IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特開2024-25656代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント
<>
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図1
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図2
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図3
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図4
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図5
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図6
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図7
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図8
  • 特開-代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025656
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20240216BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240216BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20240216BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240216BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240216BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G01N23/046
B22F10/28
G01N23/18
B33Y10/00
B33Y80/00
G01N1/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090722
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】17/854,064
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス、リチャート アーサー
(72)【発明者】
【氏名】キング、アンドリュー エフ.
(57)【要約】
【課題】代表的な品質指標を有するターボマシンの較正コンポーネントを提供する。
【解決手段】ターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有する較正コンポーネント(200)が提供される。較正コンポーネント(200)は、本体(202)を含む。較正コンポーネント(200)は、較正コンポーネント(200)の本体(202)内に配置された1つ以上の代表的な品質指標(124、204)をさらに含む。代表的な品質指標(124、204)は、キャビティ(206)内に配置された材料(210)を有するキャビティ(206)を含んでいる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有する較正コンポーネント(200)であって、
本体(202)と、
較正コンポーネント(200)の本体(202)内に配置された1つ以上の代表的な品質指標(124、204)と、
を含み、代表的な品質指標(124、204)は、キャビティ(206)内に配置された材料(210)を有するキャビティ(206)を含む、較正コンポーネント(200)。
【請求項2】
キャビティ(206)は、球形である、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項3】
キャビティ(206)内に配置された材料(210)は、粉末状の粉末材料(210)である、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項4】
本体(202)は、粉末材料(210)から形成されている、請求項3に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項5】
材料(210)は、第1の材料(210)であり、較正コンポーネント(200)の本体(202)は、第1の材料(210)とは異なる第2の材料(210)から形成されている、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項6】
複数の代表的な品質指標(124、204)をさらに含む、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項7】
複数の代表的な品質指標(124、204)は、異なる大きさの代表的な品質指標(124、204)を含む、請求項6に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項8】
複数の代表的な品質指標(124、204)は、パターン(226)配置されている、請求項6に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項9】
複数の代表的な品質指標(124、204)は、パターン(226)配置されていない、請求項6に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項10】
1つ以上の代表的な品質指標(124、204)は、それぞれ、約0.01インチと約0.1インチとの間の直径(212)を規定する、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項11】
キャビティ(206)内の材料(210)の第1の密度は、本体(202)の第2の密度よりも小さくてもよい、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項12】
第1の密度は、本体(202)の第2の密度よりも約10%~約90%小さい、請求項11に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項13】
較正コンポーネント(200)は、製造応力の高い領域(220)を備え、1つ以上の代表的な品質指標(124、204)は、製造応力の高い領域(220)に配置される、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項14】
ターボマシンコンポーネントのフォームファクタは、圧縮機(14)セクションコンポーネント、燃焼セクション(18)コンポーネント、又はタービンセクション(22)コンポーネントのうちの1つである、請求項1に記載の較正コンポーネント(200)。
【請求項15】
付加製造システム(100)を用いてターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有する較正コンポーネント(200)を製造する方法(900)であって、
粉末ベッド(112)内の粉末の層を照射して溶融領域を形成するステップであって、粉末はビルドプレート(102)上に配置される、前記ステップと、
粉末床(112)上にリコータアーム(116)を通過させることによって、粉末床(112)上に粉末の後続層を提供するステップと、
