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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025621
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】樋部材および屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/064 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
E04D13/064 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207699
(22)【出願日】2022-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2022128540
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】315019894
【氏名又は名称】株式会社杉孝グループホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】川久 亮祐
(57)【要約】
【課題】低コストで設置できかつ屋根材上の雨水を確実に排水可能な樋部材、および、この樋部材を用いた屋根構造を提供すること。
【解決手段】樋部材15は、互いに略平行な一対の布材14A、14B同士の間に架設されて、防音パネル17A、17Bの端縁を支持するとともに防音パネル17A、17B上の水を排出する。樋部材15は、溝状の樋本体30と、樋本体30に設けられて防音パネル17A、17Bの端縁を保持する第1~第3パネル材保持部31~33と、樋本体30に設けられて布材14Aに連結される第1連結部34と、樋本体30に設けられて布材14Bに連結される第2連結部35と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに略平行な一対の水平部材同士の間に架設されて、パネル材の端縁を支持するとともに前記パネル材上の水を排出する樋部材であって、
溝状の樋本体と、
前記樋本体に設けられて前記パネル材の端縁を保持するパネル材保持部と、
前記樋本体に設けられて前記一対の水平部材の一方に連結される第1連結部と、
前記樋本体に設けられて前記一対の水平部材の他方に連結される第2連結部と、を備えることを特徴とする樋部材。
【請求項2】
前記パネル材は、矩形枠状の枠材と、前記枠材に取り付けられたパネル材本体と、を備え、
前記枠材には、貫通孔が形成され、
前記パネル材保持部は、前記パネル材の貫通孔に挿通されるピンを備えることを特徴とする請求項1に記載の樋部材。
【請求項3】
前記第1連結部には、前記一方の水平部材に側方から嵌合可能な切り欠きが形成されており、
前記第2連結部は、前記樋本体に仮固定された第2連結部本体と、前記第2連結部本体に回転可能に設けられた支柱と、前記支柱に設けられて前記他方の水平部材に連結されるクランプと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の樋部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の一対の樋部材と、前記一対の樋部材同士の間に架設された第2樋部材と、前記樋部材および前記第2樋部材に端縁が支持されたパネル材と、を備えることを特徴とする屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樋部材、および、この樋部材を用いた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建設現場には、仮設通路が設けられる場合がある(特許文献1、2参照)。
特許文献1には、相互に平行な複数の屋根板支持パイプを有する天井フレームを有し、天井フレームの一端部には第1の側面フレームが取り付けられ、他端部には第2の側面フレームが取り付けられた仮設通路が示されている。それぞれの側面フレームは、天井フレームに開閉自在に取り付けられた開閉支柱と、これらの開閉支柱に摺動自在に嵌合されるとともに相互に安全柵により連結された摺動支柱とを有している。天井フレームの上に配置される屋根板は、係合部材とクランプ具とにより着脱自在に締結される。
