(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025653
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240216BHJP
B60N 2/80 20180101ALI20240216BHJP
B60N 2/64 20060101ALI20240216BHJP
B60N 2/75 20180101ALI20240216BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20240216BHJP
A47C 7/18 20060101ALI20240216BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20240216BHJP
A47C 7/50 20060101ALI20240216BHJP
A47C 7/54 20060101ALI20240216BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/80
B60N2/64
B60N2/75
B60N3/06
A47C7/18
A47C7/40
A47C7/50 A
A47C7/54
A47C7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081031
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】63/371,322
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/375,623
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 昌二
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 和也
(72)【発明者】
【氏名】石塚 喬
(72)【発明者】
【氏名】増田 忠紀
(72)【発明者】
【氏名】直井 秀和
(72)【発明者】
【氏名】石原 淳也
(72)【発明者】
【氏名】山部 篤史
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B084CA04
3B084DD02
3B084EA01
3B087DC01
3B087DC05
3B087DE01
3B087DE02
3B087DE03
3B088JB02
(57)【要約】
【課題】フレームからパッド材を分離する際に、分離作業を効率的になし得る支持部材を備えた乗物用シートを提供する。
【解決手段】車両用シートS1は、着座者を支持するアームレスト5を備えている。アームレスト5は、アームレストフレーム30と、アームレストフレーム30を覆う第一アームレストパッド41と、を有し、第一アームレストパッド41は、アームレストフレーム30と支持面5bとの間に位置し、着座者の荷重を受け止める本体部42と、本体部42から、支持面5bから離隔する方向に突出してアームレストフレーム30と係合する係合部44が形成された取付け部43と、を有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者を支持する支持部材を備えた乗物用シートであって、
前記支持部材は、前記支持部材の骨格を形成するフレームと、前記フレームを覆うパッド材と、を有し、
前記パッド材は、
前記フレームと前記着座者を支持する支持面との間に位置し、前記着座者の荷重を受け止めるパッド本体と、
該パッド本体から、前記支持面から離隔する方向に突出し、前記フレームと係合する係合部が形成された取付け部と、を有していることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記係合部は、前記パッド本体の前記支持面から離隔する方向と直交する方向に形成された外周面よりも内側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記係合部は、前記支持面と直交する方向において前記フレームと重なり合う位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記フレームは、左右方向の両端部又は上下方向の両端部に位置し、互いに平行に延びる一対の平行フレームと、該一対の平行フレームの長手方向の端部において前記一対の平行フレームを連結する連結フレームと、を有し、
前記係合部は、前記支持面と直交する方向において前記連結フレームと重なり合う位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記係合部は、前記支持面と直交する方向において前記一対の平行フレームと重なり合う位置に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記係合部は、前記連結フレーム及び前記一対の平行フレームに連続して沿うように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記フレームは、前記一対の平行フレームの間に介在し、前記パッド材を支持する支持プレートを有することを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記支持プレートは、前記フレームから離隔する位置において、前記支持プレートと前記フレームとを連結する連結部材によって、前記フレームに取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記支持プレートは、前記フレームよりも前記支持面から遠ざかる方向に前記フレームから離隔した位置において前記フレームに取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記パッド材は、第一樹脂材料の成形体であり、
前記支持部材は、前記フレーム及び前記パッド材を覆い、前記第一樹脂材料と異なる第二樹脂材料の成形体である外側パッド材を有していることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに係り、特に、パッド材を有する乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートは、着座者を支持する複数の支持部材から構成されている。具体的には、車両用シートは、シートクッション、シートバック、ヘッドレスト、アームレストを備え、それぞれが、着座者の臀部、背部、頭部及び腕部を支持することができるように構成されている。これにより、長時間にわたって着座する着座者の疲労軽減を図ることができる。
