(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025666
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】植物組成物含有スエヒロタケ培地およびその調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C12N 1/14 20060101AFI20240216BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20240216BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240216BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
C12N1/14 H
C12N1/14 G
A61K8/9728
A61Q19/00
A61Q19/08
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108544
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】202210966791.8
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520317240
【氏名又は名称】広東丸美生物技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 懐慶
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 永飛
(72)【発明者】
【氏名】郭 朝万
(72)【発明者】
【氏名】王 暁華
(72)【発明者】
【氏名】裴 運林
(72)【発明者】
【氏名】▲ジョウ▼ 艶峰
(72)【発明者】
【氏名】江 川霞
【テーマコード(参考)】
4B065
4C083
【Fターム(参考)】
4B065AA71X
4B065AC14
4B065BB03
4B065BB11
4B065BB12
4B065BB15
4B065BB18
4B065BB26
4B065BB29
4B065BC03
4B065BC09
4B065BC26
4B065CA02
4B065CA50
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC02
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】本発明は、植物組成物含有スエヒロタケ培地、およびその調製方法と使用を提供する。
【解決手段】前記植物組成物含有スエヒロタケ培地は植物組成物と基本培地とを含み、そのうち、前記植物組成物はニンジンとイチゴを含む。本発明は、改良された基本培地にニンジンおよびイチゴを添加しており、スエヒロタケ発酵過程において、ニンジンとイチゴが互いに協働して相乗効果を達成することで、発酵過程でスエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量を向上させるだけでなく、最終に得られたスエヒロタケ発酵生成物の耐酸化能力および保湿能力を著しく向上させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物組成物と基本培地とを含む植物組成物含有スエヒロタケ培地であって、
前記植物組成物は、ニンジンとイチゴを含む、
ことを特徴とする植物組成物含有スエヒロタケ培地。
【請求項2】
前記植物組成物含有スエヒロタケ培地におけるニンジンの濃度が0.1~10g/Lであり、3~4g/Lであることが好ましく、
好ましくは、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地におけるイチゴの濃度が0.1~10g/Lであり、0.1~3g/Lであることが好ましい、
ことを特徴とする請求項1に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地。
【請求項3】
前記基本培地は、質量%で、グルコース5~10%、リン酸二水素カリウム0.05~0.2%、硫酸マグネシウム0.01~0.02%、トリプトン0.1~1%、酵母抽出物0.1~0.5%、水85~90%を含み、
好ましくは、前記基本培地は、さらに栄養添加剤を含み、
好ましくは、前記栄養添加剤は、前記基本培地の総質量の0.01~0.2%を占め、
好ましくは、前記栄養添加剤は、グルタミン酸、グルタチオン、ニコチンアミド、γ-ポリグルタミン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムまたはマンニトールのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含み、グルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの組合せであることが好ましく、
好ましくは、前記グルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの質量比が(5~9):(1~5):(0.1~1)である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法であって、
まず、ニンジンおよびイチゴを凍結乾燥処理した後、それぞれ粉砕して篩にかけて、ニンジン粉末およびイチゴ粉末を得、基本培地における各成分を溶解させて培地混合液を得るステップ(a)と、
ニンジン粉末、イチゴ粉末および培地混合液を混合撹拌して、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地を得るステップ(b)と、を含む、
ことを特徴とする植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法。
【請求項5】
ステップ(a)において、前記凍結乾燥処理の処理温度が-30~-20℃であり、前記凍結乾燥処理の時間が10~15hであり、
好ましくは、ステップ(a)において、前記ニンジン粉末およびイチゴ粉末の粒径が各々独立して100~500メッシュであり、
好ましくは、ステップ(a)において、前記溶解のステップは、グルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、トリプトン、酵母抽出物および水を混合した後、まず、3~5℃/minの昇温速度、300~500rpmの回転数で30~35℃に昇温し、そして、2~3℃/minの昇温速度、100~300rpmの回転数で35~40℃に昇温し、最後、35~40℃で1~3min維持して、
好ましくは、ステップ(b)において、前記混合撹拌の回転数が500~1000rpmであり、前記混合撹拌の時間が5~20minである、
ことを特徴とする請求項4に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地の、スエヒロタケ発酵における使用。
【請求項7】
