(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025775
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】非接触生体認証決済装置および決済方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20240216BHJP
G06Q 20/30 20120101ALI20240216BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q20/30
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131713
(22)【出願日】2023-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2022128549
(32)【優先日】2022-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522321704
【氏名又は名称】劉 炳江
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】劉 炳江
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA62
5L055AA73
(57)【要約】
【課題】携帯端末が不要でなりすましを排除し、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除する決済装置を提供する。
【解決手段】
人の生体情報を検知情報として検知するセンサーと、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う入出力部と、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信する通信部と、を含む決済端末が提供される。。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の生体情報を検知情報として検知するセンサーと、
決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う入出力部と、
前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信する通信部と、
を含む決済端末。
【請求項2】
前記決済条件は、前記決済端末のユーザとは別のユーザが前記決済サーバにアクセスして設定される、請求項1に記載の決済端末。
【請求項3】
前記決済条件は、前記決済端末のユーザとは別のユーザが保持する第二の決済端末であって、前記決済すべき金額を含む前記金銭情報の表示および/または入力に加えて、前記決済条件の表示および/または入力を行う入出力部を含む第二の決済端末から受け取る、請求項2に記載の決済端末。
【請求項4】
前記決済条件は、決済金額、決済金額の上限および/または下限、期間、場所、取引内容の少なくとも一つを含む、請求項2に記載の決済端末。
【請求項5】
前記生体情報は人の手のひらまたは人の指の静脈パターンないし/ならびに人の顔に関する特徴である、請求項1から4のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項6】
前記複数の登録情報は一人の異なる生体情報を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項7】
前記金銭情報は、ポイント、仮想通貨、法定通貨を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項8】
バス、タクシー、船舶、旅客用航空機を含む移動交通手段に設置される、請求項1から4のいずれか一項に記載の決済端末。
【請求項9】
前記通信部は、前記センサーからの前記検知情報と前記決済すべき金額に加えて前記承認者に関する承認者情報を受け、少なくとも複数の人の登録情報であって、それぞれはその人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応するだけでなく、さらに承認者からの決済の承認を受けた場合に前記決済すべき金額の決済を行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額と前記承認者情報を送信する、請求項1から4のいずれか一項に記載の決済端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触生体認証決済装置および決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末に格納される決済アプリケーションを利用して、店舗での購入商品の代金や電車やバスやタクシーなどの交通手段の運賃を金融機関の口座から引き落とすことで決済する決済方式が普及している。
【0003】
このような決済方式は、同一口座に対して複数の携帯端末を利用できる場合がある。例えば特許文献1に開示の方法では、口座名義人の主会員に対して、副会員を登録し、主会員だけでなく副会員も別々の携帯端末を利用して同一口座からの引き落としにより商品等を購入することができる。この方法では、主会員が使用する携帯端末には主会員用決済アプリケーションを実装し、副会員が使用する携帯端末には副会員用決済アプリケーションを実装する。そうすることにより、主会員だけでなく副会員も別々の携帯端末を利用して同一口座からの引き落としにより商品等を購入することができるだけでなく、副会員に対しては、決済内容を一時的に制限するなどして、例えば、主会員である親が副会員である子供の買い物に制限することも出来る。
【0004】
しかし、携帯端末やタブレット等の機械を利用する決済方法は、他者によるなりすましや、人は携帯端末やタブレット等の機械を常に持ち歩く必要があるなど、トラブルの要因になりかねない。すると、人は携帯端末やタブレット等の機械を常に持ち歩くために、何重のセーフティネットを張る必要性も発生し、必ずしも人が中心の機械化社会を実現するツールであるとは言い切れない。
【0005】
特許文献2には、電子マネーを利用した決済に際して、ICカードや携帯端末等の携帯を不要にする技術が開示されている。具体的には、少なくとも貨幣の入金機構がある第一の端末(チャージ機など)と、第1の端末に入金された入金額と紐付けられた識別情報を印刷したレシート形式等で出力可能な出力部(レシートプリンタなど)と、出力部で出力された識別情報を読み取る読み取り部を含む第2の端末(オートレジ、POSレジなど)を含むシステムであって、第2の端末は、読み取られた識別情報に紐付けられている金額以内の決済が可能であるシステムが開示されている。このようなシステムは、電子マネーの利用者は、第1の端末で現金をチャージし、出力部から出力された識別情報を受け取って、第2の端末の端末で決済をすればよいので、ICカードや携帯端末等の携帯が不要である。
【0006】
しかし、このような決済システムでは、他人によるなりすましを排除することが出来ない。さらに、クレジットカードの家族カードの利用など、決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、決済口座の持ち主が想定していない決済の可能性を排除することが出来ない。
【0007】
特許文献3には、生体認証を用いた入出金・決済システムは、入出金および決済を行う店舗であるPOSシステムに認証端末を接続し、このPOSシステムをネットワーク経由でデータベースを持つ決済装置に接続して構成され、認証端末はPOSシステムでの入出金および決済に際し、生体情報読取部により読み取りされた生体情報(指・掌静脈や網膜・指紋などの利用者を特定できる人体の持つ情報)を、データ変換部により個人コードにデータ変換し、暗号変換部にて暗号化し、通信部によりPOSシステムおよびネットワークを介して決済装置に送信し、決済装置は、ネットワークを介し通信部にて受信した暗号化された個人コードを、暗号変換部にて復号化し、データ照合部にてデータベース部と照合し、利用者である事の特定ができた場合は演算部にて入出金・決済処理の可否の判断および演算処理を行い、これにより、媒体レスでキャッシュレスの決済をおこなう事が可能になることが記載されている。特許文献4には、人の顔の情報に関する周知技術が開示されている。