【0003】
また、特許文献1には、オットマンを備えた車両用シートが開示されている。オットマンは、シートクッションに取り付けられて、シートクッションに対して収納された収納状態と、シートクッションに対して展開した展開状態とに変位可能な可動機構を有している。展開状態のオットマンは、車両用シートを構成する支持部材の一つであり、着座者の下腿部を支持する。
ここで、支持部材は、その基本構成として、支持部材の骨格を形成するフレームと、フレームを覆い、着座者の荷重を受け止めるパッド材と、パッド材を覆う表皮材と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
支持部材によって、着座者は、よりリラックスした姿勢で車両用シートに着座することができる。しかしながら、車両が廃車されることとなった後の解体作業に関して、更なる改善が求められていた。詳細に説明すると、車両用シートを構成する支持部材は、解体作業において、表皮材とパッド材をフレームから分離する作業が必要となる。従来、フレームを覆うパッド材は、接着剤によって固定されているケースが多く、フレームからパッド材を分離する作業は、大きな作業負担となっていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フレームからパッド材を分離する際に分離作業を効率的になし得る支持部材を備えた乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、着座者を支持する支持部材を備えた乗物用シートであって、前記支持部材は、前記支持部材の骨格を形成するフレームと、前記フレームを覆うパッド材と、を有し、前記パッド材は、前記フレームと前記着座者を支持する支持面との間に位置し、前記着座者の荷重を受け止めるパッド本体と、該パッド本体から前記支持面から離隔する方向に突出し、前記フレームと係合する係合部が形成された取付け部と、を有していることにより解決される。
【0008】
上記構成によれば、支持部材は、支持部材の骨格を形成するフレームと、フレームを覆うパッド材を有し、パッド材は、フレームと係合する係合部が形成された取付け部を有している。そのため、パッド材をフレームから分離する際には、フレームと取付け部の係合状態を解除することによって簡単に分離することができ、分離作業を効率的に行うことが可能となる。
【0009】
また、前記係合部は、前記パッド本体の前記支持面から離隔する方向と直交する方向に形成された外周面よりも内側に形成されているとよい。
上記構成によれば、係合部は、パッド本体の外周面よりも内側に形成されているため、係合部を形成することによってパッド材が大型化することを抑制することが可能となる。
【0010】
また、前記係合部は、前記支持面と直交する方向において前記フレームと重なり合う位置に形成されているとよい。
上記構成によれば、係合部は、支持面と直交する方向においてフレームと重なり合う位置に形成されているため、着座者の荷重によって、係合部とフレームの係合状態が解除されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0011】
また、前記フレームは、左右方向の両端部又は上下方向の両端部に位置し、互いに平行に延びる一対の平行フレームと、該一対の平行フレームの長手方向の端部において前記一対の平行フレームを連結する連結フレームと、を有し、前記係合部は、前記支持面と直交する方向において前記連結フレームと重なり合う位置に形成されているとよい。
上記構成によれば、係合部は、支持面と直交する方向において連結フレームと重なり合う位置に形成されているため、パッド材を連結フレームから離隔するように変位させることによって係合部と連結フレームとの間の係合状態を解除することができ、フレームからパッド材を分離する際の分離作業を効率的に行うことが可能となる。
【0012】
また、前記係合部は、前記支持面と直交する方向において前記一対の平行フレームと重なり合う位置に形成されているとよい。
上記構成によれば、係合部は、支持面と直交する方向において一対の平行フレームと重なり合う位置に形成されているため、平行フレームによってパッド材を適切に位置決めした状態で支持することが可能となる。
【0013】
また、前記係合部は、前記連結フレーム及び前記一対の平行フレームに連続して沿うように形成されているとよい。
上記構成によれば、係合部は、連結フレーム及び一対の平行フレームに連続して沿うように形成されているため、連結フレームと平行フレームによってパッド材を適切に位置決めした状態で支持することが可能となる。
【0014】
また、前記フレームは、前記一対の平行フレームの間に介在し、前記パッド材を支持する支持プレートを有するとよい。
上記構成によれば、一対の平行フレームの間に介在する支持プレートによってパッド材を支持することができるため、フレームによってパッド材を適切に位置決めした状態で支持することが可能となる。
【0015】
また、前記支持プレートは、前記フレームから離隔する位置において、前記支持プレートと前記フレームとを連結する連結部材によって、前記フレームに取り付けられているとよい。
上記構成によれば、支持プレートは、フレームから離隔する位置においてフレームに取り付けられているため、パッド材の厚みを大きくすることができ、パッド材による衝撃吸収性能を高めることが可能となる。
【0016】
また、前記支持プレートは、前記フレームよりも前記支持面から遠ざかる方向に前記フレームから離隔した位置において前記フレームに取り付けられているとよい。
上記構成によれば、支持プレートは、フレームよりも支持面から遠ざかる方向において前記フレームに取り付けられているため、支持面と支持プレートの間に介在するパッド材による衝撃吸収性能を高めることが可能となる。
【0017】
また、前記パッド材は、第一樹脂材料の成形体であり、前記支持部材は、前記フレーム及び前記パッド材を覆い、前記第一樹脂材料と異なる第二樹脂材料の成形体である外側パッド材を有しているとよい。
上記構成によれば、パッド材は第一樹脂材料から成形されている一方で、外側パッド材は第一樹脂材料とは異なる第二樹脂材料から構成されている。そのため、互いに異なる二の特性(例えば、パッド材の柔軟性)を組み合わせて着座者の荷重を受け止めることができ、着座者の荷重を受け止めるための特性の最適化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の乗物用シートによれば、フレームからパッド材を分離する際に分離作業を効率的になし得る支持部材を備えた乗物用シートを提供することが可能となる。
