(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025817
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】浄水器
(51)【国際特許分類】
E03C 1/10 20060101AFI20240216BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20240216BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20240216BHJP
【FI】
E03C1/10
C02F1/00 B
C02F1/28 R
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211049
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020017891の分割
【原出願日】2020-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】河合 由修
(72)【発明者】
【氏名】亘 謙治
(72)【発明者】
【氏名】金光 理晴
(72)【発明者】
【氏名】是行 聖治
(57)【要約】
【課題】浄水器において、シャワー吐出時の水撥ねを抑制できるようにする。
【解決手段】浄水器100は供給された原水W1をシャワー状に吐出可能である。浄水器100は、環状に配列されており、吐出側の表面において第1孔径を有する複数の第1吐出孔と、複数の第1吐出孔よりも内側に範囲に配置されており、吐出側の表面において第1孔径よりも大きい第2孔径を有する第2吐出孔と、が厚さ方向に貫通しているシャワー吐出板と、シャワー吐出板に向けて原水W1を流す第1流路と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された原水をシャワー状に吐出可能な浄水器であって、
環状に配列されており、吐出側の表面において第1孔径を有する複数の第1吐出孔と、前記複数の第1吐出孔よりも内周側に配置されており、吐出側の表面において前記第1孔径よりも大きい第2孔径を有する複数の第2吐出孔と、が厚さ方向に貫通しているシャワー吐出板と、
前記シャワー吐出板に向けて前記原水を流す第1流路と、
前記第1流路における下流側の端部と着脱可能に嵌合する樹脂製の筒状であり、前記シャワー吐出板の外縁部に成形された側壁部材と、
を備え、
前記側壁部材の内周面から前記第1吐出孔の内縁までの最短距離が、1mm以上である、浄水器。
【請求項2】
前記原水をストレート状に吐出する筒状部を有し、前記筒状部が前記シャワー吐出板の中心部に貫通して設けられたストレート吐出部と、
前記ストレート吐出部に向けて前記原水を流す第2流路と、
をさらに備える、
請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記シャワー吐出板は、円環状の外形を有する金属板であり、
前記ストレート吐出部は、前記シャワー吐出板の前記金属板の内縁部に成形された樹脂製である、
請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記複数の第1吐出孔は、前記ストレート吐出部を同心円状に囲む1以上の円周上に配列されており、
前記複数の第2吐出孔は、前記ストレート吐出部と、前記複数の第1吐出孔と、の間において、前記ストレート吐出部を同心円状に囲む2以上の円周上に配列されている、
請求項2または3に記載の浄水器。
【請求項5】
前記第2孔径は、前記第1孔径よりも大きい第3孔径以上、前記第3孔径よりも大きい第4孔径以下であり、
前記複数の第2吐出孔のうち、前記複数の第1吐出孔に最も近い円周上に配列されている複数の第2吐出孔は、前記第3孔径を有する、
請求項4に記載の浄水器。
【請求項6】
前記ストレート吐出部の前記筒状部は、円筒面状の内周面を有し、前記シャワー吐出板よりも吐出方向に突出している外側筒部を備え、
前記外側筒部の突出方向における先端部には、前記外側筒部を径方向に横断し、前記外側筒部の長さよりも浅い深さを有する少なくとも一対のスリットが形成されている、
請求項2~5のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項7】
前記複数の第1吐出孔の周方向における配列ピッチは、前記複数の第2吐出孔の周方向における配列ピッチよりも大きい、
請求項1~6のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項8】
前記シャワー吐出板は、前記複数の第1吐出孔の配列中心を中心として、吐出側に凸の球面状または円錐面状に湾曲している、
請求項1~7のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項9】
前記第1流路において前記シャワー吐出板より上流側に配置された分散板と、
前記第1流路において前記シャワー吐出板と前記分散板との間に配置されたメッシュ状のメッシュ部材と、
をさらに備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項10】
前記ストレート吐出部が有する前記筒状部は、円形のボス部において前記シャワー吐出板と接続されており、
前記ボス部の外縁から前記第2吐出孔の内縁までの最短距離が、0.3mm以上である、
請求項2~6のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項11】
前記シャワー吐出板における前記複数の第1吐出孔および前記複数の第2吐出孔の吐出側の開口総面積が0.1cm2以上0.3cm2以下である、
請求項1~10のいずれか1項に記載の浄水器。
【請求項12】
前記複数の第1吐出孔および前記複数の第2吐出孔のうち、一部が配列された第1円周の半径と、他の一部が配列され、前記第1円周と同心円となるとともに前記第1円周と隣り合う第2円周の半径との差が、0.9mmより大きい、
請求項4または5に記載の浄水器。
【請求項13】
前記複数の第1吐出孔および前記複数の第2吐出孔は、互いに同心円となる複数の円周に配列され、
各々の前記円周に配列される前記複数の第1吐出孔および前記複数の第2吐出孔の数は、最外周に配置された前記円周において、最も少ない、
請求項4または5に記載の浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水(原水)に含まれる塩素などの不純物を除去することを目的とした浄水器が広く普及している。例えば特許文献1には、原水を吐出する吐出口が、原水をストレートに吐出する吐出口と、原水をシャワー状に吐出する吐出口(シャワー吐出口)と、に切り替え可能な浄水器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような関連技術には、以下のような問題がある。
特許文献1に開示された浄水器のように原水をシャワー状に吐出する場合、例えばシンクまたはシンク内の食器などにシャワーが当たり、水滴として跳ね返るため、シャワーの吐出範囲の周囲に原水が飛散する現象(以下、水撥ね)が知られている。
特に、シンクの蛇口に取り付けられる蛇口直結型浄水器のシャワー吐出口は、樹脂で成形されることが多い。樹脂成形においては、成形上の特性から、吐出孔の孔径をある程度大きくする必要がある。このため、吐出孔1つあたりの吐出量が多くなり、シンク底面に当たった際の水撥ねも多くなるという問題がある。
特に、洗い物の際は、食器、皿等の洗浄物とシャワー吐水口との距離が近くなり、シンク外や衣服への水撥ねが一層増加してしまう。
水撥ねは、ユーザに不快感を与えやすいとともに、シャワーの使用後に拭き取り作業などが発生させるので、抑制されることが好ましい。
シャワー吐出口における個々の孔径を小さくすることによって、水撥ねを抑制することも考えられる。この場合、全体的にシャワー流が弱くなるので、例えば、洗浄用途では、洗浄機能が低下してしまうという問題がある。
シャワー流を弱めすぎることなく、水撥ねを抑制できるシャワー吐出口が強く求められている。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、シャワー吐出時の水撥ねを抑制できる浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の第1の態様の浄水器は、供給された原水をシャワー状に吐出可能な浄水器であって、環状に配列されており、吐出側の表面において第1孔径を有する複数の第1吐出孔と、前記複数の第1吐出孔よりも内側に範囲に配置されており、吐出側の表面において前記第1孔径よりも大きい第2孔径を有する複数の第2吐出孔と、が厚さ方向に貫通しているシャワー吐出板と、前記シャワー吐出板に向けて前記原水を流す第1流路と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様の浄水器によれば、上記第1の態様の浄水器において、前記原水をストレート状に吐出する筒状部を有し、前記筒状部が前記シャワー吐出板の中心部に貫通して設けられたストレート吐出部と、前記ストレート吐出部に向けて前記原水を流す第2流路と、をさらに備えてもよい。
【0008】
本発明の第3の態様の浄水器によれば、上記第2の態様の浄水器において、前記シャワー吐出板は、円環状の外形を有する金属板であり、前記ストレート吐出部は、前記シャワー吐出板の前記貫通孔の内縁部に成形された樹脂製であり、前記第1流路における下流側の端部と着脱可能に嵌合する樹脂製の筒状であり、前記シャワー吐出板の外縁部に成形された側壁部材を、さらに備えてもよい。
【0009】
