(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025659
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】パーツ供給体
(51)【国際特許分類】
A63H 9/00 20060101AFI20240216BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20240216BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20240216BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A63H9/00 Q
B29C45/26
B29C45/00
A63H9/00 Z
A63H33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098693
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2022129078
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592013174
【氏名又は名称】大英エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100135862
【弁理士】
【氏名又は名称】金木 章郎
(72)【発明者】
【氏名】米田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】杉田 直也
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】北郷 和英
【テーマコード(参考)】
2C150
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
2C150AA23
2C150CA06
2C150FA35
2C150FA41
2C150FB26
2C150FB27
2C150FB43
2C150FD22
4F202AB13
4F202AH59
4F202AR07
4F202AR13
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK02
4F202CK28
4F206AB13
4F206AE03
4F206AH59
4F206JA07
4F206JF01
4F206JF02
4F206JL02
4F206JQ81
4F206JW34
(57)【要約】
【課題】 パーツがパーツ供給体に保持された状態で、一括してかつ的確な加工処理ができるパーツ供給体を提供する。
【解決手段】 パターン導体が形成される少なくとも1つのパーツと、
前記パーツを一定の位置に保持する枠体と、
一定の形態を有し、識別情報が存在せず、前記パーツから離隔した位置に配置された基準位置提供部と、を備え、
非導電性金属化合物を含む樹脂成形品からなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン導体が形成される少なくとも1つのパーツと、
前記パーツを一定の位置に保持する枠体と、
一定の形態を有し、識別情報が存在せず、前記パーツから離隔した位置に配置された基準位置提供部と、を備え、
非導電性金属化合物を含む樹脂成形品からなるパーツ供給体。
【請求項2】
前記非導電性金属化合物に基づいて生成された事前処理領域であって、前記パターン導体を形成するための事前処理領域を有する、請求項1に記載のパーツ供給体。
【請求項3】
前記事前処理領域に応じて形成された前記パターン導体を有する、請求項2に記載のパーツ供給体。
【請求項4】
前記パターン導体を保護する保護体を有する、請求項3に記載のパーツ供給体。
【請求項5】
前記保護体が存在しない前記パターン導体に電気的に接続された電子部品を有する、請求項4に記載のパーツ供給体。
【請求項6】
前記基準位置提供部は、互いに向かい合わせになる第1の面及び第2の面を有し、
前記第1の面及び前記第2の面は、識別情報が存在しない識別情報不在領域からなる、請求項1に記載のパーツ供給体。
【請求項7】
前記第1の面の法線の方向及び前記第2の面の法線の方向は、前記枠体が延在する面に対して垂直な方向である、請求項6に記載のパーツ供給体。
【請求項8】
前記枠体は、前記枠体を保持するための係合保持部であって、前記枠体から延出する係合保持部をさらに備える、請求項1に記載のパーツ供給体。
【請求項9】
前記係合保持部は、前記枠体が延在する面に対して平行な方向に延在する、請求項8に記載のパーツ供給体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て前の状態のパーツを供給するパーツ供給体に関する。特に、組み立て前の状態の複数のパーツを一体にした状態で供給するパーツ供給体に関する。
【背景技術】
【0002】
パーツ供給体は、組み立て前の複数のパーツを一定の位置に保持して一体にした状態にして提供する部材である。複数のパーツをパーツ供給体の枠体などから取り外して、パーツを組み立てることで、所望する完成品を作る。組み立て作業のため、パーツ供給体は、パーツの各々を識別するためのパーツ番号などの識別情報を、パーツの各々に対応付けて枠体に有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、パーツ供給体は、パーツを識別するための識別情報を有する。識別情報は、組み立て作業を行う作業者が視認するための情報である。作業者は、識別情報を知覚することで、類似した形状や大きさや色を有するパーツを区別でき、混同することなく的確に組み立て作業を行うことが可能となる。
【0005】
パーツがパーツ供給体に保持された状態では、パーツは、ゲートと称される細い部材によって枠体に連結されている。パーツに対して様々な複数の加工処理をする場合もある。例えば、パーツを単に形成するだけでなく、パーツに電子部品を設けるような場合には、レーザー処理及びめっき処理によって、パーツ上に導電性の配線部を形成する必要も生ずる。さらに、不用意に電気的接触が生じないように、絶縁性の部材を設ける必要が生ずる場合もある。このような場合に、先に、パーツを枠体から取り外した後に、これらの加工処理をすると、複数のパーツの各々に対して別個に処理をする必要があり、煩雑な作業とならざるを得ない。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものである。その目的は、パーツに対して様々な複数の加工処理をする場合であっても、パーツがパーツ供給体に保持された状態で一括してかつ的確な加工処理ができるパーツ供給体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるパーツ供給体の特徴は、
パターン導体が形成される少なくとも1つのパーツと、
前記パーツを一定の位置に保持する枠体と、
一定の形態を有し、識別情報が存在せず、前記パーツから離隔した位置に配置された基準位置提供部と、を備え、
非導電性金属化合物を含む樹脂成形品からなることである。
【発明の効果】
【0008】
パーツがパーツ供給体に保持された状態で、一括してかつ的確な加工処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態によるパターン導体180が形成されたパーツ供給体100を示す斜視図である。
【
図2】未加工のパーツ供給体100を示す正面図である。
【
図3】未加工のパーツ供給体100を示す側面図である。
【
図4】パーツ130に形成されるパターン導体180と基準位置提供部160との相対的な位置を示す正面図である。
【
図5】パーツ130に事前処理領域170が形成されたパーツ供給体100を示す正面図である。
【
図6】パーツ130にパターン導体180が形成されたパーツ供給体100を示す正面図である。
【
図7】レジスト塗布領域190及びレジスト剥離領域195D、195F1、195F2、195F3を有するパーツ供給体100を示す正面図である。
【
図8】電子部品EPを取り付けた状態のパーツ供給体100を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<<<<本実施の形態の概要>>>>
<<第1の特徴>>
第1の特徴によれば、
パターン導体(例えば、後述するパターン導体180など)が形成される少なくとも1つのパーツ(例えば、後述するパーツ130など)と、
前記パーツを一定の位置に保持する枠体(例えば、後述する枠状ランナー110や枝状ランナー120など)と、
