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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002572
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231228BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20231228BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20231228BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20231228BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
H01L33/62
H01L33/00 L
G09F9/33
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101843
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】飯野 皓宏
(72)【発明者】
【氏名】小酒 達
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕典
(72)【発明者】
【氏名】松尾 元一郎
(72)【発明者】
【氏名】十文字 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】篠▲原▼ 悠貴
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA23
5C094CA19
5C094CA24
5C094DA12
5C094DB01
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB15
5C094JA01
5C094JA08
5F142AA54
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB07
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD15
5F142CD49
5F142CG01
5F142DB24
5F142DB44
5F142DB54
5F142EA02
5F142FA30
5F142FA34
5F142GA02
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】位置精度を向上させる。
【解決手段】LEDディスプレイ装置1は、絶縁性を有するベース層26Rと、ベース層上面26RS1に形成される複数の薄膜LED30Rと、薄膜LED30Rに接続されるカソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1と、ベース層上面26RS1とは反対側の面であるベース層下面26RS2に設けられた通気溝50Rとを設け、通気溝50Rは、ベース層26Rにおける上面と直交する発光方向Deから見たときに薄膜LED30Rと重ならない領域に形成されるようにする。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する平坦化層と、
前記平坦化層における第1の面上に形成される複数の半導体素子と、
前記半導体素子に接続される接続部と、
前記平坦化層における前記第1の面とは反対側の面である第2の面に設けられた溝部と
を有し、
前記溝部は、前記第1の面と直交する第1の方向から見たときに前記半導体素子と重ならない領域に形成される
半導体装置。
【請求項2】
前記溝部は、
前記第1の方向から見たときに前記半導体素子及び前記接続部と重ならない領域に形成される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接続部は、
前記平坦化層の前記第2の面に露出しており、前記半導体素子と、前記平坦化層の前記第2の面側に位置する他の接続部とを導通させる
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記溝部は、
前記平坦化層における、前記第1の面に沿う面方向の端面において前記平坦化層の外部と連通している
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記溝部は、
前記第1の方向から見たときに少なくとも前記半導体素子よりも外側において前記半導体素子を囲うように形成されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記溝部は、
前記第1の方向から見たときに前記接続部よりも外側において前記半導体素子及び前記接続部を囲うように形成されている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記溝部は、
前記第1の方向から見たときに格子状である
請求項5又は請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記溝部は、
複数の前記半導体素子が配列された方向を少なくとも一部分に含む方向に延在する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記溝部における前記第1の方向の深さは、前記平坦化層における前記第1の方向の厚さの半分以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記溝部は、
前記平坦化層における前記第2の面において、前記第2の面から前記第1の面に向かって凹む
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記平坦化層である第1の平坦化層と、前記半導体素子である第1の半導体素子と、前記接続部である第1の接続部と、前記溝部である第1の溝部とを含む第1の層と、
前記第1の平坦化層における前記第2の面が当接するように前記第1の層が積層され、少なくとも前記第1の半導体素子を制御する制御基板と、
前記第1の層における前記制御基板とは逆側の面に積層され、第2の半導体素子を含む第2の層と、
前記第2の層における前記第1の層とは逆側の面に積層され、第3の半導体素子を含む第3の層と
を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の層は、
前記第1の層と当接し絶縁性を有する第2の平坦化層と、
前記第2の平坦化層における前記第3の層側の面である第1の面上に形成される複数の前記第2の半導体素子と、
前記第2の半導体素子に接続される第2の接続部と、
前記第2の平坦化層における前記第1の面とは反対側の面である第2の面に設けられた第2の溝部と
を有し、
前記第3の層は、
前記第2の層と当接し絶縁性を有する第3の平坦化層と、
前記第3の平坦化層における前記第2の層とは逆側の面である第1の面上に形成される複数の前記第3の半導体素子と、
前記第3の半導体素子に接続される第3の接続部と、
前記第3の平坦化層における前記第1の面とは反対側の面である第2の面に設けられた第3の溝部と
を有し、
前記第2の溝部は、前記第1の方向から見たときに前記第2の半導体素子と重ならない領域に形成され、
前記第3の溝部は、前記第1の方向から見たときに前記第3の半導体素子と重ならない領域に形成される
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の溝部、前記第2の溝部及び前記第3の溝部は、
前記第1の方向から見たときに前記第1の半導体素子、前記第2の半導体素子及び前記第3の半導体素子と重ならない領域に形成される
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体素子は、発光素子である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
形成基板上に、該形成基板と接する面とは逆側の面に凸部を有する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、
前記犠牲層上に絶縁性を有する平坦化層を形成する平坦化層形成工程と、
前記平坦化層における第1の面上に複数の半導体素子を形成する半導体素子形成工程と、
前記平坦化層に、前記半導体素子と接続されるように接続部を形成する接続部形成工程と、
前記犠牲層を除去することで前記平坦化層の前記第1の面と反対側の第2の面に溝部を形成する溝部形成工程と
を含み、
前記凸部は、前記第1の面と直交する方向から見たときに前記半導体素子と重ならない領域に配置される
半導体装置製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び半導体装置製造方法に関し、例えば半導体素子が回路基板に実装された発光装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板にマトリクス状に実装された複数の半導体素子を選択的に駆動して発光させることにより、画像を表示する発光装置である半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような半導体装置においては、発光素子である半導体素子を有するフィルム状の部材である接合物が、被接合物である基板等に、発光素子の発光面に直交する方向に積層されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-23263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような半導体装置においては、接合物が作成された後に被接合物に接合される際に気泡が発生し、位置精度良く転写されない可能性があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、位置精度を向上し得る半導体装置及び半導体装置製造方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の半導体装置においては、絶縁性を有する平坦化層と、平坦化層における第1の面上に形成される複数の半導体素子と、半導体素子に接続される接続部と、平坦化層における第1の面とは反対側の面である第2の面に設けられた溝部とを設け、溝部は、第1の面と直交する第1の方向から見たときに半導体素子と重ならない領域に形成されるようにした。
【0007】
また本発明の半導体装置製造方法においては、形成基板上に、該形成基板と接する面とは逆側の面に凸部を有する犠牲層を形成する犠牲層形成工程と、犠牲層上に絶縁性を有する平坦化層を形成する平坦化層形成工程と、平坦化層における第1の面上に複数の半導体素子を形成する半導体素子形成工程と、平坦化層に、半導体素子と接続されるように接続部を形成する接続部形成工程と、犠牲層を除去することで平坦化層の第1の面と反対側の第2の面に溝部を形成する溝部形成工程とを含み、凸部は、第1の面と直交する方向から見たときに半導体素子と重ならない領域に配置されるようにした。
【0008】
本発明は、被接合物に接合される際に半導体装置と被接合物との間において空気が局所的に溜まってしまうことを防いで分散させることにより、光学特性を維持しつつ、被接合物に対する半導体装置の位置精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位置精度を向上し得る半導体装置及び半導体装置製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】LEDディスプレイ装置の構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の構成を示し、図1における数画素分のエリアであるA部の拡大平面図である。
図3】第1の実施の形態による回路基板の構成を示し、図2から薄膜層群を除いた状態の拡大平面図である。
図4】第1の実施の形態による隣接する画素部の一部を含む画素部の構成(1)を示し、図2におけるA-A矢視断面図である。
図5】第1の実施の形態による隣接する画素部の一部を含む画素部の構成(2)を示し、図2におけるB-B矢視断面図である。
図6】第1の実施の形態による第1の薄膜層の構成を示す平面図である。
図7】第1の実施の形態による第2の薄膜層の構成を示す平面図である。
図8】第1の実施の形態による第3の薄膜層の構成を示す平面図である。
図9】第1の実施の形態による第1の薄膜層の製造工程を示し、図6におけるC-C矢視断面図である。
図10】第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の製造工程を示し、図2におけるA-A矢視断面図である。
図11】第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部の構成を示し、図1における数画素分のエリアであるA部の拡大平面図である。
図12】第2の実施の形態による隣接する画素部の一部を含む画素部の構成(1)を示し、図11におけるA-A矢視断面図である。
図13】第2の実施の形態による隣接する画素部の一部を含む画素部の構成(2)を示し、図11におけるB-B矢視断面図である。
図14】第2の実施の形態による第1の薄膜層の構成を示す平面図である。
図15】第2の実施の形態による第2の薄膜層の構成を示す平面図である。
図16】第2の実施の形態による第3の薄膜層の構成を示す平面図である。
図17】第3の実施の形態による薄膜層の構成を示す平面図である。
図18】第3の実施の形態による画素部の構成と、該画素部に隣接する画素部の一部の構成とを示し、図17におけるD-D矢視断面図である。
図19】第4の実施の形態による薄膜層の構成を示す平面図である。
図20】第4の実施の形態による画素部の構成と、該画素部に隣接する画素部の一部の構成とを示し、図19におけるE-E矢視断面図である。
図21】他の実施の形態による通気溝の構成(1)を示す平面図である。
図22】他の実施の形態による通気溝の構成(2)を示す平面図である。
図23】他の実施の形態による通気溝の構成(3)を示す平面図である。
図24】他の実施の形態による通気溝の構成(4)を示す平面図である。
図25】他の実施の形態による通気溝の構成(5)を示す平面図である。
