(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025709
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】リチウムイオンアキュムレータを処理するための可動式装置とリチウムイオンアキュムレータを処理するための方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/40 20220101AFI20240216BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20240216BHJP
H01M 10/54 20060101ALI20240216BHJP
B09B 101/16 20220101ALN20240216BHJP
【FI】
B09B3/40
B09B3/35 ZAB
H01M10/54
B09B101:16
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023127879
(22)【出願日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】22189740
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521293589
【氏名又は名称】リートハンメル・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ウール
(72)【発明者】
【氏名】デニス・バード
【テーマコード(参考)】
4D004
5H031
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004CA04
4D004CA24
4D004CB09
4D004CB13
4D004CB32
4D004CB42
4D004CB45
4D004CB46
4D004DA03
4D004DA10
4D004DA20
5H031BB04
5H031RR01
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、リチウムイオンアキュムレータを処理するための装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、リチウムイオンアキュムレータを処理するための可動式装置およびリチウムイオンアキュムレータを処理するための方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンアキュムレータを処理するための可動式装置(1)であって、
1.1 投入チャンバー(10)であって、
1.1.1 リチウムイオンアキュムレータは前記投入チャンバー(10)内に受け入れ可能である、
投入チャンバー(10)と、
1.2 破砕装置(20)であって、
1.2.1 前記投入チャンバー(10)内に受け入れられた前記リチウムイオンアキュムレータは、前記投入チャンバー(10)から前記破砕装置(20)へ搬送可能であり、
1.2.2 前記破砕装置(20)へ搬送された前記リチウムイオンアキュムレータは、前記破砕装置(20)によって破砕可能である、
破砕装置(20)と、
1.3 中間充填容器(30)であって、
1.3.1 前記破砕装置(20)によって破砕された前記リチウムイオンアキュムレータは、前記破砕装置(20)から中間充填容器(30)へ搬送可能であり、
1.3.2 中間充填容器(30)に搬送された破砕済みリチウムイオンアキュムレータは、前記中間充填容器(30)に受け入れ可能である、
中間充填容器(30)と、
1.4 ロータリーキルン(50)であって、
1.4.1 前記中間充填容器(30)内に受け入れられた前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータは、前記中間充填容器(30)から前記ロータリーキルン(50)内に搬送可能であり、
1.4.2 前記ロータリーキルン(50)は、電気的加熱可能であり、
1.4.3 前記ロータリーキルン(50)内に搬送された前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータは、前記ロータリーキルン(50)によって熱処理可能である、
ロータリーキルン(50)と、
1.5 排出コンベア装置(70)であって、
1.5.1 前記ロータリーキルン(50)内で熱処理された前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータは、前記排出コンベア装置(70)によって前記ロータリーキルン(50)から搬出可能である、
排出コンベア装置(70)と
を備える、可動式装置(1)。
【請求項2】
インターガス雰囲気は、投入チャンバー(10)内にセットされ得る、請求項1に記載の可動式装置(1)。
【請求項3】
前記投入チャンバー(10)内に収容された前記リチウムイオンアキュムレータは、重力を用いて前記投入チャンバー(10)から前記破砕装置(20)へ搬送され得る、請求項1から2の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項4】
前記リチウムイオンアキュムレータは、前記破砕装置(20)によって粒径にまで破砕されるものとしてよく、これにより、前記破砕装置(20)によって破砕された前記リチウムイオンアキュムレータの少なくとも90質量%は、最大で20mmの粒径を有する、請求項1から3の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項5】
前記破砕装置(20)は、一軸シュレッダーを備える、請求項1から4の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項6】
前記破砕装置(20)によって破砕された前記リチウムイオンアキュムレータは、重力を用いて前記破砕装置(20)から前記中間充填容器(30)へ搬送され得る、請求項1から5の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項7】
前記ロータリーキルン(50)内に搬送された前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータは、前記リチウムイオンアキュムレータの少なくとも部分的な熱分解が生じるように前記ロータリーキルン(50)によって熱処理され得る、請求項1から6の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項8】
