(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025752
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】特に燃料電池システム内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240216BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240216BHJP
F16K 1/46 20060101ALI20240216BHJP
F16K 1/22 20060101ALI20240216BHJP
F16K 41/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01M8/04 H
H01M8/00 Z
F16K1/46 Z
F16K1/22 D
F16K41/04
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130782
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】10 2022 120 289.5
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ロリー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス グリュン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴァッカー
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ハマー
【テーマコード(参考)】
3H052
3H066
5H127
【Fターム(参考)】
3H052AA02
3H052BA02
3H052CC03
3H052CD03
3H052EA01
3H066AA02
3H066BA19
3H066DA01
3H066DA15
5H127AC02
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB37
5H127BB39
5H127EE19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造的に簡単な構成でガス漏れを実質的に阻止すること。
【解決手段】ガス流路を通流のために開放する少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能な作動フラップであって、作動フラップケーシングに設けられた第1の軸受領域28において旋回軸軸線Aを中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分48と、作動フラップケーシングに設けられた第2の軸受領域において旋回軸軸線Aを中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分とを有しており、第1の軸受領域28および第2の軸受領域のうち少なくとも一方の軸受領域が、旋回軸18を回転可能に支持する軸受ユニット62と、軸受ユニット62により軸方向に荷重を加えられた、旋回軸18の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメント70とを含む、作動フラップ構成。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両における、特に燃料電池システム(100)内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリであって、ガス流路(46)を提供する作動フラップケーシング(14)と、該作動フラップケーシング(14)内で、前記ガス流路(46)を通るガス流を実質的に阻止する閉鎖位置と、前記ガス流路(46)を通流のために開放する少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能な作動フラップ(16)であって、旋回軸軸線(A)を中心として回転可能な旋回軸(18)に支持されたディスク状の作動フラップボディ(24)を備えた作動フラップ(16)と、を備えており、前記旋回軸(18)が、旋回軸駆動装置(12)に連結されるべき、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第1の軸受領域(28)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分(48)と、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第2の軸受領域(30)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分(50)とを有しており、第1の軸受領域(28)および第2の軸受領域(30)のうち少なくとも一方の軸受領域が、前記旋回軸(18)を回転可能に支持する軸受ユニット(62)と、該軸受ユニット(62)により軸方向に荷重を加えられた、前記旋回軸(18)の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメント(70)とを含む、作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの軸受領域が、前記第1の軸受領域(28)である、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、または/および、前記軸受ユニット(62)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、請求項1または2記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記軸受ユニット(62)により軸方向に荷重を加えられた保持区分(72)と、前記旋回軸(18)に当て付けられるシール区分(74)とを有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項5】
前記保持区分(72)が実質的に半径方向に延びており、前記シール区分(74)が、前記保持区分(72)から半径方向内方に前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項6】
前記軸受ユニット(62)が、少なくとも1つの軸受リング(64)を備えており、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)の前記保持区分(72)が、前記少なくとも1つの軸受リング(64)と、前記少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュ(42)の底部(58)または/および前記作動フラップケーシング(14)との間に保持されている、請求項4または5記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)を支持する領域において、前記軸受ブシュ(42)の前記底部(58)または/および前記作動フラップケーシング(14)が、前記旋回軸軸線(A)に対して実質的に直交するように方向付けられて、かつ実質的に平面状に形成されている、請求項6記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの軸受リング(64)が、前記軸受ブシュ(42)内にプレス嵌めにより保持されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項9】
前記軸受ユニット(62)が滑り軸受ユニットである、請求項1から8までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)がエラストマ材料で構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリを製造する方法であって、
a)前記少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュ(42)内に前記少なくとも1つのシールエレメント(70)を配置するステップと、
b)前記少なくとも1つの軸受リング(64)が前記少なくとも1つのシールエレメント(70)に軸方向で荷重を加え、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、軸方向に荷重を加えられることにより半径方向内方に向かって変形させられるように、前記軸受ブシュ(42)内に前記軸受ユニット(62)の少なくとも1つの軸受リング(64)を圧入するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記旋回軸(18)が、その一方の旋回軸端部区分で前記少なくとも1つの軸受領域の前記軸受ブシュ内に係合するように位置決めされた後に、前記ステップa)およびb)を実施する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記旋回軸が、その一方の旋回軸端部区分(48,50)で前記少なくとも1つの軸受領域の前記軸受ブシュ(42)内に係合するように位置決めされる前に、前記ステップa)およびb)を実施する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
好ましくは請求項11から13までのいずれか1項記載の方法で製造された、請求項1から10までのいずれか1項記載の少なくとも1つの作動フラップ構成アッセンブリ(10)を含む、特に車両のための燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的なエネルギを提供するために、特に車両における、例えば燃料電池システム内のガス流のために使用することができる、作動フラップ構成アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃料電池システムでは、運転状態に応じて、様々なガス流を燃料電池または燃料電池スタックのアノード領域またはカソード領域を通してガイドするか、あるいは、アノード領域またはカソード領域の傍らをガイドすることが必要である。