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  • 特開-光学ガラスおよび光学素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025657
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】光学ガラスおよび光学素子
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/068 20060101AFI20240216BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
C03C3/068
G02B1/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092926
(22)【出願日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2022128293
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522503632
【氏名又は名称】豪雅光電科技(威海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 創
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA04
4G062BB05
4G062DA02
4G062DA03
4G062DB01
4G062DC03
4G062DC04
4G062DD01
4G062DE03
4G062DE04
4G062DF01
4G062EA02
4G062EA03
4G062EB01
4G062EC01
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4G062EE01
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4G062FA01
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4G062FB02
4G062FC01
4G062FC02
4G062FC03
4G062FD01
4G062FE01
4G062FF01
4G062FG02
4G062FG03
4G062FH02
4G062FH03
4G062FH04
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4G062FK04
4G062FK05
4G062FK06
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
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4G062HH05
4G062HH08
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ04
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK04
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM02
4G062NN02
4G062NN03
4G062NN29
4G062NN34
(57)【要約】
【課題】屈折率とアッベ数とが所定の式を満たし、かつガラス転移温度が低い光学ガラスを提供すること。
【解決手段】質量%表示のガラス組成において、LiO含有量が0質量%超、B含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、SiO含有量が0質量%超8.00質量%以下、La含有量が15.00質量%以上55.00質量%以下、ZnO含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、TiO含有量が0.60質量%以下、LiOとZnOとの合計含有量(LiO+ZnO)が10.20質量%以上、LiO含有量に対するB含有量の質量比(B/LiO)が5.00以上21.00以下、LiO含有量に対するSiO含有量の質量比(SiO/LiO)が10.00以下であり、ガラス転移温度Tgが610℃未満、液相温度LTが1090℃以上、屈折率ndとガラス転移温度Tgが下記式(1)を満たし、かつ屈折率ndとアッベ数νdが下記式(2)を満たす光学ガラス。
式(1):Tg<2500*nd-4050
式(2):νd>-88.355*nd+201
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%表示のガラス組成において、
LiO含有量が0質量%超、
含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、
SiO含有量が0質量%超8.00質量%以下、
La含有量が15.00質量%以上55.00質量%以下、
ZnO含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、
TiO含有量が0.60質量%以下、
LiOとZnOとの合計含有量(LiO+ZnO)が10.20質量%以上、
LiO含有量に対するB含有量の質量比(B/LiO)が5.00以上21.00以下、
LiO含有量に対するSiO含有量の質量比(SiO/LiO)が10.00以下、
であり、
ガラス転移温度Tgが610℃未満、
液相温度LTが1090℃以上、
屈折率ndとガラス転移温度Tgが下記式(1)を満たし、かつ屈折率ndとアッベ数νdが下記式(2)を満たす光学ガラス。
式(1):Tg<2500*nd-4050
式(2):νd>-88.355*nd+201
【請求項2】
カチオン%表示のガラス組成において、Si4+含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/Si4+)が1.25以上11.00以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項3】
質量%表示のガラス組成において、SiOとBとの合計含有量に対するNb、TiOおよびWOの合計含有量の質量比(Nb+TiO+WO)/(SiO+B)が0.40以上1.60以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項4】
質量%表示のガラス組成において、WO含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/WO)が0.10以上5.00以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項5】
質量%表示のガラス組成において、La、Gd、YおよびLuの合計含有量に対するLu含有量の質量比(Lu/(La+Gd+Y+Lu))が0.50以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項6】
カチオン%表示のガラス組成において、Li含有量が0.50カチオン%以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項7】
屈折率ndが1.8600以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項8】
アッベ数νdが34.0以上40.0以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項9】
質量%表示のガラス組成において、
SiOとBとの合計含有量に対するNb、TiOおよびWOの合計含有量の質量比(Nb+TiO+WO)/(SiO+B)が0.40以上1.60以下であり、
WO含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/WO)が0.10以上5.00以下であり、
La、Gd、YおよびLuの合計含有量に対するLu含有量の質量比(Lu/(La+Gd+Y+Lu))が0.50以下であり、
