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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025625
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】プリント回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240216BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20240216BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20240216BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
H05K1/11 H
H05K3/40 E
H05K3/42 610B
H05K3/40 K
H05K1/11 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001876
(22)【出願日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】10-2022-0099855
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 秀娟
(72)【発明者】
【氏名】金 正守
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
【Fターム(参考)】
5E316AA04
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA38
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB03
5E316BB04
5E316CC04
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC33
5E316CC34
5E316CC37
5E316CC38
5E316CC39
5E316DD25
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE13
5E316EE33
5E316FF04
5E316FF07
5E316FF08
5E316FF09
5E316FF10
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH32
5E316JJ12
5E316JJ13
5E316JJ22
5E316JJ26
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB12
5E317BB13
5E317BB14
5E317BB15
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD25
5E317CD32
5E317CD34
5E317GG16
(57)【要約】
【課題】基板の製造リードタイムを短縮することができ、コア層の厚さが厚い場合にも貫通孔内部の充填が容易であるプリント回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本開示は、第1絶縁層と、上記第1絶縁層を貫通する貫通孔と、上記貫通孔に配置され、上記第1絶縁層の上面及び下面からそれぞれ上記貫通孔の内側にリセスされた第1及び第2溝部を有するビア導体層と、上記第1絶縁層の少なくとも一部を貫通するキャビティと、上記キャビティに配置される電子部品と、上記第1絶縁層の少なくとも一部を覆い、上記貫通孔及び上記キャビティのそれぞれの少なくとも一部を満たす第2絶縁層と、を含むプリント回路基板及びその製造方法に関するものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に配置され、前記第1絶縁層の上面及び下面からそれぞれ前記貫通孔の内側にリセスされた第1溝部及び第2溝部を有するビア導体層と、
前記第1絶縁層の少なくとも一部を貫通するキャビティと、
前記キャビティに配置される電子部品と、
前記第1絶縁層の少なくとも一部を覆い、前記貫通孔及び前記キャビティのそれぞれの少なくとも一部を満たす第2絶縁層と、を含む、プリント回路基板。
【請求項2】
前記ビア導体層は、
前記貫通孔の内壁に配置された第1導体層、及び
前記第1導体層から延びて前記貫通孔の中心部に配置され、前記第1溝部及び前記第2溝部を物理的に分離させる第2導体層を含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記第1導体層及び前記第2導体層は、パルスめっき層を含む、請求項2に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記第2絶縁層は、
前記第1絶縁層の上面上に配置され、前記第1溝部及び前記キャビティのそれぞれの少なくとも一部を満たす第2-1絶縁層、及び
前記第1絶縁層の下面上に配置され、前記第2溝部の少なくとも一部を満たす第2-2絶縁層を含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記貫通孔及び前記キャビティは、互いに離隔して配置され、前記第1絶縁層の上面及び下面間をそれぞれ貫通する、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記第1絶縁層の上面に配置される第1配線層と、
前記第1絶縁層の下面に配置される第2配線層と、をさらに含み、
