IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -建物の空調システム及び空調方法 図1
  • -建物の空調システム及び空調方法 図2
  • -建物の空調システム及び空調方法 図3
  • -建物の空調システム及び空調方法 図4
  • -建物の空調システム及び空調方法 図5
  • -建物の空調システム及び空調方法 図6
  • -建物の空調システム及び空調方法 図7
  • -建物の空調システム及び空調方法 図8
  • -建物の空調システム及び空調方法 図9
  • -建物の空調システム及び空調方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000256
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】建物の空調システム及び空調方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/64 20180101AFI20231225BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20231225BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20231225BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20231225BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20231225BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20231225BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F3/044
F24F7/08 A
F24F11/80
F24F11/48
F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098941
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高田 雅紀
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB10
3L260AB02
3L260BA01
3L260BA41
3L260CA12
3L260CB55
3L260CB62
3L260CB63
3L260CB65
3L260EA07
3L260EA19
3L260FA04
3L260FA07
3L260FC04
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】 省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することができる空調システムを提供する。
【解決手段】 建物2内の複数の居室7を空調するための空調システム1である。この空調システム1は、1つの空気調和機11と、ダクト装置12と、居室温度センサー13と、制御装置14とを含んでいる。制御装置14は、居室温度センサー13の検知信号が入力される居室温度入力部と、複数の居室7のそれぞれの目標温度を記憶する目標温度記憶部と、複数の居室の7それぞれについて、居室温度と目標温度とのネガティブ側の差、又は、差に関連付けられた数値である温度差パラメータを求める温度差パラメータ特定部と、複数の居室7のそれぞれの温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータを計算する温度差パラメータ平均部と、平均温度差パラメータに基づいて、空気調和機11の設定温度を決定する設定温度決定部と、空気調和機11の設定温度を決定された設定温度に変更する設定温度出力部とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の複数の居室を空調するための空調システムであって、
チャンバー内に配され、かつ、前記チャンバー内で空調空気を生成する1つの空気調和機と、
前記チャンバー内の前記空調空気を前記複数の居室のそれぞれに供給するためのダクト装置と、
前記複数の居室のそれぞれの温度である居室温度を取得するための居室温度センサーと、
前記空気調和機を制御するための制御装置とを含み、
前記制御装置は、
前記居室温度センサーの検知信号が入力される居室温度入力部と、
前記複数の居室のそれぞれの目標温度を記憶する目標温度記憶部と、
前記複数の居室のそれぞれについて、前記居室温度と前記目標温度とのネガティブ側の差、又は、前記差に関連付けられた数値である温度差パラメータを求める温度差パラメータ特定部と、
前記複数の居室のそれぞれの前記温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータを計算する温度差パラメータ平均部と、
前記平均温度差パラメータに基づいて、前記空気調和機の設定温度を決定する設定温度決定部と、
前記空気調和機の設定温度を前記決定された設定温度に変更する設定温度出力部とを含む、
建物の空調システム。
【請求項2】
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記設定温度を小さくする、請求項1に記載の建物の空調システム。
【請求項3】
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記設定温度を高くする、請求項1又は2に記載の建物の空調システム。
【請求項4】
前記設定温度決定部は、予め定められた参照温度に、前記平均温度差パラメータに基づいて決まる調節温度を加算して、前記設定温度を決定する、請求項1又は2に記載の建物の空調システム。
【請求項5】
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記調節温度を低くする、請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項6】
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記調節温度を高くする、請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項7】
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記複数の居室の中で最も高い目標温度を、前記参照温度として設定する、請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項8】
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記複数の居室の中で最も低い目標温度を、前記参照温度として設定する、請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項9】
前記空気調和機は、前記設定温度と、前記空気調和機の吸込温度との差に基づいて、空調能力を変化させるインバータ制御方式のものであり、
前記設定温度決定部は、前記吸込温度を、前記参照温度として設定する、請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項10】
前記吸込温度は、前記空気調和機の吸込口の実温度と、前記実温度を補正するための予め定められた補正温度とを足し合わせた温度であり、
前記設定温度決定部は、前記実温度を、前記参照温度として特定する、請求項9に記載の建物の空調システム。
【請求項11】
前記空気調和機は、前記設定温度と、前記空気調和機の吸込温度との差に基づいて、空調能力を変化させるインバータ制御方式のものであり、
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記複数の居室の中で最も高い目標温度、及び、前記吸込温度のうち、高い方の温度を、前記参照温度として設定する、請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項12】
前記空気調和機は、前記設定温度と、前記空気調和機の吸込温度との差に基づいて、空調能力を変化させるインバータ制御方式のものであり、
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記複数の居室の中で最も低い目標温度、及び、前記吸込温度のうち、低い方の温度を、前記参照温度として設定する、請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項13】
1つの空気調和機を用いて、建物内の複数の居室を空調するための方法であって、
前記複数の居室のそれぞれの温度である居室温度を取得する工程と、
前記複数の居室のそれぞれの目標温度を記憶する工程と、
前記複数の居室のそれぞれについて、前記居室温度と前記目標温度とのネガティブ側の差、又は、前記差に関連付けられた数値である温度差パラメータを求める工程と、
前記複数の居室のそれぞれの前記温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータを計算する工程と、
前記平均温度差パラメータに基づいて、前記空気調和機の設定温度を決定する工程と、
前記空気調和機の設定温度を前記決定された設定温度に変更する工程とを含む、
建物の空調方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システム及び空調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、建物内の複数の空間を空調するための空調システムが記載されている。この空調システムでは、一台の空気調和機で空調された空気が、複数の空間に供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-191483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物内の各居室は、それぞれ、ユーザー等によって予め目標温度が設定される。一方、各居室は、前記目標温度の違いや日射条件等の違いによって、前記目標温度に対する居室温度の達成具合がそれぞれ異なる場合がある。このような場合、例えば、空調の達成具合が最も低い居室に適合するよう空気調和機を運転すると、省エネルギー性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することができる空調システムを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物内の複数の居室を空調するための空調システムであって、チャンバー内に配され、かつ、前記チャンバー内で空調空気を生成する1つの空気調和機と、前記チャンバー内の前記空調空気を前記複数の居室のそれぞれに供給するためのダクト装置と、前記複数の居室のそれぞれの温度である居室温度を取得するための居室温度センサーと、前記空気調和機を制御するための制御装置とを含み、前記制御装置は、前記居室温度センサーの検知信号が入力される居室温度入力部と、前記複数の居室のそれぞれの目標温度を記憶する目標温度記憶部と、前記複数の居室のそれぞれについて、前記居室温度と前記目標温度とのネガティブ側の差、又は、前記差に関連付けられた数値である温度差パラメータを求める温度差パラメータ特定部と、前記複数の居室のそれぞれの前記温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータを計算する温度差パラメータ平均部と、前記平均温度差パラメータに基づいて、前記空気調和機の設定温度を決定する設定温度決定部と、前記空気調和機の設定温度を前記決定された設定温度に変更する設定温度出力部とを含む、建物の空調システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の建物の空調システムは、上記の構成を採用することにより、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の建物の空調システムを利用した建物を示す概念図である。
