(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002565
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】基板及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/40 20060101AFI20231228BHJP
H01L 23/467 20060101ALI20231228BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01L23/40 E
H01L23/46 C
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101829
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 章平
(72)【発明者】
【氏名】西山 剛
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB01
5E322BB03
5E322FA04
5F136BA03
5F136BC01
5F136CA06
5F136CC14
5F136DA25
5F136DA42
5F136EA03
5F136EA36
5F136EA40
(57)【要約】
【課題】基材上の複数の発熱部品のそれぞれに対し、ヒートシンクから適切な圧力を作用させる。
【解決手段】基板16は、第一発熱部品(プロセッサチップ22)及び第二発熱部品(電源部品24)が搭載されている基材20と、第一発熱部品上及び第二発熱部品上に配置され第一発熱部品及び第二発熱部品から放熱するヒートシンク32と、を有する。さらに、ヒートシンク32において第一発熱部品上に位置する部分を、第一発熱部品を介して基材に加圧して固定する加圧部材50と、ヒートシンク32において第二発熱部品上に位置する部分を、第二発熱部品を介して基材20に加圧して固定すると共に、基材20に対して位置決めするガイド部材60と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一発熱部品及び第二発熱部品が搭載されている基材と、
前記第一発熱部品上及び前記第二発熱部品上に配置され前記第一発熱部品及び前記第二発熱部品から放熱するヒートシンクと、
前記ヒートシンクにおいて前記第一発熱部品上に位置する部分を、前記第一発熱部品を介して前記基材に加圧して固定する加圧部材と、
前記ヒートシンクにおいて前記第二発熱部品上に位置する部分を、前記第二発熱部品を介して前記基材に加圧して固定すると共に、前記基材に対して位置決めするガイド部材と、
を有する基板。
【請求項2】
前記加圧部材が、ネジの締め込みにより前記ヒートシンクを前記基材に加圧する請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記ネジの締め込みによってバネ力を発揮し前記ヒートシンクを加圧するバネ、を有する請求項2に記載の基板。
【請求項4】
前記基材において前記第一発熱部品が搭載されている面の反対面に備えられ前記基材を補強する補強板と、前記補強板から前記第一発熱部品が搭載されている面へ前記基材を貫通するピンと、を備えるボルスタープレートを有し、
前記ネジが前記ピンに締め込まれている請求項2又は請求項3に記載の基板。
【請求項5】
前記ヒートシンクは、
前記第一発熱部品と対向し前記第一発熱部品の熱を受ける第一部分と、
前記第一部分と前記第二発熱部品との間に介在され前記第二発熱部品の熱を受けて前記第一部分に伝える第二部分と、
を有する請求項1に記載の基板。
【請求項6】
前記第二発熱部品の上面が前記第一発熱部品の上面よりも前記基材から低い位置にあり、
前記第二部分が前記第二発熱部品の前記上面と前記第一部分との間にある請求項5に記載の基板。
【請求項7】
前記ガイド部材は、
前記基材上で前記第二部分を支持する支持部と、
前記第二部分に形成された貫通孔に挿通される挿通部と、
前記挿通部が前記貫通孔に挿通され前記第二部分が前記支持部に支持された状態で前記支持部に向けて前記第二部分を加圧する第二ネジと、
を有する請求項6に記載の基板。
【請求項8】
第一発熱部品及び第二発熱部品が搭載されている基材と、
前記第一発熱部品上及び前記第二発熱部品上に配置され前記第一発熱部品及び前記第二発熱部品から放熱するヒートシンクと、