また、係合部を形成することによってパッド材が大型化してしまうことを抑制することが可能となる。
また、着座者の荷重によって、係合部とフレームの係合状態が解除されてしまうことを抑制することが可能となる。
また、フレームによってパッド材を適切に位置決めした状態で支持することが可能となる。
また、パッド材による衝撃吸収性能を高めることが可能となる。
また、着座者の荷重を受け止めるための特性の最適化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】アームレストが収納位置にある車両用シートの斜視図である。
【
図2】アームレストが展開位置にある車両用シートの斜視図である。
【
図7】アームレストフレームとパッド材の分解斜視図である。
【
図8】パッド材が取り付けられたアームレストフレームを後方から見た斜視図である。
【
図11】変形例に係るアームレストフレームとパッド材の分解斜視図である。
【
図12】アームレストを後方から見た透視斜視図である。
【
図15】第二実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
【
図17】オットマンにパッド材を取り付けた状態のシートフレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る乗物用シートの構成について図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、以下の説明中、シート構成部品の材質、形状及び大きさに関する内容は、あくまでも具体例の一つに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0021】
なお、以下では、乗物用シートの一例として車両に搭載される車両用シートを挙げ、その構成例について説明することとする。ただし、本発明は、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物に搭載されるシートに限定されるものではなく、例えば、地上以外を移動する航空機や船舶などに搭載されるシートにも適用され得る。
【0022】
また、以下の説明中、「シート前後方向」とは、車両用シートの前後方向であり、車両用シートに着座した着座者から見た前後方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの横幅方向であり、車両用シートに着座した着座者から見た左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両用シートの上下方向であり、車両が水平面を走行しているときには鉛直方向と一致する方向である。また、単に「外側」という場合は、車両用シートの中心から外側に向かう方向において外側に近い方を指し、「内側」という場合は車両用シートの外側から中心に向かう方向において中心に近い方を意味する。
【0023】
<車両用シートS1の概要>
図1は、車両用シートS1の斜視図を示している。
図2は、アームレスト5が展開位置にあるときの車両用シートS1の斜視図を示している。
図3は、シートフレームF1の斜視図である。
車両用シートS1は、例えば自動車の後部座席に相当するリアシートであって、シート幅方向に並ぶように設けられたメインシート及びサブシートを備えている。
車両用シートS1は、着座者が着座可能な通常状態と、シート本体を車体フロアに収納させた収納状態と、の間で遷移することができるシートである。
具体的には、車両用シートS1は、通常状態において着座者がバック操作レバー52を操作すると、シート本体が前倒れして折り畳まれ、車体フロアに収納された収納状態に切り替わる。また、収納状態から、着座者が手動でシート本体を上方に起立させることで使用状態に復帰する。
【0024】
車両用シートS1は、シートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3と、を備えるメインシートと、アームレスト5及びサブヘッドレスト4を備えるサブシートと、切り替え装置50と、から主に構成されている。
【0025】
シートクッション1は、着座者の臀部を支持する支持部材であって、着座者を下方から支持する着座部である。シートクッション1は、シートクッション1の骨格を形成するクッションフレーム10(
図3を参照)と、クッションフレーム10を覆うパッド材1aと、クッションフレーム10及びパッド材1aを被覆する表皮材1bと、を主な構成として有している。
【0026】
シートバック2は、着座者の背中を支持する支持部材であって、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部である。シートバック2は、シートバック2の骨格を形成するバックフレーム20と、バックフレーム20を覆うパッド材2aと、バックフレーム20及びパッド材2aを被覆する表皮材2bと、を主な構成として有している。
【0027】
ヘッドレスト3は、着座者の頭部を支持する支持部材であって、着座者の頭部を後方から支持している。ヘッドレスト3は、芯材となるヘッドレストピラー3cと、ヘッドレストピラー3cを覆うパッド材3aと、ヘッドレストピラー3c及びパッド材3aを被覆する表皮材3bと、を主な構成として有している。サブヘッドレスト4も同様の構成となっている。
【0028】
アームレスト5は、シートバック2に収納される収納位置と、収納位置からシート前方に展開された展開位置(
図2を参照)との間で変位することができる。アームレスト5は、照明機器や音響機器等の電装部品6が内蔵されており、通常のアームレストよりも大型化している。アームレスト5は、収納位置においてシートバック2の一部を構成し、背もたれ部として機能する一方で、展開位置においてアームレストとして機能する。アームレスト5は、一般に「センターアームレスト」とも称される。
【0029】
アームレスト5は、着座者の背中又は腕部を支持する支持部材である。アームレスト5は、アームレスト5の骨格を形成するアームレストフレーム30と、アームレストフレーム30を覆うアームレストパッド40と、アームレストフレーム30及びアームレストパッド40を被覆する表皮材5aと、を主な構成として有している。
【0030】
シートバック2のシート幅方向の左側には、車両用シートS1を通常状態と収納状態の間で切り替えるための切り替え装置50が取り付けられている。
切り替え装置50は、ロック部材51と、バック操作レバー52と、連結ケーブル53(
