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特開2024-25600樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、及び積層体
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  • 特開-樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、及び積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025600
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240216BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240216BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240216BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240216BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20240216BHJP
   C08K 5/51 20060101ALI20240216BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240216BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240216BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240216BHJP
   C07F 19/00 20060101ALN20240216BHJP
   C07F 9/12 20060101ALN20240216BHJP
   C07F 9/32 20060101ALN20240216BHJP
   C07F 9/40 20060101ALN20240216BHJP
   C09B 47/00 20060101ALN20240216BHJP
   C09B 57/00 20060101ALN20240216BHJP
   C09B 1/32 20060101ALN20240216BHJP
   C09B 23/01 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
C08L101/00
G02B5/22
G03F7/004 505
G03F7/004 501
H01L27/146 D
H01L27/144 K
C08K5/51
B32B7/023
B32B27/18 Z
B32B27/20 Z
C07F19/00
C07F9/12
C07F9/32
C07F9/40 Z
C09B47/00
C09B57/00 X
C09B1/32
C09B23/01
C09B57/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148270
(22)【出願日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2022127887
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平佐 美幸
(72)【発明者】
【氏名】日水 秋生
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4F100
4H050
4J002
4M118
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA17
2H225AC33
2H225AC36
2H225AC37
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AC58
2H225AC63
2H225AC72
2H225AD02
2H225AD06
2H225AD14
2H225AD15
2H225AE06P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM62P
2H225AM91P
2H225AM95P
2H225AM96P
2H225AN05P
2H225AN22P
2H225AN23P
2H225AN33P
2H225AN38P
2H225AN39P
2H225AN41P
2H225AN42P
2H225AN49P
2H225AN65P
2H225AN68P
2H225AN72P
2H225AN73P
2H225AN80P
2H225AN82P
2H225AN84P
2H225AN91P
2H225AN92P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA05P
2H225BA09P
2H225BA10P
2H225BA11P
2H225BA12P
2H225BA13P
2H225BA16P
2H225BA22P
2H225BA32P
2H225BA33P
2H225BA35P
2H225CA15
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4F100AH03
4F100AH03A
4F100AH08
4F100AH08A
4F100AK01A
4F100AK25
4F100AR00B
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA13
4F100CA13A
4F100JD08
4F100JD08B
4F100JD10
4F100JD10A
4F100JD14
4F100JD14A
4F100JD14B
4F100JJ03
4F100YY00A
4F100YY00B
4H050AA03
4H050AB92
4J002AA011
4J002AA021
4J002AB011
4J002BB031
4J002BC031
4J002BC071
4J002BD031
4J002BD051
4J002BD181
4J002BE061
4J002BF021
4J002BG021
4J002BG072
4J002BL011
4J002BP032
4J002CC031
4J002CC181
4J002CC191
4J002CC211
4J002CD001
4J002CF001
4J002CK021
4J002CL001
4J002CM041
4J002CM051
4J002EP007
4J002EV207
4J002EW046
4J002FD050
4J002FD090
4J002FD310
4J002GF00
4J002GP00
4J002GQ00
4J002GS00
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118GA10
4M118GB03
4M118GB07
4M118GC07
4M118GD04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い保存安定性、耐性(耐熱性、耐湿性)、および低い異物発生率などの優れた特性を示す樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、および積層体を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表わされる化合物(A)、一般式(3a)または一般式(3b)で表わされる化合物(B)0.0001~1質量%、及びバインダ樹脂(C)を含むことを特徴とする樹脂組成物による。


【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表わされる化合物(A)、一般式(3a)または一般式(3b)で表わされる化合物(B)0.0001~1質量%、及びバインダ樹脂(C)を含むことを特徴とする樹脂組成物。
一般式(1)
【化1】


[一般式(1)中、X~X、Y~Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。また、X~Xは、それぞれ独立に、互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成しても良い。ただし、XとX、XとX、XとX6、XとXのいずれか1組
以上は互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する。
は、-OP(=O)R、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]

一般式(2)
【化2】


[一般式(2)中、Wは、-CONH-R-、-COO-R-、-CONH-R-O-、-COO-R-O-を表し、R~Rは、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。Rは水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]

【化3】


[一般式(3a)、(3b)中、Z~Zは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。Z~Zで示される基のうち隣り合う2個の基は、連結してそれぞれが結合する窒素原子または硫黄原子と共に環を形成してもよい。]
【請求項2】
化合物(A)が、下記一般式(4)で表わされる化合物(A1)を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
一般式(4)
【化4】


[一般式(4)中、Y~Y16、R~R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
は、-OP(=O)R、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有して
もよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
【請求項3】
一般式(3a)または一般式(3b)で表わされる化合物(B)が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とする膜。
【請求項7】
基材上に、請求項6に記載の膜を有することを特徴とする光学フィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載の光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線カメラ。
【請求項9】
請求項7に記載の光学フィルタを具備することを特徴とする固体撮像素子。
【請求項10】
請求項7に記載の光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線センサ。
【請求項11】
波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)を含む層と、請求項6記載の膜とを有することを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルカメラ、及びスマートフォン等には、光学センサである固体撮像素子が用いられている。固体撮像素子としては、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)が挙げられる。これら固体撮像素子の受光部には、赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているため、視感度補正を行うことが必要であり、赤外線を遮断するための光学フィルタが配置される。このような光学フィルタは、例えば、近赤外線吸収色素を含む組成物を用いて製造される。
【0003】
耐熱性や耐光性に優れた近赤外線吸収性色素として、特許文献1には、置換基を有するフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物が開示されている。特許文献2には、800nm~1000nmの近赤外線をカットするナフタロシアニン化合物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2020-071470号公報
【特許文献2】特開平10-78509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学フィルタは、様々な環境下で用いられるため、高い堅牢性(高い耐熱性、耐湿性など)が求められる。フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物を含む樹脂組成物を用いた膜について検討を行ったところ、膜の耐性について、更なる改善の余地があることがわかった。本発明は高い保存安定性、耐性(耐熱性、耐湿性)、および低い異物発生率、といった優れた特性を示す樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、該光学フィルタを具備する赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、および積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)で表わされる化合物(A)、一般式(3a)または一般式(3b)で表わされる化合物0.0001~1質量%、及びバインダ樹脂(C)を含む樹脂組成物が、高い保存安定性で、耐性(耐熱性、耐湿性)に優れ、低い異物発生率であることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式(1)で表わされる化合物(A)、一般式(3a)または一般式(3b)で表わされる化合物(B)0.0001~1質量%、及びバインダ樹脂(C)を含むことを特徴とする樹脂組成物に関する。
【0008】
一般式(1)
【化1】


[一般式(1)中、X~X、Y~Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。また、X~Xは、それぞれ独立に、互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成しても良い。ただし、XとX、XとX、XとX6、XとXのいずれか1組
以上は互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する。
は、-OP(=O)R、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
【0009】
一般式(2)
【化2】


[一般式(2)中、Wは、-CONH-R-、-COO-R-、-CONH-R-O-、-COO-R-O-を表し、R~Rは、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。Rは水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]
【0010】
【化3】


[一般式(3a)、(3b)中、Z~Zは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。Z~Zで示される基のうち隣り合う2個の基は、連結してそれぞれが結合する窒素原子または硫黄原子と共に環を形成してもよい。]
【0011】
また、本発明は、化合物(A)が、下記一般式(4)で表わされる化合物(A1)を含むことを特徴とする前記樹脂組成物に関する。
【0012】
一般式(4)
【化4】


[一般式(4)中、Y~Y16、R~R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。
は、-OP(=O)R、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
【0013】
また、本発明は、一般式(3a)または一般式(3b)で表わされる化合物(B)が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルス
ルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記樹脂組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、さらに、波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)を含むことを特徴とする前記樹脂組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、さらに、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする前記樹脂組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、前記樹脂組成物を用いてなることを特徴とする膜に関する。
【0017】
また、本発明は、基材上に、前記膜を有することを特徴とする光学フィルタに関する。
【0018】
また、本発明は、前記光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線カメラに関する。
【0019】
また、本発明は、前記光学フィルタを具備することを特徴とする固体撮像素子に関する。
【0020】
また、本発明は、前記光学フィルタを具備することを特徴とする赤外線センサに関する。
【0021】
また、本発明は、波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)を含む層と、前記樹脂組成物を含む層とを有することを特徴とする積層体関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、高い保存安定性、耐性(耐熱性、耐湿性)、および低い異物発生率、といった優れた特性を示す樹脂組成物、それを用いた膜、光学フィルタ、該光学フィルタを具備する赤外線カメラ、固体撮像素子、赤外線センサ、および積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の膜を備えた赤外線センサの概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。色材は、顔料および染料を含む。
【0025】
<色材>
本明細書において、色材とは、一般式(1)で表わされる化合物(A)、波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)、後述する波長700nm以上1300nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(F)を意味する。
【0026】
<一般式(1)で表わされる化合物(A)>
本発明の樹脂組成物は、一般式(1)で表わされる化合物(A)(以下、単に化合物(A)ともいう)を含む。
【0027】
一般式(1)
【化5】


[一般式(1)中、X~X、Y~Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原
子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。また、X~Xは、それぞれ独立に、互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成しても良い。ただし、XとX、XとX、XとX6、XとXのいずれか1組
以上は互いに結合して置換基を有してもよい芳香環を形成する。
は、-OP(=O)R、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。]
【0028】
一般式(2)
【化6】


[一般式(2)中、Wは、-CONH-R-、-COO-R-、-CONH-R-O-、-COO-R-O-を表し、R~Rは、炭素原子と炭素原子の間が、-O-
、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。Rは水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]
【0029】
本発明の化合物(A)は、波長700nm以上900nm以下の範囲に吸収極大を有しており、本発明の樹脂組成物は近赤外線吸収性樹脂組成物として使用することができる。
【0030】
(フタロシアニン部位(PC1))
化合物(A)は、フタロシアニン部位(PC1)と、-OP(=O)R(リン化合物部位)または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位と、から構成される。フタロシアニン部位(PC1)は、下記一般式(5)で表されるフタロシアニンを原料とすることが好ましい。
【0031】
一般式(5)
【化7】
【0032】
一般式(5)中、X~X、Y~Yは、一般式(1)中のX~X、Y~Yと同様の意義である。
【0033】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。「置換基を有するアルキル基」は、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ベンジル基、4-メチルベンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等が挙げられる。
【0034】
置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基等が挙げられる。
「置換基を有するアリール基」は、例えば、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等が挙げられる。
【0035】
置換基を有してもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」は、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
「置換基を有するシクロアルキル基」は、例えば、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0036】
置換基を有してもよい複素環基の「複素環基」としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられ、「置換基を有する複素環基」としては、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基等が挙げられる。
【0037】
置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。
「置換基を有するアルコキシル基」は、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられ、
「置換基を有するアリールオキシ基」は、例えば、p-メチルフェノキシ基、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0039】
置換基を有してもよいアルキルチオ基の「アルキルチオ基」は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、オクタデシルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアルキルチオ基」は、例えば、メトキシエチルチオ基、アミノエチルチオ基、ベンジルアミノエチルチオ基、メチルカルボニルアミノエチルチオ基、フェニルカルボニルアミノエチルチオ基等が挙げられる。
【0040】
置換基を有してもよいアリールチオ基の「アリールチオ基」は、例えば、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基等が挙げられる。
「置換基を有するアリールチオ基」は、例えば、クロロフェニルチオ基、トリフルオロメチルフェニルチオ基、シアノフェニルチオ基、ニトロフェニルチオ基、2-アミノフェニルチオ基、2-ヒドロキシフェニルチオ基等が挙げられる。
【0041】
置換基を有してもよい芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基、カルボキシル基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基が挙げられる。
【0042】
(-OP(=O)R(リン化合物部位))
一般式(1)で表される化合物(A)の一形態は、-OP(=O)Rで表されるリン化合物部位中のリン酸基と、フタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成したものである。別形態では、Rに応じて、リン化合物部位中のホスフィン酸基またはホスホン酸基と、アルミニウムカチオンが塩を形成する。
リン化合物部位の原料は、一般式(6)で表されるリン化合物である。
【0043】
一般式(6)
【化8】
【0044】
一般式(6)中、R50およびR51は、それぞれ独立に、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表し、R50とR51は、互いに結合して環を形成しても良い。
Vはヒドロキシ基または、塩素原子を表す。
【0045】
置換基を有してもよいアルキル基の「アルキル基」、置換基を有してもよいアリール基の「アリール基」、置換基を有してもよいアルコキシル基の「アルコキシル基」、置換基を有してもよいアリールオキシ基の「アリールオキシ基」は、上記一般式(5)の説明で例示したものと同じものがあげられる。
【0046】
一般式(6)で表されるリン化合物としては、分散性や色特性の観点から、R50とR51のうちの少なくとも1つが、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基であることが好ましく、R50とR51がいずれもアリール基、またはアリールオキシ基であることがより好ましく、R50とR51がいずれもフェニル基またはフェノキシ基であることがさらに好ましい。
【0047】
リン化合物の代表的な例として、下記に示す構造が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0048】
【化9】