前記ヒートシンクにおいて前記第一発熱部品上に位置する部分を、前記第一発熱部品を介して前記基材に加圧して固定する加圧部材と、
前記ヒートシンクにおいて前記第二発熱部品上に位置する部分を、前記第二発熱部品を介して前記基材に加圧して固定すると共に、前記基材に対して位置決めするガイド部材と、
を有する基板と、
前記ヒートシンクに向けて風を生成するファンと
前記基板及び前記ファンが収容される筐体と、
を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は基板及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マザーボードの上に取り付けられた補強構造を両側に持つ形で半導体パッケージが搭載され、半導体パッケージにヒートシンクである放熱用フィンが取り付けられる構造が記載されている。放熱用フィンは、半導体パッケージの平坦面に熱伝導性グリスを介して熱的に密着されている。放熱用フィンに設けた貫通穴にガイドピンが通され、ガイドピンのバネをフランジにて押さえ込んで、フランジをネジにてガイドピンに取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基材上に複数の発熱部品が搭載される基板において、複数の発熱部品から1つのヒートシンクで放熱する構造を採る場合、それぞれの発熱部品に適切な圧力を作用させないと、発熱部品の種類によっては破損してしまうことがある。
【0005】
本願の目的は、基材上の複数の発熱部品のそれぞれに対し、ヒートシンクから適切な圧力を作用させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する技術は、第一発熱部品及び第二発熱部品が搭載されている基材と、第一発熱部品上及び第二発熱部品上に配置され第一発熱部品及び第二発熱部品から放熱するヒートシンクと、を有する。また、ヒートシンクにおいて第一発熱部品上に位置する部分を、第一発熱部品を介して基材に加圧して固定する加圧部材を有する。さらに、ヒートシンクにおいて第二発熱部品上に位置する部分を、第二発熱部品を介して基材に加圧して固定すると共に、基材に対して位置決めするガイド部材を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する技術では、基材上の複数の発熱部品のそれぞれに対し、ヒートシンクから適切な圧力を作用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は第一実施形態の基板を備えた電子機器の内部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は第一実施形態の基板を部分的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は第一実施形態の基板を示す斜視図である。
【
図4】
図4は第一実施形態の基板を示す正面図である。
【
図5】
図5は第一実施形態の基板を部分的に拡大して示す斜視図である。
【
図6】
図6は第一実施形態の基板のガイド部材を示す斜視図である。
【
図7】
図7は第一実施形態の基板においてヒートシンクを取り付ける途中の状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は第一実施形態の基板においてヒートシンクを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第一実施形態の基板について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1には、基板16を備えた電子機器12が部分的に示されている。
図2には、基板16が示されている。電子機器12としては、たとえば、サーバあるいはストレージ等の情報処理装置を挙げることができるが、特に限定されない。
【0011】
電子機器12は、筐体14を有している。図面において、電子機器12の幅方向、奥行方向及び高さ方向をそれぞれ矢印W、矢印D及び矢印Hで示す。また、単に「奥」及び「手前」という場合は、奥行方向の奥及び手前を意味し、単に「上」及び「下」という場合は、上下方向の上及び下を意味する。本実施形態では、電子機器12の幅方向、奥行方向及び高さ方向は、筐体14及び基板16の幅方向、奥行方向及び高さ方向と一致している。ただし、これらの各方向は、電子機器12が使用される場合の方向を制限しない。
