(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025834
(43)【公開日】2024-02-27
(54)【発明の名称】機器制御装置、制御機器、および、機器制御方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240216BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240216BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240216BHJP
B66F 9/20 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
H04M11/00 301
B66F9/24 S
B66F9/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128206
(22)【出願日】2022-08-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「http://www.tokai-rika.co.jp/topics/2022/220519.pdf」 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.takenaka.co.jp/news/2022/05/04/」 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.rental.co.jp/newsrelease/pdf/220519_keyless.pdf」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月25日~5月27日 第4回建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO2022)にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月20日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.decn.co.jp/?p=142725」 令和4年5月28日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.netdenjd.com/articles/-/267840」 令和4年5月20日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.chukei-news.co.jp/news/2022/05/20/OK0002205200201_04/」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000088570.html」 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://nordot.app/900128430202617856?c=113147194022725109」 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「http://www.tokai-rika.co.jp/en/news/2022/pdf/220519.pdf」 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.zaikei.co.jp/releases/1668463/」 令和4年6月3日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2206/03/news023.html」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月2日 下記ウェブサイトを通じて公開「http://www.kensetsu-plaza.com/new_products/post/24140」 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.jpubb.com/press/3119765/」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月19日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://baues.io/i/b22a314eb2f9415180e42433568884b7」 令和4年5月20日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://kikai-news.net/2022/05/20/%E7%AB%B9%E4%B8%AD%E5%B7%A5%E5%8B%99%E5%BA%97%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%80%81%E9%AB%98%E6%89%80%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E8%BB%8A%E3%81%AE%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0/」 令和4年5月30日 下記ウェブサイトを通じて公開「https://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/220530590024.html」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月20日 株式会社日刊工業新聞社発行「日刊工業新聞朝刊令和4年5月20日付、第8面」で公開 令和4年5月20日 株式会社日刊建設通信新聞社発行「建設通信新聞朝刊令和4年5月20日付、第3面」で公開