投入コンベア装置(40)をさらに備え、前記中間充填容器(30)に収容された前記リチウムイオンアキュムレータは、前記投入コンベア装置(40)によって前記中間充填容器(30)から前記ロータリーキルン(50)内に搬送され得る、請求項1から7の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項9】
前記投入コンベア装置(40)は、少なくとも2つのスクリューコンベア(41、42)を備える、請求項8に記載の可動式装置(1)。
【請求項10】
前記ロータリーキルン(50)は、ロータリーチューブ(51)と入口ハウジング(54)とを備え、前記ロータリーチューブ(51)は、ポリテトラフルオロエチレンを含むシール(55)を介して前記入口ハウジング(54)に関して封止される、請求項1から9の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項11】
前記ロータリーキルン(50)は、ロータリーチューブ(51)と出口ハウジング(56)とを備え、前記ロータリーチューブ(51)は、ポリテトラフルオロエチレンを含むシール(57)を介して前記出口ハウジング(56)に関して封止される、請求項1から10の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項12】
中間出口容器(80)をさらに備え、前記排出コンベア装置(70)を用いて前記ロータリーキルン(50)から搬送された前記リチウムイオンアキュムレータは、前記中間出口容器(80)内に収容され得る、請求項1から11の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項13】
インターガスを発生させるための手段(110)をさらに備える、請求項1から12の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)。
【請求項14】
リチウムイオンアキュムレータを処理する方法であって、
A. 請求項1から13の少なくとも一項に記載の可動式装置(1)を提供するステップと、
B. リチウムイオンアキュムレータ(11)を前記投入チャンバー(10)内に投入するステップと、
C. 前記投入チャンバー(10)内に投入された前記リチウムイオンアキュムレータ(11)を前記破砕装置(20)に搬送するステップと、
D. 前記破砕装置(20)により前記リチウムイオンアキュムレータ(11)を破砕するステップと、
E. 破砕済みリチウムイオンアキュムレータ(21)を中間充填容器(30)に搬送するステップと、
F. 前記中間充填容器(30)内に搬送された前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータ(21)を前記ロータリーキルン(50)内に搬送するステップと、
G. 前記ロータリーキルン(50)内に搬送された前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータ(21)を前記ロータリーキルン(50)により熱処理するステップと、
H. 前記ロータリーキルン(50)内で熱処理された前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータ(21)を前記排出コンベア装置(70)によって前記ロータリーキルン(50)から搬出するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記リチウムイオンアキュムレータ(11)は、前記破砕済みリチウムイオンアキュムレータ(21)の少なくとも部分的な熱分解が生じるように前記ロータリーキルン(50)によって熱処理される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオンアキュムレータ(lithium-ion accumulator)を処理するための可動式装置およびリチウムイオンアキュムレータを処理するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンアキュムレータは、リチウム化合物をベースとするアキュムレータの総称である。そのようなリチウムイオンアキュムレータは、リチウムイオンアキュ(lithium-ion accu)またはリチウムイオン電池とも呼ばれる。リチウムイオンアキュムレータは、その高い比エネルギーにより、今日では、様々な装置、たとえば、スマートフォン、電動工具、電動園芸機器、電動スクーター、電動自転車、電動フォークリフト、電気自動車、定置型蓄電池、またはエレクトロモビリティ分野の他の用途に使用されている。
【0003】
リチウムイオンアキュムレータの寿命が尽きると、リチウム、コバルト、マンガン、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、または銅などの、リチウムイオンアキュムレータ中に存在する原材料の多くを回収することが、生態学的および経済的な理由から推奨される。リチウムイオンアキュムレータの生産から出る廃棄物についても同じことが当てはまる。法的規制に従って、一部ではあるが、リチウムイオンアキュムレータに含まれる原材料をリサイクルすることができるようにリチウムイオンアキュムレータの製造業者または販売業者に対するリチウムイオンアキュムレータの引き取り義務もある。
【0004】
リチウムイオンアキュムレータ中に存在する原材料を回収してリサイクルすることができるように、リチウムイオンアキュムレータの事前処理が必要である。そのような処理は、通常、この目的のために特別に設計された工場において実行される。リチウムイオンアキュムレータ中に存在する原材料を回収することを目的としてそのような工場でリチウムイオンアキュムレータを処理するために、まず最初に企業および公共機関によってリチウムイオンアキュムレータが回収され、次いで、工場に一括して輸送され、これらの工場においてリチウムイオンアキュムレータが処理される。しかしながら、そのような輸送には高いコストが付きものである。さらに、リチウムイオンアキュムレータのそのような輸送には、リチウムイオンアキュムレータの燃焼および発火の危険性が高いことに起因にする安全性リスクがある。このような理由から、たとえば、「陸路による危険物品の国際輸送に関する欧州協定」(ADR)によれば、リチウムイオンアキュムレータのいかなる輸送も、特別安全規制が適用される、危険物の輸送とみなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、リチウムイオンアキュムレータを処理するための装置を提供することであり、特に、リチウムイオンアキュムレータ内に存在する物質をその後回収することができ、リチウムイオンアキュムレータのそのような輸送が低減され得る、ようにリチウムイオンアキュムレータを処理することができることである。