図2】本実施形態の制御装置の構成を示す概念図である。
図3】本実施形態の建物の空調方法の処理手順を示すフローチャートである。
図4】居室温度と目標温度とのネガティブ側の差と、ネガティブ側の差に関連付けられた値との対応関係を示す図である。
図5】平均温度差パラメータと、調節温度との対応関係を示す図である。
図6】ネガティブ側の差に関連付けられた値と、ダンパーの開度との関係を示す図である。
図7】本発明の他の実施形態の建物の空調方法の処理手順を示すフローチャートである。
図8】平均温度差パラメータと、室内機ファンの風量との対応関係を示す図である。
図9】平均温度差パラメータと、搬送ファンの風量との対応関係を示す図である。
図10】各階の搬送ファンの風量の組み合わせと、室内機ファンの風量及び調節温度との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0010】
[建物]
図1は、本実施形態の建物の空調システム(以下、単に「空調システム」ということがある。)1を利用した建物2を示す概念図である。建物2は、住宅である場合が例示されるが、ビル等であってもよい。本実施形態の建物2は、床下空間3と、床上空間4とを含んで構成されている。
【0011】
本実施形態の床下空間3は、基礎と地面と1階の床5とで囲まれた空間である。基礎には、外気Aoを取り入れるための開口部6が設けられている。開口部6から取り入れられた外気Aoは、1年を通じて温度変化の少ない地中の熱と、地面を介して熱交換される。これにより、床下空間3は、外気Aoに比べて、夏季は涼しく、冬季は暖かい空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)Auを蓄えることができる。
【0012】
床上空間4は、床下空間3(床5)の上方に設けられた空間である。本実施形態の床上空間4は、複数の居室7と、非居室8とを含んで構成されている。
【0013】
本実施形態の複数の居室7は、建物2の1階に設けられた第1居室7a及び第2居室7bを含んでいる。なお、複数の居室7は、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、1階に設けられた他の居室(図示省略)が含まれてもよいし、2階以上に設けられた居室(図示省略)が含まれてもよい。
【0014】
本実施形態の非居室8には、第1居室7aと第2居室7bとの間に設けられたホール8a、図示されない洗面室、及び、トイレ等が含まれる。なお、非居室8は、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、他の空間が含まれてもよい。
【0015】
[空調システム]
空調システム1は、建物2内の複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を空調するためのものである。本実施形態の空調システム1は、一つの熱源で複数の居室7を空調する全館空調システムとして構成されている。なお、各居室7には、空調システム1とは別に、個別に空調可能な装置(図示省略)がさらに設けられてもよい。
【0016】
本実施形態の空調システム1は、1つの空気調和機11と、ダクト装置12と、居室温度センサー13と、制御装置14とを含んでいる。
【0017】
[空気調和機]
空気調和機11は、チャンバー15内に配されており、そのチャンバー15内で空調空気Acを生成するためのものである。本実施形態のチャンバー15は、非居室8(ホール8a)に設けられている。
【0018】
本実施形態の空気調和機11は、例えば、一般的な家庭用のセパレート型エアコンで構成されている。空気調和機11は、室内機11Aと、建物2の外部に設置された室外機(図示省略)とをセットとして含んでいる。
【0019】
室内機11Aは、吸込口11iと吹出口11oとを有している。吸込口11iは、空気(本例では、循環した空気Aiと外気Aoとの混合気)を、室内機11Aの内部に設けられた熱交換器(図示省略)に取り込むためのものである。一方、吹出口11oは、熱交換器で空調された空気(空調空気)Acを吐出するためのものである。本実施形態において、空気調和機11の設定温度や風量(吹出し風量)は、制御装置14によって制御されうる。
【0020】
室内機11Aには、室内機ファン11fが設けられている。室内機ファン11fは、空調するための空気を吸込口11iから吸引させ、かつ、空調空気Acを吹出口11oから吐出させるためのものである。本実施形態の室内機ファン11fの風量は、複数段階で制御されるが、一つの風量(単ノッチ)で制御されてもよい。
【0021】
本実施形態の室内機ファン11fの風量は、5段階で制御されるが、このような態様に限定されない。本実施形態の風量には、第1風量、第2風量、第3風量、第4風量及び第5風量が含まれている。これらの風量のうち、第1風量が最も小さい風量であり、第5風量が最も大きい風量である。各風量は、例えば、空気調和機11に求められる空調能力等に応じて、適宜設定される。風量の切り替えは、制御装置14によって行われる。
【0022】
本実施形態の空気調和機11には、吸込温度を検知するための吸込温度センサー16が設けられている。本実施形態の吸込温度は、室内機11Aの吸込口11iから吸い込まれる空気の温度である。吸込温度センサー16は、吸込温度を検知可能なものであれば、特に限定されるわけではなく、例えば、公知の温度センサーが採用されうる。
【0023】
本実施形態の吸込温度センサー16には、空気調和機11(室内機11A)に内蔵されている温度センサーが用いられるが、例えば、吸込口11iの付近に設けられた温度センサー(図示省略)であってもよい。吸込温度センサー16で検知された吸込温度(検知信号)は、制御装置14に送信される。
【0024】
本実施形態の空気調和機11には、インバータ制御方式の空気調和機が用いられている。このようなインバータ制御方式の空気調和機11は、空気調和機11に設定される設定温度と、吸込温度との差に基づいて、空調能力を変化させることができる。
【0025】
本実施形態のチャンバー15は、その内部にスペース(空間)を有する箱状に形成されている。チャンバー15には、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を循環した空気Aiが供給される。
【0026】
本実施形態のチャンバー15には、外気供給ダクト17の一端が接続されている。外気供給ダクト17の他端は、床下空間3に接続されている。このような外気供給ダクト17により、チャンバー15と、床下空間3とを連通させることができる。
【0027】
本実施形態の外気供給ダクト17には、外気供給ファン18が設けられている。外気供給ファン18は、外気Ao(床下空気Au)を、外気供給ダクト17を介して、チャンバー15に圧送するためのものである。これらの外気供給ダクト17及び外気供給ファン18により、チャンバー15には、床下空気Au(外気Ao)が取り込まれる。なお、外気供給ダクト17の他端は、床下空間3ではなく、屋外に直接接続されていてもよい。
【0028】
[ダクト装置]
ダクト装置12は、チャンバー15内の空調空気Acを、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれに供給するためのものである。本実施形態のダクト装置12の一端は、空気調和機11側(本例では、チャンバー15内の吹出口11o側)に接続されている。ダクト装置12の他端は、複数の居室7のそれぞれに接続されている。これにより、ダクト装置12は、空気調和機11(チャンバー15)と、複数の居室7との間を連通させることができる。
【0029】
本実施形態のダクト装置12には、搬送ファン19が設けられている。搬送ファン19は、空調空気Acを、ダクト装置12を介して、複数の居室7のそれぞれに圧送するためのものである。本実施形態の搬送ファン19は、チャンバー15内に収容されているが、特に限定されない。本実施形態の搬送ファン19の風量は、複数段階で制御されるが、一つの風量(単ノッチ)で制御されるものでもよい。
【0030】
本実施形態の搬送ファン19の風量は、4段階で制御されるが、このような態様に限定されない。本実施形態の風量は、微、弱、中及び強が含まれている。これらの風量のうち、風量「微」が最も小さい風量であり、風量「強」が最も大きい風量である。各風量は、例えば、複数の居室7(第1居室7a及び第2居室7b)の大きさ等に応じて、適宜設定される。
【0031】
本実施形態のダクト装置12の他端には、ダンパー20がそれぞれ設けられている。これらのダンパー20は、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれにおいて、空調空気Acの風量を調節するためのものである。
【0032】
本実施形態のダンパー20は、その開度(開口面積)の大きさに応じて、空調空気Acの風量を調節することができる。ダンパー20の開度は、例えば、制御装置14によって、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)ごとに制御されうる。
【0033】
[居室温度センサー]
居室温度センサー13は、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの温度である居室温度を検知するためのものである。居室温度センサー13は、居室温度を検知可能なものであれば特に限定されるわけではなく、例えば、公知の温度センサーが採用されうる。本実施形態の居室温度センサー13は、複数の居室7にそれぞれ設置される。居室温度センサー13で検知された居室温度(検知信号)は、制御装置14に送信される。
【0034】
[制御装置]
本実施形態の制御装置14は、コンピュータによって構成され、例えば、間仕切り壁等に設置されている。
【0035】