【0008】
特許文献5には、生体情報を利用したキャッシュレス決済における支払方法がカード払いで、家族カードの機能を有する場合に、家族カードの機能は、クレジットカードによる支払方法を、本会員の家族も共通してい利用可能な機能であり、生体情報をかざすことにより、本会員のクレジットカードに支払方法を利用することが開示されている。
【0009】
しかし、このような構成では、人が携帯端末を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除し、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、きめ細かい、例えば一回一回の取引の取引条件を設定することで、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することが出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2022-52934号公報
【特許文献2】特開2022-76364号公報
【特許文献3】特開2007―304742号公報
【特許文献4】特開2005-031968号公報
【特許文献5】特開2021-189948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、人が携帯端末を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除し、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、きめ細かい、例えば一回一回の取引の取引条件を設定することで、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することで、人が中心の機械化社会の構築に資する非接触生体認証決済装置および決済方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態に係る(非接触生体認証)決済装置は、人の生体情報を検知情報として検知するセンサーと、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う入出力部と、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信する通信部と、を含むことを特徴とする。
【0013】
一実施形態に係る(非接触生体認証)決済方法は、人の生体情報を検知情報として検知することと、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足するかどうかを判定することと、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信すること、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施例に係る決済端末を含む決済システムの構成例を示すである。
【
図2】一実施例に係る決済端末から決済サーバに送付されるデータのフォーマットの例である。
【
図4】一実施例に係る決済端末の表示の別の例である。
【
図5】一実施例に係る決済端末の表示のさらに別の例である。
【
図6】一実施例の変形例に決済端末のシステム構成例を示す図である。
【
図7】一実施例に係る決済端末から決済サーバに送付されるデータのフォーマットの例である。
【
図8】一実施例に係る承認者の端末から決済サーバに送付されるデータのフォーマットの例である。
【
図9】一実施例に係る決済方法のフローチャートである。
【
図10】一実施例に係る決済端末から決済サーバに送付されるデータのフォーマットの別の例である。
【
図11】一実施例の別の変形例に決済端末のシステム構成例を示す図である。
【
図12】一実施例の別の変形例に係る情報端末から決済サーバに送付されるデータのフォーマットの例である。
【
図13】一実施例の別の変形例に係る決済方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<全般的説明>
【0016】
<<デジタル社会の展望>>
これまでの人間社会(Society)は、狩猟社会(Society 1.0)に始まり、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)を経て、インターネットの登場により情報社会(Society 4.0)に到達、その次が超スマート社会である Society 5.0 に至るとしているという文明史観がある。現在の Society 4.0 においても、クラウドやエッジコンピューティング、SNS など、我々はサイバー空間を活用しているものの、まだ物理的空間の情報との連携は貧弱であり、IoT のさらなる社会浸透が必要であるとともに、セキュリティの問題や、データの所有権をユーザに持たせる必要があるなど、スマート社会への移行に向けては課題が山積である。すべての情報をサイバー空間に集約し、スマート社会化することを目指すのが Society 5.0 である。
【0017】
Society 5.0のイメージは一義的には政府や業界が喧伝している「スマート・シティ」であろう。しかし、スマート・シティもテクノロジーは利便性のみを追及している。しかし、ベースになる都市生活の基盤が変化しつつある現在、都市の構造的な変化に対する提案や洞察はあまり多くない。いまや、人類の歴史的な「定住社会」も崩れる可能性がある。自由な居住地の選択、自由な移動手段の確保、自由なコミュニケーションの確保、これらを十分に享受し、さらに働く場の選択の自由、所得の保証などがエンジョイできるのが、近未来のデジタル都市であろう。
【0018】
未来の都市は摩天楼のある街を保証するものでもないが、情報の発信拠点として閉鎖的な江戸時代の地方を想定することもあり得ない。しかし、上記の田中優子の議論は、デジタル都市の構成論にとってきわめて示唆に富むものでもあり、つまり、田中優子は「編集」という言葉を使っているが、まさに、AIがデジタル都市においてこの機能を発揮できるかが今後の課題である。デジタル都市社会の未来に向かって、改めて都市市民の個の確立が必要である。都市の生活も住民意識も変化する。その中で一層の個の確立は人類のステージであるhumanity2,0で実現し、Society 5.0の都市社会を形成するであろう。
【0019】
今、スマート・シティの概念で検討されている街作りの多くは、このような都市の枠組みの構成の中に包含され、この枠組みの中で未来型技術を当てははめようとしているように見える。それに並行して都市サービスシステムを構築しようとしている。いわゆる都市サービスプラットフォームの形成である。
【0020】
都市的な公共サービスは多岐にわたる。いわゆる道路やバス鉄道交通、上下水道、電気・ガス、通信等のインフラサービス、教育・子供施設、運動・福祉施設、老人・介護施設などは公共的なサービスと私的なサービスがある。病院などの健康施設も同様である。都市的なサービスはこれら以外にも沢山ある。今までは、それぞれのサービス施設が、独立的に計画され、独立的に運営されてきたが、これらを統合的に計画し、統合的に運用しようというのがスマート・シティの都市プラットフォームの構想である。
【0021】
