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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025741
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/894 20060101AFI20240216BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240216BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20240216BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61K8/894
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/06
A61Q1/12
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130294
(22)【出願日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2022128446
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】服部 禎士
(72)【発明者】
【氏名】柿本 涼
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC342
4C083AC442
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD261
4C083AD262
4C083CC12
4C083DD17
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD33
4C083DD39
4C083EE05
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】マスクプルーフ効果に優れながらも落としやすく、ソフトフォーカス効果に優れながらもみずみずしいタッチを有する水中油型乳化化粧料の提供。
【解決手段】(A)部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンおよび/または部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、(B)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維、及び(C)(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体を含有する水中油型乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
(A)部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンおよび/または部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン
(B)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維
(C)下記(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマーを反応させて得られ、(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマー全体に対して、(a)=20~50質量%、(b)=0.5~4質量%、(c)+(d)=46~79.5質量%である、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体
を含有する水中油型乳化化粧料。
成分(C):
(a)下記一般式(I)
【化1】
(式中、Meはメチル基、R1は水素原子又はメチル基、R2は1又は2個のエーテル結合を含んでいてもよい、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基、R3は炭素数1~10の飽和炭化水素基、mは5~100の整数を表す。)で表される化合物
(b)下記一般式(II)
【化2】
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5、R6、R7は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、Xは-O-、-NH-、-O-CH-又は-O-CHCH(OH)-、Yは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基、Z-は対アニオンを表す。)で表されるカチオン性化合物、及び、式(III)
【化3】
(式中、R8、R9は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、R10、R11は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基、Z-は対アニオンを表す。)で表されるカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種
(c)下記一般式(IV)
【化4】
(式中、R12は水素原子又はメチル基、R13は水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基を表す。)で表される化合物
(d)下記一般式(V)
【化5】
(式中、R14は水素原子又はメチル基、R15は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物
【請求項2】
さらに成分(D)架橋型ポリアクリル酸Naを含有する請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)が(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)を水分散物として含有する請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
前記成分(C)と前記成分(B)及び前記成分(D)の含有質量割合、(C)/〔(B)+(D)〕が3~25である請求項2に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化化粧料は、一般的にみずみずしくべたつかず、使用時の負担感が少なく、石鹸を使い化粧料を容易に落とすことができるという特徴を有しており需要が高い。一方で、ファンデーションや下地等のメイクアップ化粧料においては、ヨレにくさや滲みにくさといった化粧持ち効果に課題があったことから、これまでに化粧持ち効果を向上した水中油型乳化化粧料について種々な検討がなされている。さらに近年では、多機能化が進みソフトフォーカス効果等の機能性の向上も求められている。
【0003】
