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特開2024-25831防災マニュアルキットおよび防災マニュアルキットの形成適用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025831
(43)【公開日】2024-02-27
(54)【発明の名称】防災マニュアルキットおよび防災マニュアルキットの形成適用方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240215BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127493
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】515111794
【氏名又は名称】合同会社グローバルリンク
(74)【代理人】
【識別番号】100120581
【弁理士】
【氏名又は名称】市原 政喜
(72)【発明者】
【氏名】市居 嗣之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】 平素から施設の共用スペースに設置することにより、災害発生前の防災準備から、災害発生後の各種対応まで容易に実施すること。
【解決手段】 非常時対応キット501は、ホワイトボード502に、日ごろの業務としても活用し、職員や利用者が常に施設の置かれているリスクを理解し、いざという時にはどのような判断をしなければいけないのかを容易にわかる一般通知事項504、および都度必要事項を書き込む書き込み部505が配置され、ボードの下部に一連のアクションシート503が取り外し可能に吊り下げられている。ここで、災害発生時には、一般通知事項504として、災害がどこでどのように発生しているかを記録するための地図601、施設長、各施設リーダー、職員に分けて何をしなければいけないのかを明確にする役割分担票602および災害発生から日付ごとの利用者の行動管理表603を含むことができる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災マニュアルキットであって、
行動判断指標、施設管理表および施設近隣の地図を含む一般通知事項を配置されたアクションボードであって、災害の状況に応じて必要な情報を書き込めるアクションボードと、
前記アクションボードに取り外し可能に取り付けられ、状況によって必要な作業手順を表面におよび担当を裏面に記載した複数のアクションシートと
を備える防災マニュアルキット。
【請求項2】
前記行動判断指標は、施設に属するメンバーのレイヤーごとのイベント発生時に必要な行動を示すことを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項3】
前記施設近隣の地図は、被害想定図を含むことを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項4】
前記施設管理表は、施設内の各室の現況を書き込むフィールドを有することを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項5】
前記作業手順は、現地本部を立ち上げ手順、火災発生の際の対応手順、けが人発生の際の対応手順および、情報収集などの対応手順を含むことを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項6】
前記アクションシートは、災害発生時に注意喚起するための掲示板をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防災マニュアルキット。
【請求項7】
前記作業手順は、災害未発生の状況において定期的に必要な手順をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防災マニュアルキット。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載の防災マニュアルキットを形成適用する方法であって、
事業継続計画策定のための施設内のリスク分析を含む予備調査を支援する予備調査ステップと、
職員やその家族の安全を確保しながら自社の事業を継続することを目的とし、企業にとって必要な準備、計画の理解を深める職員向け事業継続計画研修会の提供を支援する職員向け研修会支援ステップと、
既存の防災マニュアルデータに基づき、緊急組織体制、作業手順、想定されているハザード、既存の備蓄物資、資器材等について施設の規模、利用者数、職員数などと比較して分析し事業継続計画の策定を支援する計画策定支援ステップと、
前記策定された事業継続計画に基づいて災害時のアクションシートおよびアクションボードを策定するキット生成ステップと、
事業継続計画に基づき、施設にとって必要なハザードに応じたシナリオの作成を支援する行動訓練支援ステップと