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】390041449
【氏名又は名称】株式会社レンタルのニッケン
(71)【出願人】
【識別番号】591111503
【氏名又は名称】株式会社東海理化クリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深津 知弘
(72)【発明者】
【氏名】加原 啓次
(72)【発明者】
【氏名】池田 和聡
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真悟
(72)【発明者】
【氏名】寺島 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】森保 伸也
(72)【発明者】
【氏名】福田 優輝
(72)【発明者】
【氏名】沖本 研悟
(72)【発明者】
【氏名】水野 博光
【テーマコード(参考)】
3F333
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333FA12
5K048AA15
5K048BA13
5K048BA21
5K048BA54
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB02
5K048FC03
5K201AA09
5K201BA01
5K201CB10
5K201CC01
5K201EC06
5K201ED05
5K201ED08
(57)【要約】
【課題】制御機器における所定の動作モードを行うことが可能なユーザを限定することが可能な機器制御装置を提供する。
【解決手段】ロック制御装置10(機器制御装置)は、物理キー6に装着される操作ノブ41と、操作ノブ41を介した上部操作モード(第1動作モード)への変更操作を規制するロックデバイス20(規制部)と、作業者101(ユーザ)の携帯端末90(端末)からのデジタルキー(識別情報)に基づいて、ロックデバイス20を制御するプロセッサ81(制御部)とを備える。プロセッサ81は、デジタルキーに基づく認証が成立すると、ロックデバイス20による上部操作モードへの変更操作の規制を解除する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーシリンダに差し込まれた物理キーを回転させる操作により、第1動作モードを有する制御機器に対する動作モードの変更操作を制御する機器制御装置であって、
前記物理キーに装着される操作ノブと、
前記操作ノブを介した前記第1動作モードへの前記変更操作を規制する規制部と、
ユーザの端末からの識別情報に基づいて、前記規制部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記識別情報に基づく認証が成立すると、前記規制部による前記第1動作モードへの前記変更操作の規制を解除する、機器制御装置。
【請求項2】
前記識別情報は、前記制御機器の使用予定時刻を含み、
前記制御部は、前記使用予定時刻が適合する場合に、前記識別情報に基づく認証が成立したものとする、請求項1に記載の機器制御装置。
【請求項3】
前記使用予定時刻は、前記ユーザによって予め予約された時刻を含む、請求項2に記載の機器制御装置。
【請求項4】
前記制御機器は、土台部と、前記土台部により下方から支持される昇降部とを有する高所作業車に設けられ、
前記第1動作モードは、前記昇降部に設置された上部操作部により、前記高所作業車を移動させる操作に加えて前記昇降部を昇降させる操作が可能な上部操作モードを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の機器制御装置。
【請求項5】
前記制御機器は、前記第1動作モードとは異なる第2動作モードを有し、
前記第2動作モードは、前記識別情報に基づく認証の成否に拘わらず、前記ユーザによる前記変更操作が可能な動作モードである、請求項1~3のいずれか1項に記載の機器制御装置。
【請求項6】
前記制御機器は、土台部と、前記土台部により下方から支持される昇降部とを有する高所作業車に設けられ、
前記第2動作モードは、前記高所作業車を移動させる操作は不可能である一方、前記昇降部を昇降させる操作は可能な動作モードである、請求項5に記載の機器制御装置。
【請求項7】
前記制御機器は、土台部と、前記土台部により下方から支持される昇降部とを有する高所作業車に設けられ、
前記第2動作モードは、前記土台部に設置された下部操作部により前記高所作業車を操作可能な下部操作モードを含む、請求項5に記載の機器制御装置。