水中油型乳化化粧料の化粧持ち効果を高めるための技術として、例えば特許文献1においては、脂肪酸石鹸、シリコーン油等を組み合わせ、特定のpHに調整する水中油型メイクアップ化粧料が提案されている。
また、例えば特許文献2においては、3種の高分子化合物を組み合わせ、耐水性等を向上する水中油型化粧料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-122027
【特許文献2】特開2015-003885
【0005】
上記技術は耐水性向上により化粧持ち効果を高めるものであったが、近年マスクの常用化が進み、マスク内部の高温多湿環境や、表情変化に伴うマスクと皮膚との摩擦により、化粧料が崩れやすく、マスクに付着するといった現象が見られ、上記技術では解決できない場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、耐水性が高くさらに摩擦等の物理的な刺激についても強いマスクプルーフ効果を持ち、かつ落としやすさに優れ、さらにソフトフォーカス効果に優れ、みずみずしいタッチの水中油型乳化化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者は鋭意検討した結果、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンおよび/または部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維、及び特定の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体を組み合わせることにより、マスクプルーフ効果、落としやすさ、ソフトフォーカス効果に優れ、みずみずしいタッチの水中油型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
〔1〕次の成分(A)~(C);
(A)部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンおよび/または部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン
(B)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維
(C)(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマーを反応させて得られ、(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマー全体に対して、(a)=20~50質量%、(b)=0.5~4質量%、(c)+(d)=46~79.5質量%である、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体を含有する水中油型乳化化粧料を提供するものである。
成分(C):
(a)下記一般式(I)
【化1】
(式中、Meはメチル基、R1は水素原子又はメチル基、R2は1又は2個のエーテル結合を含んでいてもよい、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基、R3は炭素数1~10の飽和炭化水素基、mは5~100の整数を表す。)で表される化合物
(b)下記一般式(II)
【化2】
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5、R6、R7は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、Xは-O-、-NH-、-O-CH-又は-O-CHCH(OH)-、Yは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基、Z-は対アニオンを表す。)で表されるカチオン性化合物、及び、式(III)
【化3】
(式中、R8、R9は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、R10、R11は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基、Z-は対アニオンを表す。)で表されるカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種
(c)下記一般式(IV)
【化4】
(式中、R12は水素原子又はメチル基、R13は水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基を表す。)で表される化合物
(d)下記一般式(V)
【化5】
(式中、R14は水素原子又はメチル基、R15は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物
〔2〕さらに成分(D)架橋型ポリアクリル酸Naを含有する〔1〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
〔3〕前記成分(A)が(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
〔4〕前記成分(B)を水分散物として含有する〔1〕又は〔2〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
〔5〕前記成分(C)と前記成分(B)及び前記成分(D)の含有質量割合、(C)/〔(B)+(D)〕が3~25であることを特徴とする〔2〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中油型乳化化粧料は、マスクプルーフ効果、落としやすさに優れ、さらに水中油型乳化化粧料でありながらもソフトフォーカス性に優れ、さらには、みずみずしいタッチ優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
【0011】
本発明における成分(A)部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンおよび/または部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンは、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる、一部に三次元架橋構造を有し、分子中にオキシアルキレン基やポリグリセリン基を含有する重合物である。具体的には、特に限定されないが、例えば、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンとしては、成分表示名称で(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。また、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンとしては、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、(ポリグリセリル-3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられる。本発明における成分(A)は、特に限定されないが、マスクプルーフ効果、落としやすさ等の観点から、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマーが好ましく、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーがより好ましい。本発明における成分(A)は、予め油膨潤物として配合することが好ましく、そのような市販品としては、KSG-210、KSG-240、KSG-310、KSG-320、KSG-330、KSG-340、KSG-320Z、KSG-350Z、KSG-360Z、KSG-380Z、KSG-710、KSG-810、KSG-820、KSG-830、KSG-840、KSG-820Z、KSG-850Z(いずれも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0012】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、落としやすさとソフトフォーカス効果の観点から、固形分換算で水中油型乳化化粧料全量中に0.10~0.50%が好ましく、0.15~0.40%がより好ましく、0.20~0.35%がさらにより好ましい。
【0013】
本発明に用いられる成分(B)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維は、原料である天然セルロースを微細化したものであり、その方法としては特に限定されず、高圧ホモジナイザーやボールミルを使用する機械的解砕による方法や2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TEMPO)等のN-オキシル化合物を用いてセルロースを酸化して微細化する化学的解砕による方法、セルラーゼ等の酵素を使用する生物的解砕による方法等が挙げられる。天然セルロースの由来としては特に限定されず、植物、動物、微生物の産生によって生合成されるもの等が挙げられる。また、本発明における成分(B)の数平均繊維径は、官能のみずみずしさとマスクプルーフ効果の観点から、2~100nmがより好ましく、2~50nmがさらに好ましい。
なお、本発明に用いられる成分(B)は、表面にカルボキシル基、リン酸基、硫酸基等のアニオン性を有するものでも良い。
【0014】
本発明において成分(B)の数平均繊維径の測定方法は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)を用いて、表面状態を観察し、任意の視野の繊維20個について、繊維径の長径を観察した結果から算出する。
【0015】
本発明に用いられる成分(B)は解砕された粉末状で含有させても良く、予め水中に分散された状態で含有させてもよい。中でも、水分散物として含有させると、化粧料中でのセルロース繊維の分散状態が良好であり、マスクプルーフ効果の観点から好ましい。水分散物として用いる場合、水分散物中のセルロース繊維の含有量は、好ましくは0.1~10%、より好ましくは0.5~5%が好適である。
【0016】
水に分散しているものの市販品としては、ビンフィスBMa-10002(数平均繊維径35nm)(スギノマシン社製)、ACCナノセルロースCNF-1(数平均繊維径20nm)(中越パルプ工業社製)、レオクリスタC-2SP(数平均繊維径10nm)(第一工業製薬社製)、セリッシュFD-100S(数平均繊維径15nm)(ダイセルファインケム社製)等が挙げられる。これらのうち一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されないが、マスクプルーフ効果等の観点から、繊維分換算で水中油型乳化化粧料全量中に0.04~0.12%が好ましく、さらに0.06~0.10%がより好ましい。
【0018】
なお、本発明における成分(A)と(B)の含有質量割合、(A)/(B)は、特に
限定しないが、マスクプルーフ効果、みずみずしいタッチ等の観点から、1.5~6.5好ましく、2.0~4.0がより好ましく、2.5~3.5がさらに好ましい。
【0019】
本発明に用いられる成分(C)(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、少なくとも、下記(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマーを反応させて得られる重合体であり、その他、(a)~(d)以外の共重合可能なモノマーを加えて反応させて得られる重合体を包含する。本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタアクリルを包含することを意味する。
各モノマーの仕込割合は、(a)~(d)のモノマーの全体に対して、(a)=20~50質量%、(b)=0.5~4質量%、(c)+(d)=46~79.5質量%であり、(a)~(d)以外の共重合可能なモノマーを使用する場合は、(a)~(d)のモノマーの合計は、全体の66.5質量%以上であることが好ましい。特に、(a)=30~45質量%、(b)=1~4質量%であることが好ましい。
なお、本発明において、モノマーの仕込割合とは共重合体中のそれらの組成割合と略同義である。
本発明の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、共重合体を20質量%となるように99.5%エタノールに溶解させたときのエタノール溶液の、25℃においてB型回転粘度計を用いて測定した粘度(単位mPa・s=CS)は、好ましくは50~250、より好ましくは、70~150である。
さらに、本発明の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等の種々の形態を包含する。
【0020】
以下に、共重合体の原料であるモノマーについて説明する。
(a)一般式(I)で表されるラジカル重合性モノマー
【0021】
【化6】
【0022】
式中、Meはメチル基、R1は水素原子又はメチル基を表す。
R2は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基を表し、1又は2個のエーテル結合を含んでいてもよい。具体的には、-CH-,-(CH,-(CH-,-(CH10-、-CH-CH(CH)-CH-,-CHCHOCHCHCH-,-CHCHOCH(CH)CH-,-CHCHOCHCHCHOCHCHCH-などが例示される。
R3は炭素数1~10の飽和炭化水素基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基等の炭素数1~10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等の炭素数1~10のシクロアルキル基;シクロプロピルメチル基、2-シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、3-シクロペンチルプロピル基、シクロへキシルメチル基、2-シクロヘキシルエチル基、シクロヘプチルメチル基、シクロオクチルメチル基等の炭素数1~10のシクロアルキルアルキル基が挙げられる。
