(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025644
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240216BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240216BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
A61B5/0245 200
A61B5/1455
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062428
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】111130200
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517009796
【氏名又は名称】麗臺科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】蔡 明容
(72)【発明者】
【氏名】石 圜達
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA10
4C017AA12
4C017AB01
4C017AC28
4C017EE01
4C017FF15
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM01
4C038KX01
4C038KY04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体組織の不均一性に起因する測定結果の誤差を低減するためのマルチチャネル光学装置を提供し、測定時間を短縮することができ、それによって測定精度及び安定性を改善する。
【解決手段】光学装置は、第1の基板40と、前記第1の基板上の第2の基板50と、前記第1の基板上の光感知モジュールの第1のグループ及び光感知モジュールの第2のグループを含む複数の光感知モジュールと、複数の光感知モジュールに電気的に接続されるコントローラと、を備える。コントローラがユーザを検出すると、コントローラは制御信号を送信して、光感知モジュールの第1のグループと光感知モジュールの第2のグループを同時に駆動し、ユーザHの測定を実行し、ユーザの第1の生理学的信号及びユーザの第2の生理学的信号を同時に取得する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板上に配置された第2の基板と、
前記第1の基板上に配置された複数の光感知モジュールと、
前記複数の光感知モジュールに電気的に接続されるコントローラと、
を備え、
ユーザの検出に応答して、前記コントローラは、制御信号を送信して、第1の複数の光検知モジュール及び第2の複数の光検知モジュールを同時に駆動して、前記ユーザの測定を実行し、前記ユーザの第1の生理学的信号と前記ユーザの第2の生理学的信号を同時に取得する、
光学装置。
【請求項2】
各前記複数の光感知モジュールは、少なくとも1つの光源と少なくとも1つの光検出器を備え、前記光源と前記光検出器は前記コントローラに電気的に接続され、
前記ユーザの検出に応答して、
前記コントローラは、制御信号を送信して、各前記第1の複数の光感知モジュールの前記光源を駆動して、第1のカラー光ビームを出射し、各前記第1の複数の光感知モジュールの前記光検出器は、前記ユーザによって反射された第1の反射光ビームを受信し、前記光検出器は、前記第1の反射光ビームを第1の電気信号に変換し、前記第1の電気信号を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、各前記第2の複数の光感知モジュールの前記光源を駆動して、第2のカラー光ビームを出射し、各前記第2の複数の光感知モジュールの前記光検出器は、ユーザによって反射された第2の反射光ビームを受信し、前記光検出器は、前記第2の反射光ビームを第2の電気信号に変換し、前記第2の電気信号を前記コントローラに送信し、
前記コントローラは、前記第1の電気信号に従って前記ユーザの前記第1の生理学的信号を取得し、前記コントローラは、前記第2の電気信号に従って前記ユーザの前記第2の生理学的信号を取得し、
前記コントローラは、前記第1のカラー光ビームをそれぞれ出射するように各前記第1の複数の光感知モジュールの前記光源を同時に駆動し、前記第2のカラー光ビームをそれぞれ出射するように各前記第2の複数の光感知モジュールの前記光源を同時に駆動する、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第1のカラー光ビームの波長は、前記第2のカラー光ビームの波長とは異なる、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第1のカラー光ビームは、赤色光又は緑色光である、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記第2のカラー光ビームは青色光である、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項6】
