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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025690
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】固定構造、固定部材及び組付方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
F16B19/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124368
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2022128486
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】徳永 睦
【テーマコード(参考)】
3J036
【Fターム(参考)】
3J036AA03
3J036BA01
3J036CA01
3J036DA00
3J036DB04
(57)【要約】
【課題】ベースに固定対象部材を固定するための固定部材であって、ベースと固定対象部材との固定を解除でき、ベースと固定対象部材との間に隙間が形成されるのを抑制した形でベースと固定対象部材とを固定できる固定部材を提供する。
【解決手段】固定部材1は、ベース200に形成される取付穴202、203に嵌る軸部2と、軸部2に一体に形成された一対の弾性片3とを備える。軸部2は、ベース200に組み付けられた状態において、その先端部9が、奥側取付穴203から突出した前進位置と、奥側取付穴203に引っ込んだ後退位置との間で移動可能に設けられる。前進位置は、先端部9が、固定対象部材300の穴303に係合可能な位置である。後退位置はその係合が解除する位置である。弾性片3は、軸部2を前進位置に付勢するとともに、軸部2の後退位置への移動を許容するよう弾性変形可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに嵌る固定対象部材と、
固定部材とを備え、
前記ベースと前記固定対象部材の一方は嵌合穴が形成され、他方は前記嵌合穴に嵌る部分とを有し、
前記固定部材は、前記ベースと前記固定対象部材のうち前記嵌合穴が形成された方を組付相手部材として、その組付相手部材に組み付けられ、
前記固定部材は、
前記ベースと前記固定対象部材との嵌合方向に直角な方向である嵌合直角方向から前記嵌合穴内に突出して、前記固定対象部材を前記ベースから抜けるのを阻止する阻止部と、
前記阻止部と一体に形成されて、前記阻止部を、前記嵌合穴内に突出させた突出位置から前記嵌合穴から退避させた退避位置へと移動させる操作を受ける部分であって、その操作方向が前記嵌合直角方向に定められた操作部とを備え、
前記ベースと前記固定対象部材のうち前記組付相手部材ではない方は、前記突出位置にある前記阻止部が嵌る凹部を有し、
前記固定部材又は前記組付相手部材に一体に形成され、前記操作を受けたときに前記固定部材の前記退避位置への移動を許容するよう弾性変形し、前記操作が解除されたときにその弾性変形の反発力で前記固定部材を前記突出位置に復帰させる弾性変形部を備える、
固定構造。
【請求項2】
前記弾性変形部は、一端が前記固定部材又は前記組付相手部材に接続され、他端を自由端とした弾性片であり、
前記自由端は、前記組付相手部材の部位又は前記固定部材の部位に接触するように設けられ、
前記弾性片は、前記一端から前記他端への方向が前記操作方向に対して斜めの方向となるように設けられ、
前記弾性片は、前記操作を受けたときに前記自由端を前記組付相手部材の部位又は前記固定部材の部位の面内で前記操作方向に直角な方向に摺動させつつ弾性変形する請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記固定部材は、前記操作方向に沿って延びた軸部を有し、
前記軸部の軸方向における一端に前記阻止部が設けられ、前記軸方向における他端に前記操作部が設けられ、
前記操作方向は前記操作部を引く方向に定められる請求項1に記載の固定構造。
【請求項4】
前記弾性変形部は、一端が前記阻止部と前記操作部の間の位置で前記軸部に接続され、他端を自由端とした弾性片であり、
前記自由端は、前記組付相手部材の部位に接触するように設けられ、
前記弾性片は、前記操作方向に向かうにしたがって次第に前記軸部から遠ざかるように設けられ、前記操作を受けたときに前記自由端を前記組付相手部材の部位の面内で摺動させつつ前記自由端と前記軸部との間隔が大きくなるよう弾性変形する請求項3に記載の固定構造。
【請求項5】
前記軸部は、前記軸方向に沿った位置のうちの前記弾性片が弾性変形していない状態における前記弾性片の前記一端と前記自由端の間の位置に、前記退避位置からさらに前記操作方向への前記軸部の移動を阻止する凸部を有する請求項4に記載の固定構造。
【請求項6】
前記軸部は、その先端側に、側方に突出する先端側凸部を有し、
前記阻止部は、前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側に設けられ、
前記組付相手部材には、前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側が嵌る穴が形成されており、
前記穴は、前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側を、前記嵌合直角方向に対して斜め方向から挿入可能に形成され、かつ、前記先端側凸部を挿入不可能に形成される請求項3に記載の固定構造。
【請求項7】
前記固定部材は、前記阻止部と前記操作部の間に空洞を形成する本体部を有し、
前記阻止部は前記本体部から前記空洞の側に突出し、
前記固定部材は、前記組付相手部材の、前記嵌合穴を形成する穴形成部が前記空洞に嵌まるように前記組付相手部材に組み付けられ、
前記操作方向は前記操作部を押す方向に定められる請求項1に記載の固定構造。
【請求項8】
前記弾性変形部は、前記空洞から見て前記阻止部と同じ側の前記本体部の部位から前記空洞の反対側に突出するように設けられ、又は、前記空洞から見て前記操作部と同じ側の前記本体部の部位から前記空洞の側に突出するように設けられる請求項7に記載の固定構造。
【請求項9】
前記固定部材及び前記組付相手部材は、前記固定部材の操作時における過剰移動を阻止するよう互いに干渉する干渉部を備える請求項7に記載の固定構造。
【請求項10】
前記阻止部は、前記嵌合穴への前記阻止部の突出方向回りの周方向における一部区間に設けられ、
前記固定部材は、
前記周方向における前記阻止部の反対側に、前記固定対象部材又は前記ベースの前記嵌合穴への挿入に伴い、前記固定部材を前記退避位置に移動させる力を生じさせる挿入許容部と、
前記阻止部及び前記挿入許容部の機能が有効となる正方向を向いて前記ベースに組み付けられるのは許容し、前記正方向の逆の誤方向を向いて前記ベースに組み付けられるのは阻止する逆組付阻止部とを備える請求項1に記載の固定構造。
【請求項11】
前記固定部材及び前記組付相手部材は、前記固定部材を、前記嵌合直角方向に対して斜め方向から前記組付相手部材に入れながら前記嵌合直角方向に向けて回転するよう組み付ける際の前記固定部材の移動を案内する案内部を備える請求項1に記載の固定構造。
【請求項12】
ベースに固定対象部材を固定するための固定部材であって、
前記ベースと前記固定対象部材の一方は嵌合穴が形成され、他方は前記嵌合穴に嵌る部分とを有し、
前記固定部材は、前記ベースと前記固定対象部材のうち前記嵌合穴が形成された方を組付相手部材として、その組付相手部材に組み付けられ、
前記ベースと前記固定対象部材との嵌合方向に直角な方向である嵌合直角方向から前記嵌合穴内に突出して、前記ベースと前記固定対象部材のうち前記組付相手部材ではない方に形成された凹部に嵌ることで前記固定対象部材を前記ベースから抜けるのを阻止する阻止部と、
前記阻止部と一体に形成されて、前記阻止部を、前記嵌合穴内に突出させた突出位置から前記嵌合穴から退避させた退避位置へと移動させる操作を受ける部分であって、その操作方向が前記嵌合直角方向に定められた操作部と、
前記阻止部及び前記操作部と一体に形成され、前記操作を受けたときに前記阻止部の前記退避位置への移動を許容するよう弾性変形し、前記操作が解除されたときにその弾性変形の反発力で前記阻止部を前記突出位置に復帰させる弾性変形部と、
を備える固定部材。
【請求項13】
請求項6の固定構造における前記固定部材を前記組付相手部材に組み付ける方法であって、
前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側を、前記組付相手部材の前記穴に、前記嵌合直角方向に対して斜め方向から入れつつ、前記先端側凸部を前記穴の周縁の部位で位置決めさせる位置決めステップと、
前記先端側凸部が前記穴の周縁の部位で位置決めされた状態で、前記軸部の軸方向が前記嵌合直角方向と同方向を向くように前記固定部材を回転させる回転ステップと、
を含む組付方法。
【請求項14】
請求項7の固定構造における前記固定部材を前記組付相手部材に組み付ける方法であって、
前記組付相手部材は、組み付け状態の前記固定部材に係合して、前記固定部材が前記組付相手部材から外れるのを阻止する係合突起を有し、
前記本体部に凹部が形成され、
前記固定部材を前記嵌合直角方向に対して斜め方向から前記組付相手部材に入れながら、前記嵌合直角方向に向けて回転させるように組み付けるとともに、前記回転中に前記本体部の前記凹部に前記係合突起を嵌めて、前記凹部及び前記係合突起で前記回転を案内させる、
組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベースに固定対象部材を固定するための固定部材に関し、詳しくはその固定が解除可能な固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ベースと固定対象部材を固定するとともにその固定が解除可能な固定部材として例えば特許文献1の提案がある。特許文献1には、ベースとしての車両のシート背面等に、固定対象部材としての後付の装備部品(トレイ等)を固定する、固定部材としてのコネクタが開示されている。特許文献1のコネクタは、後付の装備部品に取り付けられる雄部材と、シート背面等に取り付けられて、雄部材が挿入される雌部材とを備える。雄部材は、軸体と、その軸体の両側面から斜めに延出する脚片と、その脚片の先端部から軸体に直交する方向に張り出す押圧片とを有している。雄部材が雌部材に挿入された状態では、雄部材の脚片に形成された突起部が雌部材に形成されたスライド孔に挿入されることで、雄部材が取り付けられる装備部品(固定対象部材)と、雌部材が取り付けられるシート背面等(ベース)とが固定された状態となる。この状態から、上記押圧片を縮径する方向に押圧すると、脚片が縮径する方向に弾性変形する。これにより、脚片の突起部が雌部材のスライド孔から外れて、雌部材と雄部材との固定、すなわちシート背面等(ベース)と後付の装備部品(固定対象部材)との固定が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4634816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、ベースと固定対象部材とが固定された状態で、雄部材の上記押圧片と、雄部材の、固定対象部材に連結される連結部とが、ベースと固定対象部材の間で露出することで、ベースと固定対象部材との間に、押圧片及び連結部に起因した隙間が形成されてしまう。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑み、ベースと固定対象部材との間に隙間が形成されるのを抑制した形でベースと固定対象部材とを固定できる固定構造、固定部材又は組付方法を提供することを第1の課題とする。また、固定部材を、ベース又は固定対象部材に容易に組み付けることができる固定構造、固定部材又は組付方法を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の固定構造は、
ベースと、
前記ベースに嵌る固定対象部材と、
固定部材とを備え、
前記ベースと前記固定対象部材の一方は嵌合穴が形成され、他方は前記嵌合穴に嵌る部分とを有し、
前記固定部材は、前記ベースと前記固定対象部材のうち前記嵌合穴が形成された方を組付相手部材として、その組付相手部材に組み付けられ、
前記固定部材は、
前記ベースと前記固定対象部材との嵌合方向に直角な方向である嵌合直角方向から前記嵌合穴内に突出して、前記固定対象部材を前記ベースから抜けるのを阻止する阻止部と、
前記阻止部と一体に形成されて、前記阻止部を、前記嵌合穴内に突出させた突出位置から前記嵌合穴から退避させた退避位置へと移動させる操作を受ける部分であって、その操作方向が前記嵌合直角方向に定められた操作部とを備え、
前記ベースと前記固定対象部材のうち前記組付相手部材ではない方は、前記突出位置にある前記阻止部が嵌る凹部を有し、
前記固定部材又は前記組付相手部材に一体に形成され、前記操作を受けたときに前記固定部材の前記退避位置への移動を許容するよう弾性変形し、前記操作が解除されたときにその弾性変形の反発力で前記固定部材を前記突出位置に復帰させる弾性変形部を備える。
【0007】
また、本開示の固定部材は、
ベースに固定対象部材を固定するための固定部材であって、
前記ベースと前記固定対象部材の一方は嵌合穴が形成され、他方は前記嵌合穴に嵌る部分とを有し、
前記固定部材は、前記ベースと前記固定対象部材のうち前記嵌合穴が形成された方を組付相手部材として、その組付相手部材に組み付けられ、
前記ベースと前記固定対象部材との嵌合方向に直角な方向である嵌合直角方向から前記嵌合穴内に突出して、前記ベースと前記固定対象部材のうち前記組付相手部材ではない方に形成された凹部に嵌ることで前記固定対象部材を前記ベースから抜けるのを阻止する阻止部と、
前記阻止部と一体に形成されて、前記阻止部を、前記嵌合穴内に突出させた突出位置から前記嵌合穴から退避させた退避位置へと移動させる操作を受ける部分であって、その操作方向が前記嵌合直角方向に定められた操作部と、
前記阻止部及び前記操作部と一体に形成され、前記操作を受けたときに前記阻止部の前記退避位置への移動を許容するよう弾性変形し、前記操作が解除されたときにその弾性変形の反発力で前記阻止部を前記突出位置に復帰させる弾性変形部と、
を備える。
【0008】
本開示の固定構造又は固定部材によれば、固定部材が組付相手部材に組み付けられた状態で、阻止部の嵌合穴への突出方向、及び操作部の操作方向が、ベースと固定対象部材との嵌合方向に直角な方向である嵌合直角方向を向く。阻止部の突出方向及び操作部の操作方向が、ベースと組付相手部材との嵌合方向とは異なる方向(直角な方向)を向くことで、その嵌合方向におけるベースと固定対象部材の間に、固定部材の部位が介在するのを抑制できる。これにより、嵌合方向におけるベースと固定対象部材の間に隙間が形成されるのを抑制できる。
【0009】
また、本開示の組付方法は、
本開示の固定構造における前記固定部材を前記組付相手部材に組み付ける方法であって、
前記固定部材は、前記操作方向に沿って延びた軸部を有し、
前記軸部の軸方向における一端に前記阻止部が設けられ、前記軸方向における他端に前記操作部が設けられ、
前記操作方向は前記操作部を引く方向に定められ、
前記軸部は、その先端側に、側方に突出する先端側凸部を有し、
前記阻止部は、前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側に設けられ、
前記組付相手部材には、前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側が嵌る穴が形成されており、
前記穴は、前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側を、前記嵌合直角方向に対して斜め方向から挿入可能に形成され、かつ、前記先端側凸部を挿入不可能に形成され、
前記軸部の前記先端側凸部よりも先端側を、前記組付相手部材の前記穴に、前記嵌合直角方向に対して斜め方向から入れつつ、前記先端側凸部を前記穴の周縁の部位で位置決めさせる位置決めステップと、
前記先端側凸部が前記穴の周縁の部位で位置決めされた状態で、前記軸部の軸方向が前記嵌合直角方向と同方向を向くように前記固定部材を回転させる回転ステップと、
を含む。
【0010】
これによれば、固定部材を組付相手部材に回転組み付けする際に、先端側凸部を組付相手部材の部位に位置決めさせるので、固定部材を容易に回転させることができる。これにより、固定部材を組付相手部材に容易に組み付けることができる。
【0011】
また、本開示の組付方法は、
本開示の固定構造における前記固定部材を前記組付相手部材に組み付ける方法であって、
前記固定部材は、前記阻止部と前記操作部の間に空洞を形成する本体部を有し、
前記阻止部は前記本体部から前記空洞の側に突出し、
前記固定部材は、前記組付相手部材の、前記嵌合穴を形成する穴形成部が前記空洞に嵌まるように前記組付相手部材に組み付けられ、
前記操作方向は前記操作部を押す方向に定められ、
前記組付相手部材は、組み付け状態の前記固定部材に係合して、前記固定部材が前記組付相手部材から外れるのを阻止する係合突起を有し、
前記本体部に凹部が形成され、
前記固定部材を前記嵌合直角方向に対して斜め方向から前記組付相手部材に入れながら、前記嵌合直角方向に向けて回転させるように組み付けるとともに、前記回転中に前記本体部の前記凹部に前記係合突起を嵌めて、前記凹部及び前記係合突起で前記回転を案内させる。
【0012】
これによれば、固定部材を組付相手部材に回転組み付けする際に、固定部材に形成された凹部が、組付相手部材に形成された機能部位である係合突起に嵌って、これら凹部、係合突起で固定部材の回転を案内させるので、固定部材を組付相手部材に容易に組み付けることができる。また、係合突起は、組み付けられた固定部材を外れないようにする係合機能と、組み付けを案内する案内機能との両方を具備するので、係合機能の部位と、案内機能の部位とを別々に設ける場合に比べて、組付相手部材の構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の固定構造の斜視図である。
図2】第1実施形態の固定構造の、図1のII-II線での断面図であって、固定部材が前進位置にある状態の断面図である。
図3】第1実施形態の固定構造の、図1のIII-III線での断面図であって、図2の視線方向から軸線回りに90°回転させた視線方向から見た断面図である。
図4】第1実施形態の固定構造の、図2と同じ方向から見た断面図であって、固定部材が後退位置にある状態の断面図である。
図5】第1実施形態のベース及びそれに取り付けられた固定部材を、ベースの裏側から見た斜視図である。
図6】第1実施形態の固定部材の斜視図である。
図7】第1実施形態の固定部材の側面図(左側面図)である。
図8】第1実施形態の固定部材の正面図であって、図7の視線方向から軸線回りに90°回転させた視線方向から見た図である。
図9】第1実施形態のベースに形成された手前側取付穴及びこれに面内方向に導通する導通穴の平面図を含んだ、ベースの下面図である。
図10】第1実施形態におけるベースに固定部材を斜め方向から組み付ける様子を示した図である。
図11】固定対象部材の別例としてベースの前面開口を閉塞する閉塞部材を備えた固定構造の斜視図である。
図12】第2実施形態に係る固定構造を示す図である。
図13】比較例の固定構造の図である。
図14図13のA部の拡大図である。
図15】第3実施形態の固定構造の斜視図である。
図16】第3実施形態の固定構造をベースの裏側から見た図であって、固定部材が、固定対象部材を固定する位置にある状態を示す図である。
図17】第3実施形態の固定構造の、図16のXVII-XVII線での断面図である。
図18】第3実施形態の固定構造をベースの裏側から見た図であって、固定部材が、固定対象部材の固定を解除する位置にある状態を示す図である。
図19】第3実施形態の固定構造の、図18のXIX-XIX線での断面図であって、固定対象部材がベースから抜き取られる様子を示す図である。
図20】第3実施形態の固定部材の平面図である。