mは5~100の整数を表す。
【0023】
式(I)で表されるモノマーとしては、具体例には以下のものが挙げられる。なお以下の式中、Meはメチル基を、n-Buはn-ブチル基を示す。
【0024】
【化7】
【0025】
(b)式(II)又は式(III)で表されるラジカル重合性モノマー
(b)成分は、下記式(II)又は式(III)で表されるカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種である。
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
式(II)中、R4は水素原子又はメチル基を表す。
R5、R6、R7は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基が例示される。この中でも特に、メチル基が好ましい。
Xは-O-、-NH-、-O-CH-又は-O-CHCH(OH)-を表す。特に、-NHが好ましい。
Yは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基を表し、-CH-,-(CH,-(CH-,-(CH-,-CH-CH(CH)-CH-等が例示される。特に、-(CHが好ましい。
Z-は対アニオンであり、例えば、塩素イオン、臭素イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、四フッ化ホウ素イオン、六フッ化リンイオン等が例示される。
【0029】
式(III)中、R8、R9は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、炭素数1~4のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基が例示される。
R10、R11は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基を表し、炭素数1~18のアルキル基としては、 メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、n-ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が例示される。
【0030】
(c)式(IV)で表されるラジカル重合性モノマー
【0031】
【化10】
【0032】
式中、R12は水素原子又はメチル基を表す。
R13は水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基を表し、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基が例示される。特にエチル基が好ましい。
【0033】
(d)式(V)で表されるラジカル重合性モノマー
【0034】
【化11】
【0035】
式中、R14は水素原子又はメチル基を表す。
R15は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表し、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、4-ヒドロキシ-n-ブチル基等が例示される。特に、2-ヒドロキシエチル基が好ましい。
【0036】
本発明における成分(C)は、一種又は二種以上組み合わせて用いることができ、その含有量は、特に限定されないが、共重合体分換算で0.5~3.5%が好ましく、1.0~2.5%がより好ましく、1.5~2%が特に好ましい。成分(C)をこの範囲で含有すると、マスクプルーフ効果等の点でより好ましい。
【0037】
本発明の水中油型乳化化粧料は、上記成分に加え、さらに成分(D)架橋型ポリアクリル酸Naを含有させることが望ましい。成分(D)架橋型ポリアクリル酸Naは、アクリル酸及びアクリル酸Naを重合して得られる共重合体である。例えば、開始剤の存在下で水酸化ナトリウムと混合したアクリル酸を重合してポリアクリル酸とし、更に、ポリアクリル酸のナトリウム塩を形成することで製造され得る。また成分(D)は、乾燥時の平均粒子径が5~40μmの略球状という特徴を有すると、肌上で塗膜が乾燥した際に、ソフトフォーカス効果を発揮し得るものであるため好ましい。成分(D)の乾燥時の平均粒子径とは、n-ヘプタン溶媒中で乾燥した状態において、レーザー回析散乱式粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラックMT-3000、日機装社製)にて測定される体積基準メジアン径を意味するものである。さらに水に膨潤した成分(D)の平均粒子径は乾燥時よりも大きくなり、特にその大きさは制限しないが、500μm以下であることが好ましい。該乾燥時の平均粒子径は、成分(D)の平均粒子径は5~40μmが好ましく、さらに5~30μmであることがより好ましい。なお。形状は特に限定しないが、球状であるとソフトフォーカス効果の点でより好ましい。市販品としては、AQUPEC MG N-40R(住友精化社製)(球状)、サンフレッシュST-500MPSC(三洋化成工業社製)等が挙げられる。
【0038】
成分(D)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中に、0.04~0.12%が好ましい。この範囲であると、ソフトフォーカス性等の観点から好ましい。
【0039】
また、本発明における成分(C)と成分(B)及び成分(D)の合計量の含有質量割合、(C)/〔(B)+(D)〕は、特に限定されないが、マスクプルーフ効果、ソフトフォーカス性等の観点から、3~25が好ましく、5~15がより好ましく、7~12がさらにより好ましい。
【0040】
本発明の水中油型乳化化粧料には、上記成分(A)~(D)の他に水を必須とし、本発明の効果を妨げない範囲であれば、化粧料に通常使用される成分として、例えば、水性成分、油剤、粉体、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、糖類、防腐剤、香料等を含有することができる。
【0041】
水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。
【0042】
油剤としては、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、等の液体油、パラフィンワックス,セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の固体油、オリーブ油,ヒマシ油,ホホバ油,ミンク油,マカデミアンナッツ油等の油脂類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ロジン酸ペンタエリスリットエステル、コレステロール脂肪酸エステル,N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、フェニル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0043】