【0006】
特に、本発明の目的は、リチウムイオンアキュムレータを処理するための可動式装置を提供することである。そうする際に、本発明は、リチウムイオンアキュムレータを処理するためのリチウムイオンアキュムレータの装置までの運搬を、リチウムイオンアキュムレータを装置まで運搬するのではなくむしろ装置によるリチウムイオンアキュムレータの処理のために装置をリチウムイオンアキュムレータまで運搬することによって低減するという基本的な考察から始まる。したがって、本発明の特定の目的は、リチウムイオンアキュムレータを処理するための装置であって、装置がリチウムイオンアキュムレータまで運搬され得るように可動式である装置を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的を解決するために、本発明によれば、リチウムイオンアキュムレータを処理するための可動式装置が提供され、これは次の特徴、
投入チャンバー(input chamber)であって、リチウムイオンアキュムレータが投入チャンバー内に受け入れ可能である、投入チャンバーと、
破砕装置(crushing device)であって、投入チャンバー内に受け入れられたリチウムイオンアキュムレータが投入チャンバーから破砕装置まで搬送可能であり、破砕装置に搬送されたリチウムイオンアキュムレータは破砕装置によって破砕可能である、破砕装置と、
中間充填容器(intermediate charging container)であって、破砕装置によって破砕されたリチウムイオンアキュムレータは破砕装置から中間充填容器に搬送可能であり、中間充填容器に搬送された破砕済みリチウムイオンアキュムレータは中間充填容器に受け入れ可能である、中間充填容器と、
ロータリーキルンであって、中間充填容器内に受け入れられた破砕済みリチウムイオンアキュムレータは中間充填容器からロータリーキルン内に搬送可能であり、ロータリーキルンは電気的加熱可能であり、ロータリーキルン内に搬送された破砕済みリチウムイオンアキュムレータはロータリーキルンによって熱処理可能である、ロータリーキルンと、
排出コンベア装置であって、ロータリーキルン内で熱処理された破砕済みリチウムイオン電池は、排出コンベア装置によってロータリーキルンから搬送可能である、排出コンベア装置とを備える。
【0008】
本発明は、リチウムイオンアキュムレータを処理するための装置を提供するという基本的な考えに基づいており、これを用いることにより、リチウムイオンアキュムレータは、リチウムイオンアキュムレータ中に存在する原材料が処理後に回収できるように処理され得るが、それ同時に、この装置は、可動性を有するように設計される。したがって、装置のすべてのコンポーネントは、装置が全体として可動性を有するように、すなわち丸ごと運搬することができるように設計され、互いにインタラクティブなやり取りをすることができる。
【0009】
装置は、このような可動性または運搬性を有するので、丸ごと運搬することができる。たとえば、装置は、処理されるべきリチウムイオンアキュムレータが回収される場所まで運搬され、それにより、リチウムイオンアキュムレータは、本発明による装置によって運搬されることなく処理され得る。
【0010】
好ましくは、本発明による可動式装置は、その機能的配置構成において可動性または運搬性を有するように、すなわち、運搬のために装置を分解しなくてよいように設計される。
【0011】
好ましい一実施形態によれば、可動式装置は、少なくとも1つの移動可能な容器内に配置構成され、それにより、本発明による装置は、少なくとも1つの容器が可動性または運搬性を有することによって移動可能にされる。たとえば、装置は、2つまたはそれ以上の容器内に配置構成することができ、これらの容器は、たとえば、容器が互いに結合されたときに本発明による装置が結果として得られるように互いに結合され得る。
【0012】
特に好ましい一実施形態によれば、本発明による装置は、電流だけで動作することができる。言い換えると、本発明による装置は、それにより、その機能性のために電流の供給のみを必要とし、ガス、油、または水の供給などのさらなる供給を必要としない。
【0013】
好ましくは、したがって、本発明による装置のすべてのコンポーネントは、電流によって動作可能なように設計されている。
【0014】
本発明による装置によって処理されるべきリチウムイオンアキュムレータを装置内に送り込むことできるようにするために、本発明による装置は、投入チャンバーを有する。本発明による装置によって処理されるべきリチウムイオンアキュムレータは、この投入チャンバー内に受け入れられ得る。リチウムイオンアキュムレータを投入チャンバー内に投入することができるようにするために、投入チャンバーは、好ましくは、リチウムイオンアキュムレータが投入チャンバー内に投入される際に通ることができる投入開口部を有する。好ましい一実施形態によれば、不活性ガス雰囲気が、入力チャンバー内で調整可能である。入力チャンバー内のそのような不活性ガス雰囲気の調整が可能であることは、特に、これが反応性ガスが入力チャンバーを通って入力チャンバーの下流に接続されている本発明による装置のコンポーネント内に入るのを防ぐことができるという利点を有する。好ましくは、窒素をベースとする不活性ガス雰囲気が投入チャンバー内にセットされ得る。好ましくは、投入チャンバーは、気密方式で閉じられ得ることが規定される。これは、不活性ガス雰囲気が投入チャンバー内にセットされたときに反応ガスが投入チャンバー内に入るのを防ぐ。好ましくは、投入チャンバーは、不活性ガスを投入チャンバー内に導入するためのガス入口部を有する。好ましくは、投入チャンバーは、投入チャンバーに受け入れられたリチウムイオンアキュムレータが投入チャンバーの下流にある破砕装置内に搬送される際に通ることができる開口部を有する。好ましくは、この排出開口部は、気密方式で閉鎖され得る。
【0015】
破砕装置は、プロセス方向において投入チャンバーの下流に接続される。投入チャンバー内に受け入れられたリチウムイオンアキュムレータは、投入チャンバーから破砕装置まで搬送され得る。好ましい一実施形態によれば、投入チャンバー内に収容されたリチウムイオンアキュムレータは、重力を用いて投入チャンバーから破砕装置へ搬送され得る。特に、このことは、また、リチウムイオンアキュムレータを投入チャンバーから破砕装置まで搬送するために別の搬送ユニットを必要としないという利点も有し、これは、装置のさらなるコンパクト化を可能にし、それにより、装置の可動性を高める。前述したように、投入チャンバーが閉鎖可能な排出開口部を有する限りにおいて、投入チャンバー内に受け入れられたリチウムイオンアキュムレータは、排出開口部を開くことによって投入チャンバーから細断装置へ重力によって搬送可能であり得る。好ましい一実施形態によれば、破砕装置は、投入チャンバーより下に配置構成され、それによって、リチウムイオンアキュムレータは、投入チャンバーから破砕装置へ重力によって特に容易に搬送され得る。
