IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図1
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図2
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図3
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図4
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図5
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図6
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図7
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図8
  • 特開-積層型キャパシタおよびその製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025641
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】積層型キャパシタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044672
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0101047
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲キョン▼俊
(72)【発明者】
【氏名】金 董奎
(72)【発明者】
【氏名】金 美京
(72)【発明者】
【氏名】鄭 顯九
(72)【発明者】
【氏名】田 鎬仁
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC05
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE16
(57)【要約】
【課題】電歪現象による変形およびクラック発生を抑制することができる積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】一実施形態による積層型キャパシタは、誘電体層、および誘電体層を間に置いて配置される第1内部電極と第2内部電極を含むキャパシタボディー、そしてキャパシタボディーの一面に配置される外部電極を含み、第1内部電極は、第1内部電極を貫通する第1貫通部を有し、第1貫通部の少なくとも一部に誘電体層の誘電体が位置し、第1貫通部は、第1内部電極が第2内部電極と重ならない領域に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、および前記誘電体層を間に置いて配置される第1内部電極と第2内部電極を含むキャパシタボディーと、
前記キャパシタボディーの一面に配置される外部電極と、を含み、
前記第1内部電極は、前記第1内部電極を貫通する第1貫通部を有し、前記第1貫通部の少なくとも一部に前記誘電体層の誘電体が位置し、
前記第1貫通部は、前記第1内部電極が前記第2内部電極と重ならない領域に位置する、
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第2内部電極は、前記第2内部電極を貫通する第2貫通部を有し、前記第2貫通部の少なくとも一部に前記誘電体層の誘電体が位置し、
前記第2貫通部は、前記第2内部電極が前記第1内部電極と重ならない領域に位置する、
請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記キャパシタボディーは、前記第1内部電極と前記第2内部電極が重なるアクティブ領域、
前記第1内部電極が前記第2内部電極と重ならない第1端部領域、および
前記第2内部電極が前記第1内部電極と重ならない第2端部領域を含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1貫通部は、前記第1端部領域に位置し、
前記第2貫通部は、前記第2端部領域に位置する、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1貫通部は、前記アクティブ領域には位置せず、
前記第2貫通部は、前記アクティブ領域には位置しない、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記第1貫通部は、前記第1内部電極の厚さ方向に伸びて前記誘電体層の間を連結し、
前記第2貫通部は、前記第2内部電極の厚さ方向に伸びて前記誘電体層の間を連結する、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記キャパシタボディーは、複数の第1内部電極を含み、
前記複数の第1内部電極の第1貫通部に位置する前記誘電体は、互いにつながり、前記第1内部電極の厚さ方向に伸びる柱形状を有する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記キャパシタボディーは、複数の第2内部電極を含み、
前記複数の第2内部電極の第2貫通部に位置する前記誘電体は、互いにつながり、前記第2内部電極の厚さ方向に伸びる柱形状を有する、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記第1内部電極は、前記第1貫通部を複数含み、
前記第2内部電極は、前記第2貫通部を複数含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記複数の第1貫通部は、前記第1内部電極の幅方向に間隔を置いて配置され、
前記複数の第2貫通部は、前記第2内部電極の幅方向に間隔を置いて配置される、請求項9に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記第1内部電極の長さ方向において、前記第1貫通部の平均長さは前記第1端部領域の平均長さより小さく、
前記第2内部電極の長さ方向において、前記第2貫通部の平均長さは前記第2端部領域の平均長さより小さい、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第1内部電極の幅方向において、複数の第1貫通部の平均長さと前記複数の第1貫通部の間の平均距離との合計は、前記第1端部領域の平均長さより小さく、
前記第2内部電極の幅方向において、複数の第2貫通部の平均長さと前記複数の第2貫通部の間の平均距離との合計は、前記第2端部領域の平均長さより小さい、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
第1誘電体グリーンシートの表面に第1貫通口を有する第1導電性ペースト層を形成し、第2誘電体グリーンシートの表面に第2貫通口を有する第2導電性ペースト層を形成する段階と、
前記第1貫通口が前記第2導電性ペースト層と重ならないように、前記第1誘電体グリーンシートと前記第2誘電体グリーンシートとを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階と、
