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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025651
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】多層基板及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240216BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H05K3/46 G
H05K3/46 Z
H05K3/46 N
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080793
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022127682
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 伸郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真典
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB04
5E316CC08
5E316CC10
5E316CC32
5E316DD12
5E316EE01
5E316FF18
5E316HH03
5E316HH11
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB19
5E338BB63
5E338CC01
5E338CC06
5E338EE28
(57)【要約】
【課題】積層体に破損が発生することを抑制する。
【解決手段】多層基板は、第1樹脂層を含む複数の樹脂層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、積層体に設けられている信号導体層と、第1樹脂層をZ軸方向に貫通している1以上の貫通導体と、を備えている。複数の樹脂層のそれぞれは、Z軸方向に並ぶ第1主面と、第2主面と、を有している。第1樹脂層の第1主面には、信号導体層と接しておらず、かつ、Z軸方向に見て、信号導体層と重なる1以上の中空部が設けられている。1以上の中空部は、第1樹脂層をZ軸方向に貫通していない。1以上の中空部及び1以上の貫通導体のそれぞれは、1以上の中空部のZ軸方向に直交する断面積及び1以上の貫通導体のZ軸方向に直交する断面積のそれぞれが、Z軸方向において、第1樹脂層の第1主面に近づくほど、大きくなるテーパー領域を有している。テーパー領域は、第1樹脂層の第1主面と接している。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂層を含む複数の樹脂層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている信号導体層と、
前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通している1以上の貫通導体と、
を備えており、
前記複数の樹脂層のそれぞれは、前記Z軸方向に並ぶ第1主面と、第2主面と、を有しており、
前記第1樹脂層の前記第1主面には、前記信号導体層と接しておらず、かつ、前記Z軸方向に見て、前記信号導体層と重なる1以上の中空部が設けられており、
前記1以上の中空部は、前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通しておらず、
前記1以上の中空部及び前記1以上の貫通導体のそれぞれは、前記1以上の中空部の前記Z軸方向に直交する断面積及び前記1以上の貫通導体の前記Z軸方向に直交する断面積のそれぞれが、前記Z軸方向において、前記第1樹脂層の前記第1主面に近づくほど、大きくなるテーパー領域を有しており、
前記テーパー領域は、前記第1樹脂層の前記第1主面と接している、
多層基板。
【請求項2】
前記信号導体層は、前記第1樹脂層の前記第2主面に位置している、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記1以上の中空部の内周面は、前記第1樹脂層の前記第1主面から前記第1樹脂層の前記第2主面に向かう方向を向く天面を含んでおり、
前記天面は、前記複数の樹脂層の内の前記第1樹脂層の前記第1主面に接触する第2樹脂層の前記第2主面の一部分である、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項4】
前記1以上の中空部は、前記信号導体層より前記第1樹脂層の前記第2主面から前記第1樹脂層の前記第1主面に向かう方向に位置しており、
前記1以上の中空部の内周面は、前記Z軸方向に延びる側面を含んでおり、
前記側面は、前記第1樹脂層の一部分であり、
前記側面は、前記天面と鋭角を形成している、
請求項3に記載の多層基板。
【請求項5】
前記1以上の中空部の内周面は、前記天面と向かい合う底面を含んでおり、
前記底面と前記側面との境界は、曲面である、
請求項4に記載の多層基板。
【請求項6】
前記1以上の中空部の内周面は、前記天面と向かい合う底面を含んでおり、
前記底面には、凹凸が設けられている、
請求項4に記載の多層基板。
【請求項7】
前記凹凸の周期は、前記信号導体層を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である、
請求項6に記載の多層基板。
【請求項8】
前記多層基板は、
前記第1樹脂層の前記第1主面に接触しており、かつ、前記Z軸方向に並ぶ第1グランド導体層主面と、第2グランド導体層主面と、を有しているグランド導体層を、
更に備えており、
前記1以上の中空部の内周面は、前記第1樹脂層の前記第1主面から前記第1樹脂層の前記第2主面に向かう方向を向く天面を含んでおり、
前記天面は、前記グランド導体層の前記第2グランド導体層主面の一部分である、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項9】
前記Z軸方向に見て、前記中空部の最大幅は、前記貫通導体の最大幅より小さい、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項10】
前記Z軸方向に見て、前記1以上の貫通導体は、前記1以上の中空部が設けられている領域を囲む環形状を有している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項11】
前記Z軸方向に見て、前記信号導体層と前記1以上の貫通導体との間には、前記Z軸方向に直交するX軸方向に延びている前記中空部が位置している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項12】
前記積層体は、前記Z軸方向に並ぶ第1積層体主面と、第2積層体主面と、を有しており、
前記多層基板は、
前記積層体に設けられ、かつ、前記積層体の前記第1積層体主面から露出している外部電極を備えており、
前記信号導体層は、前記外部電極と電気的に接続されており、
前記Z軸方向に見て、前記1以上の中空部は、前記信号導体層と前記外部電極とが重なっている部分を囲んでいる、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項13】
前記複数の樹脂層の材料は、熱可塑性樹脂であり、
前記複数の樹脂層は、前記Z軸方向に隣り合うもの同士で融着している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項14】
前記複数の樹脂層は、前記Z軸方向に隣り合うもの同士で接着層により固定されている、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項15】
前記積層体は、第1区間及び第2区間を有しており、
前記第2区間の曲率半径が前記第1区間の曲率半径より小さくなるように、前記第2区間が屈曲している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項16】
前記第2区間に占める空気の割合は、前記第1区間に占める空気の割合より低い、
請求項15に記載の多層基板。
【請求項17】
前記1以上の貫通導体は、前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通している貫通孔内に位置しており、
前記1以上の貫通孔の少なくとも1つの前記Z軸方向に直交する断面積は、前記第1樹脂層の前記第2主面から前記第1樹脂層の前記第1主面に向かう方向に向かうにしたがって減少又は増加している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項18】
前記信号導体層は、前記Z軸方向に直交するX軸方向に延びており、
前記1以上の中空部の数は、複数であり、
前記Z軸方向に見て、前記複数の中空部は、前記信号導体層に沿って並んでおり、
前記Z軸方向に見て、隣り合う2つの前記中空部の前記X軸方向の正方向の端の間の距離は、前記信号導体層を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項19】
前記信号導体層は、前記Z軸方向に直交するX軸方向に延びており、
前記1以上の中空部のそれぞれは、前記X軸方向及び前記Z軸方向に直交するY軸方向に見て、前記1以上の貫通導体のいずれかと重なっている、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項20】
前記1以上の貫通導体の前記テーパー領域の前記Z軸方向の長さは、前記貫通導体の前記Z軸方向の長さの半分以上である、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項21】
請求項1又は請求項2に記載の多層基板を備える、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号導体層を備える多層基板及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多層基板に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の回路基板が知られている。この回路基板は、誘電体基板及び線路導体を備えている。線路導体は、誘電体基板内に設けられている。誘電体基板内には、空間が設けられている。空間は、上下方向に見て、線路導体と重なっている。このように、空間が誘電体基板内に設けられることにより、線路導体の周囲の誘電率が調整される。その結果、線路導体に発生する特性インピーダンスが調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/179476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の回路基板において、誘電体基板が破損することを抑制したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、積層体が破損することを抑制できる多層基板及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る多層基板は、
第1樹脂層を含む複数の樹脂層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている信号導体層と、
前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通している1以上の貫通導体と、
を備えており、
前記複数の樹脂層のそれぞれは、前記Z軸方向に並ぶ第1主面と、第2主面と、を有しており、
前記第1樹脂層の前記第1主面には、前記信号導体層と接しておらず、かつ、前記Z軸方向に見て、前記信号導体層と重なる1以上の中空部が設けられており、
前記1以上の中空部は、前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通しておらず、
前記1以上の中空部及び前記1以上の貫通導体のそれぞれは、前記1以上の中空部の前記Z軸方向に直交する断面積及び前記1以上の貫通導体の前記Z軸方向に直交する断面積のそれぞれが、前記Z軸方向において、前記第1樹脂層の前記第1主面に近づくほど、大きくなるテーパー領域を有しており、
前記テーパー領域は、前記第1樹脂層の前記第1主面と接している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、積層体が破損することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、多層基板10の分解斜視図である。
図2図2は、多層基板10のA-Aにおける断面図である。
図3図3は、多層基板10のB-Bにおける断面図である。
図4図4は、多層基板10aの分解斜視図である。
図5図5は、多層基板10aのC-Cにおける断面図である。
図6図6は、多層基板10bの断面図である。
図7図7は、多層基板10cの樹脂層14b,14cの上面図である。
図8図8は、多層基板10cの断面図である。
図9図9は、多層基板10cの右端部近傍の断面図である。
図10図10は、多層基板10cの右端部近傍の断面図である。
図11図11は、多層基板10dの樹脂層14bの上面図である。
図12図12は、多層基板10dの断面図である。
図13図13は、多層基板10eの樹脂層14bの上面図である。
図14図14は、多層基板10fの樹脂層14bの上面図である。
図15図15は、多層基板10gの断面図である。
図16図16は、多層基板10hの断面図である。
図17図17は、多層基板10iの断面図である。
図18図18は、多層基板10jの断面図である。
図19図19は、多層基板10kの断面図である。
図20図20は、多層基板10lの断面図である。
図21図21は、多層基板10mの断面図である。
図22図22は、多層基板10nの断面図である。
図23図23は、多層基板10oの断面図である。
図24図24は、多層基板10pの正面図である。
図25図25は、多層基板10pの樹脂層14bの上面図である。
図26図26は、多層基板10qの樹脂層14bの断面図である。
図27図27は、多層基板10rの樹脂層14bの断面図である。
図28図28は、多層基板10sの樹脂層14bの断面図である。
図29図29は、多層基板10tの樹脂層14bの断面図である。
図30図30は、多層基板10uの樹脂層14bの断面図である。
図31図31は、多層基板10vの樹脂層14bの断面図である。
図32図32は、電子機器1の断面図である。
図33図33は、変形例に係る複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3及び複数の貫通導体v4を備える多層基板10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
[多層基板10の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る多層基板10の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、多層基板10の分解斜視図である。図2は、多層基板10のA-Aにおける断面図である。図3は、多層基板10のB-Bにおける断面図である。図1及び図2では、複数の貫通導体v1~v4の内の代表的な貫通導体v1~v4にのみ参照符号を付した。
【0010】
本明細書において、方向を以下のように定義する。多層基板10の積層体12の積層方向が上下方向(Z軸方向)である。上下方向(Z軸方向)は、多層基板10の厚み方向である。上方向がZ軸の正方向である。下方向がZ軸の負方向である。多層基板10の信号導体層20が延びている方向が左右方向(X軸方向)である。左右方向(X軸方向)は、上下方向(Z軸方向)に直交している。また、上下方向(Z軸方向)及び左右方向(X軸方向)に直交する方向が前後方向(Y軸方向)である。なお、本明細書の上下方向、前後方向及び左右方向は、多層基板10の実使用時の上下方向、前後方向及び左右方向と一致していなくてもよい。
【0011】
まず、図1を参照しながら、多層基板10の構造について説明する。多層基板10は、高周波信号を伝送する高周波信号線路である。多層基板10は、スマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。多層基板10は、図1に示すように、左右方向に延びる帯形状を有している。
【0012】
多層基板10は、図1に示すように、積層体12、信号導体層20、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24、第3グランド導体層26、外部電極30a,30b、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3、複数の貫通導体v4、貫通導体v5、貫通導体v6、貫通導体v7、貫通導体v8、貫通導体v10及び貫通導体v11を備えている。
【0013】
積層体12は、図1に示すように、板形状を有している。したがって、積層体12は、下方向(Z軸の負方向)に向かってこの順に並ぶ上主面(正主面)及び下主面(負主面)を有している。言い換えると、積層体12は、上下方向(Z軸方向)に並ぶ第1積層体主面と、第2積層体主面と、を有している。例えば、積層体12の上主面(正主面)を積層体12の第1積層体主面とした場合、積層体12の下主面(負主面)が積層体12の第2積層体主面となる。逆に、積層体12の下主面(負主面)を積層体12の第1積層体主面とした場合、積層体12の上主面(正主面)が積層体12の第2積層体主面となる。本実施形態では、積層体12の上主面(正主面)を積層体12の第1積層体主面とし、積層体12の下主面(負主面)を積層体12の第2積層体主面とする。また、積層体12は、図1に示すように、樹脂層14a~14dが上下方向に積層された構造を有している。樹脂層14a~14dは、上から下へとこの順に並んでいる。樹脂層14a~14dは、下方向(Z軸の負方向)に向かってこの順に並ぶ上主面(正主面)及び下主面(負主面)を有している。
【0014】
言い換えると、樹脂層14a~14dのそれぞれは、上下方向(Z軸方向)に並ぶ第1主面と、第2主面と、を有している。例えば、樹脂層14aの上主面(正主面)を樹脂層14aの第1主面とした場合、樹脂層14aの下主面(負主面)が樹脂層14aの第2主面となる。同様に、樹脂層14bの上主面(正主面)を樹脂層14bの第1主面とした場合、樹脂層14bの下主面(負主面)が樹脂層14bの第2主面となる。また、樹脂層14cの上主面(正主面)を樹脂層14cの第1主面とした場合、樹脂層14cの下主面(負主面)が樹脂層14cの第2主面となる。また、樹脂層14dの上主面(正主面)を樹脂層14dの第1主面とした場合、樹脂層14dの下主面(負主面)が樹脂層14dの第2主面となる。
【0015】
逆に、樹脂層14aの下主面(負主面)を樹脂層14aの第1主面とした場合、樹脂層14aの上主面(正主面)が樹脂層14aの第2主面となる。同様に、樹脂層14bの下主面(負主面)を樹脂層14bの第1主面とした場合、樹脂層14bの上主面(正主面)が樹脂層14bの第2主面となる。また、樹脂層14cの下主面(負主面)を樹脂層14cの第1主面とした場合、樹脂層14cの上主面(正主面)が樹脂層14cの第2主面となる。また、樹脂層14dの下主面(負主面)を樹脂層14dの第1主面とした場合、樹脂層14dの上主面(正主面)が樹脂層14dの第2主面となる。なお、上主面(正主面)及び下主面(負主面)と第1主面及び第2主面との対応は、樹脂層毎に設定されてもよい。本実施形態では、樹脂層14aの上主面(正主面)を樹脂層14aの第1主面とし、樹脂層14aの下主面(負主面)を樹脂層14aの第2主面とする。樹脂層14bの上主面(正主面)を樹脂層14bの第1主面とし、樹脂層14bの下主面(負主面)を樹脂層14bの第2主面とする。樹脂層14cの下主面(負主面)を樹脂層14cの第1主面とし、樹脂層14cの上主面(正主面)を樹脂層14cの第2主面とする。樹脂層14dの下主面(負主面)を樹脂層14dの第1主面とし、樹脂層14dの上主面(正主面)を樹脂層14dの第2主面とする。
【0016】
樹脂層14a~14dは、上下方向に見て、積層体12の形状と同じ帯形状を有している。樹脂層14a~14dは、可撓性を有する誘電体シートである。樹脂層14a~14dの材料は、樹脂である。本実施形態では、樹脂層14a~14dの材料は、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等である。そのため、樹脂層14a~14dは、上下方向(Z軸方向)に隣り合うもの同士で融着している。また、樹脂層14a~14dの材料は、ポリイミドであってもよい。これにより、積層体12は、可撓性を有する。また、樹脂層14a,14dの材料は、樹脂層14b,14cの材料と異なっていてもよい。樹脂層14b,14cの材料は、例えば、誘電体損失の小さい樹脂である。樹脂層14a,14dの材料は、例えば、表面保護のために強度の優れる樹脂である。
【0017】
信号導体層20は、図1に示すように、積層体12に設けられている。より詳細には、信号導体層20は、樹脂層14b(第1樹脂層)の下主面(負主面)に位置している。信号導体層20は、線形状を有している。信号導体層20は、左右方向(X軸方向)に延びている。信号導体層20には、高周波信号が伝送される。
【0018】
第1グランド導体層22は、下方向(Z軸の負方向)に向かってこの順に並ぶ上主面(正主面)及び下主面(負主面)を有している。言い換えると、第1グランド導体層22は、上下方向(Z軸方向)に並ぶ第1グランド導体層主面と、第2グランド導体層主面と、を有している。例えば、第1グランド導体層22の上主面(正主面)を第1グランド導体層22の第1グランド導体層主面とした場合、第1グランド導体層22の下主面(負主面)が第1グランド導体層22の第2グランド導体層主面となる。逆に、第1グランド導体層22の下主面(負主面)を第1グランド導体層22の第1グランド導体層主面とした場合、第1グランド導体層22の上主面(正主面)が第1グランド導体層22の第2グランド導体層主面となる。本実施形態では、第1グランド導体層22の上主面(正主面)を第1グランド導体層22の第1グランド導体層主面とし、第1グランド導体層22の下主面(負主面)を第1グランド導体層22の第2グランド導体層主面とする。第1グランド導体層22は、図1に示すように、積層体12に設けられている。より詳細には、第1グランド導体層22は、信号導体層20より上に位置している。本実施形態では、第1グランド導体層22は、樹脂層14aの下主面に位置している。すなわち、第1グランド導体層22は、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に接触している。第1グランド導体層22は、樹脂層14aの下主面の略全面を覆っている。これにより、第1グランド導体層22は、上下方向に見て、信号導体層20と重なっている。第1グランド導体層22は、グランド電位に接続される。
【0019】
第2グランド導体層24は、下方向(Z軸の負方向)に向かってこの順に並ぶ上主面(正主面)及び下主面(負主面)を有している。言い換えると、第2グランド導体層24は、上下方向(Z軸方向)に並ぶ第1グランド導体層主面と、第2グランド導体層主面と、を有している。例えば、第2グランド導体層24の上主面(正主面)を第2グランド導体層24の第1グランド導体層主面とした場合、第2グランド導体層24の下主面(負主面)が第2グランド導体層24の第2グランド導体層主面となる。逆に、第2グランド導体層24の下主面(負主面)を第2グランド導体層24の第1グランド導体層主面とした場合、第2グランド導体層24の上主面(正主面)が第2グランド導体層24の第2グランド導体層主面となる。本実施形態では、第2グランド導体層24の下主面(負主面)を第2グランド導体層24の第1グランド導体層主面とし、第2グランド導体層24の上主面(正主面)を第2グランド導体層24の第2グランド導体層主面とする。第2グランド導体層24は、図1に示すように、積層体12に設けられている。より詳細には、第2グランド導体層24は、信号導体層20より下に位置している。本実施形態では、第2グランド導体層24は、樹脂層14dの上主面に位置している。すなわち、第2グランド導体層24は、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に接触している。第2グランド導体層24は、樹脂層14dの上主面の略全面を覆っている。また、第2グランド導体層24は、上下方向に見て、信号導体層20と重なっている。第2グランド導体層24は、グランド電位に接続される。これにより、信号導体層20、第1グランド導体層22及び第2グランド導体層24は、ストリップライン構造を有している。
【0020】
第3グランド導体層26は、図1に示すように、積層体12に設けられている。より詳細には、第3グランド導体層26の上下方向の位置は、信号導体層20の上下方向の位置と同じである。本実施形態では、第3グランド導体層26は、樹脂層14bの下主面に位置している。また、第3グランド導体層26は、上下方向に見て、信号導体層20の周囲を囲む環形状を有している。そのため、第3グランド導体層26は、第3グランド導体層前部26f、第3グランド導体層後部26b、第3グランド導体層左部26l及び第3グランド導体層右部26rを含んでいる。第3グランド導体層前部26fは、信号導体層20より前に位置している。第3グランド導体層後部26bは、信号導体層20より後に位置している。第3グランド導体層前部26f及び第3グランド導体層後部26bのそれぞれは、左右方向に延びている。第3グランド導体層左部26lは、信号導体層20より左に位置している。第3グランド導体層右部26rは、信号導体層20より右に位置している。第3グランド導体層左部26l及び第3グランド導体層右部26rのそれぞれは、前後方向に延びている。第3グランド導体層26は、グランド電位に接続される。
【0021】
複数の貫通導体v1は、樹脂層14b(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14b(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。複数の貫通導体v1は、上下方向に見て、信号導体層20より前に位置している。複数の貫通導体v1は、左右方向に一列に並んでいる。複数の貫通導体v1は、上下方向に見て、左右方向に延びる2本の長辺及び前後方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v1の上端は、第1グランド導体層22に接触している。複数の貫通導体v1の下端は、第3グランド導体層前部26fに接触している。
【0022】
