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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025617
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】負圧チャンバ内蔵の基板容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240216BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/86 400
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191972
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】63/397,004
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】邱銘乾
(72)【発明者】
【氏名】莊家和
(72)【発明者】
【氏名】李國華
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼信淵
(72)【発明者】
【氏名】沈恩年
(72)【発明者】
【氏名】呂俊明
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA06
3E096BA15
3E096BA16
3E096BB08
3E096CA02
3E096CB03
3E096DA01
3E096DA03
3E096DA17
3E096EA02X
3E096FA09
3E096FA22
3E096GA03
3E096GA11
5F131AA02
5F131CA12
5F131CA32
5F131CA42
5F131DA02
5F131DB72
5F131GA13
5F131GA62
5F131GA72
5F131GA88
5F131GA92
5F131JA04
5F131JA13
5F131JA15
5F131JA16
5F131JA23
5F131JA25
5F131JA27
5F131JA32
5F131JA33
5F131JA34
(57)【要約】
【課題】負圧チャンバ内蔵の基板容器を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、筐体と、カバー部材とを含む基板容器を開示する。筐体は、収容空間を画定し、底部を有し、前記底部に少なくとも1つの排気孔が形成され、前記排気孔が前記筐体の開口部の近くにある。カバー部材は、前記筐体の底部に連結され、前記筐体の底部と共に負圧チャンバを画定し、前記負圧チャンバは前記少なくとも1つの排気孔の上において画定され、前記少なくとも1つの排気孔と連通する。前記負圧チャンバの上において画定された排気長孔は前記負圧チャンバと前記収容空間とを連通する。前記収容空間の気体は、前記排気長孔、前記負圧チャンバ及び前記少なくとも1つの排気孔を順次経由して排出される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間を画定し、底部を有する筐体であって、前記底部に少なくとも1つの排気孔が形成され、前記排気孔が前記筐体の開口部の近くにある筐体と、
前記筐体の底部に連結され、前記筐体の底部と共に負圧チャンバを画定し、前記負圧チャンバが前記少なくとも1つの排気孔の上において画定され、前記少なくとも1つの排気孔と連通するカバー部材と、
前記負圧チャンバの上において画定された排気長孔であって、前記負圧チャンバと前記収容空間とを連通する排気長孔とを含む基板容器であって、
前記収容空間の気体は、前記排気長孔、前記負圧チャンバ及び前記少なくとも1つの排気孔を順次経由して排出される基板容器。
【請求項2】
少なくとも1つの排気モジュールは、前記筐体の底部に配置され、対応する前記排気孔と連通し、前記収容空間の気体を排出するために用いられる請求項1に記載の基板容器。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記筐体の底部の階段構造の低い面に位置し、かつ前記カバー部材の頂部が前記階段構造の高い面と同じかそれよりも低い請求項1に記載の基板容器。
【請求項4】
前記カバー部材は、頂面を有し、前記頂面に前記排気長孔が形成されている請求項1に記載の基板容器。
【請求項5】
前記カバー部材は傾斜面を有し、前記傾斜面は前記筐体の開口部に面し、かつ前記排気長孔が形成されている請求項1に記載の基板容器。
【請求項6】
前記カバー部材の頂面は、前記筐体の底部の前記階段構造の高い面と平行である請求項4に記載の基板容器。