前記誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディーを製造する段階と、
前記キャパシタボディーの一面に外部電極を形成する段階と、を含み、
前記第1誘電体グリーンシート、前記第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は前記第1貫通口に浸透する、積層型キャパシタの製造方法。
【請求項14】
前記誘電体グリーンシート積層体を製造する段階で、前記第2貫通口が前記第1導電性ペースト層と重ならないように、前記第1誘電体グリーンシートと前記第2誘電体グリーンシートとを積層し、
前記第1誘電体グリーンシート、前記第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は前記第2貫通口に浸透する、請求項13に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項15】
前記誘電体グリーンシート積層体を製造する段階で、前記第1誘電体グリーンシートと前記第2誘電体グリーンシートとは、前記第1導電性ペースト層と前記第2導電性ペースト層とが少なくとも一部重なるように積層される、請求項13に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記積層型キャパシタの製造方法は、前記誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階をさらに含む、請求項13に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、前記誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階、または前記両方の段階で、前記第1誘電体グリーンシート、前記第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は前記第1貫通口に浸透する、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、前記誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階、または前記両方の段階で、前記第1誘電体グリーンシート、前記第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は前記第2貫通口に浸透する、請求項16に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記積層型キャパシタの製造方法は、前記第1導電性ペースト層の一端が前記誘電体グリーンシート積層体の一側面に露出するように前記誘電体グリーンシート積層体を切断する段階をさらに含む、請求項13に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【請求項20】
前記誘電体グリーンシート積層体を切断する段階は、前記第2導電性ペースト層の一端が前記誘電体グリーンシート積層体の他側面に露出するように前記誘電体グリーンシート積層体を切断する、請求項19に記載の積層型キャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、積層型キャパシタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタは、小型でありながら高容量具現が可能であるため、多様な電子機器に使用されている。
【0003】
特に、電装用高圧積層型キャパシタを製造するためには、誘電体グリーンシートの上に導電性ペーストで内部電極用印刷膜を形成した後、誘電体グリーンシートを数十層から数百層を積み重ねて製造する。
【0004】
この場合、高電圧の電場を印加する時、厚さ(T)方向(電場方向)には長さ膨張が発生し、幅(W)方向には長さ収縮が発生する(逆圧電効果:Reverse piezoelectric effect)。
【0005】
このような現象は、強誘電体、例えばBaTiO内のダイポール(dipole)が電場により一方向に整列する過程で電場に平行な方向に配列されるため発生する。
【0006】
この時、臨界値以上のストレスが積層型キャパシタにかかればクラック(crack)が発生するようになる。したがって、電装用高圧積層型キャパシタではこのような電歪現象によるクラック発生を抑制する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の一側面は、内部電極と誘電体層との間の結合力を強化させることで、積層型キャパシタの電歪挙動を減少させることによって、電歪現象による変形およびクラック発生を抑制することができる積層型キャパシタを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面による積層型キャパシタは、誘電体層、および誘電体層を間に置いて配置される第1内部電極と第2内部電極を含むキャパシタボディーと、キャパシタボディーの一面に配置される外部電極とを含み、第1内部電極は、第1内部電極を貫通する第1貫通部を有し、第1貫通部の少なくとも一部に誘電体層の誘電体が位置する。
【0009】
第1貫通部は、第1内部電極が第2内部電極と重ならない領域に位置することができる。
【0010】
第2内部電極は、第2内部電極を貫通する第2貫通部を有し、第2貫通部の少なくとも一部に誘電体層の誘電体が位置することができる。第2貫通部は、第2内部電極が第1内部電極と重ならない領域に位置することができる。
【0011】
キャパシタボディーは、第1内部電極と第2内部電極が重なるアクティブ領域をふくむことができる。
【0012】
キャパシタボディーは、第1内部電極が第2内部電極と重ならない第1端部領域をふくむことができる。
【0013】
キャパシタボディーは、第2内部電極が第1内部電極と重ならない第2端部領域を含むことができる。
【0014】
第1貫通部は、第1端部領域に位置することができる。
【0015】
第2貫通部は、第2端部領域に位置することができる。
【0016】
第1貫通部は、アクティブ領域には位置しなくてもよい。
【0017】
第2貫通部は、アクティブ領域には位置しなくてもよい。
【0018】
第1貫通部は、第1内部電極の厚さ方向に伸びて誘電体層の間を連結することができる。
【0019】
第2貫通部は、第2内部電極の厚さ方向に伸びて誘電体層の間を連結することができる。
【0020】
キャパシタボディーは、複数の第1内部電極を含み、複数の第1内部電極の第1貫通部に位置する誘電体は、互いにつながり、第1内部電極の厚さ方向に伸びる柱形状を有することができる。
【0021】
キャパシタボディーは、複数の第2内部電極を含み、複数の第2内部電極の第2貫通部に位置する誘電体は、互いにつながり、第2内部電極の厚さ方向に伸びる柱形状を有することができる。
【0022】
第1内部電極は、第1貫通部を複数含むことができる。
【0023】
第2内部電極は、第2貫通部を複数含むことができる。
【0024】
複数の第1貫通部は、第1内部電極の幅方向に間隔を置いて配置され得る。
【0025】