【0012】
筐体14の内部には、基板16及びファン46が収容されている。
図2にも示すように、基板16は基材20を有している。基材20は、剛性及び絶縁性を有する材料によって板状に形成されている。
【0013】
図2に示すように、基材20の上面には、複数の発熱部品が搭載されている。本実施形態では、基材20にはプロセッサチップ22及び電源部品24が搭載されている。プロセッサチップ22としては、たとえばCPU(Central Prissesing Unit)あるいはGPU(Graphics Processing Unit)等を例示できる。プロセッサチップ22は、第一発熱部品の一例である。電源部品24としては、たとえばPOL(Point of Load)電源部品を挙げることができる。電源部品24は、第二発熱部品の一例である。
【0014】
本実施形態では、プロセッサチップ22は1つであり、基材20の中央部分に搭載されている。これに対し電源部品24は複数であり、プロセッサチップ22の奥側及び手前側で、幅方向に並べて列状に配置されている。複数の電源部品24の上面は、いずれも基材20の上面から等しい高さ位置にあり、且つ、プロセッサチップ22の上面よりも低い位置にある。
【0015】
基材20の下面は、プロセッサチップ22が搭載されている面の反対面であり、所定の配線パターンが施されている。
図4に示すように、基材20の下面には、ボルスタープレート26が備えられている。ボルスタープレート26は、板状又は枠状に形成された補強板28と、この補強板28から立設された複数のピン30と、を有している。補強板28は基材20の下面に固定されており、基材20を補強している。基材20の法線方向にみて、補強板28はプロセッサチップ22よりも奥行方向及び幅方向に大きい形状である。
【0016】
ピン30のそれぞれは、補強板28の周囲の位置から立設されており、基材20を貫通して、基材20の上側に突出している。ヒートシンク32が基材20に取り付けられた状態では、ピン30はヒートシンク32の図示しない貫通孔に挿通されており、ヒートシンク32の上側に露出している。ピン30は、基材20の法線方向(矢印N1方向)に見てプロセッサチップ22の角部の位置でプロセッサチップ22を囲むように4つ配置されている。ピン30の上面には、雌ネジが形成されている。
【0017】
基板16は、さらに、ヒートシンク32を有している。ヒートシンク32は、基材20の法線方向(矢印N1方向)に見て、全体としてプロセッサチップ22及び電源部品24を覆っている。そして、ヒートシンク32は、プロセッサチップ22及び電源部品24の熱を受ける。この熱がヒートシンク32から空気中に放出されることによりプロセッサチップ22及び電源部品24が冷却される。
【0018】
ヒートシンク32の上面には、複数の放熱フィン34が備えられている。放熱フィン34のそれぞれは、奥行方向に延在する板状の部材であり、幅方向には所定の間隔をあけて並べて配置されている。後述するように、これらの放熱フィン34の間を、ファン46によって生成された風が流れる。
【0019】
図3にも示すように、ヒートシンク32は、第一部分36と第二部分38とを含んでいる。第一部分36は板状の部材であり、その一部がプロセッサチップ22と対向している。第一部分36は、グリース40(
図4参照)を介してプロセッサチップ22から熱を受ける。
【0020】
本実施形態では、第一部分36は、基材20の法線方向(矢印N1方向)に見て、奥側の電源部品24の列、及び手前側の電源部品24の列を覆う奥行を有している。
【0021】
第二部分38は、電源部品24の並び方向に沿って延在する長尺状の部分である。本実施形態では、電源部品24は2列で配列されているので、第二部分38も2つ備えられている。第二部分38は、電源部品24の列のそれぞれと第一部分36との間に介在されている。第二部分38は、第一部分36とは直接的に接触(実質的には一体化)されている。第二部分38の下面の一部は、電源部品24と対向しており、サーマルシート42(
図4参照)を介して電源部品24から熱を受ける。第二部分38が受けた電源部品24の熱は、さらに第一部分36に伝わる。
【0022】