【請求項7】
前記排気長孔は、幅を有し、前記排気長孔の幅が前記排気孔の直径よりも小さい請求項1に記載の基板容器。
【請求項8】
前記収容空間に複数の基板が垂直に重ねて格納されている時、前記負圧チャンバは最下段の基板の周囲と前記筐体の底部との間に位置する請求項1に記載の基板容器。
【請求項9】
前記負圧チャンバは、前記筐体の開口部と前記筐体の支持体との間に位置する請求項1に記載の基板容器。
【請求項10】
前記負圧チャンバの上において画定された別の排気長孔をさらに含み、前記収容空間に複数の基板が格納されている時、それらの排気長孔のうちの一方が前記複数の基板の少なくとも一つに面し、それらの排気長孔のうちの他方が前記筐体の開口部に面する請求項1に記載の基板容器。
【請求項11】
収容空間を画定し、底部を備えた筐体と、
前記筐体の底部の下に設けられ、前記収容空間の気体を排出するための少なくとも1つの排気モジュールと、
負圧チャンバであって少なくとも前記筐体の底部で画定され、前記少なくとも1つの排気モジュールの上において画定され、前記負圧チャンバが前記少なくとも1つの排気モジュールと連通する負圧チャンバと、
少なくとも1つの排気長孔であって、前記負圧チャンバの上において画定され、前記排気長孔が前記負圧チャンバと前記収容空間とを連通する少なくとも1つの排気長孔とを含む基板容器であって、
前記負圧チャンバの被覆面積は、前記少なくとも1つの排気モジュールに対応する少なくとも1つの排気孔を覆い、かつ前記少なくとも1つの排気孔よりも大きい基板容器。
【請求項12】
前部と、後部と、底部とを備え、前記底部の前記前部寄りの箇所に少なくとも2つの気体吹き出し孔が形成され、前記底部の前記後部寄りの箇所に少なくとも2つの吸気孔が形成されている筐体と、
前記筐体の底部に連結されて負圧チャンバを画定し、前記負圧チャンバが前記少なくとも2つの気体吹き出し孔にまたがるカバー部材と、
排気長孔であって、前記負圧チャンバの上において画定されることで、前記筐体の収容空間が前記排気長孔を介して前記負圧チャンバと連通する排気長孔と、
前記筐体の底部に連結されて緩衝チャンバを画定し、前記緩衝チャンバが前記少なくとも2つの吸気孔にまたがる気体カートリッジと
を含む基板容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板容器に関し、特に、吸気機能と排気機能とを備えた基板容器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、既知の基板容器の分解図を示している。前記既知の基板容器は、筐体(11)と、ドア(12)とを含むウェーハカセット(wafer cassette)であり、筐体(11)の開口部(13)とドア(12)とを結合して複数のウェーハ又は基板(図示せず)を収容するための収容空間を画定する。筐体(11)内の対向する側壁にはウェーハの縁を支持し、複数のウェーハを、間隔をあけて上下に格納できるようにするための一対の支持体(14)が設けられている。筐体(11)の底部には着脱可能方法で筐体(11)の底部に組み付けられた2つの吸気モジュール(15)及び2つの排気モジュール(16)が設けられ、排気モジュール(16)は開口部(13)の近くに配置され、吸気モジュール(15)は筐体(11)の後部に配置される。吸気モジュール(15)は、収容空間内の気体(水蒸気など)を筐体(11)外に排出することができる。吸気モジュール(15)は、乾燥気体(不活性気体など)を収容空間に導入することができる。底板(19)は、筐体(11)の底部に着脱可能に連結され、吸気モジュール(15)及び排気モジュール(16)を制限し、ウェーハカセットの底部の支え台として機能する。2つの多孔管(17)は、筐体(11)の底部に着脱可能に連結され、それぞれ吸気モジュール(15)に流体的に連通して、乾燥気体を収容空間に均等に拡散させる。
【0003】
図2Aは、既知のウェーハカセットの気体充填を示す概略図である。気体供給装置(21)が吸気モジュール(15)に接続された場合、気体は吸気モジュール(15)及び多孔管(17)を通って筐体(11)内に拡散する。吸気モジュール(15)は、適切な空気圧に応じて開くように構成することができる、又は接触・押し込みに応じて開くことができる逆止弁(check valve)を有する。多孔管(17)は、気体タワー(gas tower)とも呼ばれ、筐体(11)内に気体を多方向に拡散させ、収容空間がウェーハの保管に適した気体で満たされるための多数の小さな穴を有する。図2Bは、既知のウェーハカセットからの排気を示している。排気装置(22)が排気モジュール(16)に接続された場合、収容空間内の気体は筐体(11)の底部の排気モジュール(16)を経由して排出される。排気モジュール(16)は、吸気モジュール(15)の逆止弁に対して上下逆に配置され、排気装置(22)の圧力に応じて開かれる逆止弁を有する。収容空間内の気体、例えば水蒸気は、ウェーハ(W)の上段から下段に流れ、筐体(11)の底部に集まり、それぞれ2つの排気モジュール(16)を経由して出る。
