(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025610
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】冷凍食品保存用袋体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171198
(22)【出願日】2022-10-26
(62)【分割の表示】P 2022128904の分割
【原出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】516340342
【氏名又は名称】株式会社W
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 徹
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA24
3E013BB11
3E013BC04
3E013BC14
3E013BD13
3E013BE01
3E013BF26
3E013BG15
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でありながら、電子レンジによる加熱時には確実に剥離してガス抜き通路を形成し輸送中や保存中には剥離しない弱化部を有する袋体を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、調理済みの冷凍食品を保存するための冷凍食品保存用袋体10であって、袋体はフィルム12によって形成され、袋体は、フィルムが互いに重ねて接合され袋体の内部を封止する接合部14を少なくとも一つの端部に備え、接合部の一部に接合部の他の部分より接合強度が低い弱化部20が接合部を袋体の内部から外部に向う方向に横断するように設けられ、弱化部では、重ねられたフィルムが複数のドット状接合部24によってのみ相互に接続され、複数のドット状接合部は、弱化部の袋体の内部側に位置する部分の剥離強度が弱化部の他の部分の剥離強度より低くなるように、弱化部の全幅にわたって配置されている冷凍食品保存用袋体が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理済みの冷凍食品を保存するための冷凍食品保存用袋体であって、
前記袋体はフィルムによって形成され、
前記袋体は、前記フィルムが互いに重ねて接合され前記袋体の内部を封止する接合部を少なくとも一つの端部に備え、
前記接合部の一部に、前記接合部の他の部分より接合強度が低い弱化部が、前記接合部を前記袋体の内部から外部に向う方向に横断するように設けられ、
前記弱化部では、前記重ねられたフィルムが複数のドット状接合部によってのみ相互に接続され、
前記複数のドット状接合部は、前記弱化部の前記袋体の内部側に位置する部分の剥離強度が前記弱化部の他の部分の剥離強度より低くなるように、前記弱化部の全幅にわたって配置されている、
ことを特徴とする冷凍食品保存用袋体。
【請求項2】
前記複数のドット状接合部は、該複数のドット状接合部によって覆われる領域の前記袋体の内部空間に面する部分が前記袋体の内部側に向かって先細りするように、配置されている、
請求項1に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項3】
前記複数のドット状接合部は、該複数のドット状接合部によって覆われる領域が前記袋体の内部側に向かって先細りする形状を有するように、配置されている、
請求項2に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項4】
前記複数のドット状接合部は、該複数のドット状接合部によって覆われる領域が前記袋体の内部側に向かって先細りする略V字形状を有するように、配置されている、
請求項2に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項5】
前記複数のドット状接合部は、前記弱化部の少なくとも一部において、前記袋体の内部側から外部側に向かって、前記弱化部の幅方向の数が増加するように配置されている、
請求項2に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項6】
前記ドット状接合部は、前記弱化部内の幅方向位置が、該ドット状接合部に前記袋体の外側方向に隣接し前記弱化部の幅方向に並んだ2つのドット状接合部の間に位置するように配置されている、