一方で、これらの都市的なサービスを提供する空間を少子高齢化する都市の中で作りあげるために考えられている施策がコンパクト・シティである。できるだけ都市をコンパクト(分散させずに集中して展開する)に作り上げようとするものである。モータリゼーションの進行によって、地方都市はかなり分散型になっている。居住地も拡散してきて、バスの路線が、採算に乗らず、どんどんなくなってきている。自動車の運転のできない人や、自家用車を持っていない人は身動きが取れない。病院に行くにも、買い物に行くにもひと手間である。モータリゼーションの裏にこのようなトランスポ-テーション・プアの層が増えてきている。
【0022】
スマート・シティの一環として交通システムの合理化を図ろうとするMaaS(Mobility as a Service)という構想がある。このためにAIが有効活用されれば、以下のようなメリットが生じる。(a)足の悪い人や高齢者などの交通弱者対策になる、(b)交通手段が少ない地域に住む人々の、ラストワンマイルの移動が可能になる、(c)都市部の交通渋滞を減らすことができる、(d)都市部の二酸化炭素排出量削減、大気汚染対策になる、(e)駐車場の面積を減らし、緑地などに変えることが可能になる。
【0023】
しかし、デジタル都市のイメージはこの範疇にとどまらない。またこのようなアプローチで「都市問題」は必ずしも解決されない。今後に起こり得ることの一つは、都市構成の一つの大きな要素である「定住」概念が崩れて行くことである。居住の自由は、人権の大きな柱であるが、これからのデジタル社会は非定住の都市を構成する可能性を秘めている。最近のテレワークやワーケーションの試みを見ると、もしかするとスマート・シティはこの非定住の世界につながる中間的なステップになるのかも知れない。
【0024】
もし、AIのサポートによる完全な非定住社会・都市ができるなら、社会システムは根本的に変革する。デジタル都市の文明は22世紀に向かって人類の可能性を飛躍的に増大させる可能性を秘めている。
【0025】
<<資本主義とデジタル通貨>>
資本主義の発生は、18世紀末のイギリスで第1次産業革命後であると言われている。マルクスは資本主義のエッセンスを、私有財産制と自由競争という経済制度にあると考えた。第1次産業革命の産物として安いエネルギー源で動く機械を用いる生産活動は、個人や企業が市場で自由に価値の交換を行うような自由主義的な経済制度と組み合わさって、資本主義の形成をもたらした。つまり、資本主義はある意味、第1次産業革命の産物であった。
【0026】
資本主義は、経済的または様々な技術面でも後進地域であったヨーロッパで発生したが、当時の先進文明地域であったアジアやアラビアでは資本主義は生まれなかった。それは、資本主義の誕生の条件がその地でしか満たされなかったからである。産業革命がイギリスで起こったのは、マックス・ウェーバーが主著の一つである「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中で展開した議論を引用するまでもなく、資本主義とキリスト教、特にプロテスタンティズムとの同一性も背景にあったことであろう。キリスト教は魂をコレクションすることを中心概念とし、資本主義はモノをコレクションすることを中心概念とする。
【0027】
資本主義が18世紀末以降、ヨーロッパ、アメリカ、日本で発展した一つの要因は、発展途上国と呼ばれた非西洋文明国の存在であった。これら非西洋文明国は、資本主義諸国にとっては「フロンティア」であった。資本主義諸国は、非西洋文明国を軍事的手段で征服し、土地と資源を奪い、その地に住む人々を隷属し安い労働力として活用することで経済的に発展した。「コレクション」はフロンティアで実行された。ここに資本主義社会における「国家」の存在意義の一つが見える。貨幣価値の差違は、非西洋文明国との交易で資本主義諸国に大きな利益をもたらした。資本主義の発展という観点からは、「国家」は軍事力の発動単位としての役割もあったし、そのことと表裏一体として、通貨の発行単位としての役割もあった。
【0028】
資本主義諸国は時代を下るに従い自国の貨幣価値の維持のために手を尽くすようになる。たとえば、基軸通貨のドルを発行するアメリカは1971年には金本位制を維持することができなくなり、結果として、金本位制は廃止された。そして、資本主義経済は、特に1990年代以降、バブルとバブル崩壊を繰り返すようになる。西洋の資本主義諸国が第1次産業革命による技術的優位性による軍事力を武器に非西洋諸国を侵略することによって資本主義経済の発展を支えるというシナリオは、コレクションすべきモノの所在地、つまりフロンティアの喪失とともに終焉を迎えようとしている。
【0029】
このような状況で、情報通信技術(ICT)による第2次産業革命は興った。第2次産業革命の原因と言われたICTは、暗号通貨の登場以前には、単に資本主義経済における生産効率の改善に使われていたように思える。しかし、第1次産業革命が資本主義を生んだように、情報通信技術(ICT)が革命的技術であるならば、ポスト資本主義の原理を生み出すポテンシャルを持っているはずである。
【0030】
暗号通貨(仮想通貨とも呼ばれる)がある意味で市民権を得るきっかけとなったのは、2013年のキプロス金融危機だろう。地中海の島国であるキプロスは、2008年に欧州共通通貨ユーロに参加し、低税率を売り物に海外、特にロシアからの投資を呼んで金融立国を目指した。2013年、キプロスの銀行はギリシャ金融危機の影響を受け経営危機に陥った。このとき、ロシアの投資家がキプロス政府当局による海外送金監視の目を掻い潜って、キプロスの銀行から預金を他国に持ちだす方法として使ったのが暗号通貨の一つである「ビットコイン」であった。これを機にビットコインは高騰したし、ビットコインは「実際に使える暗号通貨」として市民権を得た。
【0031】
キプロス・ショックのときに使われた「ビットコイン」は、サトシ・ナカモトを名乗る人物が2008年にインターネット上に公開した、「Bitcoin: A Peer-to-Peer ElectronicCash System」という一つの論文にはじまる。ブロックチェーンという分散台帳と、その分散台帳の正当性を認めるためのプルーフ・オブ・ワークという仕組みは、自律分散的で協調的である。第1次産業革命の影響の一つとして生み出された資本主義の維持には、中央集権的かつ自由競争的な社会が必要であった。しかしこれらは暗号通貨で用いられている仕組みである自律分散的かつ協調的という原理とは異なるものである。
【0032】
このようにデジタル社会では、人と人工知能の共存を初めてとして、従来の機械文明の揺り戻しとしての「人間中心社会」が指向され、設計されていくだろう。そのとき、人が携帯端末やタブレット等の機械を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除する決済装置および決済方法は、人と社会プラットフォームを繋ぐ、重要な技術である。
【0033】
さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、きめ細かい、例えば一回一回の取引の取引条件を設定することで、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することが出来るというのは、情報社会における情報のパーソナライズという観点からも、重要な技術である。
【0034】
<<非接触生体認証決済の装置>>
以下で、本発明の一実施形態に係る決済装置を説明する。本装置の特徴の幾つかを列挙すれば、(a)静脈認証等の生体情報を個人認証に用いており、なりすましが難しい、(b)一つの決済用口座に少なくとも複数の人が登録されていて、本人以外の決済が可能である、(c)他人に承認を求めて決済をする場合でも、決済タイミングなどの制限を付けることが可能である、(d)複数の人の承認による決済が可能であり、スキミング等の犯罪に由来するトラブルを減らすことができる、などがあり、手をかざすだけでセキュアな支払いを実現することができる。
【0035】
実際の買い物では、読み取り機に手のひらをかざすと、手のひらの静脈パターンから個人を認証して1秒で決済を完了させることができる。財布やスマートフォンを持つことなく買い物が行えるほか、決済方法を問わず、店舗のポイント連動が実現するため、装置を導入する店舗側にも顧客の囲い込みが可能であるという利点もある。