図26】他の実施の形態による通気溝の構成(6)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1及び図2に示すように、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2、放熱部材3、接続ケーブル4、接続端子部5及び駆動ドライバ6等を有している。LEDディスプレイ装置1は、マイクロLEDディスプレイとも呼ばれており、赤色、緑色及び青色でなる1組のLED素子を1つの画素と対応させたディスプレイデバイスとなっている。すなわち、LEDディスプレイ表示部2は、アクティブマトリクス回路基板である回路基板10上にマトリクス状に無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む素子をピクセル(1画素)として配列した表示装置である。回路基板10は、ピクセル内のLEDを選択的に駆動するために、配線層と、配線層に接続される駆動素子や駆動回路とが配置されており、LEDとの電気的接続を行う基板である。以下では図1において紙面上で左から右へ向かう方向を+X方向とし、紙面上で右上から左下へ向かう方向を+Y方向とし、紙面上で下から上へ向かう方向を+Z方向とする。
【0013】
[1-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
LEDディスプレイ表示部2は、図4及び図5に示すように、平板状の制御基板としての回路基板10における+Z方向側の表面(以下ではこれを基板表面10Sとも呼ぶ)に設定された表示領域内に、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3つの薄膜層20からなる薄膜層群18が積層された構成となっている。以下では、第1の層としての第1の薄膜層20R、第2の層としての第2の薄膜層20G及び第3の層としての第3の薄膜層20Bをまとめて、薄膜層20とも呼ぶ。それぞれの薄膜層20は、発光素子が格子状に並んだフィルム形状であり、そのフィルムサイズは、LEDディスプレイ表示部2のディスプレイサイズと同等となっている。このためLEDディスプレイ表示部2は、各薄膜層20のフィルムが、1画素毎に独立している訳ではなく、ディスプレイ全面のサイズとなっており、各薄膜層20の1枚のフィルムの範囲がディスプレイ全面の範囲を占めている。
【0014】
放熱部材3(図1)は、例えばアルミニウムのように比較的高い熱伝導性を有する金属材料により、全体として扁平な直方体状に構成されている。この放熱部材3は、LEDディスプレイ表示部2の-Z方向側、すなわち画像等を表示する面の反対側において、該LEDディスプレイ表示部2に当接するように設置されていることにより、回路基板10の熱を放熱する。接続ケーブル4は、接続端子部5を介して所定の制御装置(図示せず)と電気的に接続されることにより、該制御装置から供給される画像信号を伝送して駆動ドライバ6に供給する。
【0015】
駆動ドライバ6は、例えば回路基板10の表面に実装されており、接続ケーブル4及びLEDディスプレイ表示部2とそれぞれ電気的に接続されている。この駆動ドライバ6は、例えば接続ケーブル4を介して供給される画像信号を基に赤色、緑色及び青色それぞれの駆動信号すなわち回路基板10のゲート駆動信号を生成し、これらの駆動信号に基づいた駆動電流をLEDディスプレイ表示部2に供給する。この結果、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2の表示領域に、制御装置(図示せず)等から供給される画像信号に基づいた画像を表示する。
【0016】
以下では、図2及び図3に示すように、LEDディスプレイ表示部2における回路基板10及び薄膜層群18のうち、1画素分の領域である画素部8について説明する。また以下では、カソード端子に関わる部材の符号の末尾には「C」を付し、第1の薄膜層20Rの薄膜LED30Rに関わる部材の符号の末尾には「R」を付し、第2の薄膜層20Gの薄膜LED30Gに関わる部材の符号の末尾には「G」を付し、第3の薄膜層20Bの薄膜LED30Bに関わる部材の符号の末尾には「B」を付す。さらに以下では、第1の薄膜層20Rのベース層26Rの+Z方向側の面である上面に直交する方向(すなわちZ方向)を、発光方向Deとも呼ぶ。さらに以下では、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bが積層される方向(すなわちZ方向)を、積層方向とも呼ぶ。さらに以下では、図4において紙面上で左右に沿う方向、すなわち、図2におけるA-A矢視断面に沿う方向をAA断面方向Daとも呼ぶ。また以下では、図5において紙面上で左右に沿う方向、すなわち、図2におけるB-B矢視断面に沿う方向をBB断面方向Dbとも呼ぶ。
【0017】
[1-3.回路基板の構成]
図3図4及び図5に示すように、回路基板10は、シリコンプロセスにより製造されたCMOS(Complementary MOS)バックプレーン回路基板である。回路基板10は、基材部10M、絶縁層11、回路接続パッド12(回路接続パッド12R、12G、12B及び12C)、アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G、14B及び14C)並びに配線層16を有している。
【0018】
基材部10Mは、シリコンウェハである。絶縁層11は、十分な絶縁性を備えており、配線層16を+Z方向側から覆うように配設されている。
【0019】
回路接続パッド12(回路接続パッド12R、12G、12B及び12C)は、基板表面10Sにおいてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、回路接続パッド12R、12G、12B及び12Cをまとめて回路接続パッド12とも呼ぶ。この回路接続パッド12は、1画素に対応しており、4個の回路接続パッド12R、12G、12B及び12Cにより、回路接続パッド組12Tが構成されている。回路接続パッド組12Tは、回路接続パッド12R、12G、12B及び12Cの外接矩形よりも内側(すなわち画素エリア内)に、発光部24(図2)が位置するように配置されている。
【0020】
回路接続パッド12Rは、金、銅、アルミニウムや酸化インジウムスズ等の導電性材料により構成されており、+Z方向側から見た際に例えば正方形状であり、回路接続パッド組12Tのうちの+X-Y方向側に位置している。また回路接続パッド12Rは、垂直方向配線22Rにおけるアノードパッド44aRの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、回路接続パッド12Rの+Z方向側の表面(上面)を露出させている。さらに回路接続パッド12Rは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Rと電気的に接続されていると共に、+Z方向側の表面(上面)が第1の薄膜層20Rにおけるアノードパッド44aRの-Z方向側の表面(下面)に接触し電気的に接続されている。以下では、+Z方向側の表面を上面とも呼び、-Z方向側の表面を下面とも呼ぶ。
【0021】
回路接続パッド12Gは、回路接続パッド12Rと同様に構成されており、回路接続パッド組12Tのうちの+X+Y方向側に位置している。また回路接続パッド12Gは、垂直方向配線22Gにおけるアノードパッド44aG1の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、回路接続パッド12Gの上面を露出させている。さらに回路接続パッド12Gは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Gと電気的に接続されていると共に、上面が第1の薄膜層20Rにおけるアノードパッド44aG1の下面に接触し電気的に接続されている。
【0022】
回路接続パッド12Bは、回路接続パッド12Rと同様に構成されており、回路接続パッド組12Tのうちの+X-Y方向側に位置している。また回路接続パッド12Bは、垂直方向配線22Bにおけるアノードパッド44aB1の-Z方向側に配され、基板表面10Sに、回路接続パッド12Bの上面を露出させている。さらに回路接続パッド12Bは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Bと電気的に接続されていると共に、上面が第1の薄膜層20Rにおけるアノードパッド44aB1の下面に接触し電気的に接続されている。
【0023】
回路接続パッド12Cは、回路接続パッド12Rと同様に構成されており、回路接続パッド組12Tのうちの-X-Y方向側に位置している。また回路接続パッド12Cは、垂直方向配線22Cにおけるカソードパッド41cRの-Z方向側に配され、基板表面10Sに、回路接続パッド12Cの上面を露出させている。さらに回路接続パッド12Cは、回路基板10の内部においてアクティブ素子14Cを介し配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されていると共に、上面が第1の薄膜層20Rにおけるカソードパッド41cRの下面と接触し電気的に接続されている。
【0024】
アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G、14B及び14C)は、回路基板10内部においてマトリクス状(すなわち格子状)に配列されている。以下では、アクティブ素子14R、14G、14B及び14Cをまとめてアクティブ素子14とも呼ぶ。
【0025】
アクティブ素子14Rは、例えば2個のMOSトランジスタと1個のコンデンサとからなる薄膜トランジスタ及びコンデンサにより構成されており、回路接続パッド12Rの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。アクティブ素子14G及び14Bは、アクティブ素子14Rと同様に構成されており、それぞれ回路接続パッド12G及び12Bの-Z方向側に配され配線層16内部の配線と電気的に接続されている。アクティブ素子14Cは、アクティブ素子14Rと同様に構成されており、回路接続パッド12Cの-Z方向側に配され配線層16内部のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0026】
配線層16内部の配線は、詳細には図示されないが、金、銅、アルミニウムや酸化インジウムスズ等の導電性材料により構成され、マトリクス状(すなわち格子状)に配置されており、アクティブ素子14(アクティブ素子14R、14G、14B及び14C)並びに回路接続パッド12(12R、12G、12B及び12C)と適宜電気的に接続されていると共に、駆動ドライバ6と電気的に接続されている。
【0027】
回路基板10は、基板表面10Sが極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち回路基板10では、絶縁層11並びに回路接続パッド12R、12G、12B及び12Cの上面が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、絶縁層11並びに回路接続パッド12R、12G、12B及び12Cの上面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0028】
具体的に回路基板10では、基板表面10Sの表面粗さ、すなわち、絶縁層11並びに回路接続パッド12R、12G、12B及び12Cの上面における表面粗さ(ラフネス、表面最大段差とも呼ぶ)Rpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0029】
[1-4.薄膜層群の構成]
図4及び図5に示すように、薄膜層群18は、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3つの薄膜層20が、-Z方向から+Z方向へ向かって積層されている。薄膜層群18は、回路基板10上に分子間力により物理的に接合されると共に、該回路基板10と電気的にも接続されている。
【0030】
薄膜層群18には、LEDディスプレイ表示部2の領域内においてマトリクス状に配列された複数の画素(画素部8)が配置されている。薄膜層群18におけるそれぞれの画素部8は、XY方向の長さが1[mm]以上であり、Z方向の厚さが100[μm]以下である。画素部8は、主に、Z方向から見た際に、四隅に配置されアノードやカソードに対応した4つの垂直方向配線22(垂直方向配線22R、22G、22B及び22C)と、垂直方向配線22に囲まれ画素部8の内部に配置される1つの発光部24とにより構成されている。以下では、垂直方向配線22R、22G、22B及び22Cをまとめて、垂直方向配線22とも呼ぶ。
【0031】
垂直方向配線22Rは、アノードパッド44aR、ダミーピラー45R、ダミーパッド47G、ダミーピラー45G2、ダミーパッド47B2及びダミーピラー45B4により構成されている。垂直方向配線22Gは、アノードパッド44aG1、アノードピラー42aG、アノードパッド44aG2、ダミーピラー45G1、ダミーパッド47B1及びダミーピラー45B3により構成されている。垂直方向配線22Bは、アノードパッド44aB1、アノードピラー42aB1、アノードパッド44aB2、アノードピラー42aB2、アノードパッド44aB3及びダミーピラー45B1により構成されている。垂直方向配線22Cは、カソードパッド41cR、カソードピラー40cR、カソードパッド41cG、カソードピラー40cG、カソードパッド41cB及びダミーピラー45B2により構成されている。
【0032】
発光部24は、-Z方向側から+Z方向側へ向かって並ぶように薄膜LED30R、30G及び30BがZ方向から見た際に重複することにより構成されている。薄膜LED30R、30G及び30Bは、互いの中心が一致し、該中心が画素部8の中心(すなわち画素エリアの中央)に位置すると共に、外形のX方向及びY方向の位置が一致するように、Z方向に重なっている。以下では、薄膜LED30R、30G及び30Bをまとめて、薄膜LED30とも呼ぶ。
【0033】
回路基板10の内部には、カソード共通配線が設けられている。カソード共通配線は、LEDディスプレイ表示部2の領域外においてX方向及びY方向に沿って直線状に配置されていると共に、X方向に並ぶ複数の発光部24からなる1列の発光部列と、該発光部列に対しY方向に隣接する発光部列との間において、X方向に沿って直線状に配置されている。またこのカソード共通配線は、駆動ドライバ6の共通カソード接続端子に終端している。
【0034】
[1-4-1.第1の薄膜層の構成]
図4図5及び図6に示すように、第1の薄膜層20Rは、第1の平坦化層としてのベース層26R、カバー層28R、第1の半導体素子としての薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、層間絶縁膜38aR及び38cR、アノードピラー42aG及び42aB1、アノードパッド44aG1、44aB1及び44aR、カソードピラー40cR、カソードパッド41cR並びにダミーピラー45Rにより構成されている。
【0035】
ベース層26Rは、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の有機絶縁材料や、SiOやSiN等の無機絶縁材料からなる透明絶縁材料により構成されており、十分な絶縁性を備えている。このベース層26Rは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されている。またベース層26Rは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されている。以下では、ベース層26Rの上面をベース層上面26RS1とも呼び、ベース層26Rの下面をベース層下面26RS2とも呼ぶ。