前記パターン導体の位置を決定するための基準位置提供部であって、一定の形態を有し、識別情報が存在しない識別情報不在領域からなり、前記パーツから離隔した位置に配置された基準位置提供部(例えば、後述する基準位置提供部160など)と、を備え、
非導電性金属化合物を含む樹脂成形品からなるパーツ供給体が提供される。
【0011】
パーツ供給体は、少なくとも1つのパーツと、枠体と、基準位置提供部とを備える。
【0012】
パーツは、完成品を構成する部品である。パーツを組み立てることで完成品MAを作ることができる。完成品MAの組み立ては、手作業でもロボットなどの機械によるものでもよい。
【0013】
パターン導体は、パーツの表面に形成することができる。パターン導体は、まだ、パーツの表面に形成されていない。パターン導体が、パーツの表面に形成されることが可能な状態であればよい。各種の処理を施すことによって、パターン導体がパーツに形成される。各種の処理は、パーツに対して、まだ施されていない。
【0014】
枠体は、パーツを一定の位置に保持する。パーツは、枠体に一体に形成されている。パーツが枠体から容易に切り離すことができるように構成されているのが好ましい。
【0015】
基準位置提供部は、パーツの位置や、パーツに対するパターン導体の位置を決定するための部分である。例えば、パーツがパーツ供給体に保持された状態で、パーツの相対的な位置や、パターン導体の相対的な位置を決定するための部分や箇所である。
【0016】
基準位置提供部は、一定の形態を有する。形態は、基準位置提供部の外見や様子や体裁や見かけであればよい。例えば、形態は、基準位置提供部の形状や大きさや表面の状態や仕上げなどである。
【0017】
例えば、複数の基準位置提供部を有する場合には、複数の基準位置提供部は、互いに同じ形態を有する。すなわち、複数の基準位置提供部は、互いに同じ形状や大きさや表面の状態や仕上げなどを有する。なお、製造の際に生じ得る公差程度の相違は、基準位置提供部の対象とせず、公差程度の相違は同一の範囲に含まれる。
【0018】
基準位置提供部は、識別情報が存在しない識別情報不在領域からなる。識別情報は、文字情報や記号や目印など情報をいう。人の視認によるものでも、カメラなどの撮像によるものでも、触針などの機械的なものなどのいずれの識別方法であっても、基準位置提供部は、基準位置提供部自身に識別できる部位を有しない。前述した公差程度の相違は、識別情報に含まれない。なお、カメラなどによる撮像の結果などから得られる基準位置提供部の位置の情報によって、複数の基準位置提供部を互いに識別することが可能とはなるが、基準位置提供部自体には、基準位置提供部自身を識別するための識別情報を有しない。
【0019】
基準位置提供部は、パーツから離隔した位置に配置されている。パーツは、基準位置提供部によって占められる部分や領域を有しない。パーツに形成するパターン導体の形状や、パーツ上における位置などの自由度を高めることができる。
【0020】
基準位置提供部を目安にして、パーツの位置を特定し、パーツに形成するパターン導体の位置を決定することができる。
【0021】
パーツ供給体は、樹脂成形品からなる。すなわち、パーツ供給体は、樹脂によって成形される。樹脂成形品は、非導電性金属化合物を含む。樹脂成形品に非導電性金属化合物を含めることによって、例えば、レーザー光の照射などにより、非導電性金属化合物から金属核を生じさせることができる。なお、レーザー光の照射だけでなく、非導電性金属化合物から金属核を生じさせることができればよい。
【0022】
<<第2の特徴>>
第2の特徴は、第1の特徴において、
前記非導電性金属化合物に基づいて生成された事前処理領域であって、前記パターン導体を形成するための事前処理領域(例えば、後述する事前処理領域170など)を有する。
【0023】
樹脂成形品に含まれる非導電性金属化合物から金属核を生じさせることによって、事前処理領域を形成することができる。事前処理領域が、パターン導体を形成するための領域となる。
【0024】
<<第3の特徴>>
第3の特徴は、第2の特徴において、
前記事前処理領域に応じて形成された前記パターン導体を有する。
【0025】
例えば、めっき処理などをすることにより、事前処理領域に応じて、事前処理領域と略同じ位置に略同じ大きさを有するパターン導体を形成する。めっき処理だけでなく、事前処理領域に応じてパターン導体を形成できる処理であればよい。また、パターン導体は、事前処理領域と略同じ位置における略同じ大きさを有するものでなくてもよい。事前処理領域に含まれる領域内に所定の大きさのパターン導体が形成されればよい。
【0026】
<<第4の特徴>>
第4の特徴は、第3の特徴において、
前記パターン導体を保護する保護体(例えば、後述するレジストなど)を有する。
【0027】
パターン導体を保護体によって保護することで、保護領域(例えば、後述するレジスト塗布領域190など)が形成され、保護領域内において、パターン導体が、他のパターン導体や他の部品などと不用意に電気的に接触することを防止することができる。
【0028】
<<第5の特徴>>
第5の特徴は、第4の特徴において、
前記保護体が存在しない前記パターン導体(例えば、後述するレジスト剥離領域195D、195F1、195F2、195F3におけるパターン導体180など)に電気的に接続された電子部品(例えば、後述する電子部品EPなど)を有する。
【0029】
電子部品をパターン導体に安定して電気的に接続させることができる。
【0030】
<<第6の特徴>>
第6の特徴は、第1の特徴において、
前記基準位置提供部は、互いに向かい合わせになる第1の面及び第2の面(例えば、後述する+X側の面や-X側の面など)を有し、
前記第1の面及び前記第2の面は、識別情報が存在しない識別情報不在領域からなる。
【0031】
+X側から基準位置提供部の第1の面を検出することができ、-X側から基準位置提供部の第2の面を検出することができる。
【0032】
<<第7の特徴>>
第7の特徴は、第6の特徴において、
前記第1の面の法線の方向及び前記第2の面の法線の方向は、前記枠体が延在する面(例えば、後述する枠状ランナー110の延在面XPなど)に対して垂直な方向(例えば、後述する+X方向や-方向など)である。
【0033】
第1の面を検出して、第1の面側のパーツの領域にパターン導体を形成することができ、第2の面を検出して、第2の面側のパーツの領域にパターン導体を形成することができる。
【0034】
<<第8の特徴>>
第8の特徴は、第1の特徴において、
複数の前記基準位置提供部が前記枠体に配置され、
複数の前記基準位置提供部のうちの少なくとも2つの前記基準位置提供部を用いて、一の前記パーツに形成する前記パターン導体の位置を決定する。
【0035】
少なくとも2つの基準位置提供部を用いることによって、枠体上のパーツの相対位置をより的確に特定することができ、枠体にパーツが設けられている状態で、パターン導体をパーツの所望する位置に形成することができる。なお、3つ以上の前記基準位置提供部を用いることによって、精度を高めてパターン導体の位置を決定することができる。
【0036】
<<第9の特徴>>
第9の特徴は、第1の特徴において、
前記枠体は、前記枠体を保持するための係合保持部であって、前記枠体から延出する係合保持部をさらに備える。
【0037】
係合保持部を治具などに係合させることで、一定の位置にパーツ供給体を保持させることができる。係合保持部を枠体から延出させたことで、枠体に一体に形成されているパーツを治具と干渉しにくくでき、パターン導体の形成などの処理を安定して実行することができる。
【0038】
<<第10の特徴>>
第10の特徴は、第9の特徴において、
前記係合保持部は、前記枠体が延在する面に対して平行な方向に延在する。
【0039】
係合保持部に妨げられることなく、枠体に一体に設けられているパーツに対して円滑に処理をすることができる。
【0040】
<<<<本実施の形態の詳細>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施の形態によるパターン導体180が形成されたパーツ供給体100を示す斜視図である。
図2は、未加工のパーツ供給体100を示す正面図である。
図3は、未加工のパーツ供給体100を示す側面図である。
図4は、パーツ130に形成されるパターン導体180と基準位置提供部160との相対的な位置を示す正面図である。
図5は、パーツ130に事前処理領域170が形成されたパーツ供給体100を示す正面図である。なお、本実施の形態では、+X側からパーツ供給体100を視認したときを正面と称する。
【0041】
なお、
図1、
図2、