図3を参照)と、から主に構成されている。ロック部材51は、車体に設けられたストライカ54に対して着脱可能に係合し、バックフレーム20の回動動作をロックするために用いられる。また、バック操作レバー52は、バックフレーム20のロック状態を解除するために操作される操作部材である。連結ケーブル53は、ロック部材51及びバック操作レバー52を連結している。
【0031】
上記において、切り替え装置50は、シート本体が通常状態のときに、バック操作レバー52が操作されることでロック部材51のロック状態を解除することができる。
ロック状態が解除されると、シートバック2がリクライニング装置の付勢力によって前倒れして、シートクッション1とともに折り畳まれ、車体フロアに収納された収納状態に切り替わる。
【0032】
<シートフレームF>
次に、シートフレームF1について説明する。
図3は、シートフレームF1の斜視図である。
図3に示すように、シートフレームF1は、シートクッション1の骨格を形成するクッションフレーム10と、シートバック2の骨格を形成するバックフレーム20と、アームレスト5の骨格を形成するアームレストフレーム30と、を主な構成として有している。
【0033】
<<クッションフレーム10>>
クッションフレーム10は、略矩形状の枠状体からなり、サイドフレーム11と、前方フレーム12と、後方フレーム13と、パンフレーム14と、受圧部材15と、から主に構成されている。サイドフレーム11は、クッションフレーム10の左右側方に配置されている。前方フレーム12及び後方フレーム13は、各サイドフレーム11の前端部分及び後方部分をそれぞれ連結している。また、板状のパンフレーム14は、各サイドフレーム11の前方部分の間に架け渡されている。受圧部材15は、パンフレーム14及び後方フレーム13に架け渡され、蛇行して延びている。
【0034】
サイドフレーム11の後端部分は、クッション連結ブラケット28を介してバックフレーム20に連結している。
サイドフレーム11の後端部分には、バックフレーム20に対してクッションフレーム10を回動可能に連結するクッション回動装置16が取り付けられている。
また、前方フレーム12の前端部分には、車体フロアに対してクッションフレーム10を連結し、クッションフレーム10を下方から支持する支持脚17が取り付けられている。
【0035】
<<バックフレーム20>>
バックフレーム20は、
図3及び
図4に示すように、略矩形状の枠状体からなるメインフレーム21と、サブフレーム22と、板状のパネルフレーム23と、連結フレーム24と、から主に構成されている。メインフレーム21と、T字形状のサブフレーム22は、シート幅方向に互いに並ぶように配置されている。連結フレーム24は、メインフレーム21のシート幅方向の側部を構成する左右のサイドフレーム21a、21bを連結している。
メインフレーム21及びサブフレーム22は、パネルフレーム23の前面に溶接によって取り付けられている。
【0036】
メインフレーム21は、左右のサイドフレーム21a、21bと、左右のサイドフレーム21a、21bの上端部を連結する上方フレーム21cと、左右のサイドフレーム21a、21bの下端部を連結する下方フレーム21dと、から主に構成されている。左右のサイドフレーム21a、21b、上方フレーム21c、及び下方フレーム21dは、パイプ材であって、互いに溶接されて固定されている。
下方フレーム21dは、上方フレーム21cよりもシート幅方向に長尺な部材であって、サブフレーム22まで延びている。
【0037】
上方フレーム21cの前面には、シート幅方向に所定の間隔をあけて複数の略平坦面が形成されている。これら略平坦面が形成された部分には、ヘッドレストピラー3cを支持するための一対のヘッドレストガイド3dが取り付けられている。
【0038】
メインフレーム21の枠内には、補強ブラケット25Aと、補強ブラケット25Bと、ダンパー部材26と、が設けられている。補強ブラケット25Aは、パネルフレーム23及び連結フレーム24を連結し、バックフレーム20を補強する役割を担っている。補強ブラケット25Bは、サイドフレーム21a及び連結フレーム24を連結し、バックフレーム20を補強する役割を担っている。ダンパー部材26は、シートバック2に対する衝撃を吸収する役割を担っている。
【0039】
内側のサイドフレーム21aの下端部には、アームレストフレーム30と連結するためのアーム連結ブラケット27が取り付けられている。アーム連結ブラケット27は、
図5を参照して後述するアームレストフレーム30の基端フレーム34を回転可能に軸支している。
【0040】
外側のサイドフレーム21bの下端部には、クッションフレーム10と連結するためのクッション連結ブラケット28が取り付けられている。クッション連結ブラケット28は、段差を有する板状部材であって、上端部分においてメインフレーム21に取り付けられ、下端部分がクッションフレーム10側に取り付けられている。
【0041】
下方フレーム21dの下端部分には、ベース連結ブラケット29が複数取り付けられている。ベース連結ブラケット29は、車体のフロア上に車両用シートS1を固定するベース部材にメインフレーム21を連結する役割を担っている。
【0042】
サブフレーム22は、シート幅方向に延びる水平サブフレーム22aと、水平サブフレーム22aの延出方向の一端部で連結し、バックフレーム20の高さ方向に長尺に延びる垂直サブフレーム22bと、から主に構成されている。水平サブフレーム22a及び垂直サブフレーム22bは、角パイプ材である。
水平サブフレーム22aは、バックフレーム20の高さ方向の略中央部分に配置されている。また、水平サブフレーム22aは、メインフレーム21のサイドフレーム21a及び垂直サブフレーム22bを連結するように配置されている。
【0043】
垂直サブフレーム22bは、バックフレーム20のシート幅方向の両端部のうち、メインフレーム21側とは反対側の端部に配置されている。垂直サブフレーム22bの下端部と下方フレーム21dの延出端部は溶接によって連結されている。
【0044】
図4に示すように、パネルフレーム23のうち、メインフレーム21が取り付けられた側の部分には、メインフレーム21に向かって突出する補強凸部23aが複数形成されている。詳しく述べると、パネルフレーム23のうち、メインフレーム21、連結フレーム24及び補強ブラケット25Aが取り付けられる部分において補強凸部23aが形成されている。そのため、パネルフレーム23対するメインフレーム21、連結フレーム24及び補強ブラケット25Aの組み付け剛性を向上させることができる。