特許文献2には、舗装歩道と、左右の壁体と、屋根とから構成される仮設通路の構造が示されている。壁体は、複数のパネルにより構成され、下端部で舗装歩道の両側を密閉する。屋根は、壁体の上端部より外側に張り出すと共に、壁体の上端部との間に、雨水が吹き込まない程度の隙間を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-3578号公報
【特許文献2】特開2019-52436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の仮設通路では、仮設通路の長さ方向に屋根材を並べる必要がある。この場合、屋根材同士の隙間から、通路内に雨水が漏れる場合があった。
【0005】
本発明は、低コストで設置できかつ屋根材上の雨水を確実に排水可能な樋部材、および、この樋部材を用いた屋根構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の樋部材(例えば、後述の樋部材15)は、互いに略平行な一対の水平部材(例えば、後述の布材14A、14B)同士の間に架設されて、パネル材(例えば、後述の防音パネル17A、17B)の端縁を支持するとともに前記パネル材上の水を排出する樋部材であって、溝状の樋本体(例えば、後述の樋本体30)と、前記樋本体に設けられて前記パネル材の端縁を保持するパネル材保持部(例えば、後述の第1~第3パネル材保持部31~33)と、前記樋本体に設けられて前記一対の水平部材の一方に連結される第1連結部(例えば、後述の第1連結部34)と、前記樋本体に設けられて前記一対の水平部材の他方に連結される第2連結部(例えば、後述の第2連結部35)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、一対の水平部材間に架設された樋部材と、この樋部材に支持されたパネル材と、を含んで仮設屋根を構成した。よって、長さ方向に並んだパネル材同士の隙間に流れ込んだ雨水は、樋部材を通して排水されるから、屋根上の雨水を確実に排水できる。
また、一対の水平部材が設置されていれば、本発明の樋部材を用いることにより、パネル材を屋根材として利用できるので、低コストで仮設屋根を設置できる。
また、一対の水平部材を設置できるのであれば、楔式足場、枠組足場、単管足場などの種々の足場材を用いた仮設通路に適用でき、汎用性が高い。
また、従来のように、トタン板や桟木を用いて仮設屋根を架設した場合と比べて、番線や固定金具が不要であり、施工性を向上できる。
【0008】
請求項2に記載の樋部材は、前記パネル材は、矩形枠状の枠材(例えば、後述の枠材20)と、前記枠材に取り付けられたパネル材本体(例えば、後述のパネル材本体21)と、を備え、前記枠材には、貫通孔(例えば、後述の貫通孔22)が形成され、前記パネル材保持部は、前記パネル材の貫通孔に挿通されるピン(例えば、後述のピン47、62)を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、パネル材として既製品である防音パネルを用いたので、仮設屋根を低コストで架設できる。
【0010】
請求項3に記載の樋部材は、前記第1連結部には、前記一方の水平部材に側方から嵌合可能な切り欠き(例えば、後述の切り欠き56)が形成されており、前記第2連結部は、前記樋本体に仮固定された第2連結部本体(例えば、後述の第2連結部本体70)と、前記第2連結部本体に回転可能に設けられた支柱(例えば、後述の支柱71)と、前記支柱に設けられて前記他方の水平部材に連結されるクランプ(例えば、後述のクランプ73)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第2連結部の支柱上のクランプの位置を適宜調整しておき、第1連結部の切り欠きを一方の水平部材に嵌合し、第2連結部のクランプを他方の水平部材に連結することで、パネル材の水平面に対する傾斜角を任意の角度に設定できる。
【0012】
請求項4に記載の屋根構造(例えば、後述の仮設通路1)は、上述の一対の樋部材と、前記一対の樋部材同士の間に架設された第2樋部材(例えば、後述の第2樋部材16)と、前記樋部材および前記第2樋部材に端縁が支持されたパネル材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、樋部材同士の間に第2樋部材を架設し、パネル材の端縁を樋部材および第2樋部材で支持した。よって、幅方向に並んだパネル材同士の隙間に流れ込んだ雨水が、第2樋部材および樋部材を通して排水されるから、屋根上の雨水をより確実に排水できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コストで設置できかつ屋根材上の雨水を確実に排水可能な樋部材、および、この樋部材を用いた屋根構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る仮設通路の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る仮設通路の縦断面図である。