図4、
図5、
図6、
図7及び
図8は、主に、パーツ供給体100の+X側の構成を示すが、パーツ供給体100の-X側(裏側)も同様の構成を有する。また、後述するように、パーツ130は、ゲートを介して枠状ランナー110や枝状ランナー120に接続されているが、明瞭のため、
図1、
図2、
図5、
図6、
図7及び
図8では、ゲートを省略して示した。
【0042】
<<<方向等>>>
以下に、本明細書で使用する方向などについて説明する。
【0043】
<<+X面、+X方向、-X面、-X方向>>
+X面や+X方向は、前面や表面や前方向や表方向を意味する。-X面や-X方向は、+X面や+X方向に対して反対側の面や反対に向かう方向である。-X面は、後面や裏面や後方向や裏方向を意味する。また、厚さ方向や水平方向は、±X方向と同義である。なお、パーツ130の構造や内容によっては、前又は後や、表又は裏を区別できないものもある。前又は後や、表又は裏という表現は、主従を示すものではなく、いずれか一方を基準にした場合に、側や面を便宜的に区別するための名称に過ぎない。
【0044】
<<+Y面、+Y方向、-Y面、-Y方向>>
+Y面や+Y方向は、右面や右方向を意味する。-Y面や-Y方向は、+Y面や+Y方向に対して反対側の面や反対に向かう方向である。-Y面は、左面や左方向を意味する。また、幅方向は、±Y方向と同義である。なお、パーツ130の構造や内容によっては、右又は左を区別できないものもある。右又は左という表現は、絶対的な方向を示すものではなく、いずれか一方を基準にした場合に、側や面を便宜的に区別するための名称に過ぎない。
【0045】
<<+Z面、+Z方向、-Z面、-Z方向>>
+Z面や+Z方向は、上面や上方向を意味する。-Z面や-Z方向は、+Z面や+Z方向に対して反対側の面や反対に向かう方向である。-Z面は、下面や下方向を意味する。また、高さ方向や鉛直方向は、±Z方向と同義である。なお、パーツ130の構造や内容によっては、上又は下を区別できないものもある。上又は下という表現は、絶対的な方向を示すものではなく、いずれか一方を基準にした場合に、側や面を便宜的に区別するための名称に過ぎない。
【0046】
<<内側、内方向>>
内側や内方向は、後述する枠状ランナー110を境にして、枠状ランナー110によって周回されたり囲繞されたりする領域に向かう側や方向である。
【0047】
<<外側、外方向>>
枠状ランナー110を境にして、枠状ランナー110から離隔する側や方向である。
【0048】
<<事前処理領域170及びパターン導体180>>
事前処理領域170は、パーツ130の表面の所定の領域にレーザー光を照射して金属核を生じさせて形成できるパターンである。事前処理領域170は、パーツ130の表面にパターン導体180を形成するために、パーツ130の表面に予め形成するパターンである。パーツ130の表面に事前処理領域170を形成した後に、めっき処理などの処理を施すことにより、事前処理領域170を形成した領域にパターン導体180が形成される。パターン導体180は、電子回路や電気回路として十分な導電性を有するパターンである。パターン導体180は、いわゆる配線パターンと同義である。
【0049】
<<<パーツ供給体100の構造>>>
パーツ供給体100は、少なくとも1つのパーツ130を一定の位置に保持する。パーツ供給体100に複数のパーツ130が保持されている場合には、パーツ供給体100から複数のパーツ130を切り離して組み立てることによって、完成品MA(図示せず)が形成される。
【0050】
パーツ供給体100は、
枠状ランナー110と、
枝状ランナー120と、
パーツ130と、
係合保持部150と、
基準位置提供部160と、
を有する。
【0051】
<<枠状ランナー110>>
枠状ランナー110は、パーツ130を保持するための枠体である。パーツ130は、ゲート(後述)を介して枠状ランナー110に接続されている。枠状ランナー110によって、パーツ供給体100の輪郭や外形が画定される。
【0052】
本実施の形態では、枠状ランナー110によって占められる領域は、略長方形状の形状を有する。枠状ランナー110の占有領域の形状及び大きさは、保持するパーツ130の数や形状や大きさなどによって、適宜に定めればよい。
【0053】
枠状ランナー110は、長尺な柱状体からなる。枠状ランナー110の断面は、略円状の形状を有する。枠状ランナー110は、所定の太さ(直径)を有する。枠状ランナー110の太さは、パーツ供給体100が一定の形状を保つことができる太さであればよい。枠状ランナー110の太さは、保持するパーツ130の数や形状や大きさなどに応じて、パーツ供給体100の強度が維持できるように適宜に定めればよい。枠状ランナー110の太さは、一定であるのが好ましい。
【0054】
<枠状ランナー110の延在面XP>
枠状ランナー110が延在する領域によって延在面XPが画定される(
図3参照)。延在面XPは、XY平面に沿って延在する面である。XY平面は、±X方向及び±Y方向に延在する平面である。
【0055】
<枠状ランナー110の法線+n及び-n>
枠状ランナー110の法線+n及び-nは、枠状ランナー110の延在面XPと直交する直線である。本実施の形態では、法線+nの方向は、+X方向であり、法線-nの方向は、-X方向である。
【0056】
<<枝状ランナー120>>
枝状ランナー120は、パーツ130を保持するための枠体である。パーツ130は、ゲート(後述)を介して枝状ランナー120に接続されている。主ランナーである枠状ランナー110に対して、枝状ランナー120は、副ランナーとして機能する。
【0057】
枝状ランナー120は、所定の長さを有する柱状体からなる。枝状ランナー120は、枠状ランナー110から延出しても、他の枝状ランナー120から延出してもよい。パーツ130を保持可能に延在すればよい。
【0058】
枝状ランナー120の断面は、略円状の形状を有する。枝状ランナー120は、長手方向に沿って、直線状の形状や、湾曲した形状や、屈曲した形状などを有する。保持するパーツ130の形状や大きさなどに応じて適宜に定めることができる。
【0059】
枝状ランナー120は、所定の太さ(直径)を有する。枝状ランナー120の太さは、パーツ130を安定して保持できる太さであればよい。枝状ランナー120の太さは、保持するパーツ130の数や形状や大きさなどに応じて、パーツ供給体100の強度が維持できるように適宜に定めればよい。
【0060】
枝状ランナー120の太さは、一定であるのが好ましい。枝状ランナー120の太さは、枠状ランナー110の太さよりも細い。枝状ランナー120は、枠状ランナー110によって支持されており、パーツ130を保持できる程度の太さであればよい。枝状ランナー120を細くすることで、枝状ランナー120を構成する材料の量を減らすことができ、パーツ供給体100を軽くできる。
【0061】
枝状ランナー120は、枠状ランナー110から延在面XPに沿って、内側に向かって延在する。枝状ランナー120は、パーツ130の大きさや形状に応じて適宜に設けられる。パーツ130は、枠状ランナー110だけでなく、枝状ランナー120によっても保持される。パーツ130は、枠状ランナー110及び枝状ランナー120によって周回される。
【0062】
<<ゲート(図示せず)>>
ゲートは、パーツ130と枠状ランナー110との間や、パーツ130と枝状ランナー120との間に設けられる。ゲートは、パーツ130と連結し、パーツ130を直接に保持する。ゲートは、柱状体からなる。ゲートの太さは、枝状ランナー120の太さや枠状ランナー110の太さよりも細い。ゲートの太さは、パーツ130を安定して保持できる太さであればよい。ゲートの太さは、枝状ランナー120や枠状ランナー110よりも細くすることで、パーツ130をゲートから切り離し易くできる。なお、前述したように、
図1、
図2、
図5、
図6、
図7及び
図8では、ゲートを省略して示した。
【0063】
<<パーツ130>>
パーツ130は、完成品MAを構成する部品である。パーツ130は、枠状ランナー110や枝状ランナー120から切り離し可能にゲートを介して連結される。
【0064】
パーツ供給体100は、少なくとも1つのパーツ130を有する。本実施の形態では、
図2に示すように、パーツ供給体100は、9個のパーツ130A~130Iを有する。なお、9個のパーツ130A~130Iの各々を区別する必要ない場合には、単にパーツ130と称する。
【0065】
パーツ供給体100に配置されるパーツ130の各々の形状、大きさ、数は、完成品MAの構造や、組み立ての容易さや簡便さなどほか、パーツ130に形成するパターン導体180の大きさや形状や位置などに応じて決定される。パターン導体180については、後述する。