請求項2に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項7】
前記ドット状接合部は、前記弱化部の幅方向に延びる列を構成し、この列が、前記袋体の内部から外部に向かって並ぶように配置されている、
請求項2に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項8】
前記弱化部に隣接する前記接合部の接合強度が、前記接合部の他の部分の接合強度より高く設定されている、
請求項1に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項9】
前記弱化部が、前記袋体の反対側の2つの端に、それぞれ、設けられている、
請求項1に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項10】
前記ドット状接合部の寸法が0.1mm以上1mm以下である、
請求項1に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項11】
前記袋体が、縦方向の長さが10cm以上60cm以下、横方向の長さが10cm以上40cm以下の矩形形状を有し、
前記接合部は、0.2mm以上20mm以下の幅を有し、
前記弱化部は前記接合部に沿った長さが、10mm以上60mm以下である、
請求項1に記載の冷凍食品保存用袋体。
【請求項12】
前記接合部と前記弱化部に対応した形状を有する平板型アンビルと、平滑な表面を持つ平板型ホーンとによって2枚のフィルムを接合するステップを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷凍食品保存用袋体の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の袋体に100g以上1000g以下の調理済み冷凍食品を収納した保存用冷凍食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品保存用袋体およびその製造方法に関し、詳細には、調理済みの冷凍食品を収納して保存する冷凍食品保存用袋体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋体に収納された調理済み冷凍食品が数多く販売されている。このような冷凍食品は更なる調理は不要で、電子レンジで加熱するだけで食用に供される。このような冷凍食品は、輸送中や保存中の異物の混入を防ぐため、袋体内で密封された状態で保存等する必要がある。
【0003】
一方、袋体に収納した調理済み冷凍食品を電子レンジで加熱すると、内部で発生した水蒸気等による内圧で袋体が破裂する、内部の樹脂製のトレイが変形する等の不具合が生じる場合がある。
【0004】
このような問題に対処すべく、袋体に微細な孔を設け、発生した水蒸気を袋体外に放出する方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、袋体の一部に弱シール部を設け、電子レンジによる加熱時に弱シール部が剥離してガス抜き路が形成される技術も提案されている(特許文献2乃至4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-291456号公報
【特許文献2】特開2001-292708号公報
【特許文献3】特開平10-095472号公報
【特許文献4】特開平10-095473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、微細な孔は異物の混入を防止するために充分小さい必要があり、水蒸気を充分に放出することが難しい場合がある。
【0008】
また、特許文献2ないし4の構成によれば異物の混入を防止され、電子レンジで加熱した時に弱シール部分が剥離して通気路が形成される袋体が得られる。
【0009】
このような弱シール部分を形成するためには、接着力の小さい別部材を用る、剥離強度を変えるための複数の工程が必要である等の複雑な工程等が必要であった。
このため、簡単な構成でありながら、電子レンジによる加熱時には確実に剥離し、輸送中や保存中には剥離しない弱化部を有する袋体が望まれていた。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でありながら、電子レンジによる加熱時には確実に剥離してガス抜き通路を形成し、輸送中や保存中には剥離しない弱化部を有する袋体を提供することを目的とする。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でありながら、電子レンジによる加熱時には確実に剥離してガス抜き通路を形成し、輸送中や保存中には剥離しない弱化部を有する袋体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、