【0004】
半導体製造工程中、筐体(11)内のウェーハを出し入れするため、ウェーハカセットのドア(12)を取り外す必要がある。しかしながら、閉じたウェーハカセットと製造工程環境との間に圧力差が存在する可能性があることで、ドア(12)が取り外された瞬間に前記圧力差が外気を筐体(11)に押し込む。外気が水分を含んでいる場合、収容空間の湿度が上昇され、ウェーハ表面の微細構造品質に影響を与える。一般的に言えば、ドア(12)を取り外す過程中に、図2Bに示すように、排気が同時に行われ、外気が収容空間の奥に突入する前に、開口部(13)に近い排気モジュール(16)を通して排出される。しかしながら、従来の排気モジュール(16)は、筐体(11)の底部にある2つの排気孔を介してのみ収容空間と連通しているため、排気圧力分布は、収容空間に入る外気を効果的に捕捉することができず、下向きに排出し、2つの排気モジュール(16)の排気流量の異なる状況がある。
【0005】
これ故に、上記問題点を解決し、特に排気時の筐体開口部付近にある空気圧分布を改善することで、収容空間に導入された外気を効果的に捕捉する基板容器を開発するのが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、収容空間を画定し、底部を有する筐体であって、前記底部に少なくとも1つの排気孔が形成され、前記排気孔が前記筐体の開口部の近くにある筐体と、前記筐体の底部に連結され、前記筐体の底部と共に負圧チャンバを画定し、前記負圧チャンバが前記少なくとも1つの排気孔の上において画定され、前記少なくとも1つの排気孔と連通するカバー部材と、前記負圧チャンバの上において画定された排気長孔であって、前記負圧チャンバと前記収容空間とを連通する排気長孔とを含む基板容器を提供することである。前記収容空間の気体は、前記排気長孔、前記負圧チャンバ及び前記少なくとも1つの排気孔を順次経由して排出される。
【0007】
一具体的実施形態において、少なくとも1つの排気モジュールは、前記筐体の底部に配置され、対応する排気孔と連通し、前記収容空間の気体を排出するために用いられる。
【0008】
一具体的実施形態において、前記カバー部材は、前記筐体の底部の階段構造の低い面に位置し、かつ前記カバー部材の頂部が前記階段構造の高い面と同じかそれよりも低い。
【0009】
一具体的実施形態において、前記カバー部材は、頂面を有し、前記頂面に前記排気長孔が形成されている。
【0010】
一具体的実施形態において、前記カバー部材は傾斜面を有し、前記傾斜面は前記筐体の開口部に面し、前記排気長孔が形成されている。
【0011】
一具体的実施形態において、前記カバー部材の頂面は、前記筐体の底部の階段構造の高い面と平行である。
【0012】
一具体的実施形態において、前記排気長孔は、幅を有し、前記排気長孔の幅が前記排気孔の直径よりも小さい。
【0013】
一具体的実施形態において、前記収容空間に複数の基板が垂直に重ねて格納されている時、前記負圧チャンバは最下段の基板の周囲と前記筐体の底部との間に位置する。
【0014】
一具体的実施形態において、前記負圧チャンバは、前記筐体の開口部と前記筐体の支持体との間に位置する。
【0015】
一具体的実施形態において、前記基板容器は、前記負圧チャンバの上に画定された別の排気長孔をさらに含み、前記収容空間に複数の基板が格納されている時、それらの排気長孔のうちの一方が前記複数の基板の少なくとも一つに面し、それらの排気長孔のうちの他方が前記筐体の開口部に面する。
【0016】
本発明の別の目的は、前部と、後部と、底部とを備え、前記底部の前記前部寄りの箇所に少なくとも2つの気体吹き出し孔が形成され、前記底部の前記後部寄りの箇所に少なくとも2つの吸気孔が形成されている筐体と、前記筐体の底部に連結されて負圧チャンバを画定し、前記負圧チャンバが前記少なくとも2つの気体吹き出し孔にまたがるカバー部材と、排気長孔であって、前記負圧チャンバの上において画定されることで、前記筐体の収容空間が前記排気長孔を介して前記負圧チャンバと連通する排気長孔と、前記筐体の底部に連結されて、緩衝チャンバを画定し、前記緩衝チャンバが前記少なくとも2つの吸気孔にまたがる気体カートリッジとを含む基板容器を提供することである。
【0017】