図2は、本実施形態の制御装置14の構成を示す概念図である。制御装置14は、例えば、演算装置21と、処理手順等を記憶するための記憶装置22と、記憶装置22から処理手順等を読み込むための作業用メモリ23とを含んで構成されている。制御装置14(演算装置21)には、入力装置24及び出力装置25が接続されている。
【0036】
[入力装置]
本実施形態の入力装置24は、図1に示した制御装置14の筐体に設けられた操作ボタンやタッチパネル等によって構成されている。入力装置24は、例えば、ユーザー(居住者)等によって入力された情報(信号)を、制御装置14に送信する。
【0037】
入力装置24に入力される情報には、例えば、空気調和機11の空調運転(暖房運転又は冷房運転)の開始及び停止や、設定温度が含まれる。さらに、入力される情報には、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)それぞれの目標温度が含まれる。本実施形態の目標温度は、空調システム1(空調方法)で空調されることによって達成させ、かつ、維持させるべき各居室7の温度である。
【0038】
[出力装置]
本実施形態の出力装置25は、図1に示した制御装置14の筐体に設けられたディスプレイとして構成されている。出力装置25は、制御装置14からの信号を受信することにで、例えば、空調システム1の運転状況(例えば、空気調和機11の運転状況(暖房運転又は冷房運転)、複数の居室7の目標温度及び居室温度)等を表示することができる。
【0039】
[演算装置]
本実施形態の演算装置21は、例えば、CPU(中央演算装置)で構成される。本実施形態の演算装置21は、空気調和機11(室内機ファン11f)に通信可能に接続されている。これにより、演算装置21は、空気調和機11の運転状況の把握や、空気調和機11の運転を制御(例えば、設定温度及び室内機ファン11fの風量等を変更)することができる。
【0040】
本実施形態の演算装置21は、搬送ファン19及び外気供給ファン18に通信可能に接続されている。これにより、演算装置21は、搬送ファン19及び外気供給ファン18の運転を制御(例えば、風量(ノッチ)の切り替えなど)することができる。
【0041】
本実施形態の演算装置21は、居室温度センサー13に通信可能に接続されている。これにより、演算装置21は、居室温度センサー13の検知信号(本例では、第1居室7a及び第2居室7bの各居室温度)を受信することができる。本実施形態の演算装置21は、吸込温度センサー16に通信可能に接続されている。これにより、演算装置21は、吸込温度センサー16の検知信号(本例では、空気調和機11の吸込温度)を受信することができる。
【0042】
[記憶装置]
本実施形態の記憶装置22は、例えば、不揮発性の情報記憶装置である。記憶装置22には、データ部31及びプログラム部32が含まれる。
【0043】
[データ部]
本実施形態のデータ部31は、演算装置21による計算結果等を記憶するためのものである。本実施形態のデータ部31には、居室温度入力部31a及び目標温度記憶部31bが含まれている。さらに、本実施形態のデータ部31には、温度差パラメータ入力部31c、平均温度差パラメータ入力部31d及び決定温度入力部31eが含まれる。なお、データ部31には、他の情報を記憶するための入力部がさらに含まれてもよい。
【0044】
居室温度入力部31aには、居室温度センサー13(図1及び図2に示す)の検知信号が入力される。この検知信号には、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の居室温度(に関する情報)が含まれる。本実施形態の目標温度記憶部31bは、複数の居室7のそれぞれの目標温度を記憶するためのものである。本実施形態では、ユーザー(居住者)が、入力装置24に、複数の居室7の目標温度を入力している。
【0045】
本実施形態の温度差パラメータ入力部31c及び平均温度差パラメータ入力部31dには、後述の空調方法で求められた温度差パラメータ、及び、平均温度差パラメータがそれぞれ入力される。決定温度入力部31eには、後述の空調方法で決定された空気調和機11の設定温度が入力される。
【0046】
[プログラム部]
プログラム部32は、演算装置21(制御装置14)に、本実施形態の空調方法を実行させるためのプログラム(コンピュータプログラム)である。プログラム部(プログラム)32は、演算装置21によって実行されることにより、制御装置14を、特定の手段として機能させることができる。
【0047】
本実施形態のプログラム部32には、温度差パラメータ特定部32a、温度差パラメータ平均部32b、設定温度決定部32c及び設定温度出力部32dが含まれる。さらに、本実施形態のプログラム部32には、空調開始部32e、判断部32f、居室温度取得部32g及び目標温度取得部32h、及び、空調終了部32iが含まれる。なお、プログラム部32は、このような態様に限定されるわけではなく、他のプログラムが含まれてもよい。これらのプログラム部32の機能は、後述の建物の空調方法(以下、単に「空調方法」ということがある。)の各工程で説明される。
【0048】
[建物の空調方法(第1実施形態)]
次に、本実施形態の空調方法が説明される。図3は、本実施形態の建物の空調方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
[空調運転を開始]
本実施形態の空調方法では、先ず、空調運転が開始される(工程S1)。
【0050】
本実施形態の工程S1は、図2に示したプログラム部32に含まれる空調開始部32eが、作業用メモリ23に読み込まれる。空調開始部32eは、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)への空調を開始するためのプログラムである。この空調開始部32eが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、空調運転を開始するための手段として機能させることができる。
【0051】
本実施形態の空調開始部32e(制御装置14)は、図1に示した空気調和機11の空調運転(暖房運転又は冷房運転)を開始させる。空気調和機11の設定温度(初期の設定温度)は、例えば、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれに設定された目標温度や、居室温度等に基づいて、適宜設定される。室内機ファン11fの風量は、例えば、空気調和機11の運転状況(空調負荷)等に応じて適宜設定される。
【0052】
本実施形態の空調開始部32e(制御装置14)は、図1に示した外気供給ファン18及び搬送ファン19の運転を開始する。外気供給ファン18の風量は、例えば、建物2に必要な換気回数に基づいて適宜設定される。搬送ファン19の風量は、例えば、建物2に必要な換気回数や、空気調和機11の運転状況(空調負荷)等に応じて適宜設定される。
【0053】
本実施形態の工程S1では、外気供給ファン18の運転によって供給された床下空気Au(外気Ao)と、複数の居室7を循環した空気Aiとの混合気が、室内機11Aに吸引され、かつ、熱交換された空調空気Acがチャンバー15内で吐出される。この空調空気Acが、ダクト装置12を介して、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれに供給されることで、建物2内の空気Aiを循環させながら、複数の居室7を換気及び空調することができる。
【0054】
[複数の居室のそれぞれの居室温度を取得]
次に、本実施形態の空調方法では、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの温度である居室温度が取得される(工程S2)。
【0055】
本実施形態の工程S2は、図2に示したプログラム部32に含まれる居室温度取得部32gが、作業用メモリ23に読み込まれる。居室温度取得部32gは、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの居室温度を取得するためのプログラムである。この居室温度取得部32gが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、居室温度を取得するための手段として機能させることができる。
【0056】
本実施形態の居室温度取得部32g(制御装置14)は、居室温度センサー13から送信された検知信号(図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の居室温度)を受信する。これにより、工程S2では、複数の居室7の居室温度がそれぞれ取得される。取得された複数の居室7の居室温度は、図2に示した居室温度入力部31aに入力(記憶)される。
【0057】
[複数の居室のそれぞれの目標温度を記憶]
次に、本実施形態の空調方法では、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの目標温度が記憶される(工程S3)。
【0058】
本実施形態の工程S3は、先ず、図2に示したプログラム部32に含まれる目標温度取得部32hが、作業用メモリ23に読み込まれる。目標温度取得部32hは、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの目標温度を記憶するためのプログラムである。この目標温度取得部32hが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、目標温度を記憶するための手段として機能させることができる。
【0059】
本実施形態の目標温度取得部32h(制御装置14)は、ユーザー(居住者)によって入力された複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの目標温度(信号)を、入力装置24から受信する。さらに、目標温度取得部32h(制御装置14)は、受信した複数の居室7のそれぞれの目標温度(信号)を、目標温度記憶部31bに記憶(入力)する。これにより、工程S3では、複数の居室7のそれぞれの目標温度が記憶される。
【0060】
[複数の居室のそれぞれの温度差パラメータを求める]
次に、本実施形態の空調方法では、図1に示した複数の居室(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれについて、居室温度と目標温度とのネガティブ側の差、又は、差に関連付けられた数値である温度差パラメータが求められる(工程S4)。
【0061】
本実施形態の工程S4は、先ず、図2に示した居室温度入力部31aに入力された居室温度センサーの検知信号(図1に示した第1居室7a及び第2居室7bのそれぞれの居室温度)が、作業用メモリ23に読み込まれる。さらに、工程S4では、目標温度記憶部31bに記憶された複数の居室7のそれぞれの目標温度が、作業用メモリ23に読み込まれる。
【0062】