調理済みの冷凍食品を保存するための冷凍食品保存用袋体であって、
前記袋体はフィルムによって形成され、
前記袋体は、前記フィルムが互いに重ねて接合され前記袋体の内部を封止する接合部を少なくとも一つの端部に備え、
前記接合部の一部に、前記接合部の他の部分より接合強度が低い弱化部が、前記接合部を前記袋体の内部から外部に向う方向に横断するように設けられ、
前記弱化部では、前記重ねられたフィルムが複数のドット状接合部によってのみ相互に接続され、
前記複数のドット状接合部は、前記弱化部の前記袋体の内部側に位置する部分の剥離強度が前記弱化部の他の部分の剥離強度より低くなるように、前記弱化部の全幅にわたって配置されている、
ことを特徴とする冷凍食品保存用袋体が提供される。
【0013】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記複数のドット状接合部は、該複数のドット状接合部によって覆われる領域の前記袋体の内部空間に面する部分が前記袋体の内部側に向かって先細りするように、配置されている。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記複数のドット状接合部は、該複数のドット状接合部によって覆われる領域が前記袋体の内部側に向かって先細りする形状を有するように、配置されている。
【0015】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記複数のドット状接合部は、該複数のドット状接合部によって覆われる領域が前記袋体の内部側に向かって先細りする略V字形状を有するように、配置されている。
【0016】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記複数のドット状接合部は、前記弱化部の少なくとも一部において、前記袋体の内部側から外部側に向かって、前記弱化部の幅方向の数が増加するように配置されている。
【0017】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ドット状接合部は、前記弱化部内の幅方向位置が、該ドット状接合部に前記袋体の外側方向に隣接し前記弱化部の幅方向に並んだ2つのドット状接合部の間に位置するように配置されている。
【0018】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ドット状接合部は、前記弱化部の幅方向に延びる列を構成し、この列が、前記袋体の内部から外部に向かって並ぶように配置されている。
【0019】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記弱化部に隣接する前記接合部の接合強度が、前記接合部の他の部分の接合強度より高く設定されている。
【0020】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記弱化部が、前記袋体の反対側の2つの端に、それぞれ、設けられている。
【0021】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ドット状接合部の寸法が0.1mm以上1mm以下である。
【0022】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記袋体が、縦方向の長さが10cm以上60cm以下、横方向の長さが10cm以上40cm以下の矩形形状を有し、
前記帯状接合部は、0.2mm以上20mm以下の幅を有し、
前記弱化部は前記帯状接合に沿った長さが、10mm以上60mm以下である。
【0023】
本発明の他の態様によれば、
前記帯状接合部と前記弱化部に対応した形状を有する平板型アンビルと、平滑な表面を持つ平板型ホーンとによって2枚のフィルムを接合するステップを有する、
ことを特徴とする冷凍食品保存用袋体の製造方法が提供される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、
上記袋体に100g以上1000g以下の調理済み冷凍食品を収納した保存用冷凍食品が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、簡単な構成でありながら、電子レンジによる加熱時には確実に剥離し、輸送中や保存中には剥離しない弱化部を有する袋体が提供される。