【0066】
<<係合保持部150>>
枠状ランナー110は、少なくとも1つの係合保持部150を有する。本実施の形態では、枠状ランナー110は、4つの係合保持部150a~150dを有する。なお、特に区別する必要がない場合には、単に係合保持部150と称する。係合保持部150a~150dの各々は、枠状ランナー110の4隅の近くに設けられる。
【0067】
パーツ供給体100の係合保持部150は、パーツ供給体100に各種の処理をするときに、パーツ供給体100を治具(図示せず)の一定の位置に保持するための部分である。パーツ供給体100を一定の位置に安定して保持することにより、パーツ供給体100に対して的確に所望する処理をすることができる。特に、パーツ130の表面に各種の処理をする場合に、パーツ供給体100を一定の位置に保持することで、パーツ130の所望する位置の表面に的確に処理をすることができる。例えば、パーツ130の所望する位置の表面にレーザー光を照射することやソルダーレジスト等のコーティング材料を塗布することができる。
【0068】
係合保持部150は、+X側の面と-X側の面とを有する。+X側の面と-X側の面とは、互いに向かい合わせとなる。+X側の面は、+X方向(法線+nの方向)に向かい、-X側の面は、-X方向(法線-nの方向)に向かう。
【0069】
係合保持部150は、薄い板状の形状を有する。係合保持部150は、延在面XPに沿って、枠状ランナー110から延出する(
図3参照)。4つの係合保持部150のうちの2つの係合保持部150a及び150bは、+Z方向に延びる。第1の係合保持部対である係合保持部150a及び150bは、互いに平行に配置され同じ方向に延びる。4つの係合保持部150のうちの2つの係合保持部150c及び150dは、-Z方向に延びる。第2の係合保持部対である係合保持部150c及び150dは、互いに平行に配置され同じ方向に延びる。第1の係合保持部対(150a及び150b)と第2の係合保持部対(150c及び150d)とは、枠状ランナー110を挟んで配置され、互いに離れる方向(+Z方向及び-Z方向)に延びる。
【0070】
なお、2つの係合保持部150a及び150bを+Y方向に延びるように配置し、2つの係合保持部150c及び150dを-Y方向に延びるように配置してもよい。また、係合保持部150aを+Z方向に延びるように配置し、係合保持部150bを+Y方向に延びるように配置し、係合保持部150cを-Z方向に延びるように配置し、係合保持部150dを-Y方向に延びるように配置してもよい。4つの係合保持部150a~150dを、枠状ランナー110を挟んで、互いに離れる方向に配置することができる。
【0071】
複数の係合保持部150を用いて、パーツ供給体100を治具(図示せず)の一定の位置に保持できればよい。
【0072】
図3に示すように、係合保持部150は、延在面XP(XY平面)に対して対称に設けられている。パーツ供給体100を治具などに吊り下げたときに、+X方向又は-X方向のいずれか一方の方向に傾くことなくパーツ供給体100を治具などに設けることができる。すなわち、パーツ供給体100を鉛直方向に沿って延在させることができる。パーツ130の+X側の面を処理する場合にも、-X側の面を処理する場合にも、安定して同様に処理することができる。
【0073】
係合保持部150の厚さは、枠状ランナー110の太さよりも薄い。処理毎に異なる各種の治具の形状への取り付けなど、取り扱いを簡便にできる。
【0074】
係合保持部150が延在する長さは、治具などに応じて適宜に定めればよい。
【0075】
係合保持部150は、貫通孔152を有する。治具が、係合保持部150に対応する突起やフックなど(図示せず)を有する場合には、貫通孔152を介して突起やフックなどに係合保持部150を係合(掛止)させることができる。治具との着脱を容易にして、パーツ供給体100を治具に取り付けることができる。
【0076】
また、治具が、係合保持部150に対応するネジ穴などを有する場合には、貫通孔152を介してネジやボルトなど(図示せず)をネジ穴に螺合させて、パーツ供給体100を治具に取り付けることができる。このようにすることで、振動や衝撃などが生じた場合であっても、パーツ供給体100を治具の一定の位置に保持できる。
【0077】
治具が、貫通孔152を介して係合保持部150が係合できる係合部を有することで、パーツ供給体100を治具に着脱可能に設けることができる。
【0078】
係合保持部150の数は、4つに限られない。係合保持部150の形状は、薄い板状に限られない。係合保持部150の位置は、枠状ランナー110に限られない。係合保持部150の大きさは、同一に限られない。係合保持部150の数や形状や位置や大きさは、枠状ランナー110の形状や大きさのほか、パーツ130の配置や数や大きさや、処理の内容などに応じて適宜に定めればよい。
【0079】
係合保持部150に円形状の貫通孔152を設けた例を示したが、他の形状の貫通孔152を設けてもよい。また、貫通孔152の替わりに、係合保持部150にネジ山が形成されたネジ穴を設けてもよい。パーツ供給体100を治具に係合させて一定の位置に取り付けることができればよい。
【0080】
+Z方向に延在する2つの係合保持部150a及び150bと、-Z方向に延在する2つの係合保持部150c及び150dとを枠状ランナー110に設ける例を示したが、係合保持部150が延在する方向は、他の方向でもよい。パーツ130の形状や大きさや、処理をするための治具の構造などに応じて適宜に設ければよい。また、+Z方向と-X方向などのように、互いに異なる複数の方向に延在する複数の係合保持部150を設けてもよい。複数種類の治具ごとに利用可能な係合保持部150を用いることができる。
【0081】
なお、前述した例では、係合保持部150に貫通孔152を設けた構成を示したが、係合保持部150自体を突起状の形状にしたり、係合保持部150に突起を設けたりしてもよい。この場合には、治具側に貫通孔や凹部などを設け、パーツ供給体100の突起などと係合させる。パーツ供給体100を治具に係合させて取り付けることができればよい。突起が突出する方向は、治具の構造などに応じて定めればよい。
【0082】
係合保持部150は、貫通孔152を有しなくてもよい。例えば、治具が、クランプなどの挟持部材を有する場合には、挟持部材によって係合保持部150を挟持することで、パーツ供給体100を治具に保持することができる。
【0083】
<<基準位置提供部160>>
基準位置提供部160は、パーツ130がパーツ供給体100に保持された状態で、パーツ130の表面に形成する事前処理領域170の位置を決定するために用いる基準位置を提供する部分である。基準位置提供部160は、パーツ130を識別するための機能を有しない。基準位置提供部160は、パーツ130を識別したり区別したりするための文字情報や各種記号などの視認可能な識別情報を有しない。基準位置提供部160は、識別情報が存在しない識別情報不在領域によって形成される。
【0084】
基準位置提供部160は、略円板状の形状を有する。基準位置提供部160は、基準位置を提供するための一定の形状を有する部分や領域である。後述するように、基準位置提供部160は、カメラなどの撮像装置によって撮像される。例えば、撮像データから略円状の基準位置提供部160の中心の位置が取得されて基準位置として利用される。基準位置は、基準位置提供部160の中心である必要はなく、基準位置として利用できる箇所であればよい。前述したように、基準位置提供部160は識別情報を有さず、撮像データから基準位置提供部160の識別情報を取得することはない。
【0085】
基準位置提供部160は、+X側の面と-X側の面とを有する。+X側の面と-X側の面とは、互いに向かい合わせとなる。+X側の面は、+X方向(法線+nの方向)に向かい、-X側の面は、-X方向(法線-nの方向)に向かう。+X側の面も-X側の面も略円状の形状を有する。+X側の面も-X側の面も同じ形状で同じ大きさを有する。+X側に設けられている撮像装置(図示せず)から基準位置提供部160の+X側の面を撮像して基準位置提供部160の位置を取得できるとともに、-X側に設けられている撮像装置(図示せず)から基準位置提供部160の-X側の面を撮像して基準位置提供部160の位置を取得できる。基準位置提供部160の+X側の面を用いるときには、パーツ130の+X側の表面にレーザー光を照射することができる。基準位置提供部160の-X側の面を用いるときには、パーツ130の-X側の表面にレーザー光を照射することができる。
【0086】