その際に、特に特定のガス流を、燃料電池を通してガイドしないか、または燃料電池の傍らをガイドしないことが望ましい運転状態において、漏れ流を排除することができるか、または実質的にガスが周囲に逃れることができないことを保証するために、このようなガス流を調整するために使用される作動フラップ構成アッセンブリの密閉性に対して高い要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、特に車両における、特に燃料電池システム内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリを改良して、構造的に簡単な構成でガス漏れを実質的に阻止することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、特に車両における、特に燃料電池システム内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリであって、ガス流路を提供する作動フラップケーシングと、作動フラップケーシング内で、ガス流路を通るガス流を実質的に阻止する閉鎖位置と、ガス流路を通流のために開放する少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能な作動フラップであって、旋回軸軸線を中心として回転可能な旋回軸に支持されたディスク状の作動フラップボディを備えた作動フラップと、を備えており、旋回軸が、旋回軸駆動装置に連結されるべき、作動フラップケーシングに設けられた第1の軸受領域において旋回軸軸線を中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分と、作動フラップケーシングに設けられた第2の軸受領域において旋回軸軸線を中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分とを有しており、第1の軸受領域および第2の軸受領域のうち少なくとも一方の軸受領域が、旋回軸を回転可能に支持する軸受ユニットと、この軸受ユニットにより軸方向に荷重を加えられた、旋回軸の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメントとを含む、作動フラップ構成アッセンブリによって解決される。
【0005】
旋回軸の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメントを提供することにより、少なくとも1つの軸受ユニットの領域において軸受の遊びが発生した場合でも、ガスの流出に対して密な、作動ねじ構成アッセンブリの閉鎖が達成されることが保証されている。
【0006】
第1の旋回軸端部区分において、旋回軸駆動装置との連結を達成することができるようにするために、旋回軸が、対応配置された第1の軸受領域を貫通してガイドされなければならないので、少なくとも1つの軸受領域が第1の軸受領域であると、気密な閉鎖にとって特に有利である。旋回軸の第2の旋回軸軸線が軸受領域を貫通してガイドされていない、または軸受領域から出るようにガイドされている必要がない第2の軸受領域では、気密な閉鎖は別の手段によって提供されてよく、例えば軸受ブシュによる第2の旋回軸端部区分の完全な包囲によって提供されてよい。
【0007】
旋回軸に対する、少なくとも1つのシールエレメントの旋回軸の全周にわたって完全に気密な閉鎖のために、少なくとも1つのシールエレメントが旋回軸軸線を環状に取り囲んでいること、または/および、軸受ユニットが旋回軸軸線を環状に取り囲んでいることが提案される。
【0008】
一方では軸受ユニットの構成材料内におけるシールエレメントの安定的な位置決めを保証し、他方では十分なシールをもたらす、旋回軸とシールエレメントとの相互作用を保証することができるように、少なくとも1つのシールエレメントが、軸受ユニットにより軸方向に荷重を加えられた保持区分と、旋回軸に当て付けられるシール区分とを有していてよい。
【0009】
軸方向でコンパクトな構成を得るために、保持区分は実質的に半径方向に延びており、シール区分は、保持区分から半径方向内方に旋回軸線に向かって延びている。つまり、少なくとも1つのシールエレメントは、実質的に環状ディスクのような形状を有している。
【0010】
少なくとも1つのシールエレメントの、定義された軸方向の緊締のために、軸受ユニットが、少なくとも1つの軸受リングを備えていてよく、少なくとも1つのシールエレメントの保持区分が、少なくとも1つの軸受リングと、少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュの底部または/および作動フラップケーシングとの間に保持されていてよい。
【0011】
少なくとも1つのシールエレメントのための面状の支持を提供することができるようにするために、少なくとも1つのシールエレメントを支持する領域において、軸受ブシュの底部または/および作動フラップケーシングが、旋回軸軸線に対して実質的に直交するように方向付けられて、かつ実質的に平面状に形成されていることが提案される。
【0012】
少なくとも1つの軸受リングにより形成される荷重付与作用を確実に維持することができるようにするために、少なくとも1つの軸受リングが、軸受ブシュ内にプレス嵌めにより保持されていることが提案される。
【0013】
メンテナンスが少ない構成のために、軸受ユニットが滑り軸受ユニットであってよい。
【0014】
少なくとも1つのシールエレメントが、必要となるシール機能を達成するために、エラストマ材料で構成されていてよい。