【0036】
薄膜LED30Rは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、カバー層28R内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Rの上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Rは、例えばGaAs系材料等のIII-V族化合物半導体材料により形成された、赤色の光を発するLEDである。アノード電極32Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Rは、薄膜LED30Rの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0037】
引出配線36aR(図5)は、アノード電極32Rにおける上面とアノードパッド44aRとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aRは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aRは、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0038】
引出配線36cR(図4)は、カソード電極34Rにおける上面とカソードパッド41cRとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38cRは、層間絶縁膜38aR(図5)と同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36cRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36cRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38cRは、引出配線36cRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0039】
アノードピラー42aG(図4)は、回路基板10の回路接続パッド12GとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Gの一部分を構成している。このアノードピラー42aGは、アノードパッド44aG1上(+Z方向側)に該アノードパッド44aG1と一体化して形成されている。またこのアノードピラー42aGは、上面をカバー層28Rから露出させている。またアノードパッド44aG1は、下面をベース層26Rから露出させている。
【0040】
アノードピラー42aB1(図5)は、回路基板10の回路接続パッド12BとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。このアノードピラー42aB1は、アノードパッド44aB1上(+Z方向側)に該アノードパッド44aB1と一体化して形成されている。またこのアノードピラー42aB1は、上面をカバー層28Rから露出させている。またアノードパッド44aB1は、下面をベース層26Rから露出させている。
【0041】
カソードピラー40cR(図4)は、回路基板10の回路接続パッド12CとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Cの一部分を構成している。このカソードピラー40cRは、カソードパッド41cR上(+Z方向側)に該カソードパッド41cRと一体化して形成されている。またこのカソードピラー40cRは、上面をカバー層28Rから露出させている。またカソードパッド41cRは、下面をベース層26Rから露出させている。
【0042】
ダミーピラー45R(図5)は、回路基板10の回路接続パッド12RとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Rの一部分を構成している。このダミーピラー45Rは、アノードパッド44aR上(+Z方向側)に該アノードパッド44aRと一体化して形成されている。またこのダミーピラー45Rは、上面をカバー層28Rから露出させている。またアノードパッド44aRは、下面をベース層26Rから露出させている。
【0043】
上述したアノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、アノードパッド44aG1、44aB1及び44aR並びにカソードパッド41cRは、金、銅、アルミニウムや酸化インジウムスズ等の導電性材料により構成されている。またアノードピラー42aG及び42aB1、カソードピラー40cR並びにダミーピラー45Rは、金、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い導電性材料により構成されている。さらに層間絶縁膜38aR及び38cRは、薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0044】
カバー層28Rは、例えば、ベース層26Rと同一の透明絶縁材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明となっている。このカバー層28Rは、アノードピラー42aG及び42aB1、カソードピラー40cR並びにダミーピラー45Rを除いた、ベース層26R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、層間絶縁膜38aR及び38cR、アノードパッド44aG1、44aB1及び44aR並びにカソードパッド41cRを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、層間絶縁膜38aR及び38cR、アノードパッド44aG1、44aB1及び44aR並びにカソードパッド41cRを、ベース層26Rとの間において内部に埋め込んでいる。
【0045】
また第1の薄膜層20Rは、上面(以下ではこれを第1の薄膜層上面20RS1とも呼ぶ)が、極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層20Rでは、カバー層28R、アノードピラー42aG及び42aB1、カソードピラー40cR並びにダミーピラー45Rの上面が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、カバー層28R、アノードピラー42aG及び42aB1、カソードピラー40cR並びにダミーピラー45Rの上面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0046】
具体的に第1の薄膜層20Rでは、第1の薄膜層上面20RS1の表面粗さ、すなわち、カバー層28R、アノードピラー42aG及び42aB1、カソードピラー40cR並びにダミーピラー45Rの上面における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0047】
さらに第1の薄膜層20Rは、下面(以下ではこれを第1の薄膜層下面20RS2とも呼ぶ)が、通気溝50R(詳細は後述する)を除いて極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第1の薄膜層20Rでは、ベース層26R、アノードパッド44aG1、44aB1及び44aR並びにカソードパッド41cRの下面が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、ベース層26R、アノードパッド44aG1、44aB1及び44aR並びにカソードパッド41cRの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0048】
具体的に第1の薄膜層20Rでは、第1の薄膜層下面20RS2の表面粗さ、すなわち、ベース層26R、アノードパッド44aG1、44aB1及び44aR並びにカソードパッド41cRの下面における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0049】
[1-4-2.通気溝の構成]
図2図4図5及び図6に示すように、ベース層下面26RS2の全面には、横断面が半円形状で+Z方向に向かって凹んだ第1の溝部としての通気溝50Rが形成されている。このためベース層下面26RS2(すなわち第1の薄膜層下面20RS2)は、通気溝50Rが形成されていない箇所が基板表面10Sと接触している一方、通気溝50Rが形成されている箇所が基板表面10Sと接触しておらず基板表面10Sとの間に隙間が形成されている。この通気溝50Rは、ベース層下面26RS2の全面において互いにつながっていると共に、XY方向の端部が、ベース層26RのXY方向の端面に達している。このため通気溝50Rは、ベース層26RのXY方向の端面に形成された半円形状の通気口を介しベース層26Rの外部と連通しており、通気溝50R内の空気をベース層26Rの外部へ排出可能となっている。
【0050】
また通気溝50Rは、Z方向から見た際に、各画素部8間においてX方向に沿って延びる直線形状と、各画素部8間においてY方向に沿って延びる直線形状とが組み合わされ、各画素部8を囲う正方形を有する格子状となっている。このため通気溝50Rは、各画素部8において、画素部8の中心から見た際に、垂直方向配線22(カソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB)よりもXY方向の外側に配置されている。これにより通気溝50Rは、Z方向から見た際に、薄膜LED30Rと、カソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aBと重ならない領域(すなわち避けた領域)に配置されている。以下では、カソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1を、第1の接続部とも呼ぶ。このような通気溝50Rは、換言すれば、複数の薄膜LED30Rが配列されたXY方向を少なくとも一部分に含む方向に延在しているとも言える。
【0051】
さらに通気溝50Rは、Z方向の高さ(深さ)がベース層26Rの高さの2分の1以下であり、ベース層下面26RS2の全面においてその高さが同一となっている。このようにLEDディスプレイ装置1は、通気溝50Rの高さを高くしすぎないことにより、ベース層26Rの強度を保っている。またLEDディスプレイ装置1は、ベース層26Rの強度を保てる範囲内で通気溝50Rの高さを高くし横断面の面積を可能な限り広く設定すると、ベース層26Rと基板表面10Sとの間から空気を外部へ排出しやすくなるため好ましい。
【0052】
[1-4-3.第2の薄膜層の構成]
図4図5及び図7に示すように、第2の薄膜層20Gは、第2の平坦化層としてのベース層26G、カバー層28G、第2の半導体素子としての薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cG、層間絶縁膜38aG及び38cG、アノードピラー42aB2、アノードパッド44aB2及び44aG2、カソードピラー40cG、カソードパッド41cG、ダミーピラー45G1及び45G2並びにダミーパッド47Gにより構成されている。
【0053】
ベース層26Gは、ベース層26Rと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30R及び30Gが発する光の波長に対して透明となっている。このベース層26Gは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されている。またベース層26Gは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されている。以下では、ベース層26Gの上面をベース層上面26GS1とも呼び、ベース層26Gの下面をベース層下面26GS2とも呼ぶ。
【0054】
薄膜LED30Gは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、カバー層28G内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Gの上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Gは、例えばGaN系材料やGaP系材料により形成された、緑色の光を発するLEDである。アノード電極32Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Gは、薄膜LED30Gの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0055】
引出配線36aG(図4)は、アノード電極32Gにおける上面とアノードパッド44aG2とにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aGは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aGは、引出配線36aGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0056】
引出配線36cG(図4)は、カソード電極34Gにおける上面とカソードパッド41cGとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38cGは、層間絶縁膜38aGと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36cGと薄膜LED30Gとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36cGよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38cGは、引出配線36cGと薄膜LED30Gとの不要な部分の短絡を保護する。
【0057】
アノードピラー42aB2(図5)は、第1の薄膜層20Rのアノードピラー42aB1とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。このアノードピラー42aB2は、アノードパッド44aB2上(+Z方向側)に該アノードパッド44aB2と一体化して形成されている。またこのアノードピラー42aB2は、上面をカバー層28Gから露出させている。またアノードパッド44aB2は、下面をベース層26Gから露出させている。
【0058】