前記ビア導体層は、前記第1絶縁層の上面及び下面に延長配置され、前記第1配線層及び前記第2配線層のそれぞれと電気的に連結される、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記ビア導体層の前記第1絶縁層の上面及び下面に延長配置された部分は、前記貫通孔の内壁に配置された部分より多数の導体層を含む、請求項6に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記第2絶縁層の上面に配置される第3配線層と、
前記第2絶縁層の一部を貫通し、前記第1配線層及び前記第3配線層を電気的に連結する第1ビアと、
前記第2絶縁層の下面に配置される第4配線層と、
前記第2絶縁層の他の一部を貫通し、前記第2配線層及び前記第4配線層を電気的に連結する第2ビアと、を含む、請求項7に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記第1絶縁層はCCL(Copper Clad Laminate)を含み、
前記第2絶縁層はABF(Ajinomoto Build‐up Film)を含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
第1絶縁層に貫通孔を形成する段階と、
前記貫通孔に前記第1絶縁層の上面及び下面からそれぞれ前記貫通孔の内側にリセスされる第1溝部及び第2溝部を有するビア導体層を形成する段階と、
前記第1絶縁層にキャビティを形成する段階と、
前記キャビティに電子部品を配置する段階と、
前記第1絶縁層上に第2絶縁層を積層し、前記貫通孔及び前記キャビティのそれぞれの少なくとも一部を前記第2絶縁層で満たす段階と、を含む、プリント回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1絶縁層上に前記第2絶縁層を積層する際に、前記貫通孔及び前記キャビティのそれぞれの少なくとも一部は、前記第2絶縁層で同時に満たされる、請求項10に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記キャビティは、前記第1絶縁層を貫通するように形成される、請求項10に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記電子部品を配置する段階は、
前記第1絶縁層の下側にテープを付着する段階、及び
前記キャビティを介して露出する前記テープ上に前記電子部品を付着する段階、を含む、請求項12に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記第2絶縁層を積層する段階は、
前記第1絶縁層の上側に第2-1絶縁層を積層して、前記第1溝部及び前記キャビティのそれぞれの少なくとも一部を満たす段階、
前記テープを除去する段階、及び
前記第1絶縁層の下側に第2-2絶縁層を積層して、前記第2溝部の少なくとも一部を満たす段階を含む、請求項13に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記ビア導体層を形成する段階は、
前記貫通孔の内壁に第1導体層を形成する段階、及び
前記貫通孔の中心部に前記第1導体層から延びて前記第1溝部及び前記第2溝部を物理的に分離させる第2導体層を形成する段階を含む、請求項10に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記第1導体層及び前記第2導体層はパルスめっきで形成される、請求項15に記載のプリント回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント回路基板及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、人工知能技術などの発達により幾何級数的に増加したデータを処理するために、HBM(High Bandwidth Memory、高帯域幅メモリ)などのメモリチップとCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、GPU(Graphics Processing Unit、グラフィックスプロセッシングユニット)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)などのプロセッサチップなどを含むマルチチップパッケージが開発されている。例えば、キャビティが形成されたパッケージ基板の内部に半導体チップなどの電子部品を埋め込み、配線長さを短縮して、回路処理速度を向上させたパッケージ技術の開発が活発に進められている。このようなパッケージ基板は、一般的にコア層にPTH(Plated Through Hole、めっきスルーホール)などを形成して電気的連結経路を提供している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の様々な目的の一つは、基板の製造リードタイムを短縮することができるプリント回路基板及びその製造方法を提供することである。
【0004】
本開示の様々な目的のもう一つは、コア層の厚さが厚い場合にも貫通孔内部の充填が容易であるプリント回路基板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示を介して提案する様々な解決手段の一つは、パルスめっき方式で貫通孔にブリッジめっき層を形成し、その後、ビルドアップ絶縁層を積層して貫通孔の充填と電子部品の埋め込み工程を実質的に同時に行うことである。
【0006】