【0016】
一実施形態によれば、リチウムイオンアキュムレータが破砕装置によって粒径に合わせて粉砕され得ることが規定され、これによれば、破砕装置によって粉砕されたリチウムイオンアキュムレータの少なくとも90質量%が、最大で20mm、特に好ましくは最大で15mmの粒径を有する。以下でさらに説明されているように、リチウムイオンアキュムレータは、好ましくは、少なくとも部分的に熱分解されるようにロータリーキルン内で熱処理され得る。本発明によれば、リチウムイオンアキュムレータが20mmを超える粒径に、または15mmを超えるに過ぎない粒径にも粉砕される場合に、十分な熱分解が達成可能でないか、または一定の間隔で達成可能ではないことが判明している。したがって、本発明によれば、好ましくは、上述のように、リチウムイオンアキュムレータは、主に、破砕装置によってこの臨界サイズを下回る粒径に粉砕されることが規定される。
【0017】
破砕されたリチウムイオンアキュムレータの粒径は、好ましくは、ふるい分析を用いて測定され得る。
【0018】
好ましい一実施形態によれば、破砕装置は、一軸シュレッダーを含む。一軸シュレッダーは、一軸粉砕機とも称され、従来技術で知られている。一軸シュレッダーは、一般的に、ローターナイフが円周方向に配設された回転可能なシャフトを備える。カッティングギャップが、シャフトとカウンターナイフが配置構成されたエッジとの間に形成される。シャフトの回転により、カッティングギャップ内のコンポーネントは、カッティングギャップ内でローターナイフとカウンターナイフとの間で切断されることによって粉砕される。本発明によれば、驚くべきことに、リチウムイオンアキュムレータは、そのような一軸シュレッダーを用いて特に有利に、特に最大で20mmまたは最大で15mmの粒径まで細断され得ることが見出された。さらに、本発明によれば、驚くべきことに、最大20mmまたは15mmまでのそのようなサイズ縮小は、市場で入手可能な多数の他のサイズ縮小ユニット、たとえば二軸シュレッダーでは達成できないことが判明した。これは特に、リチウムイオンアキュムレータ内に通常存在するポリマーフィルムの細断に当てはまる。好ましい一実施形態によれば、破砕装置は一軸シュレッダーとパンチとを備える。パンチは、一軸シュレッダーまたは一軸シュレッダーのカッティングギャップに対してリチウムイオン電池をガイドするために使用され得る。これは、特に信頼性の高い方式でリチウムイオン電池の最適な粉砕、特に前述の粒径までの粉砕を達成することを可能にする。好ましくは、パンチは、油圧駆動され得る。
【0019】
本発明による可動式装置は、プロセス方向において破砕装置の下流に中間充填容器を有する。中間充填容器は、破砕装置によって破砕されたリチウムイオンアキュムレータがロータリーキルンに送り込まれる前に入れることができる容器である。したがって、中間充填容器は、特に、破砕装置とロータリーキルンとの間で破砕されたリチウムイオンアキュムレータに対するバッファとしての役割も果たす。バッファとしての中間充填容器のこの効果は、また、本発明による可動式装置が、リチウムイオンアキュムレータを不連続的にまたはバッチ式にしか充填されない、またはリチウムイオンアキュムレータがバッチ式にしか投入チャンバーに投入されない場合であっても、連続的に動作できるという特別な利点を有する。
【0020】
好ましい一実施形態によれば、破砕装置によって破砕されたリチウムイオンアキュムレータは、重力により破砕装置から中間充填容器に搬送できることが規定される。重力によるそのような搬送は、特に、粉砕されたリチウムイオンアキュムレータが破砕装置から中間充填容器に搬送されるための別個の搬送装置が用いられずに済むという利点も有する。特に、これは、本発明による装置にコンパクトさを加え、したがって可動性を改善するという利点ももたらす。好ましくは、中間充填容器は、破砕装置より下に配置構成され、したがって、破砕されたリチウムイオンアキュムレータは、重力によって破砕装置から中間充填容器に特に容易に搬送され得る。
【0021】
少なくとも100リットル、特に好ましくは少なくとも150リットルの破砕リチウムイオンアキュムレータが中間充填容器に収容され得る場合に有利であることが実証されている。
【0022】
本発明による装置のロータリーキルンは、実質的に従来技術のロータリーキルンのように設計され得る。好ましくは、ロータリーキルンは、その長手方向軸の周りに回転可能に装着されたロータリーチューブを備え、長手方向軸は水平に対して傾斜している。本発明によれば、0から3°の間の範囲内、特に有利には1から3°の間の範囲内の傾斜が有利であることが判明している。燃焼チャンバーがロータリーキルンの内部に形成され、その中で燃焼されるべき材料が熱処理され得る。ロータリーキルンを長手方向軸の周りに回転させることによって、燃焼されるべき材料は、長手方向軸の傾斜に起因してロータリーキルンの上端から下端へ自動的に移動される。したがって、ロータリーキルン内で熱処理されるべき材料は、ロータリーキルンチューブの上端であるキルン入口から、ロータリーキルンチューブの下端であるキルン出口へと移動される。燃焼されるべき材料は、キルン入口でロータリーキルン内に送り込まれ、キルン出口でロータリーキルンから排出される。
【0023】
好ましい一実施形態によれば、ロータリーチューブが内部螺旋を有することが規定され得る。本発明によれば、これは、破砕されたリチウムイオンアキュムレータがその熱処理の間に特に有利な方式でロータリーキルンを通して搬送されることを可能にすることが判明している。
【0024】
好ましい一実施形態によれば、ロータリーキルンチューブが燃焼チャンバー内に突出するバッフルを有することが規定され得る。本発明によれば、破砕されたリチウムイオンアキュムレータは、これらのバッフルによって特に有利に混合され、熱が特に良好に伝達され得ることが判明した。
【0025】