カソードピラー40cG(図4)は、第1の薄膜層20Rのカソードピラー40cRとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Cの一部分を構成している。このカソードピラー40cGは、カソードパッド41cG上(+Z方向側)に該カソードパッド41cGと一体化して形成されている。またこのカソードピラー40cGは、上面をカバー層28Gから露出させている。またカソードパッド41cGは、下面をベース層26Gから露出させている。
【0059】
ダミーピラー45G1(図4)は、第1の薄膜層20Rのアノードピラー42aGとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Gの一部分を構成している。このダミーピラー45G1は、アノードパッド44aG2上(+Z方向側)に該アノードパッド44aG2と一体化して形成されている。またこのダミーピラー45G1は、上面をカバー層28Gから露出させている。またアノードパッド44aG2は、下面をベース層26Gから露出させている。
【0060】
ダミーピラー45G2(図5)は、第1の薄膜層20Rのダミーピラー45RとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Rの一部分を構成している。このダミーピラー45G2は、ダミーパッド47G上(+Z方向側)に該ダミーパッド47Gと一体化して形成されている。またこのダミーピラー45G2は、上面をカバー層28Gから露出させている。またダミーパッド47Gは、下面をベース層26Gから露出させている。
【0061】
上述したアノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cG、アノードパッド44aB2及び44aG2、カソードパッド41cG並びにダミーパッド47Gは、金、銅、アルミニウムや酸化インジウムスズ等の導電性材料により構成されている。またアノードピラー42aB2、カソードピラー40cG並びにダミーピラー45G1及び45G2は、金、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い導電性材料により構成されている。さらに層間絶縁膜38aG及び38cGは、薄膜LED30R及び30Gが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0062】
カバー層28Gは、例えば、ベース層26Gと同一の透明絶縁材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30R及び30BGが発する光の波長に対して透明となっている。このカバー層28Gは、アノードピラー42aB2、カソードピラー40cG並びにダミーピラー45G1及び45G2を除いた、ベース層26G、薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cG、層間絶縁膜38aG及び38cG、アノードパッド44aB2、カソードパッド41cG、アノードパッド44aG2並びにダミーパッド47Gを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30G、アノード電極32G、カソード電極34G、引出配線36aG及び36cG、層間絶縁膜38aG及び38cG、アノードパッド44aB2、カソードパッド41cG、アノードパッド44aG2並びにダミーパッド47Gをベース層26Gとの間において内部に埋め込んでいる。
【0063】
また第2の薄膜層20Gは、上面(以下ではこれを第2の薄膜層上面20GS1とも呼ぶ)が、極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層20Gでは、カバー層28G、アノードピラー42aB2、カソードピラー40cG並びにダミーピラー45G1及び45G2の上面が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、カバー層28G、アノードピラー42aB2、カソードピラー40cG並びにダミーピラー45G1及び45G2の上面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0064】
具体的に第2の薄膜層20Gでは、第2の薄膜層上面20GS1の表面粗さ、すなわち、カバー層28G、アノードピラー42aB2、カソードピラー40cG並びにダミーピラー45G1及び45G2の上面における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0065】
さらに第2の薄膜層20Gは、下面(以下ではこれを第2の薄膜層下面20GS2とも呼ぶ)が、通気溝50Gを除いて極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第2の薄膜層20Gでは、ベース層26G、アノードパッド44aB2、カソードパッド41cG、アノードパッド44aG2及びダミーパッド47Gの下面が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、ベース層26G、アノードパッド44aB2、カソードパッド41cG、アノードパッド44aG2及びダミーパッド47Gの下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0066】
具体的に第2の薄膜層20Gでは、第2の薄膜層下面20GS2の表面粗さ、すなわち、ベース層26G、アノードパッド44aB2、カソードパッド41cG、アノードパッド44aG2及びダミーパッド47Gの下面における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0067】
[1-4-4.通気溝の構成]
図2図4図5及び図7に示すように、第2の溝部としての通気溝50Gは、ベース層下面26GS2において、ベース層26Rにおける通気溝50Rと同様に構成されている。すなわち通気溝50Gは、Z方向から見た際に通気溝50Rと重複して同一形状であり、且つ、Z方向の高さ(深さ)が通気溝50Rと同一となっている。以下では、アノードパッド44aB2及び44aG2、カソードパッド41cG並びにダミーパッド47Gを、第2の接続部とも呼ぶ。
【0068】
[1-4-5.第3の薄膜層の構成]
図4図5及び図8に示すように、第3の薄膜層20Bは、第3の平坦化層としてのベース層26B、カバー層28B、第3の半導体素子としての薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cB、層間絶縁膜38aB及び38cB、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB、ダミーピラー45B1、45B2、45B3及び45B4並びにダミーパッド47B1及び47B2により構成されている。
【0069】
ベース層26Bは、ベース層26Rと同様の材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30R、30G及び30Bが発する光の波長に対して透明となっている。このベース層26Bは、AA断面方向Da(図4)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されている。またベース層26Bは、BB断面方向Db(図5)に関して、画素部8における一端部から他端部までに亘って延設されている。以下では、ベース層26Bの上面をベース層上面26BS1とも呼び、ベース層26Bの下面をベース層下面26BS2とも呼ぶ。
【0070】
薄膜LED30Bは、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに関し画素部8における中央部に配され、AA断面方向Da及びBB断面方向Dbに所定の範囲の長さを有し、Z方向の厚さが3[μm]以下であり、カバー層28B内に埋め込まれた薄膜無機発光素子である。薄膜LED30Bの上面である発光面は、XY方向に沿った平面となっている。この薄膜LED30Bは、例えばGaN系材料により形成された、青色の光を発するLEDである。アノード電極32Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側の中央部に形成されたアノード上に配置されている。カソード電極34Bは、薄膜LED30Bの+Z方向側における-X-Y方向側に形成されたカソード上に配置されている。
【0071】
引出配線36aB(図5)は、アノード電極32Bにおける上面とアノードパッド44aB3とにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aBは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aBは、引出配線36aBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0072】
引出配線36cB(図4)は、カソード電極34Bにおける上面とカソードパッド41cBとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38cBは、層間絶縁膜38aRと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36cBと薄膜LED30Bとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36cBよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38cBは、引出配線36cBと薄膜LED30Bとの不要な部分の短絡を保護する。
【0073】
ダミーピラー45B1(図5)は、第2の薄膜層20Gのアノードピラー42aB2とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Bの一部分を構成している。このダミーピラー45B1は、アノードパッド44aB3上(+Z方向側)に該アノードパッド44aB3と一体化して形成されている。またこのダミーピラー45B1は、上面をカバー層28Bから露出させている。またアノードパッド44aB3は、下面をベース層26Bから露出させている。
【0074】
ダミーピラー45B2(図4)は、第2の薄膜層20Gのカソードピラー40cGとZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Cの一部分を構成している。このダミーピラー45B2はカソードパッド41cB上(+Z方向側)に該カソードパッド41cBと一体化して形成されている。またこのダミーピラー45B2は、上面をカバー層28Bから露出させている。またカソードパッド41cBは、下面をベース層26Bから露出させている。
【0075】
ダミーピラー45B3(図4)は、第2の薄膜層20Gのダミーピラー45G1とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Gの一部分を構成している。このダミーピラー45B3は、ダミーパッド47B1上(+Z方向側)に該ダミーパッド47B1と一体化して形成されている。またこのダミーピラー45B3は、上面をカバー層28Bから露出させている。またダミーパッド47B1は、下面をベース層26Bから露出させている。
【0076】
ダミーピラー45B4(図5)は、第2の薄膜層20Gのダミーピラー45G2とZ方向に対向する位置に配され、垂直方向配線22Rの一部分を構成している。このダミーピラー45B4は、ダミーパッド47B2上(+Z方向側)に該ダミーパッド47B2と一体化して形成されている。またこのダミーピラー45B4は、上面をカバー層28Bから露出させている。またダミーパッド47B2は、下面をベース層26Bから露出させている。
【0077】
上述したアノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cB、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB並びにダミーパッド47B1及び47B2は、金、銅、アルミニウムや酸化インジウムスズ等の導電性材料により構成されている。またダミーピラー45B1、45B2、45B3及び45B4は、金、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い導電性材料により構成されている。さらに層間絶縁膜38aB及び38cBは、薄膜LED30R、30G及び30Bが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0078】
カバー層28Bは、例えば、ベース層26Bと同一の透明絶縁材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30R、30G及び30Bが発する光の波長に対して透明となっている。このカバー層28Bは、ダミーピラー45B1、45G2、45G3及び45G4を除いた、ベース層26B、薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cB、層間絶縁膜38aB及び38cB、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB並びにダミーパッド47B1及び47B2を+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30B、アノード電極32B、カソード電極34B、引出配線36aB及び36cB、層間絶縁膜38aB及び38cB、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB並びにダミーパッド47B1及び47B2を、ベース層26Bとの間において内部に埋め込んでいる。
【0079】
また第3の薄膜層20Bは、下面(以下ではこれを第3の薄膜層下面20BS2とも呼ぶ)が、通気溝50Bを除いて極めて平坦な平面状に形成されている。すなわち第3の薄膜層20Bでは、ベース層26B、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB並びにダミーパッド47B1及び47B2の下面が何れも極めて平坦であり、且つそれぞれが互いに平行な平面となっており、さらにそれぞれのZ方向に関する距離(すなわち段差)も極めて小さくなっている。すなわち、ベース層26B、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB並びにダミーパッド47B1及び47B2の下面は、それぞれ同一平面上に位置している。
【0080】
具体的に第3の薄膜層20Bでは、第3の薄膜層下面20BS2の表面粗さ、すなわち、ベース層26B、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB並びにダミーパッド47B1及び47B2の下面における表面粗さGpvが何れも10[nm]以下となっている。また以下では、引出配線36aR、36cR、36aG、36cG、36aB及び36cBをまとめて、引出配線36とも呼ぶ。