図3】第1実施形態に係る仮設通路を構成する防音パネルの斜視図である。
図4】第1実施形態に係る仮設通路を構成する樋部材の斜視図である。
図5】樋部材の側面図である。
図6】樋部材を構成する樋本体の斜視図である。
図7】樋本体の側面図である。
図8】第1実施形態に係る仮設通路を構成する第2樋部材の斜視図である。
図9図4の樋部材の一端側(破線Aで囲んだ部分)の斜視図である。
図10】樋部材を構成する第1連結部の斜視図である。
図11図4の樋部材の中央部(破線Bで囲んだ部分)の斜視図である。
図12】樋部材を構成する第2パネル材保持部の斜視図である。
図13図4の樋部材の他端側(破線Cで囲んだ部分)の斜視図である。
図14】樋部材を構成する第2連結部の側面図である。
図15図14の第2連結部のD-D断面図である。
図16】樋部材を構成する第2連結部の第2連結部本体の斜視図である。
図17】第2連結部を構成する支柱を畳んだ状態を示す側面図である。
図18】本発明の第2実施形態に係る仮設通路の縦断面図である。
図19】本発明の第3実施形態に係る樋部材の斜視図である。
図20図19の樋部材の中央部(破線Eで囲んだ部分)の斜視図である。
図21】防音パネルを取り付けた状態の樋部材の断面図である。
図22】樋部材に取り付けられる係止部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る屋根構造が適用された仮設通路1の斜視図である。図2は、仮設通路1の縦断面図である。
仮設通路1は、例えば建設現場の敷地内に設置された所定長さを有する通路である。この仮設通路1は、建地10、根がらみ11、根がらみ12、腕木13、水平部材としての布材14A、14B、樋部材15、第2樋部材16、およびパネル材としての防音パネル17A、17Bを含んで構成されている。
【0017】
建地10は、仮設通路1の長さ方向に沿って所定間隔おきに2列設けられている。
根がらみ11は、仮設通路1の幅方向に隣接する建地10の下端部同士を連結する。
根がらみ12は、仮設通路1の長さ方向に隣接する建地10の下端部同士を連結する。
腕木13は、仮設通路1の幅方向に隣接する建地10の上端部同士を連結する。
【0018】
布材14A、14Bは、仮設通路1の長さ方向に隣接する建地10の上端部同士を連結する。この布材14A、14Bは、2列(一対)設けられており、これら2列の布材14A、14Bのうちの一方を布材14Aとし、他方を布材14Bとする。
樋部材15は、仮設通路1の幅方向に延びて布材14A、14B同士の間に所定間隔おきに架設されている。
第2樋部材16は、隣り合う樋部材15の中央部同士の間に架設されている。
【0019】
防音パネル17A、17Bは、仮設通路1の長さ方向に沿って2列配置されている。この防音パネル17A、17Bは、水平面に対して傾斜した状態で、樋部材15および第2樋部材16に端縁で支持されている。これら2列の防音パネル17A、17Bのうちの一方を防音パネル17A、他方を防音パネル17Bとする。
よって、仮設通路1の長さ方向に並んだ防音パネル17A、17B同士の間には、樋部材15が配置され、仮設通路1の幅方向に並んだ防音パネル17A、17B同士の間には、第2樋部材16が配置されている。
【0020】
図3は、防音パネル17A、17Bの斜視図である。
防音パネル17A、17Bは、解体工事の外部足場に取り付けられる遮音性の高いパネル材である。この防音パネル17A、17Bは、それぞれ、矩形枠状の枠材20と、枠材20の内側に取り付けられたパネル材本体21と、を備える。枠材20の長辺方の両端側には、図示しないクランプの爪が貫通するための貫通孔22が形成されている。
【0021】
図4は、樋部材15の斜視図である。図5は、樋部材15の側面図である。
樋部材15は、互いに略平行な一対の布材14A、14B同士の間に架設されて、2列の防音パネル17A、17Bを水平面に対して傾斜した状態で支持するとともに、この傾斜した防音パネル17A、17B上の水を排出するものである。
樋部材15は、樋本体30、第1パネル材保持部31、第2パネル材保持部32、第3パネル材保持部33、第1連結部34、および第2連結部35を備える。
