(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025725
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/573 20060101AFI20240216BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240216BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240216BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20240216BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240216BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240216BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240216BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240216BHJP
【FI】
A61K31/573
A61P17/00
A61P29/00
A61K9/00
A61K9/06
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129766
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2022128028
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 隆宏
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC18
4C076DD37
4C076DD49Q
4C076DD60Q
4C076FF12
4C076FF36
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA10
4C086ZA89
4C086ZB11
(57)【要約】
【課題】組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有し、かつ低温条件下で保存した場合の結晶析出が抑制された液状又は半固形状の組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
(B)抗ヒスタミン成分;
を含有する、液状又は半固形状の組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
(B)抗ヒスタミン成分;
を含有する、液状又は半固形状の組成物。
【請求項2】
成分(A)が、組成物全容量に対し0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分(B)が、イソチペンジル、クロルフェニラミン、ジフェニルピラリン及びジフェンヒドラミン並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
-20℃で1週間保存した場合に、結晶析出が生じないものである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
ローション剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形である、請求項1~4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
次の成分(A):
(A)組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに次の成分(B):
(B)抗ヒスタミン成分;
を含有せしめる工程を含む、結晶析出の抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは、患部で優れた抗炎症作用を示す一方、体内で低活性物質に変わる安全性の高いアンテドラッグである。かかる優れた有効性と高い安全性という特徴はいわゆるセルフメディケーション(自己服薬)の思想に合致するものである。そのため、我が国においてプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルは、湿疹、皮膚炎、かぶれ、虫さされ、かゆみ、あせも、じんましん等に効能・効果を有するOTC医薬品の有効成分として広く利用されている(例えば、非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】添付文書「湿疹・皮膚炎治療薬 リビメックスコーワクリーム」興和株式会社、2011年10月
【非特許文献2】添付文書「湿疹・皮膚炎治療薬 リビメックスコーワ軟膏」興和株式会社、2012年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでに販売されているプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル含有OTC医薬品は、いずれも組成物1mL当たりにプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを1.5mg(すなわち、組成物全容量に対し0.15w/v%)含有する、液状又は半固形状の組成物(軟膏やクリームなど)である。
しかるに、抗炎症作用は基本的に用量依存的であることから、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの含有量を0.15w/v%を超えるものとすれば、より抗炎症作用の強い、優れた有効性を有する医薬品とすることができると考えられる。
【0005】
そこで本発明者は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15w/v%超含有する液状又は半固形状の組成物を開発するためその保存安定性について検討した。しかるところ、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを組成物全容量に対し0.3w/v%含有する液状又は半固形状の組成物においては、-20℃で1週間の保存により、結晶析出の問題が生じることが判明した。従来のОTC医薬品のような、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15w/v%含有する液状又は半固形状の組成物では、同一条件下の保存で結晶析出の問題は一切認められなかったことから、斯かる低温条件下で保存した場合の結晶析出は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを組成物全容量に対し0.15w/v%超含有せしめた場合に生じる問題であることが判明した。
従って、本発明は、組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有し、かつ低温条件下で保存した場合の結晶析出が抑制された液状又は半固形状の組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく更に鋭意検討した結果、組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(なお、以下、本明細書において、単に「成分(A)」と称することもある)を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに以下の成分1~7のいずれか(なお、以下、本明細書において、成分1~6をそれぞれ「成分(B-1)」、「成分(B-2)」、「成分(B-3)」、「成分(B-4)」、「成分(B-5)」、「成分(B-6)」、「成分(B-7)」と称し、また、「成分(B-1)~(B-7)よりなる群から選ばれる1種以上」を「成分(B)」と称することもある。):
【0007】
1:リドカイン、リドカイン塩酸塩に代表される、局所麻酔成分
2:クロタミトンに代表される、クロタミトン類
3:ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩に代表される、抗ヒスタミン成分
4:サリチル酸グリコールに代表される、サリチル酸類
5:l-メントール、dl-カンフル、イソプロピルメチルフェノールに代表される、テルペン類
6:パンテノールに代表される、パンテノール類
7:クエン酸ナトリウムに代表される、オキシカルボン酸類
【0008】
を含有せしめることにより、斯かる成分(B)を含有しない場合と比較して低温条件下で保存した場合の結晶析出が相対的に抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本開示は、次の成分(A)及び(B):
(A)組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
(B)次の成分(B-1)~(B-7)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)局所麻酔成分
(B-2)クロタミトン類
(B-3)抗ヒスタミン成分
(B-4)サリチル酸類
(B-5)テルペン類
(B-6)パンテノール類
(B-7)オキシカルボン酸類