【0049】
(一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位)
一般式(1)で表される化合物(A)の一形態は、一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位中のリン酸基と、フタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成したものである。別形態では、Wに応じて、重合体部位中のホスホン酸基と、アルミニウムカチオンが塩を形成する。
当該重合体部位は、その原料である一般式(7)で表されるモノマーをビニル重合してなる。なお、当該重合体部位は、一般式(7)で表されるモノマーと、一般式(7)で表されるモノマー以外にその他モノマーとを使用できる。
【0050】
一般式(7)
【化10】
【0051】
一般式(7)中、Wは-CONH-R23-、-COO-R24-、-CONH-R25-O-、-COO-R26-O-、R23~R26は、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。
アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。アリーレン基は、例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アンスリレン基があげられる。R23~R26は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
22は水素原子または、メチル基を表す。
【0052】
一般式(7)で表されるモノマーは、例えば、(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アシッドホスフェート、(2-(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)アシッドホスフェートが挙げられる。
【0053】
その他モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリル、酸基含有モノマー、熱架橋性基含有モノマー等が挙げられる。
【0054】
(メタ)アクリル酸エステル類は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t-オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β-フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル等が挙げられる。
【0055】
クロトン酸エステル類は、例えば、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
【0056】
ビニルエステル類は、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニル等が挙げられる。マレイン酸ジエステル類は、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチル等が挙げられる。
【0057】
フマル酸ジエステル類は、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチル等が挙げられる。
【0058】
イタコン酸ジエステル類は、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチル等が挙げられる。
【0059】
(メタ)アクリルアミド類は、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチルアクリル(メタ)アミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0060】
ビニルエーテル類は、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
スチレン類は、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt-Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、α-メチルスチレン等が挙げられる。
【0061】
酸基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;こはく酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル類;ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げられる。
【0062】
熱架橋性基含有モノマー中の熱架橋性基は、例えば、色材の架橋点になり、色材の耐熱性向上に寄与する。熱架橋性基は、例えば、水酸基、カルボン酸無水物、1級または2級アミノ基、イミノ基、オキセタニル基、tert-ブチル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基等が挙げられる。これらの中でも保存安定性、および反応性の面でヒドロキシル基、カルボキシル基、オキセタニル基、tert-ブチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基が好ましく、ヒドロキシル基がより好ましい。
水酸基含有モノマーは、例えば、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4--ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2-ヒドロキシ-3--フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(モル数は1~5)等が挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが耐熱性の観点から好ましい。
【0063】
オキセタニル基含有モノマーは、例えば、3-(アクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-メチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(メタクリロイルオキシメチル)3-エチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(
メタクリロイルオキシメチル)3-ブチルオキセタン、3-(アクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン及び3-(メタクリロイルオキシメチル)3-ヘキシルオキセタン等が挙げられる。
【0064】
tert-ブチル基含有モノマーは、例えば、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート等が挙げられる。
【0065】
イソシアネート基含有モノマーは、例えば、例えば、2-イソシアネートエチルメタクリレート、2-イソシアネートエチルアクリレート、4-イソシアネートブチルメタクリレート、4-イソシアネートブチルアクリレート等が挙げられる。なお、イソシアネート基は、例えば、ブロックイソシアネート基を含む。ブロックイソシアネート基とは、通常の条件では、イソシアネート基を他の官能基で保護することによりイソシアネート基の反応性を抑える一方で、加熱により脱保護し、活性なイソシアネート基を再生させることができる官能基である。
【0066】
ブロックイソシアネート基含有モノマーの市販品は、例えば、2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI-BP、昭和電工社製);メタクリル酸2-(O-[1’-メチルプロビリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI-BM、昭和電工社製)等が挙げられる。
【0067】
これらのモノマーは、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0068】
重合体部位の合成に使用する一般式(7)で表されるモノマーの使用量は、全モノマー100質量%中、1~30質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。適量使用すると光学特性が向上する。
【0069】
また、熱架橋性基含有モノマーの使用量は、全モノマー100質量%中、5~50質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。適量使用すると耐熱性が向上する。
【0070】
重合体部位の合成法は、例えば、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、リビングラジカル重合等が挙げられる。これらの中でもフリーラジカル重合またはリビングラジカル重合が好ましい。
【0071】
フリーラジカル重合法は、重合開始剤を使用する。重合開始剤は、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物が挙げられる。
アゾ系化合物は、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリ
ル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メ
チルプロピオネート)、4,4'-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2'-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2'-アゾビス[2-(2
-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0072】
重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0073】
重合温度は、40~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。重合時間は、3~30時間が好ましく、5~20時間がより好ましい。
【0074】
リビングラジカル重合法は、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、かつ重合の成長が均一に起こるため、ブロックポリマーや分子量分布が狭い重合体を合成できる。
【0075】
リビングラジカル重合法は、様々な重合法がある中で、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を重合開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が好ましい。この方法は、多様な構造のモノマーも重合できる点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。原子移動ラジカル重合法は、下記の参考文献1~8等に記載された方法で行うことができる。
【0076】
(参考文献1)Fukudaら、Prog.Polym.Sci.2004,29,329
(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,2921
(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614
(参考文献4)Macromolecules 1995,28,7901,Scien
ce,1996,272,866
(参考文献5)WO96/030421号
(参考文献6)WO97/018247号
(参考文献7)特開平9-208616号公報
(参考文献8)特開平8-41117号公報
【0077】
重合体部位の合成には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は、例えば、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0078】
重合体部位の重量平均分子量は、5000~20000が好ましく、8000~15000が好ましい。適度な分子量を有することで光学特性と耐熱性が向上する。
【0079】
重合体部位のガラス転移温度(Tg)は、-50~150℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。適度なTgにより光学特性が向上する。
【0080】
有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0081】
<一般式(4)で表される化合物(A1)>
本発明の化合物(A)は、下記一般式(4)で表される化合物(A1)(以下、単に化合物(A1)ともいう)を含むことが好ましい。
一般式(4)
【化11】
【0082】
一般式(4)中、Y~Y16、R~R21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホン基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基を表す。Zは、-OP(=O)R、または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位を表す。ここでR、Rはそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。
【0083】
一般式(2)
【化12】


[一般式(2)中、Wは、-CONH-R-、-COO-R-、-CONH-R-O-、-COO-R-O-を表し、R~Rは、炭素原子と炭素原子の間が、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-NHCO-で連結されていても良いアルキレン基もしくはアリーレン基を表す。Rは水素原子または、メチル基を表す。*は、Alとの結合手である。]
【0084】
化合物(A1)は、フタロシアニン部位(PC2)と、-OP(=O)R(リン化合物部位)または一般式(2)で表される単量体単位を含む重合体部位と、から構成される。フタロシアニン部位(PC2)は、下記一般式(8)で表されるフタロシアニンを原料とすることが好ましい。
【0085】
一般式(8)
【化13】
【0086】
一般式(8)中、Y~Y16、R~R21は、一般式(4)中のY~Y16、R~R21と同様の意義である。
【0087】
置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいフタルイミドメチル基、または、置換基を有してもよいスルファモイル基は、前述の説明の通りである。
【0088】
化合物(A1)としては、分散性や色特性の観点から、Y~Y16、R~R21は、水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよいアルコキシル基が好ましい。
【0089】
本発明における化合物(A)は、化合物(A)中の化合物(A1)の含有量が、20~100質量%であることが好ましく、保存安定性の観点から、40~90質量%であることがより好ましい。
化合物(A1)は、ピロール環とナフタレン環が縮合したユニット3つと、イソインドール環ユニット1つが窒素で架橋した3+1型非対称フタロシアニンである。化合物(A1)は、非対称型であることにより、芳香環の会合による凝集が緩和し、保存安定性が良好な樹脂組成物を得ることができる。
【0090】
(フタロシアニン部位の合成法)
一般式(5)および一般式(8)で表されるフタロシアニンの一般的な工業的製法を以下に記載する。(4)の方法は、一般式(8)で表されるフタロシアニンを合成する方法である。(1)~(3)の方法を用いると、一般式(5)で表されるフタロシアニンとして複数の構造を含有する。化合物(A)として複数の構造を含有するほうが、芳香環の会合による凝集が緩和され、分散安定性が優れた樹脂組成物が得られるため、(1)~(3)の方法が好ましい。
(1)Wyler法
置換あるいは無置換の無水フタル酸および無水ナフタレンジカルボン酸や、置換あるいは無置換の無水フタル酸イミドおよび無水ナフタレンジカル
ボン酸イミドを用いて,尿素と金属塩存在下,高温で反応させる方法。無水フタル酸と無水ナフタレンジカルボン酸を併用、または、無水フタル酸イミドと無水ナフタレンジカルボン酸イミドを併用することで、一般式(1)で表される化合物(A)を得ることができる。
(2)フタロジニトリル法
置換あるいは無置換フタロジニトリルおよび2,3―ジシアノナフタレンを、n-アミルアルコール、n-ヘキシルアルコール、1-メトキシエタノール、1-エトキシエタノールのようなアルコール系溶媒中で、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5)、又は(金属)アルコキシドのような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。フタロジニトリルと2,3―ジシアノナフタレンを併用することで、一般式(1)で表される化合物(A)を得ることができる。
(3)ジイミノイソインドリン法
置換あるいは無置換の1,3-ジイミノイソインドリンおよび1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリンを、2-ジメチルアミノエタノール、キノリン、DBU(1,8-ジ
アザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7)のような強塩基の存在下、金属塩と反応させる方法。1,3-ジイミノイソインドリンと1,3-ジイミノベンゾ[f]イソインドリ