樋本体30は、溝状であり、所定長さを有している。
第1パネル材保持部31は、図2にも示すように、樋本体30の一端側に設けられて防音パネル17Aの一端縁を保持する。
【0022】
第2パネル材保持部32は、図2にも示すように、樋本体30の中央部に設けられて防音パネル17Aの他端縁および防音パネル17Bの一端縁を保持する。
第3パネル材保持部33は、図2にも示すように、樋本体30の他端側に設けられて防音パネル17Bの他端縁を保持する。
第1連結部34は、図2にも示すように、樋本体30の一端側に設けられて布材14Aに連結される。
第2連結部35は、図2にも示すように、樋本体30の他端側に設けられて布材14Bに連結される。
【0023】
図6は、樋本体30の斜視図である。図7は、樋本体30の側面図である。
樋本体30は、溝部40と、溝部40の下面に沿って延びるレール41と、溝部40とレール41とを連結する連結部42と、を備える。
溝部40は、断面視で上方が開放された略コの字形状であり、平板部43と、この平板部43の両端から上方に延びる一対の壁部44と、を備える。溝部40の壁部44の中央部には、第2樋部材16が嵌合される切り欠き45が形成されている。
レール41の側面には、連結部34、35を仮固定するための貫通孔46が複数設けられている。
第1パネル材保持部31は、溝部40の一端側に取り付けられており、防音パネル17Aの一端側の貫通孔22に挿通されるピン47を備えている(図9参照)。
【0024】
図8は、第2樋部材16の斜視図である。第2樋部材16は、溝状であり、所定長さを有している。具体的には、第2樋部材16は、断面視で上方が開放された略コの字形状である。この第2樋部材16の下面の両端には、それぞれ、第2樋部材16の幅方向に延びる一対の鍔部48が形成されている。第2樋部材16を溝部40の壁部44の切り欠き45に嵌め込むとともに、溝部40の壁部44を第2樋部材16の一対の鍔部48の間に差し込むことで、第2樋部材16が樋部材15の溝部40に取り付けられる。
【0025】
図9は、図4の樋部材15の一端側(破線Aで囲んだ部分)の斜視図である。図10は、第1連結部34の斜視図である。
第1連結部34は、断面視で下方が開放された略コの字形状であり、平板部50と、この平板部50の両端から下方に延びる一対の壁部51と、を備える。
第1連結部34には、樋本体30のレール41が挿通されている。この第1連結部34の一対の壁部51には、貫通孔52が形成されており、これら貫通孔52には、ボルト53が挿通されている。これにより、第1連結部34がレール41から脱落することなく、レール41に沿って移動可能となっている。
【0026】
また、第1連結部34の一対の壁部51には、貫通孔54が形成されており、この貫通孔54およびレール41の貫通孔46にピン55を差し込むことで、第1連結部34がレール41上の所定位置に仮固定される。
また、第1連結部34の壁部51の水平方向一端側には、切り欠き56が形成されており、布材14Aはこの切り欠き56に側方から嵌合可能となっている。
【0027】
図11は、図4の樋部材15の中央部(破線Bで囲んだ部分)の斜視図である。図12は、第2パネル材保持部32の斜視図である。
第2パネル材保持部32は、断面視で上方が開放された略コの字形状であり、平板部60と、この平板部60の両端から上に延びる一対の壁部61と、を備える。
一対の壁部61の上端側には、それぞれ、ピン62が設けられており、これらピン62は、防音パネル17Aの他端側の貫通孔22および防音パネル17Bの一端側の貫通孔22に挿通される。
第2パネル材保持部32は、樋本体30のレール41に取り付けられている。この第2パネル材保持部32の平板部60および一対の壁部61には、それぞれ、貫通孔63が形成されており、各貫通孔63には、ボルト64が螺合されている。ピン62が防音パネル17A、17Bの貫通孔22に挿通された状態で、これら3本のボルト64を適宜締め付けることにより、第2パネル材保持部32がレール41に仮固定される。
【0028】
図13は、図4の樋部材15の他端側(破線Cで囲んだ部分)の斜視図である。図14は、第2連結部35の側面図である。図15は、図14の第2連結部35のD-D断面図である。
第3パネル材保持部33は、第2パネル材保持部32と同様の構成であり、第2パネル材保持部32を樋本体30に逆向きに取り付けたものである。第3パネル材保持部33のピン62は、防音パネル17Bの他端側の貫通孔22に挿通される。