を含有する液状又は半固形状の組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、低温条件下で保存した場合の結晶析出が相対的に抑制された、保存安定性が良好でかつ優れた有効性を有する、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<成分(A)>
本開示において液状又は半固形状の組成物中の「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル」の含有量は0.15w/v%を超えるものであるが、好適には0.3w/v%以上、より好適には0.3~0.5w/v%、特に好適には0.3w/v%である。
後記試験例において具体的に開示されているとおり、これまでに販売されているプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル含有OTC医薬品の含有量(0.15w/v%)では-20℃で1週間保存後も特に問題が生じない一方、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15w/v%超含有する液状又は半固形状の組成物においては同条件での保存により結晶析出の問題が生じる。しかるところ、液状又は半固形状の組成物にさらに成分(B)を含有せしめることにより、成分(B)を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出を抑制することができる。
【0012】
<成分(B-1)>
本開示において「局所麻酔成分」は、局所麻酔作用を有するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には例えば、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、テトラカイン、プロカイン、ブピバカイン、プロピトカイン、ベンゾカイン、メピバカイン、メプリルカイン、リドカインそのもののほか、それらの薬学上許容される塩、さらにはアミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、テトラカイン、プロカイン、ブピバカイン、プロピトカイン、ベンゾカイン、メピバカイン、メプリルカイン、リドカインそのものやそれらの薬学上許容される塩と、水やアルコール等との溶媒和物も包含する概念である。ここで、塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、カンファ―スルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
なお、これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用できる。
これらの局所麻酔成分は公知の成分であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いてもよい。市販品としては例えば、リドカイン(デルタ社製)、塩酸リドカイン(岩城製薬(株)製)などが挙げられる。
【0013】
成分(B-1)としては、結晶析出抑制作用の観点から、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、プロカイン、メピバカイン、メプリルカイン、リドカイン及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、プロカイン、メピバカイン、メプリルカイン、リドカイン及びそれらの塩酸塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、ジブカイン塩酸塩、プロカイン、プロカイン塩酸塩、メピバカイン、メプリルカイン塩酸塩、リドカイン及びリドカイン塩酸塩よりなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましく、アミノ安息香酸エチル、ジブカイン、ジブカイン塩酸塩、リドカイン及びリドカイン塩酸塩よりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0014】
本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(B-1)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(B-1)を組成物全容量に対して0.01~20w/v%含有するのが好ましく、0.1~10w/v%含有するのがより好ましく、0.5~2w/v%含有するのが特に好ましい。
また、本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(A)と成分(B-1)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(A)1質量部に対し、成分(B-1)を0.01~50質量部含有するのが好ましく、0.1~30質量部含有するのがより好ましく、2~7質量部含有するのが特に好ましい。
【0015】
<成分(B-2)>
本開示において「クロタミトン類」とは、クロタミトン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。ここで、塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、また、クロタミトンやその塩は、水和物などの溶媒和物であってもよい。
なお、これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用できる。
これらのクロタミトン類は公知の成分であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いてもよい。市販品としては例えば、クロタミトン(住友化学(株)製)などが挙げられる。
【0016】
本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(B-2)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(B-2)を組成物全容量に対して0.1~30w/v%含有するのが好ましく、0.5~20w/v%含有するのがより好ましく、2~10w/v%含有するのが特に好ましい。
また、本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(A)と成分(B-2)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(A)1質量部に対し、成分(B-2)を0.1~70質量部含有するのが好ましく、1~50質量部含有するのがより好ましく、5~35質量部含有するのが特に好ましい。
【0017】
<成分(B-3)>
本開示において「抗ヒスタミン成分」としては、ヒスタミンH1受容体拮抗作用を有するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には例えば、アゼラスチン、アリメマジン、イソチペンジル、イプロヘプチン、エバスチン、エピナスチン、エメダスチン、オキサトミド、オロパタジン、カルビノキサミン、クレマスチン、クロルフェニラミン、ケトチフェン、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、ジフェンヒドラミン、シプロヘプタジン、セチリジン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、フェキソフェナジン、フェネタジン、プロメタジン、ベポタスチン、ホモクロルシクリジン、メキタジン、メトジラジン、メブヒドロリン及びロラタジン、それらの薬学上許容される塩並びにそれらの溶媒和物からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。なお、塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されないが、無機酸や有機酸、無機塩基や有機塩基等との塩が挙げられ、例えば、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ジフェニルジスルホン酸塩、テオクル酸塩、サリチル酸塩、タンニン酸塩、ベシル酸塩、ナパジシル酸塩、リン酸塩等が挙げられる。また、抗ヒスタミン成分の化学構造中に不斉炭素が存する場合は、種々の光学異性体を有するが、本発明においては、いずれの光学異性体をも含み、単一の光学異性体でもよく、各種光学異性体の混合物でもよい。また、上記のとおり、アゼラスチン等のヒスタミンH1受容体拮抗作用を有する各種化合物やその塩と水やアルコール等との溶媒和物も「抗ヒスタミン成分」に包含される。
なお、これらは1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用できる。
これらの抗ヒスタミン成分は公知の成分であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを使用することができる。市販品としては例えば、ジフェンヒドラミン(金剛化学(株)製)、塩酸ジフェンヒドラミン(金剛化学(株)製)などが挙げられる。
【0018】