本発明の第4の態様の浄水器によれば、上記第2または第3の態様の浄水器において、前記複数の第1吐出孔は、前記ストレート吐出部を同心円状に囲む1以上の円周上に配列されており、前記複数の第2吐出孔は、前記ストレート吐出部と、前記複数の第1吐出孔と、の間において、前記ストレート吐出部を同心円状に囲む2以上の円周上に配列されていてもよい。
【0010】
本発明の第5の態様の浄水器によれば、上記第4の態様の浄水器において、前記第2孔径は、前記第1孔径よりも大きい第3孔径以上、前記第3孔径よりも大きい第4孔径以下であり、前記複数の第2吐出孔のうち、前記複数の第1吐出孔に最も近い円周上に配列されている複数の第2吐出孔は、前記第3孔径を有してもよい。
【0011】
本発明の第6の態様の浄水器によれば、上記第2~第5の態様のいずれか1つの浄水器において、前記ストレート吐出部の前記筒状部は、円筒面状の内周面を有し、前記シャワー吐出板よりも吐出方向に突出している外側筒部を備え、前記外側筒部の突出方向における先端部には、前記外側筒部を径方向に横断し、前記外側筒部の長さよりも浅い深さを有する少なくとも一対のスリットが形成されていてもよい。
【0012】
本発明の第7の態様の浄水器によれば、上記第1~第6の態様のいずれか1つの浄水器において、前記複数の第1吐出孔の周方向における配列ピッチは、前記複数の第2吐出孔の周方向における配列ピッチよりも大きくてもよい。
【0013】
本発明の第8の態様の浄水器によれば、上記第1~第7の態様のいずれか1つの浄水器において、前記シャワー吐出板は、前記複数の第1吐出孔の配列中心を中心として、吐出側に凸の球面状または円錐面状に湾曲していてもよい。
【0014】
本発明の第9の態様の浄水器によれば、上記第1~第8の態様のいずれか1つの浄水器において、前記第1流路において前記シャワー吐出板より上流側に配置された分散板と、前記第1流路において前記シャワー吐出板と前記分散板との間に配置されたメッシュ状のメッシュ部材と、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シャワー吐出時の水撥ねを抑制できる浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る浄水器の一例を示す模式的な斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る浄水器の一例を示す模式的な斜視図である。
【
図3】
図1におけるF3-F3線に沿う断面図である。
【
図4】
図1におけるF4-F4線に沿う断面を示す模式的な斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の分解斜視図である。
【
図6】
図3における浄水吐出部および原水吐出部の近傍の拡大図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の模式的な斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の装着部を示す模式的な斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の装着時の配置を示す模式的な部分断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の着脱治具の一例を示す模式的な正面図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る浄水器における原水吐出部の例を示す模式的な斜視図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る浄水器における原水吐出部の例を示す模式的な平面図である。
【
図14A】本発明の第1の実施形態に係る浄水器におけるシャワー吐出板の例を示す模式的な平面図である。
【
図14B】本発明の第1の実施形態に係る浄水器におけるシャワー吐出板の例を示す模式的な平面図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る浄水器の一例を示す模式的な斜視図である。
【
図16】実施例および比較例の浄水器の評価方法を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態の浄水器について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器の一例を示す模式的な斜視図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器の一例を示す模式的な斜視図である。
図3は、
図1におけるF3-F3線に沿う断面図である。
図4は、
図1におけるF4-F4線に沿う断面を示す模式的な斜視図である。ただし、
図4においてはカートリッジ2の図示は省略されている。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の浄水器100は、水道の蛇口等に接続される、いわゆる蛇口直結型の浄水器である。
浄水器100は、上部に接続されて図示略の蛇口から、例えば、水道水などの原水W1の供給を受ける。
図2に示すように、浄水器100は、供給された原水W1を浄水器100の下面側から、ストレート状の原水W2、シャワー状の原水W3、および原水W1が濾過された浄水W4のいずれかの態様で吐出することができる。
【0020】
以下では、特に断らない限り、浄水器100が鉛直下向きに延びる蛇口に接続された場合の姿勢に基づいて浄水器100における各部材の構成を説明する。
浄水器100における相対位置を参照する場合に、図中に示すX1方向、X2方向、Y1方向、Y2方向、Z1方向、およびZ2方向を用いる場合がある。X1方向は、浄水器100の正面に立ったとき、左から右に向かう方向である。X2方向は、X1方向と逆の方向である。Y1方向は、浄水器100の背面から正面に向かう方向である。Y2方向は、Y1方向と逆の方向である。Z1方向は、鉛直上向き方向である。Z2方向は、鉛直下向き方向である。X1(Y1、Z1)方向、X2(Y2、Z2)方向の向きを問わない場合または両方向を含む場合には、単に、X(Y、Z)方向と称する。
X方向に法線を持つ平面をYZ平面、Y方向に法線を持つ平面をZX平面、Z方向に法線を持つ平面(水平面)をXY平面と称する。
【0021】
図1に示すように、浄水器100は、本体部1、カートリッジ2、切替レバー1D、表示部3、および操作ボタン4を備える。
【0022】
本体部1は、Z2方向から見ると略L字状の外形を有する。本体部1は、X1方向に延びる前部1Xと、前部1XのX2方向の端部からY2方向に突出する後部1Yと、を有する。前部1Xは、略直方体状である。
図2に示すように、後部1Yは、X1方向から見ると、略円柱状である。
図1、2に示すように、本体部1の外面は、上カバー1A、下カバー1B、およびサイドカバー1S(
図2参照)を含む外装カバーによって覆われている。
上カバー1Aおよび下カバー1Bは、前部1XのZ2方向の端部近くに形成された分割線Lを境にZ方向に分離可能である。
【0023】
上カバー1Aは、前部1Xおよび後部1Yに跨がっており、前部1Xおよび後部1Yにおける上面1aを形成している。上面1aは、XY平面に平行な平面状である。
前部1Xを覆う上カバー1AのX2方向の端部には、Z2方向から見て円状の開口部が形成されており、内部から、後述する第1構造体11の一部が円柱状に突出している。 上カバー1Aから突出した第1構造体11の中心部には、原水W1を流入させる原水流入口E1が形成されている。同じく第1構造体11の側面部には、固定部1Cが着脱可能に固定されている。固定部1Cは、本体部1を図示略の蛇口を原水流入口E1とZ方向において対向する位置で、蛇口に固定する。
前部1Xを覆う上カバー1Aにおいて、固定部1CのX1方向に隣り合う部位には、後述する表示部3が上側に露出する開口部1fが形成されている。
【0024】
図2に示すように、下カバー1Bは、前部1Xにおいては上面1aに平行な平面部1bと、平面部1bからZ2方向に膨出する段状部1cとを備える。下カバー1Bは、後部1Yにおいては、後部1Yの下半を形成する円筒状部1dを備える。
段状部1cの下面は、X2方向の第1下面1gと、第1下面1gのX1方向に隣り合う第2下面1iと、からなる。第2下面1iは、第1下面1gよりも、Z2方向の高さが低い。
第1下面1gには、X1方向において、第1開口部11c1と、第2開口部11c2とが、この順に形成されている。第2下面1iには、第3開口部11c3が形成されている。
第1開口部11c1、第2開口部11c2、および第3開口部11c3には、それぞれ、浄水吐出部20、原水吐出部30、および電池カバー40がこの順に配置されている。 浄水吐出部20には、Z2方向に開口し、浄水W4を吐出する浄水吐出口E13が形成されている。
原水吐出部30には、原水W2を吐出するストレート吐出口E11と、原水W3を吐出するシャワー吐出口E12と、が形成されている。ストレート吐出口E11およびシャワー吐出口E12は、いずれもZ2方向に開口している。
ストレート吐出口E11は、原水吐出部30の中心部においてZ方向に延びる円管状のストレート吐出部31によって形成されている。
シャワー吐出口E12は、ストレート吐出部31の外周部から側方に延びるシャワー吐出板32によって形成される。シャワー吐出板32には、流入した原水W1をシャワー状に吐出する複数の吐出孔が厚さ方向に貫通している。
電池カバー40は、本体部1内に配置される電池41を覆う。電池41は、表示部3等に電力を供給する。例えば、電池41は、ボタン型・コイン型電池が最も一般的であるが、ピン型、ガム型などが用いられてもよい。
【0025】