本実施形態の工程S4では、図2に示したプログラム部32に含まれる温度差パラメータ特定部32aが、作業用メモリ23に読み込まれる。温度差パラメータ特定部32aは、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの温度差パラメータを求めるためのプログラムである。この温度差パラメータ特定部32aが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、温度差パラメータを求めるための手段として機能させることができる。
【0063】
居室温度と目標温度とのネガティブ側の差(以下、単に「ネガティブ側の差」ということがある。)ΔT(i)は、目標温度に居室温度が達成していない(ネガティブ)場合において、それらの差が正となるように、目標温度及び居室温度の一方から、目標温度及び居室温度の他方を差し引いた値である。なお、ネガティブ側の差ΔT(i)の「i」は、各居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を特定するためのインデックス(識別子)である。
【0064】
空気調和機11の暖房運転時において「目標温度に居室温度が達成していない(ネガティブ)場合」とは、目標温度に比べて、居室温度が低い場合である。したがって、暖房運転時のネガティブ側の差ΔT(i)は、目標温度から居室温度を差し引いた値(すなわち、ネガティブの場合に正となる値)として求められる。
【0065】
暖房運転時のネガティブ側の差ΔT(i)が正の値である場合、目標温度に居室温度が達成していない(すなわち、目標温度に比べて居室温度が低い)。一方、暖房運転時のネガティブ側の差ΔT(i)がゼロ以下である場合、目標温度に居室温度が達成している(すなわち、居室温度が目標温度以上である)。
【0066】
空気調和機11の冷房運転時において「目標温度に居室温度が達成していない場合」とは、目標温度に比べて、居室温度が高い場合である。したがって、冷房運転時のネガティブ側の差ΔT(i)は、居室温度から目標温度を差し引いた値(すなわち、ネガティブの場合に正となる値)として求められる。
【0067】
冷房運転時のネガティブ側の差ΔT(i)が正の値である場合、目標温度に居室温度が達成していない(すなわち、目標温度に比べて居室温度が高い)。一方、冷房運転時のネガティブ側の差ΔT(i)がゼロ以下である場合、目標温度に居室温度が達成している(すなわち、居室温度が目標温度以下である)。
【0068】
ネガティブ側の差ΔT(i)に関連付けられた数値(以下、単に「関連数値」ということがある。)S(i)は、ネガティブ側の差ΔT(i)と関連付けられたものであれば、特に限定されない。S(i)の「i」は、各居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を特定するためのインデックス(識別子)である。
【0069】
本実施形態の関連数値S(i)は、ネガティブ側の差ΔT(i)について、予め定められた数値範囲(閾値)ごとに設定された(区分された)点数として求められる。差ΔT(i)の数値範囲は、例えば、空調システム1に求められる空調精度に応じて適宜設定することができる。
【0070】
図4は、居室温度と目標温度とのネガティブ側の差ΔT(i)と、ネガティブ側の差ΔT(i)に関連付けられた値S(i)との対応関係を示す図である。本実施形態では、ネガティブ側の差ΔT(i)の大きさに比例して、関連数値S(i)の点数が大きくなっている。このように、関連数値S(i)は、ネガティブ側の差ΔT(i)に関連付けられており、関連数値S(i)が大きいほど、目標温度に対する居室温度の達成具合が低いことを示している。
【0071】
本実施形態の工程S4では、図1に示した複数の居室(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれのネガティブ側の差ΔT(i)が求められる。そして、図4に示した対応関係に基づいて、複数の居室7のネガティブ側の差ΔT(i)に対応する関連数値S(i)がそれぞれ求められる。これらの関連数値S(i)は、複数の居室7のそれぞれの温度差パラメータとして求められる。複数の居室7の温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i))は、温度差パラメータ入力部31c(図2に示す)に入力(記憶)される。
【0072】
[平均温度差パラメータを計算]
次に、本実施形態の空調方法では、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)のそれぞれの温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータが計算される(工程S5)。
【0073】
本実施形態の工程S5は、先ず、図2に示した温度差パラメータ入力部31cに入力された複数の居室7の温度差パラメータ(本例では、第1居室7a及び第2居室7bの関連数値S(i))が、作業用メモリ23に読み込まれる。さらに、工程S5では、プログラム部32に含まれる温度差パラメータ平均部32bが、作業用メモリ23に読み込まれる。温度差パラメータ平均部32bは、複数の居室7のそれぞれの温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータを計算するためのプログラムである。この温度差パラメータ平均部32bが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、平均温度差パラメータを計算するための手段として機能させることができる。
【0074】
本実施形態の工程S5では、複数の居室7のそれぞれの温度差パラメータ(本例では、第1居室7a及び第2居室7bの関連数値S(i))の平均値が計算される。この平均値が、平均温度差パラメータ(関連数値S(i)の平均値)として求められる。
【0075】
平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)は、各居室7において、温度差パラメータ(目標温度に対する居室温度の達成具合)がそれぞれ異なっていても、それらの中間的な(平均した)温度差パラメータとして取得されうる。
【0076】
平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)が大きいほど、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が低い(居室温度が目標温度から乖離している)。一方、平均温度差パラメータが小さいほど、複数の居室7の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い(居室温度が目標温度に近づいている)。さらに、平均温度差パラメータがゼロ以下である場合には、複数の居室7の全体として、居室温度が目標温度に達成している。平均温度差パラメータは、平均温度差パラメータ入力部31dに入力(記憶)される。
【0077】
[空気調和機の設定温度を決定]
次に、本実施形態の空調方法では、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)に基づいて、空気調和機11の設定温度が決定される(工程S6)。
【0078】
本実施形態の工程S6は、先ず、図2に示した平均温度差パラメータ入力部31dに入力された平均温度差パラメータが、作業用メモリ23に読み込まれる。さらに、工程S6では、プログラム部32に含まれる設定温度決定部32cが、作業用メモリ23に読み込まれる。この設定温度決定部32cは、平均温度差パラメータに基づいて、空気調和機11の設定温度を決定するためのプログラムである。そして、設定温度決定部32cが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、空気調和機11の設定温度を決定するための手段として機能させることができる。
【0079】
[暖房運転時の設定温度の決定]
先ず、空気調和機11(図1に示す)の暖房運転時の設定温度の決定手順が説明される。本実施形態では、平均温度差パラメータが小さいほど、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い。この場合、本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の暖房運転時において、空気調和機11の設定温度を低く(低い値に)決定している。そして、次の工程S7において、空気調和機11の現在の設定温度が、決定された設定温度に変更されることで、空気調和機11の空調負荷(暖房負荷)を小さくでき、省エネルギー性を向上させることが可能となる。
【0080】
一方、本実施形態では、平均温度差パラメータが大きいほど、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が低い。この場合、本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の暖房運転時において、空気調和機11の設定温度を高く(高い値に)決定している。そして、次の工程S7において、空気調和機11の現在の設定温度が、決定された設定温度に変更されることで、空気調和機11の空調負荷(暖房負荷)を大きくでき、複数の居室7を好適に空調(暖房)することが可能となる。
【0081】
このように、本実施形態の空調システム1(空調方法)では、暖房運転時において、各居室7の温度差パラメータ(目標温度に対する居室温度の達成具合)がそれぞれ異なっていても、これらを平均化した平均温度差パラメータに基づいて、空気調和機11の設定温度を決定できる。したがって、本実施形態の空調システム1は、空調の達成具合が最も低い居室7に適合するよう空気調和機11を運転させていた従来の空調システムに比べて、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することが可能となる。
【0082】
設定温度は、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室7を好適に空調することができれば、適宜決定することができる。本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、下記の式(1)に示されるように、予め定められた参照温度Rに、調節温度Cを加算して、設定温度Eを決定している。
E = R + C … (1)
ここで、
E:設定温度
R:参照温度
C:調節温度
【0083】
本実施形態において、上記の式(1)の調節温度Cは、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)に基づいて決められる。調節温度Cは、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)に基づいて決まるものであれば、適宜設定される。
【0084】
上述したように、平均温度差パラメータが小さいほど、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い(居室温度が目標温度に近づいている)。このため、本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の暖房運転時において、平均温度差パラメータが小さいほど、上記の式(1)の調節温度Cを低くするのが好ましい。このような調節温度Cに基づいて、設定温度Eが低く決定されることにより、空気調和機11の空調負荷(暖房負荷)を小さくでき、省エネルギー性を向上させることが可能となる。