【0015】
さらに本発明は、本発明により構成された作動フラップ構成アッセンブリを製造するための方法であって、
a)少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュ内に少なくとも1つのシールエレメントを配置するステップと、
b)少なくとも1つの軸受リングが少なくとも1つのシールエレメントに軸方向で荷重を加え、少なくとも1つのシールエレメントが、軸方向に荷重を加えられることにより半径方向内方に向かって変形させられるように、軸受ブシュ内に軸受ユニットの少なくとも1つの軸受リングを圧入するステップと、
を含む方法に関する。
【0016】
少なくとも1つの軸受リングの圧入によって、シールエレメントが半径方向内方に向かって変位し、かつ旋回軸に少なくとも1つのシールリングが半径方向で当て付けられることにより確実なシール作用が達成されるように、少なくとも1つのシールエレメントに軸方向の荷重を加えることが引き起こされる。
【0017】
ステップa)およびb)を、旋回軸が、その一方の旋回軸端部区分で少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュ内に係合するように位置決めされた後に、実施することができる。この手順では、少なくとも1つのシールエレメントと、これにより少なくとも1つの軸受リングとが、旋回軸端部区分を取り囲むように軸受ブシュ内に位置決めされる。少なくとも1つの軸受リングには、この旋回軸端部区分が少なくとも1つのシールエレメントに軸方向に荷重を加え、これによりシールエレメントが半径方向内方に向かって、シールエレメントを既に貫通している旋回軸に向かう方向に変形させられるか、または変位するように、旋回軸端部区分を取り囲んでいるシールエレメントに向かって荷重が加えられる。
【0018】
代替的な手順では、ステップa)およびb)を、旋回軸がその一方の旋回軸端部区分で少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュ内に係合するように位置決めされる前に、実施することができる。例えば、軸受ブシュが、作動フラップ、ひいては旋回軸をも既に含む作動フラップケーシングに配置され、この作動フラップケーシングに固定される前に、少なくとも1つのシールエレメントおよび少なくとも1つの軸受リングを軸受ブシュ内に位置決めすることができる。
【0019】
さらに本発明は、好ましくは本発明に係る方法により製造されている本発明による少なくとも1つの作動フラップ構成アッセンブリを含む、特に車両のための燃料電池システムに関する。
【0020】
本発明を以下に添付の図面に関して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】燃料電池システム用の作動フラップ構成アッセンブリを示す図である。
【
図3】作動フラップ構成アッセンブリの旋回軸のための軸受領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下で、燃料電池システム用の作動フラップ構成アッセンブリの本発明による構成を、特に密な閉鎖を提供するために設けられた燃料電池システムの構造に関して詳細に説明する前に、
図1を参照して、車両において電気的なエネルギを供給することができる燃料電池システムの基本的な構造を説明し、
図2を参照して、作動フラップ構成アッセンブリの基本的な構造を説明する。特にこの種の燃料電池システムのカソード領域に対応配置されたこの作動フラップ構成アッセンブリを用いて、ガス流を調整することができ、またはカソード領域を通流に対して閉鎖することができる。
【0023】
図1に示した燃料電池システム100は、主なシステム領域として、水素または水素を含むガスが供給されるべきアノード領域104と、酸素または酸素を含むガス、例えば空気が供給されるべきカソード領域106とを備えた、全体が参照符号102で示された燃料電池を備えている。
【0024】
アノード領域104には、それぞれの弁112,114を備えた供給管路108および導出管路110が対応配置されており、これにより、水素または水素を含むガスをアノード領域104内に導入することができ、またはアノード領域104からアノード排ガスを導出することができ、必要な場合にはアノード領域104を完全に閉鎖することができる。
【0025】
カソード領域106には供給管路116が対応配置されており、供給管路116を介して、例えばコンプレッサ118またはこれに類するものを用いて、酸素を含むガス、つまり例えば空気を、カソード領域内に導入することができる。供給管路116内には、全体が符号10で示される作動フラップ構成アッセンブリが設けられており、作動フラップ構成アッセンブリ10により、ガス流を供給管路116を介して調整するか、またはカソード領域106をその導入領域において実質的に気密に閉鎖することができる。
【0026】
カソード排ガスを導出するために、カソード領域106には導出管路120が対応配置されている。この排ガス導出管路120は燃料電池排ガス装置122に通じており、燃料電池排ガス装置122では、水分離器により、例えばカソード排ガス中に含まれる水を分離することができる。さらに、導出管路120内に、別の作動フラップ構成アッセンブリ10’が配置されており、作動フラップ構成アッセンブリ10’により、導出管路120、ひいてはカソード領域106の導出領域を実質的に気密に閉鎖することができる。