【0036】
従来のICカードやパスワードに依存したセキュリティ管理と異なり、手ぶらで、どこに行っても認証(パームウォレット認証、パームウォレット(仮想の手のひら財布)を個人、家族で共有利用すること)できる「便利で、セキュアな電子認証基盤」を実現することができる。
【0037】
利用者側には、(a)スピーディな決済、(b)盗まれない、無くさない、(c)直接触れずに衛生的、というメリットがある。「(a)スピーディな決済」とは、手のひらをセンサーにかざすだけで、暗証番号の入力やサインといった手間が掛からないので、支払いがスピーディに行えるということである。「(b)盗まれない、無くさない」とは、生体認証は本人の体一つあれば認証可能で、なりすましが困難であるということである。現金やカードのように紛失や盗難リスクがなく利用者に安心感をもたらすことができる。「(c)直接触れずに衛生的」というのは、財布やスマートフォンなどの電子端末を取り出さなくても非接触で商品を購入することができ、衛生的であるということである。
【0038】
また。装置を導入する事業者側にも、(d)省人化、(e)安心安全な運営、というメリットがある。「(d)省人化」とは、例えば、店舗のレジでの接客時間が短縮できるので、店舗の省人化が可能である。決済スピードが上がるため、レジ待ちによる混雑を緩和し、利用者の満足度の向上を図ることができる。「(e)安心安全な運営」とは、現金やクレジットカードの受け渡しが発生しないので、レジ接客時の負担や、ウィルスへの感染リスクを抑制することができる。
【0039】
本発明の一実施形態に係る(非接触生体認証)決済装置は、人の生体情報を検知情報として検知するセンサーと、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う入出力部と、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記決済期間内に前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済条件を送信する通信部と、を含むことを特徴とする。
【0040】
また、本発明の一実施形態に係る(非接触生体認証)決済方法は、人の生体情報を検知情報として検知することと、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足するかどうかを判定することと、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済条件を送信すること、を含むことを特徴とする。
【0041】
上記携帯端末は、例えば店舗のキャッシャーに設置されたり、バスの運賃箱に設置されたりと、所定の位置に定常的に設置されても良いし、スマートフォンやタブレット、小型のパーソナルコンピューターのように容易に持ち運び可能な機器として構成されていても良い。
前者の場合、決済端末は都市のインフラとしての機能を持つことができる。人は、何も持たずにふらりとまちに出て、買い物をしたり、有料サービスを受けたりすることができる。持ち運び可能な機器として構成される場合が、まちの共有アイテムとして運用すれば、人は、何も持たずにふらりとまちに出ることと、適宜、決済端末を利用することで、買い物をしたり、有料サービスを受けることを両立させることができる。
【0042】
ここで、前記入出力部は、前記決済すべき金額を含む前記金銭情報の表示および/または入力に加えて、前記決済期間を含む前記決済条件の表示および/または入力を行っても良い。
この場合、前記通信部は、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済期間内を含む決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記決済期間内に前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額と前記決済期間を送信しても良い。
【0043】
一実施形態に係る(非接触生体認証)決済装置は、人の生体情報を検知情報として検知するセンサーと、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う入出力部と、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信する通信部と、を含むことを特徴とする。
【0044】
一実施形態に係る(非接触生体認証)決済方法は、一実施形態に係る(非接触生体認証)決済方法は、人の生体情報を検知情報として検知することと、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足するかどうかを判定することと、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信すること、を含むことを特徴とする。
【0045】
ここで、決済条件は、決済金額、決済金額の上限および/または下限、期間、場所、取引内容の少なくとも一つを含む。期間は、分単位から日単位、週単位、月単位、年単位などで指定されていても良い。場所は、特定の店舗や位置、エリア、市町村単位から国別まで、さまざまな大きさで指定され得る。取引内容には、決済が必要な買い物の品目や種類などが含まれ得るが、これらに限定されず、金銭のやり取りが必要な取引の内容を限定するものであれば何でも良い。
【0046】
また、決済条件は、決済端末のユーザとは別のユーザが決済サーバにアクセスして設定されても良い。後に詳述するが、
図11に示すように、スマートフォンやタブレット、パーソナルコンピューターを有する別のユーザが決済サーバに、決済が可能な決済時期や、決済金額の上下限、決済の場所などを決済条件として送付することで、設定されても良い。
【0047】
さらに、決済条件は、
図6に示すように、前記決済端末のユーザとは別のユーザが保持する第二の決済端末であって、前記決済すべき金額を含む前記金銭情報の表示および/または入力に加えて、前記決済期間や、決済金額の上限、決済の場所などを含む前記決済条件の表示および/または入力を行う入出力部を含む第二の決済端末から受け取ることで設定されても良い。
【0048】
つまり、決済端末は、人の生体情報を検知情報として検知するセンサーと、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う入出力部と、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ別のユーザが保持するスマートフォンやタブレット、パーソナルコンピューターまたは第二の決済端末によって設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信する通信部と、を含む。
【0049】
つまり、2人のユーザ、決済口座の持ち主Aと例えばAの子供や会社などAが属するコミュニティのメンバーBがいて、Bが行う取引をAの決済口座を介して決済しようとするとき、AがBの決済条件をBの居場所から離れたところで設定できる。つまり、Aは事前に、きめ細かい、例えば一回一回の取引の決済条件を設定することができる。これは、クレジットカードの家族カードなどで家族の一人の決済口座に家族の全ての人の取引の決済が紐づいているのとは異なり、決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することができる。
【0050】
ここで、前記生体情報は人の手のひらまたは人の指の静脈パターンないし/ならびに人の顔に関する特徴であり得る。このように複数の生体情報を組み合わせることによって、非接触でありながらも、確実に人の認証を行うことができる。
【0051】