【0045】
また、パネルフレーム23のうち、サブフレーム22が取り付けられた側の部分には、サブフレーム22に向かって突出する補強凸部23bが複数形成されている。複数の補強凸部23bは、バックフレーム20の高さ方向において水平サブフレーム22aを間に挟むように配置されている。そのため、サブフレーム22の剛性をより向上させることができる。
【0046】
また、パネルフレーム23のうち、サブフレーム22が取り付けられた側の部分には、バックフレーム20の高さ方向に延びている補強ビード23cが形成されている。補強ビード23cは、パネルフレーム23のシート幅方向の内側にある外周部分に沿って上下方向に延びている。補強ビード23cと水平サブフレーム22aのシート幅方向の間には、垂直サブフレーム22bが挟まれるように配置されている。そのため、サブフレーム22の剛性をより向上させることができる。
【0047】
<<アームレストフレーム30>>
アームレストフレーム30は、
図3、
図5に示すように、略逆U字形状のフレームからなり、左右のサイドフレーム31と、先端フレーム32と、中間フレーム33と、基端フレーム34と、支持プレート35と、を主な構成として有している。サイドフレーム31と、先端フレーム32と、中間フレーム33と、基端フレーム34は、パイプ材である。一方、支持プレート35は、プレート部材である。
【0048】
サイドフレーム31は、アームレストフレーム30の左右方向の両端部に位置し、互いに平行に延びている。先端フレーム32及び基端フレーム34は、左右のサイドフレーム31の長手方向の先端部(
図1に示す収納状態において上端部に相当する)及び基端部(
図1に示す収納状態において下端部に相当する)を連結している。また、先端フレーム32と基端フレーム34の間には、中間フレーム33と支持プレート35が左右のサイドフレーム31の間に介在している。左右のサイドフレーム31は一対の平行フレームに相当し、先端フレーム32は、連結フレームに相当する。
【0049】
先端フレーム32のシート後方には、サブヘッドレストピラー4cを支持するための一対のサブヘッドレストガイド4dが取り付けられている(
図3を参照)。すなわち、サブヘッドレスト4は、アームレストフレーム30に取り付けられている。
【0050】
図5及び
図7に示すように、支持プレート35は、平坦な中央部と、支持プレート35の上縁及び左右の側縁において前方に屈曲する屈曲部と、を有している。換言すると、支持プレート35は、中央部及び屈曲部によって、後述する第一アームレストパッド41を収容して支持する収容凹部を形成している。
【0051】
また、左右のサイドフレーム31及び先端フレーム32と、支持プレート35の間には、空隙Gが形成されている。そして、支持プレート35は、空隙Gに介在する支持プレート連結片36によって、サイドフレーム31及び先端フレーム32に対して取り付けられている。このように、サイドフレーム31及び先端フレーム32と、支持プレート35と、の間に空隙Gを形成することにより、第一アームレストパッド41の容積を増大することができ、第一アームレストパッド41の衝撃吸収性能を高めることが可能となる。支持プレート連結片36は、連結部材に相当する。
【0052】
図3に戻って、アームレストフレーム30は、基端フレーム34がアーム連結ブラケット27に軸支されることによってバックフレーム20の前方、より具体的にはサブフレーム22の前方に取り付けられている。アームレストフレーム30は、基端フレーム34を回転軸として、収納位置と展開位置との間で回転移動することができる。
【0053】
<アームレストパッド40の取付け構造>
次に、アームレストフレーム30に対するアームレストパッド40の取付け構造について、
図6から
図10を参照して説明する。
図6は、収納状態にあるアームレスト5の背面透視図を示している。上述したように、アームレストフレーム30は、略逆U字形状を有している。アームレストパッド40は、アームレストフレーム30を覆うようにアームレストフレーム30に取り付けられている。
【0054】
アームレストパッド40は、発泡ポリプロピレンの成形体である第一アームレストパッド41と、発泡ポリウレタンの成形体である第二アームレストパッド45と、から構成されている。第一アームレストパッド41は、後述する取付け部43を介してアームレストフレーム30の上方部分に取り付けられる。第一アームレストパッド41は、第二アームレストパッド45と比べて、荷重に対する変形量が小さい。換言すると、第一アームレストパッド41は、第二アームレストパッド45より優れた衝撃吸収性能を有している。
【0055】
第二アームレストパッド45は、アームレストフレーム30及び第一アームレストパッド41を表皮材5aで被覆した後に、ポリウレタンを発泡膨張することによって成形される。そのため、第二アームレストパッド45は、アームレストフレーム30及び第一アームレストパッド41全体を覆っている。第二アームレストパッド45は、第一アームレストパッド41より、高い柔軟性を有している。
このように、アームレストパッド40は、互いに異なる特性(硬度、すなわち荷重に対する変形特性)を有する樹脂材料の成形体の組み合わせによって構成されている。したがって、第一アームレストパッド41の衝撃吸収性と、第二アームレストパッド45の柔軟性により、着座者の安全性と快適性の両立を図ることができる。第二アームレストパッド45は、外側パッド材に相当する。また、発泡ポリプロピレンは第一樹脂材料に相当し、発泡ポリウレタンは第二樹脂材料に相当する。
【0056】
図7は、アームレストフレーム30と第一アームレストパッド41を、後方から見た分解斜視図である。
図7に示すように、第一アームレストパッド41は、略直方体形状を有する本体部42と、本体部42からシート後方に突出する取付け部43と、を有している。本体部42と取付け部43は、一体に形成されている。
本体部42は、第一アームレストパッド41がアームレストフレーム30に取り付けられた際に、アームレストフレーム30の前方に位置し、着座者の背中から受ける荷重を受け止める(
図9を参照)。より詳細には、本体部42は、着座者を支持する支持面5bと、アームレストフレーム30の間に位置し、第二アームレストパッド45とともに着座者の背中から受ける荷重を受け止める。本体部42は、パッド本体に相当する。
【0057】
図7に戻って、本体部42は、前面42aと、後面42bと、上面、下面、及び左右の側面からなる外周面42cと、を有している。本体部42のシート前後方向の寸法は、後述する取付け部43のシート前後方向の寸法よりも大きい。ただし、本体部42は、