例えば、一例によるプリント回路基板は、第1絶縁層と、上記第1絶縁層を貫通する貫通孔と、上記貫通孔に配置され、上記第1絶縁層の上面及び下面からそれぞれ上記貫通孔の内側にリセスされた第1及び第2溝部を有するビア導体層と、上記第1絶縁層の少なくとも一部を貫通するキャビティと、上記キャビティに配置される電子部品と、上記第1絶縁層の少なくとも一部を覆い、上記貫通孔及び上記キャビティのそれぞれの少なくとも一部を満たす第2絶縁層と、を含むものであることができる。
【0007】
例えば、一例によるプリント回路基板の製造方法は、第1絶縁層に貫通孔を形成する段階と、上記貫通孔の内壁にめっきを行い、上記貫通孔に上記第1絶縁層の上面及び下面からそれぞれ上記貫通孔の内側にリセスされる第1及び第2溝部を有するビア導体層を形成する段階と、上記第1絶縁層にキャビティを形成する段階と、上記キャビティに電子部品を配置する段階と、上記第1絶縁層上に第2絶縁層を積層して、上記貫通孔及び上記キャビティのそれぞれの少なくとも一部を上記第2絶縁層で満たす段階と、を含むものであることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の様々な効果のうち一つとして、基板の製作リードタイムを短縮させることができるプリント回路基板及びその製造方法を提供することができる。
【0009】
本開示の様々な効果のうちもう一つとして、コア層の厚さが厚い場合にも貫通孔内部の充填が容易であるプリント回路基板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電子機器システムの例を概略的に示すブロック図である。
図2】電子機器の一例を概略的に示した斜視図である。
図3】プリント回路基板の一例を概略的に示した断面図である。
図4図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
図5図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
図6図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
図7図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
図8図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
図9図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
図10図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
図11図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本開示について説明する。図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0012】
電子機器
図1は、電子機器システムの例を概略的に示したブロック図である。
【0013】
図面を参照すると、電子機器1000はメインボード1010を収容する。メインボード1010には、チップ関連部品1020、ネットワーク関連部品1030、及びその他の部品1040などが物理的及び/又は電気的に連結されている。これらは、後述する他の電子部品とも結合されて、様々な信号ライン1090を形成する。
【0014】
チップ関連部品1020としては、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリチップと、セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのアプリケーションプロセッサチップと、アナログ‐デジタルコンバータ、ASIC(application‐specific IC)などのロジックチップなどが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これ以外にもその他の形態のチップ関連の電子部品が含まれることもできる。さらに、これらのチップ関連部品1020を互いに組み合わせることもできる。チップ関連部品1020は、上述したチップや電子部品を含むパッケージ形態であることもできる。
【0015】
ネットワーク関連部品1030としては、Wi‐Fi(IEEE 802.11ファミリなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev‐DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、5G、及びそれ以降のものとして指定された任意の他の無線及び有線プロトコルが含まれるが、これらに限定されず、これ以外にもその他の多数の無線または有線標準やプロトコルのいずれかが含まれ得る。また、ネットワーク関連部品1030がチップ関連部品1020とともに互いに組み合わされることもできる。
【0016】
その他の部品1040としては、高周波インダクタ、フェライトインダクタ、パワーインダクタ、フェライトビーズ、LTCC(low Temperature Co‐Firing Ceramics、低温同時焼成セラミックス)、EMI(Electro Magnetic Interference、電磁干渉)フィルタ、MLCC(Multi‐Layer Ceramic Capacitor、多層セラミックキャパシタ)などが含まれる。但し、これらに限定されるものではなく、これ以外にもその他の様々な用途のために用いられるチップ部品の形態の受動素子などが含まれ得る。また、その他の部品1040をチップ関連部品1020及び/又はネットワーク関連部品1030と互いに組み合わせることもできる。
【0017】