前記第1の複数の光感知モジュールの数は、1つ以上である、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第2の複数の光感知モジュールの数は、1つ以上である、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第2の複数の光感知モジュールの数は、2つ以上であり、
前記コントローラは、前記第2の複数の光感知モジュールの各前記第2の電気信号に対応する生理学的信号を算出し、前記生理学的信号を平均して、前記第2の生理学的信号を取得する、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項9】
前記第1の生理学的信号が心拍数を含む、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項10】
前記第2の生理学的信号がカロテノイド値を含む、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項11】
前記コントローラがマイクロプロセッサである、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項12】
複数の貫通孔を含む分離構造であって、前記分離構造は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記複数の貫通孔の数は前記複数の光感知モジュールの数に等しく、各前記複数の光感知モジュールは各前記複数の貫通孔に対応し、各前記複数の貫通孔に位置する分離構造をさらに備える、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項13】
複数のアパーチャを含むアパーチャ層であって、前記アパーチャ層は、前記複数の光感知モジュールと前記第2の基板との間に配置され、前記複数のアパーチャの数は前記複数の光感知モジュールの数に等しく、各前記複数のアパーチャの位置は、前記複数の光感知モジュールの位置に対応するアパーチャ層をさらに備える、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項14】
前記複数の光感知モジュールによって出射された複数のカラー光ビームを集束させるように構成されたレンズ層であって、前記複数の光感知モジュールと前記第2の基板との間に配置されるレンズ層をさらに備える、
請求項1に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学測定技術は、生体組織内のさまざまな物質の種類又は含有量を非侵襲的に検出し、生体組織の特徴を医学的診断又は身体健康指数の家庭でのモニタリングの基準として提供するために良く用いられる。発光ダイオード光源の普及と多様化に伴い、生理学的信号を測定するための光学装置の使用には、携帯性と低コストの利点が存在する。しかしながら、光学測定は生体組織の不均一性の影響を受けやすく、測定結果の精度に影響を与えやすい。一般的に、測定結果の精度を上げるには、光源(エミッタ)や光検出器(ディテクタ)の数を増やす。さらに、生体組織パラメータによって測定するための光学原理とメカニズムが異なるため、通常はそれらを別々に測定する必要がある。測定時間が長くなるだけでなく、不安定になるリスクも高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、生体組織の不均一性に起因する測定結果の誤差を低減するためのマルチチャネル光学装置を提供し、測定時間を短縮することができ、それによって測定精度及び安定性を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
光学装置は、第1の基板と、第1の基板上の第2の基板と、光検知モジュールの第1のグループ及び光検知モジュールの第2のグループを含む第1の基板上の複数の光検知モジュールと、複数の光感知モジュールに電気的に接続されるコントローラと、を備える。コントローラがユーザを検出すると、コントローラは同時に制御信号を送信し、光感知モジュールの第1のグループと光感知モジュールの第2のグループを駆動して、ユーザの測定を実行し、ユーザの第1の生理学的信号とユーザの第2の生理学的信号とを同時に取得する。
【発明の効果】
【0005】
上記に基づいて、本発明の光学装置は、ユーザの複数の生理学的信号を同時に測定し、少なくとも2つのチャネルを介して少なくとも2つの異なる測定領域を提供して、生体組織の不均一性に起因する測定誤差を低減し、それによって、測定の正確性を向上させ、測定時間と人員を大幅に削減することができる。さらに、本発明の光学装置は、2つの異なる生体組織パラメータを同時に測定することができ、これにより測定時間を短縮することができ、それによって測定の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態による光学装置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による光学装置の概略ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態による光学装置の電気信号図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の実施形態は、添付の図面と併せて詳細に説明されるが、提供される実施形態は、開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、図面中の構成要素の寸法は、専ら説明の便宜のために使用されるものであり、実際の比率を表すものではない。理解を容易にするために、以下、同一の構成要素には同じ符号を付す。