図7に示す略直方体形状に限定されない。本体部42は、着座者による荷重を受け止めることができるとともに、第一アームレストパッド41に求められる衝撃吸収性能を有していればよい。
【0058】
取付け部43は、支持プレート35と当接する被支持面43aと、サイドフレーム31及び先端フレーム32と係合する係合部44が形成された側面43bと、を有している。係合部44には、凹部44a及び膨出部44bが形成されている。凹部44aのシート幅方向の間隔W1は、左右のサイドフレーム31の内側の間隔と略等しい寸法を有している(
図10を参照)。一方、膨出部44bは、凹部44aよりも側面43bの外側に膨出している。膨出部44bのシート幅方向の間隔W2は、左右のサイドフレーム31の内側の間隔よりも大きい寸法を有している。換言すると、凹部44a及び膨出部44bは、左右のサイドフレーム31及び先端フレーム32を嵌合可能な嵌合溝を形成している。
【0059】
上述したアームレストフレーム30及び第一アームレストパッド41について、その取り付け作業と解体作業の流れを、
図7及び
図8を参照して説明する。
アームレストフレーム30に第一アームレストパッド41を取り付ける際には、最初に、膨出部44bを左右から押圧し、膨出部44bが左右のサイドフレーム31の間を通過することができるように変形させる。次に、左右のサイドフレーム31の間に膨出部44bを挿入し、取付け部43の被支持面43aが支持プレート35に当接するように位置させる。最後に、左右のサイドフレーム31及び先端フレーム32が、係合部44の凹部44aに嵌合するように、第一アームレストパッド41がアームレストフレーム30に押し込まれる。これにより、アームレストフレーム30に対する第一アームレストパッド41の取付け作業が完了する。
【0060】
ここで、
図7に示すように、係合部44は、左右のサイドフレーム31及び先端フレーム32に連続して沿うように形成されている。また、
図9に示すように、アームレストフレーム30に対して第一アームレストパッド41を取り付けた状態において、膨出部44bは、支持面5bと直交する前後方向において、先端フレーム32と重なり合うように膨出する。そのため、係合部44とアームレストフレーム30の係合状態が不用意に解除されてしまうことを防止することが可能となる。
【0061】
また、
図10に示すように、膨出部44bは、支持面5bと直交する前後方向において、左右のサイドフレーム31と重なり合うように膨出する。そのため、係合部44とアームレストフレーム30の係合状態が不用意に解除されてしまうことをより確実に防止することが可能となる。
【0062】
また、
図9及び
図10に示すように、アームレストフレーム30に対して第一アームレストパッド41が取り付けられた際に、取付け部43の取付け部43は、支持プレート35に収容されるように支持される。そのため、アームレストフレーム30に対して第一アームレストパッド41をより適切に位置決めして支持することが可能となる。
ここで、左右のサイドフレーム31及び先端フレーム32と、支持プレート35と、の間には、空隙Gが形成されている(
図7を参照)。換言すると、支持プレート35は、サイドフレーム31よりも支持面5bから遠ざかる方向にサイドフレーム31から離隔した位置に取り付けられている。そのため、凹部44aのシート前後方向の寸法よりも、膨出部44bのシート前後方向の寸法を大きくすることができる。これにより、アームレストフレーム30に対して第一アームレストパッド41を安定して取り付けることができるとともに、第一アームレストパッド41の衝撃吸収性能を高めることが可能となる。
【0063】
一方、アームレストフレーム30から第一アームレストパッド41を解体する際には、最初に、膨出部44bが押圧されて縮小するように変形される。次に、第一アームレストパッド41がアームレストフレーム30に対して下方にスライドするように変位される。これにより、係合部44とアームレストフレーム30の係合が解除される。以上により、アームレストフレーム30から第一アームレストパッド41を取り外すことができる。従来において、接着剤を用いてアームレストパッド40を固定していた場合と比べると、アームレストフレーム30と第一アームレストパッド41の係合状態を解除することによって、第一アームレストパッド41を簡単に分離することができる。そのため、アームレストパッド40の分離作業を効率的に行うことが可能となる。なお、第二アームレストパッド45の分離作業については、従来と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0064】
また、
図7に示すように、係合部44は、本体部42の外周面42cより内側(外周面42cの中心側)に形成されている。そのため、係合部44を形成することによって第一アームレストパッド41が大型化することを抑制することが可能となる。
【0065】
<変形例>
上述した実施形態において、支持プレート35は、アームレストフレーム30よりも支持面5bから遠ざかる方向にアームレストフレーム30から離隔した位置に取り付けられていることとして説明したが、これに限定されない。
図11から
図14は、変形例に係るアームレストフレーム30Aと、第一アームレストパッド41Aを示している。
図11に示すように、変形例に係るアームレストフレーム30Aの支持プレート35Aは、サイドフレーム31よりも支持面5bに近づく方向にサイドフレーム31から離隔した位置に取り付けられている。
【0066】
また、変形例に係る第一アームレストパッド41は略直方体形状を有する本体部42Aと、本体部42Aからシート後方に突出する取付け部43Aと、を有している。本体部42Aと取付け部43Aは、一体に形成されている。
本体部42Aは、前面42aと、後面42bと、上面、下面、及び左右の側面からなる外周面42cと、を有している。後面42bには、支持プレート35Aを収容する収容凹部42dが形成されている。
【0067】
取付け部43Aは、本体部42Aの後面42bにおける外周部から後方に延出している。取付け部43Aには、本体部42Aの外周面42cと面一となるように形成された外側面43b1と、サイドフレーム31及び先端フレーム32に係合する係合部44Aが形成された内側面43b2と、を有している。係合部44Aには、凹部44aと膨出部44bが形成されている。そして、凹部44aのシート幅方向の間隔W3は、左右のサイドフレーム31の外側の間隔と略等しい寸法を有している(
