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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025800
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】光触媒空気浄化ユニットおよび装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20240216BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240216BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20240216BHJP
   B01J 35/39 20240101ALI20240216BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/20
F24F8/167
B01J35/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205401
(22)【出願日】2023-12-05
(62)【分割の表示】P 2022008107の分割
【原出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】502046696
【氏名又は名称】東洋興商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 博美
(72)【発明者】
【氏名】因幡 和晃
(57)【要約】
【課題】主に、光触媒空気浄化フィルタの形状や構成などを好適化して、スペース効率や空気浄化能力を向上し得るようにする。
【解決手段】光触媒空気浄化ユニット11は、内部に不規則な三次元の連続気孔を有する金属多孔体12に光触媒2を担持させた筒状の光触媒空気浄化フィルタ3と、光触媒2を励起する細長い光源4と、一対の端板13と、を備える。
一対の端板13は、光触媒空気浄化フィルタ3を、多重に配置した状態で保持するフィルタ保持部13a~13cと、光触媒空気浄化フィルタ3の間の隙間に光源4を保持する保持穴13d,13eと、を有する。
一方の端板13は、中心部に設けた開口部に筒片63aが突設される。他方の端板13は、閉じた円盤状とされるか、または、中心部に、一方の端板13の筒片63aと互いに嵌合して直列連結が可能な別の筒片63bを有するリング状とされている。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に不規則な三次元の連続気孔を有する金属多孔体に光触媒を担持させた筒状の光触媒空気浄化フィルタと、
筒状の前記光触媒空気浄化フィルタの長さ方向に延びて前記光触媒を励起する光を照射する細長い光源と、
前記光触媒空気浄化フィルタの両端部を保持する一対の端板と、を備え、
一対の前記端板は、多数の前記光触媒空気浄化フィルタを、周方向に均一な環状の隙間を有して多重に配置した状態で保持するフィルタ保持部と、
前記光触媒空気浄化フィルタの間の前記環状の隙間に前記光源を保持する保持穴と、を有し、
一方の前記端板は、中心部に設けた、最も内側に位置する前記光触媒空気浄化フィルタの内側の空間と連通する開口部に筒片が突設され、
他方の前記端板は、前記中心部に前記開口部を有していない閉じた円盤状とされるか、または、前記中心部に、前記内側の空間と連通して、一方の前記端板の前記筒片と互いに嵌合することで直列連結が可能な別の筒片を有するリング状とされていることを特徴とする光触媒空気浄化ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光触媒空気浄化ユニットであって、
前記フィルタ保持部は、前記端板とは別部材でできたフィルタ保持部材に設けられると共に、
前記フィルタ保持部材は、前記中心部に設けた前記開口部と一致するリング部と、前記リング部から放射状に延びる複数本のアーム部とを有して、
前記端板に固定具で固定されていることを特徴とする光触媒空気浄化ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光触媒空気浄化ユニットであって、
前記光源の前記保持穴は、
一方の前記端板に設けられた貫通穴、および、
他方の前記端板に設けられた有底穴または凹穴とされ、
細長い前記光源は、一端が前記有底穴または前記凹穴に嵌め込まれ、
他端が前記貫通穴から突出されることを特徴とする光触媒空気浄化ユニット。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の光触媒空気浄化ユニットであって、
一対の前記端板の間には、前記光触媒空気浄化フィルタと同じ長さに間隔を保持する間隔保持部が設けられていることを特徴とする光触媒空気浄化ユニット。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の光触媒空気浄化ユニットであって、
前記端板には、支持固定部材が取付けられていることを特徴とする光触媒空気浄化ユニット。
【請求項6】
請求項1に記載された光触媒空気浄化ユニットを内部に設置するチャンバーが設けられ、
前記チャンバーは、内部が、床状の仕切部材で上下の空間に仕切られ、
前記光触媒空気浄化ユニットは、前記筒片と前記別の筒片との嵌合により上下に複数段直列に連結した状態で前記仕切部材の上に設置され、
最下段の前記光触媒空気浄化ユニットは、前記仕切部材に形成された貫通部分に、下側の前記端板の前記中心部から突設された、前記内側の空間と連通する前記筒片が接続され、
最上段の前記光触媒空気浄化ユニットは、上側の前記端板が、前記中心部に前記開口部を有していない閉じた円盤状とされたことを特徴とする光触媒空気浄化装置。
【請求項7】
請求項1に記載された光触媒空気浄化ユニットを内部に設置する横長のチャンバーが設けられ、
前記チャンバーは、内部が、垂直な仕切部材で上流側の空間と下流側の空間とに仕切られ、
前記光触媒空気浄化ユニットは、前記上流側の空間に単数設けられ、
前記光触媒空気浄化ユニットは、前記仕切部材に形成された貫通部分に、一方の前記端板の前記中心部に形成した前記開口部が接続され
他方の前記端板が、前記中心部に前記開口部を有していない閉じた円盤状とされ、
前記チャンバーは、開閉可能な作業用開口を有し、前記光触媒空気浄化ユニットは、前記作業用開口を通して着脱できるように前記チャンバーに設置されていることを特徴とする光触媒空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光触媒空気浄化ユニットおよび装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光触媒を用いた脱臭装置が既に実用化されている。光触媒を用いた脱臭装置は、光触媒を担持させた光触媒フィルタと、光触媒を活性化する光源とを備えている。光触媒を用いた脱臭装置では、光源を点灯して、光源からの光によって光触媒を活性化させ、処理ガスを光触媒フィルタへ通すことにより、光触媒フィルタに担持された光触媒によって、処理ガス中に含まれる臭気成分を分解するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
既存の光触媒フィルタでは、フィルタ本体に、平板状をした多孔体(例えば、セラミック多孔体)を使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-050979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、光触媒を用いた脱臭装置では、使用する光触媒や光源の種類によって性能がほぼ決まるものと考えられている。そのため、光触媒を担持する光触媒フィルタ自体についてはあまり重要視されておらず、例えば、光触媒フィルタの形状や構成が、脱臭装置の性能にどのような影響を与えるのかについての研究はこれまで特に行われていなかった。そのため、光触媒フィルタの形状や構成にはまだ工夫・改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる状況に鑑み、光触媒フィルタの形状や構成について検討したものである。なお、光触媒を用いた脱臭装置は、平板状の光触媒フィルタを説明するための一例として記載したものであり、本発明の空気浄化装置は、脱臭装置には限られない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に対して、本発明は、
内部に不規則な三次元の連続気孔を有する金属多孔体に光触媒を担持させた筒状の光触媒空気浄化フィルタと、
筒状の前記光触媒空気浄化フィルタの長さ方向に延びて前記光触媒を励起する光を照射する細長い光源と、
前記光触媒空気浄化フィルタの両端部を保持する一対の端板と、を備え、
一対の前記端板は、多数の前記光触媒空気浄化フィルタを、周方向に均一な環状の隙間を有して多重に配置した状態で保持するフィルタ保持部と、
前記光触媒空気浄化フィルタの間の前記環状の隙間に前記光源を保持する保持穴と、を有し、
一方の前記端板は、中心部に設けた、最も内側に位置する前記光触媒空気浄化フィルタの内側の空間と連通する開口部に筒片が突設され、
他方の前記端板は、前記中心部に前記開口部を有していない閉じた円盤状とされるか、または、前記中心部に、前記内側の空間と連通して、一方の前記端板の前記筒片と互いに嵌合することで直列連結が可能な別の筒片を有するリング状とされている光触媒空気浄化ユニットを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記構成によって、光触媒空気浄化フィルタの形状や構成などを好適化して、スペース効率や空気浄化能力を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態にかかる光触媒空気浄化ユニットを備えた光触媒空気浄化装置の、建物のダクトに対する設置状態を示す図である。
図2】光触媒を用いた空気浄化の基本的な構造または原理を示す斜視図である(平板状の光触媒空気浄化フィルタを用いた場合)。
図3】光触媒空気浄化装置に用いる光触媒空気浄化ユニットの単体の外形を示す斜視図である。
図4図3の光触媒空気浄化ユニットの内部構造を示す縦断面図である。
図5】第一連通部を処理ガスの入口部とした場合の、処理ガスの流れを示す、側方から見た光触媒空気浄化ユニットの上側部分の縦断面図である。
図6】第一連通部を処理ガスの出口部とした場合の、処理ガスの流れを示す、側方から見た光触媒空気浄化ユニットの上側部分の縦断面図である。
図7】光触媒空気浄化ユニットの端面形状を示す図であり、(a)は円筒形のもの単体、(b)は三角形のもの単体、(c)は六角形のものを複数束ねてダクト内へ挿入した状態である。
図8】(a)は光源の形状、構造を示す図、(b)は筒状の光触媒空気浄化フィルタに対する光源の設置状態を示す斜視図である。
図9】横置型光触媒空気浄化装置を側方から見た縦断面図である。
図10】縦置型光触媒空気浄化装置を側方から見た縦断面図である。
図11】大規模化した縦置型光触媒空気浄化装置を側方から見た縦断面図である。
図12図11の縦置型光触媒空気浄化装置に使用する光触媒空気浄化ユニットを半割にしたものの分解斜視図である。
図13図12の端板の部品図である。(a)は底面図、(b)は上面図、(c)は縦断面図である。
図14図11の縦置型光触媒空気浄化装置に使用する光源の平面図である。
図15図11の縦置型光触媒空気浄化装置の変形例にかかる縦置型光触媒空気浄化装置であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図16図15の内部に設置された光触媒空気浄化ユニット全体の縦断面図である。
図17図16の上段の上側の端板であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
図18図16の下段の上側の端板であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
図19】上側の端板の下面に取付けられる別体のフィルタ保持部材であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
図20】上段及び下段に共通となる下側の端板であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA部の半径方向の縦断面図、(c)は(a)のB部の半径方向の縦断面図、(d)は(a)のC部の半径方向の縦断面図、(e)は(a)のD部の半径方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図20は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例0011】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0012】
図1に示された光触媒空気浄化装置1は、図2のように、光触媒2を担持させたフィルタ(光触媒空気浄化フィルタ3)と、光触媒2を活性化する光源4とを備えている。
【0013】