後述するように、パーツ供給体100は、複数の基準位置提供部160を有する。複数の基準位置提供部160の各々は、同じ形状及び同じ大きさ(同じ直径及び厚さ)を有する。なお、異なる形状や異なる大きさの基準位置提供部160が混在してもよい。事前に基準位置提供部160の形状や大きさを登録しておくことによって、基準位置提供部として認識させることができる。例えば、基準位置提供部160の形状は、円板型、三角板型、四角板型、多角板型など、各種の互いに異なる形状にすることができる。基準位置提供部160の形状や大きさは、カメラなどの撮像装置によって撮像でき、画像処理などによって、輪郭を抽出して、最終的に基準位置提供部160の位置を特定できる形状や大きさであればよい。
【0087】
基準位置提供部160の形状は、近接するパーツ130や、枠状ランナー110や、枝状ランナー120などに応じて適宜に選択すればよい。具体的には、近接するパーツ130や、枠状ランナー110や、枝状ランナー120などとの距離や、パーツ130の形状(輪郭)などの抽出(分離)の容易性などに応じて、画像処理などで基準位置提供部160の輪郭を的確に抽出できる形状を選択すればよい。
【0088】
異なる形状や大きさの基準位置提供部160を用いることによって、以下のように、使い分けることができる。
【0089】
(1)互いに異なる複数の事前処理領域170を一のパーツ130にレーザー照射処理で形成する場合
例えば、事前処理領域170α(図示せず)を一のパーツ130に形成する場合には、円板型の基準位置提供部160の位置を取得し、事前処理領域170β(図示せず)を一のパーツ130に形成する場合には、三角板型の基準位置提供部160の位置を取得する。パーツ130の形状や大きさや、事前処理領域170α及び170βの形状や大きさや、パーツ130における事前処理領域170α及び170βの位置などに応じて、輪郭を的確に抽出できる形状の基準位置提供部160を用いればよい。
【0090】
(2)互いに異なる工程ごとで使い分ける場合
レーザー照射処理で事前処理領域170を形成するときには、円板型の基準位置提供部
160の位置を取得し、ソルダーレジストをディスペンサー塗布する処理(レジスト塗布処理)では、四角板型の基準位置提供部160の位置を取得する。工程ごとの環境や撮像装置などの使用機器などに応じて、異なる形状や大きさの基準位置提供部160を使い分ければよい。
【0091】
(3)パーツ供給体100の向きを特定する場合
パーツ130の形状が、±X方向、±Y方向、±Z方向の各々について対称であり、パーツ供給体100の向きを特定する必要があるときには、一のパーツ供給体100における異なる形状や大きさの基準位置提供部160の配置順や並びなどによって、パーツ供給体100の向きを決定することができる。
【0092】
前述したように、基準位置提供部160は、識別情報不在領域からなる構造を有する。複数の基準位置提供部160の各々は、互いに識別するための情報を有しない。なお、異なる形状や異なる大きさの基準位置提供部160が混在しても、基準位置提供部160は、パーツ130を識別するための機能を有しない。例えば、一のパーツ供給体100において、基準位置提供部160の種類の数は、パーツ130の数よりも少なく、パーツ130の各々を識別することはできない。
【0093】
基準位置提供部160は、パーツ130の位置を特定できる基準位置を提供できる構造を有すればよい。基準位置提供部160は、パーツ130の位置を特定し、パーツ130の表面に形成する事前処理領域170の位置を決定できる構造を有すればよい。
【0094】
<レーザー照射装置>
事前処理領域170は、レーザー照射装置(図示せず)からレーザー光をパーツ130の表面に照射することで形成される。レーザー照射装置は、レーザー光を発する光源を有する。
【0095】
レーザー照射装置は、基準位置提供部160を撮像するためのカメラなどの撮像装置(図示せず)も有する。レーザー照射装置は、基準位置提供部160を撮像装置で撮像し、撮像データから基準位置提供部160の位置を検出する。
【0096】
レーザー照射装置は、事前処理領域170(パターン導体180)のパターンデータが記憶された記憶装置(図示せず)を有する。パターンデータは、事前処理領域170(パターン導体180)をパーツ130の表面に形成するために必要な位置情報の集合である。なお、パターン導体180は、事前処理領域170を形成した後に、めっき処理によって形成されるので、パターン導体180を形成するときには、パターンデータを直接に使用するものではない。しかし、パターンデータは、パターン導体180を形成するために必要なデータであり、パターン導体180のパターンデータなどのように称してもよい。
【0097】
パターンデータは、パーツ130に対応する基準位置提供部160からの相対的な位置情報の集合である。例えば、パターンデータは、複数の基準位置提供部160の重心位置に対する位置情報などにすることができる。パターンデータは、ベクトルデータでも、ラスタデータでも、他の形式でもよい。パターンデータは、事前処理領域170をパーツ130の表面に形成するために必要な情報であればよい。
【0098】
<7個の基準位置提供部160a~160g>
パーツ供給体100は、少なくとも2つの基準位置提供部160を有する。少なくとも2つの基準位置提供部160を用いることにより、二次元平面内(XY平面内など)におけるパーツ130に対する事前処理領域170(パターン導体180)の位置を一義的に決定することができる。本実施の形態では、
図2に示すように、パーツ供給体100は、7個の基準位置提供部160a~160gを有する。7個の基準位置提供部160a~160gを区別する必要がない場合には、単に基準位置提供部160と称する。
【0099】
7個の基準位置提供部160a~160gは、パーツ供給体100の全体に亘って±Y方向及び±Z方向に分散して配置される。
【0100】
具体的には、7個の基準位置提供部160a~160gのうちの5個の基準位置提供部160a、160b、160e、160f、160gは、枠状ランナー110に設けられている。より具体的には、基準位置提供部160a、160b、160e、160f、160gは、枠状ランナー110と枝状ランナー120とが連結する部分に設けられている。
【0101】
基準位置提供部160aは、+Z側の枠状ランナー110に設けられている。基準位置提供部160gは、-Z側の枠状ランナー110に設けられている。基準位置提供部160fは、+Y側の枠状ランナー110に設けられている。基準位置提供部160b及び160eは、-Y側の枠状ランナー110に設けられている。このように、5個の基準位置提供部160a、160b、160e、160f、160gは、枠状ランナー110の一部分に偏在することなく分散して設けられている。
【0102】
基準位置提供部160aは、パーツ130Aとパーツ130Bとの境に設けられている。基準位置提供部160bは、パーツ130Aとパーツ130Dとの境に設けられている。基準位置提供部160eは、パーツ130Dとパーツ130Gとの境に設けられている。基準位置提供部160fは、パーツ130Fとパーツ130Iとの境に設けられている。基準位置提供部160gは、パーツ130Hの近傍に設けられている。
【0103】
7個の基準位置提供部160a~160gのうちの2個の基準位置提供部160c及び160dは、枝状ランナー120に設けられている。より具体的には、基準位置提供部160c及び160dは、一の枝状ランナー120と他の枝状ランナー120とが連結する部分に設けられている。
【0104】
基準位置提供部160cは、パーツ130Bとパーツ130Cとパーツ130Fとの境に設けられている。基準位置提供部160dは、パーツ130Bとパーツ130Eとパーツ130Fとの境に設けられている。
【0105】
2個の基準位置提供部160c及び160dは、枠状ランナー110の内側の領域に設けられている。
【0106】
前述したように、本実施の形態では、パーツ供給体100は、9個のパーツ130A~130Iを有し、7個の基準位置提供部160a~160gを有する。このように、基準位置提供部160の総数と、パーツ130の総数とは一致せず、基準位置提供部160は、パーツ130に対応しない。基準位置提供部160は、パーツ130と1対1に対応しない。必ずしも一つのパーツ130が一つの基準位置提供部160に対応するわけではない。基準位置提供部160の総数が、パーツ130の総数よりも少ないのが好ましい。
【0107】
複数の基準位置提供部160が少なくとも1つのパーツ130に対応する。
図4では、複数の基準位置提供部160によって構成される基準位置提供部160の組を破線で示した。
図4は、+X側から視認したときのパターン導体180と基準位置提供部160との相対的な位置を示す。言い換えれば、