また、前記複数の登録情報は複数人の生体情報を含んでいても良い。この生体情報は静脈パターンであり得る。生体情報として静脈パターンを用いることは、他の指紋認証、顔認証に比べて次のようなメリットがある。認証精度については、手のひら静脈認証が他人受入率0.00001%以下なのに対し、指紋認証は、0.0001%以下であり、手のひら認証は指紋認証よる1桁以上優位である。顔認証は指紋認証より劣ることが多い。登録対応率に関しては、指紋認証では3~10%の人が使えず、顔認証では運転免許証や社員証など顔社員入りのカードの写真を流用できるというデメリットもある。手のひら認証では100%の人が利用できる。対偽造という点では、指紋認証では指紋偽造、顔認証では写真の流用が可能である一方、手のひら認証に関しては、静脈パターンの再現は非常に困難である。外的要因への耐性に関しては、指紋認証が乾燥や荒れ、汗、傷、摩擦の影響を受けやすく、顔認証ではマスクや眼鏡、髪型の影響を受けたり、光や経年変化の影響を受けるというデメリットがあるが、手のひら認証で用いる静脈パターンは体内情報のため外的要因を受けにくいというメリットがある。
【0052】
また、前記複数の登録情報は一人の異なる生体情報を含んでいても良い。例えば、右手と左手では静脈パターンが異なる。登録情報として、右手と左手の静脈パターンを別々の登録情報として登録しても良い。
【0053】
前記金銭情報は、ポイント、仮想通貨、法定通貨のいずれかまたは組み合わせであっても良い。また、金銭情報として、証券などの金融商品に関する情報であっても良い。また、売掛債権のような債権であっても良い。すなわち、金銭情報は、マネー、またはマネーと対応関係があるような情報であれば何でも良い。例えば、労働に関する情報であっても良い。
【0054】
本発明の一実施形態に係る非接触生体認証決済の装置は、前記少なくとも複数の登録情報は、一つの口座と紐づいており、前記決済すべき金額は、前記口座を介して決済され得る。複数の登録情報として、例えば、親子などの家族、組織の構成員等の生体情報を例示することができる。その組織としては、会社のような法人でも良いし、法人格を持たない任意団体でも良い。
【0055】
そして、上記のような本発明の一実施形態に係る非接触生体認証決済の装置は、バス、タクシー、船舶、旅客用航空機を含む移動交通手段に設置されても良い。移動交通手段に設置されることによって、人は一切の機械類を持たずに都市を歩き回ることができる。もちろん、上記のような本発明の一実施形態に係る非接触生体認証決済の装置は、商品を販売する店舗に設置されていても良い。
【0056】
また、本発明の一実施形態に係る非接触生体認証決済の装置では、決済の際に利用者のほかに承認者を登録してチェック機能を持たせることができる。その場合は、前記通信部は、前記センサーからの前記検知情報と前記決済すべき金額に加えて前記承認者に関する承認者情報を受け、少なくとも複数の人の登録情報であって、それぞれはその人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応するだけでなく、さらに承認者からの決済の承認を受けた場合に前記決済すべき金額の決済を行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額と前記承認者情報を送信する、ように構成することができる。
【0057】
この場合、承認者は利用者に対して一対一で対応するように事前に決められていても良いし、利用者が決済ごとに承認者を指定しても良い。利用者が決済ごとに承認者を指定するときには、承認者は一人でも良いし、複数人でも良い。
また、承認者が利用者の決済を承認する際には、入力部で特定の操作をすることを以て、承認すると決めておいても良い。
【0058】
このような構成を採用することによって、本発明の一実施形態に係る非接触生体認証決済の装置では、ダブルチェックによってセキュアな決済を実現することができる。
【0059】
上記のような構成による非接触生体認証決済装置は、人が携帯端末を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除し、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、きめ細かい、例えば一回一回の取引の取引条件を設定することで、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することが出来、人が中心の機械化社会の構築に資することができる。
【0060】
結局、本発明の決済端末は、決済サーバと組みになって決済システムと構成する。決済端末は、人の生体情報を検知情報として検知するセンサーと、決済すべき金額を含む金銭情報や決済条件の表示および/または入力を行う入出力部と、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信する通信部とを含む。決済サーバは、前記検知情報が少なくとも複数の登録情報であって、それぞれは人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応するかどうかを判定する判定部と、前記検知情報が前記登録情報のいずれかに対応する場合に決済すべき金額を含む前記金銭情報や、決済金額、決済金額の上限および/または下限、期間、場所、取引内容の少なくとも一つを含む決済条件に基づき前記決済すべき金額の決済を行う処理を行う決済部を含む。
【0061】
<<非接触生体認証決済方法>>
以下で、本発明の一実施形態に係る決済方法を説明する。本方法の特徴は上記装置と同様であって、再掲すれば(a)静脈認証等の生体情報を個人認証に用いており、なりすましが難しい、(b)一つの決済用口座に少なくとも複数の人が登録されていて、本人以外の決済が可能である、(c)他人に承認を求めて決済をする場合でも、決済金額の範囲や決済タイミングや場所などの制限を付けることが可能である、(d)複数の人の承認による決済が可能であり、スキミング等の犯罪に由来するトラブルを減らすことができる、などがあり、手をかざすだけでセキュアな支払いを実現することができる。決済方法の処理は決済サーバで行われる。
【0062】
本発明の一実施形態に係る決済方法は、決済サーバの送受信部で人の生体情報を受けることと、決済サーバの判定部で前記生体情報が、少なくとも複数の登録情報であって、それぞれは人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応するかどうかを判定することと、決済サーバの決済部で前記生体情報が前記登録情報のいずれかに対応している場合に、予め設定された決済すべき金額を含む金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を行うことと、を含むことを特徴とする。
【0063】
一実施形態に係る(非接触生体認証)決済方法は、人の生体情報を検知情報として検知することと、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足するかどうかを判定することと、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記決済期間内に前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額と前記決済条件を送信すること、を含むことを特徴とする。
【0064】
本発明の一実施形態の変形例に係る決済方法では、利用者の他に決済の承認者を置くことができる。このように構成することによって、決済を第三者によってチェックすることができ、より安全な決済を行うことができる。この場合の決済方法は、決済サーバの送受信部で人の生体情報を受けることと、決済サーバの判定部で前記生体情報が、少なくとも複数の登録情報であって、それぞれは人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応するかどうかを判定することと、決済サーバの決済部で前記センサーからの前記検知情報と前記決済すべき金額に加えて前記承認者に関する承認者情報を受け、少なくとも複数の人の登録情報であって、それぞれはその人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応するだけでなく、さらに決済すべき金額を承認すべき承認者からの決済の承認を受けた場合に前記決済すべき金額の決済を行うことと、を含むことを特徴とする。