【0081】
[1-4-6.通気溝の構成]
図2図4図5及び図8に示すように、第3の溝部としての通気溝50Bは、ベース層下面26BS2において、ベース層26Rにおける通気溝50Rとベース層26Gにおける通気溝50Gと同様に構成されている。すなわち通気溝50Bは、Z方向から見た際に通気溝50R及び50Gと重複して同一形状であり、且つ、Z方向の高さ(深さ)が通気溝50R及び50Gと同一となっている。以下では、通気溝50R、50G及び50Bをまとめて通気溝50とも呼ぶ。また以下では、アノードパッド44aB3、カソードパッド41cB並びにダミーパッド47B1及び47B2を、第3の接続部とも呼ぶ。
【0082】
[1-5.薄膜層及び回路基板の接続関係]
[1-5-1.回路基板及び薄膜層の物理的接続関係]
回路基板10の基板表面10Sと、第1の薄膜層20Rの第1の薄膜層下面20RS2とは、通気溝50Rを除いた面において分子間力により物理的に接合されている。また、第1の薄膜層20Rの第1の薄膜層上面20RS1と、第2の薄膜層20Gの第2の薄膜層下面20GS2とは、通気溝50Gを除いた面において分子間力により物理的に接合されている。さらに、第2の薄膜層20Gの第2の薄膜層上面20GS1と、第3の薄膜層20Bの第3の薄膜層下面20BS2とは、通気溝50Bを除いた面において分子間力により物理的に接合されている。
【0083】
このようにLEDディスプレイ表示部2においては、それぞれ、基板表面10Sと第1の薄膜層下面20RS2と、第1の薄膜層上面20RS1と第2の薄膜層下面20GS2と、第2の薄膜層上面20GS1と第3の薄膜層下面20BS2とが、金属接合ではなく、分子間力接合されている。以下では、第1の薄膜層下面20RS2、第2の薄膜層下面20GS2及び第3の薄膜層下面20BS2をまとめて、薄膜層下面20S2(図示せず)とも呼ぶ。
【0084】
[1-5-2.回路基板及び薄膜層の電気的接続関係]
回路接続パッド12R(図5)は、上面が第1の薄膜層20Rのアノードパッド44aRの下面に分子間力により物理的に接合されており、アノードパッド44aR及び引出配線36aRを介し薄膜LED30Rのアノード電極32Rに電気的に接続されている。またダミーピラー45Rは、上面が第2の薄膜層20Gのダミーパッド47Gの下面に分子間力により物理的に接合されている。ダミーピラー45G2は、上面が第3の薄膜層20Bのダミーパッド47B2の下面に分子間力により物理的に接合されている。
【0085】
回路接続パッド12G(図4)は、上面が第1の薄膜層20Rのアノードパッド44aG1の下面に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aGは、上面が第2の薄膜層20Gのアノードパッド44aG2の下面に分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド44aG2は、引出配線36aGと物理的に接触している。このため回路接続パッド12Gは、アノードパッド44aG1、アノードピラー42aG、アノードパッド44aG2及び引出配線36aGを介し薄膜LED30Gのアノード電極32Gに電気的に接続されている。またダミーピラー45G1は、上面が第3の薄膜層20Bのダミーパッド47B1の下面に分子間力により物理的に接合されている。
【0086】
回路接続パッド12B(図5)は、上面が第1の薄膜層20Rのアノードパッド44aB1の下面に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aB1は、上面が第2の薄膜層20Gのアノードパッド44aB2の下面に分子間力により物理的に接合されている。アノードピラー42aB2は、上面が第3の薄膜層20Bのアノードパッド44aB3の下面に分子間力により物理的に接合されている。アノードパッド44aB3は、引出配線36aBと物理的に接触している。このため回路接続パッド12Bは、アノードパッド44aB1、アノードピラー42aB1、アノードパッド44aB2、アノードピラー42aB2、アノードパッド44aB3及び引出配線36aBを介し薄膜LED30Bのアノード電極32Bに電気的に接続されている。
【0087】
回路接続パッド12C(図4)は、上面が第1の薄膜層20Rのカソードパッド41cRの下面に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー40cRは、上面が第2の薄膜層20Gのカソードパッド41cGの下面に分子間力により物理的に接合されている。カソードピラー40cGは、上面が第3の薄膜層20Bのカソードパッド41cBの下面に分子間力により物理的に接合されている。カソードパッド41cBは、引出配線36cBと物理的に接触している。このためカソード電極34Bは、引出配線36cB、カソードパッド41cB、カソードピラー40cG、カソードパッド41cG、カソードピラー40cR、カソードパッド41cR及び回路接続パッド12Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0088】
また引出配線36cGは、カソードパッド41cGと物理的に接触している。このためカソード電極34Gは、引出配線36cG、カソードパッド41cG、カソードピラー40cR、カソードパッド41cR及び回路接続パッド12Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0089】
さらに引出配線36cRは、カソードパッド41cRと物理的に接触している。このためカソード電極34Rは、引出配線36cR、カソードパッド41cR及び回路接続パッド12Cを介し、配線層16のカソード共通配線と電気的に接続されている。
【0090】
[1-6.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
次に、LEDディスプレイ装置1におけるLEDディスプレイ表示部2の画素部8あたりの製造方法の一例を、図9及び図10を用いて説明する。因みに、図9及び図10は、何れも+Z方向を上方向に向けた状態を表す模式的な断面図となっている。説明の都合上、ここでは、+Z方向を上方向とも呼び、-Z方向を下方向とも呼ぶ。
【0091】
[1-6-1.第1の薄膜層の製造方法]
まず、第1の薄膜層20Rの製造方法について、図9を参照しながら説明する。まず製造装置60は、犠牲層形成工程として、図9(A)に示すように、所定の形成基板68Rの上側、すなわち+Z方向側に、例えばSiO、アルミニウムやアルミナ等から構成された、エッチングにより除去可能な犠牲層70Rを形成する。犠牲層70Rには、通気溝50Rに対応する凸部72Rが格子状に形成されている。また、犠牲層70Rの表面は、格子状の凸部72Rを除き表面粗さRpvが10[nm]以下で平坦化されている。なお犠牲層70Rは、同一薬液で除去可能な複数の素材を組み合わせた構造でも良い。例えば、平坦なアルミナ上にアルミニウムによる格子状の凸部72Rを形成した場合、製造装置60は、アルミナとアルミニウムとをリン酸で同時に除去可能である。
【0092】
次に製造装置60は、平坦化層形成工程として、図9(B)に示すように、犠牲層70Rの上側にベース層26Rを製膜し、半導体素子形成工程として、図9(C)に示すように、さらにその上側に1又は複数の薄膜LED30Rを接合して形成する。次に製造装置60は、接続部形成工程として、図9(D)に示すように、エッチング処理によりベース層26Rに開口のパターニングを行うと共に、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30R及びベース層26Rの上に、アノード電極32R、カソード電極34R、アノードパッド44aG1、44aR(図5)及び44aB1(図5)並びにカソードパッド41cRを形成する。
【0093】
次に製造装置60は、引出配線形成工程として、図9(E)に示すように、リソグラフィやスパッタリング等の手法によりパターニング処理を行い、薄膜LED30R及びベース層26Rの上に層間絶縁膜38cR及び38aR(図5)を形成すると共に、引出配線36cR及び36aR(図5)を形成し、カソード電極34Rとカソードパッド41cRとを接続し、アノード電極32R(図5)とアノードパッド44aR(図5)とを接続する。
【0094】
次に製造装置60は、導電ピラー形成工程として、図9(F)に示すように、カバー層28Rにより埋め込みを行い該カバー層28Rに開口のパターニングを行った後に、開口から露出しているアノードパッド44aG1、カソードパッド41cR、アノードパッド44aR(図5)及びアノードパッド44aB1(図5)上に、アノードピラー42aG、カソードピラー40cR、ダミーピラー45R(図5)及びアノードピラー42aB1(図5)をメッキ法により形成する。次に製造装置60は、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)による平坦化処理を行い、カバー層28R、アノードピラー42aG、カソードピラー40cR、ダミーピラー45R(図5)及びアノードピラー42aB1(図5)の上面を平坦化する。これにより、アノードピラー42aG、カソードピラー40cR、ダミーピラー45R(図5)及びアノードピラー42aB1(図5)の上面がカバー層28Rから露出する。ここで、接続部形成工程として引出配線形成工程(図9(E))及び導電ピラー形成工程(図9(F))を含めても良い。
【0095】
第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの製造方法は、上述した第1の薄膜層20Rの製造方法とほぼ同様であるため、その説明を省略する。
【0096】
[1-6-2.積層接合の工程]
次に、上述した製造方法により製造された第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを、回路基板10に積層させる積層接合の工程について、図10を参照しながら説明する。
【0097】
まず製造装置60は、溝部形成工程として、図10(A)の左側に示すように、エッチング処理により犠牲層70R(図9(F))をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層20Rを形成基板68Rから分離する。これにより、アノードパッド44aG1、カソードパッド41cR、アノードパッド44aR(図5)及びアノードパッド44aB1(図5)の下面がベース層26Rから露出する。このとき、ベース層26Rの下面に格子状の凹部である通気溝50Rが形成される。これらベース層26R、アノードパッド44aG1、カソードパッド41cR、アノードパッド44aR(図5)及びアノードパッド44aB1(図5)の下面は、通気溝50Rを除いて、犠牲層70R(図9)の上面に追従して表面粗さRpvが何れも10[nm]以下に平坦となっている。
【0098】
次に製造装置60は、図10(A)の右側に示すように、分離した第1の薄膜層20Rを公知のボンディング方法により、回路基板10の上面に分子間力により接合する。このとき、製造装置60は、回路基板10と第1の薄膜層20Rとの間の空気を通気溝50Rを通して第1の薄膜層20RのXY方向の端面から外部へ放出することにより、第1の薄膜層20Rが微細にうねってしまい回路基板10と第1の薄膜層20Rとの間に気泡が生じることを防止する。
【0099】
次に製造装置60は、図10(B)の左側に示すように、エッチング処理により犠牲層(図示せず)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層20Gを形成基板68Gから分離する。これにより、アノードパッド44aG2、カソードパッド41cG、アノードパッド44aB2(図5)及びダミーパッド47G(図5)の下面がベース層26Gから露出する。このとき、ベース層26Gの下面に格子状の凹部である通気溝50Gが形成される。これらベース層26G、アノードパッド44aG2、カソードパッド41cG、アノードパッド44aB2(図5)及びダミーパッド47G(図5)の下面は、通気溝50Gを除いて、犠牲層(図示せず)の上面に追従して表面粗さRpvが何れも10[nm]以下に平坦となっている。
【0100】
次に製造装置60は、図10(B)の右側に示すように、分離した第2の薄膜層20Gを公知のボンディング方法により、図10(A)で回路基板10に接合させた第1の薄膜層20Rの上面に分子間力により接合する。このとき製造装置60は、第1の薄膜層20Rと第2の薄膜層20Gとの間の空気を通気溝50Gを通して第2の薄膜層20GのXY方向の端面から外部へ放出することにより、第2の薄膜層20Gが微細にうねってしまい第1の薄膜層20R及び第2の薄膜層20Gとの間に気泡が生じることを防止する。
【0101】
次に製造装置60は、図10(C)の左側に示すように、エッチング処理により犠牲層(図示せず)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層20Bを形成基板68Bから分離する。これにより、ダミーパッド47B1、カソードパッド41cB、アノードパッド44aB3(図5)及びダミーパッド47B2(図5)の下面がベース層26Bから露出する。このとき、ベース層26Bの下面に格子状の凹部である通気溝50Bが形成される。これらベース層26B、ダミーパッド47B1、カソードパッド41cB、アノードパッド44aB3(図5)及びダミーパッド47B2(図5)の下面は、通気溝50Bを除いて、犠牲層(図示せず)の上面に追従して表面粗さRpvが何れも10[nm]以下に平坦となっている。
【0102】
次に製造装置60は、図10(C)の右側に示すように、分離した第3の薄膜層20Bを公知のボンディング方法により、図10(B)で第1の薄膜層20Rに接合させた第2の薄膜層20Gの上面に分子間力により接合する。このとき製造装置60は、第2の薄膜層20Gと第3の薄膜層20Bとの間の空気を通気溝50Bを通して第3の薄膜層20BのXY方向の端面から外部へ放出することにより、第3の薄膜層20Bが微細にうねってしまい第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bとの間に気泡が生じることを防止する。
【0103】
[1-7.動作]
かかる構成において、LEDディスプレイ装置1は、LEDディスプレイ表示部2を駆動する際、図示しない外部回路から接続端子部5を介し駆動ドライバ6に電源、クロック信号及び画像データ等が入力される。続いてLEDディスプレイ装置1は、駆動ドライバ6から回路基板10の配線層16に、アクティブ素子14R、14G及び14Bのオンオフ信号及び駆動電流を選択的に供給する。供給された駆動電流は、回路接続パッド12を介し、垂直方向配線22R、22G及び22Bと、各薄膜層20(第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20B)内の引出配線36とを通過し、薄膜LED30R、30G及び30Bに、アクティブ素子14R、14G及び14Bのオンオフに応じて供給される。これによりLEDディスプレイ表示部2が発光する。