図21】第3実施形態の固定部材の右側面図である。
図22】第3実施形態の固定部材の、図20のXXII-XXII線での断面図である。
図23】第3実施形態の固定部材の、図20のXXIII-XXIII線での断面図である。
図24】第3実施形態のベースを裏側から見た斜視図である。
図25】第3実施形態のベースを裏側から見た平面図(裏面図)である。
図26】第3実施形態のベースの、図25のXXVI-XXVI線での断面図である。
図27】第3実施形態のベースの、図25のXXVII-XXVII線での断面図である。
図28】第3実施形態のベースの、図25のXXVIII-XXVIII線での拡大断面図である。
図29】第3実施形態のベースの、図25のXXIX-XXIX線での断面図である。
図30】第3実施形態における固定部材をベースに組み付ける様子を示し、固定部材が斜め方向からベースに入れられた様子を示す図である。
図31】第3実施形態における固定部材をベースに組み付ける様子を示し、図30に続いて、固定部材がベースの収容空間に向けて回転させる様子を示す図であって、固定部材の第2突出部がベースの部位に干渉して撓んだ状態を示す図である。
図32】第3実施形態における固定部材をベースに組み付ける様子を示し、図31に続いて、固定部材の回転をさらに進めた様子を示す図であり、固定部材の第2突出部が元の状態に復帰した状態を示す図である。
図33】第3実施形態における固定部材がベースに逆組み付けされる様子を示す図である。
図34】第4実施形態の固定構造のベースの裏側から見た図である。
図35】第5実施形態の固定構造をベースの裏側から見た図である。
図36】第6実施形態の固定構造をベースの裏側から見た図である。
図37】第6実施形態の固定構造の断面図であって、図36のXXXVII-XXXVII線での断面図である。
図38】第6実施形態の固定部材の正面図である。
図39】第6実施形態の固定部材の背面図である。
図40】第6実施形態の固定部材の右側面図である。
図41】第6実施形態の固定部材の左側面図である。
図42】第6実施形態の固定部材の上面図(平面図)である。
図43】第6実施形態の固定部材の下面図である。
図44図36のA部の拡大図であって、操作部が操作されていない状態の図である。
図45図36のA部と同じ部位の拡大図であって、操作部が操作された状態の図である。
図46】ベースとそれを支持する支持部材とが一体に形成された第1例(図46A)と第2例(図46B)とを示す図である。
図47】第7実施形態の固定部材の第1の斜視図(図47A)及び第2の斜視図(図47B)である。
図48】第7実施形態の固定部材の正面図(図48A)、背面図(図48B)、右側面図(図48C)、平面図(上面図)(図48D)、及び下面図(図48E)である。
図49】押操作型(プッシュ型)の固定構造における節度感付与構造の第1変形例の図(図49A)、第2変形例の図(図49B)、第3変形例の図(図49C)、第4変形例の図(図49D)、第5変形例の図(図49E)、及び第6変形例の図(図49F)である。
図50】押操作型の固定構造における節度感付与構造の第7変形例の図(図50A)、図50Aのベース側に形成される撓み変形部の斜視図(図50B)、第8変形例の図(図50C)、第9変形例の図(図50D)、第10変形例の図(図50E)、及び図50EのV-V線での断面図(図50F)である。
図51】押操作型の固定構造における節度感付与構造の第11変形例の図である。
図52図51のLII-LII線での断面図である。
図53】引操作型(プル型)の固定構造における節度感付与構造の第1変形例の図である。
図54図53のLIV-LIV線での断面図である。
図55】引操作型の固定構造における節度感付与構造の第2変形例の図である。
図56図55の相手部材(ベース)に形成される撓み変形部を、図55の下方から見た図(平面図)である。
図57】引操作型の固定構造における節度感付与構造の第3変形例の図である。
図58】引操作型の固定構造における節度感付与構造の第4変形例の図である。
図59】押操作型の固定構造における節度感付与構造の第12変形例の図であって、固定構造を裏側から見た図(図59A)、図59AのLIX-LIX線での断面図(図59B)、及び図59BのB部の拡大図(図59C)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1図4は、ベース200に固定対象部材300を固定する固定構造100を示す。固定構造100は、ベース200と、それに支持される固定対象部材300と、ベース200と固定対象部材300とを固定するための固定部材1とを備える。固定構造100は例えば車両(例えば車室)に搭載されるが、車両以外の位置に設けられてもよい。先ず、図6図8も参照して、固定部材1について説明する。
【0015】
(固定部材1の構成)
固定部材1は、その全部が、ポリプロピレン、ポリアミド等の合成樹脂により形成された樹脂製部品である。固定部材1は例えば射出成形により形成される。固定部材1は組付相手部材としてのベース200に組み付けられる。詳しくは、固定部材1は、ベース200に組み付けられた場合に、その組付状態を保持しつつ、固定対象部材300をベース200に着脱可能に固定するための部品である。固定部材1は、軸部2と、軸部2に一体に形成された一対の弾性片3と、軸部2の基端に設けられた座部4と、座部4から軸部2の反対側に突出するように設けられた突出部5とを備える。これら各部2、3、4、5は同一の樹脂材料にて一体に形成されている。
【0016】
軸部2は、固定部材1がベース200に組み付けられた組付状態において、ベース200に形成された取付穴201に嵌められた(挿入された)状態に設けられる(図2図4参照)。詳しくは、軸部2は、図6図8に示すように、座部4の座面4aから直線状に起立するように設けられる本体部6を有する。本体部6は、軸部2の中心軸線L1(以下、単に軸線という場合がある)を規定する部分であり、座面4aから、座面4aに直角な方向に延びるように設けられる。本体部6は、本体部6の先端部9からの一部を構成する第1部分7と、残部を構成する第2部分8とを含む。第2部分8は、第1部分7の基端から、座面4aまでの部分を構成する。
【0017】
第1部分7は、軸線L1に直角な断面が第2部分8のそれと異なる形状に形成され、具体的には第2部分8の断面よりも小さい形状に形成されている。第1部分7の前記断面は例えば非円形に形成され、本実施形態では正方形に形成される。なお、前記正方形の4つの角部は面取りがされている。なお、第1部分7の前記断面は正方形以外の形状(例えば長方形、楕円形など)でもよい。
【0018】
第1部分7の先端部9は、ベース200に組み付けられる固定対象部材300に係合させて、固定対象部材300の所定方向P1(具体的には、固定対象部材300の、ベース200からの抜き取り方向)(図3参照)の動きを阻止するための阻止部として機能する。先端部9は、軸線L1上に位置する。また先端部9は、一対の弾性片3の間の間隔を2等分する線(軸線L1と同じ)上に位置する。先端部9の側面の一部9a(図3図7図8参照)は、固定対象部材300の所定方向P1の動きを規制する規制面(阻止部)として機能する。その規制面9aは軸線L1に平行な面に形成され、換言すれば前記所定方向P1に直角な面に形成される。規制面9aは、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、前記所定方向P1の反対方向P2(固定対象部材300の、ベース200への挿入方向)(図3参照)を向くように設けられる。
【0019】
先端部9の、周方向における規制面9aの反対側の面9b(図3図7参照)は、固定対象部材300の、前記反対方向P2の動きを許容する面に形成される。具体的には、面9bは、反対方向P2の力が面9bに加えられたときに、軸線L1の方向(以下、軸方向という場合がある)における軸部2の先端側から基端側への方向(以下、後退方向という場合がある)に軸部2を移動させる力を生じさせるように形成される。より具体的には、面9bは、軸線L1の方向における軸部2の基端側から先端側への方向(以下、前進方向という場合がある)に進むにしたがって次第に規制面9aの方に近づくように、軸線L1に対して傾斜した面に形成される。本実施形態では、面9bは軸線L1に対して傾斜した平面に形成されるが、曲面状(例えば球面状)に形成されてもよい。面9bは、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、方向P1を向くように設けられる(図3参照)。なお、面9bが本開示の挿入許容部に相当する。
【0020】
第1部分7の、後述の先端側凸部10よりも先端側の部分(先端部9を含む)は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、ベース200に形成された奥側取付穴203に嵌められた(挿入された)状態に設けられる(図2参照)。
【0021】
本体部6の第2部分8は、第1部分7と同軸に設けられて、軸線L1に直角な断面が第1部分7のそれよりも大きい形状に形成されている。第2部分8の前記断面は例えば非円形に形成され、本実施形態では長辺と短辺とを有した四角形、すなわち長方形に形成される。なお、前記長方形の4つの角部は面取りがされている。なお、第2部分8の前記断面は長方形以外の形状(例えば正方形、楕円形など)でもよい。
【0022】
第2部分8は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、ベース200に形成された手前側取付穴202に挿入された状態に設けられる(図2図3参照)。第2部分8の径はその手前側取付穴202の径と同等(厳密には手前側取付穴202よりも若干小さい径)に設定されている。また、第2部分8の、軸線L1に直角な断面は手前側取付穴202と同様の形状に形成されている。
【0023】
軸部2は、その先端側に、本体部6の第1部分7から側方(軸線L1に直角な方向)に突出した先端側凸部10を有する。先端側凸部10は、軸線L1(軸方向)に沿った位置のうちの、本体部6の先端部9(阻止部)と、本体部6の、弾性片3との接続部(弾性片3の基端3a)との間の位置に設けられる。より具体的には、先端側凸部10は、軸方向における、先端部9と後述の三角部14との間の位置に設けられる。
【0024】
また、先端側凸部10は、第1部分7から互いに反対方向に突出するよう一対(2つ)設けられる。一対の先端側凸部10は、軸線L1に関して線対称な形状に形成される。先端側凸部10は、弾性片3及び後述の基端側凸部11が設けられる本体部6の側面と同じ側の側面から突出する。一方の先端側凸部10の先端と、他方の先端側凸部10の先端との間の幅d1(換言すれば、軸部2の、先端側凸部10の位置での軸線L1に直角な方向の幅)(図8参照)は、ベース200の奥側取付穴203の径よりも大きい。すなわち、一対の先端側凸部10は奥側取付穴203に挿入不可能に設けられる。なお、軸部2の、先端側凸部10よりも先端側の部分は、奥側取付穴203に挿入可能に設けられる。
【0025】
先端側凸部10は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、軸部2がベース200から前進方向に抜けるのを妨げる前進抜け止め部として機能する。すなわち、先端側凸部10は、図2に示すように、ベース200への組付状態において、軸部2の先端部9が固定対象部材300に係合可能な前進位置にあるときに、ベース200の、奥側取付穴203を形成する部位205に当たって、その前進位置からさらに前進方向への軸部2の移動を規制する。なお、前進位置は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、軸部2の先端部9が奥側取付穴203の外側(固定対象部材300が嵌合するベース200の嵌合空間207)に突出する位置である。
【0026】
また、先端側凸部10は、固定部材1をベース200に組み付ける際に、軸部2の、先端側凸部10よりも先端側の部分を奥側取付穴203に挿入させた状態に位置決めする先端側位置決め部として機能する。具体的にいえば、固定部材1は、ベース200の取付穴202、203の中心線L2(図2図3参照)の方向(換言すれば、固定対象部材300の抜き取り方向P1に直角な方向である嵌合直角方向)に対して斜め方向から挿入された後に中心線L2の方向に向けて回転されるようにベース200に組み付けられる。先端側凸部10は、この組み付けの際に前記斜め方向の挿入の終わりとなる位置で、ベース200の奥側取付穴203の周縁の部位に当たって、その部位で位置決めされた状態で前記回転の中心となるように設けられる。
【0027】
軸部2は、図6図8に示すように、先端側凸部10よりも軸部2の基端側に、本体部6の第2部分8から側方(軸線L1に直角な方向)に突出した基端側凸部11を有する。基端側凸部11は、軸線L1(軸方向)に沿った位置のうちの、弾性片3が弾性変形していない自然状態における弾性片3の基端3aと先端3bの間の位置に設けられる。
【0028】
また、図8に示すように、基端側凸部11は、第2部分8から互いに反対方向に突出するよう一対(2つ)設けられる。一対の基端側凸部11は、軸線L1に関して線対称な形状に形成される。基端側凸部11は、弾性片3及び先端側凸部10が設けられる本体部6の側面と同じ側の側面から突出する。また、図8の方向から見て、一方の基端側凸部11は、一方の弾性片3と第2部分8とに挟まれた空間に位置する。他方の基端側凸部11は、他方の弾性片3と第2部分8とに挟まれた空間に位置する。
【0029】
一方の基端側凸部11の先端と、他方の基端側凸部11の先端との間の幅d2(換言すれば、軸部2の、基端側凸部11の位置での軸線L1に直角な方向の幅)(図8参照)は、ベース200の手前側取付穴202の径よりも大きい。すなわち、一対の基端側凸部11は、手前側取付穴202の中心線L2の方向から手前側取付穴202に出し入れすることが不可能に設けられる。
【0030】
基端側凸部11は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、軸部2がベース200から後退方向に抜けるのを妨げる後退抜け止め部として機能する。詳しくは、基端側凸部11は、ベース200への組付状態において、軸部2の先端部9が前進位置から、固定対象部材300との係合を解除する後退位置に移動するのを許容しつつ、その後退位置からさらに後退方向への軸部2の移動を規制する。すなわち、基端側凸部11は、軸部2が前進位置にあるときに、ベース200の、手前側取付穴202を形成する部位204に接触しないで、その部位204との間に、軸方向に間隔を形成するように設けられる(図2参照)。基端側凸部11は、軸部2が後退位置にあるときに、前記部位204に接触するように設けられる(図4参照)。
【0031】
なお、前記後退位置は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、軸部2の先端部9が奥側取付穴203内に引っ込む位置(ベース200の嵌合空間207から退避した退避位置)である。また、後退位置は、先端部9が奥側取付穴203に挿入された状態を保持する位置である。すなわち、基端側凸部11は、先端部9をベース200の嵌合空間207から退避させつつ、奥側取付穴203に挿入された状態を保持させる後退位置を規定する。
【0032】
また、基端側凸部11は弾性片3の過剰変形を阻止する部分としても機能する。すなわち、基端側凸部11は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、弾性片3の弾性反発力が失われない程度に弾性片3が弾性変形するのは許容する一方で、弾性反発力が失われる程に弾性片3が過剰変形するのは禁止する。
【0033】
また、軸部2は、図7図8に示すように、第2部分8に付加された付加部12を有する。付加部12は、第2部分8の側面から、軸線L1に直角な方向に隆起するように設けられる。付加部12は、第2部分8の、長方形断面の長辺を面内に含む2つの側面8a、8bのうちの一方8aに設けられる。他方の側面8bには付加部12は設けられていない。付加部12は、図8の方向から見て、側面8aの幅(軸線L1に直角な方向の幅)の中央に位置するとともに、第2部分8の基端(換言すれば座部4)から軸方向に延びるように設けられる。図8の例では、付加部12は、第2部分8の基端(座部4)から、基端側凸部11と同等の軸方向位置まで延びている。
【0034】
また、付加部12は、弾性片3、先端側凸部10、及び基端側凸部11が設けられる本体部6の側面に対して軸線L1回りに90°の角度位置となる本体部6の側面8aに設けられる。すなわち、付加部12の本体部6(第2部分8)からの突出方向は、先端側凸部10及び基端側凸部11の突出方向との間で90°の角度差を有する。
【0035】
付加部12は、ベース200に対する軸部2(固定部材1)の軸線L1回りの組付方向を特定の一方向に限定する組付方向限定部として機能する。すなわち、付加部12は、ベース200に対する軸部2(固定部材1)の軸線L1回りの向き(組付方向)が特定の一方向の場合にベース200への固定部材1の組み付け(換言すれば、軸部2とベース200の取付穴202、203との嵌合)を許容する一方で、組付方向が特定の一方向以外の方向の場合にはベース200への固定部材1の組み付け(換言すれば、軸部2と取付穴202、203との嵌合)を禁止するように設けられる。
【0036】
具体的にいえば、ベース200の手前側取付穴202は、図9に示す平面視で見て、手前側取付穴202の中心回りの周方向における一部が開いた形状に形成される。そして、軸部2の、付加部12が設けられる側面8aの反対側の側面8bを、手前側取付穴202の内面のうちの、手前側取付穴202の開いた部分202aに対向する部分202bの方に向けた状態で、固定部材1をベース200に組み付ける場合に、その組み付け(換言すれば軸部2と取付穴202、203との嵌合)が許容される。一方、軸部2の、側面8b以外の側面(例えば、付加部12が設けられる側面8a)を、手前側取付穴202の前記内面202bの方に向けた状態で、固定部材1をベース200に組み付けようとしても、付加部12がその内面202bに当たることで、軸部2の軸線L1を、取付穴202の中心線L2に一致させることができない。つまり、固定部材1のベース200への組み付け(換言すれば軸部2と取付穴202、203との嵌合)は不可能である。
【0037】
さらに、ベース200に対する軸部2(固定部材1)の軸線L1回りの組付方向について説明する。ベース200は、手前側取付穴202の前記内面202bに連続して、取付穴202の中心線L2に平行に、奥側取付穴203へと延びた延設面209(図3参照)を有する。軸部2の、付加部12が設けられる反対側の側面8bがその延設面209に対向する場合に、固定部材1とベース200との組み付けが許容される。一方、軸部2の側面8b以外の側面を延設面209の方に向けた場合には、付加部12によって、固定部材1とベース200との組み付けは不可能である。
【0038】
さらに説明すると、先端部9の規制面9aが、固定対象部材300の移動規制方向P1(ベース200からの抜き取り方向)の反対方向P2(図3参照)である正方向を向いている場合に、固定部材1とベース200との組み付けが許容される。一方、規制面9aが、固定対象部材300の移動規制方向P1である誤方向(逆方向)を向いている場合には、付加部12によって、固定部材1とベース200との組み付けが不可能である。別の言い方をすれば、先端部9の傾斜面9bが上記移動規制方向P1を向いている場合に、固定部材1とベース200との組み付けが許容される一方で、傾斜面9bが移動規制方向P1の反対方向P2を向いている場合にはその組み付けが不可能である。なお、付加部12が本開示の逆組付阻止部に相当する。
【0039】
軸部2は、図8に示すように、弾性片3を支持する支持部13を有する。支持部13は、弾性片3の個数に合わせて2つ(一対)設けられる。一対の支持部13は、軸部2の軸線L1に関して線対称な形状に形成される。各支持部13は、軸方向における軸部2の第1部分7と第2部分8との境界位置に設けられる。より具体的には、支持部13は、基端側凸部11よりも先端側に設けられ、かつ、基端側凸部11から軸方向に距離をあけて設けられる。また、支持部13は、先端側凸部10及び後述の三角部14よりも基端側に設けられる。また、支持部13は三角部14の底辺に接続されている。