【0026】
また、本発明によれば、簡単な構成でありながら、電子レンジによる加熱時には確実に剥離してガス抜き通路を形成し、輸送中や保存中には剥離しない弱化部を有する袋体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の好ましい実施形態の冷凍食品保存用の袋体の模式的な平面図である。
【
図2】弱化部の具体的構成を説明するための模式的な図面である。
【
図3】弱化部の変形例を説明するための模式的な図面である。
【
図4】弱化部の変形例を説明するための模式的な図面である。
【
図5】超音波接合機で使用される超音波接合機の構成を示す模式的な図面である。
【
図6】超音波接合機で使用されるアンビルの構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態の冷凍食品保存用の袋体について説明する。
なお、本願において、調理済み冷凍食品とは餃子、シュウマイ、鳥の唐揚げなどの調理済みの食品を冷凍したものを指す。このような冷凍食品は、更なる調理は不要で、電子レンジで加熱するだけで食用に供される。また、保存用冷凍食品とは、調理済み冷凍食品を、必要に応じてプラスチック製のトレイ等と共に、袋体に収納したものを指す。さらに、冷凍食品保存用袋体とは、冷凍保存のために調理済み冷凍食品を収納する袋体である。
【0029】
以下に、
図1に沿って、本発明の好ましい実施形態の冷凍食品保存用の袋体10について説明する。
図1は、本実施形態の好ましい実施形態の冷凍食品保存用の袋体10の模式的な平面図である。
図1に示されているように、袋体10は、横長の矩形のフィルム12を幅方向中心線で2つの折畳み、上部をトップシール部14(接合部)で、下部をボトムシール部16で、フィルムの端が重ね合わされた側部をサイドシール部18によって封止することにより形成されている。
【0030】
フィルム12に用いるフィルムとしては、超音波接合が可能なものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、スチレンアクリロニトリル共重合体などのフィルム、またはこれらを積層したフィルムが挙げられる。さらに、接合可能な紙をフィルムとして用いることもできる。
【0031】
フィルム12の厚さは、15μm以上150μm以下であることが好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましい。フィルムの厚さが15μm未満の場合、袋体の強度が不充分になるおそれがあり、150μmを超えるとコスト上、不利になる場合がある。
【0032】
フィルムは、透明であっても不透明であってもよいが、日光による内容物の劣化を防止するため不透明な包装フィルムを用いることが好ましい。また、意匠性を高めるために表面に印刷を施したフィルムでもよい。
【0033】
本実施形態の袋体10では、袋体10の上端に沿って延びるトップシール部14を部分的に途切れさせることによって、トップシール部14の一部に弱化部20が一つ、設けられている。この弱化部20は、トップシール部14の他の部分より、フィルム12間の単位面積あたりの剥離強度が低くされ、トップシール部14の他の部分より低い力でフィルム同士が剥離するように構成されている。
【0034】
弱化部20は、袋体10の内部から外部に向う方向にトップシール部14を横断して延びるように設けられているので、接合されていたフィルム12が弱化部20で剥離することにより、袋体10の内部と外部とを連通させるガス抜き通路が形成される。
【0035】
この結果、弱化部20は、冷凍食品を密封状態で収容した袋体10を電子レンジにいれて加熱した際、食品等が発生させた水蒸気等によって生じる内部圧力で、フィルム12同士が剥離し、トップシール部14に袋体10の内部と外部とを連通させるガス抜き通路を形成することになる。
【0036】
本実施態様の袋体10では、トップシール部14に、1つの弱化部20が設けられているが、本発明の袋体は、少なくとも一つのシール部に少なくとも1つの弱化部が設けられていれば良い。また、トップシール部14とボトムシール部16のそれぞれに、一つずつの弱化部20が設けた構成でもよい。
弱化部の数、配置場所は、電子レンジ等による加熱時にどの程度の内部圧力が発生するか等々の条件を勘案して適宜、決定される。
【0037】