第二部分38の下部には、奥側から手前側へ向かうにしたがって、幅方向の中央へ傾斜するテーパ面44が形成されている。後述するように、ファン46で生成された風の一部が奥側から手前側へ流れるにつれて、テーパ面44に沿って幅方向の内側へも流れるようになっている。
【0023】
ヒートシンク32は、さらに、複数の加圧部材50を有している。本実施形態では、
図3に示すように、複数の加圧部材50は、基材20の法線方向(矢印N1方向)に見て、プロセッサチップ22の角部の位置でプロセッサチップ22を囲むように4つ配置されている。なお、放熱フィン34は、加圧部材50を避ける形状で形成されている。
【0024】
図3及び
図4に示すように、加圧部材50は、ネジ52及びバネ54を含んでいる。ネジ52は、ピン30の上面に形成された雌ネジに締め込まれるようになっている。
【0025】
バネ54はネジ52の頭部と第一部分36との間に配置されている。ネジ52をピン30の雌ネジにねじ込んでいくと、バネ54が圧縮される。そして、圧縮されたバネ54のバネ力が第一部分36に作用する。これにより、加圧部材50は、プロセッサチップ22を介して、第一部分36を基材20に加圧して固定する。
【0026】
基板16は、複数のガイド部材60を有している。本実施形態では、
図1に示すように、複数のガイド部材60は、基材20の法線方向(矢印N1方向)に見て、第二部分38のそれぞれにおける長手方向(基材20の幅方向)の両側の位置に配置されている。第二部分38の1つ当たりでは2つのガイド部材60が配置されており、全体ではプロセッサチップ22を囲む位置で4つのガイド部材60が配置されている。基材20には、ガイド部材60の位置にスタッド68が実装されており、このスタッド68にガイド部材60が固定されるようになっている。
【0027】
図6に詳細に示すように、ガイド部材60のそれぞれは、支持部62、挿通部64及びネジ部66を有している。支持部62は、スタッド68に固定されている。支持部62は、上下方向の所定位置にねじ込まれたナットを含んでいる。このナットは、第二部分38を下方から支持する部分であり、基材20に対し上下方向の位置を調整可能である。
【0028】
挿通部64は、支持部62の上方に位置しており、支持部62の外径よりも小さい外径を有している。ヒートシンク32の第二部分38には、ガイド部材60のそれぞれに対応する位置に、図示しない貫通孔が形成されている。この貫通孔の内径は、支持部62よりも小径で、且つ挿通部64よりも大径である。貫通孔のそれぞれに対し対応する挿通部64が位置するようにヒートシンク32を組み付けると、支持部62によって第二部分38が支持される。このように第二部分38が支持されることで、ヒートシンク32が上下方向に位置決めされる。ヒートシンク32の上下方向の位置は、第二部分38が電源部品24に対し所定の圧力で加圧される位置に設定されるように、支持部62によって調整される。
【0029】
また、ガイド部材60の挿通部64が第二部分38の貫通孔に挿通されることで、ヒートシンク32が基材20に対し横方向(幅方向及び奥行方向)に位置決めされる。特に、ガイド部材60は複数であるので、ヒートシンク32の面内方向の回転を抑制することが可能である。
【0030】
ネジ部66は挿通部64よりも小径の円柱状に形成されており、ネジ部66の外周には雄ネジが形成されている。
図5に示すように、ネジ部66にナット70をねじ込み、このナット70と、支持部62との間で第二部分38を厚み方向に挟持できる。ネジ部66及びナット70は第二ネジの一例を成す。
【0031】
ネジ部66の上部は、上端に向かって細くなる円錐台形状である。これにより、ネジ部66を第二部分38の貫通孔に挿入する作業が容易になる。
【0032】
図3及ぶ
図4に示すように、ヒートシンク32よりも奥側には、ラジエータ80が配置されている。放熱フィン34とラジエータ80とは、ベーパチャンバ82によって接続されている。そして、第一部分36で受けた熱の一部がラジエータ80に移動し、この熱はラジエータ80からも放熱される。なお、本実施形態では、ヒートシンク32における第一部分36の一部が、実質的にベーパチャンバ82を兼ねる構成とされている。これにより、プロセッサチップ22から第一部分36が受けた熱が効率的に放熱フィン34及びラジエータ80に送られるようになっている。
【0033】