ここで、光触媒空気浄化装置1は、光触媒2を用いて空気やガスなどの気体(処理ガス5)を浄化する装置である。処理ガス5は、光触媒空気浄化装置1で浄化されるガスである。処理ガス5は、臭気成分を含んでいれば、どのようなものでも良い。処理ガス5は、臭気成分以外の成分を含んでいても良い。処理ガス5は、光触媒空気浄化装置1へ通され、光触媒空気浄化装置1の内部で、光触媒反応によって浄化され、未処理ガスから処理済ガスへと変化される。光触媒空気浄化装置1には、脱臭装置が含まれる。但し、光触媒空気浄化装置1は脱臭装置に限るものではない。
【0014】
光触媒2は、光を吸収して活性化し、他の物質に化学反応(光触媒反応)を起こさせる触媒機能を発揮する。光触媒反応は、光触媒2と光とを利用した酸化・還元反応である。光触媒反応によって、臭気成分やその他の成分は、水と二酸化炭素などに分解される。
【0015】
光触媒空気浄化フィルタ3は、光触媒2が担持されたフィルタである。光触媒空気浄化フィルタ3の基材6には通気性を有する耐火材が使用される。光触媒空気浄化フィルタ3は、気体が内部を透過(または通過)する際や、面に沿って移動する際などに臭気成分やその他の成分が光触媒2に接触することで、光触媒反応によってこれらを分解し、空気浄化や脱臭などを行う。光触媒空気浄化フィルタ3では、光触媒反応によって、付着した油分なども分解される。よって、光触媒空気浄化フィルタ3は、セルフクリーニング機能も有している。光触媒空気浄化装置1は、他の方式の空気浄化装置と比べて、浄化能力が高く、ランニングコストが低く、維持管理やメンテナンスなどが容易である。
【0016】
光源4は、光触媒2を活性化する光を発生する。光源4には、UV-A(波長域300~400nmの紫外線A波)を発生する紫外線ランプが使われる。また、例えば、光源4には、UV-Aを発生する紫外線LEDランプが使われる。また、例えば、光源4には、UV-Aを含む可視光を発生する可視域LEDランプを使うこともできる。紫外線ランプ、紫外線LED、可視域LEDランプは、いずれか1種類を選択して使用することができる。また、紫外線ランプ、紫外線LED、可視域LEDランプは、少なくとも2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの光源4は、UV-Aによる殺菌効果が期待できる。光源4は、光量を一定とすることができる。また。光源4は、光量を調整可能とすることができる。この場合、光量を多くすることで、光触媒2はより活性化される。反対に、光量を少なくすることで、光触媒2の活性化が抑制される。光量は、処理ガス5の流量などに応じて最適に調整される。
【0017】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例では、以下のような構成を備えることができる。
【0018】
(1)まず、図3は光触媒空気浄化ユニット11を示している。
この光触媒空気浄化ユニット11では、図4の断面図に示すように、
金属多孔体12に光触媒2を担持させた光触媒空気浄化フィルタ3a~3cが筒状に形成される。
筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、一重または多重(二重を含む)に配置した状態で、両端部を端板13によって塞がれる。
最も内側に位置する筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aの内側の空間15は、一方の端板13に形成された第一連通部16によって外部と連通される。
【0019】
筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、一重の状態で設置しても良い。また、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、二重以上の多重の状態で設置しても良い。光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、二重以上の多重に設置するのが好ましい。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、二重に配置することで、処理ガス5中のほとんどの臭気成分を浄化する効果が得られる。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、三重以上に配置することで、より高レベルに処理ガス5を浄化することができる。実用上は、二重~五重程度にするのが好ましい。この実施例では、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、三重に設置している。この際、一重または多重に設置された筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、むき出しのままでも良い。しかし、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、ケース17の内部に収容するのが好ましい。ケース17を設ける場合、ケース17は、後述するように、外周面17aと、一対の端面17b,17cとを有するものとしても良い。外周面17aは、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの外周を、隙間を有して取り囲む。隙間は僅かでも良い。端面17b,17cは、外周面17aの端部を塞いでケース17を閉じる。また、端面17b,17cは、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの端部を塞ぐこともできる。そして、ケース17には、外部と内部とを連通する第二連通部19が形成される。第二連通部19は、ケース17の内部における、最も外側に位置する筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの外側の空間18に連通する。第二連通部19は、ケース17の外周面17aに形成しても良い。この場合、第二連通部19は、ケース17の外周面17aの一部に形成することができる。第二連通部19は、ケース17の外周面17aの全部に形成することができる。または、第二連通部19は、ケース17の(第一連通部16とは反対側に位置する)端面17cに形成しても良い。または、第二連通部19は、端板13に形成することもできる。なお、ケース17を設けない場合、最も外側に位置する筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bが第二連通部19と同じ機能を果たす。
【0020】
ここで、光触媒空気浄化ユニット11は、空気浄化に必要な最低限の構成を一つにまとめてユニット化したものである。光触媒空気浄化ユニット11は、少なくとも一つの光触媒空気浄化フィルタ3と、光源4とを備える。光源4は、光触媒空気浄化フィルタ3に光を照射するケース17も光触媒空気浄化ユニット11に含むことができる。この実施例では、光触媒空気浄化フィルタ3は、3つの光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを備えている。光触媒空気浄化装置1は、単数の光触媒空気浄化ユニット11によって構成することができる。または、光触媒空気浄化装置1は、複数の光触媒空気浄化ユニット11で構成することができる。
【0021】
金属多孔体12は、工業系のフィルタや食品調理用のフィルタなど、様々な分野で濾過用のフィルタなどに使用されている多孔性の金属材料である。金属多孔体12は、内部に無数の微細な孔を有するポーラス金属である。金属多孔体12は、表面と裏面と内部の全体に亘って不規則で微細な三次元の連続気孔を有している。金属多孔体12は、スポンジのような立体的な網目構造を有している。そのため、金属多孔体12は、素材自体が通気性を有している。よって、金属多孔体12は、例えば、パンチングプレートなどのような密な組織の金属材に規則的な孔を加工によって形成した多孔板とは全く質の異なる素材である。金属多孔体12は、空孔率が90%~95%程度のものを使用するのが好ましい。
【0022】
なお、金属多孔体12を、濾過用のフィルタではなく、光触媒2を用いた光触媒空気浄化フィルタ3の基材6にして実用レベルで運用している例は見当たらない。しかし、金属多孔体12は、微細な三次元の連続気孔によって広い表面積を有すると共に、処理ガス5を通す(透過させる)通気性素材である。そのため、金属多孔体12は、表面と裏面と内部の連続気孔に光触媒2を担持させることで、光触媒空気浄化フィルタ3としての使用が期待される。
【0023】
また、金属多孔体12は、例えば、金属繊維や金属粉末を焼結してできる金属製の多孔質材(焼結材、焼結金属)と比べて、格段に大きい多孔率(空孔率)を有しており、内部構造も異なっている。そのため、この実施例で対象としている金属多孔体12は、焼結材とは異なる素材であり、焼結材よりも光触媒空気浄化フィルタ3に適した基材6になることが期待される。そして、金属多孔体12を用いて光触媒空気浄化フィルタ3を試作し各種の実験やシミュレーションを行った。その結果、金属多孔体12が、光触媒空気浄化フィルタ3の基材6として良好なことが実際に確認された。
【0024】
金属多孔体12は、板状(厚板状)のものが既に市販されているのでそれを使用することができる。金属多孔体12は、ニッケル、銀、銅、アルミニウム、ニッケルクローム、ニッケル-スズ、ニッケル-鉄のうちの少なくとも1種類以上の材料で形成されたものを使用するのが好ましい。特に、金属多孔体12は、素材にニッケルを含んでいることが好ましい。
【0025】
なお、金属多孔体12は、これまで光触媒フィルタとして使用していたセラミック多孔体とは、多孔部分の内部構造が異なっている。そのため、金属多孔体12は、既存の光触媒フィルタと性能が違ってしまうおそれがある。そこで、金属多孔体12を用いて、実験を行った。その結果、セラミック多孔体の場合とほぼ同等かそれ以上の性能を得るためには、条件があることが判明した。その条件とは、金属多孔体12に、厚みtと、1インチ当たりの平均セル数Cとの積(t×C)が100以上、400以下のものを使用することである。金属多孔体12の厚みtは、処理ガス5の圧力損失に関する指標となる。平均セル数Cは、臭気成分と光触媒2との接触機会に関する指標となる。上記条件を満たすことにより、金属多孔体12を用いた場合の、圧力損失と接触機会とが最適化される。例えば、厚みtと平均セル数C(ppi)とが、15mm×9ppi=135、10mm×15ppi=150、10mm×25ppi=250、15mm×15ppi=225、15mm×25ppi=375のものが良好であることが確認された。即ち、厚みtが10mm~15mm、平均セル数Cが9ppi~25ppiの範囲内の金属多孔体12を、積(t×C)が100以上、400以下となるように組み合わせて使用するのが良いことが確認された。また、金属多孔体12は、紫外線の透過率が8%以下のものを使用するのが好ましいことも確認された。紫外線の透過率は、光の利用効率に関する指標となる。透過率を8%以下で0%よりも大きくすることで、金属多孔体12を用いた場合の、光の利用効率が最も高くなり、金属多孔体12の表面と裏面と内部の光触媒2が最大限に活性化される。
【0026】
光触媒2には、酸化チタンを用いるのが好ましい。または、光触媒2には、酸化チタンを含んだものを用いるのが好ましい。光触媒2は、金属多孔体12に対し、連続気孔を塞がないように、全体に均一に分散された状態で担持させるのが好ましい。
【0027】
筒状の光触媒空気浄化フィルタ3(筒状金属多孔体フィルタ)は、光触媒空気浄化フィルタ3を筒状に形成したものである。筒状にすることで、光触媒空気浄化フィルタ3はそのまま処理ガス5の通路になる。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3は、同じ大きさの空間に対し、平板状のものよりも大きな設置面積を確保できる。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3は、平板状の金属多孔体12を曲げ加工して形成できる。
【0028】
筒状の光触媒空気浄化フィルタ3は、円錐筒状や、角錐筒状などの様々な形状にすることができる。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3は、ほぼ均一の厚みおよびほぼ均一の断面形状を有して、全長に亘って径がほぼ一定の筒体とするのが好ましい。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3は、円筒形とすることができる。また、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3は、角筒形とすることができる。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3は、円筒形にするのが好ましい。この実施例では、上記したように、長さが同じで径が異なる大小複数の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを、同心状に多重に設置している。これにより、光触媒空気浄化ユニット11は、構造の簡略化および集約化と、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの設置面積の拡大との両立が得られる。この実施例では、図5図6に示すように、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを三重に配置することで、光触媒空気浄化ユニット11は、その構造および規模をより簡略化および最適化している。ただし、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの設置数は、必ずしも三重には限らない。例えば、設置数は、二重、四重、または五重以上にすることもできる。