【0085】
一方、設定温度決定部32c(制御装置14)は、暖房運転時において、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)が大きいほど、上記の式(1)の調節温度Cを高くするのが好ましい。このような調節温度Cに基づいて、設定温度Eが高く決定されることにより、空気調和機11の空調負荷(暖房負荷)を大きくでき、複数の居室7を好適に空調(暖房)することができる。
【0086】
図5は、平均温度差パラメータと、調節温度Cとの対応関係を示す図である。図5では、平均温度差パラメータとして、関連数値S(i)の平均値が示されている。本実施形態では、暖房運転時において、関連数値S(i)の平均値が小さいほど、調節温度Cが低い値に設定される一方、関連数値S(i)の平均値が大きいほど、調節温度Cが高い値に設定されている。なお、関連数値S(i)の平均値の数値範囲は、例えば、空調システム1に求められる空調精度に応じて適宜設定することができる。
【0087】
本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、図5に示した対応関係に基づいて、平均温度差パラメータ(関連数値S(i)の平均値)から、上記の式(1)の調節温度Cを特定している。これにより、設定温度決定部32c(制御装置14)は、暖房運転時において、平均温度差パラメータが小さいほど、調節温度C(設定温度E)を低くすることができるため、省エネルギー性を向上させることが可能となる。また、平均温度差パラメータが大きいほど、調節温度C(設定温度E)を高くすることができるため、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を好適に空調(暖房)することが可能となる。
【0088】
上記の式(1)の参照温度Rは、省エネルギー性を向上させつつ、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を好適に空調可能な設定温度Eを決定できれば、適宜設定される。本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の暖房運転時において、複数の居室7の中で最も高い目標温度(以下、単に「最も高い目標温度」ということがある。)を、参照温度Rとして設定している。
【0089】
本実施形態では、最も高い目標温度が、上記の式(1)の参照温度Rとして設定されることで、その最も高い目標温度に比べて、空気調和機11の設定温度Eを高く決定することができる。この決定された設定温度Eに、空気調和機11の設定温度が変更されることで、複数の居室7(最も高い目標温度が設定された居室7を含む)を暖房するのに有効な空調空気Acを生成することができる。したがって、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0090】
上記の式(1)の参照温度Rとして、最も高い目標温度が設定されたが、このような態様に限定されない。例えば、図1に示した非居室8(ホール8a)への日射の影響、チャンバー15内の内部発熱の影響、及び、チャンバー15内での空調空気Acの滞留の影響等により、最も高い目標温度に比べて、空気調和機11の吸込温度が高くなることがある。この場合、最も高い目標温度が、上記の式(1)の参照温度Rに設定された場合、空気調和機11の設定温度Eと吸込温度との差が小さくなる(場合によっては、吸込温度が設定温度Eよりも高くなる)。このため、インバータ方式の空気調和機11において、適切に空調できない場合がある。このような場合でも適切に空調させるために、設定温度決定部32c(制御装置14)は、吸込温度を、上記の式(1)の参照温度Rとして設定してもよい。
【0091】
吸込温度が上記の式(1)の参照温度Rとして決定されることで、その吸込温度に比べて、空気調和機11の設定温度Eを高く決定することができるため、設定温度Eと吸込温度との差を確実に大きくすることができる。これにより、例えば、日射等の影響により、最も高い目標温度に比べて、吸込温度が高くなったとしても、空気調和機11は、インバータを働かせて、複数の居室7を暖房するのに有効な空調空気Acを生成することができる。したがって、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0092】
ところで、一般的な家庭用のセパレート型エアコンは、居室7の天井側に設置されるため、吸込口11iの実温度(吸込温度センサー16で検知される温度)と、空調対象位置の実温度(床側の温度)とが異なる傾向がある。ユーザー(居住者)は、空調対象位置の実温度に基づいて、エアコンの設定温度を設定するため、例えば、その設定温度と、吸込口11iの実温度(暖房時には、床側の温度よりも高い)との差に基づいて、インバータを働かせると、適切な空調が困難になる。このため、一般的に、吸込口11iの実温度と、実温度を補正するための予め定められた補正温度とを足し合わせた温度が、吸込温度として取得されている。このような補正された吸込温度は、空調対象位置の実温度との間の差異を小さくできるため、補正された吸込温度と、設定温度との差に基づいて、インバータを適切に働かせることが可能となっている。
【0093】
一方、本実施形態の空調システム1では、空気調和機11を天井側に設置する一般的な使用態様ではなく、図1に示されるように、空気調和機11をチャンバー15内に配置した全館空調に使用されているため、上記のような吸込温度の補正は不要である。このような補正された吸込温度が、上記の式(1)の参照温度Rとして設定されると、設定温度Eが低く補正されてしまい、インバータを適切に働かせることができない場合がある。このため、設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の吸込口11iの実温度を、参照温度Rとして特定してもよい。
【0094】
空気調和機11の吸込口11iの実温度が、上記の式(1)の参照温度Rとして特定されることにより、設定温度Eが低く補正されることが抑制され、設定温度Eと、吸込温度(実温度)との差を確実に大きくすることができる。これにより、空気調和機11は、インバータを働かせて、複数の居室7を暖房するのに有効な空調空気Acを生成することができ、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0095】
上記の式(1)の参照温度Rとして、最も高い目標温度や、空気調和機11の吸込温度(吸込口11iの実温度)が設定されたが、このような態様に限定されない。上述したように、日射等の影響により、最も高い目標温度に比べて、空気調和機11の吸込温度(実温度)が高くなることがある。一方、日射等の影響がなくなると、最も高い目標温度に比べて、吸込温度が低くなることがある。このような低い吸込温度が、上記の式(1)の参照温度Rとして設定されると、空気調和機11の設定温度Eと、最も高い目標温度との差が小さくなり、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を適切に空調できない場合がある。
【0096】
このような場合でも適切に空調させるために、設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の暖房運転時において、最も高い目標温度、及び、吸込温度(実温度)のうち、高い方の温度を、上記の式(1)の参照温度Rとして設定してもよい。最も高い目標温度、及び、吸込温度(実温度)のうち、高い方の温度が参照温度Rとして決定されることで、時々刻々と変化するそれらの大小関係に左右されることなく、それらの高い方の温度に比べて、空気調和機11の設定温度Eを高くすることができる。これにより、空気調和機11のインバータを働かせて、複数の居室7を暖房するのに有効な空調空気Acを生成することができる。したがって、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0097】
[冷房運転時の設定温度の決定]
次に、空気調和機11の冷房運転時の設定温度の決定手順が説明される。本実施形態では、平均温度差パラメータが小さいほど、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い。この場合、本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の冷房運転時において、空気調和機11の設定温度が高く(高い値に)決定している。そして、次の工程S7において、空気調和機11の設定温度が、決定された設定温度に変更されることで、空気調和機11の空調負荷(冷房負荷)を小さくでき、省エネルギー性を向上させることが可能となる。
【0098】
一方、本実施形態では、平均温度差パラメータが大きいほど、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が低い。この場合、本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、冷房運転時において、空気調和機11の設定温度を低く(低い値に)決定している。そして、次の工程S7において、空気調和機11の設定温度が、決定された設定温度に変更されることで、空気調和機11の空調負荷(冷房負荷)を大きくでき、複数の居室7を好適に空調(冷房)することが可能となる。
【0099】
このように、本実施形態の空調システム1(空調方法)では、冷房運転時において、各居室7の温度差パラメータ(目標温度に対する居室温度の達成具合)がそれぞれ異なっていても、これらを平均化した平均温度差パラメータに基づいて、空気調和機11の設定温度を決定できる。したがって、本実施形態の空調システム1は、空調の達成具合が最も低い居室7に適合するよう空気調和機11を運転させていた従来の空調システムに比べて、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することが可能となる。
【0100】
設定温度は、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室7を好適に空調することができれば、適宜決定することができる。本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、上記の式(1)に示されるように、予め定められた参照温度Rに、調節温度Cを加算して、設定温度Eを決定している。
【0101】