【0027】
カソード領域106の供給管路116と導出管路120との間には、バイパス管路124が延びている。バイパス管路124内にも作動フラップ構成アッセンブリ10’’が配置されており、作動フラップ構成アッセンブリ10’’により、ガス流をバイパス管路124を介して調整することができ、またはバイパス管路124を実質的に気密に閉鎖することができる。
【0028】
図1に示しかつ上述した燃料電池システム100の構造は、特にカソード領域106においてガスを供給し、排出する様々な多数の可能性の一例が示されているに過ぎないことを示唆しておく。重要なのは、カソード領域106に対応配置されて、少なくとも1つの、場合によっては複数の作動フラップ構成アッセンブリ10,10’,10’’が設けられていることであり、このような複数の作動フラップ構成アッセンブリ10,10’,10’’が設けられている場合、これらの作動フラップ構成アッセンブリ10,10’,10’’は互いに対して基本的に同一構造であってもよいし、または、これらの作動フラップ構成アッセンブリがどの領域に位置決めされ、これらの作動フラップ構成アッセンブリによりどの程度の気密性を提供できるかに応じて、互いに異なって形成されていてもよい。
【0029】
図2に示され、例えば
図1に示した燃料電池システム100において使用される作動フラップ構成アッセンブリ10は、例えば電動モータ式の作動フラップ駆動装置12を備えており、かつ、管状に形成され、ガス流路46を取り囲む作動フラップケーシング14内に全体が符号16で示される作動フラップを備えている。
【0030】
作動フラップ16は、旋回軸18において旋回軸軸線Aを中心として旋回可能に支持された、それぞれ1つのフラップ羽根を提供する2つの作動フラップボディ部分20,22を備えたディスク状の作動フラップボディ24を備えている。作動フラップ16に対応配置されて、作動フラップケーシング14には作動フラップ座26が設けられており、作動フラップ16の閉鎖位置において、作動フラップ座26に作動フラップ16が、作動フラップ16の中心領域Zに関して半径方向外側に位置する閉鎖領域40で当て付けられる。
【0031】
閉鎖位置と、ディスク状の作動フラップボディ24が
図1の図平面に対して実質的に直交するように方向付けられ、これにより作動フラップケーシング14内のガス流路46を通流のために実質的に完全に開放する完全に開放された位置と、の間で作動フラップ16を運動させるために、作動フラップ駆動装置12の駆動軸34は、連結装置32により、作動フラップケーシング14の軸受領域28,30内で旋回軸軸線Aを中心として旋回可能に支持された旋回軸18に、一緒に回転するために連結されている。連結装置32は、例えば、駆動軸34に相対回動不能に結合された連結部分38と、旋回軸18に相対回動不能に結合された連結部分36とを含み、連結部分36は、連結部分38に回転連結係合している。
【0032】
両軸受領域28,30はそれぞれ、作動フラップケーシング14に支持された、例えば作動フラップケーシング14の外周面に溶接によって固定された軸受ブシュ42,44を備えており、軸受ブシュ42,44内には、旋回軸18のそれぞれの軸方向端部区分が旋回軸軸線Aを中心として回転可能に収容されている。
【0033】
両軸受領域28,30のうち、軸受領域28が第1の軸受領域を形成しており、第1の軸受領域に、旋回軸18の第1の旋回軸端部区分48が回転可能に支承されている。第1の旋回軸端部区分48は、連結装置32により駆動軸34に連結されるように、軸方向で第1の軸受領域28を越えて突出している。軸受領域30は、旋回軸18の第2の旋回軸端部区分50が旋回軸軸線Aを中心として回転可能に支承されている第2の軸受領域を形成している。
【0034】
図3には、第1の軸受領域28が詳細に示されている。第1の軸受領域28は、例えば完全に環状に延びる溶接シーム52によって気密に作動フラップケーシング14の外周面54に固定された軸受ブシュ42を備えている。軸受ブシュ42は、周壁56と、この周壁56に続く、旋回軸18により貫通される開口60を備えた底部58とを有している。軸受ブシュ42が、単に周壁56を有しており底部壁を有していなくてもよいことを示唆しておく。このことは、特に作動フラップケーシング14の外周面54が湾曲している輪郭を有している場合に、作動フラップケーシング14における軸受ブシュ42のより簡単な固定、または、より簡単に製造することができる軸受ブシュ42の構成を可能にする。
【0035】
軸受ブシュ42内には、全体を符号62で示された軸受ユニットが収容されている。軸受ユニット62は、図示した実施例では、第1の旋回軸端部区分48を収容し、かつ半径方向で支持する軸受リング64を有しており、したがって、滑り軸受ユニットとして形成されている。軸受リング64は、軸受ブシュ42内にプレス嵌めによって収容されており、したがって軸方向で定義されて位置決めされて、軸受ブシュ42の周壁56に保持されている。旋回軸18は、第1の旋回軸端部区分48に設けられたフランジ状の旋回軸ヘッド66によって軸方向で軸受リング64に支持されていてよい。旋回軸18の旋回軸ヘッド66を軸受リング64に当て付けて保持する予荷重は、旋回軸18または連結部分36と、駆動軸34または連結部分38との間で作用するプリロードばね68によって提供されていてよく、これにより、軸受ブシュ42内における軸受リング64の定義された位置決めによって、旋回軸18の、ひいては作動フラップケーシング14における作動フラップ16全体の定義された位置決めも規定されている。