カチオン%表示のガラス組成において、
Si4+含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/Si4+)が1.25以上11.00以下であり、
Li含有量が0.50カチオン%以上であり、
屈折率ndが1.8600以上であり、かつ
アッベ数νdが34.0以上40.0以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスおよび光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学素子用材料として、各種光学ガラスが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-201661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屈折率とアッベ数とが所定の関係式を満たす光学ガラスは、光学素子用材料として有用である。例えば、そのような関係式の具体例としては、「式(2):νd>-88.355*nd+201」を挙げることができる。
【0005】
また、光学ガラスに望まれる性質の1つとして、ガラス転移温度Tgが低いことが挙げられる。低Tgガラスは、例えば精密プレス適性に優れるため好ましい。
【0006】
本発明の一態様は、屈折率とアッベ数とが上記式(2)を満たし、かつガラス転移温度が低い光学ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
質量%表示のガラス組成において、
LiO含有量が0質量%超、
含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、
SiO含有量が0質量%超8.00質量%以下、
La含有量が15.00質量%以上55.00質量%以下、
ZnO含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、
TiO含有量が0.60質量%以下、
LiOとZnOとの合計含有量(LiO+ZnO)が10.20質量%以上、
LiO含有量に対するB含有量の質量比(B/LiO)が5.00以上21.00以下、
LiO含有量に対するSiO含有量の質量比(SiO/LiO)が10.00以下、
であり、
ガラス転移温度Tgが610℃未満、
液相温度LTが1090℃以上、
屈折率ndとガラス転移温度Tgが下記式(1)を満たし、かつ屈折率ndとアッベ数νdが下記式(2)を満たす光学ガラスに関する。
式(1):Tg<2500*nd-4050
式(2):νd>-88.355*nd+201
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、ガラス転移温度が低く、かつ光学素子用材料として有用な光学恒数を有する光学ガラスを提供することができる。また、本発明の一態様によれば、かかる光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】精密プレス成形装置の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[光学ガラス]
本発明および本明細書において、光学ガラスのガラス組成は、質量%表示、カチオン%表示またはモル%表示で表記される。
【0011】
質量%表示のガラス組成およびモル%表示のガラス組成では、ガラス組成を、酸化物基準のガラス組成で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいうものとする。質量%表示のガラス組成では、ガラス組成は質量基準(質量%、質量比)で表示される。以下、質量%表示のガラス組成について、「質量%」を単に「%」とも記載する。モル%表示のガラス組成では、ガラス組成はモル基準(モル%、モル比)で表示される。以下、モル%表示のガラス組成について、「モル%」を単に「%」とも記載する。
【0012】
カチオン%表示のガラス組成について、カチオン成分の含有量および合計含有量は、カチオン%で表示される。ここで、「カチオン%」とは、「(注目するカチオンの個数/ガラス成分のカチオンの総数)×100」で算出される値であって、注目するカチオン量のカチオン成分の総量に対するモル百分率を意味する。以下、カチオン%表示のガラス組成について、「カチオン%」を単に「%」とも記載する。
カチオン比は、カチオン成分同士の含有量のモル比であり、注目するカチオン成分のカチオン%表示による含有量の比に等しい。
カチオン成分について、例えば、Li、Si4+のように表示するが、カチオン成分の価数(例えば、Liの価数は+1、Si4+の価数は+4)は、慣習により定まった値であり、Li、Si等を酸化物基準でLiO、SiO等と表記することと同様である。酸化物基準でA(Aはカチオンを表し、Oは酸素を表し、mおよびnは化学量論的に定まる整数である。)と表記される成分について、カチオンAはAs+と表記される。ここで、s=2n/mである。したがって、例えば、ガラス組成を分析、定量する際に、カチオン成分の価数まで分析しなくてもよい。
【0013】
本発明および本明細書において、構成成分の含有量が0%、0.0%もしくは0.00%または含まないもしくは導入しないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。不純物レベル程度以下とは、例えば、0.01%未満であることを意味する。「0%」は、例えば、「0.0%」または「0.00%」を意味することができる。
【0014】
本発明および本明細書におけるガラス組成は、例えばICP-AES(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)等の方法により求めることができる。例えば、定量分析は、ICP-AESを用いて各元素別に行われる。その後、分析値は酸化物表記に換算される。ICP-AESによる分析値は、例えば、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。したがって、分析値から換算された酸化物表記の値についても、同様に±5%程度の誤差を含んでいることがある。
【0015】
ガラス組成の定量分析の結果、酸化物基準で質量%表示された組成は、例えば次のような方法で、カチオン%表示のガラス組成に換算することができる。
ガラス中にN種のガラス成分が含まれる場合、k番目のガラス成分をA(k)と表記する。ただし、kは1以上、N以下の任意の整数である。
A(k)はカチオン、Oは酸素、mとnは化学量論的に定まる整数である。例えば、酸化物基準による表記がBの場合、m=2、n=3となり、SiOの場合、m=1、n=2となる。
次に、A(k)の含有量を、X(k)[質量%]とする。ここで、A(k)の原子量をP(k)、酸素Oの原子番号をQとすると、A(k)の形式的な分子量R(k)は、
R(k)=P(k)×m+Q×n
となる。
更に、
B=100/{Σ[m×X(k)/R(k)]}
とすると、カチオン成分A(k)s+の含有量(カチオン%)は、[X(k)/R(k)]×m×B(カチオン%)となる。ここで、Σは、k=1からNまでのm×X(k)/R(K)の合計を意味する。mはkに応じて変化する。sは2n/mである。
また、分子量R(k)は、小数点以下4桁目を四捨五入し、小数点以下3桁目までの表示とした値を用いて計算すればよい。なお、幾つかのガラス成分、添加剤について、酸化物基準による表記における分子量を、下記の表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
本発明および本明細書において、屈折率は、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
【0018】
本発明および本明細書において アッベ数νdは、分散に関する性質を表す値として用いられるものであり、以下の式で表される。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
上記式中、nFは青色水素のF線(波長486.13nm)における屈折率であり、nCは赤色水素のC線(656.27nm)における屈折率である。