活性化されたスエヒロタケを、請求項1~3のいずれか一項に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地に接種し、発酵培養した後、スエヒロタケ発酵生成物を得るステップを含む、
ことを特徴とするスエヒロタケ発酵方法。
【請求項8】
前記発酵培養は、撹拌下で行い、発酵培養の回転数が150~200rpmであり、発酵培養の温度が25~30℃であり、発酵培養の時間が60~80hであり、
好ましくは、前記活性化されたスエヒロタケは、斜面培地でスエヒロタケ菌種を活性化させ、菌糸が斜面全体に成長したまで、25~30℃の条件下で5~7日間培養し、斜面の菌種を液体培地に移して、3~4日間拡大培養して、活性化されたスエヒロタケシード液を得るというステップによって活性化されたものであり、
好ましくは、前記斜面培地は、PDA斜面培地であり、
好ましくは、前記液体培地は、質量%で、グルコース1~5%、リン酸二水素カリウム0.05~0.2%、硫酸マグネシウム0.01~0.02%、酵母エキス粉末0.1~0.2%、残量の水からなり、
好ましくは、前記活性化されたスエヒロタケの、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地における接種量が1~5vol%である、
ことを特徴とする請求項7に記載のスエヒロタケ発酵方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載のスエヒロタケの発酵方法により調製されたスエヒロタケ発酵生成物であって、
好ましくは、前記スエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量が5~15mg/mLである、
ことを特徴とするスエヒロタケ発酵生成物。
【請求項10】
請求項9に記載のスエヒロタケ発酵生成物の、化粧品の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物発酵の技術分野に属し、具体的には、植物組成物含有スエヒロタケ培地およびその調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
スエヒロタケ(学名:Schizophyllum commune Fr.)とは、スエヒロタケ科、スエヒロタケ属の真菌である。スエヒロタケは、子実体が小さく、覆瓦状に散在または集合性、扇形または腎臓形、無柄または短柄であり、蓋の表面にはビロードが密生しており、白色から薄灰色であり、蓋の縁が内側に巻き、縞模様があり、裂開が複数あり、菌のしわが狭く、しわの縁に沿って縦方向に裂開して外側に巻き戻る。
【0003】
シゾフィランは、スエヒロタケの発酵による水溶性多糖であり、腫瘍の抑制、抗菌および抗炎症、抗放射線、体の免疫力の向上などの様々な生理的活性を有する。現在、シゾフィランの生産方法は、単一の食用菌液体発酵方式を採用することが多く、発酵後の生成物を後処理し、最終にシゾフィランを得る。しかしながら、発酵によるシゾフィランは、再溶解しにくく、生物吸収などの特性に不利であるため、その使用が極めて大きく制限されてしまう。
【0004】
CN112691125Aでは、医薬品組成物、およびその調製方法、スキンケア製品が開示されている。医薬品組成物の調製方法は、基本培地でスエヒロタケを培養し、前記基本培地に甘草を添加し、継続して培養し、そして発酵生成物を収集することを含む。スエヒロタケの培養過程で、適当なタイミングで甘草を添加してスエヒロタケを培養することにより、発酵生成物の耐酸化性能、およびエラスターゼの抑制や、チロシナーゼの抑制のレベルを向上させることができ、該医薬品組成物の使用を拡張することができるが、該スエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量は向上の余地があり、耐酸化や抗老化能力が向上の余地がある。
【0005】
CN113337545Aでは、スエヒロタケ発酵生成物およびその調製方法、スキンケア製品、スエヒロタケ培地が開示されている。スエヒロタケ発酵生成物の調製方法は、葛根を含有するスエヒロタケ培地でスエヒロタケを培養した後、発酵生成物を収集することを含む。培地に葛根粉末を添加してスエヒロタケを培養し、発酵生成物を収集する。
【0006】
したがって、スエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量をさらに向上させることができる培地およびその調製方法の開発が急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の不足に対して、本発明は、植物組成物含有スエヒロタケ培地、およびその調製方法と使用を提供することを目的とする。本発明は、改良された基本培地にニンジンおよびイチゴが添加されており、両者が互いに協働して相乗効果を達成することで、発酵過程においてスエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
その目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を採用する。
【0009】
第1態様として、本発明は、植物組成物と基本培地とを含む植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供する。
【0010】
そのうち、前記植物組成物は、ニンジンとイチゴを含む。
【0011】
本発明では、改良された基本培地にニンジンおよびイチゴを添加しており、スエヒロタケ発酵過程において、ニンジンとイチゴが互いに協働して相乗効果を達成することで、発酵過程中にスエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量を向上させるだけでなく、最終に得られたスエヒロタケ発酵生成物の耐酸化能力および保湿能力を著しく向上させる。
【0012】
好ましくは、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地におけるニンジンの濃度は、0.1~10g/Lであり、たとえば0.1g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、6g/L、7g/L、8g/L、9g/L、10g/Lなどであってもよく、3~4g/Lであることが好ましい。
【0013】
好ましくは、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地におけるイチゴの濃度は、0.1~10g/Lであり、たとえば0.1g/L、1g/L、2g/L、3g/L、4g/L、5g/L、6g/L、7g/L、8g/L、9g/L、10g/Lなどであってもよく、0.1~3g/Lであることが好ましい。
【0014】
好ましくは、前記基本培地は、質量%で、グルコース5~10%、リン酸二水素カリウム0.05~0.2%、硫酸マグネシウム0.01~0.02%、トリプトン0.1~1%、酵母抽出物0.1~0.5%、水85~95%を含む。
【0015】
前記基本培地の総質量を100%として、グルコースの含有量は、5~10%であり、たとえば5%、6%、7%、8%、9%、10%などであってもよい。