第2連結部35は、レール41上の所定位置に仮固定された第2連結部本体70と、第2連結部本体70に回転可能に連結された支柱71と、支柱71を第2連結部本体70に対して所定の姿勢で仮固定する板ばね72と、支柱71の所定箇所に取り付けられて布材14Bに連結されるクランプ73(図2参照)と、を備える。
【0029】
支柱71には、長さ方向に沿って所定間隔おきに貫通孔74が形成されており、これら貫通孔74の中から適宜選択してクランプ73が取り付けられている(図2図4参照)。このようにすることで、防音パネル17A、17Bの水平面に対する傾斜角を任意の角度に設定できる。
また、支柱71の上部には、貫通孔75、76が形成されている。
【0030】
図16は、第2連結部本体70の斜視図である。
第2連結部本体70は、断面視で下方が開放された略コの字形状であり、平板部80と、この平板部80の両端から下方に延びる一対の壁部81と、を備える。
第2連結部本体70には、樋本体30のレール41が挿通されている。第2連結部本体70の一対の壁部81には、貫通孔82が形成されており、この貫通孔82およびレール41の貫通孔46にピン83を差し込むことで、第2連結部本体70がレール41上の所定位置に仮固定される。
また、第2連結部本体70の一対の壁部81には、貫通孔84が形成されており、これら貫通孔84および支柱71の貫通孔75には、ボルト85が挿通されている。これにより、第2連結部本体70がレール41から脱落することなく、レール41に沿って移動可能となるとともに、支柱71が第2連結部本体70に対して回転可能となっている。
また、第2連結部本体70の一対の壁部81には、貫通孔86A、86Bが形成されている。
【0031】
板ばね72は、略コの字形状の板ばね本体77と、この板ばね本体77の両端に設けられた押圧部78と、を備える。この板ばね72は、支柱71の内部に収容されており、板ばね72の押圧部78は、支柱71の貫通孔76および第2連結部本体70の貫通孔86Aに嵌合されている。この状態では、支柱71は、樋本体30の長さ方向に対して略直交した姿勢となっている。
また、ボルト85は、板ばね本体77を貫通しており、これにより、板ばね72の脱落が防止されている。
この板ばね72の押圧部78を指で押し込んで、押圧部78の第2連結部本体70の貫通孔86Aに対する嵌合を解除し、この状態で、支柱71を回転させる。そして、押圧部78を第2連結部本体70の貫通孔86Bに嵌合することで、図5中の破線および図17に示すように、支柱71が畳まれて、樋本体30の長さ方向に沿った姿勢となる。
【0032】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)一対の水平部材としての布材14A、14B間に架設された樋部材15と、この樋部材15に支持された防音パネル17A、17Bと、を含んで仮設通路1を構成した。よって、仮設通路1の長さ方向に並んだ防音パネル17A、17B同士の隙間に流れ込んだ雨水は、樋部材15を通して排水されるから、屋根上の雨水を確実に排水できる。
また、一対の布材14A、14Bが設置されていれば、樋部材15を用いることにより、防音パネル17A、17Bを屋根材として利用できるので、低コストで仮設通路1を設置できる。
また、一対の水平部材が設置できるのであれば、楔式足場、枠組足場、単管足場などの種々の足場材を用いた仮設通路に適用でき、汎用性が高い。
また、従来のように、トタン板や桟木を用いて仮設屋根を架設した場合と比べて、番線や固定金具が不要であり、施工性を向上できる。
【0033】
(2)パネル材として既製品である防音パネル17A、17Bを用いたので、仮設屋根を低コストで架設できる。
(3)第2連結部35の支柱71上のクランプ73の位置を適宜調整しておき、第1連結部34の切り欠き56を布材14Aに嵌合し、第2連結部35のクランプ73を布材14Bに連結することで、防音パネル17A、17Bの水平面に対する傾斜角を任意の角度に設定できる。
(4)仮設通路の幅寸法が変化した場合であっても、樋本体30に対する第1連結部34および第2連結部35の取り付け位置を適宜調整することで、第1連結部34と第2連結部35との間隔を調整して、容易に対応できる。
【0034】
(5)樋部材15同士の間に第2樋部材16を架設し、防音パネル17A、17Bの端縁を樋部材15および第2樋部材16で支持した。よって、仮設通路1の幅方向に並んだ防音パネル17A、17B同士の隙間に流れ込んだ雨水が、第2樋部材16および樋部材15を通して排水されるから、円滑な排水が可能となる。