本実施形態において、上記の式(1)の調節温度Cは、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)に基づいて決められる。上述したように、平均温度差パラメータが小さいほど、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い(居室温度が目標温度に近づいている)。このため、本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の冷房運転時において、平均温度差パラメータが小さいほど、上記の式(1)の調節温度Cを高くするのが好ましい。このような調節温度Cに基づいて、設定温度Eが高く決定されることにより、空気調和機11の空調負荷(冷房負荷)を小さくでき、省エネルギー性を向上させることが可能となる。
【0102】
一方、設定温度決定部32c(制御装置14)は、冷房運転時において、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)が大きいほど、上記の式(1)の調節温度Cを低くするのが好ましい。このような調節温度Cに基づいて、設定温度Eが低く決定されることにより、空気調和機11の空調負荷(冷房負荷)を大きくでき、複数の居室7を好適に空調(冷房)することができる。
【0103】
図5に示されるように、本実施形態では、冷房運転時において、関連数値S(i)の平均値が小さいほど、調節温度Cが高い値に設定される一方、関連数値S(i)の平均値が大きいほど、調節温度Cが低い値に設定されている。なお、関連数値S(i)の平均値の数値範囲は、例えば、空調システム1に求められる空調精度に応じて適宜設定することができる。
【0104】
本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、図5に示した対応関係に基づいて、平均温度差パラメータ(関連数値S(i)の平均値)から、上記の式(1)の調節温度Cを特定している。これにより、設定温度決定部32c(制御装置14)は、冷房運転時において、平均温度差パラメータが小さいほど、調節温度C(設定温度E)を高くすることができるため、省エネルギー性を向上させることが可能となる。また、平均温度差パラメータが大きいほど、調節温度C(設定温度E)を低くすることができるため、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を好適に空調(冷房)することが可能となる。
【0105】
上記の式(1)の参照温度Rは、省エネルギー性を向上させつつ、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を好適に空調可能な設定温度Eを決定できれば、適宜設定される。本実施形態の設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の冷房運転時において、複数の居室7の中で最も低い目標温度(以下、単に「最も低い目標温度」ということがある。)を、参照温度Rとして設定している。
【0106】
本実施形態では、最も低い目標温度が、上記の式(1)の参照温度Rとして設定されることで、その最も低い目標温度に比べて、空気調和機11の設定温度Eを低く決定することができる。この決定された設定温度Eに、空気調和機11の設定温度Eが変更されることで、複数の居室7(最も低い目標温度が設定された居室7を含む)を冷房するのに有効な空調空気Acを生成することができる。したがって、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0107】
上記の式(1)の参照温度Rとして、最も低い目標温度が設定されたが、このような態様に限定されない。例えば、チャンバー15内での空調空気Acの滞留等の影響により、最も低い目標温度に比べて、空気調和機11の吸込温度が低くなることがある。この場合、最も低い目標温度が、上記の式(1)の参照温度Rに設定された場合、空気調和機11の設定温度Eと吸込温度との差が小さくなる(場合によっては、吸込温度が設定温度Eよりも低くなる)。このため、インバータ方式の空気調和機11において、適切に空調できない場合がある。このような場合でも適切に空調させるために、設定温度決定部32c(制御装置14)は、吸込温度を、上記の式(1)の参照温度Rとして設定してもよい。
【0108】
吸込温度が上記の式(1)の参照温度Rとして決定されることで、その吸込温度に比べて、空気調和機11の設定温度Eを低く決定することができるため、設定温度Eと吸込温度との差を確実に大きくすることができる。これにより、空気調和機11は、インバータを働かせて、複数の居室7を冷房するのに有効な空調空気Acを生成することでき、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0109】
上述したように、一般的な家庭用のセパレート型エアコンでは、空気調和機11の吸込口11iの実温度と、補正温度とを足し合わせた温度が、吸込温度として取得されている。一方、本実施形態の空調システム1では、吸込温度の補正は不要である。このため、設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の吸込口11iの実温度を、上記の式(1)の参照温度Rとして特定してもよい。
【0110】
空気調和機11の吸込口11iの実温度が、上記の式(1)の参照温度Rとして特定されることにより、設定温度Eと、吸込温度(実温度)との差を確実に大きくすることができる。これにより、空気調和機11は、インバータを働かせて、複数の居室7を冷房するのに有効な空調空気Acを生成することができ、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0111】
上記の式(1)の参照温度Rとして、最も低い目標温度や、空気調和機11の吸込温度(吸込口11iの実温度)が設定されたが、このような態様に限定されない。上述したように、チャンバー15内での空調空気Acの滞留等の影響により、最も低い目標温度に比べて、空気調和機11の吸込温度(実温度)が低くなることがある。一方、滞留等の影響がなくなると、最も低い目標温度に比べて、吸込温度が高くなることがある。このような高い吸込温度が、上記の式(1)の参照温度Rとして設定されると、空気調和機11の設定温度Eと、最も低い目標温度との差が小さくなり、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)を適切に空調できない場合がある。
【0112】
このような場合でも適切に空調させるために、設定温度決定部32c(制御装置14)は、空気調和機11の冷房運転時において、最も低い目標温度、及び、吸込温度(実温度)のうち、低い方の温度を、上記の式(1)の参照温度Rとして設定してもよい。最も低い目標温度、及び、吸込温度(実温度)のうち、低い方の温度が参照温度Rとして決定されることで、時々刻々と変化するそれらの大小関係に左右されることなく、それらの低い方の温度に比べて、空気調和機11の設定温度Eを低くすることができる。これにより、空気調和機11のインバータを働かせて、複数の居室7を冷房するのに有効な空調空気Acを生成することができる。したがって、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0113】
このように、本実施形態の空調システム1(空調方法)では、暖房運転時及び冷房運転時の双方において、各居室7の温度差パラメータ(目標温度に対する居室温度の達成具合)がそれぞれ異なっていても、これらを平均化した平均温度差パラメータに基づいて、空気調和機11の設定温度Eを決定できる。したがって、本実施形態の空調システム1は、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することが可能となる。決定された設定温度Eは、決定温度入力部31eに入力(記憶)される。
【0114】
[空気調和機の設定温度を変更]
次に、本実施形態の空調方法では、空気調和機11の設定温度Eが、決定された設定温度に変更される(工程S7)。
【0115】
本実施形態の工程S7は、先ず、図2に示されるように、決定温度入力部31eに入力された設定温度Eが、作業用メモリ23に読み込まれる。さらに、工程S7では、プログラム部32に含まれる設定温度出力部32dが、作業用メモリ23に読み込まれる。この設定温度出力部32dは、空気調和機11(図1に示す)の設定温度を、決定された設定温度Eに変更するためのプログラムである。そして、設定温度出力部32dが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、空気調和機11の設定温度を変更するための手段として機能させることができる。
【0116】
本実施形態の設定温度出力部32d(制御装置14)は、図1に示した空気調和機11の現在の設定温度を、工程S6で決定された設定温度Eに変更する。この変更された設定温度Eは、各居室7の目標温度に対する居室温度の達成具合を平均化したパラメータ(平均温度差パラメータ)に基づいて決定されたものである。このような設定温度Eに基づいて、空気調和機11が運転されることにより、本実施形態の空調システム1(空調方法)は、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室7を好適に空調することが可能となる。
【0117】
[空調運転終了の指示を判断]
次に、本実施形態の空調方法では、空調システム1による空調運転の終了の指示があるか否かが判断される(工程S8)。
【0118】
本実施形態の工程S8は、図2に示したプログラム部32に含まれる判断部32fが、作業用メモリ23に読み込まれる。この判断部32fは、空調システム1(図1に示す)による空調運転の終了の指示があるか否かを判断するためのプログラムである。この判断部32fが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、空調システム1による空調運転の終了の指示があるか否かを判断するための手段として機能させることができる。
【0119】
空調運転の終了の指示があるか否かの判断は、例えば、ユーザー(居住者)等が入力装置24(図1及び図2に示す)に入力した指示情報や、割り込み処理等の異常終了の発生に基づいて行われる。
【0120】
工程S8において、空調運転の終了の指示があると判断された場合(工程S8で、「Y」)、空調運転を終了させる(工程S9)。一方、工程S8において、空調運転の終了の指示がないと判断された場合(工程S8で、「N」)、工程S2~工程S8が再度実施される。これにより、本実施形態の空調方法(空調システム1)は、空調運転が終了するまで、時々刻々と変化する平均温度差パラメータに基づいて、空気調和機11の設定温度Eを決定及び変更することができる。したがって、本実施形態の空調方法(空調システム1)は、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室7を好適に空調することができる。
【0121】
[空調運転を終了]