【0008】
本発明の実施形態の説明における異なる例は、繰り返される符号及び/又は用語を使用する場合がある。これらの繰り返される符号又は用語は、単純化及び明確化を目的としており、各実施形態及び/又は構造の関係を限定するために使用されるものではない。さらに、以下の説明において、第1の特徴が第2の特徴上/又はの上に形成されると記載されている場合、それは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触して形成される実施形態と、第1及び第2の特徴が直接接触しないように、第1及び第2の特徴の間に追加の特徴が追加の特徴が形成される実施形態とを備える。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態による光学装置の概略図である。
図2は、本発明の一実施形態による光学装置の概略ブロック図である。
図3は、本発明の一実施形態による光学装置の電気信号図である。
【0010】
図1を参照されたい。光学装置1は、光学装置1の異なる位置に配置された光感知モジュール10、20、及び30を有する。ユーザHの一部は、光学装置1上に位置する。光感知モジュール10、20、及び30は、ユーザHの異なる位置で複数の生理学的信号を測定するように構成される。
【0011】
本実施形態では、ユーザHは、光学装置1に彼または彼女の左手を置き、その手のひらで光学装置1に触れている。他の実施形態では、ユーザHは、右手又は他の部分など、身体の他の部分と光学装置1を接触させることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
図1、
図2及び
図3を同時に参照されたい。光学装置1は、第1の基板40と、第2の基板50と、複数の光感知モジュール10、20及び30と、コントローラ90と、を備える。
【0013】
第2の基板50は、第1の基板40上に位置する。いくつかの実施形態によれば、第2の基板50の材料は、ガラス又はプラスチック材料などの光透過材料であるが、本発明はこれに限定されない。
【0014】
光感知モジュール10、20、及び30は、第1の基板40上に配置される。いくつかの実施形態によれば、光感知モジュールの数は2つ以上である。例えば、本実施形態では、光感知モジュールの数は、光感知モジュール10、20、及び30を含む3つである。光感知モジュールの数の上限は、例えば、測定される生理学的信号の数など、装置の体積サイズ及び使用要件に従って決定されるが、本発明はそれに限定されない。
【0015】
図1及び3に示すように、光感知モジュール10、20、及び30のそれぞれは、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器を備える。例えば、光検知モジュール10は、光源12及び光検出器14を備える。光感知モジュール20は、光源22及び光検出器24を備え、光検知モジュール30は、光源32及び光検出器34を備える。いくつかの実施形態によれば、光感知モジュールにおいて、光源の数及び光検出器の数は、実際の要件に従って決定されてもよいが、本発明はそれに限定されない。
【0016】
光源12、22、及び32は、ユーザHを照明するためのカラー光ビームL1、L2、及びL3を出射することができる。いくつかの実施形態によれば、光源12、22、及び32は、発光ダイオード、または単色光を発することができる他の光学素子であってもよいが、本発明はこれに限定されない。カラー光ビームL1、L2、及びL3の波長範囲は、測定される生理学的信号によって決定されるが、本発明はそれに限定されない。いくつかの実施形態によれば、光源12、22、及び32は、異なる色又は同じ色の光ビームを出射することができる。例えば、光源12は第1のカラー光ビームL1を出射することができ、光源22及び32は第2のカラー光ビームL2及びL3を出射することができ、第1のカラー光ビームL1の波長は第2のカラー光ビームL2及びL3の波長とは異なる。いくつかの実施形態によれば、第1のカラー光ビームL1は赤色光又は緑色光であって良く、第2のカラー光ビームL2及びL3は青色光であって良いが、本発明はそれに限定されない。
【0017】
光検出器14、24、及び34は、ユーザHによって反射された反射光ビームR1、R2、及びR3を受信するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、光検出器14、24、及び34は、例えば、電荷結合素子イメージセンサ(CCDイメージセンサ)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)又は他の同様の構成要素を含んでも良いが、本発明はそれに限定されない。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、第1のカラー光ビームL1を出射する光検知モジュールの数及び第1のカラー光ビームL1の波長、ならびに第2のカラー光ビームL2を出射する光検知モジュールの数及び第2のカラー光ビームL2の波長は、検出される生理学的信号などの実際の要件に従って決定されてもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