複数の第2貫通部は、第2内部電極の幅方向に間隔を置いて配置され得る。
【0026】
第1内部電極の長さ方向において、第1貫通部の平均長さは第1端部領域の平均長さより小さくてもよい。
【0027】
第2内部電極の長さ方向において、第2貫通部の平均長さは第2端部領域の平均長さより小さくてもよい。
【0028】
第1内部電極の幅方向において、複数の第1貫通部の平均長さと複数の第1貫通部の間の平均距離との合計は、第1端部領域の平均長さより小さくてもよい。
【0029】
第2内部電極の幅方向において、複数の第2貫通部の平均長さと複数の第2貫通部の間の平均距離との合計は、第2端部領域の平均長さより小さくてもよい。
【0030】
他の側面による積層型キャパシタの製造方法は、第1誘電体グリーンシート表面に第1貫通口を有する第1導電性ペースト層を形成し、第2誘電体グリーンシート表面に第2貫通口を有する第2導電性ペースト層を形成する段階と、第1貫通口が第2導電性ペースト層と重ならないように、第1誘電体グリーンシートと第2誘電体グリーンシートとを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する段階と、誘電体グリーンシート積層体を焼成してキャパシタボディーを製造する段階と、キャパシタボディーの一面に外部電極を形成する段階と、を含み、第1誘電体グリーンシート、第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は第1貫通口に浸透する。
【0031】
誘電体グリーンシート積層体を製造する段階で、第2貫通口が第1導電性ペースト層と重ならないように、第1誘電体グリーンシートと第2誘電体グリーンシートとを積層することができる。
【0032】
第1誘電体グリーンシート、第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は第2貫通口に浸透することができる。
【0033】
誘電体グリーンシート積層体を製造する段階で、第1誘電体グリーンシートと第2誘電体グリーンシートとは、第1導電性ペースト層と第2導電性ペースト層とが少なくとも一部重なるように積層され得る。
【0034】
積層型キャパシタの製造方法は、誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階をさらに含むことができる。
【0035】
誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階、または両方の段階で、第1誘電体グリーンシート、第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は第1貫通口に浸透することができる。
【0036】
誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階、または両方の段階で、第1誘電体グリーンシート、第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は第2貫通口に浸透することができる。
【0037】
積層型キャパシタの製造方法は、第1内部電極の一端が誘電体グリーンシート積層体の一側面に露出するように誘電体グリーンシート積層体を切断する段階をさらに含むことができる。
【0038】
誘電体グリーンシート積層体を切断する段階は、第2内部電極の一端が誘電体グリーンシート積層体の他側面に露出するように誘電体グリーンシート積層体を切断することができる。
【発明の効果】
【0039】
一側面による積層型キャパシタによれば、内部電極と誘電体層との間の結合力を強化させることで、積層型キャパシタの電歪挙動を減少させることによって、電歪現象による変形およびクラックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】一実施形態による積層型キャパシタを示す斜視図である。
図2図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタの断面図である。
図3図1のキャパシタボディーで内部電極の積層構造を示す分離斜視図である。
図4図3の内部電極の他の例を示す平面図である。
図5】実施例1で製造された積層型キャパシタのX-Z方向の切断面を示す写真である。
図6】実施例1で製造された積層型キャパシタのX-Y方向の切断面を示す写真である。
図7】実施例2で製造された積層型キャパシタのX-Y方向の切断面を示す写真である。
図8】実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタの電歪カーブ(piezoelectric curve)を示すグラフである。
図9】実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタの絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付した図面を参照して本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施形態を詳しく説明する。図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付した図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面により本明細書に開示された技術的な思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0042】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素は前記用語により限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0043】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか、または「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、接続されているか、または対向していることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか、または「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0044】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0045】
図1は一実施形態による積層型キャパシタ100を示す斜視図であり、図2図1のI-I’線に沿って切断した積層型キャパシタ100の断面図であり、図3は一実施形態による積層型キャパシタ100で内部電極121、122の積層構造を示す分離斜視図であり、図4図3の内部電極121、122の他の例を示す平面図である。
【0046】
本実施形態を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたX、YおよびZは、それぞれキャパシタボディー110の長さ(L)方向、幅(W)方向および厚さ(T)方向を示す。ここで、厚さ方向(Z方向)は、誘電体層111が積層される積層方向と同一の概念で使用することができる。長さ方向(X方向)は、厚さ方向(Z方向)とほぼ垂直な一方向を意味し、幅方向(Y方向)は、厚さ方向(Z方向)とほぼ垂直な方向であり、長さ方向(X方向)ともほぼ垂直な方向に定義することができる。また、長さ方向(X方向)は、厚さ方向(Z方向)とほぼ垂直な方向のうち、幅方向(Y方向)より長さがより長い方向を示すことができる。