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記予備調査ステップは、前記施設の各室ごとの災害時のリスク分析を実行することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記事業継続計画研修会は、オンラインで提供されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記災害時のアクションシートおよびアクションボードの策定ステップは、ハザードマップをデータベースから読み込んで施設近隣の地図を生成することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災マニュアルキットおよび防災マニュアルキットの形成適用方法に関し、より具体的には、病院、学校、介護施設など多人数の集まる施設に提供される防災マニュアルキットおよび防災マニュアルキットの形成適用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化や高齢化社会の進展、人口増加による都市化などの様々な要因により、自然災害をはじめとする様々な災害(自然災害、感染症、事故、火災等)が増加しており、さらに、これまでの経験とは異なった異常現象となることも多く、事前に想定しにくい事態も発生している。このような自然災害をはじめとする様々な災害に対して、日ごろから想定しうる危機を最小限にし、いざという時でも安全を確保しながらサービスを維持していくことが求められており、そのための様々な手段が提案されている。例えば、特許文献1には、災害時における各世帯の個別事情に応じた具体的な行動や、多人数世帯における家族の役割分担を予定し、視覚化することができ、災害時における適切な行動を把握することができる行動把握紙媒体を提供することを目的とし、災害時における適切な行動を把握するための紙媒体であって、災害時における行動者名および該行動者の行動予定が記載される複数の行動タグ12と、前記行動タグ12が貼付される表示部14と、を備え、前記表示部14は、各警戒レベルが表示された警戒レベル表示部14aと、該警戒レベル表示部14aの近傍に設けられる行動表示部14bと、を有し、前記行動タグ12が、前記行動表示部14bにおける前記警戒レベル表示部14aに表示された各警戒レベルに応じた位置に配置されることによって、災害時における各警戒レベルに応じた行動が把握可能である行動把握紙媒体10が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、コンパクトに折り畳み可能に構成されることで災害現場等への迅速容易な運搬が可能であり、かつホワイトボードを展開した際に一様な筆記面が形成され、しかも雨天や夜間においてもこの筆記面に記入された内容を明確に視認可能な折り畳み式ホワイトボードを提供することを目的とし、長尺状をなす複数のパネル2と、並列する複数のパネル2が折り畳み又は巻き込み可能に取り付けられる伸縮性シート体3と、からなるボード本体4と、を備え、複数のパネル2のそれぞれ裏面2bは、伸縮性シート体3の取付面3aに取り付けられ、複数のパネル2のそれぞれ表面2a又は/及び取付面3aの反対面は、ホワイトボード材Wが備えられ、ホワイトボード材Wは、ボード本体4が展開される場合に、一様な筆記面5を形成する、折り畳み式ホワイトボードが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3225793
【特許文献2】特開2017-013251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術の行動把握紙媒体は、各世帯ごとの災害時の行動計画を分かりやすくすることができるものの、病院、学校、介護施設など多人数の集まる施設の行動計画を立案する場合、様々なアクションが想定されることから、このような単純な構成では対応することができないという問題がある。また、従来技術の折り畳み式ホワイトボードは、雨天や夜間においてもこの筆記面に記入された内容を明確に視認可能ではあるものの、施設内で共通に必要とされる情報である全体的な状況を通知する内容のみしか記載することができず、具体的、詳細な個別のアクションを円滑に伝えることができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、全体状況を表示しつつ追加の情報を書き込めるホワイトボードに加え、個別のアクションを記載した複数のアクションシートを取り外し可能に取り付けることができるので、平素から施設の共用スペースに設置することにより、災害発生前の防災準備から、災害発生後の各種対応まで容易に実施することができる防災マニュアルキットおよび防災マニュアルキットの形成適用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、防災マニュアルキットであって、行動判断指標、施設管理表および施設近隣の地図を含む一般通知事項を配置されたアクションボードであって、災害の状況に応じて必要な情報を書き込めるアクションボードと、アクションボードに取り外し可能に取り付けられ、状況によって必要な作業手順を表面におよび担当を裏面に記載した複数のアクションシートとを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防災マニュアルキットにおいて、行動判断指標は、施設に属するメンバーのレイヤーごとのイベント発生時に必要な行動を示すことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の防災マニュアルキットにおいて、施設近隣の地図は、被害想定図を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の防災マニュアルキットにおいて、施設管理表は、施設内の各室の現況を書き込むフィールドを有することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の防災マニュアルキットにおいて、作業手順は、現地本部を立ち上げ手順、火災発生の際の対応手順、けが人発生の際の対応手順および、情報収集などの対応手順を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の防災マニュアルキットにおいて、アクションシートは、災害発生時に注意喚起するための掲示板をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の防災マニュアルキットにおいて、作業手順は、災害未発生の状況において定期的に必要な手順をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の防災マニュアルキットを形成適用する方法であって、事業継続計画策定のための施設内のリスク分析を含む予備調査を支援する予備調査ステップと、職員やその家族の安全を確保しながら自社の事業を継続することを目的とし、企業にとって必要な準備、計画の理解を深める職員向け事業継続計画研修会の提供を支援する職員向け研修会支援ステップと、既存のる防災マニュアルデータに基づき、緊急組織体制、作業手順、想定されているハザード、既存の防災マニュアルデータに基づき、緊急組織体制、作業手順、想定されているハザード、既存の備蓄物資、資器材等について施設の規模、利用者数、職員数などと比較して分析し事業継続計画の策定を支援する計画策定支援ステップと、策定された事業継続計画に基づいて災害時のアクションシートおよびアクションボードを策定するキット生成ステップと、事業継続計画に基づき、施設にとって必要なハザードに応じたシナリオの作成を支援する行動訓練支援ステップとを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の方法において、予備調査ステップは、施設の各室ごとの災害時のリスク分析を実行することを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の方法において、事業継続計画研修会は、オンラインで提供されることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の方法において、災害時のアクションシートおよびアクションボードの策定ステップは、ハザードマップをデータベースから読み込んで施設近隣の地図を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、行動判断指標、施設管理表および施設近隣の地図を含む一般通知事項を配置されたアクションボードであって、災害の状況に応じて必要な情報を書き込めるアクションボードと、アクションボードに取り外し可能に取り付けられ、状況によって必要な作業手順を表面におよび担当を裏面に記載した複数のアクションシートとを備えているので、平素から施設の共用スペースに設置することにより、災害発生前の防災準備から、災害発生後の各種対応まで容易に立案し、実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の非常時対応キットの適用コンセプトを示す図である。
図2】本発明の一実施形態の防災マニュアルキットの形成システムの一例のシステム構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態の防災マニュアルキットの形成システムの一例の機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態の防災マニュアルキットの形成処理の一例のフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態の各種アクションシートを含むアクションボードの一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態のアクションボードに配置される一般通知事項の別の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態の現地本部を立ち上げる際の手順のアクションシートを示す図である。
図8】本発明の一実施形態の火災発生の際の手順のアクションシートを示す図である。
図9】本発明の一実施形態のけが人発生の際の手順のアクションシートを示す図である。
図10】本発明の一実施形態の情報収集、整理などの対応手順のアクションシートを示す図である。
図11】本発明の一実施形態のインフラ復旧の手順の一例のアクションシートを示す図である。
図12】本発明の一実施形態のインフラ復旧の手順の別の例のアクションシートを示す図である。
図13】本発明の一実施形態の感染症の疑いがある際の手順のアクションシートを示す図である。
図14】本発明の一実施形態の車両復旧の際の手順のアクションシートを示す図である。
図15】本発明の一実施形態の安全安心な環境の維持に関するアクションシートを示す図である。
図16】本発明の一実施形態の長期的な復興支援に関するアクションシートを示す図である。
図17】本発明の一実施形態の災害発生時に注意喚起のために使用するアクションシートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の防災マニュアルキットおよび防災マニュアルキットの形成適用方法について図面を参照して実施形態を説明する。
【0021】
(防災マニュアルキット)
図1は、本発明の一実施形態の防災マニュアルキットである非常時対応キットの適用コンセプトを示す図である。本実施形態は、災害等の非常事態が発生した際に活用する非常時対応キットを、より現場の状況に適合させ、効率よく作成し、円滑に適用するものであり、このため、本実施形態では図1に示すアプローチにより非常時対応キットを運用する。すなわち、後述するように形成された非常時対応キットを用いて、オンラインによる創造力強化研修、オンラインによる管理者、サービス利用者による基礎体力アップ研修、オンラインによる主体間での協働研修を実施することにより、本実施形態の非常時対応キットはより確実に目的を達成することが可能となる。
【0022】