【0016】
前記基本培地の総質量を100%として、リン酸二水素カリウムの含有量は、0.05~0.2%であり、たとえば0.05%、0.06%、0.08%、0.1%、0.12%、0.14%、0.16%、0.18%、0.2%などであってもよい。
【0017】
前記基本培地の総質量を100%として、トリプトンの含有量は、0.1~1%であり、たとえば0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%などであってもよい。
【0018】
前記基本培地の総質量を100%として、酵母抽出物の含有量は、0.1~0.5%であり、たとえば0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%などであってもよい。
【0019】
前記基本培地の総質量を100%として、水の含有量は、85~90%であり、たとえば85%、86%、87%、88%、89%、90%などであってもよい。
【0020】
好ましくは、前記基本培地は、さらに栄養添加剤を含む。
【0021】
好ましくは、前記栄養添加剤は、前記基本培地の総質量の0.01~0.2%を占め、たとえば0.01%、0.02%、0.04%、0.06%、0.08%、0.1%、0.12%、0.14%、0.16%、0.18%、0.2%などであってもよい。
【0022】
本発明では、基本培地の滅菌条件として、前記滅菌の温度は120℃以上であり、たとえば120℃、121℃、122℃などであってもよく、滅菌の時間は20~30minであり、たとえば20min、22min、24min、26min、28min、30
minなどであってもよい。
【0023】
好ましくは、前記栄養添加剤は、グルタミン酸、グルタチオン、ニコチンアミド、γ-ポリグルタミン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムまたはマンニトールのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含み、グルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの組合せであることが好ましい。
【0024】
好ましくは、前記グルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの質量比は、(5~9):(1~5):(0.1~1)である。
【0025】
そのうち、「5~9」とは、たとえば、5、6、7、8、9などであってもよい。
【0026】
そのうち、「1~5」とは、たとえば、1、2、3、4、5などであってもよい。
【0027】
そのうち、「0.1~1」とは、たとえば、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1などであってもよい。
【0028】
第2態様として、本発明は、植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法であって、
まず、ニンジンおよびイチゴを凍結乾燥処理した後、それぞれ粉砕して篩にかけて、ニンジン粉末およびイチゴ粉末を得、基本培地における各成分を溶解させて培地混合液を得るステップ(a)と、
ニンジン粉末、イチゴ粉末および培地混合液を混合撹拌して、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地を得るステップ(b)とを含む、第1態様に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法を提供する。
【0029】
好ましくは、ステップ(a)において、前記凍結乾燥処理の温度は、-30~-20℃であり、たとえば-30℃、-28℃、-25℃、-22℃、-20℃などであってもよく、前記凍結乾燥処理の時間は、10~15hであり、たとえば10h、11h、12h、13h、14h、15hなどであってもよい。
【0030】
好ましくは、ステップ(a)において、前記ニンジン粉末およびイチゴ粉末の粒径は、各々独立して100~500メッシュであり、たとえば100メッシュ、200メッシュ、300メッシュ、400メッシュ、500メッシュなどであってもよい。
【0031】
好ましくは、ステップ(a)において、前記溶解のステップは、グルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、トリプトン、酵母抽出物および水を混合した後、まず、3~5℃/min(たとえば、3℃/min、3.5℃/min、4℃/min、4.5℃/min、5℃/minなどであってもよい)の昇温速度、300~500rpm(たとえば、300rpm、350rpm、400rpm、450rpm、500rpmなどであってもよい)の回転数で30~35℃(たとえば、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃などであってもよい)に昇温し、そして、2~3℃/min(たとえば、2℃/min、2.2℃/min、2.4℃/min、2.6℃/min、2.8℃/min、3℃/minなどであってもよい)の昇温速度、100~300rpm(たとえば、100rpm、150rpm、200rpm、250rpm、300rpmなどであってもよい)の回転数で35~40℃(たとえば、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃などであってもよい)に昇温し、最後、35~40℃(たとえば、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃などであってもよい)で1~3min(たとえば、1min、1.5min、2min、2.5min、3minなどであってもよい)維持する。
【0032】
好ましくは、ステップ(b)において、前記混合撹拌の回転数は、500~1000rpmであり、たとえば500rpm、600rpm、700rpm、800rpm、900rpm、1000rpmなどであってもよく、前記混合撹拌の時間は、5~20minであり、たとえば5min、6min、8min、10min、12min、14min、16min、18min、20minなどであってもよい。
【0033】
第3態様として、本発明は、第1態様に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地の、スエヒロタケ発酵における使用を提供する。
【0034】
第4態様として、本発明は、活性化されたスエヒロタケを、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地に接種し、発酵培養した後、スエヒロタケ発酵生成物を得るステップを含むスエヒロタケ発酵方法を提供する。
【0035】
好ましくは、前記発酵培養は、撹拌下で行い、発酵培養の回転数が150~200rpmであり、たとえば150rpm、160rpm、170rpm、180rpm、200rpmなどであってもよく、発酵培養の温度が25~30℃であり、たとえば25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃などであってもよく、発酵培養の時間が60~80hである。