電子機器1000の種類に応じて、電子機器1000は、メインボード1010に物理的及び/又は電気的に連結されるか、または連結されない他の電子部品を含むことができる。他の電子部品の例を挙げると、カメラモジュール1050、アンテナモジュール1060、ディスプレイ1070、バッテリー1080などがある。但し、これらに限定されるものではなく、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、羅針盤、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカー、大容量記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、CD(compact disk)、DVD(digital versatile disk)なども挙げられる。これ以外にも、電子機器1000の種類に応じて様々な用途のために用いられるその他の電子部品などが含まれることもできる。
【0018】
電子機器1000は、スマートフォン(smart phone)、個人用情報端末機(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニター(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビジョン(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモーティブ(Automotive)部品などであることができる。但し、これらに限定されず、これ以外にもデータを処理する任意の他の電子機器であることもできる。
【0019】
図2は、電子機器の一例を概略的に示した斜視図である。
【0020】
図面を参照すると、電子機器は例えば、スマートフォン1100であることができる。スマートフォン1100の内部には、マザーボード1110が収容されており、このようなマザーボード1110には様々な部品1120が物理的及び/又は電気的に連結されている。さらに、カメラモジュール1130及び/又はスピーカー1140のように、マザーボード1110に物理的及び/又は電気的に連結されるか、または連結されないこともできる他の部品が内部に収容されている。部品1120の一部は、上述したチップ関連部品であることができ、例えば、部品パッケージ1121であることができるが、これに限定されるものではない。部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品を含む電子部品が表面に実装配置されたプリント回路基板の形態であることができる。または、部品パッケージ1121は、能動部品及び/又は受動部品が内蔵されたプリント回路基板の形態であることもできる。一方、電子機器は必ずスマートフォン1100に限定されるものではなく、上述したように他の電子機器であることもできる。
【0021】
プリント回路基板
図3は、プリント回路基板の一例を概略的に示した断面図である。
【0022】
図面を参照すると、一例に係るプリント回路基板100は、第1絶縁層111、第1絶縁層111を貫通する貫通孔H、貫通孔Hに配置され、第1絶縁層111の上面及び下面からそれぞれ貫通孔Hの内側にリセスされた第1溝部h1及び第2溝部h2を有するビア導体層120、第1絶縁層111の少なくとも一部を貫通するキャビティC、キャビティCに配置される電子部品130、及び第1絶縁層111の少なくとも一部を覆い、貫通孔H及びキャビティCのそれぞれの少なくとも一部を満たす第2絶縁層112を含む。
【0023】
必要に応じては、一例に係るプリント回路基板100は、第1絶縁層111の上面に配置される第1配線層141、第1絶縁層111の下面に配置される第2配線層142、第2絶縁層112の上面に配置される第3配線層143、第2絶縁層112の一部を貫通して第1配線層141及び第3配線層143を電気的に連結する第1ビア151、第2絶縁層112の下面に配置される第4配線層144、第2絶縁層112の他の一部を貫通して第2配線層142及び第4配線層144を電気的に連結する第2ビア152、第2絶縁層112の上面上に配置され、第3配線層143の少なくとも一部を覆う第1レジスト層161、及び/または第2絶縁層112の下面上に配置され、第4配線層144の少なくとも一部を覆う第2レジスト層162をさらに含むことができる。
【0024】
このように、一例に係るプリント回路基板100は、貫通孔Hの充填と電子部品130の埋め込みが同一の第2絶縁層112によって行われることができる。したがって、基板の製作リードタイムを短縮させることができる。また、一例に係るプリント回路基板100は、ビア導体層120が貫通孔Hの中心部でブリッジされることができる。例えば、ビア導体層120は、貫通孔Hの内壁に配置された第1導体層aと第1導体層aから延びて貫通孔Hの中心部を塞ぐように配置された第2導体層bを含むことができる。第2導体層bによって第1溝部h1及び第2溝部h2は物理的に分離されることができる。第2絶縁層112は、第1絶縁層111の上面上に配置され、貫通孔Hの第1溝部h1とキャビティCのそれぞれの少なくとも一部を満たす第2-1絶縁層112-1と第1絶縁層111の下面上に配置され、第2溝部h2の少なくとも一部を満たす第2-2絶縁層112-2を含むことができる。したがって、第2絶縁層112による貫通孔Hの充填がより容易であることができる。また、プラグ工程を削除することができるため、基板ストレス減少及びめっき厚さ散布改善が可能である。また、プラグ材料の削除により絶縁材料の種類が減少して、材料間の熱膨張係数のミスマッチング及び信頼性リスクが減少することができるため、より高信頼性の確保が可能である。
【0025】
以下では、図面を参照して一例に係るプリント回路基板100の構成要素についてより詳細に説明する。
【0026】