【0029】
多重化した大小の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、間に、周方向にほぼ均一で全長に亘って延びる隙間をそれぞれ有して設置するのが好ましい。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの断面が円形の場合、上記した隙間は周方向に均一になる。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの断面が角形の場合には、辺の部分の隙間は均一となり、角の部分の隙間は不均一になる。なお、周方向の隙間の大きさ(径方向の寸法)は、各層ごとに異なっても良い。しかし、周方向の隙間の大きさは、各層で同じに揃えるのが好ましい。
【0030】
筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、両端部に端板13を当接して両端部を塞ぐことで、筒の内側と外側に2つの処理ガス5の通路を形成する。そして、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、多重に配置して同一の端板13で両端部をそれぞれ塞ぐことで、一度に多数(本数+1)の処理ガス5の通路を層状に形成する。
【0031】
また、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを、一対の端板13によって挟むことで、筒間の隙間が保持され、処理ガス5の通路が規定される。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、少なくとも一方の端部を端板13に取付けることで、位置が固定される。
【0032】
ケース17は、特に設けなくても良い。ケース17を設ける場合には、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを、隙間を有して内部に収容できるものとする。ケース17は、どのような大きさや形状としても良い。ケース17は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cと同じく筒型で、全長に亘って均一断面のものとするのが好ましい。
【0033】
そのために、筒型のケース17は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cに沿って延びる筒状の外周面17a(筒部)を主に有する。外周面17aは、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bと比べて、断面が大きく、長さがほぼ同じか、それよりも若干長くなっている。例えば、外周面17aは、端板13や端面17b,17cの厚み分程度、光触媒空気浄化フィルタ3bよりも長くすることができる。ケース17に対し、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、その中心を、外周面17aの中心またはその近傍に合わせた状態で、外周面17aとの間に周方向にほぼ均一な間隔(外側の空間18)を有して収容設置するのが好ましい。
【0034】
ケース17の一対の端面17b,17cは、外周面17aの両端を塞ぐように形成される。端面17b,17cは、少なくとも一方を、外周面17aの断面とほぼ同じ大きさや形状にして、外周面17aの両端内部に嵌合するように内側に設置しても良い。または、端面17b,17cは、少なくとも一方を、外周面17aの両端が当接するような所要の大きさや形状として、外周面17aの外側に設置しても良い。この実施例では、両方の端面17b,17cを外周面17aの内側に設置するようにしている。
【0035】
筒状の外周面17aは、どのような断面形状としても良い。例えば、外周面17aは、円形断面とすることができる。円形断面は、真円形(図7(a))とすることができる。円形断面は、長円形、楕円形などのいずれかとしても良い。また例えば、外周面17aは、角型断面とすることができる。角型断面は、多角形断面、特に正多角形断面とするのが好ましい。角型断面は、三角形(図7(b))とすることができる。角型断面は、四角形とすることができる。角型断面は、五角形、七角形以上のいずれかとすることができる。この実施例では、ケース17は、(正)六角形断面としている(図7(c))。これにより、ケース17は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを内部に収容し易く、収容したときに、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cとの間に均一に近い周方向の隙間を形成し易くなる。また、(正)六角形断面のケース17は、ケース17どうしを互いに密に、そして、より多くの数を組み合わせることができ、強度も確保し易くなる。なお、ケース17を三角形断面や四角形断面などの角型断面にした場合にも、六角形断面と同様のメリットが得られる。角型断面のケース17は、断面形状の異なるものどうしを組み合わせて設置しても良い。ケース17内に収容される筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、円筒形にするのが好ましい。しかし、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、三角形以上の角形断面にしても良い。例えば、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、三角形断面などとしても良い。この場合、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、ケース17と同じ断面形状の角筒形にして、面の位置や角の位置を周方向に揃えて同心状に設置するのが好ましい。これにより、例えば、三角形断面(角形断面)のケース17に対する三角形断面(角形断面)の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの設置面積を増やすことができる。
【0036】
ケース17の外周面17aは、どのような素材で形成しても良い。外周面17aは、金属で形成するのが好ましい。また、外周面17aは、樹脂、その他の素材で形成することもできる。ケース17は、薄肉で形状保持性を有する素材を使用するのが好ましい。外周面17aには、例えば、図3に示すように、通気性のない一般的な材質の平板材(無孔材21)を単体で使うことができる。また、外周面17aには、例えば、有孔材22を単体で使うことができる。または、無孔材21と有孔材22は、適宜組み合わせて使うことができる。無孔材21は、それ自体に孔を有していない素材である。有孔材22には、平板材を板金加工した多孔板22aが含まれる。多孔板22aには、例えば、平板材に多数の貫通孔を加工形成したパンチングメタルが含まれる。多孔板22aには、平板材に多数の貫通する切り込みを入れて面方向に引き伸ばしたエキスパンドメタルが含まれる。また、多孔板22aには、平板材に切り起こしによる多数の貫通孔を形成したプレス材が含まれる。多孔板22aには、ランス曲げによる多数のブリッジを形成したプレス材なども含まれる。また、有孔材22には、平板材以外の材料から作られた多孔材22bなどが含まれる。多孔材22bには、例えば、金網がある。多孔材22bには、アルミなどの金属繊維を、通気性を有するようにまとめて板状に加工形成した金属フィルタ材などがある。多孔材22bは、形状保持性がないか弱い場合には、枠などに取付けて設置しても良い。上記した金属多孔体12も、ケース17の外周面17aに使用することができる。なお、ケース17の外周面17aを有孔材22にした場合には、光触媒空気浄化フィルタ3bの外側の空間18は、ほぼなくすことが可能である。
【0037】
なお、図では、一度にまとめて示すために、ケース17は、外周面17aの各面に、無孔材21と有孔材22(多孔板22a、多孔材22b)とをそれぞれ配したものとなっている。しかし、実際には、ケース17は、外周面17aを全周同じ素材で形成することを基本とする。そして、必要な場合には、外周面17aの一部に他の素材を適宜組み合わせて使用しても良い。
【0038】
ケース17の端面17b,17cは、外周面17aの両端またはその近傍に、互いに間隔を有してほぼ平行に一対設けられる。端面17b,17cは、どのような素材で形成しても良い。端面17b,17cは、金属で形成するのが好ましい。端面17b,17cは、樹脂、その他の素材で形成することもできる。端面17b,17cには、通気性のない一般的な材質の平板材(無孔材21)が使われる。このような端面17b,17cに対して第一連通部16や第二連通部19が後加工によって適宜貫通形成される。端面17b,17cは、ケース17の外周面17aと一体に形成することもできる。端面17b,17cは、外周面17aとは別の部材で形成することもできる。そして、別の部材で形成した端面17b,17cは、外周面17aに対し着脱可能(または分解可能)に設置しても良い。これにより、外周面17aから端面17b,17cを外すことで、内部のメンテナンスができる。端面17b,17cは、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの両端部を塞ぐ端板13として使用しても良い。ただし、端板13は、端面17b,17cとは別部材で形成しても良い。
【0039】
内側の空間15は、光触媒空気浄化ユニット11の最も内側となる処理ガス5の通路であり、最も内側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aの内部空間とされる(第一空間)。
【0040】
第一連通部16は、内側の空間15を外部と繋ぐ開口である。端面17bと端板13とが同一部材の場合には、第一連通部16は、端面17b(端板13)のほぼ中心位置を貫通する貫通孔とされる。ほぼ中心位置は、内側の空間15と対応または合致する位置である。この実施例では、第一連通部16は、最も内側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aの内径と、ほぼ同径かそれよりも若干小径で、同じ(断面)形状とされている。これにより、第一連通部16は、より大きな開口面積が確保される。または、第一連通部16は、ケース17の外部と、内側の空間15とを直接連通する連通口である。例えば、端面17bと端板13を別部材にした場合には、第一連通部16は、外部から端面17bおよび端板13を貫通する筒部材などとなる。第一連通部16は、後述するように、光触媒空気浄化ユニット11を直列に連結する場合には、隣接する内側の空間15どうしを連通するのにも使うことができる。
【0041】
外側の空間18は、ケース17の外周面17aの内側に形成された、最も外側となる処理ガス5の通路である。または、外側の空間18は、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの外部空間とされる(第二空間)。外側の空間18は、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの周方向および長さ方向に沿って延びる環状の通路となる。
【0042】
第二連通部19は、ケース17が設けられる場合に、外側の空間18を外部に繋ぐ孔、または、ケース17の外部と、外側の空間18とを連通する連通孔などとして設けられる。第二連通部19は、第一連通部16とは反対側の端面17c(または端板13)の外周部分を貫通する貫通孔とされる。または、第二連通部19は、ケース17の外周面17aを貫通する貫通孔とされる。
【0043】
端面17cなどに設けられる第二連通部19は、外側の空間18と対応する(合致する)外周側の位置に形成される。外周面17aに設けられる第二連通部19は、外周面17aのどの位置に設けても良い。例えば、外周面17aが無孔材21でできている場合には、第二連通部19は、第一連通部16から最も離れた他方の端面17cの近傍などに設けるのが好ましい。この場合、第二連通部19は、端面17cと外周面17aの一方に対し、単数または複数設けることができる。または、第二連通部19は、端面17cと外周面17aの両方に対し、それぞれ単数または複数設けることができる。そして、複数の第二連通部19は、周方向に等間隔に形成するのが好ましい。第二連通部19は、第一連通部16と同じ開口面積となるように大きさや数を調整して設けることができる。しかし、第二連通部19は、第一連通部16より開口面積を大きくしても良い。反対に、第二連通部19は、第一連通部16より開口面積を小さくしても良い。
【0044】
また、外周面17aの全部または一部に有孔材22を使用している場合には、第二連通部19は、有孔材22の部分に多数形成される。この場合、第二連通部19は、外周面17aの全域に設けるのが好ましい。外周面17aに有孔材22を用いることで、処理ガス5中に含まれる油分を、有孔材22で捕集するグリスフィルタとしての効果も得られる。グリスフィルタは、油分を捕集するために、光触媒空気浄化フィルタ3よりも、処理ガス5の流れの上流側の位置に、必要に応じて設けられるものである。