【0036】
好ましくは、前記活性化されたスエヒロタケは、
斜面培地でスエヒロタケ菌種を活性化させ、菌糸が斜面全体に成長したまで、25~30℃(たとえば25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃などであってもよい)の条件下で5~7日間(たとえば、5日間、6日間、7日間などであってもよい)培養し、斜面の菌種を液体培地にに移して、3~4日間(たとえば、3日間、3.5日間、4日間などであってもよい)拡大培養し、活性化されたスエヒロタケシード液を得るというステップによって活性化されたものである。
【0037】
好ましくは、前記斜面培地は、PDA斜面培地である。
【0038】
好ましくは、前記液体培地は、質量%で、グルコース1~5%、リン酸二水素カリウム0.05~0.2%、硫酸マグネシウム0.01~0.02%、酵母エキス粉末0.1~0.2%、残量の水からなる。
【0039】
前記液体培地の総質量を100%として、前記グルコースの含有量は、1~5%であり、たとえば1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%などであってもよい。
【0040】
前記液体培地の総質量を100%として、前記リン酸二水素カリウムの含有量は、0.05~0.2%であり、たとえば0.05%、0.06%、0.08%、0.1%、0.12%、0.14%、0.16%、0.18%、0.2%などであってもよい。
【0041】
前記液体培地の総質量を100%として、前記硫酸マグネシウムの含有量は、0.01~0.02%であり、たとえば0.01%、0.012%、0.014%、0.016%、0.018%、0.02%などであってもよい。
【0042】
前記液体培地の総質量を100%として、酵母エキス粉末の含有量は、0.1~0.2%であり、たとえば0.1%、0.12%、0.14%、0.16%、0.18%、0.2%などであってもよい。
【0043】
好ましくは、前記活性化されたスエヒロタケの、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地
における接種量は、1~5vol%であり、たとえば1vol%、1.5vol%、2vol%、2.5vol%、3vol%、3.5vol%、4vol%、4.5vol%、5vol%などであってもよい。
【0044】
第5態様として、本発明は、前記のスエヒロタケ発酵方法により調製されたスエヒロタケ発酵生成物を提供する。
【0045】
好ましくは、前記スエヒロタケ発酵生成物ではシゾフィランの含有量は、5~15mg/mLであり、たとえば5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12mg/mL、13mg/mL、14mg/mL、15mg/mLであってもよい。
【0046】
第6態様として、本発明は、スエヒロタケ発酵生成物の、化粧品の調製における使用を提供する。
【発明の効果】
【0047】
従来技術に対して、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0048】
(1)本発明は、改良された基本培地にニンジンおよびイチゴを添加しており、スエヒロタケ発酵過程において、ニンジンとイチゴが互いに協働して相乗効果を達成することで、発酵過程中にスエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量を向上させるだけでなく(シゾフィランの含有量が4.14mg/mL以上であり)、最終に得られたスエヒロタケ発酵生成物の耐酸化能力および保湿能力を著しく向上させる。
【0049】
(2)本発明により調製されたスエヒロタケ発酵生成物は、スーパーオキシドアニオンラジカルに対する消去率が39.86%以上であり、ヒドロキシルラジカルに対する消去率が37.90%以上であり、DPPHラジカルに対する抑制率が74.98%以上である。本発明の調製されたスエヒロタケ発酵生成物を用いて試験した14日目の皮膚含水量が35.82%以上であり、28日目の皮膚含水量が43.08%以上であり、14日目の皮膚の水分損失が27.20g/(m2h)以下であり、28日目皮膚の水分損失が22.59g/(m2h)以下である。本発明に係るスエヒロタケ発酵生成物は、エラスターゼに対する抑制率が53.73%以上であり、コラゲナーゼに対する抑制率が27.38%以上である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、具体的な実施形態によって、さらに本発明の技術案を説明する。当業者であれば、かかる実施例が本発明を理解するためのものに過ぎず、本発明を具体に制限するものと見なすべきではないということを理解すべきである。
【0051】
[調製例1]
本調製例は、ニンジン、イチゴおよび基本培地を含む植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供する。
【0052】
そのうち、ニンジンの濃度は3g/Lであり、イチゴの濃度は2g/Lである。
【0053】
そのうち、前記基本培地は、質量%で、グルコース6%、リン酸二水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.01%、トリプトン0.4%、酵母抽出物0.2%、栄養添加剤0.05%、残量の水からなる。そのうち、前記栄養添加剤は、質量比6:4:0.2のグルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの組合せである。
【0054】
前記植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0055】
(a)まず、ニンジンおよびイチゴを-80℃で15h凍結乾燥した後、それぞれ粉砕して篩にかけて、200メッシュのニンジン粉末および200メッシュのイチゴ粉末を得、それと同時に、上記割合でグルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、トリプトン、酵母抽出物および水を混合した後、まず、4℃/minの昇温速度、400rpmの回転数で32℃に昇温し、そして2.5℃/minの昇温速度、200rpmの回転数で37℃に昇温し、最後、37℃で2min維持して、培地混合液を得た。
【0056】
(b)ニンジン粉末、イチゴ粉末および培地混合液を混合し、600rpmの回転数で10min撹拌し、滅菌して用意した。
【0057】
(c)無菌条件で、栄養添加剤を植物組成物含有スエヒロタケ培地に添加し、0.22μmの濾過膜を通過して用意し、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地を得た。
【0058】
[調製例2]
本調製例は、ニンジン、イチゴおよび基本培地を含む植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供する。
【0059】
そのうち、ニンジンの濃度は4g/Lであり、イチゴの濃度は1g/Lである。