【0040】
各支持部13は、軸部2の本体部6から側方(軸線L1に直角な方向)に突出するように設けられる。支持部13の突出方向は、先端側凸部10及び基端側凸部11の突出方向と同じである。
【0041】
軸部2は、図6図8に示すように、一対(2つ)の三角部14を有する。三角部14は、軸方向における先端側凸部10と支持部13の間の位置に設けられる。各三角部14は、軸部2の第1部分7の側面から側方(軸線L1に直角な方向)に突出するように設けられる。三角部14は、先端側凸部10が設けられる第1部分7の側面に設けられる。すなわち、三角部14の軸部2からの突出方向は先端側凸部10及び基端側凸部11の突出方向と同じである。また、一対の三角部14は軸線L1に関して線対称な形状に形成される。
【0042】
三角部14は第1部分7及び支持部13を補強する補強リブとして機能する。詳しくは、三角部14は、直角三角形状の板部14aと、その板部14aが形成する直角三角形の斜辺に一致するように設けられる斜辺部14bとを有する。板部14aの底辺が支持部13に接続されている。板部14aの、底辺に直角な辺が第1部分7の側面に接続されている。
【0043】
斜辺部14bは、板部14aの表面から、その表面に直角な方向(図8の紙面に直角な方向)に出っ張るように設けられる。また、斜辺部14bの、軸線L1に対する傾斜角は、弾性変形していない自然状態における弾性片3の、軸線L1に対する傾斜角と同じ角度に設定される。換言すれば、図8の方向から見て、斜辺部14bと弾性片3とで一直線を描く。
【0044】
軸部2は、弾性片3と前進抜けとめ部として機能する座部4及び先端側凸部10とによって、ベース200に組み付けられた組付状態を保持しつつ、その先端部9がベース200の奥側取付穴203から嵌合空間207に突出した前進位置(突出位置)と、奥側取付穴203内に引っ込んだ後退位置(退避位置)との間で軸方向に移動可能に設けられる。また、軸部2は、ベース200に組み付けられた組付状態において、その軸線L1が、固定対象部材300のベース200からの抜き取り方向P1に直角な方向(嵌合直角方向)を向くように設けられる。なお、図2図4では、組付状態において軸線L1が車両の上下方向を向く例を示しているが、他の方向(例えば水平方向)を向いてもよい。
【0045】
弾性片3は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態において、軸部2を前進方向に付勢するように形成される。具体的には、弾性片3は、ベース200に組み付けられた状態において、軸部2に対して後退方向への外力が加えられないときには、軸部2を前進位置に保持させる一方で、前記外力が加えられたときには、軸部2の後退方向への移動を許容するように弾性変形する。そして、弾性片3は、前記外力が解除されたときにはその弾性変形の反発力で軸部2を前進位置に復帰させる。なお、弾性片3は、軸部2がベース200から後退方向に抜けるのを止める後退抜け止め部としても機能する。
【0046】
弾性片3は一対(2つ)設けられる。一対の弾性片3は、軸線L1回りの周方向における互いに180°反対側に位置する。一対の弾性片3はスタビライザー形状に形成されている。具体的には、各弾性片3は一端3aが軸部2の支持部13に接続され、他端3bを自由端とした形状に形成されている。一対の弾性片3は、軸部2を間に挟んで、軸線L1に直角な方向に間隔をあけて対向する。この間隔は座部4の方に近づくにしたがって次第に大きくなる。また、弾性片3は、図7の紙面の左右方向に所定幅d3を有した板状に形成されている。その所定幅d3は、図7の方向から見たときの軸部2の本体部6(第1部分7及び第2部分8)の、軸線L1に直角な方向の幅と同等である。
【0047】
以下、弾性片3の一端3aを基端といい、他端3bを先端という場合がある。基端3aは、支持部13の、軸部2(本体部6)からの突出方向(軸線L1に直角な方向)における先端に接続されている。弾性片3は、基端3aから先端3bへの方向が軸線L1の方向に対して斜めの方向となるように設けられる。詳しくは、弾性片3は、基端3aから先端3bに向かうにしたがって次第に軸部2の基端側(座部4の側)に接近し、かつ軸部2から遠ざかるよう軸方向(軸線L1)に対して傾斜状に設けられる。一方の弾性片3の軸部2(軸線L1)に対する傾斜角と、他方の弾性片3の軸部2(軸線L1)に対する傾斜角とは互いに同じである。また、その傾斜角は、三角部14の斜辺部14bにおける軸線L1に対する傾斜角と同じである。また、一方の弾性片3の基端3aから先端3bまでの長さと、他方の弾性片3の基端3aから先端3bまでの長さとは互いに同じである。また、一方の弾性片3の、軸線L1に直角な方向への軸部2からの突出方向と、他方の弾性片3のその突出方向とは互いに逆方向である。
【0048】
先端3bは、座部4の座面4aとの間で軸方向に間隔d4(図8参照)を形成するように設けられる。間隔d4は、ベース200の、手前側取付穴202を形成する部分204(図2参照)の厚み以下に設定されている。
【0049】
弾性片3は基端3aを基点として先端3bが軸部2からさらに遠ざかる方向及びその反対方向(軸部2に接近する方向)に変位可能に形成されている。すなわち、弾性片3は、基端3aを基点として弾性変形可能に形成されており、弾性変形した場合には元の状態に復帰させる弾性反発力を生じさせる。
【0050】
また、図7に示すように、弾性片3は、基端3aから先端3bへの延設方向に直線状に延びた2つの辺3d、3eを有する。これら辺3d、3eは互いに平行に設けられる。弾性片3は、一方の辺3dの先端側にテーパ部3cを有する。テーパ部3cは、辺3dと先端3bとの間を、弾性片3の延設方向に対して斜めに繋ぐように設けられる。すなわち、テーパ部3cは、先端3bに近づくにしたがって次第に反対側の辺3eの方に近づく形状に形成されている。テーパ部3cは一対の弾性片3のそれぞれに形成されている。
【0051】
テーパ部3cは、図7に示すように、2つの辺3d、3eのうち、軸部2の先端部9における傾斜面9bと同じ側の辺3dに形成されている。別の言い方をすれば、テーパ部3cは、付加部12が設けられる側の反対側の辺3dに形成されている。さらに別の言い方をすれば、テーパ部3cは、固定部材1を、軸部2の、先端側凸部10よりも先端側の部分がベース200で位置決めされた状態で回転させながらベース200に組み付ける際の、その回転の進行方向側に位置する辺3dに設けられる(図10参照)。その回転の後方側に位置する辺3eには、テーパ部は形成されていない。すなわち、辺3eと先端3bとは直角に接続されている。
【0052】
テーパ部3cは、固定部材1をベース200に回転させながら組み付ける際に、弾性片3がベース200の収容空間206(図10参照)に入る前に、ベース200の部位に干渉するのを抑制する干渉抑制部として機能する。
【0053】
弾性片3は、図2に示すように、固定部材1がベース200に組み付けられた組付状態でベース200に形成された収容空間206に設けられる。なお、弾性片3は、組付状態においては、ベース200と固定対象部材300との嵌合空間207には突出しない。弾性片3が収容空間206に収容された状態で、弾性片3の先端3bが、ベース200の、手前側取付穴202を形成する部分204(以下、第1板部という場合がある)の裏面204bに接触する。また、弾性片3は、収容空間206に収容された状態、かつ、座部4がベース200の第1板部204に接触した状態(つまり図2の状態)において、軸部2を前進方向に付勢する方向に若干弾性変形した状態に設けられる。すなわち、一対の弾性片3は自然状態のときよりも若干開いた状態(先端3bが軸部2から側方に遠ざかる状態)に設けられる。軸部2は、弾性片3の弾性反発力に起因した、第1板部204の裏面204bからの反力により、前進位置に保持される。
【0054】
また、一対の弾性片3は、図4に示すように、収容空間206に収容された状態において、軸部2が後退方向に移動するに伴い、図2の状態からさらに開くように弾性変形する。このとき、弾性片3の先端3bは、軸部2が後退方向に移動するに伴い、第1板部204の裏面204bに接触(摺動)しながら軸部2から側方に遠ざかる方向(固定部材1の操作方向(軸線L1の方向)に直角な方向)に移動する。
【0055】
その後、弾性片3は、軸部2を後退方向へ移動させる外力が解除されたときに、弾性反発力に起因した、第1板部204の裏面204bからの反力により、図2の状態に復帰する。弾性片3の先端3bは、図4の状態から図2の状態に復帰するときには、第1板部204の裏面204bに接触(摺動)しながら軸部2に接近する方向に移動する。
【0056】
座部4は、軸部2の第2部分8の基端に設けられて、軸部2を支持する。座部4は、軸部2及び突出部5(取手、操作部)よりも大径の台に形成される。言い換えれば、座部4は、軸線L1回りの全周に亘って軸部2及び突出部5から側方に出っ張る形状に形成される。座部4の、軸線L1に直角な方向における幅は、ベース200の手前側取付穴202とそれに面内方向に導通する導通穴210(図5図9参照)とを合わせた穴よりも大きい幅に設定されている。すなわち、座部4の幅は、固定部材1がベース200に組み付けられた状態で、手前側取付穴202及び導通穴210の双方を隠すことができる幅に設定されている。
【0057】
座部4は、軸部2がベース200から前進方向に抜けるのを止める前進抜け止め部として機能する。座部4の、軸部2側の面4a(図2参照)は、軸部2が前進位置にあるときにベース200の第1板部204の表面204aに接触することで、軸部2の前進移動を規制する前進移動規制面として機能する。前進移動規制面4aは、軸線L1に直角な平面に形成されている。
【0058】
突出部5は、座部4の前進移動規制面4aの反対側の面から、軸部2とは反対側に突出するように設けられる。突出部5は軸線L1上に位置する。また突出部5は、一対の弾性片3の間の間隔を2等分する線(軸線L1と同じ)上に位置する。突出部5は、固定部材1を操作するための操作部として機能し、具体的には例えばベース200に組み付けられた軸部2を後退方向に移動させる際にユーザにより把持される取手として機能する。突出部5の操作方向は突出部5を引く方向に定められる。突出部5は、図6図8に示すように、座部4に接続された小径部5aと、小径部5aより大径の大径部5bとを有する。大径部5bは、小径部5aの、座部4が接続される側の反対側の端部に接続されている。座部4と大径部5bの間には小径部5aに基づく凹部が形成されている。ユーザは、この凹部に指を掛けて、大径部5bを摘まむことが可能である。なお、取手の形状は突出部5に限定されず、どのような形状でもよい。
【0059】
(ベース200の構成)
次に、ベース200について説明する。ベース200は、固定部材1が組み付けられる相手となるとともに、固定対象部材300を支持するための部材である。ベース200は例えば合成樹脂製である。ベース200は、図2図4図5に示すように、所定方向に間隔をあけて対向するように設けられる第1板部204及び第2板部205を有する。その所定方向は、ベース200への固定対象部材300の嵌合方向P2及びその反対の抜き取り方向P1(図3参照)に直角な方向である。
【0060】
第1板部204及び第2板部205は、固定部材1が取り付けられる取付穴201を有する。取付穴201は、上記抜き取り方向P1(図3参照)に直角な方向に板部204、205を貫通する穴として形成されている。具体的には、取付穴201は、軸部2の基端側の部分8(第2部分)が嵌る(挿入される)ように形成される手前側取付穴202と、軸部2の先端側凸部10よりも先端側の部分が嵌る(挿入される)ように形成される奥側取付穴203とを有する。これら取付穴202、203は抜き取り方向P1に直角な同一の中心線L2上に形成される。また、取付穴202、203は、中心線L2の方向に間隔をあけて形成される。
【0061】
手前側取付穴202は、軸部2の第2部分8の、軸線L1に直角な断面(長方形断面)と同様の形状(非円形)に形成されている。具体的には、図9に示すように、手前側取付穴202は、該穴202の長手方向を規定する1つの長辺202bと、その長辺202bに直角に設けられて該穴202の短手方向を規定する2つの短辺202cとを含む。長辺202bの幅d5は短辺202cの幅d6よりも長い。長辺202bの幅d5は、軸部2の第2部分8の長方形断面における長手方向幅と同様の幅(厳密には該長手方向幅よりも若干大きい幅)に設定されている。短辺202cの幅d6は、第2部分8の長方形断面における短手方向幅と同様の幅(厳密には該短手方向幅よりも若干大きい幅)に設定されている。また、幅d6は、第2部分8の長方形断面における長手方向幅よりも短い幅に設定されている。
【0062】
また、手前側取付穴202は、その中心回りの周方向における一部が開いた形状に形成されている(図9参照)。その開いた部分202aは、取付穴202の中心から見て、長辺202bの反対側に形成されており、換言すれば長辺202bに対向した位置に形成されている。
【0063】
さらに、手前側取付穴202は、各短辺202cの、長辺202bに接続される側の反対側の端部に係止部202dを有する。一方の短辺202cに形成された係止部202dと、他方の短辺202cに形成された係止部202dとの間に、上記開いた部分202aが形成される。一対の係止部202d間の間隔(開いた部分202aの幅)は、軸部2の第2部分8の長方形断面における長手方向幅より若干小さい。また、係止部202dは、固定部材1がベース200に組み付けられる際に、第2部分8が係止部202dを乗り越えて取付穴202に嵌ることが可能な形状に形成される。
【0064】
一対の係止部202dは、取付穴202に嵌められた第2部分8の、付加部12が設けられた側の側面8a(図7図8参照)に係合して、第2部分8が取付穴202の開き部202aから抜けるのを止める抜け止め部として機能する。
【0065】
第1板部204は、図3図5図9に示すように、手前側取付穴202の開き部202aを介して手前側取付穴202に導通する導通穴210を有する。導通穴210は、手前側取付穴202と同一の平面内において第1板部204を貫通するように形成される。導通穴210は、手前側取付穴202から第1板部204の面内方向における端部204c(図5参照)に向かって次第に幅(取付穴202の長辺202bに平行な方向の幅)が大きくなる形状に形成されている。換言すれば、導通穴210は、第1板部204の端部204cから取付穴202に向かうにしたがって次第に幅が小さくなる形状に形成されている。導通穴210は、手前側取付穴202が設けられる側の反対側(第1板部204の端部204cに繋がる部分)が開いた形状に形成されている。なお、端部204cはベース200の裏面211の一部を構成する。
【0066】
第1板部204は、後述の収容空間206の壁面の一部を構成する裏面204bを有する(図2参照)。この裏面204bは取付穴202、203の中心線L2に直角な平面に形成される。裏面204bは、弾性片3の先端3bを接触させて、その先端3bの摺動面として機能する。また、第1板部204は、裏面204bの反対側を向く表面204aを有する(図2参照)。表面204aは、取付穴202、203の中心線L2に直角な平面に形成される。表面204aは、座部4を接触させて、軸部2の前進方向への移動を規制する前進移動規制面として機能する。
【0067】
奥側取付穴203は、軸部2の先端側の部分の、軸線L1に直角な断面と同様に非円形の形状に形成されている。具体的にいえば、取付穴203の、中心線L2に直角な断面は四角形に形成される。より具体的には、取付穴203の、図2の方向から見たときの中心線L2に直角な方向の幅は、軸部2の第1部分7の、図2の方向から見たときの軸線L1に直角な方向の幅と同様(厳密には、第1部分7の幅より若干大きい幅)に設定されている。また、取付穴203の、図3の方向から見たときの中心線L2に直角な方向の幅は、固定対象部材300が嵌合する嵌合空間207に接近するにしたがって次第に小さくなる。すなわち、取付穴203は、中心線L2に対して傾斜した内面203aを有する。
【0068】
傾斜内面203aは、後述する収容空間206の裏面開口206a(図3図5参照)の側に形成される。図3の方向から見て、取付穴203の、傾斜内面203aの反対側の内面は、中心線L2に平行な面に形成される。また、図2の方向から見て、取付穴203の左右両側の内面は中心線L2に平行な面に形成される。すなわち、取付穴203は、収容空間206の裏面開口206a側の内面203aのみが傾斜面に形成され、他の内面は中心線L2に平行な面に形成される。なお、奥側取付穴203は、中心線L2回りの周方向における全周が閉じた形状に形成される。
【0069】
第2板部205は、後述の嵌合空間207の壁面の一部を構成するように設けられる。奥側取付穴203は嵌合空間207に該穴203の開口を形成して、収容空間206と嵌合空間207との間を導通させるよう形成される。また、第2板部205は、収容空間206の壁面の一部を構成する面205a(図2図3参照)を有する。面205aは、軸部2の先端側凸部10を接触させて、軸部2の前進方向への移動を規制する前進移動規制面として機能する。また、面205aは、固定部材1をベース200に組み付ける際に、軸部2の先端側を奥側取付穴203に挿入させた状態となるよう先端側凸部10を位置決めする位置決め部として機能する。
【0070】
ベース200は、第1板部204と第2板部205との間に、軸部2及び一対の弾性片3を収容する収容空間206を形成する。収容空間206は、取付穴202、203の中心線L2に直角な方向に開口206aを形成する(図3図5参照)。開口206aを介して、収容空間206の内側と外側とが導通している。開口206aはベース200の裏面211(図5参照)に形成されている。なお、固定対象部材300を嵌合させる嵌合空間207(嵌合穴)の前面開口207a(図5参照)を形成する面をベース200の前面としたとき、裏面211はその前面の反対側の部分である。また、裏面開口206aは、中心線L2から見て、上述の導通穴210と同じ側に形成される。
【0071】
ベース200は、収容空間206内に、取付穴202、203の中心線L2に平行な延設面209を有する(図3参照)。延設面209は、手前側取付穴202の長辺202b(図9参照)を構成する内面に連続して、奥側取付穴203まで延びている。延設面209は、ベース200に組み付けられる軸部2の側面(付加部12が設けられる反対側の側面)に対峙して、該側面を支持するように設けられる。
【0072】
ベース200は、固定対象部材300を嵌合させる嵌合穴としての嵌合空間207を有する。嵌合空間207は、間に第2板部205を挟んで、収容空間206に隣接する位置に設けられる。嵌合空間207は、取付穴202、203の中心線L2に直角な方向P1、P2(図3参照)に固定対象部材300を出し入れ可能にする空間を形成する。嵌合空間207は、固定対象部材300の一部であるフック部301(図1参照)をベース200から露出させる前面開口207aを有する(図3図5参照)。
【0073】
また、嵌合空間207は、その内壁に、方向P1、P2(図3参照)に平行に延びた凹部208(図2参照)を有する。凹部208は、図2に示すように、固定対象部材300に形成された凸部304と嵌合して、固定対象部材300をベース200への組み付け時に方向P2に案内し、ベース200からの抜き取り時に方向P1に案内する案内部として機能する。
【0074】
このように、嵌合空間207は、方向P1、P2への固定対象部材300の移動は許容し、それ以外の方向への移動は規制するように設けられる。
【0075】
ベース200は、例えば、車両の内装の一部として設けられる。ベース200は、例えば取付穴202、203の中心線L2が車両の上下方向を向くように設けられるが、上下方向以外の方向(例えば水平方向)を向くように設けられてもよい。
【0076】
(固定対象部材300の構成)