円筒状部1dの下端には、下側から見て円状領域を囲む壁状のスイッチガード1eがZ2方向に突出している。スイッチガード1eの内側には、有底の円穴が形成されている。円穴の穴底の中心部には、リセットスイッチ1EがZ1方向に突出している。
リセットスイッチ1Eは、後述する積算流量の算出値をユーザがリセットするための操作部である。リセットスイッチ1Eの誤操作を防止するため、スイッチガード1eの突出方向の先端面は、穴底からリセットスイッチ1Eと同程度の高さまで突出している。
【0026】
サイドカバー1Sは、本体部1のX2方向の端部を、上カバー1Aと下カバー1Bとの間で覆う。サイドカバー1Sは、本体部1のX2方向におけるYZ平面に平行な側面を形成している。
【0027】
本体部1の後部1YのX1方向の端部には、カートリッジ2が取り付けられている。カートリッジ2はX1方向に延びる円柱状の外形を有する。
カートリッジ2は、本体部1に流入した原水W1を、原水流入口から流入させて濾過した後、浄水流出口を通して、本体部1に戻す。
カートリッジ2における原水流入口から浄水流出口との間には、原水W1を濾過するため、例えば、中空糸膜、活性炭、ゼオライト、イオン交換繊維、フィルタ、ストレーナー等の濾過材が1種類または2種類以上、収容されている。
例えば、カートリッジ2は、ユーザが交換できないように、本体部1に装着されていてもよい。ただし、本実施形態では、カートリッジ2は、ユーザ操作によって着脱可能である。例えば、カートリッジ2は、本体部1の内部の後述する第2構造体12に、凹凸嵌合によって着脱可能に固定されている。このため、ユーザは、例えば、寿命に到達したカートリッジ2を、未使用のカートリッジ2に交換できる。
【0028】
図3に示すように、本体部1の内部には、第1構造体11、第2構造体12、および第3構造体13が配置されている。
第1構造体11は、固定部1Cの下部からその下方における前部1X内に配置されている。
第1構造体11の上部は、Z1方向に延びる柱状の形状を有する。第1構造体11の上部の中心部には、蛇口の先端を止水する円環状のパッキン16を配置する凹部11aが形成されている。凹部11aの中心には、原水流入口E1が形成されており、原水流入口E1からZ2方向に向かって第1原水流路P1が延びている。第1原水流路P1には、原水W1がZ2方向に流通可能である。
第1構造体11において第1原水流路P1の下側には、Y方向に延びる円筒面状のロータ収容穴11bが形成されている。ロータ収容穴11bのZ1方向側の内周面には、第1原水流路P1の下端が開口している。
【0029】
ロータ収容穴11bのZ2方向側の内周面には、Z2方向に延びるストレート流路P2(第2流路)と、シャワー流路P3(第1流路)と、が開口している。
ストレート流路P2は、原水W1を原水W2としてストレート状に吐出するための流路である。ストレート流路P2は、第1原水流路P1の下方に設けられている。ストレート流路P2は、ロータ収容穴11bのZ2方向側の外周面からZ2方向に延びる管状部11dに囲まれて形成される。管状部11dの下端部は、原水吐出部30のストレート吐出部31に連通している。
【0030】
シャワー流路P3は、原水W1を原水W3としてシャワー状に吐出するための流路である。シャワー流路P3は、ストレート流路P2のX2方向に隣り合う位置に形成されている。シャワー流路P3は、第1構造体11の下端部における、Z1方向から見て円環状の凹所11fに開口している。
凹所11fは、管状部11dと、管状部11dの側方を囲み、第2開口部11c2までZ2方向に延びる管状壁部11eとの間に形成されている。
凹所11fは、第2開口部11c2を閉じる原水吐出部30のシャワー吐出板32によって、下方から覆われている。凹所11fに流入する原水W1は、シャワー吐出板32の複数の吐出孔を通して、シャワー状に吐出される。
シャワー吐出板32の詳細構成は後述する。
【0031】
ロータ収容穴11bのY2方向側の内周面には、カートリッジ流入流路P4が開口している。カートリッジ流入流路P4は、第1構造体11および第2構造体12の内部を通して、カートリッジ2の原水流入口に連通する。
【0032】
ロータ収容穴11bの内部には、切替ロータ14と、ロータ押え板17と、が配置されている。
切替ロータ14は、ロータ収容穴11bの軸方向に沿ってX1方向に延びる円筒状のドラム部14aと、ドラム部14aのX2方向の端面の中心からX2方向に延びる回転軸部14bと、を有する。
切替ロータ14は、ロータ収容穴11bの中心軸線回りに回動可能に配置されている。 回転軸部14bのX2方向の端部は、後述する切替レバー1Dと固定されている。切替ロータ14は、切替レバー1DのYZ平面内の回動に連動する。
ロータ押え板17は、ロータ収容穴11bのX1方向の端部において、ドラム部14aのX1方向の端部と摺動可能に当接し、ドラム部14aのX1方向の端部を押さえる。 ロータ押え板17の側面とロータ収容穴11bの内周面との間には、パッキン17aが配置されている。パッキン17aは、ロータ収容穴11bのX1方向の開口部を液密に封止する。
【0033】
ドラム部14aには、入口連通口E2、ストレート流路連通口E3(二点鎖線参照)、シャワー流路連通口E4、およびカートリッジ流路連通口E5が、ドラム部14aの径方向に貫通している。
【0034】
入口連通口E2は、第1原水流路P1から原水W1を流入させる。入口連通口E2は、ドラム部14aの軸方向において、第1原水流路P1の下端側の開口部と対向可能な位置に形成されている。
入口連通口E2は、径方向に一定の長さを有する長孔である。入口連通口E2の短手幅は、第1原水流路P1と内径と同程度である。
【0035】
ストレート流路連通口E3は、入口連通口E2の長手方向の中心軸線が延びる円周上において、
図3の紙面手前側に位置する。ストレート流路連通口E3は、ドラム部14aの中心軸線を挟んで、入口連通口E2と対向する位置に形成されている。ストレート流路連通口E3は、ストレート流路P2の上端の内径と同程度の内径を有する円孔である。
図3に示す状態では、ストレート流路連通口E3と、ストレート流路P2のロータ収容穴11bの内周面における開口部と、は互いに対向していない。ただし、ドラム部14aが回転されて、ストレート流路連通口E3とストレート流路P2の開口部とが互いに対向されると、第1原水流路P1とシャワー流路P3とが、入口連通口E2とストレート流路連通口E3とを通して連通する。
【0036】
シャワー流路連通口E4は、シャワー流路P3のロータ収容穴11bの内周面における開口部と対向可能な位置に形成されている。シャワー流路連通口E4は、シャワー流路P3の上端の内径と同程度の内径を有する円孔である。
図示のように、ストレート流路連通口E3とストレート流路P2の開口部とが互いに対向された状態では、入口連通口E2は、第1原水流路P1の下端の開口部に対向している。
このため、第1原水流路P1とシャワー流路P3とは、入口連通口E2とシャワー流路連通口E4とを通して連通する。
【0037】
カートリッジ流路連通口E5は、カートリッジ流入流路P4のロータ収容穴11bの内周面における開口部と互いに対向可能な位置に形成されている。カートリッジ流路連通口E5は、カートリッジ流入流路P4のロータ収容穴11bの内周面における開口部の内径と同程度の内径を有する円孔である。
図3に示す状態では、カートリッジ流路連通口E5と、カートリッジ流入流路P4のロータ収容穴11bの内周面における開口部と、は互いに対向していない。ただし、ドラム部14aが回転されて、カートリッジ流路連通口E5とカートリッジ流入流路P4の開口部とが互いに対向されると、第1原水流路P1とカートリッジ流入流路P4とは、入口連通口E2とカートリッジ流路連通口E5とを通して連通する。
【0038】
ストレート流路連通口E3、シャワー流路連通口E4、およびカートリッジ流路連通口E5の周方向の位置と、入口連通口E2の周方向の長さとは、第1原水流路P1に入口連通口E2がと対向しているときに、第1原水流路P1が、ストレート流路P2、シャワー流路P3、およびカートリッジ流入流路P4のうちの1つのみと連通可能であるように設定されている。
第1原水流路P1が、ストレート流路P2、シャワー流路P3、およびカートリッジ流入流路P4とそれぞれ連通する、切替ロータ14の3位置に対応して、第1構造体11のX2方向の側面に3つの係合穴11gが形成されている。
【0039】
第1構造体11において、浄水吐出部20の上方には、Z1方向に延びる浄水吐出流路P6と、浄水吐出流路P6の上端からY2方向に延びる浄水流路P5と、が形成されている。浄水流路P5は第2構造体12の内部にも延びている(
図4参照)。
浄水流路P5および浄水吐出流路P6は、カートリッジ2によって濾過され、カートリッジ2の浄水流出口から流出する浄水W4を浄水吐出口E13に導く。
【0040】
第2構造体12は、後部1Yおよび前部1Xの内側に配置されている。第2構造体12は、前部1X内では、第1構造体11のX2方向において第1構造体11と隣り合っている。
図4に示すように、後部1Y内の第2構造体12のX1方向側には、カートリッジ2を着脱可能に接続する接続部12aが設けられている。
接続部12aには、カートリッジ2のX2方向の端部に形成された原水流入口と浄水流出口と、それぞれ連通可能に接続する原水供給口と浄水流入口E7とが形成されている。 接続部12aの原水供給口と、第1構造体11のカートリッジ流入流路P4のX2方向の端部とは、第2構造体12内に形成された原水流路P7によって連通している。
浄水流入口E7は、第2構造体12内の浄水流路P5の端部と連通している。
【0041】
浄水流路P5の内部には、浄水流路P5内を流れる浄水W4によって回転する羽根車15が配置されている。羽根車15は、浄水W4の流量を計測する流量計10の一部である。