較正コンポーネント(200)がビルドプレート(102)上に形成されるまで、照射及び供給ステップ(902、904)を繰り返すステップと、
を含み、
較正コンポーネント(200)は、
本体(202)と、
較正コンポーネント(200)の本体(202)内に配置された1つ以上の代表的な品質指標(124、204)と、
を含み、
代表的な品質指標(124、204)は、キャビティ(206)内に配置された粉末を有するキャビティ(206)を含む、
方法(900)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、走査システム用の較正コンポーネントに関する。より具体的には、本開示は、ターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有し、代表的な品質指標を有する較正コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボマシンは、エネルギー伝達を目的として、さまざまな産業や用途で利用されている。例えば、ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション、及び排気セクションを含む。圧縮機セクションは、ガスタービンエンジンに流入する作動流体の圧力を徐々に上昇させ、この圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体と燃料(天然ガスなど)は燃焼セクション内で混合し、燃焼室内で燃焼して高圧・高温の燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは燃焼セクションからタービンセクションに流れ込み、そこで膨張して仕事を生み出す。例えば、タービンセクションで燃焼ガスが膨張することで、例えば発電機に接続されたローターシャフトが回転し、電気が発生する。その後、燃焼ガスは排気セクションを経由してガスタービンから排出される。
【0003】
多くのターボマシンコンポーネント(turbomachine components:ターボ機械構成要素)の形状及び内部形状(shapes and internal geometries)が複雑であるため、コンポーネントを厳しい設計公差内で適切に製造するために、付加製造プロセスが利用される場合がある。例えば、典型的なターボマシンでは、1つ以上のロータブレード、シュラウド、エアフォイル、燃料ノズル、及び/又は燃焼コンポーネント又はサブコンポーネントが、付加製造プロセスを使用して製造される場合がある。
【0004】
少なくともいくつかの付加製造システムは、金属部品を積み上げて、ネットシェイプ(net shape:正味の形状)、あるいはニアネットシェイプ(near net shape:正味に近い形状)の部品を作る。このようなシステムは、高価な材料から複雑な部品を低コストで製造し、製造効率を向上させる。いくつかの既知の付加製造システムは、レーザ装置や電子ビーム発生装置などの集束エネルギー源と、粉末金属などの微粒子を使用して部品を製造する。
【0005】
いくつかの既知の付加製造システムでは、集束エネルギー源によって金属粉末に伝達される過剰な熱及び/又は熱のばらつきのために、コンポーネントの品質が低下する可能性がある。例えば、付加製造システム又はプロセスにおけるエラーの結果として、コンポーネントに欠陥が形成される場合がある。そのため、付加製造システムを使用して製造されたコンポーネントは、一般に、付加製造プロセスにおけるエラーの結果としてコンポーネントに欠陥、不所望な空所、又は他の不完全性(flaws, unwanted voids, or other imperfections)が含まれないことを確認するために、製造後に検査される。
【0006】
製造された部品の破壊検査は高価であり、すべての部品について可能ではない。そのため、非破壊検査(例えば、X線を利用した走査システム(scanning systems:スキャニングシステム))が、製造された部品の欠陥検査に使用されることが多い。このような走査システムは、製造された部品の欠陥を一貫して検出するために、較正又は調整(calibrated or tuned)されなければならない。従来、この較正は、既知の欠陥を有する以前に印刷された部品を使用することによって行われることがあるが、これでは、未知の領域又は新しい領域の欠陥を考慮することができない。さらに、ワイヤ放電加工プロセス(wire EDM process)を用いて部品に意図的に表面欠陥を付与することもできるが(そして、このような部品は、その後、走査システムの較正に使用される)、これは、外面の欠陥(exterior flaws)に限定され、内部の欠陥(interior flaw)については考慮されていない。
【0007】
このように、製造部品の非破壊検査を実施するための較正コンポーネントを形成するための改良されたシステム及び方法に対する必要性が存在し、当技術分野において望まれ、また理解されるであろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示に従った較正コンポーネント(calibration component)及び較正コンポーネントの製造方法の態様及び利点は、以下の説明において部分的に記載されるか、又は説明から明らかであるか、又は技術の実践を通じて学ぶことができる。
【0009】
一実施形態によれば、ターボマシンコンポーネントのフォームファクタ(form factor)を有する較正コンポーネントが提供される。較正コンポーネントは、本体と1つ以上の代表的な品質指標(main body and one or more representative quality indicators)とを含む。1つ以上の代表的な品質指標は、較正コンポーネントの本体内に配置されている。代表的な品質指標は、キャビティ内に配置された材料を有するキャビティを含む。
【0010】
別の実施形態に従って、付加製造システムを使用してターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有する較正コンポーネントを製造する方法が提供される。本方法は、粉末床(powder bed:パウダーベッド)に粉末の層を照射して溶融領域を形成することを含む。粉末はビルドプレート(build plate)上に配置される。本方法はさらに、リコーターアーム(recoater arm)を粉末床上に通過させることによって粉末床上に粉末の後続層を設けることを含む。本方法はさらに、ビルドプレート上に較正コンポーネントが形成されるまで、照射及び供給ステップを繰り返すことを含む。較正コンポーネントは、本体と、1つ以上の代表的な品質指標とを含む。1つ以上の代表的な品質指標は、較正コンポーネントの本体内に配置される。代表的な品質指標は、キャビティ内に配置された材料を有するキャビティを含む。
【0011】
本発明の較正コンポーネント及び較正コンポーネントの製造方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本技術の実施形態を示すものであり、本明細書とともに本技術の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
当業者に向けられた、本発明のシステム及び方法を製造及び使用する最良の態様を含む、本発明の較正コンポーネント及び較正コンポーネントを製造する方法の完全かつ有効な開示は、添付の図を参照する本明細書に記載されている。
図1】本開示の実施形態によるターボマシンの概略図である。
図2】本開示の実施形態に従って物体を生成するための付加製造システムの概略図である。
図3】本開示の実施形態による較正コンポーネントの透視図である。