本発明をよりよく理解するため、以下の図面及び説明を参照することができる。以下の図面を参照しつつ、非限定的かつ非網羅的な実施形態を説明する。図面中の構成要素は必ずしも実際のサイズに描かれているわけではなく、構造及び原理の説明に焦点を合わせて描かれている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】既知の基板容器の分解図である。
図2A】既知の基板容器の吸気操作を示す図である。
図2B】既知の基板容器の排気操作を示す図である。
図3】ドア及び多孔管を除いた、本発明の基板容器の正面図である。
図4図3のX-X’線に沿った断面図である。
図5】ウェーハが格納されている場合の図3のS-S’線に沿った断面図である。
図6】カバー部材と2つの排気孔との関係を示している図5の部分的拡大図である。
図7】カバー部材と筐体及び排気モジュールとの間の構造的関係を明確に示している図4の部分的拡大図である。
図8A】カバー部材の別の変形例を示す図である。
図8B】カバー部材の別の変形例を示す図である。
図9A】カバー部材のまた別の変形例を示す図である。
図9B】カバー部材のまた別の変形例を示す図である。
図10A】カバー部材の更なる変形例を示す図である。
図10B】カバー部材の更なる変形例を示す図である。
図11】吸気モジュールが筐体の底部に取り付けられた場合の基板容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、図面を参照しつつ本発明をより完全に説明し、かつ特定の実施形態を例示する。しかし、請求された主題は、様々な異なる形態で具体的に実施され得、したがって、カバー又は出願の請求する主題の構成は、本明細書に開示された具体的実施形態に限定されない。具体的実施形態は、単なる例示である。同様に、本発明は、出願又はカバーされる請求の主題に対して合理的に広い範囲を提供することを意図している。また、例えば請求された主題は、方法、装置又はシステムとして具体的に実施され得る。したがって、具体的実施形態は、例えばハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせ(ソフトウェアではないことが知られている)の形をとることができる。
【0020】
本明細書で使用される用語「一実施形態において」は、必ずしも同じ具体的実施形態を指すとは限らず、本明細書で使用される用語「他の(いくつか/特定)の実施形態において」は、必ずしも異なる具体的実施形態を指すとは限らない。請求される主題は、具体的実施形態の全部或いは一の組み合わせを含むことが意図されている。
【0021】
図3は、本発明の基板容器の正面図である。本実施形態において、前記基板容器は、筐体31を備えたウェーハカセットを例として取った。筐体31は、主に頂部、底部、一対の側壁及び後側壁から構成され、収容空間を画定している。筐体31の頂部、底部及び前記一対の側壁は、開口部33を画定する。図3にはウェーハカセットのドア及び多孔管が示されていないが、ウェーハカセットは、図1に示すようなドア12を開口部33に着脱可能に結合して収容空間を開閉することができ、図1に示すような多孔管17を筐体31の底部に連結して、後側壁に接近させるように構成することができる。図1に示す多孔管17は、組み付けた後収容空間内で垂直に延び、ほぼ開口部33の方向に気体を供給することができる。筐体31は、前記一対の側壁の内側にそれぞれ設けられた一対の支持体34を備える。支持体34は、ウェーハ(図示せず)の周縁をその中に挿入できるようにする複数のレール又は溝を基本的に有し、かつ支持体34は、複数のウェーハを平行に間隔をあけて格納するため、垂直方向に配列される。底板39は、ウェーハカセットの底部支持及び接触インターフェースとして、筐体31の底部に連結される。底板39は、図4に示すように、図2A及び図2Bに示す気体供給装置21及び排気装置22を筐体31と底板39との間に設けられた吸気モジュール35及び排気モジュール36に連通させることができるように特定の架台機構と組み合わせることができる。
【0022】
図4は、図3のX-X’線に沿った断面図である。吸気モジュール35は、筐体31の底部311の下に結合されている。例えば円筒状の吸気モジュール35は、筐体31から下方に延びるスリーブに収容され、底板39によって制限されることができる。底部311には、吸気モジュール35に対応する吸気孔が形成され、吸気孔は吸気モジュール35から収容空間に気体を導入し、図1に示す多孔管17を介して収容空間に均一に供給することを可能にする。同様に、排気モジュール36は、底部311の下に結合されている。例えば円筒状の排気モジュール36は、筐体31から下方に延びる別のスリーブ内に収容され、底板39によって制限されることができる。底部311には、排気モジュール36に対応する排気孔が形成され、これは後続の図で見ることができる。排気孔は、収容空間内の気体が排気モジュール36を経由して排出されることを可能にする。底部311は、排気モジュール36及びその周囲構造配置により水平構造ではなく、筐体31の後側壁から開口部33に向けてやや下方かつ斜めに延びる構造となり、すなわち、底部311の後部(rear)は高い側で、前部(front)が低い側である。他の異なる構成において、底部311は、水平を呈してもよい。筐体31の前部、すなわち開口部33近傍では、底部311は階段構造を備える。