【0019】
以下、上記光学ガラス(単に「ガラス」と記載する場合がある。)について、更に詳細に説明する。
【0020】
<ガラス組成>
(LiO、Li
Li(質量%表示またはモル%表示のガラス組成においてLiO、カチオン%表示のガラス組成においてLi)は、屈折率の低下を抑えつつ、ガラス転移温度を低下させることが可能な成分であるため、上記光学ガラスに含有させることが必須である。
【0021】
質量%表示のガラス組成において、LiO含有量は、0%超であり、0.20%以上であることが好ましく、0.30%以上、0.40%以上、0.45%以上、0.50%以上、0.55%以上、0.60%以上、0.62%以上、0.64%以上、0.66%以上、0.68%以上、0.70%以上、0.72%以上、0.74%以上、0.76%以上、0.77%以上、0.78%以上、0.79%以上、0.80%以上、0.81%以上、0.82%以上、0.83%以上の順により好ましい。
LiO含有量の上限は、特に限定されるものではなく、例えば、1.80%以下であることができ、1.70%以下であることが好ましく、1.60%以下、1.55%以下、1.50%以下、1.48%以下、1.46%以下、1.44%以下、1.42%以下、1.40%以下、1.38%以下、1.36%以下、1.34%以下、1.32%以下、1.31%以下の順により好ましい。
【0022】
カチオン%表示のガラス組成において、Li含有量は、0%超であり、0.50%以上であることが好ましく、1.00%以上、1.50%以上、2.00%以上、2.50%以上、3.00%以上、3.25%以上、3.50%以上、3.75%以上、4.00%以上、4.25%以上、4.50%以上、4.75%以上、5.00%以上の順により好ましい。
Li含有量の上限は、特に限定されるものではなく、例えば、12.00%以下であることができ、11.00%以下であることが好ましく、10.50%以下、10.00%以下、9.75%以下、9.50%以下、9.25%以下、9.00%以下、8.75%以下、8.50%以下、8.25%以下、8.00%以下の順により好ましい。
【0023】
モル%表示のガラス組成において、LiO含有量は、0%超であり、0.50%以上であることが好ましく、1.00%以上、1.50%以上、2.00%以上、2.50%以上、3.00%以上、3.10%以上、3.30%以上、3.50%以上、3.70%以上、3.91%以上の順により好ましい。
LiO含有量の上限は、特に限定されるものではなく、例えば、11.00%以下であることができ、10.00%以下であることが好ましく、9.50%以下、9.00%以下、8.50%以下、8.00%以下、7.50%以下、7.30%以下、7.10%以下、6.90%以下、6.70%以下、6.51%以下の順により好ましい。
【0024】
(B
は、ネットワークフォーマーであり、ガラスの熱的安定性および熔融性を維持することに寄与する成分である。そのため、質量%表示のガラス組成において、B含有量は、3.00%以上であり、5.00%以上であることが好ましく、6.00%以上、7.00%以上、8.00%以上、8.50%以上、9.00%以上、9.50%以上、10.00%以上、10.50%以上、10.83%以上の順により好ましい。
は、より多く含有するとガラスの低屈折率化をもたらす成分でもある。そのため、質量%表示のガラス組成において、B含有量は、30.00%以下であり、29.00%以下であることが好ましく、28.00%以下、27.00%以下、26.00%以下、25.00%以下、24.00%以下、23.00%以下、22.00%以下、21.00%以下、20.00%以下、19.00%以下、18.00%以下、17.00%以下、16.00%以下、15.50%以下、15.00%以下、14.50%以下、14.00%以下、13.78%以下の順により好ましい。
【0025】
(SiO
SiOも、ネットワークフォーマーであり、ガラスの熱的安定性および熔融性を維持することに寄与する成分である。この点から、質量%表示のガラス組成において、SiO含有量は、0%超であり、0.50%以上であることが好ましく、1.00%以上、1.50%以上、2.00%以上、2.25%以上、2.50%以上、2.75%以上、2.80%以上、2.85%以上、2.90%以上、2.95%以上、3.00%以上、3.02%以上、3.04%以上、3.06%以上の順により好ましい。
SiOも、より多く含有するとガラスの低屈折率化をもたらす成分でもある。そのため、質量%表示のガラス組成において、SiO含有量は、8.00%以下であり、7.50%以下であることが好ましく、7.00%以下であることが好ましく、6.75%以下、6.50%以下、6.25%以下、6.00%以下、5.75%以下、5.60%以下の順により好ましい。
【0026】
(B/LiO)
質量%表示のガラス組成において、LiO含有量に対するB含有量の質量比(B/LiO)は、5.00以上であり、5.50以上であることが好ましく、6.00以上、6.20以上、6.40以上、6.60以上、6.80以上、7.00以上、7.20以上、7.40以上、7.60以上、7.80以上、8.00以上、8.25以上、8.36以上の順により好ましい。上限については、21.00以下であり、20.00以下であることが好ましく、19.50以下、19.00以下、18.50以下、18.00以下、17.75以下、17.50以下、17.25以下、17.00以下、16.75以下、16.54以下の順により好ましい。
質量比(B/LiO)については、ガラス転移温度を低下させる観点から上記の上限が好ましく、ガラス転移温度の上昇を抑制し、熱的安定性を維持する観点から上記の下限が好ましい。
【0027】
カチオン%表示のガラス組成においては、Li含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/Li)は、1.50以上であることが好ましく、2.00以上、2.25以上、2.50以上、2.75以上、3.00以上、3.25以上、3.50以上、3.58以上の順により好ましい。上限については、9.50以下であることが好ましく、9.00以下、8.80以下、8.60以下、8.40以下、8.20以下、8.00以下、7.80以下、7.60以下、7.40以下、7.20以下、7.10以下の順により好ましい。
【0028】
(B3+/Si4+
カチオン%表示のガラス組成において、Si4+含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/Si4+)は、1.25以上であることが好ましく、1.50以上、1.75以上、2.00以上、2.25以上、2.50以上、2.75以上、3.00以上、3.10以上、3.20以上、3.30以上、3.40以上、3.50以上の順により好ましい。
また、カチオン比(B3+/Si4+)は、11.00以下であることが好ましく、10.50以下、10.00以下、9.75以下、9.50以下、9.25以下、9.00以下、8.75以下、8.50以下、8.25以下、8.00以下、7.75以下、7.60以下、7.50以下、7.40以下、7.30以下の順により好ましい。
ガラスの熱的安定性の維持および高屈折率特性を維持する観点から、カチオン比(B3+/Si4+)は上記範囲であることが好ましい。
【0029】
質量%表示のガラス組成においては、SiO含有量に対するB含有量の質量比(B/SiO)は、0.25%以上であることが好ましく、0.50以上、0.75以上、1.00以上、1.20以上、1.40以上、1.60以上、1.70以上、1.80以上、1.90以上、2.00以上、2.02以上の順により好ましい。上限については、9.00以下であることが好ましく、8.50以下、8.00以下、7.50以下、7.00以下、6.50以下、6.00以下、5.75以下、5.50以下、5.25以下、5.00以下、4.75以下、4.50以下、4.23以下の順により好ましい。
【0030】
(SiO/LiO)