図4は、枠状ランナー110と、枝状ランナー120と、パーツ130と、係合保持部150とを省いて示した正面図である。
【0108】
<3個の基準位置提供部160a、160b、160cと1個のパーツ130Bの事前処理領域170B>
3個の基準位置提供部160a、160b、160cが、3個のパーツ130A、130B、130Cに対応する。
図4に示すように、3個の基準位置提供部160a、160b、160cによって囲まれる領域(三角形状の領域RA)内に、パーツ130Bの表面に形成する事前処理領域170Bの少なくとも一部が含まれていればよい。
【0109】
レーザー照射装置は、撮像装置によって3個の基準位置提供部160a、160b、160cを撮像して、3個の基準位置提供部160a、160b、160cの位置を検出する。レーザー照射装置は、検出した3個の基準位置提供部160a、160b、160cの位置から、パーツ130Bの位置を特定する。レーザー照射装置は、パーツ130Bの表面に形成する事前処理領域170Bの位置を決定する。
【0110】
レーザー照射装置は、記憶装置(図示せず)から、パーツ130B用の事前処理領域170Bのパターンデータを読み出す。
【0111】
レーザー照射装置は、決定した位置に応じて、加工用のレーザー光を発して、パーツ130Bの表面に事前処理領域170Bを形成する(
図5参照)。
【0112】
この例では、パーツ130Bの事前処理領域170Bを形成するために、3個の基準位置提供部160a、160b、160cを利用する。なお、パーツ130Bに形成する事前処理領域170Bの数は、1つでも複数でもよい。
【0113】
<3個の基準位置提供部160d、160e、160fと3個のパーツ130D、130E、130Fの事前処理領域170D、170E、170F>
3個の基準位置提供部160d、160e、160fが、3個のパーツ130D、130E、130Fに対応する。
図4に示すように、3個の基準位置提供部160d、160e、160fによって囲まれる領域(三角形状の領域RB)内に、3個のパーツ130D、130E、130Fの表面に形成する事前処理領域170D、170E、170Fの少なくとも一部が含まれていればよい。
【0114】
レーザー照射装置は、撮像装置によって3個の基準位置提供部160d、160e、160fを撮像して、3個の基準位置提供部160d、160e、160fの位置を検出する。レーザー照射装置は、検出した3個の基準位置提供部160d、160e、160fの位置から、3個のパーツ130D、130E、130Fの位置を特定する。レーザー照射装置は、3個のパーツ130D、130E、130Fの各々の表面に形成する事前処理領域170D、170E、170Fの各々の位置を決定する。
【0115】
レーザー照射装置は、記憶装置(図示せず)から、パーツ130D用の事前処理領域170Dのパターンデータと、パーツ130E用の事前処理領域170Eのパターンデータと、パーツ130F用の事前処理領域170Fのパターンデータとを読み出す。
【0116】
レーザー照射装置は、決定した位置に応じて、加工用のレーザー光を発して、パーツ130Dの表面には事前処理領域170Dを形成し、パーツ130Eの表面には事前処理領域170Eを形成し、パーツ130Fの表面には事前処理領域170Fを形成する(
図5参照)。
【0117】
この例では、パーツ130Dの事前処理領域170Dと、パーツ130Eの事前処理領域170Eと、パーツ130Fの事前処理領域170Fとの各々を形成するために、3個の基準位置提供部160d、160e、160fを利用する。単一の領域RBを形成する3個の基準位置提供部160d、160e、160fは、事前処理領域170D、170E、170Fの各々の形成のために共用される。なお、パーツ130Dに形成する事前処理領域170Dの数や、パーツ130Eに形成する事前処理領域170Eの数や、パーツ130Fに形成する事前処理領域170Fの数は、1つでも複数でもよい。
【0118】
<3個の基準位置提供部160e、160f、160gと3個のパーツ130G、130H、130Iの事前処理領域170G、170H、170I>
3個の基準位置提供部160e、160f、160gが、3個のパーツ130G、130H、130Iに対応する。
図4に示すように、3個の基準位置提供部160e、160f、160gによって囲まれる領域(三角形状の領域RC)内に、3個のパーツ130G、130H、130Iの表面に形成する事前処理領域170G、170H、170Iの少なくとも一部が含まれていればよい。
【0119】
レーザー照射装置は、撮像装置によって3個の基準位置提供部160e、160f、160gを撮像して、3個の基準位置提供部160e、160f、160gの位置を検出する。レーザー照射装置は、検出した3個の基準位置提供部160e、160f、160gの位置から、3個のパーツ130G、130H、130Iの位置を特定する。レーザー照射装置は、3個のパーツ130G、130H、130Iの各々の表面に形成する事前処理領域170G、170H、170Iの各々の位置を決定する。
【0120】
レーザー照射装置は、記憶装置(図示せず)から、パーツ130G用の事前処理領域170Gのパターンデータと、パーツ130H用の事前処理領域170Hのパターンデータと、パーツ130I用の事前処理領域170Iのパターンデータとを読み出す。
【0121】
レーザー照射装置は、決定した位置に応じて、加工用のレーザー光を発して、パーツ130Gの表面には事前処理領域170Gを形成し、パーツ130Hの表面には事前処理領域170Hを形成し、パーツ130Iの表面には事前処理領域170Iを形成する(
図5参照)。
【0122】
この例では、パーツ130Gの事前処理領域170Gと、パーツ130Hの事前処理領域170Hと、パーツ130Iの事前処理領域170Iとの各々を形成するために、3個の基準位置提供部160e、160f、160gを利用する。単一の領域RCを形成する3個の基準位置提供部160e、160f、160gは、事前処理領域170G、170H、170Iの各々の形成のために共用される。なお、パーツ130Gに形成する事前処理領域170Gの数や、パーツ130Hに形成する事前処理領域170Hの数や、パーツ130Iに形成する事前処理領域170Iの数は、1つでも複数でもよい。
【0123】
<異なる基準位置提供部160の利用>
本実施の形態では、7個の基準位置提供部160a~160gのうち、3個の基準位置提供部160a、160b、160c(三角形状の領域RA)と、3個の基準位置提供部160d、160e、160f(三角形状の領域RB)と、3個の基準位置提供部160e、160f、160g(三角形状の領域RC)とを選択して用いたが、これに限られない。例えば、3個の基準位置提供部160d、160e、160f(三角形状の領域RB)の替わりに、3個の基準位置提供部160b、160e、160f(三角形状の領域RB’)を、3個のパーツ130D、130E、130Fに対応させてもよい。
【0124】
<異なる領域での基準位置提供部160の共用>
前述した例では、三角形状の領域RBに対して、3個の基準位置提供部160d、160e、160fを用い、三角形状の領域RCに対して、3個の基準位置提供部160e、160f、160gを用いた。このように、異なる領域RB及びRCについて、基準位置提供部160e及び160fを共通して用いることができる。異なる領域について、基準位置提供部160を共用することで、パーツ供給体100に設ける基準位置提供部160の数を少なくすることができる。また、共用しない基準位置提供部160の位置のみを、別個に決めればよいので、パーツ供給体100の設計を簡便にすることができる。さらに、パーツ供給体100を構成する材料の量を減らすことができる。
【0125】
基準位置提供部160は、パーツ130がパーツ供給体100に保持された状態で、パーツ130の相対的な位置を特定できる基準位置を提供できる部分であればよい。
【0126】
本実施の形態では、3個の基準位置提供部160を3個のパーツ130に対応付けたが、2個以上の基準位置提供部160を少なくとも1つのパーツ130に対応付ければよい。基準位置提供部160は、パーツ130がパーツ供給体100に保持された状態で、パーツ130の相対的な位置を特定する。
【0127】
基準位置提供部160は、パーツ130から離隔した位置に配置される。基準位置提供部160は、パーツ130上に直接に設けられないので、事前処理領域170(パターン導体180)の配置の自由度を高めることができる。また、パーツ130がパーツ供給体100に保持された一体の状態で処理できるので、煩雑にならずに簡便に処理できる。