図1に示すように、筐体14内には、基板16の奥側にファン46が設けられている。このファン46で生成された風を、放熱フィン34に当てることで、放熱フィン34から放熱できる。
【0034】
次に、本実施形態において、基材20にヒートシンク32を取り付ける方法、及び本実施形態の作用を説明する。
【0035】
図2に示すように、基材20の上面には、プロセッサチップ22、電源部品24及びスタッド68がハンダ等によって実装されている。たとえばプロセッサチップ22であれば、BGA(Ball Grid Array)接続により、あるいは直接的にハンダ付け等をすることによって実装される。又は、LGA(Land Grid Array)等のようなソケットを用いて基材20の上面に実装してもよい。電源部品24は、たとえば基材20の上面に直接的にハンダ付けによって実装される。スタッド68は、たとえば基材20にハンダ付けされていてもよいし、ネジ等により機械的に固定されていてもよい。
【0036】
この基材20上のスタッド68に、ガイド部材60を機械的に固定する。固定は、ガイド部材60の底面の雌ネジにスタッド68の雄ネジをねじ込む構造であってもよいし、これに代えて、あるいは併用して、接着剤等を用いて接着してもよい。また、基材20の下面には、ボルスタープレート26を機械的に固定する。
【0037】
次に、プロセッサチップ22の上面にグリース40(
図4参照)を塗布すると共に、電源部品24の上面にサーマルシート42(
図4参照)を設置する。そして、ヒートシンク32をプロセッサチップ22及び電源部品24の上側に設置する。この状態で、ガイド部材60の挿通部64が、ヒートシンク32の第二部分38の挿通孔(図示省略)に挿通される。
【0038】
そして、ヒートシンク32の第一部分36がプロセッサチップ22の上面にグリース40を介して突き当たった状態となる。この状態で、ボルスタープレート26のピン30にネジ52をねじ込み、バネ54のバネ力をヒートシンク32に作用させる。本実施形態では、加圧部材50は4つ設けられており、バネ54のバネ力がヒートシンク32に均等に作用するように、ネジ52をピン30にねじ込む。これにより、ヒートシンク32の第一部分36がプロセッサチップ22の上面に加圧され、プロセッサチップ22を介してヒートシンク32が基材に固定される。
【0039】
次に、ガイド部材60のネジ部66に上側からナット70を締め込む。ナット70が第二部分38を下方に押圧することで、サーマルシート42が第二部分38と電源部品24との間で圧縮される。本実施形態では、ガイド部材60は4つ設けられており、ナット70からの押圧力が均等に作用するように、ナット70を締め込む。これにより、ヒートシンク32の第二部分38は、電源部品24を介して基材20に対し加圧されて固定される。また、第二部分38の貫通孔にガイド部材60の挿通部64が挿通されており、ヒートシンク32の第二部分38は基材20に対し、幅方向及び奥行方向に位置決めされる。ヒートシンク32の第二部分38は第一部分36と一体であるので、ヒートシンク32が全体として、基材20に対し、幅方向及び奥行方向に位置決めされる。
【0040】
このように、本実施形態では、ヒートシンク32の第一部分36、すなわち、プロセッサチップ22の上に配置された部分は加圧部材50によって加圧し、第二部分38、すなわち、電源部品24の上に配置された部分はガイド部材60によって加圧している。したがって、ヒートシンク32からプロセッサチップ22に作用する圧力と、電源部品24に作用する圧力と、を異なるように設定できる。これにより、ヒートシンク32からプロセッサチップ22に作用する圧力と、電源部品24に作用する圧力と、をそれぞれ適切な圧力にすることができる。たとえば、高い圧力を作用せると破損するおそれがある電源部品24を用いた場合であっても、ヒートシンク32から電源部品24に作用する圧力を小さく設定することで、電源部品24の損傷を抑制できる。
【0041】
特に、本実施形態では、プロセッサチップ22と電源部品24の2種類の部品に対し、これら2部品に共通で設けられたヒートシンク32で冷却するようにしている。これら2種類の部品のそれぞれに対し別々のヒートシンクを設ける構造と比較して、効率的な冷却が可能である。たとえば、プロセッサチップ22の方が電源部品24よりも発熱量が多いため、プロセッサチップ22を冷却するヒートシンクをより大型化しようとしても、電源部品24の冷却用のヒートシンクと干渉すると、この大型化が難しい。また、プロセッサチップの冷却用のヒートシンクの熱を、ヒートシンクから離れた位置に設けたラジエータ等に送ることも考えられる。しかし、この場合も、ラジエータへの伝熱用のヒートパイプやベーパチャンバが、電子部品の冷却用のヒートシンクと干渉することがある。