第1絶縁層111はコア層であることができる。第1絶縁層111は絶縁物質を含むことができる。絶縁物質としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂やポリイミドなどの熱可塑性樹脂などの絶縁樹脂、またはこれらの樹脂がシリカなどの無機フィラーと混合された材料、または無機フィラーとともにガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、Glass Fabric)などの芯材に含浸された樹脂、例えば、プリプレグ(Prepreg)、CCL(Copper Clad Laminate、銅張積層板)などが用いられることができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
第2絶縁層112はビルドアップ絶縁層であることができる。第2絶縁層112も絶縁物質を含むことができる。絶縁物質としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂やポリイミドなどの熱可塑性樹脂などの絶縁樹脂、またはこれらの樹脂がシリカなどの無機フィラーと混合された材料、例えば、ABF(Ajinomoto Build‐up Film、味の素ビルドアップフィルム)などが用いられることができるが、これに限定されない。第2絶縁層112は、複数の層112-1、112-2で構成されることができ、これらは互いに境界なしに一体化するか、または互いに区分されることができる。これらの間の境界は、図示したよりも上側に形成されることもできる。例えば、第2-2絶縁層112-2は、キャビティCの少なくとも一部を満たすことができる。
【0028】
貫通孔Hは、第1絶縁層111の上面及び下面間を貫通することができる。断面上において、貫通孔Hは、第1絶縁層111の上面から第1絶縁層111の下面までの幅が実質的に同一の形態を有することができる。貫通孔Hの壁面としては、第1絶縁層111に含まれた無機フィラー及び/又はガラス繊維のそれぞれの少なくとも一部が突出されることができるが、これに限定されない。
【0029】
キャビティCは、貫通孔Hとは離隔して配置され、第1絶縁層111の上面及び下面間を貫通する貫通キャビティであることができる。断面上において、キャビティCは、第1絶縁層111の上面から第1絶縁層111の下面までの幅が実質的に同一の形態を有することができるが、これに限定されるものではなく、上面での幅が下面での幅より大きいテーパー形状を有することもできる。キャビティCの壁面には、第1絶縁層111に含まれた無機フィラー及び/またはガラス繊維のそれぞれの少なくとも一部が突出されることができるが、これに限定されない。
【0030】
ビア導体層120はパルスめっき層(Pulse Plating Layer)を含むことができる。例えば、ビア導体層120は、貫通孔Hの壁面に配置された第1導体層a及び貫通孔Hの中心部に配置された第2導体層bを含むことができる。このとき、第1導体層a及び第2導体層bは、パルスめっき層を含むことができる。第1導体層aは、無電解めっき層、例えば化学銅めっき層をさらに含むことができる。第1導体層a及び第2導体層bは、互いに境界なしに一体化して連結されることができる。第1導体層a及び第2導体層bは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの金属物質を含むことができる。好ましくは、銅(Cu)を含むことができるが、これに限定されない。ビア導体層120は、第1絶縁層111に複数個で形成されることができ、その数は特に限定されない。
【0031】
ビア導体層120は、第1絶縁層111の上面及び下面に延長配置されることができ、第1配線層141及び第2配線層142のそれぞれと電気的に連結されることができる。例えば、ビア導体層120は、第1絶縁層111の上面及び下面に配置された銅箔cをさらに含むことができ、第1導体層aは、銅箔c上に延長配置されることができる。この場合、ビア導体層120の第1絶縁層111の上面及び下面に延長配置された部分a、cは、貫通孔Hの内壁に配置された部分aよりも多数の導体層を含むことができる。
【0032】
電子部品130は、能動部品及び/または受動部品であることができる。能動部品は、半導体チップを含むことができる。受動部品は、チップタイプの受動部品、例えば、チップタイプのキャパシタ、チップタイプのインダクタなどであることができる。電子部品130は複数個であることができ、複数の電子部品130はキャビティCに一緒に埋め込まれたり、または第1絶縁層111に複数のキャビティCを形成した後に各キャビティCに埋め込むことができる。
【0033】
半導体チップは、数百から数百万個以上の素子が一つのチップ内に集積化された集積回路(IC:Integrated Circuit)ダイ(Die)を含むことができる。このとき、集積回路は、例えば、セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、アプリケーションプロセッサ(例えば、AP)、アナログ‐デジタルコンバータ、ASIC(application‐specific IC)などのロジックチップであることができるが、これに限定されず、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリ、HBM(High Bandwidth Memory)などのメモリチップ、またはPMIC(Power Management IC、電力管理集積回路)などの他の種類であることもできる。
【0034】