【請求項8】
所定の動作モードを有する制御機器であって、
キーシリンダと、
前記キーシリンダに差し込まれる物理キーと、
前記物理キーに装着される操作ノブと、
前記操作ノブを介した前記所定の動作モードへの変更操作を規制する規制部と、
ユーザの端末からの識別情報に基づいて、前記規制部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記識別情報に基づく認証が成立すると、前記規制部による前記所定の動作モードへの前記変更操作の規制を解除する、制御機器。
【請求項9】
所定の動作モードを有する制御機器に対する動作モードの変更操作を、機器制御装置により制御する機器制御方法であって、
前記制御機器は、前記動作モードの前記変更操作に用いられる物理キーを備えており、
前記機器制御装置は、前記物理キーを用いた前記所定の動作モードへの前記変更操作を規制するように構成されており、
ユーザの端末からの識別情報に基づく認証の成否を判定するステップと、
前記認証が成立した場合に、前記機器制御装置による前記所定の動作モードへの前記変更操作の規制を解除するステップと、を備える、機器制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器制御装置、制御機器、および、機器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3851830号公報(特許文献1)には、物理キーをキーシリンダに挿入した状態で物理キーを操作することで、エンジンを始動させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載された装置(制御機器)の場合、装置を使用する資格のない作業者であっても、物理キーを入手すれば装置を始動できるので、管理上の問題が生じていた。
【0005】
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、制御機器の所定の動作モードを行うことが可能なユーザを限定することが可能な機器制御装置、制御機器、および、機器制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面による機器制御装置は、キーシリンダに差し込まれた物理キーを回転させる操作により、第1動作モードを有する制御機器に対する動作モードの変更操作を制御する機器制御装置であって、物理キーに装着される操作ノブと、操作ノブを介した第1動作モードへの変更操作を規制する規制部と、ユーザの端末からの識別情報に基づいて、規制部を制御する制御部と、を備え、制御部は、識別情報に基づく認証が成立すると、規制部による第1動作モードへの変更操作の規制を解除する。
【0007】
本開示の第1の局面による機器制御装置では、上記のように、識別情報に基づく認証が成立すると、規制部による第1動作モードへの変更操作の規制を解除される。これにより、第1動作モードにより制御機器を操作可能なユーザを、識別情報に基づく認証が成立したユーザに限定することができる。
【0008】
上記第1の局面による機器制御装置において、好ましくは、識別情報は、制御機器の使用予定時刻を含み、制御部は、使用予定時刻が適合する場合に、識別情報に基づく認証が成立したものとする。このように構成すれば、第1動作モードにより制御機器を操作可能な時間を限定することができる。
【0009】
この場合、好ましくは、使用予定時刻は、ユーザによって予め予約された時刻を含む。このように構成すれば、第1動作モードにより制御機器を操作可能な時間を、ユーザが使用予約を行った時間に限定することができる。
【0010】
上記第1の局面による機器制御装置において、好ましくは、制御機器は、土台部と、土台部により下方から支持される昇降部とを有する高所作業車に設けられ、第1動作モードは、昇降部に設置された上部操作部により、高所作業車を移動させる操作に加えて昇降部を昇降させる操作が可能な上部操作モードを含む。ここで、上部操作モードでは、高所において高所作業車が操作されるので、安全の確保がより重要な動作モードである。したがって、安全の確保がより重要な動作モードを使用可能なユーザを限定することができる。
【0011】
上記第1の局面による機器制御装置において、好ましくは、制御機器は、第1動作モードとは異なる第2動作モードを有し、第2動作モードは、識別情報に基づく認証の成否に拘わらず、ユーザによる変更操作が可能な動作モードである。このように構成すれば、第1動作モードを使用可能なユーザを限定しながら、第2動作モードへの変更操作が規制されていないことによってユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御機器は、土台部と、土台部により下方から支持される昇降部とを有する高所作業車に設けられ、第2動作モードは、高所作業車を移動させる操作は不可能である一方、昇降部を昇降させる操作は可能な動作モードである。このように構成すれば、第2動作モードにおいて高所作業車を移動させる操作が可能である場合に比べて、第2動作モードにおける安全性を確保することができる。したがって、使用可能なユーザが限定されていない第2動作モードにおける安全性を確保することができる。
【0013】