図2に示すように、コントローラ90は、複数の光感知モジュール10、20、及び30に電気的に接続される。コントローラ90は、制御信号C1、C2、及びC3を送信して、光感知モジュール10、20、及び30をそれぞれ駆動する。コントローラ90は、制御信号C1、C2、及びC3を送信して、光源12、22、及び32の点灯状態を制御して、カラー光ビームL1、L2、及びL3を出射するか、カラー光ビームL1、L2、及びL3の出射を停止する。コントローラ90の制御信号C1、C2、及びC3は、光検出器14、24、及び34の状態も同時に制御し、ユーザHによって反射された反射光ビームR1、R2、及びR3を受信し、反射光ビームR1、R2、及びR3をそれぞれ電気信号S1、S2、及びS3に変換し、電気信号S1、S2、及びS3をコントローラ90に返す。
【0020】
つまり、コントローラ90は、制御信号C1、C2、及びC3を介して、光感知モジュール10、20、及び30をそれぞれ独立して駆動することができる。いくつかの実施形態によれば、コントローラ90は、マイクロプロセッサ、又は同様の構成要素を有する装置であってもよく、本発明はそれに限定されない。
【0021】
図1及び
図2に示すように、光学装置1は、第1の基板40と第2の基板50との間に配置された分離構造60をさらに備える。いくつかの実施形態によれば、分離構造60の材料は、光吸収材料、高反射率の金属材料、又は、黒色樹脂、白色樹脂、又は他の適切な光吸収又は反射材料などの高反射率の非金属材料であるが、本発明はそれに限定されない。
【0022】
分離構造60は、複数の貫通孔61、62、及び63を備える。本実施形態では、貫通孔61、62、及び63の数は、光感知モジュール10、20、及び30の数と等しく、光感知モジュール10、20、及び30はそれぞれ、貫通孔61、62、及び63のそれぞれに対応し、複数の貫通孔61、62、及び63のそれぞれに位置する。したがって、光感知モジュール10、20、30から出射されるカラー光L1、L2、L3と、ユーザHによって反射される反射光R1、R2、R3とは、光感知モジュール10、20、及び30に対応する貫通孔61、62、及び63に限定されることができ、相互干渉の状況を回避し、ユーザの生理学的信号を測定する精度を向上させることができる。
【0023】
図2に示すように、光学装置1は、アパーチャ層70をさらに備える。アパーチャ層70は、複数の光感知モジュール10、20、及び30と第2の基板50との間に位置し、分離構造60上に配置される。いくつかの実施形態によれば、アパーチャ層70の材料は、光吸収材料、高反射率の金属材料、又は、黒色樹脂、白色樹脂、又は他の適切な光吸収又は反射材料などの高反射率の非金属材料であるが、本発明はそれに限定されない。
【0024】
アパーチャ層70は、複数のアパーチャ71、72、及び73を備える。複数のアパーチャ71、72、及び73の数は、複数の光感知モジュール10、20、及び30の数に等しい。複数のアパーチャの位置71、72、及び73は、それぞれ、複数の貫通孔61、62、及び63の位置に対応し、複数の光感知モジュール10、20、及び30の位置にも対応する。アパーチャ層70は、バックグラウンド干渉光が貫通孔71、72、及び73ならびに光検知モジュール10、20、及び30に入射するのを隔離するように構成される。アパーチャ71、72及び73は、カラー光ビームL1、L2、及びL3と、反射光ビームR1、R2、及びR3が通過することができるように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、
図2に示すように、光学装置1はレンズ層80を含んでも良い。他の実施形態では、光学装置1はレンズ層80を含まなくても良い。レンズ層80は、複数の光感知モジュール10、20、及び30と第2の基板50との間に配置され、アパーチャ層70上に配置される。いくつかの実施形態によれば、レンズ層80は複数のマイクロレンズを有し、レンズ層の材料はガラス又はプラスチックを含むが、これらに限定されない。レンズ層80は、光感知モジュール10、20、及び30によって出射されるカラー光ビームL1、L2、及びL3と反射光ビームR1、R2、及びR3を集束させて、生理学的信号の測定精度を向上させるように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、光学装置1に分離構造60、アパーチャ層70、及びレンズ層80を設けるかどうかは、実際の要件に従って決定することができる。いくつかの実施形態では、光学装置1は、分離構造60、アパーチャ層70、及びレンズ層80を含まなくても良い。他の実施形態では、光学装置1は、分離構造60、アパーチャ層70及びレンズ層80の一部又は全てを含んでも良いが、本発明はそれに限定されない。光感知モジュール10、20、及び30間の距離が十分に離れている場合、又は光感知モジュール10、20、及び30とユーザHとの間の距離が、各光検知モジュールによって出射されるカラー光ビームと反射光ビームが互いに干渉することを防ぐのに十分に近い場合、分離構造60のみ又はアパーチャ層70のみを設けることを考慮してもよい。光感知モジュール10、20、及び30によって出射されるカラー光ビームL1、L2、及びL3が十分に集束されている場合、レンズ層80を配置しないことが考慮され得る。