【0047】
図1乃至図4を参照すれば、本実施形態による積層型キャパシタ100は、キャパシタボディー110、およびキャパシタボディー110のX方向に対向する両端に配置される第1外部電極131および第2外部電極132を含むことができる。
【0048】
キャパシタボディー110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(Z方向)に積層した後に焼成したものであって、複数の誘電体層111と誘電体層111を間に置いて厚さ方向(Z方向)に交互に配置される複数の第1内部電極121および第2内部電極122を含む。この時、第1内部電極121および第2内部電極122は互いに異なる極性を有することができる。
【0049】
この時、キャパシタボディー110の互いに隣接するそれぞれの誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難い程度に一体化され得る。
【0050】
また、キャパシタボディー110は、アクティブ領域151とカバー領域112、113を含むことができる。
【0051】
アクティブ領域151は、積層型キャパシタ100の容量形成に寄与する部分である。一例として、アクティブ領域151は、厚さ方向(Z方向)に沿って積層される第1内部電極121および第2内部電極122が重なった(overlap)領域であり得る。
【0052】
カバー領域112、113は、マージン部として厚さ方向(Z方向)にアクティブ領域151の第1面および第2面側にそれぞれ位置することができる。このようなカバー領域112、113は、単一の誘電体層111または2個以上の誘電体層111がアクティブ領域151の上面および下面にそれぞれ積層されたものであり得る。
【0053】
また、キャパシタボディー110は、側面カバー領域154、155をさらに含むことができる。側面カバー領域154、155は、マージン部として幅方向(Y方向)にアクティブ領域151の第5面および第6面側にそれぞれ位置することができる。このような側面カバー領域154、155は、誘電体グリーンシート表面に内部電極形成用導電性ペースト層を塗布する時、誘電体グリーンシート表面の一部領域にのみ導電性ペースト層を塗布し、誘電体グリーンシート表面の両方の側面には導電性ペースト層を塗布しない誘電体グリーンシートを積層した後、焼成することによって形成され得る。
【0054】
カバー領域112、113と側面カバー領域154、155は、物理的または化学的ストレスによる第1内部電極121および第2内部電極122の損傷を防止する役割になる。
【0055】
キャパシタボディー110は一例として、ほぼ六面体形状であり得る。
【0056】
本実施形態では説明の便宜のために、キャパシタボディー110で厚さ方向(Z方向)に互いに対向する両面を第1面および第2面、第1面および第2面と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する両面を第3および第4面、第1面および第2面と連結し第3および第4面と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する両面を第5面および第6面と定義する。一例として、下面である第1面が実装方向に向かう面になり得る。
【0057】
キャパシタボディー110の形状、サイズおよび誘電体層111の積層数が本実施形態の図面に示されたものに限定されるのではない。
【0058】
一例として、誘電体層111は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0059】
また、誘電体層111にはセラミック粉末と共に、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などがさらに添加され得る。セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0060】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.5μm乃至10μmであり得る。
【0061】
第1内部電極121および第2内部電極122は、互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を間に置いて厚さ方向(Z方向)に沿って互いに対向するように交互に配置され、一端がキャパシタボディー110の第3および第4面を通じてそれぞれ露出することができる。
【0062】
第1内部電極121および第2内部電極122は中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁され得る。
【0063】
キャパシタボディー110の第3および第4面を通じて交互に露出する第1内部電極121および第2内部電極122の端部は、第1外部電極131および第2外部電極132とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0064】
第1内部電極121および第2内部電極122は、導電性金属を含み、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0065】
また、第1内部電極121および第2内部電極122は、誘電体層111に含まれるセラミック材料と同一の組成系の誘電体粒子を含むこともできる。
【0066】
一例として、第1内部電極121および第2内部電極122の平均厚さは、0.1μm乃至2μmであり得る。
【0067】
前記のような構成により、第1外部電極131および第2外部電極132に所定の電圧を印加すると互いに対向する第1内部電極121および第2内部電極122の間に電荷が蓄積される。この時、積層型キャパシタ100の静電容量は、アクティブ領域151で厚さ方向(Z方向)に沿って積層される第1内部電極121および第2内部電極122の重畳面積と比例するようになる。
【0068】
ただし、電装用高圧積層型キャパシタ100の場合、第1内部電極121および第2内部電極122を数十層から数百層を積み重ねてキャパシタボディー110を構成するようになるが、この場合、電歪現象によるクラックが発生しやすい。
【0069】
このような問題を解決するために、キャパシタボディー110のアクティブ領域151中間に他の誘電体層111より厚さがより厚い誘電体層111をバッファー層として挿入して電歪挙動を減少させる技術が知られている。しかし、このような中間バッファー層は、他の誘電体層111との焼結性差により、界面側にクラックを発生させやすいという短所がある。
【0070】
そこで、本実施形態による積層型キャパシタ100は、新たな形態の垂直バッファーとして、第1内部電極121が第1貫通部121aを有する。第1貫通部121aの少なくとも一部には誘電体層111の誘電体が位置する。一例として、第1貫通部121aは誘電体層111の誘電体が第1内部電極121を貫通して形成され得る。第1貫通部121aは第1内部電極121が第2内部電極122と重ならない領域に位置する。