を併用することで、一般式(1)で表される化合物(A)を得ることができる。
(4)サブフタロシアニン開環法(サブフタロシアニンからの非対称型フタロシアニン合成法)
ボロンSUB-2,3-ナフタロシアニンクロリドと置換あるいは無置換の1,3-ジイ
ミノイソインドリンから一般式(9)で表される化合物を合成した後、金属塩と反応させる方法。
【0091】
一般式(9)
【化14】
【0092】
一般式(9)中、Y~Y16、R~R21は、一般式(4)中のY~Y16、R
~R21と同様の意義である。
【0093】
(化合物(A)または化合物(A1)の合成法)
化合物(A)または化合物(A1)は、例えば、フタロシアニン部位(PC1)またはフタロシアニン部位(PC2)と、一般式(6)で表されるリン化合物または一般式(7)で表されるモノマーを含む単量体をビニル重合してなる重合体(以下、重合体ともいう)を反応させて合成する
なお、前記フタロシアニン部位に、前記リン化合物および前記重合体の両方を同時または逐次反応させてもよい。
【0094】
化合物(A)または化合物(A1)の合成は、例えば、フタロシアニン部位、リン化合物または重合体を有機溶媒に加え、数時間加熱攪拌する。次いで反応溶液を水に投入し、析出した生成物をろ過し、水洗、乾燥させることで作製できる。
【0095】
フタロシアニン部位、および重合体部位の比率については、フタロシアニン部位と重合体部位のうち一般式(7)で表されるモノマー由来のリン酸基のモル比率が、フタロシアニン部位/一般式(7)で表されるモノマー由来のリン酸基=0.5~1.5が好ましく、0.8~1.2が好ましい。適度な比率で使用すると芳香環の会合による吸収が非常に弱くなり、比視感度の高い領域である480nm~650nmの透過性が高くなる。
【0096】
フタロシアニン部位、およびリン化合物部位の比率については、一般式(6)で表されるリン化合物の添加量は、分散性や色特性の観点から、フタロシアニン部位に対して0.8モル当量から2.0モル当量が好ましく、1.0モル当量から1.5モル当量がより好ましい。
【0097】
以下、一般式(1)で表される化合物(A)の具体例を示す。なお、本発明はこれらに限定されない。
【0098】

【化15】



【0099】
<一般式(3a)または一般式(3b)で表される化合物(B)>
本発明の樹脂組成物は、一般式(3a)または一般式(3b)で表される化合物(B)(以下、単に化合物(B)ともいう)を含む。
【0100】
【化16】
【0101】
一般式(3a)または一般式(3b)中、Z~Zは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。Z~Zで示される基のうち隣り合う2個の基は、連結してそれぞれが結合する窒素原子または硫黄原子と共に環を形成してもよい。
【0102】
置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環基、は、前述の説明の通りである。
【0103】
置換基を有してもよいアルケニル基の「アルケニル基」は、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-
メチル-1-プロペニル及び2-メチル-2-プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2-シクロヘキセニル及び3-シクロヘキセニル等)が挙げられる。アルケニル基としては、炭素数2~18のアルケニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数2~8のアルケニル基である。直鎖のアルケニル基が好ましい。
【0104】
一般式(3a)で表される化合物(B)としては、Z~Zは、無置換のアルキル基であることが好ましい。Zが無置換のアルキル基を表わし、かつZとZが互いに環を形成している構造がより好ましい。また、一般式(3b)で表される化合物(B)としては、ZとZが無置換のアルキル基であることが好ましい。化合物(A)との立体反発が少なく、化合物(A)のアルミニウムカチオン部分と相互作用しやすくなり、より耐性面(耐熱性、耐湿性)での効果が期待できる。
【0105】
化合物(B)の分子量は50~1000であることが好ましく、50~300であることがより好ましい。分子量が上記範囲であれば、化合物(A)との立体反発が少なく、より効果が得られる。
【0106】
化合物(B)の沸点は、50~300℃であることが好ましく、140~240℃であると、塗膜の加熱後も効果が損なわれず、さらに好ましい。
【0107】
化合物(B)が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドであることがさらに好ましい。
<樹脂組成物>
【0108】
本発明の樹脂組成物は、化合物(A)、化合物(B)0.0001~1質量%、及びバインダ樹脂(C)を含むことを特徴とする
化合物(A)、化合物(B)0.0001~1質量%、及びバインダ樹脂(C)を含むと、保存安定性が良好で、耐湿性に優れた膜を形成することができる。このような効果が得られる理由は、次のようなものであると推測される。
化合物(A)の一形態は、-OP(=O)Rで表されるリン化合物部位中のリン酸基と、フタロシアニン部位中のアルミニウムカチオンが塩を形成しており、ガスクロマトグラフによる定量により、化合物(A)は化合物(B)を結晶中に取り込みやすいことがわかっている。
化合物(A)の結晶中に化合物(B)が存在することで、凝集が起こりにくく高い保存安定性や異物抑制効果が得られる。また、製膜後の膜にした際に、熱や湿度による分解を抑制することができると推測される。化合物(A)の樹脂組成物に後から化合物(B)を添加するよりも、化合物(A)の合成時より化合物(B)を含有していたほうが、より凝集が起こりにくく、保存安定性の観点で好ましい。
耐熱性、耐湿性の観点では0.1~1質量%であることがより好ましく、保存安定性の観点では0.001~0.6質量%であることがより好ましい。
保存安定性、異物抑制効果、耐熱性、耐湿性を両立するために0.01~0.8質量%であることがさらに好ましい。
化合物(B)が0.0001質量%より少ないと結晶中に取り込まれる化合物(B)の量が少なく、耐性への効果がない。一方、化合物(B)が1質量%より多いと保存安定性が悪化し、好ましくない。
【0109】
また、化合物(B)の含有量は、化合物(A)100質量部に対して0.01~10質量%であることが好ましく、0.1~9質量%であることがさらに好ましい。
なお、組成物の化合物(B) の含有量は、ガスクロマトグラフにより定量して求める
ことができる。
【0110】
<波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)>
本発明の樹脂組成物は、波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)(以下、単に化合物(H)ともいう)を含有できる。これにより、光学フィルタの可視光領域の透過率を制御することができる。
【0111】
化合物(H)は、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物が好ましい。
化合物(H)としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,47,48,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,53:3,57,57:1,57:2,58:4,60,63,63:1,63:2,64,64:1,68,69,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,101,101:1,104,108,108:1,109,112,113,114,122,123,144,146,147,149,151,166,168,169,170,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,230,231,232,233,235,236,237,238,239,242,243,245,247,249,250,251,253,254,255,256,257,258,259,260,262,263,264,265,266,267,268,269,270,271,272,273,274,275,276,277,278,279,280,281,282,283,284,285,286,287,291,295,296、特開2014-134712号公報、特許第6368844号公報等に記載された赤色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ36,38,43,64,71,73等の橙色顔料;
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,126,127,128,129,138,139,147,150,151,152、153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,192,193,194,196,198,199,213,214,231,233、特開2012-226110号公報、特開2017-171912号公報、特開2017-171913号公報、特開2017-171914号公報、特開2017-171915号公報等に記載された黄色顔料;
C.I.ピグメントグリーン1,2,4,7,8,10,13,14,15,17,18,19,26,36,37,45,48,50,51,54,55,58,59,62,63等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,19,25,27,28,29,33,35,36,56,56:1,60,61,61:1,62,63,66,67,68,71,72,73,74,75,76,78,79等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1,1:1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,14,15,16,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,44,47,49,50等の紫色顔料が挙げられる。
【0112】
本発明の樹脂組成物は、赤外線透過フィルタに用いる際には、化合物(H)として、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料及び紫色顔料からなる群から選ばれる2種以上の顔料を含み、黒色を呈することが好ましい。
【0113】
化合物(H)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0114】
化合物(H)の含有量は、色材の合計100質量%中、1~70質量%以下が好ましく、5~60質量%がより好ましい。
【0115】
化合物(A)、化合物(H)が顔料の場合、微細化して用いることができる。微細化方法は、特に限定されるものではなく、例えば、湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用できる。これらの中でも、湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。微細化顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5~90nmが好ましい。なお、分散性、安定性の観点から、平均一次粒子径は10~70nmがより好ましい。
【0116】
<バインダ樹脂(C)>
本発明の樹脂組成物は、バインダ樹脂(C)を含む。バインダ樹脂(C)は、被膜形成に必要な化合物である。バインダ樹脂(C)は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和二重結合等を有する活性エネルギー線硬化性樹脂などが挙げられる。また、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱硬化性を有することも好ましい。バインダ樹脂(C)は、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
【0117】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0118】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。
【0119】
バインダ樹脂(C)としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0120】
アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂である。アルカリ可溶性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、透明性がより向上する酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましく、酸性基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
【0121】
アルカリ可溶性樹脂に光反応性を付与するためエチレン性不飽和活性二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を使用することが好ましい。これにより硬化後の被膜は、耐溶剤性がより向上する。
【0122】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(a)~ (c)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0123】
[方法(a)]
方法(a)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
【0124】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、および3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0125】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0126】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いたりして、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、または無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
【0127】
[方法(b)]
方法(a)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
この方法では、方法(a)に比べ、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体由来の水酸基が多く生成する。本発明の造塩化合物を得る際に使用する、側鎖にカチオン性基を有する樹脂に、熱架橋性官能基としてオキセタニル基、t-ブチル基が含まれている場合は、バインダ樹脂(C)として方法(b)によって得られる樹脂を使用すると、より高い耐熱性を発現するため、好ましい。
【0128】
[方法(c)]
方法(c)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0129】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレ

ト、またはシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、および/または(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、またはグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0130】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、または1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0131】
バインダ樹脂(C)の質量平均分子量(Mw)は、成膜性、塗膜耐性の観点から、10,000~100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000~80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000~50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0132】
後述する感光性樹脂組成物として用いる場合、分散性、現像性、および耐熱性の観点から、酸価20~300mgKOH/gのバインダ樹脂(C)を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
【0133】
バインダ樹脂(C)は、成膜性および諸耐性が良好なことから、色材の合計100質量%に対して、30質量%以上の量で用いることが好ましく、色材濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500質量%以下の量で用いることが好ましい。
【0134】
<波長700nm を超え1300nm 以下の範囲に極大吸収波長を有する化合物(F)>
本発明の樹脂組成物は、波長700nmを超え1300nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(F)(以下、単に化合物(F)ともいう)を含有することができる 化合物(F)は、波長700nmを超え1300nm 以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物であれば、特に制限がなく、公知の化合物を使用できる。化合物(F)を併用する場合、化合物(F)/化合物(A)の重量比が5/95~30/70の範囲が好ましい。
【0135】
化合物(F)としては、例えば、インジゴ化合物、アントラキノン化合物、ジピロメテン化合物、ピロロピロール化合物、フタロシアニン化合物(化合物(A)を除く)、ナフタロシアニン化合物(化合物(A)を除く)、ペリレン化合物、シアニン化合物、ジチオール金属錯体化合物、ナフトキノン化合物、イミニウム化合物、アゾ化合物、キノリン化合物、スクアリリウム化合物、無機化合物等などが挙げられる。これらの中でも、化合物(A)との相互作用の観点から、有機化合物が好ましく、芳香環を有する化合物がより好ましく、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物がより好ましい。
【0136】
<分散助剤(G)>
本発明の樹脂組成物は、分散助剤(G)を含有できる。分散助剤(G)は、色素骨格等の色材と親和性がある骨格に、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を導入した化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を導入した化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を導入した化合物が挙げられる。
【0137】
分散助剤(G)は、例えば、ピロロピロール系化合物、アントラキノン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、ペリノン系化合物、ペリレン系化合物、チアジンインジゴ系化合物、トリアジン系化合物、ベンズイミダゾロン系化合物、ベンゾイソインドール等のインドール系化合物、イソインドリン系化合物、イソインドリノン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトール系化合物、キナクリドン系化合物、スレン系化合物、金属錯体系化合物、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系化合物、スクアリリウム系化合物等の構造の一部を、酸性基、塩基性基、中性基、塩構造を有する基等で置換した構造を有する化合物が挙げられる。
【0138】
酸性基は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基及びそれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスフォニウムイオン等が挙げられる。
【0139】
塩基性基は、アミノ基、ピリジル基及びそれらの塩、アンモニウム基の塩が挙げられる。アミノ基は、-NH、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基等が挙げられる。ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、環状アミノ基は、更に置換基を有してもよい。置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、複素環基等が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団は、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオン等が挙げられる。
【0140】
具体的には、ピロロピロール系分散助剤としては、特開2001-220520号公報、国際公開第2009/081930号、国際公開第2011/052617号、国際公開第2012/102399号、特開2017-156397号公報、国際公開2017/146092号、フタロシアニン系分散助剤としては、特開2007-226161号公報、国際公開第2016/163351号、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系分散助剤としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、国際公開第2009/025325号、キナクリドン系分散助剤としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系分散助剤としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系分散助剤としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系分散助剤としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系分散助剤としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系分散助剤としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系分散助剤としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系分散助剤としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、スクアリリウム系分散助剤として
は、国際公開2018/230387号等に記載の化合物が挙げられる。
【0141】
分散助剤(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0142】
分散助剤(G)は、色材100質量部に対し、1~100質量部添加することが好ましく、3~70質量部添加することがより好ましく、5~50質量部添加することがさらに好ましい。
【0143】
前記色材が顔料である場合には、分散助剤を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、ソルベントソルトミリング等の顔料化処理を行う事で、顔料表面に分散助剤が吸着し、分散助剤を添加しない場合と比較して顔料の一次粒子をより微細化することができる。
【0144】
顔料に分散助剤を添加し二本ロール、三本ロール、ビーズを用いた湿式分散などの分散処理を行うことで、分散助剤が顔料表面に吸着し顔料表面が極性を持ち樹脂型分散剤の吸着が促進され、顔料、分散助剤、樹脂型分散剤、溶媒、その他添加剤との相溶性が向上し、樹脂組成物の分散安定性や経時粘度安定性が向上する。また、相溶性が向上することで樹脂組成物をガラス基板等に塗工した際の塗膜経時安定性に優れ、樹脂組成物の塗布から露光までの待ち時間(PCD:Post Coating Delay)や露光から熱処理までの待ち時間(PED:Post Exposure Delay)に対するパターン形状などの安定性・特性依存性や、線幅感度安定性が良好となる。また顔料表面が分散助剤および樹脂型分散剤で吸着・被覆されることで、塗膜を加熱焼成した際の顔料の凝集や昇華による結晶析出を抑制できる。さらに現像時間ばらつきや現像残渣も抑制される。
【0145】
<樹脂型分散剤>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて樹脂型分散剤を含むことができる。樹脂型分散剤としては、色材に吸着する性質を有する色材親和性部位と、色材担体と相溶性のある部位とを有し、色材に吸着して色材担体への分散を安定化する働きをするものであれば良く、具体的には、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0146】
酸性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、芳香族カルボン酸構造を有する樹脂型分散剤が挙げられ、それらはWO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等の公知の方法で製造することができる。
【0147】
塩基性官能基を有する樹脂型分散剤の好ましい例としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが挙げ
られる。
【0148】
また、特開2009-185277号公報に開示されている様に、芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(樹脂型分散剤の機能を有する)とを併用することも好ましい例として挙げられる。
【0149】
本発明の樹脂組成物においては、塩基性樹脂型分散剤が好ましい。塩基性樹脂型分散剤としては、アミノ基を有し、前記アミノ基が、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリ―ル、およびハロゲン化アラルキルからなる群から選ばれる少なくとも1種と塩形成していることが好ましく、前記アミノ基中、5~90mol%のアミノ基が塩形成していることがより好ましく、10~50mol%のアミノ基が塩形成していることがさらに好ましい。この範囲であると、塩基性樹脂型分散剤が化合物(A)に効率的に吸着するため分散性が良化する。
【0150】
塩基性樹脂型分散剤のアミン価は、3~80mgKOH/gであることが好ましく、5~70mgKOH/gがより好ましい。
【0151】
樹脂型分散剤は、色材の合計100質量%に対し、好ましくは0.1~200質量%、さらに好ましくは0.1~150質量%である。適量使用すると良好な分散性が得られる。
【0152】
<光重合性単量体>
本発明の樹脂組成物は、光重合性単量体、及び光重合開始剤を含むことによって感光性樹脂組成物とすることができる。光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0153】
光重合性単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0154】
(酸基を有する光重合性単量体)
光重合性単量体は、酸基を有する光重合性単量体を含有できる。酸基は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
【0155】
酸基を有する光重合性単量体は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。具体例は、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
【0156】
(ウレタン結合を有する光重合性単量体)
光重合性単量体は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を有する光重合性単量体を含有できる。前記光重合性単量体は、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0157】
水酸基を有する(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0158】
また、多官能イソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0159】
光重合性単量体は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0160】
光重合性単量体の配合量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~50質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましい。適量配合すると硬化性及び現像性がより向上する。
【0161】
<光重合開始剤>
光重合開始剤は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル
)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物が好ましい。
【0162】
光重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0163】
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。樹脂組成物の色材濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
【0164】
オキシムエステル系化合物は、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる。
【0165】
光重合開始剤の含有量は、色材の合計100質量%に対し、2~200質量%が好ましく、2~150質量%がより好ましい。適量配合すると光硬化性及び現像性がより向上する。
【0166】
<オキセタン化合物>
本発明の樹脂組成物は、オキセタン化合物を含有できる。オキセタン化合物は、オキセタン基を1官能、2官能、および3官能以上の化合物が挙げられる。
【0167】
オキセタン基が1官能の化合物は、例えば、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、 (3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル
-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
【0168】
オキセタン基が2官能の化合物は、例えば、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル-3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0169】
オキセタン基が3官能以上の化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0170】
オキセタン化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0171】
オキセタン化合物の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.5~50質
量%が好ましく、1~40質量%がより好ましい。適量含有すると耐熱性がより向上する。
【0172】
<増感剤>
さらに、本発明の樹脂組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0173】
上記増感剤の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が用いられる。
【0174】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0175】
増感剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0176】
増感剤の含有量は、光重合開始剤100質量%に対し、3~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましい。適量含有すると硬化性、現像性がより向上する。
【0177】
<チオール系連鎖移動剤>
本発明の樹脂組成物は連鎖移動剤として、チオール系連鎖移動剤を含むことが好ましい。チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる樹脂組成物は高感度となる。
【0178】
また、チオール基が2個以上あるメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。より好ましくは、チオール基が4個以上ある多官能脂肪族チオールである。官能基数が増えることで、重合開始機能が向上し、パターンにおける表面から基材付近まで硬化させることができる。
【0179】
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0180】
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0181】
チオール系連鎖移動剤の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.1~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。適量含有すると光感度、テーパー形状が向上し、被膜表面にシワが発生し難くなる。
【0182】
<重合禁止剤>
本発明の樹脂組成物は、重合禁止剤を含有できる。これによりフォトリソグラフィー法の露光時にマスクの回折光による感光を抑制できるため、所望の形状のパターンが得やすくなる。
【0183】
重合禁止剤としては、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。
【0184】
重合禁止剤の含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量%が好ましい。この範囲において、重合禁止剤の効果が大きくなり、テーパーの直線性や
塗膜のシワ、パターン解像性等が良好になる。
【0185】
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含んでも良い。本発明における紫外線吸収剤とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、及びサリシレート系化合物などが挙げられる。
【0186】
紫外線吸収剤の含有量は、光重合開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。適量含有すると現像後の解像性がより向上する。
【0187】
また、光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量は、樹脂組成物の不揮発分100質量%中、1~20質量%が好ましい。適量含有すると基板と被膜の密着性がより向上し、良好な解像性が得られる。
【0188】
ベンゾトリアゾール系化合物は、例えば、2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。
【0189】
トリアジン系化合物としては、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、
2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0190】
ベンゾフェノン系化合物としては、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0191】
サリチル酸エステル系化合物としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サリチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0192】
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、樹脂組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を向上できる。特に樹脂組成物の色材濃度が高い場合、塗膜架橋成分量が少なくなるため高感度の架橋成分の使用や、光重合開始剤の増量といった対応を取るため熱工程の黄変が強くなる現象が見られる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0193】
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。なお、本発明で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0194】
これらの中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
【0195】
酸化防止剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0196】
また酸化防止剤の含有量は、樹脂組成物の固形分100質量%中、0.5~5.0質量%の場合、透過率、分光特性、及び感度が良好であるためより好ましい。
【0197】
<アミン系化合物>
本発明の樹脂組成物は、溶存している酸素を還元するためアミン系化合物を含有することができる。
アミン系化合物は、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、及びN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
【0198】
<レベリング剤>
本発明の樹脂組成物には、透明基板上での組成物の塗布性、被膜の乾燥性を良好することを目的として、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0199】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0200】
さらに具体的には、ビックケミー社製BYK-300、306、310、313、315N、320、322、323、330、331、333、342、345/346、347、348、349、370、377、378、3455、UV3510、3570、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ-7002、2110、2122、2123、2191、5609、信越化学工業株式会社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0201】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレべリング剤が挙げられる。
【0202】
さらに具体的には、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC株式会社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム株式会社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成株式会社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、株式会社ネオス製フタージェント602A等が挙げられる。
【0203】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキイエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0204】
さらに具体的には、花王株式会社製エマルゲン103、104P、106、108、1