【0060】
そのうち、前記基本培地は、質量%で、グルコース5%、リン酸二水素カリウム0.2%、硫酸マグネシウム0.02%、トリプトン0.6%、酵母抽出物0.2%、栄養添加剤0.04%、残量の水からなる。そのうち、前記栄養添加剤は、質量比8:2:0.1のグルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの組合せである。
【0061】
前記植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0062】
(a)まず、ニンジンおよびイチゴを-80℃で10h凍結乾燥した後、それぞれ粉砕して篩にかけて、300メッシュのニンジン粉末および300メッシュのイチゴ粉末を得、それと同時に、上記割合でグルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、トリプトン、酵母抽出物および水を混合した後、まず、3℃/minの昇温速度、300rpmの回転数で30℃に昇温し、そして2℃/minの昇温速度、100rpmの回転数で35℃に昇温し、最後、35℃で1min維持して、培地混合液を得た。
【0063】
(b)ニンジン粉末、イチゴ粉末および培地混合液を混合し、600rpmの回転数で10min撹拌し、滅菌して用意した。
【0064】
(c)無菌条件で、栄養添加剤を植物組成物含有スエヒロタケ培地に添加し、0.22μmの濾過膜を通過して用意し、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地を得た。
【0065】
[調製例3]
本調製例は、ニンジン、イチゴおよび基本培地を含む植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供する。
【0066】
そのうち、ニンジンの濃度は3.5g/Lであり、イチゴの濃度は1.5g/Lである。
【0067】
そのうち、前記基本培地は、質量%で、グルコース8%、リン酸二水素カリウム0.05%、硫酸マグネシウム0.02%、トリプトン0.6%、酵母抽出物0.2%、栄養添
加剤0.06%、残量の水からなる。そのうち、前記栄養添加剤は、質量比5:5:0.5のグルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの組合せである。
【0068】
前記植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0069】
(a)まず、ニンジンおよびイチゴを-80℃で12h凍結乾燥した後、それぞれ粉砕して篩にかけて、200メッシュのニンジン粉末および200メッシュのイチゴ粉末を得、それと同時に、上記割合でグルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、トリプトン、酵母抽出物および水を混合した後、まず、3℃/minの昇温速度、300rpmの回転数で30℃に昇温し、そして2℃/minの昇温速度、100rpmの回転数で35℃に昇温し、最後、35℃で1min維持して、培地混合液を得た。
【0070】
(b)ニンジン粉末、イチゴ粉末および培地混合液を混合し、600rpmの回転数で10min撹拌し、滅菌して用意した。
【0071】
(c)無菌条件で、栄養添加剤を植物組成物含有スエヒロタケ培地に添加し、0.22μmの濾過膜を通過して用意し、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地を得た。
【0072】
[調製例4]
本調製例は、植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供し、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地には、ニンジンの濃度が2g/Lであり、イチゴの濃度が3g/Lである点だけで調製例1と異なる。
【0073】
[調製例5]
本調製例は、植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供し、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地には、前記ニンジンの濃度が5g/Lであり、イチゴの濃度が0.05g/Lである点だけで調製例1と異なる。
【0074】
[調製例6]
本調製例は、植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供し、前記栄養添加剤が質量比6:4のグルタミン酸とグルタチオンとの組合せである点だけで調製例1と異なる。
【0075】
[調製例7]
本調製例は、植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供し、前記栄養添加剤が質量比4:0.1のグルタチオンとニコチンアミドとの組合せである点だけで調製例1と異なる。
【0076】
[調製例8]
本調製例は、植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供し、前記栄養添加剤が質量比6:0.1のグルタミン酸とニコチンアミドとの組合せである点だけで調製例1と異なる。
【0077】
[調製例9]
本調製例は、植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供し、前記栄養添加剤が質量比6:4:0.1のグルタミン酸、グルタチオンおよびγ-ポリグルタミン酸ナトリウムの組合せである点だけで調製例1と異なる。
【0078】
[調製例10]
本調製例は、植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供し、前記栄養添加剤が質量比6:4:0.1のグルタチオン、マンニトールおよびγ-ポリグルタミン酸ナトリウムの組合せである点だけで調製例1と異なる。
【0079】
[比較調製例1]
本調製例は、葛根と基本培地を含む葛根含有スエヒロタケ培地を提供する。葛根の濃度は1g/Lであり、前記基本培地は、質量%で、グルコース6%、リン酸二水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.015%、酵母エキス粉末0.5%、酵母エキス0.15%、残量の水を含む。
【0080】
前記葛根含有スエヒロタケ培地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0081】
(a)葛根を粉砕して篩にかけて、粒径200メッシュの葛根粉末を得、グルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、酵母エキス粉末、酵母エキスおよび水を混合した後、まず、4℃/minの昇温速度、400rpmの回転数で32℃に昇温し、そして2.5℃/minの昇温速度、200rpmの回転数で37℃に昇温し、最後、37℃で2min維持して、培地混合液を得た。
【0082】
(b)葛根粉末と培地混合液を混合し、600rpmの回転数で10min撹拌し、前記葛根含有スエヒロタケ培地を得た。
【0083】
[比較調製例2]