次に、固定対象部材300について説明する。固定対象部材300は、例えば合成樹脂製であり、ユーザに対して所定機能を提供する部材である。具体的には、固定対象部材300は、物(例えば、傘の柄、スマートフォンのホルダなど)を引っ掛けることが可能なフック部材として構成される。また、固定対象部材300は例えば車両の内装の一部として設けられる。さらに、固定対象部材300は、固定部材1によって、ベース200に着脱可能に設けられる。すなわち、固定対象部材300は、ベース200に方向P2(図3参照)に装着可能であるとともに、ベース200から方向P1(図3参照)に抜き取り可能である。なお、固定対象部材300は、使用時に変形することを想定した軟質部材(糸、ワイヤー、シートなど)ではなく、使用時に変形しないことを想定した硬質部材としてよい。
【0077】
詳しくは、固定対象部材300は、フック部301と、ベース200に嵌合するよう形成される嵌合部302とを有する(図1図3参照)。フック部301は、物を引っ掛けることが可能なフック形状(鉤形状)に形成されている。図1では、フック部301の曲げ方向が水平方向の例を示しているが、他の方向(例えば上下方向)でもよい。フック部301は、ベース200の嵌合空間207の前面開口207aから例えば水平方向に突出して、ベース200の外側(車室内)に露出するように設けられる。
【0078】
嵌合部302は、ベース200の前面開口207aから嵌合空間207に挿入されるように設けられる。嵌合部302には穴303(凹部)が形成されている。その穴303は、嵌合部302がベース200の嵌合空間207に嵌合した状態で、ベース200の奥側取付穴203に導通(対向)する位置に形成される。固定対象部材300がベース200に固定された状態では、穴303には固定部材1の先端部9が嵌められる(図2図3参照)。穴303は、先端部9が嵌められたときにその規制面9aに平行に対面する内面を有する。
【0079】
また、嵌合部302は凸部304を有する(図2参照)。凸部304は、方向P1、P2(図3参照)に平行に延びている。凸部304は、嵌合部302がベース200の嵌合空間207に嵌合した状態で嵌合空間207の凹部208に嵌る。
【0080】
固定対象部材300は、嵌合部302がベース200の嵌合空間207に嵌合した状態からさらに挿入方向P2(図3参照)に移動するのを規制する規制部305(図1参照)を有する。規制部305は、嵌合部302の、フック部301側の境界位置において外側に突出するように形成される。また、規制部305は、ベース200の前面開口207aの周縁に当たるように設けられる。なお、固定対象部材300の、フック部301とは反対側の部分(嵌合部302)は、固定対象部材300がベース200に支持された状態ではベース200で隠されて、ユーザに視認されない部分である。
【0081】
(固定部材1の組み付け方法)
次に、固定部材1をベース200に組み付ける(取り付ける)方法を説明する。なお、組み付けを行う者は例えば取手5を持って、固定部材1の組み付け操作を行ってよい。図10に示すように、固定部材1を、ベース200の取付穴202、203の中心線L2(換言すれば、固定対象部材300の抜き取り方向P1に直角な方向)に対して斜めに傾けた状態で、ベース200の裏面開口206a(図5も参照)から収容空間206に入れる。このとき、軸部2の軸線L1回りの向きを所定方向(正方向)に向ける。具体的には、軸部2の基端側部分8(第2部分)の、軸線L1に直角な幅のうちの長手幅が、手前側取付穴202の長辺202b(図9参照)に平行となるように、固定部材1の軸線L1回りの向きを制御する。言い換えると、軸部2の先端部9の傾斜面9bが方向P1を向き、先端部9の規制面9aが方向P2を向くように、固定部材1の軸線L1回りの向きを制御する。さらに言い換えると、軸部2の、付加部12が設けられる反対側の側面が、収容空間206内の延設面209の方を向くように、固定部材1の軸線L1回りの向きを制御する。
【0082】
そして、軸部2の先端側凸部10よりも先端側の部分を、奥側取付穴203に斜めに挿入させつつ、先端側凸部10を奥側取付穴203の周縁(第2板部205の、収容空間206側の面)で位置決めさせる(位置決めステップ)。そして、位置決めされた先端側凸部10を中心として、軸線L1が取付穴202、203の中心線L2と平行となるように、固定部材1を図10の方向Fに回転させる(回転ステップ)。そして、軸部2の基端側の部分8を手前側取付穴202に嵌めるとともに、一対の弾性片3を収容空間206に収容させる。また、座部4を第1板部204の表面204aに接触させる。以上のようにして固定部材1がベース200に組み付けられる。
【0083】
固定対象部材300は、固定部材1がベース200に組み付けられた後に、ベース200に組み付けられてよい。この場合、固定対象部材300の嵌合部302を、ベース200の前面開口207aから嵌合空間207に挿入させればよい。このとき、嵌合部302の、ベース200への挿入方向における端に位置する部分が、軸部2の先端部9における傾斜面9bに当たることで、固定部材1が弾性片3の弾性反発力に抗して後退方向に移動して、先端部9が奥側取付穴203内に退避する。その後、固定対象部材300の穴303が奥側取付穴203に導通する位置まで、嵌合部302が移動すると、弾性片3の弾性反発力により、固定部材1が前進方向に移動して、先端部9が穴303に嵌る。これにより、固定対象部材300がベース200に固定された状態となる。
【0084】
先端部9が穴303に嵌っている状態では、ベース部材300の方向P1への動き、つまりベース200からの固定対象部材300の抜き取りが規制される。固定対象部材300をベース200から抜き取る場合には、取手5を持って、固定部材1を後退方向に移動させればよい。固定部材1を後退方向に移動させると、先端部9と穴303との係合が解除する(図4参照)。これにより、固定対象部材300を方向P1に移動させることができ、ひいてはベース200から固定対象部材300を抜き取ることが可能となる。固定部材1は、後退方向への外力が解除されると、弾性片3の弾性反発力により、自動で元の状態(軸部2の先端部9がベース200の嵌合空間207に突出した状態)に復帰する。
【0085】
以下、本実施形態の効果を説明する。固定部材1は弾性片3を備えるので、固定部材1をベース200に組み付けた状態を保持したまま、固定対象部材300をベース200に着脱することができる。これにより、場面に応じて、又は車両を使用するユーザに応じて、又は車種に応じて、固定対象部材300をベース200から抜き取って、別の固定対象部材をベース200に付け替えることができる。
【0086】
例えば、物を引っ掛ける等の機能が不要の場合には、図11に示すように、別の固定対象部材として、支持部材200の前面開口207a(図5参照)を閉塞する部材310をベース200に固定させてもよい。閉塞部材310は、図1の固定対象部材300と同様に、ベース200の嵌合空間207に挿入されるように設けられて、ベース200に組み付けられた固定部材1の先端部9に係合する係合部(穴)を有する。なお、固定対象部材は、物を引っ掛ける等の機能部と、ベース200の前面開口207aを閉塞する閉塞部の両方を備えた部材でもよい。この場合の固定対象部材は、機能部を直線方向における一端に備え、閉塞部を該直線方向における他端に備えた部材としてよい。そして、機能部を有効にする場合には、閉塞部をベース200の嵌合空間207に挿入して、機能部をベース200から露出させればよい。閉塞部を有効にする場合には、機能部を嵌合空間207に挿入して、閉塞部でベース200の前面開口207aを塞げばよい。
【0087】
弾性片3は、ベース200からの固定対象部材300の抜けを止める軸部2と一体に設けられるので、ベース200への固定部材1の組み付け工数を抑えることができるとともに、固定部材1の製造コストを削減できる。
【0088】
これに対して、比較例として、軸部と、軸部を前進方向に付勢する弾性部材とを別体とした構造が考えられる。図13図14は、その構造を例示している。図13の固定部材50は、ベース250に固定対象部材350を着脱可能に固定するための部品であり、樹脂製軸部51と、軸部51を前進方向に付勢する弾性部材としての金属バネ52とを備える。軸部51は、ベース250の取付穴251に挿入されて、その先端部51aが固定対象部材350の穴351に嵌合した前進位置と、その穴351から抜けた後退位置との間で軸方向に移動可能に設けられる。金属バネ52は、軸部51とは別体に設けられた金属製のコイルバネである。金属バネ52は、軸部51を前進方向に付勢するように、軸部51を内側に挿入させた状態でベース250に組み付けられる。
【0089】
図13図14の構造では、固定部材50をベース250に組み付ける際に、金属バネ52を軸部51に係合させた状態にする必要があるので、その組み付け工数が多くなる。また、樹脂部材51とは別に金属バネ52が必要なので、コストがかかる。
【0090】
本実施形態の効果の説明に戻る。軸部2は、軸方向における弾性片3の基端3aと先端3bとの間の位置に、軸部2の後退移動を規制する基端側凸部11を有するので、弾性片3の一定範囲内の弾性変形は許容しつつ、基端3aがベース200の第1板部204に接触する前の位置でその弾性変形を止めることができる。これにより、弾性片3の過剰変形を抑制でき、弾性片3の弾性反発力が失われるのを抑制できる。
【0091】
また、軸部2の先端側凸部10により、固定部材1をベース200に斜め方向から組み付ける際に、軸部2の先端側を奥側取付穴203に斜めに挿入した状態に位置決めできる。そして、軸部2の先端側が位置決めされた状態で固定部材1を取付穴202、203の中心線L2の方向に回転操作できるので、その操作がしやすいし、その操作力を小さくできる。
【0092】
軸部2(第1部分7、第2部分8)の軸線L1に直角な断面形状が非円形であり、取付穴202、203がその断面形状に対応した形状であるので、固定部材1がベース200に取り付けられた状態で軸部2が軸線L1回りに回転してしまうのを抑制できる。これにより、軸部2の先端部9の規制面9a及び傾斜面9bの向きが方向P1、P2からずれてしまうのを抑制できる。
【0093】
また、軸部2の第1部分7の軸線L1に直角な断面形状と、第2部分8のその断面形状とは異なっているので、固定部材1が軸線L1回りの誤った向きでベース200に組み付けられるのを抑制できる。すなわち、手前側取付穴202に対する第2部分8の軸線L1回りの向きが誤った向きの場合には、第1部分7の先端側が奥側取付穴203に嵌らなくなる。例えば、第2部分8の長方形断面における短辺を手前側取付穴202の長辺202bの方に向けて組み付けようとすると、第1部分7の先端側が奥側取付穴203に嵌らなくなる。これにより、軸部2の先端部9の規制面9a及び傾斜面9bの向きが方向P1、P2からずれてしまうのを抑制できる。
【0094】
さらに、軸部2の基端側に付加部12を有するので、固定部材1が軸線L1回りの誤った向きでベース200に組み付けられるのを抑制できる。すなわち、付加部12が設けられる軸部2の側面を、手前側取付穴202の長辺202bの方に向けて組み付けようとすると、第2部分8が手前側取付穴202に嵌らなくなるし、第1部分7の先端側が奥側取付穴203に嵌らなくなる。これにより、固定部材1をベース200に組み付けたときに、軸部2の先端部9の傾斜面9bを方向P1(図3参照)に向け、規制面9aを方向P2(図3参照)に向けさせることができる。
【0095】
弾性片3の先端3bはテーパ部3cを有するので、ベース200に斜め方向から組み付ける際に弾性片3がベース200の部位(例えば手前側取付穴202に導通する導通穴210(図5参照))に干渉して収容空間206に入らなくなるのを抑制できる。
【0096】
また、軸部2の先端部9は傾斜面9bを有し、その傾斜面9bは、ベース200への固定対象部材300の挿入方向P2の反対方向P1を向くので(図3参照)、固定部材1の取手5を後退方向に引かなくても、ベース200への固定対象部材300の挿入操作に連動して、固定部材1を後退移動させることができる。これにより、固定対象部材300をベース200に簡単に組み付けることができる。
【0097】
また、奥側取付穴203は、収容空間206の裏面開口206a側の内面203aが傾斜面に形成されるので、軸部2を斜め方向から組み付ける際に軸部2の先端側を斜め方向から奥側取付穴203に挿入しやすい。また、奥側取付穴203の、収容空間206の裏面開口206a側以外の内面は中心線L2に平行な面に形成されるので、軸部2が後退位置にあるときでも、軸部2の先端側が奥側取付穴203内でがたつくのを抑制できる。
【0098】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。上記第1実施形態では、固定部材がベースに組み付けられる例を示したが、固定対象部材に組み付けられてもよい。図12は、固定部材が固定対象部材に組み付けられる例を示している。図12の固定構造150は、ベース220と、それに支持される固定対象部材320と、ベース220と固定対象部材320とを固定するための樹脂製の固定部材20とを備える。固定構造150は例えば車両(例えば車室)に搭載されるが、車両以外の位置に設けられてもよい。
【0099】
固定部材20は、上述の固定部材1と同様の形状に形成されるが、固定対象部材320に組み付けられる。具体的には、固定部材20は、軸部21と、軸部21と一体に形成された一対の弾性片23と、軸部21の基端に設けられる座部24と、座部24から軸部21が位置する側の反対側に突出する操作部としての突出部25(取手)とを備える。軸部21は、上述の軸部2と同様に形成される。軸部21は、固定対象部材320の取付穴323、324に挿入されて、その先端部22が固定対象部材320の嵌合空間322(嵌合穴)に突出する前進位置(突出位置)と、奥側取付穴324内に引っ込んだ後退位置(退避位置)との間で移動可能に設けられる。軸部21の軸線L3は、固定対象部材320に組み付けられた状態で、固定対象部材320の、ベース220からの抜き取り方向P3に直角な方向(嵌合直角方向)を向く。
【0100】
先端部22は、ベース220の穴223と係合することで固定対象部材320の方向P3への動きを規制する規制面22a(阻止部)と、その反対側を向く傾斜面22bとを含む。規制面22aは、軸部21の軸線L3に平行な面に形成されて、固定部材20が固定対象部材320に組み付けられた状態で、固定対象部材320の抜き取り方向P3と同じ方向を向くように形成される。傾斜面22bは、軸線L3に対して斜めの面に形成されて、固定部材20が固定対象部材320に組み付けられた状態で、固定対象部材320の抜き取り方向P3の反対方向P4(ベース220への固定対象部材320の組み付け方向)を向くように形成される。
【0101】
なお、軸部21は、上述の軸部2と同様に、先端側に、固定対象部材320への組み付けの際の位置決めとなるとともに、前進方向への抜け止めとなる先端側凸部が形成されてよい。先端側凸部は上述の先端側凸部10と同様の形状に形成されてよい。また、軸部21は、上述の軸部2と同様に、弾性片23の過剰変形を抑制する基端側凸部が形成されてよい。基端側凸部は上述の基端側凸部11と同様の形状に形成されてよい。
【0102】
弾性片23は、上述の弾性片3と同様の形状に形成される。弾性片23は、固定部材20が固定対象部材320に組み付けられた状態で、手前側取付穴323と奥側取付穴324の間の収容空間325に収容される。弾性片23は、固定対象部材320に組み付けられた固定部材20に対して後退方向への外力が加えられたときに、軸部21の後退位置への移動を許容するよう弾性変形するとともに、その外力が解除されたときに、その弾性変形の反発力で軸部21を元の前進位置に復帰させる。
【0103】
座部24及び取手25は、上述の座部4及び取手5と同様に形成される。座部24及び取手25は、固定部材20が固定対象部材320に組み付けられた状態で、手前側取付穴323の外側に露出するように設けられる。
【0104】
ベース220は、基部221と、その基部221から突出する突出部222とを有する。突出部222は、固定対象部材320と嵌合する嵌合部として機能する。突出部222は筒状に形成される。突出部222の側面には、突出部222の突出方向に直角な方向に凹む凹部としての穴223が形成されている。この穴223は、固定対象部材320がベース220に組み付けられた状態で、固定対象部材320の奥側取付穴324に導通する位置に形成される。穴223は、軸部21の先端部22と係合する係合部として機能する。
【0105】
固定対象部材320は、固定部材20が組み付けられる相手となる組付相手部材である。固定対象部材320は例えば物を引っ掛けることが可能なフック部材として形成される。具体的には、固定対象部材320は、物を引っ掛けることが可能なフック部321と、ベース220の突出部222に嵌合する嵌合穴としての嵌合部322とを有する。嵌合部322は、突出部222の外側に嵌るように(突出部222が内側に挿入されるように)、方向P3、P4に平行な方向に凹んだ凹形状に形成される。
【0106】
さらに、固定対象部材320は、嵌合部322に導通するように、嵌合部322の凹み方向(方向P3、P4に平行な方向)に直角な取付穴323、324を有する。取付穴323、324は同軸に形成される。手前側取付穴323は、軸部21の基端側が嵌り、奥側取付穴324は軸部21の先端側が嵌る。手前側取付穴323と奥側取付穴324の間には、一対の弾性片23を収容するための収容空間325が形成される。
【0107】
固定対象部材320とベース220との固定は例えば以下のように行えばよい。先ず、固定対象部材320に固定部材20を図12のように組み付ける。このとき、固定部材20は、上述の固定部材1と同様に、取付穴323、324の中心線に対して斜め方向から組み付けられてよい。
【0108】
その後、固定部材20が組み付けられた固定対象部材320の嵌合部322を、ベース220の突出部222の外側に嵌める。このとき、軸部21の先端部22の傾斜面22bが、突出部220の先端面224に当たることで、固定部材20は後退方向に移動し、先端部22は奥側取付穴324内に引っ込む。その後、奥側取付穴324がベース220の穴223に導通する位置までくると、弾性片23の弾性反発力により、軸部21の先端部22が穴223に嵌る。これにより、固定対象部材320はベース220に固定される。
【0109】
固定対象部材320をベース220から抜き取る場合には、固定部材20の取手25を後退方向に引けばよい。この場合、軸部21は弾性片23の弾性反発力に抗して後退方向に移動し、先端部22は奥側取付穴324に引っ込む。これにより、固定対象部材320を方向P3に抜き取ることが可能となる。
【0110】
このように、図12の構造によっても、上述の固定構造100と同様の作用効果を得ることができる。
【0111】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図15図18は、本実施形態の固定構造400を示す。固定構造400は、ベース500と、それに支持される固定対象部材600と、ベース500と固定対象部材600とを固定するための固定部材60とを備える。固定構造400は例えば車両(例えば車室)に搭載されるが、車両以外の位置に設けられてもよい。先ず、図20図23も参照して、固定部材60について説明する。
【0112】
(固定部材60の構成)
固定部材60は、その全部が、ポリプロピレン、ポリアミド等の合成樹脂により形成された樹脂製部品である。固定部材60は例えば射出成形により形成される。すなわち、固定部材60の各部(後述の各部61、66、67、68、69、70等)は同一の樹脂材料にて一体に形成される。固定部材60は組付相手部材としてのベース500に組み付けられる。詳しくは、固定部材60は、ベース500に組み付けられた場合に、その組付状態を保持しつつ、固定対象部材600をベース500に着脱可能に固定するための部品である。
【0113】
図20に示すように、固定部材60は枠形状に形成されている。具体的にいえば、固定部材60は略四角形の枠形状の本体部61を備える。本体部61は、図20の紙面で四角形の上辺を構成する第1部分63と、下辺を構成する第2部分64と、右辺を構成する第3部分65と、左辺を構成する第4部分66とを有する。これら部分63~66の内側に空洞62が形成されている。
【0114】
第1部分63は、図20の紙面の左右方向を長手方向とした形状に形成されている。第1部分63の長手方向における一方の端部は、第3部分65の長手方向における一方の端部に接続されている。第1部分63の長手方向における他方の端部は、第4部分66の長手方向における一方の端部に接続されている。
