(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025784
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】プリント配線板の修理方法及び再生プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/22 20060101AFI20240216BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240216BHJP
H05K 3/06 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H05K3/22 A
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H05K3/22 D
H05K3/22 E
H05K3/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185079
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2022127750の分割
【原出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】513260122
【氏名又は名称】株式会社スカイテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100195431
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 史樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 庄次郎
【テーマコード(参考)】
2H197
5E339
5E343
【Fターム(参考)】
2H197AA22
2H197CA07
2H197HA02
2H197HA03
2H197JA15
2H197JA17
5E339BC02
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5E339EE10
5E343AA02
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5E343DD01
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5E343ER43
5E343ER45
5E343FF01
5E343FF02
5E343FF16
5E343GG20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プリント配線板の修理方法及び再生プリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】パッド110又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、プリント配線板100の所定範囲に対してフォトレジスト410を塗布する塗布工程と、塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト410部分を除去する現像工程と、現像工程後、プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、メッキ工程後、所定範囲を削り、所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、を含む。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲に対してフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、
前記メッキ工程後、前記所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、を含むプリント配線板の修理方法。
【請求項2】
パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、
前記削り工程後、前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属で回路パターンを印刷する回路印刷工程と、を含むプリント配線板の修理方法。
【請求項3】
パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲に、導電性インクを塗布するインク塗布工程と、
前記塗布工程後、前記プリント配線板の所定範囲において、レーザ光を用いて回路パターンを前記導電性インクが塗布された上に、修理箇所の回路パターンのレイアウトを描くレーザ工程と、前記レーザ工程後、洗浄液によって不要な導電性インク部分を除去する洗浄工程と、を含むプリント配線板の修理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の修理方法及び再生プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)等の半導体の製造工程は、まず最初に、回路・パターン設計をし、ガラス板の表面に設計した回路パターンを描くマスク製造工程を行う。