図14を参照)。一方、膨出部44bは、凹部44aよりも側面43bの内側に膨出している。膨出部44bのシート幅方向の間隔W4は、左右のサイドフレーム31の外側の間隔よりも小さい寸法を有している。換言すると、凹部44a及び膨出部44bは、サイドフレーム31及び先端フレーム32を嵌合可能な嵌合溝を形成している。なお、凹部44aのシート前後方向の寸法は、収容凹部42dのシート前後方向の寸法よりも大きい。
【0068】
上述したアームレストフレーム30A及び第一アームレストパッド41Aについて、その取り付け作業と解体作業の流れを説明する。
アームレストフレーム30Aに第一アームレストパッド41Aを取り付ける際には、最初に、第一アームレストパッド41Aをアームレストフレーム30Aの上方に位置させて、左右のサイドフレーム31と左右の凹部44aが上下に並ぶように位置合わせを行う。次に、左右の凹部44aが、左右のサイドフレーム31に沿って下降するように第一アームレストパッド41Aをアームレストフレーム30Aに対して変位させる。最後に、先端フレーム32が係合部44の凹部44aに嵌合するように第一アームレストパッド41Aがアームレストフレーム30Aに対して押し込まれる。このとき支持プレート35Aは、収容凹部42dに収容された状態となる。これにより、アームレストフレーム30Aに対する第一アームレストパッド41Aの取付け作業が完了する。
【0069】
ここで、
図11に示すように、係合部44Aは、左右のサイドフレーム31及び先端フレーム32に連続して沿うように形成されている。また、
図13に示すように、アームレストフレーム30Aに対して第一アームレストパッド41Aを取り付けた状態において、膨出部44bは、支持面5bと直交する前後方向において、先端フレーム32と重なり合うように膨出する。
また、
図14に示すように、膨出部44bは、支持面5bと直交する前後方向において、左右のサイドフレーム31と重なり合うように膨出する。そのため、係合部44Aとアームレストフレーム30Aの係合状態が不用意に解除されてしまうことを防止することが可能となる。
【0070】
また、第一アームレストパッド41Aは、アームレストフレーム30Aを外側から包み込むように取り付けられて係合する。そのため、上述した実施形態と比べて、アームレストフレーム30Aに対して第一アームレストパッド41Aを適切に位置決めして支持することが可能となる。
【0071】
一方、アームレストフレーム30Aから第一アームレストパッド41Aを解体する際には、最初に、膨出部44bが左右に広がるように変形される。次に、第一アームレストパッド41がアームレストフレーム30に対して上方にスライドするように変位される。これにより、係合部44Aとアームレストフレーム30Aの係合が解除される。以上により、アームレストフレーム30Aから第一アームレストパッド41Aを取り外すことができる。上述した第一実施形態と同様に、アームレストフレーム30Aから第一アームレストパッド41Aを簡単に分離することができ、アームレストパッド40Aの分離作業を効率的に行うことが可能となる。
【0072】
<第二実施形態>
上述した実施形態において、アームレストパッド40をアームレストフレーム30から解体する場合について説明したが、第二実施形態では、オットマンフレーム70からオットマンパッド80を解体する場合について説明する。
【0073】
図15は、第二実施形態に係る車両用シートS2の斜視図を示している。
図15に示すように、車両用シートS2は、シートクッション1Bと、シートバック2Bと、ヘッドレスト3Bと、アームレスト5Bと、オットマン7と、を備えるシート本体と、から主に構成されている。車両用シートS2は、スライド機構9を介して、前後に移動可能に車体のフロアに設置されている。
【0074】
オットマン7は、着座者の下腿部を支持する支持部材である。オットマン7は、オットマン7の骨格を形成するオットマンフレーム70(
図16を参照)と、オットマンフレーム70を覆うオットマンパッド80と、オットマンフレーム70及びオットマンパッド80を被覆する表皮材7aと、を主な構成として有している。オットマンパッド80は、オットマンフレーム70に取り付けられる第一オットマンパッド81と、オットマンフレーム70及び第一オットマンパッド81の全体を覆う第二オットマンパッド85と、から構成されている。
【0075】
また、オットマン7は、角度調節機構8によって、着座者の操作に応じた姿勢(シートクッション1Bに対する回動角度)を保持することができる。角度調節機構8は、公知の機構を採用することができる。
【0076】
図16は、シート本体に内蔵されたシートフレームF2の斜視図である。シートフレームF2は、シートクッション1Bの骨格を形成するクッションフレーム10Bと、シートバック2Bの骨格を形成するバックフレーム20Bと、オットマン7の骨格を形成するオットマンフレーム70と、を主な構成として有している。
【0077】
クッションフレーム10Bは、略矩形状の枠体からなり、左右のサイドフレーム11Bと、左右のサイドフレーム11Bの前端部分、後方部分をそれぞれ連結する前方フレーム12Bと、後方フレーム13Bと、受圧部材15Bと、から主に構成されている。
【0078】
オットマンフレーム70は、略矩形状の枠体からなり、左右のオットマンサイドフレーム71と、左右のオットマンサイドフレーム71の基端部、先端部をそれぞれ連結するオットマンベースフレーム72と、オットマン前方フレーム73とを有している。
【0079】
オットマンベースフレーム72には、左右に間隔をおいて左右一対のオットマンピラー74が設けられている。左右のオットマンピラー74は、互いに平行に延びている。オットマンピラー74は、クッションフレーム10Bの前方フレーム12Bに設けられたオットマンピラー支持部75に挿入される。これにより、オットマンフレーム70は、クッションフレーム10Bに取り付けられる。
【0080】
オットマンベースフレーム72とオットマン前方フレーム73には、支持プレート76が、支持プレート連結片77を介して取り付けられている。支持プレート76は、板状部材であって、枠形を有するオットマンフレーム70の左右方向の中央部を閉塞している。
図16において、支持プレート76は、オットマンフレーム70の左右方向の中央部のみを閉塞しているが、これに限定されない。支持プレート76は、オットマンフレーム70によって形成される略矩形状の枠体の全体を閉塞する形状及び寸法を有していてもよい。
【0081】
図17は、支持プレート76に第一オットマンパッド81が取り付けられた状態のシートフレームF2の斜視図である。第一オットマンパッド81は、発泡ポリプロピレンの成形体である。一方、第一オットマンパッド81を覆う第二オットマンパッド85(