【0065】
上記のような構成による非接触生体認証決済方法は、上記の非接触生体認証決済装置と同様の発明の効果を得ることができる。
従って、上記のような構成による非接触生体認証決済方法は、人が携帯端末を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除し、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、きめ細かい、例えば一回一回の取引の取引条件を設定することで、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することが出来、人が中心の機械化社会の構築に資することができる。
【0066】
<実施形態の詳細な説明>
【0067】
<<非接触生体認証決済装置>>
以下では、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る決済装置について説明をする。
【0068】
以下では同一または類似の構成については同一または類似の参照符号を付与し、詳細な説明を省略することがある。
【0069】
図1は一実施例に係る決済端末を含む決済システムの構成例を示すである。システム10は決済端末20と決済サーバ30と決済用口座(例えば、銀行口座)40を含む。決済端末20と決済サーバ30と決済用口座40は互いに電気的に接続されている。例えば、決済端末20から決済サーバ30には、データ60が送信される。
【0070】
決済端末20は入出力部210、センサー220、通信部230を含んでいる。入出力部210は、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う。センサー220は手のひら50から静脈パターンを非接触で検知情報として検知する。通信部230は、センサー220で検知した検知情報と、入出力部210から入力された金銭情報を決済サーバ30に送信したり、金銭情報を入出力部210で表示するために決済サーバ30から金銭情報を受け取ったりする。
【0071】
図2は、一実施例に係る決済端末から決済サーバに送付されるデータのフォーマットの例である。データ60には検知情報610と金銭情報620が含まれている。
【0072】
決済すべき金額を含む金銭情報には、例えば、ポイントと法定通貨の組み合わせで支払うときは、使用するポイントの大きさを含んでも良い。また、決済すべき金額の支払いを複数の人に割り振るときには、そのような情報を含んでも良い。
【0073】
決済すべき金額は、入出力部210で外部入力を受けても良いし、決済サーバ30から金銭情報を受け取って入出力部210で表示しても良い。
【0074】
図10は、一実施例に係る決済端末から決済サーバに送付されるデータのフォーマットの別の例である。データ60bには検知情報610と金銭情報620と決済条件625が含まれている。決済条件625には、決済金額、決済金額の上限および/または下限、期間、場所、取引内容などが含まれる。
【0075】
図3から
図5は、一実施例に係る決済端末20の入出力部210の表示の例である。
【0076】
図3には、決済すべき金額を入力するときの表示が例示されている。
図4では、静脈パターン認証のために、利用者に手のひらをセンサーに近づけることを促す「手をかざしてください」という表示が出力されている。
図5は、2つの静脈パターンによって認証を行う際、1つの静脈パターンの認証が終わったタイミングでの表示であって、「手をかざしてください」という表示が出力されている。
図5の2つの静脈パターンによって認証を行う場合、その2つは一人の人間の左右の手の静脈パターンであっても良いし、異なる2人の人のものであっても良い。後者の場合、
図5の表示は、後述の変形例、つまり決済に利用者以外の承認者がいる場合に用いられても良い。
【0077】
決済サーバ30は、決済端末20とデータ60のやり取りを行う送受信部310と、人の生体情報に関する登録情報330a、330b、330cと、決済端末20から受けた検知情報が登録情報330a、330b、330cのいずれかに対応するかを判定する判定部320と、検知情報が登録情報330a、330b、330cのいずれかに対応すると判定部320が判定したときに、(決済用)口座40と連携して決済を行う決済部350を含む。
【0078】
このシステム10の利用シーンの例は次のようなものである。利用者が店舗で商品を購入するとする。飲食店であっても良い。決済端末20は店舗に設置されているとする。利用者は商品を購入する際に再び決済端末20のセンサー220に自分の手のひら50をかざして、手のひら50の静脈パターンが決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのかが確認できれば、決済端末20の入出力部210には決済すべき金額が表示され、決済される。
【0079】
このシステム10の利用シーンの別の例は次のようなものである。利用者がバスに乗りたいとする。決済端末20はバスに設置されているとする。利用者は搭乗の際に決済端末20のセンサー220に自分の手のひら50をかざして、静脈パターンを読み取らせる。決済サーバ30が、手のひら50の静脈パターンが決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのかが確認できれば、決済サーバ30は、利用者の乗車場所を決済端末20やサーバ30自身に記憶する。そして利用者は降車場所で降りる際に再び決済端末20のセンサー220に自分の手のひら50をかざして、手のひら50の静脈パターンが決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのかが確認できれば、決済端末20の入出力部210には決済すべき金額が表示され、決済される。
このとき、事前に利用者の乗車場所と降車場所を指定しておけば、想定されていない決済を排除することができる。
【0080】
このように構成された決済システムは、利用者側には、(a)スピーディな決済、(b)盗まれない、無くさない、(c)直接触れずに衛生的、というメリットがある。また。装置を導入する事業者側にも、(d)省人化、(e)安心安全な運営、というメリットがある。
【0081】
したがって、(非接触生体認証)決済装置20は人が携帯端末を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除し、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することで、人が中心の機械化社会の構築に資するものである。
【0082】
<<変形例>>
また、本発明の一実施形態に係る非接触生体認証決済の装置では、決済の際に利用者のほかに承認者を登録してチェック機能を持たせることができる。
図6は、一実施例の変形例に決済端末のシステム構成例を示す図である。
【0083】
システム10bは決済端末20bと決済サーバ30と決済用口座(例えば、銀行口座)40を含む。決済端末20bと決済サーバ30bと決済用口座40は互いに電気的に接続されている。例えば、決済端末20bから決済サーバ30bには、データ62が送信される。
【0084】
決済端末20bは入出力部210b、センサー220、通信部230bを含んでいる。入出力部210は、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う。センサー220は手のひら50aから静脈パターンを非接触で検知情報Aとして検知する。通信部230bは、センサー220で検知した検知情報と、入出力部210から入力された金銭情報を決済サーバ30に送信したり、金銭情報を入出力部210で表示するために決済サーバ30bから金銭情報を受け取ったりする。入出力部210bはさらに、決済すべき金額を承認すべき承認者に関する情報の入力を受けても良い。