【0003】
このガラス板がウェーハーに回路を転写するための原版(マスタ)となる。
【0004】
次に、シリコンのウェーハーを製造するウェーハー製造工程を行い、そして、製造されたウェーハーに回路パターンを焼き付ける前工程を行う。
【0005】
ウェーハー製造工程では、シリコンインゴット切断、作成したウェーハーの研磨が行われる。
【0006】
前工程では、ウェーハー表面に酸化膜を形成させ、その上に様々な材料の薄膜を形成させることによって、回路パターンを形成する。
【0007】
また、前工程では、ウェーハーに形成された数百個のチップの一つ一つに対して、プローブ(針)を接触させて電気的に問題がないかのウェーハーテストが行われる。
【0008】
次に、ウェーハーをチップごとに切断し(ダイシング)、チップをリードフレームに固定し、チップとリードフレームを金線で接続した後(ワイヤーボンディング)、チップを傷や衝撃から保護するため樹脂でパッケージするモールディングを行う後工程を行う。
【0009】
後工程では、パッケージ組立後に、電気的特性試験(ファイナルテスト)や外観検査が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ファイナルテストでは、ICとテスターとを接続するために、パフォーマンスボード(テスター用テストボード)に取り付けられたICソケットに、ICを取り付けてテストを行う。
【0012】
パフォーマンスボードのパッドとICソケットとは、スプリングプローブ(ポゴピン)によって接続される。
【0013】
しかし、ファイナルテストにおいて、ICをICソケットに押さえつけるとき、スプリングプローブがパフォーマンスボードのパッドにあたり、パッド又はパターンが損傷や剥離してしまう場合がある。
【0014】
パッドが一つでも損傷又は剥離すると、接触抵抗が増加したり、接触不能となる場合があり、そのパフォーマンスボードが使用できなくなってしまうおそれがあるという問題があった。
【0015】
特許文献1には、液晶パネル、半導体基板、プリント配線基板などの電気回路基板上に形成された配線の断線を補修する配線補修方法および配線補修装置に関するものが記載されている。
【0016】
この配線補修方法は、電子回路基板上に形成された配線の断線部に、平面視で、その断線部より広い領域にわたってマスキング剤を塗布してレーザ光を照射し、断線部を含む配線領域のマスキング剤を除去した後に、このマスキング剤が除去された配線領域に導電性のある物質を含んだ溶液を塗布すると共に、この導電性のある物質を含んだ溶液にレーザ光を照射して加熱することにより導電性のある物質の薄膜を析出させて断線部を接続するものである。
【0017】
これにより、断線の接続部の形状を電子回路基板上の配線の形状に整合させ、配線の補修をその形状に合わせて正確に行うようにしている。
【0018】
しかしながら、特許文献1に係る発明では、パフォーマンスボード等のプリント配線板のパッドが損傷や剥離した場合には利用し難いという問題がある。
【0019】
また、ウェーハー検査工程におけるウェーハーテストにおいても同様の問題が生じる。
【0020】
具体的には、ウェーハーテストのたびにスプリングプローブがパフォーマンスボードを押すが、パフォーマンスボードのパッドの位置とスプリングプローブの位置とが正確に合っていないとパッドが損傷や剥離をするおそれがある。
【0021】
本発明の目的は、損傷又は剥離したプリント配線板を修理することである。
【0022】
本発明の他の目的は、損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法を提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、再生プリント配線板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の局面に係るプリント配線板の修理方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、
前記メッキ工程後、前記所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、
前記削り工程によって削った部分にフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な前記導電性を有する金属を除去し、修理箇所の回路パターンを再生するエッチング工程と、を含むプリント配線板の修理方法である。
【0025】
前記削り工程は、前記プリント配線板に設けられていたパターンの導電性を有する金属が露出するまで削るものであってもよい。
【0026】
このようは方法であれば、簡単に回路パターンを再生することができ、廃棄されていたプリント配線板を再び使用することができる。
【0027】