非常時対応キットは、後述するように、図5に示すアクションボードであるホワイトボードの下部に各種アクションシートをフックなどでぶら下げて、内容を確認できるようになっており、必要なときは取り外して現場に持ち込んで使用することもできる。本実施形態の非常時対応キットは、平素から施設の共用スペース等に設置することにより、災害発生前の防災準備から、災害発生後の各種対応まで容易に実施することができる。
【0023】
(防災マニュアルキットの形成)
一般的に防災対応マニュアルなどを策定する場合は、各施設の関係者が長期にわたり調査や検討を行って、その施設独自のマニュアルを完成させて運用するか、施設のタイプに合わせた標準的なマニュアルで運用することが行われている。しかし、本実施形態の非常時対応キットは、一般的な施設のタイプごとに共通するマニュアルを、使用しやすいシートの形態としてテンプレート化するとともに、各施設に特有な事項を加えていくことによりその施設に最適な形で形成することができる。すなわち、非常時対応キットは一部または全部についてコンピュータシステムにより支援を受けて形成されるものであるが、以下図2ないし4を参照して形成適用方法を説明する。図2は、本発明の一実施形態の防災マニュアルキットの形成システムの一例のシステム構成を示す図であり、図3は本実施形態の防災マニュアルキットの形成システムの一例の機能ブロック図である。図4は、本発明の一実施形態の防災マニュアルキットの形成処理の一例のフローチャートである。
【0024】
本実施形態の防災マニュアルキットの形成システムでは、防災マニュアルキットの形成のために必要なデータベースを備え、様々な支援を提供する支援サーバ201が、実際に必要なデータを入力し、支援を提供する端末202とネットワーク203を介して接続されている。端末202は、ネットワーク203に接続され、識別情報のほか様々なデータを送受信でき、通常はパソコンを用いることができるが、例えばタブレット端末とすることもでき、本実施形態でネットワーク203との接続は、Wi-fi、BLUETOOTH(登録商標)等の無線ネットワークにより行うこともできる。ここで端末202はパソコンのほか、モバイルパソコン等とすることができるが、基本的にデータ等をサーバから受信し、およびマウスまたはキーボードで一定の入力操作をすることができれば、モバイルあるいはデスクトップのパソコン、専用端末などいずれの装置を用いることもできる。
【0025】
図3に示すように、本実施形態の支援サーバ201は、ハザードマップや施設自体のデータや、その環境に関する情報などを提供して、防災マニュアルキットの形成のための予備調査を支援する予備調査支援モジュール301、様々なデータを提供し事業継続計画の策定を支援する事業継続計画策定支援モジュール302、防災マニュアルのテンプレートやアクションボードに貼り付ける値などのデータを提供して、防災マニュアルキットの作成を支援する防災マニュアルキット作成支援モジュール303、様々なデータの送受信を行うメール送受信モジュール304および作成された防災マニュアルキットに基づいて必要な研修や訓練のスケジューリング機能などを提供し準備や管理を支援する研修訓練管理支援モジュール305を備える。
【0026】
図4を参照して防災マニュアルキットの形成処理を説明すると、予備調査支援モジュール301の支援により、ハザードマップや施設自体のデータや、その環境に関する情報などに基づいて必要なリスク分析などを行い、事業継続計画策定に向けた予備調査を行う(ステップ401)。次に、研修訓練管理支援モジュール305の支援により、予め定められた研修内容に沿って職員のスケジュール機能などの職員向け事業継続計画研修会を提供する(ステップ402)。予備調査や職員向け事業継続計画研修会の結果に基づいて、事業継続計画策定支援モジュール302の支援により、緊急組織体制、作業手順、想定されているハザード、既存の備蓄物資、資器材等について施設の規模、利用者数、職員数などと比較して分析し、事業継続計画を策定する(ステップ403)。作成された事業継続計画に基づいて、防災マニュアルキット作成支援モジュール303の支援により、災害時のアクションシートおよびアクションボードを作成する(ステップ404)。具体的には、入力された施設情報や実施されたリスク分析に基づいて、テンプレートから自動生成されたアクションシートなどを端末202等に表示させて、情報を追加修正することにより防災マニュアルキットを作成することができる。防災マニュアルキットや事業継続計画に基づいて、研修訓練管理支援モジュール305の支援により、入力スケジュールやアラート機能などを用いて施設にとって必要なハザードに応じたシナリオの作成や定期的に行動訓練の実施の支援を受けて災害発生に備える(ステップ405)。
【0027】
以上により、支援サーバ201は、防災マニュアルキット作成の準備段階から、作成後の防災マニュアルキットの適用のための行動の実施を支援することによって、従来の施設の防災対応よりも、より低コストでより早期に、その施設に最適な防災体制を整えることができる。
(アクションボードの構成)
図5は、本発明の一実施形態の各種アクションシートを含むアクションボードの一例を示す図であり、図6は、本実施形態のアクションボードに配置される一般通知事項の別の例を示す図である。図5に示すように、非常時対応キット501は、ホワイトボード502に、例えば、日ごろの業務としても活用し、職員や利用者が常に施設の置かれているリスクを理解し、いざという時にはどのような判断をしなければいけないのかを容易にわかる一般通知事項504、および都度必要事項を書き込む書き込み部505が配置され、ボードの下部に一連のアクションシート503が取り外し可能に吊り下げられている。ここで、図5は、平時のホワイトボード502を示しているが、災害発生時には、図6に示すように、一般通知事項504として、災害がどこでどのように発生しているかを記録するための地図601、施設長、各施設リーダー、職員に分けて何をしなければいけないのかを明確にする役割分担票602および災害発生から日付ごとの利用者の行動管理表603を含むことができる。