【0036】
第1の軸受領域28における気密な閉鎖を提供するために、環状ディスク状の、エラストマ材料で構成された、全体が参照符号70で示されるシールエレメントがさらに設けられている。シールエレメント70の保持区分72は、軸受リング64と、軸受ブシュ42の底部58との間で保持されているか、または軸方向で緊締されている。シールエレメント70のシール区分74は、半径方向内方に向かって旋回軸18の外周面に半径方向の予荷重を加えられながら当て付けられる。シール区分74に開口76が形成されており、この開口76は、旋回軸18により貫通されている。
図3において軸受リング64と旋回軸18との間に形成された軸受の遊びは、シールエレメント70の構成をより良好に図示するために誇張して示されていることを示唆しておく。
【0037】
軸受リング64によってシールエレメント70に軸方向で荷重を加えることによって、かつ軸受リング64と底部58との間における保持区分72の軸方向の緊締によって、基本的には変形可能な、しかし実質的に圧縮可能ではないシールエレメント70に、半径方向内方に向かって荷重が加えられるので、保持区分72は、旋回軸18の外周面に対して一層強く押し付けられる。シールエレメント80と底部58との間の面状の当付け接触を達成するために、底部58は、シールエレメント70を軸方向で支持する領域において実質的に平面状に、かつ旋回軸軸線Aに対して直交するように方向付けられて形成されている。対応して、軸受リング64も、シールエレメント70を底部58に向かって押し付けている端面において実質的に平面状に、かつ旋回軸軸線Aに対して直交するように方向付けられて形成されている。
【0038】
底部58の実質的に平面状の構成に対応して、作動フラップケーシング14も、軸受ブシュ42を支持する領域において、実質的に平面状に、かつ旋回軸軸線Aに対して直交するように方向付けられて形成されていてよいことを示唆しておく。このことは特に、軸受ブシュ42が底部を有しておらず、したがってシールエレメント70が軸受リング64により作動フラップケーシング14の外周面54に押し付けられる場合にも当てはまる。
【0039】
軸方向に荷重を加えることによってシールエレメント70が半径方向で旋回軸18に押し付けられる状態を確実に維持できるようにするために、既に説明したように、軸受リング64がプレス嵌めにより軸受ブシュ42内に収容されている。このプレス嵌めまたはプレス嵌め時に軸受リング64と軸受ブシュ42の周壁56との間で発生する摩擦力は、軸受リング64を圧入するために加えられる力Fが軸受リング64の圧入後に取り除かれた場合に、軸受リング64は確実に、シールエレメント70に軸方向で荷重を加え、これによりシールエレメント70が半径方向内方に向かって変形している位置で軸受ブシュ42内に留まっているような大きさにされている。
【0040】
図2および
図3に示した作動フラップ構成アッセンブリ10の構成では、旋回軸が作動フラップケーシング14内に配置される前に、軸受リング64を、かつこの軸受リング64と一緒にシールエレメント70を、軸受ブシュ42内で位置決めすることができる。代替的には、既に作動フラップケーシング14に軸受ブシュ42が取り付けられている場合、まず旋回軸18が作動フラップケーシング14内に、ひいては旋回軸端部区分48で軸受ブシュ42内に位置決めされてよく、その後に軸受リング64およびシールエレメント70が軸受ブシュ42内で位置決めされる。組付け時に、旋回軸ヘッド66による妨害を回避するために、両軸受領域28,30内に旋回軸18を位置決めしてからようやく、旋回軸ヘッド66を旋回軸18に配置し、例えば溶接によって固定することが可能である。
【0041】
基本的には、第2の軸受領域30においても、このような構造が設けられていてよいことを示唆しておく。しかし、第2の軸受領域30では、旋回軸18は第2の軸受領域30から導出されていないので、気密な閉鎖は例えば、例えば軸受ブシュ44の周壁において、軸受ブシュ44を軸方向で閉鎖するカバーが設けられていることによって、第2の軸受領域30の軸受ブシュ44が第2の旋回軸端部区分を完全に、つまり軸方向でも包囲することによっても達成することができる。
【0042】
最終的に、本発明に基づいて構成された作動フラップ構成アッセンブリを、別の用途においても、特に定置の燃料電池システムにおいても使用することができることを強調しておく。