【0104】
[1-8.効果]
以上の構成においてLEDディスプレイ装置1は、各薄膜層20の薄膜層下面20S2において、通気溝50を設けるようにした。このためLEDディスプレイ装置1は、接合時において、各薄膜層20(以下では、接合物とも呼ぶ)が、各薄膜層20の-Z方向側に位置する回路基板10又は薄膜層20(以下では、被接合物とも呼ぶ)に対し分子間力で接合される際に、接合物と被接合物との間において空気が局所的に溜まってしまうことを防いで分散させ、該空気を通気溝50を介し外部へ排出できる。これによりLEDディスプレイ装置1は、接合物がうねっていたとしても、接合時において、接合物と被接合物との間に気泡が生じることを防止できる。かくしてLEDディスプレイ装置1は、製造時において、フィルム状で厚さの薄い各薄膜層20が、Z方向に移動されつつ接合される際に、各薄膜層20を被接合物に精度良く接合させることができる。
【0105】
またLEDディスプレイ装置1は、各薄膜層20の薄膜層下面20S2において通気溝50を設けることにより、専用の特殊な装置や素材を必要とせずに既存手法の応用だけで、製造時において各薄膜層20を被接合物に接合される際に各薄膜層20と被接合物との間に気泡が生じることを防止できる。
【0106】
ここで、ベース層26Rの下面を削ることにより通気溝50Rを形成することも考えられる。しかしながらその場合、第1の薄膜層下面20RS2の表面粗さRpvを保ちにくくなってしまうと共に、通気溝50のZ方向の高さを精度良く調整しにくくなってしまう。
【0107】
これに対しLEDディスプレイ装置1は、製造時において、凸部72Rを除き表面粗さRpvが10[nm]以下で平坦化された犠牲層70Rの上面に凸部72Rを格子状に形成し、エッチング処理により犠牲層70R(図9(F))をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層20Rを形成基板68Rから分離するようにした。このためLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層下面20RS2を、通気溝50Rを除いて、犠牲層70R(図9)の上面に追従して表面粗さRpvを何れも10[nm]以下に平坦にできると共に、第1の薄膜層下面20RS2からの通気溝50RのZ方向の高さを20~50[μm]程度まで精度良く調整できる。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bにおいても同様である。
【0108】
さらにLEDディスプレイ装置1は、製造時において、接合物と被接合物との間の空気を除去しつつ接合させるために、X方向又はY方向の一方向の端部から他方向の端部に向かって徐々に接合物が被接合物に接触するよう接合物を撓ませるように変形させつつ接合させる必要がない。このためLEDディスプレイ装置1は、平坦な状態を保ったまま接合物をZ方向に移動させつつ被接合物に接合できる。これによりLEDディスプレイ装置1は、XY方向に関し1[μm]程度の高い精度で接合物を被接合物に実装できる。またLEDディスプレイ装置1は、接合物を変形させるために必要な装置や工程を不要にでき、実装工程を簡潔にできる。
【0109】
ここで、仮に、Z方向から見た際に通気溝50Rが薄膜LED30Rと重なるように配置されていた場合、薄膜LED30Rから照射された光が通気溝50Rを通過する際に通気溝50Rにより散乱してしまう可能性があると共に、薄膜LED30Rが発する熱の放熱性が悪化して発光効率が下がってしまう可能性がある。
【0110】
これに対しLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見た際に、薄膜LED30Rを囲うように、すなわち、該薄膜LED30Rと重ならないように、通気溝50Rを配置するようにした。このためLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30Rから照射された光が通気溝50Rを通過する際に通気溝50Rにより散乱してしまうことを防止できると共に、薄膜LED30Rが発する熱の放熱性を維持でき、光学特性を維持できる。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bにおいても同様である。
【0111】
また、仮に、Z方向から見た際に通気溝50Rが垂直方向配線22と重なるように配置されていた場合、通気溝50Rが薄膜LED30Rと回路基板10との導通を妨げてしまう可能性がある。
【0112】
これに対しLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見た際に、薄膜LED30R及び垂直方向配線22を囲うようにこれらの周縁部に、すなわち、該薄膜LED30R及び垂直方向配線22と重ならないように、通気溝50Rを配置するようにした。このためLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30Rと回路基板10との電気的接続を妨げることを防止できる。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bにおいても同様である。またLEDディスプレイ装置1は、各薄膜層20において、アノードパッド、カソードパッド又はダミーパッド上に、電極ピラーとしてのアノードピラー、カソードピラー又はダミーピラーを設けた垂直方向配線22を構成するようにした。このためLEDディスプレイ装置1は、薄膜LED30が発する熱を垂直方向配線22を介し各薄膜層20の外部に放熱することができ、放熱性を高めることができる。
【0113】
ここで、第1の薄膜層20Rが回路基板10に接合される際に第1の薄膜層下面20RS2と基板表面10Sとの間の空気を除去しやすくさせるために、ベース層26Rの下面ではなく、基板表面10Sにおいて-Z方向に向かって凹んだ通気溝を形成することも考えられる。しかしながら、回路基板10の基板表面10Sを凹ませるように加工することは、第1の薄膜層20Rのベース層26Rに通気溝50Rを形成することよりも製造難易度が高い。
【0114】
これに対しLEDディスプレイ装置1は、製造時において、凸部72Rをエッチング処理により除去するだけで、ベース層26Rの下面に通気溝50Rを容易に形成できる。
【0115】
さらにLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見た際に通気溝50R、50G及び50B全てを互いに重複した同一形状とした。このためLEDディスプレイ装置1は、全ての薄膜層20において構造の対称性を保つと共に光学特性を揃えやすくできる。またLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの積層接合の工程において、通気溝50R、50G及び50B全てがXY方向の位置ずれなく揃っていることを確認させやすくできる。
【0116】
以上の構成によればLEDディスプレイ装置1は、絶縁性を有するベース層26Rと、第1の面としてのベース層上面26RS1に形成される複数の薄膜LED30Rと、薄膜LED30Rに接続されるカソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1と、ベース層上面26RS1とは反対側の面である第2の面としてのベース層下面26RS2に設けられた通気溝50Rとを設け、通気溝50Rは、ベース層26Rにおける上面と直交する第1の方向としての発光方向Deから見たときに薄膜LED30Rと重ならない領域に形成されるようにした。
【0117】
これによりLEDディスプレイ装置1は、ベース層26Rが被接合物である回路基板10に接合される際にベース層26Rと回路基板10との間において空気が局所的に溜まってしまうことを防いで分散させることにより、光学特性を維持しつつ、回路基板10に対する第1の薄膜層20Rの位置精度を向上させることができる。
【0118】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1と、図2と対応する部材に同一符号を付した図11とに示すように、第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置101は、LEDディスプレイ装置1と比較して、LEDディスプレイ表示部102がLEDディスプレイ表示部2と相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0119】
[2-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
図4及び図5と対応する部材に同一符号を付した図12及び図13に示すように、第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部102は、LEDディスプレイ表示部2と比較して、薄膜層群118が薄膜層群18と相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0120】
[2-3.薄膜層群の構成]
第2の実施の形態による薄膜層群118は、薄膜層群18と比較して、第1の薄膜層120R、第2の薄膜層120G及び第3の薄膜層120Bが第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bと相違するものの、他の点については同様に構成されている。以下では、第1の薄膜層120R、第2の薄膜層120G及び第3の薄膜層120Bをまとめて、薄膜層120とも呼ぶ。また以下では、LEDディスプレイ表示部102における回路基板10及び薄膜層群118のうち、1画素分の領域である画素部108について説明する。
【0121】
[2-3-1.第1の薄膜層の構成]
図11図12及び図13と、図6と対応する部材に同一符号を付した図14とに示すように、第2の実施の形態による第1の薄膜層120Rは、第1の薄膜層20Rと比較して、通気溝150Rが通気溝50Rと相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0122】
[2-3-2.通気溝の構成]
ベース層下面26RS2の全面には、通気溝50Rと同様に横断面が半円形状で+Z方向に向かって凹んだ通気溝150Rが形成されている。このためベース層下面26RS2(すなわち第1の薄膜層下面20RS2)は、通気溝150Rが形成されていない箇所が基板表面10Sと接触している一方、通気溝150Rが形成されている箇所が基板表面10Sと接触しておらず基板表面10Sとの間に隙間が形成されている。この通気溝150Rは、ベース層下面26RS2の全面において互いにつながっていると共に、XY方向の端部が、ベース層26RのXY方向の端面に達している。このため通気溝150Rは通気溝50Rと同様に、XY方向の端面に形成された半円形状の通気口を介しベース層26Rの外部と連通しており、通気溝150R内の空気をベース層26Rの外部へ排出可能となっている。
【0123】
また通気溝150Rは、Z方向から見た際に、各画素部108における、薄膜LED30Rと垂直方向配線22B(アノードパッド44aB1)との間と、薄膜LED30Rと垂直方向配線22R(アノードパッド44aR)との間とを通過し、+X方向に対し+Y方向側へ45[°]傾斜して延びる直線形状と、各画素部108における、薄膜LED30Rと垂直方向配線22G(アノードパッド44aG1)との間と、薄膜LED30Rと垂直方向配線22C(カソードパッド41cR)との間とを通過し、+X方向に対し-Y方向側へ45[°]傾斜して延びる直線形状とが組み合わされた形状となっている。このため通気溝150Rは、各薄膜LED30Rを囲う正方形と、4つの薄膜LED30Rにより囲まれた垂直方向配線22C、22R、22G及び22B(カソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1)を囲う正方形とを有する格子状となっている。このため通気溝150Rは、各画素部108において、画素部108の中心から見た際に、薄膜LED30RよりもXY方向の外側であり、且つ垂直方向配線22よりもXY方向の内側に配置されている。これにより通気溝150Rは、Z方向から見た際に、引出配線36aR及び36cR並びに層間絶縁膜38aR及び38cRとは重なるものの、薄膜LED30Rと、カソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1と重ならない領域(すなわち避けた領域)に配置されている。このような通気溝150Rは、換言すれば、複数の薄膜LED30Rが配列されたXY方向を少なくとも一部分に含む方向に延在しているとも言える。
【0124】
さらに通気溝150Rは、通気溝50Rと同様に、Z方向の高さ(深さ)がベース層26Rの高さの2分の1以下であり、ベース層26Rの下面の全面においてその高さが同一となっている。このようにLEDディスプレイ装置101は、通気溝150Rの高さを高くしすぎないことにより、ベース層26Rの強度を保っている。またLEDディスプレイ装置101は、ベース層26Rの強度を保てる範囲内で通気溝150Rの高さを高くし横断面の面積を可能な限り広く設定すると、ベース層26Rと基板表面10Sとの間から空気を外部へ排出しやすくなるため好ましい。
【0125】
[2-3-3.第2の薄膜層及び通気溝の構成]
図11図12及び図13と、図7と対応する部材に同一符号を付した図15とに示すように、第2の実施の形態による第2の薄膜層120Gは、第2の薄膜層20Gと比較して、通気溝150Gが通気溝50Gと相違するものの、他の点については同様に構成されている。通気溝150Gは、ベース層下面26GS2において、ベース層26Rにおける通気溝150Rと同様に構成されている。すなわち通気溝150Gは、Z方向から見た際に通気溝150Rと重複して同一形状であり、且つ、Z方向の高さ(深さ)が通気溝50Rと同一となっている。
【0126】
[2-3-4.第3の薄膜層及び通気溝の構成]
図11図12及び図13と、図8と対応する部材に同一符号を付した図16とに示すように、第2の実施の形態による第3の薄膜層120Bは、第3の薄膜層20Bと比較して、通気溝150Bが通気溝50Bと相違するものの、他の点については同様に構成されている。通気溝150Bは、ベース層下面26BS2において、ベース層26Rにおける通気溝150Rとベース層26Gにおける通気溝150Bと同様に構成されている。すなわち通気溝150Bは、Z方向から見た際に通気溝150R及び150Gと重複して同一形状であり、且つ、Z方向の高さ(深さ)が通気溝150R及び150Gと同一となっている。以下では、通気溝150R、150G及び150Bをまとめて通気溝150とも呼ぶ。
【0127】