図4】本開示の実施形態に従った、線4-4に沿って見た、図3に示す較正コンポーネントの断面図である。
図5】本開示の実施形態に従って、本体内に配置された1つ以上の代表的な品質指標を有する本体を有する較正コンポーネントの断面図を示す。
図6】本開示の実施形態に従って、本体内に配置された1つ以上の代表的な品質指標を有する本体を有する較正コンポーネントの断面図を示す。
図7】本開示の実施形態による燃料噴射装置のフォームファクタを有する較正コンポーネントを示す。
図8】本開示の実施形態に従った、図7に示す線8-8に沿った較正コンポーネントの断面図を示す。
図9】本開示の実施形態に従った、付加製造システムを用いてターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有する較正コンポーネントを製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の較正コンポーネント及び較正コンポーネントの製造方法の実施形態について詳細に説明する。各例は、技術を限定するのではなく、説明のために提供される。実際、当業者には、特許請求される技術の範囲又は精神から逸脱することなく、本技術に修正及び変形を加えることができることが明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示又は説明された特徴は、別の実施形態と共に使用することにより、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正及び変形をカバーすることが意図される。
【0014】
本明細書において「例示的」という語は、「例、実例、又は説明として役立つ」という意味で使用される。本明細書において「例示的」として説明される任意の実施態様は、必ずしも、他の実施態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるものではない。さらに、特に特定されない限り、本明細書に記載されるすべての実施形態は、例示的であると考えられるべきである。
【0015】
詳細な説明では、図面中の特徴を参照するために数字及び文字を使用している。図面及び説明における同様又は類似の表記は、本発明の同様又は類似の部分を指すために使用されている。本明細書において、「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、1つのコンポーネントを別のコンポーネントから区別するために互換的に使用することができ、個々のコンポーネントの位置又は重要性を意味することを意図していない。
【0016】
「流体」とは、気体であっても液体であってもよい。流体連通」とは、流体が指定された領域間を連通させることができることを意味する。
【0017】
本明細書において、「上流」(又は「前方」)及び「下流」(又は「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を指す。例えば、「上流」とは、流体が流れる方向を指し、「下流」とは、流体が流れる方向を指す。半径方向」という用語は、特定の部品の軸中心線に対して実質的に垂直な相対方向を指し、「軸方向」という用語は、特定の部品の軸中心線に対して実質的に平行及び/又は同軸に整列した相対方向を指し、「周方向」という用語は、特定の部品の軸中心線の周りに延びる相対方向を指す。
【0018】
「約」、「およそ」、「一般的に」、「実質的に」などの近似語は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似的な表現は、値を測定するための計器の精度、又はコンポーネント及び/又はシステムを構築もしくは製造するための方法もしくは機械の精度に対応する場合がある。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度、又はコンポーネント及び/もしくはシステムを構築もしくは製造するための方法もしくは機械の精度に対応することがある。例えば、個々の値、値の範囲、及び/又は値の範囲を定義する端点のいずれかにおいて、1、2、4、5、10、15、又は20パーセントのマージン内にあることを指す場合がある。角度又は方向の文脈で使用される場合、このような用語には、記載された角度又は方向よりも10度大きい又は小さい範囲が含まれる。例えば、「概ね垂直」は、時計回り又は反時計回りなど、どの方向においても垂直から10度以内の方向を含む。
【0019】
「結合された」、「固定された」、「に取り付けられた」などの用語は、本明細書で特に規定しない限り、直接的な結合、固定、又は取り付け、ならびに1つ以上の中間コンポーネント又は特徴を介した間接的な結合、固定、又は取り付けの両方を指す。本明細書で使用される場合、用語「含む:comprises」、「含んでいる:omprising」、「備える:includes」、「備えている:including」、「有する:has」、「有している:having」又はその他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、特徴のリストから構成されるプロセス、方法、成形品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、成形品、又は装置に固有の他の特徴を含んでもよい。さらに、明示的に反対の記載がない限り、「又は」は包括的な又はを意味し、排他的な又はを意味しない。例えば、条件A又は条件Bは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aは真であり(又は存在し)、Bは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在しない)、Bは真である(又は存在する)、及びAとBの両方が真である(又は存在する)。
【0020】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、範囲の限定は組み合わされ、交換され、そのような範囲は、文脈又は文言がそうでないことを示さない限り、特定され、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含む。例えば、本明細書で開示されるすべての範囲は終点を含み、終点は互いに独立して組み合わせ可能である。
【0021】
以下に詳細に説明するように、本主題の例示的な実施形態は、付加製造機械又は方法の使用を伴う。本明細書で使用される場合、「付加製造:additively manufactured」又は「付加製造技術又はプロセス:additive manufacturing techniques or processes」という用語は、一般に、材料の連続する層が、層ごとに、三次元コンポーネントを「構築する」ために互いに提供される製造プロセスを指す。連続する層は一般に融合してモノリシック部品(monolithic component)を形成するが、このモノリシック部品は様々な一体型サブコンポーネントを有することがある。
【0022】
本明細書に記載される付加製造プロセスは、任意の適切な材料を用いてコンポーネントを形成するために使用することができる。例えば、材料は、プラスチック、金属、コンクリート、セラミック、ポリマー、エポキシ、光ポリマー樹脂、又は固体、液体、粉末、シート材料、ワイヤ、又は任意の他の適切な形態であり得る任意の他の適切な材料であり得る。より具体的には、本主題の例示的な実施形態によれば、本明細書に記載の付加製造コンポーネントは、純金属、ニッケル合金、クロム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼、及びニッケル又はコバルトベースの超合金(例えば、Special Metals Corporationから入手可能なInconel(登録商標)の名称で入手可能なもの)を含むがこれらに限定されない材料の一部、全部、又は何らかの組み合わせで形成され得る。これらの材料は、本明細書に記載される付加製造プロセスで使用するのに適した材料の例であり、一般に”付加材料”と呼ばれることがある。