09P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、350、404、408、409PV、420、430、705、707、709、1108、1118S-70、1135S-70、1150S-60、2020G-HA、2025G、LS-106、LS-110、LS-114、MS-110、A-60、A-90、B-66、PP-290、ラテムルPD-420、PD-430、PD-430S、PD450、レオドールSP-L10、SP-P10、SP-S10V、SP-S20、SP-S30V、SP-O10V、SP-O30V、スーパーSP-L10、AS-10V、AO-10V、AO-15V、TW-L120、TW-L106、TW-P120、TW-S120V、TW-S320V、TW-O120V、TW-O106V、TW-IS399C、スーパーTW-L120、430V、440V、460V、MS-50、MS-60、MO-60、MS-165V、エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH-25、CH-40、CH-60(K)、アミート102、105、105A、302、320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、株式会社ADEKA社製アデカプルロニック(登録商標)L-23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、TR-701、702、704、913R、共栄社化学株式会社製(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
【0205】
カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0206】
さらに具体的には、花王株式会社製アセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0207】
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0208】
さらに具体的には、株式会社ネオス製フタージェント100、150、株式会社ADEKA社製アデカホープYES-25、アデカコールTS-230E、PS-440E、EC-8600等が挙げられる。
【0209】
両性界面活性剤としてはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0210】
さらに具体的には、花王株式会社製アンヒトール20AB、20BS、24B、55AB、86B、20Y-B、20N等が挙げられる。
【0211】
本発明の樹脂組成物に界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の添加量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。この範囲内であることで、樹脂組成物の塗布性とパターン密着性、透過率のバランスが良好となる。
本発明の樹脂組成物は、界面活性剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0212】
<貯蔵安定剤>
本発明の樹脂組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、色材の全量を基準(100質量%)として、0.1~10質量%の量で用いることができる。
【0213】
<密着向上剤>
本発明の樹脂組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることができる。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
【0214】
密着向上剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、樹脂組成物中の色材100質量%に対し、0.01~10質量%、好ましくは0.05~5質量%の量で用いることができる。この範囲内で効果が大きくなり、密着性、解像性、感度のバランスが良好であるためより好ましい。
【0215】
<有機溶剤>
本発明の樹脂組成物には、ガラス等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布して膜を形成することを容易にするために有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤は、樹脂組成物の塗布性が良好であることに加え、樹脂組成物の各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0216】
有機溶剤としては、当該分野で通常使用される溶剤を用いることが出来、沸点、SP値、蒸発速度、粘度などの性能を勘案し、塗布条件(速度、乾燥条件など)に合わせて適宜、単独または混合して使用される。
【0217】
使用される有機溶剤としては、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0218】
上記の有機溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤を含むことが好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。
【0219】
<その他成分>
本発明の樹脂組成物は、上記以外のその他成分を含有できる。その他成分は、例えば、染料、無機顔料、熱架橋剤、硬化剤、硬化促進剤、酸発生剤、硬化触媒、及び連鎖移動剤等が挙げられる。その他成分の含有量は、本発明の課題を解決できる範囲において、適宜設定することができる。
【0220】
<水の含有量>
本発明の樹脂組成物は、安定性の観点から、樹脂組成物に含まれる水の含有量が2.0質量%以下であることが好ましい。
【0221】
樹脂組成物に含まれる水の含有量は、1.5質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。また、水の含有量の下限は、少ないほど好ましく、特に制限はない。
【0222】
水の含有量を制御する方法は、特に制限がなく、公知の方法を使用できる。例えば、上述した各成分について十分に乾燥等を行い、成分に含まれる水分量を減らしたもの使用する。また、乾燥した空気や不活性ガス、それらの混合ガスを吹き込みながら、樹脂組成物を製造する方法や、製造後、モレキュラーシーブを投入し脱水する方法等が挙げられる。
【0223】
水の含有量は、カールフィッシャー法などの公知の方法により測定することができる。
【0224】
<特定金属原子>
本発明の樹脂組成物は、化合物(A)、化合物(F)および化合物(H)の構成成分以外に少量のLi、Na、Mg、K、Cs、Co、Ca、Fe、SiおよびZr(以下、特定金属原子ともいう)を含む金属成分が存在する場合がある。これら特定金属原子を含む金属成分が多く存在すると、保存安定性が阻害される場合、耐熱性が低下する場合、感光性樹脂組成物の形態で調製した際の感度低下を引き起こす場合がある。
また、このような特定金属原子を含む金属成分が多く存在する樹脂組成物を用いて作成した光学フィルタは、異物が発生する場合があり、結果として透過率低下を引き起こしやすい。本発明の樹脂組成物に含まれる該金属成分中の特定金属原子の合計含有量は、樹脂組成物全体に対し、1~1000質量ppmであることが好ましい。
【0225】
本発明の樹脂組成物に含まれる特定金属原子の合計量は、樹脂組成物全体に対し、30
0質量ppm以下がより好ましく、200質量ppm以下が特に好ましい。また、特定金属原子の合計量の下限は、特に限定されないが、樹脂組成物全体に対し、1質量ppm以上が好ましく、5質量ppm以上がより好ましい。上記範囲内であれば、コストも抑制でき、保存安定性に優れ、かつ異物の発生、透過率低下が少ない光学フィルタを形成できる樹脂組成物を得ることができる。
【0226】
本発明の樹脂組成物に含まれる各特定金属原子の含有量は、樹脂組成物全体に対し、各々100質量ppm以下であることが好ましく、各々50質量ppm以下であることがより好ましい。
【0227】
樹脂組成物に含まれる各種原料あるいは製造過程において装置から混入した金属原子を除去する方法としては、特開2010-83997号公報、特開2018-36521号公報、特開平7-198928号公報、特開平8-333521号公報、特開2009-7432号公報等による水洗による方法、特開2011-48736号公報に記載のマグネットによる磁性異物の除去等の方法が挙げられ、単独または複数の方法を適宜使用する。
【0228】
特定金属原子の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって、測定できる。
【0229】
<トルエン量>
本発明の樹脂組成物は、トルエンを含んでいても良く、含む場合はトルエンの含有量が0.1~10質量ppmであることが好ましい。トルエンの含有量の上限は、9質量ppm以下であることが好ましく、8質量ppm以下であることがより好ましく、7質量ppm以下であることが更に好ましい。下限は、0.2質量ppm以上であることが好ましく、0.3質量ppm以上であることがより好ましく、0.4質量ppm以上であることが更に好ましい。
【0230】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、上述の各成分を混合して調製できる。調製に際しては、各成分を一括配合してもよいし、各成分を有機溶剤に溶解や分散した後に逐次配合してもよい。例えば、化合物(A)、化合物(B)、バインダ樹脂(C)、及び有機溶剤等を加え、分散処理を行う。その後、必要に応じて、光重合性単量体、光重合開始剤等を配合・混合することで製造できる。なお、各成分を配合するタイミングは、任意である。また、分散処理を複数回行うこともできる。
【0231】
分散処理を行う分散機は、例えば、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等が挙げられる。
【0232】
樹脂組成物中の粒子の平均分散粒子径(二次粒子径)は、30~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散安定性が高い樹脂組成物が得やすい。
【0233】
平均分散粒子径(二次粒子径)の測定方法は、例えば、動的光散乱法(FFTパワ-スペクトール法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用い、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50粒子径を平均径とする。測定用の希釈溶剤は分散に使用した有機溶剤をそれぞれ用い、超音波で処理したサンプルについてサンプル調製直後に測定するとバラツキが少ない結果が得られやすく好ましい。
【0234】
樹脂組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子、および混入した塵の除去を行うことが好ましい。本発明の樹脂組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましく、0.3μm以下の粒子を含まないことがより好ましい。
【0235】
<膜>
本発明の膜は、上述した樹脂組成物を用いて形成されたものである。膜は、基材上に積層した状態で用いてもよく、膜を基材から剥離してもよい。また、膜は、平坦膜であってもパターンを形成した膜のいずれでもよいが、パターンを形成した膜が好ましい。
【0236】
<膜の製造方法>
膜の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を使用できる。例えば、本発明の樹脂組成物を基材上に塗工する工程を経て製造できる。
【0237】
基材は、例えば、ガラス、樹脂、シリコン等の材質で構成された基板が挙げられる。これらの基材上には有機発光層が形成されてもよい。また、基材には、CCD、CMOS等の撮像素子が形成されていてもよい。また、基材上には、必要に応じて、上部との層との密着改良、物質の拡散防止、基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0238】
基材としてガラスを使用する場合、ガラスとして、白板ガラス、又はブルーガラスを用いることが好ましい。白板ガラスは、高透明度のケイ酸塩ガラスが用いられることが多く、耐熱性、耐候性の観点からホウケイ酸ガラスなどがより好ましい。ブルーガラスは、可視光では高い透過率を持ちながら、近赤外領域の波長領域に広い吸収特性を持つガラスであり、CuO含有フツリン酸塩ガラスまたはCuO含有リン酸塩ガラスなどを用いる。なお、リン酸塩ガラスとしては成分としてSiO2が入ったものも含むものとする。
【0239】
塗工方法は、公知の方法を使用できる。例えば、滴下法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、インクジェット法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
【0240】
膜の厚さは、目的に応じて適宜調節できる。膜の厚さは、0.05~20.0μmが好ましく、0.3~10.0μmがより好ましい。
【0241】
次に、パターンを形成する。パターンを形成する方法は、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法が挙げられる。なお、平坦膜として使用する場合は、パターンを形成する工程を行わなくてよく、塗工後、必要に応じて乾燥する。
【0242】
以下、パターンを形成する方法について詳細に説明する。
【0243】
(フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合)
フォトリソグラフィー法でパターンを形成する場合、基板上に本発明の樹脂組成物を塗工して形成した層を、必要に応じて乾燥(プレベーク)した後、マスクを介してパターン状に露光し(露光工程)、未露光部分をアルカリ現像により除去(現像工程)後、必要に応じてパターンを加熱処理(ポストベーク工程)する。
【0244】
〔露光工程〕
露光工程は、塗工で形成した層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、マスクを介して特定のパターンを露光する。これにより、露光部分を硬化することができる。露光に用いる活性エネルギー線は、例えば、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、i線(波長365nm)等の紫外線が挙げられる。また、波長300nm以下の光を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF(波長193nm)などが挙げられる。
また、露光に際しては、光を連続的に照射して露光してもよく、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光(パルス露光)してもよい。
【0245】
〔現像工程〕
次に、アルカリ現像処理を行うことで、未露光部分の層がアルカリ水溶液に溶出し、硬化部分のみが残りパターン状の膜が得られる。
アルカリ現像液は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-〔5.4.0〕-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物が挙げられる。
アルカリ現像液の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。アルカリ現像液のpHは、11~13が好ましく、11.5~12.5がより好ましい。適度なpHで使用するとパターンの荒れや剥離を抑制し、現像後の残膜率が向上する。
現像方法は、例えば、ディップ法、スプレー法、パドル法等が挙げられる。現像温度は15~40℃が好ましい。なお、アルカリ現像後は、純水で洗浄することが好ましい。
【0246】
〔ポストベーク工程〕
現像後、必要に応じて加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。ポストベークにより、膜の耐性が向上する。
温度は、80~300℃が好ましい。また、時間は、2分間~1時間程度が好ましい。基材に耐熱性の低い素材を用いた場合や、光源として有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた場合などは、温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。
【0247】
(ドライエッチング法でパターンを形成する場合)
ドライエッチング法でパターンを形成する場合、例えば、基板上に本発明の樹脂組成物を塗工して形成した層を加熱し硬化させる。次いで、硬化膜上にパターニングされたフォトレジスト層を形成後、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとして硬化膜に対しエッチングガスを用いてドライエッチングを行う。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の記載された方法を参酌できる。
【0248】
<光学フィルタ>
本発明の膜は、光学フィルタに使用できる。光学フィルタは、例えば、赤外線カットフィルタ、赤外線透過フィルタ等が好ましい。本発明の光学フィルタの製造は、上述の膜と同様の方法で製造できる。
【0249】
<赤外線カメラ、赤外線センサ>
本発明の赤外線カメラおよび赤外線センサは、本発明の光学フィルタを有する。赤外線カメラの種類としては、近赤外線カメラ、監視カメラ、車載用カメラ、医療用カメラ、検査・分析カメラ、などが挙げられ、赤外線センサの種類としては、温度センサ、距離センサ、医療用センサ、ディスプレイなどのタッチセンサ、生体認証センサなどが挙げられる。赤外線カメラおよび赤外線センサの構成としては、本発明の光学フィルタを有する構成であり、赤外線カメラ、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。
【0250】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明の光学フィルタを有する。固体撮像素子に用いる光学フィルタの形態は、特に制限されないが、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、フィルタを有する構成である。さらに、デバイス保護膜上であ
ってフィルタの下(基材に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素を形成する硬化膜が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は、各着色画素に対して低屈折率であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、例えば、デジタルカメラ、撮像機能を有する電子機器(スマートフォン、タブレット端末等)、車載カメラ、監視カメラ、光センサ等様々な用途に使用できる。
【0251】
<積層体>
本発明の積層体は、波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)を含む層と、化合物(A)、化合物(B)0.0001~1質量%、及びバインダ樹脂(C)を含む樹脂組成物を含む層を有する積層体であり、赤外線透過フィルタとして用いることができる。
【0252】
積層体の厚みは1~5μmが好ましく、1つの層の厚みは0.5~4μmが好ましい。
積層体における各層の積層順序は特に限定はない。
【0253】
積層体における各層の積層順序は特に限定はない。支持体側から、第1の層、第2の層の順に配置してもよく、第2の層、第1の層の順に配置してもよい。第3の層をさらに有してもよい。
【実施例0254】
以下、実施例で本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。また、本発明で不揮発分もしくは不揮発分濃度は、230℃で30分間オーブン静置後の質量残分をいう。また、「PGMAc」は「プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート」である。
【0255】
実施例に先立ち、各測定方法について説明する。
【0256】
(化合物(A)の同定方法)
本発明実施例に用いた化合物(A)の同定には、MALDI TOF-MSスペクトル(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)を用いた。MALDI TOF-MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって
得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。また、組成は、得られたマススペクトラムにおいて、全分子イオンピーク強度の総和に対する各分子イオンピーク強度(相対強度)を算出し、それらの相対強度比をモル比とみなした。
化合物(A)は、一般式(1)においてXとX、XとX、XとX6、X
のうち1組が互いに結合して芳香環を形成した化合物をn1体、2組が互いに結合して芳香環を形成した化合物をn2体、3組が互いに結合して芳香環を形成した化合物をn3体、4組とも互いに結合して芳香環を形成した化合物をn4体とする。また4組とも芳香環を形成していない化合物はn0体とした。
【0257】
(酸性樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の質量平均分子量(Mw))
酸性樹脂型分散剤およびバインダ樹脂の質量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)である。
【0258】
(塩基性樹脂型分散剤の質量平均分子量(Mw))
塩基性樹脂型分散剤の質量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒に3mMトリエチルアミン及び10mMLiBrのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を用いて測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)である。
【0259】
(樹脂型分散剤のアミン価)
樹脂型分散剤のアミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。樹脂型分散剤のアミン価は、不揮発分のアミン価を示す。
【0260】
(樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価)
樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。下記樹脂型分散剤の4級アンモニウム塩価は、不揮発分の4級アンモニウム塩価を示す。
【0261】
(化合物(B)の定量方法)
樹脂組成物中の化合物(B)の量は質量分析用ガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC MS-QP2020NX)とヘッドスペース分析(島津製作所製、HS20NX)の併用により定量した。具体的には、組成物を0.5μm のポリテトラフルオロエチレン( PT F E ) フィルタで濾過し、通過液をガスクロマトグラフ検体とし、カラムと
してSH-5Sil MSを用いて定量した。
【0262】
<樹脂(K-1)の製造方法>
(樹脂(K-1)の合成)
攪拌装置、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、PGMAc100部、メチル4-シアノ-4-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)ペンタノエート(以下
、「BM1448」と略記する。)3部を仕込み、窒素雰囲気中で80℃に昇温した後、メチルメタクリレート48部、エチルメタクリレート29部、ターシャリーブチルアクリレート19部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(以下、「V6
5」と略記する。)1部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃に2時間保持した後、さらに、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(以下、「P-1M」と略記する。分子量228)5部及びPGME100部からなる混合物を1時間で滴下した。次いで、90℃に12時間保持した後、PGMEを添加することで、樹脂(K-1)の30質量%溶液を得た。この樹脂(K-1)のTgは37℃であった。
【0263】
<化合物(A)の製造>
(化合物(A-1)の合成)
反応容器中で、2,3―ジシアノナフタレン178部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と塩化アルミニウム無水物40部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5,000部、水10,000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2,000部、水4,000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して化合物(a1-1)を得た。
【0264】
化合物(a1-1)
【化17】
【0265】
次いで、反応容器中で、濃硫酸100部に化合物c10部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して化合物(a1-2)を得た。
【0266】
化合物(a1-2)
【化18】