【0023】
図3及び図4を参照すると、カバー部材41は、底部311の前部に固定され、排気時負圧チャンバを確立するために用いられる。前記負圧チャンバは、カバー部材41と底部311とによって画定され、収容空間内に位置し、収容空間と連通する開放空間である。排気モジュール36が排気装置に連通された場合、前記開放空間の圧力が急激に低下するので、前記開放空間が負圧チャンバを形成しているにもかかわらず、前記開放空間の圧力は上方の収容空間の圧力よりも低くなる。図3に示すカバー部材41の位置から分かるように、前記負圧チャンバは、ほぼ開口部23の底側に位置し、前記對支持体34の間に延びる。また図3に示すカバー部材41の位置から分かるように、前記負圧チャンバは、ほぼ開口部33と支持体34との間に介在し、カバー部材41の取付位置が支持体34の底部位置よりも低い。
【0024】
上述の実施形態の構成から、吸気モジュール35及び排気モジュール36が先に底部311に結合されてから底板39を底部311に組み付けることが分かるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば他の可能な構成では、筐体内部は類似の構成を有することができるが、底板及び筐体の底部が結合されて基板容器のベース部を形成し、吸気モジュール及び排気モジュールを組み付けるためのスペースを確保できることで、底板を取り外す必要がない。
【0025】
図5は、ウェーハ(W)が格納されている場合の図3S-S’線に沿った断面図である。図に示すように、カバー部材41は、基本的に前記一対の支持体34の間に延びる長さ411及び開口部33と支持体34との間に延びる幅412を有する細長いシェルである。長さ411及び幅412は、前記負圧チャンバが底部311をカバーする矩形の被覆面積を有することを決定する。カバー部材41の頂部には長さ411と基本的に平行な排気長孔413が画定されるが、本発明はこれに限定されない。カバー部材41は、基本的に格納されているウェーハ(W)の下に位置する。好ましくは、ウェーハ(W)の周囲の気体が収容空間内で構築した負圧チャンバによって効果的に捕捉され得るように、カバー部材41及び排気長孔413は、ウェーハ(W)によって覆われる範囲を超えている。他の可能な実施形態において、例えば底部311の利用面積が十分である例では、カバー部材41又は排気長孔413は、ウェーハ(W)の周囲の気流パターンに合わせる他の形状を有してもよい。
【0026】
図6は、カバー部材41と2つの排気孔312との関係を示している図5の部分的拡大図である。排気孔312は、底部311の貫通孔で、図4に示す排気モジュール36と連通している。排気孔312及び排気モジュール36は、同軸又は位置ずれの関係にあってもよい。カバー部材41は、2つの排気孔312を遮蔽し、排気孔312がカバー部材41によって画定される負圧チャンバ内で完全に覆われる。勿論、本発明は、排気孔312が負圧チャンバによって覆われなければならないことを除外するものではない。排気長孔413の開口幅414は、基本的に排気孔312の直径よりも小さい。しかしながら、開口幅414は小さすぎてはならず、小さすぎると流量が低下し、開口部33近傍の全ての気体を捕捉するのに役立たない。
【0027】
図7は、カバー部材41と筐体31の底部311及び排気モジュール36との間の構造的関係を明確に示している図4の部分的拡大図である。底部311の前部は、互いに平行な高い面313と低い面314とを備えた階段構造である。カバー部材41は、底部311の低い面314に固定され、低い面314と共に開放の負圧チャンバ415を画定する。負圧チャンバ415は、平坦な空間であるが、前記チャンバが横方向に延び、排気孔312を覆っている。好ましくは、カバー部材41の頂部は、底部311の高い面313の延長平面(図に示すように高い面313から頂部まで延びる破線(P))よりも低いか等しく、支持体34の最下段に格納されるウェーハ(W)とカバー部材41との間に十分な空間があることを確保する。ロボットアームでウェーハカセットを出し入れする時、ロボットアームの前端(front end)は、カバー部材41によって妨げられることなく、最下段のウェーハの下に挿入して出し入れするのに十分なスペースを有する。