【0045】
なお、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを多重構造にした場合、ケース17の内部には、内側の空間15と外側の空間18との他にも、中間の空間23,24(図4)が形成される(第三空間)。中間の空間23,24は、大小(または内外)の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの相互間の隙間に、単数または複数(枚数-1)形成される。中間の空間23,24は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの周方向および長さ方向に沿って延びる環状の通路となる。例えば、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを三重構造にした場合には、三つの筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの間に二つの中間の空間23,24が形成される。そして、内側の空間15、中間の空間23,24(の各々)、外側の空間18は、それぞれ互いに独立した空間とされ、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの連続気孔のみによって繋がれる。
【0046】
図8に示すように、中間の空間23,24(図8(b))には、光源4(図8(a))を配置するのが好ましい。光源4は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの長さ方向および周方向の全域に対して、光をほぼ均等に照射するように設けるのが好ましい。中間の空間23,24に対し、光源4は、単数設けることができる。中間の空間23,24に対し、光源4は、複数設けることができる。光源4は、中間の空間23,24を形成する内外の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの両方へ向けて光を照射するように設けられる。
【0047】
中間の空間23,24が複数ある場合には、光源4は、全ての中間の空間23,24にそれぞれ設置するのが好ましい。光源4は、例えば、LEDなどの発光素子4aを複数繋げて線状にしたライン照明を、全体として中間の空間23,24とほぼ同じ長さおよびほぼ同じ幅寸法となるように形成することができる。このライン照明は、両面発光できるように、背中合わせに貼付けて一体化される。または、光源4は、中間の空間23,24とほぼ同じ幅寸法を有する細長い支持板4bに対し、複数の発光素子4aを片面に取付けたものを、背中合わせに貼付けたり、両面に取付けたりして両面発光できるようにする。この支持板4bは、全体として中間の空間23,24とほぼ同じ長さに形成される。支持板4bは、単数または多数繋げて上記長さに形成したものとしても良い。図では、支持板4bは、2本を繋げる構成にしている。支持板4bは、1本で構成しても良い。支持板4bは、3本以上を繋げる構成にしても良い。光源4は、表面に、例えば、防汚コーティングを施すのが好ましい。防汚コーティングには、シリコーン系やフッ素系などのコーティング剤を使用することきができる。そして、上記のような細長い光源4は、中間の空間23,24に、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの長さ方向および径方向へ向くように挿入して設置される。ただし、光源4の構成は、上記に限るものではない。
【0048】
このような長さ方向に延びる細長い光源4は、中間の空間23,24に対し、光をほぼ均等に照射するのに必要な所要の間隔を有して周方向に複数箇所設置しても良い。この実施例では、細長い光源4は、周方向に等間隔で六箇所設けられている。但し、細長い光源4の設置個数は、六箇所に限らない。細長い光源4を、周方向に複数箇所取付けることで、各層の中間の空間23,24は、複数の円弧状断面の部分に仕切られる。中間の空間23,24では、処理ガス5に、周回するような周方向の流れは特に必要ないので、細長い光源4にて仕切っても影響はない。なお、ライン照明は、幅寸法を狭くすることで、中間の空間23,24を仕切らないようにできる。中間の空間23,24は、複数ある場合には、図8(b)に示すように、内外の各層間で、周方向の同じ位置に細長い光源4を設けても良い。中間の空間23,24を細長い光源4で周方向の複数の部分に仕切った場合には、他方の端面17cや無孔材21により外周面17aに形成される第二連通部19は、仕切られた各部分に対して個別に設けるのが好ましい。
【0049】
細長い光源4は、少なくとも一方の端部を一方の端板13(または端面17b,17c)に対して取付けるなどにより、位置が固定される。この場合、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、端板13に固定された細長い光源4を保持具として径方向の位置を保持させるようにしても良い。また、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、端板13に固定された光源4とは別の保持具によって、径方向の位置を保持させても良い。
【0050】
中間の空間23,24に光源4を配置することで、第一連通部16と第二連通部19のどちらを入口部31にした場合でも、入口部31からケース17内へ入った未処理ガスが、直接光源4に接触するのが防止される。よって、未処理ガスに含まれる油分などが光源4に直接付着しないようにできる。なお、グリスフィルタを設けるなどによって、油分などの付着が問題にならなければ、光源4は、内側の空間15や外側の空間18に設けても良い。
【0051】
(2)図5に示すように、第一連通部16は、処理ガス5の入口部31とされても良い。これにより、第二連通部19が、処理ガス5の出口部32となる。
【0052】
ここで、光触媒空気浄化ユニット11は、処理ガス5の流れに対する設置の向きによって入口部31と出口部32とを自由に設定することができる。入口部31は、処理ガス5がケース17内へ入る上流側の開放部である。第一連通部16は、処理ガス5の流れの上流側へ向けて設置することで入口部31になる。出口部32は、処理ガス5がケース17から外部に出る下流側の開放部である。第二連通部19は、処理ガス5の流れの下流側へ向けられて出口部32とされる。これにより、光触媒空気浄化ユニット11は、例えば、処理ガス5が中心部から入って外周部から出るようになる。第一連通部16を、処理ガス5の入口部31とした場合、上記したグリスフィルタは、設けても良い。また、グリスフィルタは、設けなくても良い。グリスフィルタを設ける場合には、グリスフィルタは、端板13における、第一連通部16の周辺に、第一連通部16を覆うように設置するのが好ましい。第一連通部16の周辺は、第一連通部16の入側でも良い。第一連通部16の周辺は、第一連通部16の内部でも良い。第一連通部16の周辺は、第一連通部16の出側でも良い。グリスフィルタには、未処理ガスに含まれる油分を捕集可能な大きさの目を有する通気性部材が使われる。通気性部材は、例えば、網状体とすることができる。通気性部材は、例えば、不織布とすることができる。この場合、通気性部材を第一連通部16の廻りに装着することで、光触媒空気浄化ユニット11はグリスフィルタを備えたものとなる(グリスフィルタ内蔵型ユニット)。通気性部材は、着脱可能に装着しても良い。または、通気性部材は、着脱不能に装着しても良い。
【0053】
(3)または、図6に示すように、第一連通部16が、処理ガス5の出口部32とされても良い。これにより、第二連通部19が、処理ガス5の入口部31となる。
【0054】
ここで、出口部32は、処理ガス5がケース17から外部に出る下流側の開放部である。第一連通部16は、処理ガス5の流れの下流側へ向けて設置することで出口部32になる。入口部31は、処理ガス5がケース17内へ入る上流側の開放部である。第二連通部19は、処理ガス5の流れの上流側へ向けられて入口部31とされる。これにより、光触媒空気浄化ユニット11は、例えば、処理ガス5が外周部から入って中心部から出るようになる。第二連通部19を、処理ガス5の入口部31とした場合、上記したグリスフィルタは、設けても良い。また、グリスフィルタは、設けなくても良い。グリスフィルタを設ける場合には、グリスフィルタは、第二連通部19の周辺に、第二連通部19を覆うように設置するのが好ましい。第二連通部19の周辺は、第二連通部19の入側でも良い。第二連通部19の周辺は、第二連通部19の内部でも良い。第二連通部19の周辺は、第二連通部19の出側でも良い。グリスフィルタには、上記と同様の通気性部材が使われる。この場合、通気性部材を第二連通部19の廻りに装着することで、光触媒空気浄化ユニット11はグリスフィルタを備えたものとなる(グリスフィルタ内蔵型ユニット)。通気性部材は、着脱可能に装着しても良い。または、通気性部材は、着脱不能に装着しても良い。特に、上記したように、第二連通部19を有孔材22とした場合、有孔材22がグリスフィルタとして機能するが、この場合でも、有孔材22とは別にグリスフィルタとなる通気性部材を設置しても良い。
【0055】
以下、上記した光触媒空気浄化ユニット11を備えた光触媒空気浄化装置1について説明する。
【0056】
(4)光触媒空気浄化装置1は、上記した光触媒空気浄化ユニット11を、単数または図7(c)に示すように複数組み合わせて、処理ガス5を通すダクト41(図1)に対し、ダクト41の通路断面全体を塞ぐように設置しても良い。
【0057】
ここで、ダクト41は、処理ガス5を通す管路である。このようなダクト41は、例えば、図1に示すように、商業施設などの建物42の内部に、吸気ダクトや排気ダクトなどとして設けられる。光触媒空気浄化装置1は、吸気ダクトに設けることができる。光触媒空気浄化装置1は、排気ダクトに設けることができる。光触媒空気浄化装置1は、その他の処理ガス5を流すダクト41に設けることができる。これにより、ダクト41の内部空間が、光触媒空気浄化ユニット11にとっての外部となる。建物42に対し、ダクト41は、少なくとも、各階ごとに横へ延びるように設置される個別ダクト43(または階別ダクト)を有する。ダクト41は、各個別ダクト43を合流しつつ、各階層間に跨って上下に延びる集合ダクト44を有しても良い。個別ダクト43は、建物42の各階の天井部分などに沿って横に設置される。集合ダクト44は、建物42の内部を上下に貫くパイプスペースにほぼ垂直に設置される。または、集合ダクト44は、建物42の外壁に沿ってほぼ垂直に設置されても良い。集合ダクト44は、建物42の屋上まで延ばされても良い。ダクト41は、丸型断面であっても良い。ダクト41は、角型断面であっても良い。ダクト41は、その他の断面形状であっても良い。光触媒空気浄化装置1とダクト41の少なくとも一方には、必要に応じて、処理ガス5をダクト41に流すためのファン45(図10)を適宜設置しても良い。ファン45は、処理ガス5を一定の流量(風量)でダクト41に流すものとしても良い。また、ファン45は、ダクト41を流れる処理ガス5の流量を調整可能なものとしても良い。この場合、ファン45の回転を早くすることで、処理ガス5の流量が多くなる。反対に、ファン45の回転を遅くすることで、処理ガス5の流量が少なくなる。なお、例えば、ファン45の回転数と、光源4の光量とは、連動させて制御するようにしても良い。グリスフィルタを光触媒空気浄化ユニット11とは別に設置する場合(別置型グリスフィルタ)、グリスフィルタはダクト41に対して光触媒空気浄化装置1全体の上流側に位置するように単数設置される。または、グリスフィルタは、ダクト41に対して各光触媒空気浄化ユニット11の上流側に個別に位置するように複数設置しても良い。
【0058】
光触媒空気浄化装置1は、主に、金属多孔体12を基材6とする筒状の光触媒空気浄化フィルタ3を備えた光触媒空気浄化ユニット11を使用して構成される。光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41に対し、ダクト41の通路断面全体を塞いだ状態にして設置されることで、ダクト41を流れる処理ガス5の全量が光触媒空気浄化ユニット11の内部を通るようになる。光触媒空気浄化ユニット11は、個別ダクト43と集合ダクト44との少なくとも一方に設置される。
【0059】
この際、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41に対し、処理ガス5の流れ方向(特に、流入方向)と平行な方向へ筒状の光触媒空気浄化フィルタ3の長さ方向を向けて設けるのが好ましい。しかし、状況によっては、後述するように、光触媒空気浄化ユニット11は、処理ガス5の流れ方向と交差する方向へ筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの長さ方向を向けて設けることもできる。特に、ケース17の外周面17aに対して第二連通部19を形成した場合、または、外周面17aを有孔材22で形成した場合には、第一連通部16と第二連通部19とで処理ガス5の出入りする方向が異なる。よって、この場合、光触媒空気浄化ユニット11は、処理ガス5の流れ方向と直交する方向に筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの長さ方向を向けて設置し易い構造となる。