本調製例は、甘草および基本培地を含む甘草含有スエヒロタケ培地を提供する。甘草の濃度は1g/Lであり、前記基本培地は、質量%で、グルコース6%、リン酸二水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.015%、酵母エキス粉末0.5%、酵母エキス0.15%、残量の水を含む。
【0084】
前記甘草含有スエヒロタケ培地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0085】
(a)甘草を粉砕して篩にかけて、粒径200メッシュの葛根粉末を得、グルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、酵母エキス粉末、酵母エキスおよび水を混合した後、まず4℃/minの昇温速度、400rpmの回転数で32℃に昇温し、そして、2.5℃/minの昇温速度、200rpmの回転数で37℃に昇温し、最後、37℃で2min維持して、培地混合液を得た。
【0086】
(b)甘草粉末と培地混合液を混合し、600rpmの回転数で10min撹拌し、前記甘草含有スエヒロタケ培地を得た。
【0087】
[比較調製例3]
本比較調製例は、ニンジンおよび基本培地を含む植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供する。
【0088】
そのうち、ニンジンの濃度は5g/Lである。
【0089】
そのうち、前記基本培地は、質量%で、グルコース6%、リン酸二水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.01%、トリプトン0.4%、酵母抽出物0.2%、栄養添加剤0.05%、残量の水からなる。そのうち、前記栄養添加剤は、質量比6:4:0.2のグルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの組合せである。
【0090】
前記植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0091】
(a)まず、ニンジンを-80℃で15h凍結乾燥した後、それぞれ粉砕して篩にかけて、200メッシュのニンジン粉末を得、それと同時に、上記割合でグルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、トリプトン、酵母抽出物および水を混合した後、ま
ず4℃/minの昇温速度、400rpmの回転数で32℃に昇温し、そして2.5℃/minの昇温速度、200rpmの回転数で37℃に昇温し、最後、37℃で2min維持して、培地混合液を得た。
【0092】
(b)ニンジン粉末と培地混合液を混合し、600rpmの回転数で10min撹拌し、滅菌して用意した。
【0093】
(c)無菌条件で、栄養添加剤を植物組成物含有スエヒロタケ培地に添加し、0.22μmの濾過膜を通過して用意し、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地を得た。
【0094】
[比較調製例4]
本比較調製例は、イチゴおよび基本培地を含む植物組成物含有スエヒロタケ培地を提供する。
【0095】
そのうち、イチゴの濃度は5g/Lである。
【0096】
そのうち、前記基本培地は、質量%で、グルコース6%、リン酸二水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.01%、トリプトン0.4%、酵母抽出物0.2%、栄養添加剤0.05%、残量の水からなる。そのうち、前記栄養添加剤は、質量比6:4:0.2のグルタミン酸、グルタチオンおよびニコチンアミドの組合せである。
【0097】
前記植物組成物含有スエヒロタケ培地の調製方法は、以下のステップを含む。
【0098】
(a)まず、イチゴを-80℃で15h凍結乾燥した後、それぞれ粉砕して篩にかけて、200メッシュのイチゴ粉末を得、それと同時に、上記割合でグルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、トリプトン、酵母抽出物および水を混合した後、まず4℃/minの昇温速度、400rpmの回転数で32℃に昇温し、そして2.5℃/minの昇温速度、200rpmの回転数で37℃に昇温し、最後、37℃で2min維持して、培地混合液を得た。
【0099】
(b)イチゴ粉末と培地混合液を混合し、600rpmの回転数で10min撹拌し、滅菌して用意した。
【0100】
(c)無菌条件で、栄養添加剤を植物組成物含有スエヒロタケ培地に添加し、0.22μmの濾過膜を通過して用意し、前記植物組成物含有スエヒロタケ培地を得た。
【0101】
[実施例1]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供する。具体的には、前記調製方法は以下のステップを含む。
【0102】
(1)PDA斜面培地でスエヒロタケ菌種を活性化させ、菌糸が斜面全体に成長したまで、27℃、160rpmの条件下で6日間培養し、斜面の菌種を液体培地に移して(前記液体培地は、質量%で、グルコース3%、リン酸二水素カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.01%、酵母エキス0.1%、残量の水からなる)、3日間拡大培養し、活性化されたスエヒロタケシード液を得た。
【0103】
(2)活性化されたスエヒロタケシード液を、2vol%の接種量で、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に接種し、培養した後(前記培養は撹拌下で行い、培養の回転数が160rpmであり、培養の温度が27℃であり、培養の時間が72hであり)、スエヒロタケ発酵生成物を収集した。
【0104】
[実施例2]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例2に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0105】
[実施例3]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例3に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0106】
[実施例4]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例4に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0107】
[実施例5]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例5に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0108】
[実施例6]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例6に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0109】