【0028】
負圧チャンバ415は、上方の排気長孔413を介して収容空間と連通し、下方の排気孔312を介して排気モジュール36と連通することで、収容空間の気体は排気長孔413、負圧チャンバ415及び排気モジュール36を順次経由して排出されることができる。図に示す排気長孔413と排気孔312又は排気モジュール36とは、位置ずれ関係にあってもよいが、同軸関係にあってもよい。排気長孔413は、捕捉ニーズに応じてカバー部材41の前部又は後部により近くてもよい。本実施形態の排気長孔413は、ウェーハ(W)の下面に面するように構成される。ウェーハカセットの全体的な排気性能は、例えば排気長孔413の幅414及び数、負圧チャンバ415のアスペクト比及び排気孔312の数及び直径の様々な寸法の影響を受けていることが理解されたい。前記負圧チャンバ415のアスペクト比は、チャンバの高さをチャンバの長さ又は幅で割って得られる。代替的に追加のカバー部材は、筐体31の他の表面(例えば支持体34と開口部33と間にある前記一対の側壁の内面、又は筐体31の頂部)に固定され、追加で設けられた経路を介して排気モジュール36と連通する。
【0029】
図に示すように、本実施形態の排気長孔413は、階段構造を有し、前記階段構造はカバー部材41の頂面と排気長孔413を取り囲む環状支持面とによって画定される。フィルタ部材(F)は、その形状が排気長孔413の形状(図5に示す両端に円弧を有する細長い形状)に合わせ、環状支持面に配置されることができ、負圧チャンバ415に流入する空気をろ過するために用いられる。フィルタ部材(F)は、交換可能で通気性のあるフィルターメンブレンであり得る。カバー部材41の頂面には、排気長孔413を取り囲む1つ又は複数のフィルタ部材(F)が排気長孔413から外れるのを制限するためのストッパー板416が設けられる。流量を増やすなどの他の考慮では、フィルタ部材(F)を取り外せる。
【0030】
このような負圧チャンバ415を形成することは有利である。背景技術に記載されているように、2つの排気孔312を介してのみ収容空間と連通する場合、排気孔312に対応する2つの排気モジュール36は流量の異なる可能性があることで、排気時収容空間の空気圧分布が対称でなくなり、片側の気体捕捉効率が低下してしまう。本発明が提案する負圧チャンバ415は、収容空間と排気孔312との間に介在する。2つの排気モジュール36の気流性能が異なる場合において、負圧チャンバ415が2つの排気孔312を覆っているため、気体をその中で均一に拡散させて、より同じ空気圧を得ることができる。排気長孔413は、負圧チャンバ415の拡散効果に基づいて2つの排気孔312が実質的に同じ気圧に達するようにし、気体が排気長孔413を均一に経由して2つの排気孔312から外部に排出される。
【0031】
図8A及び図8Bは、本発明の別の変形例を示している。カバー部材81は、基本的に、長さ及び幅を有し、排気孔312をカバーする矩形の被覆面積を画定する細長いシェルである。前述の実施形態と比較して、カバー部材81の頂部にある排気長孔813は、より大きな開口幅814を有し、負圧チャンバの気体捕捉範囲を増加させる。図示されていないが、前述の類似の手段により排気長孔813にフィルタ部材が設けられてもよい。
【0032】
図9A及び図9Bは、本発明のまた別の変形例を示している。カバー部材91は、基本的に、長さ及び幅を有し、排気孔312をカバーする矩形の被覆面積を画定する細長いシェルである。前述の実施形態と比較して、カバー部材91の頂部にある排気長孔913は、前部に近く、開口幅914を有する。図9Bに示すように、カバー部材91の頂部は、前部に向けて下方に傾斜する傾斜面を有し、排気長孔913が前記傾斜面上に画定され、排気長孔913を開口部33に面させ、開口部33近傍の気体をより補足しやすい。図示されていないが、前述の類似の手段により排気長孔913にフィルタ部材が設けられてもよい。
【0033】
図10A及び図10Bは、本発明の更なる変形例を示している。カバー部材101は、基本的に、長さ及び幅を有し、排気孔312をカバーする矩形の被覆面積を画定する細長いシェルである。前述の実施形態と比較して、カバー部材101の頂部にある2つの排気長孔1013、1013’は、それぞれ頂部の平坦面及び傾斜面に位置することで、ウェーハ前部の気体及び開口部33近傍の気体を捕捉できる。図示されていないが、前述の類似の手段により排気長孔1013、1013’にフィルタ部材が設けられてもよい。
【0034】