【0042】
これに対し、本実施形態では、プロセッサチップ22の冷却と電源部品24の冷却とが、一体化された、すなわち1つのヒートシンク32によって実現されている。したがって、たとえば、プロセッサチップ22の冷却用のヒートシンクが、電源部品24の冷却用のヒートシンクと干渉する、という事態が発生せず、ヒートシンク32及び電源部品24を効率的に冷却できる。
【0043】
また、プロセッサチップ22の上面と電源部品24の上面とでは、基材20から異なる高さ位置にある。この場合、たとえば、ヒートシンクの一部に、この高低差に合わせた段差を付けることで、上面の位置に高低差がある2種類の部品を、一体化されたヒートシンクにより冷却可能となる。しかし、この場合であっても、一体化されたヒートシンクを単に基材に向けて加圧すると、プロセッサチップ22と電源部品24とに同程度の圧力が作用する場合がある。
【0044】
しかも、2種類の部品を一体化されたヒートシンクにより冷却する場合、これら2種類の部品が離れて配置されていると、これら2種類の部品の相対的な位置ズレが大きい場合が生じる。このように2種類の部品の相対的な位置ズレが大きいと、ヒートシンクを、部品のそれぞれに対し位置決めすることが難しくなる。
【0045】
これに対し、本実施形態では、ヒートシンク32からプロセッサチップ22に作用する圧力と、電源部品24に作用する圧力と、を異ならせることができ、電源部品24の破損を抑制できる。加えて、本実施形態では、ガイド部材60を用いることで、プロセッサチップ22及び電源部品24の2種類の部品に対するヒートシンク32の位置決めを高精度で実現することが可能である。
【0046】
基材20にヒートシンク32が取り付けられた状態の基板16は、
図1に示すように、筐体14内の所定位置に装着される。この状態で、ファン46を駆動することにより風が生成される。この風は、矢印AFで示すように、放熱フィン34に沿って流れ、放熱フィン34の熱が風に移動する。すなわち、プロセッサチップ22及び電源部品24の熱がヒートシンク32を経て風に伝わるので、プロセッサチップ22及び電源部品24が冷却される。
【0047】
本実施形態では、加圧部材50はネジ52を有している。そして、ネジ52の締め込みにより、ヒートシンク32を基材20に対して加圧する。ネジ52に代えて、たとえば、プッシュピン又はリベット等をボルスタープレート26のピン30等に押し込む構造でもよい。ネジ52を用いた構造では、プッシュピンを用いた構造と比較して、加圧力の調整が容易であり、また、ネジ52のねじ込み量を多くすることにより強く加圧することも容易である。
【0048】
本実施形態では、加圧部材50はバネ54を有している。ネジ52のねじ込みによってバネ54が圧縮されることで、バネ力が発揮される。そして、このバネ力により、ヒートシンク32を加圧する。バネ54がない構造、たとえば、ネジ52の頭部等によってヒートシンク32を直接的に加圧する構造と比較して、バネ力によって強くヒートシンク32を加圧できる。ネジ52が緩んだ場合でも、バネ54が圧縮されていれば、バネ力によってヒートシンク32を加圧できる。
【0049】
ただし、本願の開示の技術において、加圧部材50がバネ54を有さない構造であっても、ヒートシンク32からプロセッサチップ22に作用する圧力と、電源部品24に作用する圧力と、を異なるように設定することは可能である。たとえば、加圧部材50のネジ52のねじ込み量を調整することで、ヒートシンク32からプロセッサチップ22に作用する圧力を、電源部品24に作用する圧力よりも大きくすることが可能である。
【0050】
本実施形態では、ボルスタープレート26を有している。これにより、基材20を、下面、すなわちプロセッサチップ22が搭載されている面の反対面側から補強できる。そして、ボルスタープレート26のピン30に、加圧部材50のネジ52をねじ込む構造であるので、ネジ52をねじ込むためのあらたな部材が不要である。しかも、ボルスタープレート26の補強板28は基材20の下面に配置されているので、基材20の上面に配置されている加圧部材50との間でヒートシンク32と基材20とを上下で挟み込み、ヒートシンク32を基材20に取り付けできる。