図15を参照)は、発泡ポリウレタンの成形体である。第一オットマンパッド81は、第二オットマンパッド85と比べて、荷重に対する変形量が小さい。換言すると、第一オットマンパッド81は、第二オットマンパッド85より優れた衝撃吸収性能を有している。
【0082】
第二オットマンパッド85は、オットマンフレーム70及び第一オットマンパッド81全体を覆っている。第二オットマンパッド85は、第一オットマンパッド81より、高い柔軟性を有している。
このようにオットマンパッド80は、異なる特性を有する樹脂材料の成形体を組み合わせることによって構成されている。したがって、着座者に対して最適な着座特性の提供を図ることが可能となる。第二オットマンパッド85は、外側パッド材に相当する。
【0083】
図18は、
図17のE-E断面図を示している。また、説明の都合上、オットマン7が、車体のフロアに対して垂直な回動角度に調節された状態を示している。
図18に示すように、第一オットマンパッド81は、本体部82と、本体部82から、支持面7bから遠ざかる方向に突出する取付け部83と、を有している。本体部82と、取付け部83は、一体に形成されている。
本体部82は、第一オットマンパッド81がオットマンフレーム70に取り付けられた際に、着座者の下腿部から受ける荷重を受け止める。より詳細には、本体部82は、着座者を支持する支持面7bと、オットマンベースフレーム72及びオットマン前方フレーム73と、の間に位置し、第二オットマンパッド85とともに着座者の下腿部から受ける荷重を受け止める。
【0084】
取付け部83の側部には、オットマンフレーム70と係合する係合部84が形成されている。係合部84には、凹部84aと膨出部84bが形成されている。凹部84aの間隔は、オットマンベースフレーム72とオットマン前方フレーム73の内側の間隔と略等しい寸法を有している。一方、膨出部84bは、凹部84aよりも上下に膨出している。そして、膨出部84bの間隔は、オットマンベースフレーム72とオットマン前方フレーム73の内側の間隔よりも大きい寸法を有している。換言すると、凹部84a及び膨出部84bは、オットマンベースフレーム72及びオットマン前方フレーム73を嵌合可能な嵌合溝を形成している。したがって、オットマンフレーム70に第一オットマンパッド81を取り付けた状態において、オットマンフレーム70に対する係合部84の係合状態が不用意に解除されてしまうことを防止することができる。
【0085】
上述したオットマンフレーム70及び第一オットマンパッド81について、その取り付け作業と解体作業の流れは、上述した実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。上述した実施形態と同様に、第一オットマンパッド81を、オットマンフレーム70から簡単に分離することができ、オットマンパッド80の分離作業を効率的に行うことが可能となる。
【0086】
上述した実施形態において、フレームと、パッド材を有する支持部材としてアームレスト5及びオットマン7を例に挙げて説明したが、これに限定されない。支持部材の解体作業においてフレームとパッド材を簡単に分離することができればよく、アームレスト5及びオットマン7以外の支持部材に対して本発明を適用してもよい。
【0087】
また、上述した実施形態において、第一アームレストパッド41は発泡ポリプロピレンの成形体であり、第二アームレストパッド45は発泡ポリウレタンの成形体であるとして説明したが、これに限定されない。第一アームレストパッド41及び第二アームレストパッド45は、着座者の荷重を支持し、着座者に快適性を与えることができる樹脂成形体であればよい。
また、上述した実施形態において、第一アームレストパッド41と第二アームレストパッド45は、硬度(荷重に対する変形量)が異なることとして説明したが、に限定されない。複数種類のパッド材を組み合わせることにより、パッド材の特性に多様性と柔軟性をもたらし、安全性を含めた最適な着座性を提供することができればよい。
【符号の説明】
【0088】
S1、S2 車両用シート
F1、F2 シートフレーム
1、1B シートクッション
1a パッド材
1b 表皮材
2、2B シートバック
2a パッド材
2b 表皮材
3、3B ヘッドレスト
3a パッド材
3b 表皮材
3c ヘッドレストピラー
3d ヘッドレストガイド
4 サブヘッドレスト
4c サブヘッドレストピラー
4d サブヘッドレストガイド
5、5B アームレスト(支持部材)
5a 表皮材
5b 支持面
6 電装部品
7 オットマン
7a 表皮材
7b 支持面
8 角度調節機構
9 スライド機構
10、10B クッションフレーム
11、11B サイドフレーム
12、12B 前方フレーム
13、13B 後方フレーム
14 パンフレーム
15、15B 受圧部材(弾性バネ)
16 クッション回動装置
17 支持脚
20、20B バックフレーム
21 メインフレーム
21a、21b サイドフレーム
21c 上方フレーム
21d 下方フレーム
22 サブフレーム
22a 水平サブフレーム
22b 垂直サブフレーム
23 パネルフレーム
23a、23b 補強凸部
23c 補強ビード
24 連結フレーム
25A、25B 補強ブラケット
26 ダンパー部材
27 アーム連結ブラケット
28 クッション連結ブラケット
29 ベース連結ブラケット
30、30A アームレストフレーム(フレーム)
31 サイドフレーム(平行フレーム)
32 先端フレーム(連結フレーム)
33 中間フレーム
34 基端フレーム
35、35A 支持プレート
36 支持プレート連結片
40、40A アームレストパッド
41、41A 第一アームレストパッド(パッド材)
42、42A 本体部(パッド本体)
42a 前面
42b 後面
42c 外周面
42d 収容凹部
43、43A 取付け部
43a 被支持面
43b 側面
43b1 外側面
43b2 内側面
44、44A 係合部
44a 凹部
44b 膨出部
45 第二アームレストパッド(外側パッド部材)
50 切り替え装置
51 ロック部材
52 バック操作レバー
53 連結ケーブル
54 ストライカ
70 オットマンフレーム(フレーム)
71 オットマンサイドフレーム
72 オットマンベースフレーム
73 オットマン前方フレーム
74 オットマンピラー
75 オットマンピラー支持部
76 支持プレート
77 支持プレート連結片
80 オットマンパッド
81 第一オットマンパッド(パッド材)
82 本体部
83 取付け部
84 係合部
84a 凹部
84b 膨出部
85 第二オットマンパッド
G 空隙