流量計10は、さらに羽根車15の回転数を検出する図示略の回転検出部を備える。回転検出部の構成は、羽根車15の回転数が検出できれば特に限定されない。例えば、回転検出部として、羽根車15に配置された磁石と、磁石の回転数を検出するリードスイッチ等の磁気検出センサと、が用いられてもよい。
【0042】
図3に示すように、第3構造体13は、前部1Xの内部において、第1構造体11のX1方向側に配置されている。
第3構造体13は、後述する表示部3の下部を支持する支持部13aと、支持部13aの下方において電池41を保持する電池ホルダ部13bと、を備える。
電池ホルダ部13bは、下方に開口する穴部である。電池ホルダ部13bの内周面には、電池カバー40を螺合する雌ネジ13cが形成されている。
【0043】
電池カバー40には、雄ネジ40aと、スリット40bと、が形成されている。
雄ネジ40aは、Z1方向の端部における外周面に形成されている。
スリット40bは、電池カバー40のZ2方向の表面からZ1方向に円弧状に凹んだ凹部である。スリット40bは、Z1方向から見ると(
図2参照)電池カバー40の中心を通り、径方向に延びた直線状である。スリット40bは、電池カバー40を電池ホルダ部13bと、螺合および螺合解除するために用いられる。スリット40bは、螺合用の板状工具、またはコインなどの先端が円弧状の板部材の挿入が可能である。
【0044】
電池ホルダ部13bの内部には、電池41との導通を取る正電極および負電極(図示略)が配置されている。電池カバー40が雌ネジ13cに螺合され、第3開口部11c3が電池カバー40によって閉じられると、正電極および負電極がそれぞれ電池41の正極および負極に当接する。正電極および負電極は、図示略の配線を通して、後述する回路基板3bに電気的に接続されている。
【0045】
切替レバー1Dは、浄水器100内に原水の流路を切り換えて、浄水器100内からの吐出モードを、「浄水モード」と、「ストレートモード」と、「シャワーモード」との間で切り換えるための切り換え手段を構成している。
「浄水モード」は、原水流入口E1に流入した原水W1をカートリッジ2で濾過して吐出させるモードである。
「ストレートモード」は、原水流入口E1に流入した原水W1を、濾過されない原水W2として、Z2方向にストレート状に吐出させるモードである。
「シャワーモード」は、原水流入口E1に流入した原水W1を、濾過されない原水W3として、下方にシャワー状に吐出させるモードである。
【0046】
切替レバー1Dは、切替ロータ14の回転軸部14bに固定されている。切替レバー1DのX1方向の側面には、X1方向に付勢された係合ロッド1Daが配置されている。第1構造体11には、係合ロッド1Daが係合している係合穴11gを検知する切替検知センサ(図示略)が配置されている。
【0047】
図1に示すように、表示部3は、本体部1の前部1Xの上部に配置されている。表示部3の表示画面は、開口部1f上に配置された表面シート18に形成された矩形状の表示窓3Aを通して見えるようになっている。
図3に示すように、表示部3は、表示パネル3a、回路基板3b、および表示部カバー3cを備える。
【0048】
表示パネル3aは、表示モードとして、例えば、「寿命表示モード」と「計量表示モード」と、を有する。
寿命表示モードは、表示パネル3aがカートリッジ2によって濾過された浄水W4の積算流量に基づくカートリッジ2の残寿命を表示するモードである。残寿命としては、例えば、カートリッジ2に通水可能な総体積から、浄水W4の吐出量(吐出体積)の総和である浄水W4の積算流量を引いた数値が用いられる。
計量表示モードは、表示パネル3aが浄水W4の吐出開始から吐出終了までの間の吐出量の情報を表示するモードである。
表示パネル3aの構成は、各表示モードが切り替え可能に表示できれば特に限定されない。例えば、表示パネル3aとしては、液晶パネル、有機ELパネル、LEDパネルなどが用いられてもよい。
【0049】
回路基板3bは、上面に表示パネル3aを実装する基板であり、第3構造体13における支持部13a上に固定されている。例えば、回路基板3bには、表示パネル3aの他に、表示モードを切り替えるスイッチと、図示略の制御部とが設けられている。スイッチは、例えば、押下されるごとに、スイッチング信号を発生するトグルスイッチである。
【0050】
制御部は、流量計10、切替検知センサ、種別検出センサ、リセットスイッチ1E、スイッチ4e、および電池41と電気的に接続されている。制御部は、切替検知センサ、種別検出センサ、リセットスイッチ1E、およびスイッチ4eからの出力信号と、電池41から取得される電池41の電圧情報と、を受信して、それぞれに応じた演算処理と、表示パネル3aの制御と、を行う。
例えば、制御部は、流量計10からの計測信号に基づく流量の算出と、流量の算出値に基づいた表示パネル3aの表示制御と、を行う。
例えば、制御部は、リセットスイッチ1Eからリセット信号が送出されると、積算流量をリセットする。
【0051】
例えば、制御部は、CPU、メモリ、入出力インターフェース、記憶部などを含むコンピュータを備えている。制御部による制御および演算処理は、メモリに格納された制御プログラムおよび演算処理プログラムがCPUによって実行されることによって実現される。
【0052】
図3に示すように、表示部カバー3cは、表面シート18と表示パネル3aとの間に配置されている。例えば、表示部カバー3cは、熱可塑性の透明樹脂材料で形成される。
【0053】
図1に示すように、操作ボタン4は、表示窓3AのY1方向側に配置されている。
操作ボタン4は、回路基板3b上のスイッチを押下することで、寿命表示モードと、計量表示モードと、を切り替える。
【0054】
次に、浄水吐出部20および浄水吐出部20を装着する第1開口部11c1の詳細構成を説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の分解斜視図である。
図6は、
図3における浄水吐出部および原水吐出部の近傍の拡大図である。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の模式的な斜視図である。
図8は、
図1におけるA視図である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の装着部を示す模式的な斜視図である。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の装着時の配置を示す模式的な部分断面図である。
【0055】
図5に分解斜視図で示すように、浄水吐出部20は、下カバー1Bの第1開口部11c1に着脱可能に装着されている。
第1開口部11c1の外周部には、浄水吐出部20の装着時の目印となる装着位置マーク1h1(第1マーク)、挿入位置マーク1h2、および回転方向マーク1h3が形成されている。2つの第1マーク1hは、第1開口部11c1の中心を間に挟んで互いに径方向に対向する位置に形成されている。
装着位置マーク1h1、挿入位置マーク1h2、および回転方向マーク1h3の詳細は後述する。
【0056】
図6に示すように、浄水吐出部20と、浄水吐出流路P6の先端の円管11hと、の間には、ストレーナー21と、パッキン22と、が配置されている。
ストレーナー21は、浄水W4とともに流れる固形成分の流出を防止する。ストレーナー21としては、例えば、金網などが用いられる。
【0057】
パッキン22は、Z2方向から見て円環状のシール材である。パッキン22は、穴部20cの内径よりも大径の外径を有し、円管11hの先端部の外径よりも小径の内径を有する。パッキン22の断面形状は、外周部から径方向内側に向かうにつれて厚さが減少する略二等辺三角形状である。このため、パッキン22の厚さは、外周面22a(外周部)において最大で、内周面22b(内周部)で最小である。例えば、内周面22bは、径方向内側に凸の円弧状に丸められている。
パッキン22は、穴部20cの穴底に配置されたストレーナー21のZ1方向側において、穴部20cに圧入されている。
パッキン22は、浄水吐出部20の装着時には、内周面22bの内側に円管11hの外周面が嵌合している。このため、浄水吐出部20と円管11hとは、パッキン22によって液密に連結される。浄水吐出部20の着脱される場合、外周面22aが穴部20cに密着した状態で、内周面22bが円管11h上を滑るので、パッキン22およびストレーナー21は、浄水吐出部20とともに、本体部1から着脱可能である。
【0058】
図7に示すように、浄水吐出部20は、全体としてZ方向に延びる筒状である。浄水吐出部20は、第1筒状部20a、フランジ部20d、第2筒状部20e、および係合突起20fを備える。
【0059】
第1筒状部20aは、下カバー1Bの外部に露出する筒状部であり、内側にはZ方向に延びる円筒面状の内周面20bが形成されている。内周面20bのZ2方向の端部は、浄水吐出口E13を形成する。
図8に示すように、第1筒状部20aの外周部には、径方向に互いに対向する2つの平面部20iが形成されている。各平面部20iは、互いに平行かつZ方向に平行である。各平面部20iの間の距離はWである。距離Wは、内周面20bの内径よりも大きく、第1筒状部20aの外形よりも小さい。
各平面部20iは、浄水吐出部20の着脱時に、浄水吐出部20を把持するための把持部として使用可能である。
【0060】
フランジ部20dは、XY平面に平行な平板であり、第1筒状部20aのZ1方向の端部の外周面から側方に突出している。浄水吐出部20の装着時において、各フランジ部20dのZ1方向の表面は、第1下面1gに摺動可能に当接している。
各フランジ部20dのZ2方向の表面には、第1開口部11c1における浄水吐出部20の装着時に、浄水吐出部20の径方向において装着位置マーク1h1と対向する第2マーク20hが形成されている。