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両における、特に燃料電池システム(100)内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリであって、ガス流路(46)を提供する作動フラップケーシング(14)と、該作動フラップケーシング(14)内で、前記ガス流路(46)を通るガス流を実質的に阻止する閉鎖位置と、前記ガス流路(46)を通流のために開放する少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能な作動フラップ(16)であって、旋回軸軸線(A)を中心として回転可能な旋回軸(18)に支持されたディスク状の作動フラップボディ(24)を備えた作動フラップ(16)と、を備えており、前記旋回軸(18)が、旋回軸駆動装置(12)に連結されるべき、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第1の軸受領域(28)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分(48)と、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第2の軸受領域(30)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分(50)とを有しており、第1の軸受領域(28)および第2の軸受領域(30)のうち少なくとも一方の軸受領域が、前記旋回軸(18)を回転可能に支持する軸受ユニット(62)と、該軸受ユニット(62)により軸方向に荷重を加えられた、前記旋回軸(18)の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメント(70)とを含む、作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの軸受領域が、前記第1の軸受領域(28)である、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、または/および、前記軸受ユニット(62)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記軸受ユニット(62)により軸方向に荷重を加えられた保持区分(72)と、前記旋回軸(18)に当て付けられるシール区分(74)とを有している、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項5】
前記保持区分(72)が実質的に半径方向に延びており、前記シール区分(74)が、前記保持区分(72)から半径方向内方に前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項6】
前記軸受ユニット(62)が、少なくとも1つの軸受リング(64)を備えており、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)の前記保持区分(72)が、前記少なくとも1つの軸受リング(64)と、前記少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュ(42)の底部(58)または/および前記作動フラップケーシング(14)との間に保持されている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)を支持する領域において、前記軸受ブシュ(42)の前記底部(58)または/および前記作動フラップケーシング(14)が、前記旋回軸軸線(A)に対して実質的に直交するように方向付けられて、かつ実質的に平面状に形成されている、請求項6記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの軸受リング(64)が、前記軸受ブシュ(42)内にプレス嵌めにより保持されている、請求項7記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項9】
前記軸受ユニット(62)が滑り軸受ユニットである、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)がエラストマ材料で構成されている、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリを製造する方法であって、
a)前記少なくとも1つの軸受領域の軸受ブシュ(42)内に前記少なくとも1つのシールエレメント(70)を配置するステップと、
b)前記少なくとも1つの軸受リング(64)が前記少なくとも1つのシールエレメント(70)に軸方向で荷重を加え、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、軸方向に荷重を加えられることにより半径方向内方に向かって変形させられるように、前記軸受ブシュ(42)内に前記軸受ユニット(62)の少なくとも1つの軸受リング(64)を圧入するステップと、
を含む方法。
【請求項12】
前記旋回軸(18)が、その一方の旋回軸端部区分で前記少なくとも1つの軸受領域の前記軸受ブシュ内に係合するように位置決めされた後に、前記ステップa)およびb)を実施する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記旋回軸が、その一方の旋回軸端部区分(48,50)で前記少なくとも1つの軸受領域の前記軸受ブシュ(42)内に係合するように位置決めされる前に、前記ステップa)およびb)を実施する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法で製造された、請求項1記載の少なくとも1つの作動フラップ構成アッセンブリ(10)を含む、特に車両のための燃料電池システム。
【外国語明細書】