(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025768
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】特に燃料電池システム内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240216BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240216BHJP
F16K 1/22 20060101ALI20240216BHJP
F16K 1/46 20060101ALI20240216BHJP
F16K 41/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/00 Z
F16K1/22 D
F16K1/46 Z
F16K41/04
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131141
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】10 2022 120 288.7
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ロリー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス グリュン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴァッカー
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ハマー
【テーマコード(参考)】
3H052
3H066
5H127
【Fターム(参考)】
3H052AA02
3H052BA02
3H052CC03
3H052CD03
3H052EA01
3H066AA02
3H066BA19
3H066DA01
3H066DA15
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB37
5H127BB39
5H127EE19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造的に簡単な構成でガス漏れを実質的に阻止することを目的とする。
【解決手段】ガス流路を提供する作動フラップケーシングと、旋回軸18が、旋回軸駆動装置に連結されるべき、作動フラップケーシングに設けられた第1の軸受領域28において旋回軸軸線Aを中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分48と、作動フラップケーシングに設けられた第2の軸受領域において旋回軸軸線Aを中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分とを有しており、第1の軸受領域28および第2の軸受領域のうち少なくとも一方の軸受領域が、旋回軸18を回転可能に支持する軸受ユニット62と、軸受ユニット62内に支持された、旋回軸18の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメント70とを含む、作動フラップアッセンブリ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両における、特に燃料電池システム(100)内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリであって、ガス流路(46)を提供する作動フラップケーシング(14)と、該作動フラップケーシング(14)内で、前記ガス流路(46)を通るガス流を実質的に阻止する閉鎖位置と、前記ガス流路(46)を通流のために開放する少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能な作動フラップ(16)であって、旋回軸軸線(A)を中心として回転可能な旋回軸(18)に支持されたディスク状の作動フラップボディ(24)を備えた作動フラップ(16)と、を備えており、前記旋回軸(18)が、旋回軸駆動装置(12)に連結されるべき、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第1の軸受領域(28)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分(48)と、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第2の軸受領域(30)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分(50)とを有しており、第1の軸受領域(28)および第2の軸受領域(30)のうち少なくとも一方の軸受領域が、前記旋回軸(18)を回転可能に支持する軸受ユニット(62)と、該軸受ユニット(62)内に支持された、前記旋回軸(18)の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメント(70)とを含む、作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの軸受領域が、前記第1の軸受領域(28)である、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、または/および、前記軸受ユニット(62)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、請求項1または2記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記軸受ユニット(62)の構成材料により取り囲まれた保持区分(72)と、前記旋回軸(18)に当て付けられるシール区分(74)とを有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項5】