複数の貫通導体v2は、樹脂層14c(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14c(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。複数の貫通導体v2は、上下方向に見て、信号導体層20より前に位置している。複数の貫通導体v2は、左右方向に一列に並んでいる。また、複数の貫通導体v2のそれぞれは、上下方向に見て、複数の貫通導体v1と重なっている。複数の貫通導体v2は、上下方向に見て、左右方向に延びる2本の長辺及び前後方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v2の上端は、第3グランド導体層前部26fに接触している。複数の貫通導体v2の下端は、第2グランド導体層24に接触している。
【0023】
複数の貫通導体v3は、樹脂層14b(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14b(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。複数の貫通導体v3は、上下方向に見て、信号導体層20より後に位置している。複数の貫通導体v3は、左右方向に一列に並んでいる。複数の貫通導体v3は、上下方向に見て、左右方向に延びる2本の長辺及び前後方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v3の上端は、第1グランド導体層22に接触している。複数の貫通導体v3の下端は、第3グランド導体層後部26bに接触している。
【0024】
複数の貫通導体v4は、樹脂層14c(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14c(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。複数の貫通導体v4は、上下方向に見て、信号導体層20より後に位置している。複数の貫通導体v4は、左右方向に一列に並んでいる。また、複数の貫通導体v4のそれぞれは、上下方向に見て、複数の貫通導体v3と重なっている。複数の貫通導体v4は、上下方向に見て、左右方向に延びる2本の長辺及び前後方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v4の上端は、第3グランド導体層後部26bに接触している。複数の貫通導体v4の下端は、第2グランド導体層24に接触している。
【0025】
貫通導体v5は、樹脂層14b(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14b(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。貫通導体v5は、上下方向に見て、信号導体層20より左に位置している。貫通導体v5は、上下方向に見て、前後方向に延びる2本の長辺及び左右方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v5の上端は、第1グランド導体層22に接触している。複数の貫通導体v1の下端は、第3グランド導体層左部26lに接触している。
【0026】
貫通導体v6は、樹脂層14c(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14c(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。貫通導体v6は、上下方向に見て、信号導体層20より左に位置している。また、貫通導体v6は、上下方向に見て、貫通導体v5と重なっている。貫通導体v6は、上下方向に見て、前後方向に延びる2本の長辺及び左右方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v6の上端は、第3グランド導体層左部26lに接触している。複数の貫通導体v6の下端は、第2グランド導体層24に接触している。
【0027】
貫通導体v7は、樹脂層14b(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14b(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。貫通導体v7は、上下方向に見て、信号導体層20より右に位置している。貫通導体v7は、上下方向に見て、前後方向に延びる2本の長辺及び左右方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v7の上端は、第1グランド導体層22に接触している。複数の貫通導体v7の下端は、第3グランド導体層右部26rに接触している。
【0028】
貫通導体v8は、樹脂層14c(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。樹脂層14c(第1樹脂層)は、樹脂層14a~14dの内の上下方向(Z軸方向)の両端に位置する樹脂層14a,14dとは異なる樹脂層である。貫通導体v8は、上下方向に見て、信号導体層20より右に位置している。また、貫通導体v8は、上下方向に見て、貫通導体v7と重なっている。貫通導体v8は、上下方向に見て、前後方向に延びる2本の長辺及び左右方向に延びる2本の短辺を有する長方形状を有している。複数の貫通導体v8の上端は、第3グランド導体層右部26rに接触している。複数の貫通導体v8の下端は、第2グランド導体層24に接触している。
【0029】
また、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7は、四角錘台形状を有している。複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7は、増加区間AIを有している。増加区間AIでは、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって増加している。増加区間AIの上端(Z軸の正方向の端)は、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に位置している。また、増加区間AIの下端は、上下方向において、樹脂層14bの下主面に位置している。したがって、図2に示すように、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の上下方向に直交する断面積は、上方向に向かうにしたがって、増加している。よって、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の上端の面積は、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の下端の面積より大きい。
【0030】
言い換えると、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7のそれぞれは、テーパー領域TAを有している。より詳細には、複数の貫通導体v1のテーパー領域TAは、複数の貫通導体v1の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に近づくほど、大きくなる領域である。同様に、複数の貫通導体v3のテーパー領域TAは、複数の貫通導体v3の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に近づくほど、大きくなる領域である。また、貫通導体v5のテーパー領域TAは、貫通導体v5の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に近づくほど、大きくなる領域である。また、貫通導体v7のテーパー領域TAは、貫通導体v7の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に近づくほど、大きくなる領域である。複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7のそれぞれのテーパー領域TAは、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)と接している。
【0031】
また、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8は、四角錘台形状を有している。複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8は、減少区間ADを有している。減少区間ADでは、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって減少している。減少区間ADの下端(Z軸の負方向の端)は、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に位置している。また、減少区間ADの上端は、上下方向において、樹脂層14cの上主面に位置している。したがって、図2に示すように、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって、減少している。よって、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8の上端の面積は、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8の下端の面積より小さい。
【0032】
言い換えると、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8のそれぞれは、テーパー領域TAを有している。より詳細には、複数の貫通導体v2のテーパー領域TAは、複数の貫通導体v2の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に近づくほど、大きくなる領域である。同様に、複数の貫通導体v4のテーパー領域TAは、複数の貫通導体v4の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14b(第1樹脂層)の下主面(負主面)に近づくほど、大きくなる領域である。また、貫通導体v6のテーパー領域TAは、貫通導体v6の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に近づくほど、大きくなる領域である。また、貫通導体v8のテーパー領域TAは、貫通導体v8の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に近づくほど、大きくなる領域である。複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8のそれぞれのテーパー領域TAは、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)と接している。
【0033】
以上のような複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3、複数の貫通導体v4、貫通導体v5、貫通導体v6、貫通導体v7及び貫通導体v8は、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24及び第3グランド導体層26を電気的に接続している。そして、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24及び第3グランド導体層26は、グランド電位に接続される。
【0034】
外部電極30a,30bは、図示しない外部回路と電気的に接続される。外部回路は、多層基板10外に設けられている電気回路である。外部電極30a,30bは、積層体12に設けられている。外部電極30a,30bは、積層体12の上主面(正主面)から露出している。より詳細には、外部電極30aは、樹脂層14bの上主面の左端近傍に位置している。外部電極30bは、樹脂層14bの上主面の右端近傍に位置している。外部電極30a,30bは、上下方向に見て、長方形状を有している。ただし、外部電極30a,30bは、第1グランド導体層22と接触していない。外部電極30a,30bには、図示しないコネクタが半田により実装される。このコネクタは、図示しない回路基板のコネクタに接続される。これにより、多層基板10と図示しない回路基板とが電気的に接続される。なお、多層基板10は、コネクタを介することなく、表面実装により回路基板と接続されてもよい。
【0035】
樹脂層14aには、開口ha~hjが設けられている。開口ha~heは、樹脂層14aの左端部に設けられている。開口ha~heは、樹脂層14aを上下方向に貫通している。開口hbは、開口haに左に位置している。開口hcは、開口haに右に位置している。開口hdは、開口haに前に位置している。開口heは、開口haに後に位置している。外部電極30aは、開口haから露出している。第1グランド導体層22は、開口hb~heから露出している。開口hf~hjは、開口ha~heと左右対称な構造を有するので、説明を省略する。
【0036】
貫通導体v10は、樹脂層14bを上下方向に貫通している。貫通導体v10は、上下方向に見て、信号導体層20の左端部及び外部電極30aと重なっている。貫通導体v10は、上下方向に見て、長方形状を有している。複数の貫通導体v10の上端は、外部電極30aに接触している。複数の貫通導体v10の下端は、信号導体層20の左端部に接触している。これにより、信号導体層20は、外部電極30aと電気的に接続されている。