成分(B-3)としては、具体的には例えば、アゼラスチン塩酸塩等のアゼラスチン又はその塩;アリメマジン酒石酸塩等のアリメマジン又はその塩;イソチペンジル塩酸塩等のイソチペンジル又はその塩;イプロヘプチン塩酸塩等のイプロへプチン又はその塩;エバスチン又はその塩;エピナスチン塩酸塩等のエピナスチン又はその塩;エメダスチンフマル酸塩等のエメダスチン又はその塩;オキサトミド又はその塩;オロパタジン塩酸塩等のオロパタジン又はその塩;カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩等のカルビノキサミン又はその塩;クレマスチンフマル酸塩等のクレマスチン又はその塩;d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl-クロルフェニラミンマレイン酸塩等のクロルフェニラミン又はその塩;ケトチフェンフマル酸塩等のケトチフェン又はその塩;ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩等のジフェテロール又はその塩;ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩等のジフェニルピラリン又はその塩;ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩等のジフェンヒドラミン又はその塩;シプロヘプタジン塩酸塩水和物等のシプロヘプタジン又はその塩;セチリジン塩酸塩等のセチリジン又はその塩;トリプロリジン塩酸塩等のトリプロリジン又はその塩;トリペレナミン塩酸塩等のトリペレナミン又はその塩;トンジルアミン塩酸塩等のトンジルアミン又はその塩;フェキソフェナジン又はその塩;フェネタジン塩酸塩等のフェネタジン又はその塩;プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩等のプロメタジン又はその塩;ベポタスチンベシル酸塩等のベポタスチン又はその塩;ホモクロルシクリジン塩酸塩等のホモクロルシクリジン又はその塩;メキタジン又はその塩;メトジラジン塩酸塩等のメトジラジン又はその塩;メブヒドロリンナパジシル酸塩等のメブヒドロリン又はその塩;ロラタジン又はその塩等が挙げられる。
成分(B-3)としては、結晶析出抑制作用の観点から、イソチペンジル、クロルフェニラミン、ジフェニルピラリン及びジフェンヒドラミン並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、イソチペンジル塩酸塩、クロルフェニラミン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びジフェンヒドラミンサリチル酸塩よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、イソチペンジル塩酸塩、クロルフェニラミン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン及びジフェンヒドラミン塩酸塩よりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0019】
本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(B-3)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(B-3)を組成物全容量に対して0.01~10w/v%含有するのが好ましく、0.1~5w/v%含有するのがより好ましく、0.2~2w/v%含有するのが特に好ましい。
また、本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(A)と成分(B-3)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(A)1質量部に対し、成分(B-3)を0.01~30質量部含有するのが好ましく、0.1~20質量部含有するのがより好ましく、0.5~10質量部含有するのが特に好ましい。
【0020】
<成分(B-4)>
本開示において「サリチル酸類」とは、サリチル酸及びその誘導体(例えば、サリチル酸のエステル(具体的には例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸グリコールなど))並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。なお、塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されないが、無機酸や有機酸、無機塩基や有機塩基等との塩が挙げられ、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
成分(B-4)としては、結晶析出抑制作用の観点から、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、サリチル酸グリコール及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、サリチル酸グリコールが特に好ましい。
なお、これらはいずれも公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。市販品としては例えば、サリチル酸グリコール((株)エーピーアイコーポレーション製)などが挙げられる。
【0021】
本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(B-4)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(B-4)を組成物全容量に対して0.01~20w/v%含有するのが好ましく、0.1~10w/v%含有するのがより好ましく、0.4~5w/v%含有するのが特に好ましい。
また、本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(A)と成分(B-4)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(A)1質量部に対し、成分(B-4)を0.1~50質量部含有するのが好ましく、0.5~30質量部含有するのがより好ましく、1~20質量部含有するのが特に好ましい。
【0022】
<成分(B-5)>
本開示において「テルペン類」とは、テルペン炭化水素のほか、テルペンアルコール、テルペンアルデヒド、テルペンケトン、テルペンオキシド、テルペンラクトンなどを包含する総称(テルペノイド)を意味し、その構造は特に限定されるものではなく、モノテルペン、セスキテルペン又はそれらの誘導体等が挙げられる。また、環式でも鎖式でもよい。
斯様なテルペン類としては、具体的には例えば、イソプロピルメチルフェノール、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、チモール、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール、リモネン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、これらのテルペン類に光学異性体が存在する場合は、特に指定しない限りいずれの異性体も含まれる。すなわち、本発明において、テルペン類の成分名として特定の光学異性体を指定しない限り、斯かる成分表記は各種光学異性体単独及びそれらの任意の割合の混合物の全てを包含し、単一の光学異性体であってもよく各種光学異性体の任意の割合の混合物であってもよい(例えば、「メントール」との記載はdl-メントールとl-メントールのいずれをも包含するものである。)。また、テルペン類を液状又は半固形状の組成物に含有せしめる場合、テルペン類をそのまま用いるほか、テルペン類を含む精油を用いてもよい。
これらのテルペン類は公知の成分であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いてもよい。市販品としては例えば、イソプロピルメチルフェノール(住友化学(株)製)、dl-カンフル(福建青松社製)、l-メントール(高砂香料工業(株)製)などが挙げられる。
【0023】
成分(B-5)としては、結晶析出抑制作用の観点から、環式のテルペノイドが好ましく、環式のモノテルペノイドがより好ましく、単環式又は2環式のモノテルペノイドがさらに好ましく、p-メンタン骨格を有するモノテルペノイド(例えば、シメン、チモール、テルピネン、テルピノレン、フェランドレン、リモネンなどの、p-メンタンの不飽和誘導体;カルベオール、テルピネオール、メントールなどのp-メンタン骨格を有するモノテルペンアルコール;カルボン、メントンなどの、p-メンタン骨格を有するモノテルペンケトン;ペリルアルデヒドなどの、p-メンタン骨格を有するモノテルペンアルデヒド;シネオールなどの、p-メンタン骨格を有するモノテルペンエーテルなど)、p-メンタンの異性体を骨格として有するモノテルペノイド(例えば、3-メチル-4-イソプロピルフェノール(イソプロピルメチルフェノール)などの、p-メンタンの異性体の不飽和誘導体など)又はボルナン骨格を有するモノテルペノイド(例えば、ボルネオールなどのボルナン骨格を有するモノテルペンアルコール;カンフルなどの、ボルナン骨格を有するモノテルペンケトンなど)がさらにより好ましく、チモール、メントール、イソプロピルメチルフェノール、カンフル及びボルネオールよりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、チモール、l-メントール、dl-メントール、イソプロピルメチルフェノール、d-カンフル、dl-カンフル及びd-ボルネオールよりなる群から選ばれる1種以上がさらにより好ましく、l-メントール、dl-メントール、イソプロピルメチルフェノール、d-カンフル及びdl-カンフルよりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0024】