上記制御機器が第2動作モードを有する機器制御装置において、好ましくは、制御機器は、土台部と、土台部により下方から支持される昇降部とを有する高所作業車に設けられ、第2動作モードは、土台部に設置された下部操作部により高所作業車を操作可能な下部操作モードを含む。ここで、下部操作モードでは、低所において高所作業車が操作されるので、上部操作モードに比べて、安全の確保の重要性が比較的低い動作モードである。したがって、安全の確保が比較的低い動作モードを使用可能なユーザを限定しないことにより、ユーザの安全性を確保しながらユーザの利便性を向上させることができる。
【0014】
本開示の第2の局面による制御機器は、所定の動作モードを有する制御機器であって、キーシリンダと、キーシリンダに差し込まれる物理キーと、物理キーに装着される操作ノブと、操作ノブを介した所定の動作モードへの変更操作を規制する規制部と、ユーザの端末からの識別情報に基づいて、規制部を制御する制御部と、を備え、制御部は、識別情報に基づく認証が成立すると、規制部による所定の動作モードへの変更操作の規制を解除する。
【0015】
上記第2の局面による制御機器では、上記のように、識別情報に基づく認証が成立すると、規制部による所定の動作モードへの変更操作の規制を解除される。これにより、所定の動作モードにより制御機器を操作可能なユーザを、識別情報に基づく認証が成立したユーザに限定することが可能な制御機器を提供することができる。
【0016】
本開示の第3の局面による機器制御方法は、所定の動作モードを有する制御機器に対する動作モードの変更操作を、機器制御装置により制御する機器制御方法であって、制御機器は、動作モードの変更操作に用いられるキー部材を備えており、機器制御装置は、キー部材を用いた所定の動作モードへの変更操作を規制するように構成されており、ユーザの端末からの識別情報に基づく認証の成否を判定するステップと、上記認証が成立した場合に、機器制御装置による所定の動作モードへの変更操作の規制を解除するステップと、を備える。
【0017】
上記第3の局面による機器制御方法では、上記のように、識別情報に基づく認証が成立した場合に、機器制御装置による所定の動作モードへの変更操作の規制が解除される。これにより、所定の動作モードにより制御機器を操作可能なユーザを、識別情報に基づく認証が成立したユーザに限定することが可能な機器制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、制御機器における所定の動作モードを行うことが可能なユーザを限定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態による高所作業車とロック制御装置とを示す図である。
【
図2】一実施形態による車両制御システムの構成を示す図である。
【
図3】一実施形態によるロックデバイスの正面図である。
【
図4】一実施形態によるロックデバイスの断面図である。
【
図5】一実施形態によるロックデバイスの
図4とは異なる高さ位置の断面図である。
【
図6】一実施形態による車両制御システムのシーケンス図である。
【
図7】一実施形態による車両制御システムのプロセッサの制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0021】
図1は、作業車両の一例としての高所作業車1の概略構成を示す側面図である。高所作業車1に代表される作業車両は、本開示のロック制御装置10を備える装置の一例である。ロック制御装置10を備える装置は、高所作業車1以外の作業車両であってもよく、また、作業車両以外の装置であってもよい。たとえば、非常用の電源装置が、本開示のロック制御装置10を備えてもよい。高所作業車1には、高所作業車1を制御する制御機器1aが設けられている。
【0022】
図1に示されるように、高所作業車1は、走行体2と、昇降体3とを備えている。走行体2は、高所作業車1を移動させる土台部分である。走行体2は、前側に一対の走行輪2Aを有し、後側に一対の走行輪2Aを有している。高所作業車1は、走行輪2Aが回転駆動されることにより、自走可能である。走行体2は、走行輪2Aに替えて、履帯を有していてもよい。なお、走行体2および昇降体3は、それぞれ、本開示の「土台部」および「昇降部」の一例である。
【0023】
昇降体3は、走行体2に対して昇降可能に構成されている。昇降体3は、作業者101が乗り込んで作業する籠部分である。制御機器1aは、昇降体3に設けられる操作盤4を含む。操作盤4は、高所作業車1を停止させるために押圧操作される作動停止スイッチ5、物理キー6(
図3参照)、および、物理キー6が差し込まれるキーシリンダ7(
図4参照)などを有している。操作盤4は、昇降体3に搭乗した作業者101が操作盤4を視認できかつ操作できるように、配置されている。なお、作業者101は、本開示の「ユーザ」の一例である。
【0024】
操作盤4は、高所作業車1が後述の上部操作モード時に操作可能である。なお、制御機器1aは、走行体2に設けられている操作盤8を含む。操作盤8は、高所作業車1が後述の下部操作モード時に操作可能である。なお、操作盤8は、本開示の「下部操作部」の一例である。また、上部操作モードは、本開示の「第1動作モード」および「所定の動作モード」の一例である。また、下部操作モードは、本開示の「第2動作モード」の一例である。