【0037】
貫通導体v11は、樹脂層14bを上下方向に貫通している。貫通導体v11は、上下方向に見て、信号導体層20の右端部及び外部電極30bと重なっている。貫通導体v11は、上下方向に見て、長方形状を有している。複数の貫通導体v11の上端は、外部電極30bに接触している。複数の貫通導体v11の下端は、信号導体層20の右端部に接触している。これにより、信号導体層20は、外部電極30bと電気的に接続されている。
【0038】
以上のような信号導体層20、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24、第3グランド導体層26及び外部電極30a,30bは、樹脂層14a,14b,14dの上主面又は下主面に張り付けられた金属箔にパターニングが施されることにより形成される。金属箔は、例えば、銅箔である。複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3、複数の貫通導体v4、貫通導体v5~v8,v10,v11は、樹脂層14a~14cを上下方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストが過熱により固化されることによって、形成される。ただし、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3、複数の貫通導体v4、貫通導体v5~v8,v10,v11は、樹脂層14a~14cを上下方向に貫通する貫通孔にめっきが施されることにより形成されてもよい。また、導電性ペーストの代わりに半田が用いられてもよい。
【0039】
積層体12には、図2及び図3に示すように、樹脂が存在しない空洞である中空部Sp1が設けられている。中空部Sp1は、樹脂層14b(第1樹脂層)に設けられている。より詳細には、中空部Sp1は、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に設けられている。ただし、中空部Sp1は、樹脂層14b(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通していない。したがって、中空部Sp1は、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)から下方向(Z軸の負方向)に向かって伸びている。これにより、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)の一部分は、下方向(Z軸の負方向)に窪んだ形状を有している。また、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)の当該一部分は、中空部Sp1の内周面Saと接する内壁を形成する。そして、中空部Sp1の下端(Z軸の負方向の端)は、樹脂層14b(第1樹脂層)の下主面(負主面)より上に位置している。
【0040】
中空部Sp1は、信号導体層20より上(Z軸の正方向)に位置している。したがって、中空部Sp1は、信号導体層20と接していない。中空部Sp1は、図1に示すように、信号導体層20に沿って左右方向に延びている。中空部Sp1は、図2及び図3に示すように、上下方向(Z軸方向)に見て、信号導体層20と重なっている。ただし、信号導体層20の左端部及び右端部は、上下方向に見て、中空部Sp1と重なっていない。また、中空部Sp1は、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3及び貫通導体v5,v7と重なっていない。また、中空部Sp1は、前後方向(Y軸方向)に見て、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3と重なっている。
【0041】
中空部Sp1の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって、増加している。このような中空部Sp1の内周面Saは、図2及び図3に示すように、天面S1、側面S2及び底面S3を含んでいる。天面S1は、下方向を向く面である。天面S1は、第1グランド導体層22の下主面(負主面)の一部分である。底面S3は、天面S1と向かい合っている。側面S2は、上下方向(Z軸方向)に延びている。ただし、側面S2は、上下方向に対して傾いている。側面S2は、天面S1と底面S3とを繋いでいる。側面S2は、樹脂層14b(第1樹脂層)の一部分である。そして、側面S2は、天面S1と鋭角を形成している。ただし、樹脂層14a~14dは、熱圧着により一体化される。そのため、樹脂層14a~14dの熱圧着後には、中空部Sp1の左右方向に直交する断面形状は、図2に示す台形から崩れる場合がある。よって、側面S2と天面S1との接合部及び側面S2と底面S3との接合部は、曲面であってもよい。
【0042】
言い換えると、中空部Sp1は、テーパー領域TAを有している。より詳細には、中空部Sp1のテーパー領域TAは、中空部Sp1の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に近づくほど、大きくなる領域である。中空部Sp1のテーパー領域TAは、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)と接している。
【0043】
積層体12には、図2及び図3に示すように、樹脂が存在しない空洞である中空部Sp2が設けられている。中空部Sp2は、樹脂層14c(第1樹脂層)に設けられている。より詳細には、中空部Sp2は、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に設けられている。ただし、中空部Sp2は、樹脂層14c(第1樹脂層)を上下方向(Z軸方向)に貫通していない。したがって、中空部Sp2は、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)から上方向(Z軸の正方向)に向かって伸びている。これにより、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)の一部分は、上方向(Z軸の正方向)に窪んだ形状を有している。また、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)の当該一部分は、中空部Sp1の内周面Sbと接する内壁を形成する。そして、中空部Sp2の上端(Z軸の正方向の端)は、樹脂層14c(第1樹脂層)の上主面(正主面)より下に位置している。
【0044】
中空部Sp2は、信号導体層20より下(Z軸の負方向)に位置している。したがって、中空部Sp2は、信号導体層20と接していない。中空部Sp2は、図1に示すように、信号導体層20に沿って左右方向に延びている。中空部Sp2は、図2及び図3に示すように、上下方向(Z軸方向)に見て、信号導体層20と重なっている。ただし、信号導体層20の左端部及び右端部は、上下方向に見て、中空部Sp2と重なっていない。中空部Sp2は、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4及び貫通導体v6,v8と重なっていない。また、中空部Sp2は、前後方向(Y軸方向)に見て、複数の貫通導体v2及び複数の貫通導体v4と重なっている。
【0045】
中空部Sp2の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって、減少している。このような中空部Sp2の内周面Sbは、図2及び図3に示すように、天面S4、側面S5及び底面S6を含んでいる。天面S4は、上方向を向く面である。天面S4は、第2グランド導体層24の上主面(正主面)の一部分である。底面S6は、天面S4と向かい合っている。側面S5は、上下方向(Z軸方向)に延びている。側面S5は、天面S4と底面S6とを繋いでいる。側面S5は、樹脂層14c(第1樹脂層)の一部分である。そして、側面S5は、天面S4と鋭角を形成している。
【0046】
言い換えると、中空部Sp2は、テーパー領域TAを有している。より詳細には、中空部Sp2のテーパー領域TAは、中空部Sp2の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積が、上下方向(Z軸方向)において、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に近づくほど、大きくなる領域である。中空部Sp2のテーパー領域TAは、樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)と接している。
【0047】
[効果]
多層基板10によれば、多層基板10に発生する誘電体損失を低減できる。より詳細には、多層基板10では、中空部Sp1は、上下方向に見て、信号導体層20と重なっている。これにより、信号導体層20の周囲の誘電率が低くなる。その結果、多層基板10において誘電体損失が低減される。
【0048】
ところで、多層基板において、中空部が積層体に設けられていると、積層体の強度が低下する。その結果、積層体に破損が発生しやすくなる。そこで、中空部Sp1は、中空部Sp1の上下方向に直交する断面積が、上下方向において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)(第1樹脂層の第1主面)に近づくほど、大きくなるテーパー領域TAを有している。これにより、側面S2は、上下方向に対して傾く。その結果、積層体12に上下方向から力が加わった場合に、側面S2に加わる力が分散される。これにより、積層体12に破損が発生することが抑制されている。ただし、中空部Sp1の上部では、中空部Sp1の前後方向及び左右方向の大きさが大きい。そのため、中空部Sp1の上部近傍における積層体12の強度が低くなりやすい。そこで、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7は、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の上下方向に直交する断面積が、上下方向において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)(第1樹脂層の第1主面)に近づくほど、大きくなるテーパー領域TAを有している。このような複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7のそれぞれのテーパー領域TAは、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)と接している。複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7は、樹脂層14aより高い強度を有する。これにより、中空部Sp1の上部近傍における積層体12の強度の低下が抑制される。以上より、積層体12に破損が発生することが抑制される。
【0049】
また、多層基板10によれば、信号導体層20に発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンス(50Ω)から変動することが抑制される。複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7は、テーパー領域TAを有している。テーパー領域TAでは、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の上下方向に直交する断面積が、上下方向において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)(第1樹脂層の第1主面)に近づくほど、大きくなっている。このような複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7のそれぞれのテーパー領域TAは、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)と接している。換言すれば、テーパー領域TAの下部では、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の前後方向及び左右方向の大きさが小さい。したがって、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7が信号導体層20に近づきすぎることが抑制され、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7と信号導体層20との間に形成される容量の増大が抑制される。その結果、信号導体層20に発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンス(50Ω)から変動することが抑制される。また、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7と信号導体層20との間に形成される容量の増大が抑制されるため、信号導体層20を太くすることができる。その結果、信号導体層20の導体損失が低減される。
【0050】
また、多層基板10では、中空部Sp1の上下方向に直交する断面積は、上下方向において、樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)(第1樹脂層の第1主面)に近づくほど、大きくなっている。これにより、側面S2は、上下方向に対して傾く。よって、高周波信号は、側面S2において反射すると、左右方向に対して傾いた方向に進行する。その結果、多層基板10において定常波が発生しにくくなる。