ボードであるホワイトボードの下部に各種アクションシートをフックなどでぶら下げて、内容を確認できるようになっており、必要なときは取り外して現場に持ち込んで使用することもできる。本実施形態の非常時対応キットは、平素から施設の共用スペース等に設置することにより、災害発生前の防災準備から、災害発生後の各種対応まで容易に実施することができる。すなわち、関係者全員が見る必要があり、その場に掲示しておくべき情報は、ホワイトボードに掲示され、必要に応じて担当者、発生事象や通知事項などを書き込むことができ、一方個別具体的な対応マニュアルは、各シートとして分散管理され、ホワイトボード502に吊り下げられている各アクションシート503を参照し、あるいは持ち歩いて使用することにより、災害発生時に使い勝手の良いマニュアルキットとして利用することができる。
(アクションシート)
手順書(アクションシート)は状況によって必要な作業を選択して使用できるようになっており、必要のない作業は確認する必要はく、また、順番通りにする必要もない構成になっている。図7ないし17は、本発明の一実施形態の各種作業手順のアクションシートを示す図である。以下、各種アクションシートについて説明するが、これに限られることなく、本技術分野で知られたその他の手順や異なる手順や掲示を含めることもできる。
【0028】
図7は、本発明の一実施形態の現地本部を立ち上げる際の手順のアクションシート701を示す図である。アクションシート701は、施設全体の被害状況などを取りまとめ、指示を出すための本部を設置する手順を示し、避難するかしないかの判断も含むがこれに限らず、現地本部の立ち上げや、指示に関する手順を含むことができる。例えば、現地本部長の決定702、避難有無の決定703、初動対応作業の開始704および対策本部への連絡705を含むことができる。
【0029】
図8は、本発明の一実施形態の火災発生の際の手順のアクションシート801を示す図である。アクションシート801は、出火位置を特定し、初期消火活動を行うと同時に周辺の利用者の避難誘導を含み、火災発生後の処理についての確認、保険手続きや近隣周辺への対応も含むことができる。例えば、出火場所の特定と初期消火802、避難する、しない、の判断803、利用者移動のための人員確保804および利用者の避難開始805を含むことができる。同様に、図9は、本発明の一実施形態のけが人発生の際の手順のアクションシート901を示す図であり、施設内の見回り902,けが人の対処903、病院等の受け入れ状況の確認904およびけが人の経過観察905を含むことができる。
【0030】
図10は、本発明の一実施形態の情報収集、整理などの対応手順のアクションシート1001を示す図である。アクションシート1001は、情報の途絶や錯綜などサービスの維持を図るうえで障害となる事象を回避し、様々な連絡手段を確保し、職員間の連携の維持を図るものである。職員の安否確認、利用者およびその家族の安否確認を含み、サービス提携している事業者についてサービスの継続が可能かについての確認も含むことができる。例えば、連絡手段の確認1002、職員の安否確認1003、利用者家族の安否確認1004および対策本部への状況報告1005を含むことができる。同様に、図9は、本発明の一実施形態のけが人発生の際の手順のアクションシート901を示す図であり、施設内の見回り902,けが人の対処903、病院等の受け入れ状況の確認904およびけが人の経過観察905を含むことができる。
【0031】
図11は、本発明の一実施形態のインフラ復旧の手順の一例のアクションシート1101を示す図である。例えば、アクションシート1101は、各階のトイレの確認1102、水が流れない場合の措置1103、便器等が破損した場合の措置1104および利用者への呼びかけ1105を含むことができる。例えば、水が流れない場合の措置1103としては、図17に示すような注意喚起のために使用するアクションシートを使用することができる。図17は、本発明の一実施形態の災害発生時に注意喚起のために使用するアクションシートを示す図である。このような注意喚起のためのアクションシートを予め用意することで、災害時に即座に使用することができる。
【0032】
図12は、本発明の一実施形態のインフラ復旧の手順の別の例のアクションシート1201を示す図である。例えば、アクションシート1201は、インフラ情報の収集方法の確認1202、職員と利用者への情報伝達1203、家族への連絡1204および復旧情報の把握1205を含むことができる。同様に、図13は、本発明の一実施形態の感染症の疑いがある際の手順のアクションシート1301を示す図である。例えば、アクションシート1301は、施設への立ち入り制限と掲示1302、施設内の消毒・換気1303、利用者と職員のバイタル確認1304および感染症対策資材の確認1305を含むことができる。
【0033】
図14は、本発明の一実施形態の車両復旧の際の手順のアクションシート1401を示す図である。例えば、アクションシート1401は、送迎車両との交信1402、更新できない場合の措置1403、別車両による安全確認出動1404および車両が使えない場合の措置1405を含むことができる。同様に、図15は、本発明の一実施形態の安全安心な環境の維持に関するアクションシート1501を示す図である。例えば、アクションシート1501は、出入口の確認1502、ゴミ集積所などの確認1503、施設内巡回1504および声掛けの徹底1505を含むことができる。
【0034】