【0267】
N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の化合物(a1-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液にイオン交換水500部を注入し、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、化合物(A-1)で表される化合物を得た。化合物(B)含有量は2.6質量%であった。
【0268】
化合物(A-1)
【化19】

【0269】
(組成物(A-2)の合成)
反応容器中で、フタロニトリル26部、2,3―ジシアノナフタレン143部、n-アミルアルコール890部、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)137部と三塩化アルミニウム34部を混合攪拌し、昇温後136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5,000部、イオン交換水10,000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2,000部、イオン交換水4,000部からなる混合溶媒で洗浄、乾燥して、下記構造式で表される化合物を含む組成物(a2-1)を得た。
【0270】
組成物(a2-1)
【化20】

【0271】
次いで、反応容器中で、濃硫酸1,500部に140部の組成物(a2-1)を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水1,000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、組成物(a2-2)を得た。
【0272】
組成物(a2-2)
【化21】

【0273】
N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の組成物(a2-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液へイオン交換水200部を滴下していき、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、化合物(A)を含有する組成物(A-2)を得た。組成物(A-2)は、下記化学式で表される混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=7:19:59:15)であり、化合物(B)含有量は4.8質量%であった。
【0274】
組成物(A-2)
【化22】
【0275】
(組成物(A-3)の合成)
組成物(A-2)を200℃で6時間、加熱処理を行い、組成物(A-3)を得た。化合物(B)含有量は0.6質量%であった。
【0276】
(組成物(A-4)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したN-メチルピロリドン200部の代わりに、ジメチルホルムアミド200部を使用した以外は、化合物(A-2)の合成と同様の操作を行い
、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=4:16:63:17)である組成物(A-4)を120部得た。組成物(A-4)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は6.1質量%であった。
【0277】
化合物(A-4)の主成分
【化23】
【0278】
(組成物(A-5)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したN-メチルピロリドン200部の代わりに、ジメチルアセトアミド200部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n2:n3:n4=18:60:22)である組成物(A-5)を120部得た。組成物(A-5)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は6.3質量%であった。
【0279】
組成物(A-5)の主成分
【化24】
【0280】
(組成物(A-6)の合成)
ジメチルスルホキシド200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の組成物(a2-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液へイオン交換水200部を滴下していき、生成した析出物をろ過、水洗した。次いで、メタノール中で、室温下60分攪拌後、ろ過、水洗乾の順で処理を行い、下記化学式で表される混合物(混合比率は、n2:n3:n4=22:55:23)である組成物(A-6)を得た。組成物(A-6)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は9.1質量%であった。
【0281】
組成物(A-6)
【化25】
【0282】
(組成物(A-7)の合成)
反応容器中で、キノリン900部に3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部と、塩化アルミニウム無水物50部を混合攪拌した。昇温し、140℃で5時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、108部の組成物(a7-1)を得た。
【0283】
次いで、反応容器中で、濃硫酸1500部に組成物(a7-1)114部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水15000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、100部の組成物(a7-2)を得た。
【0284】
ジメチルスルホキシド200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の組成物(a7-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液へイオン交換水40
0部を滴下していき、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=8:17:62:13)である組成物(A-7)を得た。組成物(A-7)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は7.2質量%であった。
【0285】
組成物(A-7)の主成分
【化26】

【0286】
(組成物(A-8)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したフタロニトリル26部の代わりに、4-メチルフタロジニトリル29部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=7:20:58:15)である組成物(A-8)を110部得た。組成物(A-8)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は5.3質量%であった。
【0287】
組成物(A-8)の主成分
【化27】

【0288】
(組成物(A-9)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したフタロニトリル26部の代わりに、4-プロピルチオフタロジニトリル40部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=4:22:62:12)である組成物(A-9)を112部得た。組成物(A-9)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は8.2質量%であった。
【0289】
組成物(A-9)の主成分
【化28】

【0290】
(組成物(A-10)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したフタロニトリル26部の代わりに、4-(4-ピリジ
ニル)フタロジニトリル40部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=5:19:59:17)である組成物(A-10)を108部得た。組成物(A-10)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は6.4質量%であった。
【0291】
組成物(A-10)の主成分
【化29】
【0292】
(化合物(A-11)の合成)
反応容器中で、ジメチルスルホキシド700部、1-クロロナフタレン200部に、ボロンsub―2,3―ナフタロシアニンクロリド100部と、1,3-ジイミノイソインドリン30部を混合攪拌した。昇温し、150℃で5時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、110部の化合物(a11-1)を得た。
次いで、キノリン900部に、化合物(a11-1)を110部と、塩化アルミニウム無水物28部を混合攪拌した。昇温し、150℃で4時間加熱攪拌した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、100部の化合物(a11-2)を得た。
【0293】
次いで、反応容器中で、濃硫酸1500部に上記化合物(a11-2)100部を氷浴下にて加え、1時間攪拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水15000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、2.5%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、90部の化合物(a11-3)を得た。
【0294】
N-メチルピロリドン200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の化合物(a11-3)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液へイオン交換水4
00部を滴下していき、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、以下の構造のn3体のみである化合物(A-11)を得た。化合物(B)含有量は7.0質量%であった。
【0295】
化合物(A-11)
【化30】
【0296】
(組成物(A-12)の合成)
濃硫酸1500部に組成物(a2-2)100部を氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン151部を徐々に加え、25℃で6時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、165部の組成物(a2-3)を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた化合物を同定した。得られた組成物(a2-3)について臭素置換数を算出したところ、平均8個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認した。
組成物(a2-3)の主成分は以下の構造のn3体であった。
【0297】
組成物(a2-3)の主成分
【化31】
【0298】
ジメチルアセトアミド200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を
行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の組成物(a2-3)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液へイオン交換水200部を滴下していき、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=8:19:55:18)である組成物(A-12)を108部得た。化合物(A-12)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は5.1質量%であった。
【0299】
組成物(A-12)
【化32】
【0300】
(組成物(A-13)の合成)
組成物(A-4)の合成で使用したフタロニトリル26部の代わりに、3-クロロフタロジニトリル29部を使用した以外は、組成物(A-4)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=8:24:59:9)である組成物(A-8)を110部得た。組成物(A-13)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は5.8質量%であった。
【0301】
組成物(A-13)の主成分
【化33】
【0302】
(組成物(A-14)の合成)
組成物(A-7)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、4,9-ジクロロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン117部を使用した以外は、化合物(A-7)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=9:17:57:17)である組成物(A-14)を119部得た。組成物(A-14)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は6.0質量%であった。
【0303】
組成物(A-14)の主成分
【化34】