【0023】
本明細書で使用される場合、「融合:fusing」という表現は、上記の材料のいずれかの接合層を形成するための任意の適切なプロセスを指す場合がある。例えば、材料がセラミックである場合、接合は焼結プロセスによって形成され得る。材料が粉末金属である場合、接合は溶融又は焼結プロセス(melting or sintering process)によって形成することができる。当業者であれば、付加製造によって部品を製造するために材料を融合させる他の方法が可能であり、現在開示されている主題はそれらの方法で実施され得ることを理解するであろう。
【0024】
各連続層は、例えば、約10μm~200μmの間であってもよいが、厚さは、任意の数のパラメータに基づいて選択されてもよく、代替実施形態に従って任意の適切なサイズであってもよい。したがって、上述の添加剤形成方法を利用して、本明細書に記載のコンポーネントは、添加剤形成プロセス中に利用される関連する粉末層の1つの厚さ、例えば10μmと同程度の薄い断面を有することができる。
【0025】
特に、例示的な実施形態において、本明細書に記載されるコンポーネントのいくつかの特徴は、製造上の制約のために以前は不可能であった。しかしながら、本発明者らは、付加製造技術における現在の進歩を有利に利用して、本開示に従って、一般的にこのようなコンポーネントの例示的な実施形態を開発した。本開示は、一般に、これらのコンポーネントを形成するための付加製造の使用に限定されないが、付加製造は、製造の容易さ、コストの低減、より高い精度などを含む様々な製造上の利点を提供する。
【0026】
ここで図面を参照すると、図1は、ターボマシンの一実施形態の概略図であり、図示の実施形態ではガスタービン10である。本明細書では、産業用又は陸上用のガスタービンが示され、説明されているが、本開示は、特許請求の範囲に別段の規定がない限り、陸上用及び/又は産業用のガスタービンに限定されない。例えば、本明細書で説明する本発明は、蒸気タービン、航空機用ガスタービン、又は船舶用ガスタービンを含むがこれらに限定されない任意のタイプのターボマシンに使用することができる。
【0027】
図1に示すように、ガスタービン10は一般に圧縮機セクション12を含む。圧縮機セクション12は、圧縮機14を含む。圧縮機は、ガスタービン10の上流端に配置される入口16を含む。ガスタービン10は、圧縮機セクション12の下流側に配置された1つ以上の燃焼器20を有する燃焼セクション18をさらに含む。ガスタービンは、燃焼セクション18から下流にあるタービンセクション22をさらに含む。シャフト24は、ガスタービン10内を概ね軸方向に延びている。
【0028】
圧縮機セクション12は、一般に、複数のロータディスク21と、各ロータディスク21から半径方向外側に延び、各ロータディスク21に連結された複数のロータブレード23とを含むことができる。各ロータディスク21は、順番に、圧縮機セクション12を通って延びるシャフト24に連結されるか、又はシャフト24の一部を形成することができる。さらに、圧縮機セクション12は、ロータブレード23の間の圧縮機ケーシングから延びる複数のステータベーン19を含むことができる。圧縮機セクション12のロータブレード23及びステータベーン19は、翼形(airfoil shape、例えば、前縁、後縁、及び前縁と後縁との間に延在する側壁(a leading edge, a trailing edge, and side walls extending between the leading edge and the trailing edge)を有する)を画定するターボマシンエアフォイル(turbomachine airfoils:ターボマシン翼)を含んでもよい。
【0029】
タービンセクション22は、一般に、複数のロータディスク27と、各ロータディスク27から半径方向外側に延び、各ロータディスク27に相互に連結された複数のロータブレード28とを含むことができる。各ロータディスク27は、順番に、タービンセクション22を通って延びるシャフト24に結合されるか、又はシャフト24の一部を形成することができる。タービンセクション22はさらに、シャフト24の一部及びロータブレード28を円周方向に取り囲む外側ケーシング32を含む。タービンセクション22は、外側ケーシング32から半径方向内側に延びるステータベーン又は静止ノズル(stator vanes or stationary nozzles)26を含むことができる。ロータブレード28とステータベーン26は、ガスタービン10の軸方向中心線30に沿って交互に配置されてもよい。ロータブレード28及びステータベーン26の両方は、翼形(airfoil shape、例えば、前縁、後縁、及び前縁と後縁との間に延在する側壁を有する)を画定するターボマシンエアフォイル(turbomachine airfoils:ターボマシン翼)を含むことができる。
【0030】
運転中、周囲空気36又は他の作動流体が圧縮機14の入口16に吸入され、徐々に圧縮されて圧縮空気38が燃焼セクション18に供給される。圧縮空気38は燃焼セクション18に流入し、1つ以上の燃料ノズル45で燃料と混合され、可燃性混合物を形成する。つ以上の燃料ノズル45は、燃焼器20の前方端部に配置することができ、例えば、燃焼器20の端部カバー48に結合される。可燃混合気は燃焼器20の燃焼室40内で燃焼され、それにより燃焼ガス42が発生し、燃焼室40からタービンセクション22に流入する。燃料ノズル45の下流側には、1つ以上の軸流燃料段(AFS:Axial Fuel Stage)又は燃料噴射装置(fuel injectors)46が配置されている場合がある。1つ以上の2次インジェクタは、燃料ノズル45の下流で燃料と空気の第2の可燃混合気を燃焼室40に噴射するために、燃焼室40と流体連通していてもよい。エネルギー(運動及び/又は熱)は、燃焼ガス42からロータブレード28に伝達され、シャフト24を回転させて機械的な仕事を生じさせる。燃焼ガス42はタービンセクション22から出て、排気ディフューザ34内を流れ、排気ディフューザ34内に配置された複数の支柱又は主翼(struts or main airfoils:ストラッツまたはメインエアフォイル)44を横切る。
【0031】
ガスタービン10は、軸方向中心線30に沿って延びる軸方向A、軸方向中心線30に垂直な半径方向R、及び軸方向中心線30の周りに延びる周方向Cを有する円筒座標系(cylindrical coordinate system)を定義することができる。
【0032】