図16は、本発明の一実施形態の長期的な復興支援に関するアクションシート1601を示す図である。例えば、アクションシート1601は、地域町内会との連絡1602、施設としての対応協議1603、担当者の配置1604および設備の利用検討1605を含むことができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の非常時対応キットは、ホワイトボードの下部に各種アクションシートをフックなどでぶら下げて、内容を確認できるようになっており、必要なときは取り外して現場に持ち込んで使用することにより、平素から施設の共用スペース等に設置することにより、災害発生前の防災準備から、災害発生後の各種対応まで容易に実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
201 支援サーバ
202 端末
203 ネットワーク
301 予備調査支援モジュール
302 事業継続計画策定支援モジュール
303 防災マニュアルキット作成支援モジュール
304 メール送受信モジュール
305 研修訓練管理支援モジュール
501 非常時対応キット
502 ホワイトボード
503 アクションシート
504 一般通知事項
505 書き込み部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-09-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災マニュアルキットであって、
役割分担票、施設管理表および施設近隣の地図を含む一般通知事項を配置されたアクションボードであって、災害の状況に応じて必要な情報を書き込めるアクションボードと、
前記アクションボードに取り外し可能に取り付けられ、個別具体的な対応マニュアルとして状況によって必要な作業手順を表面におよび担当を裏面に記載した複数のアクションシートであって、災害時には取り外して現場に持ち込むことが可能な、少なくとも現地本部を立ち上げる際の手順のアクションシートおよび長期的な復興支援に関するアクションシートを含む複数のアクションシート
を備える防災マニュアルキット。
【請求項2】
前記役割分担票は、施設に属するメンバーのレイヤーごとのイベント発生時に必要な行動を示すことを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項3】
前記施設近隣の地図は、被害想定図を含むことを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項4】
前記施設管理表は、施設内の各室の現況を書き込むフィールドを有することを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項5】
前記作業手順は、現地本部を立ち上げ手順、火災発生の際の対応手順、けが人発生の際の対応手順および、情報収集または整理および計画の作成の対応手順を含むことを特徴とする請求項1に記載の防災マニュアルキット。
【請求項6】
前記アクションシートは、災害発生時に注意喚起するための掲示板として使用するためのアクションシートをさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防災マニュアルキット。
【請求項7】
前記作業手順は、災害未発生の状況において定期的に必要な手順をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防災マニュアルキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に記載の発明は、防災マニュアルキットであって、行動判断指標、施設管理表および施設近隣の地図を含む一般通知事項を配置されたアクションボードであって、災害の状況に応じて必要な情報を書き込めるアクションボードと、アクションボードに取り外し可能に取り付けられ、個別具体的な対応マニュアルとして状況によって必要な作業手順を表面におよび担当を裏面に記載した複数のアクションシートであって、災害時には取り外して現場に持ち込むことが可能な、少なくとも現地本部を立ち上げる際の手順のアクションシートおよび長期的な復興支援に関するアクションシートを含む複数のアクションシートとを備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防災マニュアルキットにおいて、役割分担票は、施設に属するメンバーのレイヤーごとのイベント発生時に必要な行動を示すことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の防災マニュアルキットにおいて、作業手順は、現地本部を立ち上げ手順、火災発生の際の対応手順、けが人発生の際の対応手順および、情報収集または整理および計画の作成の対応手順を含むことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の防災マニュアルキットにおいて、アクションシートは、災害発生時に注意喚起するための掲示板として使用するためのアクションシートをさらに含むことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明によると、行動判断指標、施設管理表および施設近隣の地図を含む一般通知事項を配置されたアクションボードであって、災害の状況に応じて必要な情報を書き込めるアクションボードと、アクションボードに取り外し可能に取り付けられ、個別具体的な対応マニュアルとして状況によって必要な作業手順を表面におよび担当を裏面に記載した複数のアクションシートであって、災害時には取り外して現場に持ち込むことが可能な、少なくとも現地本部を立ち上げる際の手順のアクションシートおよび長期的な復興支援に関するアクションシートを含む複数のアクションシートとを備えているので、平素から施設の共用スペースに設置することにより、災害発生前の防災準備から、災害発生後の各種対応まで容易に立案し、実施することができる。