【0025】
高所作業車1(制御機器1a)は、ロック制御装置10をさらに備えている。ロック制御装置10は、図示しないキーシリンダ7に差し込まれた物理キー6(
図3参照)を回転させる操作のために用いられる。ロック制御装置10は、操作盤4に取り付けられるロックデバイス20を有している。ロックデバイス20は、物理キー6に装着される。これにより、ロックデバイス20がキーシリンダ7および物理キー6を覆って操作盤4に取り付けられ、キーシリンダ7および物理キー6はロックデバイス20の内部に配置されている。なお、ロック制御装置10およびロックデバイス20は、それぞれ、本開示の「機器制御装置」および「規制部」の一例である。
【0026】
ロック制御装置10は、制御ボックス80を備えている。制御ボックス80は、ロックデバイス20とは別体として構成されている。ロックデバイス20と制御ボックス80とは、配線91によって、有線接続されている。
【0027】
(車両制御システムの構成)
図2は、本実施形態の車両制御システム100の構成を示す概略図である。車両制御システム100は、ロック制御装置10と、予約管理サーバ30と、携帯端末90と、を備える。なお、携帯端末90は、本開示の「端末」の一例である。
【0028】
図2に示されるように、ロックデバイス20は、ソレノイド21と、マイクロスイッチ22とを有している。後ほど
図3でも説明するように、ソレノイド21およびマイクロスイッチ22は、ロックデバイス20の筐体23に収容されている。ロックデバイス20は、物理キー6を覆い物理キー6と一体に回転する操作部40を有する。ソレノイド21は、操作部40の回転を規制可能である。
【0029】
制御ボックス80は、プロセッサ81と、メモリ82と、通信部83と、電源部84と、タイマ85とを収容している。通信部83は、作業者101が所持する携帯端末90(
図1も併せて参照)と近距離無線通信を行ない、携帯端末90からアンロック信号(デジタルキー)を受信する。なお、プロセッサ81は、本開示の「制御部」の一例である。
【0030】
メモリ82には、プロセッサ81に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および各種パラメータ)が記憶されている。通信部83は、各種通信I/Fを含む。プロセッサ81は、通信部83を制御する。具体的には、プロセッサ81は、通信部83を通じて、携帯端末90と通信(無線通信)する。
【0031】
電源部84は、マイクロスイッチ22およびソレノイド21に、配線91を介して電力を供給する。電源部84は、たとえば乾電池を含む。なお、電源部84が、乾電池ではなく電源回路を含んでいてもよい。
【0032】
タイマ85は、時刻情報を取得する。また、タイマ85は、プロセッサ81により所定の制御が行われてからの経過時間の情報を取得する。詳細は下記において説明する。また、プロセッサ81は、タイマ85により取得された各時間情報を取得する。
【0033】
プロセッサ81は、ロックデバイス20の動作を制御する。通信部83がアンロック信号(デジタルキー)を携帯端末90から受信すると、プロセッサ81は、配線91を通じて、後述のソレノイド21を移動させる制御を行う。
【0034】
マイクロスイッチ22は、配線91を通じて制御ボックス80(通信部83)に停止状態信号を送信する。高所作業車1が停止モードである場合、上記停止状態信号はH信号(活性状態)になっている。プロセッサ81は、上記停止状態信号がH信号になっていることに基づいて、高所作業車1が停止モードであることを検知する。
【0035】
一方、プロセッサ81は、上記停止状態信号がL信号(非活性状態)である場合は、高所作業車1が停止モード以外の動作モード(上部操作モードまたは下部操作モード)であると認識している。
【0036】
なお、高所作業車1が停止モードである場合に上記停止状態信号がL信号となり、高所作業車1が停止モード以外の動作モードである場合に上記停止状態信号がH信号となってもよい。
【0037】
図3は、ロック制御装置10のロックデバイス20の正面図である。ロックデバイス20は、操作部40を有している。操作部40は、物理キー6に装着されるノブ41を有している。ノブ41は中空に形成されている。ノブ41の内部に、キーシリンダ7に差し込まれた物理キー6が収容されている。物理キー6が、ノブ41の内部の中空空間に嵌まり合っている。操作部40は、物理キー6を覆っている。作業者101は、ノブ41を手指でつまんで操作する。ノブ41を回転させる操作で、操作部40の全体が回転し、このとき物理キー6は操作部40と一体に回転する。なお、ノブ41は、本開示の「操作ノブ」の一例である。
【0038】
図3に示されるノブ41は、「切」位置に配置されている。したがってノブ41の内部の物理キー6も、「切」位置に配置されている。ノブ41(物理キー6)が「切」位置にあるとき、高所作業車1は電源オフの状態(停止モード)であり、走行体2による走行、昇降体3の昇降、などができなくされている。
【0039】
作業者101がノブ41を「切」位置から反時計回り方向に回転する操作をすることで、ノブ41(物理キー6)は「上部操作」位置へ移動可能である。作業者101がノブ41を「切」位置から時計回り方向に回転する操作をすることで、ノブ41(物理キー6)は「下部操作」位置へ移動可能である。