【0061】
ここで、装着位置マーク1h1、挿入位置マーク1h2、および回転方向マーク1h3の詳細について説明する。
装着位置マーク1h1は、浄水吐出部20の装着時の配置を示す。
図9に示すように、装着位置マーク1h1は、第1開口部11c1の中心を間に挟んで互いに径方向に対向する位置に形成されている。
図9に示すように、挿入位置マーク1h2は、浄水吐出部20を第1開口部11c1に挿入する際の位置の目安を示す。本実施形態では、挿入位置マーク1h2は、浄水吐出部20の挿入時の第2マーク20hの位置の目安を示す。
回転方向マーク1h3は、浄水吐出部20の着脱時における浄水吐出部20の回転方向を示す。
図9に示す、装着位置マーク1h1、挿入位置マーク1h2、および回転方向マーク1h3の形状は一例である。装着位置マーク1h1、挿入位置マーク1h2、および回転方向マーク1h3の形状は、第2マーク20hとの位置合わせと回転方向の表示とができれば、特に限定されない。
【0062】
ここで、浄水吐出部20の説明に戻る。
図7に示すように、第2筒状部20eは、各フランジ部20dからZ1方向に延びる筒状である。第2筒状部20eは、内周面20bと同軸の円筒状である。
第2筒状部20eのZ1方向の端部から第2筒状部20eの内側には、第1筒状部20aよりも内径が大きい穴部20cが形成されている。
穴部20cの内部には、パッキン22およびパッキン22が装着された浄水吐出流路P6の先端部が挿入可能である。
【0063】
係合突起20fは、第1開口部11c1への装着時に後述するバイヨネットマウント23と係合する第2係合部を構成する突起である。係合突起20fは、Z2方向から見て各フランジ部20dに重なる2箇所において、係合突起20fのZ1方向の端部の外周面から側方に向かってそれぞれ突出している。
各係合突起20fの突出方向における先端面には、それぞれZ方向に貫通する係合溝20gが形成されている。
【0064】
第1開口部11c1は、浄水吐出部20を第2筒状部20eからZ1方向に挿入し、浄水吐出部20を第1開口部11c1の中心回りに回転することによって、Z方向に係合可能に設けられている。第1開口部11c1における係合構造としては、回転による係合が可能であれば特に限定されない。
本実施形態では、回転量が少なくて済み、着脱が容易なバイヨネット方式を採用している。
図9に示すように、第1開口部11c1は、円孔24と、バイヨネットマウント23と、を備える。
【0065】
円孔24は、浄水吐出部20の第2筒状部20eの外周面が挿脱可能に嵌合する円筒面状である。
バイヨネットマウント23は、円孔24よりも径方向外側において、径方向に対向する2箇所に設けられている。各バイヨネットマウント23は、円孔24の中心に関して、互いに点対称の形状を有する。
バイヨネットマウント23は、穴部23Aと、第1係合部23Bと、を備える。
穴部23Aは、円孔24の内周面から径方向外側に形成され、第1下面1gから下カバー1Bの内側に陥没している。穴部23Aは、係合突起20fをZ方向に進退可能に収容する。
第1係合部23Bは、穴部23Aに収容された係合突起20fが周方向に回動したとき係合突起20fをZ2方向に抜け止めする板状である。第1係合部23BのZ1方向には、径方向外側の壁部から係合突起20fの係合溝20gと嵌合する凸部23gが突出している。
【0066】
このような構成により、浄水吐出部20は、本体部1を分解することなく、第1開口部11c1に着脱できる。
例えば、浄水吐出部20を、第1開口部11c1に装着するには、係合突起20fが形成された浄水吐出部20の端部を、Z1方向に向け、係合突起20fが穴部23Aの開口に対向する姿勢で、第1開口部11c1にZ1方向から浄水吐出部20を挿入する。このとき、第2マーク20hが径方向において挿入位置マーク1h2と対向する姿勢で挿入すると、円滑に挿入できる。この後、作業者は、
図8に矢印で示すように、浄水吐出部20を第2マーク20hが装着位置マーク1h1により近づく方向(図示時計回り)に回転させる。本実施形態では、回転方向マーク1h3が形成されているので、ユーザは回転方向を間違えるおそれが低減される。浄水吐出部20が、
図8の図示時計回りに回転されると、
図10に示すように、係合突起20fの凸部23gが係合溝20gに嵌合して作業者にクリック感が与えられる。このとき、
図8に実線で示すように、第2マーク20hと装着位置マーク1h1とが同一線上において対向する。
このようにして、浄水吐出部20がバイヨネットマウント23に装着される。
【0067】
作業者は、浄水吐出部20を回転させる際に、平面部20iを指で把持して回転させてもよい。ただし、指で把持する代わりに、平面部20iを把持しかつ回転半径をより大きくすることができる着脱治具が用いられてもよい。
着脱治具の一例としては、
図11に示す着脱治具200が挙げられる。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器における浄水吐出部の着脱治具の一例を示す模式的な正面図である。
【0068】
図11に示すように、着脱治具200は、つまみ部200a、把持板200b、および突片部200cを備える。着脱治具200は、
図11の紙面奥行方向に厚さを有する板状である。着脱治具200は、つまみ部200aおよび把持板200bの中心軸線Cに関して、線対称な形状を有する。
つまみ部200aは、中心軸線Cに直交する方向に延びる長円状の外形を有する板状部である。つまみ部200aは、作業者が手に持って中心軸線C回りに回転させる部位である。
把持板200bは、つまみ部200aの短手方向の端部から、中心軸線Cに沿う方向にと突出する板状部である。把持板200bは、中心軸線Cを挟んで対向する2箇所に設けられている。各把持板200bの間隔はWである。
突片部200cは、各把持板200bが設けられたつまみ部200aの短手方向の端部と反対側の端部から突出する板状である。突片部200cの先端部は、電池カバー40のスリット40bの内部と、後述する原水吐出部30のスリット31eと、に挿入可能な厚さを有する。
【0069】
例えば、着脱治具200を用いて、浄水吐出部20を回転させるには、各把持板200bの間に浄水吐出部20の各平面部20iを挟む。この後、作業者は、つまみ部200aを持って、中心軸線Cを中心として着脱治具200を回転させる。これにより、着脱治具200とともに、浄水吐出部20が回転する。
つまみ部200aの長手方向の長さは、各平面部20iの間隔よりも長いので、各平面部20iを手で把持して回転するよりも低荷重で回転させることができる。さらに、浄水吐出部20の外面に手を触れることなく回転させることができる。このため、浄水吐出部20を汚すことなく、浄水吐出部20の着脱を行うことができる。
着脱治具200は、例えば、浄水器100と同梱されて提供されてもよいし、浄水吐出部20が交換パーツとして供給される際に同梱されて供給されてもよい。
また、例えば、着脱治具200のつまみ部200aに、切替レバー1Dや本体部1に取り付け可能な装着部が設けられてもよい。この場合、着脱治具200を使用しないときには、着脱治具200を浄水器100に取り付けておくことができる。
【0070】
作業者は、浄水吐出部20を上述と反対方向に回動して、浄水吐出部20をZ2方向に引き抜けば、浄水吐出部20をバイヨネットマウント23から取り外すことができる。
【0071】
次に、原水吐出部30の詳細構成を説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器における原水吐出部の例を示す模式的な斜視図である。
図13は、本発明の第1の実施形態に係る浄水器における原水吐出部の例を示す模式的な平面図である。
【0072】
図12に示すように、原水吐出部30のストレート吐出部31は、シャワー吐出板32の中心部からZ2方向に突出する外側筒部31Aを有する。外側筒部31AのZ1方向の端部には、Z1方向から見て、円形のボス部31gにおいて、シャワー吐出板32と接続されている。
ストレート吐出部31の中心部には、ストレート吐出口E11を形成する円筒面状の内周面31aが貫通している。
図13に示すように、ストレート吐出部31の外周面は、内周面31aと同軸の円弧状に湾曲する曲面部31bと、Y方向において互いに対向する平面部31cと、からなる。各平面部31cのY方向の間隔は、曲面部31bの外径より狭い。
外側筒部31Aの先端部の2箇所には、内周面31aの径方向において、外側筒部31Aに貫通するスリット31eが形成されている。各スリット31eは、内周面31aの中心を挟んで径方向に対向している。
図12に示すように、各スリット31eの深さは、外側筒部31Aの突出長さよりも浅い。このため、内周面31aにおいて、各スリット31eの底部よりもZ1方向側には、周方向に連続した円筒面からなるストレート孔部31dが形成されている。
【0073】
側壁部材33とストレート吐出部31との間のシャワー吐出板32には、板厚方向に貫通する複数の吐出孔32hが形成されている。
シャワー吐出板32の内縁は、外側筒部31Aのボス部31gと連結されている。
シャワー吐出板32の外縁には、シャワー吐出板32からZ方向に突出する円筒状の側壁部材33が接続されている。シャワー吐出板32からの側壁部材33の突出量は、Z2方向の突出量に比べて、Z1方向の突出量が大きい。側壁部材33におけるZ1方向の突出部の外周部には、第1構造体11の管状壁部11eと螺合するための、雄ネジ33cが形成されている。
複数の吐出孔32hは、端部33aの内周面33bと、ボス部31gの外縁と、からそれぞれ離れた位置に設けられている。
側壁部材33のZ2方向の端部33aの突出量は、複数の吐出孔32hから吐出されるシャワー吐出を妨げない高さである。例えば、端部33aの突出高さは、0.3mm~1.0mmであってもよい。