弱化部20が形成されるトップシール部14の幅(袋体10の内外方向の長さ)は0.2mm以上20mm以下が好ましく、0.3mm以上10mm以下がさらに好ましい。0.2mm未満になると接合強度が不足する場合があり、20mmを超えると意匠上、加工上、望ましくない場合がある。
【0038】
弱化部20が形成されるトップシール部14の弱化部20と隣接する先端部22は、シール部の他の部分よりも接合強度を高くしてもよい。接合強度を高める方法としては、例えば、弱化部20と隣接するトップシール部14の先端部22の幅(
図1のX方向の長さ)を、トップシール部14の他の部分の幅より、1.3~5倍、より好ましくは1.5~3倍にする構成がある。このような構成よって、弱化部が剥離する際に、隣接するトップシール部14が弱化部20の剥離に引きずられて剥離する等の不具合を防止できる。
【0039】
次に、弱化部の構成について説明する。
図2は、弱化部20の具体的構成を説明するための模式的な図面である。
上述のように弱化部20は、電子レンジ等での加熱によって、袋体10内で水蒸気等が発生して圧力が上昇すると、接続されていたフィルム12が剥離して、排気通路を形成する機能を備えている。このような機能を発揮するため、弱化部20は、袋体の内側(本実施態様では、最も内側)に位置する部分の剥離強度が弱化部の他の部分の剥離強度より低くなるように構成されている。
【0040】
本実施形態の袋体10の弱化部20は、トップシール部14をシールの幅方向(袋体10の内部から外部に向かう方向)に横断するように延びている。そして、弱化部20では、重ねられた2枚のフィルム12が、2枚のフィルム12を点状に接合している複数のドット状接合部24によってのみ接続されている。この複数のドット状接合部24が、トップシール部14の幅方向(
図1のX方向)に袋体10の内部から外部に向かって、弱化部20の幅方向(
図1のY方向)の配置数が増加するように、弱化部20の全幅(
図1のY方向全長)にわたって分布して配置されている。
【0041】
本実施態様では、弱化部20のY方向の長さ(幅)は、10mm以上60mm以下に設定されている。弱化部20の長さ(幅)が10m未満の場合、発生した水蒸気等を充分に排出できないことがあり、60mmを超えると完全に水蒸気排出部の剥離が不充分になることがある。
弱化部20のY方向の長さ(幅)は、12mm以上45mm以下がより好ましく、15mm以上50mm以下が更に好ましい。
【0042】
図2は、
図1の袋体10の弱化部20を拡大して示す模式図である。
図1および
図2に示すように、本実施態様の袋体10の弱化部20では、複数のドット状接合部24が、弱化部20内で、袋体10の内部から外部に向かって広がる略V字状に配置されている。各ドット状接合部24は、同一の寸法の円形のドッド形状を有し、重ね合わされたフィルム12を互いに接合している。
【0043】
上述したように、複数のドット状接合部24は、弱化部20の袋体10の最も内側に位置する部分の剥離強度が弱化部20の他の部分の剥離強度より低くなるように配置されている。具体的には、ドット状接合部24は、
図1および
図2に示すように、弱化部20の幅方向(Y方向)に並ぶドット状接合部24の複数本の列を形成し、この複数本の列が、袋体10の内部から外部に向かって並べられた状態に配置されている。
【0044】
複数本の列の各列を構成するドット状接合部の数は、弱化部20の袋体内方側部分においては、袋体の内部から外部に向かって(矢印X方向に沿って)増加している。さらに、複数本の列の各列を構成するドット状接合部24は、袋体の内部から外部にいくにつれて、弱化部20の幅方向外方に位置するように配置されている。
この結果、本実施態様の袋体10の弱化部20では、
図1および
図2に示すように、複数のドット状接合部24は、複数のドット状接合部24によって覆われる領域の袋体10の内部空間に面する部分が袋体10の内部側に向かって先細りするように配置されることになる。さらに、複数のドット状接合部24は、
図1および
図2に示すように、複数のドット状接合部24によって覆われる領域が袋体10の内部側に向かって先細りする全体で略V字状をなすように配置されている。
【0045】
このように構成された袋体10には、例えば、トレイ26に載せられた調理済冷凍食品(例えば、冷凍シュウマイ)が封入されることになる。
【0046】
ドット状接合部24の配置を更に具体的に説明する。
図2に示されているように、本実施形態の袋体10では、複数のドット状接合部24は、弱化部20の幅方向(
図1の矢印Y方向)に列状に配列され、この列が、袋体10の内部側から外部側に向けて、第1列ないし第6列として、6列、配置されている。