本発明の第2の局面に係るプリント配線板の修理方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲に対してフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、
前記メッキ工程後、前記所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、を含むプリント配線板の修理方法である。
【0028】
このようなプリント配線板の修理方法であっても第1の局面と同様の効果を奏する。
【0029】
本発明の第3の局面に係るプリント配線板の修理方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲を、樹脂に到達するまで削る削り工程と、
前記削り工程によって削り取った部分に導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、
前記メッキ工程後、前記メッキ工程によってメッキした部分にフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な前記導電性を有する金属を除去し、修理箇所の回路パターンを再生するエッチング工程と、を含むプリント配線板の修理方法である。
【0030】
このようなプリント配線板の修理方法であっても第1の局面及び第2の局面と同様の効果を奏する。
【0031】
本発明の第4の局面に係るプリント配線板の修理方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、
前記削り工程後、前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属で回路パターンを印刷する回路印刷工程と、を含むプリント配線板の修理方法である。
【0032】
このようなプリント配線板の修理方法であれば、メッキ工程、マスク工程、エッチング工程が不要であり、かつ、簡単に回路パターンを再生することができ、廃棄されていたプリント配線板を再び使用することができる。
【0033】
本発明の第5の局面に係るプリント配線板の修理方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲に、導電性インクを塗布するインク塗布工程と、
前記塗布工程後、前記プリント配線板の所定範囲において、レーザ光を用いて回路パターンを前記導電性インクが塗布された上に、修理箇所の回路パターンのレイアウトを描くレーザ工程と、前記レーザ工程後、洗浄液によって不要な導電性インク部分を除去する洗浄工程と、を含むプリント配線板の修理方法である。
【0034】
このようなプリント配線板の修理方法であれば、メッキ工程、マスク工程、エッチング工程が不要であり、かつ、簡単に回路パターンを再生することができ、廃棄されていたプリント配線板を再び使用することができる。
【0035】
本発明の第6の局面に係るプリント配線板の修理方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の修理方法であって、
潰れて所定範囲からはみ出した部分のパッドを削る前処理工程と、
前記前処理工程後、前記プリント配線板の所定範囲において、導電性インクを塗布するインク塗布工程と、
前記インク塗布工程後、塗布された前記導電性インクを焼成する焼成工程と、
前記焼成工程後、前記プリント配線板の所定範囲に対してフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な前記導電性を有する金属を除去し、修理箇所の回路パターンを再生するエッチング工程と、を含むプリント配線板の修理方法である。
【0036】
このようなプリント配線板の修理方法であっても、簡単に回路パターンを再生することができ、廃棄されていたプリント配線板を再び使用することができる。
【0037】
本発明の第7の局面に係るプリント配線板の修理方法は、第1の局面乃至第3の局面に係る修理方法であって、前記エッチング工程後、ニッケルメッキ及び金メッキを行い、回路パターンを再生する回路パターン工程を含むプリント配線板の修理方法である。
【0038】
本発明の第8の局面に係る再生プリント配線板の製造方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の製造方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、
前記メッキ工程後、前記所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、
前記削り工程によって削った部分にフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な前記導電性を有する金属を除去し、修理箇所の回路パターンを再生するエッチング工程と、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0039】
このような方法であれば再生プリント配線板を製造することができる。
【0040】