【0051】
また、多層基板10では、中空部Sp1は、樹脂層14bを上下方向に貫通していない。そのため、樹脂層14bが樹脂層14cから剥離することが抑制される。
【0052】
また、多層基板10では、信号導体層20は、樹脂層14bと樹脂層14cとの間に位置している。これにより、信号導体層20が空気に曝されにくくなる。よって、信号導体層20に腐植等の劣化が発生しにくい。また、樹脂層14b,14cは、高いフレキシブル性を有する。そのため、信号導体層20及び樹脂層14b,14cが衝撃により破損しにくくなる。
【0053】
また、多層基板10によれば、樹脂層14a~14dは、上下方向に隣り合うもの同士で融着している。これにより、樹脂層14a~14dを接着するための接着層が不要となる。接着層が存在することによって発生する伝送損失が低減される。また、樹脂層14a~14dの隙間に水分が侵入しにくくなるので、信号導体層20の腐食が発生しにくい。なお、図2には、樹脂層14a~14dと第1グランド導体層22及び第2グランド導体層24との左及び右に空隙が存在する。しかしながら、これらの空隙は存在しなくてもよい。
【0054】
また、多層基板10では、複数の貫通導体v1の下端及び複数の貫通導体v3の下端が第3グランド導体層26に接触している。更に、第3グランド導体層26は、樹脂層14bの下主面に位置している。これにより、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3の形成の際に、樹脂層14bに形成された複数の貫通孔の下端が第3グランド導体層26に覆われる。その結果、シート状態の樹脂層14bの貫通孔に導電性ペーストを充填することが可能である。
【0055】
また、多層基板10では、樹脂14a~14dの材料は、例えば、液晶ポリマー、PTFEである。これらの材料は、小さな誘電率及び小さな誘電正接を有する。そのため、多層基板10の伝送損失が低減される。
【0056】
また、多層基板10では、第3グランド導体層前部26fは、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v2により第1グランド導体層22及び第2グランド導体層24に電気的に接続されている。これにより、第3グランド導体層前部26fに発生するインダクタ成分が低減される。その結果、インダクタ成分及び浮遊容量により形成される共振回路の共振周波数が高くなる。よって、共振回路の共振周波数が高周波信号の周波数から大きく離れる。また、第3グランド導体層前部26fに発生するインダクタ成分が低減されるので、第3グランド導体層前部26fの前後方向の幅を小さくしてもよい。これにより、多層基板10の前後方向の幅が小さくなる。
【0057】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る多層基板10aについて図面を参照しながら説明する。図4は、多層基板10aの分解斜視図である。図5は、多層基板10aのC-Cにおける断面図である。
【0058】
多層基板10aは、中空部Sp1の数が複数である点及び中空部Sp2の数が複数である点において多層基板10と相違する。より詳細には、多層基板10aでは、複数の中空部Sp1が樹脂層14bに設けられている。複数の中空部Sp1は、左右方向に一列に並んでいる。複数の中空部Sp1は、上下方向に見て、信号導体層20と重なっている。したがって、複数の中空部Sp1は、信号導体層20に沿って並んでいる。そして、上下方向(Z軸方向)に見て、隣り合う2つの中空部Sp1の左端(X軸方向の正方向の端)の間の距離P1は、信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である。
【0059】
また、複数の中空部Sp2が樹脂層14cに設けられている。複数の中空部Sp2は、左右方向に一列に並んでいる。複数の中空部Sp2は、上下方向に見て、信号導体層20と重なっている。したがって、複数の中空部Sp2は、信号導体層20に沿って並んでいる。そして、上下方向(Z軸方向)に見て、隣り合う2つの中空部Sp2の左端(X軸方向の正方向の端)の間の距離P2は、信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である。多層基板10aのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10aは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0060】
多層基板10aによれば、多層基板10aの内部での損失を抑制することができる。より詳細には、中空部Sp1が設けられている第1区間A11において信号導体層20に発生している特性インピーダンスは、中空部Sp1が設けられていない第2区間A12において信号導体層20に発生している特性インピーダンスと異なる。そのため、第1区間A11と第2区間A12との境界において高周波信号の反射が発生しやすい。反射した高周波信号は、反射方向でも特性インピーダンスの変化があるため、また反射する。このように多重反射が発生する。第1区間A11とA12の左右方向の長さ(すなわち特性インピーダンス変化の周期)が信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/4倍のとき、元の高周波信号と多重反射した高周波信号の位相は1/2ずれ、逆位相になり打ち消しあう。この結果、高周波信号の強度が小さくなる。そこで、上下方向(Z軸方向)に見て、隣り合う2つの中空部Sp1の左端(X軸方向の正方向の端)の間の距離P1は、信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8以下であることが望ましい。
【0061】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る多層基板10bについて図面を参照しながら説明する。図6は、多層基板10bの断面図である。
【0062】
多層基板10bは、中空部Sp1において底面S3と側面S2との境界が曲面である点、及び、中空部Sp2おいて底面S6と側面S5との境界が曲面である点において多層基板10と相違する。多層基板10bのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10bは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0063】
多層基板10bでは、中空部Sp1において底面S3と側面S2との境界が曲面である。そのため、底面S3と側面S2との境界部に引っ張り応力が発生した際に、応力が分散するので、多層基板10bが破損しにくい。また、圧縮応力に対しても同様に、応力が分散されるので、中空部Sp1が変形することを抑制できる。更に、誘電率の変化が緩やかになるため高周波信号の反射を抑制することができる。
【0064】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る多層基板10cについて図面を参照しながら説明する。図7は、多層基板10cの樹脂層14b,14cの上面図である。図8は、多層基板10cの断面図である。図9及び図10は、多層基板10cの右端部近傍の断面図である。
【0065】
多層基板10cは、中空部Sp1,Sp2の形状において多層基板10と相違する。より詳細には、上下方向(Z軸方向)に見て、中空部Sp1の最大幅は、貫通導体v1,v3の最大幅より小さい。本実施形態では、複数の中空部Sp1は、上下方向に見て、円形状を有している。そのため、上下方向に見て、中空部Sp1の直径は、貫通導体v1,v3の左右方向の長さより短い。これにより、上下方向に見て、中空部Sp1の面積は、貫通導体v1,v3の面積より小さい。多層基板10cでは、このような小さな複数の中空部Sp1が、上下方向に見て、信号導体層20の周囲に均一に分散されている。また、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の中空部Sp1は、信号導体層20と外部電極30a,30bとが重なっている部分を囲んでいる。
【0066】
上下方向(Z軸方向)に見て、中空部Sp2の最大幅は、貫通導体v2,v4の最大幅より小さい。本実施形態では、複数の中空部Sp2は、上下方向に見て、円形状を有している。そのため、上下方向に見て、中空部Sp2の直径は、貫通導体v2,v4の左右方向の長さより短い。これにより、上下方向に見て、中空部Sp2の面積は、貫通導体v2,v4の面積より小さい。多層基板10cでは、このような小さな複数の中空部Sp2が、上下方向に見て、信号導体層20の周囲に均一に分散されている。また、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の中空部Sp2は、信号導体層20と外部電極30a,30bとが重なっている部分を囲んでいる。多層基板10cのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10cは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0067】
多層基板10cの複数の中空部Sp1の体積の合計は、多層基板10の中空部Sp1の体積の合計より小さい。そのため、複数の中空部Sp1が設けられることによる積層体12の強度の低下が少ない。よって、積層体12が変形しにくい。その結果、信号導体層20の周囲の構造の変化が小さくなるので、信号導体層20に発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動しにくい。
【0068】
多層基板10cでは、図10に示すように、貫通導体v7と貫通導体v11との間に中空部Sp1が位置している。これにより、グランド電位に接続される貫通導体v7と高周波信号が伝送される貫通導体v11とが容量結合することが抑制される。
【0069】
多層基板10cでは、積層体12の強度の低下が抑制される。より詳細には、積層体12の領域R1に複数の中空部Sp1が設けられることによって、積層体12の領域R1の強度が低下する。そこで、上下方向に見て、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7は、複数の中空部Sp1が設けられている領域R1を囲んでいる。複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7は、高い強度を有している。これにより、積層体12の強度の低下が抑制される。
【0070】
多層基板10cでは、複数の貫通導体v1の間隔は、複数の中空部Sp1の間隔より大きい。これにより、より多くの複数の中空部Sp1が設けられるので、信号導体層20の周囲の誘電率が低下する。その結果、多層基板10cによれば、信号導体層20の誘電体損失が低減される。
【0071】
多層基板10cでは、複数の貫通導体v1は、複数の中空部Sp1と接していない。これにより、貫通導体v1の導体が中空部Sp1に侵入することが抑制される。
【0072】
多層基板10cでは、信号導体層20は、左右方向に延びている。そのため、多層基板10cは、左右方向に長手方向を有している。この場合、多層基板10cは、前後方向に延びる折れ線において折れ曲がる可能性が高い。そこで、複数の貫通導体v1は、左右方向に延びる長辺を有している。これにより、多層基板10cが、前後方向に延びる折れ線に沿って折れ曲がることが抑制される。
【0073】
多層基板10cでは、複数の中空部Sp1の下端部は、下方向に突出する曲面である。これにより、積層体12の強度の低下が抑制される。また、信号導体層20に発生する特性インピーダンスが所望の特性インピーダンスから変動しにくくなる。
【0074】
多層基板10cでは、上下方向に見て、複数の中空部Sp1の直径が信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である。これにより、多層基板10aと同じ理由により、多層基板10cからノイズが放射されることが抑制される。
【0075】
多層基板10cでは、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の中空部Sp1は、信号導体層20と外部電極30aとが重なっている部分を囲んでいる。これにより、外部電極30a近傍に発生している特性インピーダンスが、所望の特性インピーダンスから変動することが抑制される。
【0076】
多層基板10cでは、複数の中空部Sp1及び複数の中空部Sp2は、例えば、樹脂層14bの上主面又は樹脂層14cの下主面にドリルにより形成される。
【0077】
なお、中空部Sp1は、上下方向に見て、中空部Sp2と重なっていない。しかしながら、中空部Sp1は、上下方向に見て、中空部Sp2と重なっていてもよい。中空部Sp1が中空部Sp2と重なっていない場合、特性インピーダンスの変化が小さく反射を抑えることが可能である。中空部Sp1が中空部Sp2と重なっている場合、上下方向に樹脂が存在する部分があるため、多層基板10c強度が向上する。
【0078】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る多層基板について図面を参照しながら説明する。図11は、多層基板10dの樹脂層14bの上面図である。図12は、多層基板10dの断面図である。
【0079】