【0047】
第1列は、1個のドット状接合部24によって構成され、この1個のドット状接合部24が、弱化部20の幅方向(Y方向)中央の最も袋体10の内部側位置に配置されている。
【0048】
第2列は、等間隔に配置された4個のドット状接合部24によって構成され、この4個のドット状接合部24が、弱化部20の幅方向(Y方向)中央位置で第1列の(袋体)外側に配置されている。尚、第2列は、第2列を構成するドット状接合部24のうちの中央部の2個が、X方向において第1列のドット状接合部24とオフセットするように構成されている。
この結果、第1列のドット状接合部24は、弱化部20における幅方向(Y方向)位置が、袋体10の外側方向に隣接し第2列の中央で弱化部20の幅方向に並んだ2個のドット状接合部24、24の中間位置とX方向に整列するように配置されることになる。
【0049】
第3列は、等間隔に配置された5個のドット状接合部24によって構成され、この5個のドット状接合部24が、弱化部20の幅方向(Y方向)中央位置で第2列の外側に配置されている。
尚、第3列は、各ドット状接合部24が、X方向において第2列のドット状接合部24とオフセットするように構成されている。
この結果、第2列のドット状接合部24は、弱化部20における幅方向(Y方向)位置が、袋体10の外側方向に隣接し第3列内で弱化部20の幅方向に並んだ2個のドット状接合部24、24の中間位置とX方向に整列するように配置されることになる。
【0050】
第4列は、等間隔に配置された8個のドット状接合部24によって構成され、この8個のドット状接合部24が、弱化部20の幅方向(Y方向)中央位置で第3列の外側に配置されている。
尚、第4列は、各ドット状接合部24が、X方向において第3列のドット状接合部24とオフセットするように構成されている。
この結果、第3列のドット状接合部24は、弱化部20における幅方向(Y方向)位置が、袋体10の外側方向に隣接し第4列内で弱化部20の幅方向に並んだ2個のドット状接合部24、24の中間位置とX方向に整列するように配置されることになる。
【0051】
第5列は、等間隔に配置された4個のドット状接合部24の2つのセットによって構成され、各セットが、外側の2つのドット状接合部24が第4列のドット状接合部24より幅方向外方側に位置するように、第4列の外側に配置されている。
尚、第5列は、各ドット状接合部24が、X方向において第4列のドット状接合部24とオフセットするように構成されている。
この結果、第4列の外側2つのドット状接合部24は、弱化部20における幅方向(Y方向)位置が、袋体10の外側方向に隣接し第5列内で弱化部20の幅方向に並んだ2個のドット状接合部24、24の中間位置とX方向に整列するように配置されることになる。
【0052】
第6列は、等間隔に配置された3個のドット状接合部24の2つのセットによって構成され、各セットが、外側の1つのドット状接合部24が第5列のドット状接合部24より幅方向外方側に位置する幅方向位置で、第5列の外側に配置されている。
尚、第6列は、各ドット状接合部24が、X方向において第5列のドット状接合部24とオフセットするように構成されている。
この結果、第5列の外側2つのドット状接合部24は、弱化部20における幅方向(Y方向)位置が、袋体10の外側方向に隣接し第6列内で弱化部20の幅方向に並んだ2個のドット状接合部24、24の中間位置とX方向に整列するように配置されることになる。
【0053】
このような構成によって、弱化部20の袋体10の内側に位置する部分である第1列の剥離強度(重ね合わされたフィルム間の剥離強度)が弱化部20の他の部分の剥離強度より低くなる。
【0054】
このような構成によれば、シール部の袋体の最も内側に位置する部分が剥離し始めると、この剥離が他の部分に伝搬して容易に剥離が進むことになる。そして、弱化部の袋体の最も内側に位置する部分の剥離強度を低く設定すれば他の部分の剥離強度を高く設定しても必要な剥離を得ることができるため、弱化部の最も内側に位置する部分以外の部分の剥離強度をある程度高く設定することができ、輸送中や保存中の剥離防止が可能になる。この結果、弱化部の確実な剥離と輸送中や保存中の剥離防止の両立が可能となる。
【0055】
本実施態様の袋体10では、同一列内で隣接するドット状接合部24間の距離(Y方向距離)は0.5mm以上2mm以下に設定されている。この距離を0.5mm以上2mm以下の範囲とすることで、電子レンジで加熱した時の剥離性と異物の侵入防止を両立することができる。この距離は、0.8mm以上1.85mm以下がより好ましく、1mm以上1.7mm以下がさらに好ましい。