[実施例7]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例7に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0110】
[実施例8]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例8に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0111】
[実施例9]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例9に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0112】
[実施例10]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を調製例10に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0113】
[比較例1]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を比較調製例1に係る培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0114】
[比較例2]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を比較調製例2に係る培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0115】
[比較例3]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を比較調製例3に係る培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0116】
[比較例4]
本実施例は、スエヒロタケ発酵生成物の調製方法を提供し、調製例1に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地を比較調製例4に係る培地に置き換える点だけで実施例1と異なる。
【0117】
[試験例1]
シゾフィランの含有量の測定
試験サンプル:実施例1~10に係るスエヒロタケ発酵生成物、および比較例1~4に係るスエヒロタケ発酵生成物。
【0118】
試験原理:シゾフィランの含有量は、発酵生成物の重要な判断指標とすることもできる。計算方法は、シゾフィランの含有量=総糖の含有量-還元糖の含有量である。
【0119】
試験方法:
I.硫酸-フェノール法により発酵生成物の総糖の含有量を測定した。多糖は、濃硫酸の作用下で、まず単糖に加水分解され、さらに迅速に脱水してフルフラール誘導体を生成し、フェノールと反応してオレンジ色の溶液を生成し、490nmに極大吸収を有する。グルコースを標準品として、発酵生成物の総糖の含有量を測定した。具体的な操作ステップは以下の通りである。
【0120】
(1)10.0mLの栓付試験管に、一定の倍数に希釈した試験液を1.0mL添加した。
【0121】
(2)5%のフェノール溶液を1.0mL添加してから、迅速に液面に垂直のように5.0mLの濃硫酸を添加し、10min静置した。ボルテックス振とう機を用いて反応液を十分に混合させた後、栓付試験管を30℃水浴に置き、20min反応した。
【0122】
(3)対応する試薬によりブランクゼロ点の調整を行い、490nmにおいて吸光度を測定した。
【0123】
計算式:総糖の含有量(mg/mL)=吸光度に対応するグルコースの濃度×希釈倍数N。
【0124】
II.DNS法により、発酵生成物還元糖の含有量を測定した。還元糖は、アルカリ性条件下で糖酸および他の生成物に酸化されることができるが、酸化剤である3,5-ジニトロサリチル酸は、赤褐色の3-アミノ-5-ニトロサリチル酸に還元された。一定の範囲内、還元糖の量と赤褐色物質の色の濃淡とは比例関係にあり、分光光度計により550nmにおいてその吸光度を測定した。グルコースを標準品として、発酵生成物の還元糖の含有量を測定した。具体的な操作ステップは、以下の通りである。
【0125】
(1)10mLの栓付試験管に、一定の倍数に希釈した試験液を1.0mL添加した。
【0126】
(2)DNS溶液を3.0mL添加し、沸騰水浴で5minの後、顕色し、冷却した後、水で25.0mLまでメスアップし、十分に振り混ぜた。
【0127】
(3)対応する試薬によりブランクゼロ点の調整を行い、550nmにおいて吸光度を測定した。
【0128】
計算式:還元糖の含有量(mg/mL)=吸光度に対応するグルコースの濃度×希釈倍数N。
【0129】
具体的な試験結果を表1に示す。
【0130】
【0131】
表1の試験結果から分かるように、本発明により調製されたスエヒロタケ発酵生成物は、総糖の含有量が5~10mg/mLであり、還元糖の含有量が0.57~0.83mg/mL以上であり、シゾフィランの含有量が4.14mg/mL以上である。これにより、本発明は、改良された基本培地にニンジンおよびイチゴを添加することで、スエヒロタケ発酵生成物におけるシゾフィランの含有量を向上させることができることが判明した。
【0132】
[試験例2]
耐酸化能力試験
試験サンプル:実施例1~10に係るスエヒロタケ発酵生成物、および比較例1~4に係るスエヒロタケ発酵生成物。
【0133】
試験方法:
1、スーパーオキシドアニオンラジカルに対する消去能力についての評価
0.05mol/L、pH=8.2のTris-HCl緩衝液を4.5mL取り、25℃の水浴釜で20min予熱した。さらに、1mLの試料および0.4mLの25mmol/Lのピロガロール溶液を添加し、均一に混合した後、25℃の水浴で5min反応させ、8mol/LのHClを1.0mL添加して反応を終止させた。Tris-HCl緩
衝液を参照として、299nmにおいて吸光度値を測定した。ブランクについては、1mLの試料の溶媒でサンプルを代替した。
【0134】
スーパーオキシドアニオンラジカル消去率(%)=[1-(A2/A1)]×100%
(式中、A1は、ブランクの吸光度値であり、A2は、サンプルの吸光度値である。)
【0135】
2、ヒドロキシルラジカルに対する消去能力についての評価
25mLのキュベットに、順次に2mmol/LのFeSO4を3mL、1mmol/LのH2O2を3mL添加し、均一に振り混ぜ、次に、6mmol/Lのサリチル酸を3mL添加し、均一に振り混ぜ、37℃の水浴で15min加熱した後に取り出して、その吸光度を測定した。それぞれ、一定濃度の試験液を添加し、均一に振り混ぜ、続いて、水浴で15min加熱して、取り出してその吸光度を測定した。下記式は、試験液のヒドロキシルラジカル(・OH)に対する消去率である。
【0136】
ヒドロキシルラジカル消去率(%)=[A1-A2-(A1-A3)]/A1×100%
(式中、A1は薬品を添加しない前の反応系の吸光度値であり、A2はサンプルによる・OH消去後の反応系の吸光度値であり、A3はブランクによる・OH消去後の反応系の吸光度値である。)
【0137】