本実施形態の工程S9では、空調運転を終了させる。本実施形態の工程S9は、図2に示したプログラム部32に含まれる空調終了部32iが、作業用メモリ23に読み込まれる。この空調終了部32iは、図1に示した複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)への空調を終了させるためのものプログラムである。この空調終了部32iが演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、空調運転を終了するための手段として機能させることができる。
【0122】
本実施形態の空調終了部32i(制御装置14)は、空気調和機11の空調運転(暖房運転又は冷房運転)を終了させる。これにより、複数の居室7(本例では、第1居室7a及び第2居室7b)への空調を終了させることができる。なお、建物2の換気を維持するために、外気供給ファン18及び搬送ファン19の運転が継続されてもよい。
【0123】
[ダンパー開度を設定]
本実施形態の空調方法は、ダンパー20(図1に示す)の開度を調節するためのダンパー開度設定工程(図示省略)をさらに含んでもよい。このダンパー開度設定工程では、図2に示したプログラム部32に含まれるダンパー開度設定部(図示省略)が、演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、ダンパー20の開度を調節するための手段として機能させることができる。
【0124】
図4に示されるように、工程S4で求められた関連数値S(i)(温度差パラメータ)が大きい居室7は、目標温度に対する居室温度の達成具合が低い(ネガティブ側の差ΔT(i)が大きい)。このため、ダンパー開度設定部(制御装置14)は、関連数値S(i)が大きい居室7において、ダンパー20の開度を大きく設定して、多くの空調空気Acを供給している。
【0125】
一方、関連数値S(i)(温度差パラメータ)が小さい居室7は、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い(ネガティブ側の差ΔT(i)が小さい)。このため、ダンパー開度設定部(制御装置14)は、関連数値S(i)が小さい居室7において、ダンパー20の開度を小さく設定して、空調空気Acの供給量を少なくしている。
【0126】
図6は、ネガティブ側の差ΔT(i)に関連付けられた値S(i)と、ダンパーの開度との関係を示す図である。ダンパーの開度は、全開を100%としたときの比率(%)で示されている。
【0127】
本実施形態では、関連数値S(i)が小さいほど、ダンパー20の開度が小さい値に設定される一方、関連数値S(i)が大きいほど、ダンパー20の開度が大きい値に設定されている。本実施形態では、図6に示した関係に基づいて、関連数値S(i)から、各居室7のダンパー20の開度を一意に決定することができる。
【0128】
本実施形態では、例えば、工程S6において空気調和機11の設定温度Eが低く決定されたとしても、目標温度に対する居室温度の達成具合が相対的に低い(関連数値S(i)が相対的に大きい)居室7に、空調空気Acを優先的に供給できる。したがって、本実施形態では、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室7を好適に空調することができる。
【0129】
[建物の空調方法(第2実施形態)]
図7は、本発明の他の実施形態の建物の空調方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0130】
[室内機ファンの風量を決定]
この実施形態の空調方法には、平均温度差パラメータに基づいて、図1に示した室内機ファン11fの風量(第1風量~第5風量のいずれか)を決定する工程S10が含まれている。
【0131】
この実施形態の空調システム1のプログラム部32(図2に示す)には、室内機ファン風量決定部(図示省略)が含まれる。室内機ファン風量決定部は、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)に基づいて、室内機ファン11f(図1に示す)の風量を決定するためのものである。この室内機ファン風量決定部が演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、室内機ファン11fの風量を決定するための手段として機能させることができる。
【0132】
上述したように、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)が小さいほど、複数の居室7(第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い(居室温度が目標温度に近づいている)。このため、この実施形態の室内機ファン風量決定部(制御装置14)は、空気調和機11の運転時(暖房運転時及び冷房運転時を含む)において、平均温度差パラメータが小さいほど、室内機ファン11fの風量を小さく決定している。そして、次の工程S11において、決定された風量に、室内機ファン11fの風量が変更されることで、省エネルギー性を向上させることが可能となる。
【0133】
一方、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)が大きいほど、複数の居室7(第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が低い(居室温度が目標温度から乖離している)る。このため、この実施形態の室内機ファン風量決定部(制御装置14)は、空気調和機11の運転時(暖房運転時及び冷房運転時を含む)において、平均温度差パラメータが大きいほど、室内機ファン11fの風量を大きく決定している。そして、次の工程S11において、決定された風量に、室内機ファン11fの風量が変更されることで、複数の居室7を好適に空調することができる。
【0134】
図8は、平均温度差パラメータと、室内機ファン11fの風量との対応関係を示す図である。図8では、平均温度差パラメータとして、関連数値S(i)の平均値が示されている。この実施形態では、関連数値S(i)の平均値が小さいほど、室内機ファン11fの風量が小さく設定される一方、関連数値S(i)の平均値が大きいほど、室内機ファン11fの風量が大きく設定されている。なお、関連数値S(i)の平均値の数値範囲は、例えば、空調システム1に求められる空調精度に応じて適宜設定することができる。
【0135】
この実施形態の室内機ファン風量決定部(制御装置14)は、図8に示した対応関係に基づいて、平均温度差パラメータ(関連数値S(i)の平均値)から、室内機ファン11fの風量を特定している。これにより、室内機ファン風量決定部(制御装置14)は、平均温度差パラメータが小さいほど、室内機ファン11fの風量を小さく決定することができるため、省エネルギー性を向上させることが可能となる。一方、平均温度差パラメータが大きいほど、室内機ファン11fの風量を大きく決定することができるため、複数の居室7を好適に空調することができる。決定された室内機ファン11fの風量は、データ部31の室内機ファン風量入力部(図示省略)に入力される。
【0136】
[室内機ファンの風量を変更]
次に、本実施形態の空調方法には、室内機ファン11f(図1に示す)の風量を、決定された風量に変更する工程S11が含まれる。
【0137】
この実施形態の工程S11は、先ず、図2に示されるように、室内機ファン風量入力部(図示省略)に入力された室内機ファン11fの風量が、作業用メモリ23に読み込まれる。さらに、工程S11では、プログラム部32に含まれる室内機ファン風量出力部(図示省略)が、作業用メモリ23に読み込まれる。室内機ファン風量出力部は、室内機ファン11fの風量を、決定された風量に変更するためのプログラムである。この室内機ファン風量出力部が演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、室内機ファン11fの風量を変更するための手段として機能させることができる。
【0138】
この実施形態の工程S11では、室内機ファン11fの現在の風量が、工程S10で決定された風量に変更される。この変更された風量は、各居室7の目標温度に対する居室温度の達成具合を平均化したパラメータ(平均温度差パラメータ)に基づいて決定されたものである。これにより、この実施形態の空調システム1(空調方法)は、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室7を好適に空調することができる。
【0139】
[搬送ファンの風量を決定]
この実施形態の空調方法には、平均温度差パラメータに基づいて、図1に示した搬送ファン19の風量(本例では、微~強のいずれか)を決定する工程S12が含まれる。
【0140】
この実施形態の空調システム1のプログラム部32(図2に示す)には、搬送ファン風量決定部(図示省略)が含まれる。搬送ファン風量決定部は、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)に基づいて、搬送ファン19の風量を決定するためのものである。この搬送ファン風量決定部が演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、搬送ファン19の風量を決定するための手段として機能させることができる。
【0141】
上述したように、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)が小さいほど、複数の居室7(第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が高い(居室温度が目標温度に近づいている)。このため、この実施形態の搬送ファン風量決定部(制御装置14)は、空気調和機11の運転時(暖房運転時及び冷房運転時を含む)において、平均温度差パラメータが小さいほど、搬送ファン19の風量を小さく決定している。
【0142】
一方、平均温度差パラメータ(本例では、関連数値S(i)の平均値)が大きいほど、複数の居室7(第1居室7a及び第2居室7b)の全体として、目標温度に対する居室温度の達成具合が低い(居室温度が目標温度から乖離している)。この場合、搬送ファン19の風量を大きくして、空調空気Acを、複数の居室7に積極的に供給することが好ましい。したがって、この実施形態の搬送ファン風量決定部(制御装置14)は、空気調和機11の運転時において、平均温度差パラメータが大きいほど、搬送ファン19の風量を大きく決定している。
【0143】
そして、本実施形態では、次の工程S13において、搬送ファン19(図1に示す)の風量が、決定された風量に変更されることで、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することができる。
【0144】
図9は、平均温度差パラメータと、搬送ファン19の風量との対応関係を示す図である。図9では、平均温度差パラメータとして、関連数値S(i)の平均値が示されている。この実施形態では、関連数値S(i)の平均値が小さいほど、搬送ファン19の風量が弱く(小さく)設定される一方、関連数値S(i)の平均値が大きいほど、搬送ファン19の風量が強く(大きく)設定されている。なお、関連数値S(i)の平均値の数値範囲は、例えば、空調システム1に求められる空調精度に応じて適宜設定することができる。
