、カテゴリーの種類と、カテゴリーの両者を紐づけられる形で有しておくことが望ましい。図3では、カテゴリーの種類に対応する大分類と、カテゴリーに対応する小分類が、それぞれ格納されており、それぞれのカテゴリーがどのカテゴリーの種類に属するのかが検索可能になっている。以上を用いることによって、設問出題部101が設問を出題する手法の三つのステップのうち、第一のステップを実行する。
【0035】
第二のステップでは、第一のステップで抽出された設問を、受検者が回答可能な形で表示し、受検者の回答を取得する。第二のステップで表示する例を図4に示す。ここでは、設問情報記憶部201に格納された設問の文言と、回答を入力するために必要な情報である選択肢を、それぞれ表示するとともに、受検者が選択した回答がいずれかが識別できるための入力部を表示する。入力部は、受検者が選択した回答が識別可能であればどのような形式であってもかまわないが、回答を選択するためのラジオボタンやチェックボックス、選択肢を選択するプロダウンメニュー、選択肢を記述するためのテキストボックスなどの形式を用いることが望ましい。ここで受検者が入力した回答を、受検者が予め定められたボタンを押下するなどの操作によって、システムは受検者の入力情報を取得する。受検者が回答を終えたら、設問情報記憶部201に格納された設問のなかで、予め定められた規則にしたがって、次の設問を表示するという処理を、予め定められた問題数に達するまで繰り返す。ここでの規則は、実行可能なものであればどのようなものであってもかまわないが、設問に番号を付記し、番号が小さなものから順にすべての問題の出題を終えるまで出題する、という規則であってもかまわないし、未だ出題を行っていない設問からランダムに出題する、それぞれのカテゴリーから一問、あるいは数問ずつ出題する、などの形式が考えられる。問題数は、設問情報記憶部201に格納されたすべての設問の数であってもかまわないし、予め出題数を設定してもかまわない。
【0036】
第三のステップでは、第二のステップを終了した後、受検者に対して、設問の出題を終えたメッセージを表示するなどの形で出題の終了を伝えるととともに、カテゴリー毎の得点集計部102に対し、カテゴリー毎の得点集計処理の開始を伝える。
【0037】
カテゴリー毎の得点集計部102は、受検者毎の回答に含まれる、カテゴリー毎の得点を集計する。カテゴリー毎の得点は、どのように集計してもかまわないが、たとえば、以下の式(1)のように、カテゴリー毎に出題した出題数のうち、受検者が正解した正解数を得点とする、という方法が考えられる。
この他にも、式(1)の得点に100をかけて正解した設問の数を百分率で表現するなどの方法が考えられる。
【0038】
以上の手法によってカテゴリー毎の得点を格納したものを表形式やベクトル形式で表現し、診断結果算出部103に伝える。カテゴリー毎の得点を格納した一例を図5に示す。図5は、一列目にカテゴリーを、二列目にカテゴリー毎の得点を記載したものである。カテゴリー毎の得点を格納する形式は、カテゴリー毎の得点が把握できるものであればどのような形式であってもよく、ベクトルやマトリクス形式などが考えられる。
【0039】
診断結果算出部103は、カテゴリー毎の得点集計部102から受け取ったカテゴリー毎の得点情報をもとに、診断結果を算出し、表示する。診断結果を算出するにあたっては、診断結果情報記憶部203に格納された診断結果情報を用いて実施する。診断結果を算出する方法は、診断結果情報記憶部203に格納された診断結果情報を利用するのであれば、どのような手法を用いてもかまわないが、たとえば、診断結果情報をベクトル形式に変換し、カテゴリー毎の得点集計部102から受け取ったカテゴリー毎の得点情報をベクトル形式に変換したものを用いて、そのベクトル間距離が最小となる診断結果を診断結果情報から選択することによって実施するという手法が考えられる。本手法は、三つのステップからなる。
【0040】
第一のステップは、診断結果情報記憶部203に格納されている診断結果情報をベクトル形式に変換したうえで、カテゴリー毎の得点集計部102から受け取ったカテゴリー毎の得点情報をベクトル形式に変換するというステップである。まず、診断結果情報記憶部203に格納されている診断結果情報の一例を図6に示す。ここでは、診断結果として、Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクという五つのランクが格納されており、それぞれに対し、カテゴリー毎の得点が格納されている。診断結果毎のカテゴリー毎の得点を、ベクトルXとし、iを診断結果(Aランク、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクのうちいずれか一つ)とする。また、カテゴリー毎の得点集計部102から受け取ったカテゴリー毎の得点情報をベクトルYとする。ベクトルXおよびベクトルYは、式(2)(3)のような要素を持つ。
式(2)(3)におけるjは、カテゴリー毎に付記される記号であり、例えばカテゴリーの順番を利用する。Nは、カテゴリーの数である。
【0041】