【0051】
本願の開示の技術において、加圧部材50の数及び位置は限定されない。本実施形態では、複数の加圧部材50が、基材20の平面視で(矢印N1方向に見て)、プロセッサチップ22を囲む位置に配置されている。そして、プロセッサチップ22の周囲で、複数の加圧部材50から均等にヒートシンク32を加圧することが可能である。これにより、基材20に対するヒートシンク32の傾きを避けて、ヒートシンク32を基材20に加圧することが可能である。
【0052】
しかも、本実施形態では、加圧部材50は4つであり、基材20の平面視で四角形の頂点の位置に配置されている。したがって、四角形の頂点以外の位置に加圧部材50が配置された構造と比較して、より均等な力をヒートシンク32に作用させて、ヒートシンク32を基材20に加圧できる。
【0053】
本実施形態では、ヒートシンク32は第一部分36と第二部分38と、を有している。このようにヒートシンク32が2つ、あるいは3つ以上の部分を有する形状であることで、たとえば、基材20上で上面の高さが異なる複数種の発熱部品のそれぞれに対し、ヒートシンク32を接触させる構造を実現できる。
【0054】
具体的には、本実施形態では、電源部品24の上面が、プロセッサチップ22の上面よりも低い位置にある。そして、ヒートシンク32は、第一部分36と、この第一部分36よりも下方、すなわち基材20に近い位置にある第二部分38と、を有している。したがって、このように上面の位置に高低差がある2つの発熱部品に対し、ヒートシンク32をグリースあるいはサーマルシート等を介して接触させ、効率的に熱を受ける構造を実現できる。
【0055】
本実施形態では、ガイド部材60は、支持部62、挿通部64及びネジ部66を有している。支持部62によって、ヒートシンク32を支持し、上下方向に位置決めできる。また、挿通部64をヒートシンク32の第二部分38の挿通孔(図示省略)に挿通することで、ヒートシンク32を横方向に位置決めできる。このように、ガイド部材60は、ヒートシンク32を上下方向に位置決めする部位と、横方向に位置決めする部位と、を有するので、ヒートシンク32を確実に位置決めすることが可能である。さらに、ネジ部66にナット70を締め込むことで、ヒートシンク32を第二部分38において、基材20に向けて加圧する構造を実現できる。
【0056】
本実施形態では、複数の電源部品24は、基材20上で列状に並べて配置されている。そして、ヒートシンク32の第二部分38は、電源部品24の並び方向に沿った長尺状の部材である。このように、長尺状の単純な形状の第二部分38によって、複数の電源部品24からヒートシンク32が熱を受ける構造を実現できる。
【0057】
本実施形態では、ガイド部材60は、1つの第二部分38に対し、長手方向の両側の位置に設けられる。すなわち、長尺状である第二部分38に対し、長手方向の両側の位置で位置決め及び加圧を行うことができる。
【0058】
本願の開示の技術において、ガイド部材60の数及び位置は限定されない。本実施形態では、電源部品24は、複数の列(2列)で列状に並べて配置されている。そして、ヒートシンク32の第二部分38は、電源部品24の複数の列のそれぞれに沿う形状で複数(本実施形態では2つ)備えられている。したがって、複数の列のそれぞれの電源部品24から、ヒートシンク32の第二部分38で熱を受けることができる。
【0059】
本実施形態では、
図5に示すように、第二部分38の下部には、テーパ面44が形成されている。ファン46で生成された風の一部は、奥側から手前側へ流れるにつれて、テーパ面44に沿って幅方向の内側へも流れる。すなわち、プロセッサチップ22が位置する部分又はその近傍に向けて風を流すことで、プロセッサチップ22を効率的に冷却できるようになっている。本実施形態では、奥側(風の流れの上流側)に位置するラジエータ80が、手前側(風の流れの下流側)に位置する第一部分36よりも幅方向外側に出っ張る形状である。このようなラジエータ80の形状であっても、ラジエータ80の下流側に風が回り込むので、ラジエータ80の下流側に搭載された部品を効率的に冷却できる。
【0060】
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0061】