粉体としては、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理したものを用いても良い。
【0044】
界面活性剤としては、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機または有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-メチル-N-アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N-アシル-N-アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、リン脂質、N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0045】
紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、ベンゾフェノン系としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリアニリノ-パラ-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[{4-(2-エチルヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン、2-2’-メチレン-ビス-{6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール}等が挙げられ、PABA系としては、p-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸グリセリル、p-ジメチルアミノ安息香酸アミル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、p-ジヒドロキシプロピル安息香酸エチル、2-{4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル}安息香酸ヘキシル等が挙げられ、ケイ皮酸系としては、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、4-メトキシケイ皮酸-2-エトキシエチル等が挙げられ、サリチル酸系としてはサリチル酸-2-エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル等、ジベンゾイルメタン系としては、4-tert-4’-メトキシジベンゾイルメタン等、また、2-2’-メチレン-ビス-{6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール}等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0046】
保湿剤としては、例えば、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、ヘパリン類似物質等、酸化防止剤としては、例えば、α-トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えば、ビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えば、クロルフェネシン、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0047】
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず通常公知の方法で製造可能であり、製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。例えば、成分(B)を含む水性成分を混合し、必要に応じて加熱溶解したのち、成分(A)を含む油性成分を水相にディスパーションにより乳化混合後、成分(C)、(D)を添加分散することにより、水中油型乳化化粧料が得られる。
【0048】
本発明の水中油型乳化化粧料は、メイクアップ化粧料、スキンケア化粧料などに応用することができ、剤型としては、液状、乳液状、クリーム剤状、固形状等の剤型とすることができ、製品形態としては、ファンデーション、化粧下地、頬紅、白粉、アイシャドウ、日焼け止め、制汗剤、などが好ましく挙げられ、ファンデーション、化粧下地がより好ましい。
【0049】
また、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕次の成分(A)~(C);
(A)部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンおよび/または部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン
(B)数平均繊維径2~150nmのセルロース繊維
(C)(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマーを反応させて得られ、(a)、(b)、(c)及び(d)のラジカル重合性モノマー全体に対して、(a)=20~50質量%、(b)=0.5~4質量%、(c)+(d)=46~79.5質量%である、(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体を含有する水中油型乳化化粧料を提供するものである。
成分(C):
(a)下記一般式(I)
【化1】
(式中、Meはメチル基、R1は水素原子又はメチル基、R2は1又は2個のエーテル結合を含んでいてもよい、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~10の2価の飽和炭化水素基、R3は炭素数1~10の飽和炭化水素基、mは5~100の整数を表す。)で表される化合物
(b)下記一般式(II)
【化2】
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5、R6、R7は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、Xは-O-、-NH-、-O-CH-又は-O-CHCH(OH)-、Yは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4の2価の飽和炭化水素基、Z-は対アニオンを表す。)で表されるカチオン性化合物、及び、式(III)
【化3】
(式中、R8、R9は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基、R10、R11は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~18のアルキル基、Z-は対アニオンを表す。)で表されるカチオン性化合物から選ばれる少なくとも1種
(c)下記一般式(IV)
【化4】
(式中、R12は水素原子又はメチル基、R13は水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のアルキル基を表す。)で表される化合物
(d)下記一般式(V)
【化5】