【0071】
また、第2内部電極122は、第2貫通部122aを有する。第2貫通部122aの少なくとも一部には誘電体層111の誘電体が位置する。一例として、第2貫通部122aは誘電体層111の誘電体が第2内部電極122を貫通して形成され得る。第2貫通部122aは第2内部電極122が第1内部電極121と重ならない領域に位置する。
【0072】
一般に第1内部電極121および第2内部電極122と誘電体層111との間の結合力が誘電体層111の間の結合力に比べて低い傾向にあるが、第1貫通部121aおよび第2貫通部122aは垂直バッファーとして第1内部電極121および第2内部電極122と誘電体層111との間の結合力を強化させて、電歪による歪曲変形を抑制することができる。
【0073】
キャパシタボディー110は、第1内部電極121と第2内部電極122が重なるアクティブ領域151と、第1内部電極121が第2内部電極122と重ならない第1端部領域152、および第2内部電極122が第1内部電極121と重ならない第2端部領域153を含む。
【0074】
第1端部領域152と第2端部領域153は、マージン部であり、長さ方向(X方向)にアクティブ領域151の第3面および第4面側にそれぞれ位置することができる。このような第1端部領域152および第2端部領域153は、内部電極形成用導電性ペースト層が塗布された誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する時、第1内部電極形成用導電性ペースト層と第2内部電極形成用導電性ペースト層が重なるようにするものの、少なくとも一部領域が重ならないように積層することによって形成され得る。
【0075】
第1貫通部121aは第1端部領域152に位置し、第2貫通部122aは第2端部領域153に位置することができる。一方、第1貫通部121aはアクティブ領域151には位置せず、第2貫通部122aはアクティブ領域151には位置しなくてもよい。つまり、第1貫通部121aは第1端部領域152にのみ位置し、第2貫通部122aは第2端部領域153にのみ位置することができる。
【0076】
第1貫通部121aおよび第2貫通部122aは一例として、後述するように誘電体グリーンシート表面に導電性ペーストを塗布時、第1貫通口および第2貫通口121a、122aが形成される部分には導電性ペーストを塗布しないか、または導電性ペーストを塗布した後、第1貫通口および第2貫通口121a、122aが形成される部分の導電性ペーストをレーザドリル(laser drill)などを利用して除去することによって形成されるものであり、導電性ペーストと誘電体グリーンシートの収縮開始温度が異なることから、焼成時に第1内部電極121および第2内部電極122の一部分が切れることによって形成されるランダム(random)な切れ部とは構造および形状が異なる。
【0077】
また、そのために、第1貫通部121aは第1端部領域152にのみ位置し、第2貫通部122aは第2端部領域153にのみ位置することができるが、切れ部は第1内部電極121および第2内部電極122の全体領域にランダムに形成され、その形成位置を制御し難く、特に第1端部領域152および第2端部領域153にのみ位置するようにすることは一層難しい。
【0078】
第1貫通部121aは、第1内部電極121の厚さ方向(Z方向)に伸びて、第1内部電極121に位置する誘電体は第1内部電極121の厚さ方向(Z方向)に両側に位置する2個の誘電体層111の間を連結することができる。
【0079】
また、第2貫通部122aは、第2内部電極122の厚さ方向(Z方向)に伸びて、第2内部電極122に位置する誘電体は第2内部電極122の厚さ方向(Z方向)に両側に位置する2個の誘電体層111の間を連結することができる。
【0080】
この時、第1貫通部121aおよび第2貫通部122aに位置する誘電体とこれに連結された誘電体層111との間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難い程度に一体化され得る。
【0081】
第1内部電極121の第1貫通部121aに位置する誘電体は、実質的に互いにつながり、第1内部電極121の厚さ方向(Z方向)に伸びる柱形状を有することができる。ここで、柱形状とは、二面体対称を有する一様多面体の形状を意味し得、円柱、楕円柱、または多角柱など多様な形状を有することができる。誘電体が実質的に互いにつながっているということは、第1貫通部121aが厚さ方向(Z方向)に一列に配列されて、第1貫通部121aに位置する誘電体が誘電体層111に位置する誘電体を媒介として連続的または不連続的につながっていることを意味する。
【0082】
また、第2内部電極122の第2貫通部122aに位置する誘電体も、互いにつながり、第2内部電極122の厚さ方向(Z方向)に伸びる柱形状を有することができる。
【0083】
第1内部電極121は、第1貫通部121aを複数含むことができる。また、第2内部電極122は、第2貫通部122aを複数含むことができる。一例として、図4では第1内部電極121が第1貫通部121aを3個含み、第2内部電極122が第2貫通部122aを3個含むものを示している。
【0084】
複数の第1貫通部121aは、第1内部電極121の幅方向(Y方向)に間隔を置いて配置され得る。また、複数の第2貫通部122aは、第2内部電極122の幅方向(Y方向)に間隔を置いて配置され得る。この時も、第1貫通部121aは第1端部領域152にのみ位置し、第2貫通部122aは第2端部領域153にのみ位置することができる。
【0085】
第1内部電極121の長さ方向(X方向)において、第1貫通部121aの平均長さは第1端部領域152の平均長さより小さい。
【0086】
第1貫通部121aの長さは、Z方向とほぼ垂直な面方向に任意の第1内部電極121が露出する時まで積層型キャパシタ100を研磨した後、露出させた第1内部電極121の切断面で任意の第1貫通部121aの最大直径を第1貫通部121aの長さとすることができる。
【0087】
第1貫通部121aの平均長さは、互いに異なる第1内部電極121にそれぞれ位置する任意の3個、5個、または10個の第1貫通部121aの長さの算術平均値であり得、1個の第1内部電極121が複数の第1貫通部121aを含む場合、1個の第1内部電極121に位置する複数の第1貫通部121aの長さの算術平均値であり得る。
【0088】
第1端部領域152の長さは、Y方向とほぼ垂直な面方向に第1貫通部121aおよび第2貫通部122aが露出する時まで積層型キャパシタ100を研磨した後、露出させた切断面で任意の第1内部電極121を選び、それに隣接する第2内部電極122と重ならない第1内部電極121のX方向長さを第1端部領域152の長さとすることができる。
【0089】
第1端部領域152の平均長さは、露出させた切断面で選ばれた任意の3個、5個、または10個の互いに異なる第1内部電極121で測定された第1端部領域152の長さの算術平均値であり得る。
【0090】
また、第2内部電極122の長さ方向(X方向)において、第2貫通部122aの平均長さは第2端部領域153の平均長さより小さい。
【0091】