本発明の第9の局面に係る再生プリント配線板の製造方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の製造方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲に対してフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、
前記メッキ工程後、前記所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0041】
このような方法であっても、第8の局面に係る製造方法と同様の効果を奏する。
【0042】
本発明の第10の局面に係る再生プリント配線板の製造方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の製造方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲を、樹脂に到達するまで削る削り工程と、
前記削り工程によって削り取った部分に導電性を有する金属でメッキをするメッキ工程と、
前記メッキ工程後、前記削り工程によって削り取った部分にフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な前記導電性を有する金属を除去し、修理箇所の回路パターンを再生するエッチング工程と、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0043】
このような製造方法であれば、第8の局面及び第9の局面に係る製造方法と同様の効果を奏する。
【0044】
本発明の第11の局面に係る再生プリント配線板の製造方法は、パッドが損傷又は剥離したプリント配線板を再生するプリント配線板の製造方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲を削り、前記所定範囲が平坦になるまで削る削り工程と、
前記削り工程後、前記プリント配線板の所定範囲を、導電性を有する金属で回路パターンを印刷する回路印刷工程と、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0045】
このような製造方法であれば、メッキ工程、マスク工程、エッチング工程が不要であり、かつ、再生プリント配線板を製造することができる。
【0046】
本発明の第12の局面に係る再生プリント配線板の製造方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の製造方法であって、
前記プリント配線板の所定範囲に、導電性インクを塗布するインク塗布工程と、
前記塗布工程後、前記プリント配線板の所定範囲において、レーザ光を用いて回路パターンを前記導電性インクが塗布された上に、修理箇所の回路パターンのレイアウトを描くレーザ工程と、前記レーザ工程後、洗浄液によって不要な導電性インク部分を除去する洗浄工程と、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0047】
このような製造方法であっても、メッキ工程、マスク工程、エッチング工程が不要であり、かつ、再生プリント配線板を製造することができる。
【0048】
本発明の第13の局面に係る再生プリント配線板の製造方法は、パッド又はパターンが損傷又は剥離したプリント配線板の製造方法であって、
潰れて所定範囲からはみ出した部分のパッドを削る前処理工程と、
前記前処理工程後、前記プリント配線板の所定範囲において、導電性インクを塗布するインク塗布工程と、
前記インク塗布工程後、塗布された前記導電性インクを焼成する焼成工程と、
前記焼成工程後、前記プリント配線板の所定範囲に対してフォトレジストを塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、修理箇所の回路パターンのレイアウトデータを使用して露光し、回路パターンを焼き付ける露光工程と、
前記露光工程後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する現像工程と、
前記現像工程後、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な前記導電性を有する金属を除去し、修理箇所の回路パターンを再生するエッチング工程と、を含むプリント配線板の製造方法である。
【0049】
このような製造方法であっても再生プリント配線板を製造することができる。
【0050】
本発明の第14の局面に係る再生プリント配線板の製造方法は、第8の局面乃至第10の局面に係る再生プリント配線板の製造方法であって、前記エッチング工程後、ニッケルメッキ及び金メッキを行い、回路パターンを再生する回路パターン工程を含む再生プリント配線板の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明に係る一実施形態のプリント配線板の平面図。
【
図3】同実施形態の銅でメッキしたプリント配線板の平面図。。
【
図4】同実施形態の銅でメッキしたプリント配線板の側断面の概念図。
【
図5】同実施形態のプリント配線板の一部を削った平面図。
【
図6】同実施形態のプリント配線板の一部を削った側断面の概念図。
【