(式中、R14は水素原子又はメチル基、R15は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物
〔2〕さらに成分(D)架橋型ポリアクリル酸Naを含有する〔1〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
〔3〕前記成分(A)が(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上である〔1〕又は〔2〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
〔4〕前記成分(B)を水分散物として含有する〔1〕~〔3〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
〔5〕前記成分(C)と前記成分(B)及び前記成分(D)の含有質量割合、(C)/〔(B)+(D)〕が3~25であることを特徴とする〔2〕~〔4〕に記載の水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【実施例0050】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0051】
成分(C)(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体の製造例を以下に示すが、特に限定しない。
【0052】
[製造例1]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール(IPA)(注1)100gを攪拌下、70~80℃にて、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(V-601)(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X-24-8201)(注3)40g、エチルアクリレート(EA)(注4)31g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(注5)27g、3-トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド(MAPTAC)(注6)4g、イソプロパノール(注1)50gを3~4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)1gを添加し、70~80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を87g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した(この生成物は、赤外吸収スペクトルによりジメチルポリシロキサン、アミド結合、エステル結合、アルキル基、水酸基を有するポリマーであることが確認された)。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X-24-8201=2:31:27:40
(注1)IPA 関東化学株式会社製
(注2)V-601 和光純薬工業株式会社製
(注3)X-24-8201 信越化学工業社製
(注4)EA 関東化学株式会社社製
(注5)HEMA 関東化学株式会社社製
(注6)MAPTAC エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製,50%水溶液
【0053】
[製造例2]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール(注1)50gを攪拌下、70~80℃にて、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X-22-174DX)(注7)40g、エチルアクリレート(注4)31g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(注5)27g、3-トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド(注6)4g、イソプロパノール(注1)170gを3~4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)1gを添加し、70~80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を90g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X-22-174DX=2:31:27:40
(注7)X-22-174DX 信越化学工業社製
【0054】
[製造例3]
3つ口フラスコ内、窒素雰囲気下で、イソプロパノール(注1)100gを攪拌下、70~80℃にて、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)4g、片末端メタクリレート置換ジメチルポリシロキサン(X-22-174ASX)(注8)40g、エチルアクリレート(注4)31g、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(注5)27g、3-トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロライド(注6)4g、イソプロパノール(注1)50gを3~4時間かけて添加した。次いで、イソプロパノールに溶解したジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(注2)1gを添加し、70~80℃の温度範囲内で5時間反応させ、粘稠な溶液を得た。この溶液を精製水に注ぎ込み、グラフトポリマーを沈殿析出させた後、沈殿物を濾別し、80℃にて減圧乾燥させて透明ゴム状物を83g得た。
赤外吸収スペクトルにて、得られたゴム状物が目的とする(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体であることを確認した。
モノマーの仕込割合は以下のとおりである。
MAPTAC:EA:HEMA:X-22-174ASX=2:31:27:40
(注8)X-22-174ASX 信越化学工業社製
【0055】
実施例1~16および比較例1~13:ファンデーション
下記表1~3に示す水中油型乳化ファンデーションを下記製造方法により調整し、(イ)マスクプルーフ効果、(ロ)落としやすさ、(ハ)ソフトフォーカス性、(二)みずみずしいタッチ、の各項目について下記の評価方法及び判定基準にて評価判定した。その結果も併せて表1~3に示す。
【0056】
【表1】
※1:KSG-210(信越化学工業社製)
※2:KSG-310(信越化学工業社製)
※3:KSG-710(信越化学工業社製)
※4:KSG-016F(信越化学工業社製)
※5:KF-6028P(信越化学工業社製)
※6:コスモール 168ARNV(日清オイリオグループ製)
※7:レオクリスタ C-2SP(第一工業製薬)
※8:セオラスPH F20JP(旭化成ケミカルズ製)