本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(B-5)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(B-5)を組成物全容量に対して0.01~30w/v%含有するのが好ましく、0.05~15w/v%含有するのがより好ましく、0.1~7w/v%含有するのが特に好ましい。
また、本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(A)と成分(B-5)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(A)1質量部に対し、成分(B-5)を0.01~60質量部含有するのが好ましく、0.05~40質量部含有するのがより好ましく、0.2~25質量部含有するのが特に好ましい。
【0025】
<成分(B-6)>
本開示において「パンテノール類」とは、パンテノール及びその誘導体(パントテン酸、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル、パンテチン、パンテテイン、補酵素A等)並びにそれらの塩(ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等の第2族元素との塩等)よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。本開示においては、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(B-6)としては、結晶析出抑制作用の観点から、パンテノール、パントテン酸、アセチルパントテニルエチルエーテル及びパントテニルエチルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、パンテノール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、アセチルパントテニルエチルエーテル及びパントテニルエチルエーテルよりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、パンテノール及びパントテニルエチルエーテルよりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
パンテノール類は公知の成分であり、公知の方法により製造してもよく、また、市販品を使用してもよい。具体的な市販品としては例えば、D-パンテノール 50P(BASFジャパン(株))、D-パンテノール 75W(BASFジャパン(株))、D-パンテノール USP(BASFジャパン(株))、パントテン酸カルシウム(協和ファーマケミカル(株))、パントテン酸カルシウム(BASFジャパン(株))、パントテン酸カルシウム(アルプス薬品工業(株))、ビュープレックスVH(DSMニュートリションジャパン(株))、D-パントテニルアルコール(DSMニュートリションジャパン(株))、D-パントテニルアルコール(アルプス薬品工業(株))、DL-パントテニルアルコール(アルプス薬品工業(株))、パントテニールエチルエーテル(協和ファーマケミカル(株))等が挙げられる。
【0026】
本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(B-6)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(B-6)を組成物全容量に対して0.01~20w/v%含有するのが好ましく、0.1~10w/v%含有するのがより好ましく、1~5w/v%含有するのが特に好ましい。
また、本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(A)と成分(B-6)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(A)1質量部に対し、成分(B-6)を0.1~50質量部含有するのが好ましく、1~30質量部含有するのがより好ましく、3~20質量部含有するのが特に好ましい。
【0027】
<成分(B-7)>
本開示において「オキシカルボン酸類」とは、有機化合物の1分子内にカルボキシル基と水酸基とを持つものを意味し、具体的には例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。ここで、塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等の第二族元素との塩;アンモニウム塩等が挙げられる。また、オキシカルボン酸やその塩は、水和物等の溶媒和物であってもよい。
成分(B-7)としては、結晶析出抑制作用の観点から、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸及びリンゴ酸よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、クエン酸及びクエン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
【0028】
本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(B-7)の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(B-7)を組成物全容量に対して0.01~20w/v%含有するのが好ましく、0.05~10w/v%含有するのがより好ましく、0.1~5w/v%含有するのが特に好ましい。
また、本開示の液状又は半固形状の組成物中の成分(A)と成分(B-7)の含有質量比率は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、結晶析出抑制作用の観点から、成分(A)1質量部に対し、成分(B-7)を0.01~50質量部含有するのが好ましく、0.1~30質量部含有するのがより好ましく、0.3~20質量部含有するのが特に好ましい。
【0029】
<液状又は半固形状の組成物>
本開示において「液状又は半固形状の組成物」とは、常温(15~25℃の範囲内のうちいずれかの温度)において液状あるいは半固形状の組成物を意味する。ここで、組成物の性状は特に限定されず、溶液、コロイド溶液(ゾル(懸濁液や乳濁液))、ゲル等のいずれであってもよい。また、溶媒あるいは基剤の種類・性質等は特に限定されず、親水性であっても油性等の疎水性であってもよく、さらには異なる複数種の溶媒・基剤を適宜混合・乳化等して用いてもよい。こうした溶媒・基剤としては、具体的には例えば、後記の添加物として例示された成分等が挙げられる。
【0030】
本開示において、液状又は半固形状の組成物としては、使用時の安全性、使用感の観点から、成分(A)及び(B)に加えて水を含有するものが好ましい。
ここで、組成物中の水の含有量は特に限定されないが、使用時の安全性やプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの安定性の改善の観点から、組成物全質量に対し1質量%以上であるのが好ましく、5質量%以上であるのがより好ましく、10~90質量%であるのがさらに好ましく、20~80質量%であるのがさらにより好ましく、25~70質量%であるのがさらにより好ましく、30~65質量%であるのが特に好ましい。
【0031】
また、本開示において、液状又は半固形状の組成物としては、使用感の観点から、成分(A)及び(B)に加えて低級アルコールを含有するものが好ましい。なお、水と低級アルコールの両方を含んでいてもよい。本開示において、液状又は半固形状の組成物としては、使用時の安全性、使用感の観点から、水及び低級アルコールの両者を含有するものが好ましい。
ここで、「低級アルコール」とは、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖の1価のアルコールを意味し、具体的には例えば、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。これらの中でも、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合物が好ましい。
組成物中の低級アルコールの含有量は特に限定されないが、使用感の観点から、組成物全質量に対し5質量%以上であるのが好ましく、10~80質量%であるのがより好ましく、15~75質量%であるのがさらに好ましく、20~70質量%であるのがさらに好ましく、25~65質量%であるのがさらにより好ましく、30~60質量%であるのが特に好ましい。
【0032】