前記軸受ユニット(62)が、少なくとも1つの軸受リング(64)を備えており、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)の前記保持区分(72)が、軸受リング(64)の構成材料内に埋め込まれている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項6】
前記軸受ユニット(62)が、少なくとも2つの軸受リング(64’,64’’)を備えており、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)の前記保持区分(72)が、2つの軸受リング(64’,64’’)間に保持されている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項7】
前記保持区分(72)が、前記軸受ユニット(62)の前記構成材料内で実質的に軸方向に延びており、前記シール区分(74)が、前記保持区分(72)から半径方向内方に前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項4から6までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項8】
前記シール区分(74)が、半径方向内方に向かって、かつ前記軸受ユニット(62)から離れる方向で前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項7記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項9】
前記保持区分(72)が、前記軸受ユニット(62)の構成材料内で実質的に半径方向に延びており、前記シール区分(74)が、前記保持区分(72)から半径方向内方に前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項4から6までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの軸受領域が、前記作動フラップケーシング(14)に支持された軸受ブシュ(42)を含み、前記軸受ユニット(62)が、前記軸受ブシュ(42)内にプレス嵌めによって、または/および前記旋回軸(18)によって保持されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項11】
前記軸受ユニット(62)が滑り軸受ユニットである、請求項1から10までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)がエラストマ材料で構成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1つの作動フラップ構成アッセンブリ(10)を含む、特に車両のための燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的なエネルギを提供するために、特に車両における、例えば燃料電池システム内のガス流のために使用することができる、作動フラップ構成アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃料電池システムでは、運転状態に応じて、様々なガス流を燃料電池または燃料電池スタックのアノード領域またはカソード領域を通してガイドするか、あるいは、アノード領域またはカソード領域の傍らをガイドすることが必要である。その際に、特に特定のガス流を、燃料電池を通してガイドしないか、または燃料電池の傍らをガイドしないことが望ましい運転状態において、漏れ流を排除することができるか、または実質的にガスが周囲に逃れることができないことを保証するために、このようなガス流を調整するために使用される作動フラップ構成アッセンブリの密閉性に対して高い要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、特に車両における、特に燃料電池システム内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリを改良して、構造的に簡単な構成でガス漏れを実質的に阻止することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は、特に車両における、特に燃料電池システム内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリであって、ガス流路を提供する作動フラップケーシングと、作動フラップケーシング内で、ガス流路を通るガス流を実質的に阻止する閉鎖位置と、ガス流路を通流のために開放する少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能な作動フラップであって、旋回軸軸線を中心として回転可能な旋回軸に支持されたディスク状の作動フラップボディを備えた作動フラップと、を備えており、旋回軸が、旋回軸駆動装置に連結されるべき、作動フラップケーシングに設けられた第1の軸受領域において旋回軸軸線を中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分と、作動フラップケーシングに設けられた第2の軸受領域において旋回軸軸線を中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分とを有しており、第1の軸受領域および第2の軸受領域のうち少なくとも一方の軸受領域が、旋回軸を回転可能に支持する軸受ユニットと、この軸受ユニット内に支持された、旋回軸の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメントとを含む、作動フラップ構成アッセンブリによって解決される。