※9:NATROSOL250 HHR(ASHLAND SPECIALTY INGREDIENTS製)
※10:アコーン KS(大阪有機化学工業製)
※11:ゴーセノール EG-40C(三菱ケミカル製)
※12:KP-561P(信越化学工業社製)
※13:シリコン KF-9021(信越化学工業社製)
※14:ケミスノーMR-5C(綜研化学製)
※15: AQUPEC MG N40R (住友精化社製)
※16:サンフレッシュST-500MPSC (三洋化成工業製)
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
(製造方法)
A:成分(26)~(31)の各成分を均一に混合する。
B:成分(1)~(6)、成分(21)の一部、成分(22)~(25)の各成分を均一に混合溶解する。
C:AをBに加え、均一に混合する。
D:Cに成分(21)の一部を混合し乳化し、冷却する。
E:Dに成分(7)~(20)、成分(21)の一部を加え、均一に混合することで水中油型乳化ファンデーションを得た。
【0060】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
イ) マスクプルーフ効果
ロ) 落としやすさ
ハ) ソフトフォーカス性
ニ) みずみずしいタッチ
各試料について、化粧品評価専門パネル20名による使用テストを行い、其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し評点を付し、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
イ.使用時のマスクプルーフ効果については、各試料を全顔に塗布し、マスクを着用し8時間後のマスクへの色移りのなさについて評価した。
ロ.落としやすさについては、各試料を塗布し、10分経過後の試料を洗顔用固形石鹸で洗い流し、試料の落ち具合について評価を行った。
ハ、ソフトフォーカス性については、各試料を塗布し、塗布面において試料が毛穴やしわ等をどの程度ぼかしている(隠している)かについて評価した。
ニ.みずみずしいタッチについては、各試料の塗布過程において、みずみずしいと感じるかどうかについて評価した。
【0061】
(評価基準)
イ.マスクプルーフ効果
(評点):(評価)
5 :色移りがない
4 :ほとんど色移りがない
3 :やや色移りがある
2 :色移りがある
1 :非常に色移りがある
ロ.落としやすさ
(評点):(評価)
5 :非常に良好
4 :良好
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
ハ.ソフトフォーカス性
(評点):(評価)
5 :非常に良好
4 :良好
3 :普通
2 :悪い
1 :非常に悪い
ニ.みずみずしいタッチ
(評点):(評価)
5 :非常にみずみずしいと感じる
4 :みずみずしいと感じる
3 :ややみずみずしいと感じる
2 :ほとんどみずみずしいと感じない
1 :みずみずしいと感じない
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
AA :4.5以上
A :4.0点以上4.5点未満
B :3.5点以上4.0点未満
C :2.0点以上3.5点未満
D :2.0点未満
【0062】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1~16のファンデーションは、使用時のマスクプルーフ効果、落としやすさ、ソフトフォーカス性、みずみずしいタッチの全ての項目において優れたものであった。
これに対して、成分(A)のかわりに架橋型メチルポリシロキサンを配合した比較例1は、落としやすさ等の点で劣るものであった。成分(A)のかわりにPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを配合した比較例2及び成分(A)のかわりにヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)を配合した比較例3では、ソフトフォーカス性等の点で劣るものであった。成分(A)を含有しない比較例4では使用時に落としやすさとソフトフォーカスの両立ができなかった。
成分(B)のかわりに結晶セルロース(数平均繊維径20μm)を配合した比較例5及び成分(B)のかわりにヒドロキシエチルセルロースを配合した比較例6では、マスクプルーフ効果等の点で劣るものであった。成分(B)を含有しない比較例7では、マスクプルーフ効果、みずみずしいタッチに欠けるものであり、特に比較例5においては、マスクプルーフ効果、みずみずしいタッチ双方において大きく劣るものであった。
また、成分(C)のかわりにビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体を配合した比較例8、ポリビニルアルコールを配合した比較例9、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーを配合した比較例10、トリメチルシロキシケイ酸を配合した比較例11、ポリメタクリル酸メチルを配合した比較例12では、マスクプルーフ効果、落としやすさ、みずみずしいタッチ等が劣るものであった。成分(C)を含有しない比較例13ではマスクプルーフ効果に劣るものであった。
【0063】
実施例17 固形ファンデーション
(成分) (%)
1.レシチン処理酸化チタン 8.0
2.タルク 4.0
3.赤酸化鉄 0.2
4.黄酸化鉄 0.8
5.黒酸化鉄 0.2
6.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
7.1,3-ブチレングリコール 12
8.精製水 残量
9.架橋型ラウリル・ポリエーテル変性シリコーン ※2 1.0
10.結晶セルロース(数平均繊維径10nm)(2%)水分散物 ※7 4.0
11.製造例 2の(メタ)アクリルシリコーン系グラフト共重合体 1.5
12.アクリル酸Naクロスポリマー (乾燥平均粒子径30μm) ※16 4.0
13.カンテン末 1.0
14.ショ糖脂肪酸エステル 0.6
15.トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.2
16.メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 7.0
17.シロキクラゲ多糖類1%水膨潤物 1.0
【0064】
(製造方法)
A:成分(1)~(6)と成分(7)の一部、成分(8)の一部を加え、均一に混合する。
B:成分(8)の一部、成分(9)~(12)の各成分を、均一に混合溶解する。
C:成分(7)の一部と成分(13)、成分(8)の一部を均一に混合溶解する。
D:CにBを加え均一に混合し加熱混合したのちに冷却する。
E:成分(14)~(16)を均一に混合する。
F:Eに成分(17)、成分(8)の一部を加え乳化し、均一に混合する。
G:DにFを加え均一に混合したのちに加温し、容器に流し込むことで固形ファンデーションを得た。
実施例17の固形ファンデーションは、マスクプルーフ効果、落としやすさ、ソフトフォーカス効果、みずみずしいタッチの全ての項目において優れたものであった。