本発明において、液状又は半固形状の組成物は、医薬成分として、前記以外の薬物を含んでいてもよい。このような薬物としては、例えば、グリチルリチン酸類、アラントイン、殺菌剤、収れん・保護剤、アンモニア水、ビタミンE類、及びビタミンA類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0033】
グリチルリチン酸類としては、例えば、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、グリチルレチン酸等が挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル、安息香酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ベンジル、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
収れん・保護剤としては、例えば、カラミン、酸化亜鉛等が挙げられる。
ビタミンE類としては、例えば、トコフェロール、トコフェロールコハク酸エステル、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル等が挙げられる。
ビタミンA類としては、例えば、ビタミンA油、レチノールパルミチン酸エステル等が挙げられる。
【0034】
また、本開示において、液状又は半固形状の組成物には、組成物の剤形、投与方法等に応じて医薬品分野等において用いられる添加物を配合してもよい。こうした添加物としては、例えば、ゲル化剤、多価アルコール、油脂類、乳化剤、可溶化剤、pH調整剤、抗酸化剤、軟化剤、増粘剤、保湿剤、防腐剤、安定化剤、経皮吸収促進剤、矯味剤・甘味剤等が挙げられる。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
ゲル化剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー等のアクリル酸系高分子;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等の水溶性あるいは水膨潤性のセルロース系高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、マクロゴール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
油脂類としては、例えば、スクワラン、パラフィン、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、ワセリン等の炭化水素類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル類;べへニルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;ベヘニン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;カルナウバロウ、鯨ロウ、セラック、ホホバ油、ミツロウ、サラシミツロウ、モンタンロウ、ラノリン、精製ラノリン、還元ラノリン等のロウ類;シリコーン油等が挙げられる。
【0036】
乳化剤としては、例えば、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等の多価アルコール脂肪酸エステル又は多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル等のエーテルエステル等の非イオン性界面活性剤の他、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤などが挙げられる。
可溶化剤としては、例えば、上記の乳化剤として例示した非イオン性界面活性剤又はイオン性界面活性剤に加え、流動パラフィン、クロタミトン等が挙げられる。
【0037】
pH調整剤としては、例えば、酢酸、酢酸ナトリウム、氷酢酸等の有機酸又はその塩;塩酸、硫酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機酸又はその塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水酸化アルカリ;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、クエン酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、大豆レシチン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
軟化剤としては、例えば、アラントイン、アーモンド油、オリブ油、グリセリン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、精製ラノリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ナタネ油、ヒマシ油、プロピレングリコール、ポリブテン等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、コロイド性ケイ酸アルミニウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グァーガム、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸、アルブミン等が挙げられる。
保湿剤としては、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、尿素、ショ糖、エリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、硬化油、システイン等が挙げられる。
経皮吸収促進剤としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル等の脂肪酸エステル類が挙げられる。
矯味剤・甘味剤としては、例えば、アセスルファムカリウム、ステビア、ソーマチン、スクラロース、パノース、トレハロース、エリスリトール、ラクチトール、還元パラチノース、カップリングシュガー、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、ラフィノース、アスパルテーム、果糖、キシリトール、黒砂糖、サッカリン若しくはその塩、ソルビトール、乳糖、白糖、ハチミツ、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、マンニトール、水アメ等が挙げられる。
【0038】
本開示において、液状又は半固形状の組成物のpHは特に限定されないが、組成物の安定性、使用感の観点から、25℃におけるpHが3~8であるのが好ましく、4~6であるのが特に好ましい。
【0039】
本開示において、液状又は半固形状の組成物の製造方法は特に限定されず、配合する成分の種類や量、組成物の性状、剤形、投与経路や用途等に応じて、例えば第十八改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法により製造することができる。
【0040】
本開示において、液状又は半固形状の組成物の投与方法・適用方法は特に限定されず、経口;経皮、経膣等の非経口が挙げられる。本発明においては、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの薬理作用と液状又は半固形状の組成物の特性(患部の位置、形状や範囲に応じて柔軟に必要な量だけ塗布等することが可能である点)から、非経口が好ましく、経皮投与が特に好ましい。
【0041】
本開示において、液状又は半固形状の組成物の剤形は、組成物が液状又は半固形状である限りにおいて特に限定されるものではなく、その利用目的等に応じて、例えば、第十八改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形から適宜選択できる。こうした剤形としては、具体的には例えば、皮膚等に適用する製剤(外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等)、経口投与する製剤(経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤等)などが挙げられる。
本開示において、液状又は半固形状の組成物の剤形としては、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形が好ましく、リニメント剤、ローション剤、外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形がより好ましく、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形がさらに好ましく、ローション剤が特に好ましい。
【0042】
本開示の液状又は半固形状の組成物は、容器に収容されていてもよい。斯かる容器としては例えば、ボトル容器、チューブ容器などが挙げられる。
容器の材質としては特に限定されず、使用感などの観点から適宜選択すればよい。斯かる材質としては、具体的には例えば、アルミニウム箔、ガラス、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;LDPE、HDPEなどのポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンなど)が挙げられるが、アルミニウム箔が好ましい。