【0085】
承認者については、利用者や場所や時間など利用シーンが決まると承認者が決まるように設定しても良いし、入出力部210bから入力できるように設定しても良い。
【0086】
図7は、一実施例に係る決済端末20から決済サーバに送付されるデータ62のフォーマットの例である。
【0087】
データ62は、検知情報A610、金銭情報620に加えて、承認者に関する情報630を含んでいる。
【0088】
決済サーバ30bは、決済端末20と決済端末70とそれぞれデータ62、データ64のやり取りを行う送受信部310bと、人の生体情報に関する登録情報330a、330b、330cと、決済端末20と決済端末70から受けた検知情報A、検知情報Bが登録情報330a、330b、330cのいずれかに対応するかを判定する判定部320と、検知情報が登録情報330a、330b、330cのいずれかに対応すると判定部320が判定したときに、(決済用)口座40と連携して決済を行う決済部350を含む。
【0089】
決済端末70は、決済端末20と同様に、入出力部710、センサー720、通信部730を含んでいる。入出力部710は、決済すべき金額を含む金銭情報および利用者(手のひら50aを持つ人)に関する情報の表示および/または入力を行う。センサー720は承認者の手のひら50bから静脈パターンを非接触で検知情報Bとして検知する。通信部730は、センサー720で検知した検知情報Bと、入出力部710から決済すべき金額を含む金銭情報および利用者(手のひら50aを持つ人)に関する情報を決済サーバ30bに送信したり、決済すべき金額および利用者を入出力部710で表示するために決済サーバ30bから決済すべき金額を含む金銭情報および利用者(手のひら50aを持つ人)に関する情報を受け取ったりする。
【0090】
図8は、一実施例に係る承認者の端末70から決済サーバ30bに送付されるデータ64のフォーマットの例である。
【0091】
データ64は、金銭情報620、利用者に関する情報640に加えて、検知情報B650を含んでいる。
【0092】
このシステム10bの利用シーンの例は次のようなものである。親が子供におつかいを頼むとする。決済端末20bは子供が買い物をする店舗に設置されている。子供は買い物の際に決済端末20bのセンサー220に自分の手のひら50aをかざして静脈パターンを読み取らせ、決済端末20bから手のひら50aをかざして静脈パターンを検知情報Aとして受け取った決済サーバ30bは、決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのかを確認する。決済サーバ30bは、検知情報Aに紐ついている承認者である親の端末70に、子供が特定の場所で所定の金額の買い物をして決済を求めている情報を送信し、親が所持している端末70の入出力部710はその旨の表示をする。端末70の入出力部710の表示を見た親は、自分の手のひら50bをセンサー720に読み取らせ、端末70は検知情報Bとして決済サーバ30bに送付する。承認者である親による承認の確認を検知情報Bとして受け取った決済サーバ30bは、決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのかを確認し、確認が出来ると口座40から決済金額が引き落とされ、決済が終了する。
【0093】
このシステム10bの利用シーンの別の例は次のようなものである。親子で交通機関に乗るものとする。決済端末20bは親子が乗車する交通機関、例えばバスに設置されている。子供は乗車の際に決済端末20bのセンサー220に自分の手のひら50aをかざして静脈パターンを読み取らせ、決済端末20bから手のひら50aをかざして静脈パターンを検知情報Aとして受け取った決済サーバ30bは、決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのかを確認する。決済サーバ30bは、検知情報Aに紐ついている承認者である親の端末70に子供の乗車場所と上司者運賃に関する情報を送信し、端末70の入出力部710にその旨の表示をする。端末70の入出力部710の表示を見た親は、自分の手のひら50bをセンサー720に読み取らせ、端末70は検知情報Bとして決済サーバ30bに送付する。承認者である親による承認の確認を検知情報Bとして受け取った決済サーバ30bは、決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのかを確認し、確認が出来ると口座40から決済金額が引き落とされ、決済が終了する。
【0094】
このような構成を採用することによって、決済システム10bは、
図1に示した決済システム10の発明の効果のみならず、さらにダブルチェックによってセキュアな決済を実現することができる。
<<別の変形例>>
【0095】
また、本発明の一実施形態に係る非接触生体認証決済の装置では、予め決済条件を設定し、決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することができる。
図11は、一実施例の別の変形例に決済端末のシステム構成例を示す図である。
【0096】
システム10cは端末(スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューターなど)20cと決済端末70bと、決済サーバ30cと決済用口座(例えば、銀行口座)40を含む。決済端末70bと決済サーバ30cと決済用口座40は互いに電気的に接続されている。例えば、端末(スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューターなど)20cから決済サーバ30cには、データ66が送信される。データ66は、
図12に示されている。
【0097】
決済端末70bは入出力部710b、センサー720b、通信部730bを含んでいる。入出力部710bは、決済すべき金額を含む金銭情報の表示および/または入力を行う。
センサー720bは手のひら50dから静脈パターンを非接触で検知情報Aとして検知する。通信部730bは、センサー720bで検知した検知情報と、入出力部710bから入力された金銭情報を決済サーバ30cに送信したり、金銭情報や決済条件を入出力部710bで表示するために決済サーバ30cから金銭情報を受け取ったりする。さらに入出力部710bは、決済端末70bの利用者(手のひら50cを有する)から、決済用口座40の持ち主である端末20cの所有者へのメッセージを受け付けても良い。このメッセージは、決済サーバ30c経由で端末20cに送信されても良い。例えば、決済端末70bから決済サーバ30cには、データ64が送信される。
【0098】
データ64は、
図8に示されている。データ64は、金銭情報620、利用者に関する情報640に加えて、検知情報B650を含んでいる。
【0099】
図12は、一実施例の別の変形例に係る情報端末20cから決済サーバ30cに送付されるデータ66のフォーマットの例である。
【0100】
データ66は、決裁者ID660、金銭情報670、利用者680、決済条件690を含んでいる。
図11に示されている状況では、決裁者ID660は、端末20cと、決済用口座(例えば、銀行口座)40を所有する人物を特定するための情報である。金銭情報670は、手のひら50cを有する実際に金銭取引を行う人によって、決済端末70bは入出力部710bから入力されても良いし、手のひら50dを有する実際に金銭取引を行う人とは異なる人によって入力されても良いし、機械的に取得されても良い。利用者680は、手のひら50cを有する実際に金銭取引を行う人に関する情報である。決済条件690は、上述の通りである。
【0101】