図7】同実施形態のプリント配線板の一部を削った側断面の概念図。
【
図8】同実施形態のプリント配線板の一部を削った側断面の概念図。
【
図9】本発明に係る一実施形態のプリント配線板の修理方法のフローチャート。
【
図10】本発明に係る一実施形態のプリント配線板の側断面の概念図。
【
図11】同実施形態のプリント配線板の側断面の概念図。
【
図12】同実施形態のプリント配線板の側断面の概念図。
【
図13】同実施形態のプリント配線板の側断面の概念図。
【
図14】本発明に係る一実施形態のプリント配線板の修理方法のフローチャート。
【
図15】本発明に係る一実施形態のプリント配線板の修理方法のフローチャート。
【
図16】本発明に係る一実施形態のプリント配線板の側断面の概念図。
【
図17】同実施形態のプリント配線板の側断面の概念図。
【
図18】同実施形態のプリント配線板の側断面の概念図。
【
図19】本発明に係る一実施形態のプリント配線板の修理方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態に関して図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、樹脂200上のパッド110が損傷及び剥離しているパフォーマンスボード100の例である。また、
図9は、第1実施形態に係る修理方法又は再生プリント配線板の製造方法のフローチャートである。
【0053】
プリント配線板の表面にはソルダーレジストが塗布されておらず、銅や金などの金属箔が剥き出しの部分があり、この部分はパッドまたはランドと呼ばれている。
【0054】
パッドは、表面実装部品をハンダ付けする為や、回路の途中から信号を入出力するために用いられ、四角形や円形をしている。
【0055】
ランドは、スルーホールの周りにあり、リード部品をスルーホールに通して半田付けするために用いられる。
【0056】
パターンは、プリント配線板で、銅箔によって基板上に作られ、電気を通す配線のことをいう。パフォーマンスボードでは、複数並んだパッドからパターンによって、周囲に配線が引き出されている。
【0057】
図3及び
図4に示すように、まず最初に、パフォーマンスボード100のパッド110又はパターンが含まれるような所定の範囲を全部銅310でメッキをする(ステップS11、メッキ工程)。具体的には、
図2に示す所定範囲の枠Aを銅でメッキをする。
【0058】
これにより、潰れたり剥がれたりしたパッド110又はパターンの上に銅でメッキされる。
【0059】
本実施形態では、銅310でメッキしているが、銅310でメッキする前に、パッド110又はパターンが潰れて、本来のパッド110又はパターンの範囲からはみ出した部分のパッド110又はパターンを削り取り、パッド110又はパターン同士でショートしないようにしてもよい。
【0060】
本来のパッド110又はパターンの範囲からはみ出した部分のパッド110又はパターンは、エッチングで溶かしてもよく、レーザーで焼いたり、CO2ブラスタ等によって吹き飛ばしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、パフォーマンスボードが用いられているが、その他のプリント配線板であってもよい。
【0062】
なお、本実施形態においては、銅が使用されているが、銅以外にも金、銀等の導電性を有する金属であってもよい。
【0063】
次に、
図5及び
図6に示すように、銅でメッキした部分Bを上から削り(削った状態C)、元の回路パターンの銅320(パッド110又はパターン)をCで表すように露出させる(ステップS12、削り工程)。
【0064】
具体的には、銅310でメッキした部分Bを元の回路パターンの金とニッケル部分まで削り、元の回路パターンの銅320を露出させる。
【0065】
つまり、元の回路パターンの銅が露出するまで(到達するまで)、銅310でメッキした部分Bを削り取る。
【0066】
これにより、
図6に示すように、元の回路パターンの銅320とメッキした銅310は平面(平坦)になる。
【0067】
なお、「回路パターン」とは、銅箔等の導電性を有する金属箔を用いて作られたパターンのことをいう。
【0068】
また、本実施形態では、削り工程において、元の回路パターンにメッキされている銅320を露出させるまで削っているが、平坦(平面、平坦)になればよく、銅320を露出させなくてもよい。
【0069】
次に、
図7に示すように、削った部分Cにフォトレジスト410を塗布する(ステップS13、塗布工程)。
【0070】
次に、フォトレジスト410の塗布工程後、削った部分Cに、修理箇所(削った部分C)の回路パターンと同じレイアウト(レイアウトデータ)のフォトマスク500を使用して、露光する(ステップS14、露光工程)。
【0071】
つまり、フォトマスク500を通して光を照射し、回路パターンを焼き付ける。
【0072】
本実施形態では、修理箇所の回路パターンのレイアウト(レイアウトデータ)を使用しているが、必ずしも修理前と同じレイアウト(レイアウトデータ)でなくても、修理可能なレイアウト(レイアウトデータ)であればよい。
【0073】
本実施形態では、フォトマスク500はフォトレジスト410に接触した状態で光が照射されている。