【0040】
ノブ41(物理キー6)が「上部操作」位置にあるとき、高所作業車1は上部操作モードとなっており、作業者101は昇降体3の中で高所作業車1を操作することが可能である。作業者101は、昇降体3を上昇させて、高所作業をすることが可能である。昇降体3が最下端にあるときには、作業者101は高所作業車1を走行させることが可能である。高所作業車1は、通常の使われ方においては、ノブ41(物理キー6)を「上部操作」位置に配置して使用される。
【0041】
ノブ41(物理キー6)が「下部操作」位置にあるときには、高所作業車1は下部操作モードとなっており、昇降体3を昇降させる操作のみが可能とされる。すなわち、下部操作モードでは、高所作業車1を走行させる操作は不可能である。この際、昇降体3の昇降は、走行体2に設けられている操作盤8を操作して行われる。高所作業車1は、たとえばメンテナンス時などに、ノブ41(物理キー6)を「下部操作」位置に配置して使用されることがある。
【0042】
なお、下部操作モードは、通常の作業では使用されず、メンテナンス等の限られた場面において使用される動作モードである。また、下部操作モードでは、高所作業車1が移動しないので、ユーザの利便性を維持しつつ、高所作業車1の位置管理を担保することが可能である。
【0043】
ソレノイド21は、制御ボックス80からの電流に基づいてプランジャ21aが移動する。具体的には、ソレノイド21は、制御ボックス80がアンロック信号(デジタルキー)を受信した場合に電源部84から供給される電流に基づいて、ノブ41側(
図3の左側)に近づくようにプランジャ21a移動する。
【0044】
ここで、
図4のロックデバイス20の断面図に示すように、操作部40には、開口部42が形成されている。開口部42は、操作部40の円環状の断面形状の一部が切り欠かれて形成されている。操作部40は、キーシリンダ7の周囲を回転可能である。開口部42は、操作部40の回転の周方向に延びている。操作部40の略円筒状に形成された部分の一部が開放されて、開口部42が形成されている。操作部40は、操作部40の回転の周方向における開口部42の両端をなす、第1端44と第2端45とを有している。
【0045】
ソレノイド21のプランジャ21aがノブ41側に移動している状態(
図4の状態)でノブ41を「上部操作」位置側に回転させようとした場合、開口部42の第1端44がソレノイド21のプランジャ21aにおけるノブ41側の先端部21bに接触(係合)する。これにより、ノブ41を「上部操作」位置側に回転させる操作が規制される。
【0046】
なお、ソレノイド21のプランジャ21aがノブ41側に移動している状態でノブ41を「下部操作」位置側に回転させようとした場合には、開口部42の第2端45はソレノイド21のプランジャ21aのノブ41側の先端部21bに接触(係合)しない。すなわち、ノブ41を「下部操作」位置側に回転させる操作は規制されない。これは、ノブ41が「切」位置にある状態において、先端部21bは、開口部42の第1端44と第2端45とのうち、第1端44に寄って配置されていることに起因する。
【0047】
図5は、
図4とは異なる高さ位置(
図5の紙面に垂直な方向の位置)における断面図である。
図5に示すように、マイクロスイッチ22は、アクチュエータ22aを有している。また、操作部40は、押圧部46を有している。押圧部46は、操作部40の回転の径方向外側に向けて突出する突起形状を有している。押圧部46は、ノブ41(物理キー6)が「切」位置に配置されている状態で、アクチュエータ22aを押圧している。押圧部46に押圧されたアクチュエータ22aは、マイクロスイッチ22の本体に近づく向きに変位している。マイクロスイッチ22は、アクチュエータ22aの変位に基づいて、制御ボックス80に、ノブ41が「切」位置に配置されていることを示す上記停止状態信号(H信号)が送信される。なお、ノブ41が「上部操作」位置および「下部操作」位置に配置されている場合には、押圧部46はアクチュエータ22aを押圧しない。
【0048】
(シーケンス制御)
次に、
図6を参照して、ロック制御装置10(プロセッサ81)、作業者101、および、予約管理サーバ30におけるシーケンス制御を説明する。
【0049】
まず、ステップS1において、作業者101は、自身の携帯端末90を用いて、高所作業車1の使用予約を行う。たとえば、作業者101は、携帯端末90にインストールされている専用のアプリを用いて、高所作業車1の使用予約を行う。この際、作業者101は、任意の時間帯(たとえば10時~12時)における高所作業車1の使用を予約することが可能である。なお、上記アプリは、職場における特定の作業者101の携帯端末90にのみインストールされるように管理されていてもよい。
【0050】
次に、ステップS2では、予約管理サーバ30は、ステップS1において作業者101により行われた使用予約を承認する。
【0051】
なお、ステップS2では、ステップS1において高所作業車1の使用予約を行った作業者101のIDと、高所作業車1の上部操作モードを使用可能な作業者101のIDとを照合し、ステップS1において予約した作業者101に対して高所作業車1(上部操作モード)の使用を承認するか否かを判定してもよい。この場合、高所作業車1の使用予約に用いられる上記アプリは、職場の全ての作業者101の携帯端末90にインストールされていてもよい。