【0005】
旋回軸の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメントを提供することにより、少なくとも1つの軸受ユニットの領域において軸受の遊びが発生した場合でも、ガスの流出に対して密な、作動ねじ構成アッセンブリの閉鎖が達成されることが保証されている。
【0006】
第1の旋回軸端部区分において、旋回軸駆動装置との連結を達成することができるようにするために、旋回軸が、対応配置された第1の軸受領域を貫通してガイドされなければならないので、少なくとも1つの軸受領域が第1の軸受領域であると、気密な閉鎖にとって特に有利である。旋回軸の第2の旋回軸軸線が軸受領域を貫通してガイドされていない、または軸受領域から出るようにガイドされている必要がない第2の軸受領域では、気密な閉鎖は別の手段によって提供されてよく、例えば軸受ブシュによる第2の旋回軸端部区分の完全な包囲によって提供されてよい。
【0007】
旋回軸に対する、少なくとも1つのシールエレメントの旋回軸の全周にわたって完全に気密な閉鎖のために、少なくとも1つのシールエレメントが旋回軸軸線を環状に取り囲んでいること、または/および、軸受ユニットが旋回軸軸線を環状に取り囲んでいることが提案される。
【0008】
一方では軸受ユニットの構成材料内におけるシールエレメントの安定的な位置決めを保証し、他方では十分なシールをもたらす、旋回軸とシールエレメントとの相互作用を保証することができるように、少なくとも1つのシールエレメントが、軸受ユニットの構成材料により取り囲まれた保持区分と、旋回軸に当て付けられるシール区分とを有していてよい。
【0009】
軸受ユニットが、例えば少なくとも1つの軸受リングを備えていてよく、少なくとも1つのシールエレメントの保持区分が、軸受リングの構成材料内に埋め込まれていてよい。例えば、保持区分は、軸受リングの製造時に、この軸受リングの構成材料の成形時にその構成材料によって取り囲まれる、例えば射出成形時に取り囲まれてよい。
【0010】
代替的な或る構成では、軸受ユニットが、少なくとも2つの軸受リングを備えていてよく、少なくとも1つのシールエレメントの保持区分が、2つの軸受リング間に保持されていてよい。このことは、両軸受リング間における少なくとも1つのシールエレメントの規定された位置決めにもかかわらず、構造的に極めて簡単な構成を可能にする。
【0011】
特にシール区分を比較的大きく寸法設定することができ、ひいてはシール区分の高い可撓性を提供することができるようにするために、保持区分が、軸受ユニットの構成材料内で実質的に軸方向に延びており、かつシール区分が、保持区分から半径方向内方に旋回軸に向かって延びていることが提案される。この構成では、少なくとも1つのシールエレメントは、実質的に保持区分を含む周壁と、実質的にシール区分を含む底部に設けられた、旋回軸を収容する開口とを備えて、実質的にポット状に形成されている。
【0012】
例えば、シール区分は、半径方向内方に向かって、かつ軸受ユニットから離れる方向で旋回軸に向かって延びていてよい。
【0013】
代替的な或る構成では、保持区分が、軸受ユニットの構成材料内で実質的に半径方向に延びていてよく、シール区分が、保持区分から半径方向内方に旋回軸に向かって延びていてよい。この構成では、少なくとも1つのシールエレメントが、実質的に環状ディスク形に形成されている。
【0014】
作動フラップケーシングにおける旋回軸および軸受ユニットの安定的な保持のために、少なくとも1つの軸受領域が、作動フラップケーシングに支持された軸受ブシュを備えており、軸受ユニットが、軸受ブシュ内で、プレス嵌めによって、または/および旋回軸によって保持されていることが提案される。
【0015】
特に簡単に構成され、メンテナンスが少ない構成では、軸受ユニットが滑り軸受ユニットであってよい。
【0016】
少なくとも1つのシールエレメントの領域において十分な可撓性を達成するために、このシールエレメントがエラストマ材料で構成されていてよい。
【0017】
本発明はさらに、本発明により構成された少なくとも1つの作動フラップ構成アッセンブリを含む、特に車両用の燃料電池システムに関する。
【0018】
本発明を以下に次に添付の図面に関して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】燃料電池システム用の作動フラップ構成アッセンブリを示す図である。
【
図3】作動フラップ構成アッセンブリの旋回軸のための軸受領域を示す断面図である。
【
図5】代替的な構成の、
図3に対応する別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
燃料電池システム用の作動フラップ構成アッセンブリの本発明による構成を、特に密な閉鎖を提供するために設けられた燃料電池システムの構造に関して以下で詳細に説明する前に、
図1を参照して、車両において電気的なエネルギを供給することができる燃料電池システムの基本的な構造を説明し、
図2を参照して、作動フラップ構成アッセンブリの基本的な構造を説明する。特にこの種の燃料電池システムのカソード領域に対応配置されたこの作動フラップ構成アッセンブリを用いて、ガス流を調整することができ、またはカソード領域を通流に対して閉鎖することができる。
【0021】
図1に示した燃料電池システム100は、主なシステム領域として、水素または水素を含むガスが供給されるべきアノード領域104と、酸素または酸素を含むガス、例えば空気が供給されるべきカソード領域106とを備えた、全体が参照符号102で示された燃料電池を備えている。
【0022】
アノード領域104には、それぞれの弁112,114を備えた供給管路108および導出管路110が対応配置されており、これにより、水素または水素を含むガスをアノード領域104内に導入することができ、またはアノード領域104からアノード排ガスを導出することができ、必要な場合にはアノード領域104を完全に閉鎖することができる。