多層基板10dは、底面S3,S6には、凹凸が設けられている点において多層基板10と相違する。底面S3,S6には、前後方向に並ぶ複数本の筋状の窪みgが設けられている。筋状の窪みgは、左右方向に延びている。なお、筋状の窪みgの上下方向の深さは、複数種類存在してもよい。筋状の窪みgの底は、曲面である。そして凹凸の周期tは、信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である。そのため、凹凸の周期tは、貫通導体v1,v3の前後方向の長さ及び左右方向の長さより短い。また、ドリルやレーザビームの照射により中空部Sp1,Sp2が形成された場合に、このような凹凸が底面S3,S6に形成される。多層基板10dのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10dは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0080】
また、凹凸の周期tは、信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8以下であるので、多層基板10aと同じ理由により、多層基板10cからノイズが放射されることが抑制される。更に、凹凸の周期tは、貫通導体v1,v3の前後方向の長さ及び左右方向の長さより短い。これにより、中空部Sp1,Sp2及び貫通導体v1,v3の形成に、共通のドリルを使用できる。
【0081】
また、多層基板10fでは、複数本の窪みgが左右方向に延びているので、多層基板10fが前後方向に延びる折れ線において折れ曲がることが抑制される。
【0082】
(第5変形例)
以下に、第5変形例に係る多層基板10eについて図面を参照しながら説明する。図13は、多層基板10eの樹脂層14bの上面図である。
【0083】
多層基板10eは、上下方向に見て、環形状の中空部Sp3が樹脂層14bに設けられている点において多層基板10cと相違する。環形状の中空部Sp3は、上下方向に見て、複数の中空部Sp1が設けられている領域R1を囲んでいる。これにより、上下方向(Z軸方向)に見て、信号導体層20と複数の貫通導体v1,v3との間には、左右方向(X軸方向)に延びている中空部Sp3が位置している。また、中空部Sp3は、上下方向に見て、貫通導体v10,v11のそれぞれの周囲を囲んでいる。多層基板10eのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10eは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0084】
多層基板10eでは、上下方向(Z軸方向)に見て、信号導体層20と複数の貫通導体v1,v3との間には、左右方向(X軸方向)に延びている中空部Sp3が位置している。これにより、複数の貫通導体v1,v3の溶剤が信号導体層20まで到達することが抑制されるので、信号導体層20の腐食が抑制される。
【0085】
(第6変形例)
以下に、第6変形例に係る多層基板10fについて図面を参照しながら説明する。図14は、多層基板10fの樹脂層14bの上面図である。
【0086】
多層基板10fは、複数本の筋状の窪みgが、前後方向に延び、かつ、左右方向に並んでいる点において多層基板10dと相違する。多層基板10fのその他の構造は、多層基板10dと同じであるので説明を省略する。多層基板10fは、多層基板10dと同じ作用効果を奏することができる。多層基板10fでは、複数本の窪みgが前後方向に延びているので、多層基板10fが左右方向に延びる折れ線において折れ曲がることが抑制される。
【0087】
(第7変形例)
以下に、第7変形例に係る多層基板10gについて図面を参照しながら説明する。図15は、多層基板10gの断面図である。
【0088】
多層基板10gは、中空部Sp1が中空部Sp1f及び中空部Sp1bに分離されている点、及び、中空部Sp2が中空部Sp2f及び中空部Sp2bに分離されている点において多層基板10dと相違する。中空部Sp1f及び中空部Sp1bは、前から後ろへとこの順に並んでいる。中空部Sp2f及び中空部Sp2bは、前から後ろへとこの順に並んでいる。多層基板10gのその他の構造は、多層基板10dと同じであるので説明を省略する。多層基板10gは、多層基板10dと同じ作用効果を奏することができる。
【0089】
多層基板10gでは、中空部Sp1fと中空部Sp1bとの間に樹脂層14bが存在している。これにより、積層体12の強度が向上する。
【0090】
(第8変形例)
以下に、第8変形例に係る多層基板10hについて図面を参照しながら説明する。図16は、多層基板10hの断面図である。
【0091】
多層基板10hは、積層体12が樹脂層14e,14fを更に含んでいる点、並びに、複数の貫通導体v21、複数の貫通導体v22、複数の貫通導体v23及び複数の貫通導体v24を更に備えている点において多層基板10dと相違する。樹脂層14eは、樹脂層14aと樹脂層14bとの間に位置している。これにより、天面S1は、樹脂層14a~14fの内の樹脂層14b(第1樹脂層)の上主面(正主面)に接触する樹脂層14e(第2樹脂層)の下主面(負主面)の一部分である。したがって、中空部Sp1には、第1グランド導体層22が露出していない。樹脂層14fは、樹脂層14cと樹脂層14dとの間に位置している。これにより、天面S4は、樹脂層14a~14fの内の樹脂層14c(第1樹脂層)の下主面(負主面)に接触する樹脂層14f(第2樹脂層)の上主面(正主面)の一部分である。したがって、中空部Sp2には、第2グランド導体層24が露出していない。
【0092】
複数の貫通導体v21及び複数の貫通導体v23のそれぞれは、樹脂層14eを上下方向に貫通している。複数の貫通導体v21のそれぞれは、第1グランド導体層22と複数の貫通導体v1とを電気的に接続している。複数の貫通導体v23のそれぞれは、第1グランド導体層22と複数の貫通導体v3とを電気的に接続している。複数の貫通導体v22及び複数の貫通導体v24のそれぞれは、樹脂層14fを上下方向に貫通している。複数の貫通導体v22のそれぞれは、第2グランド導体層24と複数の貫通導体v2とを電気的に接続している。複数の貫通導体v24のそれぞれは、第2グランド導体層24と複数の貫通導体v4とを電気的に接続している。多層基板10hのその他の構造は、多層基板10dと同じであるので説明を省略する。多層基板10hは、多層基板10dと同じ作用効果を奏することができる。
【0093】
多層基板10hでは、第1グランド導体層22が中空部Sp1に露出していないので、第1グランド導体層22が腐食することが抑制される。
【0094】
多層基板10hでは、信号導体層20と第1グランド導体層22との距離が長くなる。
【0095】
多層基板10hでは、信号導体層20に接触している樹脂層14bに中空部Sp1が設けられている。これにより、中空部Sp1が信号導体層20の近くに位置するので、信号導体層20の周囲の誘電率が低下する。その結果、多層基板10hに発生する誘電体損失が低減される。
【0096】
(第9変形例)
以下に、第9変形例に係る多層基板10iについて図面を参照しながら説明する。図17は、多層基板10iの断面図である。
【0097】
多層基板10iは、樹脂層14eに複数の中空部Sp11が設けられている点、及び、樹脂層14fに複数の中空部Sp12が設けられている点において多層基板10hと相違する。複数の中空部Sp11のそれぞれは、複数の中空部Sp1とつながっている。複数の中空部Sp12のそれぞれは、複数の中空部Sp2とつながっている。多層基板10iのその他の構造は、多層基板10hと同じであるので説明を省略する。多層基板10iは、多層基板10hと同じ作用効果を奏することができる。
【0098】
(第10変形例)
以下に、第10変形例に係る多層基板10jについて図面を参照しながら説明する。図18は、多層基板10jの断面図である。
【0099】
多層基板10jは、複数の中空部Sp1及び複数の中空部Sp2が設けられていない点において多層基板10iと相違する。この場合、複数の中空部Sp11は、複数の第1中空部として機能する。複数の中空部Sp12は、複数の第2中空部として機能する。多層基板10jのその他の構造は、多層基板10iと同じであるので説明を省略する。多層基板10jは、多層基板10iと同じ作用効果を奏することができる。
【0100】
(第11変形例)
以下に、第11変形例に係る多層基板10kについて図面を参照しながら説明する。図19は、多層基板10kの断面図である。
【0101】
多層基板10kは、第3グランド導体層26を備えていない点において多層基板10cと相違する。多層基板10kのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10kは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0102】
(第12変形例)
以下に、第12変形例に係る多層基板10lについて図面を参照しながら説明する。図20は、多層基板10lの断面図である。
【0103】
多層基板10lは、複数の中空部Sp1が設けられていない点において多層基板10cと相違する。多層基板10lのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10lは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0104】
多層基板10lでは、複数の中空部Sp2は、複数の第1中空部として機能する。この場合。Z軸の正方向は、上方向である。Z軸の負方向は、下方向である。
【0105】
多層基板10lでは、複数の中空部Sp1が樹脂層14bに設けられていないので、積層体12の強度が向上する。
【0106】
多層基板10lでは、複数の中空部Sp1が樹脂層14bに設けられていないので、複数の中空部Sp1が設けられていた部分に配線等を設けることができる。その結果、多層基板10lの設計の自由度が向上する。
【0107】
(第13変形例)
以下に、第13変形例に係る多層基板10mについて図面を参照しながら説明する。図21は、多層基板10mの断面図である。
【0108】
多層基板10mは、貫通導体の構造において多層基板10hと相違する。より詳細には、多層基板10mは、複数の貫通導体v21、複数の貫通導体v22、複数の貫通導体v23及び複数の貫通導体v24を備えていない。その代わりに、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3は、樹脂層14b,14eを上下方向に貫通している。複数の貫通導体v2及び複数の貫通導体v4は、樹脂層14c,14fを上下方向に貫通している。多層基板10mのその他の構造は、多層基板10hと同じであるので説明を省略する。多層基板10mは、多層基板10hと同じ作用効果を奏することができる。
【0109】
多層基板10mでは、樹脂層14b,14eを積層したのちに、樹脂層14b,14eに貫通孔を形成する。その後、貫通孔に導電性ペーストを充填し、導電性ペーストを加熱及び加圧により固化させることにより、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3を形成する。なお、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3をめっきにより形成してもよい。これにより、複数の中空部Sp1を密閉した状態で、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3を形成できる。
【0110】
多層基板10mでは、複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3は、樹脂層14b,14eを上下方向に貫通しているので、樹脂層14bと樹脂層14cとの間において剥離が生じることが抑制される。
【0111】
(第14変形例)
以下に、第14変形例に係る多層基板10nについて図面を参照しながら説明する。図22は、多層基板10nの断面図である。
【0112】
多層基板10nは、積層体12が接着層15a~15cを含んでいる点において多層基板10と相違する。樹脂層14a~14dは、上下方向(Z軸方向)に隣り合うもの同士で接着層15a~15cにより固定されている。具体的には、接着層15aは、樹脂層14aと樹脂層14bと接着している。接着層15bは、樹脂層14bと樹脂層14cと接着している。接着層15cは、樹脂層14cと樹脂層14dと接着している。なお、信号導体層20の上及び下にも接着層が存在してもよい。また、接着層15aは、樹脂層14aと樹脂層14bとの間の全体に設けられていてもよい。接着層15bは、樹脂層14bと樹脂層14cとの間の全体に設けられていてもよい。接着層15cは、樹脂層14cと樹脂層14dとの間の全体に設けられていてもよい。多層基板10nのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10nは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。なお、多層基板10nにおいて、導体層と樹脂層との間に接着層が存在しないが、導体層と樹脂層との間に接着層が存在してもよい。
【0113】
多層基板10nでは、樹脂層14a~14dは、上下方向(Z軸方向)に隣り合うもの同士で接着層15a~15cにより固定されている。そのため、樹脂層14a~14dの材料は、熱可塑性樹脂以外の樹脂であってもよい。その結果、樹脂層14a~14dの材料の選択肢が増加する。