第1内部電極121および第2内部電極122の長さ方向(X方向)において、第1貫通部121aおよび第2貫通部122aの平均長さは、0.1mm乃至1.0mmであり得る。第1貫通部121aおよび第2貫通部122aの平均長さが0.1mm未満の場合、第1貫通部121aおよび第2貫通部122aに位置する誘電体を柱形状に製造し難いことがあり、1.0mmを超える場合、アクティブ領域151を侵して容量が減少することがある。
【0092】
第1内部電極121および第2内部電極122の長さ方向(X方向)において、第1端部領域152および第2端部領域153の平均長さは、0.1mm乃至1.0mmであり得る。第1端部領域152および第2端部領域153の平均長さが0.1mm未満の場合、第1貫通部121aおよび第2貫通部122aに位置する誘電体を柱形状に製造し難いことがあり、1.0mmを超える場合、アクティブ領域151を侵して容量が減少することがある。
【0093】
第1内部電極121の幅方向(Y方向)において、複数の第1貫通部121aの平均長さと複数の第1貫通部121aとの間の平均距離の合計は、第1端部領域152の平均長さより小さい。
【0094】
複数の第1貫通部121aの長さは、Z方向とほぼ垂直な面方向に任意の第1内部電極121が露出する時まで積層型キャパシタ100を研磨した後、露出させた第1内部電極121の切断面で各第1貫通部121aの最大直径を複数の第1貫通部121aの長さとすることができる。
【0095】
複数の第1貫通部121aの平均長さは、任意の3個、5個、または10個の第1内部電極121にそれぞれ位置する複数の第1貫通部121aの長さの算術平均値であり得る。
【0096】
複数の第1貫通部121aの間の距離は、Z方向とほぼ垂直な面方向に任意の第1内部電極121が露出する時まで積層型キャパシタ100を研磨した後、露出させた第1内部電極121の切断面で複数の第1貫通部121aの間の最短距離を測定して求めることができる。
【0097】
複数の第1貫通部121aの間の平均距離は、任意の3個、5個、または10個の第1内部電極121にそれぞれ位置する複数の第1貫通部121aの間の距離の算術平均値であり得る。
【0098】
また、第2内部電極122の幅方向(Y方向)において、複数の第2貫通部122aの平均長さと複数の第2貫通部122aとの間の平均距離の合計は、第2端部領域153の平均長さより小さい。
【0099】
第1外部電極131および第2外部電極132は、互いに異なる極性の電圧が提供され、第1内部電極121および第2内部電極122の露出する部分とそれぞれ接続されて電気的に連結され得る。
【0100】
第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディー110の第3および第4面にそれぞれ配置されて第1内部電極121および第2内部電極122とそれぞれ接続する第1接続部および第2接続部と、キャパシタボディー110の第1面および第2面と第3面および第4面とが会う角部に配置される第1バンド部および第2バンド部をそれぞれ含むことができる。
【0101】
第1バンド部および第2バンド部は、第1接続部および第2接続部でキャパシタボディー110の第1面および第2面の一部までそれぞれ伸びられ得る。第1バンド部および第2バンド部は、第1接続部および第2接続部でキャパシタボディー110の第5面および第6面の一部までそれぞれさらに伸びられ得る。第1バンド部および第2バンド部は、第1外部電極131および第2外部電極132の固着強度を向上させるなどの役割になる。
【0102】
一例として、第1外部電極131および第2外部電極132は、キャパシタボディー110と接触する第1ベース電極および第2ベース電極、および第1ベース電極および第2ベース電極をそれぞれ覆うように配置される第1端子電極および第2端子電極をそれぞれ含むことができる。
【0103】
第1ベース電極および第2ベース電極は、銅(Cu)を含むことができる。また、第1ベース電極および第2ベース電極は、銅(Cu)を主成分として含有し、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、鉛(Pb)、またはこれらの合金のうちの一つ以上の物質とガラスを含むことができる。
【0104】
一例として、第1ベース電極および第2ベース電極の形成方法は、導電性金属およびガラスを含む導電性ペーストにキャパシタボディー110をディッピングして形成したり、導電性ペーストをキャパシタボディー110の表面にスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などで印刷したり、導電性ペーストをキャパシタボディー110の表面に塗布したりまたは導電性ペーストを乾燥させた乾燥膜をキャパシタボディー110上に転写して形成することができる。
【0105】
第1ベース電極および第2ベース電極を前述した導電性ペーストで形成することによって十分な伝導性を維持しながらも、添加したガラスにより第1外部電極131および第2外部電極132の緻密度を高めることによってメッキ液および/または外部水分の浸透を効果的に抑制することができる。
【0106】
一例として、第1ベース電極および第2ベース電極に含まれるガラス成分は、酸化物が混合された組成であり得、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物からなる群より選ばれた一つ以上であり得る。遷移金属は、亜鉛(Zn)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)からなる群より選ばれ、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)からなる群より選ばれ、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびバリウム(Ba)からなる群より選ばれた一つ以上であり得る。
【0107】
一例として、第1端子電極および第2端子電極は、ニッケル(Ni)を主成分として含有することができ、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)または鉛(Pb)などの単独またはこれらの合金をさらに含むことができる。第1端子電極および第2端子電極は、積層型キャパシタ100の基板との実装性、構造的信頼性、外部に対する耐久度、耐熱性および等価直列抵抗値(Equivalent Series Resistance、ESR)を改善することができる。
【0108】
一例として、第1端子電極および第2端子電極は、メッキにより形成され得る。第1端子電極および第2端子電極は、スパッタまたは電解メッキ(Electric Deposition)により形成され得る。
【0109】
以下、本実施形態による積層型キャパシタ100の製造方法について説明する。
【0110】
複数の誘電体グリーンシートを準備する。誘電体グリーンシートは、焼成した後、キャパシタボディー110の誘電体層111になる。
【0111】
誘電体グリーンシートは、セラミック粉末、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤などを混合してペーストを製造し、このペーストをドクターブレードまたはスクリーン印刷法などの方法を通じて数μm厚さのシート形状に製造することができる。