質量%表示のガラス組成において、LiO含有量に対するSiO含有量の質量比(SiO/LiO)は、10.00以下であり、9.00以下であることが好ましく、8.50以下、8.00以下、7.50以下、7.00以下、6.75以下、6.50以下、6.25以下、6.00以下、5.75以下、5.50以下、5.25以下、5.18以下の順により好ましい。下限については、0超であることができ、0.40以上であることが好ましく、0.60以上、0.80以上、1.00以上、1.20以上、1.40以上、1.60以上、1.80以上、2.00以上、2.25以上、2.50以上、2.68以上の順により好ましい。
質量比(SiO/LiO)については、ガラス転移温度を低下させる観点から上記の上限が好ましく、ガラス転移温度の上昇を抑制し、熱的安定性を維持する観点から上記の下限が好ましい。
【0031】
カチオン%表示のガラス組成においては、Li含有量に対するSi4+含有量のカチオン比(Si4+/Li)は、2.40以下であることができ、2.30以下、2.20以下、2.10以下、2.00以下、1.90以下、1.80以下、1.70以下、1.65以下、1.60以下、1.55以下、1.50以下、1.48以下、1.46以下、1.44以下、1.42以下、1.40以下、1.38以下、1.36以下、1.34以下、1.32以下、1.30以下、1.29以下の順に好ましい。下限については、0超であることができ、0.25以上、0.30以上、0.35以上、0.40以上、0.50以上、0.52以上、0.54以上、0.56以上、0.58以上、0.60以上、0.62以上、0.64以上、0.66以上の順に好ましい。
【0032】
(希土類成分)
La
La含有量は、質量%表示のガラス組成において、15.00%以上であり、17.00%以上であることが好ましく、20.00%以上、21.00%以上、22.00%以上、23.00%以上、24.00%以上、25.00%以上、26.00%以上、26.50%以上、27.00%以上、27.50%以上、28.00%以上、28.35%以上の順により好ましい。
La含有量は、質量%表示のガラス組成において、55.00%以下であり、50.00%以下であることが好ましく、47.00%以下、45.00%以下、44.00%以下、43.00%以下、42.00%以下、41.00%以下、40.00%以下、39.50%以下、39.00%以下、38.50%以下、38.00%以下、37.50%以下、37.22%以下の順により好ましい。
【0033】
Gd
Gd含有量は、質量%表示のガラス組成において、0%、0%以上または0%超であることができ、0.00%以上、0.20%以上、0.40%以上、0.60%以上、0.80%以上の順に好ましい。上限については、15.00%以下であることが好ましく、14.75%以下、14.50%以下、14.25%以下、14.00%以下、13.85%以下、13.75%以下、13.50%以下、13.25%以下、13.00%以下、12.75%以下、12.55%以下、12.25%以下、12.03%以下の順により好ましい。
【0034】

含有量は、質量%表示のガラス組成において、0%、0%以上または0%超であることができる。上限については、11.00%以下であることが好ましく、以下、10.50%以下、10.00%以下、9.50%以下、9.00%以下、8.50%以下、8.00%以下、7.50%以下、7.04%以下、6.50%以下、6.00%以下、5.84%以下の順により好ましい。
【0035】
希土類成分に関して、La、GdおよびYは、低分散性を維持しながら屈折率を高めることができる成分であり、熱的安定性の維持または向上の観点から、各希土類酸化物の含有量は上記範囲であることが好ましい。Yは、同じ希土類成分のGdと比べて屈折率を高くする働きが小さい。また、希土類成分の合計含有量が過剰になるとガラスの熱的安定性が低下する傾向を示す。そのため、熱的安定性を維持しつつ高屈折率特性を維持する観点からは、希土類成分としては、YよりもLaおよび/またはGdの導入することが好ましい。
【0036】
(Lu/(La+Gd+Y+Lu))
熱的安定性維持の観点からは、希土類成分の総量の中でLuの割合が少ないほど好ましく、Luを含有しないことがより好ましい。この点から、質量%表示のガラス組成において、La、Gd、YおよびLuの合計含有量に対するLu含有量の質量比(Lu/(La+Gd+Y+Lu))は、0.50以下であることが好ましく、0.40以下、0.30以下、0.20以下、0.10以下の順により好ましく、Lu3+を含まないこと(したがって上記質量比がゼロであること)が更に好ましい。
【0037】
(ZnO)
ZnO含有量は、質量%表示のガラス組成において、3.00%以上であり、3.50%以上であることが好ましく、4.00%以上、4.50%以上、5.00%以上、5.25%以上、5.50%以上、5.75%以上、6.00%以上、6.25%以上、6.50%以上、6.75%以上、7.00%以上、7.25%以上、7.53%以上、7.75%以上、8.00%以上、8.25%以上、8.50%以上、8.75%以上、9.00%以上、9.10%以上、9.20%以上、9.30%以上の順により好ましい。上限については、30.00%以下であり、27.00%以下であることが好ましく、25.00%以下、23.00%以下、22.00%以下、21.00%以下20.00%以下、19.50%以下、19.00%以下、18.50%以下、17.00%以下、16.75%以下、16.50%以下、16.25%以下、16.00%以下、15.75%以下、15.65%以下の順により好ましい。
Znは、屈折率の低下を抑えつつ、ガラス転移温度を低下させ、熔融性を改善する成分である。他方、多量に含有すると液相温度が高くなってしまいガラスの熱的安定性が低下してしまう。これらの観点から、ZnO含有量は、上記範囲であることが好ましい。
【0038】
(LiO+ZnO)
低Tgを実現する観点から、質量%表示のガラス組成において、LiOとZnOとの合計含有量(LiO+ZnO)は、10.20%以上であり、10.22%以上、10.30%以上、10.40%以上であることが好ましく、10.60%以上、10.79%以上の順により好ましい。上限については、ガラスの熱的安定性の観点から、21.00%以下であることが好ましく、20.00%以下、19.50%以下、19.00%以下、18.50%以下、18.00%以下、17.75%以下、17.50%以下、17.25%以下、17.00%以下、16.79%以下の順により好ましい
【0039】
(TiO
Tiは、屈折率を高め、分散を高める成分である。また、Tiは、過剰の導入によりプレス成形時に成形型の成形面と反応してガラスの表面品質を悪化させる傾向が生じ、またガラスの着色が強まる場合がある。また、Tiを含まないか、またはその含有量がわずかであることは、後述する離型膜の劣化を抑制する観点からも好ましい。これらの観点から、TiO含有量は、質量%表示またのガラス組成において、0.60%以下であり、0.40%以下であることが好ましく、0.30%以下、0.20%以下、0.10%以下であることがより好ましく、0%(即ち含有しない)ことが更に好ましい。
【0040】
(Ta
Taは、高屈折率低分散性と熱的安定性を維持する働きがある成分である。そのため、質量%表示のガラス組成において、Ta含有量は、7.00%以上であることが好ましく、7.50%以上、8.00%以上、8.50%以上、8.75%以上、9.00%以上、9.25%以上、9.50%以上、9.75%以上、10.00%以上、10.25%以上、10.43%以上の順により好ましい。上限については、特に限定されるものではなく、例えば、19.00%以下であることができ、18.00%以下であることが好ましく、17.50%以下、17.00%以下、16.50%以下、16.00%以下、15.75%以下、15.50%以下、15.25%以下、15.00%以下、14.92%以下の順により好ましい。
【0041】
(Nb
Nbは、ガラスの屈折率を高める働きをする成分であるが、多量に含有するとガラスの熱的安定性を低下させる傾向がある。Nb含有量は、質量%表示のガラス組成において、0%、0%以上または0%超であることができ、0%以上、0.10%以上、0.20%以上、0.30%以上、0.40%以上、0.50%以上、0.60%以上の順に好ましい。上限については、9.00%以下であることが好ましい、8.00%以下、7.50%以下、7.00以%下、6.50%以下、6.00%以下、5.80%以下、5.60%以下、5.40%以下、5.24%以下の順により好ましい。