【0304】
(組成物(A-15)の合成)
組成物(A-7)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、5,8-ジエトキシ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン115部を使用した以外は、化合物(A-7)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=6:21:63:10)である組成物(A-15)を103部得た。組成物(A-15)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は5.3質量%であった。
【0305】
組成物(A-15)の主成分
【化35】
【0306】
(組成物(A-16)の合成)
組成物(A-7)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、1,3-ジイミノ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[f]イソインドール-5-スルホン酸122部を使用した以外は、組成物(A-7)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=5:18:66:11)である組成物(A-16)を120部得た。組成物(A-16)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は7.3質量%であった。
【0307】
組成物(A-16)の主成分
【化36】
【0308】
(組成物(A-17)の合成)
組成物(A-7)の合成で使用した3-テトラフルオロプロピルオキシ-1,3-ジイミノイソインドリン30部、1,3―ジイミノベンゾ[f]イソインドリン86部の代わりに、それぞれ、1,3-ジイミノイソインドリン16部、6,7-ジメチル-1H-ベンゾ[f]イソインドール-1,3(2H)-ジイミン99部を使用した以外は、組成物(A-7)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=8:18:62:12)である組成物(A-17)を102部得た。組成物(A-17)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は5.2質量%であった。
【0309】
組成物(A-17)の主成分
【化37】

【0310】
(組成物(A-18)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したジフェニルリン酸5部の代わりに、ビス(4-ブロモフェニル)リン酸8部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、
混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=7:17:61:15)である化合物(A-18)を118部得た。組成物(A-18)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は4.7質量%であった。
【0311】
組成物(A-18)の主成分
【化38】
【0312】
(組成物(A-19)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したジフェニルリン酸5部の代わりに、ジフェニルホスフィン酸5部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n1:n2:n3:n4=7:20:58:15)である組成物(A-19)を116部得た。組成物(A-19)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は5.0質量%であった。
【0313】
組成物(A-19)の主成分
【化39】
【0314】
(組成物(A-20)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したジフェニルリン酸5部の代わりに、ジプロピルホスフィン酸4部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n2:n3:n4=18:61:21)である組成物(A-20)を117部得た。組成物(A-20)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は4.7質量%であった。
【0315】
組成物(A-20)の主成分
【化40】
【0316】
(組成物(A-21)の合成)
組成物(A-2)の合成で使用したジフェニルリン酸5部の代わりに、ドデシルリン酸4部を使用した以外は、組成物(A-2)の合成と同様の操作を行い、混合物(混合比率は、n2:n3:n4=23:54:23)である組成物(A-21)を117部得た。組成物(A-21)の主成分は以下の構造のn3体であり、化合物(B)含有量は4.8質量%であった。
【0317】
組成物(A-21)の主成分
【化41】
【0318】
(組成物(A-22)の合成)
下記の手順で組成物(a2-2)と樹脂(K-1)とからなる組成物(A-22)を製造した。N - メチルピロリドン200部に65部の樹脂(K-1)を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の組成物(a2-2)を少しずつ添加した後、90℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液へイオン交換水400部を滴下していき、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、24部の組成物(A-22)を得た。化合物(B)含有量は3.3質量%であった。
この時、組成物(a2-2)と、樹脂(K-1)に含まれるP-1Mのモル比率は、組成物(a2-2)/樹脂(K-1)に含まれるP-1M =0.9/1であった。
【0319】
(組成物(A-23)の合成)
1-プロパノール200部に5部のジフェニルリン酸を添加し、十分に攪拌混合を行った後、50℃に加熱した。この溶液に、10部の組成物(a2-2)を少しずつ添加した後、70℃で120分攪拌した。反応の終点確認は、例えば、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点とした。続けて、この反応溶液へイオン交換水200部を滴下していき、生成した析出物をろ過、水洗の順で処理を行った。次いで、イオン交換水2000部中、90℃で120分攪拌し、ろ過、水洗の順で処理を行い、乾燥して、比較組成物(A-23)で表される化合物を得た。化合物(B)含有量は0質量%であった。
【0320】
<バインダ樹脂溶液の製造方法>
(バインダ樹脂溶液の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、ジシクロペンタニルメタクリレート18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-
アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダ樹脂溶液を調製した。質量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0321】
<樹脂型分散剤の製造方法>
(樹脂型分散剤1溶液)
[モノマー(b-1)の合成]
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、メタクリル酸2-イソシアナトエチル60部、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン29部、THF120部を仕込み、室温で5時間撹拌した。FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)で反応が完結していることを確認したのち、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、淡黄色透明の液体として、下記のモノマー(b-1)を73部得た(収率82%)。得られた化合物の同定は、H-NMRで実施した。
【0322】
モノマー(b-1)
【化42】
【0323】
[モノマー(b-2)の合成]
攪拌機、温度計を備えた反応容器に、モノマー(b-1)の合成で得られた、モノマー(b-1)6.6部、イオン交換水5部を仕込み、室温で撹拌したのち、35%塩酸水溶液8部を滴下した。アミン価測定で反応が完結していることを確認し、淡黄色透明液体として、モノマー(b-2)水溶液を20部得た。得られた化合物の同定は、H-NMR(核磁気共鳴法)で実施した。
【0324】
モノマー(b-2)
【化43】
【0325】
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート17.7部、n-ブチルメタクリレート53.2部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、PGMAc100部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc20部、第二ブロックモノマーとしてモノマー(b-1)21.2部、モノマー(b-2)水溶液27部(不揮発分38%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを
添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が50mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が20mgKOH/g、質量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40質量%である、塩基性の樹脂型分散剤1溶液を得た。
【0326】
(樹脂型分散剤2溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nー-ブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート20部(以下、DMという)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が71.4mgKOH/g、質量平均分子量9900(Mw)、不揮発分が40質量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であり、3級アミノ基を有する、塩基性の樹脂型分散剤2溶液を得た。
【0327】
(樹脂型分散剤3溶液)
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート31部、nーブチルメタクリレート62部、テトラメチルエチレンジアミン6.5部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてDM7.0部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして不揮発分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。
さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド3.3部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40質量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、不揮発分当たりのアミン価が10.1mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が14.2mgKOH/g、質量平均分子量20000、不揮発分が40質量%のポリ(メタ)アクリレート骨格である、塩基性の樹脂型分散剤3溶液を得た。
【0328】
(樹脂型分散剤4溶液)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート50部、n-ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、12時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8-ジアザビシ
クロ-[5.4.0]-7-ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮発分40%に調製した。このようにして、酸価43、質量平均分子量9000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシル基を有する、酸性の樹脂型分散剤4溶液を得た。
【0329】
<樹脂組成物の製造>
[実施例1]
(樹脂組成物(D-1))
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した。
化合物(A-1) :16.2部
樹脂型分散剤1溶液 :21.8部
PGMAc :62.0部
得られた組成物:61.5部、バインダ樹脂溶液:23.1部、PGMAc:15.4部を均一に撹拌混合し、0.5μmのフィルタで濾過し、樹脂組成物(D-1)を作製した。
樹脂組成物(D-1)中の化合物(B)の含有量は、0.273質量%であった。
【0330】
[実施例2~34、比較例1]
(樹脂組成物(D-2)~(D-34)、(D-37))
以下、化合物(A)、その他化合物、樹脂型分散剤溶液、バインダ樹脂溶液、溶剤を表1に示す組成、量に変更した以外は樹脂組成物(D-1)と同様にして、分散後バインダ樹脂溶液及びPGMAcで希釈し、樹脂組成物(D-2)~(D-34)および、(D-37)を調製した。
樹脂組成物中の化合物(B)の化合物名、含有量は、表1に示すとおりであった。
【0331】
(分散助剤(G))
【0332】
(G-1)
【化44】
【0333】
(G-2)
【化45】

【0334】
【化46】
【0335】
[実施例35]
(樹脂組成物(D-35))
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した。
化合物(A-23) :16.2部
樹脂型分散剤1溶液 :21.8部
PGMAc :61.0部
N-メチルピロリドン :0.82部
得られた組成物:61.5部、バインダ樹脂溶液:23.1部、PGMAc:15.4部を均一に攪拌混合し、0.5μmのフィルタで濾過し、樹脂組成物(D-35)を作製した。樹脂組成物(D-35)中の化合物(B)の含有量は、0.502質量%であった。
【0336】
[実施例36]
(樹脂組成物(D-36))
表1に示す組成、量に変更した以外は樹脂組成物(D-1)と同様にして分散した。得られた組成物:61.5部、バインダ樹脂溶液:23.1部、N-メチルピロリドン:0.001部、PGMAc:15.4部を均一に撹拌混合し、0.5μmのフィルタで濾過し、樹脂組成物(D-36)を作製した。樹脂組成物(D-36)中の化合物(B)の含有量は、0.0012質量%であった。
【0337】
[比較例2]
(樹脂組成物(D-38))
表1に示す組成、量に変更した以外は樹脂組成物(D-1)と同様にして分散した。得られた組成物:61.5部、バインダ樹脂溶液:23.1部、N-メチルピロリドン:2.0部、PGMAc:13.4部を均一に撹拌混合し、0.5μmのフィルタで濾過し、樹脂組成物(D-38)を作製した。樹脂組成物(D-38)中の化合物(B)の含有量は、2.070質量%であった。
【0338】
【表1】
【0339】
表1中、化合物(B)の名称について以下のように表記した。
N-メチルピロリドン=NMP
ジメチルアセトアミド=DMAC
ジメチルホルムアミド=DMF
ジメチルスルホキシド=DMSO
【0340】
表1中、その他化合物の名称について以下のように表記した。
PG58=C.I.ピグメントグリーン58
PG62=C.I.ピグメントグリーン62
【0341】
<樹脂組成物の評価>
得られた樹脂組成物(D-1~38)(実施例1~36、比較例1及び2)について、下記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0342】
[保存安定性]
得られた樹脂組成物の粘度を測定し、初期粘度とした。さらに、40℃1か月の促進試
験を行い、経時促進粘度を測定した。
促進による変化率として、促進経時粘度/初期粘度を算出し、下記基準で評価した。
◎ :1.05未満
○ :1.05以上、1.10未満
△ :1.10以上、1.3未満
× :1.3以上
【0343】
[凝集異物の評価1]
得られた樹脂組成物を、50mm×50mm、1.1mm厚のコーニング社製無アルカリガラスイーグルXG上にスピンコーターを用いて塗布、オーブンにて230℃で20分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が1.0μmとなるように塗布基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。その後、得られた基板を250℃で1時間加熱して表面観察を行った。評価にはオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いた。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎ :異物の数が10個未満
○ :異物の数が10個以上、20個未満
△ :異物の数が20個以上、60個未満
× :異物の数が60個以上
【0344】
[凝集異物の評価2]
得られた樹脂組成物を、50mm×50mm、1.0mm厚のHOYA製ブルーガラスC-5000上にスピンコーターを用いて塗布、オーブンにて230℃で20分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が1.0μmとなるように塗布基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。その後、得られた基板を250℃で1時間加熱して表面観察を行った。評価にはオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いた。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎ :異物の数が10個未満
○ :異物の数が10個以上、20個未満
△ :異物の数が20個以上、60個未満
× :異物の数が60個以上
【0345】
[耐熱性評価1]
凝集異物評価1と同じ手順で試験用基板を作製し、250℃での加熱前後の各波長領域における透過率を、分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。700~900nmの範囲にある膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率が95%以上
○ :残存率が90%以上、95%未満
× :残存率が90%未満
【0346】
[耐熱性評価2]
凝集異物評価2と同じ手順で試験用基板を作製し、250℃での加熱前後の各波長領域における透過率を、分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。700~900nmの範囲にある膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率が95%以上
○ :残存率が90%以上、95%未満
× :残存率が90%未満
【0347】
【表2】
【0348】
表2の結果より化合物(A)と、化合物(B)0.0001~1質量%を含む実施例1~36は、保存安定性が良好で、かつ凝集異物が少なく、耐熱性に優れている。ブルーガラスを用いて評価を行った凝集異物の評価2および耐熱性評価2は、凝集異物の評価1および耐熱性評価1の結果と同様であった。
【0349】
<感光性樹脂組成物の製造>
[実施例101]
(感光性樹脂組成物(R-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1 .0μmのフィルタで濾過して
、感光性樹脂組成物(R-1) を得た。
感光性樹脂組成物中の化合物(B)の含有量は、0.142質量%であった。