【0023】
カソード領域106には供給管路116が対応配置されており、供給管路116を介して、例えばコンプレッサ118またはこれに類するものを用いて、酸素を含むガス、つまり例えば空気を、カソード領域内に導入することができる。供給管路116内には、全体が符号10で示される作動フラップ構成アッセンブリが設けられており、作動フラップ構成アッセンブリ10により、ガス流を供給管路116を介して調整するか、またはカソード領域106をその導入領域において実質的に気密に閉鎖することができる。
【0024】
カソード排ガスを導出するために、カソード領域106には導出管路120が対応配置されている。この排ガス導出管路120は燃料電池排ガス装置122に通じており、燃料電池排ガス装置122では、水分離器により、例えばカソード排ガス中に含まれる水を分離することができる。さらに、導出管路120内に、別の作動フラップ構成アッセンブリ10’が配置されており、作動フラップ構成アッセンブリ10’により、導出管路120、ひいてはカソード領域106の導出領域を実質的に気密に閉鎖することができる。
【0025】
カソード領域106の供給管路116と導出管路120との間には、バイパス管路124が延びている。バイパス管路124内にも作動フラップ構成アッセンブリ10’’が配置されており、作動フラップ構成アッセンブリ10’’により、ガス流をバイパス管路124を介して調整することができ、またはバイパス管路124を実質的に気密に閉鎖することができる。
【0026】
図1に示しかつ上述した燃料電池システム100の構造は、特にカソード領域106においてガスを供給し、排出する様々な多数の可能性の一例が示されているに過ぎないことを示唆しておく。重要なのは、カソード領域106に対応配置されて、少なくとも1つの、場合によっては複数の作動フラップ構成アッセンブリ10,10’,10’’が設けられていることであり、このような複数の作動フラップ構成アッセンブリ10,10’,10’’が設けられている場合、これらの作動フラップ構成アッセンブリ10,10’,10’’は互いに対して基本的に同一構造であってもよいし、または、これらの作動フラップ構成アッセンブリがどの領域に位置決めされ、これらの作動フラップ構成アッセンブリによりどの程度の気密性を提供できるかに応じて、互いに異なって形成されていてもよい。
【0027】
図2に示され、例えば
図1に示した燃料電池システム100において使用される作動フラップ構成アッセンブリ10は、例えば電動モータ式の作動フラップ駆動装置12を備えており、かつ、管状に形成され、ガス流路46を取り囲む作動フラップケーシング14内に全体が符号16で示されている作動フラップを備えている。
【0028】
作動フラップ16は、旋回軸18において旋回軸軸線Aを中心として旋回可能に支持された、それぞれ1つのフラップ羽根を提供する2つの作動フラップボディ部分20,22を有したディスク状の作動フラップボディ24を備えている。作動フラップ16に対応配置されて、作動フラップケーシング14には作動フラップ座26が設けられており、作動フラップ16の閉鎖位置において、作動フラップ座26に作動フラップ16が、作動フラップ16の中心領域Zに関して半径方向外側に位置する閉鎖領域40で当て付けられる。
【0029】
閉鎖位置と、ディスク状の作動フラップボディ24が
図1の図平面に対して実質的に直交するように方向付けられ、これにより作動フラップケーシング14内のガス流路46を通流のために実質的に完全に開放する完全に開放された位置と、の間で作動フラップ16を運動させるために、作動フラップ駆動装置12の駆動軸34は、連結装置32により、作動フラップケーシング14の軸受領域28,30内で旋回軸軸線Aを中心として旋回可能に支持された旋回軸18に、一緒に回転するために連結されている。連結装置32は、例えば、駆動軸34に相対回動不能に結合された連結部分38と、旋回軸18に相対回動不能に結合された連結部分36とを含み、連結部分36は、連結部分38に回転連結係合している。
【0030】
両軸受領域28,30はそれぞれ、作動フラップケーシング14に支持された、例えば作動フラップケーシング14の外周面に溶接によって固定された軸受ブシュ42,44を備えており、軸受ブシュ42,44内には、旋回軸18のそれぞれの軸方向端部区分が旋回軸軸線Aを中心として回転可能に収容されている。
【0031】
両軸受領域28,30のうち、軸受領域28が第1の軸受領域を形成しており、第1の軸受領域に、旋回軸18の第1の旋回軸端部区分48が回転可能に支承されている。第1の旋回軸端部区分48は、連結装置32により駆動軸34に連結されるように、軸方向で第1の軸受領域28を越えて突出している。軸受領域30は、旋回軸18の第2の旋回軸端部区分50が旋回軸軸線Aを中心として回転可能に支承されている第2の軸受領域を形成している。
【0032】
図3には、第1の軸受領域28が詳細に示されている。第1の軸受領域28は、例えば完全に環状に延びる溶接シーム52によって気密に作動フラップケーシング14の外周面54に固定された軸受ブシュ42を備えている。軸受ブシュ42は、周壁56と、この周壁56に続く、旋回軸18により貫通される開口60を備えた底部58とを有している。軸受ブシュ42が、単に周壁56を有しており底部壁を有していなくてもよいことを示唆しておく。このことは、特に作動フラップケーシング14の外周面54が湾曲している輪郭を有している場合に、作動フラップケーシング14における軸受ブシュ42のより簡単な固定、または、より簡単に製造することができる軸受ブシュ42の構成を可能にする。
【0033】