【0112】
一例として、セラミック粉末は、高誘電率のセラミック材料の粉末であり得る。例えば、セラミック材料は、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これら成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、BaTiO系誘電体セラミックにCa、Zrなどが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO、Ba(Ti1-yCa)O、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)OまたはBa(Ti1-yZr)Oなどを含むことができる。
【0113】
セラミック添加剤は、例えば遷移金属酸化物または遷移金属炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などを使用することができる。
【0114】
誘電体グリーンシート表面に導電性ペースト層を形成する。導電性ペースト層は、焼成後、第1内部電極121および第2内部電極122になる。
【0115】
導電性ペースト層は、導電性金属を含む導電性ペーストを誘電体グリーンシート表面にドクターブレードまたはスクリーン印刷法などの方法を利用して塗布することによって形成することができる。
【0116】
導電性金属は、例えばNi、Cu、Ag、Pd、またはAuなどの金属やこれらの合金、例えばAg-Pd合金を含むことができる。
【0117】
一例として、第1導電性ペースト層を第1パターンで第1誘電体グリーンシート表面に塗布し、第2導電性ペースト層を第2パターンで第2誘電体グリーンシート表面に塗布することができる。
【0118】
ここで、第1パターンと第2パターンは、一例として帯形状であり得、第1パターンと第2パターンは、第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートを交互に積層時、第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層の一部は重なり、一部は重ならないように整列され得る。
【0119】
この時、導電性ペーストは、第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層がそれぞれ第1貫通口および第2貫通口を有するように塗布される。例えば、導電性ペーストの塗布時、第1貫通口および第2貫通口が形成される部分には導電性ペーストを塗布しないことによって第1貫通口および第2貫通口を形成することができ、導電性ペーストを塗布した後、第1貫通口および第2貫通口が形成される部分の導電性ペーストをレーザドリル(laser drill)などを利用して除去することによって第1貫通口および第2貫通口を形成することもできる。
【0120】
第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートを積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0121】
この時、第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートは、第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層が重なるようにするが、少なくとも一部は重ならないように積層される。
【0122】
具体的には、第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートは、第1貫通口が第2導電性ペースト層と重ならないように積層される。また、第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートは、第2貫通口が第1導電性ペースト層と重ならないように積層される。そのために、キャパシタボディー110は、第1内部電極121と第2内部電極122が重なるアクティブ領域151と、第1内部電極121が第2内部電極122と重ならない第1端部領域152、および第2内部電極122が第1内部電極121と重ならない第2端部領域153を含むことができる。
【0123】
選択的に、誘電体グリーンシート積層体を圧着する。
【0124】
誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階、または両方の段階で、第1誘電体グリーンシート、第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は、第1貫通口に浸透する。また、誘電体グリーンシート積層体を製造する段階、誘電体グリーンシート積層体を圧着する段階、または両方の段階で、第1誘電体グリーンシート、第2誘電体グリーンシート、またはこれら両方は、第2貫通口に浸透する。
【0125】
誘電体グリーンシート積層体の積層段階または圧着段階では、誘電体グリーンシートの気孔崩壊(Pore Collapse)、結合剤流動(Binder Flow)、および粒子再配列(Particle Rearrangement)が進められるが、このような誘電体グリーンシートの流動を利用して、第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層の第1貫通口および第2貫通口を誘電体グリーンシートで満たすことができる。
【0126】
そのために、第1内部電極121は、第1誘電体グリーンシートまたは第2誘電体グリーンシートが第1貫通口に浸透して形成された第1貫通部121aを含み、第2内部電極122は、第1誘電体グリーンシートまたは第2誘電体グリーンシートが第2貫通口に浸透して形成された第2貫通部122aを含む。
【0127】
第1貫通部121aおよび第2貫通部122aは、第1誘電体グリーンシートおよび第2誘電体グリーンシートが浸透した後に焼成して形成されたものであるため、第1貫通部121aおよび第2貫通部122aは第1内部電極121および第2内部電極122の厚さ方向に伸びて、第1内部電極121および第2内部電極122の厚さ方向(Z方向)に両側に位置する2個の誘電体層111の間を連結することができる。
【0128】
また、第1貫通部121aおよび第2貫通部122aと連結された誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難い程度に一体化され得る。
【0129】
選択的に、誘電体グリーンシート積層体は、第1導電性ペースト層および第2導電性ペースト層が両側端面を通じてそれぞれ露出するように切断され得る。
【0130】
誘電体グリーンシート積層体を高温で焼成してキャパシタボディー110を製造する。
【0131】
キャパシタボディー110の第1内部電極121および第2内部電極122がそれぞれ露出する両側端面に第1外部電極131および第2外部電極132を形成する。
【0132】
第1外部電極131および第2外部電極132は、例えばキャパシタボディー110の上に導電性ペーストを塗布し焼成することによって形成することができ、メッキにより形成することもできる。また、第1外部電極131および第2外部電極132は、誘電体グリーンシート積層体の上に導電性ペーストを塗布した後、誘電体グリーンシート積層体と共に導電性ペーストを焼成することによって形成することもできる。