付加製造システム及びプロセスの一例を説明するために、図2は、ターボマシンコンポーネントフォームファクタ(turbomachine component form factor)を有する較正コンポーネント200であってもよい物体(object:対象物)122を生成するための付加製造システム100の概略図/ブロック図を示す。付加製造システム100は、直接金属レーザ焼結(DMLS:direct metal laser sintering)又は直接金属レーザ溶融(DMLM:direct metal laser melting)のために構成されてもよい。例えば、付加製造システム100は、較正コンポーネント200などの物体を製造してもよい。例えば、物体122は、レーザ120などのソースによって生成されたエネルギービーム136を使用して、粉末ベッド112内の粉末材料を焼結又は溶融することによって、層ごとに作製されてもよい。エネルギービームによって溶融される粉末は、リザーバ126によって供給され、リコーター方向134に移動するリコータアーム116を使用してビルドプレート102上に均一に広げられ、粉末をレベル118に維持し、粉末レベル118より上に延びる余分な粉末材料を廃棄物容器128に除去する。エネルギービーム136は、ガルボスキャナ(galvo scanner)132の制御下で造形物の断面層を焼結又は溶融する。ビルドプレート102が下降し、ビルドプレートと造形物上に粉末の別の層が広げられ、続いてレーザ120による粉末の連続的な溶融/焼結が行われる。このプロセスは、物体122が溶融/焼結した粉末材料から完全に構築されるまで繰り返される。レーザ120は、プロセッサとメモリを含むコンピュータシステムによって制御されてもよい。コンピュータシステムは、各層のスキャンパターンを決定し、スキャンパターンに従って粉末材料を照射するようにレーザ120を制御してもよい。物体122の製造が完了した後、様々な後処理手順を物体122に適用することができる。後処理手順には、例えばブローや真空引き(blowing or vacuuming)による余分な粉末の除去が含まれる。他の後処理手順には、応力除去工程(stress release process)が含まれる。さらに、熱的及び化学的な後処理手順を使用して、物体122を仕上げることができる。
【0033】
図2に示すように、例示的な実施形態では、物体122は、物体122内に配置された1つ以上の代表的な品質指標(RQI:representative quality indicators)124を含み得る。後述するように、1つ以上の代表的な品質指標124は、未溶融粉末材料(unfused powder material)で充填され、物体122内に配置された空隙又は空洞(voids or cavities)であってもよい(例えば、RQI124が周囲空気と接触しないように、物体122の外面の下)。RQI124は、RQI124の周囲の粉末材料を焼結又は溶融することによって層ごとに作製されてもよい(すなわち、RQI124は、RQI124のために指定された領域において粉末材料を焼結又は溶融しないことによって形成されてもよい)。このように、物体122が形成される際に、RQI124が同時に形成され、未融合の粉末材料でゆっくりと充填されてもよい。例えば、RQI124は物体122内に配置された空隙又はキャビティであってもよいので、物体122及びRQIが形成されるにつれて、RQIは粉末のレベル118の下方に配置され、リコータアーム116が通過するたびに空隙又はキャビティが未溶融粉末材料をゆっくりと集めるようになる。このようにして、RQI124が物体122に完全に形成されると、未融合の粉末材料で充填される融解粉末材料によって画定された空隙又はキャビティとなることがある。
【0034】
図3は、本開示の実施形態による、図2に示す付加製造システム100によって形成され得る較正コンポーネント200を示し、図4は、図3に示す較正コンポーネント200の断面図を示す。較正コンポーネント200は、コンピュータ断層撮影(CT)システムを較正(又は調整)するために使用されてもよい。CTシステムは、照射(X線など)を使用して、スキャンされた対象(較正コンポーネント200など)の三次元内部及び外部表現を生成することができる。CTシステムの材料異常に対する感度と測定精度は、CTシステムで使用されるX線源のエネルギーレベルに反比例する。物体の材料の量と密度は、X線が部品を透過してX線検出器に到達する能力に影響を与える。X線が検出器に十分に到達しない場合、その物体はそのエネルギーレベルのX線では検査不可能とされてきた。しかし、検査に使用するX線の量を最小限に抑えながら、CTシステムの感度と精度を最大限に高めることが望ましい。
【0035】
図示されるように、較正コンポーネント200は、本体202と、較正コンポーネント200の本体202内に配置された1つ以上の代表的な品質指標(RQI)204とを含むことができる。CTシステムが較正コンポーネント200の本体202内のRQI204を検出することができれば、CTシステムは、RQIと同様のサイズを有し、RQIと同様の位置にあり、RQI204と同様の密度を有する材料密度を有する生産コンポーネントの欠陥を検出することができる。
【0036】
例示的な実施形態では、較正コンポーネント200は、較正コンポーネント200の本体202内に配置された複数のRQI204を含むことができる。RQIの各々は、本体202内に画定された空隙、空間、又は他の空間(void, space, or other space)であってよいキャビティ(cavit:空洞)206を含んでよい。例えば、キャビティ206は、キャビティ206が全体的に本体202によって画定され、キャビティ206が周囲環境(すなわち、大気又は周囲空気)から流体的に隔離されるように、本体202の外面208の下の本体202内に画定されてもよい。
【0037】
多くの実施形態において、RQI204は、キャビティ206内に配置された材料210をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、材料210は固体材料であってもよい。他の実施形態では、材料210は、流体材料(液体又は気体など)であってもよい。例示的な実施形態では、キャビティ206内に配置された材料210は、粉末状の粉末材料(粉末状の金属材料など)であってもよい。さらに、本体202は、粉末材料から形成されてもよい(例えば、本体202は、本体202が形成される粉末材料が融着されてもよいことを除いて、キャビティ206内に配置される粉末材料と同じ粉末材料から形成されてもよい)。別の言い方をすれば、本体202は、融着された粉末金属材料から形成されてもよく、キャビティ206内の材料210は、融着されていない同じ粉末金属材料であってもよい。キャビティ206は、キャビティ206を画定する境界が材料210と接触するように材料210で充填されてもよい。材料210は、円の断面形状を有していてもよい。キャビティ206内に配置された粉末材料の各粒子は直径を定めてもよく、粉末材料の各粒子の直径は変化してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、キャビティ206内に配置された材料210は、第1の材料であってもよく、較正コンポーネント200の本体202は、第1の材料とは異なる第2の材料から形成されてもよい。例えば、第1の材料は、純金属、ニッケル合金、クロム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼、及びニッケル又はコバルトをベースとする超合金(例えば、Special Metals Corporationより「Inconel(商標)」の名称で入手可能なもの)から選択することができる。このような実施形態では、第2の材料は、純金属、ニッケル合金、クロム合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼、及びニッケル又はコバルトベースの超合金(例えば、Special Metals Corporationから入手可能な「Inconel(商標)」の名称で販売されているもの)から選択される異なる材料であってもよい。
【0039】
図3に示すように、キャビティ206は球状(spherical、例えば、球形状:spherically shaped)であってもよい。キャビティ206の球形状は、有利には、ビルドプレート102に対して任意の角度又は向きで(例えば、付加製造システム100を介して)較正コンポーネント200を付加製造することを可能にし、それにより、単一のビルドプレート102上に配置することができる較正コンポーネント200の数を最大化することができる。例えば、キャビティ206の球形形状は、較正コンポーネント200がビルドプレート102に対してどのような角度又は向きであっても、同様の方法で「層状化:layered」又は「スライス:sliced」される可能性があるが、これは他の形状(例えば、立方体、円柱など)では当てはまらない。このように、キャビティ206の球形状により、RQI204は、構成部品のビルド方向又は角度に関係なく、様々な異なるターボマシン構成部品に容易に採用することができる。さらに、キャビティ206の球形状は、付加製造プロセス中に取り外し可能な(又は一時的な)支持体を必要としない。