【0060】
例えば、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41内などに、ダクト41の通路断面全体を塞ぐ仕切部材46(図9)を設けて、この仕切部材46に単数取付けることができる。または、光触媒空気浄化ユニット11は、仕切部材46に複数取付けることができる。そして、光触媒空気浄化ユニット11は、仕切部材46に対し、仕切部材46に設けた単数または複数の貫通部分に、入口部31または出口部32を合わせた状態(または接続した状態)にして取付けても良い。また、光触媒空気浄化ユニット11は、外周面17a全体を無孔材21で形成した場合には、仕切部材46の両側に入口部31と出口部32とが分かれるように、仕切部材46の貫通部分に貫通配置しても良い。この場合、グリスフィルタは、仕切部材46よりも上流側の位置に設けることができる。または、グリスフィルタは、各光触媒空気浄化ユニット11の入口部31よりも上流側の位置に設けることができる。
【0061】
あるいは、光触媒空気浄化ユニット11は、図7(c)に示すように、複数並列に組み合わせて束ねた状態にして、ダクト41内に(直接)挿入配置することで、ダクト41の通路断面全体をほぼ塞ぐことができる。このとき、光触媒空気浄化ユニット11の間、および、束ねた光触媒空気浄化ユニット11の外形とダクト41との間にできる隙間は、入口部31と出口部32とが分かれるようにスペーサを設けて仕切部材46とする。そして、仕切部材46(スペーサ)で適宜通路断面全体を塞ぐようにする。なお、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の断面形状に合わせて外形などを調整・変更することで仕切部材46をなくすようにしても良い。光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の断面形状に合わせて外形全体を調整・変形しても良い。光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の断面形状に合わせて外形の一部、例えば、外側の部分の形状を調整・変形しても良い。この場合、グリスフィルタは、束ねた光触媒空気浄化ユニット11の入口部31よりも上流側の位置などに設けることができる。
【0062】
また、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の途中に、ダクト41の通路断面よりも大きいチャンバー47(図9)を設けて、チャンバー47内に設置しても良い。チャンバー47は、ダクト41の端部に設けても良い。このチャンバー47などに対して、上記のいずれかと同様にして、光触媒空気浄化ユニット11を(ダクト41に間接的に)設置することができる。例えば、チャンバー47に仕切部材46を設けて仕切部材46に光触媒空気浄化ユニット11を取付ける。光触媒空気浄化ユニット11を束ねてチャンバー47に設ける。仕切部材46と光触媒空気浄化ユニット11とを組み合わせてチャンバー47に設ける。この場合、仕切部材46は、チャンバー47の内部を、上流側の空間47aと下流側の空間47bとに仕切るように設けられる。また、グリスフィルタは、上記と同様にダクト41に設ける他にも、チャンバー47の入口に設けることができる。また、グリスフィルタは、チャンバー47内の仕切部材46または光触媒空気浄化ユニット11よりも上流側の位置などに設けることができる。
【0063】
ダクト41またはチャンバー47に対し、光触媒空気浄化ユニット11は、メンテナンスのために着脱できるように設置するのが好ましい。そのために、光触媒空気浄化装置1では、ダクト41またはチャンバー47には、光触媒空気浄化ユニット11を出し入れするための作業用開口を備えるようにする。作業用開口は開閉可能とする。
【0064】
また、上記した光触媒空気浄化装置1は、ダクト41またはチャンバー47に対し、処理ガス5の流れ方向に沿って直列に複数段に配置しても良い。各段の光触媒空気浄化装置1は、光触媒空気浄化ユニット11を単数備えたものとしても良い。また、各段の光触媒空気浄化装置1は、光触媒空気浄化ユニット11を複数並列に束ねたものとしても良い。各段の光触媒空気浄化装置1は、ダクト41またはチャンバー47の通路断面を塞ぐ仕切部材46に光触媒空気浄化ユニット11を取付けたものとしても良い。光触媒空気浄化装置1は、段ごとに異なるものとしても良い。これにより、処理ガス5の浄化能力は、より向上される。
【0065】
(5)図1に示すように、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の入口部分51、中間部分52、出口部分53の少なくともいずれかに設置されても良い。
【0066】
ここで、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41に対し、ダクト41の入口部分51、中間部分52、出口部分53の少なくともどれか1つの位置に対して設置されていれば良い。または、光触媒空気浄化ユニット11は、これらのうちの2つ以上、または、全ての位置に設置しても良い。例えば、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の入口部分51と中間部分52に設けても良い。光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の入口部分51と出口部分53に設けても良い。光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の中間部分52と出口部分53に設けても良い。
【0067】
例えば、光触媒空気浄化ユニット11をダクト41の入口部分51に設けて光触媒空気浄化装置1とする。この場合、ダクト41の入口部分51は、個別ダクト43の上流端またはその近傍(上流側の部分)などに形成される。ダクト41の入口部分51は、単数または複数形成される。ダクト41は、複数に分岐して、入口部分51を複数形成しても良い。例えば、商業施設などの排気ダクトの場合、個別ダクト43の入口部分51は、建物42の各階に設けられた単数または複数の厨房施設54に合わせた位置に設置されることが多い。各厨房施設54における、個別ダクト43の各入口部分51には、レンジフード55が個別に設けられる。そして、光触媒空気浄化装置1は、例えば、各階の全ての厨房施設54のレンジフード55などに対してそれぞれ個別に設置(内蔵)される(個別分散型光触媒空気浄化装置1a)。この場合、処理ガス5は、厨房施設54から発生する調理ガスとなる。調理ガスには、主に、トルエンやアセトアルデヒドなどの臭気成分が含まれている。調理ガスには、その他に、油分や、微粒子や、多環芳香族炭化水素(PAH)などの物質も含まれる。光触媒空気浄化装置1は、これらの物質を光触媒反応によって分解する。ただし、処理ガス5は、調理ガスに限るものではない。処理ガス5は、例えば、工場などからの排ガスなどとすることができる。この場合、グリスフィルタはレンジフード55の入口部分に設置することができる。
【0068】
例えば、光触媒空気浄化ユニット11をダクト41の中間部分52に設けて光触媒空気浄化装置1とする。この場合、ダクト41の中間部分52は、入口部分51と出口部分53との間の広い範囲のうちのいずれかの位置のことである。中間部分52は、例えば、個別ダクト43における、集合ダクト44との合流部分またはその近傍(個別ダクト43の下流側の部分)などとするのが好ましい。この場合、光触媒空気浄化装置1は、少なくとも、全ての個別ダクト43のそれぞれに対し、合わせて個別ダクト43の設置本数分だけ備えられる(中規模分散型光触媒空気浄化装置1b)。光触媒空気浄化装置1は、例えば、各階の個別ダクト43に設置された、個別ダクト43と集合ダクト44とを遮断する防火ダンパ56よりも上流側の位置などに設置するのが好ましい。この場合、グリスフィルタはレンジフード55の入口部分から中規模分散型光触媒空気浄化装置1bの入側までの間に単数または複数設置することができる。
【0069】
例えば、光触媒空気浄化ユニット11をダクト41の出口部分53に設けて光触媒空気浄化装置1とする。この場合、ダクト41の出口部分53は、集合ダクト44の下流端またはその近傍である。集合ダクト44の下流端は、建物42の屋上などへ導かれた集合ダクト44の上端部分またはその近傍となる。これにより、光触媒空気浄化装置1は、建物42の屋上などに集中的に設置されて、ダクト41の出口部分53に接続される(集中型光触媒空気浄化装置1c)。建物42の屋上で光触媒空気浄化装置1によって浄化された空気や処理ガス5(処理済ガス)は、そのまま大気へ放出される。この場合、グリスフィルタはレンジフード55の入口部分から集中型光触媒空気浄化装置1cの入側までの間に単数または複数設置することができる。
【0070】
図9は、より具体的な光触媒空気浄化装置1の構成を示す実施例である。この光触媒空気浄化装置1は、横置きタイプとなっている(横置型光触媒空気浄化装置)。以下、集中型光触媒空気浄化装置1cにした例として説明するが、横置型光触媒空気浄化装置は、これに限らず、例えば、中規模分散型光触媒空気浄化装置1bなどとしても良い。
【0071】
この光触媒空気浄化装置1は、長さ方向の一側(図中左側)にダクト41が接続される取込部47cを有し、他側(図中右側)に排気部47dが取付けられた横長のチャンバー47を備えている。取込部47cには、ダクト41の出口部分53が取付けられている。排気部47dには排気ルーバー57が取付けられている。チャンバー47の内部は、ほぼ垂直な仕切部材46で上流側(図中左側)の空間47aと下流側(図中右側)の空間47bとに仕切られる。チャンバー47内の上流側の空間47aには、光触媒空気浄化ユニット11が、ダクト41の出口部分53との接続部分、および、チャンバー47の内面に対し所要の間隔を有して離間した状態で設置される。この場合、グリスフィルタは、チャンバー47の一側における、ダクト41の出口部分53との接続部分の周辺に設けるのが好ましい。
【0072】
光触媒空気浄化ユニット11は、ケース17の外周面17aの全周を有孔材22で形成して第二連通部19にしたものを、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの長さ方向を横(ほぼ水平)に向けた状態で、単数設けても良い。この実施例では、光触媒空気浄化ユニット11は、長さ方向に複数直列に連結されている。これにより、光触媒空気浄化装置1は、処理ガス5の浄化能力が向上される。隣接する光触媒空気浄化ユニット11は、第一連通部16を有する一方の端板13を排気ルーバー57の側へ向けた状態にして、継ぎ足すように連続的に並べて一体化されている。隣接する光触媒空気浄化ユニット11の間に介在される端板13は、第一連通部16を有する一方の端板13を共用できるようにして、中間板14としている。共通の中間板14を用いることにより、複数の光触媒空気浄化ユニット11をコンパクトに連結できる。中間板14は環状をしており、最も内側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aの内径とほぼ等しい内径と、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bまたはケース17(の外周面17a)の外径とほぼ等しい外径とを有する。そして、中間板14は、隣接する内側の空間15どうしを連通すると共に、隣接する中間の空間23,24どうしの間や隣接する外側の空間18どうしの間を塞ぐ。なお、光触媒空気浄化ユニット11を長さ方向に複数直列に連結する場合、第一連通部16を有さない閉じた端板13は、全体で1箇所設ければ良い。
【0073】
そして、光触媒空気浄化ユニット11は、排気ルーバー57に最も近い一方の端板13(端面17b)の第一連通部16を、仕切部材46の貫通部分に接続した状態で、チャンバー47(上流側の空間47a)内に設置される。これにより、開口部を有していない(無孔の)他方の端板13(端面17c)は、ダクト41の出口部分53の側(図中左側)へ向けられる。
【0074】
これらにより、ケース17の外周面17aの第二連通部19は、ダクト41からチャンバー47内の上流側の空間47aへ入った処理ガス5を全周から光触媒空気浄化ユニット11内へ取り込む入口部31となる。また、第一連通部16は、清浄化した処理ガス5を光触媒空気浄化ユニット11の中心位置を通してチャンバー47内の下流側の空間47bへ送り、排気ルーバー57を介して大気へ放出させる処理ガス5の出口部32となる。なお、光触媒空気浄化ユニット11は、各部をチャンバー47に支持させるようにしても良い。
【0075】