図11は、基板容器の後部の構成を示している本発明の基板容器の断面図である。基板容器の内部には、底部311の高い面313から上方に延びる結合構造111が設けられる。結合構造111は、基板容器の底部311を貫通する吸気孔又は吸気通路を有する。多孔管117の底部は、嵌め輪118を介して結合構造111を外嵌する。気体カートリッジ112は、基板容器の底部311に結合され、2つの結合構造111にまたがる緩衝チャンバを画定する。図に一側の結合構造111及び吸気モジュール115のみが示されていることを理解されたい。吸気モジュール115は、底板119の開口部を介して気体カートリッジ112の底部に取り付けられ、これにより吸気モジュール115は気体を気体カートリッジ112の緩衝チャンバに充填し、さらに結合構造111を介して多孔管117にそれぞれ送ることができる。
【0035】
上述の実施形態で開示された負圧チャンバは、カバー部材と筐体の底部の上面によって画定されるが、他の可能な実施形態において、負圧チャンバはカバー部材と筐体の底部の下面によって画定されてもよい。又は、負圧チャンバは、筐体の底部の構造によって画定されてもよい。これらの可能な実施形態は、いずれも本発明の範囲から逸脱しない。
【0036】
上述の詳細な説明は、本発明の実施可能な実施形態を具体的に説明してものであるが、特許請求の範囲から逸脱することなく特定の変更と修正を行うことができるのは、当業者には明らかである。したがって、上記実施形態は限定ではなく例示のみを目的としており、かつ本発明は本明細書に記載の詳細に限定されないが、添付する特許請求の範囲における記載の範囲内及び均等物で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
101......................カバー部材
111......................結合構造
112......................気体カートリッジ
1013....................排気長孔
1013’..................排気長孔
11........................筐体
12........................ドア
13........................開口部
14........................支持体
15........................吸気モジュール
115......................吸気モジュール
16........................排気モジュール
17........................多孔管
117......................多孔管
118......................嵌め輪
19........................底板
119......................底板
21........................気体供給装置
22........................排気装置
31........................筐体
311......................底部
312......................排気孔
313......................高い面
314......................低い面
33........................開口部
34........................支持体
35........................吸気モジュール
36........................排気モジュール
39........................底板
41........................カバー部材
411......................長さ
412......................幅
413......................排気長孔
414......................開口幅
415......................負圧チャンバ
416......................ストッパー板
81........................カバー部材
813......................排気長孔
814......................開口幅
91........................カバー部材
913......................排気長孔
914......................開口幅
F..........................フィルタ部材
P..........................破線
W..........................ウェーハ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11