本明細書は、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第一発熱部品及び第二発熱部品が搭載されている基材と、
前記第一発熱部品上及び前記第二発熱部品上に配置され前記第一発熱部品及び前記第二発熱部品から放熱するヒートシンクと、
前記ヒートシンクにおいて前記第一発熱部品上に位置する部分を、前記第一発熱部品を介して前記基材に加圧して固定する加圧部材と、
前記ヒートシンクにおいて前記第二発熱部品上に位置する部分を、前記第二発熱部品を介して前記基材に加圧して固定すると共に、前記基材に対して位置決めするガイド部材と、
を有する基板。
(付記2)
前記加圧部材が、ネジの締め込みにより前記ヒートシンクを前記基材に加圧する付記1に記載の基板。
(付記3)
前記ネジの締め込みによってバネ力を発揮し前記ヒートシンクを加圧するバネ、を有する付記2に記載の基板。
(付記4)
前記基材において前記第一発熱部品が搭載されている面の反対面に備えられ前記基材を補強する補強板と、前記補強板から前記第一発熱部品が搭載されている面へ前記基材を貫通するピンと、を備えるボルスタープレートを有し、
前記ネジが前記ピンに締め込まれている付記2又は付記3に記載の基板。
(付記5)
前記加圧部材が、前記基材の平面視で前記第一発熱部品を囲む位置で複数配置されている付記1~付記4のいずれか一項に記載の基板。
(付記6)
複数の前記加圧部材が、前記平面視で四角形の頂点の位置に配置されている付記5に記載の基板。
(付記7)
前記ヒートシンクは、
前記第一発熱部品と対向し前記第一発熱部品の熱を受ける第一部分と、
前記第一部分と前記第二発熱部品との間に介在され前記第二発熱部品の熱を受けて前記第一部分に伝える第二部分と、
を有する付記1~付記6のいずれか一項に記載の基板。
(付記8)
前記第二発熱部品の上面が前記第一発熱部品の上面よりも前記基材から低い位置にあり、
前記第二部分が前記第二発熱部品の前記上面と前記第一部分との間にある付記7に記載の基板。
(付記9)
前記ガイド部材は、
前記基材上で前記第二部分を支持する支持部と、
前記第二部分に形成された貫通孔に挿通される挿通部と、
前記挿通部が前記貫通孔に挿通され前記第二部分が前記支持部に支持された状態で前記支持部に向けて前記第二部分を加圧する第二ネジと、
を有する付記8に記載の基板。
(付記10)
複数の前記第二発熱部品が前記基材上で列状に並べて搭載され、
前記第二部分は、列状に並べられた複数の前記第二発熱部品の並び方向に沿った長尺状である付記7~付記9のいずれか一項に記載の基板。
(付記11)
前記ガイド部材は、前記長尺状に形成されている前記第二部分の長手方向の両側の位置に設けられている、付記10に記載の基板。
(付記12)
複数の前記第二発熱部品は、複数の列で前記列状に並べて前記基材上に搭載され、
前記第二部分は、複数の前記列のそれぞれに沿って複数備えられている付記10又は付記11に記載の基板。
(付記13)
前記第二部分は、ファンからの風の流れ方向の下流側に向かうにしたがって、長手方向の中央に向かうテーパ面、を有する付記10~付記12のいずれか一項に記載の基板。
(付記14)
第一発熱部品及び第二発熱部品が搭載されている基材と、
前記第一発熱部品上及び前記第二発熱部品上に配置され前記第一発熱部品及び前記第二発熱部品から放熱するヒートシンクと、
前記ヒートシンクにおいて前記第一発熱部品上に位置する部分を、前記第一発熱部品を介して前記基材に加圧して固定する加圧部材と、
前記ヒートシンクにおいて前記第二発熱部品上に位置する部分を、前記第二発熱部品を介して前記基材に加圧して固定すると共に、前記基材に対して位置決めするガイド部材と、
を有する基板と、
前記ヒートシンクに向けて風を生成するファンと
前記基板及び前記ファンが収容される筐体と、
を有する電子機器。
【符号の説明】
【0062】
12 電子機器
14 筐体
16 基板
20 基材
22 プロセッサチップ(第一発熱部品の一例)
24 電源部品(第二発熱部品の一例)
26 ボルスタープレート
28 補強板
30 ピン
32 ヒートシンク
34 放熱フィン
36 第一部分
38 第二部分
40 グリース
42 サーマルシート
44 テーパ面
46 ファン
50 加圧部材
52 ネジ
54 バネ
60 ガイド部材
62 支持部
64 挿通部
66 ネジ部
68 スタッド
70 ナット
72 貫通孔
80 ラジエータ
82 ベーパチャンバ