【0042】
(ZrO
ZrO含有量は、質量%表示のガラス組成において、0%、0%以上または0%超であることができ、0.00%以上、0.50%以上、1.00%以上、1.20%以上、1.40%以上、1.60%以上、1.80%以上、1.90%以上の順に好ましい。上限については、10.00%以下であることが好ましく、9.00%以下、8.50%以下、8.00%以下、7.50%以下、7.00%以下、6.80%以下、6.60%以下、6.40%以下、6.20%以下、6.00%以下、5.90%以下の順により好ましい。ガラスにZrを導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずにガラスの熱的安定性を改善する効果が得られるため、Zrを導入することが好ましい。
【0043】
(WO
WO含有量は、質量%表示のガラス組成において、0%、0%以上または0%超であることができ、0%以上、1.00%以上、2.00%以上、2.50%以上、3.00%以上、3.50%以上、4.00%以上、4.20%以上、4.40%以上、4.60%以上、4.80%以上、4.93%以上の順に好ましい。上限については、21.00%以下であることが好ましく、20.00%以下、19.00%以下、18.50%以下、18.00%以下、17.80%以下、17.60%以下、17.40%以下、17.20%以下、17.00%以下、16.80%以下、16.66%以下の順に好ましい。Wは、ガラスの熱的安定性および熔融性を改善し、屈折率を向上させる成分である。他方、多量に含むと分散が高くなってしまうとともに精密プレス適性が低下してしまうため、より少ない方が好ましい。
【0044】
(Nb+TiO+WO)/(SiO+B
質量%表示のガラス組成において、SiOとBとの合計含有量に対するNb、TiOおよびWOの合計含有量の質量比(Nb+TiO+WO)/(SiO+B)は、0.40以上であることが好ましく、0.45以上、0.50以上、0.56以上、0.57以上、0.58以上、0.59以上、0.60以上、0.61以上、0.62以上、0.63以上の順により好ましい。上限については、1.60以下であることが好ましく、1.40以下、1.35以下、1.30以下、1.28以下、1.26以下、1.24以下、1.22以下、1.20以下、1.19以下、1.18以下、1.17以下、1.16以下、1.15以下、1.14以下の順により好ましい。
質量比(Nb+TiO+WO)/(SiO+B)について、ガラスの高屈折率特性を維持する観点から上記の下限が好ましく、熱的安定性を維持する観点から上記の上限が好ましい。
【0045】
(ZnO/WO
質量%表示のガラス組成において、WO含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/WO)は、0.10以上であることが好ましく、0.20以上、0.30以上、0.40以上、0.50以上、0.60以上、0.63以上、0.67以上、0.70以上、0.73以上、0.76以上の順により好ましい。上限については、5.00以下であることが好ましく、4.80以下、4.60以下、4.40以下、4.20以下、4.00以下、3.80以下、3.60以下、3.40以下、3.20以下、3.00以下、2.80以下、2.60以下、2.46以下の順により好ましい。
質量比(ZnO/WO)について、ガラス転移温度を低くする観点および低分散性を維持する観点から上記の下限が好ましく、ガラスの高屈折率特性を維持する観点から上記の上限が好ましい。
【0046】
(Sb
Sbは、清澄剤として機能する成分である。その添加量が少ないほど、精密プレス成形時のプレス成形型の成形面の損傷を抑制する観点およびガラスの着色抑制の観点から好ましい。Sb含有量は、質量%表示のガラス組成において、外割表示のSb含有量(Sb以外のガラス成分の合計質量を100質量%としたときのSb含有量)として、0%以上、0.01%以上、0.02%以上の順に好ましく、また、1.00%以下、0.90以下、0.80%以下、0.70%以下、0.60%以下、0.50%以下の順に好ましい。
【0047】
(アニオン成分)
上記光学ガラスは、酸化物ガラスであることができ、アニオン成分として、O2-を含むことができる。本発明および本明細書において、アニオン%表示のガラス組成におけるアニオン成分の含有量は、アニオン%で表示される。ここで、「アニオン%」とは、「(注目するアニオンの個数/ガラス成分のアニオンの総数)×100」で算出される値であって、注目するアニオン量のアニオン成分の総量に対するモル百分率を意味する。アニオン%表示のガラス組成において、O2-含有量は、95.0アニオン%以上であることが好ましく、97.0アニオン%以上、98.0アニオン%以上、99.0アニオン%以上、99.5アニオン%以上、100アニオン%の順により好ましい。ガラス熔融時に揮発しやすい等の観点から、F含有量は、0.1アニオン%以下であることが好ましく、0アニオン%であること(即ちFを含まないこと)がより好ましい。ガラス組成の定量分析の結果、酸化物基準で質量%表示された組成は、例えば、先にカチオン%表示のガラス組成への換算について記載した方法によって、アニオン%表示のガラス組成に換算することができる。
【0048】
<ガラス物性>
(ガラス転移温度Tg)
上記光学ガラスは、上記ガラス組成を有することにより低いガラス転移温度Tgを有することができる。低Tgガラスは、例えば、精密プレス成形において、離型膜の劣化を抑制する観点、プレス成形型の消耗を抑制する観点等から好ましい。上記光学ガラスのTgは、610℃未満であり、608℃以下、606℃以下、604℃以下、602℃以下、600℃以下、598℃以下、596℃以下、594℃以下、592℃以下、590℃以下の順に好ましい。Tgの下限は、特に限定されるものではなく、例えば、530℃以上であることができ、540℃以上、550℃以上、555℃以上、560℃以上、565℃以上、570℃以上の順に好ましい。ガラス転移温度Tgは、後述の方法によって求められる。
【0049】
(式(1))
上記光学ガラスにおいて、屈折率ndとガラス転移温度Tgは、下記式(1)を満たす。
式(1):Tg<2500*nd-4050
上記光学ガラスは、式(1)を満たすことにより、高屈折率特性とプレス成形性を両立することができる。一般に、高屈折率になればなるほどTgは上昇する傾向がある。これに対し、式(1)は、屈折率が高いながらも低Tgであることを示している。
上記光学ガラスは、下記式(1-1)を満たすことが好ましく、下記式(1-2)を満たすことがより好ましく、下記式(1-3)を満たすことが更に好ましく、下記式(1-4)を満たすことが一層好ましく、下記式(1-5)を満たすことがより一層好ましい。
式(1-1):Tg<2500*nd-4060
式(1-2):Tg<2500*nd-4070
式(1-3):Tg<2500*nd-4080
式(1-4):Tg<2500*nd-4090
式(1-5):Tg<2500*nd-4100
【0050】
(式(2))
上記光学ガラスにおいて、屈折率ndとアッベ数νdは、下記式(2)を満たす。
式(2):νd>-88.355*nd+201
上記式(2)を満たす光学ガラスは、所定の屈折率において低分散性を示し、光学素子用材料として有用である。
【0051】
(屈折率nd)
上記式(1)および上記式(2)を満たすならば、上記光学ガラスの屈折率ndは、特に限定されるものではない。高屈折率ガラスは光学素子用材料として有用であるため、上記光学ガラスの屈折率ndは、1.8600以上であることが好ましく、1.8620以上、1.8640以上、1.8660以上、1.8680以上、1.8700以上、1.8720以上、1.8740以上、1.8760以上の順により好ましい。上限については、1.9000以下であることが好ましく、1.8980以下、1.8960以下、1.8940以下、1.8920以下、1.8900以下、1.8880以下、1.8860以下の順により好ましい。