軸受ブシュ42内には、全体が符号62で示された軸受ユニットが収容されている。軸受ユニット62は、図示した実施例では、第1の旋回軸端部区分48を収容し、かつ半径方向で支持する軸受リング64を有しており、したがって、滑り軸受ユニットとして形成されている。軸受リング64は、軸受ブシュ42内に例えばプレス嵌めによって収容されていてよく、したがって軸方向で定義されて位置決めされて、軸受ブシュ42の周壁56に保持されていてよい。旋回軸18は、第1の旋回軸端部区分48に設けられたフランジ状の旋回軸ヘッド66によって軸方向で軸受リング64に支持されていてよい。旋回軸18の旋回軸ヘッド66を軸受リング64に当て付けて保持する予荷重は、旋回軸18または連結部分36と、駆動軸34または連結部分38との間で作用するプリロードばね68によって提供されていてよく、これにより、軸受ブシュ42内における軸受リング64の定義された位置決めによって、旋回軸18の、ひいては作動フラップケーシング14における作動フラップ16全体の定義された位置決めも規定されている。
【0034】
軸受ユニット62の軸受リング64には、全体が符号70で示されたシールエレメントが支持されている。シールエレメント70は、軸受リング64の構成材料内に埋め込まれた、ほぼ旋回軸軸線Aの方向に延び、したがって実質的に円筒形である保持区分72を有している。保持区分72は、軸受リング64の、作動フラップケーシング14に面した端面で、この軸受リング64から、またはこの軸受リング64の構成材料から軸方向に突出している。シールエレメント70の保持区分72から、シール区分74が、半径方向内方に向かって、かつ軸受リング64から離れる方向に延びている。したがって、シール区分74は、実質的に円錐形または円錐台形の形状を有しており、中心の領域において、第1の旋回軸端部区分64が貫通する開口76を有している。この開口は基本的には、旋回軸18がこの開口76を貫通してガイドされていない場合に、開口76が旋回軸18の横断面寸法に比べて小さな横断面寸法を有しているように寸法決めされており、これにより、開口76を貫通して旋回軸18がガイドされる場合に、またはガイドされた後に、シールエレメント70のシール区分74は、予荷重を加えられて旋回軸18の外周面に当て付けられる。したがって、シールエレメント70により、一方では軸受リング64の構成材料内への保持区分72の埋込みによって、他方では旋回軸18におけるシール区分74の、予荷重を加えられた当付けによって、旋回軸18が駆動軸34との連結のために貫通してガイドされている第1の軸受領域28の領域における完全に気密な閉鎖が達成されている。
【0035】
例えばエラストマ材料により構成されたシールエレメント70の保持区分72の、軸受リング64の構成材料内への埋込みは、軸受リング64の製造時に、シールエレメント70が、その保持区分72の領域において、少なくとも部分的に、軸受リング64の構成材料の成形時にその構成材料によって取り囲まれることで、例えば射出成形時に取り囲まれることで達成することができる。さらに安定的な保持相互作用を達成するために、例えばシールエレメント70が、その保持区分72において、構造化された表面または横断面変化部、例えば隆起部状の端部領域を有して形成されていてもよい。
【0036】
第1の軸受領域28の代替的な構成が、
図4に示されている。
図4に示した構成では、旋回軸18またはその旋回軸ヘッド66を軸方向で支持する軸受ユニット62が、2つの軸受リング64’,64’’を備えている。両軸受リング64’,64’’は、図示の実施例では、軸方向で互いに連続して配置されており、軸受リング64’’は、例えば軸受ブシュ42の底部58に軸方向で支持されていてよい。この構成でも、両軸受リング64’,64’’は、プレス嵌めにより軸受ブシュ42内に収容されていてよい。代替的または付加的には、両軸受リング64’,64’’のための保持作用は、軸方向で両軸受リングに予荷重を加える旋回軸18またはその旋回軸ヘッド66により提供することができる。
【0037】
両軸受リング64,64’間に、本実施形態では実質的にディスク状に形成されたシールエレメント70が収容されている。シールエレメント70の保持区分72は、両軸受リング64’,64’’間に位置しており、シール区分74は、半径方向内側で旋回軸18の外周面に向かって延びている。この図面では、シールエレメント70の構造またはシールエレメント70と旋回軸18との相互作用をより明確に図示することができるように、旋回軸18と軸受リング64’,64’’との間に存在する軸受の遊びが誇張して示されていることを示唆しておく。
【0038】
この構成においても、シールエレメント70の定義された半径方向の位置決めを保証することができるように、両軸受リング64’,64’’のうち少なくとも一方の軸受リングにおいて、それぞれ他方の軸受リングに面して位置決めされるべき端面のうち一方の端面に、シールエレメント70のサイズまたは形状に対応する切欠きが形成されていてよく、これによりシールエレメント70は、両軸受リング64’,64’’間で、例えば旋回軸18によって軸方向に力が加えられた場合でも、実質的に軸方向の予荷重なしに、または小さな軸方向の予荷重のみで保持されていることができ、特にその外周面においても、両軸受リング64’,64’’のうちの少なくとも一方の軸受リングの構成材料により取り囲まれていてよい。
【0039】
第1の軸受領域28の別の代替的な構成が、
図5に示されている。この構成は、
図3および
図4に示した実施形態の実施コンセプトを統合する。シールエレメント70は環状ディスク状に形成されており、軸受ユニット62の唯一の軸受リング64の構成材料内に、その保持区分72で埋め込まれている。シール区分74は、旋回軸18とシール相互作用するために、半径方向内方に向かって突出している。この構成においても、保持区分72は、シールリング64の構成材料の成形時に、その構成材料によって取り囲まれてよい。この実施形態でも、例えば保持区分72の表面が構造化されていることによって、または/および、例えば保持区分72の外周面に隆起部状の拡張部が形成されていることによって、増幅された保持相互作用を達成することができる。本発明によって、特に作動フラップの旋回軸を、特に、この旋回軸が旋回軸駆動装置に連結されるべき端部区分において、作動フラップケーシング14からのガスの流出に対して閉鎖する手段が簡単に提供される。