図10は、図9の光触媒空気浄化装置1を、設置面積が小さくて済むように縦置きタイプにした変形例である(縦置型光触媒空気浄化装置)。この縦置型光触媒空気浄化装置は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの長さ方向を縦(ほぼ上下)に向けた状態で、空気浄化ユニット11を、ダクト41の出口部分53の途中に設けられた縦長のチャンバー47内に設置したものである。光触媒空気浄化ユニット11は、ケース17の外周面17aの第二連通部19を入口部31とされる。仕切部材46は、例えば、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの外形とほぼ同じ大きさおよび形状の筒状とされる。仕切部材46は、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの下側に、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cをチャンバー47の底面に対し離して支持するように設けられる。これにより、仕切部材46は、光触媒空気浄化ユニット11の下部をチャンバー47の底面に支持させる。下流側の空間47bは、仕切部材46の内側に形成される。それ以外は、基本的に図9の横置型光触媒空気浄化装置とほぼ同様である。光触媒空気浄化ユニット11は、上下に単段に設置しても良い。また、光触媒空気浄化ユニット11は、上下に多段に設置しても良い。図では、光触媒空気浄化ユニット11は、上下に二段とされている。
【0076】
チャンバー47は、ダクト41の途中に設けられている。ダクト41の上流側部分は、チャンバー47の側面に設けられた取込部47cに横から接続される。ダクト41における、チャンバー47の側面の取込部47cに対する接続部分には、ファン45が設けられる。ダクト41の下流側部分は、チャンバー47の底面における、仕切部材46の内側の排気部47dに接続される。そして、ダクト41の下流側部分は、チャンバー47の底面の排気部47dから下へ出た後に、光触媒空気浄化装置1の中間部よりも高くなるように一旦チャンバー47に沿って上へ取り回される。ダクト41の端部の出口部分53は、チャンバー47の上部に位置して、横(光触媒空気浄化装置1とは反対の側)へ向けられている。この場合、グリスフィルタは、チャンバー47の側面における、ダクト41との接続部分に設けるのが好ましい。例えば、グリスフィルタは、ファン45の入側に設けても良い。グリスフィルタは、ファン45の出側に設けても良い。
【0077】
なお、図では、光触媒空気浄化ユニット11は、第一連通部16が下へ向くように設置されている。しかし、第一連通部16が上へ向くように、全体を上下反転した状態に設置しても良い。この場合、チャンバー47の上面に直接排気ルーバー57を設けるようにしても良い。また、チャンバー47の上面に、ダクト41の下流側部分を接続して、出口部分53を横へ向けても良い。その他の詳細については、図9のものとほぼ同様にすることができる。また、この実施例の構造は、図9のものにもほぼ同様に適用することができる。
【0078】
図11図14は、図10の光触媒空気浄化装置1(縦置型光触媒空気浄化装置)を、より大規模化し易い構造にした変形例である。この光触媒空気浄化装置1は、建屋状にした大型のチャンバー47の一側の側面に、ダクト41の出口部分53またはその近傍部分に接続される取込部47cを有している。チャンバー47の他側の側面には、下部の低い位置に排気部47dを有している。排気部47dには、排気ルーバー57が取付けられる。処理ガス5は、処理前の未処理ガスが一側の側面の取込部47cからチャンバー47内へ横に入り、清浄化された処理済みガスが、他側の側面下部の排気部47dから大気へ直接放出される。但し、図10のように、チャンバー47は、ダクト41の途中に設けても良い。
【0079】
チャンバー47の内部は、取込部47cと排気部47dとの間の位置に、取込部47cと排気部47dを上下に分ける仕切部材46が設けられている。取込部47cと排気部47dは、上下方向に位置をズラして設置される。即ち、チャンバー47の内部は、取込部47cの下部と同じかそれよりも低く、また、排気部47dの上部と同じかそれよりも高い位置に設けられた、ほぼ水平で平坦な床状の仕切部材46によって、上下の空間47a,47bに仕切られている。そして、上側(上流側)の空間47aには、光触媒空気浄化ユニット11が、縦型にして設置される。床状の仕切部材46に対する、光触媒空気浄化ユニット11の平面的な配置は、ランダムとしても良い。この実施例では、光触媒空気浄化ユニット11は、上側(上流側)の空間47aに縦型の状態で取込部47cの側から排気部47dの側へ向け間隔を有して横に複数個並べて設置されている。これにより、光触媒空気浄化装置1は、より多くの光触媒空気浄化ユニット11を効率的に設置でき、処理ガス5の浄化能力が向上される。各光触媒空気浄化ユニット11は、上下に単段とすることができる。または、各光触媒空気浄化ユニット11は、上下に複数段直列に連結した状態としても良い。この実施例では、光触媒空気浄化ユニット11は、上下二段に重ねた状態で横に3個並べて列状に設置している。なお、光触媒空気浄化ユニット11は、例えば、上下2段以上に重ねたものを横に4個以上並べて設置しても良い。この変形例の光触媒空気浄化装置1によれば、仕切部材46を床状にしている。これにより、床面に並べるようにして数多くの光触媒空気浄化ユニット11を設置することができる。そのため、光触媒空気浄化装置1を容易に大規模化することが可能になる。
【0080】
上下の光触媒空気浄化ユニット11は、上記したように、共用の中間板14を用いて一体的に連結しても良い。また、共用の中間板14を用いないで連結しても良い。この実施例では、上下の光触媒空気浄化ユニット11を僅かに離間させた状態で配置し、短い筒部材63を介して、互いに連結している。この場合、隣接する光触媒空気浄化ユニット11の間に、第一連通部16となる開口部を有する一方の端板13と、この開口部に連通する開口部を形成した他方の端板13とをそれぞれ設ける。そして、隣接する端板13の開口部の間を短い筒部材63で連結して、内側の空間15どうしを連通させる。なお、光触媒空気浄化ユニット11は、各部をチャンバー47に支持させるようにしても良い。
【0081】
この際、光触媒空気浄化ユニット11は、上記各実施例と同じものを使用しても良いが、図12の変形例に示すようにしても良い。即ち、光触媒空気浄化ユニット11は、(上下)一対の端板13(図13)の対向面に、互いに対向するフィルタ保持部13a~13cを対にして形成する。フィルタ保持部13a~13cは、例えば、溝部としても良い。そして、一対のフィルタ保持部13a~13cの間に筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの両端部をそれぞれ嵌め込んで、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを、端板13で挟んで保持できるようにする。フィルタ保持部13a~13cは、各光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの端部と同じ形状および大きさとされて、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの数だけ同心状に設けられる。この実施例では、フィルタ保持部13a~13cの溝部は、周方向に連続して延びる周溝となっている。周溝を形成するために、端板13は、周溝の深さよりも厚肉の板状体となっている。
【0082】
更に、光触媒空気浄化ユニット11は、その外側に、グリスフィルタ61と、活性炭フィルタ62などの化学吸着フィルタとを二重にして設置しても良い。そして、最外周のグリスフィルタ61で処理ガス5中に含まれる油分を除去し、その内側の活性炭フィルタ62で処理ガス5中に含まれる空気汚染物質などを吸着除去する。グリスフィルタ61と活性炭フィルタ62は、光触媒空気浄化ユニット11の外側を取囲むケース17の外周面17aとしても機能する。グリスフィルタ61と活性炭フィルタ62は、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cと同様に、上下一対の端板13の間に挟むように設置することもできる。しかし、この変形例のように、グリスフィルタ61と活性炭フィルタ62は、光触媒空気浄化ユニット11に対して着脱交換し易いように、光触媒空気浄化ユニット11の外側に単に被せるように設置しても良い。また、グリスフィルタ61と活性炭フィルタ62とを保持する枠部材を設けても良い。グリスフィルタ61と、活性炭フィルタ62は、例えば、内部に連続気孔を有する多孔質材で構成することができる。また、グリスフィルタ61と、活性炭フィルタ62は、他の素材で形成しても良い。
【0083】
更に、図8(a)に示す、LEDなどの発光素子4aを線状に複数繋げた細長い光源4は、図14に示すように、ガラス管や耐熱ガラス管などの透明な筒状部材4cに収納することで、蛍光灯型(のLEDランプ)に形成しても良い。これにより、光源4の規格形状の統一化が得られ、蛍光灯型の紫外線ランプや紫外線LEDランプや可視域LEDランプなどのどれでも使用できる構成となる。そのために、光触媒空気浄化ユニット11は、端板13の光源4を設置する位置に、蛍光灯型の光源4を嵌込んで保持する保持穴13d,13eを適宜形成する。保持穴13d,13eは、状況に応じて、少なくとも一方または両方を貫通穴としても良い。保持穴13d,13eは、少なくとも一方または両方を有底穴または凹穴としても良い。保持穴13d,13eを有底穴または凹穴とする場合、保持穴13d,13eは、端板13の厚みの範囲内の深さに形成する。光源4を蛍光灯型にする透明な筒状部材4cは、例えば、外周面に、上記した防汚コーティングを施しても良い。
【0084】
この際、発光素子4aを取付ける支持板4bは、筒状部材4cの両端に取付けられる口金4dによって両端をそれぞれ支持固定される。蛍光灯型の光源4は、片側から給電できるように、一端部に整流基板4eを備えるのが好ましい。筒状部材4cの一端部の口金4dのピンと、整流基板4eと、支持板4bに取付けられた各発光素子4aとは、互いに電気的に接続される。給電側のピンは、例えば、縦型配置とした光触媒空気浄化ユニット11に対し、上端側となるように設置される。なお、上記とは逆に、光源4は、給電側のピンを、下端側に向けて設置しても良い。その他の詳細については、図9図10のものとほぼ同様にすることができる。また、この実施例の構造は、図9図10のものにもほぼ同様に適用することができる。
【0085】
図15図20は、図11図14の光触媒空気浄化装置1(縦置型光触媒空気浄化装置)を、更に大規模化した変形例である。この光触媒空気浄化装置1では、建屋状の大型のチャンバー47に対し、上記と同様に、光触媒空気浄化ユニット11の取込部47cから排気部47dへ向かう光触媒空気浄化ユニット11の横並びの列を設ける。そして、横並びの列をチャンバー47の奥行き方向(または幅方向)に対し、間隔を有して、複数並列に設置している。例えば、光触媒空気浄化ユニット11の横の列は、奥行き方向に対し2列に設けても良い。また、例えば、例えば、光触媒空気浄化ユニット11の横の列は、奥行き方向に3列またはそれ以上に設けても良い。列の数は、処理ガス5の流入量または処理量によって設定する。これにより、光触媒空気浄化装置1は、奥行き方向の列数を増やした分だけ処理ガス5の浄化能力が向上される。
【0086】
奥行き方向に位置する光触媒空気浄化ユニット11の横の列どうしは、上方から見て、互いに平行に配置しても良い。この場合、奥行き方向に隣接する光触媒空気浄化ユニット11の中心間の間隔は、等しくなる。また、奥行き方向に位置する光触媒空気浄化ユニット11の横の列どうしは、上方から見て、互いに非平行に配置しても良い。この実施例では、図15(a)(b)に示すように、奥行き方向に2列に配置した光触媒空気浄化ユニット11の横の列は、上方から見て、奥狭まりのV字状に傾斜配置されている。この場合、奥行き方向に隣接する光触媒空気浄化ユニット11の中心間の間隔は、取込部47cの側から排気部47dの側へ向けて徐々に狭くなっている。これにより、取込部47cからチャンバー47内へ入った処理ガス5を、奥側に位置する光触媒空気浄化ユニット11にも直接当てることが可能になる。よって、奥側に位置する光触媒空気浄化ユニット11をより有効に使用することができる。
【0087】
なお、建屋状のチャンバー47は、両端面のほぼ同じ位置に、高さ、および、大きさをほぼ揃えた状態で取込部47cと排気部47dとを設けるようにしている。そのために、水平な床状の仕切部材46は、光触媒空気浄化ユニット11を設置するほとんどの部分を床状のままにして、排気部47dの側の一部をほぼ垂直上方に立ち上がってチャンバー47の上面に達する縦壁46aにしている。これにより、チャンバー47の内部で下流側の空間47bを排気部47dに接続することが可能になる。また、チャンバー47の側面には、作業用開口が備えられている。作業用開口は、光触媒空気浄化ユニット11を出し入れしたり、メンテナンスしたりするためのものである。作業用開口には開閉扉47eが設けられる。開閉扉47eは、閉じることでチャンバー47を密閉する。
【0088】
更に、この実施例では、光触媒空気浄化ユニット11の端板13を以下のようにしている。即ち、端板13は、図12図13のものと比べて薄い金属板によって構成している。そして、図17に示す上段(H)の光触媒空気浄化ユニット11の一方(上側)の端板13(A)と、図18に示す下段(L)の光触媒空気浄化ユニット11の一方(上側)の端板13(B)とを、若干異なる形状にしている。また、図20に示す光触媒空気浄化ユニット11の他方(下側)の端板13(C)を、上段(H)および下段(L)とで共用化している。即ち、上段(H)の一方の端板13(A)は円盤状をしている。下段(L)の一方の端板13(B)はリング板状をしている。下段(L)の他方(下側)の端板13(C)はリング板状をしている。そして、光触媒空気浄化ユニット11を上下に3段以上に設置する場合には、下段(L)の一方の端板13(B)と下段(L)の他方(下側)の端板13(C)とを用いた光触媒空気浄化ユニット11を増設するようにする。