【0128】
<<<パーツ供給体100の材料等>>>
前述したように、パーツ供給体100は、枠状ランナー110と、枝状ランナー120と、パーツ130と、係合保持部150と、基準位置提供部160と、を有する。枠状ランナー110と、枝状ランナー120と、パーツ130と、係合保持部150と、基準位置提供部160とは、一体となって形成され、同じ材料によってパーツ供給体100が構成される。
【0129】
パーツ供給体100は、立体的に成形された後に、レーザー照射処理及びめっき処理によって、パーツ130の表面に事前処理領域170(パターン導体180)が形成され、その後、必要に応じて、レジスト塗布処理によって、ソルダーレジストを形成する。パーツ供給体100の成形材料としては、セラミック等の無機系材料や樹脂等を用いた有機系材料が挙げられる。
【0130】
無機系材料としては、シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化アルミニウム、ガラス粉末、非繊維状ガラス、ガラスファイバー、カーボン、カーボンファイバー、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華、窒化ケイ素、サイアロン、炭化ケイ素窒化アルミニウム等を好適に用いることができる。有機系材料としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を好適に用いることができる。
【0131】
パーツ供給体100は、樹脂成形品からなり、樹脂成形品に回路が形成されるものが好ましい。パーツ供給体100は、重量が軽く成形が容易な熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いることが望ましい。公知慣用の樹脂を用いることができるが、特に、パーツ供給体100は、はんだなどを用いて電子部品EPを電気的に接続させるので、耐熱性に優れたフッ素樹脂、ポリカーボネートポリアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、非晶ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー等のエンジニアリングプラスチックや、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、シリコン樹脂等の熱硬化性樹脂が好適である。
【0132】
パーツ130の表面にパターン導体180を形成する方法は、既知の手法を用いることができ、目的に応じて適宜選択すればよい。特に、パーツ供給体100においては、パーツ供給体100の材料である成形用樹脂に非導電性金属化合物を分散させ、この成形用樹脂を用いてパーツ供給体100を成形した後に、レーザー光をパターン導体180の形状に合わせて照射して非導電性金属化合物から金属核を生じさせ、事前処理領域170を形成し、その後、めっきを施してパターン導体180を形成することができる。この方法によれば、レーザー光照射により生じた金属核を触媒としてめっきが生成するため、事前処理領域170上に選択的にパターン導体180を形成することができる。
【0133】
このような非導電性金属化合物としては、特許6265308号等にて示される非導電性金属化合物が挙げられ、例えば、スピネル型の金属酸化物、周期表第3族~第12族の中から選択されておりかつ当該族が隣接する2以上の遷移金属元素を有する金属酸化物(以下、単に遷移金属元素を有する金属酸化物と言う)、および錫含有酸化物からなる群から選択される一種以上を含むことができる。
【0134】
スピネル型とは複酸化物でAB2O4型の化合物(AとBは金属元素)にみられる結晶構造型をいう。スピネル型の金属酸化物を構成する金属原子としては、例えば銅やクロムが挙げられる。
【0135】
上記遷移金属元素を有する金属酸化物は、周期表のn族の金属とn+1族の金属とを含有する金属酸化物と表すことができる。周期表のn族に属する金属としては、例えば、3族(スカンジウム、イットリウム)、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(銅、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)が挙げられる。周期表のn+1族の金属としては、例えば、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(銅、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)が挙げられる。
【0136】
上記錫含有酸化物は、少なくとも錫を含有する金属酸化物である。錫含有酸化物を構成する金属元素は錫のほかにアンチモンを用いても良い。
【0137】
これらの中でもスピネル型の金属酸化物を好適に用いることができ、特に亜クロム酸銅(CuCr2O4)といった銅又はクロムを含むスピネル型の金属酸化物を好適に用いることができる。
【0138】
非導電性金属化合物の配合量は、成形用樹脂の全固形分量に対して、例えば2~25質量%であり、好ましくは4~20質量%である。
【0139】
パーツ130の表面には、パターン導体180がパーツ130と一体に形成される。パターン導体180をパーツ130の表面に一体に形成することで、パーツ130は、立体成形基板として機能する。
【0140】
パーツ供給体100は、金型成型、切削成型又は3Dプリンターによる3Dプリンティング等により作製される。
【0141】
<<<パーツ供給体100の加工工程>>>
パーツ供給体100の加工工程は、主に、レーザー照射処理、めっき処理、レジスト塗布処理からなる。
【0142】
<<レーザー照射処理>>
レーザー照射は、レーザー照射装置を用いて、レーザー光をパーツ130の表面に照射して、事前処理領域170を形成する処理である。事前処理領域170は、パターン導体180を形成するための領域に金属核を生じさせたパターンである。後述するめっき処理をすることで金属核を生じさせた領域にパターン導体180が形成される。
【0143】
レーザー照射の処理に際しては、パーツ供給体100の係合保持部150をレーザー照
射に用いる治具(図示せず)の一定の位置に設ける。これにより、パーツ供給体100を治具に対して一定の位置に保持することができる。この状態で、パーツ供給体100の基準位置提供部160を、レーザー照射装置の撮像装置で撮像して、基準位置提供部160の位置を検出する。レーザー照射装置の記憶装置からパターンデータを読み出し、パーツ130の表面に向かって、パターンデータが示す位置にレーザーを照射する。
【0144】
例えば、パターン導体180Bを形成するための事前処理領域170Bをパーツ130Bに生じさせるためには、以下のように処理を実行する。まず、3つの基準位置提供部160a、160b及び160cの位置を撮像装置で撮像して検出する(
図4参照)。次に、パターン導体180Bを示すパターンデータを記憶装置から読み出す。読み出したパターンデータから照射の位置を決定してレーザー光を照射する。パターンデータに含まれる全ての位置にレーザー光を照射することで、事前処理領域170Bをパーツ130Bの表面に形成することができる。
【0145】
レーザー光線は、前記非導電性金属錯体に照射することにより、金属を放出させることができるものであれば、特に制限はない。レーザー光線の波長としては、例えば、248nm、308nm 、355nm、532nm、1064nmおよび10600nmを用いることができる。
【0146】
図5は、パーツ130に事前処理領域170が形成されたパーツ供給体100を示す正面図である。
【0147】
図5に示すように、レーザー照射処理後のパーツ供給体100は、事前処理領域170B、170D、170E、170F、170G、170H、170Iを有する。事前処理領域170Bは、パーツ130Bの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。事前処理領域170Dは、パーツ130Dの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。事前処理領域170Fは、パーツ130Fの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。事前処理領域170Gは、パーツ130Gの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。事前処理領域170Hは、パーツ130Hの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。事前処理領域170Iは、パーツ130Iの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。