【0040】
図3及び図4に示すように、複数の代表的な品質指標204は、異なるサイズの代表的な品質指標204を含んでもよい。例えば、各RQI204は直径212を規定することができ、複数のRQI204は異なる(又は変化する)直径212を含むことができる。様々な直径212は、CTシステムの較正又はチューニングを有利に促進することができる。例えば、CTシステムが、より大きな直径を有するRQIを視覚化又は検出することができるが、より小さな直径を有するRQIを視覚化又は検出することができない場合、CTシステムは、CTシステムが全てのサイズのRQIを検出又は視覚化することができるように、較正又は調整される(例えば、X線強度が調整される)必要があり、それにより、CTシステムは、同様のサイズを有する製造部品の実際の欠陥を確実に検出することができる。多くの実施形態では、較正コンポーネント200は、第1のサイズを有するRQI204の第1の列(first row)214、第2のサイズを有するRQI204の第2の列216、及び第3のサイズを有するRQI204の第3の列218を含むことができる。第1のサイズは第2のサイズより小さくてもよく、第2のサイズは第3のサイズより小さくてもよい。各列214、216、218は、共通の軸に沿って配置された2つ以上のRQI204を含んでもよい(例えば、第1の列214のRQI204はそれぞれ、第1の共通の軸に沿って配置されてもよく、第2の列216のRQI204はそれぞれ、第2の共通の軸に沿って配置されてもよく、第3の列218のRQI204はそれぞれ、第3の共通の軸に沿って配置されてもよい)。各列214、216、218の共通軸は、互いに概ね平行であってよい。
【0041】
様々な実施形態において、RQI204の直径212は、約0.01インチと約0.1インチの間、又は約0.015インチと約0.9インチの間、又は約0.2インチと約0.8インチの間、又は約0.3インチと約0.7インチの間、又は約0.4インチと約0.6インチの間であってよい。
【0042】
コンポーネントを検査する際、CTシステムは欠陥(気孔、包含の欠如、非融合領域、非重複印刷領域など:porosity, lack of inclusion, non-fused area, non-overlapping printing areas)を検出しようとする。CTシステムは、スキャンされる部品の材料密度に関係するCTスキャンのコントラスト識別(contrast discrimination)を使用することで、このような欠陥を検出することができる。例えば、密度の低い領域、すなわち欠陥のある領域(空隙、融着の欠如、融着していない領域など:voids, lack of fusion, non-fused areas)は、部品の本体よりも密度が低くなるため、欠陥のある領域はスキャンされた画像において暗く表示される。従って、理解されるべきように、キャビティ206を材料210(未融合の粉末材料など)で充填することは、最小限の密度差のためにCTシステムをより高度に特異的に調整又は較正することを可能にするので、有利であり得る。さらに、本体202と(粉末材料で充填された)RQI204との間の密度の差は、RQIが空である(又は空気で充填されている)場合よりも小さいため、CTシステムのコントラスト識別をより正確に調整することができ、CTシステムが製造部品の欠陥を検出する可能性を高めることができる。
【0043】
多くの実施形態において、キャビティ206内の材料210の第1の密度は、本体202の第2の密度よりも小さくてもよい。例えば、例示的な実施形態では、RQI204のキャビティ206内の材料210(例えば、未融解粉末材料)は、本体202の第2の密度よりも約10%~約90%低い第1の密度を有することがある。他の実施形態では、RQI204のキャビティ206内の材料210(例えば、未溶融粉末材料)は、本体202の第2の密度よりも約20%~約80%低い第1の密度を有することがある。いくつかの実施形態では、RQI204のキャビティ206内の材料210(例えば、未溶融粉末材料)は、本体202の第2の密度よりも約30%~約70%低い第1の密度を有してもよい。様々な実施形態において、RQI204のキャビティ206内の材料210(例えば、未融解粉末材料)は、本体202の第2の密度よりも約40%~約60%低い第1の密度を有することができる。
【0044】
図5及び図6はそれぞれ、本開示の実施形態に従って、本体202に配置された1つ以上の代表的な品質指標204を有する本体202を有する較正コンポーネント200の断面図を示す。示されるように、較正コンポーネント200は、第1の部分222及び第2の部分224を含み得る。示されるように、多くの実施形態において、較正コンポーネント200は、製造応力の高い領域220(area of high manufacturing stress)を画定してもよく、1つ以上の代表的な品質指標204は、製造応力の高い領域220に配置されてもよい。様々な実施形態において、製造応力の高い領域220は、較正コンポーネント200が垂直方向V(vertical direction V、例えば、付加製造システム100のビルド方向:build direction)に延びる際の、較正コンポーネント200の接合部(第1の部分222と第2の部分224との間の接合部など)、角度又は角度の変化、又は厚さの変化であってもよい。例えば、製造応力の高い領域220は、約40°より大きい、又は約80°より大きい、又は約120°より大きい角度を有する較正コンポーネント200の部分222、224の間に画定され得る。さらに、製造応力の高い領域220は、較正コンポーネント200が垂直方向V(例えば、ビルド方向)に延びる際の較正コンポーネント200の厚さの変化が約20%より大きい、又は約40%より大きい、又は約60%より大きい、又は約80%より大きい場合に画定され得る。
【0045】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、複数の代表的な品質指標204は、パターン226に配置されてもよい。例えば、複数の代表的な品質指標204は、正方形パターン、菱形パターン、三角形パターン、又は任意の他のパターン(square pattern, diamond pattern, triangle pattern, or any other pattern)で配列されてもよい。例えば、パターンは、指定された方向におけるRQI204の繰り返し配置であってもよい。様々な実施形態において、RQI204は、製造応力の高い領域220内にパターンで配置されてもよい。他の実施形態では、図6に示すように、複数の代表的な品質指標204は、パターンに配列されていなくてもよい。このような実施形態では、RQI204は、ランダムに(すなわち、RQI204が指定された方向に繰り返し配列されることなく)配列されてもよい。
【0046】