このシステム10cの利用シーンの例は次のようなものである。親が子供におつかいを頼むとする。親(決裁者ID)は予め端末20cから決済サーバ30cに決済する場所(店舗)や決済金額の上限を決済条件として送信しておく。決済端末70bは子供(利用者)が買い物をする店舗に設置されている。子供は買い物の際に決済端末70bのセンサー720bに自分の手のひら50cをかざして静脈パターンを読み取らせ、決済端末70bから手のひら50cをかざして静脈パターンを検知情報Aとして受け取った決済サーバ30cは、決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのか、子供による決済が決済条件に合致しているかを確認する。確認が出来ると口座40から決済金額が引き落とされ、決済が終了する。決済サーバ30cは、検知情報Aに紐ついている承認者である親の情報端末20cに、子供が特定の場所で所定の金額の買い物をして決済を求めている情報を送信し、親が所持している端末70の入出力部710はその旨の表示をしても良い。
【0102】
このシステム10bの利用シーンの別の例は次のようなものである。親子のうち子どもだけが交通機関に乗るものとする。決済端末70bは子どもが乗車する交通機関、例えばバスに設置されている。親(決裁者ID)は予め端末20cから決済サーバ30cに子どもが乗車する停留場や降車する停留所に関する情報を決済条件として送信しておく。子供は乗車の際に決済端末70bのセンサー720bに自分の手のひら50cをかざして静脈パターンを読み取らせ、決済端末70bから手のひら50cをかざして静脈パターンを検知情報Aとして受け取った決済サーバ30bは、決済口座40に対応している登録情報330a、330b、330cのいずれに対応するのか、子供による決済が決済条件に合致しているかを確認する。確認が出来ると口座40から決済金額が引き落とされ、決済が終了する。
【0103】
このような構成を採用することによって、決済システム10cは、
図1に示した決済システム10の発明の効果のみならず、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することによってセキュアな決済を実現することができる。
【0104】
<<非接触生体認証決済方法>>
図9は、一実施例に係る決済方法のフローチャートである。
【0105】
本処理は決済サーバ30によって実行される。
【0106】
S10で決済サーバ30の送受信部310で決済端末20bから検知情報と決済すべき金額である金銭情報を受ける。
【0107】
次のS20で決済サーバ30の判定部320で前記検知情報が、少なくとも複数の登録情報330a、330b、330cであって、それぞれは人の生体情報に関する情報であ
【0108】
S30では、決済サーバ30の決済部320で前記生体情報が前記登録情報330a、330b、330cのいずれかに対応している場合に、予め設定された決済すべき金額を含む金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を行う。
【0109】
上記のような構成による非接触生体認証決済方法は、上記の非接触生体認証決済装置と同様の発明の効果を得ることができる。
【0110】
従って、上記のような構成による非接触生体認証決済方法は、人が携帯端末を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除し、人が中心の機械化社会の構築に資することができる。
【0111】
本発明の一実施形態の変形例に係る決済方法では、利用者の他に決済の承認者を置くことができる。このように構成することによって、決済を第三者によってチェックすることができ、より安全な決済を行うことができる。この場合の決済方法は、決済サーバ30bの送受信部310で決済端末20bから検知情報610を受けることと、決済サーバ30bの判定部320で前記検知情報610が、少なくとも複数の登録情報330a、330b、330cであって、それぞれは人の生体情報に関する情報である前記登録情報330a、330b、330cのいずれかに対応するかどうかを判定することと、決済サーバ30bの決済部320で前記センサー220からの前記検知情報610と前記決済すべき金額620に加えて前記承認者に関する承認者情報630を受け、少なくとも複数の人の登録情報330a、330b、330cであって、それぞれはその人の生体情報に関する情報である前記登録情報330a、330b、330cのいずれかに対応するだけでなく、さらに決済すべき金額620620を承認すべき承認者からの決済の承認を受けた場合に前記決済すべき金額の決済を行うことと、を含むことを特徴とする。
【0112】
図13は、一実施例の別の変形例に係る決済方法のフローチャートである。
【0113】
本処理は決済サーバ30cによって実行される。
【0114】
S100で決済サーバ30cの送受信部310cで決裁者から情報端末20cを介して利用者が決済すべき金額および利用条件(時間、利用場所等)を指定した決済条件を受ける。
【0115】
次のS110で決済サーバ30cの送受信部310cは、決済サーバ70bのセンサー720bで検知された利用者(手のひら50cを有する)の生体情報と時刻、場所などの決済情報と決済すべき金額を検知情報と金銭情報として受ける。
【0116】
次のS120で決済サーバ30cの判定部320で前記検知情報が、少なくとも複数の登録情報330a、330b、330cであって、それぞれは人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、検知情報と金銭情報が決済条件に合致するかどうかを判定する。
【0117】
S130では、決済サーバ30の決済部320で前記検知情報が前記登録情報のいずれかに対応し、さらに決済すべき金額、利用条件が前記決済条件に合致している場合に、前記決済すべき金額の決済を行う。
【0118】
このように、本発明の一実施形態の別の変形例に係る(非接触生体認証)決済方法は、人の生体情報を検知情報として検知することと、前記検知情報は少なくとも複数の登録情報であって、該複数の登録情報の中には複数人の登録情報を含み、該複数人の登録情報は一つの決済口座用の口座と紐づいており、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足するかどうかを判定することと、人の生体情報に関する情報である前記登録情報のいずれかに対応し、かつ決済が可能である設定された決済条件を満足する場合に、前記金銭情報に基づき前記決済すべき金額の決済を前記口座を介して行う決済サーバに、前記検知情報と前記決済すべき金額を送信すること、を含むことを特徴とする。
【0119】
上記のような構成による非接触生体認証決済方法は、上記の非接触生体認証決済装置と同様の発明の効果を得ることができる。
【0120】
従って、上記のような構成による非接触生体認証決済方法は、人が携帯端末を持ち歩くことなく、しかも他者によるなりすましを排除し、さらに決済口座の持ち主とは別の人物による決済が可能なとき、きめ細かい、例えば一回一回の取引の取引条件を設定することで、決済口座の持ち主が想定されていない決済を排除することが出来、人が中心の機械化社会の構築に資することができる。
【符号の説明】
【0121】
10、10b、10c 決済システム
20、20b、70 決済装置
20c 情報端末
210、210b、710、710b 入出力部
220、720、720b センサー
230、230b、730、730b 通信部
30、30b、30c 決済サーバ
310、310b、310c 送受信部
320、320b、320c 判定部
330a、330b、330c 登録データ
340、340b 決済部
40 決済用口座
50、50b、50c 手のひら
60、62、64、66 データ
610、650 検知情報(検知情報A)、検知情報B
620、670 金銭情報
630 承認者情報
640、680 利用者
660 決裁者ID
690 決済条件