端部33aには、例えば、原水吐出部30の着脱時の回転方向などを示すマーク33dが刻印されている。
【0074】
本実施形態では、ストレート吐出部31および側壁部材33は、樹脂製である。
シャワー吐出板32の材料は、必要な吐出孔が形成できれば、特に限定されない。本実施形態では、一例として、シャワー吐出板32は金属板である。シャワー吐出板32が金属板であると、細径の吐出孔が形成しやすい。また、シャワー吐出板32が金属板であると、細径の吐出孔を多数形成した場合に、薄肉でも水圧に対する強度を保ちやすい。
例えば、シャワー吐出板32が金属板であると、インサート成形によって、ストレート吐出部31および側壁部材33の成形と同時に、シャワー吐出板32をストレート吐出部31および側壁部材33と接続できる。このため、原水吐出部30の製造工程を簡素化できる。例えば、シャワー吐出板32をストレート吐出部31および側壁部材33に接続するための接着剤、接続部材などが不要になるので、小型化と、コスト低減と、が可能になる。
【0075】
シャワー吐出板32に用いることができる金属板の例としては、例えば、ステンレス鋼板(SUS304、SUS430等)などが挙げられる。
シャワー吐出板32の板厚としては、材質に応じて、後述する吐出孔32hを形成しやすい板厚を採用できる。例えば、シャワー吐出板32がステンレス鋼製の場合、0.2mm以上、0.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以上、0.4mm以下であることがより好ましい。
【0076】
図6に示すように、原水吐出部30は、管状壁部11eの内周面に形成された雌ネジ11iと螺合することによって、第2開口部11c2内に装着されている。
原水吐出部30におけるストレート吐出部31におけるZ1方向の端部に形成された穴部31fには、浄水吐出部20と同様、ストレーナー21と、パッキン22と、が配置されている。ただし、穴部31fに配置された、ストレーナー21およびパッキン22の寸法は、穴部20cと、穴部31fと、に寸法差がある場合には、寸法差に応じた適宜の寸法で形成される。
ストレート吐出部31におけるストレーナー21は、穴部31fの穴底に配置されており、ストレート流路P2から供給される原水W1とともに流れる固形成分の流出を防止する。ストレーナー21は、原水W2の流れを整流する機能もある。
ストレート吐出部31におけるパッキン22は、穴部31fの穴底に配置されたストレーナー21のZ1方向側において、穴部31fに圧入されている。パッキン22の内周面22bの内側には、管状部11dの先端部が挿入されている。
管状部11dにおいて、パッキン22との当接部よりもZ1方向側の外周面は、ストレート吐出部31のZ1方向の端部の内周面と、摺動可能に嵌合している。
【0077】
シャワー吐出板32よりもZ1方向側のストレート吐出部31の外周部には、分散板34が装着されている。分散板34は、側壁部材33の内周面、シャワー吐出板32、およびシャワー流路P3との間に隙間を空けて配置されている。分散板34は、Z1方向においてシャワー流路P3と対向している。
分散板34は、シャワー流路P3から凹所11fに供給される原水W1をシャワー吐出板32上に分散させ、シャワー吐出板32の周方向における原水W3の吐出量を均等化する。
【0078】
分散板34とシャワー吐出板32との間には、Z2方向から見て円環状(ドーナツ状)の外形を有し多数の孔があいたメッシュ部材35が配置されている。メッシュ部材35は、分散板34とシャワー吐出板32との間の流線の乱れを抑制し、シャワー吐出板32からの吐水の均一性を一層向上することができる。特に、メッシュ部材35が配置されると、シャワー流の細かい吐水乱れが抑制され、シャワー流がより均一に吐出される。
メッシュ部材35としては、例えば、金網、孔あき板、や多孔質材料などが用いられてもよい。本実施形態では、一例として、ステンレス製の金網が用いられている。例えば、メッシュ部材35の材料が、ステンレス製の金網の場合、メッシュの大きさは、例えば、30メッシュ以上90メッシュ以下であることがより好ましい。
【0079】
このような構成により、原水吐出部30は、雄ネジ33cを雌ネジ11iに螺合させることによって管状壁部11eに装着し、螺合解除することによって管状壁部11eから取り外すことができる。
螺合および螺合解除の際には、例えば、各平面部31cを適宜の着脱工具、手などによって、把持して、原水吐出部30を回転させてもよい。本実施形態では、ストレート吐出部31の先端の2箇所にスリット31eが形成されているので、スリット31eに適宜の板、例えば、着脱治具200の突片部200cを挿入して回転させることもできる。
原水吐出部30を管状壁部11eから取り外す場合、浄水吐出部20の場合と同様に、パッキン22の外周面22aが、穴部31fと密着し、内周面22bが管状部11d上を摺動するので、パッキン22およびストレーナー21は、原水吐出部30とともに、取り外される。
【0080】
次に、シャワー吐出板32の詳細構成の例について説明する。
図14A、14Bは、本発明の第1の実施形態に係る浄水器におけるシャワー吐出板の例を示す模式的な平面図である。
図14A、14Bにおいて、(a)は、平面視のシャワー吐出板32、(b)は、側面視のシャワー吐出板32を、それぞれ示す。
【0081】
図14Aに示すシャワー吐出板32Aは、浄水器100に用いるシャワー吐出板32の例である。
図14Aの(a)に示すように、シャワー吐出板32Aの平面視形状は、点Oを中心とする円環状である。シャワー吐出板32Aの中心部に貫通する中心孔32aは、内周面31aの内径よりも大径の略円形である。中心孔32aの内縁には、例えば、成形型での位置を特定するためのノッチ32fが形成されていてもよい。
シャワー吐出板32Aの内周部には、ボス部31gの内側となる領域に、複数の貫通孔32cが形成されている。複数の貫通孔32cは、インサート成形時に、ストレート吐出部31を形成する樹脂を流すために設けられている。
シャワー吐出板32Aの外周部には、側壁部材33に覆われる領域(内周面33bの外側)に、複数の貫通孔32eが形成されている。複数の貫通孔32eは、インサート成形時に、側壁部材33を形成する樹脂を流すために設けられている。
【0082】
二点鎖線で示すボス部31gと内周面33bとの間には、複数の吐出孔32hが形成されている。複数の吐出孔32hは、点Oを中心とする複数の同心円上に配列されている。シャワー吐出板32Aの場合、互いに同心円である4つの円C1a、C2a、C3a、C4aの各円周上に、それぞれ、複数の孔H1a、複数の孔H2a、複数の孔H3a、および複数の孔H4aが配列されている。円C1a、C2a、C3a、C4aの半径は、R1a、R2a、R3a、R4a(ただし、R1a>R2a>R3a>R4a)である。
孔H1a、H2a、H3a、H4aの孔径を、それぞれD1a、D2a、D3a、D4aとすると、D1a<D2a<D3a=D4aの関係にある。すなわち、最も外周側の孔H1aが最小の孔径D1aを有し、内周側の2つの円C3a、C4aの円周上の孔H3a、H4aが最大の孔径D3a(=D4a)を有している。孔H2aの孔径D2aは、D1aとD3aとの中間である。
本明細書では、特に断らない限り、シャワー吐出板32の複数の吐出孔32hの孔径は、シャワー吐出板32における吐出側(Z2方向側)の表面の孔径を意味する。複数の吐出孔32hにおいて、シャワー吐出板32における吐出側と反対側の表面では、吐出側よりも大きな開口が形成されてもよい。
【0083】
孔H1aは、第1孔径(D1a)を有する第1吐出孔の例である。
孔H2a、H3a、H4aは、第1孔径よりも大きい第2孔径(D2a、D3a、D4a)を有する第2吐出孔の例である。
シャワー吐出板32Aは、径方向において、第1吐出孔が1列、第2吐出孔が3列に形成されている。
特に第2孔径は、D2a以上D3a(=D4a)以下の分布を有している。D2aは、第1孔径よりも大きい第3孔径の例である。D3a(=D4a)は、第3孔径よりも大きい第4孔径の例である。
すなわち、シャワー吐出板32Aでは、複数の第2吐出孔のうち、複数の第1吐出孔に最も近い円周上に配列されている複数の孔H2aが第3孔径を有している。さらに、複数の第2吐出孔において、第2孔径は、シャワー吐出板32Aの外側から内側に向かって第3孔径から第4孔径まで増大している。
【0084】
第1孔径であるD1aは、例えば、0.3mm以上0.4mm以下であってもよく、この範囲では、0.3mmに近い方がより好ましい。
第1吐出孔の孔径が小さいと、第1吐出孔からのシャワー流の洗浄物などへの衝撃力が弱められる。このため、食器などの洗浄物に当たっても、シャワー流が飛び跳ねにくくなり、水撥ねが抑制される。
さらに、第1吐出孔は、第2吐出孔を径方向外側から囲んでいるので、第1吐出孔からのシャワー流は第2吐出孔からのシャワー流を外側からカーテン状に取り囲むように吐出される。このため、第2吐出孔からのシャワー流によって、水撥ねが生じても、第1吐出孔からのシャワー流によって、遮断されやすくなる。
【0085】
第2孔径であるD2a、D3a、D4aは、例えば、0.3mmを超え、0.6mm未満であることがより好ましい。例えば、孔径が0.6mm以上になると、吐出されるシャワー流が強くなりすぎて、水撥ね量が多くなりすぎる可能性がある。また、孔径の大きな吐出孔が近接するため、強度上、シャワー吐出板32Aを厚くしなければならない可能性がある。この場合、シャワー吐出板32Aの部品コストが増大するおそれがある。
【0086】