【0115】
第1部分63は、後述の操作面64aの操作方向E1(図20参照)の反対方向へのベース500からの固定部材60の抜けを止める抜け止め部として機能する。すなわち、固定部材60が図16の状態(後述の第1突出部67がベース500の嵌合空間502に突出した状態)にあるときに、第1部分63は、操作方向E1の反対方向に対峙するベース500の部位504aに接触した状態となる。また、第1部分63は第1突出部67及び一対の弾性片68を支持する支持部としても機能する。
【0116】
第2部分64は、図20の紙面の左右方向を長手方向とした形状に形成されている。第2部分64は、空洞62を間に挟んで第1部分63に対向する位置に設けられる。また、第2部分64の長手方向は、第1部分63の長手方向と平行な方向を向く。第2部分64の長手方向における一方の端部は、第3部分65の長手方向における、第1部分63が接続される側の反対側の端部に接続されている。第2部分64の長手方向における他方の端部は、第4部分66の長手方向における、第1部分63が接続される側の反対側の端部に接続されている。
【0117】
第2部分64の、空洞62側の反対側の面64aは、ユーザによって押操作が行われる操作面(操作部)として機能する。操作面64aは、後述の第1突出部67の、第1部分63からの突出方向とは反対方向E1(図20参照)を押操作の方向とするように設けられる。また操作面64aは、第1突出部67及び弾性片68との間に空洞62を介在させた位置に設けられる。
【0118】
操作面64aの操作方向E1は、後述の一対の弾性片68の間の間隔を2等分する仮想直線L4(図20参照)に平行な方向である。操作面64aは、例えば操作方向E1に直角な平面に形成されてよい。操作面64aに上記仮想直線L4が直交する。図20の例では、操作方向E1が上方向(例えば車両の上方向又は鉛直上向き)を向いているが、上方向以外の方向(具体的には下方向、左右方向、斜め方向)を向いてもよい。なお、以下では仮想直線L4を固定部材60及び本体部61の中心線とする。
【0119】
操作面64aを含む第2部分64は、図16図17に示すように、後述の第1突出部67がベース500の嵌合空間502(嵌合穴)に突出した突出位置にあるときに、ベース500から下方(操作方向E1の反対方向)に突出して外部に露出した状態となる。このように、第2部分64は操作部64aを規定する部分である。また、第2部分64は後述の第2突出部69(図20参照)を支持する支持部としても機能する。
【0120】
第3部分65及び第4部分66は、図20の紙面の上下方向、換言すれば、第1部分63及び第2部分64の長手方向に直角な方向を長手方向とした形状に形成されている。第3部分65の長手方向と第4部分66の長手方向とは互いに平行な方向である。第3部分65及び第4部分66は空洞62を間に挟んで対向する位置に設けられる。
【0121】
ここで、第1部分63又は第2部分64の長手方向と、第3部分65又は第4部分66の長手方向の双方に直角な方向E2、E3(図21参照)における、図21の紙面で上方を向いた方向E2を第1方向、下方を向いた方向E3を第2方向とする。図21に示すように、第3部分65の第1方向E2側の端部は、第3部分65の長手方向に沿って第3部分65の第2方向E3側の端部65cと平行に延びる平行部65aと、平行部65aに対して角度が付けられた傾斜部65bとを含む。傾斜部65bは、第3部分65の長手方向における、操作面64a側から弾性片68側に向かう方向(図21の紙面の右方向)の先端側に形成される。傾斜部65bは、図21の右方向に向かうにしたがって次第に、第2方向E3側の端部65cに接近するように形成される。傾斜部65bは、固定部材60のベース500への組み付けを容易にするための部分である。別の言い方をすれば、傾斜部65bは、固定部材60をベース500の収容空間506に斜め方向から入れながら回転させるように組み付ける際に、その回転組み付けを阻害するベース500の部位との干渉を抑制する干渉抑制部として機能する。
【0122】
なお、第1方向E2は、固定部材60をベース500の裏側から収容空間506に組み付ける際に、収容空間506の方に向ける方向である。以下では、第1方向E2を正方向といい、第2方向E3を逆方向という場合がある。傾斜部65bは正方向E2の側に形成されている。
【0123】
第3部分65の、第2方向E3(逆方向)側の端部65cは、第3部分65の長手方向に沿って第1方向E2側の端部65a(平行部)と平行に延びるように形成される。その端部65cには、第1方向E2側の端部65aの側に凹んだ凹部65dが形成されている。凹部65dは、ベース500に組み付けられた状態で、ベース500に形成された係合突起514(図27図28参照)に係止される部分である。なお、第4部分66は第3部分65と同様の形状に形成される。
【0124】
さらに、図23に示すように、第3部分65及び第4部分66の、空洞62の反対側の外面72には、空洞62側に凹む凹部71が形成されている。凹部71は、第3部分65又は第4部分66の、正方向E2側の端部73に導通した形状に形成されている。凹部71は、その端部73から、逆方向E3に延びて、逆方向E3側に底部71aを形成する。このように、凹部71は、端部73側(正方向E2側)が開き、逆方向E3側が閉じた形状に形成されている。
【0125】
より詳しくは、凹部71は、図21に示すように、後述の凸部70と操作面64aの間の位置に形成されている。底部71aは、第3部分65又は第4部分66の長手方向に沿って延びている。凹部71は、底部71aの延設方向における一方の端部と、第3部分65又は第4部分66の、正方向E2側の端部73とを繋ぐ第1段差部71bを含む。また、凹部71は、底部71aの延設方向における他方の端部と、第3部分65又は第4部分66の、正方向E2側の端部73とを繋ぐ第2段差部71cを含む。これら段差部71b、71cは、外面72(図23参照)から空洞62側に凹む段差を形成する。
【0126】
第1段差部71bは、第2段差部71cよりも弾性片68側に位置する。第1段差部71bは、底部71aに向かうにしたがって次第に操作面64aの側に変位するように、方向E2、E3に対して斜めの方向に延びている。第2段差部71cは、第1段差部71bよりも操作面64a側に位置する。第2段差部71cは方向E2、E3に平行に延びている。
【0127】
凹部71は、固定部材60をベース500の収容空間506に斜め方向から入れながら回転させて組み付ける際に、ベース500の係合突起514(図27図28参照)を受け入れてその回転組み付けを補助するための部分である。凹部71の上記第1段差部71bは、組み付けの最中に、係合突起514に当たる位置に形成される。
【0128】
本体部61は、ベース500の収容空間506に収められた状態にベース500に組み付けられる(図16図17参照)。具体的には、後述のベース500の嵌合穴形成部504が空洞62に挿入されるように、本体部61が収容空間506に組み付けられる。言い換えれば、本体部61は、収容空間506内で嵌合穴形成部504の周囲を囲むようにベース500に組み付けられる。
【0129】
また、本体部61は、ベース500に組み付けられた状態を保持しつつ、阻止部としての第1突出部67が嵌合空間502に突出する位置と、嵌合空間502から退避する位置との間で、中心線L4に平行な方向、又は操作方向E1に平行な方向、又は第1突出部67の第1部分63からの突出方向に平行な方向に移動可能に設けられる。本体部61は、ベース500により、中心線L4に平行な方向以外の方向には移動が規制される。
【0130】
固定部材60は、ベース500から固定対象部材600が抜けるのを阻止する阻止部として機能する第1突出部67を備える(図20図22参照)。第1突出部67は、上記第1部分63から空洞62側に突出する形状に形成されている。また、第1突出部67は、第1部分63の長手方向における中間位置に形成されている。さらに、第1突出部67は、中心線L4上に位置するとともに、中心線L4が延びた方向に突出する。また、第1突出部67は、操作方向E1の反対方向に突出する。
【0131】
第1突出部67の側面の一部67aは、固定対象部材600の所定方向P5(図17参照)への移動を規制する規制面として機能する。所定方向P5は、ベース500の嵌合穴502からの抜き取り方向である。規制面67aは、ベース500からの固定対象部材600の抜けを阻止する阻止部として機能する。規制面67aは中心線L4に平行な面に形成され、換言すれば上記抜き取り方向P5に直角な面に形成される。規制面67aは、固定部材60がベース500に組み付けられた状態において、抜き取り方向P5の反対方向P6(嵌合空間502への挿入方向)を向くように設けられる(図17参照)。
【0132】
第1突出部67の、規制面67aの反対側の面67b(図20図22参照)は、固定対象部材600の、嵌合空間502への挿入を許容する面に形成される。具体的には、面67bは、上記反対方向P6の力が面67bに加えられたときに、中心線L4の方向における、第1突出部67の突出方向の反対方向(図20図22の紙面の上方向)に固定部材60(本体部61)を移動させる力を生じさせるように形成される。より具体的には、面67bは、第1突出部67の基端側から先端側への方向に進むにしたがって次第に規制面67aの方に近づくように、中心線L4又は規制面67aに対して傾斜した面に形成される。本実施形態では、面67bは中心線L4に対して傾斜した平面に形成されるが、曲面状(例えば球面状)に形成されてもよい。面67bは、固定部材60がベース500に組み付けられた状態において、抜き取り方向P5を向くように設けられる(図17参照)。なお、面67bが本開示の挿入許容部に相当する。
【0133】
第1突出部67は、固定部材60がベース500に組み付けられた状態において、ベース500に形成された取付穴511に嵌められた(挿入された)状態に設けられる(図17図19参照)。また、第1突出部67は、固定部材60がベース500に組み付けられた状態において、取付穴511に嵌められた状態を保持しつつ、ベース500の嵌合空間502(嵌合穴)に突出した突出位置(図17参照)と、嵌合空間502から退避した退避位置(図19参照)との間で移動可能に設けられる。
【0134】
図20に示すように、固定部材60は一対(2つ)の弾性片68を備えている。弾性片68は本体部61の第1部分63から空洞62の反対側(第1突出部67の突出方向と反対方向)に突出した形状に形成される。弾性片68は、空洞62から見て、操作面64aの反対側に設けられ、換言すれば、操作面64aとの間に空洞62を介在させた位置に設けられる。また、弾性片68は、空洞62から見て、第1突出部67と同じ側に設けられる。また、弾性片68は、操作方向E1における固定部材60の先端位置に設けられる。
【0135】
一対の弾性片68は、上記第1実施形態の弾性片3と同様にスタビライザー形状に形成されている。具体的にいえば、弾性片68は、一端が第1部分63に接続され、他端68aを自由端とした形状に形成されている。以下では、自由端68aを弾性片68の先端という場合がある。また、弾性片68の、第1部分63に接続される側の端部を基端という場合がある。弾性片68は、基端から先端68aへの方向が、固定部材60の操作方向E1(中心線L4の方向)に対して斜めの方向となるように設けられる。一対の弾性片68は、操作方向E1に直角な方向に間隔をあけて対向するように設けられる。一対の弾性片68は、第1部分63の長手方向と同方向に間隔をあけて対向する。その間隔は、操作方向E1と同方向(換言すれば第1突出部67の突出方向の反対方向)に向かうにしたがって次第に大きくなる。
【0136】
また、各弾性片68は、一対の弾性片68間の間隔を大きくするように、弾性片68の基端を基点として弾性変形可能に形成されている。弾性片68が弾性変形した場合には元の状態に復帰させる弾性反発力を生じさせる。
【0137】
弾性片68は、固定部材60がベース500に組み付けられた状態で、固定部材60(本体部61、第1突出部67等)を、操作方向E1の反対方向(言い換えれば、第1突出部67の突出方向)に付勢する。具体的には、弾性片68は、図16図17に示すように、ベース500への組付状態で、ベース500の収容空間506における、操作方向E1と同方向の端に位置する端面507と、嵌合穴形成部504との間の空間506a(以下、弾性片収容空間という場合がある)に設けられる。このとき、弾性片68の先端68aが端面507に接触する。また、本体部61の第1部分63が嵌合穴形成部504に接触した状態(図16図17の状態)での、一対の弾性片68間の間隔は、固定部材60がベース500に組み付けられる前の自然状態でのその間隔よりも若干大きい。すなわち、弾性片68は、弾性反発力に起因した端面507からの反力で、固定部材60を操作方向E1の反対方向(第1突出部67を嵌合空間502に突出させる方向)に付勢する。
【0138】
また、弾性片68は、固定部材60に対して操作方向E1への外力が加えられたときに、図16の状態からさらに一対の弾性片68間の間隔を大きくするように弾性変形する(図18参照)。このとき、弾性片68の先端68aは、弾性片収容空間506aの端面507に接触(摺動)しながら、一対の弾性片68間の間隔を大きくする方向(操作方向E1に直角な方向)に移動する。これにより、固定部材60の操作方向E1への移動が許容される。また、第1突出部67の、嵌合空間502から退避した位置への移動が許容される(図19参照)。
【0139】
その後、弾性片68は、操作方向E1への外力が解除されたときに、弾性反発力に起因した端面507からの反力で、図16図17の状態に復帰する。図18図19の状態から図16図17の状態に復帰するときも、弾性片68の先端68aは端面507に接触(摺動)しながら、一対の弾性片68間の間隔を小さくする方向に移動する。
【0140】
弾性片68は、図21に示すように、基端から先端68aへの延設方向に直線状に延びた2つの辺68b、68cを有する。これら辺68b、68cは互いに平行に設けられる。弾性片68は、一方の辺68bの先端側にテーパ部68dを有する。テーパ部68dは、辺68cと先端68aとの間を、弾性片68の延設方向に対して斜めに繋ぐように設けられる。すなわち、テーパ部68dは、先端68aに近づくにしたがって次第に反対側の辺68cの方に近づく形状に形成されている。テーパ部68dは一対の弾性片68のそれぞれに形成されている。
【0141】
テーパ部68dは、上記正方向E2の側の辺68bに形成されている。逆方向E3の側の辺68cにはテーパ部は形成されていない。すなわち、辺68cと先端68aとは直角に接続される。
【0142】
固定部材60は、本体部61の第2部分64から空洞62側(操作方向E1と同方向)に突出する第2突出部69を備える(図20図22参照)。第2突出部69は、空洞62から見て、第1突出部67及び弾性片68の反対側に位置し、換言すれば、第1突出部67及び弾性片68との間に空洞62を介在させた位置に設けられる。第2突出部69は、第2部分64の長手方向における中間位置に設けられる。第2突出部69は、操作方向E1への固定部材60の過剰移動を阻止する過剰移動阻止部として機能し、言い換えれば、弾性片68の過剰変形を阻止する過剰変形阻止部として機能する。すなわち、第2突出部69は、固定部材60が操作方向E1に所定量移動するのは許容しつつ、その所定量を超えて移動するのは禁止する。
【0143】
詳しくは、図17に示すように、固定部材60がベース500に組み付けられた状態、かつ、操作方向E1への操作を受けていない状態において、第2突出部69の、第2部分64からの突出方向の先端69aが、ベース500の部位512に、間隔をあけて、操作方向E1と同方向に対向する位置に設けられる。その間隔は、弾性片68の、操作方向E1に平行な方向における幅よりも小さい。
【0144】
先端69aと部位512とが接触するまでは固定部材60の操作方向E1への移動が許容され、先端69aと部位512とが接触すると、操作方向E1への固定部材60の移動が禁止される。
【0145】
また、第2突出部69は、図22に示すように、上記正方向E2に面した面69bと、逆方向E3に面した面69cとを含む。これら面69b、69cは互いに平行な面である。また、面69b、69cは中心線L4に平行な面である。これら面69b、69cの間の厚みが薄肉(例えば1mm以下)に設定されている。この厚みは、第2突出部69に対してその厚み方向(方向E2又は方向E3)に外力が加わったときに、第2突出部69と第2部分64との接続部位を基点として、第2突出部69がその外力の方向(方向E2又は方向E3)に撓み変形(弾性変形)し得る厚みに設定される。また、面69b、69c間の厚みは、第2突出部69の先端69aに対して、第2突出部69の突出方向の反対方向に外力(ベース500の部位512(図19参照)からの反力)が作用したとしても、第2突出部69が撓まない又は第2突出部69の撓みが微小となる厚みに設定されている。
【0146】
また、面69b、69c間の厚みは、第2突出部69の、第2部分64からの突出方向における幅(突出量)よりも小さい。また、面69b、69c間の厚みは、第2突出部69の突出方向と厚み方向の双方に直角な方向における幅(第2部分64の長手方向における第2突出部69の幅)よりも小さい。
【0147】
このように、第2突出部69は、第2部分64との接続部位を基点として、第2突出部69の突出方向に交差する方向、具体的には上記薄肉の厚み方向(上記方向E2又は方向E3)に撓み変形(弾性変形)が可能に形成される。第2突出部69は、撓み変形させる外力が解除されたときに、元の状態(図22の状態)に復帰する。
【0148】
また、第2突出部69の一方の面69bは、ベース500に組み付けられた状態で、ベース500の部位510(収容空間506の内面)に支持される(図17参照)。このとき、面69bの全面が部位510に接触する。これにより、先端69aが、ベース500の部位512に接触したときに、第2突出部69の撓みを抑制している。
【0149】
また、図20に示すように、第2部分64の、空洞62側の端部64bには、操作面64a側に凹んだ凹部64cが形成されている。凹部64cは、第2部分64の長手方向における中央に形成されている。第2突出部69はこの凹部64cから空洞62側に突出する。これによれば、第2突出部69の先端69aが空洞62の中心側に近づきすぎるのを抑制できるので、固定部材60をベース500に組み付ける際に、第2突出部69とベース500の部位との干渉量を小さくできる。また、凹部64cが無い場合に比べて、第2突出部69の突出量を大きくできるので、組み付ける際に、第2突出部69がベース500の部位に干渉したときに、第2突出部69を撓み変形させやすくできる。
【0150】
固定部材60は、本体部61の第3部分65及び第4部分66のそれぞれから突出する凸部70を備える(図20図21参照)。凸部70は、第3部分65又は第4部分66から、一対の弾性片86が対向する方向(換言すれば第1部分63の長手方向)に平行な方向における、中心線L4から遠ざかる方向に突出する。凸部70は、第3部分65又は第4部分66の長手方向における、第2部分64よりも第1部分63に近い位置に形成される。具体的には、凸部70は、図20の平面視で見て、第1部分63の長手方向上に位置する。
【0151】
さらに、第3部分65の凸部70は、図21に示すように、第3部分65の、正方向E2側の端部65a、65bよりも逆方向E3側の端部65cに寄った位置に設けられる。より具体的には、凸部70は、逆方向E3側の端部65cに隣接した位置に設けられる。また、凸部70は、正方向E2側の端部65a、65bから、逆方向E3に間隔をあけた位置に設けられる。第4部分66の凸部70も、第3部分65の凸部70と同様に設けられる。
【0152】
凸部70は、固定部材60のベース500への回転組み付けの際に、後述するベース500の凹部513(図27図29参照)に入って、凹部513とともに固定部材60の回転動作を案内する(補助する)ための組付案内部として機能する。また、凸部70は、固定部材60が、ベース500の収容空間506に逆方向E3を向けて組み付けられようとした場合には、ベース500の凹部513に干渉することでその逆組み付けを阻止する逆組付阻止部として機能する。