[2-4.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
第2の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部102の製造方法は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部2の製造方法(図9及び図10)と同様である。
【0128】
[2-5.効果]
第2の実施の形態によるLEDディスプレイ装置101は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0129】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1に示すように、第3の実施の形態によるLEDディスプレイ装置201は、LEDディスプレイ装置1と比較して、LEDディスプレイ表示部202がLEDディスプレイ表示部2と相違するものの、他の点については同様に構成されている。LEDディスプレイ装置201は、赤色のLED素子を1つの画素と対応させたモノカラーのディスプレイデバイスとなっている。
【0130】
[3-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
図7と対応する部材に同一符号を付した図17と、図4及び図5と対応する部材に同一符号を付した図18とに示すように、第3の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部202は、LEDディスプレイ表示部2と比較して、回路基板10に代わる回路基板210と、薄膜層群18に代わる薄膜層220Rとが設けられている点が相違するものの、他の点については同様に構成されている。このようにLEDディスプレイ表示部202は、1層の薄膜層220Rのみの単層構造となっている。以下では、LEDディスプレイ表示部202における回路基板210及び薄膜層220Rのうち、1画素分の領域である画素部208について説明する。
【0131】
[3-3.回路基板の構成]
回路基板210は、回路基板10と比較して、回路接続パッド12G及び12B並びにアクティブ素子14G及び14Bが省略されていると共に、回路接続パッド12R及びアクティブ素子14Rが、薄膜LED30Rに対する+X+Y方向側に位置している。
【0132】
[3-4.薄膜層の構成]
薄膜層220Rは、ベース層26R、カバー層28R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、層間絶縁膜38aR及び38cR、アノードパッド44aR並びにカソードパッド41cRにより構成されている。
【0133】
ベース層26R及び薄膜LED30Rは、第1の薄膜層20R(図4)と同様に構成されている。引出配線36aRは、アノード電極32Rにおける上面とアノードパッド44aRとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38aRは、絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36aRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38aRは、引出配線36aRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0134】
引出配線36cRは、カソード電極34Rにおける上面とカソードパッド41cRとにそれぞれ接触し、両者を電気的に接続している。層間絶縁膜38cRは、層間絶縁膜38aRと同様に絶縁性を有する材料により構成されており、引出配線36cRと薄膜LED30Rとの間に配され、Z方向に沿って見た際に引出配線36cRよりも大きく形成されている。この層間絶縁膜38cRは、引出配線36cRと薄膜LED30Rとの不要な部分の短絡を保護する。
【0135】
アノードパッド44aRは、回路基板210の回路接続パッド12RとZ方向に対向する位置に配され、下面をベース層26Rから露出させている。カソードパッド41cRは、回路基板210の回路接続パッド12CとZ方向に対向する位置に配され、下面をベース層26Rから露出させている。
【0136】
上述したアノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、アノードパッド44aR及びカソードパッド41cRは、金、銅、アルミニウムや酸化インジウムスズ等の導電性材料により構成されている。また層間絶縁膜38aR及び38cRは、薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明であることが望ましい。
【0137】
カバー層28Rは、例えば、ベース層26Rと同一の透明絶縁材料により構成されており、十分な絶縁性を備えていると共に、少なくとも薄膜LED30Rが発する光の波長に対して透明となっている。このカバー層28Rは、ベース層26R、薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、層間絶縁膜38aR及び38cR、アノードパッド44aR及びカソードパッド41cRを+Z方向側から覆うように配設されており、これら薄膜LED30R、アノード電極32R、カソード電極34R、引出配線36aR及び36cR、層間絶縁膜38aR及び38cR、アノードパッド44aR及びカソードパッド41cRをベース層26Rとの間において内部に埋め込んでいる。
【0138】
また薄膜層220Rは、上面が極めて平坦な平面状に形成されている。具体的に薄膜層220Rでは、上面の表面粗さ、すなわち、カバー層28Rの上面における表面粗さRpvが何れも10[nm]以下となっている。
【0139】
[3-5.通気溝の構成]
通気溝50Rは、ベース層下面26RS2において、第1の薄膜層20R(図4及び図6)と同様に構成されている。
【0140】
[3-6.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
第3の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部202の製造方法は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部2の製造方法(図9及び図10)において第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの積層接合の工程を省略した場合と同様である。
【0141】
[3-7.効果]
第3の実施の形態によるLEDディスプレイ装置201は、第1の実施の形態によるLEDディスプレイ装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0142】
[4.第4の実施の形態]
[4-1.LEDディスプレイ装置の構成]
図1に示すように、第4の実施の形態によるLEDディスプレイ装置301は、LEDディスプレイ装置201と比較して、LEDディスプレイ表示部302がLEDディスプレイ表示部202と相違するものの、他の点については同様に構成されている。LEDディスプレイ装置301は、赤色のLED素子を1つの画素と対応させたモノカラーのディスプレイデバイスとなっている。
【0143】
[4-2.LEDディスプレイ表示部の全体構成]
図17と対応する部材に同一符号を付した図19と、図18と対応する部材に同一符号を付した図20とに示すように、第4の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部302は、LEDディスプレイ表示部202と比較して、薄膜層320Rが薄膜層220Rと相違するものの、他の点については同様に構成されている。以下では、LEDディスプレイ表示部302における回路基板210及び薄膜層320Rのうち、1画素分の領域である画素部308について説明する。
【0144】
[4-3.薄膜層の構成]
第4の実施の形態による薄膜層320Rは、薄膜層220Rと比較して、通気溝150Rが通気溝50Rと相違するものの、他の点については同様に構成されている。通気溝150Rは、ベース層26Rの下面において、第1の薄膜層120R(図12)と同様に構成されている。
【0145】
[4-4.LEDディスプレイ表示部の製造方法]
第4の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部302の製造方法は、第3の実施の形態によるLEDディスプレイ表示部202の製造方法と同様である。
【0146】
[4-5.効果]
第4の実施の形態によるLEDディスプレイ装置301は、第3の実施の形態によるLEDディスプレイ装置201と同様の作用効果を奏し得る。
【0147】
[5.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見たときに薄膜LED30Rと、カソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1と重ならない領域に通気溝50R(図6)を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見たときに、少なくとも薄膜LED30Rと重ならない領域に通気溝50Rを配置すれば、カソードパッド41cR又はアノードパッド44aG1、44aR若しくは44aB1の少なくとも一部分と重なる領域に通気溝50Rを配置しても良い。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bにおいても同様である。また第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0148】
また上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、通気溝50R(図4図5及び図6)をベース層26Rの外部と連通させる場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、通気溝50Rをベース層26Rの外部と連通させなくても良い。その場合であってもLEDディスプレイ装置1は、ベース層26Rが回路基板10に接合される際にベース層26Rと回路基板10との間における空気が局所的に溜まってしまうことを防いで分散させることができる。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bにおいても同様である。また第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0149】
また上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、通気溝50R(図4図5及び図6)を、ベース層26RのXY方向の端面において外部と連通させる場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、例えば、隣接する画素部8同士の間において第3の薄膜層20Bの上面から-Z方向に向かって通気溝50Rまで孔部を設ける等、通気溝50Rを他の種々の箇所において第1の薄膜層20Rの外部と連通させても良い。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bにおいても同様である。また第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0150】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、全ての薄膜層20の薄膜層下面20S2(第1の薄膜層下面20RS2、第2の薄膜層下面20GS2及び第3の薄膜層下面20BS2)において通気溝50を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rのみに通気溝50Rを設け、第2の薄膜層20Gの通気溝50Gと第3の薄膜層20Bの通気溝50Bとは設けない等、第1の薄膜層下面20RS2、第2の薄膜層下面20GS2及び第3の薄膜層下面20BS2のうち、何れかの通気溝50は設けず省略しても良い。第2の実施の形態においても同様である。特にLEDディスプレイ装置1は、被接合物の上面に接合物を接合させるのではなく成長させる場合、該接合物において被接合物の上面に対向する下面には、通気溝50を形成しなくても良い。
【0151】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層下面20RS2、第2の薄膜層下面20GS2及び第3の薄膜層下面20BS2それぞれにおける通気溝50のZ方向の高さを同一とする場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層下面20RS2、第2の薄膜層下面20GS2及び第3の薄膜層下面20BS2における何れかの薄膜層下面20S2の通気溝50のうちの少なくとも何れか1つの薄膜層下面20S2の通気溝50の高さを、他の薄膜層下面20S2の通気溝50の高さとは異なるようにしても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0152】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、1つの薄膜層下面20S2内における通気溝50全体のZ方向の高さを同一とする場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、1つの薄膜層下面20S2内における通気溝50のZ方向の高さを、XY方向の場所に応じて異なるようにしても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0153】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見た際に通気溝50を格子状とする場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、通気溝50を、例えば、X方向に沿う直線状のみとしたり、Y方向に沿う直線状のみとしたりする等、Z方向から見た際に他の種々の配置としても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0154】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、通気溝50の横断面を半円形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、通気溝50の横断面を他の種々の形状としても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0155】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見た際に通気溝50R、50G及び50B全てを互いに重複した同一形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、Z方向から見た際に通気溝50R、50G及び50Bのうち少なくとも何れか1つの通気溝50を、他の通気溝50とは異なる形状としても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0156】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、接合物が被接合物に積層接合された後の工程において、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の有機絶縁材料や、SiOやSiN等の無機絶縁材料を含む透明絶縁材料により、液状の材料又はその原料が毛細管現象を利用して通気口を介し外部から通気溝50に充填され硬化されることや、気体の材料又はその原料が通気口を介し外部から通気溝50に供給され気相成長により固体の材料が堆積されることにより、通気溝50の一部又は全てを樹脂で埋めて硬化させても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0157】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、1つの画素部8ずつ囲うように通気溝50(図2)を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、図2と対応する部材に同一符号を付した図21及び図22に示すLEDディスプレイ表示部1002及び1102のように、例えば、4個の画素部8ずつ囲うように通気溝1050を配置したり、16個の画素部8ずつ囲うように通気溝1150を配置したりする等、他の種々の個数の画素部8ずつ囲うように通気溝を配置しても良い。第3の実施の形態においても同様である。