本発明による装置において、ロータリーキルン内に搬送された破砕済みリチウムイオンアキュムレータは、好ましくは、リチウムイオンアキュムレータの少なくとも部分的な熱分解が起こるようにロータリーキルンによって熱処理され得る。パイロリシスとも称される、そのような熱分解では、有機物が酸素の実質的排除により分割される熱化学的変換が起こることが知られている。好ましくは、ロータリーキルン内の熱処理は、不活性ガス雰囲気中で行われ、その目的のために不活性ガス雰囲気は好ましくはロータリーキルン内にセットされ得る。好ましくは、窒素をベースとする不活性ガス雰囲気がセットされ得る。そのような不活性ガス雰囲気をセットするために、不活性ガスは、好ましくは、ロータリーキルン内に導入され得る。好ましくは、ロータリーキルンは、この目的のためのガス入口部を有し、このガス入口部を介して不活性ガスがロータリーキルン内に導入され得る。好ましくは、ロータリーキルンは、キルン入口部の領域、すなわち、加熱されるべき材料がロータリーキルン内に導入され得る領域に、そのようなガス入口部を有する。
【0026】
好ましくは、ロータリーキルンは、燃焼ガス(プロセスガス)がロータリーキルンから排出され得る際に通るガス出口部を有する。特に、この燃焼ガスは、ロータリーキルン内に存在する不活性ガス、およびロータリーキルン内でリチウムイオンアキュムレータを熱処理する際に形成される熱分解ガスも含む。ロータリーキルンから排出された燃焼ガスは、好ましくは、後処理に送られ得る。特に、燃焼ガスの熱的後処理は、燃焼ガス中の、特に有害成分を、無害化するために用意され得る。
【0027】
好ましくは、250℃から650℃の間の範囲内の温度が、ロータリーキルン内、すなわちロータリーキルンのロータリーチューブまたは燃焼チャンバー内にセットされ得る。本発明によれば、温度が250℃未満である場合にロータリーキルン内で処理され得るリチウムイオンアキュムレータの完全なパイロリシスが保証されないことが判明している。さらに、本発明によれば、温度が650℃を超えた場合にロータリーキルン内でリチウムイオンアキュムレータのコンポーネントの望ましくない部分溶融が生じ得ることが判明している。特に好ましくは、ロータリーキルンは、500℃から550℃の間の範囲の温度に設定され得る。好ましくは、リチウムイオンアキュムレータは、ロータリーキルン内で10から150分の範囲の持続時間にわたって熱処理される。
【0028】
特に好ましい一実施形態によれば、ロータリーキルンは、間接加熱式ロータリーキルンである。知られているように、間接加熱式ロータリーキルンにおいて、熱は、ロータリーキルンの外部で発生し、ロータリーキルンチューブを介してロータリーキルンチューブ内の燃焼チャンバーに伝達される。本発明によれば、熱がロータリーキルンの内部で、特にガスバーナーによって、発生する直接加熱式ロータリーキルンでは、ロータリーキルン内のリチウムイオンアキュムレータの望ましくない溶融が生じ、これはロータリーキルンを詰まらせるか、またはリチウムイオンアキュムレータの熱処理をより困難にし得ることが判明している。しかしながら、間接加熱式ロータリーキルンを使用した結果、燃焼チャンバー内でのリチウムイオンアキュムレータの熱処理が特に穏やかになり、これによりそのような溶融反応が抑制され得る。特に好ましくは、電気間接加熱式ロータリーキルンが提供され、電気加熱は、好ましくはロータリーキルンの外部に配置構成される、好ましくは電気加熱要素または加熱棒、特に好ましくは炭化ケイ素加熱棒によって行われる。従来技術から知られているように、そのような電気間接加熱式ロータリーキルンは、外部絶縁加熱マッフルを備えてもよく、加熱棒または加熱要素は、ロータリーキルンチューブと加熱マッフルとの間の空間内に配置構成されてもよい。
【0029】
本発明によるそのような電気間接加熱式ロータリーキルンの特に有利な点は、動作させるためだけに電源に接続されなければならないことである。たとえばガスまたは油などの追加の供給は必要ない。このようにして、特に、外部電源のみを介して本発明による装置を動作させる本発明による目的も達成され得る。
【0030】
ロータリーキルンは、好ましくは、直流原理で動作する。この点で、ロータリーキルンは、好ましくは、ロータリーキルン内で熱処理されたリチウムイオン電池およびキルンガスが、ロータリーキルンの入口側から出口側へ、またはロータリーキルンによって画成された燃焼チャンバーを通ってガイドされるように設置される。
【0031】
好ましい一実施形態によれば、本発明による可動式装置が投入コンベア装置をさらに備えることが規定され、中間充填容器内に収容されたリチウムイオンアキュムレータは、投入コンベア装置によって中間充填容器からロータリーキルン内に搬送され得る。したがって、投入コンベア装置は、中間充填容器またはバッファ内に保持されている破砕済みリチウムイオン電池が、投入コンベア装置によって中間充填容器からロータリーキルン内に搬送され、次いで、そこで熱処理され得るように設計されている。
【0032】
特に好ましい一実施形態によれば、投入コンベア装置は、少なくとも2つのスクリューコンベアを備える。本発明によれば、破砕装置によって破砕されたリチウムイオンアキュムレータは、特に、前に説明されているように、最大で20mmまたは15mmの粒径に合わせて主に破砕される限りにおいて、スクリューコンベアによって非常に有利に運搬され、ロータリーキルンに搬送され得ることが判明している。この発明の考え方のさらなる展開によれば、投入コンベア装置は、少なくとも、粉砕されたリチウムイオンアキュムレータが中間充填容器から搬出される際に使用され得る第1のスクリューコンベアおよび粉砕されたリチウムイオンアキュムレータがロータリーキルン内に搬送される際に使用できる第2のスクリューコンベアを備える。好ましくは、第1および第2のスクリューコンベアは、第1のスクリューコンベアによって搬送される破砕済みリチウムイオンアキュムレータが第2のスクリューコンベアに移送され得るように形成される。少なくとも2つのそのようなスクリューコンベアを備える投入コンベア装置は、多数の利点を有する。まず第1に、そのような2つのスクリューコンベアは、互いに関して移動可能であり得、第2のスクリューコンベアがロータリーキルンの所望の傾斜に容易に調整されることを可能にする。さらに、しかしながら、これは、第1および第2のスクリューコンベアが異なる材料から形成されることも可能にする。たとえば、第2のスクリューコンベアは、第2のスクリューコンベアがそこで破砕されたリチウムイオン電池をロータリーキルン内に搬送することができるようにロータリーキルンの入口部の過酷な条件に耐えることができる高強度鋼から作ることができる。しかしながら、第1のスクリューコンベアは、そのような過酷な条件に耐える必要のない、より好ましい材料、特に、より好ましい鋼鉄から形成され得る。
【0033】