なお、本発明において、液状又は半固形状の組成物の、容器への収容手段は特に限定されず、容器の形状や組成物の性状等に応じて、常法により充填等すればよく、これにより本発明の容器入り組成物を製造できる。
【0043】
本開示の液状又は半固形状の組成物は、優れた抗炎症作用を有するプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有することから、医薬品や医薬部外品として用いることができ、例えば、鎮痒消炎薬として、より具体的には例えば、湿疹、皮膚炎、ただれ、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ及びじんましんから選ばれる1種以上を効能又は効果とする鎮痒消炎薬として好適に用いることができる。
【0044】
本開示は、次の成分(A):
(A)組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに次の成分(B):
(B)次の成分(B-1)~(B-7)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)局所麻酔成分
(B-2)クロタミトン類
(B-3)抗ヒスタミン成分
(B-4)サリチル酸類
(B-5)テルペン類
(B-6)パンテノール類
(B-7)オキシカルボン酸類
を含有せしめる工程を含む、結晶析出の抑制方法にも関する。ここで、「結晶析出の抑制」とは、低温(冷所以下の温度:好適には0℃以下、特に好適には-20℃)の保存条件下において同期間保存した場合に、成分(B)を含有しない場合と比較して、目視にて確認される結晶の析出が認められない、あるいは結晶の析出量が少ないことを意味する。また、「結晶析出の抑制方法」とは、液状又は半固形状の組成物に成分(A)、(B)を含有せしめることによって、上記「結晶析出の抑制」が達成され得る状況(仮に低温の保存条件下で保存したとしたならば、上記「結晶析出の抑制」が生じるであろう状況)を作出することを意味する。
【0045】
斯かる態様において、成分(A)を配合する工程、及び成分(B)を配合する工程の順序は特に限定されず、成分(A)及び(B)を含有する液状又は半固形状の組成物が直接的又は間接的に作出されればよい。
なお、斯かる態様において、各種文言の意義、各成分の配合量等は全て「液状又は半固形状の組成物」について説明したのと同様である。
【0046】
本明細書は、以上の実施形態に関連して、例えば以下に例示される発明を開示するが、これらに何ら限定されるものではない。
<A1> 次の成分(A)及び(B):
(A)組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
(B)次の成分(B-1)~(B-7)よりなる群から選ばれる1種以上;
(B-1)局所麻酔成分
(B-2)クロタミトン類
(B-3)抗ヒスタミン成分
(B-4)サリチル酸類
(B-5)テルペン類
(B-6)パンテノール類
(B-7)オキシカルボン酸類
を含有する液状又は半固形状の組成物。
【0047】
<A2> 成分(A)が、組成物全容量に対し0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルである、<A1>記載の組成物。
【0048】
<A3> 成分(B-1)が、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、プロカイン、メピバカイン、メプリルカイン、リドカイン及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、<A1>又は<A2>記載の組成物。
<A4> 成分(B-2)が、クロタミトン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、<A1>~<A3>いずれかに記載の組成物。
<A5> 成分(B-3)が、イソチペンジル、クロルフェニラミン、ジフェニルピラリン及びジフェンヒドラミン並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、<A1>~<A4>いずれかに記載の組成物。
【0049】
<A6> 成分(B-4)が、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上である、<A1>~<A5>いずれかに記載の組成物。
<A7> 成分(B-5)が、シメン、チモール、テルピネン、テルピノレン、フェランドレン、リモネン、カルベオール、テルピネオール、メントール、カルボン、メントン、ペリルアルデヒド、シネオール、モノテルペンエーテル、3-メチル-4-イソプロピルフェノール(イソプロピルメチルフェノール)、ボルネオール、及びカンフルよりなる群から選ばれる1種以上である、<A1>~<A6>いずれかに記載の組成物。
<A8> 成分(B-6)が、パンテノール、パントテン酸、アセチルパントテニルエチルエーテル及びパントテニルエチルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、<A1>~<A7>いずれかに記載の組成物。
<A9> 成分(B-7)が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸及びリンゴ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、<A1>~<A8>いずれかに記載の組成物。
【0050】
<A10> -20℃で1週間保存した場合に、結晶析出が生じないものである、<A1>~<A9>いずれかに記載の組成物。
<A11> ローション剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形である、<A1>~<A10>いずれかに記載の組成物。
【0051】
<B1> 次の成分(A):
(A)組成物全容量に対し0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
を含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに次の成分(B):
(B)抗ヒスタミン成分;
を含有せしめる工程を含む、結晶析出の抑制方法。
【0052】
<B2> 成分(A)が、組成物全容量に対し0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルである、<B1>記載の方法。
【0053】
<B3> 成分(B-1)が、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカン、ジブカイン、プロカイン、メピバカイン、メプリルカイン、リドカイン及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、<B1>又は<B2>記載の方法。
<B4> 成分(B-2)が、クロタミトン及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、<B1>~<B3>いずれかに記載の方法。
<B5> 成分(B-3)が、イソチペンジル、クロルフェニラミン、ジフェニルピラリン及びジフェンヒドラミン並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、<B1>~<B4>いずれかに記載の方法。
【0054】
<B6> 成分(B-4)が、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸ナトリウム及びサリチル酸メチルよりなる群から選ばれる1種以上である、<B1>~<B5>いずれかに記載の方法。
<B7> 成分(B-5)が、シメン、チモール、テルピネン、テルピノレン、フェランドレン、リモネン、カルベオール、テルピネオール、メントール、カルボン、メントン、ペリルアルデヒド、シネオール、モノテルペンエーテル、3-メチル-4-イソプロピルフェノール(イソプロピルメチルフェノール)、ボルネオール、及びカンフルよりなる群から選ばれる1種以上である、<B1>~<B6>いずれかに記載の方法。
<B8> 成分(B-6)が、パンテノール、パントテン酸、アセチルパントテニルエチルエーテル及びパントテニルエチルエーテル並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上である、<B1>~<B7>いずれかに記載の方法。
<B9> 成分(B-7)が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、フマル酸及びリンゴ酸よりなる群から選ばれる1種以上である、<B1>~<B8>いずれかに記載の方法。
<B10> 前記組成物の剤形が、ローション剤、軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤よりなる群から選ばれる剤形である、<B1>~<B9>いずれかに記載の方法。
【実施例0055】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】
[試験例1]保存試験 その1