【0114】
(第15変形例)
以下に、第15変形例に係る多層基板10oについて図面を参照しながら説明する。図23は、多層基板10oの断面図である。
【0115】
多層基板10oは、複数の中空部Sp11,Sp12の形状において多層基板10iと相違する。多層基板10oでは、複数の中空部Sp11は、樹脂層14eを上下方向に貫通している。複数の中空部Sp12は、樹脂層14fを上下方向に貫通している。多層基板10oのその他の構造は、多層基板10iと同じであるので説明を省略する。多層基板10oは、多層基板10iと同じ作用効果を奏することができる。また、中空部Sp11,Sp12が大きいので、信号導体層20の周囲の誘電率が低くなる。その結果、信号導体層20に発生する伝送損失が小さい。
【0116】
(第16変形例)
以下に、第16変形例に係る多層基板10pについて図面を参照しながら説明する。図24は、多層基板10pの正面図である。図25は、多層基板10pの樹脂層14bの上面図である。
【0117】
多層基板10pは、積層体12が上下方向に屈曲している点において多層基板10cと相違する。積層体12は、第1区間A1,A3及び第2区間A2を有している。第1区間A1、第2区間A2及び第1区間A3は、左から右へとこの順に並んでいる。そして、第2区間A2の曲率半径が第1区間A1,A3の曲率半径より小さくなるように、第2区間A2が屈曲している。なお、多層基板10,10a~10nを多層基板10pのように屈曲させてもよい。
【0118】
また、多層基板10pは、第2区間A2に貫通導体v1~v4が設けられていない点において多層基板10cと相違する。これにより、第2区間A2が屈曲しやすくなる。多層基板10pのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10pは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる
(第17変形例)
以下に、第17変形例に係る多層基板10qについて図面を参照しながら説明する。図26は、多層基板10qの樹脂層14bの断面図である。
【0119】
多層基板10qは、第2区間A2に貫通導体v1~v4が設けられている点において多層基板10pと相違する。貫通導体v1~v4は、第2区間A2の左端から右端の間において連続的に左右方向に延びている。これにより、第2区間A2の貫通導体v1~v4を塑性変形させることにより、第2区間A2が屈曲した状態を維持することができる。多層基板10qのその他の構造は、多層基板10pと同じであるので説明を省略する。
【0120】
(第18変形例)
以下に、第18変形例に係る多層基板10rについて図面を参照しながら説明する。図27は、多層基板10rの樹脂層14bの断面図である。
【0121】
多層基板10rは、第2区間A2における複数の中空部Sp1の構造において多層基板10cと相違する。上下方向に見て、第2区間A2における単位面積当たりの中空部Sp1の数は、第1区間A1,A3における単位面積当たりの中空部Sp1の数より少ない。これにより、第2区間A2に占める空気の割合は、第1区間A1,A3に占める空気の割合より低い。多層基板10rのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10rは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0122】
多層基板10rでは、第2区間A2に占める空気の割合は、第1区間A1,A3に占める空気の割合より低い。これにより、第2区間A2が屈曲したときに、複数の中空部Sp1が変形することが抑制される。
【0123】
第2区間A2における信号導体層20の線幅は、第1区間A1,A3における信号導体層20の線幅より細くてもよい。これにより、第2区間A2において信号導体層20に発生する特性インピーダンスは、第1区間A1,A3において信号導体層20に発生する特性インピーダンスに近づく。
【0124】
(第19変形例)
以下に、第19変形例に係る多層基板10sについて図面を参照しながら説明する。図28は、多層基板10sの樹脂層14bの断面図である。
【0125】
多層基板10sは、第1区間A1,A3における複数の中空部Sp1の形状と第2区間A2における複数の中空部Sp1の形状とが異なる点において多層基板10cと相違する。多層基板10sでは、第1区間A1,A3における複数の中空部Sp1は、上下方向に見て、大きな長方形状を有している。第2区間A2における複数の中空部Sp2は、上下方向に見て、小さな円形状を有している。多層基板10sのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10sは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0126】
多層基板10sでは、第1区間A1,A3における複数の中空部Sp1は、上下方向に見て、大きな長方形状を有している。これにより、第1区間A1,A3において、信号導体層20近傍の誘電率が低下する。その結果、多層基板10sの第1区間A1,A3における誘電体損失が低減される。
【0127】
(第20変形例)
以下に、第20変形例に係る多層基板10tについて図面を参照しながら説明する。図29は、多層基板10tの樹脂層14bの断面図である。
【0128】
多層基板10tは、第1区間A1,A3における複数の中空部Sp1の形状と第2区間A2における複数の中空部Sp1の形状とが異なる点において多層基板10cと相違する。上下方向に見て、第2区間A2における複数の中空部Sp1の直径は、第1区間A1,A3における複数の中空部Sp1の直径より小さい。多層基板10tのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10tは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0129】
多層基板10tでは、上下方向に見て、第2区間A2における複数の中空部Sp1の直径は、第1区間A1,A3における複数の中空部Sp1の直径より小さい。そのため、多層基板10tでは、第2区間A2に占める空気の割合は、第1区間A1,A3に占める空気の割合より低い。これにより、第2区間A2が屈曲したときに、複数の中空部Sp1が変形することが抑制される。
【0130】
(第21変形例)
以下に、第21変形例に係る多層基板10uについて図面を参照しながら説明する。図30は、多層基板10uの樹脂層14bの断面図である。
【0131】
多層基板10uは、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v3、貫通導体v5及び貫通導体v7の代わりに貫通導体v101を備えている点、及び、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v4、貫通導体v6及び貫通導体v8の代わりに貫通導体v102(図示せず)を備えている点において多層基板10cと相違する。貫通導体v101(第1貫通導体)は、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の中空部Sp1が設けられている領域R1を囲む環形状を有している。貫通導体v102は、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の中空部Sp2が設けられている領域R1を囲む環形状を有している。多層基板10uのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10uは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0132】
多層基板10uでは、貫通導体v101は、上下方向(Z軸方向)に見て、複数の中空部Sp1が設けられている領域R1を囲む環形状を有している。これにより、信号導体層20から放射されたノイズは、貫通導体v101に遮蔽される。また、多層基板10uに侵入したノイズは、貫通導体v101に遮蔽される。
【0133】
(第22変形例)
以下に、第22変形例に係る多層基板10vについて図面を参照しながら説明する。図31は、多層基板10vの樹脂層14bの断面図である。
【0134】
多層基板10vは、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3、複数の貫通導体v4、貫通導体v5、貫通導体v6、貫通導体v7、貫通導体v8、貫通導体v10及び貫通導体v11の構造において多層基板10cと相違する。複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3、複数の貫通導体v4、貫通導体v5、貫通導体v6、貫通導体v7、貫通導体v8、貫通導体v10及び貫通導体v11は、上下方向に見て円形状を有している。これにより、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3、複数の貫通導体v4、貫通導体v5、貫通導体v6、貫通導体v7、貫通導体v8、貫通導体v10及び貫通導体v11の形成のための貫通孔をドリルにより形成できる。多層基板10vのその他の構造は、多層基板10cと同じであるので説明を省略する。多層基板10vは、多層基板10cと同じ作用効果を奏することができる。
【0135】
(電子機器)
以下に、電子機器1について図面を参照しながら説明する。図32は、電子機器1の断面図である。
【0136】
電子機器1は、例えば、スマートフォンなどの無線通信端末である。電子機器1は、多層基板10及び筐体300を備えている。筐体300は、多層基板10を収容している。筐体300の材料は、金属であってもよいし、樹脂であってもよいし、ガラスであってもよい。なお、電子機器1は、多層基板10a~10vを備えていてもよい。
【0137】
(その他の実施形態)
多層基板10,10a~10vは、その要旨の範囲内において変更可能である。多層基板10,10a~10vの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0138】
なお、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3及び複数の貫通導体v4の構造は、図2に示す構造に限らない。以下に、図面を参照しながら、複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3及び複数の貫通導体v4の変形例について説明する。図33は、変形例に係る複数の貫通導体v1、複数の貫通導体v2、複数の貫通導体v3及び複数の貫通導体v4を備える多層基板10の断面図である。
【0139】
複数の貫通導体v1及び複数の貫通導体v3のそれぞれは、樹脂層14bを上下方向(Z軸方向)に貫通している貫通孔h1,h3内に位置している。複数の貫通孔h1,h3の少なくとも1つの上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって増加している。増加区間AIの上下方向(Z軸方向)の長さは、貫通導体v1,v3の上下方向(Z軸方向)の長さの半分以上である。言い換えると、貫通導体v1のテーパー領域TAの上下方向(Z軸方向)の長さは、貫通導体v1の上下方向(Z軸方向)の長さの半分以上である。また、貫通導体v3のテーパー領域TAの上下方向(Z軸方向)の長さは、貫通導体v3の上下方向(Z軸方向)の長さの半分以上である。ただし、増加区間AIの下の区間では、貫通導体v1及び貫通導体v3の上下方向に直交する断面積は、上方向に向かうにしたがって減少している。これにより、貫通導体v1と貫通孔h1の内周面との間に隙間が存在している。貫通導体v3と貫通孔h3の内周面との間に隙間が存在している。なお、複数の貫通導体v1の内の少なくとも1つが上記構造を有していればよい。複数の貫通導体v3の内の少なくとも1つが上記構造を有していればよい。
【0140】
複数の貫通導体v2及び複数の貫通導体v4のそれぞれは、樹脂層14cを上下方向(Z軸方向)に貫通している貫通孔h2,h4内に位置している。複数の貫通孔h2,h4の少なくとも1つの上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって減少している。減少区間ADの上下方向(Z軸方向)の長さは、貫通導体v2,v4の上下方向(Z軸方向)の長さの半分以上である。言い換えると、貫通導体v2のテーパー領域TAの上下方向(Z軸方向)の長さは、貫通導体v2の上下方向(Z軸方向)の長さの半分以上である。また、貫通導体v4のテーパー領域TAの上下方向(Z軸方向)の長さは、貫通導体v4の上下方向(Z軸方向)の長さの半分以上である。ただし、減少区間ADの上の区間では、貫通導体v2及び貫通導体v4の上下方向に直交する断面積は、上方向に向かうにしたがって増加している。これにより、貫通導体v2と貫通孔h2の内周面との間に隙間が存在している。貫通導体v4と貫通孔h4の内周面との間に隙間が存在している。なお、複数の貫通導体v2の内の少なくとも1つが上記構造を有していればよい。複数の貫通導体v4の内の少なくとも1つが上記構造を有していればよい。
【0141】