【0089】
そして、フィルタ保持部13a~13cを、溝部ではなく、一対の端板13の対向面から突出する突起部(係止用凸部)としている。突起部は、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの端部の内周部を内側から係止保持する。または、突起部は、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの端部の外周部を外側から係止保持する。突起部は、周方向に連続して延びる環状凸部としても良い。また、突起部は、周方向に対して不連続な不連続凸部としても良い。この実施例では、突起部は、不連続凸部としている。不連続凸部は、少なくとも周方向に3箇所以上設けられる。3箇所以上の不連続凸部は、周方向にほぼ均等な位置に設けるのが好ましい。不連続凸部の周方向の設置数は、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの大きさなどに応じて任意に設定することができる。これにより、各光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを安定して周方向および径方向に保持することができる。
【0090】
この際、上段(H)の光触媒空気浄化ユニット11の上側に位置する一方の端板13(A)のフィルタ保持部13a~13cとなる突起部は、端板13とは別体のフィルタ保持部材71(図19)で構成している。同様に、下段(L)の光触媒空気浄化ユニット11の上側に位置する一方の端板13(B)のフィルタ保持部13a~13cとなる突起部は、端板13とは別体のフィルタ保持部材71(図19)で構成している。そして、フィルタ保持部材71は、端板13(A),13(B)の下面にボルト・ナットなどの固定具で固定される。
【0091】
フィルタ保持部材71は、端板13と同様の薄い金属板によって構成している。フィルタ保持部材71は、第一連通部16となる開口部とほぼ一致する形状および大きさの開口を有するリング部71aと、リング部71aから放射状に延びる複数本のアーム部71bとを有している。リング部71aには、内周側に位置する光源4と干渉する部分に切欠部71cを有している。切欠部71cは、光源4を収容し、係止保持する機能を有する。アーム部71bの本数は何本としても良いが、光源4の周方向の設置本数と同じにするのが好ましい。この実施例では、アーム部71bを六本としている。フィルタ保持部13a~13cは、アーム部71bに形成される。フィルタ保持部13a~13cは、フィルタ保持部材71を面外方向に曲げ加工して形成される。または、フィルタ保持部13a~13cは、フィルタ保持部材71にL字状の金具を取付けることによって形成される。
【0092】
なお、フィルタ保持部材71を設けない場合には、フィルタ保持部13a~13cとなる突起部は、端板13(A),13(B)の下面に直接取付ける。また、下側に位置する他方の端板13(C)については、フィルタ保持部13a~13cとなる突起部は、上面に直接取付けられている。しかし、他方の端板13(C)についても、フィルタ保持部13a~13cとなる突起部は、上記と同様の別体のフィルタ保持部材を設けて、フィルタ保持部材を他方の端板13(C)の上面にボルト・ナットなどの固定具で固定するようにしても良い。
【0093】
そして、一方の端板13(A),13(B)は、光源4の保持穴13d,13eを貫通穴としている。また、他方の端板13(C)は、光源4の保持穴13d,13eを有底穴または凹穴としている。有底穴または凹穴は、別体で作成したカップ状の部材72を貫通穴の部分に取付けるようにしても良い。また、有底穴または凹穴は、他方の端板13をプレス加工などによって一体に凹設形成しても良い。これにより、蛍光灯型の光源4を、上側の貫通穴から下へ挿入して、光源4の下端部を下側の有底穴または凹穴に嵌合させるだけで、簡単に光源4を光触媒空気浄化ユニット11に対して着脱可能にセットできるようになる。そして、光源4の着脱の際に、光触媒空気浄化ユニット11を分解する必要をなくせる。
【0094】
更に、この実施例では、一方の端板13(A),13(B)と他方の端板13(C)との間隔は、蛍光灯型の光源4よりも短くなるように設定されている。そして、少なくとも光源4の上に向けた給電側のピンを有する口金4dが、上側の端板13の貫通穴とされた保持穴13d,13eから上方に突出される。これにより、光触媒空気浄化ユニット11の外部から簡単に給電側のピンに配線73を接続してすることができる。
【0095】
この際、蛍光灯型または細長い光源4は、複数の中間の空間23,24に対し、内外の各層間で、周方向の異なる位置に設けても良い。この場合、例えば、内側の細長い光源4間の周方向の中間部に外側の細長い光源4が位置するように、周方向の位相を互いにズラして設置することができる。これにより、周方向の多くの位置に光源4が分散して配置されるので、周方向に対する光量の均等化が期待できる。
【0096】
そして、上段(H)と下段(L)の光触媒空気浄化ユニット11を連結する筒部材63は、以下のように分けて設けても良い。この実施例では、上段(H)に位置する他方の端板13(C)の開口部に、筒部材63を構成する筒片63aが取付けられている。また、下段(L)に位置する一方の端板13(B)に設けた連通用の開口部に、筒部材63を構成する筒片63bが取付けられている。そして、筒片63aと筒片63bとを周方向に隙間なく嵌合することで筒部材63になる。この実施例では、筒片63aを筒片63bの内側に嵌合するようになっている。反対に、筒片63aを筒片63bの外側に嵌合するようにしても良い。
【0097】
また、上下一対の端板13の間には、間隔保持部材74を設けても良い。間隔保持部材74は、周方向に複数箇所設けられる。この実施例では、間隔保持部材74は、周方向に3複数箇所設けられている。間隔保持部材74は、長尺のボルトとナットなどによる連結部材としても良い。間隔保持部材74は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cとほぼ同じ長さとされる。端板13には、間隔保持部材74を通す位置にボルト孔が設けられる。これにより、一対の端板13間の間隔を、間隔保持部材74によって一定に保持できる。また、一対の端板13の間を、連結部材で連結固定できる。そのため、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを上下一対の端板13で締め付けることがなくなり、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cに過大な荷重が作用するのを防止できる。
【0098】
更に、光触媒空気浄化ユニット11には、各部に光触媒空気浄化ユニット11を支持固定する支持固定部材75~77を設けても良い。支持固定部材75~77は、チャンバー47と光触媒空気浄化ユニット11との間などに設けることができる。また、光触媒空気浄化ユニット11の間などに設けることができる。例えば、支持固定部材75は、上段(H)の光触媒空気浄化ユニット11と、チャンバー47の上面との間に設けることができる。支持固定部材75は、上段(H)の一方の端板13(A)と一体に設けても良い。支持固定部材75は、一方の端板13(A)と別体に設けても良い。この実施例では、支持固定部材75は、一方の端板13(A)の中心部に取付けられている。支持固定部材75は、例えば、側面視ほぼC字状の部材とされる。支持固定部材75は、チャンバー47の上面の高さに応じて複数取付けることができる。また、特に図示しないが、支持固定部材は、光触媒空気浄化ユニット11の側面と、チャンバー47の側面との間に設けることができる。
【0099】
支持固定部材76は、上段(H)の光触媒空気浄化ユニット11と、下段(L)の光触媒空気浄化ユニット11との間に設けることができる。支持固定部材76は、下段(L)の一方の端板13(B)と上段(H)の他方の端板13(C)との間の上下の間隔とほぼ等しい長さとされる。支持固定部材76は、下段(L)の一方の端板13(B)と一体に設けても良い。支持固定部材75は、一方の端板13(B)と別体に設けても良い。支持固定部材76は、一方の端板13(B)の外周部の位置に取付けられている。支持固定部材76は、周方向にほぼ均等に複数箇所設けられている。この実施例では、支持固定部材76は、三箇所設けられている。支持固定部材76は、例えば、側面視ほぼC字状の部材とされる。
【0100】
支持固定部材77は、下段の光触媒空気浄化ユニット11とチャンバー47の仕切部材46との間に設けることができる。支持固定部材77は、下段(L)の他方の端板13(C)と仕切部材46との間の上下の間隔とほぼ等しい長さとされる。支持固定部材77は、下段(L)の他方の端板13(C)と一体に設けても良い。支持固定部材77は、下段(L)の他方の端板13(C)と別体に設けても良い。支持固定部材77は、下段(L)の他方の端板13(C)の外周部の位置に取付けられている。支持固定部材77は、周方向にほぼ均等に複数箇所設けられている。この実施例では、支持固定部材77は、三箇所設けられている。支持固定部材77は、例えば、側面視ほぼL字状の部分を有する部材とされる。支持固定部材77は、例えば、フィルタ保持部13bと一体に形成しても良い。
【0101】
なお、同様の支持固定部材は、図9図14の各場合にも、設けることができる。その他の詳細については、図9図14のものとほぼ同様にすることができる。また、この実施例の構造は、図9図14のものにもほぼ同様に適用することができる。更に、上記した各種の光触媒空気浄化装置1は、いずれも、処理ガス5の風量を任意に調整できるようにする風量調整機能を備えるようにする。また、上記した各種の光触媒空気浄化装置1は、いずれも、光源4の光量を任意に調整できるようにする光量調整機能を備えるようにする。
【0102】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0103】
光触媒2を用いた光触媒空気浄化装置1は、光源4を点灯し、光源4からの光によって光触媒2を活性化させた状態にして、処理ガス5を光触媒空気浄化フィルタ3a~3cへ通す。これにより、光触媒空気浄化装置1は、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cに担持されて活性化した光触媒2によって、処理ガス5中に含まれる臭気成分やその他の成分を分解して処理ガス5や空気を浄化する。
【0104】
既存の光触媒2を用いた脱臭装置では、セラミック多孔体を基材6とする平板状の光触媒フィルタは、処理ガス5の流れを遮るように設置されて、平板状の光触媒フィルタに突き当たった処理ガス5を、面直方向に透過させるようにしていた。
【0105】
しかし、このようにした場合、処理ガス5を平板状の光触媒フィルタまで導くのに、光触媒フィルタとは別に専用の通路などが必要になる。また、処理ガス5は平板状の光触媒フィルタを面直方向に透過するときにしか光触媒2と接触することができない。そのため、処理ガス5が通路を通って光触媒フィルタに達するまでの間は、処理ガス5を光触媒2に接触させられなかった(即ち、光触媒2との接触の機会が少なかった)。
【0106】
そこで、この実施例の光触媒空気浄化装置1は、使用する光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを筒状にした。これにより、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを、例えば、処理ガス5の通路にできる。すると、通路部分に光触媒2が存在するため、処理ガス5が光触媒2と接触する機会を増やすことができる。そして、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、金属多孔体12を基材6にした。これにより、金属多孔体12を使った光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、比較的容易に筒状に形成できる。
【0107】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
(効果 1)基材6に光触媒2を担持させた光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、基材6を金属多孔体12として筒状に形成しても良い。これにより、基材6に金属多孔体12を用いることで、(セラミック多孔体を基材6にした既存の光触媒フィルタと比べて)光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、破損し難く、軽量で取り扱い易くなる。また、金属多孔体12は、比較的入手や加工が容易であり、コストダウンも図れる。
【0109】
光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを筒状にすることで、これまでにない新規な形状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cが得られる。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、それ自体で、処理ガス5を通す通路としての機能や、処理ガス5を透過させる透過壁としての機能などの複数の機能を備える。筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、同じ大きさの空間に対し、平板状のものと比べて、設置面積を大きくできる。しかも、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、必要に応じて長くしたり直列に繋げたりするだけで、設置面積を容易かつ任意に増やすことができる。