【0074】
フォトマスクは、フォトレジスト410に接触させずに、離れた場所から縮小レンズを通して光を照射し、回路パターンを焼き付けてもよい。
【0075】
「フォトマスク」とは、LSIなど集積回路の製造工程で使用される部材であり、表面の遮光膜にごく微細な回路パターンをエッチングした透明なガラス板であり、回路をシリコンウェーハーに焼き付けるときの原版である。
【0076】
次に、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する(ステップS15、現像工程)。
【0077】
次に、エッチングを行い、
図8に示すように、回路パターンに沿って不要な銅を除去し、元の回路パターンを再生する(ステップS16、エッチング工程)。
【0078】
エッチングには、酸やアルカリの水溶液を用いたウェットエッチングとガスをプラズマ化し用いるドライエッチングがある。
【0079】
次に、ニッケルメッキ、金メッキを行い、回路パターンを再生する(ステップS17、第2メッキ工程)。
【0080】
<第2実施形態>
図10から
図13は、第2実施形態に係るプリント配線板の修理方法又は再生プリント配線板の修理方法である。
図14は、第2実施形態に係るプリント配線板の修理方法又は再生プリント配線板のフローチャートである。
図10に示すように、パッド110又はパターンが潰れており、本来のパッド110又はパターンの範囲からはみ出した部分のパッド110又はパターンを削り取り、パッド110又はパターン同士でショートしないようにする(ステップS21、前処理工程)。
【0081】
本来のパッド110又はパターンの範囲からはみ出した部分のパッドは、エッチングで溶かしてもよく、CO2ブラスタ等によって吹き飛ばしてもよい。
【0082】
次に、
図10に示すように、パフォーマンスボード100の所定範囲にフォトレジスト410を塗る(ステップS22、塗布工程)。
【0083】
「フォトレジスト」とは、光に反応してエッチングに耐える性能を持つ、ポリマー・感光剤・溶剤を主成分とする液状の化学薬品のことである。
【0084】
フォトレジスト410は、例えば、スピン塗布(スピンコート)で成膜し、膜厚は数百nm~数μmである。
【0085】
「スピン塗布」とは、高速回転の遠心力を使い平面な基材に塗膜を構成させる装置を用いた塗布のことをいう。
【0086】
フォトレジスト410では、光を受けた部分が化学反応しポリマーの極性や分子量を変えることで現像選択性を付加する。
【0087】
ソルダーレジスト400は、修理前のプリント配線板に載っているレジストである。
【0088】
具体的には、ソルダーレジスト400とは、プリント配線板(PWB)の表面を覆い、回路パターンを保護する絶縁膜となるインキのことである。
【0089】
次に、
図11に示すように、フォトマスク500でソルダーレジスト400及びフォトレジスト410をマスクし、露光する(ステップS23、露光工程)。
【0090】
これにより、修理箇所の回路パターンが焼き付けられる。
【0091】
次に、マスクしたパッド110又はパターン部分のフォトレジスト410を、現像液を使用して除去する(ステップS24、現像工程)。
【0092】
なお、ポジ式では感光した箇所、ネガ式では感光しなかった箇所のフォトレジスト410が除去されるが、ポジ式及びネガ式のどちらでもよい。
【0093】
本実施形態では、ポジ式であり、感光した箇所のフォトレジスト410が除去される。
【0094】
次に、
図12に示すように、所定範囲を銅310でメッキをする(ステップS25、メッキ工程)。具体的には、第1実施形態の
図3と同様である。
【0095】
次に、
図13に示すように、パッド110間の銅310を取り除くため、元のパッド110までの高さまで上部から削り、パッド110の銅320を露出させる(ステップS26)。具体的には、第1実施形態の
図5と同様である。
【0096】
なお、回路パターンを削る高さは、平坦にすればよく、パッド110間の銅310が取り除ければ元の回路パターンの高さまで削らなくてもよい。
【0097】
次に、ニッケルメッキ、金メッキを行い、回路パターンを再生する(ステップS27、第2メッキ工程)。
【0098】
図13に示すように、銅310の周りにフォトレジスト410を残しておくことにより(パッド110の周辺がフォトレジスト410で覆われることにより)、スプリングプローブによるパッド110の変形を防止することができる。
【0099】
つまり、スプリングプローブがパッド110の中心からズレた位置で接触しても、パッド110の周辺にフォトレジスト410があることにより、スプリングプローブがフォトレジスト410により支えられ、スプリングプローブの押圧によるパッド110の部分的損傷を防ぐことができる。
【0100】
<第3実施形態>
図15に示すように、第3実施形態では、まず最初に所定範囲の枠Aの部分を樹脂200に到達するまで削る(ステップS31、削り工程)。
【0101】
つまり、所定範囲の枠A内の損傷したパッド110だけでなく、損傷していないパッド110(銅320)等も樹脂200に到達するまで削る。
【0102】