例示的な実施形態では、較正コンポーネント200は、ターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有することができる。フォームファクタは、較正コンポーネント200のサイズ、形状、及び物理的構造を定義することができる。例えば、較正コンポーネント200のフォームファクタは、圧縮機セクション12コンポーネント、燃焼セクション18コンポーネント、又はタービンセクション22コンポーネントのうちの1つであってもよい。例えば、較正コンポーネント200は、ロータブレード23、ステータベーン19、又は他の圧縮機セクション12コンポーネントなどの圧縮機セクション12コンポーネントのフォームファクタを有してもよい。他の実施形態では、較正コンポーネント200は、燃料ノズル45(又は燃料ノズル45の一部)、燃料噴射装置46(又は燃料噴射装置46の一部)、又は他の燃焼セクション18コンポーネントなどの燃焼セクション18コンポーネントのフォームファクタを有してもよい。さらに別の実施形態では、較正コンポーネント200は、ロータブレード28、ステータベーン26、又は他のタービンセクション22コンポーネントなどのタービンセクション22コンポーネントのフォームファクタを有することができる。
【0047】
非限定的な一例として、図7は、本開示の実施形態による、燃料噴射装置300(図1に示す燃料噴射装置46など)のフォームファクタを有する較正コンポーネント200を示し、図8は、図7に示す線8-8に沿った較正コンポーネント200の断面図を示す。図7及び図8に示すように、燃料噴射装置300は、互いに間隔をあけて配置された端壁302と、端壁302の間に延在する側壁304とを含む。多くの実施形態では、燃焼セクション18に設置されたとき、燃料噴射装置300の側壁304は、軸方向Aに平行に延びることができる。燃料噴射装置300の端壁302は、互いに対向して配置された前方端壁306及び後方端壁308を含む。側壁304は、互いに間隔をあけて配置され、前方端壁306と後方端壁308との間に延在することができる。多くの実施形態において、前方端部壁306及び後方端部壁308の両方は、円弧状であってよく、概して丸みを帯びた断面形状を有してよく、側壁304は、端部壁302と側壁304とが集合的に幾何学的競技場(geometric stadium)の形状を有する断面を有する開口310を画定するように、端部壁302の間を概して直線状に延びてよい。様々な実施形態において、側壁304は、開口部310が軸方向に最も長くなるように、端壁302よりも長くてもよい。燃料噴射装置300は、開口部310内に配置され、端壁(end walls)302の間を軸方向に延びる少なくとも1つの燃料噴射部材( fuel injection members)312をさらに含むことができる。燃料噴射部材312は、燃料噴射部材312を介して画定された複数の燃料ポート314を介して開口部310に燃料を供給するように機能する実質的な中空体であってもよい。燃料噴射部材の各々は、前方端壁306に位置する第1の端部から、後方端壁308に位置する第2の端部まで延在することができる。多くの実施形態では、燃料噴射部材312は、開口部310内で互いに間隔を空けて、軸方向Aにおいて前方端壁306から後方端壁308まで直線的に、すなわち急激な方向転換なしに延びていてもよい。例えば、側壁燃料噴射部材(side wall fuel injection members)322、324は、開口部310を部分的に画定する機能と、燃料噴射装置300内で混合するために複数の燃料ポート314を介して燃料を噴射する機能との両方を果たすように、側壁304内に一体的に形成されてもよい。各燃料噴射部材312及び側壁燃料噴射部材322,324は、燃料プレナム325(涙滴形状(teardrop shaped)であってもよい)を画定してもよい。
【0048】
図8に示すように、燃料噴射装置300は、1つ以上の代表的な品質指標(RQI)204を含むことができる。例えば、RQI204は、燃料噴射装置300の外面の下(例えば、燃料噴射装置300の内部)に配置されてもよい。1つ以上のRQIは、端壁302、側壁304、燃料噴射部材312、側壁燃料噴射部材322、324、又は燃料噴射装置300の他の位置に配置されてもよい。例えば、複数のRQI204は、間隔を置いて配置され、各燃料噴射部材312及び側壁燃料噴射部材322、324の燃料プレナム325を概ね周囲を囲む(又は取り囲む)(circumscribe (or surround) )ことができる。
【0049】
ここで図9を参照すると、本主題の態様に従って、付加製造システム100を使用してターボマシンコンポーネントフォームファクタを有する較正コンポーネント200を製造する方法900の一実施形態のフロー図(flow diagram)が示されている。一般に、本明細書では、図1図8を参照して上述したガスタービン10、較正コンポーネント200、及び付加製造システム100を参照して方法900を説明する。しかしながら、開示された方法900は、一般に、任意の適切なガスタービンと共に利用することができ、及び/又は任意の他の適切なシステム構成を有する任意の付加製造システムに関連して利用することができることが、当業者には理解されよう。加えて、図9は、図示及び考察の目的で特定の順序で実行されるステップを描いているが、本明細書で論じる方法は、特許請求の範囲に別段の規定がない限り、特定の順序又は配置に限定されない。当業者であれば、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される方法の様々なステップを様々な方法で省略、再配置、組み合わせ、及び/又は適合させることができることを理解するであろう。
【0050】
多くの実施態様において、方法900は、ステップ902で、粉末床112中の粉末の層を照射して溶融領域を形成することを含み得る。多くの実施態様では、図2に示すように、粉末床112は、溶融領域がビルドプレート102に固定的に取り付けられるように、ビルドプレート102上に配置されてもよい。方法900は、ステップ904で、粉末床112の上にリコータアーム116を通過させることによって、粉末床112の上に(例えば、粉末床112の第1の側から)粉末の後続の層を提供することをさらに含み得る。リコータアーム116は、粉末床112上に粉末を敷設(laying、例えば、吐出:dispensing)しながら、粉末床112上を第1の側から第2の側へ通過することによって、粉末床112上に粉末の各層を分配することができる。方法900はさらに、ステップ906で、粉末床112に較正コンポーネント200が形成されるまでステップ902及び904を繰り返すことを含む。
【0051】
任意の実施形態では、904でリコータアーム116を粉末床112上を通過させることは、ステップ908で、粉末床内の粉末のレベルを維持することをさらに含むことができる。例えば、粉体の新しい層を吐出しながらリコータアームが一方から他方へ通過するとき、リコータアームは、粉体のレベル118を維持するために、平面に沿ってブラシをかけたり、擦ったり(brush or scrape)してもよい。多くの実施態様において、付加製造システム100を用いた較正コンポーネント200の製造中、キャビティ206は、粉末のレベル118の下方に(例えば、ビルド方向に関してビルドプレート102に近い方に)配置されてもよい。任意の実施形態では、ステップ904の提供する工程は、ステップ910で、リコータアームが通過する各時点(each instance)において、較正コンポーネント200の製造中にキャビティ206に粉末を充填することをさらに含み得る。例えば、リコータアーム116が通過して粉末の新しい層を吐出するたびに、そのような粉末は、キャビティ206が完全に形成されるまでキャビティ206内に徐々に集まり、それによって未融合の粉末をキャビティ206内に封入することができる。最後に、任意の実施形態では、方法900は(例えば、較正コンポーネント200が完全に形成されると)、ステップ912で、ビルドプレート102から較正コンポーネント200を除去することをさらに含むことができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法900は、較正コンポーネントの内部構造の画像を生成することによって較正コンポーネント200内のRQI204を検出するために、CT走査システムで較正コンポーネントを走査することをさらに含み得る(例えば、RQI204は生成された画像において暗く見えるはずである)。走査ステップの結果として、CTシステムは調整又は較正(tuned or calibrated)され得る(例えば、CTシステムによって放出されるX線の強度を調整することによって。例えば、走査ステップの結果としてRQI204が検出されない場合には、CTシステムのX線の強度を増加させる(或るCTシステムでは減少させる)ことができる。