【0153】
(ベース500の構成)
次に、ベース500について説明する。ベース500は、固定部材60が組み付けられる相手となるとともに、固定対象部材600を支持するための部材である。ベース500は例えば合成樹脂製である。ベース500は、図15図17に示すように、例えば車両の内装部材550に支持される。ベース500は内装部材550に係合する係合部517、518を有する(図24図17参照)。図17に示すように、内装部材550は例えば板状であり、ベース550を嵌めるための穴551を有する。係合部517、518は穴551から内装部材550の裏側に入って、内装部材500の裏面と係合する。ベース500の前面501で内装部材550の穴551が隠されている。係合部517、518はベース500の裏側(固定部材60の収容空間506側)に形成されている。なお、係合部518は、固定部材60がベース500に回転組み付けされる際の、固定部材60の第2突出部69の軌跡上に位置する。
【0154】
ベース500は、図24図26に示すように、固定対象部材600を嵌めるための嵌合穴502を形成する嵌合穴形成部504を有する。嵌合穴形成部504は、ベース500の前面501に、嵌合穴502の開口503を形成する。また、嵌合穴形成部504は、ベース500の裏面(前面501の反対側の面)から裏側に突出するように形成される。なお、前面501は、例えば車室内に露出するように、すなわちユーザに視認可能に設けられる。
【0155】
嵌合穴形成部504には、固定部材60の第1突出部67(図20等参照)を嵌めるための取付穴511が形成されている(図26参照)。取付穴511は、嵌合空間502と、弾性片68を収容するための弾性片収容空間506aとの間を貫通するように形成される。取付穴511の中心線L6は、嵌合穴502の中心線L5(嵌合穴502からの抜き取り方向P5又は嵌合穴502への挿入方向P6)に直角な方向を向く。以下では、取付穴511の中心線L6をベース中心線という場合がある。
【0156】
嵌合穴形成部504は、図25の方向から見て、略四角形の枠形状に形成されている。嵌合穴形成部504は、図25で見て、四角形の上辺を構成する第1部分504aと、下辺を構成する第2部分504bと、左辺を構成する第3部分504cと、右辺を構成する第4部分504dとを有する。第1部分504aは、後述の収容空間506の第1端面507との間で、弾性片68及び本体部61の第1部分63を収容するための空間506a(弾性片収容空間)を形成する。第1部分504aは、固定部材60が組み付けられた状態で、本体部61の第1部分63に接触することで、固定部材60の操作方向E1の反対方向への抜けを阻止する抜け止め部として機能する(図16参照)。なお、上記取付穴511は第1部分504aに形成される。
【0157】
嵌合穴形成部504の第3部分504cは、後述の収容空間506の第2端面508との間で、本体部61の第3部分65を収容するための空間506cを形成する。第4部分504dは、後述の収容空間506の第3端面509との間で、本体部61の第4部分66を収容するための空間506dを形成する。
【0158】
ベース500は、裏側に、固定部材60を収容するための収容空間506を形成する。収容空間506は嵌合穴形成部504の周囲を囲む空間に形成される。収容空間506は、上記空間506a、506c、506dに加えて、図25の紙面で嵌合穴形成部504よりも下側に空間506bを有する。この空間506bは、上述の固定部材60の第2突出部69等を収容するための空間である。
【0159】
収容空間506の、嵌合穴502への挿入方向P6側が開放されて、外側空間に導通している。すなわち、ベース500は、裏側に、収容空間506の開口515(図24図26参照)を形成する。以下、開口515を裏側開口という場合がある。また、収容空間506の、ベース中心線L6の方向における、取付穴511から嵌合穴502への方向側(図25図26の紙面の下側)が開放されて、外側空間に導通している。すなわち、ベース500は、図25図26の紙面の下側に、収容空間506の開口516(図24も参照)を形成している。この開口516は、操作面64aをベース500から露出させるための開口である。以下、開口516を操作部用開口という場合がある。裏面開口515と操作部用開口516は連続している。
【0160】
収容空間506は、開口515、516以外は閉じられている。すなわち、ベース500は、収容空間506の、ベース中心線L6の方向における、嵌合穴502から取付穴511への方向側(図25図26の紙面の上側)に第1端面507を有する。第1端面507は、ベース中心線L6に直角な平面に形成されている。第1端面507は、嵌合穴形成部504との間で弾性片収容空間506aを形成する。また、第1端面507は、固定部材60が収容空間506に収容されたときに、弾性片68の先端68aを接触させたり、摺動させたりするための面である。
【0161】
ベース500は、収容空間506の、嵌合穴502の中心線L5とベース中心線L6の双方に直角な方向における一方の側(図25の紙面の左側)に第2端面508を有する。第2端面508は、嵌合穴形成部504との間で本体部61の第3部分65を収容するための空間506cを形成する。また、第2端面508は、固定部材60の、図25の紙面の左方向への移動を規制する移動規制面として機能する。
【0162】
ベース500は、収容空間506の、嵌合穴502の中心線L5とベース中心線L6の双方に直角な方向における他方の側(図25の紙面の右側)に第3端面509を有する。第3端面509は、嵌合穴形成部504との間で本体部61の第4部分66を収容するための空間506dを形成する。また、第3端面509は、固定部材60の、図25の紙面の右方向への移動を規制する移動規制面として機能する。
【0163】
ベース500は、収容空間506の抜き取り方向P5側に第4端面510を有する(図26参照)。第4端面510は、嵌合穴502の中心線L5に直角な面に形成される。第4端面510は、固定部材60の、抜き取り方向P5への移動を規制する移動規制面として機能する。また、第4端面510は、図17に示すように、固定部材60の第2突出部69の一方の面69bを支持する支持部として機能する。
【0164】
ベース500は第4端面510から収容空間506に突出する凸部512を有する(図24図26参照)。凸部512は、嵌合穴形成部504と操作部用開口516の間の位置に形成されている。本実施形態では、凸部512は、嵌合穴形成部504の第2部分504bから操作部用開口516の方に突出するように形成されている。凸部512の、第2部分504bから操作部用開口516への突出方向における先端512a(図26参照)は、ベース中心線L6に直角な面に形成されている。
【0165】
また凸部512は、図17図19に示すように、固定部材60がベース500に組み付けられた状態で固定部材60の第2突出部69と、ベース中心線L6に平行な方向(換言すれば操作面64aの操作方向E1)に対向する位置に設けられる。このとき、操作方向E1への外力が作用していない図17の状態では、凸部512と第2突出部69との間に間隔がある。また、固定部材60が操作方向E1に最大限移動した図19の状態では、凸部512の先端512aは、第2突出部69の先端69aに接触している。このように、凸部512は、第2突出部69とともに、操作方向E1への固定部材60の過剰移動を阻止する過剰移動阻止部として機能し、言い換えれば、弾性片68の過剰変形を阻止する過剰変形阻止部として機能する。
【0166】
ベース500は凹部513を有する(図25図27図29参照)。凹部513は、収容空間506の、嵌合穴中心線L5とベース中心線L6の双方に直角な方向側の端面508、509(図29参照)のそれぞれに形成されている。各凹部513は、端面508、509の、貫通穴形成部504よりも第1端面507(弾性片収容空間506a)側に形成されている。(図25参照)。より具体的には、凹部513は、第1端面507に繋がるように形成されている(図27参照)。凹部513は、裏側開口515に導通した形状に形成されている。凹部513は、裏側開口515の一部を構成する導通部513aから収容空間506の第4端面510の方に延びて、第4端面510側に底部513b(段差部)を形成する。底部513bは、図27に示すように、収容空間506の第1端面507に近づくにしたがって次第に第4端面510に近づく傾斜部513cと、傾斜部513cよりも第1端面507に近い側に位置して、ベース中心線L6に平行な方向に延びる平行部513dとを含む。平行部513dは第4端面510に平行に形成される。平行部513dは、傾斜部513cと、第1端面507とを繋ぐように形成される。なお、凹部513は、傾斜部513cと導通部513aとを繋ぐ段差部513eを含む。
【0167】
凹部513は、固定部材60をベース500の収容空間506に斜め方向から入れながら回転させて組み付ける際に、固定部材60の組付先端側に位置する凸部70を受け入れてその回転組み付けを補助(案内)するための部分である。特に、底部513bは、固定部材60の組み付けの際に、凸部70を底部513bに当てて、底部513bの延設方向に沿って凸部70を案内する組付案内部として機能する。
【0168】
また、底部513bは、固定部材60が上記逆方向E3からベース500に組み付けられるのを阻止する逆組付阻止部としても機能する。具体的には、固定部材60が逆組み付けされようとした場合には、固定部材60の凸部70が底部513bに干渉することで、固定部材60を収容空間506に収容させることができない。
【0169】
ベース500は、収容空間506に収容された固定部材60の部位65d(図21参照)に係合することで、固定部材60がベース500から外れてしまうのを阻止する係合突起514を有する(図27図28参照)。係合突起514は、収容空間506の第2、第3端面508、509のそれぞれから収容空間506内に突出する形状に形成される。図27に示すように、係合突起514は上述の凹部513よりも操作部用開口516に近い位置に形成される。係合突起514は、ベース500からの固定部材60の抜けを阻止する機能に加えて、固定部材60の回転組み付けを補助(案内)する機能も有する。すなわち、固定部材60の回転組み付けの際に、係合突起514に固定部材60の凹部71が嵌ることで、その回転組み付けが案内される。また、図28に示すように、係合突起514は、図28の紙面で上方を向いた第1面514aと、図28の紙面で下方を向いた第2面514bとを含む。第1面514aは、収容空間506の裏面開口515(図27等参照)側を向くとともに、係合突起514の、第2、第3端面508、509からの突出方向の先端に向かうにしたがって徐々に第2面514bに近づく傾斜面に形成される。第1面514aは、固定部材60をベース500に組み付ける際に、固定部材60の部位が係合突起514を乗り越えるのを案内する案内面に形成される。他方、第2面514bは、収容空間506の底面510(図27等参照)側を向くとともに、ベース500からの固定部材60の抜けを阻止する阻止面に形成される。第2面514bは、ベース500からの固定部材60の抜け方向(収容空間506の底面510から裏面開口515への方向、図28の紙面の上方向)に直角な面に形成される。
【0170】
(固定対象部材600の構成)
次に、図17図18を参照して、固定対象部材600について説明する。固定対象部材600は、例えば合成樹脂製であり、ユーザに対して所定機能を提供する部材である。具体的には、固定対象部材600は、第1実施形態の固定対象部材300と同様に形成され、すなわち、物を引っ掛けることが可能なフック部601と、ベース500の嵌合穴502に嵌る嵌合部602とを有する。フック部601は、ベース500の前面開口503から例えば水平方向に突出して、ベース500の外側(車室内)に露出するように設けられる。
【0171】
嵌合部602は、固定部材60の第1突出部67と係合するための係合部603を有する。係合部603は、第1突出部67を挿入するための穴として形成される。第1突出部67が穴603に入った図17の状態では、固定対象部材600はベース500に固定された状態となる。この状態では、方向P5への固定対象部材600の移動が規制される。第1突出部67が穴603から出た図19の状態では、方向P5への固定対象部材600の移動は許容される。その結果、ベース500から固定対象部材600の抜き取りが可能となる。
【0172】
(固定部材60の組み付け方法)
次に、図30図33を参照して、固定部材60をベース500に組み付ける方法を説明する。なお、図30図31での固定部材60は図20のXXII-XXII線での断面で示している。図30図31のベース500は図25のXXVI-XXVI線での断面で示している。図32図33の固定部材60は図20のXXXII-XXXII線での断面で示している。図32図33のベース500は図25のXXXII-XXXII線での断面で示している。
【0173】
先ず、ベース500の裏側の収容空間506に対面した位置で、固定部材60の中心線L4が、ベース中心線L6に対して傾くように、固定部材60の向きを制御する。この傾き状態では、固定部材60の正方向E2(図21参照)の側を収容空間506の方に向ける。さらに、この傾き状態では、弾性片68を、収容空間506の弾性片収容空間506aの方に向ける。
【0174】
そして、上記傾き状態の固定部材60を弾性片68側から弾性片収容空間506aに入れる。このとき、弾性片68の先端68aが収容空間506の底面510(第4端面)に接触するまで、固定部材60を収容空間506に斜めに入れていく(図30参照)。図30に示すように、弾性片68の先端68aのテーパ部68dを底面510に当てることで、固定部材60の向き(中心線L4の向き)を底面510に対して斜めの方向にすることができる。
【0175】
弾性片68の先端68aが底面510に接触したら、固定部材60の、斜め組み付け方向の反対側である操作面64a側を、収容空間506に接近する方向、すなわち、固定部材60の中心線L4の向きがベース中心線L6の向きに近づく方向G(図30参照)に、移動させる。このとき、弾性片68を、弾性片収容空間506aの内面(底面510や第1端面507)に接触した状態を保持させる。このように、固定部材60を、弾性片68側を回転中心として、固定部材60の中心線L4がベース中心線L6と同じ方向を向くまで(中心線L4、L6が一致するまで)、回転させる(回転ステップ)。
【0176】
また、回転ステップでは、中心線L4、L6を同方向にしつつ、第1突出部67が、ベース500の取付穴511に対峙した位置となるように、弾性片68を、収容空間506a内で一対の弾性片68の間の間隔を大きくする方向に撓ませながら、固定部材60を回転させる。第1突出部67を、ベース500の取付穴511に対峙した位置にするには、固定部材60をより前方(収容空間506の第1端面507の方)に位置させる必要がある。そのため、回転ステップでは、固定部材60を若干前方に移動させながら回転させる。
【0177】
また、回転ステップでは、固定部材60の、斜め組み付け方向の先端側に位置する凸部70を、ベース500の凹部513に受け入れさせる。そして、凸部70を凹部513の底部513bに接触させる。そして、凸部70が底部513bに沿って移動するように、固定部材60を回転させる(図32参照)。このとき、凸部70は、先ず、底部513bの傾斜部513c(図27も参照)に沿って移動し、その後、平行部513d(図27も参照)に沿って移動する。凸部70が底部513bに沿って移動するに伴い、固定部材60の中心線L4がベース中心線L6の方向に近づいていく。
【0178】
さらに、回転ステップでは、固定部材60の、斜め組み付け方向の基端側に位置する凹部71を、ベース500の係合突起514に一時的に嵌める。そして、係合突起514と凹部71の第1段差部71bとを接触させながら、係合突起514が凹部71の底部71aに近づくように、固定部材60を回転させる(図32参照)。これに伴い、固定部材60の中心線L4がベース中心線L6の方向に近づいていく。なお、凹部71と係合突起514とによる回転案内と、凸部70と凹部513とによる回転案内とは同時に行われてよい。
【0179】
固定部材60の回転を進めると、係合突起514が、凹部71の底部71aに接触する(図32参照)。この状態からさらに固定部材60の回転を進める。すると、係合突起514は、固定部材60の、凹部71の底部71aに隣接する部位74(図32参照)を乗り越える。逆に言えば、固定部材60の部位74は係合突起514を乗り越える。このように、係合突起514と凹部71との嵌合は組み付けの際の一時的になされ、組み付け完了時にはその嵌合は解消されている。
【0180】
また、固定部材60の回転中に、固定部材60の第2突出部69がベース500の部位518(係合部)に当たる。このとき、第2突出部69は薄肉に形成されているので、第2突出部69が撓む(図31参照)。そして、第2突出部69は、部位518との接触が無くなったときに、元の状態に復帰する(図32参照)。
【0181】
固定部材60の中心線L4がベース中心線L6と同方向を向くまで回転を進めると、固定部材60は収容空間506内に収容された状態となる。この状態では、固定部材60の第1突出部67は、ベース500の取付穴511の外側にて穴511に対峙する。その後、固定部材60を、操作方向E1の反対方向(第1突出部67の突出方向)に移動させることで、第1突出部67を穴511に嵌め、かつ、ベース500の嵌合空間502に突出させる(移動ステップ)。このとき、一対の弾性片68の間隔が小さくなる方向に、弾性片68の先端68aが収容空間506aの端面507を摺動する。なお、移動ステップでは、弾性片68の弾性反発力のみで固定部材60を移動させてもよいし、操作方向E1の反対方向へのユーザの操作を加えてもよい。以上で固定部材60の組み付けが完了する。
【0182】
なお、図33に示すように、固定部材60が逆方向E3の側を向けてベース500に組み付けられようとした場合には、固定部材60の凸部70がベース500の凹部513の段差部513bに干渉することで、固定部材60を組み付けることができない。
【0183】
固定対象部材600は、固定部材60がベース500に組み付けられた後に、ベース500に組み付けられてよい。この場合、固定対象部材600の嵌合部602を、ベース500の前面開口503から嵌合穴502に挿入させればよい。このとき、嵌合部602の、ベース500への挿入方向における端に位置する部分が、嵌合穴502に突出した固定部材60の傾斜面68bに当たることで、固定部材60が弾性片68の弾性反発力に抗して操作方向E1と同方向に移動して、第1突出部67が嵌合穴502から退避する。その後、固定対象部材600の取付穴603がベース500の取付穴511に導通する位置まで、固定対象部材600が移動すると、弾性片68の弾性反発力により、固定部材60が操作方向E1の反対方向に移動して、第1突出部67が取付穴603に嵌る。これにより、固定対象部材600がベース500に固定された状態となる。また、固定対象部材600をベース500から抜き取る場合には、操作面64aを押せばよい。
【0184】
このように、本実施形態は、上記第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、本実施形態では、押し操作で、ベース500と固定対象部材600との固定を解除できる。また、固定部材60の第2突出部69と、ベース500の凸部512とにより、弾性片68の過剰変形を抑制できる。過剰変形阻止部69、512が固定部材60とベース500の双方に設けられることで、第2突出部69の凸部512側の突出量、及び凸部512の第2突出部69側への突出量を抑えることができる。これにより、固定部材60の組み付けの際に、第2突出部69がベース500の部位に干渉する量を抑えることができ、干渉を短時間で解消できる。また、固定部材60の組み付けの際に、凸部512が固定部材60の部位に干渉するのを抑制できる。
【0185】