【0056】
また、本実施態様の袋体10では、ドット状接合部24の各列間の距離は、0.5mm以上1.5mm以下に設定されている。この距離を0.5mm以上2mm以下の範囲とすることで、電子レンジで加熱した時の剥離性と異物の侵入防止を両立することができる。この距離は、0.55mm以上1.2mm以下がより好ましく、0.6mm以上1.0mm以下がさらに好ましい。
【0057】
さらに、隣接する列間のドット状接合部24が、Y方向にオフセットする千鳥状の配置によって、外部からの異物の侵入を効果的に防止することができる。
【0058】
本実施態様の袋体10では、各ドット状接合部の形状には、円形とされているが、特に制限はなく、正方形、不定形などでもよい。
本実施態様の袋体10では、円形の各ドット状接合部24の寸法(直径)は、0.1mm以上1mm以下に設定されている。ドット状接合部24の寸法0.1mm未満の場合、弱化部20の強度が不充分になる場合があり、1mmを超えると水蒸気の排出が不充分になる場合があるためである。また、この寸法は、0.15mm以上0.58mm以下がより好ましく、0.2mm以上0.6mm以下がさらに好ましい。尚、上記寸法は、ドット状接合部が、正方形の場合は対角線の長さ、不定形の場合は外接する円の中で最小のものの直径となる。
【0059】
上記実施形態の袋体10の弱化部20では、全てのドット状接合部24が同一の寸法形状である。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、各ドット状接合部の大きさはすべて同じである必要はない。特に、第1列のドット状接合部の大きさを、後列のドット状接合部の大きさより小さくすることによって、電子レンジで加熱した時の剥離がさらに容易になる効果が得られる。
【0060】
弱化部におけるドッド状接合部24の数、配列は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、
図3、4に示されてるような配置でもよい。
【0061】
ドット状接合部24の列の数は、上記実施形態の袋体10では6列であるが、2列以上10列以下が好ましい。ドット状接合部の列の数を2列以上とすることで輸送中や保存中に落下したり振動を与えられたりしたときに弱化部が剥離することが抑制され、10列以下とすることで、電子レンジで加熱した時の剥離が容易になる。ドット状接合部の列の数は、3列以上8列以下がより好ましく、4列以上6列以下がさらに好ましい。
【0062】
各列のドットの数は、1つ以上16以下が好ましく、1つ以上12以下がより好ましい。
各列のドットの数には特に制限はないが、第1列のドットの数は他の列のドット数よりも少ないことが必要である。第1列のドット数を他の列のドット数より少なくすることで、電子レンジで加熱した時の剥離がより容易になる。
【0063】
具体的には、第1列中のドット状接合部の数は1つ以上5つ以下が好ましく、1つ以上4つ以下がより好ましく、1つ以上3つ以下がさらに好ましい。
【0064】
第2列以降の列中のドット状接合部の数は、特に制限はないが、2つ以上16以下が好ましく、3つ以上12以下がより好ましく、4つ以上8つ以下がさらに好ましい。
【0065】
ドット状接合部をこのように配置することで、輸送中や保存中に落下したり振動を与えられたりしたときに弱化部が剥離することが抑制され、10列以下とすることで、電子レンジで加熱した時の剥離が容易になる。
【0066】
ドット状接合部は、必ずしも、列状に配置される必要はなく、弱化部の袋体の内部側に位置する部分の剥離強度が弱化部の他の部分の剥離強度より低くなるように、例えば、複数のドット状接合部によって覆われる領域の袋体の内部空間に面する部分が袋体の内部側に向かって先細りするように、弱化部の全幅にわたって配置されていればよい。
【0067】
次に、本実施態様の袋体の製造方法について説明する。まず、袋体の製造(シール部の形成)に使用する超音波接合機の構成について説明する。
【0068】
袋体10のシール部の形成には、超音波接合機が使用されるのが好ましい。
図5は、超音波接合機で使用される超音波接合機の構成を示す模式的な図である。超音波接合機50は、50Hzまたは60Hzの商用電気を15~70KHz程度の高周波信号に変換する超音波発振機52と、この信号を機械的振動に変換するコンバータ54と、この機械的振動を増幅するブースター56と、増幅された振動を溶着対象に伝える平板状のホーン58、ホーン58との間で2枚にフィルム12、12を挟持する平板状アンビル60等を備えている公知の基本構成を有する超音波接合機である。