【0158】
また上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、薄膜層下面20S2において通気溝50全体を繋げる場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、例えば、薄膜層下面20S2の全体を、+X方向側の半分と-X方向側の半分との2個のブロックや、4個のブロック等、種々のブロックに分割し、それらのブロック内で通気溝50を接続させても良い。また、それらのブロック同士の通気溝50を接続しても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0159】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、薄膜層群18を第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bの3層が積層された積層構造とする場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、薄膜層群18を、2層の薄膜層20が積層された積層構造の2色のディスプレイとしたり、第3の実施の形態のように1層の薄膜層20のみの単層構造としたりする等、3層の薄膜層20以外の、1層、2層又は4層以上の任意の層数の薄膜層20を設けても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0160】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、回路基板10をアクティブマトリクス回路基板とする場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、回路基板10をパッシブマトリクス回路基板としても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0161】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、図10に示したように、製造装置60により、エッチング処理により犠牲層70R(図9(F))をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層20Rを形成基板68Rから分離して該第1の薄膜層20Rを回路基板10の上面に分子間力により接合し、エッチング処理により第2の薄膜層20Gの犠牲層(図示せず)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層20Gを形成基板68Gから分離して該第2の薄膜層20Gを回路基板10に接合させた第1の薄膜層20Rの上面に分子間力により接合し、エッチング処理により第3の薄膜層20Bの犠牲層(図示せず)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層20Bを形成基板68Bから分離して該第3の薄膜層20Bを第1の薄膜層20Rに接合させた第2の薄膜層20Gの上面に分子間力により接合することにより、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを、回路基板10に積層させる場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、製造装置60により、エッチング処理により第2の薄膜層20Gの犠牲層(図示せず)をエッチングして除去することにより、第2の薄膜層20Gを形成基板68Gから分離して、該第2の薄膜層20Gを、形成基板68R及び犠牲層70Rの上側における第1の薄膜層20Rの上面に分子間力により接合し、エッチング処理により第3の薄膜層20Bの犠牲層(図示せず)をエッチングして除去することにより、第3の薄膜層20Bを形成基板68Bから分離して該第3の薄膜層20Bを第1の薄膜層20Rに接合させた第2の薄膜層20Gの上面に分子間力により接合し、エッチング処理により犠牲層70R(図9(F))をエッチングして除去することにより、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを形成基板68Rから分離して該第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを回路基板10の上面に分子間力により接合することにより、第1の薄膜層20R、第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bを、回路基板10に積層させても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0162】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、ダミーピラー45R、45G1、45G2、45B1、45B2、45B3及び45B4並びにダミーパッド47G、47B1及び47B2を設けることにより、画素部8の構造の対称性を保つと共に放熱性を確保する場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、ダミーピラー45R、45G1、45G2、45B1、45B2、45B3若しくは45B4又はダミーパッド47G、47B1若しくは47B2の少なくとも一部は省略しても良い。
【0163】
さらに上述した第1の実施の形態においてLEDディスプレイ装置1は、第1の薄膜層20Rにおいて、接続部としてのパッド部材であるカソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1と、電極ピラー部としてのピラー部材であるカソードピラー40cR、ダミーピラー45R並びにアノードピラー42aG及び42aB1とにより、垂直方向配線22を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置1は、パッド部材とピラー部材とを種々の導電性材料により一体で接続部としての垂直方向配線22として形成しても良い。その場合、ベース層下面26RS2においてZ方向から見た際に垂直配線配線22をよけて通気溝50Rを形成しても良い。第2の薄膜層20G及び第3の薄膜層20Bにおいても同様である。また、第2の実施の形態においても同様である。
【0164】
さらに上述した第2の実施の形態においてLEDディスプレイ装置101は、全ての画素部8における薄膜LED30と全ての垂直方向配線22との間を通過するように通気溝150(図11)を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置101は、図11と対応する部材に同一符号を付した図23及び図24に示すLEDディスプレイ表示部1202及び1302のように、例えば、通気溝150(図11)における2本おきに通気溝1250を配置したり、通気溝150(図11)における3本おきに通気溝1350を配置したりする等、他の種々の間隔で通気溝を配置しても良い。ここで、通気溝150(図11)における2本おきに通気溝1250を配置する場合(図23)、例えばY方向に並ぶ2つの画素部108ずつ囲う場合は、X方向に並ぶ1組が4つの垂直方向配線22を2組ずつ囲うように通気溝1250(図23)が配置されている。また、通気溝150(図11)における3本おきに通気溝1350を配置する場合(図24)、例えば5つの画素部8ずつ囲う場合は、1組が4つの垂直方向配線22を4組ずつ囲うように通気溝1350(図24)が配置されている。第4の実施の形態においても同様である。
【0165】
さらに上述した第2の実施の形態においてLEDディスプレイ装置101は、全ての画素部108における薄膜LED30と全ての垂直方向配線22との間をX方向及びY方向に対し45[°]傾斜して通過するように通気溝150(図11)を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置101は、図14と対応する部材に同一符号を付した図25に示す第1の薄膜層1420Rのように、例えば、全ての画素部1408における薄膜LED30Rと全ての垂直方向配線22(すなわち、カソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1)との間をX方向及びY方向と少なくとも略平行に通過するように通気溝1450Rを配置しても良い。第2の薄膜層120G及び第3の薄膜層120Bにおいても同様である。
【0166】
さらに上述した第3の実施の形態においてLEDディスプレイ装置201は、回路基板210の上面に赤色の薄膜層220Rの画素部208を単層構造で配列させており、赤色のLED素子を1つの画素と対応させたモノカラーのディスプレイデバイスである場合について述べた。本発明はこれに限らずLEDディスプレイ装置201は、図26に示すように、回路基板210の上面に、赤色の薄膜層の画素部208Rと、緑色の薄膜層の画素部208Gと、青色の薄膜層の画素部208Bとを単層構造で順次配列させ、フルカラーのディスプレイデバイスとしても良い。第4の実施の形態においても同様である。
【0167】
さらに上述した第1の実施の形態においては、直視型であるLEDディスプレイ装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、プロジェクタや光源として使用されるディスプレイに本発明を適用しても良い。第2乃至第4の実施の形態においても同様である。
【0168】
さらに上述した実施の形態においては、半導体素子として薄膜LED30を用いる場合について述べた。本発明はこれに限らず、半導体素子としてフォトダイオードやトランジスタ等、他の種々の半導体素子を用いても良い。すなわち、上述した実施の形態においては、半導体装置としてLEDディスプレイ装置1、101、201及び301を用いたが、上述した他の種々の半導体素子を用いた半導体装置にも発明の適用範囲が及ぶものである。
【0169】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0170】
さらに上述した第1の実施の形態においては、平坦化層としてのベース層26Rと、半導体素子としての薄膜LED30Rと、接続部としてのカソードパッド41cR並びにアノードパッド44aG1、44aR及び44aB1と、溝部としての通気溝50Rとによって、半導体装置としてのLEDディスプレイ装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる平坦化層と、半導体素子と、接続部と、溝部とによって、半導体装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、例えば複数のLEDを配置してなるLEDディスプレイで利用できる。
【符号の説明】
【0172】
1、101、201、301……LEDディスプレイ装置、2、102、202、302、1002、1102、1202、1302……LEDディスプレイ表示部、3……放熱部材、4……接続ケーブル、5……接続端子部、6……駆動ドライバ、8、108、208、308、1408……画素部、10、210……回路基板、10M……基材部、10S……基板表面、11……絶縁層、12R、12G、12G、12C……回路接続パッド、12T……回路接続パッド組、14R、14G、14B、14C……アクティブ素子、16……配線層、18、118……薄膜層群、20R、120R、1420R……第1の薄膜層、20G、120G……第2の薄膜層、20B、120B……第3の薄膜層、220R……薄膜層、20RS1……第1の薄膜層上面、20RS2……第1の薄膜層下面、20GS1……第2の薄膜層上面、20GS2……第2の薄膜層下面、20BS2……第3の薄膜層下面、22R、22G、22B、22C……垂直方向配線、24……発光部、26R、26G、26B……ベース層、26RS1、26GS1、26BS1……ベース層上面、26RS2、26GS2、26BS2……ベース層下面、28R、28G、28B……カバー層、30R、30G、30B……薄膜LED、32R、32G、32B……アノード電極、34R、34G、34B……カソード電極、36aR、36aG、36aB、36cR、36cG、36cB……引出配線、38aR、38aG、38aB……層間絶縁膜、40cR、40cG……カソードピラー、41cR、41cG、41cB……カソードパッド、42aG、42aB1、42aB2……アノードピラー、44aG1、44aB1、44aR、44aB2、44aG2、44aB3……アノードパッド、45R、45G1、45G2、45B1、45B2、45B3、45B4……ダミーピラー、47G、47B1、47B2……ダミーパッド、50R、50G、50B、150R、150G、150B……通気溝、60……製造装置、68R、68G、68R……形成基板、70B、70G、70R……犠牲層、72R……凸部、Da……AA断面方向、Db……BB断面方向、De……発光方向。
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