【0052】
(アッベ数νd)
上記式(2)を満たすならば、上記光学ガラスのアッベ数νdは、特に限定されるものではない。低分散性を示すガラスは光学素子用材料として有用であるため、上記光学ガラスのアッベ数νdは、34.0以上であることが好ましく、34.20以上、34.40以上、34.60以上、34.80以上、35.00以上、35.10以上、35.20以上、35.30以上、35.40以上、35.50以上、35.60以上、35.70以上、35.80以上、35.90以上、36.00以上、36.10以上、36.20以上の順により好ましい。上限については、40.0以下であることが好ましく、39.50以下、39.00以下、38.80以下、38.60以下、38.40以下、38.20以下、38.00以下、37.90以下、37.80以下、37.76以下の順により好ましい。
ガラスを光学素子用材料として考えた場合、ガラスの屈折率を高めることは、ガラスのもつ自由度を広げることに相当する。屈折率を高めることは、上記自由度を広げるという観点から好ましい。他方、分散を維持しつつ屈折率を高めると、ガラス安定性が低下するという傾向が発生し得る。これらの観点から、アッベ数νdは、上記の範囲が好ましい。
【0053】
(液相温度LT)
上記光学ガラスは、先に記載したように、Tiを含まないか、またはTiをわずかに含む。Tiを含まないか、またはTiをわずかに含み、かつ先に記載した所望のTgおよび光学恒数を実現するガラス組成を有する上記光学ガラスは、1090℃以上の液相温度LTを有する。液相温度LTは、1100℃以上、1110℃以上または1120℃以上であることもできる。上限については、成形時の粘性維持の観点から、1230℃以下であることが好ましく、1220℃以下、1210℃以下、1200℃以下、1190℃以下、1180℃以下の順により好ましい。
【0054】
本発明および本明細書において、液相温度LTは、以下の方法によって求められる。
ガラス5~8ccを白金製坩堝の中に入れ、炉内雰囲気温度Tの炉内で2時間加熱し熔融状態にした後、炉外に取り出し室温下に放置し室温まで冷却する。室温は20℃~30℃の範囲の温度とする。冷却したガラス内の結晶析出の有無を光学顕微鏡観察(倍率100倍)によって判定する。
異なるT(10℃刻み)について、それぞれ上記方法によって結晶析出の有無を判定する。結晶の析出が認められないTの最低温度を液相温度とする。
【0055】
(比重)
光学ガラスの比重が低いことは、光学素子の軽量化の観点から好ましい。上記光学ガラスの比重は、例えば、5.75g/cc以下であることが好ましく、5.70g/cc以下、5.65g/cc以下、5.58g/cc以下の順により好ましい。また、上記光学ガラスの比重は、例えば5.10g/cc以上であることができるが、比重が低いほど好ましいため、下限は特に限定されない。本発明および本明細書において、比重はアルキメデス法によって測定される値とする。
【0056】
(着色度λ、λ70、λ80
ガラスの光線透過性、詳しくは、短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていることは、着色度λ、λ70およびλ80の1つ以上によって評価することができる。着色度λとは、紫外域から可視域にかけて、厚さ10mmのガラスの分光透過率(表面反射損失を含む)が5%となる波長を表す。λ70は、λについて記載した方法で測定される分光透過率が70%となる波長を表す。λ80は、λについて記載した方法で測定される分光透過率が80%となる波長を表す。後掲の表に示すλ、λ70およびλ80は、250~700nmの波長域において測定された値である。本発明および本明細書におけるガラスの分光透過率T(%)は、光学研磨された2つの互いに平行な平面を有するガラス試料に対し、かかる平面のうちの一面に垂直に入射する光の強度をIinとし、ガラス試料を透過してもう一方の面から射出した光の強度をIoutとしたとき、
T(%)=Iout/Iin×100
で表される。
着色度λ、λ70およびλ80によれば、分光透過率の短波長側の吸収端を定量的に評価することができる。接合レンズ作製のためにレンズ同士を紫外線硬化型接着剤により接合する際等には、光学素子を通して接着剤に紫外線を照射し接着剤を硬化させることが行われる。効率よく紫外線硬化型接着剤の硬化を行う観点からは、分光透過率の短波長側の吸収端が短い波長域にあることが好ましい。この短波長側の吸収端を定量的に評価する指標として、着色度λ、λ70およびλ80の1つ以上を用いることができる。
上記光学ガラスは、好ましくは380nm以下のλを示すことができる。λは、370nm以下、360nm以下、350nm以下の順により好ましい。λは、短い波長ほどより好ましく、下限は特に限定されるものではない。
上記光学ガラスは、好ましくは430nm以下のλ70を示すことができる。λ70は、420nm以下、410nm以下、400nm以下、395nm以下の順により好ましい。λ70は、短い波長ほどより好ましく、下限は特に限定されるものではない。
上記光学ガラスは、好ましくは510nm以下のλ80を示すことができる。λ80は、500nm以下、490nm以下、480nm以下、470nm以下の順により好ましい。λ80は、短い波長ほどより好ましく、下限は特に限定されるものではない。
【0057】
<ガラスの製造方法>
上記光学ガラスは、目的のガラス組成が得られるように、原料である酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物等を秤量、調合し、十分に混合して混合バッチとし、熔融容器内で加熱、熔融し、脱泡および撹拌を行い、均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作り、これを成形することによって得ることができる。具体的には公知の熔融法を用いて作ることができる。
【0058】
[プレス成形用ガラス素材とその製造方法、およびガラス成形体の製造方法]
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、上記光学ガラスからなるガラス成形体、およびそれらの製造方法を提供することができる。
プレス成形用ガラス素材とは、加熱して、プレス成形に供されるガラス塊を意味する。
プレス成形用ガラス素材の例としては、精密プレス成形用プリフォーム、光学素子ブランクをプレス成形するためのガラス素材(プレス成形用ガラスゴブ)等のプレス成形品の質量に相当する質量を有するガラス塊を挙げることができる。
プレス成形用ガラス素材は、ガラス成形体を加工する工程を経て作製することができる。ガラス成形体は、上記のようにガラス原料を加熱、熔融し、得られた熔融ガラスを成形して作製することができる。ガラス成形体の加工法としては、切断、研削、研磨等を例示することができる。
【0059】
[光学素子ブランクとその製造方法]
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなる光学素子ブランクを提供することができる。光学素子ブランクは、製造しようとする光学素子の形状に近似する形状を有するガラス成形体である。光学素子ブランクは、製造しようとする光学素子の形状に加工によって除去する加工代を加えた形状にガラスを成形する方法等により作製することができる。例えば、プレス成形用ガラス素材を加熱、軟化してプレス成形する方法(リヒートプレス法)、公知の方法で熔融ガラス塊をプレス成形型に供給しプレス成形する方法(ダイレクトプレス法)等により光学素子ブランクを作製することができる。
【0060】
[光学素子とその製造方法]
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。光学素子の種類としては、球面レンズ、非球面レンズ等のレンズ、プリズム、回折格子等を例示することができる。レンズの形状としては、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等の諸形状を例示することができる。
【0061】