【0069】
本実施形態の袋体の製造に用いられるホーン58は平滑な表面を有し、アンビル60は後述のようにドット状接合部24に対応する凸部を有する表面を有している。
【0070】
ホーン58とアンビル60の長さは、50mmないし450mm程度である、またホーン58とアンビル60の幅は、7mmないし25mm程度である。ホーン58とアンビル60は、公知の素材、特にステンレスやチタン合金で形成されるのが好ましい。
【0071】
ホーン58とアンビル60の表面の縁部を面取りしてもよい。面取りをすることでこの部分でフィルム12が切れてしまうことを防止することができる。
【0072】
アンビル60は図示しない駆動装置により上下動してホーン58との間で2枚のフィルム12を挟持する。この状態でホーン58に超音波を印加して袋体にトップシール部14と弱化部20を同時に形成する。2枚のフィルム12、12を挟持する際、ホーン58とアンビル60の間には図示しない加圧装置により20Nから500N程度の圧力がかけられる。
【0073】
接合時間は、0.01秒以上10秒以下程度が好ましいが、0.03秒以上5秒以下がより好ましく0.05秒以上3秒以下が更に好ましい。接合時間を、0.01以上とすることで、充分な接合強度を得ることが可能になる。また、接合時間を10秒以下とすることで効率よい製造が可能になる。
【0074】
図6は、超音波接合機50で使用されるアンビル60の構成を模式的に示す斜視図である。アンビル60は、平板型で、表面62には、袋体10のトップシール部14に対応する矩形状の凸部74、74と、ドット状接合部24に対応する複数の突起76が配置されている。
【0075】
凸部74、74と突起76の寸法形状、配置は、袋体10のトップシール部14とドット状接合部24の寸法形状、配置と相補的に設定される。
凸部74、74と突起76の高さは、0.2mm以上1.0mm以下に設定されている。凸部74、74と突起76の高さが0.2mm未満であるとトップシール部14およびドット状接合部24の接合強度が不充分になる場合があり、1.0mmを超えると縁部でフィルムが切れて、うまく接合できない場合があるためである。
凸部74、74と突起76の高さは、0.25mm以上0.8mm以下がより好ましく、0.3mm以上0.5mm以下が更に好ましい。
【0076】
凸部74、74と突起76の断面形状は、長方形、かまぼこ型、台形が好ましいが、縁部でフィルムが切れてしまうことを防止する観点から、かまぼこ型、台形状が特に好ましい。
【0077】
次に本発明の好ましい実施形態の冷凍食品保存用袋体と冷凍食品の製造方法について説明する。
本発明の好ましい実施形態の冷凍食品保存用袋体と冷凍食品は例えば次のような方法で製造することができる。
(1)フィルムを準備する。
(2)このフィルムを2つに折り、ヒートシール接合または超音波接合してサイドシール部を形成する。
(3)さらに、ボトムシール部を形成する。
(4)以上の方法で袋体冷凍食品保存用袋体を形成する。
(5)形成した袋体冷凍食品保存用袋体に冷凍食品を収納する。
(6)続いて表面に弱化部に対応する凹凸を有する平板型アンビルと、平滑な表面を持つ平板型ホーンを有する超音波接合機で接合して、弱化部を有するトップシール部を形成する。
このようにして、トップシール部に弱化部を有する袋体冷凍食品保存用袋体に収納された冷凍食品が製造される。本発明の冷凍食品保存用袋体と冷凍食品の製造方法はこれに限定されるものではなく、例えば水蒸気排出部の数や、これを設ける位置は必要に応じて変更できる。
【0078】
さらに予め、長いフィルムを用いてサイドシールのみが形成された袋体が縦に多数連結されたものを作成しておき、これを用いて複数の冷凍食品を連続して作成することも可能である。この場合、上記の(1)と(2)は1回の工程で行い、(3)から(6)の工程を繰り返すことになる。
さらに変形例として、袋体のトップシール部と隣接する袋体のポトムシール部を同時に形成して、その後2つの袋体を切り離す方法もある。この場合、(6)および次の袋体への(3)が同時に行なわれることになる。
【0079】
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【符号の説明】
【0080】
10:袋体
12:フィルム
14:トップシール部
16:ボトムシール部
18:サイドシール部
20:弱化部
22:弱化部と隣接するトップシール部の先端部
24:ドット状接合部
26:トレイ