【0027】
以下、光学装置1を用いてユーザHの複数の生理学的信号を測定する方法について説明する。
【0028】
図1、
図2及び
図3を同時に参照されたい。光学装置1は、複数の光検知モジュール、すなわち、光検知モジュール10、20、及び30を備える。いくつかの実施形態によれば、複数の光検知モジュールは、複数の光検知モジュールの複数のグループを有しても良く、複数の光検知モジュールの各グループは、ユーザの一種の生理学的信号の測定に対応する。本発明では、光感知モジュールの数は2つ以上である。本実施形態では、複数の光検知モジュールは、ユーザの第1の生理学的信号を測定するための第1の複数の光検知モジュールと、ユーザの第2の生理学的信号を測定するための第2の複数の光検知モジュールとを備える。いくつかの実施形態では、コントローラ90は、測定される生理学的信号に従って、対応する複数の光感知モジュールのみを駆動することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザの第1の生理学的信号のみが測定される場合、コントローラは制御信号を送信して、ユーザの第1の生理学的信号を測定するための第1の複数の光検知モジュールを駆動し、ユーザの他の生理学的信号を測定するための複数の光感知モジュールを駆動しない。例えば、コントローラは、ユーザの第2の生理学的信号を測定するための第2の複数の光感知モジュールを駆動しない。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、第1の複数の光検知モジュールの数は1つ以上である。いくつかの実施形態によれば、第2の複数の光検知モジュールの数は1つ以上である。したがって、光感知モジュールの総数は少なくとも2つであり、すなわち、第1の複数の光感知モジュールは1つの光感知モジュールを備え、第2の複数の光感知モジュールは1つの光感知モジュールを備える。本実施形態では、
図1及び
図3に示すように、第1の複数の光検知モジュールは、光検知モジュール10を備え、第2の複数の光検知モジュールは、光検知モジュール20及び30を備える。
【0030】
図3を参照されたい。コントローラ90がユーザHを検知した場合、例えば、ユーザHが第2基板50に接触したことをコントローラ90が検知した場合、コントローラ90は、制御信号C1、C2、及びC3を送信して、第1の複数の光検知モジュール(すなわち、光検知モジュール10)及び第2の複数の光検知モジュール(すなわち、光検知モジュール20及び30)を同時に駆動して、ユーザHの第1の生理学的信号及びユーザHの第2の生理学的信号を同時に取得する。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、本発明で言及される生理学的信号には、心拍数、血圧、血中酸素値、血糖値、カロテノイド値などが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
具体的には、コントローラ90がユーザHを検知すると、例えば、ユーザHが第2基板50に接触したことを検知すると、コントローラ90は制御信号C1、C2、C3を送信して、第1の複数の光感知モジュールの各光検知モジュール10の光源12を同時に駆動して、第1のカラー光ビームL1を出射し、コントローラ90は、第2の複数の光検知モジュールの各光検知モジュール20及び30の光源22及び32を駆動して、第2のカラー光ビームL2及びL3を出射する。第1のカラー光ビームL1、第2のカラー光ビームL2及びL3は、貫通孔61、62及び63と、アパーチャ71、72及び73と、レンズ層80と第2の基板50とを介して、ユーザHと第2の基板との接触部に入射し、ユーザHと第2の基板との接触部により反射される。本実施形態では、ユーザHと第2の基板との接触部は、ユーザの手のひらであるが、これに限定されない。
【0033】
ユーザHによって反射された第1の反射光ビームR1は、第1の複数の光検知モジュールの各光検知モジュール10の光検出器14によって受信され、光検出器14は、第1の反射光ビームR1を第1の電気信号S1に変換し、コントローラ90に送信する。ユーザHによって反射された第2の反射光ビームR2及びR3は、第2の複数の光検知モジュールの各光検知モジュール20及び30の光検出器24及び34によって受信され、光検出器24及び34は、第2の反射光ビームR2及びR3を第2の電気信号S2及びS3に変換し、それらをコントローラ90に送信する。コントローラ90は、第1の電気信号S1に従ってユーザHの第1の生理学的信号を取得し、コントローラ90は、第2の電気信号S2及びS3に従ってユーザHの第2の生理学的信号を取得する。
【0034】