第二のステップは、診断結果毎にベクトル間距離を計算する。たとえば、診断結果iに対し、以下の式(4)を計算することで、診断結果iに対するベクトル間距離dを計算する。
【0042】
第三のステップは、診断結果iごとのベクトル間距離dのなかで最小のものを選択し、診断結果とする。たとえば、Bランクとのベクトル間距離が4010であり、これが、Bランク、Cランク、Dランク、Eランクそれぞれとのベクトル間距離よりも小さいとすると、Bランクが選択される。
【0043】
以上の三つのステップによって算出された診断結果を、診断結果算出部103は表示する。表示形式の一例を図7に示す。ここでは、診断結果としてのBランクと、カテゴリー毎の得点を、グラフ形式で示す。ここで示す診断結果は、診断結果算出部103までの手法を用いて算出されたものであればどのようなものであってもかまわず、また、表示形式に関しても、どのような形式であってもかまわない。たとえば、診断結果を文字で、カテゴリー毎の得点を棒グラフやレーダーチャートなどで表示することが考えられる。さらに、受検者が複数人数であった場合の表示形式を図8に示す。受検者が一人であれば、当該受検者の結果を文字やグラフ形式で表示すればよいが、受検者が複数であれば、その平均値などを用いて診断結果を算出したものを表示する方法が考えられる。また、何らかの方法で取得した、受検者の年齢、性別、組織に所属する年数、組織内の部署、職種、役職、などの属性によってカテゴリー毎の平均得点を算出したうえで、属性毎の診断結果を算出して表示する、という手法を用いることも考えらえる。この手法によって、部署ごとの診断結果を算出さいたものが図9であり、部署▲1▼と部署▲2▼の結果を併記している。
[動作の説明]
【0044】
次に、実施の形態の照合システムの動作例について説明する。図10は、本実施の形態の動作の例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、設問出題部101は、デジタル技術を活用する能力を診断する対象となる組織に属する個人を受検者とし、受検者が操作可能な端末上に、ネットワークを介して出題する問題を表示(S1001)したうえで、受検者が入力した回答を取得する(S1002)。
【0046】
次に、回答取得後は、予め定められた問題数に達するまで、予め定められた規則にしたがって、設問を変えて、出題を継続する(S1003)。
【0047】
次に、出題を完了した後は、カテゴリー毎の得点を集計する(S1004)。
【0048】
次に、カテゴリー毎の得点を集計した後は、集計したカテゴリー毎の得点にしたがって、診断結果を算出する(S1005)。
【0049】
最後に、算出した診断結果を表示する(S1006)。
【0050】
なお、画像照合システムの各部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアで実現する形態では各部の全て又は一部をLSI上に構築すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAMに画像処理プログラムが展開され、該プログラムに基づいて制御部(CPU)等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として機能させる。また、このプログラムは、記録媒体に固定的に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
【0051】
デジタル技術を活用する能力を診断するシステムは、コンピュータやサーバ単体に構築できる。また、クラウドシステムやモバイル端末として構築してもよい。また、クラウドシステムと情報処理端末とをネットワークを介して組み合わせて、クラウド上でデジタル技術を活用する能力を診断するシステムを構築してもよい。
【0052】
上記実施の形態を別の表現で説明すれば、デジタル技術を活用する能力を診断するシステムを、デジタル技術を活用する能力を診断するプログラムに基づき、設問出題手段、カテゴリー毎の得点集計手段、診断結果算出手段など、として動作させることで実現できる。
【0053】
以上説明したように、本発明によれば、個人と組織のデジタル技術を活用する能力を診断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、個人と組織のデジタル技術を活用する能力を診断することができるので、企業や学校などの組織全体で、どれほどデジタル技術を活用する潜在能力があるかを評価し、組織の事業や経営のあり方を変革する指針とし、事業や経営の健全化に寄与することに適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 制御部(制御手段)
20 メモリ(記憶手段)
101 設問出題部
102 カテゴリー毎の得点集計部
103 診断結果算出部
201 設問情報記憶部
202 カテゴリー情報記憶部
203 診断結果情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9