3、DPPHラジカルに対する消去能力についての評価
試験は、Larrauri JAに規定する方法を参照して、20mmol/LのDPPH溶液を調製した。被験サンプル溶液:超純水で実施例1~10に係るシゾフィラン組成物および比較例1~5に係る組成物を希釈し、質量濃度0.1%の溶液を得た。試験管へ被験サンプル溶液2.0mLおよび20mmol/LのDPPH溶液2.0mLを取り、均一に混合した後、30min反応させ、517nmにおいて吸光度値を測定した。無水エタノールをブランクとし、吸光度値からDPPH抑制率を算出した。
【0138】
DPPHラジカル抑制率(%)=[1-(A1-A2)/A3]×100%
(ただし、A1は2.0mLのDPPH溶液と2.0mLの被験サンプル溶液の吸光度であり、A2は2.0mLの被験サンプル溶液と2.0mLの無水エタノールの吸光度であり、A3は2.0mLのDPPH溶液と2.0mLの無水エタノールの吸光度であり、3回平行試験して平均値を取った。)
【0139】
具体的な試験結果を表2に示す。
【0140】
【0141】
表2の試験データから分かるように、本発明により調製されたスエヒロタケ発酵生成物は、良好な耐酸化、およびDPPHラジカルを消去する能力を有し、スーパーオキシドアニオンラジカルに対する消去率が39.86%以上であり、ヒドロキシルラジカルに対する消去率が37.90%以上であり、DPPHラジカルに対する抑制率が74.98%以上である。本発明に係る植物組成物含有スエヒロタケ培地はスエヒロタケの発酵を促進できること、得られたスエヒロタケ発酵生成物はさらに、DPPHラジカル、ヒドロキシルラジカルおよびスーパーオキシドアニオンラジカルに対して消去作用し、皮膚組織の耐酸化能力を補強させ、皮膚組織のラジカルの含有量を低下させることができることが判明した。
【0142】
[試験例3]
保湿性能試験
試験サンプル:実施例1~10に係るスエヒロタケ発酵生成物、および比較例1~2に係るスエヒロタケ発酵生成物。
【0143】
試験方法:
乾燥肌の人群れを選択し、年齢が20~45歳であり、ランダムに14群に分け、1群当たり10人である。被験前15日間、被験部位は、いずれかの製品(化粧品、外用薬剤、内服健康製品)も使用不可である。試験前に、被験者には、顔面を洗浄し、洗浄後の2hに気候制御室(22±1℃、相対湿度50%)に入り、リラックスしたまま20min以上静かに座ったことを求めた。
【0144】
試験中、ランダムテーブルに従って半分の顔の試験を行った。ボランティアの左右鼻唇溝の部分を選択して皮膚含水量(%)および水分損失(TEWL)([g/(m2h)])試験を行い、3つの値の平均値を、左右鼻唇溝の含水量データ(d0)および鼻唇溝の皮膚の水分損失(TEWL)のデータ(d0)とする。試験終了後、ボランティアが要求に従って使用する必要があり、28日間連続使用し、試験者には試験の14日目(d14)および28日目(d28)に再訪問することを求めた。試験結果を表3に示す。
【0145】
【0146】
表3の試験結果から分かるように、本発明の実施例1~10で調製したスエヒロタケ発酵生成物は、比較例1~4のスエヒロタケ発酵生成物に比較して、皮膚に対する良好な保湿効果を有し、皮膚角質層の含水量を明らかに向上させ、皮膚の外への水分損失を減少させることができる。具体的には、試験の14日目の皮膚含水量が35.82%以上であり、28日目の皮膚含水量が43.08%以上であり、14日目の皮膚の水分損失が27.20g/(m2h)以下であり、28日目の皮膚の水分損失が22.59g/(m2h)以下であると体現した。
【0147】
[試験例4]
抗老化能力試験
試験サンプル:実施例1~10に係るスエヒロタケ発酵生成物、および比較例1~4に係るスエヒロタケ発酵生成物。
【0148】
試験方法:
(1)エラスターゼ抑制率
50μLのサンプル、100μLの0.9U/mLのエラスターゼおよび100μLのTris-HCl緩衝液を、25℃で20minインキュベートした。その後、50μLのMAAPVN溶液を添加して反応を開始させた。サンプルブランクについては、MAAPVNを代替して50μLのTris-HCl緩衝液を添加した。25℃で60minインキュベートした後、410nmにおいて吸光度値を測定した。
【0149】
【数1】
(式中、A1はサンプルを添加し、MAAPVNを添加したものであり、A2はサンプルを添加し、MAAPVNを添加しなかったものであり、B1はサンプルを添加せず、MAAPVNを添加したものであり、B2はサンプルを添加せず、MAAPVNを添加しなかったものであり、T’は対応するサンプルのエラスターゼに対する抑制率(%)である。)
【0150】
(2)コラゲナーゼに対する抑制活性
2mLの試験管には、試験群として、それぞれ25μLのコラゲナーゼ(1mg/mL)、50mMのTES緩衝液およびサンプル(2mg/mL)を添加し、ブランクとして、75μLのTES緩衝液を含み、陰性対照群として、25μLのプロテイナーゼおよび50μLのTES緩衝液を含み、陽性対照群として、それぞれ25μLのプロテイナーゼ、TES緩衝液およびEDTA(1mg/mL)を含み、溶媒対照群Tとして、それぞれ、25μLのプロテイナーゼ、TES緩衝液およびサンプルを溶解させる溶媒を含んだ。37℃のインキュベーターで20min培養した後、それぞれ100μLのFALGPAを添加し、37℃で継続して1h培養した。そして、各試験管に100μLの200mMのクエン酸塩緩衝液および100μLのニンヒドリン溶液を添加した。すべての試験管を100℃の水浴釜で水浴を5min行い、室温まで冷却させた後、それぞれ200μLの50%のイソプロパノール溶液を添加した。均一に混合した後、試験管における溶液をそれぞれ200μL取って96ウェルプレートへ転移し、多機能蛍光マイクロプレートリーダーを用いて540nmにおいて吸光度Aを測定した。3回繰り返した。計算してエラスターゼ抑制率を得た。
【0151】
コラゲナーゼ抑制率(%)=(Ac-At/Ac)×100%
【0152】
ここで、Acは溶媒対照群の吸光度値であり、Atは陽性対照群または試験群の吸光度値である。試験結果は平均値を取った。
【0153】
具体的な試験結果を表4に示す。
【0154】
【0155】
表4の試験結果から分かるように、本発明に係るスエヒロタケ発酵生成物は、エラスターゼに対する抑制率が53.73%以上であり、コラゲナーゼに対する抑制率が27.38%以上であることから、本発明に記載の植物組成物含有スエヒロタケ培地はスエヒロタケの発酵を促進できること、得られたスエヒロタケ発酵生成物は活性化されて皮膚自身のコラーゲンの合成を促進し、セラミドの合成を刺激することができ、エラスターゼ抑制率およびコラゲナーゼ抑制率を効果的に向上させることができることが判明した。
【0156】
本発明は上記実施例によって本発明の植物組成物含有スエヒロタケ培地、およびその調製方法と使用を説明したが、本発明は上記実施例に限られるものではなく、即ち、本発明は上記実施例によって実施しなければならないものではないと出願人は声明する。当業者は、本発明に対する如何なる改良、本発明の製品の各原料への等価置換及び補助成分の追加、具体的な実施形態の選択等はいずれも本発明の保護範囲及び開示範囲に入ることを明らかにすべきである。