【0052】
ここで、上部操作モードは、通常の作業において使用されるモードであるので、使用頻度が比較的高い。したがって、上部操作モードは、適切な管理が要求される動作モードである。そこで、上記のように、ユーザの認証を行うことにより上部操作モードを使用可能なユーザを限定することは、適切な管理を行うのに非常に有効である。
【0053】
次に、ステップS3では、予約管理サーバ30は、ステップS1において高所作業車1の使用予約をした作業者101に、高所作業車1において上部操作モードへのモード変更操作が許可されるデジタルキーを付与する。このデジタルキーは、ステップS2において使用予約が承認されたことに基づいて、作業者101の携帯端末90に送信される。このデジタルキーには、作業者101が高所作業車1の使用を予約した時間情報(使用予定時間情報)が含まれている。なお、デジタルキーは、本開示の「識別情報」の一例である。
【0054】
なお、ロック制御装置10(プロセッサ81)が通信部83を通じて、作業者101の携帯端末90にデジタルキーを送信してもよい。この場合、ロック制御装置10(プロセッサ81)は、通信部83を通じて、高所作業車1の使用予約が承認された旨を示す情報および予約時間の情報を予約管理サーバ30から取得する。
【0055】
次に、ステップS4では、作業者101は、自身の携帯端末90から、制御ボックス80のプロセッサ81(通信部83)に、アンロック信号を送信する。この際、プロセッサ81(通信部83)には、アンロック信号と共に、ステップS3において携帯端末90に送信されたデジタルキーが送信される。
【0056】
そして、次のステップS5において、プロセッサ81は、ロックデバイス20による上部操作モードへのモード変更操作のロック状態を解除する制御(アンロック制御)を行う。このステップS5の制御については、後述の
図7により詳しく説明する。
【0057】
(アンロック制御の制御方法)
次に、
図7を参照して、ロック制御装置10によるアンロック制御についての制御方法を説明する。
【0058】
まず、ステップS501において、制御ボックス80のプロセッサ81は、アンロック信号を送信した作業者101が、上部操作モードへの変更操作を許可されているか否かを判定する。具体的には、プロセッサ81は、作業者101がアンロック信号と共にデジタルキーを送信したか否かに基づいて、作業者101が上部操作モードへの変更操作を許可されているか否かを判定する。ステップS501においてYesの場合、処理はステップS502に進む。ステップS501においてNoの場合、ロックデバイス20によるロック状態は維持されたまま処理は終了する。
【0059】
次に、ステップS502において、プロセッサ81は、デジタルキーに含まれる予約時間の情報と、タイマ85により計時される時間情報とが一致しているか否かを判定する。具体的には、プロセッサ81は、タイマ85により計時される時間が、上記予約時間内であるか否かを判定する。ステップS502においてYesの場合、処理はステップS503に進む。ステップS502においてNoの場合、ロックデバイス20のロック状態が維持され、処理は終了する。
【0060】
ステップS503では、プロセッサ81は、ロックデバイス20のロック状態を解除する。具体的には、プロセッサ81は、制御ボックス(電源部84)からロックデバイス20のソレノイド21に供給される電流を制御することによってソレノイド21のプランジャ21aをノブ41とは反対側(
図3の右側)に移動させる。その結果、ソレノイド21とノブ41との係合が解除されることにより、上記ロック状態が解除される。
【0061】
ステップS504では、プロセッサ81は、上記ロック状態が解除されてから(上記電流の制御が行われてから)所定の時間内に、高所作業車1が停止モードから上部操作モード(または下部操作モード)に変更されたか否かを判定する。
【0062】
具体的には、プロセッサ81は、上記ロック状態が解除されてから(上記電流の制御が行われてから)の経過時間を示す情報をタイマ85から取得している。そして、プロセッサ81は、タイマ85から取得した上記経過時間が、予め設定された上記所定の時間になるまでの間にモード変更操作が行われたか否かを判定している。
【0063】
詳細には、プロセッサ81は、上記ロック状態が解除されてから(上記電流の制御が行われてから)上記所定の時間内に、上記停止状態信号がH信号(活性状態)からL信号(非活性状態)に変化したか否かを判定している。
【0064】
ステップS504においてNoの場合、処理はステップS505に進む。また、ステップS504においてYesの場合、処理はステップS506に進む。
【0065】
ステップS505では、プロセッサ81は、ロックデバイス20を、アンロック状態(規制解除状態)からロック状態(規制状態)に変化させる。具体的には、プロセッサ81は、制御ボックス(電源部84)からロックデバイス20のソレノイド21に供給される電流を制御することにより、ソレノイド21のプランジャ21aを再びノブ41側(
図3の左側)に移動させる。その結果、ソレノイド21とノブ41とが再び係合可能な状態となる。これにより、ロックデバイス20が再びロック状態になる。