【0145】
この実施形態の搬送ファン風量決定部(制御装置14)は、図9に示した対応関係に基づいて、平均温度差パラメータ(関連数値S(i)の平均値)から、搬送ファン19の風量を特定している。これにより、搬送ファン風量決定部(制御装置14)は、平均温度差パラメータが小さいほど、搬送ファン19の風量を小さく決定することができるため、省エネルギー性を向上させることが可能となる。また、平均温度差パラメータが大きいほど、搬送ファン19の風量を大きく決定することができるため、複数の居室7を好適に空調することができる。決定された搬送ファン19の風量は、データ部31の搬送ファン風量入力部(図示省略)に入力される。
【0146】
[搬送ファンの風量を変更]
次に、本実施形態の空調方法には、搬送ファン19(図1に示す)の風量を、決定された風量に変更する工程S13が含まれる。
【0147】
この実施形態の工程S13は、先ず、図2に示されるように、搬送ファン風量入力部(図示省略)に入力された搬送ファン19の風量が、作業用メモリ23に読み込まれる。さらに、工程S13では、プログラム部32に含まれる搬送ファン風量出力部(図示省略)が、作業用メモリ23に読み込まれる。室内機ファン風量出力部は、搬送ファン19の風量を、決定された風量に変更するためのプログラムである。この搬送ファン風量出力部が演算装置21によって実行されることで、制御装置14を、搬送ファン19の風量を変更するための手段として機能させることができる。
【0148】
この実施形態の搬送ファン風量出力部(制御装置14)は、搬送ファン19の現在の風量を、工程S12で決定された風量に変更している。この変更された風量は、各居室7の目標温度に対する居室温度の達成具合を平均化したパラメータ(平均温度差パラメータ)に基づいて決定されたものである。これにより、この実施形態の空調システム1(空調方法)は、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室を好適に空調することができる。
【0149】
[建物の空調方法(第3実施形態)]
これまでの空調方法(空調システム1)は、図1に示した建物2の1階に設けられた第1居室7a及び第2居室7bが空調されたが、このような態様に限定されない。例えば、1階の第1居室7a及び第2居室7bに加えて、2階以上に設けられた居室(図示省略)が空調されてもよい。この場合、ダクト装置12及び搬送ファン19は、各階に設けられるのが好ましい。
【0150】
この実施形態では、各階の居室7の温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータに基づいて、各階の搬送ファン19の風量がそれぞれ決定されるのが好ましい。これにより、各階の搬送ファン19は、各階の目標温度に対する居室温度の達成具合(温度差パラメータ)に応じて、それらの階に設けられた居室7に空調空気Acをそれぞれ供給することができるため、各階の居室7を好適に空調することができる。各階の搬送ファン19の風量は、図9に示した対応関係に基づいて特定されうる。
【0151】
図1に示した室内機ファン11fの風量、及び、空気調和機11の設定温度(上記の式(1)の調節温度C)は、各階の搬送ファン19の風量(風量「微」~「強」)の組み合わせ(すなわち、各階の平均温度差パラメータの組み合わせ)に応じて決定されてもよい。
【0152】
図10は、各階の搬送ファン19の風量の組み合わせと、室内機ファン11fの風量及び調節温度Cとの対応関係を示す図である。図10では、1階及び2階の搬送ファン19の風量の組み合わせが示されている。
【0153】
本実施形態では、各階の搬送ファン19の風量が弱い風量(平均温度差パラメータが小さい)の組み合わせになるほど、室内機ファン11fの風量が小さく設定される。一方、各階の搬送ファン19の風量が強い風量(平均温度差パラメータが大きい)の組み合わせになるほど、室内機ファン11fの風量が大きく設定されている。
【0154】
本実施形態では、空気調和機11の暖房運転時において、各階の搬送ファン19の風量が弱い風量(平均温度差パラメータが小さい)の組み合わせになるほど、上記の式(1)の調節温度Cが低く設定される。一方、各階の搬送ファン19の風量が強い風量(平均温度差パラメータが大きい)の組み合わせになるほど、調節温度Cが高く設定される。
【0155】
本実施形態では、空気調和機11の冷房運転時において、各階の搬送ファン19の風量が弱い風量(平均温度差パラメータが小さい)の組み合わせになるほど、上記の式(1)の調節温度Cが高く設定される。一方、各階の搬送ファン19の風量が強い風量(平均温度差パラメータが大きい)の組み合わせになるほど、調節温度Cが低く設定される。
【0156】
このように、この実施形態では、各階の搬送ファン19の風量(平均温度差パラメータ)の組み合わせに応じて、室内機ファン11fの風量及び調節温度Cが決定されるため、省エネルギー性を向上させつつ、複数の居室7を好適に空調することができる。
【0157】
これまでの実施形態では、図4に示されるように、温度差パラメータとして、ネガティブ側の差ΔT(i)に関連付けられた関連数値S(i)が求められたが、このような態様に限定されるわけではない。温度差パラメータには、ネガティブ側の差ΔT(i)が用いられてもよい。この場合、ネガティブ側の差ΔT(i)を平均した平均温度差パラメータが求められ、この平均温度差パラメータに基づいて、空気調和機11の設定温度が決定されうる。
【0158】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0159】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0160】
[本発明1]
建物内の複数の居室を空調するための空調システムであって、
チャンバー内に配され、かつ、前記チャンバー内で空調空気を生成する1つの空気調和機と、
前記チャンバー内の前記空調空気を前記複数の居室のそれぞれに供給するためのダクト装置と、
前記複数の居室のそれぞれの温度である居室温度を取得するための居室温度センサーと、
前記空気調和機を制御するための制御装置とを含み、
前記制御装置は、
前記居室温度センサーの検知信号が入力される居室温度入力部と、
前記複数の居室のそれぞれの目標温度を記憶する目標温度記憶部と、
前記複数の居室のそれぞれについて、前記居室温度と前記目標温度とのネガティブ側の差、又は、前記差に関連付けられた数値である温度差パラメータを求める温度差パラメータ特定部と、
前記複数の居室のそれぞれの前記温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータを計算する温度差パラメータ平均部と、
前記平均温度差パラメータに基づいて、前記空気調和機の設定温度を決定する設定温度決定部と、
前記空気調和機の設定温度を前記決定された設定温度に変更する設定温度出力部とを含む、
建物の空調システム。
[本発明2]
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記設定温度を小さくする、本発明1に記載の建物の空調システム。
[本発明3]
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記設定温度を高くする、本発明1又は2に記載の建物の空調システム。
[本発明4]
前記設定温度決定部は、予め定められた参照温度に、前記平均温度差パラメータに基づいて決まる調節温度を加算して、前記設定温度を決定する、本発明1ないし3のいずれかに記載の建物の空調システム。
[本発明5]
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記調節温度を低くする、本発明4に記載の建物の空調システム。
[本発明6]
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記平均温度差パラメータが小さいほど、前記調節温度を高くする、本発明4又は5に記載の建物の空調システム。
[本発明7]
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記複数の居室の中で最も高い目標温度を、前記参照温度として設定する、本発明4ないし6のいずれかに記載の建物の空調システム。
[本発明8]
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記複数の居室の中で最も低い目標温度を、前記参照温度として設定する、本発明4ないし7のいずれかに記載の建物の空調システム。
[本発明9]
前記空気調和機は、前記設定温度と、前記空気調和機の吸込温度との差に基づいて、空調能力を変化させるインバータ制御方式のものであり、
前記設定温度決定部は、前記吸込温度を、前記参照温度として設定する、本発明4ないし6のいずれかに記載の建物の空調システム。
[本発明10]
前記吸込温度は、前記空気調和機の吸込口の実温度と、前記実温度を補正するための予め定められた補正温度とを足し合わせた温度であり、
前記設定温度決定部は、前記実温度を、前記参照温度として特定する、本発明9に記載の建物の空調システム。
[本発明11]
前記空気調和機は、前記設定温度と、前記空気調和機の吸込温度との差に基づいて、空調能力を変化させるインバータ制御方式のものであり、
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記複数の居室の中で最も高い目標温度、及び、前記吸込温度のうち、高い方の温度を、前記参照温度として設定する、本発明4ないし6のいずれかに記載の建物の空調システム。
[本発明12]
前記空気調和機は、前記設定温度と、前記空気調和機の吸込温度との差に基づいて、空調能力を変化させるインバータ制御方式のものであり、
前記設定温度決定部は、前記空気調和機の冷房運転時において、前記複数の居室の中で最も低い目標温度、及び、前記吸込温度のうち、低い方の温度を、前記参照温度として設定する、本発明4ないし6のいずれかに記載の建物の空調システム。
[本発明13]
1つの空気調和機を用いて、建物内の複数の居室を空調するための方法であって、
前記複数の居室のそれぞれの温度である居室温度を取得する工程と、
前記複数の居室のそれぞれの目標温度を記憶する工程と、
前記複数の居室のそれぞれについて、前記居室温度と前記目標温度とのネガティブ側の差、又は、前記差に関連付けられた数値である温度差パラメータを求める工程と、
前記複数の居室のそれぞれの前記温度差パラメータを平均した平均温度差パラメータを計算する工程と、
前記平均温度差パラメータに基づいて、前記空気調和機の設定温度を決定する工程と、
前記空気調和機の設定温度を前記決定された設定温度に変更する工程とを含む、
建物の空調方法。
【符号の説明】
【0161】
1 空調システム
2 建物
7 居室
11 空気調和機
12 ダクト装置
13 居室温度センサー
14 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10