樹脂組成物(D-1) :50.0部
バインダ樹脂溶液 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 1.0部
光重合性単量体( 東亞合成社製「アロニックスM 3 5 0 」) : 1.0部
光重合開始剤(BASFジャパン社製「OXE-02」) : 1.5部
増感剤( 日本化薬社製「K A Y A C U R E D E T X -S 」) :0 .0
5 部
チオール化合物( ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート):0 .20

レべリング剤( ビックケミー社製「BYK-330 」) :0 .05 部
酸化防止剤(BASF社製「IRGANOX1010 」 :0 .10 部
PGMAc :38.6部
【0350】
[実施例102~136および比較例101、102]
(感光性樹脂組成物(R-2)~(R-36)、(R-39)~(R-40))
以下、樹脂組成物を表3に示す樹脂組成物の種類に変更した以外は感光性樹脂組成物(R-1)と同様にして感光性樹脂組成物(R-2)~(R-36)、(R-39)~(R-40)を得た。
感光性樹脂組成物中の化合物(B)の含有量は、表3に示すとおりであった。
【0351】
[実施例137]
(感光性樹脂組成物(R-37))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1 .0μmのフィルタで濾過して
、感光性樹脂組成物(R-37) を得た。
感光性樹脂組成物中の化合物(B)の含有量は、0.249質量%であった。

樹脂組成物(D-1) :50.0部
バインダ樹脂溶液 : 7.5部
エポキシ化合物( 日産化学工業製「TEPIC-S」) 0 .16部
光重合性単量体( 日本化薬社製「K AYARADDPCA-30 」) 1 .85部
光重合性単量体( 共栄社化学社製「UA-510H 」) 0 .50部
光重合開始剤( BASF社製「イルガキュアーOXE01 」) 0 .55部
光重合開始剤( BASF社製「イルガキュアー907 」) 0 .20部
増感剤( 保土谷化学工業社製「EAB-F」) 0 .05部
シランカップリング剤( 信越シリコーン社製「KBM-403 」) 0 .03部
重合禁止剤( メチルヒドロキノン) 0 .02部
紫外線吸収剤( BASF社製「TINUVINP」) 0 .05部
レべリング剤( DIC 株式会社製「メガファックF-551」) 0 .05部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 34 .04部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 5 . 00部
【0352】
[実施例138]
(感光性樹脂組成物(R-38))
以下、樹脂組成物を表3に示す樹脂組成物の種類に変更した以外は感光性樹脂組成物(R-37)と同様にして感光性樹脂組成物(R-38)を得た。
感光性樹脂組成物中の化合物(B)の含有量は、0.304質量%であった。
【0353】
<感光性樹脂組成物の評価>
実施例および比較例で得られた感光性樹脂組成物(R-1)~(R-40)について、保存安定性、凝集異物、耐性(耐熱性、耐湿性)に関する試験を下記の方法で行った。結果を表3に示す。
【0354】
[保存安定性]
得られた感光性樹脂組成物の粘度を測定し、初期粘度とした。さらに、40℃1か月の促進試験を行い、経時促進粘度を測定した。
促進による変化率として、促進経時粘度/初期粘度を算出し、下記基準で評価した。
◎ :1.05未満
○ :1.05以上、1.10未満
△ :1.10以上、1.3未満
× :1.3以上
【0355】
[凝集異物の評価1]
得られた感光性樹脂組成物を、50mm×50mm、1.1mm厚のコーニング社製無アルカリガラスイーグルXG上にスピンコーターを用いてスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて100mJ/cm2の紫外線を照射し、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像し、その後230℃で20分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が1.0μmとなるように塗布基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。その後、得られた基板を250℃で1時間加熱して表面観察を行った。評価にはオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いた。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎ :異物の数が10個未満
○ :異物の数が10個以上、20個未満
△ :異物の数が20個以上、60個未満
× :異物の数が60個以上
【0356】
[凝集異物の評価2]
得られた感光性樹脂組成物を、50mm×50mm、1.0mm厚のHO Y A 製ブルーガラスC-5000上にスピンコーターを用いてスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて100mJ/cm2の紫外線を照射し、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像し、その後230℃で20分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が1.0μmとなるように塗布基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。その後、得られた基板を250℃で1時間加熱して表面観察を行った。評価にはオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いた。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎ :異物の数が10個未満
○ :異物の数が10個以上、20個未満
△ :異物の数が20個以上、60個未満
× :異物の数が60個以上
【0357】
[耐熱性評価1]
凝集異物評価1と同じ手順で試験用基板を作製し、250℃での加熱前後の各波長領域における透過率を、分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。700~900nmの範囲にある膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率が95%以上
○ :残存率が90%以上、95%未満
× :残存率が90%未満
【0358】
[耐熱性評価2]
凝集異物評価2と同じ手順で試験用基板を作製し、250℃での加熱前後の各波長領域における透過率を、分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。700~900nmの範囲にある膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率が95%以上
○ :残存率が90%以上、95%未満
× :残存率が90%未満
【0359】
[耐湿性評価1]
得られた感光性樹脂組成物を、50mm×50mm、1.1mm厚のコーニング社製無アルカリガラスイーグルXG上にスピンコーターを用いてスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて100mJ/cm2の紫外線を照射し、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像し、その後230℃で20分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が1.0μmとなるように塗布基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。作成した膜について、80℃、相対湿度85%の雰囲気下で500時間静置し耐湿性試験を行った。耐湿性試験前後の各波長領域における透過率を、分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。700~900nmの範囲にある膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐湿性試験前のそれに対する残存比を求め、耐湿性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率が97%以上
○ :残存率が95%以上、97%未満
× :残存率が95%未満
【0360】
[耐湿性評価2]
得られた感光性樹脂組成物を、50mm×50mm、1.0mm厚のHO Y A 製ブルーガラスC-5000上にスピンコーターを用いてスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて100mJ/cm2の紫外線を照射し、0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像し、その後230℃で20分焼成して熱処理後の塗膜の膜厚が1.0μmとなるように塗布基板を作製した。膜厚の測定にはDEKTAKを用いて測定した。作成した膜について、80℃、相対湿度85%の雰囲気下で500時間静置し耐湿性試験を行った。耐湿性試験前後の各波長領域における透過率を、分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。700~900nmの範囲にある膜の分光極大吸収波長における吸光度を測定し、耐湿性試験前のそれに対する残存比を求め、耐湿性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率が97%以上
○ :残存率が95%以上、97%未満
× :残存率が95%未満
【0361】
【表3】
【0362】
表3の結果より感光性樹脂組成物の場合も樹脂組成物と結果は同様で、化合物(A)と、化合物(B)0.0001~1質量%を含むことで、保存安定性が良好で、かつ凝集異物が少なく、耐熱性に優れ、さらに耐湿性に優れている。
ブルーガラスを用いても評価を行った凝集異物の評価2、耐熱性評価2および耐湿性の評価2は、凝集異物の評価1、耐熱性評価1および耐湿性評価1の結果と同様に、凝集異物が少なく、耐熱性と耐湿性に優れていた。
【0363】
<波長400nm以上700nm以下の範囲に吸収極大波長を有する化合物(H)を含有する樹脂組成物(可視光領域吸収性樹脂組成物)の製造>
(青色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、青色着色組成
物を作製した。
C.I.ピグメントブルー PB15:6 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
【0364】
(紫色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、紫色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントバイオレット PV23 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
【0365】
(黄色着色組成物)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、黄色着色組成物を作製した。
C.I.ピグメントイエロー PY139 :10.0部
樹脂型分散剤2溶液 : 7.5部
バインダ樹脂溶液 :35.0部
PGMAc :47.5部
【0366】
[実施例139]
(可視光領域吸収性樹脂組成物(P-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、可視光領域吸収性樹脂組成物(P-1)を得た。
可視光領域吸収性樹脂組成物中の化合物(B)の含有量は、0.048質量%であった。

樹脂組成物(D-1) :10.0部
青色顔料組成物 :20.0部
紫色顔料組成物 :10.0部
黄色顔料組成物 :10.0部
バインダ樹脂溶液 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 1.0部
光重合性単量体( 東亞合成社製「アロニックスM 3 5 0 」) : 1.0部
光重合開始剤(BASFジャパン社製「OXE-02」) : 1.5部
PGMAc :39.0部
【0367】
[実施例140~144]
(可視光領域吸収性組成物(P-2)~(P-6))
以下、樹脂組成物を表4に示す樹脂組成物の種類に変更した以外は可視光領域吸収性組成物(P-1)と同様にして可視光領域吸収性組成物(P-2)~(P-6)を得た。
可視光領域吸収性組成物中の化合物(B)の含有量は、表4に示すとおりであった。
【0368】
得られた可視光領域吸収性組成物(P-1)~(P-6)について、感光性樹脂組成物(R-1)~(R-40)と同様の評価を行った。
【0369】
【表4】
【0370】
表4の結果から可視光領域吸収性組成物(P-1)~(P-6)は、感光性樹脂組成物(R-1)~(R-38)の結果と同様、保存安定性が良好で、かつ凝集異物が少なく、耐性(耐熱性、耐湿性)が優れている。
【0371】
<積層体での評価>
実施例で作成した樹脂組成物を含む層を有する積層体は、耐性(耐熱性、耐湿性)に優れ、低い異物発生率であった。
【0372】
<各種の用途でのフィルム作製>
上記の結果から、実施例で作成した樹脂組成物を用いた光学フィルムは、その優れた特性により、近赤外線カメラ、監視カメラ、車載用カメラ、医療用カメラ、検査・分析カメラ、温度センサ、距離センサ、医療用センサ、ディスプレイなどのタッチセンサ、生体認証センサなどに用いた場合に好適に使用できることが予想される。
【符号の説明】
【0373】
100 赤外線センサ
110 固体撮像素子
111 赤外線カットフィルタ
112 カラーフィルタ
113 赤外線透過フィルタ
114 樹脂膜
115 マイクロレンズ
116 平坦膜
図1