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、平坦になるように削ればよく、樹脂200に到達するまで削らなくてもよい。また、樹脂200を削ってもよい。
【0103】
次に、削り取った部分に銅310でメッキする(ステップS32、メッキ工程)。
【0104】
次に、メッキした部分にフォトレジスト410を塗る(ステップS33,塗布工程)。
【0105】
次に修理箇所の回路パターンのレイアウト(レイアウトデータ)のフォトマスク500を使って、露光する(ステップS34、マスク工程)。
【0106】
次に、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な銅310を除去し、元の回路パターンを再生する(ステップS35、エッチング工程)。
【0107】
次に、ニッケルメッキ、金メッキを行い、回路パターンを再生する(ステップS36、第2メッキ工程)。
【0108】
<第4実施形態>
また、第1実施形態から第3実施形態では、銅310によりメッキをしていたが、メッキではなく、導電性Cuナノインク等の導電性インクを塗布して焼成し銅を析出させてもよい。
【0109】
具体的には、
図16乃至
図19に示すように、まず、パッド110が潰れて、本来のパッド110の範囲からはみ出した部分のパッドを削り取り、パッド110同士でショートしないようにする(ステップS41、前処理工程)。
【0110】
本来のパッド110の範囲からはみ出した部分のパッドは、エッチングで溶かしてもよく、CO2ブラスタ等によって吹き飛ばしてもよい。
【0111】
次に、
図16に示すように、所定範囲に導電性Cuナノインク600を塗布する(ステップS42、インク塗布工程)。
【0112】
次に、塗布した導電性Cuナノインク600にキセノンランプを照射し、導電性Cuナノインク600を焼成し、銅610を析出させる(ステップS43、焼成工程)。
【0113】
本実施形態ではキセノンランプを照射することによって導電性Cuナノインク600を焼成しているが、LED光又はレーザ光を照射して焼成させてもよい。
【0114】
次に、
図17に示すように、析出した銅610の上にフォトレジスト410を塗布する(ステップS44、塗布工程)。
【0115】
本実施形態では、導電性Cuナノインク600を焼成した後、フォトレジスト410を塗布しているが、フォトレジスト410を塗布する前に、表面を平坦にするための削り工程を行ってもよい。
【0116】
次に、フォトレジスト410を塗布した後、修理箇所の回路パターンと同じレイアウトのフォトマスク500を使用して露光する(ステップS45、マスク工程)。
【0117】
次に、マスクしたパッド110又はパターン部分のフォトレジスト410を、現像液を使用して除去する(ステップS46、現像工程)。
【0118】
次に、
図18に示すように、エッチングを行い、回路パターンに沿って不要な銅610を除去し、元の回路パターンを再生する(ステップS47、エッチング工程)。
【0119】
次に、ニッケルメッキ、金メッキを行い、回路パターンを再生する(ステップS48、第2メッキ工程)。
【0120】
<その他の実施形態>
第1実施形態から第3実施形態では、銅310によりメッキをしていたが、メッキではなく、3Dプリンタを利用して、銅、銀、金等の導電性を有する金属で直接、回路パターンを印刷してもよい(回路印刷工程)。
【0121】
この場合、回路パターンを印刷するため、メッキ工程、マスク工程、エッチング工程は不要である。
【0122】
また、第1実施形態から第4実施形態では、フォトマスク500を使用して、元の回路パターンを再生していたが、紫外線によるレーザ光を利用してもよい(レーザ工程)。
【0123】
つまり、フォトマスク500を使用せずに、紫外線レーザ光を用いて直接回路パターンをフォトレジスト410が塗布された上に描いて元の回路パターンを再生してもよい(レーザ工程)。
【0124】
なお、レーザ工程後、マスクしたパッド110又はパターン部分のフォトレジスト410は、現像液を使用して除去される(現像工程)。
【0125】
回路パターンを再生後、エッチング工程によりエッチングによって、回路パターンに沿って不要な銅を除去する。
【0126】
また、第1実施形態から第4実施形態では、エッチングによって、回路パターンに沿って不要な銅を除去し、元の回路パターンを再生していたが、導電性Cuナノインク等の導電性インクを用いて、インクジェット又はグラビア印刷によって回路パターンを印刷し(回路印刷工程)、前記導電性インクを焼成して(焼成工程)、銅等の金属を析出させて元の回路パターンを再生してもよい。
【0127】
この場合、回路パターンを直接描くため、メッキ工程、マスク工程、エッチング工程は不要である。
【0128】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。
【符号の説明】
【0129】
100 パフォーマンスボード(プリント配線板)
110 パッド
200 樹脂(プリプレグ樹脂)
310 銅
320 銅
400 ソルダーレジスト
410 フォトレジスト
500 フォトマスク
600 導電性Cuナノインク