また、固定部材60の回転組み付けの際に、固定部材60の凸部70と、ベース500の凹部513とが嵌ることで、固定部材60の回転組み付けを案内できる。これにより、固定部材60を容易にベース500に組み付けることができる。特に、凸部70は、先ず凹部513の底部513b(図27参照)の傾斜部513cに沿って案内され、次に、底部513bの平行部513dに沿って案内されることで、固定部材60を回転させながらより前方に移動させることができる。これにより、第1突出部67をベース500の取付穴511に嵌めやすくできる。
【0186】
また、固定部材60の回転組み付けの際に、固定部材60の凹部71とベース500の係合突起514とが嵌ることで、固定部材60の回転組み付けを案内できる。特に、凹部71の第1段差部71b(図21参照)は、底部71aに向かうにしたがって次第に操作面64aの側に変位するように形成されるので、この第1段差部71bに沿って係合突起514を摺動させることで、固定部材60を回転させながらより前方に移動させることができる。これにより、第1突出部67をベース500の取付穴511に嵌めやすくできる。
【0187】
ベース500への固定部材60の斜め組付方向における先端側(凸部70、凹部513)と基端側(凹部71、係合突起514)の両側で組付案内が行われるので、より一層、回転組み付けが容易となる。
【0188】
(第4実施形態)
次に、本開示の第4実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態は、第3実施形態の変形例である。第3実施形態では、一対の弾性片68が、枠形状の本体部61における操作部64aの反対側(第1突出部67と同じ側)に設けられた例を示した。本実施形態では、一対の弾性片が、枠形状の本体部における操作部と同じ側(第1突出部の反対側)に設けられる例を示す。
【0189】
図34は、本実施形態の固定構造700を示している。固定構造700は、ベース750と、それに支持される固定対象部材(図示外)と、ベース750と固定対象部材とを固定するための固定部材80とを備える。なお、図34はベース750の裏側から見た図である。固定部材80は、枠形状の本体部81と、一対の弾性片87と、第1突出部88と、第2突出部89とを備える。
【0190】
本体部81は、内側に空洞82を形成する。本体部81は、空洞82を間に挟んで対向する第1部分83と第2部分84とを含む。また本体部81は、第1、第2部分83、84の長手方向に直角な方向を長手方向とした、空洞82を間に挟んで対向する第3部分85と第4部分86とを含む。第1部分83の外面83aは、方向E4への押し操作を行うための操作面(操作部)に定められる。
【0191】
一対の弾性片87は、第1部分83の、操作面83aの反対側の面から空洞82側に突出する。一対の弾性片87は、第3実施形態の弾性片68と同様の形状のスタビライザー形状に形成されている。すなわち、弾性片87は一端が第1部分83に接続され、他端を自由端とした形状に形成されている。一対の弾性片87の間隔は、操作方向E4と同方向に向かうにしたがって次第に大きくなる。弾性片87は、固定部材80を、操作方向E4の反対方向(第1突出部88を、ベース750の嵌合穴751に突出させる方向)に付勢する。
【0192】
第1突出部88は、第3実施形態の第1突出部67と同様の形状、同様の機能を有した部分である。第1突出部88は、第4部分84から空洞82側に突出する。操作面83aが操作されない状態(図34の状態)では、第1突出部88は、ベース750の嵌合穴751に突出する。操作面83aが操作されると、第1突出部88は嵌合穴751から退避する。
【0193】
第2突出部89は、弾性片87の過剰変形を阻止する過剰変形阻止部として機能する、第2突出部89は、第1部分83の、一対の弾性片87の間の位置から空洞82側に突出する。第2突出部89の第1部分83からの突出量は、弾性片87が自然状態(弾性変形していない状態)での、弾性片87の第1部分83からの突出量よりも小さい。
【0194】
操作面83aが操作されない状態(図34の状態)では、第2突出部89は、ベース750の嵌合穴形成部752から間隔をあけて位置する。固定部材80が操作方向E4に移動したときに、第2突出部89と嵌合穴形成部752とが接触することで、弾性片87の過剰変形が阻止される。本体部81は、ベース750の嵌合穴形成部752の周りを囲むように設けられる。上述以外の固定部材80の構成は、第3実施形態の固定部材60と同様である。
【0195】
ベース750は、固定対象部材を嵌める嵌合穴751を形成する嵌合穴形成部752を有する。嵌合穴形成部752は、ベース750の裏側から突出するように形成される。嵌合穴形成部752には、第1突出部88を嵌める取付穴753が形成されている。上述以外のベース750の構成は、第3実施形態のベース500と同様である。また、固定対象部材は第3実施形態の固定対象部材600と同様である。
【0196】
このように、本実施形態によっても第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0197】
(第5実施形態)
次に、本開示の第5実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。上記各実施形態では、弾性片(弾性変形部)が固定部材に設けられた例を示した。本実施形態では、弾性片が組付相手部材に設けられる例を示す。また、本実施形態は第3実施形態の変形例である。
【0198】
図35は本実施形態の固定構造800を示す。固定構造800は、ベース850と、それに支持される固定対象部材(図示外)と、ベース850と固定対象部材とを固定するための固定部材90とを備える。なお、図35はベース850の裏側から見た図である。
【0199】
固定部材90は、一対の弾性片を備えていない点で第3実施形態の固定部材60と異なっており、それ以外は固定部材60と同様である。すなわち、固定部材90は、枠形状の本体部91と、その本体部91の第1部分92から空洞側に突出する第1突出部93とを備える。本体部91の、第1部分92に空洞を介して対向する第2部分94の外面94aは方向E5への押し操作が行われる操作面に定められる。上述以外の固定部材90の構成は、第3実施形態の固定部材60と同様である。
【0200】
ベース850は、一対の弾性片853を備えている点で第3実施形態のベース500と異なり、それ以外はベース500と同じである。ベース850は、固定対象部材を嵌めるための嵌合穴851を形成する嵌合穴形成部852を備える。嵌合穴形成部852は、ベース850の裏側に突出する。
【0201】
弾性片853は、固定部材90の第1突出部93(第3実施形態の第1突出部67に相当)を、ベースの嵌合穴851から突出させる方向(操作方向E5の反対方向)に付勢する。弾性片853は、固定部材90を収容する収容区間の内面854から突出する。弾性片853は、一端がその内面854に接続され、他端を自由端とした形状に形成されている。一対の弾性片853間の中間を通る仮想直線L7が、固定部材90の第1突出部93の突出方向と平行な方向を向く。また、弾性片853は、固定部材90が組み付けられた状態で、固定部材90の本体部91の第1部分92と、それに対向する収容空間の内面854との間に設けられる。
【0202】
一対の弾性片853の間隔は、内面854からの突出方向に向かうにしたがって次第に大きくなる。弾性片853の先端が、固定部材90の第1部分92に接触している。
【0203】
第3実施形態と同様に、図35の紙面の上側から順に、一対の弾性片853、第1突出部93、操作面94aが配置される。また、上記仮想直線L7と、第1突出部93の中心線とが一致する。また操作面94aに仮想直線L7が直交する。
【0204】
上述以外のベース850の構成は、第3実施形態のベース500と同様である。また、固定対象部材は第3実施形態の固定対象部材600と同様である。
【0205】
このように、本実施形態によっても第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0206】
(第6実施形態)
次に、本開示の第6実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。図36図37に示す固定構造900は、固定部材910と、固定部材910が組み付けられるベース920と、ベース920に支持される固定対象部材930とを備える。固定部材910は、第3実施形態の固定部材60と同様に枠形状に形成される。すなわち、固定部材910は、図36図43に示すように、枠形状の本体部911と、本体部911に支持される弾性片912と、固定対象部材930がベース920から抜けるのを阻止する阻止部としての突出部913とを備える。これら各部911、912、913は互いに一体に形成され、すなわち一体成形品である。
【0207】
本体部911は、固定部材910の操作方向(図36図41の紙面の上方向)の逆方向における端部に位置する操作部911aと、操作部911aから、固定部材910の操作方向側に立ち上がる壁部911bとを有する。壁部911bは、本体部9111の左辺部と右辺部との間を繋ぐように設けられる。壁部911bの先端は、固定部材910の操作時に、ベース920の部位924に当たる(干渉する)ことで、固定部材910の過剰移動(弾性片912の過剰変形)を阻止する過剰移動阻止部(干渉部)として機能する。また、本体部911は、右辺部又は左辺部に設けられる凸部911cを有する。図38の例では、凸部911cは本体部911の右辺部に設けられ、左辺部には設けられていないが、右辺部に代えて左辺部に設けられてもよいし、右辺部及び左辺部の両方に設けられてもよい。凸部911cは、第3実施形態の凸部70と同様に、固定部材910がベース920に逆組み付けされるのを阻止する逆組付阻止部として機能する。
【0208】
また、本体部911は、、図40図41に示すように、左右辺部に凹部911dを有する。凹部911dは、第3実施形態の凹部71の形状と若干異なっているが、凹部71と同様の機能を有する。すなわち、凹部911dは、固定部材910をベース920に斜め方向から入れながら回転させて組み付ける際に、ベース920の係合突起925を受け入れてその回転組み付けを補助するための部分である。
【0209】
弾性片912は、個数が第3実施形態の弾性片68と異なっており、それ以外は弾性片68と同様に形成される。弾性片912は4つの弾性片912a、912b、912c、912dを含む。そのうちの2つの弾性片912a、912bは、図36の紙面で、本体部911の中心線L8よりも右側の領域に設けられる。弾性片912a、912bは、基端から先端に向かうにしたがって次第に、固定部材910の操作方向に直角な第1方向(図36の紙面の右方向)に位置が変化する。残りの2つの弾性片912c、912dは、図36の紙面で、本体部911の中心線L8よりも左側の領域に設けられる。弾性片912c、912dは、基端から先端に向かうにしたがって次第に、固定部材910の操作方向に直角な方向であって、上記第1方向の反対の第2方向(図36の紙面の左方向)に位置が変化する。中心線L8よりも右側の弾性片912a、912bと、左側の弾性片912c、912dとは、中心線L8に関して線対称な形状に形成される。また、上記第1方向に傾斜する弾性片912a、912bの個数と、上記第2方向に傾斜する弾性片912c、912dの個数は互いに同じである。
【0210】
以下、中心線L8に近い位置に設けられる弾性片912a、912cを内側弾性片、中心線L8から遠い位置に設けられる弾性片912b、912dを外側弾性片という場合がある。一対の内側弾性片912a、912cは、基端から先端に向かうにしたがって次第に内側弾性片912a、912c間の間隔が大きくなるように設けられる。同様に、一対の外側弾性片912b、912dは、基端から先端に向かうにしたがって次第に外側弾性片912b、912d間の間隔が大きくなるように設けられる。また、内側弾性片912a、912cの間を2等分する線L8と、外側弾性片912b、912dの間を2等分する線L8とが一致する。
【0211】
突出部913は、図37に示すように、操作部911aが操作されていない状態で、固定対象部材930の穴931に嵌ることで、固定対象部材930がベース920から抜けるのを阻止する。突出部913は、肉抜きの凹部913a、913b(図37図39参照)が形成されている点を除いて、第3実施形態の突出部67と同様に形成される。
【0212】
なお、固定部材910は、第3実施形態の、撓み変形可能な第2突出部69に相当する部分を有しない。固定部材910は、上記以外は、第3実施形態の固定部材60と同様に形成される。
【0213】
ベース920は、第3実施形態のベース500と同様に、裏面側に、固定部材910が組み付けられる凹状空間(固定部材910の収容空間)を形成する。ベース920は、第3実施形態のベース500と同様に、凹状空間の壁面に、固定部材910の凸部911cを受け入れる凹部923と、固定部材910の、操作時における過剰移動(弾性片912の過剰変形)を阻止する阻止部(干渉部)としての凸部924と、固定部材910がベース920の凹状空間から抜けるのを止める係合突起925とを有する(図36図37参照)。
【0214】
また、ベース920には、固定対象部材930を嵌めるための嵌合穴926が形成されている。ベース920は、嵌合穴926の内面(具体的には嵌合穴926の下面)に凸部927を有する。凸部927は、固定対象部材930が上下逆に組み付けられるのを阻止する部分である。なお、図37の例では、嵌合穴926は、ベース920の前面920aから裏面920bへと貫通する形状に形成されるが、裏面920b側を塞いだ形状に形成されてもよい。これによれば、嵌合穴926からベース920の裏側が見えてしまうのを抑制できる。また、嵌合穴926からベース920の裏側に水、ごみ等の異物が侵入するのを抑制できる。
【0215】
ベース920は、弾性片912の先端が接触する面921を有する。その面921は、図44に示すように、突起922を有する。突起922は、固定部材910の操作部911a(図36参照)が図36の紙面の上方向に押操作されたときに、面921上を摺動する弾性片912の先端に干渉させて、弾性片912の先端を乗り越えさせる部位である。突起922は、操作部911aの操作により移動する外側弾性片912b、912dの先端の移動経路上に設けられる。突起922は、操作部911aが操作されない状態(図44の状態)で、外側弾性片912b、912dよりも外側(中心線L8から遠ざかる側)に位置する。なお、図44では、一方の外側弾性片912bに干渉させるための突起922を図示しているが、他方の外側弾性片912dに干渉させるための突起(図示外)も設けられる。操作部911aの操作により、外側弾性片912b、912dの先端は、突起922に干渉し、その後、突起922を乗り越える(図45参照)。操作部911aが操作された状態(図45の状態)では、突起922は、外側弾性片912b、912dと内側弾性片912a、912cの間に位置する。
【0216】
また、外側弾性片912b、912dが突起922を乗り越えるタイミングは、図37に示す突出部913が固定対象部材930の穴931から外れる瞬間又はその瞬間よりも遅いタイミングとしてよい。
【0217】
このように、外側弾性片912b、912dは、操作部911aの操作時に突起922に干渉して乗り越える乗越部として機能する。突起922は、外側弾性片912b、912dを乗り越えさせる被乗越部として機能する。また、本体部911は、外側弾性片912b、912dが突起922を乗り越えることで生じる感覚(節度感)を操作部911aに伝達させる伝達部として機能する。
【0218】
なお、本実施形態では、内側弾性片912a、912cを乗り越えさせる突起は設けられないが、突起922に代えて又は加えて、内側弾性片912a、912cを乗り越えさせる突起が設けられてもよい。
【0219】
ベース920は、図46A又は図46Bに示すように、ベース920を支持する支持部材940、950(例えば車両の内装部材)に一体に形成されてよい。すなわち、ベース920及び支持部材940、950は一体成形品としてよい。図46Aの例では、ベース920の前面920aと支持部材940の表面941とが面一となっている。図46Aの支持部材940は、表面941に、固定部材910の操作部911aを入れるための凹部942が形成される。凹部942は、ユーザの指が入る大きさに形成される。
【0220】
図46Bの例では、ベース920の前面920a及び固定部材910の操作部911aは、支持部材950の表面951から出た位置に設けられる。ベース920は、支持部材940、950に一体であるので、第3実施形態のベース500の係合部517、518(図17参照)に相当する部分を有しない。なお、ベース920は、第3実施形態のベース500と同様に、支持部材940、950と別体に設けられてもよい。
【0221】
ベース920は、上記以外は、第3実施形態のベース500と同様に形成される。
【0222】
固定対象部材930は、図36図37に示すように、ベース920の凸部927を嵌めるための凹部932を有する。凹部932は、固定対象部材930の下面に設けられる。固定対象部材930の上面には、ベース920の凸部927が嵌合可能な凹部が形成されていない。これにより、固定対象部材930が上下逆に組み付けられないようになっている。
【0223】
固定対象部材930は、上記以外は、第1実施形態の固定対象部材300又は第3実施形態の固定対象部材600と同様である。
【0224】
本実施形態によれば、上記第1~第5実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。すなわち、操作部911aの操作時に、外側弾性片912b、912dが突起922を乗り越える。その乗り越えの際に、操作荷重が上昇し、その後、操作荷重が下がる。この荷重落差により、節度感を出すことができる。また、外側弾性片912b、912dが突起922を乗り越える際に音を発生させることも可能である。これにより、突出部913が固定対象部材930の穴931から外れたこと、すなわち固定対象部材930がベース920から取り外し可能となったことを、ユーザに容易に把握させることができる。また、節度感を出せることで、操作部911aが過剰に押し込まれるのを抑制でき、弾性片912の過剰変形(へたり)を抑制できる。
【0225】
また、弾性片912は4つ設けられるので、弾性片912の弾性反発力を大きくできる。これにより、操作部911aの操作を解除した時に、弾性片912の弾性反発力で、固定部材910を元の状態(図36図37の状態)に復帰させやすくできる。
【0226】
(第7実施形態)
次に、本開示の第7実施形態を上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態は第1実施形態の変形例である。図47図48に本実施形態の固定部材960を示す。なお、固定部材960の左側面図は図48Cの右側面図と対称形に表される。固定部材960は、軸部961と、一対の弾性片962と、先端側凸部963と、基端側凸部964と、付加部965と、座部966と、操作部967とを有する。軸部961は、操作方向に直角な方向における幅が、第1実施形態の軸部2のそれよりも若干幅広に形成される。軸部961は、肉抜きの凹部961a、961b、961cが形成されている。軸部961は、幅広に形成される点と、凹部961a、961b、961cが形成される点を除いて、第1実施形態の軸部2と同様に形成される。
【0227】
弾性片962、先端側凸部963、基端側凸部964、付加部965、座部966、及び操作部967は、第1実施形態の先端側凸部10、基端側凸部11、付加部12、座部4、及び操作部5と同様の形状に形成され、先端側凸部10、基端側凸部11、付加部12、座部4、及び操作部5と同様の機能を有する。また、固定部材960が組み付けられるベース(図示外)、及びベースに組み付けられる固定対象部材(図示外)は、第1実施形態のベース200、固定対象部材300と同様に形成されてよい。
【0228】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られることに加えて、軸部961が幅広に形成されるので、固定部材960と固定対象部材(図示外)との係合をより強固にできる。また、肉抜きの凹部961a、961b、961cにより、固定部材960の重量増加を抑制できる。
【0229】
(節度感付与構造の変形例)