径方向において内周面33bから孔H1aの内縁までの最短距離(以下、内周面33bから孔H1aまでの距離と称する)は、1mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましい。内周面33bから孔H1aまでの距離が、1mm未満であると、孔H1aからの吐出の開始直後に、吐出された原水が内周面33bを伝って流れやすくなり、孔H1aからの吐出される流れが乱れやすくなる。
各吐出孔が配列される円C1a、C2a、C3a、C4aの大きさは、径方向において隣り合う円の距離(例えば、R1a-R2a、R2a-R3a、R3a-R4a)が0.9mmより大きくなる大きさにするがより好ましい。
互いに隣り合う円の距離が0.9mm以下であると、隣り合うシャワー流同士が近づきすぎて、シャワー流が線状に均一に吐出されにくくなるおそれがある。
径方向においてボス部31gの外縁から孔H4aの内縁までの最短距離(以下、ボス部31gの外縁から孔H4aまでの距離と称する)は、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。ボス部31gの外縁から孔H4aまでの距離が、0.3mm未満であると、孔H4aからの吐出の開始直後に、吐出された原水がボス部31gを伝って流れやすくなり、孔H4aからの吐出される流れが乱れやすくなる。
【0087】
複数の第1孔径における周方向のピッチは、複数の第2孔径における周方向のピッチよりも大きいことがより好ましい。この場合、第1吐出孔が第2吐出孔を径方向外側から囲んでいるので、第2吐出孔からのシャワー流によって、水撥ねが生じても、第1吐出孔からのシャワー流によって、遮断されやすくなる。
【0088】
シャワー吐出板32Aにおける複数の吐出孔32hの吐出側の開口面積の総和(以下、単に、複数の吐出孔32hの開口面積と称する)は、0.1cm2以上0.3cm2以下であることが好ましく、0.18cm2以上0.25cm2以下であることがより好ましい。
複数の吐出孔32hの開口面積が、0.3cm2よりも大きいと、一定の水圧下での流速が遅くなりすぎるので、シャワー流による洗浄効果が弱くなりやすい。
複数の吐出孔32hの開口面積が、0.1cm2よりも小さいと、一定の水圧下での流速が速くなりすぎるので、使用者がシャワー流を痛く感じやすくなる。
【0089】
図14Aの(b)に示すように、シャワー吐出板32Aは、外周部に対して、内周部が板厚方向に突出している。これにより、(a)に示す二点鎖線で挟まれた円環領域は、円錐面状または球面状に湾曲している。シャワー吐出板32Aは、原水吐出部30において、内周部の突出方向がZ2方向になるように、配置される。
【0090】
図14Bに示すシャワー吐出板32Bは、浄水器100に用いるシャワー吐出板32の例である。
図14Bの(a)に示すように、シャワー吐出板32Bは、シャワー吐出板32Aの複数の孔H1aに代えて複数の孔H1bが、複数の孔H2aおよび複数の孔H3aに代えて複数の孔H2bおよび複数の孔H3bが配列されている以外は、シャワー吐出板32Aと同様である。シャワー吐出板32Bの場合、複数の吐出孔32hが、同心状の3つの円C1b、C2b、C3bの円周上に、それぞれ、複数の孔H1bおよび複数の孔H2bが配列されている。円C1b、C2b、C3bの半径は、R1b、R2b、R3b(ただし、R1b>R2b>R3b)である。
孔H1b、H2b、H3bの孔径を、それぞれD1b、D2b、D3bとすると、D1b<D2b=D3bの関係にある。すなわち、最も外周側の孔H1bが最小の孔径D1bを有し、内周側の2つの円C2b、C3b円周上の孔H2b、H3bが最大の孔径D2b(D3b)を有している。
【0091】
孔H1bは、第1孔径(D1b)を有する第1吐出孔の例である。
孔H2b、H3bは、第1孔径よりも大きい第2孔径(D2b、D3b)を有する第2吐出孔の例である。
シャワー吐出板32Bは、径方向において、第1吐出孔が1列、第2吐出孔が2列に形成されている。
シャワー吐出板32Bでは、第2孔径は、すべてD2b(=D3b)である。
シャワー吐出板32Bにおいて、第1孔径、第2孔径の好適な大きさ、第1吐出孔および第2吐出孔の好ましい配列は、シャワー吐出板32Aと同様である。
図14Bの(b)に示すように、シャワー吐出板32Bは、シャワー吐出板32Aと同様に湾曲している。
【0092】
次に、浄水器100の動作について、原水吐出部30の動作を中心として説明する。 以上説明したように、原水吐出部30の装着時には、ストレート流路P2とストレート吐出口E11とはストレート吐出部31の内周面31aが形成する管路において互いに連通している。
このため、ユーザが切替レバー1Dを回動させて、吐出モードを「ストレートモード」にすると、蛇口から供給される原水W1は、入口連通口E2およびストレート流路連通口E3を通して、ストレート流路P2に流れる。
ストレート流路P2を流れる原水W1は、ストレーナー21で固形成分を除去されて、ストレート孔部31dに流れる。ストレート孔部31dでは、原水W1が周方向に途切れていない円筒面に沿って流れるので、原水W1がストレート孔部31dに沿って整流される。この後、原水W1は、ストレート吐出部31のZ2方向の端部から原水W2として吐出される。原水W1は、ストレート孔部31dによって整流されてから吐出されるため、スリット31eの影響によって原水W1が吐出方向(Z2方向)と異なる方向に飛散することが抑制される。
【0093】
また、原水吐出部30の装着時には、シャワー流路P3と、凹所11fにおいてストレート吐出部31と側壁部材33との間の円環状空間と、が連通している。
このため、ユーザが切替レバー1Dを回動させて、吐出モードを「シャワーモード」にすると、蛇口から供給される原水W1は、入口連通口E2およびシャワー流路連通口E4を通して、シャワー流路P3に流れる。
シャワー流路P3を流れる原水W1の流れは、分散板34によって円環状空間の内部で均等化される。
さらに、円環状空間には、分散板34とシャワー吐出板32との間にメッシュ部材35が配置されているため、原水W1がメッシュ部材35を通過することによって、原水W1の流線の乱れが抑制される。これにより、シャワー吐出板32に向かう流れが均一化される。
原水W1は、複数の吐出孔32hから原水W3として、シャワー状に吐出される。このとき、シャワー吐出板32が、Z2方向に凸の湾曲を有するため、原水W3の吐出方向が湾曲に沿って広がる放射状になる。
原水W3は、吐出される吐出孔32hの孔径に応じて、流れの強さが異なる。特に、外周側の吐出孔32hは、孔径が最小なので最も弱い流れが形成される。この流れは、例えば、吐出方向の食器、シンクなどに当たっても、水撥ねを起こしにくい。
原水W3では、より大径の吐出孔32hから吐出されるより強いシャワー流は最外周の弱い流れに囲まれてシャワー吐出板32の内周側から吐出される。このため、強いシャワー流は、最外周の弱いシャワー流によってカーテン状に囲まれるので、水撥ねしてしても、弱いシャワー流によって遮られる。これにより、内周側の強いシャワー流による水撥ねが抑制される。
【0094】
ユーザが切替レバー1Dを回動させて、吐出モードを「浄水モード」にすると、蛇口から供給される原水W1は、入口連通口E2およびカートリッジ流路連通口E5を通して、カートリッジ流入流路P4に流れる。原水W1は、原水流路P7を通して、カートリッジ2に流入し、カートリッジ2によって浄水W4が形成される。浄水W4は、浄水流入口E7から浄水流路P5に流入し、浄水吐出流路P6に流れる。
浄水吐出流路P6を流れる浄水W4は、ストレーナー21で固形成分を除去されて、浄水吐出部20からZ2方向に吐出される。
【0095】
本実施形態の浄水器100によれば、原水吐出部30のシャワー吐出板32が、複数の吐出孔32hの最外周に、例えば、孔H1a、H1bのような、径方向内側の吐出孔32hよりも小径の複数の第1吐出孔を有する。これにより、第1吐出孔から吐出されたシャワー流による水撥ねを抑制できる。さらに、第1吐出孔から吐出されたシャワー流は、より内側の第2吐出孔から吐出されるシャワー流をカーテン状に囲むように吐出されるので、第2吐出孔からのシャワー流による水撥ねを遮ることができる点でも、水撥ねを抑制できる。
【0096】
特に、シャワー吐出板32Aのように、複数の第2吐出孔の第2孔径が中心部から外周に向かって小さくなるような分布を有する場合、より外側の第2吐出孔は、より内側の第2吐出孔よりも水撥ねが少なくなっており、かつ、より内側の第2の吐出口をカーテン状に囲んでいるので、第1の吐出孔に向かうより内側の第2吐出孔の水撥ねを低減する機能も有する。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、シャワー吐出時の水撥ねを抑制できる浄水器100を提供することができる。
【0098】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の浄水器について説明する。
図15は、本発明の第2の実施形態に係る浄水器の一例を示す模式的な斜視図である。
【0099】
図15に示す本実施形態の浄水器100Aは、表示部を有しない例であり、第1の実施形態の浄水器100から表示部3、操作ボタン4、およびリセットスイッチ1Eが削除されている。このため、浄水器100Aは、第1の実施形態の本体部1に代えて、本体部101を備える。本体部101は、前部1Xに代えて、前部101Xを備える。
前部101Xは、表示部3、操作ボタン4、これらを支持する第3構造体13を含まないので、X1方向の長さが、前部1Xよりも短い。前部101Xは、浄水器100の上カバー1A、下カバー1Bに対応して、X1方向の長さがより短い上カバー101A、下カバー101B(カバー)を備える。