【0053】
本明細書では、実施例を用いて、最良の態様を含む本発明を開示するとともに、任意の装置又はシステムの製造及び使用、ならびに組み込まれた方法の実行を含め、当業者であれば誰でも本発明を実施できるようにする。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0054】
本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
[実施形態1]
ターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有する較正コンポーネントであって、前記較正コンポーネントは、本体と、前記較正コンポーネントの前記本体内に配置された1つ以上の代表的な品質指標と、を備え、前記代表的な品質指標は、キャビティ内に配置された材料を有する前記キャビティを備える、較正コンポーネント。
[実施形態2]
前記キャビティが球形である、実施形態1に記載の較正コンポーネント。
[実施形態3]
前記キャビティ内に配置された前記材料が粉末状の粉末材料である、実施形態1または2に記載の較正コンポーネント。
[実施形態4]
前記本体が粉末材料から形成される、実施形態1乃至3のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態5]
前記材料が第1の材料であり、前記較正コンポーネントの前記本体が、前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成される、実施形態1乃至4のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態6]
複数の代表的な品質指標をさらに含む、実施形態1乃至5のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態7]
前記複数の代表的な品質指標が、異なる大きさの複数の代表的な品質指標を含む、実施形態1乃至6のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態8]
前記複数の代表的な品質指標がパターン状に配置されている、実施形態1乃至7のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態9]
前記複数の代表的な品質指標は、パターン状に配置されていない、実施形態1乃至7のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態10]
前記1つ以上の代表的な品質指標が、それぞれ約0.01インチから約0.1インチの間の直径を規定する、実施形態1乃至9のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態11]
前記キャビティ内の前記材料の第1の密度は、前記本体の第2の密度よりも小さい可能性がある、実施形態1乃至10のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態12]
前記第1の密度が、前記本体の第2の密度よりも約10%~約90%小さい、実施形態1乃至11のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態13]
較正コンポーネントが製造応力の高い領域を含み、前記1つ以上の代表的な品質指標が製造応力の高い領域に配置される、実施形態1乃至12のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態14]
前記ターボマシンコンポーネントのフォームファクタが、圧縮機セクションコンポーネント、燃焼セクションコンポーネント、又はタービンセクションコンポーネントのうちの1つである、実施形態1乃至13のいずれかに記載の較正コンポーネント。
[実施形態15]
付加製造システムを用いてターボマシンコンポーネントのフォームファクタを有する較正コンポーネントを製造する方法であって、
粉末床内の粉末の層に照射して溶融領域を形成するステップであって、粉末はビルドプレート上に配置される、前記ステップと、
リコーターアームを前記粉末床上に通過させることによって前記粉末床上に粉末の後続の層を提供するステップと、
前記較正コンポーネントが前記ビルドプレート上に形成されるまで、前記照射及び前記提供するステップを繰り返すステップと、
を含み、
前記較正コンポーネントは、本体と、前記較正コンポーネントの前記本体内に配置された1つ以上の代表的な品質指標とを含み、前記代表的な品質指標は、キャビティ内に配置された粉末を有する前記キャビティを含む、方法。
[実施形態16]
前記リコータアームを前記粉末床上に通過させるステップが、前記粉末床内の粉末のレベルを維持するステップをさらに含む、実施形態15に記載の方法。
[実施形態17]
前記較正コンポーネントの製造中に、前記キャビティが前記粉末のレベルより下に配置される、実施形態15または16に記載の方法。
[実施形態18]
前記リコータアームが通過する各例において、前記較正コンポーネントの製造中に前記キャビティに粉末を充填するステップをさらに含む、実施形態15乃至17のいずれかに記載の方法。
[実施形態19]
前記キャビティが球形である、実施形態15乃至18のいずれかに記載の方法。
[実施形態20]
前記ビルドプレートから較正コンポーネントを除去するステップをさらに含む、実施形態15乃至19のいずれかに記載の方法。
【符号の説明】
【0055】
10:ガスタービンシステム 12:圧縮機セクション 14:圧縮機 16:入口 18:燃焼セクション 19:ステータベーン 20:燃焼器 21:ロータディスク 22:タービンセクション 23:ロータブレード 24:シャフト 26:ステータベーン 27:ロータディスク 28:ロータブレード 30:軸方向中心線 32:外側ケーシング 34:排気ディフューザ 36:周囲空気 38:圧縮空気 40:燃焼室 42:燃焼ガス 44:メインエアフォイル 45:燃料ノズル 46:燃料噴射装置 48:端部カバー 100:付加製造システム 102:ビルドプレート 112:粉末ベッド 116:リコーターアーム 118:粉末レベル 120:レーザ 122:物体 124:品質指標 126:リザーバ 128:廃棄物容器 132:ガルボスキャナ 134:リコーター方向 136:エネルギービーム 200:較正コンポーネント 202:本体 204:RQI 206:キャビティ 208:外表面 210:材料 212:直径 214、216、218:列 220:製造応力の高い領域 222、224:部分 226:パターン 300:燃料噴射装置 302:端壁 304:側壁 306:前方端壁 308:後方端壁 310:開口部 312:燃料噴射部材 314:燃料ポート 322、324:側壁燃料噴射部材 325:燃料プレナム A:軸方向 C:周方向 R:半径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】