下記表1に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する各種の液状組成物を常法により調製し、これをガラス瓶(2K規格瓶)に収容した。
得られた各種組成物を、-20℃で1週間保存した。保存後の組成物中の結晶析出の有無を目視にて確認し、結晶析出が認められなかった場合を○、結晶析出が認められた場合を×として評価した。
各種組成物中のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルの含有量(w/v%)と併せて、結果を表1に示す。
【0057】
【0058】
表1記載の結果から、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを組成物全質量に対して0.15w/v%含有する参考例1の組成物では-20℃で1週間保存後も結晶析出が認められなかったにも拘らず、0.3w/v%含有する比較例1の組成物では結晶析出が認められたことから、斯かる結晶析出は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.15w/v%超含有せしめた場合に生じる問題であることが判明した。
しかるところ、0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルに加えて、さらにリドカインを含有する実施例1の組成物、及び同じくさらにリドカイン塩酸塩を含有する実施例2の組成物においては、-20℃で1週間保存後も結晶析出が生じないことが明らかとなった。
【0059】
以上の試験結果から、0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに、リドカイン、リドカイン塩酸塩に代表される局所麻酔成分を含有せしめることにより、かかる成分を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出が抑制されることが明らかとなった。
【0060】
[試験例2]保存試験 その2
下記表2に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する各種の液状組成物を常法により調製し、試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表2に示す。
【0061】
【0062】
表2に記載の試験結果から、0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルに加えて、さらにクロタミトンを含有する実施例3の組成物においても、実施例1、2の組成物と同様-20℃で1週間保存後も結晶析出が生じないことが明らかとなった。
【0063】
以上の試験結果から、0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに、クロタミトンに代表されるクロタミトン類を含有せしめることにより、かかる成分を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出が抑制されることが明らかとなった。
【0064】
[試験例3]保存試験 その3
下記表3に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する各種の液状組成物を常法により調製し、試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表3に示す。
【0065】
【0066】
表3に記載の試験結果から、0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルに加えて、さらにジフェンヒドラミンを含有する実施例4の組成物及びジフェンヒドラミン塩酸塩を含有する実施例5の組成物においても、実施例1、2の組成物と同様-20℃で1週間保存後も結晶析出が生じないことが明らかとなった。
【0067】
以上の試験結果から、0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに、ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン塩酸塩に代表される抗ヒスタミン成分を含有せしめることにより、かかる成分を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出が抑制されることが明らかとなった。
【0068】
[試験例4]保存試験 その4
下記表4に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する各種の液状組成物を常法により調製し、試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表4に示す。
【0069】
【0070】
表4に記載の試験結果から、0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルに加えて、さらにサリチル酸グリコールを含有する実施例6の組成物においても、実施例1、2の組成物と同様-20℃で1週間保存後も結晶析出が生じないことが明らかとなった。
【0071】
以上の試験結果から、0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに、サリチル酸グリコールに代表されるサリチル酸類を含有せしめることにより、かかる成分を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出が抑制されることが明らかとなった。
【0072】
[試験例5]保存試験 その5
下記表5に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する各種の液状組成物を常法により調製し、試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表5に示す。
【0073】
【0074】
表5に記載の試験結果から、0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルに加えて、さらにl-メントールを含有する実施例7の組成物、dl-カンフルを含有する実施例8の組成物及びイソプロピルメチルフェノールを含有する実施例9の組成物においても、実施例1、2の組成物と同様-20℃で1週間保存後も結晶析出が生じないことが明らかとなった。
【0075】
以上の試験結果から、0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに、l-メントール、dl-カンフル、イソプロピルメチルフェノールに代表されるテルペン類を含有せしめることにより、かかる成分を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出が抑制されることが明らかとなった。
【0076】
[試験例6]保存試験 その6
下記表6に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する各種の液状組成物を常法により調製し、試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表6に示す。
【0077】
【0078】
表6に記載の試験結果から、0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルに加えて、さらにパンテノールを含有する実施例10の組成物においても、実施例1、2の組成物と同様-20℃で1週間保存後も結晶析出が生じないことが明らかとなった。
【0079】
以上の試験結果から、0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに、パンテノールに代表されるパンテノール類を含有せしめることにより、かかる成分を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出が抑制されることが明らかとなった。
【0080】
[試験例7]保存試験 その7
下記表7に示す成分及び分量(g)を100mL当たりに含有する各種の液状組成物を常法により調製し、試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を表7に示す。
【0081】
【0082】
表7に記載の試験結果から、0.3w/v%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルに加えて、さらにクエン酸ナトリウムを含有する実施例11の組成物においても、実施例1、2の組成物と同様-20℃で1週間保存後も結晶析出が生じないことが明らかとなった。
【0083】
以上の試験結果から、0.15w/v%超のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物に、さらに、クエン酸ナトリウムに代表されるオキシカルボン酸類を含有せしめることにより、かかる成分を含有しない場合と比較して相対的に結晶析出が抑制されることが明らかとなった。
【0084】
[製造例1]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリエチレンまたはポリプロピレン)に収容して、製造例1のローション剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