光学素子の製造方法の一形態としては、精密プレス成形用プリフォームを加熱し、精密プレス成形する光学素子の製造方法を挙げることができる。精密プレス成形には公知のプレス成形型を使用し、公知の成形方法を適用することができる。精密プレス成形による光学素子の製造方法は、非球面レンズ、マイクロレンズ、回折格子等の製造に好適である。
【0062】
精密プレス成形用プリフォームの表面には、精密プレス成形時にガラスとプレス成形型成形面との融着を防止しつつ、成形面に沿ってガラスの延びが良好になるようにするために、離型膜を被覆することが好ましい。そのような離型膜は公知である。上記光学ガラスは、先に記載した範囲のガラス転移温度を有する低Tgガラスであって、かつTiを含まないか、またはTiをわずかに含むガラスである。そのようなガラスからなる精密プレス成形用プリフォームは、離型膜の劣化を抑制する観点から好ましい。離型膜の一例としては、炭素含有膜が挙げられる。炭素含有膜は、例えば、炭素を主成分とする膜(膜中の元素含有量を原子%で表したとき、炭素の含有量が他の元素の含有量よりも多いもの)であることができる。炭素含有膜の成膜法としては、炭素原料を使用した真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法、炭化水素等の材料ガスを使用した熱分解等の公知の方法を用いればよい。
【0063】
図1に、精密プレス成形装置の概略断面図を示す。精密プレス成形は、例えば以下のように行うことができる。
精密プレス成形用プリフォーム(以下、単に「プリフォーム」と記載する。)4を、プレス成形型を構成する下型2および上型1の間に設置した後、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター(図示せず)に通電して石英管11内を加熱する。プレス成形型内部の温度を成形されるガラスが例えば10~1010dPa・sの粘度を示す温度に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押して成形型内にセットされたプリフォームをプレスする。プレスの後、プレスの圧力を解除し、プレス成形されたガラス成形品を下型2および上型1と接触させたままの状態で、上記ガラスの粘度が例えば1012dPa・s以上になる温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷してガラス成形品を成形型から取り出す。こうして、光学素子を得ることができる。なお、図1において、保持部材10が下型2と胴型3を保持し、支持棒9が上型1、下型2、胴型3、保持部材10を支持するとともに、押し棒13によるプレスの圧力を受け止める。下型2の内部には熱電対14が挿入されプレス成形型内部の温度をモニターしている。
【0064】
光学素子の製造方法の他の一形態としては、光学素子ブランクを機械加工して光学素子を作製する、光学素子の製造方法を挙げることができる。機械加工としては、切断、切削、粗研削、精研削、研磨等を例示できる。かかる製造方法は、球面レンズ、プリズム等の製造に好適である。
【実施例0065】
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
【0066】
[実施例No.1~No.197]
以下の表に示すガラス組成になるように、各成分を導入するための原料としてそれぞれ相当するリン酸塩、フッ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸等を用い、原料を秤量し、十分に混合して調合原料とした。以下の表中、「cat%」は「カチオン%」、「wt%」は「質量%」、「mol%」は「モル%」を示し、Sb含有量は、外割表示である。また、例えば「B3+/Si4+(cat%)」は、カチオン%表示のガラス組成におけるSi4+含有量に対するB3+含有量のカチオン比を示し、「B/SiO(wt%)」は、質量%表示のガラス組成におけるSiO含有量に対するB含有量の質量比を示す。以上の点は、以下の表中の各種カチオン比の表記および各種質量比の表記についても同様である。
この調合原料を白金製坩堝に入れ、1250~1350℃に設定された炉内で加熱し120分間熔融した。熔融ガラスを撹拌して均質化した後、熔融ガラスを予熱した鋳型に流し込み、ガラス転移温度付近まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラス転移温度程度の温度で約30分間保持した後、徐冷速度-30℃/時間で4時間徐冷し、その後炉内で室温まで放冷することにより、以下の表に示す実施例No.1~No.197の各光学ガラスを得た。以下の表に示す各光学ガラスのアニオン成分については、O2-含有量が100アニオン%である。
【0067】
<物性評価>
以下の表に示す各光学ガラスの諸物性は、下記方法により測定した。
【0068】
(1)屈折率ndアッベ数νd
各光学ガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率ndおよびアッベ数νdを測定した。
以下の表に、各光学ガラスについて、式(1)の右辺の算出値および式(2)の右辺の算出値を示し、各式を満たす場合、「判定」の欄に「〇」を示す。
【0069】
(2)ガラス転移温度Tg
ガラスを乳鉢で十分粉砕したものを試料とし、試料容器として白金製のセルを使用し、NETZSCH JAPAN社製の示差走査熱量分析装置(DSC3300SA)によって、昇温速度を10℃/分にしてガラス転移温度Tgを測定した。
【0070】
(3)比重
アルキメデス法により比重を測定した。
【0071】
(4)液相温度LT
先に記載した方法により液相温度LTを測定した。
【0072】
(4)着色度λ、λ70、λ80
互いに対向する2つの光学研磨された平面を有する厚さ10±0.1mmのガラス試料を用い、分光光度計により、分光透過率T(%)を測定した。Tが5%になる波長(nm)をλとし、Tが70%になる波長(nm)をλ70とし、Tが80%になる波長(nm)をλ80とした。
【0073】
以上の結果を、以下の表に示す。
【0074】
【表2-1】
【0075】
【表2-2】
【0076】
【表2-3】
【0077】
【表2-4】
【0078】
【表2-5】
【0079】
【表2-6】
【0080】
【表2-7】
【0081】
【表2-8】
【0082】
【表2-9】
【0083】
【表2-10】
【0084】
【表2-11】
【0085】
【表2-12】
【0086】
【表2-13】
【0087】
【表3-1】
【0088】
【表3-2】
【0089】
【表3-3】
【0090】
【表3-4】
【0091】
【表3-5】
【0092】
【表3-6】
【0093】
【表3-7】
【0094】
【表3-8】
【0095】
【表3-9】
【0096】
【表3-10】
【0097】
【表3-11】
【0098】
【表3-12】
【0099】
【表3-13】
【0100】
【表4-1】
【0101】
【表4-2】
【0102】
【表4-3】
【0103】
【表4-4】
【0104】
【表4-5】
【0105】
【表4-6】
【0106】
【表4-7】
【0107】
【表4-8】
【0108】
【表4-9】
【0109】
【表4-10】
【0110】
【表4-11】
【0111】
【表4-12】
【0112】
【表4-13】
【0113】
[精密プレス成形用プリフォームの作製]
上記実施例のそれぞれについて、上記の表に示すガラス組成になるように、各成分を導入するための原料としてそれぞれ相当する硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸等を用い、原料を秤量し、十分に混合して調合原料とした。
比較例1として、特許文献1(特開2008-201661号公報)の表1に示されている実施例10のガラス組成になるように、各成分を導入するための原料としてそれぞれ相当する硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸等を用い、原料を秤量し、十分に混合して調合原料とした。