上記第6実施形態では、固定部材910の操作時に節度感を付与する例を示したが、第6実施形態で示した構造以外の構造で節度感を付与しても良い。以下、節度感付与構造の各種変形例を例示する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の部材には同一の符号を付す。
【0230】
図49図52図59は、第6実施形態の変形例を示している。図49Aの例では、固定部材910の弾性片912の先端が接する、ベース920の面921に溝921a(凹部)が形成される。溝921aは、弾性片912の先端の移動経路上に設けれられる。固定部材910の操作時に、弾性片912の先端が溝921aに入り、その後、溝921aから出ることで、荷重落差による節度感や音を生じさせることができる。この場合、溝921aは、弾性片912を乗り越えさせる被乗越部として機能する。
【0231】
図49Bの例では、固定部材910の本体部911の、ベース920の裏側の凹状空間の内面971に対面する面に、突起970が形成される。突起970は、本体部911の左辺部又は右辺部に形成される。突起970は、固定部材910の操作方向と、固定対象部材(図示外)の着脱方向の双方に直角な方向(図49Bの紙面の左方向)に突出する。ベース920の、本体部911の左辺部又は右辺部に対面する内面971には、部分的に凹部972が形成される。凹部972内に突起973が形成される。固定部材910の突起970は、凹部972に位置して、固定部材910の操作時にその操作方向に移動する。ベース920の突起973は、固定部材910の突起970の移動経路上に位置する。固定部材910の操作時に、突起970が突起973に干渉して乗り越える。この乗り越えの際に、節度感や音を生じさせることができる。突起973が凹部972内に形成されることで、ベース920の内面971と、本体部911の左辺部又は右辺部との隙間を小さくできる。
【0232】
図49Cの例では、ベース920の、固定部材910の左辺部又は右辺部に対面する内面971に、突起974が形成される。固定部材910の本体部911は、ベース920の内面971に対面する面以外の面975から、内面971の方に延び出す延出部976を有する。面975は例えば弾性片912が形成される面である。突起974は、延出部976の先端が操作時に移動する経路上に設けられる。固定部材910の操作時に、延出部976の先端が突起974に干渉して乗り越える。この乗り越えの際に、節度感や音を生じさせることができる。延出部976が、内面971に対面する面以外の面975から延び出すことで、内面971と、本体部911の左辺部又は右辺部との隙間を小さくできる。なお、延出部976は、突起974に干渉する際に撓むように形成されてよい。
【0233】
図49Dの例では、固定部材910は、本体部911から、固定部材910の操作方向に平行な方向に延び出す延出部977を有する。延出部977は、本体部911の左辺部又は右辺部の、操作方向に平行な方向における端部から延び出す。延出部977は、基端が本体部911に支持され、先端を自由端とした、片持ち形状に形成される。延出部977は、それが対面するベース920の内面971との対面方向(図49Dの紙面の左右方向)に撓み変形が可能に形成される。延出部977は、内面971の方に突出する突起978を有する。
【0234】
内面971には部分的に凹部979が形成される。凹部979内に突起980が形成される。固定部材910の突起978は、凹部979に位置する。ベース920の突起980は、固定部材910の突起978の移動経路上に位置する。固定部材910の操作時に、突起978が突起980に干渉して乗り越える。この際、延出部977が撓む。この乗り越えの際に、節度感や音を生じさせることができる。突起978が撓み変形可能な延出部977に形成されることで、突起978と突起980とを乗り越えやすくできる。
【0235】
図49Eの例では、固定部材910は撓み変形部981を有する。撓み変形部981は、本体部911の左辺部又は右辺部に形成されて、固定部材910の操作方向に平行な方向(図49Eの紙面の上下方向)における両端が本体部911に支持される。撓み変形部981は、ベース920の内面971の方に盛り上がるように形成される。詳しくは、撓み変形部981は、操作方向の逆方向(図49Eの紙面の下方)に進むにしたがって次第に内面971側に接近する第1部分981aと、操作方向の逆方向に進むにしたがって次第に内面971から遠ざかる第2部分981bとを含む。撓み変形部981の、内面971に対面しない側には空間982が形成される。第1部分981a及び第2部分981bは、図49Eの紙面の右方向(空間982側)に撓み変形が可能に形成される。
【0236】
ベース920の内面971には部分的に凹部983が形成される。凹部983内に突起984が形成される。撓み変形部981の頂部981c(第1部分981aと第2部分981bとの境界部)は凹部983内に位置する。突起984は頂部981cの移動経路上に位置する。固定部材910の操作時に、第1部分981aが突起984に干渉する。この際、第1部分981aが撓みながら、頂部981cが突起984を乗り越える。この乗り越えの際に、節度感や音を生じさせることができる。その後、固定部材910の操作が解除されると、弾性片912の弾性反発力により、固定部材910は元の位置に復帰動作する。その復帰動作時に、第2部分981bが突起984に干渉することで、第2部分981bが撓み、頂部981cが突起984を乗り越える。
【0237】
なお、ベース920側に、撓み変形部981に相当する部分が形成され、固定部材910側に、凹部983及び突起984に相当する部分が形成されてもよい。
【0238】
図49Fの例では、固定部材910は、撓み変形部985を有する。撓み変形部985は、固定部材910の操作方向に平行な方向における一端が本体部911に支持され、他端を自由端とした、片持ち形状に形成される。撓み変形部985は、片持ち形状に形成される点を除いて、図49Eの撓み変形部981とど同様である。また、図49Fでは、ベースは図示していないが、図49Eのベース920と同様に形成される。これによれば、図49Eと同様の作用効果が得られる。
【0239】
図50A図50Bの例では、固定部材910は突起986を有する。突起986は、本体部911の左辺部又は右辺部から、ベース920の内面971の方に突出するように形成される。ベース920は、内面971に、撓み変形部987を有する。撓み変形部987は、図50Bに示すように、一端が支持され、他端を自由端とした片持ち形状に形成される。撓み変形部987の基端から先端への方向に直角な方向における撓み変形部987の両側にスリット987aが形成される。撓み変形部987は、図50Aの左方向(固定部材910の操作方向と固定対象部材の着脱方向の双方に直角な方向)に撓み変形可能に形成される。撓み変形部987には突起988が形成される。突起988は、固定部材910の突起986の移動経路上に位置する。固定部材910の操作時に、突起986が突起988に干渉して乗り越える。この際、撓み変形部987が撓む。この乗り越えの際に、節度感や音を生じさせることができる。
【0240】
なお、図50Cに示すように、固定部材910側に、図50A図50Bの撓み変形部987及び突起988に相当する撓み変形部989及び突起990が形成され、ベース920側に、図50Aの突起986に相当する突起991が形成されてもよい。
【0241】
さらに、上述の図49B図50Cの構造は、図49B図50Cに示した部位以外の部位に形成されてもよい。具体的には、例えば図50Dに示すように、固定部材910の突出部913(固定対象部材がベース920から抜けるのを阻止する部分)に、図49B図50Cと同様の乗越部992が設けられ、ベース920の、突出部913に対面する部位に、乗越部992を乗り越えさせる図49B図50Cと同様の被乗越部993が設けられてもよい。
【0242】
また、図50Dに示すように、固定部材910は、固定部材910の内側の空間内に突出する突出部994と、その突出部994に形成される、図49B図50Cと同様の形状の乗越部995とを有してよい。突出部994は、固定対象部材がベース920から抜けるのを阻止するための突出部913とは別に設けられる。図50Dでは、突出部994は、本体部911の、突出部913が設けられる部位の反対側の部位から、突出部913の突出方向とは反対方向に突出する例を示している。ベース920は、固定部材910の内側の空間に嵌る部位920cから突出する突出部996と、その突出部996に形成される、図49B図50Cと同様の形状の被乗越部997とを有してよい。
【0243】
さらに、節度感付与構造は、図50E図50Fのように構成されてもよい。図50E図50Fの例では、固定部材910は撓み変形部998を有する。撓み変形部998は、操作部911aから立ち上がる壁部911bに設けられる。具体的には、撓み変形部998は壁部911bから、固定部材910の操作方向(図50Eの紙面の上方向)側に突出する形状に形成される。撓み変形部998は、第3実施形態の第2突出部69(図20参照)と同様の形状に形成され、すなわち、固定対象部材(図示外)の着脱方向(図50Eの紙面に直角な方向、図50Fの紙面の左右方向)に撓み変形可能な薄板状に形成される。
【0244】
ベース920は、固定部材910の操作時に、撓み変形部998を乗り上げさせる突起999を有する。撓み変形部998は、操作時に、突起999に干渉することで、撓み変形し、突起999の上に乗る。撓み変形部998と突起999との干渉により、節度感や音を生じさせることができる。
【0245】
また、節度感付与構造は、図51図52のように構成されてもよい。図51図52の例では、固定部材910は、操作部911aの操作方向に平行な方向(図51図52の上下方向)における操作部aの側に、突出片1250を有する。突出片1250は、操作部911aから立ち上がる壁部911bに設けられる。詳しくは、突出片1250は、壁部911bの裏面から、操作部911aの操作方向に直角な方向(図52の紙面に左方向)に凸状に形成される。さらに、突出片1250は、壁部911bの先端911eよりも操作方向側に突出する形状に形成される。
【0246】
突出片1250は突起1251を有する。突起1251は、突出片1250の、ベース920の裏面920d(前面920aの反対側の面)に対向した対向面に形成される。突出片1250は、操作方向に直角な方向(図52の紙面の左方向)に撓み変形が可能に形成されてよい。
【0247】
ベース920は、裏面920dに凸部1252を有する。凸部1252は、操作部911aが操作されていない状態(図51図52の状態)で、凸部1252と、固定部材910の壁部911bとの間には、操作方向に平行な方向に間隔を有する。凸部1252は、操作部911aの操作に伴い移動する突起1251の移動経路上に位置する。
【0248】
操作部911aが操作されると、突起1251は、凸部1252に干渉して、凸部1252の先端1252aを乗り越え、又は凸部1252の先端1252aに乗り上がる。この際に節度感や音を生じさせることができる。また、操作部911aの操作を進めると、壁部911bの先端911eと凸部1252の側面1252bとが干渉する。これにより、固定部材910の過剰移動が阻止され、弾性片912の過剰変形が阻止される。また、先端911eと凸部1252とが干渉したときには、固定部材910の突出部913が固定対象部材930の穴931から外れており、固定対象部材930をベース920から抜き取ることができる。なお、凸部1252は、突起1251を乗り越え又は乗り上げさせる被乗越部又は被乗上部として機能するとともに、固定部材910の操作時における過剰移動を阻止する過剰移動阻止部として機能する。
【0249】
また、節度感付与構造は、図59のように構成されてもよい。図59の例では、固定部材910は、上述の弾性片912とは別に、撓み変形部としての弾性片1254を備える。弾性片1254は、一端が固定部材910の部位1253に支持され、他端を自由端とした片持ち状に形成される。弾性片1254を支持する部位1253は、操作部911aから立ち上がる壁部911bに設けられる。詳しくは、部位1253は、壁部911bの左右方向(図59Aの紙面の左右方向)における中央から、固定部材910の裏側に突出するように設けられる。
【0250】
弾性片1254の基端から先端に向かって真っすぐに延びている。弾性片1254の先端(自由端)は、基端よりも上側(操作方向側)に位置し、かつ、基端よりも、操作方向に直角な方向の側(図59B、Cの例では右側)に位置する。このように、弾性片1254の基端から先端への方向は、固定部材910の操作方向に対して斜め方向となっている。
【0251】
弾性片1254の先端は、ベース920の部位1255a(図59C参照)に接触している。弾性片1254の先端は、固定部材910の操作時及び操作解除時に、ベース920の部位1255a(摺動面)上を摺動する。弾性片1254の先端の移動方向(摺動方向)は操作方向に平行な方向(図59の上下方向)である。弾性片1254は、操作方向に直角な方向(図59B、Cの紙面の左方向)に撓み変形が可能に形成される。
【0252】
ベース920は、固定部材910の操作時に、弾性片1254の先端を摺動させる摺動面1255aを有する。摺動面1255aは、固定部材910の操作方向に平行な面として構成される。ベース920は、裏面920dに凸部1255を有する。凸部1255は、ベース920の左右方向(図59Aの紙面の左右方向)における中央から、ベース920の裏側に突出するように設けられる。摺動面1255aは、凸部1255の、裏面920dからの突出方向における端面である。
【0253】
ベース920は摺動面1255aに突起1256を有する(図59C参照)。突起1256は、弾性片1254の先端の移動経路上に設けられる。突起1256は図59Cの断面で見て山形状に形成される。詳しくは、突起1256は、固定部材910の操作方向(図59Cの紙面の上方向)に向かうにしたがって次第に摺動面1255aに直角な方向であって摺動面1255aから離れる方向(図59Cの紙面の左方向)に変位する第1傾斜部1256aを有する。突起1256は、第1傾斜部1256aの端部である頂部1256bから、固定部材910の操作方向(図59Cの紙面の上方向)に向かうにしたがって次第に摺動面1255aに直角な方向であって摺動面1255aに接近する方向(図59Cの紙面の右方向)に変位する第2傾斜部1256cを有する。
【0254】
操作部911aが操作されると、弾性片1254の先端は、突起1256の第1傾斜部1256aに干渉する。その干渉時に、弾性片1254は、図59Cの左方向に撓む。その後、弾性片1254の先端は、突起1256の頂部1256bを乗り越える。この乗り越えの際に、節度感や音を生じさせることができる。また、操作部911aの操作を進めると、壁部911bの先端911e(図59C参照)と凸部1255の側面1255b(図59C参照)とが干渉する。これにより、固定部材910の過剰移動が阻止され、弾性片912の過剰変形が阻止される。
【0255】
その後、操作部911aの操作が解除されると、弾性片1254の先端は、第2傾斜部1256c側から突起1256に干渉して、突起1256を乗り越える。なお、突起1256に代えて、摺動面1255aに溝が形成されてもよい。
【0256】
また、第1実施形態又は第7実施形態の固定部材1、960と同様の引操作型の固定部材を備えた固定構造に、節度感付与構造を備えさせてもよい。例えば、図53図54のように、固定部材1000は、固定部材1000を操作解除時に元の位置に復帰させる弾性片1004とは別に、撓み変形部1002を有する。撓み変形部1002は、軸部1001において片持ち形状に形成される。撓み変形部1002の周囲にはスリット1002aが形成される。撓み変形部1002は、固定部材1000の操作方向に直角な方向(図54の紙面の左右方向)に撓み変形可能に形成される。撓み変形部1002には突起1003が形成される。固定部材1000は、上記以外は第1、第7実施形態の固定部材1、960と同様に形成される。固定部材1000が組み付けられる相手部材1010には突起1011が形成される。固定部材1000の操作時に、突起1003が突起1011に干渉することで、撓み変形部1002が撓み、突起1003が突起1011を乗り越える。この乗り越えの際に節度感や音を生じさせることができる。
【0257】
また、節度感付与構造は、図55図56のように構成されてもよい。図55図56の例では、固定部材1100の軸部1101に凹部1002が形成される。固定部材1100は、凹部1002内に突起1103を有する。固定部材1100は、上記以外は第1、第7実施形態の固定部材1、960と同様に形成される。固定部材1100が組み付けられる相手部材1110は、撓み変形部1111を有する。撓み変形部1111の周囲にはスリット1112が形成されている。これにより、撓み変形部1111は、固定部材1100の操作方向に平行な方向(図55の紙面の上下方向、図56の紙面に直角な方向)に撓み変形可能である。撓み変形部1111の先端には突起1113が形成される。固定部材1100の操作時に、突起1103が突起1113に干渉することで、撓み変形部1111が撓み、突起1103が突起1113を乗り越える。この乗り越えの際に節度感や音を生じさせることができる。
【0258】
さらに、節度感付与構造は、図57図58のように構成されてもよい。図57図58の固定部材960は、第7実施形態の固定部材960と同じである。図57図58の例では、固定部材960が組み付けられる相手部材1200の、弾性片962の先端が接触する面に、突起1201又は溝1202が形成される。固定部材960の操作時に、弾性片962の先端が、突起1201、又は溝1202に干渉して乗り越える。この乗り越えの際に節度感や音を生じさせることができる。
【0259】
なお、本開示は上記実施形態に限定されず種々の変更が可能である。例えば、上記第1実施形態では、前進抜け止め部として座部と先端側凸部の双方を備えた固定部材を例示したが、いずれか一方が無い固定部材でもよい。この場合、座部が無い固定部材でもよい。
【0260】
また、上記実施形態では、固定対象部材としてフック部材を例示したが、固定対象部材はどのようなものでもよい。例えば、テーブル、椅子等の脚部を固定対象部材としてよい。これによれば、テーブル、椅子等を着脱可能に固定できる。
【0261】
また、上記実施形態では、スタビライザー形状の弾性変形部を例示したが、固定部材又は組付相手部材に一体成形できるのであれば、弾性変形部はどのような形状でもよい。
【0262】
また、上記第1~第7実施形態では、固定部材又はそれが組み付けられる相手部材に、2つ又は4つの弾性変形部(弾性片)が設けられる例を示したが、弾性変形部の個数は1つ、3つ、又は5つ以上でもよい。
【0263】
また、第6実施形態及び図49図59で示したように、固定部材は、操作部の操作時に、固定部材が組み付けられる組付相手部材(ベース又は固定対象部材)の部位に干渉して該部位を乗り越え、又は該部位の上に乗る干渉部を備えてよい。組付相手部材は、固定部材の操作時に、固定部材の干渉部に干渉して、該干渉部を乗り越えさせ、又は乗り上げさせる被干渉部を備えてよい。この場合、干渉部及び被干渉部は凸状(突起)、凹状(溝)又は撓み変形部であってよい。また、干渉部又は被干渉部が凸状(突起)に形成される場合には、撓み変形部にその凸状が形成されてよい。
【符号の説明】
【0264】
1、20、60、80、90、910、960、1000、1100 固定部材
3、23、68、87、853、912、962、1004 弾性片(弾性変形部)
9、22 軸部の先端部(阻止部)
67、88、93、913 第1突出部(阻止部)
5、25、64a、83a、94a、911a、967 操作部
100、150、400、700、800、900 固定構造
200、220、500、750、850、920 ベース
207、322、502、751、851、926 嵌合穴
300、310、320、600、930 固定対象部材
302、222、602 嵌合穴に嵌る部分
303、223、603、931 阻止部が嵌る取付穴(凹部)
図1
図2
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