前部101Xにおいては、Z1方向から見て、第1下面1gと重なる領域の内部構造は、浄水器100と同様である。このため、下カバー101Bは、第1の実施形態と同様の第1開口部11c1と、第2開口部11c2とを備える。第1開口部11c1および第2開口部11c2には、第1の実施形態と同様の浄水吐出部20および原水吐出部30がそれぞれ配置されている。
【0100】
本実施形態の浄水器100Aによれば、第1の実施形態と同様の原水吐出部30を備えているので、第1の実施形態と同様の作用を備える。
【0101】
なお、上記各実施形態では、シャワー吐出板32における第1吐出孔および第2吐出孔の配列の例を、シャワー吐出板32A、32Bの例で説明した。しかし、第1吐出孔および第2吐出孔の構成は、これらの例示には限定されない。
例えば、複数の第1吐出孔は、2列以上設けられてもよい。
例えば、複数の第2吐出孔の形成範囲において、第2孔径よりも小径の第3吐出孔が形成されてもよい。
【実施例0102】
次に、第1の実施形態の実施例の浄水器を用いた水撥ね試験の結果について、比較例の浄水器の結果とともに説明する。
図16は、実施例および比較例の浄水器の水撥ね試験における試験条件を示す模式的な断面図である。
【0103】
図16に示すように、本水撥ね試験では、シンク302上に配置された蛇口301に供試体である浄水器Sを取り付けて、シャワー吐出を行い、水撥ね量の測定を行った。浄水器Sは、シャワー吐出板S32を含む原水吐出部S30を備える。
シンク寸法は、X方向の幅が700mm、Y方向の奥行きDが505mm、Z方向の深さHが196mmであった。
シンク302の底面302a上には、高さ調整台304と、皿303とが、配置された。皿303は、高さ調整台304の上面に裏返して配置された。皿303の高台303aは、シンク302の中心部の上方であって、浄水器Sの原水吐出部S30の中心の下方に配置された。底面302aから高台303aまでの高さhは、110mmであった。
原水吐出部S30におけるシャワー吐出板S32のZ2方向の端面から高台303aまでの距離Aは、160mmであった。
原水吐出部S30のY1方向の端部からシンク302のY1方向における上部開口までの距離Bは、240mmであった。
シンク302のY1方向における上面302b上には、上面302bに到達する水撥ねを吸収するティッシュペーパー305が配置された。ティッシュペーパー305は、吸水前の質量が予め測定されており、X方向の幅が540mm、Y方向の幅が330mmの矩形状の測定領域に均等に配置された。
【0104】
実施例の浄水器Sとしては、第1の実施形態における浄水器100が用いられた。原水吐出部S30およびシャワー吐出板S32には、それぞれ原水吐出部30およびシャワー吐出板32Aが対応していた。メッシュ部材35としては、60メッシュのステンレス製の金網が用いられた。
比較例の浄水器Sとしては、シャワー吐出板S32が樹脂製であり、シャワー吐出板S32における複数の吐出孔の構成が異なる以外は、実施例の浄水器100と同様の浄水器が用いられた。ただし、比較例のシャワー吐出板S32は、樹脂製のため、金属板をインサート成形している実施例の場合のように外周部に端部33aのような樹脂製の凸部は形成されていない。
下記[表1]に、実施例および比較例の供試体の各シャワー吐出板の具体的な構成を記載した。
【0105】
【0106】
[表1]に示すように、実施例におけるシャワー吐出板32Aの条件は以下の通りであった。
内周面33b([表1]では「外壁部」と記載)の内径は、27mmであった。
孔H1a([表1]では「最外周列」と記載)の孔径は0.3mm、孔個数は40個、円C1a([表1]では「配置円」と記載)の半径は、12.3mmであった。
孔H2a([表1]では「中間列1」と記載)の孔径は0.35mm、孔個数は54個、円C2a([表1]では「配置円」と記載)の半径は、11.3mmであった。
孔H3a([表1]では「中間列2」と記載)の孔径は0.40mm、孔個数は54個、円C3a([表1]では「配置円」と記載)の半径は、10.2mmであった。
孔H4a([表1]では「最内周列」と記載)の孔径は0.40mm、孔個数は46個、円C4a([表1]では「配置円」と記載)の半径は、9.05mmであった。
ボス部31gの外縁([表1]では「内壁部」と記載)の外径は、17mmであった。 実施例における吐出孔32hの開口面積は、0.206cm2であった。
内周面33bから孔H1aまでの距離([表1]では「外壁部と最外周列との距離」と記載)は、1.05mmであった。
ボス部31gの外縁から孔H1aまでの距離([表1]では「内壁部と最内周列との距離」と記載)は、0.4mmであった。
【0107】
実施例におけるシャワー吐出板32Aとしては、ステンレス製の厚さ0.4mmの金属板が用いられた。
【0108】
[表1]に示すように、比較例におけるシャワー吐出板では、2つの同心円上に2列の吐出孔が形成された。
最外周列の吐出孔の孔径は1.1mm、孔個数は30個、配置円の半径は、16.0mmであった。
最内周列の吐出孔の孔径は1.1mm、孔個数は18個、配置円の半径は、12.5mmであった。
比較例における吐出孔の開口面積は、0.456cm2であった。
比較例はシャワー吐出板S32が樹脂製であるため、実施例に比べると、吐出孔の孔径と、吐出孔の径方向および周方向の配列ピッチとが、いずれも大きくもなっていた。比較例のシャワー吐出板S32の外径は43mmであり実施例よりも大きかったが、吐出孔を2列しか配列できなかった。
上述のように比較例には最外周列の吐出孔と径方向に隣り合う外壁部は存在しないが、[表1]における「外壁部と最外周列との距離」欄には、シャワー吐出板S32の外縁と、最外周列の吐出孔の中心と、の径方向の距離である4.95mmを記載した。
ボス部31gの外縁から最内周列の吐出孔までの距離は、4.45mmであった。
【0109】
水撥ね試験においては、浄水器Sを蛇口301に取り付けた後、10分間のシャワー吐出を行った。この後、吸水したティッシュペーパー305の質量を測定し、吸水前のティッシュペーパー305の質量を引くことによって水撥ね量を算出した。
シャワー吐出は、定圧モードと、定流量モードと、で行われた。
定圧モードでは、蛇口301の水圧を0.2MPaに固定してシャワー吐水を行った。0.2MPaの水圧は、蛇口301における最大圧力であった。この場合、蛇口301を全開してシャワー吐出を行うことに相当しており、例えば、食器洗いなどの通常のシャワー吐出に比べて過剰な吐出量での試験になっていた。
定流量モードでは、シャワー吐出の流量を6.0L/minに固定してシャワー吐水を行った。6.0L/minの流量は、例えば、食器洗いなどに最適の流量の例として設定された。
下記[表2]に実施例および比較例における評価結果を示す。
【0110】
【0111】
[表2]に示すように、定圧モードにおいては、実施例の水撥ね量、流速、および瞬時流量は、それぞれ、0.23g、672.2cm/sec、および8.3L/minであった。同じく比較例の水撥ね量、流速、および瞬時流量は、それぞれ、12.81g、358.2cm/sec、および9.8L/minであった。
定流量モードにおいては、実施例の水撥ね量および流速は、それぞれ、0gおよび485.9cm/secであった。同じく比較例の水撥ね量および流速は、それぞれ、2.44gおよび219.3cm/secであった。
【0112】
定圧モードにおいては、瞬時流量は、比較例が実施例の約1.18倍であった。このため、10分間の吐水量の相違も同程度と考えられた。これに対して、水撥ね量は、比較例が実施例の約55.7倍になった。すなわち、比較例の方が、吐水量の相違の程度を格段に越えて、水撥ねを起こしていることが分かった。
流速は、実施例が比較例の約1.9倍になっているので、シャワー流の運動量は実施例の方が大きい。このため、実施例においては、洗浄効果を低下させることなく水撥ね量が抑制されていることが分かった。
【0113】
定流量モードにおいては、10分間の吐水量は同等であった。これに対して、水撥ね量は、実施例が0g、比較例が2.44gと、実施例では、水撥ねが抑制されていた。このため、洗浄に最適な流量では、実施例では、水撥ねが完全に抑制されていた。このとき、流速は、実施例が比較例の約2.2倍になっているので、シャワー流の運動量は実施例の方が大きい。このため、実施例においては、洗浄効果を低下させることなく水撥ね量が抑制されていることが分かった。
【0114】
この理由としては、実施例の吐出孔が比較例の吐出孔よりも細径なので、シャワー流が細くなってそれぞれの水撥ねが抑制されたことが挙げられる。さらに、実施例では、最外周の吐出孔が最小の孔径を有しているため、特に水撥ねを起こしにくいシャワー流が中心部の吐出孔からのシャワー流をカーテン状に囲んでいるため、中心部で発生した水撥ねが外周のシャワー流で遮られたと考えられる。
【0115】
本試験では、定圧モードおよび定流量モードにおいて、シャワー吐出板32の近傍におけるシャワー流を目視観察した。吐出の開始直後におけるシャワー流の乱れの有無を、[表2]の「吐水初期乱れ」欄に記載した。
実施例は、定圧モードおよび定流量モードのいずれにおいても、吐出の開始直後におけるシャワー流の乱れは見られなかった。すなわち、最外周の吐出孔からのシャワー流がシャワー吐出板S32を囲む原水吐出部S30の外壁部を伝って流れることはなかった。 この理由は、実施例は外壁部と最外周列との距離が1.0mm以上であったため、シャワー流が外壁部を伝って流れなかったからであると考えられた。
比較例の場合、シャワー流の乱れの原因となる外壁部を有しないので、やはり吐出の開始直後におけるシャワー流の乱れは見られなかった。
【0116】
以上、本発明の好ましい各実施形態および実施例を説明したが、本発明はこれらの各実施形態および実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。