好ましい一実施形態によれば、ロータリーキルンはロータリーチューブと入口ハウジングとを備え、ロータリーチューブはポリテトラフルオロエチレンまたはカーボンリングシールを含むシールを介して入口ハウジングに関して封止されることが規定される。従来技術から知られているように、入口ハウジングは、好ましくは炉入口部の領域内に配置構成される。対応する入口ハウジングは、従来技術から知られている。これらは、ロータリーキルン内に導入される前にロータリーキルン内で熱処理されるべき材料を受け入れる働きをする。本発明によれば、破砕されたリチウムイオンアキュムレータは、好ましくは、投入コンベア装置によって、特に好ましくは第2のスクリューコンベアによって、入口ハウジング内に搬送され得る。その後、入口ハウジング内に搬送された破砕済みリチウムイオンアキュムレータは、ロータリーキルン内に搬送され、そこで熱処理され得る。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、ロータリーキルンが、入口ハウジングの領域内に冷却装置を備えることが規定され得る。そのような冷却装置は、特に、ロータリーキルンがその入口ハウジングの領域内で冷却され得るように設計され得る。好ましくは、冷却装置は、その入口ハウジングの領域内で、ロータリーキルンが気体、特に空気で冷却され得るように設計される。冷却装置は、ロータリーキルンが外部からのガスで冷却され得るように設計されていることが特に好ましい。そのような冷却装置は、特に、ポリテトラフルオロエチレンがより高い温度で熱分解するのを防ぐことができる。
【0035】
好ましい一実施形態によれば、ロータリーキルンはロータリーチューブと出口ハウジングとを備え、ロータリーチューブはポリテトラフルオロエチレンまたはカーボンリングシールを含むシールを介して出口ハウジングに関して封止されることが規定される。
【0036】
従来技術から知られているように、出口ハウジングは、好ましくは炉出口部の領域内に配置構成される。対応する出口ハウジングは、従来技術から知られている。これらは、ロータリーキルンから排出された後にロータリーキルン内で熱処理された材料を収容するために使用される。このプロセスでは、ロータリーキルン内で熱処理された材料は、ロータリーキルンの回転によって出口ハウジング内に定期的に送り込まれる。従来技術のロータリーキルンの技術的課題は、出口ハウジングに対するロータリーキルンチューブの封止である。これは、出口ハウジングが固定位置に規則的に配置構成されるが、ロータリーキルンチューブは出口ハウジング内に回転可能にガイドされるからである。本発明によれば、本発明による可動式装置のロータリーキルンは、ポリテトラフルオロエチレンを含むシールを用いて出口ハウジングに関して非常に有利に封止され得ることが、今や驚くべきことに判明した。
【0037】
前に説明されているように、不活性ガス雰囲気は、好ましくはロータリーキルン内で調整可能である。この発明の考え方のさらなる展開によれば、不活性ガス雰囲気は、好ましくは、プロセス方向においてフィードチャンバーの下流にある装置のコンポーネント内にもセットされ得る。これは、これらのコンポーネントからの反応ガスが、リチウムイオン電池のパイロリシスを妨げるおそれのあるロータリーキルン内に流入するのを防止することができる。
【0038】
本発明による可動式装置の排出コンベア装置は、基本的に、従来技術から知られている任意のコンベアであってよく、このコンベアを用いて、ロータリーキルン内で処理された材料はロータリーキルンから搬出され得る。好ましい一実施形態によれば、排出コンベア装置は、ロータリーバルブを備える。好ましくは、ロータリーキルン内で熱処理されたリチウムイオン電池は、上で説明されているように形成された出口ハウジングを介して、必要な場合に、排出コンベア装置または排出コンベア装置のセル型ホイール式スルース内に搬送され得る。好ましくは、リチウムイオン電池は、重力によって排出コンベア装置、特に排出コンベア装置のロータリーバルブ内に搬送され得る。これは、追加の搬送装置を不要にし、本発明による装置の可動性を高める。
【0039】
特に好ましい一実施形態によれば、本発明による可動式装置は、中間出口容器をさらに備え、排出コンベア装置を用いてロータリーキルンから搬出されたリチウムイオン電池は、中間出口容器内に収容され得る。中間出口容器は、この点で、排出コンベア装置によってロータリーキルンから搬出された熱処理済みリチウムイオン電池が、さらに処理されるかまたは搬送される前に受け入れられ得るバッファである。これは、次いで、ロータリーキルンが連続的に稼動することを可能にし、ロータリーキルンから搬出された熱処理済みリチウムイオン電池は、不連続に、すなわちバッチ単位でのみ、さらに処理されるかまたは搬送され得る。
【0040】
一実施形態によれば、本発明による可動式装置は、中間排出容器内に収容されたリチウムイオンアキュムレータが搬出される際に通ることができるスクリューコンベアを備えることが規定され得る。スクリューコンベアは、その後、リチウムイオンアキュムレータを任意の受け入れ装置に移送することができる。好ましい一実施形態によれば、スクリューコンベアは、好ましくは、たとえば水または油の形態の、流体を用いて冷却されることが規定される。好ましくは、流体は循環され、消費されないことが規定される。熱は、好ましくは、環境に放散される。
【0041】
好ましい一実施形態によれば、本発明による可動式装置は、不活性ガスを発生させるための装置を備えることが規定され得る。特に、本発明による装置は、気体窒素を発生させるためのそのような装置を備え得る。不活性ガスを発生させるためのそのような装置の特別な利点は、特に、本発明による装置がその動作のために外部の不活性ガス供給源に接続されなくてもよいことである。むしろ、そのような装置の存在は、本発明による装置が外部電源への接続のみによって動作することを可能にする。不活性ガス、特に気体窒素を発生させるための装置は、原理上、不活性ガス、特に気体窒素を発生する従来技術から知られている任意の装置とすることができる。特に好ましくは、そのような装置は、外部電源への接続のみを用いて動作できる装置である。好ましくは、装置は、窒素発生器であり、特に好ましくは、炭素分子ふるいによる圧力スイング原理に基づく窒素発生器である。好ましくは、窒素発生器は、スクリューエアコンプレッサによる供給を受ける。
【0042】
本発明のさらなる実施形態によれば、装置は、さらに、不活性ガスを発生するための装置によって生成される不活性ガスを貯蔵するためのタンクを備えることが規定され得る。
【0043】
さらに、本発明の考え方のさらなる展開によれば、装置が、不活性ガスをタンクからロータリーキルン、特にロータリーキルンのロータリーチューブ内に導く、特にキルン入口の領域に不活性ガスを導入するための手段を備えることが規定され得る。さらに、不活性ガスをタンクから投入チャンバー内に導入するための手段が提供され得る。
【0044】