アラントイン 0.2g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
添加物:エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、ベンジルアルコール、エタノール及び精製水
【0085】
[製造例2]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリエチレンまたはポリプロピレン)に収容して、製造例2のローション剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
アラントイン 0.2g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、ベンジルアルコール、エタノール及び精製水
【0086】
[製造例3]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する液状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリエチレンまたはポリプロピレン)に収容して、製造例3のローション剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
リドカイン 1.0g
イソプロピルメチルフェノール 0.1g
l-メントール 5.0g
添加物:エデト酸ナトリウム水和物、クエン酸水和物、ベンジルアルコール、エタノール及び精製水
【0087】
[製造例4]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、中栓:ポリエチレン、ボトル:ポリエチレンまたはポリプロピレン)に収容して、製造例4のローション剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
アラントイン 0.2g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:ポリオキシエチレンアラキルエーテル・ステアリルアルコール混合物、中鎖脂肪酸トリグリセリド、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、塩化ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸水和物、水酸化ナトリウム、香料、精製水
【0088】
[製造例5]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例5の軟膏剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
アラントイン 0.2g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、白色ワセリン及び流動パラフィン
【0089】
[製造例6]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例6の軟膏剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
dl-カンフル 1.0g
l-メントール 5.0g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、白色ワセリン及び流動パラフィン
【0090】
[製造例7]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例7の軟膏剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
クロタミトン 5.0g
アラントイン 0.2g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、白色ワセリン及び流動パラフィン
【0091】
[製造例8]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例8の軟膏剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
アラントイン 0.2g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:モノステアリン酸グリセリン、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、流動パラフィン、白色ワセリン、精製水
【0092】
[製造例9]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例9のクリーム剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
クロタミトン 5.0g
サリチル酸グリコール 1.0g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:中鎖脂肪酸トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルポリシロキサン、濃グリセリン、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンアラキルエーテル・ステアリルアルコール混合物、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物及び精製水
【0093】
[製造例10]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例10のクリーム剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
サリチル酸グリコール 1.0g
dl-カンフル 1.0g
l-メントール 5.0g
添加物:中鎖脂肪酸トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルポリシロキサン、濃グリセリン、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンアラキルエーテル・ステアリルアルコール混合物、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物及び精製水
【0094】
[製造例11]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例11のクリーム剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
アラントイン 0.2g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:中鎖脂肪酸トリグリセリド、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルポリシロキサン、濃グリセリン、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンアラキルエーテル・ステアリルアルコール混合物、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物及び精製水
【0095】
[製造例12]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレンまたはポリエチレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例12のクリーム剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
アラントイン 0.2g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:軽質流動パラフィン、マクロゴール6000、α-モノイソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシルエチレンベヘニルエーテル、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、濃グリセリン、マクロゴール400、硫酸マグネシウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、香料、精製水
【0096】
[製造例13]
常法により、下記成分及び分量を100mL中に含有する半固形状の組成物を製造し、容器(キャップ:ポリプロピレン、チューブ:金属またはポリエチレン)に収容して、製造例13のゲル剤を得た。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.3g
ジフェンヒドラミン塩酸塩 2.0g
グリチルレチン酸 1.0g
トコフェロール酢酸エステル 0.5g
添加物:ベンジルアルコール、ヒプロメロース、クエン酸水和物、エデト酸ナトリウム水和物、エタノール、精製水
本発明によれば、低温条件下で保存した場合の結晶析出が相対的に抑制された、保存安定性が良好でかつ優れた有効性を有する、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する液状又は半固形状の組成物を提供でき、医薬品産業等において好適に利用できる。