半導体チップは、アクティブウエハに基づいて形成されたものであることができ、この場合、本体をなす母材としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウムヒ素(GaAs)などが用いられることができる。本体には、様々な回路が形成されていることができる。本体には、接続パッドが形成されることができ、接続パッドは、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの導電性物質を含むことができる。接続パッドは、ビアを介して第1配線層141と電気的に連結されることができる。半導体チップはベアダイ(bare die)であることができるが、これに限定されず、パッケージングダイ(packaged die)であることもできる。
【0035】
第1配線層141、第2配線層142、第3配線層143、第4配線層144は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの金属物質を含むことができる。第1配線層141、第2配線層142、第3配線層143、第4配線層144は、それぞれ無電解めっき層(または化学銅)及び電解めっき層(または電気銅)を含むことができるが、これらに限定されない。第1配線層141及び第2配線層142は銅箔cをさらに含むことができる。第1配線層141、第2配線層142、第3配線層143、第4配線層144は、それぞれ該当層の設計デザインに応じて様々な機能を行うことができる。例えば、グランドパターン、パワーパターン、信号パターンなどを含むことができる。ここで、信号パターンは、グランドパターン、パワーパターンなどを除いた各種信号、例えばデータ信号などを含むことができる。これらのパターンは、それぞれライン(line)パターン、プレーン(Plane)パターン、及び/またはパッド(Pad)パターンを含むことができる。
【0036】
第1ビア151及び第2ビア152は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの金属物質を含むことができる。第1ビア151及び第2ビア152は、それぞれ第3配線層143及び第4配線層144を形成する際に一緒に形成されることができ、したがって、それぞれ無電解めっき層(または化学銅)及び電解めっき層(または電気銅)を含むことができるが、これに限定されない。第1ビア151及び第2ビア152は、ビアホールが金属物質で充填されたフィールドタイプであることができるが、これに限定されず、ビアホールの壁面に沿って金属物質が配置されたコンフォーマルタイプであることもできる。第1ビア151及び第2ビア152は、それぞれ断面上で互いに反対方向のテーパー形状を有することができる。第1ビア151及び第2ビア152はそれぞれ複数個で形成されることができ、これらはそれぞれ該当層の設計デザインに応じて様々な機能を行うことができる。例えば、グランドビア、パワービア、信号ビアなどを含むことができる。ここで、信号ビアは、グランドビア、パワービアなどを除いた各種信号、例えばデータ信号などを伝達するためのビアを含むことができる。
【0037】
第1レジスト層161及び第2レジスト層162は、それぞれプリント回路基板100の最外側に配置され、内部構成要素を保護することができる。第1レジスト層161及び第2レジスト層162の材料は、特に限定されない。例えば、絶縁物質が用いられることができるが、このとき、絶縁物質としてはソルダーレジスト(Solder Resist)が用いられることができるが、これに限定されない。第1レジスト層161及び第2レジスト層162には、必要に応じて第3配線層143及び第4配線層144のそれぞれの少なくとも一部を開口させる開口が形成されることができる。
【0038】
一方、プリント回路基板100は、図示したものより多層の基板であることができる。例えば、第2絶縁層112の上面及び下面上にそれぞれビルドアップ絶縁層がさらに配置されることができ、各ビルドアップ絶縁層には配線層とビアが形成されることができる。ビルドアップ絶縁層とこれに形成される配線層及びビアの層数は特に限定されない。ビルドアップ絶縁層、配線層、ビアにはそれぞれ上述した第2絶縁層112、第3配線層143及び第4配線層144、第1ビア151及び第2ビア152の内容が適用されることができる。
【0039】
図4図11は、図3のプリント回路基板の製造一例を概略的に示した工程図である。
【0040】
図面を参照すると、一例に係るプリント回路基板100の製造方法は、第1絶縁層111に貫通孔Hを形成する段階、貫通孔Hに第1絶縁層111の上面及び下面からそれぞれ貫通孔Hの内側にリセスされる第1溝部h1及び第2溝部h2を有するビア導体層120を形成する段階、第1絶縁層111にキャビティCを形成する段階、キャビティCに電子部品130を配置する段階、及び第1絶縁層111上に第2絶縁層112を積層して貫通孔H及びキャビティCのそれぞれの少なくとも一部を第2絶縁層112で満たす段階を含む。
【0041】
必要に応じては、一例に係るプリント回路基板100の製造方法は、第1絶縁層111の上面及び下面にそれぞれ第1配線層141及び第2配線層142を形成する段階、第2絶縁層112の上面及び下面にそれぞれ第3配線層143及び第4配線層144を形成する段階、第2絶縁層112に第1配線層141及び第3配線層143を電気的に連結する第1ビア151を形成する段階、第2絶縁層112に第2配線層142及び第4配線層144を電気的に連結する第2ビア152を形成する段階、第2絶縁層112の上面上に第1レジスト層161を形成する段階、及び/または第2絶縁層112の下面上に第2レジスト層162を形成する段階をさらに含むことができる。
【0042】
以下では、図面を参照して一例に係るプリント回路基板100の製造方法についてより詳細に説明する。
【0043】
図4を参照すると、第1絶縁層111を用意する。第1絶縁層111は、上述したようにCCLであることができ、この場合、上面及び下面には銅箔cが配置されることができる。
【0044】