貫通導体v1~v4の材料として、半田を用いることにより、貫通導体v1~v4は、図33の構造を有する。より詳細には、貫通導体v1~v4の材料である半田が加熱されると、溶融する。このとき、表面張力により、半田は、上下方向に引っ張られる。これにより、貫通導体v1~v4の上下方向の中央近傍が括れる。その結果、貫通導体v1と貫通孔h1の内周面との間に隙間が存在している。貫通導体v3と貫通孔h3の内周面との間に隙間が存在している。貫通導体v2と貫通孔h2の内周面との間に隙間が存在している。貫通導体v4と貫通孔h4の内周面との間に隙間が存在している。貫通導体v1~v4と貫通孔h1~h4との間の隙間により、貫通導体v1~v4と信号導体層20との間の容量が小さくなるため、信号導体層20に発生する特性インピーダンスを維持しながら信号導体層20の線幅を大きくできる。この結果、信号導体層20に発生する伝送損失を低減できる。
【0142】
なお、第1グランド導体層22、第2グランド導体層24及び第3グランド導体層26は、必須の構成要件ではない。
【0143】
なお、貫通導体v1の数、貫通導体v2の数、貫通導体v3の数及び貫通導体v4の数は、1以上であればよい。
【0144】
なお、中空部Sp1の数及び中空部Sp2の数は、1以上であればよい。
【0145】
なお、信号導体層20は、樹脂層14bの下主面以外の位置に設けられていてもよい。信号導体層20は、中空部Sp1,Sp2内に位置していてもよい。
【0146】
なお、凹凸の周期は、信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8より長くてもよい。
【0147】
なお、樹脂層14a~14fの材料は、熱可塑性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0148】
なお、第2区間A2の曲率半径が第1区間A1,A3の曲率半径より小さくなっていれば、第1区間A1,A3が屈曲していてもよい。
【0149】
なお、第2区間A2に占める空気の割合は、第1区間A1に占める空気の割合以上であってもよい。
【0150】
なお、隣り合う2つの中空部Sp1の左端の間の距離P1は、信号導体層20を伝送される高周波信号の波長の1/8より長くてもよい。
【0151】
なお、複数の中空部Sp1のそれぞれは、前後方向に見て、複数の貫通導体v1のいずれとも重なっていなくてもよい。
【0152】
なお、中空部Sp1の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって、減少してもよい。
【0153】
なお、中空部Sp2の上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって、増加してもよい。
【0154】
なお、積層体12の上主面上に保護層が設けられてもよい。この保護層の上主面には、導体層が設けられない。積層体12の下主面上に保護層が設けられてもよい。この保護層の上主面には、導体層が設けられない。
【0155】
なお、高周波信号は、アナログ信号でもよいし、デジタル信号でもよい。
【0156】
なお、多層基板10,10a~10vは、複数本の信号導体層を備えていてもよい。この場合、複数本の信号導体層は、差動伝送線路でもよい。また、複数本の信号導体層は、同じ樹脂層上に位置してもよいし、異なる樹脂層上に位置してもよい。
【0157】
なお、多層基板10,10a~10vは、ストリップライン構造を有しているが、マイクロストリップライン構造を有していてもよい。
【0158】
なお、多層基板は、複数の多層基板10,10a~10vが上下方向に積み重ねられた構造を有していてもよい。
【0159】
なお、多層基板10,10a~10vは、ストリップライン構造の信号線路以外の回路を更に備えていてもよい。
【0160】
なお、中空部Sp1のための穴及び貫通孔は、ドリル以外の手段により形成されてもよい。ドリル以外の手段は、例えば、レーザビーム、サンドブラスト、エッチング又は3Dプリンタ等が挙げられる。
【0161】
なお、1以上の中空部Sp1の少なくとも1つの上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって増加していればよい。また、1以上の貫通導体v1,v3の少なくとも1つは、増加区間AIを有していればよい。
【0162】
なお、1以上の中空部Sp2の少なくとも1つの上下方向(Z軸方向)に直交する断面積は、上方向(Z軸の正方向)に向かうにしたがって減少していればよい。また、1以上の貫通導体v2,v4の少なくとも1つは、減少区間ADを有していればよい。
【0163】
なお、中空部Sp1,Sp11,Sp12,Sp1b,Sp1f,Sp2,Sp2b,Sp2f,Sp3のそれぞれの形状は、実施形態及び変形例に示した形状に限らない。中空部Sp1,Sp11,Sp12,Sp1b,Sp1f,Sp2,Sp2b,Sp2f,Sp3のそれぞれは、例えば、少なくとも一部分が多角形状や湾曲形状等を有していてもよい。
【0164】
なお、貫通導体v1~v8,v10,v11,v21~v24、v101,v102のそれぞれの形状は、実施形態及び変形例に示した形状に限らない。貫通導体v1~v8,v10,v11,v21~v24、v101,v102のそれぞれは、例えば、少なくとも一部分が多角形状や湾曲形状等を有していてもよい。
【0165】
以下、樹脂層14a~14fの境界を判別する方法について説明する。まず、上下方向(Z軸方向)に隣り合う樹脂層同士で融着していない樹脂層の場合について説明する。次に、上下方向(Z軸方向)に隣り合う樹脂層同士で融着している樹脂層の場合について説明する。
【0166】
上下方向(Z軸方向)に隣り合う樹脂層同士で融着していない樹脂層の場合、上下方向(Z軸方向)に隣り合う樹脂層の間に、上下方向(Z軸方向)に隣り合う樹脂層同士を固定するための接着材が存在する。そのため、接着材の上に位置する樹脂層と接着材の下に位置する樹脂層とは、異なる樹脂層であると判別することができる。
【0167】
上下方向(Z軸方向)に隣り合う樹脂層同士で融着している樹脂層の場合、一体化時に加えられた圧力等により、樹脂層の分子配向に差異が生じる、又は、樹脂層の表面の酸化等により、低分子化が生じる。蛍光顕微鏡等により樹脂層を観察することにより、分子配向に差異が生じている部分又は低分子化が生じている部分が樹脂層14a~14fの境界であると判別することができる。
【0168】
本発明は、以下の構造を備える。
【0169】
(1)
第1樹脂層を含む複数の樹脂層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている信号導体層と、
前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通している1以上の貫通導体と、
を備えており、
前記複数の樹脂層のそれぞれは、前記Z軸方向に並ぶ第1主面と、第2主面と、を有しており、
前記第1樹脂層の前記第1主面には、前記信号導体層と接しておらず、かつ、前記Z軸方向に見て、前記信号導体層と重なる1以上の中空部が設けられており、
前記1以上の中空部は、前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通しておらず、
前記1以上の中空部及び前記1以上の貫通導体のそれぞれは、前記1以上の中空部の前記Z軸方向に直交する断面積及び前記1以上の貫通導体の前記Z軸方向に直交する断面積のそれぞれが、前記Z軸方向において、前記第1樹脂層の前記第1主面に近づくほど、大きくなるテーパー領域を有しており、
前記テーパー領域は、前記第1樹脂層の前記第1主面と接している、
多層基板。
【0170】
(2)
前記信号導体層は、前記第1樹脂層の前記第2主面に位置している、
(1)に記載の多層基板。
【0171】
(3)
前記1以上の中空部の内周面は、前記第1樹脂層の前記第1主面から前記第1樹脂層の前記第2主面に向かう方向を向く天面を含んでおり、
前記天面は、前記複数の樹脂層の内の前記第1樹脂層の前記第1主面に接触する第2樹脂層の前記第2主面の一部分である、
(1)又は(2)に記載の多層基板。
【0172】
(4)
前記1以上の中空部は、前記信号導体層より前記第1樹脂層の前記第2主面から前記第1樹脂層の前記第1主面に向かう方向に位置しており、
前記1以上の中空部の内周面は、前記Z軸方向に延びる側面を含んでおり、
前記側面は、前記第1樹脂層の一部分であり、
前記側面は、前記天面と鋭角を形成している、
(3)に記載の多層基板。
【0173】
(5)
前記1以上の中空部の内周面は、前記天面と向かい合う底面を含んでおり、
前記底面と前記側面との境界は、曲面である、
(4)に記載の多層基板。
【0174】
(6)
前記1以上の中空部の内周面は、前記天面と向かい合う底面を含んでおり、
前記底面には、凹凸が設けられている、
(4)又は(5)に記載の多層基板。
【0175】
(7)
前記凹凸の周期は、前記信号導体層を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である、
(6)に記載の多層基板。
【0176】
(8)
前記多層基板は、
前記第1樹脂層の前記第1主面に接触しており、かつ、前記Z軸方向に並ぶ第1グランド導体層主面と、第2グランド導体層主面と、を有しているグランド導体層を、
更に備えており、
前記1以上の中空部の内周面は、前記第1樹脂層の前記第1主面から前記第1樹脂層の前記第2主面に向かう方向を向く天面を含んでおり、
前記天面は、前記グランド導体層の前記第2グランド導体層主面の一部分である、
(1)又は(2)に記載の多層基板。
【0177】
(9)
前記Z軸方向に見て、前記中空部の最大幅は、前記貫通導体の最大幅より小さい、
(1)ないし(8)のいずれかに記載の多層基板。
【0178】
(10)
前記Z軸方向に見て、前記1以上の貫通導体は、前記1以上の中空部が設けられている領域を囲む環形状を有している、
(1)ないし(9)のいずれかに記載の多層基板。
【0179】
(11)
前記Z軸方向に見て、前記信号導体層と前記1以上の貫通導体との間には、前記Z軸方向に直交するX軸方向に延びている前記中空部が位置している、
(1)ないし(9)のいずれかに記載の多層基板。
【0180】
(12)
前記積層体は、前記Z軸方向に並ぶ第1積層体主面と、第2積層体主面と、を有しており、
前記多層基板は、
前記積層体に設けられ、かつ、前記積層体の前記第1積層体主面から露出している外部電極を備えており、
前記信号導体層は、前記外部電極と電気的に接続されており、
前記Z軸方向に見て、前記1以上の中空部は、前記信号導体層と前記外部電極とが重なっている部分を囲んでいる、
(1)ないし(11)のいずれかに記載の多層基板。
【0181】
(13)
前記複数の樹脂層の材料は、熱可塑性樹脂であり、
前記複数の樹脂層は、前記Z軸方向に隣り合うもの同士で融着している、
(1)ないし(12)のいずれかに記載の多層基板。
【0182】
(14)
前記複数の樹脂層は、前記Z軸方向に隣り合うもの同士で接着層により固定されている、
(1)ないし(12)のいずれかに記載の多層基板。
【0183】
(15)
前記積層体は、第1区間及び第2区間を有しており、
前記第2区間の曲率半径が前記第1区間の曲率半径より小さくなるように、前記第2区間が屈曲している、
(1)ないし(14)のいずれかに記載の多層基板。
【0184】
(16)
前記第2区間に占める空気の割合は、前記第1区間に占める空気の割合より低い、
(15)に記載の多層基板。
【0185】
(17)
前記1以上の貫通導体は、前記第1樹脂層を前記Z軸方向に貫通している貫通孔内に位置しており、
前記1以上の貫通孔の少なくとも1つの前記Z軸方向に直交する断面積は、前記第1樹脂層の前記第2主面から前記第1樹脂層の前記第1主面に向かう方向に向かうにしたがって減少又は増加している、
(1)ないし(16)のいずれかに記載の多層基板。
【0186】
(18)
前記信号導体層は、前記Z軸方向に直交するX軸方向に延びており、
前記1以上の中空部の数は、複数であり、
前記Z軸方向に見て、前記複数の中空部は、前記信号導体層に沿って並んでおり、
前記Z軸方向に見て、隣り合う2つの前記中空部の前記X軸方向の正方向の端の間の距離は、前記信号導体層を伝送される高周波信号の波長の1/8以下である、
(1)ないし(17)のいずれかに記載の多層基板。
【0187】
(19)
前記信号導体層は、前記Z軸方向に直交するX軸方向に延びており、
前記1以上の中空部のそれぞれは、前記X軸方向及び前記Z軸方向に直交するY軸方向に見て、前記1以上の貫通導体のいずれかと重なっている、
(1)ないし(18)のいずれかに記載の多層基板。
【0188】
(20)
前記1以上の貫通導体の前記テーパー領域の前記Z軸方向の長さは、前記貫通導体の前記Z軸方向の長さの半分以上である、
(1)ないし(19)のいずれかに記載の多層基板。
【0189】
(21)
(1)ないし(20)のいずれかに記載の多層基板を備える、
電子機器。
【符号の説明】
【0190】
1:電子機器
10,10a~10v:多層基板
12:積層体
14a~14f:樹脂層
15a~15c:接着層
20:信号導体層
22:第1グランド導体層
24:第2グランド導体層
26:第3グランド導体層
26b:第3グランド導体層後部
26f:第3グランド導体層前部
26l:第3グランド導体層左部
26r:第3グランド導体層右部
30a,30b:外部電極
300:筐体
A1,A3:第1区間
A2:第2区間
R1:領域
S1,S4:天面
S2,S5:側面
S3,S6:底面
Sa,Sb:内周面
Sp1,Sp11,Sp12,Sp1b,Sp1f,Sp2,Sp2b,Sp2f,Sp3:中空部
g:窪み
v1~v8,v10,v11,v21~v24、v101,v102:貫通導体
TA:テーパー領域
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