好ましくは、本発明による可動式装置は、装置を制御することを可能にする制御手段を備える。好ましくは、これらの制御手段は、電子データ処理装置を備え、これにより装置は制御され得る。特に、制御手段は、装置のすべてのコンポーネントの動作を制御するか、または監視するために使用され得る。特に、ロータリーキルンの動作、すなわち特にロータリーキルンの温度および雰囲気は、制御手段によって制御可能であるか、または制御され得る。
【0045】
本発明の目的はまた、リチウムイオンアキュムレータを処理するための方法を提供することであり、これは、
本発明による可動式装置を提供するステップと、
リチウムイオンアキュムレータを投入チャンバー内に投入するステップと、
投入チャンバー内に送り込まれたリチウムイオンアキュムレータを破砕装置に搬送するステップと、
破砕装置によりリチウムイオンアキュムレータを破砕するステップと、
破砕されたリチウムイオンアキュムレータを中間充填容器に搬送するステップと、
中間充填容器内に搬送された破砕済みリチウムイオンアキュムレータをロータリーキルン内に搬送するステップと、
ロータリーキルン内に搬送された破砕済みリチウムイオンアキュムレータをロータリーキルンにより熱処理するステップと、
ロータリーキルン内で熱処理された破砕済みリチウムイオンアキュムレータを、ロータリーキルンから排出コンベア装置によって搬送するステップとを含む。
【0046】
本発明による方法は、好ましくは、リチウムイオンアキュムレータが上で説明されているように処理される仕方で実施される。
【0047】
この点に関して、リチウムイオンアキュムレータは、好ましくは、前に説明されているように、リチウムイオンアキュムレータの少なくとも部分的な熱分解が生じるようにロータリーキルンによって熱処理される。
【0048】
本発明による可動式装置を用いて、特に本発明による方法を用いて熱処理されたリチウムイオンアキュムレータは、その後、前述の原材料がそれらから少なくとも部分的に回収され得るようにさらに処理され得る。
【0049】
本発明のさらなる特徴は、請求項、図、および次の添付図の説明から明らかである。
【0050】
本発明のすべての特徴は、個別に、または組み合わせて、任意の所望の方式で互いに組み合わされ得る。
【0051】
本発明の一実施形態の一例が、添付されている高度に図式化された図および関連する次の図の説明を参照しつつより詳細に説明される。
【0052】
図の説明を以下に示す。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明による装置および本発明による方法の一実施形態の概略プロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
全体として、
図1の可動式装置は参照符号1によって識別される。
【0055】
装置1は、投入チャンバー10を備え、この中に、投入開口部12を介して矢印P1に従ってリチウムイオン電池11が投入され得る。投入開口部12は、第1のフラップ13を介して気密方式で閉鎖され得る。下側において、投入チャンバー10は、第2のフラップ15を介して気密的方式で閉鎖され得る吐出開口部14を有する。投入チャンバー10は、250リットルの容積を有し、第1のフラップ13および第2のフラップ15によって気密方式で閉鎖され得る。投入チャンバー10は、不活性ガスを投入チャンバー10内に導入するためのガス接続部16を有する。ガス接続部16を用いて不活性ガスを導入することによって、不活性ガス雰囲気が投入チャンバー10内にセットされ得る。
【0056】
装置1の破砕装置20が、投入チャンバー10より下に配置構成されている。投入チャンバー10より下に破砕装置20を配置構成することで、リチウムイオンアキュムレータが投入チャンバー10から破砕装置20まで重力によって搬送され得る。投入チャンバー10の第2のフラップ15を開くことによって、投入チャンバー10内に配置されたリチウムイオンアキュムレータは、重力によって破砕装置20内に落下する。破砕装置20は、一軸シュレッダーであり、細断されるべき材料は、油圧ラムを用いて一軸シュレッダーのシャフトに押し付けられる。一軸シュレッダーは、リチウムイオン電池を、15mm以下の粒径で、ほぼ完全に、90質量%以上が存在する程度まで破砕することができる。投入チャンバー10から破砕装置20までのリチウムイオンアキュムレータの搬送経路は、矢印P2によって示されている。破砕装置20で破砕されたリチウムイオンアキュムレータは、黒丸21で指示されている。
【0057】
中間充填容器30が、破砕装置20より下に配置構成されている。中間充填容器30は、単純な鋼鉄製の箱として設計され、プロセス方向で上流にある投入チャンバー10と破砕装置20とプロセス方向下流にあるロータリーキルン50との間のバッファとして働く。中間充填容器30を破砕装置20より下に配置構成することは、破砕装置20内で破砕されたリチウムイオンアキュムレータが破砕装置20から中間充填容器30内に重力によって落下することを可能にし、これは矢印P3によって指示される。中間充填容器30は、約150リットルの容積を有する。
【0058】
可動式装置1は、ロータリーキルン50と投入コンベア装置40とをさらに備え、これを介して、中間充填容器30内に受け入れられた破砕済みリチウムイオンアキュムレータは中間充填容器30からロータリーキルン50内に搬送され得る。
【0059】
ロータリーキルン50は、炭化ケイ素加熱棒を介して間接的に電気的加熱され得るロータリーキルン50の形態である。ロータリーキルン50は、円筒形ロータリーチューブ51を備え、これは、ロータリーチューブ51の中心長手軸Lの周りに回転可能に装着される。中心長手軸Lは、水平に対して傾斜している。ロータリーチューブ51は、炭素含有量の少ないステンレス、オーステナイト系クロム-ニッケル-モリブデン鋼から作られる。
図1の左側の、ロータリーキルン51の上端は、ロータリーキルン50のキルン入口部52であり、これを介してロータリーキルン50で熱処理されるべき破砕されたリチウムイオン電池がロータリーキルン51内に送り込まれ得る。