【0035】
〔第2実施形態〕
図18は、本発明の第2実施形態に係る仮設通路1Aの縦断面図である。
本実施形態では、第2連結部35Aの構成が、第1実施形態と異なる。
すなわち、第2連結部35Aは、第1実施形態の支柱71を備えておらず、クランプ73が第2連結部本体70に取り付けられている。
本実施形態によれば、上述の(1)、(2)、(4)、(5)と同様の効果がある。
【0036】
〔第3実施形態〕
図19は、本発明の第3実施形態に係る樋部材15Bの斜視図である。図20は、図19の樋部材15Bの中央部(破線Eで囲んだ部分)の斜視図である。図21は、防音パネル17A、17Bを取り付けた状態の樋部材15Bの断面図である。図22は、樋部材15Bに取り付けられる係止部91の分解斜視図である。なお、図21および図22では、樋部材15Bのレール41の表示を省略している。
本実施形態では、第1パネル材保持部31B、第2パネル材保持部32B、第3パネル材保持部33Bの構造が、第1実施形態と異なる。
【0037】
すなわち、第1パネル材保持部31Bは、防音パネル17Aの下端の貫通孔22に挿通されるピン90と、防音パネル17Aの側端部に係止する一対の係止部91と、を備える。
第2パネル材保持部32Bは、防音パネル17A、17Bの側端部に係止する二対の係止部91を備える。
第3パネル材保持部33Bは、防音パネル17Bの上端の貫通孔22に挿通されるピン92と、防音パネル17Bの側端部に係止する一対の係止部91と、を備える。
【0038】
図21に示すように、防音パネル17A、17Bの枠材20の下端部には、顎部18が設けられている。
樋本体30の溝部40のうち係止部91が設けられる部分には、壁部44に貫通孔93が設けられ、この壁部44の内側には、貫通孔93に連通するナット94が設けられている。また、樋本体30の溝部40のうち係止部91が設けられる部分には、溝部40の幅方向略中央に中央壁部49が設けられている。
係止部91は、防音パネル17A、17Bの顎部18に係止する一対の爪部95と、一対の爪部95同士を連結する連結部96と、を備える。連結部96には、貫通孔97が設けられている。
係止部91の貫通孔97および壁部44の貫通孔93にボルト98を挿通して、ナット94に螺合することで、係止部91が樋本体30の溝部40に仮固定される。
【0039】
樋部材15Bに防音パネル17A、17Bを取り付ける手順は、以下のようになる。
まず、ボルト98を取り外して、係止部91を取り外す。
次に、ピン90、92を防音パネル17A、17Bの貫通孔22に差し込みつつ、防音パネル17A、17Bを樋部材15Bに載せる。
次に、係止部91の爪部95を防音パネル17A、17Bの顎部18に引っ掛けるようにして、係止部91を配置する。
次に、ボルト98を係止部91の貫通孔97を通してナット94に螺合させて、係止部91を樋部材15Bの樋本体30に仮固定する。これにより、防音パネル17A、17Bは、樋部材15Bに仮固定される。
本実施形態によれば、上述の(1)、(2)、(4)、(5)と同様の効果がある。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
1、1A…仮設通路(屋根構造) 10…建地 11…根がらみ 12…根がらみ
13…腕木 14A、14B…布材(水平部材) 15、15B…樋部材
16…第2樋部材 17A、17B…防音パネル(パネル材) 18…顎部
20…枠材 21…パネル材本体 22…貫通孔
30…樋本体 31、31B…第1パネル材保持部
32、32B…第2パネル材保持部 33、33B…第3パネル材保持部
34…第1連結部 35、35A…第2連結部
40…溝部 41…レール 42…連結部 43…平板部 44…壁部
45…切り欠き 46…貫通孔 47…ピン 48…鍔部 49…中央壁部
50…平板部 51…壁部 52…貫通孔 53…ボルト
54…貫通孔 55…ピン 56…切り欠き
60…平板部 61…壁部 62…ピン 63…貫通孔 64…ボルト
70…第2連結部本体 71…支柱 72…板ばね 73…クランプ
74…貫通孔 75…貫通孔 76…貫通孔
77…板ばね本体 78…押圧部
80…平板部 81…壁部 82…貫通孔 83…ピン 84…貫通孔
85…ボルト 86A…貫通孔 86B…貫通孔
90…ピン 91…係止部 92…ピン 93…貫通孔 94…ナット
95…爪部 96…連結部 97…貫通孔 98…ボルト
図1
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