【0066】
ステップS506では、プロセッサ81は、物理キー6(ノブ41)が動作モード(上部操作モードまたは下部操作モード)に対応する第1状態から停止モードに対応する第2状態になるように操作されたか否かを判定する。具体的には、プロセッサ81は、マイクロスイッチ22からの上記停止状態信号が、L信号(非活性状態)からH信号(活性状態)に変化したか否かに基づいて、上記操作が行われたか否かを判定する。ステップS506においてYesの場合、処理はステップS507に進む。ステップS506においてNoの場合、ステップS506の処理が繰り返される。
【0067】
ステップ507では、プロセッサ81は、物理キー6(ノブ41)が上記第1状態(動作モードに対応する状態)から上記第2状態(停止モードに対応する状態)になるように操作された所定の時間後に、ロックデバイス20をアンロック状態からロック状態に変化させる。具体的には、ソレノイド21のプランジャ21aをノブ41側(
図3の左側)に移動させることにより、ソレノイド21とノブ41とを互いに係合可能な状態にする。
【0068】
詳細には、プロセッサ81は、上記第1状態(動作モードに対応する状態)である物理キー6が上記第2状態(停止モードに対応する状態)に変化されたことによりマイクロスイッチ22から出力される上記停止状態信号(H信号)を取得した所定の時間後に、ロックデバイス20をアンロック状態からロック状態に変化させる。その後、処理を終了する。なお、ステップS507において所定の時間は、ステップS504における所定の時間と同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0069】
以上のように、本実施の形態においては、アンロック信号を送信した作業者101が上部操作モードへの変更操作を許可されている場合に、ロックデバイス20(ノブ41)による上部操作モードへの変更操作の規制が解除される。これにより、上部操作モードへの変更操作を許可されている作業者101以外が上部操作モードにより高所作業車1を操作するのを防止することができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、プロセッサ81は、マイクロスイッチ22からの信号に基づいて、停止モードと動作モード(上部操作モードおよび下部操作モード)とを区別可能である例を記載したが、本開示はこれに限られない。プロセッサ81が、マイクロスイッチ22等からの信号に基づいて、停止モードと、上部操作モードと、下部操作モードとを区別可能であってもよい。この場合、ロックデバイス20によるアンロック状態において停止モードから下部操作モードに変更された際に、ロックデバイス20をロック状態に戻してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、予約管理サーバ30に高所作業車1の使用予約を行った者が上部操作モードの操作を許可される例を示したが、本開示はこれに限らない。たとえば、上部操作モードへのモード変更が許可されている特定の作業者101に、ロック制御装置10のロック状態を解除することが可能なセキュリティカード等が付与されていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、プロセッサ81は、高所作業車1の予約時間内にデジタルキーを受信した場合にアンロック制御を行う例を示したが、本開示はこれに限られない。デジタルキーを取得した作業者101は、予約時間外であってもアンロック制御を行うことが可能であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、高所作業車1の使用予約が行われた携帯端末90を用いてアンロック制御が可能である例を示したが、本開示はこれに限られない。高所作業車1の使用予約を行われた端末と、アンロック信号を制御ボックス80に送信する端末とが互いに異なっていてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、高所作業車1を例に示したが、本開示はこれに限られない。高所作業車1以外の制御機器(たとえば、蓄電装置または高所用ではない作業車等)において上記実施形態の制御が適用されてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、下部操作モードへのモード変更操作は全ての作業者101が実施可能である例を示したが、本開示はこれに限られない。下部操作モードへのモード変更操作も、許可された作業者101のみが実施可能なように制御されていてもよい。
【0076】
上述の実施の形態および上記変形例は、技術的に矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることもできる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1 高所作業車,1a 制御機器,2 走行体(土台部),2a 操作盤(下部操作部),3 昇降体(昇降部),6 物理キー,10 ロック制御装置(機器制御装置),20 ロックデバイス(規制部),41 ノブ(操作ノブ),81 プロセッサ(制御部),90 携帯端末(端末),101 作業者(ユーザ)。