図5を参照すると、第1絶縁層111に貫通孔Hを形成する。貫通孔Hは、レーザドリル、機械的ドリルなどを用いて形成することができる。貫通孔Hは、第1絶縁層111を貫通するように形成されることができる。
【0045】
図6を参照すると、めっきを用いて貫通孔Hにビア導体層120を形成する。例えば、化学銅を形成した後、化学銅上にパルスめっきを行い、貫通孔Hの内壁と中心部に第1導体層a及び第2導体層bを形成することができる。また、第1絶縁層111の上面及び下面にめっきにより第1配線層141及び第2配線層142を形成する。第1導体層aは、銅箔c上に延びることができる。
【0046】
図7を参照すると、第1絶縁層111にキャビティCを形成する。キャビティCは、レーザドリル、機械的ドリルなどを用いて形成することができる。または、ブラスト加工を用いることもできる。キャビティCは、第1絶縁層111を貫通するように形成されることができる。
【0047】
図8を参照すると、第1絶縁層111の下側にテープ170を付着する。その後、キャビティCを介して露出するテープ170上に電子部品130を付着する。テープ170は、公知の接着または粘着テープであることができる。
【0048】
図9を参照すると、第1絶縁層111の上側に第2-1絶縁層112-1を積層して第1溝部h1及びキャビティCのそれぞれの少なくとも一部を満たす。このとき、貫通孔Hの第1溝部h1とキャビティCのそれぞれの少なくとも一部は、第2-1絶縁層112-1によって実質的に同時に満たされることができる。
【0049】
図10を参照すると、テープ170を除去する。その後、第1絶縁層111の下側に第2-2絶縁層112-2を積層して第2溝部h2の少なくとも一部を満たす。
【0050】
図11を参照すると、第2絶縁層112の上部及び下部にビアホールを加工した後、めっき工程で第3配線層143及び第4配線層144と第1ビア151及び第2ビア152を形成する。また、第2絶縁層112の上面及び下面上にそれぞれ液状のはんだレジストを塗布するか、またはフィルムタイプのはんだレジストを積層して第1レジスト層161及び第2レジスト層162を形成する。
【0051】
一連の過程を介して、上述した一例に係るプリント回路基板100が製造されることができる。それ以外の他の内容は、上述した一例に係るプリント回路基板100で説明したものと実質的に同一であり、一例に係るプリント回路基板100の製造方法にも同様に適用されることができるため、これに対する重複する説明は省略する。
【0052】
本開示における幅は、プリント回路基板の研磨または切断断面を基準に走査顕微鏡または光学顕微鏡、例えば、オリンパス社の光学顕微鏡(1000倍)を用いて測定することができる。
【0053】
本開示における実質的という意味は、工程誤差による微細な差異を含む概念であることができる。例えば、実質的に同一であるということは、完全に同一の場合だけでなく、工程誤差によって大略的に発生する微細な差異が存在する場合も含むものであることができる。また、実質的に同時に満たされることは、同一工程によって大略的に同時に満たされることを含むことができる。
【0054】
本開示における断面上という意味は、対象物を垂直に切断したときの断面形状、または対象物をサイドビューから見たときの断面形状を意味することができる。また、平面上という意味は、対象物を水平に切断したときの形状、または対象物をトップビューまたはボトムビューから見たときの平面形状であることができる。
【0055】
本開示における水平方向は、平面上での任意の方向であることができ、垂直方向は、断面上での水平方向と垂直な上部または下部方向であることができる。
【0056】
本開示において、上面、上側、上部及び下面、下側、下部は、第1方向を基準として判断することができる。例えば、上面は第1方向を基準としてトップ面を意味することができ、下面は第1方向を基準としてボトム面を意味することができる。
【0057】
本開示において、連結されるという意味は、直接連結された場合だけでなく、接着剤層などを介して間接的に連結された場合を含む概念である。また、電気的に連結されるという意味は、物理的に連結された場合と、連結されていない場合をともに含む概念である。さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるものであって、該当構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0058】
本開示で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一例は、他の一例の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一例に関連した説明であると理解することができる。
【0059】
本開示で用いられた用語は、単に一例を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0060】
1000 電子機器
1010 メインボード
1020 チップ関連部品
1030 ネットワーク関連部品
1040 その他の部品
1050 カメラ
1060 アンテナ
1070 ディスプレイ
1080 バッテリー
1090 信号ライン
1100 スマートフォン
1110 マザーボード
1120 部品
1121 部品パッケージ
1130 カメラモジュール
1140 スピーカー
100 プリント回路基板
111、112、112-1、112-2 絶縁層
120 ビア導体層
130 電子部品
141、142、143、144 配線層
151、152 ビア
161、162 レジスト層
170 テープ
H 貫通孔
C キャビティ
a、b 導体層
c 銅箔
h1、h2 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11