【0148】
図5は、パーツ130の+X側の表面に事前処理領域170を有する例を説明した。必要に応じて、パーツ130の-X側の表面に事前処理領域170を形成してもよく、パーツ130の+X側の表面及び-X側の表面の双方に事前処理領域170を形成してもよい。パーツ130に搭載する電子部品EPの種類や数や大きさや機能などに応じて、事前処理領域170の配置や大きさや数や形状などを適宜に決定すればよい。
【0149】
<<めっき処理>>
めっき処理は、事前処理領域170に導電部を生成しパターン導体180を形成する工程である。具体的には、めっき処理には、無電解めっき(Cu、Ni、Au)などがある。めっき処理においては、前述したレーザー照射工程において生じた金属核が触媒となってめっきが生成する。従って、事前処理領域170上において選択的にめっきが生成するため、事前処理領域170と略同一の形状を有するパターン導体180を形成することができる。
【0150】
めっき処理に際しては、パーツ供給体100の係合保持部150をめっき処理に用いる治具(図示せず)に掛止させる。このようにして、パーツ供給体100を治具に吊り下げることができる。この状態で、パーツ供給体100をめっき槽に所定時間だけ浸漬させる。めっき処理によって、パーツ130Bの事前処理領域170Bにパターン導体180Bを形成することができ、パーツ130Dの事前処理領域170Dにパターン導体180Dを形成することができ、パーツ130Eの事前処理領域170Eにパターン導体180Eを形成することができ、パーツ130Fの事前処理領域170Fにパターン導体180Fを形成することができ、パーツ130Gの事前処理領域170Gにパターン導体180Gを形成することができ、パーツ130Hの事前処理領域170Hにパターン導体180Hを形成することができ、パーツ130Iの事前処理領域170Iにパターン導体180Iを形成することができる(
図1、5及び6参照)。
【0151】
図6は、パーツ130にパターン導体180が形成されたパーツ供給体100を示す正面図である。
【0152】
図6に示すように、めっき処理後のパーツ供給体100は、パターン導体180B、180D、180E、180F、180G、180H、180Iを有する。前述したように、事前処理領域170と略同一の形状や大きさを有するパターン導体180が形成される。したがって、パターン導体180Bは、パーツ130Bの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。パターン導体180Dは、パーツ130Dの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。パターン導体180Fは、パーツ130Fの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。パターン導体180Gは、パーツ130Gの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。パターン導体180Hは、パーツ130Hの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。パターン導体180Iは、パーツ130Iの表面に沿って、所望する位置や範囲に延在する。
【0153】
パターン導体180は、事前処理領域170と同様に、パーツ130の+X側の表面、-X側の表面、+X側の表面及び-X側の表面の双方に形成されることができる。
【0154】
<<レジスト塗布処理>>
レジスト塗布処理は、形成したパターン導体180を被覆して保護する保護体、好ましくは保護膜を形成する工程である。レジスト塗布処理は、具体的には、スプレーを用いて全面を塗布する。
【0155】
レジスト塗布処理に際しては、パーツ供給体100の係合保持部150をレジスト塗布処理に用いる治具(図示せず)に掛止させる。このようにして、パーツ供給体100を治具に吊り下げることができる。この状態で、パーツ供給体100の全面にレジストを塗布する。その後、塗布したレジストを加熱処理して乾燥、硬化させて、パーツ供給体の全面にレジストを形成する。加熱処理の方法としては特に限定されないが、例えばイナートガスオーブン、ホットプレート、送風乾燥機、真空オーブン、熱プレス機等が挙げられる。加熱処理の条件は、例えば、50~100℃で10~60分の乾燥を行うことができ、120~180℃で15~60分の硬化を行うことができる。
【0156】
さらに、レジスト剥離処理に用いる治具(図示せず)の一定の位置にパーツ供給体100を設ける。これにより、パーツ供給体100を治具に対して一定の位置に保持することができる。この状態で、レーザー照射装置の記憶装置からパターンデータを読み出し、パーツ130の表面に向かって、レジストを剥離する電極部分の位置にレーザーを照射する。これにより、はんだ付けなどのための電極の部分からレジストを除去することができる。
【0157】
図7は、レジスト塗布領域190及びレジスト剥離領域195D、195F1、195F2、195F3が形成されたパーツ供給体100を示す正面図である。レジスト塗布領域190は、電子部品EPやパターン導体180の意図しない電気的な接続を防止する電気的な絶縁領域として機能する。レジスト剥離領域195D、195F1、195F2、195F3は、電子部品EPやパターン導体180との電気的な接続を形成する電気的な接続可能領域として機能する。
【0158】
前述した例では、パーツ供給体100の全面にレジストを塗布する処理を示したが、パターン導体180が形成されている領域のみにレジストを塗布してもよい。このようにすることで、レジストの消費量を少なくできる。
【0159】
<<電子部品EPの取付>>
図8は、電子部品EPを取り付けたパーツ供給体100を示す正面図である。
【0160】
レジスト剥離領域195D、195F1、195F2、195F3の各々のパターン導体180に電子部品EPを取り付けることができる。電子部品EPは、はんだ付けなどによって、電子部品EPとパターン導体180との電気的な接続を形成して、パターン導体180に取り付けることができる。このように、パーツ130がパーツ供給体100に保持された状態で電子部品EPをパーツ130に取り付けることができる。
【0161】
前述した例では、パーツ130がパーツ供給体100に保持された状態で電子部品EPをパーツ130に取り付ける処理を示したが、パーツ供給体100からパーツ130を取り外してから電子部品EPをパーツ130に取り付けてもよい。パーツ130の大きさや形状や取り付ける位置や、電子部品EPの大きさや形状などに応じて、パーツ130がパーツ供給体100に保持された状態で電子部品EPをパーツ130に取り付けるか、パーツ供給体100からパーツ130を取り外してから電子部品EPをパーツ130に取り付けるかを、適宜に定めればよい。
【0162】
<<<<変形例>>>>
前述した例では、パーツ130の+X側の表面にパターン導体180を形成する場合を説明した。パターン導体180を形成するパーツ130の側は、これらに限られない。パーツ130の-X側の表面にパターン導体180を形成してもよい。
【0163】
さらに、パーツ130の+Y側、-Y側、+Z側、-Z側の表面にパターン導体180を形成してもよい。枠状ランナー110や枝状ランナー120から+Y側、-Y側、+Z側、-Z側に突出するパーツ130の表面にレーザー光を照射して、パターン導体180を形成することができる。また、枠状ランナー110や枝状ランナー120と重なるパーツ130の表面であっても、レーザー光の角度を傾けて照射することで、パターン導体180を形成することができる。
【0164】
さらにまた、前述した例では、基準位置提供部160の位置を、カメラなどによる撮像結果から取得する場合を示した。これに限られず、レーザー光などの光を基準位置提供部160に照射し、その反射光などから基準位置提供部160の位置を取得してもよい。その他、機械的な方法や電磁気的な方法などによって、基準位置提供部160の位置を取得してもよい。
【0165】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0166】
100 パーツ供給体
110 枠状ランナー
120 枝状ランナー
130 パーツ
150 係合保持部、152貫通孔
160 基準位置提供部
170 事前処理領域
180 パターン導体
190 レジスト塗布領域
MA 完成品、XP 延在面
EP 電子部品