【0110】
筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、一重にして、両端部を端板13によって塞いでも良い。これにより、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの両端を塞ぐだけで、内外2つの処理ガス5の通路と、1つの透過壁とを同時に形成することができる。更に、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、多重に配置しても良い。これにより、ガスの通路と透過壁とを増やすと共に、複数の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cをスペース効率良く設置して、光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの設置面積を倍増できる。よって、処理ガス5と光触媒2との接触機会が増え、その分、空気浄化能力を向上することができ、高い空気浄化能力を有する小型の光触媒空気浄化ユニット11を簡単に作成することができる。
【0111】
そして、最も内側に位置する筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aの内側の空間15は、一方の端板13に形成された第一連通部16によって外部と連通されても良い。これにより、内側の空間15と、最も外側に位置する筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの外側の空間18との間に、一重または多重に設置された光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを順に透過する処理ガス5の経路を形成することができる。
【0112】
この際、一重または多重に設置された筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cは、ケース17の内部に収容しても良い。ケース17は、外周面17aの両端に一対の端面17b,17cを有するものとするのが好ましい。そして、一方の端面17bが第一連通部16を有し、他方の端面17cまたは外周面17aに第二連通部19を有するようにしても良い。これにより、光触媒空気浄化ユニット11は、コンパクトにまとめられて、取扱い易くなる。
【0113】
第二連通部19は、ケース17の外部と、最も外側に位置する筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの外側の空間18とを連通する。第二連通部19は、ケース17の外周面17a、または、ケース17の第一連通部16とは反対側の端面17bに形成するのが好ましい。これにより、ケース17の外周面17aまたは端面17bを通して、外部と外側の空間18とを連通する処理ガス5の経路を形成することができる。
【0114】
(効果 2)第一連通部16は、処理ガス5の入口部31としても良い。第二連通部19は、処理ガス5の出口部32になる。これにより、外部の処理ガス5は、まず、第一連通部16(入口部31)から最も内側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aの内側の空間15へ入る。処理ガス5は、一重または多重に配置された筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを内周側から外周側へ向けて順に透過する。そして、処理ガス5は、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの外(の外側の空間18)に到達する。ケース17がある場合には、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bとケース17との間の外側の空間18へ達し、外側の空間18を通って、第二連通部19(出口部32)からケース17の外へ出る。ケース17が有孔材22の場合には、処理ガス5は、ケース17の全周から拡散した状態で外へ出る。
【0115】
この際、内側の空間15では、処理ガス5は、ほとんど広がることなく一方の端面17bの側から、反対の他方の端面17cの側へ向けて、素早く真っ直ぐに流れて行き、他方の端面17cに突き当たることで流速が低下される。この際、処理ガス5は、最も内側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aと接触した部分が、光触媒2と接触されて浄化される。
【0116】
中間の空間23,24では、処理ガス5は、流速が低い状態で一重または多重の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを、外周側へ向けて、一方の端面17bの側へ適宜広がり(戻り)ながら順次透過して行く。処理ガス5は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cに沿って広がる(戻る)際や筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを透過する際などに光触媒2と接触されて浄化される。
【0117】
外側の空間18では、処理ガス5は、流速の低い状態で第二連通部19へと導かれる。この際、処理ガス5は、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bと接触した部分が、光触媒2と接触されて浄化される。
【0118】
これらにより、処理ガス5は、全体として、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cに担持された光触媒2と比較的広い面積で多く接触されて効率良く浄化される。
【0119】
また、処理ガス5の流れに従って、内側の空間15、中間の空間23,24、外側の空間18と、流路断面積が順に大きくなって行くので、処理ガス5の圧力損失を小さく抑えることができる。そして、光触媒空気浄化ユニット11は、処理速度を優先したものとなる。
【0120】
(効果 3)第二連通部19は、処理ガス5の入口部31としても良い。第一連通部16は、処理ガス5の出口部32になる。これにより、ケース17がある場合には、第二連通部19(入口部31)からケース17内へ送られた外部の処理ガス5は、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの外側とケース17との間の外側の空間18へ入る。ケース17が有孔材22の場合には、ケース17の全周から処理ガス5が入る。外側の空間18の処理ガス5は、一重または多重に配置された筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cを外周側から内周側へ向けて順に透過し、最も内側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aの内側の空間15へ達する。そして、処理ガス5は、内側の空間15を長さ方向に通って、第一連通部16(出口部32)からまとまった状態で(ケース17の)外へ出る。
【0121】
この際、外側の空間18では、処理ガス5は、例えば図6の場合には、周方向へ広がりながら、または、周方向へ広がった状態で、他方の端面17cの側から、反対の一方の端面17bの側へ向けて、流速の低い状態で流れて行く。そして、処理ガス5は、その多くが早い段階から最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの各部を全域に亘ってほぼ均等に透過されて行き、残りが他方の端面17cに突き当たる。これにより、処理ガス5は、最も外側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3bの光触媒2と広い面積で接触されて、効率良く浄化される。
【0122】
中間の空間23,24では、処理ガス5は、ほぼ全域に広がった状態、および、流速の低い状態で一重または多重の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの各部を、内周側へ向けて順次透過して行く。これにより、処理ガス5は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの光触媒2と広い面積で接触されて、効率良く浄化される。
【0123】
内側の空間15では、処理ガス5は、流速の低い状態で第一連通部16へ向けて導かれ、第一連通部16の付近にて若干流速が高められる。この際、処理ガス5は、最も内側の筒状の光触媒空気浄化フィルタ3aと接触した部分が、光触媒2と接触されて浄化される。
【0124】
これらにより、処理ガス5は、筒状の光触媒空気浄化フィルタ3a~3cに担持された光触媒2とほぼ全域に亘り流速の低い状態で時間をかけてほぼ均等に接触されるようになる。そのため、各光触媒空気浄化フィルタ3a~3cの有効使用面積がより大きくなるので、処理ガス5は、より効率良く浄化される。そして、光触媒空気浄化ユニット11は、処理効率を優先したものとなる。
【0125】
(効果 4)光触媒空気浄化ユニット11は、単数または複数組み合わせて、処理ガス5を通すダクト41の通路断面全体を塞ぐように設置することで、光触媒空気浄化装置1を構成しても良い。
【0126】
この際、例えば、光触媒空気浄化装置1は、単数または複数の光触媒空気浄化ユニット11を、ダクト41の通路断面全体を(直接)塞ぐ仕切部材46に取付けた構成にすることができる。また、光触媒空気浄化装置1は、光触媒空気浄化ユニット11を、単数または複数並列に配置して束ねた状態にして、ダクト41内に(直接)挿入配置して通路断面全体を塞がせる構成にすることができる。また、光触媒空気浄化装置1は、ダクト41の途中に設けたチャンバー47に対し、上記のいずれかと同様の仕方で設置することができる。これによって、ダクト41の通路断面全体を簡単に塞いで、処理ガス5の全量を光触媒空気浄化装置1へ導くことができる。特に、光触媒空気浄化ユニット11を束ねることで、より多くの光触媒空気浄化ユニット11を効率的にダクト41に設置することができる。
【0127】
これらにより、一種類の光触媒空気浄化ユニット11であっても、様々な大きさのダクト41に対応することができる。もちろん、ダクト41の通路断面を塞げるのであれば、光触媒空気浄化ユニット11は、大きさや形状の異なる複数種類のものを適宜組み合わせて並列に配置しても良い。
【0128】
また、複数並列に束ねた光触媒空気浄化ユニット11は、直列に複数段に設置しても良い。これによって、段数を増やした分だけ空気浄化能力を上げることができる。
【0129】
(効果 5)光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の入口部分51、中間部分52、出口部分53の少なくともいずれかに設置しても良い。これにより、光触媒空気浄化ユニット11を、ダクト41の入口部分51に設置した場合(個別分散型光触媒空気浄化装置1a)には、光触媒空気浄化装置1を小型化し、ダクト41の入口部分51ごとに複数に分散して個別に設置することができる。そのため、各光触媒空気浄化ユニット11のコストが抑えられ、維持管理やメンテナンスなども容易になる。
【0130】
光触媒空気浄化ユニット11を、ダクト41の中間部分52に設置した場合(中規模分散型光触媒空気浄化装置1b)には、光触媒空気浄化装置1を中型化して、例えば、ダクト41の系統ごと(または、各階ごと)に分けて配置することができる。そのため、光触媒空気浄化ユニット11は、ダクト41の系統ごとに維持管理やメンテナンスなどを行い得るようになる。
【0131】
光触媒空気浄化ユニット11を、ダクト41の出口部分53に設置した場合(集中型光触媒空気浄化装置1c)には、光触媒空気浄化装置1を大型化してダクト41の出口部分53に集中的に配置することができる。そのため、光触媒空気浄化ユニット11の維持管理やメンテナンスなどを一度にまとめて行うことができる。
【符号の説明】
【0132】
1:光触媒空気浄化装置 2:光触媒 3:光触媒空気浄化フィルタ
3a:光触媒空気浄化フィルタ 3b:光触媒空気浄化フィルタ
3c:光触媒空気浄化フィルタ 4:光源 5:処理ガス
11:光触媒空気浄化ユニット 12:金属多孔体 13:端板
13a~13c:フィルタ保持部 13d,13e:保持穴
15:内側の空間 16:第一連通部
17:ケース 17a:外周面 17b:端面 17c:端面
18:外側の空間 19:第二連通部 31:入口部 32:出口部
41:ダクト 51:入口部分 52:中間部分 53:出口部分
63a:筒片 63b:別の筒片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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