【0133】
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は、発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これにより発明の範囲が制限されてはならない。
【0134】
[製造例:積層型キャパシタの製造]
(実施例1)
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して1.8μm厚さの誘電体グリーンシートを複数個製造する。
【0135】
ニッケルを含む導電性ペーストをスクリーン印刷を利用して誘電体グリーンシートの上に塗布するが、貫通口が形成される部分には導電性ペーストを塗布しないことによって貫通口を有する導電性ペースト層を形成する。
【0136】
この時、貫通口は、0.3mmの平均直径および1.5mmの平均長さを有する形状であり、各導電性ペースト層ごとに1個形成する。
【0137】
貫通口が導電性ペースト層と重ならないようにしながら誘電体グリーンシートを約100層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造する。
【0138】
誘電体グリーンシート積層体を85℃で1000kgf/cmの圧力条件で等方圧加圧(isostatic pressing)する。
【0139】
圧着が完了した誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気下で230℃、60時間維持して脱バインダーを行う。
【0140】
その後、1200℃で内部電極が酸化されないようにNi/NiO平衡酸素分圧より低い10-11atm乃至10-10atmの酸素分圧下の還元雰囲気で焼成する。
【0141】
次に、外部電極形成およびメッキなどの工程を経て積層型キャパシタ(L×W×T=3.2mm×1.6mm×1.6mm)を製造する。
【0142】
(実施例2)
実施例1で、貫通口を各導電性ペースト層ごとに3個形成したことを除き、実施例1と同様な方法で積層型キャパシタを製造する。
【0143】
(比較例1)
実施例1で、導電性ペースト層に貫通口を形成しないことを除き、実施例1と同様な方法で積層型キャパシタを製造する。
【0144】
(比較例2)
チタン酸バリウム(BaTiO)粉末を含むペーストをキャリアフィルム(carrier film)の上に塗布した後、乾燥して1.8μm厚さの誘電体グリーンシートを複数個製造する。
【0145】
ニッケルを含む導電性ペーストをスクリーン印刷を利用して誘電体グリーンシートの上に塗布して導電性ペースト層を形成する。
【0146】
誘電体グリーンシートを約100層積層して誘電体グリーンシート積層体を製造するが、中間に導電性ペースト層が塗布されない誘電体グリーンシートを挿入してバッファー層を製造する。
【0147】
バッファー層が挿入された誘電体グリーンシート積層体を85℃で1000kgf/cmの圧力条件で等方圧加圧(isostatic pressing)する。
【0148】
圧着が完了した誘電体グリーンシート積層体を個別チップの形態に切断した後、大気雰囲気下で230℃、60時間維持して脱バインダーを行う。
【0149】
その後、1200℃で内部電極が酸化されないようにNi/NiO平衡酸素分圧より低い10-11atm乃至10-10atmの酸素分圧下の還元雰囲気で焼成する。
【0150】
次に、外部電極形成およびメッキなどの工程を経て積層型キャパシタ(L×W×T=3.2mm×1.6mm×1.6mm)を製造する。
【0151】
[実験例1:積層型キャパシタの内部構造]
図5は実施例1で製造された積層型キャパシタのX-Z方向の切断面を示す写真であり、図6は実施例1で製造された積層型キャパシタのX-Y方向の切断面を示す写真であり、図7は実施例2で製造された積層型キャパシタのX-Y方向の切断面を示す写真である。
【0152】
図5乃至図7を参照すれば、積層段階または圧着段階で、導電性ペーストが塗布されていない貫通口に誘電体グリーンシートが流動および侵入して貫通口を満たすことによって、内部電極は端部領域に誘電体層が貫通する貫通部を含むことを確認できる。
【0153】
また、図5を参照すれば、複数の第1内部電極の第1貫通部に位置する誘電体は、互いにつながり、第1内部電極の厚さ方向に伸びる柱形状を有し、複数の第2内部電極の第2貫通部に位置する誘電体は、互いにつながり、第2内部電極の厚さ方向に伸びる柱形状を有することを確認できる。
【0154】
[実験例2:積層型キャパシタの電歪カーブの測定]
実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタの電歪カーブ(piezoelectric curve)を測定し、その結果を図8に示す。
【0155】
電歪カーブは、絶縁破壊電圧(Break-downvoltage、BDV)に対する積層型キャパシタの長さ方向(X方向)膨張長さ(mm)を示すグラフである。
【0156】
絶縁破壊電圧はケースレー(keithely)測定器を利用して0Vから1.00000Vずつスイープ(Sweep)方式で電圧を印加し、電流値が20mAになる瞬間の電圧値を絶縁破壊電圧値で測定する。
【0157】
図8を参照すれば、比較例1で製造された積層型キャパシタの場合、厚さ方向に膨張する程度が最も大きいことが分かり、実施例1で製造された積層型キャパシタの場合、比較例2で製造された積層型キャパシタと同等な水準程度に厚さ方向に膨張することが分かり、実施例2で製造された積層型キャパシタの場合、厚さ方向膨張が最も小さいことが分かる。
【0158】
[実験例3:積層型キャパシタの絶縁破壊電圧の測定]
実施例1、実施例2、比較例1、および比較例2で製造された積層型キャパシタの絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を測定し、その結果を図9に示す。
【0159】
絶縁破壊電圧は、ケースレー(keithely)測定器を利用して0Vから1.00000Vずつスイープ(Sweep)方式で電圧を印加しながら電流値が20mAになる瞬間の電圧値を絶縁破壊電圧値で測定する。
【0160】
図9を参照すれば、比較例1および比較例2で製造された積層型キャパシタの場合、ばらつきが大きいことが分かり、実施例1および実施例2で製造された積層型キャパシタの場合、比較例2で製造された積層型キャパシタと同等またはそれ以上の絶縁破壊電圧水準が具現されてばらつきが小さくなることを確認できる。
【0161】
以上を通じて本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0162】
100:積層型キャパシタ
110:キャパシタボディー
111:誘電体層
112、113:カバー領域
121:第1内部電極
122:第2内部電極
121a:第1貫通部
122a:第2貫通部
131:第1外部電極
132:第2外部電極
151:アクティブ領域
152:第1端部領域
153:第2端部領域
154、155:側面カバー領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9