比較例2として、特許文献1(特開2008-201661号公報)の表1に示されている実施例34のガラス組成になるように、各成分を導入するための原料としてそれぞれ相当する硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸等を用い、原料を秤量し、十分に混合して調合原料とした。
プリフォームの作製例(作製例1)を一つ説明する。調合原料を白金製坩堝に入れ、加熱、熔融した。清澄、均質化した熔融ガラスを、ガラスが失透することなく、安定した流出が可能な温度域に温度調整された白金合金製のパイプから一定流量で流出し、滴下または降下切断法にて目的とするプリフォームの質量の熔融ガラス塊に分離する。分離した熔融ガラス塊を、ガス噴出口を底部に有する型で受け、ガス噴出口からガスを噴出してガラス塊を浮上させながら精密プレス成形用プリフォームを成形する。熔融ガラス塊の分離間隔を調整、設定することによって、扁平球状プリフォームを得る。
プリフォーム作製例(作製例2)のもう一つとしては、調合原料を熔融して得た均質な熔融ガラスを鋳型に鋳込んで成形した後、得られた成形体の歪をアニールによって除去し、切断または割断して、所定の寸法、形状に分割し、複数個のガラス片を作製し、ガラス片を研磨して表面を滑らかにするとともに、所定の質量のガラスからなるプリフォームとする方法がある。
上記実施例および上記比較例について、作製例2によって精密プレス成形用プリフォームを作製した。
【0114】
[離型膜の劣化評価実験]
上記実施例および上記比較例のそれぞれについて、作製したプリフォーム表面に炭素含有膜をコートし、窒素雰囲気中で加熱を行った。具体的には、炉内を真空引きした後、約0.2MPaになるように窒素導入を行い、ガラスが2.510poise程度の粘度になるような温度で360sec加熱を行った。昇温は室温から25℃/min、降温は20℃/minで行った。
上記加熱後、各プリフォームの表面に炭素含有膜が残存しているかを、プリフォーム表面についてSEM-EDX(Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectrometry)にて加速電圧3~25kVで測定を行い、炭素の有無を確認することによって評価した。
上記実験の結果、上記実施例では、いずれもプリフォーム表面に炭素含有膜が残存していることが確認された。これに対し、比較例1および比較例2では、プリフォーム表面に炭素含有膜が残存していないことが確認された。比較例1のプリフォームを構成するガラスは、質量%表示のガラス組成におけるTiO含有量が0.83質量%のガラスである(特許文献1(特開2008-201661号公報)の表1参照)。比較例2のプリフォームを構成するガラスのガラス転移温度は610℃である(特許文献1(特開2008-201661号公報)の表1参照)。
以上の結果より、上記実施例のように、TiO含有量が0.6質量%以下であり、かつガラス転移温度が610℃未満のガラスによれば、離型膜の劣化を防ぐことができることが確認できる。
【0115】
上記実験と精密プレス適性との相関を確認するために、上記実施例および上記比較例で作製したプリフォームの表面に炭素含有膜をコートし、成形面に炭素含有離型膜を設けたSiC製の上下型および胴型を含むプレス成形型内に導入し、窒素雰囲気中で成形型とプリフォームを一緒に加熱してプリフォームを軟化し、精密プレス成形して、φ30mm、光軸方向の肉厚4mmの非球面両凸レンズを作製した。
上記実施例で精密プレスを行った際には、150ショットを超えても離型膜の劣化は確認されず、量産性は良好であった。これに対し、上記比較例で精密プレスを100ショット行うと離型膜の劣化が著しく、その結果、成形型の破損やレンズ形状・外観の不良等を引き起こし、量産性に乏しいという結果になった。
以上の結果から、上記実施例のガラスによれば、精密プレスにおいて優れた量産性を得ることができることが確認された。更には、上記実施例のガラスによれば、φ30mmを超える大口径レンズや光軸方向の肉厚が4mmを超えるレンズ(より好ましくは最大肉厚が5mmを超えるレンズ)、複雑な形状を持つレンズ等も高い量産性のもと作製することができる。
【0116】
最後に、前述の各態様を総括する。
【0117】
[1]質量%表示のガラス組成において、
LiO含有量が0質量%超、
含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、
SiO含有量が0質量%超8.00質量%以下、
La含有量が15.00質量%以上55.00質量%以下、
ZnO含有量が3.00質量%以上30.00質量%以下、
TiO含有量が0.60質量%以下、
LiOとZnOとの合計含有量(LiO+ZnO)が10.20質量%以上、
LiO含有量に対するB含有量の質量比(B/LiO)が5.00以上21.00以下、
LiO含有量に対するSiO含有量の質量比(SiO/LiO)が10.00以下、
であり、
ガラス転移温度Tgが610℃未満、
液相温度LTが1090℃以上、
屈折率ndとガラス転移温度Tgが下記式(1)を満たし、かつ屈折率ndとアッベ数νdが下記式(2)を満たす光学ガラス。
式(1):Tg<2500*nd-4050
式(2):νd>-88.355*nd+201
[2]カチオン%表示のガラス組成において、Si4+含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/Si4+)が1.25以上11.00以下である、[1]に記載の光学ガラス。
[3]質量%表示のガラス組成において、SiOとBとの合計含有量に対するNb、TiOおよびWOの合計含有量の質量比(Nb+TiO+WO)/(SiO+B)が0.40以上1.60以下である、[1]または[2]に記載の光学ガラス。
[4]質量%表示のガラス組成において、WO含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/WO)が0.10以上5.00以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の光学ガラス。
[5]質量%表示のガラス組成において、La、Gd、YおよびLuの合計含有量に対するLu含有量の質量比(Lu/(La+Gd+Y+Lu))が0.50以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の光学ガラス。
[6]カチオン%表示のガラス組成において、Li含有量が0.50カチオン%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の光学ガラス。
[7]屈折率ndが1.8600以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の光学ガラス。
[8]アッベ数νdが34.0以上40.0以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の光学ガラス。
[9]
質量%表示のガラス組成において、
SiOとBとの合計含有量に対するNb、TiOおよびWOの合計含有量の質量比(Nb+TiO+WO)/(SiO+B)が0.40以上1.60以下であり、
WO含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/WO)が0.10以上5.00以下であり、
La、Gd、YおよびLuの合計含有量に対するLu含有量の質量比(Lu/(La+Gd+Y+Lu))が0.50以下であり、
カチオン%表示のガラス組成において、
Si4+含有量に対するB3+含有量のカチオン比(B3+/Si4+)が1.25以上11.00以下であり、
Li含有量が0.50カチオン%以上であり、
屈折率ndが1.8600以上であり、かつ
アッベ数νdが34.0以上40.0以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
【0118】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを得ることができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
図1