図1の右側の、ロータリーキルン51の下端は、ロータリーキルン51のキルン出口部53であり、これを通して、ロータリーキルン50で熱処理されたリチウムイオン電池がロータリーキルン51から排出される。ロータリーキルン51は、加熱マッフル(図示せず)によって外側から断熱されており、炭化ケイ素燃料棒(図示せず)は、ロータリーキルン51と加熱マッフルとの間に配置構成されている。炭化ケイ素加熱棒を介したロータリーキルン51の電気加熱は、従来技術に従って実行される。この点で、ロータリーチューブ51は、加熱棒を介して外側から加熱されるので、熱は、ロータリーチューブ51を介して、ロータリーチューブ51によって囲まれた空間内に伝導される。したがって、ロータリーキルンチューブ51によって囲まれている空間は、破砕されたリチウムイオン電池が熱処理され得る燃焼チャンバーとして働く。制御装置は、ロータリーキルン51全体の温度が500から550℃の範囲になるようにロータリーキルン50を制御する。入口部52の領域内で、ロータリーキルン50は、入口ハウジング54を有し、この入口ハウジング54の中にロータリーキルン51が部分的に導入され、入口ハウジング54に関してロータリーキルン51がポリテトラフルオロエチレンを含むシール55によって封止される。同様に、出口部53の領域において、ロータリーキルン50は、出口ハウジング56を備え、この出口ハウジング56内にロータリーチューブ51も部分的に挿入され、この出口ハウジング56に関してロータリーチューブ51はポリテトラフルオロエチレンを含むシール57によって封止される。装置1は、空気冷却器60をさらに備え、これを用いて、ロータリーキルン50はロータリーチューブ51の入口部52と出口部53の領域で冷却され得る。この目的のために、冷却器60は、ファン61を備え、これを用いて、ロータリーキルン51は第1の冷却管路62を介して入口部52の領域内で外側から冷却され、ロータリーキルン51は、空気(新鮮な空気)を吹き込むことによって第2の管路63を介して出口部53の領域で外側から冷却され得る。これは、ポリテトラフルオロエチレンを含むシール55、57が熱損傷から保護され得るようにロータリーチューブ51が冷却されることを可能にする。
【0060】
投入コンベア装置40は、第1のスクリューコンベア41と第2のスクリューコンベア42とを備える。第1のスクリューコンベア41を用いることで、中間充填容器30内に配置された破砕済みリチウムイオンアキュムレータ21は中間充填容器30から搬出され得る。移送点43において、第1のスクリューコンベア41は、破砕されたリチウムイオンアキュムレータ21を第2のスクリューコンベア42に移送し、これを介して、破砕されたリチウムイオンアキュムレータ21は、最終的に、ロータリーキルン50の入口ハウジング54内に搬送され得る。第1のスクリューコンベア41および第2のスクリューコンベア42による破砕済みリチウムイオンアキュムレータ21の搬送は、矢印P4によって指示され、第2のスクリューコンベア42から入口ハウジング54への破砕済みリチウムイオンアキュムレータ21の進入は、矢印P5によって指示される。
【0061】
ロータリーチューブ51を中心長手方向軸Lの周りに回転させることによって、破砕されたリチウムイオンアキュムレータ21は、入口ハウジング54からロータリーチューブ51内へ、それを通って矢印P6の方向に沿って出口ハウジング56へ運搬される。これがロータリーチューブ51内を通過する間に、破砕されたリチウムイオンアキュムレータ21は、熱分解されるように熱処理される。そのようなパイロリシスに必要な不活性ガス雰囲気をロータリーキルン51内に供給するために、ロータリーキルン51は、入口部52の領域内にガス供給部58を有し、このガス供給部58を介して不活性ガスはロータリーキルン51内に導入され得る。ロータリーキルン51内に導入された不活性ガスは、ロータリーキルン51内を矢印P6の方向に流れ、出口53の領域に到達すると、矢印59によって指示される燃料ガスが、ロータリーキルン50から再び引き出される。引き出された燃料ガスは、次いで、図に示されていない燃料ガス後処理プロセスによって後処理され得る。
【0062】
出口部53の領域では、ロータリーキルン51において熱分解されたリチウムイオンアキュムレータ21は、重力によって矢印P7で指示される出口ハウジング56内に落下し、ここから、次いで、重力によってロータリーバルブの形態の排出コンベア装置70内に落下する。ロータリーバルブ70より下に、単純な鋼鉄製の箱の形態の中間出口容器80がバッファとして配置構成されている。中間出口容器80はロータリーバルブ70より下に配置されているので、熱処理されたリチウムイオン電池21は、ロータリーバルブ70から矢印P9によって指示される中間出口容器80内に重力によって落下することができる。最後に、リチウムイオンアキュムレータ21は、矢印P10の方向に沿って、中間出口容器80から搬出され、さらなる搬送スクリュー90を介して運搬容器100内に搬送されるものとしてよく、これは矢印P11によって指示される。スクリューコンベア90は、リチウムイオンアキュムレータ21がスクリューコンベア90を通って運搬される間に最高温度60℃まで冷却され得るように給水式ジャケット冷却システムを有する。
【0063】
運搬容器100を介して、破砕された熱処理済みリチウムイオンアキュムレータ21は、装置1から一括して取り出され、さらなる処理に送られ得る。この一括取り出しは、中間出口容器80によって緩衝される。
【0064】
可動式装置1は、気体窒素の形態の不活性ガスを発生するための手段110をさらに備える。手段110は、気体窒素を発生させるために使用することができる空気スクリュー圧縮機111を備える。さらに、手段110は、空気スクリュー圧縮機111によって生成される窒素ガスが受け入れ可能であるガスタンク112を備える。ガスタンク112から、窒素が、一方では第1の不活性ガス管路113を用いてガス開口部16を介して投入チャンバー10内に、他方では第2の不活性ガス管路114を用いてガス接続部58を介してロータリーチューブ51内に導入され得る。
【0065】
装置1のすべてのコンポーネントは、電流によって駆動されるものとしてよく、したがって電流の供給のみが、装置1を動作させるために必要である。
【0066】
さらに、装置1は全体として、容器内に完全に配置構成されるように設計されており、これは破線120によって指示されている。容器120を運搬することによって、装置1全体が丸ごと運搬可能または移動可能になるように設計されている。
【0067】
図2では、
図1による装置1のいくつかの要素のみが、参照符号でマークされている。
【符号の説明】
【0068】
1 装置
10 投入チャンバー
11 リチウムイオン電池
12 投入開口部
13 第1のフラップ
14 吐出開口部
15 第2のフラップ
16 ガス接続部
20 破砕装置
30 中間充填容器
40 投入コンベア装置
41 第1のスクリューコンベア
42 第2のスクリューコンベア
43 移送点
50 ロータリーキルン
51 円筒形ロータリーチューブ
52 キルン入口部
53 キルン出口部
54 入口ハウジング
55 シール
56 出口ハウジング
57 シール
58 ガス供給部
60 冷却器
61 ファン
62 第1の冷却管路
63 第2の管路
70 排出コンベア装置
80 中間出口容器
90 搬送スクリュー
100 運搬容器
110 手段
111 空気スクリュー圧縮機
112 ガスタンク
113 第1の不活性ガス管路
114 第2の不活性ガス管路
【外国語明細書】