【0040】
基本的には、第2の軸受領域30においても、このような構造が設けられていてよいことを示唆しておく。しかし、第2の軸受領域30では、旋回軸18は第2の軸受領域30から導出されていないので、気密な閉鎖は例えば、例えば軸受ブシュ44の周壁において、軸受ブシュ44を軸方向で閉鎖するカバーが設けられていることによって、第2の軸受領域30の軸受ブシュ44が第2の旋回軸端部区分を完全に、つまり軸方向でも包囲することによっても達成することができる。
【0041】
最終的に、本発明に基づいて構成された作動フラップ構成アッセンブリを、別の用途においても、特に定置の燃料電池システムにおいても使用することができることを強調しておく。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両における、特に燃料電池システム(100)内のガス流のための作動フラップ構成アッセンブリであって、ガス流路(46)を提供する作動フラップケーシング(14)と、該作動フラップケーシング(14)内で、前記ガス流路(46)を通るガス流を実質的に阻止する閉鎖位置と、前記ガス流路(46)を通流のために開放する少なくとも1つの開放位置との間で位置調節可能な作動フラップ(16)であって、旋回軸軸線(A)を中心として回転可能な旋回軸(18)に支持されたディスク状の作動フラップボディ(24)を備えた作動フラップ(16)と、を備えており、前記旋回軸(18)が、旋回軸駆動装置(12)に連結されるべき、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第1の軸受領域(28)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第1の旋回軸端部区分(48)と、前記作動フラップケーシング(14)に設けられた第2の軸受領域(30)において前記旋回軸軸線(A)を中心として回転可能に支持された第2の旋回軸端部区分(50)とを有しており、第1の軸受領域(28)および第2の軸受領域(30)のうち少なくとも一方の軸受領域が、前記旋回軸(18)を回転可能に支持する軸受ユニット(62)と、該軸受ユニット(62)内に支持された、前記旋回軸(18)の外周面に当て付けられる少なくとも1つのシールエレメント(70)とを含む、作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの軸受領域が、前記第1の軸受領域(28)である、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、または/および、前記軸受ユニット(62)が、前記旋回軸軸線(A)を環状に取り囲んでいる、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)が、前記軸受ユニット(62)の構成材料により取り囲まれた保持区分(72)と、前記旋回軸(18)に当て付けられるシール区分(74)とを有している、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項5】
前記軸受ユニット(62)が、少なくとも1つの軸受リング(64)を備えており、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)の前記保持区分(72)が、軸受リング(64)の構成材料内に埋め込まれている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項6】
前記軸受ユニット(62)が、少なくとも2つの軸受リング(64’,64’’)を備えており、前記少なくとも1つのシールエレメント(70)の前記保持区分(72)が、2つの軸受リング(64’,64’’)間に保持されている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項7】
前記保持区分(72)が、前記軸受ユニット(62)の前記構成材料内で実質的に軸方向に延びており、前記シール区分(74)が、前記保持区分(72)から半径方向内方に前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項8】
前記シール区分(74)が、半径方向内方に向かって、かつ前記軸受ユニット(62)から離れる方向で前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項7記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項9】
前記保持区分(72)が、前記軸受ユニット(62)の構成材料内で実質的に半径方向に延びており、前記シール区分(74)が、前記保持区分(72)から半径方向内方に前記旋回軸(18)に向かって延びている、請求項4記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの軸受領域が、前記作動フラップケーシング(14)に支持された軸受ブシュ(42)を含み、前記軸受ユニット(62)が、前記軸受ブシュ(42)内にプレス嵌めによって、または/および前記旋回軸(18)によって保持されている、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項11】
前記軸受ユニット(62)が滑り軸受ユニットである、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのシールエレメント(70)がエラストマ材料で構成されている、請求項1記載の作動フラップ構成アッセンブリ。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の少なくとも1つの作動フラップ構成アッセンブリ(10)を含む、特に車両のための燃料電池システム。
【外国語明細書】