第1のカラー光ビームL1と第2のカラー光ビームL2及びL3がユーザHに入射すると、ユーザHの各部位の組織構造は、皮膚や筋肉の厚さ、血管分布の構造の違いなどがわずかに異なるため、ユーザHは、第1のカラー光ビームL1と第2のカラー光ビームL2及びL3に対する吸収率が異なり、それによって、ユーザHにより反射される反射光ビームR1、R2及びR3の強度が変化する。したがって、特定の生理学的信号を測定するように構成された特定のグループの光感知モジュールの数が2つ以上である場合、このグループの光感知モジュールによって測定された結果を平均して、より正確な生理学的信号を得ることができる。本実施形態では、第2の複数の光感知モジュール20及び30の光感知モジュールの数は、2つ以上である。このとき、コントローラ90は、第2の複数の光感知モジュール20及び30の第2の電気信号S2及びS3のそれぞれについて、対応する第2の生理学的信号を算出し、光感知モジュール20及び30によって測定された生理学的信号を平均化して、第2の生理学的信号を取得する。測定及び平均化のために複数の光感知モジュールを使用することにより、ユーザの生体組織の不均一性に起因する生理学的信号の測定結果の誤差を効果的に低減することができる。
【0035】
図1から
図3に示すように、一実施形態において、第1の生理学的信号は心拍数であり、第2の生理学的信号はカロテノイド値である。第1の複数の光検知モジュールは、光検知モジュール10を含み、第2の複数の光検知モジュールは、光検知モジュール20及び30を備える。光感知モジュール10の光源12は、赤色光である第1のカラー光ビームL1を出射する。光感知モジュール20及び30の光源22及び32は、青色光である第2のカラー光ビームL2及びL3を出射する。第1のカラー光ビームL1がユーザHに照射されると、第1のカラー光ビームL1,、すなわち赤色光が血管内のヘムに吸収される。反射光R1の強度の経時変化を測定することにより、ユーザHの心拍数値を算出することができる。第2のカラー光ビームL2及びL3がユーザHに照射されると、第2のカラー光ビームL2及びL3、すなわち青色光が皮膚や血管のカロテノイドに吸収される。反射光ビームR2及びR3の強度の経時変化を測定することにより、ユーザHの皮膚及び血液中のカロテノイド値を算出することができる。
【0036】
ユーザHによって反射された第1の反射光ビームR1は、第1の複数の光検知モジュールの光検知モジュール10の光検出器14によって受信され、光検出器14は、第1の反射光ビームR1を第1の電気信号に変換し、コントローラ90に送信する。コントローラ90は、第1の電気信号S1に基づいて、ユーザの第1の生理学的信号、すなわち心拍数を取得する。
【0037】
ユーザHによって反射された第2の反射光ビームR2及びR3は、第2の複数の光検知モジュールの光検知モジュール20及び30の光検出器24及び34によって受信され、光検出器24及び34は、第2の反射光ビームR2及びR3を第2の電気信号S2及びS3に変換し、それらをコントローラ90に送信する。第2の複数の光感知モジュールの光感知モジュール20及び30の数は2つ以上であるため、コントローラ90は、光感知モジュール20及び30の第2の電気信号S2及びS3のそれぞれについて、対応する第2の生理学的信号を算出し、光感知モジュール20及び30によって測定された生理学的信号を平均して、第2の生理学的信号、すなわち皮膚及び血液中のカロテノイド値を取得する。光感知モジュール20、30によって測定された生理学的信号を平均化することにより、ユーザの生体組織の不均一性に起因する生理学的信号の測定結果の誤差を効果的に低減することができる。
【0038】
本発明に記載の実施形態によれば、本発明の光学装置は、2つ以上の生理学的信号を同時に測定することができ、それによって測定時間を効果的に短縮することができる。2つ以上の光感知モジュールが同一の生理学的信号を測定するために使用されるとき、2つ以上の光感知モジュールによって取得された生理学的信号は、平均化された生理学的信号を取得するために平均化されることができ、これにより、ユーザの生体組織の不均一性に起因する生理学的信号の測定結果の誤差を効果的に提言することができる。
【0039】
以上、本発明を実施の形態により説明したが、実施の形態は本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び修正を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって決定されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の光学装置は、心拍数測定装置やカロテノイド値測定装置などの生体信号測定装置に応用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1: 光学装置
10、20、30: 光感知モジュール
12、22、32: 光源
14、24、34: 光検出器
40: 第1の基板
50: 第2の基板
60: 分離構造
61、62、63: 貫通孔
70: アパーチャ層
71、72、73: アパーチャ
80: レンズ層
90: コントローラ
C1、C2、C3: 制御信号
H: ユーザ
L1、L2、L3: カラー光ビーム
R1、R2、R3: 反射光ビーム
S1、S2、S3: 電気信号
【外国語明細書】